金融審議会金融分科会第二部会会合(第7回)議事録

平成13年6月26日
金融庁総務企画局

○ 福井部会長

本日も皆様大変ご多用なところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、議事に入りたいと思います。

本日は、先週の部会でご審議いただきました2つの報告、1つは、銀行の株式保有に関する報告、もう一つは、生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告、その案文につきまして、皆様方からちょうだいいたしましたご意見を踏まえまして、私の責任で修正を施しました。皆様方のお手元にお配りしております報告書(案)として取りまとめたものでございます。

きょうは、この2つの報告書(案)につきまして、修正箇所を中心として皆様方にご確認をいただき、その後、柳澤金融担当大臣に、第二部会報告として2つの報告書をお渡ししたいと考えております。

なお、本日、柳澤大臣は衆議院におけます銀行法等改正の委員会にご出席中でございます。当部会へのご本人のご出席は、まだ若干未確定なところがございます。

また、本日は、この審議会の議題ではございませんが、金融庁で検討を進めておられます銀行保有株式取得機構につきまして、後ほど事務局よりご説明をお願いしたいと考えております。

それでは最初に、銀行の株式保有に関する報告につきまして、事務局から修正箇所のご説明をお願いしたいと思います。

○ 樋口信用課長

皆様、お手元に第二部会7-1「銀行の株式保有に関する報告(案)」があると思いますが、前回の議論も踏まえまして、部会長のご指導のもとに修正した部分、順不同になりますが、まず初めに、1ページの「はじめに」を入れてございます。これは実は、前回は2ページから「全体的な展望(総論)」と書いてございますが、その頭の部分に置いていたものを報告書調にするということで「はじめに」と移しただけでございまして、内容の変更はございません。

それから3ページ、2.「企業の資金調達、個人の資産運用の観点」というのがございますが、実際は4ページに行っていただきますと(4)でございます。ここの(4)の部分が、いわゆる個人投資家育成、株式市場といった関連のところでございます。こちらにつきまして、前回お示ししましたものでは、例えば「不公正な取引の監視の強化」といったことが「株式市場の信頼回復のための環境整備」、この後に入ったりしておりました。この辺については、ややここの記述が細かいというようなご意見がありというより、もっと本質的に証券市場のあり方についての問題意識を持って検討を行うといった姿勢を示すべきではないかというご意見が複数の方からあったというように思っております。そこで、この(4)につきまして、細かな部分というのを削除した上で、一番最後の9ページ、「おわりに」というのを立てております。「おわりに」の部分は、すべて書き下ろしでございます。したがいまして、(4)と「おわりに」をさっと朗読をしたいと思います。

4ページ、(4)「銀行に株式保有制限を課し、保有株式を売却させるに際しては、これと併せて、個人投資家を中心とする一般投資家の株式市場への参入促進にかかる仕組みを整備することが必要である。個人投資家育成の観点からは、株式市場の信頼回復のための環境整備や、個人投資家が市場に参加するためのルートの多様化などが十分検討されるべきである。例えば、投資信託については、銀行による株式投信の販売が増加し、個人への株式販売の裾野の広がりに貢献しているが、一般投資家の株式市場への参入の促進という観点から、投資信託等を始めとする直接金融へのルートを更に整備することが必要である。また、企業年金の資産は毎年増加し、株式市場にもかなり流入しているが、機関投資家による株式投資についても、銀行に代わる株式保有主体としての役割が期待されている。このような直接金融市場のあり方については今後とも十分な検討が必要であろう」というように直しまして、最後の9ページ、「おわりに」でございます。

「本報告においては、銀行の株式保有に関連する事項について多面的な検討を行うことにより、銀行がその株式保有額をリスク管理能力の範囲内に抑える処方箋を呈示している。これが銀行の財務面の健全性を確保し、金融システムに対する信認を高めることに繋がるものと期待している。

他方、銀行に株式保有制限を課すことは、株式持合い解消の流れを一層押し進めることとなるなど、証券市場の構造に変革をもたらすことが予想される。そのような事態を直視すれば、本報告にも指摘したが、個人を中心とする幅広い投資家の証券市場への参入を促進し、証券市場が更に発展するための方策について真剣に検討を行うことが喫緊の課題であろう。

いずれにせよ、本報告で具体的な提言を行っている銀行の株式保有制限については、その速やかな制度化を要請したい」というような直しを施しているというのが1点目でございます。

2番目が7ページの(7)でありますが、この最終案文を読みますと、「この株式保有に関する上限規制の適用のタイミングは、新しい規制によって銀行が株式を放出することの与える市場インパクト等を考慮し、原則として2004年から導入することが適当である。また、上限規制の導入は個々の銀行に与える影響が異なることに鑑み、一定の場合には、2004年から更に1~2年の特別の猶予期間を設けることも検討に値しよう」ということでございますが、実は、ここは前回の案では、1行目に「このような銀行の株式保有制限に関するもろもろの新しいルール」というようなことが書かれておりました。つまり「もろもろの新しいルール」といった場合に、この報告書ではBISでの整合的な形でのリスク管理、国内規制というようなものと上限保有、上限制限というような2つのルールを考えていたということで、原案ではこの2つの新しいルールについて原則として2004年からとなっていたわけでございます。これにつきましては、この後、担当の参事官の大久保からご紹介しますが、2004年を予定していた新BIS規制の適用時期が変更になったという動きがございましたので、記述を改めまして、きょうお示ししている最終案では、BISの関連の自己資本比率規制というのについては2004年がかからないというような表現に直っているということであります。こちらは、いずれにせよ、まさにBIS規制がまとまって、それを国内規制に置き直していくというような作業になるわけでございますので、特段の具体的な年限は明示しておりませんが、BISが2005年だということになりますと、そこは2005年になると考えられるということでございます。

