金融審議会金融分科会第二部会会合(第6回)議事録

平成13年6月20日
金融庁 総務企画局

○ 福井部会長

大変お待たせいたしました。

それでは、ただいまから金融審議会・金融分科会・第二部会、第6回目の会議を開催いたします。

本日は、皆様方大変ご多忙の中を、私の視野を超えるぐらいたくさんの方々にお集まりいただきまして本当にありがとうございます。

議事に入ります前に、メンバーのことでございますが、日本銀行からご参加いただいております幹事の交代がございます。ご紹介申し上げます。

鮫島企画室参事役にかわりまして、和田哲郎企画室参事役、新しい参事役でございます。

○ 和田日本銀行参事役

和田でございます。よろしくお願いいたします。

○ 福井部会長

この第二部会は、銀行の株式保有制限に関する問題と、それから契約条件の変更を初めとする保険の基本問題に関し、それぞれ「金融機能の向上に関するワーキング・グループ」と、「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」の2つを設置して、前者は岩原委員、それから後者は山下委員にそれぞれ座長をお願いして検討を進めてまいりました。

きょうは、この2つの課題について、それぞれのワーキング・グループにおける検討が整理されてまいりましたので、今月26日、来週でございますが、部会報告の取りまとめに向けまして、ご審議をいただきたいと思います。

また、きょうの部会は前半と後半の2つに分けて2部制となっております。途中、休憩を挟みまして、午後4時40分ごろまで時間をちょうだいしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。

なお、きょうはワーキング・グループの報告をちょうだいして、部会報告の取りまとめに関する内容についてご議論をいただきますので、会議は非公開とさせていただいております。また、本日は、同様の理由によりまして、部会終了後の私の記者会見も行わないということになっております。

それでは、まず第1部、前半の議事に入りたいと思います。

「金融機能の向上に関するワーキング・グループ」におきましては、きょうに至ります2カ月間、銀行の株式保有のあり方に関する制度の整備について、5月の部会とワーキング・グループ合同での有識者ヒアリングを含めまして、非常に多くの回数、精力的に検討を進めていただきました。

私自身も極力、ワーキング・グループの会合に出席させていただこうと努力いたしまして、全部はかないませんでしたけれども、かなりの回数、出席をさせていただきました。大変ご熱心な議論をちょうだいしたことをありがたく思っております。ワーキング・グループのメンバーの方々に、また後ほど感謝申し上げますけれども、この段階でもお礼を申し上げたいと思います。

きょうは、第二部会及びワーキング・グループのこれまでの検討状況について、まずご報告を拝聴する、その後、皆様方にしっかりと議論をしていただきたいと思っております。

それでは、ワーキング・グループの座長であられます岩原委員から総括的なご報告をいただきますとともに、お手元にお配りしております第二部会及びワーキング・グループの検討状況に係る資料を事務局よりお読み上げいただきたいと思います。

岩原委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 岩原ワーキング・グループ座長

ただいま部会長からお話がございましたように、「金融機能の向上に関するワーキング・グループ」におきましては、銀行の株式保有制限のあり方に関する制度整備につきまして、第二部会及びワーキング・グループにおけるこれまでの議論をベースに、第二部会及びワーキング・グループの検討状況を取りまとめさせていただきました。

本日は、それをご報告させていただき、第二部会としてのご審議をいただきたいと存じます。

ワーキング・グループは、4月13日におきます第二部会でのご審議を受けまして、4月23日以来7回の会合を重ね、ただいまお手元にございます第二部会及びワーキング・グループでの検討状況を取りまとめるに至りました。

それでは、まず事務局より朗読していただき、その上でポイントにつきご説明させていただきたいと思います。

○ 事務局

読み上げます。

金融審議会金融分科会第二部会及び金融機能の向上に関するワーキング・グループの検討状況

第二部会及び金融機能の向上に関するワーキング・グループにおいては、株式の価格変動リスクが銀行経営に大きな影響を及ぼすことのないよう、銀行の保有する株式のリスク量を銀行が適切に管理できる範囲にとどめさせるべく保有制限を置くことに関し、多角的な検討を行ってきた。

A.全体的な展望(総論)

1.はじめに

(1)政府の緊急経済対策(平成13年4月6日)においては、銀行の株式保有の制限について、「我が国金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていくためには、不良債権のオフバランス化促進策とあわせて、銀行の保有する株式の価格変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内にとどめることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため」その制度整備が必要とされ、さらに、銀行の株式保有の制限は、「株式持合いの縮小を通じて我が国株式市場の構造改革と活性化を促すとともに、コーポレート・ガバナンスの改善などをも通じ、我が国経済の再生にも寄与する」ものとされた。このため、「具体的には、銀行の保有する株式を、例えば自己資本の範囲内とし、それを超えて保有する株式は、一定期間内に処分する」ことが定められた。

(2)こうした銀行の株式保有制限の問題は、基本的には銀行の財務面の健全性・リスク管理の問題を主としてとらえていくことが妥当と考えられるが、直接・間接金融の問題や持合い解消を通じた我が国のコーポレート・ガバナンスの問題にも関係する。

2.銀行の財務面の健全性の観点

(1)まず、銀行の財務面の健全性の観点から考察すると、我が国の銀行は相当程度株式を保有し、かつその時価と取得原価が近づいているため、株価下落により自己資本が減少し、銀行の財務面の健全性が損なわれることが、銀行に対する信任や金融システムの安定性に対して悪影響を与えかねない、と指摘できよう。これは、銀行のリスク管理に保有株式の価格変動リスクが十分に反映されないまま株式が保有されていることが要因とも考えられ、銀行が保有株式のリスクを適切に評価し、それに対応した自己資本を維持して、適切にリスク管理を行うことが必要と考えられる。

(2)最近、銀行は、金融商品の時価評価の導入、持合いメリットの低下などを背景に保有株式の売却を進めているが、この傾向は今後ともある程度は継続するものと予想される。銀行の財務面の健全性の確保が、的確な時価会計の実施やその開示によりもたらされることは言うまでもないが、時価会計の導入により株価の変動が銀行のバランスシートに直接影響を与えることになることは、株価の変動リスクを銀行の適切なコントロール下に置く必要性を高めている。そして、適切なリスク管理の観点から株式を保有し過ぎている銀行が多く存在していることに配意するならば、持合い解消といった観点からの株式売却が今後も続く保証はないので、法律で銀行の株式保有に一定のルールを設けることにより、銀行による株式売却を後押しすることが適切な対応と言えよう。

(3)また、銀行は種々の資産を保有しているため、それら全体を見渡した管理が必要なことは言うまでもない。この中で今回、株式に着目した保有制限を導入する趣旨は次のとおりである。

マル1現在、銀行は各種の資産のリスクを総合的に管理しようとしているが、これはいまだ完成された段階にまでは至っていない。こうした現状では、資産カテゴリーごとにリスク量を計算し、その後ポートフォリオの分散の程度等を勘案して調整する2段階アプローチをとらざるを得ない。

マル2この点、国際的なBIS規制の検討では、真に自己資本が必要とされるようなストレス状況においては、金利リスクと株式の価格変動リスクが同方向に動き得ることも勘案し、それぞれのリスク間の相関については考慮しない方向で議論がなされている。

マル3銀行の株式保有については、好況時に株価上昇から銀行の信用供与能力が上がる一方で、不況時は株価下落から信用供与能力が下がるという、景気変動の幅を大きくするプロシクリカリティの問題がある。このような性格を有する資産は株式の他にもあるが、銀行の保有額の大きさを考えると、株式保有制限については、銀行自身によるコントロールを基本としつつも、公的な規制を設定することについて特に対応が必要と考えられる。

(4)更に、銀行は、個人の預金を受け入れるという公共的な機能を果たしているほか、決済という経済の基本的なインフラを提供していることから、法律で財務面の健全性の維持を要求されている。この点、我が国の銀行の株式保有については、銀行が自己資本に比して過大な株式保有を行っていることに加え、保有株式の時価と取得価格が近づいているために、株式の価格変動リスクの吸収が困難になっているということが大きな問題となっている。これは、銀行の自己資本が、保有するリスク量に対しては脆弱であるとも言えよう。この場合、自己資本を充実するか、リスク対比で脆弱な自己資本に対してリスク資産を適切な水準まで縮減することが考えられるが、後者の政策的対応が株式保有制限と位置付けることもできる。

(5)以上より、銀行の財務面の健全性を確保し、金融システムの安定化のために銀行の株式保有を制限する適切な制度整備を行うことが必要である。

(6)なお、銀行の保有する株式については、全体として総量的なルールを設定することに加え、特定の企業の株式を大量に保有する集中リスクについての検討も必要である。

3.企業の資金調達、個人の資産運用の観点

(1)次に、企業の資金調達、個人の資産運用の観点から捉えると、我が国では、いわゆる持合いによる株式保有が行われているが、このような企業評価に基づかない株式保有が、株価形成を歪め、株式市場(=直接金融)の健全な発展を妨げてきた要因の一つであるとの意見が出された。この場合、株式市場の健全な発展のために、株式持合いの中で中心的役割を果たしてきた銀行の株式保有を制限することにより、本問題の是正に一定程度寄与することが期待できよう。

(2)近年、大企業においては直接金融市場を通じて証券形態で資金調達を行うことが盛んになっている。しかし、創業期の企業やベンチャー企業にとり、直接金融の活用もさることながら、現実には銀行の出資による起業支援が一定の役割を果たしており、銀行の株式保有制限を考える場合には、このような現状を考慮する必要がある。

(3)直接金融と間接金融の関係が変化していく中で、我が国の銀行が、金融仲介機関として財務の健全性を維持し、引き続きその機能を維持していくためには、顧客サービスの拡充等を実施するとともに、銀行自身がどのようにして収益源を確保し自己資本を充実させるか、というビジョンも必要である。

(4)銀行に株式保有制限を課し、保有株式を売却させるに際しては、これとあわせて、個人投資家を中心とする一般投資家の株式市場への参入促進に係る仕組みを整備することが必要である。個人投資家育成の観点からは、マル1株式市場の信頼回復のための環境整備(不公正な取引の監視の強化等)、マル2直接金融のルートの整備(銀行による株式関連業務の拡大等)が十分検討されるべきである。また、投資信託については、銀行による株式投信の販売が着実に増え、個人への株式販売の裾野の広がりに貢献しているが、一般投資家の株式市場への参入の促進という観点から、投資信託等を通じた直接金融へのルートを更に整備することが必要である。また、企業年金の資産は毎年増加し、株式市場にもかなり流入しているが、機関投資家による株式投資についても、銀行に代わる株式保有主体しての役割が期待されている。このような直接金融のあり方については今後とも十分な検討が必要であろう。

(5)なお、近年、銀行は株式売却を進めているものの、過去の売却額と株価動向との間の相関関係は明確ではない。しかし、銀行の株式保有制限の導入に当っては、保有制限を受けた銀行による株式売却が株式市場にどういうインパクトを与えるかという点をも考慮する必要がある。ただ、この場合でも、銀行保有株式取得機構による買取りは、株式市場に歪みをもたらさないよう、株式市場へのインパクトという点からやむを得ない場合だけに留めるべきであろう。

4.株式持合いないしコーポレート・ガバナンスの観点

(1)株式持合いは、戦後、いわゆる資本自由化の時代に企業の経営権を守るために本格化し、その後、1980年代後半のバブルの時代にエクイティ・ファイナンスによって加速された。銀行はこの株式持合いにおいて中心的な役割を占めている。この株式持合いは、過去には安定的取引関係の維持や資金調達効果、長期的視点の経営といった意味合いがあったが、近年は、株式持合いのメリットが薄れ、企業は資本効率(ROE)やキャッシュフローを重視した経営を求められる結果、株式持合いを維持できなくなり、持合い解消が進んでいる。ただ、株式持合いが事業自体と結びついているために、事業への影響を考慮して株式売却がある程度行われた後からは持合い解消が進まない場合も考えられよう。

(2)持合いは、銀行に企業グループの維持や融資等のビジネス・チャンスを提供するとともに、企業にも安定株主の確保というメリットを提供してきた。また、経済合理性のある持合いはそれなりに存在し、これは今後とも存続していくと考えられる。他方、銀行による株式の保有は、議決権の行使による経営監視という意味でのコーポレート・ガバナンスが十分に行われない要因になっており、このことが我が国の産業の構造改革が進みにくい状況につながったとの指摘もあった。以上を踏まえれば、法律により持合い解消を一律に強制することは行き過ぎだが、持合い解消へのインセンティブを与えることは妥当な政策と考えられよう。

(3)いずれにせよ、既に持合い解消の動きは強まっており、大企業を始め、多くの企業においては、国際化の流れも加わって、外国人持株比率が上昇している。こうした企業では持合い解消による従来の安定株主の減少という事態に対し、株主に対するIR(インベスター・リレーションズ)活動の強化やコーポレート・ガバナンスが機能するための努力を積み重ね、対応を進めている。従って、銀行の株式保有制限によって、銀行の保有株を中心に更に持合い解消を進めることは、このような企業経営の流れにも合致するものである。

B.銀行の株式保有制限の具体的方法(各論)

1.株式保有の総量的な制限

(1)上述のように、現在、銀行の保有する株式の総額は、銀行全体の自己資本の額を上回る水準にあり、株価変動によって自己資本のうちの相当額が毀損する可能性がある。更に、最近の株価水準の下では、銀行の保有する株式の取得原価は、時価とほぼ同水準にあり、株価変動リスクに備えることのできる含み益がない状況にある。こうした状況下において、多くの銀行が、自己のリスク管理上、保有できる株式額を超えた過大な株式保有を行っており、このことが我が国の銀行の財務面の健全性に対する信頼感を低下させる一つの要因となっていると考えられる。

(2)従って、保有株式の価格変動リスクを適切に評価した上で、それを反映したリスク管理を求めるという観点から、保有株式の価格変動リスクが銀行のリスク管理に適切に反映されていることが重要である。また、現行の銀行の自己資本比率規制を見ると、株式保有リスクについて、基本的には信用リスクとしての評価(リスクウエイト100%)が行われているが、この規制における株式保有リスクの評価について実態に即して見直すことにより、銀行の財務の健全性を示す指標としての自己資本比率をより確度の高いものとするとともに、同比率の開示を通じて預金者・投資家等への正確な情報伝達が行われるよう留意することが適当である。

(3)なお、現在、バーゼル銀行監督委員会において、国際的に活動する銀行の自己資本比率規制(いわゆるBIS規制)の見直しに関する協議が行われており、その中でも、銀行の株式保有について、そのリスクを踏まえて、次のような多面的な議論が行われているところである。

マル1標準的手法として、株式保有リスクを信用リスクの枠組みの中で把握し、リスクウエイトについて100%を適用するという考え方に対して株式保有のリスクを考えると100%では現実のリスクを反映しているとは言えないといった主張や、少なくとも標準的手法における現在のリスクウエイトの区切りとして最も高い150%とすべきではないかといった主張がある。

マル2より先進的な銀行が各行の保有株式のリスクの実態に即したリスク管理をするための手法としては、信用リスクのみを考慮するPD/LGD法(=デフォルト率/損失率の推計法)を採用すべきといった主張や、更に、株式の価格変動リスク計測のための一般的手法であるバリュー・アット・リスク(VaR)手法等に基づき株式保有のリスクが適切に評価されることが必要であるといった主張がなされている。

(4)我が国としては、このようなBIS規制見直しの議論において、銀行の保有株式の価格変動リスクを始めとする諸々のリスクが可能な限り的確に反映されるような枠組みを構築する姿勢で各国との調整を行うことにより、国際的なルール作りに貢献することが望まれる。そして、我が国の株式保有に関する国内規制の見直しに当たっても、できる限りこのような新BIS規制と整合的なものとすることが適当である。更に、国際金融市場で活躍するマネーセンターバンクについては、市場における信任を確保する観点から、その保有する株式についてその時々において最も先進的なリスク管理手法に基づくベスト・プラクティスを主体的に実行するよう強く期待したい。

(5)また、銀行の株式保有は健全性と密接な関係を有する事項であるため、銀行が株式保有の現状やリスク管理手法の詳細を開示することの重要性は言うまでもないことであり、このような項目についての開示を充実させることが適当である。

(6)以上のような自己資本比率規制の見直しに加え、特に株式保有額が多い銀行に関して、その保有する株式総額を早急に引き下げるための明確な措置として、銀行の自己資本(Tier1か資本勘定)を超える株式の保有を禁止する上限規制も是認できる。

