金融審議会金融分科会第一部会(第40回)議事録

平成17年12月7日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

予定の時間になりましたので、まだ若干遅れていらっしゃる委員の皆様方もいらっしゃるかもしれませんが、ただいまから始めさせて頂きます。金融審議会金融分科会第一部会の第40回目の会合を開催させて頂きます。

皆様方には、いつもご多忙のところをお集まり頂きまして誠にありがとうございます。

本日も議事は公開とさせて頂いております。報道機関の方々などのために後ろの方の席を確保しております。

また、今尾委員、本日ご出席ですけれども、それから島崎委員、本日はご欠席でございます。それから原委員、本日ご出席ですが、そして経済産業省からそれぞれ意見書を頂いておりますのでお手元に配付しております。

本日の予定ですけれども、ちょうど40回目の節目ということで、論点整理案についてご議論を頂きたいと思っております。

それでは早速ですけれども、お手元の議事次第に従いまして、論点整理について事務局からのご説明をお願いします。

○三井市場課長

それでは、お手元にたくさん資料がございますが、「主な論点」という3枚の紙、それから「説明資料」というやや分厚い資料、それから「参考資料」というかなり分厚い資料の3セットをお配りしております。

それで、本日はこの「主な論点」という3枚の紙と、それから説明資料を交互に行ったり来たりしながら説明いたしますので、この2つを並べて頂ければと思います。

それで、この説明資料というものはこれまでの審議で各検討項目ごとに論点、中間整理を四角で囲みまして、その下に参考事実等とそれから論点というものを文章でお配りしたものがございます。それを項目別に若干短縮して整理したという状況でございまして、その意味ではこれまでご議論頂いた審議の状況を簡単に縮刷したという資料でございます。その中で、各論点においての論点、各項目についての論点においてここでいろいろご意見をちょうだいいたしました。あるいは、いろいろな論戦が行われました。そこについて特に報告書取りまとめに当たりよく議論して頂く必要があろうと思う点を事務局がたたき台として抽出いたしましたのが、説明資料の中で「何々でどうか」とか「どう考えるか」というくだりでございます。その中で特に大きな論点というのを、この3枚紙の「主な論点」というところにピックアップしたということでございますので、これに限ることなく幅広いご議論を頂ければと思います。

それで、説明資料というのを1枚おめくりいたしまして、資料 I 、投資サービス法(仮称)の規制の対象範囲というくだりがございます。

これは11月2日にご議論頂きました投資サービス法の対象範囲というところでお配りした資料の縮刷でございます。個々の読み上げ等は割愛いたしまして、エッセンスだけごく簡単にピックアップしながら説明いたします。

アンダーラインのところを主としてご覧頂きたいのですが、投資サービス法の対象範囲について、中間整理でここのマル1マル2マル3といった性質、基準を提示いたしまして、これをベースに11月にご議論頂きました。下にあります具体的な対象範囲、リスクとリターンの意義、あるいは投資性の有無というところは大変ご議論になったところだと思います。

例えばリスク、私どもの配付いたしました資料には金融商品販売法を参考にして例えばということで、相場の変動等による元本欠損のおそれ、いわゆる市場リスクと、それからもう一つは販売者や発行者の業務、財産の状況の変化による損失のおそれである信用リスク、大きく2つご提示いたしたところであります。

また、次の2ページをおめくり頂きたいのですが、リターンの意義について、例えば金銭的収益であるとか、あるいはキャッシュフローの観点、あるいは現在価値かもしれませんが、こういったものへの期待といったこともここで提示させて頂きました。

これについて、論点でございますが、預金・保険等の金融商品の具体的な規制対象範囲について、各個別の商品とその商品の性格に合わせ、特性について資料をお配りしてご議論頂いたのですが、ここの点についてどのように考えたらよいかということでございます。

3枚紙の「主な論点」では、1ページ目の I の○が1個目で同じ言葉が出ております。このように分厚い説明資料にありますやや太字で四角で囲った論点というところに対応するものが3枚紙の「主な論点」というところに掲げてありまして、一覧性と申しますか、全体像なり各論点の相関関係を議論頂く際にご参照ということで作成いたしております。

それではその先にまいりまして、各金融商品の具体的な対象範囲。2ページ目にありますアンダーライン部分で、例えば外貨預金、それからデリバティブ預金、3ページにまいりまして、保険の中では例えば変額保険、変額年金保険、外貨建て保険といったものについてご議論を頂いています。それからさらにおめくり頂きまして、3ページの下から4ページの頭にかけて信託でございますが、信託、一般的には投資商品ですが、元本補填付信託とか公益信託についてどう考えるかという点がございます。

それから少し先にまいりまして、6ページでございます。真ん中辺、(4)他の業法で規制されている金融商品の取り扱いということがございまして、先ほどの投資性の有無の議論で仮に投資性があるとした場合の預金、保険等について、今度は他の業法との関係でどう考えるかということ。それからマル2の商品ファンドについて、これもご議論がございました。それから次の7ページ、マル3でございますが、不動産特定共同事業、それからマル4商品先物取引、海外先物契約についてご議論がありました。

ということで8ページをご覧頂きたいのですが、他の業法で規制されている金融商品について投資サービス法においてどのように取り扱うかということと、それからもう一つ、最初の投資性の有無とそれから他の業法の両方を結合いたしましてもっと総合的に考えると、例えば中間整理では2つ目の○ですが、金融サービス・市場法を展望しつつ議論を行うことが必要と指摘されておるわけですが、それぞれの投資性の有無、あるいは他の業法との関係、あるいは投資サービス法の目的といったものを踏まえて、投資サービス法の対象範囲についてどのように考えるかということで、大きく分けて2つの考え方がここでは議論になっていたのではないかと思われます。

いずれも3枚紙の「主な論点」の I の○の2つ目、3つ目が今の論点でございます。

それでは、9ページ以下にまいります。9ページ、資料 II :業規制、ここも11月に議論を頂いたところでありまして、具体的な対象範囲ということで、9ページはそのときの資料と同じでございますが、10ページ、これも(2)自己募集、ご議論頂いたところであります。真ん中辺のアンダーラインの2行目の終わりごろ、商品組成と販売が一体化した投資商品の自己募集というのは、例えばほかの法制も考えると業登録、あるいは集団投資スキームをめぐる昨今の問題事案を考慮すると、そういった持ち分の自己募集も規制対象とすることがどうかと。それからさらに、「例えば」以下でご議論になったところですが、特定投資家(プロ)向け、あるいは投資家数が一定程度以下のファンドの自己募集については、より簡易な規制とすることが考えられるがどうかと。あるいは、その場合における行為規制の適用のあり方についてどう考えるのか、あるいは資産運用についても資産運用業に位置づけてはどうか、あるいはプロ向けについての簡易な規制といったことがあります。

したがいまして、11ページをご覧頂きたいと思います。これは「主な論点」3枚紙の1ページ目の II 業規制の1つの○のところと同じでございますが、ファンドの持ち分等の自己募集、それからファンドにおける資産運用の取り扱いについていかように考えるか、一定数以上の一般投資家を対象とするファンドにおける自己募集や資産運用についてを業登録の対象としつつ、プロ向けあるいは投資家の数が一定以下のファンドについて、より簡易な規制とすることが考えられるがどうか、あるいはより簡易な規制としてどのようなものが考えられるか、ここについてはこの点についてご議論頂いたときにさまざまなご意見があったところだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

それからその次でございますが、18ページからは資料 III :行為規制というものがございます。

ここでもさまざまな議論がありました。特にご議論にあったところといたしまして20ページ、適合性の原則のあり方、これも各般のご議論を頂きました。投資の目的も考慮要素とすべきであるとか、あるいは顧客の理解力についての、あるいは適合性のレターについては賛否あったと思います。

それからもう一つ、21ページをご覧頂きたいのですが、不招請勧誘の禁止。これにつきましても両論ございました。上のアンダーラインのところは事務方からたたき台としてお配りした資料の中のことでございますが、「これに対し」というところでさまざまなご意見があったということでございます。

それから22ページ、手数料開示でございます。これについても顧客から業者に直接、間接に支払われる手数料、これについては異論がなかったと思いますが、商品の組成業者が販売業者に対して支払う販売手数料については、片や有力な投資判断情報であるというご意見と、片やこれを求めればいわば販売従業員の給与のようなものを開示することになるのではないか、あるいは誠実公正義務の問題としてとらえるべきではないかというご意見があったと思います。

ということで、24ページをお開き頂きたいと思います。3枚紙でいうと一番下の項目でございますが、事前書面交付義務、あるいは適合性の原則、不招請勧誘の禁止、これに限るものではありませんが、行為規制についてこれまで議論してきた事項を踏まえて、いかように整理に向けてその議論を集約していくかという点であるかと存じます。

それから25ページ、資料 IV :特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)の区分ということで、4区分について試案というかたたき台を提示した上で、特に問題となりました26ページのマル3、個人についてデフォルトはアマですが、プロとして認めるのか否か、その場合にどのような基準かといったことがあるかと思います。

それからさらに27ページで、特定投資家(プロ)について適用除外する行為規制といったものはどのようなものとすべきかといったところで適合性の原則ということについてご議論があったと思います。

ということで、論点でございます。3枚紙でいうと2ページ目に入るわけでございますが、顧客が特定投資家である場合の行為規制の取り扱い、特に適合性の原則について、適用除外とするかどうかというご議論、あるいはそれに限らずご議論頂ければと思います。

それから、資料 V :集団投資スキーム(ファンド)でございます。

これにつきましては、アンダーラインのところで一般投資家とプロ向けで少し規制のレベルが充実あるいは緩和ということで議論が進んでいたと思いますが、具体的に仕組み段階、販売段階、運用段階、あるいは事業を行う段階、ファンド全体のプロセスの中でどういう部分を取り上げてどのような規制をするのか、登録なのか届出なのか、あるいはどういった範囲にするのか、そういった具体的な仕組みについてさまざまなご議論があるところと存じます。

ということで30ページでございますが、ファンドについて過剰な規制を回避しつつ、利用者保護の観点から実効的な規制の枠組みを構築するという観点からどのような方策が考えられるか。このような観点から開示、あるいは業規制、自己募集を含めた販売・勧誘・資産運用、それから仕組み規制についてどのような組み合わせが最も望ましいのかというこの取りまとめに向けたご議論を頂ければと思います。

それから次、32ページ以降の VI の開示規制。これは後ほど企業開示課長の池田からご説明させて頂きますので、大変恐縮でございますが、少しおめくり頂きまして37ページ、資料 VII :取引所というところをご覧頂きたいと思います。

この取引所の問題を議論いたしました際には、取引所のそもそもの自主規制の位置づけ、それから株式会社形態を認められた以降の問題といたしまして、営利性と公共性のバランスなり両立をどのように考えていくか、そうしたことを前提に取引所の組織を自主規制の適正な遂行という観点からどのように考えるかといったことをご議論頂いたと思います。

その中で、具体的な組織形態の議論に当たっては、例えば前回の金融審議会の報告にありましたような3類型、同一法人内であるとか別法人、あるいは資本関係であるなしの法人といった3類型に応じてそれぞれ留意すべき点、あるいは検討すべき点といった項目も掲げてご議論を頂こうということでございます。具体的な取りまとめに向けて、この点について組み合わせてどのように考えるかという論点でございますが、40ページでございます。

3枚紙でいうと最後のページになります。論点でございますが、平成15年12月の報告において例示された3つの類型というのは、同一組織内に自主規制機関を置くということと、それから自主規制機能を兄弟会社等の別法人に置く、それから3つ目の類型が資本関係のない別法人に置くという類型でございますが、どのような組織形態が望ましいと考えるか。あるいはその際、前回の平成15年12月の報告においては、「現場の品質管理といった側面も踏まえ」とされているわけですが、取引所を取り巻く環境や市場開設者が自らの市場をどうデザインしていくかという方針は、こういった現場感覚を踏まえると取引所によって異なり得るということになると思うのですが、このような観点を踏まえてどのような制度設計をすべきかという点が論点でございます。

