金融審議会金融分科会第一部会(第41回)議事録

平成17年12月14日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

おはようございます。予定の時間になりましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第41回目の会合を開催させて頂きます。

皆様方には、いつもご多忙のところをお集まり頂きましてありがとうございます。

議事は本日も公開とさせて頂いております。報道機関の方々などのために後ろの方の席を確保させて頂いております。

また、人数が増えてまいりまして1つの机に椅子3個置きました関係上、大変窮屈になっており恐縮でございますけれども、その点はご勘弁を頂ければと思います。

議事に入ります前に、本日ご出席頂いておりますオブザーバーの方をご紹介させて頂きます。大阪証券取引所代表取締役常務取締役であられる小島茂夫様でございます。

○小島オブザーバー

小島でございます。このような機会を与えて頂きまして本当にありがとうございます。

○神田部会長

よろしくお願いいたします。

それから、いつものことですが、意見書を何人かの委員の方から頂いております。花岡委員、本日ご出席でございますけれども、それからあと経済産業省、国土交通省からそれぞれ意見書を頂いておりますので、お手元に配付しております。

本日の予定ですけれども、前回のご審議を踏まえまして、この部会の報告(案)というものを用意させて頂きましたので、これについてのご審議をお願いしたいと思います。それでは、お手元の議事次第に従いまして、第一部会報告(案)につきまして事務局からの説明をお願いします。

○三井市場課長

それでは、第一部会報告(案)という冊子をご覧頂きたいと存じます。「はじめに」のところは経緯でございますので飛ばしまして、1ページ目の下の趣旨・目的でございます。初めのところ、それから2ページの上半分までは中間整理の考え方を引用したり、あるいは再構成しておりますので、その後の秋以降の議論のところを中心にご説明させて頂きます。

「このように」という真ん中のあたりからでございますが、その3行目、「幅広い金融商品について包括的・横断的な利用者保護の枠組みを整備し」ということで、1行飛ばしまして、「隙間」を埋めるということと、それからその次の行、「同じ経済的機能を有する金融商品に同じルールを適用する」と、こういう考え方をまず書きました。

その次、「他方」ということで、それと並んで重要なこととしてということですが、「一般国民も含めた我が国全体の投資の収益は、究極的には運用その他の業者の事業の成果に依存せざるを得ないことから、規制の簡素化・明確化や新たな金融商品設計の自由化をつうじ、コストを抑えつつ金融イノベーションを促進し、多様化するニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とすることが重要である。」という考え方を盛り込ませて頂いています。

「その際には、一般投資家を念頭に置いた規制を特定投資家(プロ)を顧客とする場面について緩和するなど、規制の柔構造化」ということで、「利用者保護の必要性と両立を図ることが適当である。このように、規制全体について横断化と柔軟化を図ることにより、利用者保護を確保しつつ、利用者の利便の向上を図ることが重要である。」

それから、2番目の「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保、これも中間整理で整理されていることの再構成です。ポイントは、「また」以下ですが、「公正かつ円滑な価格形成を軸とする市場機能を確保し、市場の信頼性、効率性や透明性を高めていく」ための諸施策を盛り込んでいるということであります。

3.の金融・資本市場の国際化への対応。これも今回の議論の幾つかの重要な柱の1つであります。ポイントは最初のパラグラフの最後の3行ですが、「国際市場としての我が国市場の魅力を更に高めるためにも市場法制の整備やエンフォースメントの強化を軸とするインフラ整備を急ぐ」ということであります。

次のページ、4ページ、4.「投資サービス法の必要性」であります。これも基本的な考え方ですので、基本的に中間整理の考え方を引いております。再構成しています。このようにということでありまして、2つ目のパラグラフ、「適正な利用者保護と市場における不公正取引の防止によって、公正かつ円滑な価格形成を軸とする市場機能を十分に発揮し得る、公正・効率・透明かつ活力ある金融システムを構築することを目的として、証券取引法を改組し、投資サービス法を制定することが適当である。」

それから、これも夏以前のセッションでも、それからこの秋でも出ていましたが、「なお」以下で、この法の目的として「英国の金融サービス・市場法において、マル1市場の信頼性確保(market confidence)、マル2公衆の理解の向上(public awareness)、マル3消費者の保護(the protection of consumers)、マル4金融犯罪の削減(the reduction of financial crime)」を掲げているということを引用してこういった理念を明記しております。

5番目、投資サービス法の基本的枠組みでございまして。「幅広い金融商品を対象とした法制を目指す」、これは繰り返しここでも議論されてきたことと存じます。ということで、「金融商品の販売や資産の運用に関する一般法的な性格を有するものと位置付け、同じ経済的機能を有する金融商品にはその行為規制を業態を問わず適用する」ということで、外国証券業者に関する法律、投資顧問業法あるいは金融先物取引法なども含めて、「同種の性格を有する法律を可能な限り投資サービス法に統合すべきである。金融商品販売法についても、その内容の見直しを行いつつ、投資サービス法に統合することが望ましい。」としております。

具体的な制度設計は対象範囲以下で述べております。基本的な考え方、これは中間整理の考え方でありまして、マル1マル2マル3、金銭出資、金銭償還、資産や指標に関連してより高いリターンを期待してリスクをとるものと中間整理では整理されております。これについても議論がされました。6ページをお開き頂きまして、その考え方、(2)リスクとリターンの意義について手厚い議論がされたと思います。リスクの意義については、6ページの下のポツと7ページの最初のポツでございますが、いわゆる市場リスク、それからいわゆる信用リスクのいずれかのリスクがあるということを中心に整理するということが考えられるのではないかということであります。

それから、「リターン」の意義ですが、経済的効用の向上あるいはその可能性と広範にとらえることが望ましいが、利用者の投資商品への典型的な期待が「金銭的収益(キャッシュフロー)」であるということなども勘案して、「金銭的収益」への期待を中心として整理するということが考えられると整理させて頂きました。

(4)で具体的な対象範囲についての考え方でございますが、中間整理ではこのポツが3つ並んでいるような整理をされております。これをベースにしまして、ここでの議論ですが、7ページの最後、「各金融商品を対象とするか否かについて具体的な検討にあたっては、「リスク」と「リターン」に関する考え方に加え」、これは前回のご議論だったと思いますが、マル1当該商品について拠出した資金に基づく事業などが他人によって行われているかどうか。あるいはこれを言いかえますと、業者の裁量の程度を定型的な類型的にどう考えるかということ。もしもアメリカの証券法「投資契約」に関する連邦最高裁の判例で置き換えてみますと、ハウイ基準といわれている「他人の努力」、他人性という要件に相当するような考え方が1つ。それから、マル2当該商品の利用者の典型的な属性」、例えば知識・経験やリスク負担能力などを勘案する。それから、マル3当該商品について他の法律などをつうじた利用者保護の有無、こういった条件も勘案して検討を行うことが適当であるということでありまして。具体的な金融商品の取扱いは別紙2で整理しております。後ほどご覧頂ければと思います。

それから、(5)他の業法等で規制されている金融商品の扱い、これについても議論が行われています。具体的には預・貯金、保険、制度共済、信託あるいは商品ファンド、不動産特定共同事業、商品先物、海外商品先物の取扱いでございます。これについても様々な議論がありました。

別紙3でございまして、ページでいいますと39ページでございます。読み上げるのは割愛させて頂きます。前回の議論の整理をほぼ圧縮した形で掲げております。

それから、(6)「金融サービス・市場法」への展望、これが大きな議論になってきたところでございます。中間整理では、これはちょっと繰り返しになって恐縮ですが、「銀行法や保険業法についても販売・勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべき」として、「このような検討にあたっては、預金・保険といった金融商品としての性格や現在の業務の実態を踏まえつつ行う」、かっこがついて、「金融サービス・市場法」を展望しつつ議論を行うことが必要と書かれておりました。

この点についてですが、9ページ、2種類の考え方でして、2つポツポツと並んでいますが、上がいわゆる投資サービス法の考え方でして、銀行法・保険業法などの販売・勧誘規制の存在を前提に投資サービス法では投資性のある投資商品の販売・勧誘について横断的な規制枠組みを設けるということ。それから、それにさらに広い考え方としまして、1行目の終わりですが、普通預金、定期預金、保障的保険も含めた金融商品全般について包括的な規制の枠組みを設ける。この点については議論が、意見が分かれているのではないかと考えられます。

「他方」以下でございますが、その間、2行目で、「種々の問題事例による利用者被害の発生は続いており、その中には、現行法では実効的な対応が困難なものもある。」ということから「こうした法規制の隙間を埋め、利用者保護ルールの拡充により更なる利用者被害の拡大を防止することは喫緊の課題である。したがって、まずは、これまでの審議において横断的な規制を適用することについて概ね合意が得られている「投資性のある金融商品」について早期の法制化に取り組むことが適当であり、金融庁において所要の措置を講じられたい。」というのをドラフトとしてここに掲げさせて頂いています。

それから、「金融商品全般を対象とする、より包括的な規制の枠組みの検討については」、その最後の行ですが、「当部会において引き続き検討を続けていく」と書かせて頂いています。

それから、大きな次の III の業規制であります。最初は中間整理のところを掲げております。3行目、投資サービス法の本来業務の範囲は別紙4ということで、41ページに添付してございます。それから、本来業務の付随業務・届出業務というのは別紙5、42ページに添付してございます。

それから、「中間整理」においては業の要件として、営利性を要件とせず可能な限り広くとらえると記載されております。これについても検討していくことが望ましいとしております。

それから、(2)の自己募集。証券取引法では発行者自身による販売・勧誘行為(自己募集)が業規制の対象となっていない。他方、商品ファンド法や不動産特定共同事業法において自己募集を業規制の対象としている例があること。最近の問題事案においては集団投資スキーム(ファンド)の自己募集の形式が採られていた。こういったことを踏まえると、少なくとも組合などによるファンドの持分については、商品組成と販売が一体化して行われることが多いことなども勘案し、自己募集を規制対象とすることが適当と考えられる。

その際、例えば特定投資家、これはプロ向けあるいは投資家数が一定程度以下のファンドの自己募集については、より簡素な規制とするということで、金融イノベーションを阻害しないように配慮をする。

それから、資産運用、これも同様の考え方でありまして、11ページの2行目の最後ですが、「法令の規定の実効性を担保する観点から」、そこからさらに飛びまして、5行目の最後、集団投資スキーム、特に組合型ですが、の運用、投資商品への運用についても、「資産運用業」の対象とすることが適当と考えられる。ただし、プロ向け、例えば私募不動産ファンドなど、プロ向けファンドについては簡素な規制ということで実態に十分配慮するということであります。

それから、(4)他の業法との関係です。これは具体的には別紙6、43ページ、これも整理してございます。これは、前回の論点整理のときの別添の資料を若干再整理してそのまま掲げております。

それから、2.業規制の柔構造化。「投資サービス業」ですが、第一種、第二種、第三種の3段階に分けるということで、具体的な業規制は、最後の行、別紙7ということでこれは45ページでございます。これも従来添付していた資料と基本的には同じ内容でございます。第一種、これはすべての業務ということであります。第二種、これは流動性の低い商品のブロカレッジ、あるいは資産運用、投資助言。それから、仲介業はいわゆる投資サービス業者の委託を受けた仲介業者であると。

