金融審議会金融分科会第一部会(第11回)議事要旨

1. 日時:平成15年11月5日(水)13時00分~15時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  投資教育のあり方について
  • ○  投資サービスにおける投資者保護のあり方
  • ○  市場監視機能・体制強化

4. 議事内容:

  • FP協会紀平常務理事より、「投資教育のあり方」についての説明が行なわれた。

  • 経産省日下部課長及び株式会社バイオフロンティアパートナーズ藤波取締役より、「投資事業組合」についての説明が行なわれた。

  • 黒沼委員及び事務局より「市場監視機能・体制強化」についての説明が行なわれた。

(「投資教育のあり方について」に関する主な発言は以下のとおり)

  • 「投資教育」という形にすると、消費者や学校教育の現場ではある種の偏見から消極的になるという状況がある。そして、経済教育から投資教育まで一貫した体系的な指針や、学習段階別に到達すべきカリキュラムといったものをつくっていく必要があるのではないかと思う。

  • 経済から始まって投資教育までの一貫したスタンダードというものをつくる必要があるのでないかと思う。現状日本では、各団体がさまざまな投資教育等の資料をつくっているが、アメリカやイギリスの例もそうであるが、行政がかかわって、教育資料を統一する必要がある。

  • 各種団体等が開催しているセミナー等の教育活動の存在が消費者に効果あるかたちで伝わっていない点に問題があると思う。消費者に証券を売る主体が直接、教育活動等の存在を指摘するなど、もっとも効果の高い形でこのようなリソースが流れていく方法を考える必要がある。

  • 学校の先生方の証券知識あるいは市場に関する知識、関心が少ない。生徒たちへ証券知識を普及させるためにも、先生方に対する市場についての知識の普及が大事なのではないかと思う。

  • 内閣府のアンケートでほとんどの人が投資に無関心という結果がでている。日本版の401Kといった実際に自分の目で選択を迫られる場を多く提供することが、投資に関心を持たせる上で相当効果的な役割を果たすのではないかと考える。

  • いろいろな偏見が生まれてくる前の段階できちんとしたことを教育していくというのは大事ではないかと思っている。義務教育段階でのマーケットエコノミーの教育というところさえしっかりしていれば、そこから後はいろいろな人がいろいろな形で教材をつくっても構わないと思う。

(「投資事業組合」に関する主な発言は以下のとおり)

  • 事業ファンドやベンチャーファンドの一部に、一般投資家から資金を調達したいという実需が出始めている。有責組合制度の拡充については、投資対象等の拡充が必要であり、この点についてはなるべく早く法改正を成立したいと考えている。もう一方で、投資家の対象を拡充したいというニーズもあり、投資家保護ルールは非常に重要な課題である。組織法制の整備と、投資家保護ルールのあり方、この車の両輪2つが必要だと思う。

  • ファンドのビークルは多種多様であり、ケイマン法人、匿名組合、民法組合、合名、合資会社はないが、有限会社の例もある。このような様々なビークルに対して横断的な取扱いを行なうことが不可欠だと思う。また、どこまで投資家保護の対象にするかといった論点もある。投資家保護については、自主的な規制、有責法の開示制度、あるいは出資法、金融商品販売法、証取法など、さまざまな体系があり、そうした体系をどう合理的に組み合わせるのかという検討も必要かと思う。

  • ベンチャーキャピタルによる新規事業への支援・育成は、自由な活動のもとで行なわれ、その結果、経済の活性化にも貢献できるものだと考える。ベンチャーキャピタルの活動に制限が加わることは、ベンチャー企業の活性化を損なうおそれがあるのみならず、リスクマネーの供給をどう拡大していくかといった大きな課題に対してもマイナスになるのではないかと考える。

  • リミテッド・パートナーシップの問題というのは、アメリカから出てきたものであるが、ジェネラルパートナーシップの利益相反が大きな問題となっている。例えば、ベンチャーキャピタル等のファンドの投資対象が不動産といった形でだんだん広がっていったときに、私募と公募の差が非常にあいまいになる部分というのはたくさん出てくると思うので、その時に、ある種の明確な線引きをし、公募及び公募対応にあたるものに関してはきちんとしたルールを作る必要がある。その中で、例えば私募のケースの場合はできるだけ自由に、そして公募のケースであれば、投資家保護、特に公募に対する投資家保護というものを極めて明解にするような有価証券型のスタイルというものをとるべきだろうと思う。

  • 運用の対象を広げる話と資金調達の方法を広げる話とは基本的に違う。本日の説明を聞いていると運用対象を広げる話には合理性がありそうである一方、資金調達の方法を広げる話については、誰も公募するという話をしておらず、公募に移るという仮定の話を詰めても始まらないのではないか。

  • オルタナティブ投資というのが円滑にできるような枠組みが必要だと思うが、重要なことは、どういう法人形態をとろうと、同じような規制の枠組みの中に置かれるべきで、ある形態をとると規制逃れができるといったことがないようにしなければならない。

  • 一般の投資家も含めた形で資金を広く集めるニーズがあるのも事実であるとのことであるが、もし資金調達の方で少しでも一般投資家から資金を集めるという方向を目指すのならば、やはりディスクロージャーなり投資家保護の法制が必要であって、少なくともそれは実質的に証券取引法と同じものでなければならないと考える。取扱い業者についても、業者規制という形で不公正取引をチェックするとう意味があり、あくまでも一般投資家を相手にした場合には少なくとも何らかの形でチェックがきくような業者にやってもらうことが必要と考えている。

  • 今までのベンチャーキャピタルは問題ない。ただ、最近の動きがある中で、今後の日本の法制インフラをどのように決めていくかが問われている。そのように設計しても、今までのベンチャーキャピタルのようなものは、実質は今までどおりのはず。

(「市場監視機能・体制強化」に関する主な発言は以下のとおり)

  • 証券取引法上の民事責任規定が利用されていない理由は、我が国にクラスアクション制度がないこと、第2の理由として、不実開示を発見することが困難であるということ、第3として、原告による損害額の立証が困難であることが挙げられる。我が国の裁判所が不実開示に基づく損害賠償責任を認めること消極的であることを考慮すると、不実開示に基づく損害賠償責任について、訂正情報が反映された市場価格と取引時の市場価格との差額をもって損害額と推定する規定を置くべきであると考える。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000 (内線 3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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