金融審議会金融分科会第一部会(第10回)議事要旨

1. 日時:平成15年10月17日(金)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  投資教育のあり方について
  • ○  投資サービスにおける投資者保護のあり方
  • ○  市場監視機能強化

4. 議事内容:

  • 事務局より、議題についての説明が行なわれた。

  • 高橋委員及び板谷委員より、「投資家教育のあり方」についての説明が行なわれた。

(主な発言は以下のとおり)

  • 投資クラブは、現在、日本で250ぐらいしかないが、アメリカでは4万以上あり、イギリスでも最近急速に増えて1万ある。諸外国では、投資クラブが証券知識の普及啓発に大変役に立っているということであるので、投資クラブの普及も図っていく必要がある。

  • 成長段階である小中高を通じてそれぞれきめ細かいカリキュラムがあった方がいいのではないかという意見を学校の先生方から聞いている。そのようなカリキュラムに使用するのにふさわしい教材の制作や学習方法のモデルを作っていくことを検討する必要がある。

  • 内閣府の世論調査によると77%の人が「証券投資を行なうつもりがない」と回答しており、その理由として「株式投資に関する知識を持っていないから」というのがトップに上がっている。自己責任原則を広く実現するために、開示の内容や方法を改善することはもちろん重要であるが、これに加えて投資知識を広く普及させることも重要であり、社会貢献の一環として様々な投資教育に取組んでいる。

  • 学習書の配布等は行なっているが、学生の方々に本当に理解してもらうためには、金融教育、投資家教育が教育制度の中に組み込まれる必要があると考える。金融庁の働きかけにより10月7日に副教材が完成し、文部科学省に対して金融教育への協力要請が行なわれることになっているが、このような動きが金融教育、証券教育を大きく前進するものになると考える。

  • 有価証券投資については、一般的に喧伝されたネガティブな要素の影響が非常に強い。このような状況を乗り越えるためには、投資のリスク及び手数料等のコストに関しての教育が行なわれることが必要である。

  • 黒沼委員より「投資者サービスにおける投資者保護のあり方」について説明が行なわれた。

(主な発言は以下のとおり)

  • 多様な投資形態について投資者保護のための法規制を及ぼすために、米国においては投資契約の定義を開かれたものにし、それにより連邦証券法・取引所法が適用されるような措置がなされている。同じように英国においても集団投資スキームの定義が開かれたものになっている。一方、我が国では、政令指定はあるが、指定には、流通の状況が有価証券に準ずるものと認められ、かつ、有価証券と同様の経済的性質を有すること、その他の事情を勘案し、政令で定める金銭債権といった要件が課されており、かなり窮屈になっている。

  • 組合型の集団投資スキームに証券取引法上の規制を及ぼすべきかどうかということをまず検討すべきであるが、及ぼすとする場合の及ぼし方としては、有価証券概念を幅広いものにするという方法と、集団投資スキームを幅広く定義した上で、そのユニットを有価証券とするという方法があるように思う。

  • 今の社会では、新しい投資スキームが次々に出現していく方向にあり、個々の新しい投資スキームに対して後追いの形で投資者保護の規定を設けていくというのは問題であり、この際、有価証券概念をもっと幅広い開かれたものとして投資者保護の規制が及ぶようにしていくべきである。

  • 有価証券定義の問題は、投資家保護上、大変重要な課題であり集団投資スキームに限定して議論するのではなく、幅広い議論が必要な部分があるのではないか。

  • 匿名組合等に対しては、今あるスキームの特徴を生かしつつ投資家保護の規制をかける必要がある。

  • 事務局より「市場監視強化」についての説明が行なわれた。

(質疑応答での主な発言は以下のとおり)

  • 自主規制のあり方に関してであるが、全米証券業協会では、SECの法務執行局と頻繁に情報交換を行なわれており、連携が非常に図られている。日本においても自主規制と規制当局のあり方について議論すべき時にきている。

  • 市場監視機能の強化というテーマからは、いわゆる自主規制機関もその機能を担っていることから、第一部会の場においても、自主規制の問題について議論していく必要があるのではないか。

  • 市場の不透明さが残る限り、投資家には証券市場に対する悪い印象が残ってしまい、投資家が市場から遠のいていく。証券取引等監視委員会の機能が一層充実して不正行為をしっかり取り締まることが、直接資本市場の充実のために一番効果をもたらすのではないか。

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000 (内線 3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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