それからもう一つは、それとの関連がございますが、株式会社組織の取引所というのが上場は可能でございますが、上場について、自市場に上場する場合には特別の規定が置かれております。その上場について、株式会社組織の取引所が上場するということについて、どのような頭の整理をこの時点でするかどうかということがあります。それとの関係で、取引所の発行する株式が特定のものに集中して取得されるということについてそのご議論があったと思います。外国の事例、あるいは外国の事例はともかく法的安定性を重視するご意見があったと思います。

それから次に進ませて頂きまして、42ページ、資料の VIII :自主規制機関というところでございます。

ここについても自主規制機関に付与すべき機能、それから業務の適正性の確保のための措置、それから加入の義務づけはしない方向でどうか、あるいは投資商品に係る苦情解決・あっせん業務の業態横断的な取り組みとして、例えば認定制度などの工夫があり得るがどうかといった点についてご議論頂いておるかと思います。さらにご議論があればと思います。

それから44ページ、資料 IX :民事責任規定、エンフォースメント、金融経済教育。

これについては前回ご議論頂いたところでありますが、民事責任規定のところでございます。アンダーラインにありますように、少なくとも例えば取引の仕組みといったものを説明事項に追加するなど、あるいはそこの考慮事項として適合性の原則的なものを解釈として考えるかどうかといった点。あるいは、そういったことも含めて民事責任、被害者が責任追及しないような法制についてどのように考えるか、あるいはそのエンフォースメントについては監視委員会から見せ玉についての建議がございましたが、エンフォースメントについてどう考えるか。

それから、金融経済教育。これは法律に位置づけるけれども義務づけはしないというふうな事務的なたたき台をお示ししましたが、それについてはさまざまなご意見があったと思います。

ということで、以上総合しましてこの民事責任、エンフォース、金融経済教育についてさらにどのような点を考えるべきかということで、この論点、後ほどこれから説明いたします開示も含めて相互に論点相関しているかと存じますので、3枚紙で全体像を主なところを短く整理してございますので、またその各論点との関係でもご議論頂ければと思います。

それでは開示の方を説明いたします。

○池田企業開示課長

では引き続きまして、開示規制の部分についてご説明をさせて頂きたいと思います。

今の説明資料という資料の32ページにお戻り頂きたいと思います。

開示規制のところにつきましては、これまでの審議会の議論で投資サービス法制のもとで投資商品が非常に多様になってくるということが想定される中で、その投資商品の性格に応じたディスクロージャーのあり方というものを従来以上にきめ細かく考えていく必要があるのではないかという議論があったと思います。

具体的にはこの1にありますように、1つは投資商品の性質に着眼した切り口ということで、大きく申し上げて企業金融型の商品と資産金融型商品というものでは開示の内容あるいは手続において差が生じ得るのではないかということでございました。

それからもう一つ、投資商品の流動性に着目した整理ということで、ここも大ざっぱに申し上げますと、上場されて流動性が高い投資商品というものと、上場はされていないが、開示義務等が課せられている投資商品。それから、さらに今後新しく取り込まれていく可能性があるファンド等を考えますと、契約なり法的な枠組みなりで譲渡性自身がそもそも制限されているということで、流通の可能性が乏しい投資商品といったことも従来以上に想定されてくるのではないかということでございました。

その中で残されておりました論点として、上場投資商品の中でこういったものについては市場で非常に頻繁に価格が変動するので、より頻繁かつ密度の濃い投資情報の提供が求められるということであろうかと思いますが、一つの具体的な論点としまして、とりわけ上場企業のディスクロージャーということに関しまして、四半期報告制度の導入の問題、それから財務報告に係る内部統制の整備の問題が、従来、当部会あるいは関係のワーキング・グループで議論されてきたところでございます。

四半期報告制度につきましては、当部会のもとに設置されておりますディスクロージャー・ワーキング・グループが今年の7月に報告を取りまとめておりまして、中間整理でもこれに沿って検討を進めていくとされていたところでございます。

その中で特にワーキング・グループ報告で検討が必要とされておりました四半期報告制度の導入に当たって、従来の半期報告制度を四半期報告制度に統合していくということが検討課題とされておりました。この点については統合していくことを基本として実務上の詰めを進めていくということにしてはどうかという形で論点を提起させて頂いております。

それからもう1点は、財務報告に係ります内部統制の有効性を経営者が評価し、それを公認会計士等がチェックするという仕組みについて、これはちょうど1年前の当第一部会の報告の中で、企業会計審議会における関連の基準の検討等を踏まえて制度化のあり方について判断をするとされてまいったところでございます。企業会計審議会、これは内部統制部会という部会をつくりまして審議をしておりますが、8日には基準のあり方についての報告が取りまとめられる予定となっておりまして、こうした整備が進んでいく中で、当初、検討課題とされていましたこうした仕組みの義務化について、義務化するということとしてはどうかということがございます。

それとこれに関連しましてもう一つございます論点として、ちょっとこの下の(注)から見て頂くとよろしいかと思いますが、先ほど申しました財務報告の内部統制に関する制度は米国でも先行して制度があるわけでございますが、アメリカではそういう内部統制についてチェックをする仕組みとあわせまして、経営者がアニュアルレポート、年次報告書における開示の適正性を宣誓するという制度があわせて義務づけられているところでございまして、我が国でも内部統制についての仕組みを整備するときにあわせて、宣誓制度についても考えるべきではないかというご指摘が従来からあるところでございます。

我が国では現在、証取法上、任意の制度として経営者確認制度という制度がございまして、ここでは財務報告に係ります内部統制システムが有効に機能しているかどうかという確認とあわせて、有価証券報告書の記載内容の適正性について経営者の方に確認して頂くということが、これはいずれにしても任意の制度でございますけれども、こういう制度が用意されているところでございまして、先ほど申しました内部統制システムについて制度を義務化していくとした場合に、この有価証券報告書の記載内容の適正性の確認という部分についてもあわせてそうしたものを義務化していくことについてどう考えるか、ここでは導入することとしてはどうかということで論点を提示させて頂いているところでございます。

それからもう一つ、35ページになりますが、ディスクロージャーの議論の中で、いわゆる行為規制におけますプロ、アマ規制のあり方の検討に対応して、開示制度の中では適格機関投資家について、この範囲について拡大していく方向で考えていくべきではないかということで従来ご議論を頂いているところでございます。こうした中で、細かい制度の組み方というものを考えていきました場合にございます論点について提示をさせて頂いております。

すなわち、行為規制におけるプロ、アマ規制というのは基本的には行為規制の局面なので、1対1、相対の局面でその時点でプロ、アマをオプトイン、オプトアウトするということになるわけですけれども、開示規制というのは例えば50人以上に勧誘した場合は公募だというふうなことになっております。したがいまして、1対1の局面で決まるものではなくて、ある程度外形的にプロかアマかはっきりしていることが必要でございます。また、そういうものがある程度周知をされておりませんと、投資商品の勧誘が公募か私募かということが判断ができずに、勧誘行為自体も非常に支障を来すことになりかねないという問題があって、こういう観点から、やや技術的には行為規制と全く同様には整理できないのではないかという論点がございます。

現在の適格機関投資家の制度では、金融機関などにつきましては適格機関投資家とそのまま規定をされているわけですが、それ以外の事業会社等については一定の基準を満たすものについてさらに届出を頂くということで、かつ届出頂いたことを公告するという形で適格機関投資家としているということで、自動的に適格機関投資家になる範疇と、届出ということを通じてプロになるという2類型で整理をしているところです。

行為規制のところは先ほどありましたように4類型で整理しようということなのですが、先ほどの、周知性がある程度外形的にわからなければいけないということを考えますと、4類型で整理するというのは非常に開示制度の整理としては難しいのではないかと考えておりまして、基本的にはこの2類型の中で整理をしていくということが適切なのではないかという問題を提起させて頂いています。

その上で、こうしたものの中で適格機関投資家となり得るものの範囲、あるいはその基準については取引の実態等に即して見直しを行いまして、基本的にはプロ、アマの思想と同様に適格機関投資家の範囲は拡大する方向で整理をしていくということが適切なのではないかと考えているところでございます。

それから、36ページに書いてございますが、もう一つ中間整理で掲げられておりました論点として、公開買付制度・大量保有報告制度に係る論点がございました。

この点については、現在、当部会のもとに設置をされております公開買付制度等ワーキング・グループの方で検討が進められておりまして、この第一部会に近くご報告できるように鋭意審議をしているところでございますけれども、現時点で第一部会としての委員の方々からご意見等があれば合わせて伺っておきたいということを考えているところでございます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今ご説明頂きましたように、説明資料の中でアンダーラインが引いてある部分というのがさらに詰めたご審議を頂きたいと思われる部分でありまして、それをさらに四角で囲んでおります。四角で囲んでおります項目を別途「主な論点」という3枚紙に一覧に並べてあります。これはそれぞれの論点相互の関係がやはりどうしても問題になりますので、それを一覧的に見やすくするという趣旨でございます。

これからご審議を頂きたいと思いますけれども、できましたら次のような点にもし多少ご留意頂ければありがたいと思います。

まず第1点は、今日からできれば報告書の取りまとめに向けたご議論をお願いしたいと思いますので、取りまとまらないのかもしれませんけれども(笑)、できれば取りまとめを目指したいと思っておりますので、そういう方へ向けたご議論、ご意見をお出し頂けるとありがたく存じます。

それから2点目は、今申し上げた点にも関係しますが、これまでも多くの委員の方々からご指摘ございましたように、それぞれの論点が相互に関連しているというのでしょうか、そういうことがありますので関連しているような問題についてはぜひご意見をあわせて頂ければありがたく存じます。

そうは申しましても、今申し上げた点に限定するという趣旨ではございませんので、どうかご自由にご発言頂ければと思います。

前から順次という方法も考えられるのですけれども、相互にやはり関連いたしますので、全体についてお気づきの点を次々と出して頂くという方がよろしいと思います。どうかどの点でも結構です。いつものようなやり方ですが、どなたからでも結構でございますので、ご意見、ご質問等お出し頂ければありがたく存じます。いかがでしょうか。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

取りまとめの方向にと言われたので若干緊張します。

まず1点だけ、20ページのところですけれども、適合性原則のあり方のところで、前回議論がありましたけれども、投資の目的を考慮要素とすることが適当というふうに私も考えますけれども、「目的」という言葉が適切かどうか、むしろ「投資の意向」という言葉の方が適切ではないかという感じもします。

英語ですとニーズであったりオブジェクティブだったりいろいろするようですけれども、いずれにしても意味がはっきりしていればいいと思いますけれども、検討が必要かと思っています。それが一つと。

それから、むしろ言いたいことは、適合性原則について、エンフォースメント面でいわゆる民事効果を決める、要するに民事損害賠償の根拠になるのだ、さらにどの部分にやるかというのは異論があるかもわかりませんけれども、一定の推定規定を置くということももう一度考える必要があるのではないかと思います。全体にもかかわることですけれども、エンフォースメントについていわゆる行政的な監督検査で実効性を図っていくということが一つの柱ですけれども、もう一つの柱が司法を通じて、あるいは民事損害賠償という形で、むしろ国民が被害を受けたということを訴えて、それで司法の中でコントロールをしていく、あるいは法律を実現していくということがこれからの行政による規制とともに、司法による規制というものがこれからというか、今までもですけれども、車の両輪ですのでぜひ両方に配意した構造に全体がなるべきだと思います。これは全体にかかわることだと思いますので、申し上げました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは木村委員、どうぞ。

○木村委員

全体的には非常にバランスがとれていると思います。ただ、3ページに、これは前々回ぐらいにもちょっと触れましたが、制度共済の話ですけれども、制度共済はもともとリスクの負担のかわりに高いリターンを求めるような商品ではないというはずでありまして、そんな商品であれば監督官庁は許可を出さないということだろうと思います。