(7)このような銀行の株式保有制限に関する諸々の新しいルールは、新しい規制によって銀行が株式を放出することが与える市場インパクトを考慮し、更に、新BIS規制の国内適用のタイミングを勘案して、原則として2004年から導入することが適当である。また、今回の保有総額の上限規制の導入は個々の銀行に与える影響が異なることに鑑み、一定の場合には、2004年から更に1~2年の特別の猶予期間を設けることも検討に値しよう。

(8)また、株式保有の上限規制の対象とする金融機関の範囲は、銀行(信託銀行を含む。)・長期信用銀行及び農林中金、信金中金とすることとする。そして、銀行本体だけでなく、銀行の子会社等を含めた規制を行うことも検討が必要である。他方で、信用金庫などの協同組織業態への適用については、これらの金融機関の保有株式に保有リスクがあることは他の銀行等と同じであるが、株式保有額が小さいこと等を考慮すると、当面、銀行等と同一の取扱をする必要はないと考えられる。また、信託勘定で保有している株式は原則として銀行の財務面の健全性と関係がないため、基本的に保有制限の対象外とすることが適当である。

(9)更に、株式保有の上限規制の対象となる株式の範囲は、基本的には、広く考えることが適当であるが、個別の事情にも留意する必要があろう。例えば、子会社・関連会社株式については、これらの会社が本来的には銀行本体と一体で取り扱われるべきものであることを考慮した上で、また、デット・エクィティ・スワップによって取得した株式やベンチャー企業の株式等については、政策目的をも考慮した上で、その取り扱いを決めることが必要である。

2.一の会社に対する株式の保有制限

(1)銀行法では、銀行経営の健全性確保の観点から、銀行に他業禁止が課されている趣旨の徹底を図るとともに、銀行の子会社の範囲制限が逸脱されることを回避するため、事業会社の発行済株式の5%を超える株式取得を原則禁止している(いわゆる「5%ルール」)。株式はリスクを伴う金融商品という側面のほかに、支配証券で企業経営に関わるという側面があるが、産業支配の問題は基本的には独禁法で対応する問題であり、独禁法の5%ルール見直しの動きを見ながら、銀行法の観点で5%ルールを見直すかどうか、今後、検討していく必要がある。

(2)なお、このような一の会社に対する保有制限の見直しに当たっては、次のような点にも留意が必要である。

マル1銀行の保有する株式の価格変動リスクを全体として健全性規制に反映させたとしても、特定の会社の株式を大量に保有している場合には、特定企業への集中リスクが存在するものと考えられること。

マル2持合い解消が進んでいる中では、銀行の産業支配という問題意識自体が時代に合っていないと考えられる一方で、ベンチャー等中小企業の育成という観点では、一律の5%ルールでは十分な企業(起業)支援ができないおそれがあり、企業支配ではなく支援という意味では、5%ルールを見直すことも考えられること。

(3)これに関連して、銀行法には、特定企業への集中リスクを排除するための規制として、5%ルールのほかに、大口信用供与等規制があり、銀行の同一企業に対する信用供与等(融資及び株式保有)の額は、当該銀行の自己資本の額に一定比率を乗じた額(企業単体で25%、企業グループで40%)を超えてはならないとされている。

(4)銀行の株式保有制限の見直しにあたっては、株式保有の集中リスクの排除という観点から、5%ルール、大口信用供与等規制について、十分に機能するものであるか、見直しが必要であると考えられる。これらの規制見直しに当たっても、銀行のリスク管理の観点のみならず、企業の資金調達やコーポレート・ガバナンスの観点からも多岐にわたる論点があり、今後十分な検討が必要であろう。

(以上)

○ 岩原ワーキング・グループ座長

どうもありがとうございました。

ただいま朗読していただきました報告のポイントを申し上げたいと存じます。

銀行の保有する株式の制限は、基本的には銀行の財務面の健全性、リスク管理の側面からそのあり方を考えるべき問題でありますが、金融市場のあり方や我が国のコーポレート・ガバナンスにも関係する問題であるため、ワーキング・グループにおいても、これらの観点からも多面的な議論が行われました。

金融市場との関係では、銀行の株式保有制限が株式市場の健全な発展に寄与することを期待するという意見がありましたほか、銀行の株式保有制限とともに、個人投資家の株式市場への参入を一層促進する必要があるとの議論が行われました。

また、株式持合いにつきましては、持合い解消により、コーポレート・ガバナンスの改善が進む可能性が高いので、それを後押しすべきであるとの意見がある一方で、既にそういった方向に進んでいるというご意見もございました。

銀行の財務面での健全性という観点から、銀行の株式保有の制限の問題を考えてみますと、現状では、多くの銀行においてリスク管理能力の範囲を超えた保有状況になっており、銀行が株式の価格変動リスクを中心とするもろもろのリスク管理を適切に行うべきであるという点については大方の意見の一致を見てまいりました。

議論の過程では、株式保有に関するリスクウエイトを100%から150%に引き上げることが適当であると具体的に記述することや、国際基準行についてはバリュー・アット・リスク手法を義務づけることも検討いたしましたが、最終的には、本日提出いたしました報告書では、銀行の株式保有制限の具体的方法として以下のような提言を行っております。

すなわち、第1に、自己資本比率規制における株式保有リスクの評価について実態に即して見直す。これにより、銀行の財務の健全性を示す指標としての自己資本比率規制をより確度の高いものとするとともに、同比率の開示を通じ、預金者・投資家等への正確な情報伝達が行われるように留意する。

第2に、BIS規制の見直しにおきましては、株式のリスクウエイトの見直しや、PD/LGD法、バリュー・アット・リスク手法などについて議論が行われている最中であります。我が国としては、銀行の保有株式の価格変動リスクを初めとするもろもろのリスクが、可能な限り的確に反映されるような枠組みを構築する姿勢で各国との調整を行い、国際的ルールづくりに貢献することが望まれます。そして、国内規制は、新BIS規制と整合的なものとすることが適当であります。

なお、国際金融市場で活躍するマネーセンターバンクについては、その保有する株式について最も先進的なリスク管理手法に基づくベスト・プラクティスを主体的に実行するよう強く期待する次第であります。

第3に、自己資本と比較して株式保有額が多い銀行に関して、その保有する株式総額を早急に引き下げるための明確な措置として、銀行の自己資本、Tier1もしくは資本勘定を超える株式の保有を禁止する。

以上でございます。

以上の新ルールは、銀行から放出されます株式の市場インパクトや新BIS規制の国内適用のタイミングを勘案して、原則として2004年から導入することが適当と考えております。

以上申し上げましたワーキング・グループ報告につきまして、第二部会においてご審議をいただき、最終的な結論を出していただきたいと存じております。

以上でございます。

○ 福井部会長

詳しいご説明をいただきまして、どうもありがとうございました。

それでは、皆様方から自由にご発言をいただきたいと思います。このペーパー及び今の座長のご説明、両方に沿いまして、ご意見を出していただきたいと思います。

どうぞ。

○ 川北委員

ただいまのご報告を伺いまして、今までの行政というのは信用リスクを中心に、規制で自己資本の充実を図っていくということだったんですけれども、市場リスクも勘案した行政に変化するものだと理解いたしました。

報告書に関しまして、2点ばかりお願いしたい点がございます。

1点は、株式の保有制限が新たなリスクファクターにならないようなインパクトの調整をぜひともお願いしたい。この点は、報告書にも触れられておるところですけれども、重ねてお願いする次第です。

2点目は、今回の規制は、まだ細部をこれから詰めていかれる段階に入ると思います。そういう意味では、多少細かな点なんですけれども、1つはベンチャーのみならず、地方経済への配慮をする必要性があるのではないかというのが1点でございます。

それと、株式の含み益がある健全な銀行というのも実際のところ存在しておると思います。そういう意味では、十分なリスクバッファーは持っている、そういう銀行に対する自己資本規制の考え方、それをどうするのかという問題を具体的段階では詰めていく必要性があるのではないかなと。それで、そういう銀行が、仮に今回の規制を受けて株式を売却しないといけないということになってきますと、売却益が出るわけです。かつ、その売却益の相当部分が、現行の制度のもとでは税として社外に流出してしまうということで、かえってそういう健全な銀行の体質を弱体化させる可能性もあると思います。そのあたりをどのように配慮していくのかということで、細部の点を具体的な段階でぜひともご検討いただければと思っております。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○ 原委員

2点ございます。

消費者側からの委員ということで、これまでずっと皆さんの議論を聞かせていただいておりましたけれども、最終的な報告にまとまるところで2点ほどなんですが、1点は、3ページから4ページに書かれていますけれども、実際に私たち個人投資家の育成というんでしょうか、保有されていた株式が市場に非常に出てくるというところで、私たちが直接、投資家として投資信託なんかを通じてこの株式を保有するということになるときに、4ページの上から2行目に書かれているのは「直接金融へのルートをさらに整備すること」という言い方で1行だけになっているんですが、私としては、そのルートの整備だけではなくて、環境整備がぜひ必要だと思っております。

金融商品販売法というのがことしの4月からスタートしておりますけれども、これは私どもの認識としては第1ステップと思っておりまして、これは前回までの金融審議会で、適合性の原則などは勧誘方針というところの策定・公表というところにゆだねられましたし、それから裁判外の紛争処理機関、相談とか苦情の処理体制というところも議論を並行してこことやっていますけれども、非常に難航しておりまして、こういったところも大至急整備を図っていくという。それから、最も基本的なのは、金融にかかわる消費者教育の部分だとも思っておりまして、ルートの整備だけではなくて、安心して金融市場に出ていけるような環境整備ということをぜひ掲げていただきたいと思っております。

それと、もう1点なんですけれども、今回この株式の保有制限だけではなくて、いろいろな形で、より広い、正確で明確な形での情報開示ということを考えていきますということがずっと流れとしてはあるんですけれども、例えば7ページの(5)で書かれている「株式保有の現状やリスク管理手法の詳細を開示する」という書き方になっていますが、この「開示」という言葉の使い方というのは、これはディスクロージャー誌に必ず掲載されて一般の人の目に触れるということになるのかどうか、「開示」という言葉はいつもそこまで含まれた形で書かれているのかどうかという、そこの情報開示についての整備もぜひお願いしたいし、最終的には私たち一般消費者にわかる形でお願いしたいと思っております。

以上の2点です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

座長、今のディスクロージャー誌まで含むかという部分はいかがですか。

○ 岩原ワーキング・グループ座長

それでは、樋口課長にお願いします。

○ 樋口信用課長

この報告をちょうだいしましたら、あとは私どもの方で実務的にどういう項目についてどういう開示を求めていくかという検討をしたいと思っております。そうした暁には、今、原委員からご指摘もございましたように、なるべくディスクロージャー誌に開示して、一般の国民消費者の方にもできる限り多くの情報が伝わるようにする、そういう姿勢で具体的に考えていきたい、このように考えております。

○ 福井部会長

よろしゅうございますか。

本当は、ディスクロージャー誌というのは銀行が自らの経営の問題として積極的に取り組まなければならない筋合いのもので、余り他律的に縛ってもいけないのでしょうけれども、でもやはり何としても銀行がこれにはポジティブな姿勢をとってほしいと私も思います。

どうぞ。

○ 若林委員

今、ご意見があったことに少し関連いたしますので申し上げますけれども、3ページの下の「銀行に株式保有制限を課し」云々のくだりでございます。

確かに、銀行が保有する株を放出するということは市場にとっては売り要因ということになるわけで、それに対して受け皿としてどうしていくのかということは極めて大切なことであろうと思います。それが、まさに具体的に保有機構等で議論がなされておる、またさらには税制等の改正と政府の施策も望まれておるような議論があるわけでございます。

ここで、個人投資家層の参入を促進するという観点から、まず信頼回復、環境整備が必要であるというのはそのとおりであろうと思うわけでございますが、直接金融ルートの整備ということで、銀行にある株式関連業務の拡大ということがうたわれておるわけでございますが、銀行が株式業務をどこまでやるかということについては、今、証券会社というのは既に登録制度になっておりまして門戸は開かれておる。その中で、別途、銀行という機関が株式をどう扱うべきかどうか、どこまで扱うかというのは、まさに銀行の具現すべき業務の内容にかかわる問題ではないかと思うわけでございます。そういう観点から議論を進めることは十分考えられるわけでありますけれども、こういう個人投資家の参入ということで、また銀行に株を売らせるんだから、銀行がその受け皿となるべき業務を一緒にやればいいじゃないかというのは、若干乱暴な議論ではないのかなと思うわけであります。プレーヤーが必要ということであれば、今、例えば銀行には子会社による証券会社の経営というのは既に行われておるわけで、なぜ銀行本体がそれをやるかという議論として、別途、銀行の健全性の議論がなされてしかるべきではないかと思うわけでございます。

その絡みで、投資信託について銀行が善戦しておるではないかというくだりがその後にあるわけでございまして、これはまさに銀行というところの機関がやったから売れたのであるとすると、それはなぜかということがむしろ十分分析されなければならない問題であろうと思うわけでありますし、その辺のところの議論としてこの問題が提起されるならいいわけですが、この場所でこういう議論をすることはいかがかなとは思っております。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

何かコメントはありますか。

○ 樋口信用課長

ここの部分は、たしか5月でしたか、部会とワーキング・グループの合同会合を重ねていて、皆さん方から意見発表をお願いするというときに、発端としてはたしか神田委員だったと記憶しておりますけれども、神田委員から具体的なご提言があって、その後を経ましてここに至ったということでございます。

○ 若林委員

今申し上げたような観点からのご議論があるべきということで、私は今申し上げているわけです。

○ 福井部会長

銀行が今後の業務として工夫を凝らすべき範囲は広がっていると思いますけれども、資本市場に個人投資家を招き入れるビジネスはもっと広い範囲のものだというご認識ですね。

どうぞ。

○ 前田委員

起草された方にご質問ですけれども、総論と各論のところでずっと「銀行」という普通名詞で書かれているんですが、もし仮にここで普通名詞というか、すべての銀行を指すような書き方だとしますと、総論のところで書いていることはかなり実態と違うという感じがいたします。すべての銀行がこうだと、やや決めつけ過ぎているのではないかと。銀行というのはどこを指しているのかというのをお答えいただきたい。

○ 樋口信用課長

済みません。今のご質問・ご指摘はどこの部分に出ておりますか。

○ 前田委員

総論・各論、すべてで同じ「銀行」と書いてあるんですけれども、ところどころ「特に株式保有の多い銀行」とか、そういう書き方になっているんですが、ほかのところは全部「銀行」になっているんです。これはすべての銀行には当てはまらないと思いますので、もうちょっと正確に書いた方がいいのではないかという意見であります。

○ 樋口信用課長

一応、ここで「銀行」という場合には、銀行法による銀行でありますから、銀行あるいは信託銀行、それから長期信用銀行法に基づく銀行といったものを念頭に書いておりまして、そうしたときに、恐らく前田委員のご指摘というのは、例えば自己資本の額と比して、株式の保有状況はいろいろ異なるんじゃないかというような趣旨ではないかなと思うのでございますけれども、そこは表現の問題ではありますけれども、余り決めつけ的にはなり過ぎないようにということには留意をしているつもりではございますが。例えばどの辺ですか。

○ 前田委員

株の額だけではないんですけれども、例えばリスク管理のところで2ページの(3)の・のところですけれども、要するに「銀行は各種の資産のリスクを総合的に管理しようとしているが、これはいまだに完成された段階にまでは至っていない」といった点は、実態とは違うという感じです。

量的なイメージは、もちろん銀行によって株式を自己資本の150%持っているところ、200%持っているところ、50%しか持っていないところで差があるのは事実なんですが、私はそういうことを申し上げているんじゃなくて、すべての「銀行」という、一般名詞でこういう言い方をしてしまうと、銀行によって個性が物すごく違いますので、ちょっと特定してお書きいただいた方がいいのではないかと思います。

すべての銀行がこうだというのは余りにこれはきき過ぎてしまって、だから一律に100%にするんだという結論に持っていくためにすべて決めつけているという裏返しになっていますので、これはちょっと厳し過ぎるのではないかと単純にそう思うんですけれども、ほかの委員の方のご意見をお聞きしたいと思います。