それから、大きな IV の行為規制であります。具体的な行為規制の全体像は47ページの別紙8に掲げておりますが、これも従来お配りしてきた資料の転記でございます。2.の開示規制と行為規制との関係でありますが、これは証券取引法以外の業法では勧誘・販売の場合の書面交付や運用報告書の交付というのを義務づけている。証券取引法では開示規制によりまして有価証券届出書を当局に提出し、それを公衆縦覧し、その内容の目論見書を販売・勧誘時に顧客に渡すと、こういう仕組みになっているということで。これらを総合的に整理すると、例えばで、「これらの現行法の諸規制を踏まえ」という7行目以下ですが、開示規制として有価証券届出書提出・目論見書交付義務、有価証券報告書提出義務と、業者への行為規制としての事前説明書面交付義務、運用報告書交付義務をベースに、それぞれまず課すとしつつも、重複するときにはこれを調整するということで事前説明書面交付義務などを免除するといった仕組みが考えられると思います。

それから、3.適合性の原則のあり方。まず、3行目ですが、体制整備にとどまらないで、現行の証券取引法などのように行為規制として規制するということが適当である。それから、2つ目の「知識、経験、財産」に加えて、「投資の目的」又は「投資の意向」も考慮要素として追加するということについてはコンセンサスがあろうかと思います。それに加えて、顧客の理解力については追加すべきというご意見、それから業務上支障が生じるというというご意見があったと思います。

それから、イギリス型の「適合性レター」について、これはぜひ前向きに考えるべきだというご意見も出されております。片や消極的な意見も一部ございまして、これは14ページの3行目、引き続き検討するということにさせて頂いております。

それから、民事効についての検討を行うと。

それから、4.金融商品販売法における説明義務の業法上の義務化。これも掲げております。

それから、5.不招請勧誘の禁止。最初の4行でございますが、まず投資サービスにおいて適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合に、機動的に不招請勧誘の禁止を発動できる、そういう一般的な枠組みを設けるということで。当面の適用対象についてはレバレッジが高くてという商品性や執拗な勧誘や利用者の被害という実態を考慮して、現行の範囲と同様とするというのが1つの考え方として事務局から示しました。

これに対して、そうではなくて、原則としてすべての商品に適用しつつとして、一部適用除外を設けるというご意見。あるいはいずれの方式をとっても結果的にはあまり差がないのではないかというご意見があったということと。それから、再勧誘の禁止規定を新たな規制として導入し、例えば店頭金融先物取引に比べて利用者保護に手厚い取引所金融先物取引については、不招請勧誘の禁止から一たん除外して、再勧誘の禁止を適用することについて検討を行うというご意見がありました。これを掲げております。それから、顧客からの勧誘受託確認義務を課すべきというご意見を紹介しております。

手数料につきましては、お客さんから直接、間接に業者に支払われる手数料と、それから商品の組成業者から販売業者に支払われる販売手数料の2つに分けて議論がありました。最初の手数料については開示の義務づけということで異論がなかったと思いますが、2つ目の手数料につきましては様々なご意見がありましたので、これはそれぞれのご意見を整理して掲げて引き続き検討すべき課題があると整理しております。

それから、表示義務、それからその他クーリングオフ、説明は割愛いたまして、大きな V の特定投資家と一般投資家の区分であります。前半は中間整理の文章を整理したものでございますので、18ページまで飛ばして頂きたいと思います。全体の枠組みとして、6行目、マル1マル2マル3マル4ということで特定投資家、一般投資家に移行できない特定投資家から移行可能な2つの類型、最後の移行できない一般投資家と、こういう4つの類型に分けるということについては概ねコンセンサスがあったのではないかと考えて掲げております。その際の移行の選択にあたっては、利用の書面による同意であるとか、所要の手続、あるいは有効期限を設けるなど、こういったきちんとした手続を設けるということを書いております。ただし、その手続に関しては簡素で明確なものであると、こういうことであることが重要であるというご意見があったかと思います。

それから、具体的な区分基準でありまして、マル1マル2マル3マル4の大きな枠組みについてはその時点でご説明させて頂いた資料をベースに、そこでご意見が出たところを盛り込んでおります。特にマル3でございますが、2行目、個人というところであります。19ページでございます。上から5行目。富裕層の存在ということを考えると、選択によって一定の場合は特定投資家への移行を可能とすることが適当であるということが多数の意見ではなかったかと存じます。ただし、その要件というのは厳格なものとすべきであるというご意見が多かったかと存じます。

それから、4の適用除外、プロ向け投資家の場合に適用する行為規制ということでありますが、情報格差の是正を目的とする行為規制について適用除外すると。それから、市場の公正確保を目的とする規制については適用除外としないということについては異論がなかったかと存じますが、適合性の原則については適用除外とすべき、あるいは適用除外とすべきではないという議論。それから結果的にはあまり変わらないのではないか。いずれの方式をとっても同じになるのではないかということをいろいろなご意見があったかと存じます。

そこで、例えばですが、少なくとも20ページ、一般投資家が自らの選択によって特定投資家に移行する局面については、適合性の適用対象としてきちんとチェックするということが考えられます。

それから、大きな VI 番の集合投資スキーム(ファンド)であります。1.の実効性ある規制整備の必要性、これは中間整理のことが最初の5行で整理いたしまして、6行目、最近も、多数の一般投資家を対象とした、これは電気通信設備のリース形態の事業を行う、事業型のファンド、匿名組合形式をとらえた事業型のファンドに関する被害事例が報じられていると、こういったこと。あるいはそれ以外にも様々な懸念が示されていることを考慮すると、実効的ある横断的な規制の整備が必要であると整理しております。

片や2.の特定投資家向けのファンドでございますが、これについては最後の3行ですが、相当程度規制を簡素化して金融イノベーションを阻害するような過剰な規制とならないような仕組みにするということであります。

それから、3.ファンドに関する規制のあり方であります。いろいろな段階、組成から勧誘・販売・運用、いろいろな段階での規制を全体的に考えて最小限かつ適切、実効的な規制をするというそういう基本的な考え方については異論がないということだと思われますけれども、具体的な仕組みをどうするかということであります。この点に関してポツが2つございますが、我が国の金融法制について法規範の実効的な確保、特に行政的な手段による実効性の確保として最もポピュラーなものが登録などの業規制の形態であるということと。それから、諸外国、主要国などについて、例えば米国のSECが昨年10月の規則制定によってフッジファンドのマネージャーに投資顧問業登録を義務づけた。あるいは、その他の国を見ましても、例えば投資信託のような伝統的なファンド、これについては基本的には認可制の厳しい規制がとられている国が多いわけですが、それ以外の非伝統的なイレギュラーなファンドに対する規制はどちらかというと投資サービス業規制、販売・勧誘、資産運用・助言によって対応されていると見受けられます。

といったことから、例えば一般投資家向けファンド、大衆投資家向けのファンドについては違反者に対して行政としても最も迅速かつ直接的な対応が可能な業規制、例えば自己募集を含む販売・勧誘、資産運用規制といったことも考えられますが、こういったことを中心にファンドに対する規制の全体像について検討していくことが適当であるということで、たたき台をつくらせて頂いております。

それから、既存のファンドの法制との関係。ここのところは技術的なところでありますので、読み上げることは省きます。

それから、その他でございますが、ファンドについてはこれ以外にも多数のご意見を頂いておりまして、例えば「また」というところで、22ページでございます。ファンドが多様なファンドを組み込んだファンド・オブ・ファンズ、こういうものの果たす役割がますます大きくなるということから、そのディスクロージャーのあり方について検討するということ。それから、変額保険についても私募投信を組み込むことにより実質的にファンド・オブ・ファンズとして個人に公募されているといったご指摘からこういうことへの対応についてのご意見がありました。

続いて開示に進ませて頂きます。

○池田企業開示課長

開示規制のところ、22ページの下からでございますが、まず1つは、投資商品の性格に応じたディスクロージャーのあり方ということで、1つは投資商品の性質に着目した開示制度ということで、第2段落のところですが、企業金融型商品と資産金融型商品に分類し、その分類ごとに開示規制を整備していくということが示されてございます。

それから、(2)の方は投資商品の流動性に着目した開示制度ということで、投資商品をその流動性に着目して分類し、その分類に対応した開示規制を整備するということが書かれてございます。

マル1に流動性の高い投資商品の関係が書いてございますが、ここでは、第1段落の4行目からですが、「上場企業については、他の開示企業に先立ち、四半期報告制度の導入や財務報告に係る内部統制に関する制度の一層の整備を図っていくことが適当」であるということで、具体的には四半期報告制度については、本年7月にディスクロージャー・ワーキング・グループの方でとりまとめられました報告に沿って制度化を進めていくということが適当だとしておりますが、同時に、同報告において検討が必要とされておりました半期報告制度の四半期報告制度への統合につきまして、24ページの頭からですが、「半期報告制度の四半期報告制度への統合については、その統合を基本として、銀行、保険会社など、半期の単体ベースで自己資本比率に係る規制などを受ける業種においては、投資者に対して投資判断に必要な情報を十分に提供する観点から、第2四半期(半期)に係る単体の財務諸表をも併せて開示することを検討することが適当と考えられる。」とさせて頂いております。

それから、次の段落は、内部統制の問題について、内部統制に関する経営者による評価、公認会計士による監査の義務化、それから有価証券報告書の記載内容の適正性についての経営者による確認の制度を併せて導入するということを記載させて頂いております。

それから、流動性に乏しい有価証券の方につきましては、譲渡性が制限されていることなどにより流通の可能性に乏しい投資商品については、有価証券報告書などによります公衆縦覧型の開示に加えまして、その情報をむしろ直接提供する方が開示の徹底が図られるという考え方を示してございます。

それから、証券取引所に上場されていない流動性の高い流通市場を持たない投資商品のうち、所有者数が減少していくなどにより流通性が乏しくなったものについて、継続開示義務の免除要件の範囲を拡大することが適当との考えを併せて書いてございます。

(3)のところは役員・従業員等に対するストックオプションの付与等を念頭に、例えば投資商品を取得しようとする投資者が当該投資商品に関する情報及び当該投資商品の発行者に関する情報を既に入手しており、または容易に入手することが可能である場合として一定の条件を満たすときなどには開示規制の対象から除くといった形で柔軟化を図っていくことが示されております。

それから、前回ご議論がありました適格機関投資家のところでございますが、第1段落は勧誘が公募か私募かの判断を的確に行っていくという観点から、投資家のうち常に適格機関投資家とするものと、届出によって適格機関投資家になるものというその2種類のカテゴリで整備していくという現行制度の枠組みを基本的に維持することが適当であるとした上で、第2段落ですが、適格機関投資家の範囲については、取引の実態などに即して見直しを行い、その拡大を図ることが適当である。さらに具体的には、「事業会社について適格機関投資家の範囲を拡大するとともに、事業会社以外の法人や個人についても、一定の者が適格機関投資家となる途を開くことを検討することが適当と考えられる。」と記載をさせて頂いております。

それから、転売制限等にも論点整理のときにご指摘のあった項目を書かせて頂いております。

発行者概念につきましては、今後、投資サービス法のもとで様々な種類の投資商品が新たに開示規制の対象になってくるということが想定されますが、この発行者については現在と同様、開示に必要な情報を確実に入手して提供できるものを発行者としてとらえるという考え方に沿って整理をしていくということを示しております。