したがいまして、もともとそういうサービスや商品が存在し得ない制度共済を、将来そういうものが出てくるかもしれないということで想定というか想像して網をかけていくというのは無駄な話ではないかなと思います。

そんな商品が出てくるようであればこれは制度共済として存在価値はないということで、制度共済そのものを認めなければいいわけであります。現在議論されております投資サービス法の世界にはなじまない感じがありますし、無理があるように思います。

保険に準じるという表現が、もう制度共済はやめて保険になりなさいみたいな感じに聞こえるということでございます。

それから、ずっと飛びまして後ろの方になりますが、42ページの自主規制機関のところでありますけれども、これまでのものとあまり変わっていないということでありまして、基本的にはこういう方向でいいのでしょうけれども、懸念されるのは、最近のマンション騒動のような問題もあるのですけれども、行政の役割と自主規制機関との関係だとか権限がどこにどれだけ持たせるのか、責任はどこが持つのかというところについてもう少しはっきりとした記述があってもいいのかなという感じがします。

2つ目の「・」で表現されているということであると思いますが、若干裁量行政みたいなものをきちんと抑制をするというところが見えた方がいいのではないかということでございます。

それから44ページの民事責任規定のところですけれども、両論あって非常に難しいところがあると思うのですけれども、現場に働く人たちのことを考えると相当な負担も出てくるということでありまして、慎重な検討が必要であろうと思います。

それから3つ目の「・」の金融経済教育でありますけれども、これはもう当然消費者保護の観点も強調して学校教育に特に意を払って頂きたいということでそのような方向になっているわけでございますけれども、小中高の金融教育におきましては、教師が携わるというよりは金融関係者だとかあるいは金融のOBとか、そういう方の活用がそれぞれの地域にも検討されるようになればいいなと考えております。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

今日もペーパーを提出させて頂いておりますけれども、販売・勧誘ルールのところについての意見と、あと若干意見を述べたいと思います。

今日のご説明の資料では、20ページから21ページにかけて適合性の原則とそれから不招請勧誘の禁止規定についてのまとめの方向性というのが出されておりますけれども、今日提出いたしましたペーパーの不招請勧誘の禁止規定のあり方について提出をしております。

実際には、ここにいらっしゃる事業者の方々はこういった不招請勧誘でのトラブルというのは実態的にはそんなに存在はしていなくて、私自身も前々回ですか、提出をいたしました資料をご覧になってもわかるとおり、利殖商法ですとか商品先物ですとか、こういった事業者での不招請勧誘のトラブルが多いということで、実態としてはこちらに出席をしていらっしゃるような方々のところのトラブルということは、私はあまり該当してこないのではないかなという感じがしております。

前回提出された事務局の案を見ますと、何か問題があったときに緊急避難的に発動できるような仕組みをとられておりましたけれども、例えば外国為替証拠金取引の規制をイメージしてその枠組みをつくられたとすると、実はポジとネガというのでしょうか、私はちょっと逆の発想になるのではないかなと思っておりまして、今日提出したペーパーに書きましたように不招請勧誘の禁止規定は一般規定でおいて、そしてリスク・リターンの提示に応じて商品性に着目をして適用除外を設けるという方向性。それから、実際には事業者の方々のお話を聞いていると、店頭にお見えになったときにどう勧誘したらいいのかとか、既存の顧客にどう勧誘したらいいのかというあたりを実際のところは気にしていらっしゃると思っておりまして、そこの部分の手当ての方が実際には大事かなと思っております。そういう意味では、勧誘・受諾・確認というのを当初とるという形の方がいい仕組みになるのではないかと思っております。

それから、不招請勧誘の禁止規定というものが導入をされると、大変懸念をしておりますのが2つありまして、1つは広告と非人的勧誘です。特定の消費者に勧誘の意図をもって向けられた情報提供というものになりますけれども、こういったところの規制が新規に設置され、拡充をされるべきだと思っております。その意味から、そういう方向性が不招請勧誘の禁止ということが明確になってくれば、一方で大変気になってきているのが、最近金融広告のチラシが多くなってきたり、それから電車の中でも車内づりの広告ですとか、こういうものも大変増えてきております。それから、ダイレクトメールも増えてきていると。それから、銀行からダイレクトメールが来て、銀行の店頭に来てくださいというものが増えてきていて、不招請はやめるけれども、積極的に消費者からアクセスをするという形をとろうとしていらっしゃるように見えて、私としては適合性の原則の徹底というのが一層大事と考えております。不招請勧誘の禁止規定については一般規定を設け適用除外という形にし、そして適合性の原則の明確な確立が必要だと思います。

それで20ページの書きぶりなのですけれども、適合性の原則については投資の目的というのは妥当かどうかということで今、上柳委員から「意向」というような言葉も出ましたけれども、ぜひこれは入れて頂いて、それから顧客の理解力という考え方も導入を図って頂きたいと思っております。

そしてさらに、適合性の原則を実効性があるものにするためには、損害賠償請求という民事効を組み合わせるということも大切ではないかと考えておりますので、検討を尽くして頂きたいと思っております。

それからもう1点なのですが、ページにすると42ページから44ページにかけて自主規制機関と民事責任規定、それからエンフォースメントにかかわることなのですが、前回、時間が足りなくてしり切れトンボ的に発言をしてしまいましたけれども、今回の枠組みを見ると何らかの実効性の確保を図ろうということで、そこの規定はこれから条文を考えていく中で考えられると思うのですが、実際に市場で悪質な行為をした者とかというのは市場から去ってくださいという形の実効性の確保でかけられると思うのですが、一方で被害を被った人たちというのが存在をするわけで、その人たちの救済というのをどう考えるのかという観点です。

そこからいいますと自主規制機関のあり方なのですが、自主規制機関の位置づけというのは木村委員もご発言にありましたし、それから前回も翁委員とか複数の委員からご発言がありましたけれども、もう少し明確に自主規制機関は何をするのかという。民間ですけれども、公を担うということになるのだと思うのですが、そういうまず前段の位置づけの議論が文章の中には必要かと思っております。

その上で、被害救済という観点から考えると、ここに苦情とか紛争の解決の仕組みを設けるということはここの中にも書かれておりますけれども、何度も申し上げているとおり、今個別の業界団体の中にある苦情紛争解決の仕組みではどうもうまく解決をしていないということがあります。ですから、その事業の育成を図る業界団体とは別個にこの組織は設けられるべきであって、特に苦情紛争にかかわる部分については横断的、包括的に一つの自主規制機関として立ち上げて苦情紛争解決に当たって頂きたい、そういう仕組みにして頂きたいと思っております。

それから、民事責任規定とエンフォースメントのところにかかわる部分についても、実際に被害が生じてもこれを損害だとしてまた消費者の手元に戻すというところは大変難しいところがありまして、先ほどは適合性の原則に損害賠償責任を求める規定を設けてほしいと言いましたけれども、犯罪の被害者の方々に対してはこの秋の国会ですか、法案が通って被害者にお金を戻すということを優先されるということになりましたけれども、実際に金融トラブルを見ていますと、被害額の算定が大変難しいということ、それから被害額が大きいということ、それから戻ってこない、救済されにくいという特質があるように、ほかの商品群に比べて大変あるように感じておりまして。消費者側のトラブルに遭った方の、被害を被った方に実際に救済に当たられるような仕組みづくりというのをもう一歩踏み込んで考えて頂けないかと思っております。

ちょっと長くなりましたけれども、以上2点です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、水上委員。

○水上委員

まず、1ページ目の、1.「中間整理」の指摘というところで「投資商品の具体的な定義については」というところなのですが、「可能な限り大きな括りで列挙する」ということで、以下具体的な対象範囲ということが盛られていると思うのですが、もう一つの重要なポイントとしては、「金融環境の実情や変化を踏まえて行政の判断できめ細かい適用除外や商品指定ができるようにする」ということがありますので、基本的には大くくりにして列挙型でいって、しかしながら迅速性や柔軟な対応を考えたいということで行政判断がきくようにするという、そういう設計にしようということが中間整理段階でのまとめになっていたと思います。そうだとすると、今のこの取りまとめの中で範囲だけの指定になっていますから、後者の部分、すなわちどのような形で行政判断を行うかというそのルールといいますか、そこのあたりの透明性というものがあった方がよいと思います。これまでの議論の中でもありましたけれども、一体、では我々の商品は適用除外されるのかとか、あるいはどういった形でこの中に入るのかという判断に対して一定の明るさをもたらせるのではないかという気がします。

それから、45ページの金融経済教育について、これは前回出た議論かもしれませんが、欠席していたのでわからない点があるかもしれませんけれども、投資サービス法上、自主規制機関の業務及び金融経済教育に関する協力に関する規定を設けるというご発言があったのかもしれませんが、法律で規定する以上は例えば金融経済教育の中身といったものをどのようなものとして想定しているのかということが大事になるということと、それともう一つは、法律に規定することによって具体的にどのような効果を期待するのかということがある程度明確でないと、金融経済教育の重要性というのはすごくあると思っているのですけれども、それを高めていくというのはどちらかというと運動的な要素があると思いますから、それを具体的に法律の中で求めるということになった場合は、より何か具体的なものとして観念されていないと、とにかくやってくださいという意識にならないかということが懸念されます。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

○翁委員

今のご意見に関連して私も全く同じ感想を持ったのですけれども、規制の対象範囲のところですけれども、今のところでの整理というのはほとんど納得できるものなのですが、どういう考え方でそれを外すのかということについて、ある程度きちんとした説明ができることが望ましいのではないかなと思います。

例えばLLP、これは当然非常に事業性、従事している組合員の投資ですから取り除くべきだという意見に賛同するのですけれども、これはやはり情報の非対称性がある場合については濫用して対象になるという書きぶりをしていますけれども、そこでのキーワードというのは情報の非対称性ということになるのかどうなのか、その整理で例えばシンジケートローンについても、今回これは6ページですか、対象としないと。この整理で構わないと思うのですが、ここで書いてあることはやはり情報の非対称性がそれほどないということとか、能動的に投資家が働きかけることができるということとか、そういったことでそういう考え方になっているのかとか、そういったことがわかりやすい方がいいと思います。

例えばここで、新たな規制が発展の阻害要因になり得る。多分それは懸念としてはわかるし、そういうことになってはいけないと思いますけれども、投資サービス法というのはむしろシンジケートローンの発展を後押しするようなものであるべきでございますから、むしろそういった観点をここに書き出すというよりも、萎縮的にならないような規制を入れるべきでありますので、まさにそういった適用除外とか商品指定のときの大くくりの考え方みたいなことがより浮き出るようなことにしていく方がいいのではないかなということが第一です。

それから、リスク・リターンの意義。投資性ということに関してここで書いてある整理というのは、私も大体こういったことだろうなと思うのですけれども、例えば預金の場合なんかはセーフティネットの範囲内であればその信用リスクというのは全く絶対的なものですけれども、そのセーフティネットの外側の例えば定期預金とかそういった投資性はもちろんありませんけれども、信用リスクの違いというのは極めて相対的なものだと思いますので、規制の線引きがあまり実質的な意味を持ち過ぎるのも問題だなと。やはり貯蓄から投資へという動きを促進するようなことが、手入れをしていることが必要だなと思いました。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

吉野委員、どうぞ。

○吉野(直)委員

少し違った観点なのですが、日本の金融業はこれから海外で活躍していく場合にいろいろな面でやりやすいようにぜひして頂きたいと思うのです。

まず最初は、金融商品に関しましても新しいものが割合出やすくなるように、それでそこでさまざまなR&Dといいますか、金融技術を駆使していろいろな商品が出たときにあまりに時間がかかってなかなか商品化されないとか、あるいは業法が必要だとかそういうことがないように、最低限どういうものを満たしていればいいかという形で、日本の金融業はいろいろな新しいイノベーションができるようにして頂きたいと思います。

