金融審議会金融分科会第一部会(第16回)議事要旨

1. 日時:平成16年4月16日(金)10時00分~12時15分

2. 場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  証券取引法等の一部を改正する法律案その他の第一部会報告のフォローアップ
  • ○  ディスクロージャー・ワーキング・グループの検討状況
  • ○  本年度の検討方針について

4. 議事内容:

  • 事務局により「証券取引法等の一部を改正する法律案」の内容についての説明をした後、高橋日本証券業協会副会長より「日本証券業協会の取り組み」についての説明がなされた。

  • 事務局により「ディスクロージャー・ワーキング・グループの検討状況」についての説明がなされた。

  • 事務局により「本年度の検討方針について」の説明がなされた。

  • 英語のディスクロージャーに関する主な意見は以下のとおり

    株式市場というのは、資金調達の場というよりは、投資家から評価を仰ぐ場という位置づけで考えることが重要ではないか。上場の基準等を満たしてる企業であるということを対外的に示したいというニーズからいえば、言語形式より、コンテンツそのものが重要である。

    準拠するルールが本国基準で、しかも日本円に換算していない本国通貨で開示された情報を、できればそのまま使いたいというニーズがあるのだろうという感じがする。日本基準と非常に違った基準に従ってできてくるようなものは困るが、そんなに大きく違わず、日本基準とイクイバレントなスタンダードであればよしとし、言語についても、英語ぐらいならいいことにしようかと、そういう感じが割に強い。ただし、監査については、準拠した会計基準に見合った体制が必要になろう。また、企業が、本当に日本の投資家にアピールして、資金を調達するなり評価を受けようとすると、日本語による要約とか説明をつけてくる可能性があり、この日本語の要約資料にむしろ神経を使うべきであって、そこに規制がないと、ミスリーディングな翻訳や要約が出回る可能性がある。

    特に今気になるのは、外国企業という場合に、とりわけ我々が視野に入れているのはアジア企業になるだろう。アジアの国々の母国市場の厚みはまだ十分ではない。その中では、日本の市場が、アジア企業にとってのある種のマザーマーケット的な機能を果たすことができれば、大変大きな貢献ができるということである。

  • 投資サービス及び外国為替証拠金取引に関する主な意見は以下のとおり

    外国為替証拠金取引については、実際に全国500カ所近くある消費者センターに、多くの消費者から苦情が寄せられている状況である。緊急に取り組みをスタートすべきである。金融商品販売法、証券会社への事務ガイドラインでの手当てはされてはきているが、十分とはいえないところがあり、業者ルール、それから市場ルールの手当てを当面すべきであり投資サービス法それから金融サービス法の検討というところに議論を進めていくべきだ。

    外国為替証拠金取引に対する規制については、新しい法律を作って対応するのか、それとも金融先物取引法で手当てをするのかといった問題がある。現在の金融先物取引法は、取引所の相場を使わない取引所外の取引については、一般の利用者への勧誘を含めてカバーしていないので、もし金融先物取引法の中で手当てするということであれば、金融先物取引法の基本的なところを変えて、つまり取引所外の取引についても業者ルールとかいうものを入れるように組みかえる必要がある。

    投資サービス法という考え方は、現在、外国為替証拠金取引が大変問題になっていることから投資者保護という側面が強調されてしまっているが、同時に非銀行的な資金調達、運用手段あるいは取引手法をいかに発展させるかという視点でも、投資サービス法という新しいアプローチというものを考えていくべきである。

  • インサイダー取引規制に関する主な意見は以下のとおり

    現状のインサイダー取引規制が作られる際にも、一般ルールに任せるべきだというものと、包括条項は廃止して個別列挙すべきだという意見があり、いろいろな検討がなされ、現状の個別条項と包括条項のセットという規定となっている。その後の時代の変化や実務の変化に合わせて柔軟化していく必要もあるが、その後、日本の司法のあり方等が大きく変わるわけでもないことを考えると、現在のインサイダー取引規制を拙速に改めることには慎重であるべきである。

    検討の末、現状のインサイダー取引規制における個別条項と包括条項がつくられたものだということは理解しているが、当時インサイダー取引規制があったのはアメリカとイギリスぐらいであり、その後の国際的な法規制のあり方に変化が生じたことから、やはり見直しが必要になってくるのではないかと考える。また、インサイダー取引規制のあり方を変えるのは非常に大きな問題であるので、実務の方から、会社役員の方の自社株売買が極めて抑制される、非常にやりにくいというような話を聞くが、エピソードを並べるのではなくて、実証研究をきちんと示さなければ、それを理由に法改正まではもっていけないのではないか。

    現在の重要事実の個別列挙事項や軽微基準の内容については、投資者の投資者判断に与える影響という点において実態とそぐわないと思われる面が出てきており、過剰規制であったり過小規制であったりという部分があるように感じるので、インサイダー取引の構成要件そのものについて、再検討する必要があるのではないか。また、東証市場における非居住者による売買は総売買代金のおよそ30%と非常に多い状況にあり、日本市場はいわば国際的マーケットになりつつある。こういった面からインサイダー取引規制についても規制の国際的な調和という観点も欠かせない要件である。また、上場会社のコンプライアンスの実務に対する対応についても併せて検討する必要がある。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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