最後に、公開買付制度と大量保有報告制度につきましては、現在ワーキング・グループの方で検討しておりますので、今後ワーキング・グループの検討結果を踏まえて必要に応じ、加筆をさせて頂くということになろうかと考えております。

○三井市場課長

続きまして、取引所の項にまいります。まず、投資サービス法の横断化に伴う手当でございまして、制度上取引対象を投資サービス法の適用範囲に併せて拡大するということであります。それから、そうしますと、上場商品の届出制と承認制でこぼこがございますので、これを横断化してならすということにしますとすべての取引について届出制とするという方向があろうかと思います。

取引所の関係では、その投資サービス法に加えて、自主規制機能を担う取引所の組織のあり方の議論がございます。(1)は議論の経緯でございますので、次のページ、28ページでございます。取引所の自主規制機能の位置付けにつきましては、5行目、いわゆる上からの自主規制の機能ということと、それから最後ですけれども、下からの自主的規制の機能、こういう2つの考え方のバランスということが示されております。

それから、(3)でございますが、取引所の組織形態についての議論をさせて頂きました。2行目ですが、株主の統治を基礎とした営利を目的とするというのが株式会社形態ということになろうかと思いますので、その営利性と、それから自主規制機能などの取引所における公共的な性格を有する業務との間に利益相反が生じる恐れがあるということは従来この秋のセッション以前からの指摘の繰り返しでございます。

そのために、取引所における自主規制機能が他の業務から独立して遂行されることが求められるということであります。これは実は先ほど飛ばしました15年12月の部会で宣言されている事項であります。これに対して、そのときの12月の報告書と、それからここでの議論でも少し出されましたが、取引所の上場の取引の品質が上がっていくということになると、その取引がさらに取引所に集まって取引所の利益増にもつながるということから、その営利性というのはみずからの商品、サービスの品質を向上させると考えれば、公共性と必ずしも両立し得ないこととも言えないというご意見。

それから、自主規制のメリットとして、取引の現場に近いということから市場の実情に則したきめの細かい対応が可能、こういうご指摘もございます。こういったことを加えますと、これは前回のたたき台の資料に載せて頂いていることですが、29ページの最初の行ですが、取引所を取り巻く環境や市場の解説者が自らの市場をどうデザインしていくかとの方針は、取引所によって異なり得るものであることから、自主規制機能を担う組織については別法人におくことや、独立性を高めた上で同一法人内におく方式など、市場の開設者が自らの判断により選択できるものとすることが考えられるというたたき台をここに掲げております。

それから、取引所の上場でございます。これは前回の資料のリフレインという面がありますので説明は省略いたしますが、上場というところ、特定・少数の株主に支配されて取引所の自主規制機能と特定の株主との利益相反の問題が生じる。特にこれは投資サービス法で取引対象が横断化する場合の中でも、証券取引所個別株式の銘柄について特に意識されるという可能性がある問題かもしれませんが、といったことや、あるいは上場されると営利性のある株式会社がより営利性を意識した経営を行っていかなければならないというマーケットの環境に置かれるといったことを踏まえますと、上場された取引所については独立性を強化するこの組織の枠組みについて、その法制化した場合にその選択を強制するといった形が考えられると思います。それとの関係で、主要株主規制については特段の結論はここでは述べておりません。

それから、次の IX の自主規制機関でございます。ここについては、最初にIOSCOでこういう自主規制の活動ということがうたわれているということ、これは中間整理などでもご紹介させて頂いていることであります。

それから、2.の自主規制機能の確保、これは中間整理と、それからその後の10月の議論をそのまま掲げております。3.も同様でございます。

それから、4.これについては加入の法的な義務づけということはしないけれども、加入のインセンティブということで証券取引法61条のような、すなわち社内規則の制定を求めると、こういう仕組みを事務的に提示させて頂きましたが、これについては一部実効性の観点からの慎重な検討が必要とのご意見もございました。

それから、苦情処理・あっせん業務の横断的な取組みということで、行政が認定する、要するに投資サービス法上の自主規制機関以外の民間団体が苦情・あっせんを行うという場合には、その行政が認定する仕組みを提示させて頂いています。

さらに、「なお」のところでございますが、これは業界団体とは別個の業界横断的な機構を設けてこれを担わせるべきというご意見がございまして、法律に強制的に書き込むことはなかなか現時点では困難かもしれませんが、いずれにしろこういう方向性に向けて関係者が努力していくということであろうかと思います。

それから、10番目の民事責任規定、エンフォースメント、金融経済教育であります。民事責任規定、これは次のページ、32ページの7行目です。裁判例ではワラント、信用取引、オプションや外為証拠金などの「取引の仕組み」自体の説明義務について、これは判例上たくさんのご指摘があるということで、これを金融商品販売法の改正をいたしまして、説明義務の対象に加えていくということ。

それから、最後の3行ですが、元本を超える損失の恐れがある場合について何らかの配慮をすべきであるというご意見もあって、これは現在検討中であります。

それから、2.エンフォースメントでございます。検査・監督の現場からの指摘ということで、証券取引等監視委員会が、先月29日に建議を行っておる「見せ玉」への対応など、この辺エンフォースメントの強化というのを引き続き取り組むべきであるということと。それから、民事的な被害の救済という観点からそれが指示によるエンフォースメントということで、こういうこともよく考えるべきであるというご意見を頂いています。これは先ほどの金融商品販売法の改正と、それからその投資サービス法への統合の検討につながっている話と存じます。

それから、グローバル化への対応、33ページです。外国当局との間の情報交換というのが大事である、必要不可欠でありまして、日本業務ですとか証券分野の情報交換枠組み(証券MOU)の早期構築が必要であるという点。

それから、金融経済教育でございます、これも多数の議論があったと思います。最後のところですが、国又は金融庁の責務について規定を設けるべきである。あるいは次のところは、自主規制機関は、金融経済教育がネットワークとしていくことが重要であって、その自主規制機関がそのネットワークに一定の役割を担い手として果たすといったこと。それから、法律上に規定を設けることについての疑義なり疑問のご意見といったものが出たと思います。それから、学校生徒向けのみならず社会人向けの教育の充実の必要性のご意見が出たかと存じます。

以上、ちょっと駆け足になりましたけれども、報告書案文をご説明させて頂きました。

なお、今日もちょっとマイクの性能が悪うございますので、近づいてご発言して頂ければと存じます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明、それから皆様お手元にあります全体について、ご質問あるいはご意見をお出し頂ければありがたく存じます。なお、私の理解では、前回も申し上げましたけれども、できればとりまとめを意識したご意見ということをして頂けますと大変ありがたいと思います。

それでは、どなたからでもどうぞ。池尾先生、どうぞ。

○池尾委員

すみません。3つばかりあります。

まず1点目は、これは書きぶりだけの問題で、私がこれから申し上げることはもうそんなのは当然だということなのかもしれませんが、13ページで適合性の原則のあり方というところがありますが、その適合性の原則のあり方という見出しの次の文章を読むと、適合性の原則は規制でありとなっているのですが、私は適合性の原則がまさに原則であって、これは投資サービス業者が当然従うべき商道徳の基本をなすようなものだと思いますので、別にそういう意味でいうと、規制があろうがなかろうが適合性の原則というのはそれぞれの業者が自らのコンプライアンスの中で内面化して実現すべきものだと、私は勝手に考えているのかもしれません、そう思っていて。

だから、普通は別に言わなくたって適合性の原則は守られていなければいけない、守られているのがノーマルな状態で。しかしながら、中には不道徳な、ちょっと失礼ですが、不道徳な投資サービス業者もいるだろうから、最後の一線として規制でそれの確保を図るということだと思うので。書きぶりだけかもしれませんが、規制による適合性原則の強制というのは、今申したように、むしろ最後の一線であって、適合性の原則というのはもっと当初から当然のこととしてマーケットの中の自制的なルールとして守られていくべきものだということは大前提なのかもしれませんが、ちょっとそういうニュアンスを少し出して頂きたいなというのがここでの要望というか。これだと字面だけ読むと何かこういう規制があるから仕方がなくという感じになりかねないところがあるので、ちょっとそこを申し上げたいと。

それで、2番目に移りますが、適合性の原則が1つのルールの柱というのはそうだと思うのですが、私が個人的に思っているのは、もう1つのルールの柱は受託者責任ルールの明確化ということではないかと思うのですが、受託者責任ルールの明確化という趣旨が、少なくともファンド規制の話のところとかに必ずしも明示的に記載されていないような気がして、私が見落としているだけかもしれませんが、これも受託者責任ルールの明確化ということは当たり前のことなので大前提で書くまでもないという感じなのかもしれませんが、そのあたりどういう位置付けになっているかを、これは質問というか、ちょっとクラリフィケーションのための質問として2点目伺いたいと思います。

それから、3点目は前回も、それからその前も申し上げた適用除外に関してルール化という話なのですが、投資商品の対象にするというのについては従来の整理に比べて8ページの3つのことも加えてそもそも対象にするかしないかを勘案するという話になっているのですが、前回淵田委員がおっしゃっていたように、そもそもは対象なのだけれども、その中で特定のルールに関して適用除外にするという点について、プロかどうかということしかこの中では触れられていないような気がしたのですけれども。適用除外にするかどうかのルールというときの勘案事項としてはプロかどうかという1点にもう絞られるという話なのでしょうかというのが3点目、2つ目のご質問ということなのですが。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。若干ご質問の点もあったと思うのですけれども、どうしましょうか。それでは、後でまとめてお答えさせて頂くということでよろしゅうございますでしょうか。ほかにもご質問があると思いますので。

原委員、どうぞ。それから、田中委員の順でお願いします。

○原委員

それでは、意見ということで6点意見がございますので、述べさせて頂きたいと思っております。

1つは、投資サービス法(仮称)ということの趣旨・目的ということで1ページから始まりまして、そして9ページまでが投資サービス法の趣旨・目的ということになっているのですが、9ページの(3)の投資サービス法の業規制が始まる前の4行のところに、金融商品全般を対象とするより包括的な規制の枠組みの検討については、投資サービス法の法制化とその実施状況を見ながら引き続き検討を続けていくという書きぶりになっているのですが、この書きぶりだと、投資サービス法の法制化とその実施状況までを見ると、やはり最短でも3年とか5年後という感じが見えて、私としてはせっかくいろいろな金融商品全般を含めての包括的、横断的な検討を金融審議会で40回も重ねてきているわけで、こういう書きぶりだと本当に長期の課題と見えてしまうので。私自身はすぐまたその次の枠組みを広げるための検討を開始していきたいと、政府としてもご判断頂いて検討して頂きたいと考えております。

それから、その次ですが、8ページです。ここの(5)で他の業法等で規制をされている金融商品などの取扱いということで、商品ファンドと不動産特定共同事業、商品先物取引及び海外先物契約の取扱いについては別紙3のような整理とすることが適当と書かれていて。別紙3は投資サービス法との整理が必要という書きぶりになっているわけなのですが、ここでの検討の経過を見ると、この商品ファンド、それから不動産特定共同事業、商品先物取引及び海外先物契約についてはこの新しい法律の枠組みの中に入ってくださいという、入るべきだという意見が複数の委員から何回にもわたって、多数の意見と言っていいかと思いますのが、述べられているわけで。私はやはりこの本文の中にも、当部会においては金融商品性に着目をして新法の枠組みに入ることが妥当であるという意見が多かったという記述を書き加えて頂きたいと思います。