それから関連しますと取引所に関してもそうなのですけれども、今ヨーロッパではロンドンとあと欧州大陸の間で2つが大きく争い合っておりまして、欧州大陸の方はいろいろな証券取引所が一緒になってロンドンに対抗しようとしているわけです。そうしますと、アジアの場合も恐らく将来は日本の取引所とシンガポール、香港、こういったところが一緒になりながらやっていくかもしれませんので、そういう意味では株式形態としてもいろいろな国々が持ち合うようなそういう株式形態というのもあるかもしれませんので、取引所に関しましてもやはり少しグローバルな視点から、どういう戦略で日本がアジアの中心になっていくかというようなことも考えながらやって頂ければと思います。

それから細かいところですが、四半期の報告制度とか、いろいろな内容に関する報告というのは必要だと思うのですが、あまりに手間ひまがかかって、そればかりに時間がとられることがないようにある程度フォーマットを決めてこういう形でやれば報告はいいのだという形式をぜひつくって頂ければと思います。

最後は金融教育。皆様ご議論がございますけれども、これは教科書とか文部科学省との関係はあると思いますが、きちんと教科書の中に入れていって、日本人がたくさんの人間がアマでなくプロになれるというところが必要だと思いますので、ぜひ省庁を横断的に越えて金融教育の方はお願いしたいと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)専門委員

私の方から4点ほどコメントさせて頂きたいと思います。

まず、第1点目は、「主な論点」の I の投資サービス法のところで、2番目の○「他の業法等で規制されている金融商品等について、投資サービス法において、どのように取扱うか」、また3番目の「「中間整理」では「金融サービス・市場法」を展望しつつ議論を行うことが必要と指摘されているが、上記論点に関する議論や法の目的も踏まえつつ、投資サービス法の対象範囲についてどう考えるか」と。

まさに投資サービス法そのものの考え方というのはここから出発したのではないのかなと考えているのですが、結果、いろいろ議論を経て、対象範囲が今回提示されたような形になってきているわけなのですが、例えば今回の資料の説明書の7ページ目のところで、商品先物取引及び海外先物契約、これなども本文の真ん中よりも下のところで、「・・・苦情件数も、引き続き高い水準ではあるが、改正前に比べ減少傾向」という指摘がなされていますように、消費者の観点から見てやはりいろいろな問題が起こらないような安全性が高いような、消費者から見ての安全性確保ということを考えた場合、業法を越えても横断的かつ包括的な手当て、基準というものが必要ではないのかなと思います。

先ほど部会長の方から、「取りまとめに入っていますので」ということなので、現状でできる限りのことを行い、なおかつ、この方向に向けてさらに進むべきという姿勢を出すということが必要ではないのかなと思います。これが1点目です。

それから2点目に関しましては、前回、3番目の行為規制の適合性原則のあり方のところで、顧客の理解力を考慮するという議論が出されてはいるのですが、考え方そのものに関しては十分に理解できるのですが、ただ実務上の対応を考えますと、お客様がどこまで理解されているかをチェックするとなると、お客様にテストをして何か合格したか合格しないかというような、そんなことは現実には非常に難しいといいますか、不可能だと思います。そういう面ではちょっと考え方はいいものの、導入に関してはより慎重な議論が必要ではないかなと考えます。これが2点目です。

それから3点目に関しましては、特定投資家、プロとアマの区分に絡んでなのですが、現実にアマからプロに移行するに当たっての手続というものをきちんと規定して、なおそれが簡潔でないと、規定をつくったものの、それが適用されないということがありますので、この辺は明確な基準というのが必要ではないのかなと思います。

また、特定投資家の方に認定された場合、これは適合性原則の適用というのを明確に除外すべきであろうと思います。そうしないと、そもそもプロになった意味というものがありません。それと同時に、プロと認定するためにはその基準というものがある程度高いバーを設ける必要があるのではないかと思います。

それから、最後4点目なのですが、これは開示規制に絡んで、先ほど池田課長の方から、公開買付制度、大量保有報告制度について、ワーキングの方で議論されているという説明がございましたが、また新聞等でもこの内容に関して記事になっておりますが、その中で特例報告制度の見直しというものが出されております。これに関しては慎重に対応すべきではないかなと考えております。

現在、株式市場でほぼ100兆円近い資金が海外の投資家から流入してきておりますが、この特例制度の内容を大幅に縮小してしまいますと、機関投資家の投資内容、ポートフォリオというものが逐次開示されるような状況になるかと思います。運用会社、機関投資家の方から見ますと、ポートフォリオが逐次開示されるというのは非常に困った状況で、投機筋などに運用そのものが邪魔される結果になる。こうなりますと、日本の証券市場のクオリティーというのが大幅に下がり、資金が流出してしまうリスクがある。こういう観点から、この問題に関しては非常に慎重に対応すべきではないかなと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

根本委員、どうぞ。

○根本委員

開示規制に関して1点申し上げたいのですが、適格機関投資家の範囲を拡大されて、事業会社等についても一定の基準を満たす者は届出によって適格機関投資家とするというのは賛成でございまして、一つには昨今の証券仲介業の伸びとかを見ていますと、銀行さんが顧客に投資商品などを販売しているというそういう事例がかなり増えていると思うのですが、事業会社の中にも相当に余剰の資金などをいろいろな多様な形で運用されたいというニーズがあるのかと思いまして、機関投資家としてかなりそういった層が育っているというか、そういう実情があるかと思います。

ただ、拡大をした場合、田中委員がおっしゃったようにそれも比較的簡易に明確な形でできるということが望ましいと思うのですが、ただ機関投資家、特定投資家が層が非常に多様化してリスク吸収力の点から見ると非常に吸収力があり、理解力がある層からそうでない層というところが相当な範囲を含むのではないかと。例えば、中小金融機関さんの中でも今までいろいろな投資商品で失敗された例もあると思うのですね。そうなりますと、行為規制のところに関しては、原則として適合性の原則というのを考慮してもいいのではないかと。もちろんそれに対して慎重な投資行為を阻害しないような形であることは望ましいと思うのですけれども、一般原則としてやはり顧客のリスク、理解力とか吸収力をある程度、プロ向けであっても考慮するということも必要ではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

先ほど水上委員と、それから翁委員から出ていた適用除外についての裁量性をできるだけ狭くするという話ですけれども、この点は私自身も前々回ぐらいのときに適用除外ルール化ということの必要性を申し上げたと思うのですけれども、そこはやはり大事な論点だと思いまして。

だから、逆に規制を適用しなければいけないのはどういうときかと考えますと、言いかえると、買い手注意せよという本来の近代市民法の原則を修正しなければいけないのはどういうときかということになると、何らかの交渉上の非対称性とか、情報上の非対称性があるということですよね。そういうときには修正をしなければいけないから何らかの規制をかける必要があると。でも、著しい情報上の非対称性とか交渉力の差とかそういうものが見られないのであれば原則に従うべきであって、規制の適用から外すべきだというのがまず考え方になると思うのです。

そういうところからすると、投資商品の場合には投資家が資金運用者に対して効果的なガバナンスを及ぼし得ているような状況のもとでは規制の対象にする必要はないはずなので、ポイントとして3つぐらいのことである程度考え方が整理できるのではないかと私個人は思っています。

一つは、投資家がプロの場合は基本的に適用除外の対象として考えるということだと思うのです。それから、最終的に集められた資金が運用される先が、最終的には投資対象になっているものが客観的にわかりやすいものか非常に不透明なものかみたいな投資対象に関する情報上の問題がどの程度深刻かどうかということだと思うのです。

それからもう一つは、実際に資金を運用する人、資金運用業者の裁量性の幅のようなものが広いような商品と、それが狭いような商品であれば、狭いような商品の場合は問題は少ないという形になりますので、最終的に集められた資金が運用される対象に関する認識の困難性の程度がどの程度か、それから資金運用者の裁量の幅がどの程度か、それから最終的投資を行う人間の能力がどの程度かという点、その3点について判断した上で、3点について見た上で適用除外にするかしないかを決めると、今言ったことがすべていいかどうかは別にして、その程度ぐらいのやはり限定が行政の判断によっててこ入れが必要ではないかと私も思いますので、ちょっと蛇足だったかもしれませんが、意見として述べておきます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

吉野委員、どうぞ。

○吉野(貞)専門委員

論点7の自主規制機関としての取引所のあり方に関連して、何点か意見を申し上げたいと思います。説明資料では39ページ以降の部分でございます。

先ほど吉野委員からも意見が出ていましたけれども、証券市場は、にヨーロッパを中心に、非常に市場間競争が激化をしております。東証もそのような国際的な市場間競争というものにさらされており、それはますます激化をするだろうという認識でおるわけでございまして、ここに論点整理の観点が書かれてございますが、市場の開設者が自らの市場をどうデザインしていくかという方針は各取引所によって異なるものになるのは当然でありまして、こういう前提での論点整理の観点はまさに結構な整理をして頂いたなと思っております。

したがいまして、先般私どもの特別委員会の報告書を踏まえた対応についてご説明をさせて頂きましたけれども、取引所の組織体については各取引所が業務の内容などに応じて、複数の選択肢から最適な体制をとることがきるような制度的な担保をして頂くという必要があると考えているところでございます。

次に、各論でございますけれども、まず自主規制業務の管理・監督を行う機関。例えば株式会社である取引所の自主規制委員会の構成などにつきましては、株式会社である以上、与えられた権能の範囲内で株主に対して責任を負える方で構成する必要があると考えているところであります。

また、自主規制委員会の権限の範囲についてでございますけれども、自主規制委員会は自主規制業務を監督するための機関として位置づける必要があると考えているところでございまして、東証の自主規制業務のあり方に関する特別委員会における議論は、現行法を念頭に置きながらどう独立性を保つかと、こういうことを議論してまいりました。自主規制業務の監督を行う自主規制委員会については、法制度においてその位置づけを明確にするということにして頂ければその独立性の観点などからもより望ましいことではないかと思っております。

それから次に、証券取引所に関する主要株主規制についてでございますが、証券取引所に対する主要株主規制につきましては先日事務局の方からご説明もございました。諸外国ではむしろ強化をする方向にあると理解をいたしております。先般の当部会におきましても同様のご意見があったかと記憶をいたしておりますけれども、このような状況の中で今の証取法におきます20%以上、50%以下の議決権保有には行政当局の事前認可が必要という規制は十分かといえば、必ずしも十分ではないのではないかと考えておりまして、取引所の定款などにおいて規定をするということではなく、法律においてその強化を図る必要があるのではないかと思っております。

7番目の自主規制に関することの意見は以上でございますが、次に開示の問題でございますが、ここに四半期開示のことが掲げてございます。我々、実務界でこの定着に向けて大変努力をしてまいりまして、法制度に向かって動き出しているということは大変ありがたいことでございます。実務の詰めを進めていくことでどうかという論点の整理もございますが、ぜひ迅速な形でお願いをできればと思っております。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、今松委員。

○今松委員

二、三点少しコメントをしたいと思います。

1点目としては、最初の論点のところでの中間整理での金融サービス・市場法を展望した議論ですね。そういう視点からの議論が進んできたと思うわけですが、ただあくまでそこは展望ということですので、どこまでそれを達成する、あるいはそこまでいくか、それは中間段階だということは理解しているわけですが、この視点から言えばやはり最初の商品等々の対象商品、それに2つ目の論点等との業規制、このところでは基本的に包括的な形での、これは規制というよりか対象とすると考えた方がいいと思います。つまり、実態として規制がどう働くのかどうなのかというのは先ほど池尾委員がおっしゃられたように、その時々の当然プロ、アマのところもそうですし、実態として預金商品そのものがどこまで規制かというのは当然外れるものは大方だということになるわけでありまして、ただ法律そのものの基本的枠組みとしてはそこをきちんと据えておくべきだと思います。