○ 福井部会長

銀行は、個別に非常に差があるというのは事実ですし、そのことは多くの方もご承知ですし、私自身も承知しております。

ですから、表現にはできる限りそういうニュアンスを出していくべきだと思いますが、同時にやはり銀行といった場合、大勢観察をして述べていくところが少なくありませんので、すべての側面を過不足なく表現し尽くせるかどうか疑問もございます。前田委員のご主張はよくわかりますので、表現上、最大限の工夫をするということで如何かと思います。

どうぞ。

○ 杉崎委員

1つ、保有制限の導入時期に関して、きょう拝見したこの本文で文章の脈略を確認ないしは教えていただきたいと思うんですが、今、議論ございましたように、市場インパクトのほかに、何よりも一方で市場改革としての株式の担い手ということで、個人あるいは年金マネーを中心とするマーケット構造への転換を急ぐ必要がある、こういうくだりがございます。一方7ページの各論の(7)のところでは、今度は専ら、導入時期はやはり現在議論されている最中のBIS規制とある程度平仄を合わせる必要がある、こういう別の論点から導入時期についての議論がなされておりまして、(7)の末尾のところでは、今回の保有制限の上限規制の導入は個々の銀行で云々とございまして、一定の場合は2004年からさらに1、2年の猶予期間という表現がございます。この導入時期に関する立論というのがトータルで整合性があるのか、それとも特別の猶予期間というのがどういったことを想定されていらっしゃるのか、これはまとめていただいた方にちょっとイメージを教えていただければと思います。

○ 樋口信用課長

今のご質問の関係でございますけれども、前の方のくだりで、個人・年金マネー云々という、そことのつながりということで申しますと、7ページにまいりますと、そこに書いてございますように、新しい規制によって銀行が株式を放出することが与える市場インパクト、これを考慮するということに対応しておりますのは、この報告では簡単に触れられておりますが、今、金融庁でいろいろと各方面とも調整をしております銀行の保有する株式の買い上げの問題、これをどう位置づけるかということ、あるいはそういった中で、個人なりの投資家というのをどう考えるか、この辺が市場インパクトの関係でございます。

それから、一定の場合には2004年からさらに1、2年の特別の猶予期間、ここのところは、上限規制というものを設定いたしますと、現実の銀行の株式保有状況というのを見ますとかなりばらつきがございます。上限を大きく上回っている銀行もありますし、上限を若干上回っているところもある、また上限まで行っていないところといろいろあるわけでございますが、そうしたときに上限規制の対象となります銀行につきましては、2004年の段階で自己資本の高さに至るまでの株式を売却していただくということが大原則でございますが、そうした場合に、まさに日本の銀行が株式を持っている理由というのはまたいろいろあるわけでございますので、そこで一律に一切の例外なく、すべてを2004年までに売却してくださいという規制をかけると、新しくつくる規制でございますので、そこで一律に置くということは行き過ぎではないかということから、一定の場合には特別の猶予期間ということで1、2年の期間を設けているという趣旨でございます。

○ 杉崎委員

今のお話で、後段の方はよくわかりましたのですが、前段の方で、証券市場の活性化、例えば税制改革の環境整備といったところが、もう少し強調された方がよかったのではないか。前段の方の、やはり受け皿とおっしゃるのであれば、マーケットの担い手の方の改革の方も各論に触れるか、あるいはさらにトーンを上げて書かれますとバランスがいいのかなという印象を持ちます。

○ 福井部会長

第二部会長として、きょうはワーキング・グループから案をちょうだいして、皆様方に議論をお願いしているわけですけれども、私自身、今の議論に出た期限設定について、こういう理解でいいかどうか、座長からお教えいただければと思っています。つまり、新しいBIS規制が、可能性としては2004年からスタートする。日本の銀行は、基本的にはその新しいBIS規制と整合的なリスクコントロール体制を整える。特に、マネーセンターバンクは、その中でもベスト・プラクティスに沿うことを強く期待される。これが大きな下敷きで、今現在、銀行が非常に大きな額の株式を持っているとすると、それまで何もしないでいくとソフトランディングできないのではないか。したがって、その前段階において上限規制を設けよう。だけれども、銀行ごとに株式保有状況には随分差がありますから、機械的に2004年ということではなくて、若干のアロウワンスを設けてはどうか。恐らくそれが基本的なタイムセッティングの仕方ではないかと私は受けとっております。

今、杉崎委員からお話のありましたのは、株式を売却していく場合に、マーケットの整備、特に個人がうまく株式を吸収していく条件が整うことが大事だということでして、このご指摘は非常に重要だと私も思いますけれども、今後の不確実性を考慮に入れますと、そこのところをベースに明示的なタイムスケジュールを決めることは容易でないこともまた事実でございます。

したがいまして、新しいBIS規制へのソフトランディングの時期ということは明確でありますので、マーケットの整備という宿題についても、ある意味でそこをタイムリミットとして努力していかなければならない、そういう趣旨のタイムスケジュールの決め方かなと思って皆様に提示しておりますが、それでよろしゅうございますか。

○ 岩原ワーキング・グループ座長

具体的な行政の対応までは私の方からお答えすることはできませんけれども、趣旨としては、今、福井部会長ご指摘のとおりだろうと思います。市場の整備とBISに対応した銀行のリスク管理の進展は、両方歩調を合わせて進めていく必要がある、これは当然のことで、したがいまして後ろの方では特にそれはあえて繰り返していないということだと思います。

ただ、金融審議会に与えられた課題としましては、銀行のリスク管理ということが主たる使命でありますし、またBIS規制に対応した制度整備を進めなければいけない、これはもう日本の金融というのは世界の中に生きているわけですから、これは待ったなしで実践していかなければいけない。

したがって、具体的な期限についてはBISを中心に考えて、個人投資家の育成等に関しては、なるべくそれに沿うように努力していただく。

ただ、これはさっきもお話がでましたように、税制の整備その他、ここだけで議論し切れない問題もありますので、それは金融審議会の答申としてここにそれを条件として書くわけにはいきませんから、それは触れていないということだと私は理解しております。

○ 福井部会長

よろしいでしょうか。

ほかに、どうぞ。

○ 能見委員

今までのお話とこのご報告の中で、自己資本規制の株式の保有リスクに関しての自己資本規制のリスク評価ということは、結論的には今後の新BIS規制の論議の帰趨にゆだねられていると認識しておりますけれども、そこで規制を受けるサイドとして、もちろん金融機関自身が健全性の確保とか収益力の強化に努めて国際競争力をアップするということは当然前提でございますけれども、ただ今後のBISの国際交渉に臨むに当たって、1つだけご当局にお願いをしておきたいと思います。

それは、このBISのルールづくり、規制手法の採用ということで、この報告にもあるように、我が国の金融機関の果たしてきた役割なり歴史というのは、ここでも持合いについて全面否定をしているわけではないんですね。ですから、そういったようなこと、それから現在の規制との連続性という観点、あるいは我が国がこれまで行ってきた国際交渉の経緯等を踏まえて、我が国金融機関の国際競争力が大きく弱められることのないように、これまでの交渉スタンスをぜひ継続していただきたい。お願いです。

○ 福井部会長

ほかにございますか。

どうぞ、岡部委員。

○ 岡部委員

新BIS規制との整合性というのはまさにそのとおりだと思うんですが、ということは、これからの新しいルールの適用対象は、主に国際業務を行う銀行を中心と考えてよろしいんでしょうか。

それと、もう1点、株式保有には持合いの解消という大きな問題があるんですけれども、一方で直接金融のこれからの流れあるいは業態間の融合という中で、戦略的な意味を持ってくる株式保有というものも恐らく出てくる。あるいは、不良債権処理に絡んでデット・エクィティ・スワップの問題もあるし、あるいはここにも書かれていますベンチャー企業との新たな取り引き関係というようなことを考えると、戦略的に持っていた方が今後の金融ビジネスを展開する上で有利になってくるというものについてのカウントをどうしていくのか。これはもう最初から差し引いて考えるのか、その辺はどういうことになるんでしょうか。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

お答えできますか。

○ 樋口信用課長

あるいは、今、能見委員、岡部委員からご質問のあったBISの関係、後ほど私どもの方からお答えすることになるとは思いますけれども、岡部委員のご質問のうち、いろいろ戦略的な株式保有があるんじゃないかと、その辺なんでございますけれども、そこは例えて申しますと7ページの(9)でございますけれども、そこに出ておりますように、この規制は、本来的な趣旨としては基本的には広くとらえるべきだとは考えておりますけれども、そこにございますように子会社・関連会社の持っている株式、つまり何か戦略的に特定の会社を自分の子会社あるいは関連会社としていくということはもちろんあり得るわけでございまして、そのようなものについては、例えばリスク管理としても現実に一体で行われているということも考慮しなさいという表現となっておりますし、またデット・エクィティ・スワップ、ベンチャーといったことについても、ごらんいただいているような報告内容となっております。

したがいまして、こういう報告を出しますと、あと今度は私どもの方で、具体的にどういうものを、例えばベンチャー企業といっても、表現上はベンチャー企業ですけれども、具体的にどれがベンチャー企業かと、もちろん事務作業はあるわけでございまして、報告をちょうだいしますと、その辺の詳細というんでしょうか、すぐ行っていくことになると考えております。

○ 大久保参事官

ただいま能見委員、岡部委員からご指摘のありましたBISの交渉に関連いたしまして若干お答えをしたいと思います。

ご案内のように、5月末を期限といたしまして、いわゆる第2次市中協議案というのが出されておりまして、現在、各界からのコメントが多数寄せられたところでありまして、バーゼル委員会としては、非常に多岐にわたるコメントが、たしか200以上あると思いますが、公表されているものだけでもそれだけございますけれども、かなりのコメントが出されてきておりますので、それを慎重に分析するというような作業を今後とも進めていくということが想定されておりまして、まだ議論が残された点が多いものですから、確たることは申し上げられませんけれども、想定といたしましては、年末にかけてさらに作業が推進されていくということでございます。

こういった中で、このご報告の案にありますようなご指摘を受けた場合に、私どものバーゼル委員会でこれを踏まえた対応というものを十分念頭に置きながらやっていきたいと考えておりますけれども、ここにあるのと同時に、さまざまなワーキング・グループ、部会で出されましたご意見を全体として勘案しながら対応してまいりたいと思っておるところでございます。

それから、バーゼル規制、いわゆるBIS規制につきましては、国際的に活動している銀行を対象にしているものであるというところはご指摘のとおりでありまして、バーゼル委員会の今回の市中協議案でも、この案というものは国際的に活動している銀行をターゲットに置いているということははっきり述べておるところでございますが、他方で、ここでいろいろ議論されておりますいろいろなリスク管理の原理というものはもう少し幅広い、金融機関全体に適用可能なものではないのかという問題提起がなされておりまして、バーゼル委員会としては、こういった原則に沿った対応というのをすべての主要な銀行が一定の期間を置いた後に、すべての銀行がそれに沿った対応をしていくことを期待しているということも踏み込んで書いているところがございます。

我が国におきましては、国際的に活動している銀行と国内の銀行については、自己資本規制は若干異なった規制をしているわけでございますけれども、これをこのBISのバーゼル委員会での作業に合わせてどのように対応していくかということにつきましては、現在の自己資本に対するワーキング・グループでご議論いただいているところでございますので、見直しの結果、実際に適用されるというタイミングに合わせまして、引き続きご議論をお願いしていきたいと考えているところでございます。

○ 福井部会長

ただいま岡部委員がおっしゃった後段の方、これは私、ワーキング・グループの議論を拝聴していましたときも1つの大きな議論の焦点になっていたわけでございます。つまり、リスクコントロールの観点から株式保有というのをどう考えるかという1つの柱のほかに、やはりこれからの時代の銀行の自由な経営戦略の展開、新しい銀行による金融機能の発揮、その幅とかフレキシビリティーを縛るべきではないという一方の大きな議論。この大きな議論の闘わせ合いがあったというふうに思います。

その1つの結論が、7ページの一番下の(9)、短い文章ですけれども入っているということであって、この(9)というのは、私がワーキング・グループの議論を聞いておりました感じでは、かなり重い中身が入っている感じで受け取っているのでございますけれども。

もし、ほかにこういった点についてもご議論があれば、非常に重要な点でありますので、意見を出しておいていただきたいと思います。

○ 田中委員

今、福井さんが言われたことに関連してですが、これを全体として見ると、金融庁は今後、抱えておられるヒューマンリソースを一体どこに当てようとされているのかなというのが私は思いとしてはあるんです。

大きな流れとして、MOFから金融庁になったときに、事前関与を廃して事後監視にすると。銀行についても、例えば生保の場合だったら、資産の長期運用が健全になされているかどうかについてちゃんと監視を行うと。もし問題が起きているようなところがあれば、それはもう厚く監視をして、破綻あるいは破綻に近い状態になったら、即座にそれに対応できる体制をとるということだったと思いますし、銀行についても、ワンタッチで対応できるということも含めて対応されるはずだったと思うんです。

ところが、今回、ここに書いてあります何年物とか金額がどこまでとか、それからこのナンバー9がまさにそうなんですが、デット・エクィティ・スワップについては別枠ですよとか、ベンチャーについてはまた別だということになりますと、もし自分がその立場だとすると、自分の部下にこういう交渉事をいちいちやらせるのかと。Aという銀行が来て、ここはお目こぼし願いますと言うかどうか知りませんけれども、監督当局に対して何か言ったときに、部下にそういうことをやらせるんですかということなんです。

なぜそういうことが出てくるかというと、要するにオリエンテーションを示したんじゃなくて、これは現状を示して、時期まで決めたわけです。しかし、現実にはいろいろあるという話ですから、交渉事を部下にやらせるということですね。そうすると、そんなことをやったら破綻に追い込むんじゃないかと。大きな流れさえ確認して、あとは個々の民間の経営者に、あなたが負っている義務・責任というのはこういうことですよ、あなたが発揮しなければいけないアカウンタビリティはこういうことですよという大きな流れさえ示せば、そういうことからは手を引くという話だったんじゃないか。これでいいですか、責任果たせますか。あるいは、問題が起きたときに、しまった、また来た道に来ちゃったなということになる。そこはどう考えておられるのか。9の、まさに個別の話は、いろいろ個別にやらせてもらいますという話だと思いますけれども、そういう話に入るんですか。

○ 乾総務企画局長

今おっしゃいましたことに端的にお答えいたしますと、9番で「個別の事情にも配慮する必要はあろう」というのは、ちょっとそういう誤解を招いたかもしれませんけれども、上限規制の対象となる場合に、一定の政策目的、重要性から例外を認めなければならない場合があるでしょうといったことを書いているわけでございまして、その判断を白紙で行政が一つ一つ判断するという意味では実はございませんで、そうした例外のことにつきましてもできる限り、これについての法律または政令ができた後、いろいろな形でルール化していって、例えばこれこれの法体系に該当するものはベンチャーとして別にするとか、そのルールの中でやっていきたいと思っています。

最初に、ヒューマンリソースの点に触れられましたけれども、これはもう委員の皆様方によくご理解いただいておりますように、金融庁のヒューマンリソースは極めて厳しいものがございまして、現在、大変な課題を抱えておりまして、監督局を中心に不良債権の問題、そして総務企画局でこうした金融機関が機能をこれから十全に発揮していくためのいわばルール整備というようなことをやっておりますけれども、私ども、金融監督庁あるいは金融庁を発足いたしましたときの、裁量というものを廃して、できる限り透明なルールに基づく行政をやっていくということはみじんも変わってないつもりでやっているわけでございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

どうぞ。

○ 森脇委員

信用金庫業界から一言申し上げたいと思いますが、信用金庫につきましては7ページの(8)のところで触れていただいていまして、結論としては「銀行等と同一の取り扱いをする必要はないと考えられる」、こう記載していただいています。我々としても全くそう思っているわけです。

現在、信用金庫業界全体で、株式保有というのは自己資本の1割にも満たないというような状況でありますから当然だと思っているわけですが、ただ、この文章を拝見しておりますと、「当面」という言葉がさりげなく入っているわけですが、この「当面」という意味はどういうことなのか。やはり現状の、要するに10%に満たない株式保有に対してもいずれは何か考えているよということをお考えなのかどうか、一言伺わせていただきます。

○ 樋口信用課長

今お言葉ございましたが、ここのところは株式保有の上限規制の対象となる金融機関の範囲ということでありますので、今、森脇委員よりご指摘にありましたように、基本的な考えとしては、自己資本の高さと比較して、それより下であるという場合にはそもそも規制の対象にならないということは、今回の報告ではそうなっているということでございます。