それから、その次は、14ページですが、不招請勧誘の禁止などということで、15ページにわたってこの記述があるわけなのですが、なお、私は非常にこの記述、それから考え方については違和感を持っております。まず、15ページの3行目に「現行の範囲と同様とすることが適当と考えられる」ということで、金融先物取引だけが例示として挙げられていますけれども、この外国為替証拠金取引を規制をするときに考えたのは、確かに非常にトラブルが不招請勧誘ということで起こっているということで不招請勧誘の禁止規定というのを入れるということにいたしましたが、そのときの判断は、こういった非常にハイリスク、ハイリターンの商品については同様に考えて、ほかの商品群にもその範囲を広げていくというスタンスであったと思っておりますので、この上から2行目のところは、「現行の範囲(金融先物取引)と同様の考え方をとることが適当と考えられる」という、少なくともそういう記述にして頂きたいと思います。

それから、その次の段落について、その次の段落の中ほどから、「この点については、問題事例が発生した場合に、規制対象への追加指定によるか、適用除外からの削除によるかという違いはあるものの、実際には大きな違いはないのではないかとの意見があった。」という記述があるのですが、私は大きな違いがあると考えています。というのは、確かに個別の取引を指定するのか削除をするのかというその場面だけを見ると同じではないかというそういう印象があるかもしれませんが、実際に一般規定で不招請勧誘の禁止規定をおくということの意味は漏れがなくなるということですね。外国為替証拠金取引については法律の規定の中に漏れがあったためにああいった被害を、どこの省庁が管轄するのだということで被害を大変広げたというところがありまして、私自身は一般規定として不招請勧誘の禁止規定をおくことが漏れをなくすということで意義があるということになるので、この考え方は私としては大きな、見解が全く隔たっていると考えておりますので、ぜひここの書きぶりは再検討をして頂きたいと思っております。

それから、追加指定によればいいではないかという考え方なのですが、外国為替証拠金取引も2000年から新聞広告には出ておりまして、最初は為替マージン取引ですとか、それから保証金取引ですとか、国際為替証拠金取引とか多様なネーミングが使われていて、そういったものをどうくくって機動的に追加してできるのかということについても大変疑問を感じておりますので、やはり一般規定としておかれるべきだと考えます。

それから、不招請勧誘禁止と再勧誘の禁止規制なのですが、一般の人たちには大変わかりにくい言葉なので、ここでいう不招請勧誘、単なる不招請勧誘というと招かれてもないのに行ってというので非常に範囲が広くなってしまいますが、一応ここで考えているのは全く新たな顧客のところに一方的に電話とか勧誘、訪問をするということなので、それから再勧誘についても、私もやはり言葉だけでは誤解が生じるのではないかと思いますので、かっこ書きか注書きで丁寧な説明が必要ではないかと思っております。

それから、「また」以降で前回のご発言を踏まえてだと思いますけれども、2行目のところに「店頭金融先物取引に比べ利用者保護に手厚い取引所金融先物取引」と書かれていますが、利用者保護に手厚いかどうかというのはまだ何とも言いがたいところがあって、私としてはやはりこの文言は今の段階では妥当ではないと考えております。

大変気にしていますのが、取引所での金融先物取引について、今非常に駅で大きな広告を出されておりまして、駅のプラットフォームに立つと、丸ノ内線の新宿駅とか、それから銀座線の京橋駅なのですけれども、看板が立っておりまして、「安心な高利回り外国為替証拠金取引」というのが右側に書かれていて、左側に公設の取引所という形で抱き合わせ広告みたいな形のものがされているわけなのですけれども。私も電車の中からちらっと見ただけなのでちょっと違う点があるかもしれませんけれども。私自身は何か一般の消費者の目に広告媒体として触れるような形で広告をする取引ではないと考えておりますし。取引所金融先物取引が利用者保護に手厚いかどうかというところは削除して頂きたいし。再度申し上げたように、私としては一般規定で不招請勧誘の禁止規定は入れて頂きたいと考えております。

あとは、長くなりましたので、簡単にお話をしていきたいと思っております。その次が、31ページですが、ここは29ページから自主規制機関が何を行うべきかということについて書かれている部分の後段になるわけですが、31ページの5のところで、投資商品に係る苦情解決・あっせん業務の業態横断的な取り組みと書かれていて、なお書きで私ども複数の委員から意見が出されていたと思いますけれども、「業界団体とは別個の業界横断的な機関を設け、これに担わせるべきとの意見があった。」という何かすごくさらりとした書きぶりがしてありますが、実際は前回金融商品販売法の検討をしている段階でこういった苦情解決とかあっせんとか紛争解決についてどうするかというのは非常に大きな課題でした。そのとき結論が出なかったので金融トラブル連絡調整協議会が設けられて、各業界横断的に集まって検討を重ねて、苦情紛争解決についてのモデル案も作成をして、定期的に会合も設けてきております。岩原先生が座長をしていらっしゃいますので岩原先生からもご発言があるかと思いますけれども。そうして苦節5年やってきているいというところがありまして。どうしてこんな一人がポツッと言った意見のような扱いになっているのかというところは不満です。金融トラブル連絡調整協議会での検討、このことについては十分に盛り込んで頂きたいと思っております。

それから、32ページですが、これは民事責任規定の最後のところですが、「また、元本を超える損失のおそれがある場合について配慮すべきであるとの意見も踏まえ」ということで、これが具体的にどういう意見かということになるのですが、手数料の話が大変大きいと考えております。金融商品販売取引法を検討するときにも重要事項の説明義務というところで、リスクに関わるところを重要事項とするということでしたが、手数料もリスクに関わるというのでしょうか、元本割れをするおそれがあるものとしての存在するわけなので、利用者が払う手数料については少なくとも開示をすべきではないかということは随分その場でも申し上げておりました。私は今回、商品の仕組みとか取引の仕組みについて説明義務の対象に加えるということは書かれておりますが、手数料についても追加をして頂きたいと思っております。

そして、最後、33ページから34ページに書かれております金融経済教育についてですが、1行目に金融経済教育の重要性については何度も指摘をされているということなのですが、なぜ重要なのかについての記述が必要だと思っております。これはイギリスの金融サービス市場法を冒頭引用なさっていらっしゃいますけれども、あの中にマル1からマル4の規定がありますが、マル2の中に公衆の理解の向上という文言があります。これは、私はやはり大変大きな柱だと思っておりますので、そういう言葉を補足して頂きたいと思っております。

そして34ページですが、「おわりに」の前に、社会人向けの教育ということで、これは前回の私の意見だと思いますが、社会人向けについては教育だけではなくて、啓発という言葉をよく使ったりしておりますので、その言葉が妥当かどうかわかりませんが、教育だけではなくて、啓発・教育ということで文言を追加して頂きたいと思っております。

あとまた皆さんのご意見をお聞きしながらまた意見述べさせて頂くかもしれません。大変長くなりまして恐縮です。よろしくお願いします。

○神田部会長

いえ、どうもありがとうございました。

それでは、田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

私の方から意見を1つ、それから提案を1つ、それから質問を1つさせて頂きたいと思います。

まず意見なのですが、これは先ほど原委員が指摘された点と同じなので細かい説明はしませんが、8ページ目のところで他業法等で規制されている金融商品などの取扱いに関する整理、別紙3のところで、この商品ファンド、不動産特定共同事業、それから商品先物取引及び海外先物契約。これに関して前回のペーパーですと、特に商品ファンドに関しては、「統合することについて検討すべき」と書かれてあったのですが、それが今回は「関係を整理することが適当」という形にトーンダウンしていますので、これはもともとの出発点のところに立ち戻って、原点に立ち戻って、原委員の言われるように前向きに取り組む、包括的に取り組むというのが重要だと思います。これが意見です。

それから、2点目の提案なのですが、それは12ページの開示規制と行為規制の関係、及び25ページの適格機関投資家の範囲の拡大、これに関連しております。今回このペーパーで行為規制におけるプロの概念と開示規制におけるプロの概念、これが異なっている。当然これが合理的だとは思います。ただ、そこで1つ提案なのですが、具体的に例えば、かなり投資商品を保有しており、一定の手続によって個人から特定投資家、プロとなった場合でも、適格機関投資家でない限り、新規発行証券を取得して頂く場合、説明義務あるいは書面交付義務がなくなっても、目論見書交付義務というのが残る形になります。前々回のこの審議会の方で現在の目論見書の大きさ、厚さというものを皆さん方にご提示したのですが、この目論見書交付というのが、この交付義務というものが必ずしも投資家にとって望まない場合でもしなければいけないという煩雑なものになっているというか、非常に投資家保護ではあるのだけれども、利便性を損なっているような部分もございます。こういうことで、目論見書交付義務に関してさらに改善をお願いしたいと思うのですが。

その同じ流れで、この特定投資家に関しまして、一定の手続で特定投資家になった場合、説明及び書面交付義務というのがなくなりましても目論見書交付義務というのが残ってしまいますので、この特定投資家に対しての目論見書交付義務というのもなくすということを検討して頂きたいと思います。

この特定投資家というのはもともと知識、経験、財産が相当高いレベルの状況にあり、投資家自身が、自分自身、目論見書を手にしてそれを読む必要があるかどうかというのは判断できるはずで、いらないという判断もできるはずですので、この交付義務を免除する方向で検討して頂きたいと思います。これが提案です。

それから、最後に質問になるのですが、20ページの集団投資スキームに関してでございます。前回の資料では仕組み規制に関して具体的なポイントが記されていました。対象範囲から株式会社、合名会社、合資会社、営業信託を除外すること、それから事後届出を課すこと、分別管理、受託者責任、利益相反防止措置、定期報告、ファンドに対する報告徴求。こういう具体的な規制というものがこのポイントが掲げられていたのですが、今回はファンドについては、「実効性ある横断的規制の整備が必要」と、それだけにとどまっておりまして、ちょっと具体的な内容というのがわからない形になっております。これですと、集団投資スキームについてもどのような規制に考えているのかというのは全く見えないと思います。

それで、具体的には、例えば平成電電のようなシステムリース事業への匿名組合出資などというのは、今後規制対象に入れようと考えられているのかそうでないのか、そこについてお伺いしたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、今までのところでご質問が幾つかあったと思いますので、お答えできるところについてお答え頂けませんでしょうか。

○三井市場課長

まず、受託者責任というのが適合性の原則と2大原則であるというのはご指摘のとおりであると考えていまして、当然のことながら法律をつくっていくときにはそういうことになると思うのですが、たまたまこれつくるときに議論の議事録を見ながらつくったものですから詳しくたくさん書いてないということでありますので、そこのところは部会長と相談してちょっと検討します。

それから、適用除外のルール化は、この考え方というのがすべてのところに、8ページですね、8ページの基本的な考え方がすべてのところに及んでいくということで、最初のところに書いてございます。特に適用対象に入れる入れないというところはそういうことになってくると思います。それから、開示のところには直接直結しない話になりますので、開示のところは開示のところでそれなりの整理をいたしております。