それと、より新しい商品等々について行政の場に入れやすい、あるいはそういう事態についての外す等々のそういうきちんとした可能性というか、こういう柔軟性、ここが確保される形であればここは包括的な形でやることの方がより法律そのものの当初の趣旨からして適合していると思います。

それと2つ目として、取引所のところで今吉野さんがおっしゃったところで、実際に自主規制機関として今の一体の場合というのはどこまでそれが本当に機能するのか十分にそこのところがファイアウォール、いろいろな形でできるのか、やはりどうしてもそこのところについての疑義というのは残ってしまうのではないかと思います。特に、株式会社になった場合において、ではそれが抱き込んだ形について、ここについて十分納得が得られるのかどうなのか、これについては特に投資サービス法が実効性のあるものになる場合について、ややここについてはまだ疑問があるのではないかと思います。

それと、金融経済教育については十分にやっていく必要があるし、学校教育等々の場でのものが必要なわけですけれども、法律で例えば自主規制機関に協力等々というか、それにというのは明記した場合、どこまでそれが実効性のあるものになるのかというのは前のときにも議論がありましたけれども、やはりここはそういう書くことは悪いことではないですけれども、それによってどこまで達成できるのかということ、これはむしろやはり文部科学省等等の学校教育の場での一定の明確な位置づけをこの法律とは別になると思いますけれども、そういうことが必要になるのではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、檀野委員。

○檀野専門委員

私の方からは、資料 II の業規制のところについて、投資サービス業の対象範囲、その中での資産運用業というところについて少し意見をお話しさせて頂きます。

ページで言えば10ページでございますけれども、(3)の資産運用のところ、この記載を拝見いたしますと、集団投資スキーム、いわゆるファンドの運用についても投資サービス法上の資産運用業に該当するという方向性が記されております。

前々回もお話をさせて頂きましたけれども、不動産を対象とするプロ私募のファンド、これは現在、不動産投資市場の健全な育成・発展に寄与するような形で拡大しているわけでございますけれども、このプロ私募ファンドのアセットマネジメント業務を不動産会社が担っておりまして、この業務も資産運用業に該当するという形になってこようかと思います。

このアセットマネジメント業務が資産運用業ということで定義されてしまいますと、投資一任業務と同じような規制がかかってくるということで、例えば15ページにございます業務範囲の他業制限、がかかってこようかということでございます。この点、他業制限の最後のパラグラフに「不動産会社は現状、アセットビジネスとして資産運用・助言を行っており、資産運用についても他業の制限を緩和すべきという意見があるがどうか」との記載がございます。これについて賛成であり、補足して意見を述べさせて頂きたいと思います。本来、不動産会社は宅地建物取引業を初めとしてさまざまな業務を行っておりますけれども、不動産のプロとして不動産投資ファンドのアセットマネジメント業務もやっております。市場の大きな担い手として不動産投資市場の健全な育成発展に寄与しておりますが、ここで他業の制限がかかってまいりますと、不動産会社から見れば本業である宅建業が他業として規制されることとなり、実務上も非常に困ったことになる。これは不動産投資市場に参加する投資家の望むところではないと考えております。

したがいまして、制度設計の際には、不動産を対象とするプロ私募ファンドについて、参加する投資家の属性や、投資家との間でオーダーメイドにより製販一体で組成され利益相反が実際には生じていないことに鑑みて、10ページの最後のところで述べられていますように「プロ向け、または投資家が一定程度以下のファンドの資産運用についてはより簡易な規制を設ける」といった手当をすることが必要であると思います。そうでなければ、現在こういったファンドを担っているいろいろなプレーヤーが投資サービス業に容易に参入できないといった事態にもなりかねないので、制度設計に当たっては現状の市場を見てケアするべきだと考えております。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

黒沼委員。

○黒沼委員

や細かいところですけれども、2点ほどコメントしたいと思います。

第1は、16ページの外務員登録制度の対象範囲の拡大のことですが、現在の証券業の外務員制度には、代理権の擬制規定が置かれていまして、これは証券業の性質から当然導かれるというよりも、むしろ歴史的な経緯から入ったものではないかと私の方では理解しているのですが、外務員制度を拡大していくと、これもあわせて拡大していくことになるのか、その点を慎重に検討する必要があるのではないかと思います。

もう一つは自主規制機関に関するものでして、42ページなのですが、自主規制機関への加入の義務づけをせずに自主規制機関に加入していない者については、現行の証取法にあるような直接的な監督規定を設けるということであります。加入を義務づけないということは別に構わないと思うのですけれども、そのような加入していない者に対する監督が本当にきちんとできるのか。その点について、法律上は規則の作成義務を負わせたり、行政に直接的な監督権限を与えることができるとは思いますけれども、行政の方でそれを実効的にすることができるのかについて慎重な検討が必要だと思います。

もしこれができるのであれば、逆に言うと自主規制というのは要らないわけで、自主規制と同レベルの高い規則があると想定して、それについて行政が直接監督すれば済んでしまう話ですので、この点についても実効性をきちんと確保できるようにすべきではないかと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

野村委員、どうぞ。

○野村委員

私の方から、開示規制のうち内部統制の部分について1点コメントさせて頂きたいと思います。

私はなかなか講義等の関係で出席もできる回数が少なかったので議論があったのかもしれませんが、そうであればお許し頂ければと思いますが、内部統制の有効性に係る経営者宣誓制度に関しましては、33ページ等のくだりを見ましても非常に慎重に書かれておられまして、「内部統制」の前に「財務報告に係る」という概念定義がなされているわけであります。

これは言うまでもないことでありますが、もともと会計士監査等におけるサンプリング調査の信ぴょう性を確保するために内部統制監査というものが導入され、さらに財務諸表の信ぴょう性を確保するためにその制度の宣誓制度というのが導入されてきたという経緯があるわけですが、他方におきまして我が国においての内部統制の概念はやや拡張されている傾向があるわけでありまして、これはもう言うまでもありませんけれども、例えば最近の制定されました会社法におきましては、委員会設置会社だけではなく、監査役設置会社においてもリスク管理体制を含む意味での内部統制という言葉が使われ始めているということになるわけであります。そうなった場合に、例えば財務諸表に経営者によって内部統制に関する信ぴょう性の宣誓というのが付されるということに対する理解というものが二分してくる可能性があるかと思うのですが、一方におきまして財務諸表に載っている情報の信ぴょう性を宣誓しているという側面と、例えば株式会社でありますと我が社は内部統制の未整備、あるいはリスク管理体制の未整備等によるダウンサイドリスクの生じない会社であるということを、それ自体を情報として提示するという、そういうものだと誤解される可能性というものも存在するのではないかなと思うわけです。

そういう点では、ここでやろうとしていることが一体何なのかということを報告書の中できちっと明示して頂いて、恐らくここに書かれているのは前者のものであるということであるということは理解できているわけでありますが、そのあたりのところを慎重にお書き頂いた上でこの制度の導入というのが行われることが必要なのではないか。

あるいは、もしかすると後者のようなものが制度的に必要だという議論があるのかもしれませんが、そのあたりのところの書きぶりをぜひ明確にして頂ければと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

対象範囲のところの議論にちょっと戻ってしまいますけれども、先ほど池尾委員から適用除外に関する判断基準のようなものをお示し頂きまして大変参考になったのですが、法の適用対象にして、その上で適用を除外するというものと、最初から法の対象にもしないでほしいという意見も出されているものと、2種類がありまして、後者の方についてこの論点整理ですと、ポイントは1ページのリスク・リターンというところになるかと思います。

このリスク・リターンで判断するという考え方に沿って、まず法の対象にするかどうかが議論されている形態になっていますが、まず2ページの上のリターンについて、経済的効用の向上ではなくて、金銭的収益への期待を中心に整理しようということなのですが、これはNPOバンクを対象とするかしないかということにかかわってこう言いかえるという考え方なのかもしれません。ただ私の理解では経済的効用という言い方をわざわざしたのは、例えばヘッジ目的で取引するようなケースがありまして、それ自体は利益を生むものではないですが、経済的効用の向上を目指しているわけです。あるいは場合によっては節税目的で金融商品を取引したりそういう販売をするようなケースもありますので、杓子定規にこの金銭的収益への期待というところをとらえて、今申したようなケースが漏れてくるようなことがないようにと思います。

経済的効用の向上という言い方で、例えばNPOバンクへの出資等は、これは経済的効用を期待するというか、社会貢献の観点でおやりになっているのではないかと思いますので、別に経済的効用の向上という言い方をしてもNPOバンクまで自動的に入ってしまうことにはならないような気もいたします。

それから、リスク・リターンという観点で普通の預金とか普通の保険を排除といいますか対象にしないというのは一応論理的には筋は通っていると思います。ただ、もちろん先ほどご意見がありましたように銀行だって信用リスクがあるではないかといった点はコントロバーシャルではありますけれども、一応、他の商品とはリスクのレベルが違うといったことで、ロジカルには筋は通っている書き方になっていると思います。ただ、そのリスク・リターンでいいますと、6ページのシンジケートローン・ABLですが、これはどう考えてもリスク・リターンの観点でいうと1ページの投資商品に入らざるを得ないといいますか、最初から対象にしないというのは論理的には出てこないように思うのです。

ここで書かれている理由がありますが、条件、開示内容で個々に交渉を行う余地があるというところとか、あるいは参加者の大宗が金融機関であるということでございます。そうでないケースがあるわけです。特に非常にイノベーションが早くて流動性が極めて高いようなシンジケートローンも組成されておりますし、そういうのを見ていますと、とにかくできる限り社債の利便性に近づけようという発想でつくられているわけです。しかし、社債のような開示は受けたくないのでローンという形態を残しているというところまでもう既に日本は来ておりますので、そこはちょっと最初から対象にしないという考え方でいくのはどうかなと思いますし、これは先ほど意見が出ましたように、その次の新たな規制は発展の阻害要因というようなロジックは、これはもうこの審議会で何度も出されましたように投資サービス法イコール規制強化という発想にとらわれた理屈づけだと思います。ここだけこういう意見があるのは、非常に落ちつきが悪いような気がいたします。

それからリスク・リターンでいいますと、商品先物取引か商品ファンド、これが最初から対象にならないというのは全くあり得ないことだと思います。この7ページの商品先物取引につきまして、「重要な産業インフラである商品市場に関するものであり」云々という点、これもそもそも投資サービス法で公正な市場とか投資家保護を目指すことが産業インフラの発展にマイナスなのかどうか、そうした発想があるとすれば、これは全く理解できないわけです。アメリカにおいて金融先物と商品先物が一体で規制されておりますけれども、それでアメリカの産業インフラというものが何か問題があるような状態になっているかというと、そうではないと思います。

それから、改正商品取引所法ができたばかりというのは、はっきりいいまして行政側、あるいは業者側の事情でありまして、投資家、消費者の立場に立った理由ではないと思いますので、1ページでリスク・リターンという観点でまず対象範囲についての考え方を掲げた以上、基本的にそれに沿って対象を考えていくべきであり、そしてその上で各種の支障があるような場合、あるいはそぐわないところは先ほどの適用除外の判断をかけていくということではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

上柳委員。

○上柳委員

済みません2点あって、1つは今のご発言にもありました1ページの適用除外の考え方のところです。

私の理解では、広く包括的に全体を本当は対象にすべきところだけれども、一部分が逃れる。その考え方というのは幾つか要素があるかもわかりませんけれども、一つはリスクに着目する、それからもう一つは他人への任せ方、これは裁量性という言葉なのか、あるいは依存性というのか知りませんけれども、それが高いか低いか。

それからもう一つは、これはなかなか認めたくはないのですけれども、ほかの手段である程度の投資の目的に対してのルールがある、あるいは体制があるということですぐに全部ひっかけるわけにもいかないので、暫定的に、あるいは経過的にこれから見直しも含めて適用除外があると考えるところです。