そうすると、あとは個別に見ていってどうかとか、そういうことはもちろんあるということが1つと、それからその上限規制の考え方について、今回ここで整理させていただきましたので、こういうことだろうとは思っておりますけれども、それが将来にわたって何ら変更はないかというと、そこはまたわかりませんし、そういう意味で、もろもろ考えて「当面」と置かしておいていただいておりますけれども、では何か今の時点でこれをすぐ撤廃して、信用金庫に対しても同じような規制をすることを考えているかと言われますと、今の時点ではそういうことは考えていないと理解していただいて結構だと思います。

○ 福井部会長

大体ご意見は出していただいたと思いますので、分科会長、もし何かございましたらどうぞ。

○ 蝋山分科会長

そうですね、私が言いますと初めからひっくり返すようなことを言うか、それとも黙っているかという二者択一的なので大変難しいんですが、先ほど岩原ワーキング・グループ座長から、ここでいう直接金融、私としては証券市場の整備ということを書くのはちょっとまずいんじゃないか、強調するのはまずいんじゃないかというようなご説明があったかと思います。3ページから4ページにかけてのご指摘ですね。マル2の、直接金融のルートの整備が十分検討されるべきであると。「ルートの整備」が、中に括弧で、銀行による株式関連業務の拡大等という形で非常に矮小化されているわけですが、こういう問題ではなくて、やはり直接金融ないしは証券市場を通して資金が流れるというチャネルは環境の面でもルートとしてもちゃんとやっていかなきゃいけないということをもっと行政としても認識する態度を示していただきたいというのが、全体の金融審議会の金融分科会の観点からは大変重要ではないかと思うんです。

そういう点では、原さんのご指摘は消費者の観点からのご指摘だったわけですけれども、ともかく一般の方々を投資家として市場の中に自信を持って巻き込めるような環境整備というのを、これは確かに同時並行的であるし、決して条件つきではありませんけれども、政策としては少なくとも強調してしかるべきではないかなと思います。これは、税制の問題のご指摘もありましたけれども、私はそれだけではないというふうに思います。要するに、第一部会の仕事としてアサインされているもの、それがややリソースの欠如ということもありまして、リソースのバインディングが非常にきついということもありまして取り組まれていないわけですけれども、やはり審議会としては言ってもいいんじゃないか、こういうところぐらいではと、こんなふうに1つ思います。

そういうところの関連でいえば、ここで言う株式というのは、僕は上場株式という形で全部読みかえて読んでいるんですが、それではいけないんですね。

ある株式を、株式全体の中にあるのを除くという考え方もあるかと思いますけれども、この株式だけを念頭に置いていますよというふうに、そしてもしも、例えば非上場のものでもちゃんと値段がつくようなものは入れるという形の方がいいんじゃないかなと思わないわけでもないんですが、どうなんでしょう。ちょっとテクニカルな話かもしれませんけれども。

前段の方は、分科会長としては分科会の中でそういう議論が出てきたときにはそう答えたいと思っていますし、それから場合によっては一部分、文章を修正することもいいんじゃないかなと思います。

2番目の点は、1人のリーダーとして、株式を上場株式と、プラスある種の値段がつく株式を一部つけ加えるという考え方ではいけないんですかという質問です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

前段の方はしかと受けとめさせていただきまして、後段の方は……。

○ 樋口信用課長

ここで言っている株式は、一番の基本的な考え方としましては、上場、非上場問わずに株式全体であるということでございます。そうした中で、あえて切り分けをしていきますと、上場株式、店頭なども含めて、絶えず価格がついているものというのは価格変動リスクというのに非常に直面していると。時価会計の中では、端的にそれが銀行の財務諸表に反映しているという関係になっております。

一方で、ベンチャーという言葉がいいかどうかはともかく、ベンチャーとか、そういうものは、日々価格がついているというよりもむしろ、あえていえば信用リスク的な世界なのかなと、そんな議論を実はワーキング・グループでしてまいりました。ですから、具体的なルールをつくる場合には、そういう考え方をもとに考えていくことになると思いますが、基本ラインとしては、非常に広く株式を考えていきたいと考えております。

○ 蝋山分科会長

法律的にはその方がやさしいんですか。法律あるいは法制、田中さんの質問にあるような形の行政の簡便さといいますか、簡素な行政ということを考えたときに、どういうアプローチをした方が行政効果として費用・効果の面でいいのか。

法律的には、株券としか書いていないんだから、それは初めからそういうふうに法律をつくる方がやさしいのかもしれないけれども、しかし行政的なことを考えると、この株式は上場の株式についてこうしてくださいというふうに、経済的な機能を中心に考えると、私は上場ということから入った方がやさしいんじゃないかなと推測するんですが、違うんですか。

○ 樋口信用課長

正直申しまして、まだ立法論あるいは行政技術論といったところまで検討は進んでおりませんけれども、仮に保有に上限規制を置くということになりますと、何らかの形で法的な手当をする必要があると思っております。

そうした場合には、先ほど局長の乾からご報告しましたように、一体どういう株式がその対象になるのか、あるいはならないのかといったことにつきましては、十分議論した上で、なるべくわかりやすくルールとして明確化していきたいと考えております。

○ 福井部会長

どうぞ。

○ 前田委員

ただいまの非上場の有無となりますと、ここで答申に書いているのとかなり違ったイメージになると思うんです。明らかに上場株式で時価変動を大きくする部分について、我々銀行も自分でマネージしているんですけれども、非上場のものはそんなに時価変動しません。もともと時価はないわけですから、私も先生と同じ意見でして、そういうのを全部入れるというのはちょっと違うんじゃないかなと。今までやった議論とちょっと違う方向ではないかと。非上場を外しても別に、実体からいいましても、政策保有、例えば戦略保有の子会社とかいうのを除けば、非上場の株って非常に少ないんですよね。ですから、それも理論的に入るというのはどうも……。もともと100%規制をかけるのに理論的根拠はありませんので、そこら辺に余り理論を求めない方がいいんじゃないかなという感じがするんですけれども。

○ 福井部会長

BISの新しいルールがどうなるかとか、その辺も検討に入れながら、一応これはお預かりということにさせていただきたいと思います。

それでは、第1部の方の議論は、一応本日はここで締めくくりとさせていただきたいと思います。

なお、本日ちょうだいしましたいろいろなご意見を踏まえまして、来週26日の部会報告の取りまとめに向けて具体的な修正等を考えていきたいと思います。修正の仕方につきまして、できますれば私にご一任賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。

(「よろしくお願いします」と呼ぶ者あり)

○ 福井部会長

ありがとうございました。それでは、ちょっと重責でございますけれども、修正について私が責任を持ってやらせていただきます。

この次の第二部会は26日を予定しておりますが、きちんとした最終案を出させていただきたいと考えております。

なお、場合によりまして、最終報告の取りまとめについて、もうあまり日はないのですけれども、事務局の方から委員の皆様方に個別に多少ご相談させていただく可能性もあろうかと思います。その際は、よろしくご協力をお願いしたいと思います。

それでは、しばらくティーブレイクをさせていただきます。議事の再開は今から10分後とさせていただきます。

なお、お手元の資料のうち、「第二部会及び金融機能の向上に関するワーキング・グループの検討状況」という紙につきましては、大変恐縮ですが、この後回収をさせていただきますので、席上に残していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

午後3時28分休憩

午後3時40分再開

○ 福井部会長

それでは、第2部後半の議事に入りたいと思います。

後半は、生命保険をめぐる問題についての審議をお願いしたいと思います。

生命保険をめぐる問題につきましては、既にこの第二部会において、去る4月25日、ワーキング・グループの中間報告をいただいて議論したわけでありますけれども、さらにそのときの議論を踏まえて、ワーキング・グループで改めて検討をお願いしたところでございます。そういうふうに二段重ねになりましたけれども、ワーキング・グループの方で精力的にご検討いただきましたので、きょうはこれまでの検討状況について整理したところを、皆様方の前に出していただきまして、部会としての審議を重ねたいと思います。

座長であられます山下委員から、総括的なご報告をいただきますとともに、お手元に既に届いております第二部会及びワーキング・グループの検討状況にかかる資料、これについて事務局より読み上げをお願いしたいと思います。

第1部のに比べますと、ちょっと見たところ大変分厚いわけでございますので、少し時間もかかるかもしれませんが、内容は濃いわけでございますので、しっかりお聞きいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○ 山下座長

保険の基本問題に関するワーキング・グループにおきましては、生命保険をめぐる諸問題につきまして、3月13日の第二部会でのご審議を受けて設置され、4月25日における中間的な報告を受けまして、当初から数えますと計10回の会合を重ねてまいりました。これまでの議論をベースに、お手元にございます第二部会及びワーキング・グループの検討状況というものに取りまとめさせていただきました。

本日は、これをやや長文ではございますが、朗読していただきまして、その後、ご審議をいただきたいというふうに思っております。事務局より朗読していただいた後、ポイントにつきまして、私の方から若干ご説明を申し上げます。

それでは、事務局の方よろしくお願いいたします。

○ 事務局

それでは朗読させていただきます。

金融審議会金融分科会第二部会及び保険の基本問題に関するワーキング・グループの検討状況

A.全体的な展望(総論)

1.我が国の生命保険の普及率や国民所得に対する割合は、近年若干の減少が見られるものの、長期的に増加してきており、その結果として国際的に見ても相当程度高い水準にある。これは生命保険が国民生活に深く根づいているということでもある。個人の自助努力による生活保障が一層求められていく中、多様なライフステージに応じた生涯保障商品の提供等、生命保険業に期待される役割は引き続き大きい。

2.一方で、生命保険市場の成熟化及び近年の社会経済環境の変化は、生命保険業に新たな課題を投げかけている。

我が国における生命保険商品の中核は確定拠出・確定給付の超長期商品となっている。これに見合う長期の運用資産が乏しい中で、保険会社の収益は総体的になお黒字基調で推移しているものの、超低金利の継続は、いわゆる「逆ざや」問題を出現させており、不適切な資産運用と相まって生命保険会社の破綻が相次いでいる。

こうした厳しい経営環境等を反映して、解約の増加、新規契約の伸び悩みに代表される「生保離れ」等が指摘される中、保険契約者からの信頼の向上が大きな課題となっている。従来の保障性商品については既に相当程度成熟しており、また貯蓄性商品についてはほかの金融商品との競合が見られる。近年の生命保険会社の厳しい経営環境は一時的なものではなく、構造的なものであると考えられる。

相互会社は生命保険事業の担い手として引き続き株式会社と並び大きな比重を占めているが、一方で保険契約者は、保険会社が株式会社か相互会社かの違いをほとんど認識していない。現状において、古典的な相互会社の理念と実態との間には乖離が見られ、その中で保険会社はさまざまな経営上の課題に対処することが求められている。

3.このような状況に直面して、各生命保険会社においては、明確な経営戦略の構築とその着実な実行が求められている。

保険事業の固有の機能は保障の提供であり、保険契約者の保障に対するニーズに確実にこたえていくことが、今後の生命保険会社のあり方の基本であることは言うまでもない。そのためには、さまざまなリスクの的確な管理を初めとする内部管理体制の整備や、適正な会計・ディスクロージャーの実行等が重要となる。

その上で、少子高齢化の進行により、生存給付型商品に対するニーズが高まるなど、我が国が直面する社会経済構造の変化に対応して、生命保険業には従来主として注力してきた分野とは異なる新たな活躍分野も展望されるところであり、オーダーメイド商品の提供など、既に新たな事業展開の胎動も見られるところである。今後とも、保険契約者のニーズを的確にとらえた商品の提供が重要となる。

さらに、金融のグローバリゼーションや情報技術(IT)の発展に伴い、国際化やIT化への対応も重要である。既に海外市場への進出やインターネットを活用した商品販売等の動きが見られるが、こうした国際的な動きやITの活用は、生命保険業に新たなビジネスモデルの構築を可能とさせるものである。

会社形態の面では、諸外国において、事業展開の自由度の向上や自己資本の充実等の観点から、相互会社の株式会社化の動きが進んでいる。また、我が国においても、相互会社の株式会社化を容認するための制度整備が行われたところである。各生命保険会社においては今後、それぞれの経営戦略に照らして、適切な会社形態の選択を行うことが重要である。

これらの流れにどのように対応していくかは、まずもって各生命保険会社の経営戦略にかかわる問題である。ただ、各社の創意工夫を生かした事業展開と、それを支える財務基盤の充実が強く求められていることは改めて強調しておきたい。

4.保険業法及びこれに基づく行政の対応としては、これまで、標準責任準備金制度の導入、ディスクロージャー規定の整備、保険商品・料率についての届出制の導入、早期是正措置の導入、生命保険契約者保護機構の創設、相互会社から株式会社への組織変更手続の改善、業務範囲の拡大等が図られてきた。

また、昨年、保険会社の特性を踏まえ、更生手続適用の枠組みが整備されるとともに、本年4月からは、将来の事業継続性に関する将来収支分析(保険数理に基づくシミュレーション)の適正化が図られ、債務超過等に陥る前における破綻処理開始の道が整備されてきている。

5.今後とも、生命保険市場において、マーケットメカニズムが十全に機能するような環境整備を図ることが求められており、この際には、ディスクロージャーの充実等を通じた保険契約者による適切な保険会社・保険商品の選択、生命保険会社の経営に対する適切な自己規律の確保、財務面での監督手法の整備等を通じた適切な監督等が重要な課題となることに留意すべきである。

また、仮に将来、超低金利の継続により、安定的な保険契約の維持等の観点から問題が生じ得る場合の対応として、生命保険会社の財務上の深刻な問題が生じる前に既保険契約の契約条件の変更を行う途を開き、「逆ざや」問題の改善を可能とすべきであるとの議論があり、この点についても検討を行っておく必要がある。

B.具体的な方策(各論)

1.生命保険会社の財務基盤の充実

生命保険会社においては、昨今の厳しい経営環境に対応して安定的な保障の提供を確実なものとすることが強く求められている。また、各社の創意工夫を生かした事業展開がこれまで以上に重要となってきている。これらの課題への対応を可能とするためには、生命保険会社において、財務基盤の充実が一層強く求められており、このため、以下の方策が講じられるべきである。

(1)社員配当ルールの弾力化

生命保険相互会社の社員配当については、「相互会社は、社員(=保険契約者)が相互に保険を行うことを目的とし、保険事業の結果として剰余金が生じたときは、これを社員に分配する。」との理念のもとに、法令上、当期の剰余金の一定割合(原則80%を下限)を配当のための準備金に積み立てることとなっている(いわゆる80%ルール)。

社員配当には、安全率を見込んで設定された基礎率に基づく保険料の事後精算といった性格があるが、一方、多くの会社において厳しい運用環境が現実化しており、必ずしもそうした考え方に即した配当を継続すべき経営状況にはないのではないかとの指摘がある。配当の原資である配当準備金繰入額の水準を決定するに当たっては、長期的な経営の健全性確保の観点から、経営状況の推移の見込み等を十分に踏まえ、経営努力の徹底を図りつつ、内部留保を適切に確保することについて、従来以上に慎重な経営判断及び社員自治が求められる。

こうした観点から、配当水準の自主的な決定を促すべく、法令上の社員配当に関する80%ルールについて見直しを行い、配当比率の下限は、各保険相互会社が、長期的に必要な内部留保を確保しつつ、社員自治により、それぞれ定款において柔軟に定めることができるようにすることが適当である。

(2)責任準備金等の充実

財務基盤の充実を図りながら、適切な配当水準の決定を行っていくためには、適正な会計処理等を通じて正確な剰余金計算を行うことがまずもっと重要となる。現在の生命保険業を取り巻く厳しい経営環境にかんがみれば、経営体力の低下につながりかねない過大な社外流出があってはならず、リスクに対応するための内部留保が厳正に行われるべきである。

このため、保険金支払い等に備える責任準備金等について、当面の充実策として、平準純保険料方式により積み立てを促進することが適当である。また、新たな保険商品の出現に対応した標準責任準備金対象範囲の拡大、責任準備金の積み立てに関する将来収支分析の厳正な運用等を図ることが適当である。さらに、保険負債の時価評価が今後の重要な課題であり、国際会計基準審議会(IASB)、保険監督者国際機構(IAIS)における審議状況等を見つつ、中期的な検討課題として取り組んでいく必要がある。