そういうことで、個々の細かい規制が、例えば行為規制でクーリングオフみたいなものは価格変動があってという話はそれぞれの項に書かせて頂いています。それに共通するものは基本的にこの8ページの考え方に照らしてみていくということと、プロアマの基準とその考え方に照らして考えていくということでとりあえず整理してございます。もちろんそれ以外の個々の項目で細かい点で差を設けるべきというところがあれば書いていくということだと思いますが、一応それぞれの項目のところでどういう意見があったであるとか指摘があったであるとかそういうことが考えられるというところで、そうでないケースがあるというところは議事録の中から拾わせては頂いているつもりであります。なおちょっと検討させて頂きます。

それから、ファンドのところの仕組み規制でございまして、これは具体的なところ確かに、これは部会長と相談の上で細かなところは別紙1以下に書いてございます。確かに集団投資スキームのところについてもこういうものがあった方がいいということであれば、その別紙の中に追加していくということを検討したいと思います。

○神田部会長

そのぐらいでよろしいですかね。原委員からのご質問について……。

私からちょっと気がついた点を申し上げさせて頂きたいと思いますけれども。若干重複するかもしれませんけれども。池尾委員からのご指摘はおっしゃるとおりでして、ちょっとその表現を工夫させて頂けるのではないかと思っています。ですから、受託者責任をきちんと書くとすれば、12ページの行為規制の全体像のところで当然の原則であるというようなことを書いて、それから次のページの3の適合性原則のところはご指摘のような考え方で書くということになると思います。

対象からの除外というのは6ページの上で一応プロの場合だけという趣旨ではなく書いてあるはずなのですけれども、ちょっとここも書き方の問題があると思います。

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

適用除外のルール化というのでお聞きしたのは、7ページの下から8ページのところに書いてある話は、金融商品を対象にするか対象にしないかということについての考え方の整理ということなので、私がお伺いしたのは、同じ金融商品を取り扱っていても行為規制に関して、行為者の属性とか両者が販売対象にしている投資家の性質だとか、そういうことによって行為規制が適用除外になるケースがあるはずで、そこのところの考え方についての事前の明示化という意味のルール化というのが必要ではないかということを申し上げていたので、その点がどうなっているのでしょうかというご質問だったということです。

○神田部会長

ありがとうございます。2点ありますね。1つは、今おっしゃっていることは、どこの場所にどう書くかという問題と。それから、2点目は考え方をきちんと書くということですね。1点目は、三井課長がおっしゃられたように、現在はそれぞれのところに書かれているので、それを私が申し上げた6ページ、あるいは今ご指摘の8ページあたりに総くくりの文章も書く必要があるだろう。これは書き方の問題。

それから、2点目の例えば行為規制の除外をする場合の考え方をもう少しきちんと書く、それは工夫できると思います。今もそれぞれのところに多少は書いてあると思うのですけれども。ちょっとそこはよりわかるようにと思います。

それから、原委員からも幾つかご指摘がありましたけれども、私が事務局とは多少感覚が違うかもしれませんけれども、次の何と言うのでしょうか、ホップ・ステップ・ジャンプという人がいますけれども、その表現がいいかどうかはともかくとして、3年、5年かけて次の議論があるということにつきましては、ここでの文章は引き続き検討ですので、そういうことでそんなに違いはないと思います。

それから、不招請勧誘のところは14ページの、これはご意見だと思うのですけれども、外為証拠金を入れたときはそこにも書いてありますけれども、15ページの1行目にありますけれども、商品性だけではなくて、必要な勧誘の実態というのと両方だったと思いますので、表現自身は同様の考え方でもいいと思うのですけれども、日本語としてはですね。そこは意見はもちろん分かれ得ると思います。ですけれども、そういう趣旨ではないかと思います。

それで、あと再勧誘とかわかりにくいというのはそのとおりで、工夫ができれば、何か用語の説明みたいになるのでしょうかね。

それから、苦情解決の点は私もちょっと気になっていたのですけれども、ちょっと今日は岩原委員がご欠席です。ちょっと伺いたいのですけれども、トラブル連絡協議会の方では業界、ここの31ページの文章でいいますと、業界横断的な機関を設けるという議論をしておられたのですか。私の理解はそうじゃないものですから。この31ページは、業界横断的な機会を設けるべきであるということですので、私これ検討に大いに値すると個人的には思っていますけれども、ちょっとその協議会での作業というのは非常に高く評価しますけれども、この「なお」の文章とはちょっと違う考え方かなと思ったのですけれども、どうなのでしょうかね、この点は。

どうぞ。

○原委員

岩原先生名簿にありましたので出席かと思いましたが、実際に金販法ですね、この金販法を検討している過程では、金販法は販売勧誘ルールのところだけしか定めておりませんが、もっと全般的にいろいろな議論をしておりました。その中で苦情とか紛争解決についてもどうあるかというのは大変大きな柱で検討していたわけなのですが、実際に金融商品販売法という販売勧誘ルールのところだけに収れんをしていく過程で、この苦情とか紛争解決については別途検討する仕組みを設けましょうということで、金融トラブル連絡調整協議会が設けられたということです。金融庁のもとに集められたというのではなくて、金融庁もそのメンバーとして加わっているという形の構成になっています。

最初はこういった金融商品とか金融サービスに関するトラブルについて、どう解決をしていくのかということについて苦情、それから紛争と双方に分けて、それからその前に総則がありますけれども、3部構成でそれぞれにモデルというものを作成しております。その後はそのモデルどおりに行われているかどうかということの検証とか、それから銀行で保険商品を販売したりをするということになったので、各業態間の移送のルールを定めたりということをやっておりまして、高橋委員も同じメンバーなので後で補足して頂けたらと思うのですが、18事業者団体ぐらいが加わっている。それに消費者団体も加わった形で検討していることになります。

そのモデルをつくったときにはかなり業態横断的、そして将来的には一本化した形の自主規制機関、本来の意味で自立した自主規制機関でこういった苦情とか紛争解決とかを担うということを目指してそのモデルもつくってきたというところがあります。

5年間検討をしておりまして、この5年間の検討というのは、やはりそこでの成果というのは何度も金融トラブル連絡調整協議会でも金融審議会の場に戻して頂いて、再度この苦情とか紛争解決を金融行政全体の中でどう位置付けるかということの検討をしてほしいということを申し上げてきております。なかなかそういった場が設けられなかったのでこの5年間補足的にどこかの段階でご意見を申し上げるしかなかったのですが、やはり今回こういう新たな大きな枠組みをとられるということであれば、私は大きな柱として検討を尽くして頂きたいと考えております。

少なくとも金融トラブル連絡調整協議会での検討結果というのはこの文章の中に盛り込まれるべきだと思います。

○神田部会長

わかりました。この項目だけにあまり時間費やすのもどうかと思いますので、また事務局の方でも確認して頂きたいと思いますけれども。私の理解では、最後の点は盛り込めればと思いますけれども。モデルは1つであり、横断的にということであったと思うのですけれども。機関を1つにしますという方向でのご議論ではなかったように思っていたもので。ただ、私は間違っているかもしれませんので、確認させて頂いた上、また次回に反映させて頂きたいと思います。

あと、手数料は、原委員のおっしゃったこと、どこかに書いてありますが、15ページですね。ですから、業者ルールの方で手数料開示をここでは書いてありますので。金販法の文脈でおっしゃったのですけれども、ちょっとそこは整理させて頂きたいと思います。

あと、金融経済教育のところはご指摘のとおりだと思いますので、なぜ必要かということと。それから、これ私も今ちょっとそれを伺っていて気がついたのですけれども、33ページの下の方にいろいろな意見がこれまで出された意見を書いてある。「こうした取組みのほか」ですけれども、その上に「取組みを進めてきている」というところで終っていますけれども、この取組みを引き続き推進するべきだということを書いた上で下の文章にいった方がいいですね。そんな気がいたしました。

あと1点だけ、私の方から、田中委員のおっしゃったうち、2つ目は非常に難しい問題で、これ私も非常に重要な話だと認識していますので、ちょっとこれまで出された意見と今日のご指摘を踏まえて事務局の方でよく整理して頂きたいと思っていますが。

3点目については、別紙に書くべきところをちょっと落としてしまいまして、何か変更したということではありません。ただ、今回のトーンは、ファンドのルールって非常に難しいのですけれども、私の理解では、ちょっと違っているかもしれないのですけれども。中間整理とは若干重点の置き方を変えてきつつあります。どういうことかといいますと、中間整理はファンドはやはり仕組み規制でしょうとこういう考え方だったのが、投資サービス法というのは投資サービス業者ルールでしょうと。ですから、本来業者ルールの中に入っていくもので、これ黒沼委員がおっしゃったと思うのですが、その仕組みの届出制とか何とかというのは業者ルールを実効性あるものにするための手段だというそういうことで頭の整理ができないか。実際のルールはそんなに変わらないし、それから歴史的な経緯がありますので、それで全部きれいにいくかどうかというのは必ずしもよくわからない点はあるのですけれども、重点の置き方としてはそういう書き方がしてあると思います。ただ、いずれにしても前回のものをやめたとかそういうことではありませんので、この点は別紙にでもして明らかにして頂いた方がいいと思います。

あと、ほかにもあるのですけれども、原委員のご指摘の不招請勧誘のところにもほかに意見があったというところは削除してもいい部分もあるように思いますけれども、そういった点はまたちょっと事務局の方でよく整理して頂きます。

それでは、野村委員が先だと思いますので、それから太田委員の順でお願いします。

○野村委員

お時間ちょうだいして恐縮でございます。1点だけでございます。私がお話をしたいのは、先ほども話題になりました将来の展望として金融商品全般を対象とする規制の枠組みの検討というところで、9ページ目の最後のパラグラフのところでございます。何を申し上げたいかといいますと、これまでの投資サービス法に関する長い議論、これまでの従来の議論というのがどうしてもベースになっておりますために、リスクのある商品に対する販売の方が非常に厳しい規制の必要性のあるものと。場合によってはリスクが大きいので規制を厳格化しなければいけないというそういう発想がどこかに存在しているやにやや思っているわけでありますが、逆にいいますと、保障性のあるような、まさにリスクのない商品については、その商品の特性に則したよりまた別途な規制の枠組みというのが検討されなければいけないと。それは場合によってはリスクのある商品よりも厳しい規制になる場合があるということが認識されるべきなのではないかなと考えております。

具体的にいいますと、保険業法はかねてから募取と言われていた法律が存在していた時代から募集については厳しい規制が存在しているわけでありますし、現行法の保険業法でも300条等には非常に厳しい規制が存在しているわけであります。さらには適合性の原則との関係でご紹介のあります適合性レターにつきましては、イギリスの法文をつぶさに検討しますと、やはり保険というところに適合性レターの必要性がリンクされているという部分がありまして、そこはやはり分析をきちっとすべきところではないかなと考えております。

したがって、次のフェーズでこの問題を拡大していくときの1つの考え方としては、この投資サービス法と同じ規制を保障性のない商品にも及ぼしていくのかという発想ではなくて、そのほかの投資性のない商品に特有な規制のあり方というものもより一層分析をした上で、横断的な規制のあり方を検討するというステップに入って頂きたいと、そういう趣旨でございます。