本当に私の主義とは反するのですけれども、仮に今回投資サービス法をきっちりつくることが目的で、ある意味では一部分調整が不可能で適用除外にせざるを得ないところがあるとすれば、むしろそれをはっきり言った方がいい。何かそれを原則にするとかということだと、大きな原則はもちろん必要ですし、とんでもないものを外してはいけないのですけれども、そういうことを考えた上でいろいろ疑問もあるので今回に限り除外をすると、むしろ正面からいって今後の市場なりあるいは今後の世論の議論に任せるとした方がいいのではないかと思います。それでもなおかつ今の淵田委員のお話もありましたし、それから商品先物とか、あるいは私LLPについてもほとんど納得できていないのですけれども、論理としてはむしろ正面からやった方がいいと思います。

それからもう一つもやはり適用除外的な話なのですが、26ページのいわゆるアマからプロへの移行の問題です。

これも私は原理的にはこういうカテゴリーを決めなくてもいい、本当に富裕な方であればある意味では適合性原則はあまり働かないでしょうし、それから説明も何度も受けているから必要ない、あるいはほかの業者から受けているからいいということで、何かアマの方に販売をする、あるいは新規商品を販売するときにそれほど必要がないのではないかと私は疑っているのですけれども、仮に認めるとしてもその範囲は狭めるべきであるということと、それから手続については先ほどどなたかご意見ありましたけれども、それに反対して厳格であるべきだと思います。これ原理的にはいわゆる説明義務を全く受けなくていい、そういう保護を受けなくていいということですから、よくわかっているか、あるいはほかの助言サービスを受けるから構わないということですし、そういう意味では説明義務が免除されることをよくわかった上でプロに移行したということが後から検証可能なような、そういう手続というのは本当に難しいのではないかと思いますし、やめた方がいいと思うのですけれども、申し述べさせて頂きます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今の上柳委員のご意見のところとも少し重なるのですけれども、私が申し上げたいのは26ページ、プロとアマの区分のところでございますけれども、ここの段階で選択により一般投資家に移行可能な特定投資家というのが掲げられているのですが、その中に地方公共団体や政府関係機関等を入れられる、つまり彼らはプロからアマに下がってこられということが書いてあるのですが、果たしてそれでいいのか。彼らは、いざとなればプロを雇ってくるだけの能力がある方々ですので、果たしてここでこう緩めてしまうのはどうなのかな。要するに、商品を販売・勧誘する場合に、相手方が一体どのカテゴリーにいる人間かということが非常にわかりづらくなってしまうということがあります。

同じことが開示規制の35ページのところの適格機関投資家の範囲の拡大で現行維持ということを書いていらっしゃいますけれども、多分考えておられるのは、ここで開示規制の適用除外にするのは多分、26ページの表でいくと、2も少し入りますけれども、1と3の人たちを頭に置いていらっしゃるのかなとも思うのですけれども、やはりここのところはできる限り整合性をとって頂いた方が開示規制上適切ではないかと思いますので、そこから考えますとやはり35ページのところの現状維持というのはもう少し何とか概念を一致させるという方向でやって頂けないだろうかなと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

鮎瀬さん。

○鮎瀬幹事

1点は質問でございまして、1点はコメントということで申し上げます。

まず質問の方でございますが、資料の9ページで、業規制の対象範囲が掲げられてございます。これは前回の資料と同じものが掲げられていますが、デリバティブ取引につきまして、投資商品の定義には入れずに、取引自体を投資サービス業の対象範囲に含めるという扱いにするということになりますと、これに関連して「業としてこれを行う」とか「これを行う営業」という場合の「業」とか「営業」の定義というものが規制の対象範囲を決めるに当たって重要になるということではないかと思います。

それで質問というのは、業ですとか営業の解釈というのはここでは従来の証券取引法等と変わらないような理解が前提とされているのかどうかということでございます。すなわち、反復継続性とか、営利が目的とか、そういったものについてこれまでと同じ前提がとられているのかどうかということでございます。

これは中間整理の中で業としての規制の対象につきまして、営利性などを要件としない、より広い範囲でとらえるといったようなアイデアが書かれてあったかと思いますので、それとの関連で質問をさせて頂きます。

それからもう1点はコメントでございますが、資料の29ページ目の集団投資スキームに関する届出と登録の関係でございますけれども、ここでファンドの届出事項につきまして、公衆縦覧をするというアイデアが書かれておりますけれども、公衆縦覧をさせるということになりますと、ここでの届出と、それから開示規制のあり方、これとの関係がやや不明確になるのかなと思います。「むしろファンドの開示規制はどうあるべきか」という中でこのあたりは整理をしていった方がいいのかなという感じも受けます。

ただ、いずれにしましても少なくともプロ向けのファンド及び私募ファンドにつきましては、やはり届出事項を公衆縦覧するということになりますと健全な取引まで阻害をしてしまうおそれが大きいように思っております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

○三井市場課長

デリバティブのところは今の証券取引法でも有価証券に入れずに、行為で定義している部分があります。特に、見えるものでないものを取引にしているという指数先物がそうです。したがいまして、ここのところは法制的な整理との関係で、とりあえずこのように整理させて頂いています。いずれにしろ包括的にデリバティブも、それから一般投資商品、金融商品も適用対象にするための実効技術ということでありまして、商品に入れないこと自体に何か作為があるとかいうことではございません。

それから営業と事業でございますが、これは中間整理でも少し議論されておりまして、営業という解釈も必ずしも一つの営利性などに限定しないで、事業という形に広くとらえてはどうかというご指摘を頂いています。これも具体的に業というものをどのように定義してとらえていくかということと、それから先般の商法改正や金融関係の行政のやや法制的な整理ということが必要になることでございます。ここら辺については事務的にも鋭意検討させて頂きまして、どこかの段階で報告するということになるだろうと思います。

○神田部会長

堀内委員、どうぞ。

○堀内委員

私はこの第一部会の方にはあまり、授業の関係があって出られませんで申しわけなかったのですが、ということで細かな議論については完全にはフォローできていないということを申しわけなく思っていますけれども。

ただ、全体としてこの資料など拝見しまして、私たちがかなりいろいろな形で前から望んでいたような包括的な投資家保護と投資家の責任についての明文化といいますか、そういう方向に進んでいるということについては評価していきたいと考えています。

それで、基本的に投資家の保護を明確にしていくということについて、皆さんどなたもあまり反対はしないわけですが、ただ先ほどからいろいろご意見が出ていますように一部、業を進めていく上で過度な保護規定が業の新たな展開を妨げるのではないか、そういう懸念を示されている方もいらっしゃったわけです。ただ、私はもちろんそういう面がないわけではないのです。非常に注意すべきだと思いますけれども、最近の学者の研究など、特に国際比較、そういうのを読みますと国によっていろいろ投資家保護の規定、それからそれを明示的にしてあるかどうか、それからさらにはそのエンフォースメントがきちんとできているかどうかということについて国によって大分違うのですが、イン・ザ・ロングラン、長期的に見ますとやはり投資家をきちんと保護し、それが明文化されているということが、しかも実効性を高めているということが実は金融資本市場の発展を支えているということがかなりはっきりした統計的結果として出ているという報告があります。

ですからそういう点でいいますと、これまでのご議論の中でも若干指摘されていると思いますけれども、実はある程度の例外規定とか、あるいは他の業法との兼ね合いについて調整は残しているということではありますけれども、できるだけそれを統合していくと、そして例外規定をできるだけ少なくしていくという方向にぜひさらに進めて頂きたいとご努力頂きたいと思います。感想でございますけれども。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

行為規制と自主規制機関と金融経済教育、この3点について意見を申し上げます。

まず、行為規制なのですけれども、説明資料の20から22ページのところです。適合性の原則に関して、投資の目的を考慮要素とすべきと前回申し上げましたが、先ほど上柳委員の方から投資の意向というご提案がありまして、その表現に賛成でございます。

なぜかというと、投資の目的というと、たとえば高いリターンを得たいと思っている場合ですが、そもそも元本割れが嫌な方がそういう要望を持ってしまうというケースが結構高齢者などでは見受けられます。それで外貨建てのものを勧められたりと、変額保険系のものを勧められたりしておりますので、投資の意向というところでそもそも元本保証が必要である、元本割れは嫌だというような意向を述べて頂く。、そこのところが非常に重要なように思われます。

それから、不招請勧誘の禁止についてです。この説明資料の書きぶりにある「現行の金融先物とFXに限定することとしてはどうか」という点なのですけれども、それには反対でございまして、その次のポツにありますように「適合性の原則と異なり規範として明確という利点があることから適用対象を幅広くとる」と、こちらの方に賛成でございます。

それから、次のページの手数料開示です。手数料に関しては前回意見を申し上げましたけれども、「販売手数料の水準は投資判断に際しての重要な指標である」としていただきました。まさにそのとおりでございまして、23ページの方で書いてある否定的な意見「誠実公正義務の問題としてとらえるべきである」は考え方としてはそうだと思うのですが、実効性が確保できませんので、やはり手数料開示は必要です。

追加ですけれども、手数料が開示されているものもさまざまあるのですけれども、表示が不統一で一般の方が理解不可能なものというのも結構ございますので、「表示の標準化とあわせ」というような形をとって頂きたいと思っております。

物すごく単純なことでいいますと、投資信託の信託報酬というのは一般の方々は自分が受け取れるものと思っている。そういう方が非常に多いということが、最近取材をしてわかりましたので、用語に関しても投資家にとってわかりやすくすることが大変必要と思っております。

それから、42ページの自主規制機関のところなのですけれども、報告書には書かれると期待したいところなのですが、4番目に「投資商品に関する苦情解決・あっせん業務の業態横断的な取組み」とタイトルはなっているのですけれども、中身の方は横断的なことが何も書かれていないので、やや心配になりました。議論のとおり苦情紛争に関して、証券業界のあっせん制度のように法的根拠を持たせるのと、その次の段階として紛争処理に関しては統一的な横断化した仕組みを考える。これがありませんとまさに業の谷間に落ちてしまった商品に関してはトラブルが山のように出てしまうことも考えられますので、ここのところをお願いしたいと思います。

それから次のページの金融経済教育のところです。これも前回、協力に関する規定を設ける、義務づけるということには反対だと申し上げたのですが、そもそもどこに協力するのかということが書かれていないことに気がつきました。上の方にも書かれております大臣の私的懇談会であります金融経済教育懇談会では連携、ネットワークという考え方でやっているわけなので、突然にちょっと協力という言葉が出たことにはかなりの違和感があるということでございます。

「金融経済教育の担い手として自主規制機関が適当ではないのではないか」という意見があったと書いてあるのですが、もしこれが私の意見をこのようにまとめられたとしたら誤解でございます。自主規制機関を初めとして民間の事業者団体も含め。各期間が創意工夫をもって取り組むべきであって、担い手として不適当ということは申し上げたつもりはございませんので、つけ加えさせて頂きます。

それから申し上げて書かれていないのが金融庁の役割についてだと思うのですけれども、イギリスではFSAが金融経済教育なり消費者保護なりに役割を果たすということになっているわけで、我が国の場合もそういうことが期待されているのではないかと思います。金融経済教育懇談会でもその辺はかなり議論されたことでございますので、金融庁が自らやるということではなくて、体制整備を図っていくことの重要性を書いていくべきです。それにより、一般の方々にとって金融経済に関する学習の支援体制ができてくる期待が広がり前に進めると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

最後もう1点だけつけ加えさせて頂きたいのは、対象範囲のところです。先ほど制度共済については反対論が出ましたけれども、制度共済も保険と同様に手当することが必要だと思っております。幾ら大規模でありましても保険業法の適用外でありまして、保険業法よりも相当見劣りする規制が少なくない状況です。今後多種多様な商品が出てくることも想定されますので、あえて外すということの必要性はないと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ちょっと名札を立てて頂いた順番と違うかもしれませんけれども、近い方からオブザーバーの方3人に順番にお願いできませんでしょうか。篠原さん、田辺さん、そして市川さんの順でお願いします。