(3)株式会社化の枠組みの積極的な活用

我が国の生命保険業の状況を見ると、生命保険会社の約3割が相互会社形態であり、保有契約高では約9割を相互会社が占めている。相互会社は、保険契約者と社員が同一であり、社員自治により事業運営を行う保険事業独自の会社形態である。相互会社の場合、株式会社のような保険契約と株主の利害対立がないことから、社員自治、実費主義原則のもとで、事業の成果の多くを保険契約者(=社員)に還元できるというメリットがあるとされている。

これに対し、保険株式会社には、合併・提携等の動きにも柔軟な対応が可能である、自己資本の充実が容易である等のメリットがあると考えられることから、諸外国においては90年代以降、相互会社の株式会社化の動きが活発化しており、最近もその動きは着実に進んでいる。この結果、例えば米国で見ると、相互会社のウェイトは、現在、保険会社数で見て全体の1割弱、保有契約高で見ても約4割にとどまっている。

我が国においても、昨年の保険業法の改正により、相互会社の株式会社化を容認するための制度整備が行われたところであり、今後こうした枠組みの一層積極的な活用が望まれる。

(4)基金の調達手続の弾力化等

相互会社の資本調達手段である基金は、基金拠出者に対し利息の支払いが必要であり、そのコストが社員の剰余金分配の制約要因となることから、基金の再募集を行うには、その都度、総代会決議による定款変更が行われている。保険会社をめぐる厳しい経営環境の中で、安定的な保障の提供を重視する観点から、相互会社による基金調達手続の弾力化を求める声があるが、その際には社員の権利保護の観点にも十分留意する必要がある。

具体的には、定款で定める範囲内では、取締役会が株主総会に諮ることなく新株の発行を決定できるとの株式会社における授権資本制度を参考にすることが考えられるが、その際には、社員の権利保護の観点から、授権の規模、授権期間等について十分検討することが必要である。

さらに、基金の再募集を行う際には、総代会においてその必要性、償却や利息に関する負担の妥当性等について、十分な説明が行われるべきである。

2.保険契約者からの信頼の向上

保険事業が今後とも保険契約者の信頼を確保し、我が国の国民経済の中で重要な役割を果たしていくためには、適切なディスクロージャーとガバナンスの発揮を通じて、保険会社の経営に適切な自己規律とマーケットメカニズムが十分に働くことが不可欠である。このためには、以下の方策が講じられるべきである。

(1)ディスクロージャーの改善

保険会社には、上場会社等に適用される証券取引法上のディスクロージャー規制を受けていない会社が多く、株価のような指標もないことから、市場規律によるチェックを十分に受けていないのではないか、との指摘がある。保険会社の経営の適正性を確保することにより、保険に対する契約者の信頼を向上させ、また契約者に自己責任を問い得る環境を整えるためには、「財務の状況に関するディスクロージャー」の充実が極めて重要な課題となっている。また、このことは、市場規律によるチェックを生かし、限られた資源のもとで効率的な行政を行っていく上でも重要であると考えられる。

保険会社の財務状況に関するディスクロージャーについては、連結財務諸表やソルベンシーマージン比率等の開示に加え、昨年3月期決算からは、金融再生法と同様の基準による不良債権額の開示が行われているなど、近年充実が図られてきている。この結果、保険会社の資産面では、現状でもかなりのディスクロージャーが行われてきていると考えられるが、なお、以下の課題が残されている。

マル1責任準備金の詳細の開示

まず、負債面のディスクロージャーについては、なお一層拡充の余地があると考えられる。特に、保険会社の負債は、その大宗を責任準備金が占めているが、昨今のいわゆる「逆ざや」等の経営環境も踏まえ、責任準備金の内訳(契約状況別、予定利率別等)について、さらに詳細な開示が求められる。

マル2ソルベンシーマージンの詳細の開示

保険会社の保険金等の支払い能力の充実状況を示すソルベンシーマージンについては、通常の予測を超えるリスクに対応することが可能なバッファーとしての重要な役割にかんがみ、その水準のみならず、その内容、質がこれまで以上に重視されてきている。保険会社のソルベンシーマージンの内訳(ソルベンシーマージン(分子)やリスク(分母)の内訳等)に関するディスクロージャーについては、銀行等と比べ必ずしも十分とは言えず、その拡充を図ることが求められる。

マル3損益状況の詳細の開示

保険会社の損益面については、生命保険会社の基礎的な収支の状況を占める指標として「基礎利益」のディスクロージャーが始まっているが、今後、損益状況の詳細についてのディスクロージャーをさらに充実させていくことが求められる。特に、各社が開示している「逆ざや」については、その総額のみが公表され、その算出基準・根拠は必ずしも明らかではない。「逆ざや」について、その算出根拠等を含め、その詳細が明確な形で開示されるべきである。

マル4代表的な経営指標等のわかりやすい開示

ディスクロージャーの充実に当たっては、開示される情報の利用者の立場に立った開示姿勢が強く求められている。こうした観点から、専門家向けには、上記のような詳細な開示を行い一層の財務分析に資する一方で、一般の保険契約者向けには、ソルベンシーマージン比率や基礎利益などの代表的な経営指標等を、一覧性を持った形でわかりやすく開示する等の方法を工夫する必要がある。

なお、保険会社の財務の状況に関するディスクロージャーが充実されていくのに伴って、開示された情報が営業面で不適切に用いられることがないよう留意していくことが必要である。

保険商品については、保険契約者自身による商品内容の判別が難しいという特性があるため、「保険商品の内容のディスクロージャー」についても十分に配意することが必要である。この点については、変額保険の販売や保険契約の転換等の際に、重要事項を書面によって説明する義務を課すなど、保険業法上一定の規制が加えられ、また、本年4月の金融商品販売法の施行により、一層の利用者保護が図られてきているが、保険商品の多様化等に対応して、保険契約者による商品選択の助けとなる情報が的確に提供されるよう、保険会社による一層の努力が求められる。

また、保険商品の内容のディスクロージャーについては、保険契約者の理解を容易にするため、真に必要な情報について、表示・説明方法に一層の工夫が図られるべきである。

(2)保険会社におけるガバナンスの強化

保険会社の経営に対し適切な自己規律を確保していくためには、保険会社におけるガバナンスの仕組みの強化が不可欠である。

相互会社は、有限責任の社員(=保険契約者)からなる会社であり、その事業運営の最高意思決定機関は社員総会であるが、実際の社員数は膨大であることから、社員総会にかわる機関として総代会が設けられている。しかし、現状を見ると、社員自治が十分に機能しているとは言えない状況にある。現状の社員数や経営における保険数理等の保険特有の要素にかんがみれば、適切な社員自治に基づくガバナンスの仕組みの構築については困難な面もあるが、以下の方策を通じて、可能な限りガバナンスを充実させる必要がある。

マル1総代会制度の充実

従来、総代の選任に当たっては、少数の総代による丁寧な議事運営等の観点が重視さてきたが、今後は、一般社員の意思を総代会に一層反映させる必要がある。具体的には、立候補制の導入など総代の選考方法の多様化を図るとともに、各社が自主的に設置している契約者懇談会等との連携を進めていくことが適当である。また、総代の構成が実際の社員全体の構成(保険種類、職業、年齢、地域等)と乖離している現状にかんがみ、総代の選抜範囲の拡大等を図るほか、社員数が1,000万名を超える保険会社があるにもかかわらず、実態として50~150名程度となっている各保険会社の総代数については、その大幅な拡充を図ることが適当である。

また、総代に対する経営に関する情報の提供について、その充実を図るとともに、総代会の議事についてディスクロージャー誌やインターネット等を活用し公開を進める等、社員に対するガバナンスに係る情報提供を拡充することが適当である。

マル2少数社員権の充実等

総代会を通じて社員の意思を反映することに一定の限界がある中で、保険業法は総代会提案権や総代会招集請求権など、少数社員権に関する規定を置いている。しかしながら、総代会提案権については社員総数の1,000分の1以上の相当する数の社員、または1,000名以上の社員による請求が必要であるなど、実効性が乏しいものとなっているとの指摘がある。少数社員権の実効性を確保するため、必要とされる社員数について、その引き下げを検討することが適当である。

また、社員としての権利義務について十分な理解がなされていないことが、相互会社のガバナンスにおける制約となっており、社員自治の実効性を高めるため、相互会社の保険募集に当たって、総代会制度の仕組みや少数社員権等の社員としての権利義務に関する的確な説明義務を課し、社員に対してもガバナンスの担い手としての自覚を促していくべきである。

マル3保険計理人の機能強化

保険会社においては、保険数理に関する事項に関与させるため、保険計理人が選任されているが、保険会社における計算の適正等を確保していくためには、保険計理人によるチェックをさらに強化していくことが重要である。このため、将来収支分析等の保険計理人の関与する事項について、総代会・株主総会に対する説明を充実させることが適当であり、今後各保険会社において、その具体的な方法について工夫を行っていくべきである。この他、監査役、会計監査人等を参考として、保険計理人の権限強化を図るとともに、保険計理人に対し相応の責任を求めることを検討すべきである。また、行政当局との連携についてもより適切なものとすべきである。

さらに、今後の課題として、外部からの保険計理人の選任によるチェック機能の改善等が考えられるが、当面、保険計理人による分析の前提を会計監査人が検証するなど、会計監査人との連携を図っていくことが重要である。

なお、保険計理人の専門職団体である日本アクチュアリー会においては、実務基準の適時適切な見直しや問題事例に対する厳正な対応等、自律機能の適切な発揮が望まれる。

以上に加えて、社外取締役の拡充等、他の機関の強化についても、今後の商法改正に向けて議論を踏まえて検討する必要がある。

3.保険契約の契約条件の変更

現行法制上、既保険契約の契約条件の変更は、更生手続等による破綻処理の場合にのみ行い得ることとされている。既に述べたとおり、生命保険会社はいわゆる「逆ざや」問題に直面しており、将来を展望して安定的な保険契約の維持等の観点から問題が生じ得る場合、国民・保険契約者の十分な理解を受けた上で、生命保険会社の財務上の深刻な問題が生じる前に契約条件の変更を行い、「逆ざや」問題の改善が図り得るものであれば、保険契約者にとっても長期的には利益をもたらす一方策と考えられたことから、以下の検討を行った。

なお、更生手続は、裁判所の管理のもと、公正・公平に契約条件の変更が行われ、一般債権者や株主の負担、経営責任の追及についても制度的に手当されている手続であることから、ソルベンシーマージン比率や将来収支分析の適正化等を通じて、より早期の更生手続の発動に努めることが重要であり、それ以外に新たな手続を設ける必要は乏しいとの指摘がある。他方、破綻状態に陥った保険会社について、更生手続等により的確な破綻処理が行われるべきであることは言うまでもないが、強制手続である更生手続の開始要件についてはおのずと限界があり、その要件を満たす前の段階において自主的な手続を設けることを検討する意義を否定する必要はないと考えられる。

(1)行政命令・特別立法による契約条件の変更

契約条件変更の手続として、契約者の合意を必要とせず、行政命令や法律の規定に基づき、直接に契約条件を変更することを可能とする制度を構築すべきであるとの指摘がある。また、この際には、個々の生命保険会社の財務状況の如何にかかわらず、全社一斉の条件変更についても検討が行われるべきであるとの指摘もある。この方法には、経営者の逡巡等によって問題への対応がおくれることがない等の利点があるが、マル1生命保険契約は、契約当事者間の合意により成立しており、保険契約者自身の意思決定によらない一方的な内容の変更は個人の財産権との関係上問題があるので、一般的な契約のあり方とも齟齬を来すものである。

マル2保険契約者の合意を得るプロセスのない契約条件の変更であり、保険契約者の理解を得ることは到底困難である等の問題があり、生命保険会社のほとんどが破綻に陥る可能性があるような危機的な状況にはない現状では、この方法をとることは適当でないと考えられる。

(2)保険会社・保険契約者自身の意思決定による契約条件の変更

次に、生命保険会社が保険契約者の理解を得た上で契約条件の変更を行うことには、行政命令・特別立法による変更に関する上記のような問題を惹起することはないが、他方で、真に保険契約者の理解を得るためには、次のような枠組みが必要であると考えられる。

マル1契約条件の変更に当たっては、保険契約者の明確な意思決定が必要である。保険契約者が会社の社員を構成している相互会社においては、総代会制度も整備されているが、少なくても現状において、総代会によるガバナンスには限界があり、総代会の決議のみによって変更を認めることは困難であり、保険契約者の参加が保証された契約者集会等の適切な意思決定プロセスが用意される必要がある。

マル2保険契約者の意思決定に当たっては、生命保険会社による十分なディスクロージャーが行われる必要がある。いわゆる三利源分析や将来収支分析等を含めた経営状況の詳細。これまでにとられてきた経営努力や今後の方針、契約条件の変更による将来の保険収支の見込みなど経営に関する各般の資料が開示され、各保険契約者にとっての契約変更の内容が明確に説明される必要がある。

・経営責任についての考え方や、基金拠出者・劣後債権者等の一般債権者や保険株式会社の株主などの負担、将来予想を上回って収益が計上された場合における条件変更対象契約者に対する配当等による還元の方法等について、保険契約者に対して十分な説明が行われ、意思決定プロセスの中で十分なチェックが行われる必要がある。

マル3契約条件の変更に際して説明された経営合理化策等の実施が的確にフォローアップされるよう、実施状況についての定期的なディスクロージャーが行われる必要がある。

マル4契約条件の変更という私的な権利の調整に関するプロセスであることにかんがみれば、例えば裁判所の関与の可能性も含め、保険契約者に公正・公平な手続が保障されるような手当について検討が進められる。また、保険契約者にかわって専門的な見地から契約条件の変更の妥当性等を調査する仕組みの導入についても検討されるべきである。

契約条件の変更を破綻処理手続以外の手段によっても行うことを可能とする場合には、以上のような枠組みの中で、保険契約の団体性という特徴と個別の保険契約者の権利保護のバランスに配意した透明な手続を整備されることが重要である。

なお、このような手続を整備したとしても、手続を開始した途端に保険契約者の不安を招き、解約が増加すること等により、うまく機能しないのではないかという指摘がある。経済合理的に見れば、破綻時や解約よりは保険契約者にとって有利な内容の条件変更を提案し、かつ株式会社化や提携など抜本的な経営変革のプランをあわせて実施することにより、将来の経営健全化が明確に示し得るのであれば、解約を招くことにはならないことも想定し得るのではないかと考えられる。しかしながら、保険契約者が契約条件の変更を行う生命保険会社に対する不信感を抱くようであれば、結局、解約等により破綻に追い込まれることは否定できず、本手続が適用される場合には、徹底したディスクロージャーと事前の経営努力が不可欠になることは言うまでもない。

いずれにせよ、このような手続のもとで、生命保険会社が保険契約者の理解を得るためにあらゆる経営努力を行った上で、契約条件の変更を行おうということであれば、生命保険会社の自助努力の途の1つとして否定されるべきものではないと考えられる。しかしながら、このような制度は、その内容について国民・保険契約者の理解の上、社会的な認知が十分に得られてこそ、初めてのその努力が可能となるものと認識している。今後、本報告の内容をベースに十分な議論が行われることが何よりも望まれるところであり、こうした議論を踏まえ、最終的な制度改正の姿について引き続き検討するものとしたい。

4.多様な保険商品開発の促進

少子高齢化の進行、企業や個人の抱えるリスクの多様化・複雑化等の中で、各保険会社には、保険契約者のニーズの変化を的確にとらえた商品の開発が求められている。また、今後、確定拠出年金制度の導入に向けた動きなどを踏まえ、変額型の商品の開発など多様な保険商品の開発が期待される。保険会社による多様な保険商品の開発に資するため、以下の方策が講じられるべきである。

(1)保険商品の審査手続の見直し

多様な保険商品の開発が進む中で、保険商品にはその仕組みが消費者にとってわかりにくいといった事情があり、保険契約者等の保護を図るためには、商品内容について保険契約者の十分な理解を得ることとあわせて、引き続き的確な商品審査の実施が求められる。

他方、各保険会社の創意工夫を生かし、保険契約者のニーズの変化に即応した迅速な商品開発を可能とするためには、以下の方策を通じて、可能な限り商品審査手続の弾力化を図っていくことが重要である。