それを報告書にどう書いて頂けるのかというのはちょっとやや難しいですが、例えばここの最後のくだりのところを、「投資サービス法の法制化とその実施状況あるいは中長期的な金融制度のあり方」というだけではなくて、例えば投資性のない金融商品の特性に則した規制のあり方といったようなものも検討するというような形でやや書き込みを入れて頂けますと、次のステップにつながるのではないかなと考えています。よろしくお願いいたします。

○神田部会長

大変貴重な、投資性がないと言っていいか、投資という、お金を出すというのを定義としますと全部入りますので。表現はともかく、おっしゃっていることの実質は。

○野村委員

もう発言の機会はなくなりますので、よろしく。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、太田委員、どうぞ。

○太田委員

私の方から2点でございますが、まず1点目は、15ページの不招請勧誘の「また」以下のところで、先ほどの原委員のご意見に対するものでございますが、先般、私がペーパーで意見を出させて頂いた資料に店頭の為替証拠金取引と取引所の為替証拠金取引の違いを明示しておりますが、明らかに利用者の保護にいろいろ配慮された商品内容になっておりまして、原委員がどういう観点からおっしゃったかよくわかりませんが、これは事実だと思います。

現在、長い間金利が低金利のままで個人の方も大変運用難に苦しんでおられるという背景と、最近は円があらゆる通貨に対して円安になっているという状況を踏まえて、為替の証拠金取引は大変膨らんでいるわけでございます。そのような一種のフィーバーになっておりまして、投資家のニーズがある状況を踏まえて、できるだけ早く投資家保護に優れた商品を早く投資家に認知して頂くということが必要だという観点から意見を述べさせて頂いているわけでございます。その辺をよくご理解を頂きたいと思います。

それから、2点目は29ページなのでございますが、(4)の取引所の上場の件でございますけれども。ここで上場と自主規制機能の組織の独立性がリンクされておりますが、自主規制機能の独立性というのは上場するかしないかに関わらず営利法人化した場合には問題になると思います。したがって、28ページ以前の、27ページとかの論旨はよくわかるわけでございますが、上場するかしないかによって自主規制機能の独立性がそれ程変わるものだろうか。もともとこの問題は私の理解では、証券取引所が自分の市場に、自己のマーケットに上場しますとゲームの審判員とプレーヤーが同じになってしまって、そこでもって利益相反の問題が生じないかということから発しているのだと思います。

証券取引所が自分のマーケットに上場することについての問題がいろいろある。ニューヨークの証券取引所についても、そういう意味で上場する場合には独立させるべきではないかという議論が出てきている。他方、例えばアメリカの大きな先物取引所でありますCMEとかCBOTは最近上場しましたけれども、その上場に際してアメリカで自主規制機能の組織を独立すべきであるという議論は全く起こっておりません。したがって、自市場に上場する場合においての問題としてはよくわかるのでございますが、一般的に上場したからといって、例えば私ども取引所でありますとか、商品先物取引所とかが上場する場合には、それは少し違うのではないか。もともと営利法人化する場合に営利性との整合性ということで自主規制機能を独立させるという意見はよくわかりまして、それは上場するかしないかに関わらず必要なことではないか。

だから、ここの書き方はもう少し分けて明確に書いた方がいいのではないかという意見でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

原委員から、今の太田委員の点について、ちょっと私から具体的に確認させて頂きたいのですけれども。15ページのところで、私もこれ読んでいて先ほどちょっと舌足らずだったかもしれませんが、今、太田委員の「また」という部分の上の、原委員ご指摘の「この点については追加も削除も違いはない」という点。は先ほど原委員はおっしゃった箇所です。確かに議事録から拾ってずっと書いておりますので、今回の報告案は意見があったというのも出させて頂いているのですが、この意見をおっしゃった方の同意がもし得られれば、この点についてはというところは削除した方が読みやすくはなりますね、ご意見は分かれるところかとは思いますけれども、原委員のようなご意見ももちろんあるでしょうし。と思うのですけれども。ですけれども、次の「また」以下は重要なところなので、店頭金融先物取引に比べ利用者保護に手厚いという点については、手厚くないのはどういう点かということはやはり原委員から言って頂かないと。この間太田委員から手厚いということは制度的にそういう差があるということは紙を示しておっしゃって頂きましたので。多分ここでの報告としては文章としてはここにありますように「検討を行うことが適当」という文章、程度と言っては失礼ですけれども、というような書き方になるような気はするのですけれども。ちょっとその点、今日でなくても結構ですけれども。

○原委員

私、何というのでしょうか、もうイエローカードが出るぐらいの発言をずっと続けておりまして、レッドカードに変わる前にまだ発言を続けること申し訳ありません。ここは私の感じとしては、確かに仕組みとしては店頭金融先物取引に比べると取引所金融先物取引は利用者保護に手厚い、前回お示しになったとおりかなとは思っているのですが、ただ、何分まだ取引所での金融先物取引が始まったばかりで、仕組みがそうなっていてうまくいくかどうかというところはまだちょっと見きわめがいるかなと思っています。

それで、大変驚いたのは、先ほど言ったプラットフォームで見かけた広告なのですね。私としてはやはり外国為替証拠金取引はハイリスク、ハイリターンの商品で、一般の対象に向けて広告をするとか不招請勧誘するという、それで取引に入って頂くというものではないと感じているものですから。まだちょっと早急にこの文言で出されるのはどうかと感じたというところですね。

それから、もう1点先ほどちょっと落としたなと思っているのですが、そういう意味では、不招請勧誘禁止の対象から除外するというのも、現段階で即そういう判断をしていいのかということについても私は疑念を持っておりますので、ここについても再検討を尽くして頂きたいと考えております。

ですから、私自身は取引所金融先物取引になったにしても、商品性自体、ハイリスク、ハイリターンの商品であるというところから、なお一般の方々がどういう、先ほどフィーバーとおっしゃいましたけれども、本当にフィーバーの状況になっておりますので、もう少し見きわめが必要ではないかと考えております。

○神田部会長

ありがとうございました。その点はちょっと文章については検討させて頂きたいと思います。私の理解では、繰り返しになりますけれども、外為証拠金のときの法改正は商品性と、そのページの一番上の表現をそのまま読むと、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態というこの両方から導入されましたので。今、原委員がおっしゃっているように広告等が適切でないというご意見はあると思いますし、それはそれでいいかという問題はあると思うのですけれども、取引所取引については。執拗な勧誘、利用者の被害の発生という実態はないのですが、形式的に入ってしまった。逆にいいますと、まだ取引所はそういうことをちょうど同時並行的に恐らくお考えであったという時間的な時期の問題もあったと思いますので、そういったことも踏まえて、太田委員のご意見、それから原委員のご指摘も踏まえて何か文章をと思います。

いかがでしょうか。

○三井市場課長

ちょっとここのところ書き方をまた部会長とも相談しながら再検討させて頂きます。

ちょっと悩みが幾つかございまして、ここの金融審議会の第一部会でご議論頂いたときは、店頭取引として問題になっていた外為証拠金というものを具体的に念頭に置いて議論したということなものですから、議事録を拝見させて頂きますと店頭取引であるという特色をベースにご議論がされています。ということで、ここにも一部、一言だけ引用していますが、商品性とか執拗な勧誘とか利用者の被害の発生と、こういうことを具体的なケースを念頭に置いて記述している一方で、法律の仕組み、たまたま金融先物取引法というのが投資サービス法になっていないものですから柔構造になっていなくて、やわらない構造になってなくて硬い構造ですので、そのとき問題になって議論をベースにしているものよりもオーバーキルになってしまっているということがございます。したがって、そのとき存在していなかった取引所取引に対して、悪い言葉でいうと、議論なく自動的に切ってしまっているというのが法律の今の書き方である。

したがいまして、素直に考えると、店頭取引については不招請勧誘を禁止するということでこの部会としてコンセンサスが確立していると理解していいと思いますが、取引所取引について法律で勝手に規制している、ここの審議会のコンセンサスに基づいて、いわば政策判断をした上でやっているというところになっていないところが前々回の部会のこの審議経過と報告書と、今回のこの法律を組み換えていくに当たっての制度設計上の悩みであります。

したがいまして、あえてここで書かせて頂いてご議論頂くということになると思います。そして、コンセンサスの得られたところは法制化していくということになるのではないかと思います。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。それでは、ちょっと名札の順番と違うので申しわけございませんが、先にオブザーバーの小島さん、どうぞ。それから、和仁委員の順番で。

○小島オブザーバー

改めて本日当部会に参加の機会と、またこのように発言の機会を頂きまして、まずはお礼申し上げます。

ご存じのとおり、我々大阪証券取引所は4年前に株式会社に移行し、昨年株式を上場しております。この株式上場を機に、自主規制機能の強化を図るべく社外取締役を過半にするとかといったいわゆるガバナンスの強化、そして自主規制部門とその他業務部門とにファイアーウォールを設けるなどの諸施策を順次導入してきたところでございます。

さらに、現在かかる自主規制機能の一層の強化ということを目指しまして、大証市場の特性、いわゆる商品特性や組織の規模とか、そして大証の置かれている環境等を踏まえまして、現在有識者からなる自主規制委員会、この自主規制委員会は取締役会の諮問委員会でございまして、この自主規制委員会を中心に現在検討を行っており、本審議会の検討状況を踏まえまして、来年早々にも組織形態のあり方について結論を出す予定であります。

本日このような機会を得ましたので、報告書案の取引所関係部分の26ページから29ページにかけ,幾つかの点につきまして意見を述べさせて頂きたいと思います。

まず、取引所における取引対象範囲の横断化についてでありますが、我々大阪証券取引所といたしましては投資サービス法を受けまして、上場可能な商品の範囲が拡大すること、そしてさらに上場商品が届出制になることにつきましては市場のニーズへの柔軟性、そして迅速な対応を可能とすることから歓迎しております。

次に、2番目の自主規制機能を担う取引所の組織のあり方、この部分につきまして3点ほど意見を述べさせて頂きたいと思います。

まず、1つ目は、組織選択にあたりまして、各取引所の置かれている環境がそれぞれ異なっていることから、そうした取引所の自主性が尊重される考え方が本報告書に書かれておりまして、これにつきましても我々としては歓迎いたしております。

次に、2つ目、この件につきましては前回報告書等の議事録を拝見いたしますと、東証の吉野委員も触れられた点でありますけれども、同一法人内で自主規制業務を監督する自主規制委員会の法的位置付けにつきましては、やはり同委員会の独立性をより強化するため、また我々大阪証券取引所は上場取引所であることから、やはり不特定多数の株主等の理解を得るためにも、証取法等でその位置付けを明確にされることが望ましいと考えております。

もう1つですが、自主規制の強化にあたりましては、自主規制部門と市場運営部門、この点につきましては先ほども申しましたように、既にファイアーウォールを我々としては設けており、非常に重要だと考えております。しかし、市場運営部門からの情報、具体的にはリアルタイム情報の監視、そういう不正取引等に関する情報が、ときには同部門との連携について,やはり自主規制の効果的な実施に必要な場合がございます。両部門の壁を今後検討する際にはこうした協力、連携に配慮したものとなることが我々としては望ましいと考えております。