○篠原厚労省地域福祉課長

それでは、説明文書の中に生活協同組合を指すと思われる記載がありまして、ちょっとその部分について考え方を申し上げたいと思います。

説明資料の13ページですけれども、(5)に制度共済の関係がございます。制度共済の関係は先ほど木村委員からもお話がありまして、規制対象の部分と合わせて読めば、この部分は制度共済が仮に変額商品なり外貨建て商品を扱うとした場合のことと理解いたしますけれども、そのような前提でございましても、2段ありますけれども、前段はこのとおりかと思いますが、後段の部分につきまして、これはそれぞれの制度共済の根拠法において、販売・勧誘の規制が置かれているか否か、あるいはその検討が行われているか否かという暫定的な状態をもって投資サービス業の範囲を定めるに際しての何らかの基準にしようという趣旨のものであるとすれば、やはり投資サービス業の範囲を定めるに当たりましては、投資商品の提供主体の特質というものをまず考えて頂いて、その対象が定められるべきではないかと。

また、生活協同組合の共済事業につきましても、組合員勧誘については一定のルールが設けられているところでございまして、生協が実施する共済事業もこの前段の部分にありますとおり営利目的でなく、事業を通じて組合員の生活を守ることを目的として営まれているという点では、農協の共済等と変わりがないわけでございますので、農協共済とそれから生協が実施する共済事業について異なる扱いをすることは適当ではないのではないかと考えております。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

それではお隣の田辺さん、どうぞ。

○田辺農水省商品取引監督官

商品先物取引に関しまして、若干コメントさせて頂きたいと思います。

商品先物取引につきましては、商品取引所法に基づいて投資家保護等に取り組んでいるというところでございます。私どもといたしましても、当然投資家の立場に立って市場の信頼性の向上を高めていくということが産業インフラとしての機能の発揮のためにも不可欠だということで考えておりますし、そういった方向で努力をしているというところはご理解を頂きたいということであります。

商品先物取引、商品取引所法に関しましては、現物の売買取引ということもありますので、例えば農林水産省の所管物資ですと穀物等の売買ということになりますので、市場管理等のルールにつきましても随分固有のものもございますし、あるいは今、米の先物取引についてかなり論議がされておりますけれども、物品の生産流通にかかわる政策との調整といったことも必要だという実態にあるということでございます。

それで先ほど淵田委員の方から、今改正商品取引所法の施行について、それによって努力しているということは行政なり業界の都合ではないかとのご指摘もございましたけれども、改正商品取引所法につきましてはかなり抜本的な制度改正をしておりまして、これは業者のルールに関して勧誘規制等を強化したということもございますけれども、それ以外にも清算機関の制度ですとかあるいは証拠金の保全の仕組みとか、あるいはセーフティネットであります委託者保護基金ですとか、相当抜本的な見直しを行ったと。そういう中で、短期間でルールを変えることが適当なのかどうなのかということは、ご議論頂く上で十分考慮する必要があるのではないかと考えております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは市川さん、どうぞ。

○市川経産省産業資金課長

今までオブザーバーとして何度も発言させて頂いておりますし、それから今日は論点整理に対する意見というペーパーも出させて頂いておりますので、ごく簡単に3点ほど申し上げさせて頂きます。

1つはプロ向けのファンドに対する規制についてでございますが、この審議会の議論におきましてもプロの規制緩和という意見が大勢と理解をさせて頂いているところですけれども、例えばベンチャーファンドですとか、そういうプライベートエクイティファンドにつきまして、いわゆるLPSという投資事業有限責任組合、その形式でいろいろ行われていることが多いわけですが、この場合にはそれなりにいろいろな義務づけもされておりまして、こういう組合形態のファンドについて一律に規制強化を行う必要性は乏しいのではないかというようなこと、あるいはそもそもプロに対する規制緩和を進めるべきであるということが第1点でございます。

それから第2点はファンドの業規制の観点ですが、ファンドに関する一般的な規制ということは新規事業者の参入を妨げないようにすべきではないかという指摘も多く頂いているところでございまして、具体的には自己募集についての業登録でございますとか、あるいは資産運用に係る業規制、こういうことを中心とするのではなくて、開示規制ですとか行為規制による対応、こういったことを中心にすべきではないかというのが第2点でございます。

それから3点目は若干違った観点ですが、信託受益権、それから信託業についてでございますが、必ずしもこの場の議論ではないのかもしれませんけれども、現在信託法、あるいは信託業法の改正のあり方が議論されていると聞いておりまして、ここで非常に新しい信託の活用の可能性、ビジネスの世界で非常に有効なものが出てくる予定と聞いております。信託につきましてはその用途によって規制の要否とか投資性の有無、あるいはその程度、そういったことはさまざまと聞いておりますので、一律の規制にはなじまないのではないか、要は詳細な検討が必要ではないかということでございます。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは今尾委員、原委員、東委員の順番でお願いします。

今尾委員、どうぞ。

○今尾専門委員

高橋委員から言われたことに関してです。日本共済協会の一員としての立場ではなく、農協共済としての立場から、ちょっと述べさせてもらいます。

10月以降の第2回目でも言ったかと思いますが、商品の内容に応じて、それが制度共済であろうが保険であろうが括りますよ、という切り口は確かにあると思います。今日提案の整理でも、3ページで商品については、保険に準じた整理でどうかとある一方で、13ページで業規制については、むしろそれぞれの協同組織の事業特性を踏まえた規制が既にあるという整理で、微妙にニュアンスが違っている。

木村委員みたいにスパッと言えないのですけれども、農業者の場合、法人化してきたり、新規参入もありますので、投資性の高い商品は将来絶対やりません、とは私ども農協共済については、なかなか言いにくいなと思っております。

しかし、そうなったときに、商品内容で区分けする切り口とは別に、厚労省の方がおっしゃられましたこととも関係しますけれども、協同組合組織では、利用者は出資して事業を利用しており、その出資の範囲でその組織が経営破綻したときは責任をとる、つまり出資金がパーになることがあり、出資者の立場から事業の運営に参画していく、理事も出す、というようなわけですので、協同組合組織の実態ですとか利用者の組織運営への参画度ということも、あわせて検討されるべきではないか。

ということで、農協共済については、商品について保険と同じような整理を検討するのはやぶさかでないけれども、実際の規制内容はそれぞれの協同組織の法律と整合性を図って検討していくことが妥当との考えであります。

○神田部会長

ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

2回目で恐縮です。2点ほどなのですが、1つは最初の論点になりますけれども、8ページのところに中間整理では金融サービス・市場法を展望しつつということで検討を進めてきているわけなのですが、資料の準備の状況とかを見る限り、投資サービス法(仮称)というのでずっと準備が進められているのですが、私としてはやはり金融サービス・市場法という名称の法律にして通常国会に提出をして頂きたいと考えております。

そういう意味からすると、横断的に、包括的にすべての既存の業法があるものについてもかかるし、それからすき間なく入ってくるという形にしていただきたいと思っております。特に商品先物なのですが、今経済産業省からご発言がありましたけれども、トラブルが大変多くて、高齢者の、それも不招請勧誘がとても多くて、相談現場はすごく大変な状況に陥っているということをぜひ理解をして頂きたい。

不招請勧誘の禁止規定が今回の改正の中では入らなかったというような経緯もありますし、それから外国為替証拠金取引の独立系の事業者の方々が海外の先物の契約、特に先物オプションまで含めて事業者が入り込んでいて、ここも行為規制だけの法律で認可とか登録がないということのこの指摘のとおりです。ですから、ぜひこの新たな金融サービス・市場法の枠組みの中に入って頂きたいというのが第1点です。

それから2点目は金融経済教育についてなのですが、複数の委員の方から意見が出ていて、大体の方向感というのがあるとは思っているのですが、金融オンブズネットという私が所属をしている金融を考えている消費者グループでもここについてはかなり深めた議論をいたしました。今ある貯蓄から投資へという流れ、それから情報の非対称性というのは説明義務を尽くせば、それから情報を提供すればリスクは消費者側、契約者側の方に移転をするという考え方にとどまるのではなくて、もう一歩進めて、やはり金融消費者教育、ここでは金融経済教育というネーミングになっておりますけれども、それがやはり非常にこういった法律の、とても大きな柱の一つだと考えておりまして、前回もこれは総則の中に規定を設けてほしい、そして金融庁自身がその責務を負うということも明確にして頂きたい。もちろん自主規制機関がご自分たちの努力でおやりになる部分を否定するものではありませんけれども、私は金融行政の一つの責務と考えております。そういう考えから、特に情報を与えればリスクは移転するという考え方から一歩深めて頂きたい。

直接具体的には3つのことを考えておりまして、金融教育カリキュラムを学校教育へ導入をして頂きたい。それから2つ目は、教育だけの話に集中しておりますが、実際には学校教育を終えた者が大半なわけなので、2つ目としては講座とかパンフレットとか、ウェブなどによる情報提供とか啓発活動を深めて頂きたい。これは今、保険検討チームではバイヤーズガイドの作成というのをやったりしておりますけれども、こういった取り組みも必要だと思っております。それから3つ目が、緊急にこういった金融消費者の疑問や苦情を聞いて対応する情報センターというのでしょうか、こういったものも設置をして頂きたい、この3つを具体化して頂きたいと考えております。

それから1つちょっと質問的なことなのですが、今回私非常に期待をしておりましたのは、販売・勧誘ルールだけではなくて、契約締結後のルールのところもどういう規定が設けられるか期待をしているのですが、18ページの下のところに「資産運用・助言に関するもの」というのがここにかかわってくると思うのですが、助言業務が多様化してくると考えておりまして、ここに書かれている善管注意義務と忠実義務でそれが果たせるのかというのは、さっき信託報酬は自分が受け取るもの思っていたというお話がありましたけれども、私も誠実公正義務と善管注意義務と忠実義務の区別がよくつかないところがあって、これで本当に助言義務というのがカバーできているのかどうかについてはもう少し検討を深めて頂けたらと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

若干、時間の延長をお許し頂きたいと思います。

東委員、田中委員、高橋委員の順番でお願いします。

○東委員

26ページ以降のプロ、アマの区分のところなのですが、1つは先ほど和仁委員が言われたようにプロ、アマの区分と開示規制の整合性はできる限り合わせて頂くべきではないかというのが一つです。

それからその上でプロ、アマの区分なのですが、私の理解が不十分なのかもわかりませんが、この4分類がどうもすっきり入ってこないのですが。

解釈していますのは、マル1の特定投資家、つまりここでは適格機関投資家としてはどうかという、これは現状法人中心の考え方で、マル2も法人、マル3も法人、マル4がほとんどの個人の中で、マル3で特定投資家に移行する層を規定しているような印象に受けるのです。したがって、特定投資家にここで規定するというのは、個人がいきなり適格機関投資家扱いになるという印象になるので、どうもマル2マル3を一つのゾーンという格好で、どう言うかは別として、例えばプロ、セミプロ、アマと、こういう整理になるのではないでしょうか。法人にアマはいないと考えて良いと思いますので、適格機関投資家になれない法人はセミプロ扱いになります。一方、個人は適格機関投資家的扱いまで認めるかどうかは相当ハードルを高くしなければいけないと思うのですが、そこに個人からプロにも移行できる能力、資産を具えた方もいるでしょうし、セミプロに移行できる方もいるでしょうしということで、結論は3分類で個人は1、2、3それぞれに入りますが、法人は1と2という整理の仕方があるのではないかと感じています。

○神田部会長

ちょっと済みません、今の点ですが、この第一部会の考え方はちょっと違ってきたと思いますので、今東委員が実質としておっしゃろうとしたことはそれでいいと思うのですけれども、それから和仁委員のおっしゃったことともちょっと関係するかもしれませんので。

