金融審議会金融分科会第一部会(第27回)議事要旨

1. 日時:平成17年3月16日(水)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  証券取引法の見直しについて
  • ○  集団投資スキーム(ファンド)について(1)

4. 議事内容:

  • 事務局より「投資サービスの規制内容について(3)」の説明。

    • 主な意見は以下のとおり、

    東京高裁の判決で説明義務を、金融商品というのはあくまでもリスクとリターンの組み合わせであることから、利益やリスクに関する的確な情報の提供や説明を行う、それで投資家が正しい理解を形成した上で、その自主的な判断に基づいてその取引を行うかどうかを決することができるように配慮すべき義務と定義している。このような包括的な義務を決めた上で、さらに類型的に取引の状況に応じた細かいルールを決めることが適当ではないか。

    金融商品販売法は機能しているとは言いがたい。適合性原則の徹底、販売・勧誘のあり方については広告類、DMやメールなどによる勧誘、電話や訪問による勧誘に分けて整理し、金融先物取引法改正で入った不招請勧誘の禁止規定も導入すべきだ。

    さらに、不適正な勧誘・販売は禁止規定を設けるべきだ。重要事項の説明義務には、手数料なども含める。苦情・相談窓口の設置も明記する。また、参入規制が登録制であれば、登録してこないところにも調査権限が及ぶようにしてほしい。

    勧誘というのは、新しい商品あるいは新しい仕組みというものを一般の消費者あるいは機関投資家に知らせるというものであり、まさに消費者サービスの大切な切り口だと思う。そこに問題があるとすれば、執拗な勧誘が行われていたとかリスク説明がされていなかった等、適合性の原則の不徹底に起因するものであり、そのことと不招請勧誘というのを同時に論じるべきではないと思う。

    外国為替証拠金取引については、現在、法律の施行前ということで、OTCで手数料引下げ競争が始まっているが、中には手数料はゼロといいながら、オファービッドやスワップポイントで通常より大きな鞘を抜いていたりして投資家を釣るような行為も行われているようである。取引に係るコストは、正確に開示されるべきである。

    デリバティブ預金の中には変動の範囲が利息の範囲内に収まるものもあり「デリバティブ」及び「デリバティブ預金」について、元本毀損の可能性がある商品と区分して分類するのは難しいものであると感じる。

    元本保証がされているとされる預金でも、銀行が破綻した場合はそうではなくなってしまう。あえて分類するのであれば元本の範囲内の損失かそれ以上の損失の可能性のあるものといった大きな分類の程度で考えるべきではないか。

    金融広告の特徴としては、特に金利を強調した表現や手数料などの基本的な情報がばらばらに記載されており比較検討がしにくいため非常に有利誤認しやすいという点である。

    適合性の中には当然ふさわしくない人にふさわしくない商品を売ってはいけないというものが含まれており、それが徹底されていれば不招請勧誘も禁止する必要はないのであるが、そのような適合性の原則がエンフォースされていない分野があり問題となっている場合には、違反を未然に防止するための事前ルールが必要となる。外国為替証拠金取引の時には適合性原則の未然防止として不招請勧誘の禁止が導入されたものと理解している。

    勧誘は消費者サービスの大事な切り口だから厳しく規制すべきでないという意見があったが、投資をしたいかどうかの判断を利害関係のある相手から受けるというのは一般的に考えにくいことだと思う。デメリットも多少は説明するだろうが、基本的にはメリットを説明するのが勧誘行為であるので、それを投資教育というふうに位置づける意見には賛成できない。投資家保護という考え方とはかなりかけ離れてしまうのではないか。

    消費者に対しては、リスクとリターンのプロファイルをきちんと説明することが基本であり、個々のポジションの性格に応じて分類をするのなら意味があるが、それを国債とか株式といった商品で分類してもあまり意味がないのではないか。

    インターネット等を通じて消費者が主体的にかかわりたいと思う世界になりつつある中、全くリスクに無防備なものがクリックしただけで投資という世界に吸い込まれていってしまう状態に対してどう考えるべきか。販売・勧誘規制により本来守られるべき消費者が現在どのような情報環境にあるのかということは十分に検討すべきである。

    公衆縦覧型のディスクロージャーが本来は必要だけれども、一定の場合には、相手が例えばプロであれば取引力があるし、情報に精通しているのでそれは必要ないといったどういう商品を売ってよいかという観点からのプロ・アマの切り分けとプロもアマも買える商品についてのその売り方についてアマであればきちんと説明し情報提供をしなければならないが、プロであればそれが緩和されるといった差を設けるといった観点からのプロ・アマの切り分けは、性格も異なることから別々に考えて頂きたい。

    投資家保護の観点からプロ・アマの規制を厳しくすると、金融資産を持つ個人あるいは小さい機関投資家などが日本では買えない商品を海外で購入するようになり日本の金融市場が空洞化してしまうというリスクがある。

    ビッグバンのときには、消費者保護よりも市場の活性化のために規制緩和が優先的に進められ、投資者保護が後回しにされた。一般消費者が安心して参加できる仕組み、ルールが今回の改革プログラムにある投資サービス法の打ち出し方だと思うので、保護は、あくまでもアマチュアを対象とした上で、個人投資家の資金を運用するものに対して厳しい規制をかける、という姿勢でいく必要がある。

    OTCの外国為替証拠金取引における実態は私設取引所に近いものであるが、法に定められた状態ではなく行われており、証取法のような、ある一定の取引量になれば取引所としての免許を必要とするといった規制で行くのか、商品取引所法のような、先物については私設市場を認めないのか、その辺は新法のときに整理をして頂かなければと思う。

  • 事務局より「ルールの実効性の確保(エンフォースメント)について」の説明。

    • 主な意見は以下のとおり、

    行政サイドについては投資サービス庁みたいなところで既存の監督官庁を越えて規制・監督を一つに統合し、自主規制サイドの方も、証券業協会をベースにバラバラにある自主規制機関を統合しできるだけ同じ基準、同じ尺度で規制・監督がされるようになることが投資家サイドから見て非常に信頼性の高い体制となるのではないか。

    証券会社内部のモラルとかコンプライアンス意識の欠如といった根本的な課題に取り組まない限り、いくら法整備をしても、一般の投資家と営業員の間で起こっていることが改善されることはない。投資家個人としては納得できないことがあっても結果的には泣き寝入りするしかないというような現状がある。

    「コンプライアンスの強化」の手段として公認会計士の監査を使うという点であるが、公認会計士の監査というのは財務諸表の作成・開示にかかわるものであって内部統制に関するレビューみたいな議論は役に立つかもしれないがあまり期待しすぎない方がいいという感じがする。

    被害を受けた投資家に課徴金を分配するような制度を設けるべきではないか、アメリカではサーベンス・オクスリー法によって民事制裁金を不当利得吐出による金額とともに、被害を受けた投資家に分配できるということを聞いている。それができないのであれば、この際、投資サービス法の制定をきっかけにして、いわゆるクラス・アクションの導入についても真剣に検討して、この分野から先鞭をつけてもらいたいと考えている。

    投資経験の乏しい消費者の方々を守る方向というのは、2つあると思う。一つはやはり事前のルールをしっかりして安心して投資ができる市場を作っていくという方向であるが、事前ルールにより投資者保護を図るというのはどうしても限界があるし、金融イノベーションの阻害にもなるので、被害を受けた時に、事後的に損害賠償をしてもらえるとか、訴訟がもっと簡単にできるとかいった仕組みというものを一度議論すべきではないか。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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