マル1企業向け商品の届出制への移行

従来、新商品の開発・商品内容の変更に当たっては認可制がとられてきたが、平成8年4月に施行された新保険業法により、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない商品については届出制が導入され、以後、届出制対象商品は順次拡大されてきている。既に企業向け商品についてはほとんどが届出制となっているが、保険に関する専門的知識や交渉力を有する企業を顧客とする保険商品については、速やかに届出制に移行させることが適当である。他方、適正な保険契約内容を確保し、保険契約者等の保護を図る必要が高い家計向けの保険商品については、当面、認可制を維持することが適当である。

マル2審査期間の短縮と審査基準の明確化

審査にかかる期間の短縮は、商品開発の迅速化に資するものであり、商品審査体制の充実等により、現行90日の認可にかかる標準処理期間、届出にかかる審査期間をそれぞれ60日に短縮すべきである。また、保険会社による事前の自己審査のために導入されている認可申請内容評価表・届出内容評価表などの整備を通じて審査基準の明確化等を行い、審査手続の一層の効率化、透明制の向上を図ることが重要である。

マル3ファイル・アンド・ユースの導入についての検討

現行の届出制のもとでは、届出がなされた後に商品審査が行われる仕組みとなっているが、市場の変化に応じたタイムリーな保険商品の販売を可能とするとの観点から、保険契約者保護等の面で問題が少ない商品については、届出後直ちに実施が可能なファイル・アンド・ユース(届出使用制)の導入について検討を開始することが適当である。その検討に当たっては、商品販売後に何らかの問題が生じたときの是正措置のあり方など、商品審査の枠組みのあり方について十分留意する必要がある。

(2)特別勘定の見直し

団体年金保険や変額保険のように保険契約者が運用リスクを負担する保険契約については、運用の成果の帰属を明確にするため、保険業法上「特別勘定」を設けて、責任準備金に対応する資産について区分経理を行うことができることとされている。特別勘定で運用される資産については、その運用リスクを基本的に保険契約者が負担し、保険会社の破綻の原因とはなり得ないことから、仮に保険会社が破綻した場合に備え、特別先取特権を認めることが適当であるとの考え方がある。

他方、現在の特別勘定の仕組みを見ると、責任準備金が最低保証保険金額以下の状態で保険事故が発生した場合には、保険金について一般勘定においても負担が生じること等から、完全にリスク遮断が行われているとは言い難い状況にある。

今後、内部的な管理の徹底や第三者への対抗要件の具備、受託者責任の明確化等、リスク遮断の厳格化のための措置を講じた上で、このような措置が講じられた特別勘定で経理される資産に対する特別先取特権を付与することについて検討を進めるべきである。

5.監督手法の整備

保険会社の監督においては、市場規律と自己責任の原則を機軸とした明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政の確立が求められている。この中で、保険会社の個別の商品開発等についての事前的な規制から、保険契約者等の保護に配慮しつつ、保険会社に対する財務面での監督に重点を移していくことが一層重要な課題になっていると考えられる。このため、以下の方策が講じられるべきである。

(1)ソルベンシーマージン基準の不断の見直し

保険会社の財務面の監督については、平成10年の金融システム改革法により、いわゆる早期是正措置が導入されている。早期是正措置は、監督当局がソルベンシーマージン比率という客観的な基準を用い、必要な是正措置命令を発動することが、保険会社の経営の早期是正を促す行政手法である。

ソルベンシーマージン比率の計算方法については、これまでも逐次見直しが行われ、本年3月、金融商品に係る時価評価の導入等を踏まえた厳格化が図られたところであるが、保険会社の経営の悪化を早期に把握し、適切な対応を図ることが重要であり、今後とも保険会社を取り巻く環境・制度、保険会社の業務や保険商品の内容等の変化に伴い、継続的にその見直しを行い、指標の信頼性を確保していくことが重要である。その際には、以下の点を含め十分な検討が行われるべきである。

マル1連結ベースのソルベンシーマージン基準の検討

現行では、保険会社の単体ベースのソルベンシーマージン比率に基づき早期是正措置が発動されることとされているが、銀行等においては、連結自己資本比率も早期是正措置の基準となっている。保険会社とその他の会社(銀行・証券会社等金融機関を含む)の持つリスクやその測定方法には違いがある等、技術的な課題も多く残されているが、保険会社のグループ全体の持つリスクを認識するとの観点から、単体ベースのみならず、連結ベースのソルベンシーマージン基準の導入につき、今後検討を行っていくべきである。

マル2ソルベンシーマージン基準におけるリスク水準の検討

現行のソルベンシーマージン基準におけるリスクの水準は、過去におけるリスク対象資産の価格変動の統計値等から算出しているものであるが、昨今のいわゆる「逆ざや」や資産価格の変動等の実態を踏まえ、ソルベンシーマージン基準におけるリスクの算出方法のあり方について、引き続き検討を行っていくべきである。

さらに、金融コングロマリットのグループ全体の健全性評価を充実させるため、保険会社、銀行、証券会社における自己資本比率規制の調和を図ることも重要な課題であり、国際的な場における検討の状況をも踏まえつつ、中期的な検討課題として取り組んでいくことが適当である。

(2)中間業務報告書の導入

現行保険業法上、保険会社は年1回、事業年度ごとに業務報告書を作成し、当局に提出することが義務づけられている。銀行等が中間業務報告書の作成・提出を義務づけられていることや、本年3月、保険会社に9月末基準のソルベンシーマージン比率や実質資産負債差額の算出・報告を求めることとしたこと等も踏まえ、保険会社の財務状況を適時に把握するため、保険会社にも中間業務報告書の作成・提出を求めることが適当である。その際には、保険会社に係る中間財務諸表の作成方法の統一等を図るため、実務上の基準等の整備があわせて求められる。

(3)資産運用規制のあり方

保険会社の資産運用については、現在、保険監督者国際機構(IAIS)のコア・プリンシプルによって、監督当局は保険会社の保有する資産に関して一定の基準を設定すべきである等の基準が示されており、保険業法に基づき、国内株式や外貨建資産の保有は総資産の30%以内、不動産の保有は総資産の20%以内等の規制がかけられている。

この点について、ALM(総合的な資産・負債管理)の充実など、保険会社自身のリスク管理能力の向上や財務面での監督手法の充実等の状況に応じ、これを見直していくことが適当である。

引き続きまして、題として保険会社・保険契約者自身の意思決定による契約条件変更手続(基本イメージ)とございます1枚紙をあわせて読み上げさせていただきます。左側が手続の流れです。基本的にそちらを読み上げまして、随時右側の説明事項を読まさせていただきます。

条件変更手続の開始

取締役会において、手続の開始及び条件変更計画原案を決定

保険契約者に対するインターネット・はがき等による迅速な情報提供

説明事項として、保険会社から保険契約者に対し提供される情報のイメージ

マル1条件変更の必要性及び基本的考え方(条件変更の対象となる契約の範囲、変更後の予定利率など)

マル2株式会社化・提携等の経営戦略に関する将来展望

マル3経営責任や基金、劣後債務等の取り扱いの見込み

マル4この後の手続の進め方・スケジュール等

条件変更計画案の作成

条件変更の妥当性等に関する専門家のチェック

株主総会、総代会において、条件変更計画案を決定

条件変更計画に関する説明としては、条件変更計画案に盛り込まれるべき内容

マル1条件変更の基本的考え方

マル2現在の経営状況の詳細(三利源の開示など)

マル3基金・劣後債務等の取り扱い

マル4経営責任についての考え方

マル5将来の収支見通し・配当方針等

専門家のチェックに関する説明といたしまして、チェックを行う専門家としては、弁護士や公認会計士、アクチュアリー(保険数理の専門家)等が考えられる。

続きまして、保険契約者に対する条件変更計画案の送付

各保険契約者の契約の具体的な条件変更の内容(保険料、保険金額などについてもあわせて通知)

契約者集会による議決

株主総会、総代会で認められた条件変更計画案について、契約者が直接意思決定に参加し、特別決議により決定。手続の妥当性等に関する専門家のチェック

説明事項といたしまして、契約者集会に出席できない契約者の議決権については、代理・書面等による行使を認める(出席・投票をしなかった契約者についても、異議申立手続を通じた再度の意思表明の機会がある)。

契約者による異議申立

契約者集会で認められた条件変更計画案について新聞公告等を行い、契約者から異議を受付

説明として、異議申立期間(例えば1カ月)中に、条件変更計画案について、例えば10分の1以上の異議があった場合には、条件変更計画が否認され、契約条件は変更されないこととなる。

条件変更計画の確定及び実施

条件変更後には、例えば次のようなフォローアップが考えられる。

・経営合理化等の実施状況に関する定期的なディスクロージャー

・契約者配当等による収益の還元

注といたしまして、上記の手続については、例えば裁判所の関与の可能性も含め、保険契約者に公平・公正な手続が保障されるような手当について検討。

以上でございます。

○ 山下座長

以上が報告でございますが、4月25日の第二部会における中間的な報告との対比で申し上げますと、まず中間報告に盛り込まれていた事項については、報告書として肉づけをし、現時点で可能な範囲でより具体化した記述をしておりますが、特別勘定についての見直しについて触れた部分については、中間報告以後、新たに取り上げたものであります。

また、中間報告以降、比較的議論があったのは、ガバナンスの部分でございまして、特に保険計理人による総代会における将来収支分析の説明というか、報告のあり方ということでございました。これも多面的に検討いたしまして、9ページの上のマル3のところにあるような文章に最終的にまとめられております。

なお、このワーキング・グループの設置にあたりましては、第二部会の方から、生命保険制度に関する将来ビジョンというものを検討せよという宿題をいただいていたところでありますが、報告をごらんいただくとわかりますように、そのあたりの作業は、今回の限られた期間内での、またなかなか結論が出ないような重大な具体的課題の解決に迫られましたワーキング・グループでは、結局余り十分にはできなかったことを、ここで最初にお断りしておきたいと思います。

次に、中間報告では、それまでに述べられていた意見を紹介するにとどめておりました保険契約の条件変更の問題につきましては、中間報告以後のワーキング・グループでの審議の大半部分をこの問題の検討に充てまして、今回、一応の報告を盛り込んだ次第でございます。

その概要につきましては、先ほど事務局より朗読していただいたとおりでありますが、検討に当たりましては、更生特例法による更生手続をできるだけ早期に開始することで対処すべきであるという意見、それから行政命令、または特別立法による契約条件の変更を認めるべきであるという意見もありまして、それらとの対比もしながら検討を進めた結果、保険会社、保険契約者の自主的な意思決定による契約条件の変更の途をつくっておくことをここで否定すべきではないであろうというのが、報告の一応の方向性ということでございます。

しかし、自主的な意思決定といっても、契約条件を変更する、という契約法の一般原則からは認められないことを制度的に可能にしようというものでありますから、保険契約者に十分な納得をしてもらうためには、変更するための合理的な理由があるのか、また変更の内容が合理的であるのかどうかと、こういうふうなことをいかに客観的に判断するか。またさまざまな保険契約者の間や、あるいは保険契約者と一般債権者との公平性をどのように確保するかと、そういうふうな問題が当然あるわけで、それらを何とか解決するような仕組みにするためには、相当の制度的な手当が必要であろうと。具体的には、ディスクロージャーの徹底でありますとか、契約者の意思決定手続への参加の途の保証ということでございます。やはり相当の制度的な手当がいるであろうというふうに考えられるわけでございます。

他方、余りに厳格な手続というものにした場合、実際上ワークしないという問題があるわけで、その調整をぎりぎりのところで図ってみたのが、最後の1枚の基本イメージということで説明されたような仕組みということで、本当にぎりぎりのところを考えてみると、こういうことかなというわけでございます。

今申しましたように、保険会社、保険契約者の意思決定に基づいて、契約条件を変更することについて、経営状況などに関する徹底したディスクロージャー、契約者集会など契約者が直接参加できる意思決定プロセスなどが手当されまして、契約者の権利保護のための十分な配慮のもとに、こういう契約条件の変更が行われるのであれば、保険会社の自助努力の途の一つとして否定されるべきではないというふうなことを報告で述べているわけですが、ただこの点については繰り返すまでもありませんが、ワーキングの中でもさまざまな議論があったところであります。

結局、保険契約の条件の変更につきましては、多くの国民・保険契約者の方々にとっても深くかかわりのある事項でございまして、本報告におきましても11ページから12ページにかけまして、次のようなことを述べているわけであります。すなわちこのような制度は、その内容について国民・保険契約者の理解の上、社会的な認知が十分に得られてこそ、初めてその導入が可能となるものと認識している。今後、本報告の内容をベースに十分な議論が行われることが何よりも望まれるところであり、こうした議論を踏まえて、最終的な制度改正の姿について引き続き検討することとしたいと結んでいるわけでございます。

したがいまして、これはワーキングの後、事務局とも協議した結果、今後の進め方といたしましては、この報告については今第二部会においてご審議いただくわけでございますけれども、その上で中間報告として取りまとめていただき、さらにその上でパブリックコメントのような形で広く国民から意見をちょうだいして、第二部会としての最終的な結論を出していただくことが考えられるのではないかと。これが我が国として最終的なご報告ということになるわけでございます。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

ただいま詳細にご説明を承りましたので、その報告に基づきまして、ご意見を出していただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。

○ 石橋委員

当業界に籍を置く者といたしまして、一言、全体についてコメントさせていただきたいと思いますが。

逆ざや問題への対応等、生命保険業界を取り巻く大変厳しい環境への処方箋につきまして、ワーキング・グループの方で、真正面から、かつ、また総合的にご検討いただいたということ、保険業界に身を置く立場からいたしまして、山下座長を始め、また委員の皆様に心からお礼を申し上げたいというふうに思っております。

簡単にコメントさせていただきますと、冒頭で、生命保険業に期待される役割は引き続き大きいというお言葉をご指摘いただきました。この点、まさに業界人といたしまして身の引き締まる思いでございます。生命保険会社がこの役割を今後とも十全に果たしていくということのためには、ご報告いただきましたように、その財務基盤の充実を図って健全性を維持していくということ、これがまさに重要なことだというふうに認識をしてございます。

その手段といたしましては、報告で指摘されました責任準備金等の諸準備金の充実、あるいはその手続の弾力化ということで提言されております基金の調達等、広い意味での自己資本の充実を着実に行っていくということ、これはご報告いただき、改めて私どもの責務として認識をさせていただきました。

ただし、現在の逆ざや問題につきましては、ここでも述べていただきましたとおり、今後も低金利が持続をいたしますし、またそういう中で考えますと、経営努力だけでは乗り切れない会社が生じる可能性を完全に否定できないということも事実でございます。

これは個人的な考えとして申し上げたいと存じますが、そうした最悪の場合に備えまして、破綻に至る前に、保険契約の契約条件の変更を可能とする手続を制度的に整備するということが、破綻した場合に比べまして、ご契約者の負担を軽減し、真の意味での契約者の利益にかなうというふうに考えてございます。報告書の提言を踏まえまして、早期に、かつ具体的な立法化をぜひ図っていただくよう、改めてこの場でお願いをする次第でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。どうぞ、岡部委員。

○ 岡部委員

この保険会社、保険契約者自身の意思決定による条件変更手続の基本イメージなんですけれども、これ、その変更手続開始の前にもちろん意思決定があるんでしょうけれども、そこから実際の条件変更計画の確定及び実施までの期間、これはどのぐらいを想定しているんでしょうか。

○ 池田保険企画室長

そのご質問の点は、制度の問題と、実際の実行運用の問題と、両方に絡む問題なので、制度の問題として、どのぐらいかかるかということを一義的に申し上げるのは難しいと思うんですけれども。

一方で、この議論の中で更生手続との比較というような議論が出ておりますけれども、更生手続での手続に比べますと、多少迅速にやる余地もできることを念頭にした制度になっていると思います。

更生手続については、これは裁判所がやる手続で、一義的にどれだけかかるかということは言えないわけですが、最近の更生手続を使った保険会社の破綻処理の事例で見ますと、短いもので6カ月ぐらいで終わっているということでございますので、それよりは簡便な手続というのが一つのゴールのようなものになるんだろうと思いますが、実際にこれを使ってどれだけかかるかは、個々の、まさに、仮にいわゆる保険会社がやるとすれば、そこの対応のスピードということにも絡みますので、一義的に制度としてどれだけということはなかなか申し上げにくいかと……。