ここでやっている3分類、4分類というのは相対で、販売・勧誘ルールとの局面なのですね。それに対して、適格機関投資家というのは公衆縦覧型のものを考えていますので、ここの4分類にするわけにいかないのです。これは先ほど池田課長がおっしゃったことだと思います。

それから、柔構造化とか柔軟化というのは、公衆縦覧の方のプロ、アマの線引きと販売・勧誘ルールの目の前で説明しますか、適合性原則を適用しますかというときの販売・勧誘ルールとは違ったプロ、アマの線引きをしなければいけない。ここまでは既に中間整理の段階で合意があったと思います。それを具体化するとしたご議論をお願いしていて、ここでの4分類というのはその販売・勧誘の局面での分類ですので、あとの開示の方の話というのは公衆縦覧型の現在の開示規制、開示というかいわゆるディスクロージャー制度と呼ばれている方の話の適格機関投資家、これも緩和する方向です。そして線引き基準としては現行の枠組みに近いものにしてはどうかということです。

ですから、和仁委員のおっしゃっていることも要は要件が明確でないとビジネスするとき困るということをおっしゃって、その実質は全くそのとおりだと思うのですけれども、両方一緒にするという議論ではないと考えていただきたいと思います。この第一部会でその点は合意があると思いますので、私の理解が間違っているかもしれませんが、念のために申させて頂きます。

それでは済みません、田中委員、どうぞ。

○田中(直)委員

投資社会のインフラづくりという視点から投資サービス法が投資家保護の趣旨からいろいろ議論を精密に行っていることは大変、多としたいと思います。

ここで申し上げたいのは、長期的に見て日本の投資社会が厚みのあるものにならなければならないわけですが、そのときに金融事業者の企業成長にやはり我々の投資成果が依存するということを視点として置くべきではないかと思います。

第1には、金融サービスが充実したものになるためには、不確実性についてのモデリングとか、リスク解析の能力というものが不可欠なわけで、我々の社会がそれを欠いた場合に高齢化したこれからの投資家は報われないということになるわけです。では、そうすれば、だとすればそういう能力はいかにして日本社会の中に身につくか。一人一人の努力もあるのだけれども、金融事業者の企業成長を背景としないと、そういう基本的な投資はなされないということだと思うのですね。

そして、長期的に見て日本の市場が世界的に見ても健全なものとして成長するためには、経済の変動はいろいろありますから、いざという場合に流動性が欠ける、みんなが買いたい、売る人がいない、逆にみんなが売りたい、買う人が出てこないというような局面は特に買う人が出てこないという局面を幾つも、10年間のうちに2度も3度もやっていたのではどうにもなりません。そういう意味では、非常に多様な投資家を日本の社会の中において備える必要があって、それは背景にはリスクの解析にしろ、不確実性についてのモデリングも要るのですけれども、やはり最後は投資家としてリスクをとってでも買い手が極めてマーケットで減ったときに、これは買いだといって買ってくれる人たちを金融事業者の人たちがどれだけ常日ごろの接触の中で持ち得ているのかというものは非常に強いわけです。そういう10年に1回か2回あるであろう、また必ず来るであろうそういう局面において、そういう投資家を備えているかどうか、そのための努力を金融事業者が常日ごろ行えているかということを考えますと、金融事業者にとってのコストの問題というのはやはり重要です。だから利益、企業成長というのは重要なので、やはりそこのところをもう一度点検して頂いて、幾つかの投資の、投資家保護はもちろん重要なことだし、堀内さん言われたように長い目で見てこれを欠いたのでは日本の市場あり得ません。ただ、そうはいってもコストの問題はあるし、金融事業者の企業成長の問題はやはりあると思います。

もう一つ、一般投資家を考えればそれは教育の問題も確かに重要なのですけれども、ただこれはそんなに難しいことではないので、理解できない商品は買うなとかいう、そう言ってはなんですが、そのぐらいのことさえ徹底すればそんな変なものを買うということは私はないと思うのですが、もっと重要なのは、やはり金融環境において的確な判断をできる能力を我が社会が備えることが重要なのだと思います。

そういう意味では、職業人としての自立性が身につくためには、アナリストとかエコノミストとかあるいはいろいろな分析をする人たちの職業人としての自立性というのは非常に重要でありますし、自主規制についてのいろいろのご見解もありましたけれども、本来これは近代社会における一人一人の職業人の自立性にかかわる話ですから、ここはやはり層厚くある種切磋琢磨する環境があって、その中で自分たちの仲間としてのチェックというのでしょうか、それが必要なのではないかと思います。

日本のエコノミストに自立性があるかどうか、またこれはほかの方々にチェックしてもらわなければいけないことだと思いますけれども。どうも。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、高橋委員。

○高橋委員

先ほどの制度共済に関してのところをまず申し上げますけれども、2回前の対象範囲の審議でご説明があったということです。私は残念ながらその日欠席だったのですが、ご説明があったとしてもやはり反対ということでご意見を申し上げたいと思います。

出資して事業をすれば出資の範囲で責任をとるということなのですけれども、保険業と違って共済の場合にはセーフティネットがありませんし、出資金といっても50円とか100円とかを出して参加しているリテールの人たちもたくさんいらっしゃる状況ですので、利用者保護の立場からお話をしたということでございます。

それから、組織運営への参画度ということを考えてということなのですけれども、員外利用もかなり多くなっていると思いますので、その辺もご考慮の上、やはりこういう制度に入ることには賛成して頂きたいと思っております。

それから、先ほど行為規制のところで、適合性の原則に理解度を入れるのは困難だというご意見がありました。理解度のテストができないかというと、実際に事業者が簡単なテストを実施しているところもございます。これも創意工夫で理解度をきちんと確認するということはできると思っております。

それから最後、済みません、田中委員のご意見に反論するというのは非常に恐れ多いのですけれども、金融ビッグバンの開始以降、もち合い解消とかもろもろで日経平均株価が7,600円まで売り込まれても個人投資家が出動しなかったうのは、一つは金融経済教育の問題でしょうし、もう一つは事業者なり市場に対する信頼感が非常に薄かったということだと思います。

そうした問題が解消しているかといえば、私はそうでもないと思っているのです。ですので、教育に関しては「難しいもの。わからないものには手を出すなと」こうした啓発も一生懸命やっているのですけれども、それでも皆さんひっかかっているという現状に関してはご理解頂きたいです。、基礎知識、理解、これは非常に重要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

まだまだ議論は尽きないと思いますけれども、済みません、私の不手際で既に予定の時間を10分程度過ぎております。

それで、これは一体どうしたらいいのでしょうか。私もちょっと事前に事務局ともよく打ち合わせていなくて、なるようになるでしょうとか言っていたのですけれども(笑)、どうでしょうか、これもちょっと事務局と相談していないことをここで発言してはいけないのかもしれませんが、2つぐらい私は感想を持つのですが、次の2つをある程度想定して、決めたということではありません、先へ進むということでよろしいでしょうかということです。

第1点は、何らかの報告書というものの取りまとめをまだできるという方向を目指してご審議を頂くということで言うと、先ほど多くの委員の方々から、池尾委員、翁委員初めとしてご指摘のあった、やはり考え方を明らかにしておくというのは非常に重要なことで、それは恐らく法律にするときには例えば適用除外というのは政令で定めます、省令で定めますとなってもパブリックコメント手続を経てそういうものを制定します。これは法技術的な問題ですよね。そのときにどういう考え方に従ってやるのかということを明らかにできるのがこの報告書であり、この審議会だと思いますので、そういう意味ではほかにも多数、今の論点だけではなくて、ほかの点についても多数ご指摘頂きましたけれども、とにかくどういう考え方で臨むのが適切かという点についてはできるだけ明確にわかりやすく書く方向を努力する。そういう意味で、より一般的にわかりやすい文章というのも恐らく大事ではないかなと思います。

そして繰り返しになりますけれども、この第一部会の基本的な考え方というのは横断化ということと柔軟化というか柔構造化、柔らかいということですので、その柔構造化というのは一言で言えばプロ、アマを思い切って分けると。それはフェーズごとに、先ほどちょっと申し上げたことも含めてですけれども、柔構造化するということですので、それもなぜそうなのかということがわかるように、どういう基準でということをもう少し明確にする。今でも明確になっている部分あると思いますが。とにかく明確に、そういうところを明確にする報告書を目指すと、後でそれが法制度的にどうつくられるかというのはちょっと技術的な問題があると思いますけれども、その場合でも後に残るというのでしょうか、この第一部会が何を考えたかということが残る。これが1点目です。

それから2つ目の柱としては、これは結局皆様方でご意見が分かれているような部分をどうするかということなのですが、一つの考え方は取りまとめられないということにする……。事務局に聞いておりませんので、第一部会がいつまで存続するのかよくわかりませんけれども、引き続き議論をすることにして、今回は取りまとめはしないという選択肢もあるはと思います。もう一つの考え方は、可能であれば引き続きの議論もするという前提で、できるところまでを取りまとめ、制度化をして頂く方向での報告書を提案をするということが考えられると思います。そうだとしますと、多数決というわけにはいかないと思いますけれども、かなり多数の意見が委員の皆様方の中で出されている問題については、その多数の意見に沿って法制度化をしていく提案をする。何もしないということは今の制度が変わらないということですから、それよりはファーストステップとしてそれをやる。そして、少数のご意見でも貴重なご意見はあると思いますので、それについては引き続きご議論をする。

ただ、意見が拮抗している問題についてはまださらに審議をして頂かなければいけないとは思います。これはどちらかに立って法制度化ということを提案することは困難だと思いますので、これは引き続きの議論をお願いするという整理になるのかと思います。しかしポイントは何かといいますと、今回さらに審議を尽くす、あるいは取りまとめをしないという表現はよくないと思うのですけれども、この時点での法制度化を目指した提案はしないかというと、私はできるところは相当程度できるのではないかという、これはちょっと間違っているかもしれませんけれども。したがって、できるところまでやるということで、残された点というのでしょうか、さらに引き続きのご審議をして頂くべき点も多々あるかもしれませんけれども、ここで一つ区切りをつけて、実現ということを目指すという方がいいように感じるのですけれども。もしそれでよければそういう点が方向を目指した形で事務局の方にもこの次の論点整理を準備して頂ければと感じます。

今申し上げました2つの柱というのはちょっと私の思いつきの、今日のご議論を伺っての感想ですので、必ずしもそうはいかないかも……事務局の方にもいろいろ事務を進める上でのご都合があるかもしれませんけれども、一応そういうことで毎週皆様方にお集まり頂いておりますので……。どうぞ、原委員。

○原委員

1点だけなのですが、多数決をとるけれども、少数意見でも尊重するというお話でしたけれども、委員はほとんど金融サービスの事業にかかわっている方とか先生方が多いので、一般の消費者がここの席にいないということもぜひ尊重して頂きたいと思います。

○神田部会長

多数決をとるという意味ではありませんので。多数のご意見であるということについて少数の意見の方も納得を頂けるのであれば、それは提案の中に盛り込めるのではないかという、そういう趣旨です。ありがとうございます。

それでは、最後、どうも私の余計な発言だったかもしれませんけれども、本日も大変多様なご意見を頂きましてありがとうございました。

延長になってしまいまして申しわけありませんでした。本日の審議はこれで終了させて頂きたいと思います。

この後記者会見を行いまして、本日の模様について私からご報告をいたします。

最後に、事務局からのご連絡等ありましたらお願いします。

○三井市場課長

それでは次回の日程につきましては、12月14日水曜日の午前10時から2時間程度ということで、議論の内容は今部会長のおっしゃられた方向で事務的にも準備したいと思います。

○神田部会長

それでは、これで散会いたします。

ありがとうございました。

午後0時20分閉会

サイトマップ

ページの先頭に戻る