そして、3つ目でございますが、29ページの取引所の上場についてというこの項目についてでございますが、本所は既に上場しております。上場することによる取引所としての透明性の向上、あるいは意思決定の迅速化、関係者の意識改革、その実効が図られており、大きなメリットがございます。これは自主規制機能の強化にもつながっております。ただ、特に短期的な利益を要求する株主に対しまして、いかに対応するかが今後の課題となっているところでございます。

自主規制機能を初めとする証券取引所の長期的、安定的な運営を確保するには、やはり現行の主要株主規制は我々としては不十分であり、何らかの法的な手当が必要と考えております。

以上が意見でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

ありがとうございます。本当に意見がこれだけ分かれた審議会をよくまとめて頂いた座長及び事務局のご苦労大変だったと思います。

何点かコメントさせて頂きます。強い意見というものではございませんが、先ほどから議論になっております現行の法規と投資サービス法の関係ということで9ページのあたりに書いてあることなのですが、やはり金融サービス法が一体どこをカバーしているのか、それから何をしようとしているのかというのが、これだと現行の法律は一体どうなるのですかということとの関係で皆さんわかりづらい。もちろんこれは非常にタッチーなところがあるのだろうと思いますけれども、そこの部分も含めて、わかりやすいようなイメージ図をつけて頂けると非常にありがたいと思います。

ことに、証券取引法と同じようなレベルの規制をかけるということをおっしゃって、証券取引法がすべてを一応基本的な規制ルールになるのだろうと考えると、金販法は消えていくのだろうと思っていたら、金販法はまだ生き残るということも書いてありますので、やはりちょっと一般に流布している投資サービス法と今我々がここで述べている投資サービス法は一体どこに差があってどういう過程にあるのか、イメージとしてこうなのだというものをつけておいた方が説明資料としてよろしいのではないかなと思います。

それから、これも技術的なことになるのかもしれませんけれども、11ページの業規制の柔構造化、これは誠にそのとおりだと思うのですけれども、第一種業種、第二種業種、仲介業と分けてあります。恐らく第一種業種は資産運用とか投資・助言も全部できるのだということですべての投資商品を対象とするすべての業務と書いておられるのだろうと思うのですけれども、第一種と第二種は兼業しなくちゃいけないのかというご質問を受けたりすることがございますので、ちょっとそこのところの書きぶりをお願いいたします。

それから、仲介業のところですけれども、なぜ所属会社制にしなくちゃいけないのかということのご説明をやはりつけておいて頂いた方がいいのではないかと思います。

それから、飛びますが、33ページでグローバル化への対応。これ前回コメントしなかったので申しわけないのですけれども、情報交換ができないから問題だということで早期解決しなくちゃいけないということが書いてありますが、何を目的としてこれが必要なのかということについては、証券規制当局が証券取引・市場を適切に監視・監督するためにはと書いてありますけれども、実際にはそれ以外にも国際的に整合性があるルールを定めていくためにはこれが必要なのではないか。例えば私募のルールに関しても金融庁のご解釈で勧誘対象に国外にいる人が出てきたらどうなのですかということについてのご判断が揺れたりしておりますので、やはり整合性のあるルールをつくるためにはこういうことをやることが必要なのだということを一言お書き加え頂きたいと思います。

それから、最後に、細かいこと、技術的だと言われれば技術的なのですが、私全部の会合に出ていないのでよくわからないのですけれども、38ページ、別紙の2のところの各金融商品の取扱いに関する整理で、学校債・医療機関債ということで、学校債についてはより多数の一般投資家に対して発行されるという事例があるといった実態に鑑み、学校債に対しては指定を進めることが適当と考えられるということについてですが、医療機関債というのは新しい商品ですけれども、やはりこれもなかなか買う方にとって病院の方から頼まれたら買わざるを得ないという個人的な関係も働く微妙な部分があります。なおかつ、やはり自由度が効くところにどんどんいびつな商品が発生するということは事実ですので、やはりここは学校債と同じレベルの規制をかけた方がよろしいのではないかと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。イメージ図の点につきましては、イメージ図が得意な方が事務局にもいらっしゃると思いますので検討して頂ければと思います。

お隣の吉野委員、どうぞ。

○吉野(直)委員

感想なのですけれども。これ新しい金融商品が出てきたときに、それが早く市場に出て、プロに対してはその商品が早く行き渡ると。それで日本の金融業のイノベーションをやはりぜひ促進するようにして頂きたいと思いまして。そうしますと、やはりいろいろな商品ファンドとか不特定、特定共同事業とかこういういろいろなものがまた別にありますと、そういうイノベーションをむしろ阻害していろいろなことを見なくてはいけないのではないかと思うのです。ですから、私はぜひこの際共通のところに1つに引いて頂くのが日本の金融業のためにもなるのではないかと思います。

それから、プロの商品であってもある程度ヘッジとかいろいろなことができてくればアマの商品になっていくわけですから、ここでは投資家の方でアマかプロかというところを非常にいろいろ区別されていますけれども、商品の方自身もプロからアマへということはあり得るわけですから。そうすると、それをこの条件を満たせればいいと思いますので、どこかに少し触れておいて頂ければと思います。

それから、最後は、和仁委員と同じです、海外との情報交換というのが日本の場合やはり諸外国との整合性が足りていないところがありますので、ぜひそういうところは行政と、それから民間も含めて情報交換がスムーズになるようにやって頂きたいと思います。そうしませんとやはり日本の金融業が海外で活躍される場合にも足かせになると思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、鮎瀬さん、どうぞ。

○鮎瀬幹事

ありがとうございます。19ページ目で触れられておりますプロ向けの場合に適用除外する行為規制という部分に関しまして1点申し上げさせて頂きます。これまで明示的に議論されていないと思いますので恐縮なのですけれども、行為規制のうち資産運用ですとか運用の助言に関する行為規制につきましても、例えば当事者間での合意による軽減をどこまで認めていくかといったような点でプロとアマを区別していく余地があるのではないかと思っております。今回報告書で触れられているのは販売・勧誘のところでのプロ向けの適用除外についてだけですが、そういった資産運用・助言の面でのプロ向けの扱いというのも何らか含みを残して頂けるようであればありがたいと感じました。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

今までのところで事務局の方から何かありますでしょうか。

○三井市場課長

イメージ図でございます。それぞれ中身が固まった段階でイメージ図つくっていかなければいけないという認識はあります。したがいまして、この報告書、どうまとまるかわからないので、今つくりようがないのですが、まとまったとすれば、それについてまとまったものはこういうものですというのをつくっていくということになります。

さらにそれに加えて具体的な個々の法律面についてどうなのかというのは、その固まった時点ということは、結局法制局の審査が終わったところということに、あるいは各省協議が終わったところということになってくると思います。したがいまして、個別具体的な法律名とか具体的な条文名を入れたようなものというのは多分その12月段階では固まっていないということになろうかと思いますが、いずれにしろそれぞれ書ける段階になったところでそういうイメージ図を書いて、それぞれのところでご説明の材料をつくっていくというのは当然責務だと思っていますので、まとまりましたところで、22日が閉まらないとわからないのかもしれませんが、何か考えていくという必要があろうかと思います。

それから、国際的な整合的なところは少しまた相談させて頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、淵田委員、まずどうぞ。

○淵田委員

8ページのところですが、対象範囲の議論で、マル1マル2マル3というのが明記されましたが、今回まとめなくてはいけないというところから逆算しますと、マル2とかマル3が入らなければならないというのは大変理解できるところでありますけれども。ただこのマル1マル2マル3、並列的に並べていいものかどうかという気はいたしまして。マル1については、これはもうリスク、リターンと同列というか、同じくらい基本的な基準として当然入ってくるべきものだと思っております。これに対してマル2については、規制対象に入れた上で個々のルールについてこうした属性を勘案して不適切なルールは適用しないといった柔軟性を持った法律にするわけですから、このマル2の属性を踏まえて最初からあなたは規制対象じゃないよと言い切ってしまうということに使われるのはやや疑問があるなという気はいたします。

それから、マル3については、そもそも2ページとかに掲げられていますように、今回の議論が現在の縦割り業法の弊害を見直していこうというところからスタートしているわけでありますから、他の法律でカバーされていれば対象外といった発想は、本来入り込んではいけないようなものだとは思っております。ですから、このマル3については非常に厳格に考えていかなくてはいけない、厳格なテストを経た上で、本当に投資サービス法をいくらやわらかくしてもそれに入れちゃうことは国益に反するというぐらいのケースに関してこういう考え方を適用していくという、それぐらい慎重であるべきかと思っております。

ですから、このマル1からマル3、8ページにあるもの、並列で同じような重みとして示すよりも、もう少し濃淡をつけて書くという考え方もあるかと思っております。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは立岡委員、どうぞ。

○立岡委員

ありがとうございます。意見と、それから質問をさせて頂きたいと思いますが、まず、ページ11から12の2.業規制の柔構造化というところについてでございます。私どものベンチャーキャピタルはこの報告書によりますとどうも第二種に分類されるような形だと推測をしておりますけれども。別紙7で、45ページでございますが、2.財産規制というところで、これの2番目のポツですね、「最低資本金規制又は営業保証金規制を設ける」と書かれてあります。この資本金とか保証金がどの程度になるのかというのは現在私どもではわからないのでございますけれども、アメリカのベンチャーキャピタルの例をいいますと、日本と違って優秀なベンチャーキャピタリストによる個人創業が多くてそれが大きく発展した形になっているのが今のアメリカのベンチャーキャピタルでございます。

日本でもいよいよそういう時代に入ってきているかなという感じがしておりますので、この財産規制ということによって参入障壁を設けるということはそういう時代に逆行しているのではないかということをぜひご配慮頂きたいなと思います。

それから、46ページの業務範囲というところでございますが、ベンチャーキャピタルがもし第二種業者の資産運用業者と見なされるのであれば、他業を行う、つまり兼業制限が設けられる可能性があると考えております。ベンチャーキャピタルはベンチャー企業を育成する過程において投資、いわゆるイクイティーで投資をする以外にもデッドファイナンスですね、融資、これを行う必要がございまして、日本のベンチャーキャピタルの多くは貸金業登録をしているところが多くございます。この点、ご配慮を賜りたいなと思っております。

次は質問でございますが、ページ20の集団的投資スキームについてでございます。前々回ですか、確認をするのを忘れたのでございますけれども、例えば日本のベンチャー企業に投資をする目的で海外投資家と日本のベンチャーキャピタルが共同で設立したファンドについては、今回の投資サービス法というのは適用除外と考えてよろしいのかということでございます。海外の投資家の中には秘密保持を条件に出資をするというところも多くて、もし今回の投資サービス法が適用されることになれば、日本のベンチャーキャピタルが海外でファンド募集をする際に非常にハンディを負うことになりますので、この点、金融庁の方ではどうお考えになっておられるのかということをお聞きしたいと思います。

以上です。

○三井市場課長

具体的な適用関係は今後の詰めになると思いますが、原則一般の日本国内の人に対して一般的、特にアマを念頭に置いて勧誘・販売をしていくという場合に適用対象になるというのが出発点であろうかと思います。その場合に、海外の投資家と日本の投資家、その2つを混ぜ合わせて投資を受け入れているという場合の日本の投資家が一般大衆、要するにアマであるという場合には、原則アマ向けの保護、投資家保護というのが図っていかないといけないというのが出発点であろうかと思います。