○ 岡部委員

じゃ、ある意味で緊急避難的な措置なわけで、時間との勝負だと思うんですよね。保険契約者の権利というのはもちろん十分守らなければいけないし、その会社の責任というものも明確にしなければいけないんでしょうけれども、余りに厳格に綿密にやり過ぎて、時間ばかりかけて、結局答えは破綻と同じだったということになっては、これは元も子もないので、そこのところはできるだけ簡素なやり方で、あるいは週末だけ利用してやってしまうとか、それは乱暴かもしれませんけれども。相当そういうスピード感覚を持たないと、こういう余りにも超民主的な手続だけでは、これはやらないことを前提にしているのかなということしか考えられないですね。そういうスキームではないのかと疑いたくなるという感じがします。

○ 樋口信用課長

今のご質問の点で、どのぐらいかかるのかということについて、やや明確にものを申し上げにくい理由が幾つかあるんですけれども。

例えばこの中の手続で、保険契約者一人一人に対する契約条件の変更の具体的な内容を通知をするという手続がございます。これはやはり保険契約者の方に入っていただく自主的な変更手続の中では非常に重要なことではないかと思っておりますけれども。

そうしますと、じゃ一体どれだけ、例えばある会社がこの手続に従いまして契約条件の変更をするとして、その会社の保険契約者のうち、一体どれだけの方がこの条件変更の対象となるかといったことによっても、いろいろ必要な時間量が異なってくるとか、いろいろなファクターがありまして、具体的にどのぐらい時間がかかるのかということは、やや言いにくいことはあるんだろうと思います。

ただ、そうした中で、先ほど保険企画室長の方から、更生手続と比べた場合ということがございましたけれども、例えば破綻処理の場合ですと、デューデリジェンスという言葉がいいのかどうか、その破綻会社の財務面の評価といったもろもろのことが、非常に時間がかかる難しい作業になっているわけでありますけれども、その辺はこの会社自身の中の話でありますので、その破綻処理とかと比べると、その必要がない部分というのもかなりあるということも事実でありますので、そういう意味で、その期間の短縮化というのは図り得るのではないかなというように思っております。

○ 原委員

予定利率引き下げのところにちょっと焦点を絞ってですけれども。私自身はいろいろなところで最近話をする機会があるんですが、これは金融商品販売全般についてなんですけれども。そのときの皆さんのこの問題に対しての反応というのは、かなり批判というんでしょうか、引き下げ反対ということの理由がとても強いですね。

なぜかというと、3つ理由があって、1つはやはり契約違反であるということですね。それから2つ目は、やはり自分たちの意見を言っていく場がない。総代会といっても、ほとんど自分たちとはかかわりがないところで決められるので、意見を言う場がないと。それから3番目が、ほとんど踏み絵的に、じゃ予定利率引き下げがなければ破綻をしますと、どちらをとるんですかというふうに言われるという、この3つがすごく怒っていらっしゃるというんでしょうか、引き下げに反対ということの理由で大きいですね。

それで、1番目と2番目のことについては、今回こういう手続をとらないと引き下げはあり得ないということになれば、少し皆さんの了解というんでしょうか、また違うご意見というのが出てくるのかなというふうに思うんですが。

ただ、気になりますのは、26日過ぎて、27日以降、報道でどういう形でこれが紹介されるのか。見出しとして、予定利率引き下げ金融庁容認というふうに書かれるのか、それとも契約者の了解があるということが前提という見出しになるのかというところで、一般の消費者からの反響というんでしょうか、反応というのはかなり変わるというふうな感じがしておりまして、私としては、できれば後者ですね。後者として、できるだけ広く皆さんからの意見をもう一度聞いてみる機会というのを設けていただきたいというふうに考えております。それが1点目のところです。

それからもう一つ、やはり経営責任のところをぜひ問いたいという意見もありまして、それから見ますと、この1枚紙なんですけれども、これを見ますと、ちょっと2カ所気になりますね。

一番最初のところですけれども、マル1のところで条件変更の必要性というふうに書かれていて、もちろんこの手続をとるから必要性なんだということの書き方になると思うんですが、必要性というよりかは、先ほどご意見の中、ご発言の中にあったと思いますけれども、理由ですよね。なぜやるのか、やらなきゃいけないような状況になったのかということの説明だと思うので、もうやるんですよという必要性から入るというところも、ちょっと一般の人と理解が違うような感じがいたします。

それから、マル3のところに経営責任の話が出てきていて、これも経営責任や基金劣後債と一緒に抱き合わせに書かれていて、そんなものじゃないよというのがみんなの感じなので、このマル3のところもなんかもっと私は上のところにあって、きちんとした経営責任の話があって、それからマル2の将来的なところに来るのではないかなというふうに思います。

それから、保険会社からいろいろなご連絡をいただくんですけれども、大変言葉がわかりにくいし、言おうとしていることが、はがきやなんかいただくんですけれども、容易に理解できないというのがありますので、そういった配慮も必要ではないかというふうに思います。

それから、ちょっと細かい文章的なところで違う観点なんですけれども、7ページのところですが、7ページの後段のところでなお書きの部分ですけれども、ディスクロージャーが実施されていることは望ましいと。ただ開示された情報が、営業面で不適切に用いられることがないようと、これ意味するところはわかるんですけれども、わざわざ書くことかなという感じがいたします。

それから、下から2行目のところなんですが、この保険契約者による商品選択の助けとなる情報と書いてあるんですが、選択の前に理解ができないということは非常に大きいんですね。だから、商品理解・選択の助けとなるという、細かいことですけれども、やはり今の状況としては、それぐらいの配慮が必要ではないかなというふうに思います。

以上です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。何かコメントは。

○ 樋口信用課長

今のご指摘を踏まえて、必要な修正があれば施したいと思っておりますが。その中で2つあえてお答えしておきますと、まずこの経営責任の問題につきましては、ワーキング・グループでもいろいろ議論がされたところでございます。

今回の報告の考え方というのは、この条件変更については、いわば会社としてはまだゴーイング・コンサーンとして継続している会社であると、破綻会社ではないということがありますから、破綻の事例と全く同じではないのではないかと。ただ、そうは言いましても、やはり契約条件を変更することによって、保険契約者の方にいわば一定のご迷惑をおかけするという要素もあるわけですから、この自主的な変更の手続の中で、まず変更計画案をつくるときに、みずからこういうふうな形で経営責任を考えますということを考えていただいて、その案でもって経営責任の取り方が正しいかどうかといったことについて、まさに意思決定の手続の中で議論をお願いすると、そんなイメージになっているということでございます。

それからもう一つ、7ページでディスクロージャーが充実されていくのに伴って、開示された情報がこのくらいという、ここの部分が実はまさにワーキングで議論していった中で、ある委員の方から、具体的にこういうふうなことに気をつけることが大事じゃないかというご意見があって入れている部分でございますので、いずれにしてもその取り扱いを考えてみたいと思いますけれども、そういうふうな経緯で入っているということでございます。

○ 山下座長

経営責任についての考え方、今、課長の方がご説明になったとおりで、他方、本当に狭い意味での法律上の責任というのは当然あり得るわけでございます。これは、その下の括弧にあるような専門家が一定のチェックをしていくという形で、本当に責任があるのであれば、それは追及できるようにすると、そういう手当はしていこうということは考えておるわけでございます。

○ 福井部会長

どうぞ、高橋委員。

○ 高橋委員

ワーキング・グループのメンバーの1人として発言をさせていただきます。

今後、外に出ていくということに関する、今、原委員の方からのご意見がありましたけれども、私もそれに関連してちょっと申し上げたいと思います。

先ほど岡部委員から、緊急避難的な措置としては、これは問題があるのではないかというご指摘があったんですが、ワーキング・グループとしては緊急性はないという前提に立った検討を行った、というふうに私は認識をしています。ですから、例えば緊急性が今あるのであれば、もっと違う検討がされるべきだったと思います。今検討する必要について、破綻が一段落しているから将来的に途を開いておいたらどうかという検討であったということと同時に、今回の報告書にかなりディスクロージャーが重要ということが書き込まれているんですが、本当に緊急性があるのかどうなのかということは、ワーキングの席上でもわからなかったというのが正直な感想でございます。こうした制度が必要になるかもしれないからつくらなければいけないのかというふうな議論に関していえば、2000年度の決算から将来収支分析が加えられたわけですから、この先5年以内に破綻する可能性があるとしたら、もう保険業法による処理か、あるいは更生特例法の申請ということになりますので、この手続が考えられた前提条件というのは、5年以内には破綻しないけれども、6年とか7年とか、それ以降に破綻する可能性を持って早期に手続をする必要があるんじゃないかと、こういう議論も展開されたわけなんですね。

そうしますと、5年の将来収支分析も、今不確実な要素が多いということで公開されていないわけですから、ましてや6年とか7年先のことというのは、会社としてもちろん問題。公開するに当たっては、非常に前提条件の置き方が難しいでしょうし、それを一般の方が6年も7年も先に破綻するかもしれない。そのときに破綻して更生特例法の適用になるよりは、今のうちに下げるということを制度として盛り込むべきかどうか。この辺が賛成派、反対派で大きく議論が分かれたところでした。

予定利率引下げの途を開いてほしいという方は、それであっても何が起こるかわからないから開いてほしいということでありましたし、私どもとしては、現在監督の立場の方からも、今破綻の可能性があるわけではないし、今回の将来収支分析でも5年以内に破綻の可能性はないといわれました。それをもし信じるんだとすれば、この措置というのは緊急避難的なものではなく、あくまでも更生特例法とは違う早期のもう一つの経営の選択肢なのだということとして認めるかどうかと、こういう議論であったように思います。

ですから、監督はちゃんとできていて、健全性はこの先問題ないけれども、認めるかどうかという議論になったときに、私はこれを法制化すること自体に非常に反対しておりますけれども、その長期の破綻懸念をどう説明するのかという問題と、だれが説明すればいいかという問題と、その辺を裁判所の関与であるとか、第三者の関与であるとかということが書かれておりますけれども、実務上の問題というのが非常に大きいと思います。

この報告書では11ページに、これは私の意見だと思いますが、「手続を開始した途端に保険契約者の不安を招き、解約が増加すること等により」という書き方がされていますが、この等という部分は、それをする会社というのは新契約がストップするということで、これも非常に恐ろしい状況だというふうに思うんですね。解約が流出するだけではなくて、検討に入った会社は、それから6カ月以内ということであっても、新契約が入らないということは、経営において非常に重要な問題だと思います。

ところが、では解約を制限するような制度を入れられるかというと、もうこれは更生特例法と同じになってしまいますから、この制度として入れるのは非常に難しかったんじゃないかと。

ですから、この案が果たして業界委員の方がおっしゃったような真の意味での契約者利益にかなうものなのかどうかというと、私はもっと別の選択肢が検討されてしかるべきというふうに思います。

その会社がどの程度の破綻リスクがあるかの判定が難しい。この金融審議会で、そういう制度の法制化をよしとすることが、私は審議会としても大変危険な選択肢ではないかと思っておりまして反対をしております。

それから最後に、この報告をベースに国民的な議論をするということなんですが、私はこの報告をベースに、果たして国民的な議論ができるのかどうかということにも非常な懸念を抱いております。これが出ますと、やはり一般の方は、今この検討がされているということは、やはり隠された問題が保険会社にあるのではないかと考えるでしょう。報道であるとか、インターネット上の書き込みであるとかですでに噂されているわけなんですよね。

ですから、まさに特定の保険会社が本当に大丈夫なのかということの議論の方が先にいくと思いますし、ディスクロージャーをちゃんとしてほしいとか、そういうことが大前提ですね、経営責任が大前提ですねと、大体出てくる意見というのはおおむね想像がつきます。それをもう一度こちらで引き取って検討するときに、保険会社の方が、もちろんディスクロージャーはいたしますと言っても、じゃいたしますとおっしゃったからオーケーですというふうにならない、非常に悩ましい問題ではないかというふうに思います。

以上でございます。

○ 水谷委員

損保業界として、今この契約条件の変更とはちょっと別のことの意見を述べさせていただきます。

2点ございます。

1点は、12ページの多様な保険商品開発の促進の項でございます。マル1マル2マル3ございますけれども、マル1のところで、企業向け商品について速やかに届出制に移行させるということ、マル2のところで、認可にかかわる標準処理期間と届出にかかる審査期間を60日に短縮するということ、それからマル3で、届出後、直ちに実施が可能なファイル・アンド・ユースの導入について検討を開始するということが提言されています。この点につきましては、お客様のニーズに速やかに対応して商品をマーケットに提供していくということを可能にするものでございますので、保険会社の多様な商品開発の促進の観点から、大変望ましいものであるというふうに考えます。保険会社の経営に当たる者といたしましても、この提言は極めて重要であり、一日も早い実施をお願いしたいと存じます。

2つ目は、4ページの下の方に責任準備金の充実というところで、この項の一番最後の方に国際会計基準委員会、保険監督者国際機構における審議状況を見つつ、中期的な検討課題として取り組む必要があると記載されておることについてでございます。保険監督のあり方につきまして、国際的な調和を図っていくということは極めて重要なことであると認識しており、その観点から、この記載の内容は重要なポイントであると考えますが、ここで申し上げたいのは、我が国が既に世界有数の保険大国に成長している現状です。こういうことを踏まえますと、国際的な規制の検討に対して、審議の状況を見つつという受け身のスタンスというよりも、むしろより積極的に「国際的な規制調和の検討に主体的に参画する」といったスタンスが求められているのではないかと考えるわけでございます。

したがいまして、ご当局におかれましても、大変ご多忙な中恐縮ではございますけれども、国際的な規制検討の場面におきまして、我が国の保険事業の将来を見据えた積極的な参画をぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○ 石橋委員

すいません、業界の者ばかりが言って恐縮なんですが、今、水谷委員の方から、国際的な動きの中でというご意見がありましたので、中身は違うんですが、それに関連して1点言わせていただければというふうに思っております。

時価会計問題でございますが、きょうのご報告の中では、5ページのところに、IASBとかIAISでの検討を見ながらこれに対応していきたいということで入れていただいておりますけれども、その中で具体的に申しますと、やはり株式とか外国証券等のいわゆるその他有価証券の含み損益を、今の流れの中では資本の部に計上することになっております。ご存じのとおり、含み益につきましては、これまで将来の価格の下落リスクとか、あるいは逆ざやリスクに備えるためにリスクバッファーとして活用をしてまいりました。それを考えますと、やはり従前どおり、引き続きオフバランスの形で取り扱って、将来の対応に備えるということが望ましいのではないだろうかというふうに考えてございます。

また、仮に資本の部にオンバランス化されるといった場合におきましても、資本の部といいますか、オンバランス化される場合にございましても、資本の部ではなくて、やはり価格変動リスクに備えていくための準備金として、例えばですが、アメリカにありますAVRのような負債の部に計上するというような考え方、こういう検討をぜひお願いをしたいというふうに考えてございます。

それからもう1点、水谷委員と関連するところでございますが、生保会計に関しまして、種々、検討がグローバルに行われてございますけれども、その検討に当たりまして、早急に検討体制の整備ということを我々の国の方でも行っていき、将来のソルベンシーの対応ということに備えてまいらなければいけないのではないかというふうに思っております。この点、検討体制の整備という面でも、ちょっと離れるかもしれませんが、ついでにお願いをさせていただければというふうに思っております。

それからもう1点、この資料の8ページの真ん中、(2)のマル1とございます。総代会制度の充実の点でございまして、その3行目に立候補制の導入ということで書いていただいてございます。ご存知のとおり、やはり私ども社外の総代選考委員会で総代を選考させていただいた上で社員投票を行っているという事実は、委員の先生方に、十分ご理解をいただいているというふうに思っておりますが、その場合に、全国規模で経営を行っている一般的な生保会社の場合に、やはり地域別に、そこの地域の契約者の代表をしていただく総代を選びながら、かつ、それだけでは不十分な、総代の構成が崩れてしまうというようなところを考えたときに、本部選抜というような形での選考の二重の対応をしているということで、私ども業界としてもそれなりの努力をしてきているつもりでございます。

そして、かつ、またここの中にも入れていただいておりますが、まだスタートしたばかりで時間がかかると言われればあれかもしれませんが、私ども懇話会というような形で、全国全支社で約2千数百名のご契約者と毎年会話をさせていただいておりますし、このシステムは他社さんにおいても同じようにやられているところでございまして、やはり地域の代表あるいは契約者の幅広い代表ということになってまいりますと、そういう経営の努力をしている形というものもぜひご理解をいただればというふうに思っております。

