金融審議会金融分科会第一部会(第3回)議事要旨

1. 日時:平成14年2月15日(金)15時00分~17時00分

2. 場所:金融庁11階共用会議室

3. 議題:

  • 証券決済WGからの報告
  • 事務局からの報告
  • 福間委員レポート「最近の金融資本市場について」
  • 自由討議

4. 議事

  • 証券決済WGより、証券決済システムの改革及び投資家保護策についての報告が行われた。

  • 報告に対する質疑の主なものは以下のとおり。

  • システムを利用する側から言えば、自分の手の届かないところでミスが起こったりして権利がなくなるということでは、システムを利用する人が少なくなるのではないか。万一の時にはきっちり対策があるという制度を構築することが重要。いずれにしてもこういうものが発動されないようにというのが希望であるが、条件は整備されたのでシステムがうまく回ることを期待している。

  • セーフティネットは振替機関等が損害賠償義務を果たさず破綻した場合が典型と思うが、例えば責任保険のようなもので損害賠償義務を代わって負担してもらうということは考えられなかったのか。また、新ファンドへの出絹の部分は強制加入なのか、そうだとすればその議論はWGであったのか。

  • 保険のような制度についても議論はあったが、事故発生確率等、保険数理的に計算が難しいのではないかという問題があった。また口座管理・振替機関の強制加入を基本的には考えている。振替システムの信頼を維持するためには全員で広く負担すべきとの意見があった。

  • 既存の証券会社を口座管理機関として一般投資家が利用しており事故が発生した場合、この新しいセーフティネットにより1,000万円、更にいわゆる分別管理保管の基金から1,000万円支払われるのか。

  • セーフティネットはペーパレス化されたものを前提としており、現在の基金は現物の証券を前提に保護しているため、両方が発動されることはない。

  • (1)投資家保護のセーフティネットに関して、口座管理機関には無過失連帯責任を負わせないことを明確にする必要があると考える。(2)セーフティネットの在り方は、信託を活用するとなると、法人格や事務局のない新たなファンドを設けることになるが、事務体制においてはるかに脆弱な仕組みに委ねることになり、投資家保護や信用秩序の維持を十分果たせないのではないかとの懸念がある。(3)出捐について、金融機関等の破綻に際してロス埋め資金を中央銀行は出せない。

  • (1)今回の報告では方向性を示しており、現在検討している。(2)実務的にはしっかりした事務局が必要で、負担コストとの兼ね合いとの意見がWGにおいてあった。(3)口座管理機関と振替機関全体からの拠出が自然であり、負担となると各会社の方からなかなか難しいとの意見があるが、真摯に拠出を考えてほしいとの意見があった。

  • 証券決済WGからの報告が第一部会として承認された。

  • 原口総務企画局長から、証券決済システム改革法案及び金融機関等による本人確認のための法律案に関する説明があった。

  • 事務局より、ストックオプションに係るディスクロージャー制度の改正に関して報告があった。

  • 報告に対する質疑の主なものは以下のとおり。

  • 使用人は自社の情報を十分に把握しているのか。使用人に会社の情報を交付することが要件とされているが、これがきちんとしていなければならない。また目論見書等は当該取得者のためだけではなく、発行体が作成しながら自己規律をしっかりさせるという面もある。

  • 「会社情報」と「株式(証券)情報」という面からいえば、「会社情報」は改正案で手当されている。「株式(証券)情報」という面では、株式の募集が新株予約権証券の募集となり、証取法で正面からディスクロージャーを求めることになる。「予約権」自体は4/1に施行されて動いてみてからでないとわからないが、有効なディスクロージャーがされることが重要。

  • 完全子会社の「完全」の意味は100%出資子会社という意味か。100%でなくとも実態上「完全」といえるところもあるのではないか。

  • 自社のみに限定したいが、持株会社構造をとっているところを除外しないために、このようにしている。関連会社をどこで線引きするかは難しい問題。

  • 福間委員より、「最近の金融資本市場について」のレポートが行われた。

  • 自由討議の発言のうち主なものは次の通り。

  • 金融行政の役割はよりpro-activeにとのことだがその反面、pro-active過ぎるゆえに問題が生じてきている。ディスクロージャーによって市場規律とバランスをとっていくというところをもう少し聞いてみたい。またメインバンクとはいわば通念であり、制度ではない。メインバンクがダーティワード化してきており、もう一度その概念を復活させていくやり方はあるのか、そのままダーティワードとして消えていくのか。

  • 規律と規制は微妙だが、基本は規律で動かすもの。大原則はフレームを当局で作り、市場で起きていることと並走しながら行動するのがpro-active。絶えず企業行動、株価、ディスクロージャーと財務諸表との間を行ったり来たりしてwatchするということ。メインバンク制度には、ある意味で日本的メリットもあった。Borrowingの観点からの重要性は低下してきているが、銀行というものには総合コンサルタント業務の役割を期待したい。ダーティというよりはポジティブにとらえている。

  • いまだに最大の債権国であり、金融ディシプリンをつくらなかった国はなく、世界に通用するディシプリンをつくっていけば何も借り物を使う必要はない。現在の日本は自然治癒を待っていてはいけない。現行制度のenforcementとともに、足りないものは何かという反省をしながら外のベスト・プラクティスを取り入れていかねばならない。当局を含めた市場参加者の努力が必要。また自主規制機関も、自分達のため、市場のために重要な役割を持っている。

  • 市場への声をよく聞くということは、行政は後ろにいればいいということではない。自主規制機関の役割は市場の動きにタイムリーに対応すること。また、法規制は最低限度のものを求めるが、法律を超えて倫理性を求めるものは自分達でつくらねばならない。国境越え取引に関しては法律では対応できないところも多く、自主規制機関が大きな役割を持つ。

  • 自主規制が市場に合っているか、これをwatchしていかねばならない。コンプライアンスは、現実に違反がある以上、やっていかねばならない。裾野の広い投資家の参加する条件は、投資対象の中身がしっかりしていること、つまりディスクロージャーの徹底が生命線。企業会計改革により会社の中身がかなり出てきたが、個人投資家がその出てきたものを読み取れるか、アナリストや仲介業者、マスコミ等を通じて十分届いているかということもある。投信もパフォーマンスが悪く、個人投資家の期待に応えていない。抜本的な大勢の見直しが必要。

  • 日本は世界最大の債権国であるが、かつての英米と異なるのは、円が基軸通貨ではないということ。グローバルな金融資本市場のディシプリンということを考える場合には、通貨、為替という側面からの視点も重要になってくるのではないか。

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課
電話03(3506)6000 (内線3514,3515)
議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る