片や日本の投資家がプロばかりであるという場合と、プロの日本の投資家と海外の組み合わせという場合には、ここにもありますような、簡素な規制ということで具体的にどのような規制体系がいいのかというのをまさに資金の円滑化の支障にならないという、ここにも書きましたような、あるいは金融のイノベーションを阻害することにならないようなという観点から具体的にどういう簡素な規制がいいかということを事務的に詰めていく必要があろうかと思います。

○立岡委員

ベンチャーキャピタル以外はすべて海外の投資家の場合はどうなのですか。

○三井市場課長

すみません、ベンチャー……。

○立岡委員

ベンチャーキャピタル以外はすべて海外の投資家の場合はどうなのでしょうか。

○三井市場課長

ベンチャーキャピタルがファンドという意味ではなくて。

○立岡委員

ベンチャーキャピタルはファンドには出資しなければいけませんので、その持分は持ちますけれども、それ以外のLPですね、一般の投資家としては海外の投資家だけが参加するといった場合です。

○三井市場課長

その前提というのは、そのベンチャーキャピタルは恐らくプロということになるのだろうと思います。そのベンチャーキャピタルもファンドですけれども、ここで言っている、今問題になっているのはベンチャーキャピタルが投資している先のファンドについてどうかということであるとすると、その投資家は海外とプロ投資家しかいないということになりますので、一般のアマを前提とした規制対象のものではなくて、プロがここで日本の投資家として保護されるべき投資家であるという前提であると、プロ向けの簡素な規制をどうするかという話になってくると整理できますが、そういうこととは……。

○立岡委員

運用主体であるベンチャーキャピタルは日本ですけれども、日本法人ですけれども、そのほかのファンドの投資家は、出資者は海外の投資家であるといった場合、それは今のご議論よりはもう少し適用、この投資サービス法により遠いんじゃないかなという感じがしますけれども。

○松尾投資サービス法令準備室長

実務的かつ詳細な点は別途いろいろお話をお伺いしたいと思います。

○神田部会長

考え方なのですけれども、いろいろな考え方ができると思うのですけれども、変な感想を申し上げて的外れかもしれませんけれども、今海外の投資家からお金を出して頂くという話だとすれば、海外の投資家というのはここでいう投資者に、海外という点を除けば、整理されるわけなのですね。ですから、それがプロなのですかアマなのですかという話になります。ただ、そのことと、その海外の投資家という人がだれなのですかと、往々にして海外投資家って日本の人が多いのですけれども、それはともかくとして、だれなのですかということはまた別な話ですよね。投資家にその内容のディスクローズを求めるかどうかというのはここでの話の中心部分ではありませんので。

ですから、いろいろな論点あると思うのですけれども、ここでの投資サービス法として整理をしていく上で、今ご指摘がありました、事務局から説明がありましたような観点からさらに詰めて頂くということで。ご懸念をお持ちなのかもしれませんけれども、その点は大丈夫だろうと感じますけれども。さらにちょっと詰めて、必要に応じてまた場合によっては個別に教えて頂く必要も出てくるかと思いますけれども。よろしくお願いします。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

何点か意見を述べさせて頂きます。最初に、この報告書の「はじめに」というところですけれども、市場機能を中核とする金融システムに向けての提言があり、それから中間整理があり、そしてこの報告書があるという、この事実には全く間違いないと思います。。ただ、もう少し大きな枠組みといいますか、この報告書からしますと、先ほど神田先生がホップステップジャンプという三段跳びの例をとられましたけれども、2000年6月の報告書から生まれた金融商品販売法、金融トラブル連絡調整協議会、金融広報中央委員会に各省庁や事業者団体が参画することでの金融経済教育、それが多分ホップの段階としてあったわけです。そして、今回のこの投資サービス法のチャレンジは、私は明確にステップの位置付けだと思っています。ですので、ジャンプにあたり金融サービス市場法に関しての書きぶりが8ページの対象範囲のところにだけ書かれているというのは少し小さすぎるのではないかと感じます。やはり全体像を国民みんなが理解して、今がどういう位置付けで、この次どこにいくのかという展望が「はじめに」に欲しいと思っております。金融サービス市場法への展望を少し前に出すことをご検討頂けないでしょうか。

私自身は96年のビッグバンの当時から保険審の委員をしておりまして、97年に3審議会が横断化したときにはもう既に英国ではセカンドビッグバンが始まっていて、そのドラフトも見ながらいろいろ討議をした結果、日本としてはまず金販法を作る、という形でまとまった経緯があります。そのときにも当時の座長の蝋山先生が第一弾ロケットですとおっしゃって、その定着状況を見ながら第二弾にいくということでしたので、そのつながりをぜひ明記して頂きたいと思います。

それからしますと、97年から検討したものの成果として出た金販法が2001年の4月施行で、それ以降定着を見ながら今検討している投資サービス法が2007年施行になるのでしょうか。そうすると、今まで6年もかかっている状況を見ますと、もう不良債権処理も終わり、有事ではないということからすれば、半分ぐらいの3年で2010年ぐらいには仕上げたいという思いがあります。今の9ページの書きぶりは「引き続き」です。引き続きはもちろんですけれども、せめて「精力的な」とかを「検討」の前につけて頂きたい。

それから、12ページの行為規制のところですが、流れからすると、金販法で達成し得なかったものが今回の行為規制の中の適合性の原則、不招請勧誘、手数料開示という形で出ていると思います。これまでの被害の実態であるとか、これがないために市場に個人が参画していかなかったという反省に立って付け加えられるべきと思っておりますので、できたらそういう位置付けだということも書いて頂いた方が一般の方々に理解しやすいのではないかと思います。

それから、31ページの、先ほど原委員の方でご説明、ご提案がありました業界横断的な取組み、苦情解決・あっせんです。私も金融トラブル連絡調整協議会の委員でしたので少しだけつけ加えさせて頂きますと。2000年の議論のときには業者ルールから取引ルール、市場ルールへという1つの流れがあって、これが金販法という形で結実した。2つ目が被害救済ということで、当時も横断的な金融トラブルに対応する機関が必要であると言われながら、それはすぐには無理なので、業界団体をつなぐネットワークをつくってチャレンジすることが決まったわけです。そこでやられるべきことというのは、業の谷間に落ちたり、たらい回しが起きないためにネットワークを組むということ。新しく出てきた事業者なりが苦情紛争処理機関に所属しないとすれば、市場からの信頼が得られない、一般から支持されないのではないかということで試みをやってみようだったと私は記憶しております。

ただ、5年間やってきた結果、そのネットワークではどうしようもない問題が出てきた。1つはFXや無認可共済などのトラブルで、金融審議会の検討課題に上げましょうということで以前、岩原先生がこちらでご発表されました。

もう1つは、業界団体が紛争解決に法的根拠を持っているところが少なく、事業者をテーブルにつけさせることもできないので、法的根拠について検討すべきという点。それがこの会議に上がってきた経緯があります。審議会から一たん金トラ協議会にいったものが金融審議会に戻ってきたわけです。ただ、今回は検討時間がほとんどなく、中間報告以降はここで書かれている状況ですので、少し丁寧にその辺はフォローして頂きたいと思っております。

同様な措置が33ページの金融経済教育です。これも2000年当時、2001年の報告書の中ではルールと被害救済につながる3つ目のものとして明確に被害の未然防止、再発防止のための教育と位置付けられました。本来は金融庁が当たるべきだけれども、金融庁は誕生したばかりなので、金融広報中央委員会の方で進めてもらうということだったのですが、改革プログラムで金融庁が今年から取り組むということで実際に懇談会も開かれて、実行されている経緯があると思います。

金融庁も大分予算もとれるようになったところですので、金融経済教育がなぜ必要かを書き込むべきだと思っております。原委員の方からは英国の例を引いて「公衆理解の向上」という表現がありましたけれども、我が国の流れでいけば、金融トラブルの未然防止と再発防止のための有効な手段であるということで位置付けられ、消費者保護に資するということになっていると思います。この辺ももう少し丁寧に書いて頂けるとありがたいと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。そろそろ時間なのですけれども。

原委員、手短にお願いします。

○原委員

恐縮です。まだ出ていないことをちょっと補足的に2つ申し上げたいのですが、14ページに、これは適合性の原則のあり方ということの項目の最後のところに、実効性確保の話が出ておりまして、損害額の推定など民事上の効力を付与ということが出ておりますが、損害賠償請求についての検討もできないかということが意見として出ていたように思いますので、ここに書くべきなのか、それとも31から2ページにかけての民事責任規定のところに書くべきかはちょっとわからないのですけれども、お願いをしたいと思っております。

それから、もう1つ、32ページのエンフォースメントのところの規定なのですが、ここでイギリスの金融サービス市場法、2000年に改定された金融サービス市場法では、マーケットアビューズということで金融市場の機能を阻害する行為、一般には利用できないような情報に基づく行為、誤った誤解を招く印象を与える行為、市場を歪曲する行為などについては制裁金を課すということが定められております。ですから、そういった競争政策とかこういった金融市場の機能を阻害する行為とか、こういったところに着目をしたエンフォーメントのあり方についてももう少し、規制改革会議の検討の場面ではこういった金融行政と競争政策、金融政策と競争政策との連携のようなことも今意見として出ておりますので、ぜひ金融分野もそのあたりを検討して頂くように、項目の追加をお願いしたいと思います。

それから、全体的にこれを読んで、まず条文がどういうものになるかというのはよく見えないところがありまして、大変気にしていますのは、19ページや何かで、マル3で選択により特定投資家に移行可能な一般投資家ということで、厳格なものとすべきとの意見があったということになるのですが、プロとアマの仕分けのところは大変重要な指標になっていくので、もう少しここは具体的な記述がある方が一般の方には理解しやすいと思いますので、お願いしたいと思います。

それから、最後に、高橋委員がおっしゃられたように、全体の構図を考え、金融サービス市場法へジャンプでいくということは3年ですね、3年でやるべきだということを明記して頂きたいと思っております。私が発言したときに三國谷局長は退席していらっしゃったので、ぜひお願いをしたいと思っております。

以上です。

○神田部会長

なかなか原委員からは合格点は頂けそうにありませんけれども、ご指摘の点につきましては事務局と相談してしかるべく対応させて頂きたいと思います。

よろしゅうございますでしょうか。今日はとりまとめを意識したご意見をということを申し上げたために、実は意見はあるけれども遠慮したという方がいらっしゃいましたら大変申しわけなく思うとともに、内心感謝いたします。ご不満等はまた個別に私とか事務局までお出し頂ければ大変幸いに存じます。

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、予定の時間がちょっと過ぎてしまいました。本日も大変貴重なご意見を多数頂きましてありがとうございました。

本日頂きました意見につきまして、本日の資料に反映させて頂き、来週報告書の案をして皆様方にお示しをさせて頂くという段取りを考えております。

それでは、本日の審議はこのあたりとさせて頂きまして。できましたらということですが、次回で報告書のとりまとめをということを目指させて頂ければと思います。

この後、記者会見を行いまして、本日の模様につきまして私からご報告いたします。

最後に、事務局からのご連絡等ございましたらよろしくお願いいたします。

○三井市場課長

次回ですが、22日、今度は木曜日でございます。午前10時から12時の予定でございます。よろしくお願いします。

○神田部会長

それでは、どうもありがとうございました。

散会いたします。

午後0時06分閉会

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