形式的に総代に立候補をして、そして、それでいいじゃないかという形もあるかもしれませんが、やはり、形式が勝ってしまって、かえって閉ざされた株主総会のような形に、逆になってはいけないということについて、あえて言わせていただきました。

○ 岩原委員

私は、ワーキング・グループのメンバーなので、本当は余り申し上げない方がよろしいのかもしれませんが、最後のワーキング・グループに出席することができずに、この文章の確定について意見を申し上げることができなかったものですから、それで2点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

1点は、これは文書そのものは変更することは難しいのではないかと思うんですけれども、一応問題点だけ指摘させていただきたいと思いますのが、4ページのBの1の(1)社員配当ルールの弾力化のところであります。この問題は、ワーキング・グループでは深尾委員が非常に強く指摘されていたことですが、結局最終的に文案に入っておりませんので、一応問題意識だけは申し上げておきたいと思います。

確かに現在の生命保険会社の財務状況を考えれば、今さっきから出ておりますような予定利率下げとか、そういう問題をやる前に、まず社員配当の抑制からやるべきだということで、こういうふうな記述がなされることは十分理解できるんですけれども。そういった当面のそれこそ危機の問題を離れて、制度の本来の趣旨から考えますと、やはり危機に備えて内部留保を積んだりするというのは、本来ソルベンシーマージンの基準とか、そういったもので要求していくべきものであって、それを超えて、将来に備えて必要な内部留保があって、それを超えた内部留保が行われる場合については、やはり社員に分配をするということの一定のルールがあってしかるべきではないかと思います。これは外国においても、大体そういったルールが設けられているわけでありまして、現状は、先ほどのソルベンシーマージンその他の基準、あるいは会計ルール等が必ずしも十分でない等があって、現在の内部留保が必ずしも十分でないということがあるために、これは現実論としてはこういうことでやむを得ないと思うんですけれども、本来の制度趣旨からすれば、こういった分配ルールというのが本当はあるべきだというふうに思っております。

社員自治ということが非常に強調されておりますが、一方で8ページなどを見てみると、(2)の柱書きで社員自治が十分に機能しているとは言えない状況にあるといっているわけですから、やはり何らかの枠が必要ではないかというふうには思っております。これは前の話です。

それから2番目が、これがもし可能ならば、仮に第二部会としての報告をまとめるときは、表現を少し考えていただけたらありがたいという問題であります。10ページのところでありまして、この(1)の行政命令・特別立法による契約条件の変更というところであります。契約条件の変更については大変な議論がありまして、この特別立法による契約条件の変更というのは、私が申し上げたことでありますけれども、まず、行政命令で契約条件を変更しようという旧業法の10条3項のような制度を主張した方はいないと思うんですね。行政命令だけで変えてしまう、これは少なくとも手続的に憲法違反の疑いが出てきてしまいますから。それはそこまでの制度は、ワーキング・グループで主張される方はいないし、多分一般的にも認められないと思いますので、書くのであれば、特別立法、細かい技術的なことは、その行政的な処分で補完する必要がありますけれども、基本は特別立法による契約条件の変更ということが議論されたというふうに思っております。したがいまして、こういう題のつけ方はややミスかなという感じがします。

もう1点は、この(1)の本文の3行目から4行目にかけて、この際には個々の生命保険会社の財務状況の如何にかかわらず、全社一斉の条件変更についても検討が行われるべきであるとの指摘もあるというんですが、少なくとも私はここまでのことは主張したつもりはございませんで、これは当然、このまま放っておくと危機に至るという会社について、いわば早目に手を打って、一定の財務条件を満たした会社について、その会社については一斉ということになるのかもしれませんけれども、全社ではないわけであります。そういった危険性のある会社について、法律でそういう要件を定めて、そういった会社については、法律に基づいて契約条件を変更するということを一つの方法として申し上げたのであって、ここまで書きますと、極めて強過ぎる印象を与える。恐らくここまで書きますと、それはやはりいくらなんでもひどいというのが出てくると思いますので、ちょっとここは表現をお考えいただけたらありがたいと思います。

また最後に、この(1)の一番最後のところですが、生命保険会社のほとんどが破綻に陥る可能性があるような危機的な状況にはない現状では、と大変持って回った言い方をしております。どこまでこれを読んだらいいのかよくわからないんですけれども、確かに現時点で危機的状況にあるかと言われれば、これは危機的状況の定義にもよりますが、すぐにはないことだろうと私も思います。

しかし一方で、じゃ破綻に陥る、ほとんどとは言わないまでも、かなりの会社が破綻に陥る可能性が全くないと言えるかといったら言えないと思います。私自身はかなりの可能性であると思っています。だからこそ、この審議会で議論したわけでありまして、したがって、こういう書き方をすれば、こういうふうになるのかもしれませんけれども、やはりこの点はもう少し文章を整理していただいて、全然問題がないんだという誤解は受けないような表現していただけたらありがたいと思っております。

以上です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

○ 原委員

申しわけありません、2回目なので1点だけですけれども。

高橋委員と岩原委員のお話を聞いて思うことですが、12ページの書き方、この問題の一番最後のところで、引き続き検討すると書いてあるんですね。実際にこのパブリックコメントをとるときに、ほとんどもう決まっていて、パブリックコメントは出されても、それに対して回答を出すだけで、本体自体はほとんど動かないというパブリックコメントのとり方がありますけれども。この書き方を見ると、また再スタートしての議論もあり得るというふうに私たちは読むんですけれども、それでいいのかどうかと。でも、ぜひそうしたいという感じはあります。

ですから、本当に議論の論点が出てきて、これから私たちは議論に参加できるというふうに思っておりますので、そこのところはどのように理解をしておいたらよろしいんでしょうか。でないと、個人情報保護法の二の舞のような感じで、国会に上がった途端にすごく議論が紛糾してくるという可能性もあると思います。

○ 樋口信用課長

まさにここで言っておりますそのままでございまして、もちろん今この契約条件の変更の部分についてご意見ちょうだいしましたので、いずれにしても、それをまた部会長なりとご相談して、最終的な表現というのは確定させていただきたいと思っておりますが。

いずれにしましても、ここで言っておりますのは、今後、本報告の内容をベースに十分な議論が行われることが何よりも望まれるところであり、こうした議論を踏まえて、最終的な制度改正の姿について、引き続き検討することとしたいと書いてございます。これは審議会の報告でございまして、その部会として引き続き検討することとしたいと言っておりますので、その初めに結論がありきで、パブリックコメントを、パブリックコメントという言葉がいいかどうかはともかく、そういったものを求めるということではなくて、むしろこの報告書をベースに、謙虚にというんでしょうか、いろいろな方の意見を聞いた上で、またこの場で、こういうふうなご意見でしたということをご報告をした上で、皆さん方のご意見をちょうだいするというふうになるのではないかと考えております。

○ 窪野財務省参事官

手続についての技術的な指摘でございますが、このチャートを見ますと、契約条件の変更をよしとしない契約者の保護について、契約者集会における議決と異議申立て等の関係が十分整理されきっていないという感じがいたします。

と申しますのは、そういう契約者が出席、あるいは投票して特別決議をブロックするか。それは多分出席者、投票者が3分の1必要なわけですが、他方、異議申立てであれば、総契約者の10分の1でいいと。どちらから二者択一ですといったら、どっちが成功率が高いのか、出席率に依存するような、そんなことになりますし、その辺の整理が必要かなと。

合わせまして、これは自主手続でありますので、解約という形のエグジットもあるわけでありまして、それとの関係。場合によっては、その解約をペナルティなしで認めるというような保護の仕方もあると思いますので、その辺はなお詰めた上で、もしこの手続のチャートもコメントを求めるなら、少し整理をされた方がいいと思います。

○ 福井部会長

ほかにございませんでしょうか。

分科会長、もし何かございましたらどうぞ。

○ 蝋山分科会長

焦点は、契約条件の変更の問題が大きな焦点だろうと思います。しかし、どうもまだこのワーキング・グループないしは二部会においても、この位置づけについて、全員しっかり合意しているわけでは必ずしもないという印象を持ったのは間違いでしょうか。そして、それが部会での修文、その他、分科会へ上がってきたときに、もう一度それをいわば蒸し返して、分科会の中で侃侃諤諤やってというふうにやるならやるでもいいんですけれども、やることはしかし必ずしもうまくないなと。

そういう点ではやや、全体としてものすごく丁寧に細かく書いてあるわけなんですけれども、しかしそれであるがゆえに、いろいろな形に受けとめられて、やや怖いなという感じがしますね。その辺のところをどう考えたらいいのか。一番典型的には、高橋さんの意見をどういうふうに、分科会として、その中で出てくるかということに尽きるかというふうに思いますし、恐らくそれであえて無理やり分科会として、あるいは金融審議会としてまとめてみても、逃げ場がない形でまとめてしまって、審議会自体が後で困ったことになるという可能性も、この問題についてはあり得るのではないかなというふうに思います。

印象論で、やはり具体的な場合どうしたらいいんだということで、今策がないので、ちょっと躊躇しているんですけれども、分科会を司会する者として、やや頭が痛いなと思っております。ごめんなさい、印象論だけで解決策がないので、余りそういうことを言いたくないんですけれども。

○ 樋口信用課長

まさに今分科会長から、どうもなかなかしっくりしないというお言葉をちょうだいしましたが、私どもこの問題の事務方を努めておりまして、ワーキングでの議論を聞いておりますと、まさにその辺が非常に難しいところだと。正直言って、事務方も非常に取りまとめが難しい、なかなか悩みの多い問題だなというような気を持ちながら、ここまで来たということでございます。

ある意味で言いますと、この報告にも書いてございますけれども、実際にこういう制度そのものが国民・契約者の方の理解をいただけるんだろうかとか、あるいは制度が実際にうまくワークするんだろうかとか、いろいろ残された問題というのは多いのではないかなというように私どもも感じておりまして、そういう意味で、ここで一たん部会の報告として何らかの形で取りまとめをお願いした上で、先ほどもご紹介しましたように、各方面の意見も聞いてみると、そのプロセスが必要ではないかなというようなことで、ここまで来ていると。

そこでまさに、さっきもちょっと私発言いたしましたけれども、特段何か初めに結論ありきで考えているわけでは毛頭なくて、いろいろな方の意見を聞いたり、また先ほど窪野参事官からもお言葉がありましたように、いろいろ実務的にもう少し勉強してみることというのもあるのかなと。そういったことを合わせて、事務方としましても努力をさせていただきまして、しかるのち、そのときの部会あるいは分科会か、ちょっとそこまでまだ具体的にはあれでございますけれども、よく委員の皆さんのご意見も聞きながら、最終的にこういうふうにするというようなことで、またご相談をさせていただきたいというように考えております。

○ 蝋山分科会長

時間が余りありませんから、最後になって申しわけないんですが。

このペーパー自体の中には、本当にやらなきゃいけないこと、やった方がいいことがたくさん書いてあると思うんですね。ただ、これにかかわるところだけが、そういうようなやや事務局にさえ遠慮しというか、という部分なので、少し構成なんかを工夫してみたらどうかなというふうに、ちょうど真ん中あたりにぽんと、先ほどの原さんがご質問になった10何ページですか、あったり、必ずしも部分的に、12ページですか。全体としては15ページなので。なんか商品開発が後の方に出ているわけで、これはちょっと書き方の構成なんかも少し工夫したら、もう少しやるべきことと、やはり悩んでいて、ここまで進んだんだけれども、もうちょっとということを整理する、書き方に問題あるんじゃないかという印象を受けました。

○ 山下座長

この報告本体で書いてあることで、文書だけじゃ若干わかりにくいというので、この1枚ものがついて、この1枚ものになるとかなり具体的なイメージが出てくるんですが、これがまた若干ひとり歩きすると、今分科会長がおっしゃったように、若干誤解を招く面もあるかなという、そこらあたりを資料の出し方も検討する必要があるかなという感じがします。

○ 樋口信用課長

実はこれ、前回ワーキングで議論したときに、何かこういう手続のイメージチャートがあった方が、部会の方の理解に資するんじゃないかなというお言葉があって、これつくってみたんでございますけれども。ちょっと今座長からそういう言葉がありましたから、取り扱いはまたよく考えたいと思います。

○ 山下座長

この方が、皆さんのご理解が大分しやすくなっているように思うんですけれども。

○ 高橋委員

イメージチャートに関してなんですが、注記のところに、上記の手続については、例えば裁判所の関与の可能性も含めてとここに出てきています。どういう関与なのかとかというイメージが全く一般の方はわからなくて、それぞれ勝手に解釈したり、あるいは逆に問い合わせに金融庁が追われるような事態になる可能性があるのではないかと思います。本文で説明していないものに関してチャートに書かれていることに、私疑問を感じているんですけれども、いかがでしょうか。

○ 山下部長

本文でも、一応裁判所の関与を含めというような形では……。

○ 高橋委員

ただ、ワーキングのときには、検査役の選任とか、つまり手続そのものが公正がどうかということであって、破綻に関しての認定とかをやるわけじゃないということでした。その辺の誤解があるのではないかなということを心配しております。

○ 福井部会長

ほかにございませんか。

それでは、皆様方の意見、本日のところは一応拝聴したということでございます。本日いただきましたご意見を十分踏まえまして、26日の部会報告、この取りまとめに向けた具体的な修正に入らせていただきたいと思います。

具体的な修正につきましては、一部の場合と同様、この二部につきましても、できれば私にご一任いただければというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

この中身が最終報告的な部分と、契約条件変更のように引き続き検討する、さらに意見を吸収しながら検討するという部分と重なり合っておりますので、かれこれ区別がつくような整理もやはり必要かなと、こういうふうに思いますし、契約条件の変更の部分につきましては、今、分科会長からご意見がありましたけれども、ワーキンググループの議論をずっと私も、100%ではないんですが、かなり拝聴させていただきました感じでも、これは大変なナローパスであると思います。

それから、生臭い問題を現実にこの審議会が裁くということではない、審議会は、あくまでフレームワークをつくるのだという観点でございます。そのフレームワークを考えるに当たっても、大変意見が分かれる。意見を集約する、あるいは何かのアイデアをひねり出すとしても、大変なナローパスだということでございますので、審議会ないしは部会としては、やはり知恵を十分出した、そして、もし何か用意するとすれば、難しいけれども考えられるアイデア、皆さんの知恵の最終的なかたまりとしてはこんなものだということで世に問う。このことは、決して後に混乱を呼ぶということではないのではないか。

つまり、個々の問題を具体的に解決するのは行政の役割であって、審議会はフレームワークを用意する。これが基本的な考え方であり、そのフレームワークには英知を全部傾けなければならない。このメンバーで英知を傾けて生み出したのがこれであり、もしこれで足りなければそこはもっと知恵をお貸し下さいという形で提案するのは、そうおかしくないのではないかなというふうに思います。私自身も悩みながら、今申し上げているところでございます。

審議会に対する世の中の人々の期待はいろいろとあると思いますが、我々の役割はこういうものであり、我々の示し得る英知の限度はこういうものだということを出してみる価値はあるのではないかと、私は個人的には思っておりますけれども、来週の最終的なご議論に提供する材料をつくり上げますまでに、もう少し考えてみたいと思っております。

また、事務局から、来週の会合までの間に個々に皆様方のご意見を伺う可能性もあると思いますので、ご多忙のところ恐縮でございますが、ひとつその際にはご協力をお願いしたいと思います。

それでは、きょうは大分時間を余計取りまして、申しわけございませんでした。

事務局の方から何かご連絡があると思いますのでお願いしたいと思いますけれども。第1部と同じように、この第2部も、先ほどお届けしておりますこの2つの資料、検討状況という資料と、このチャートのような資料でございますけれども、これは返却をしていただきます。大変恐縮でございますが、テーブルの上に残していただきたいと思います。

それでは、事務局からのご連絡をお願いいたします。

○ 樋口信用課長

次回の第二部会でございます。最後になりますが、来週26日火曜日、午前11時30分から1時間程度、本日と同じこの会議室で開催を予定しております。当日は、最終的な部会報告の確定ということを、お願いできますれば、その報告を私どもにちょうだいをするというような手続も考えております。

それからその開始の時間、以前あらかじめご案内しておりましたときに、たしか午前10時からと申し上げておりましたので、変更になっておりますので、お間違いのないようによろしくお願いをしたいと思います。

以上でございます。

○ 福井部会長

それでは、ご苦労さまでございました。本日は散会といたします。ありがとうございました。

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