一方、この株式保有に関する上限規制というのは、その上の(6)にございますが、特に株式保有額が多い銀行に関して、その保有する株式総額を早急に引き下げるための明確な措置とそもそも位置づけられていたということでございますから、こちらついては今から3年程度でございますけれども、2004年というのを動かす理由には乏しいということで、部会長ともご相談した上で、この上限規制については原則として2004年からというような形に表現として置かせていただくということでございます。

以上が大きな変更でございまして、あとは若干細かなことになりますが、元にお戻りいただきまして、2ページ目の1の(3)のマル1であります。「現在、銀行は各種の資産のリスクを総合的に管理しようとしているが」、その後に「全体としては」というのを入れて、「全体としては、これは未だ完成された段階にまでは至っていない」。

次が3ページ、(4)の下から3行目であります。「この場合、自己資本を充実するか、自己資本に対してリスク資産を適切な水準まで縮減する」ということでございます。これは前回、「自己資本を充実するか、リスク対比で脆弱な自己資本に対して」と入っておりましたが、そこは日本語的な修文ということで削除をしたということでございます。

以上が変更点でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

新BIS規制への動向につきまして、ここで事務局から追加的に簡単なご説明をいただきたいと思います。

○ 大久保参事官

それでは、お手元に一番最後の方になるかと思いますけれども、「BIS規制見直しの今後の方向について」という資料とバーゼル銀行監督委員会のプレスリリースを配付しておりますので、そちらをごらんいただければと思います。

ただいま信用課長の方から話がございましたけれども、バーゼル銀行監督委員会は、いわゆるBIS規制の見直し作業を1998年3月から続けてきておりまして、本年の1月には第2次市中協議案を公表いたしまして、5月末を期限といたしまして金融界等関係各界からのコメントを求めてきたところでございます。この期間中、全世界から 250以上のコメントが日本の全銀協等からのコメントも含めて寄せられております。

バーゼル銀行監督委員会は、昨6月25日に「自己資本に関する新しいバーゼル合意の作業状況について」というお手元にお配りしましたプレスリリースを公表しております。このプレスリリースにおきまして、バーゼル銀行監督委員会は、来年初めに再度、金融界等の関係者のコメントを求めるための第3次市中協議案を公表することを決定いたしまして、また、BIS規制の見直しの最終案の公表を当初2001年末ごろというようになっていたところを2002年はじめに、また、実施の時期を当初は2004年となっていたところを2005年に延期するという旨を発表しているところでございます。

この延期の背景につきましては、まず第1に、第2次市中協議案に対しまして寄せられました、非常に多岐にわたる多数のコメントについて慎重に検討していく必要があること、があります。第2に、第2次市中協議案の中では骨格しか示されていない部分、すなわちリテールとかオペレーショナル・リスク等の扱いとがあるわけでございますが、こういう部分がございますので、より具体的な案を示しまして、再度金融界等関係者のコメントを求める必要があると判断したわけでございます。

今回の見直しは、現行のBIS規制が銀行の実務の進展に沿わなくなってきている部分が大きくなりつつあるということを受けて開始されたものでございまして、速やかに検討が進められるべきものと考えられますけれども、他方で、この規制は銀行の経営などに深い影響を与えるということから、より具体的な案を再度金融界に諮るというバーゼル銀行委員会の今回の決定は適切なものであると考えて、当方もこれを支持しておるところでございます。

なお、今回のプレスリリースでは、今後の見直しの方向といたしまして、3点ほど挙げてございます。すなわち、第1に、所要の自己資本の水準は現行並みということを堅持すること。第2に、オペレーショナル・リスク分の自己資本水準の見直しをしていくということ。第3に、中小企業向け金融の円滑に配慮していくということです。

以上ご報告申し上げます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

新BIS規制への動向につきましてはお聞き及びのとおりでございます。そして、今回の報告との関連につきましては、先ほど信用課長の方からご説明がありましたとおり、報告書案文の中身を株式上限規制の導入のタイミングという点で修正をしておるわけでございます。

ご承知のとおり、今回の報告の内容は、上限規制と新しいBIS規制を踏まえた自己資本比率規制の見直しと、この2つの内容になっておりますし、上限規制はその新しいBISルールへのブリッジングという意味もあるわけでございますが、上限規制は、その株式保有が特に多い銀行に関して、早急にこれを引き下げてブリッジングを図っていくという趣旨でございますので、新しいBIS規制の実施のタイミングと必ずしも機械的に連動する必要はない。実質的にブリッジしていけばいいというふうなことだろうと、そういう理解で私自身も、この2004年という上限規制の導入のタイミングについては修正する必要はないんではないかと考えた次第でございます。

それでは、この修正の点を含めまして、皆様方、何かご意見がございましたら、どうぞお願いをしたいと思います。

○ 原委員

今の段階では修文はかなわないのかどうかわからないんですが、一応案となっておりますので。

4ページと9ページのところで私が前回発言をいたしました金融サービス法のことで制定の話とか消費者教育の話、それから競争処理制度の充実ということで、ルートの整備以上に環境整備が必要ということは盛り込んでいただいたと思うんですが、9ページの一番最後のところの書き方、2段落目の最後の2行なんですが、「個人投資家の証券市場への参入を促進し、証券市場が更に発展するための方策」と書かれていて、これだと証券市場の発展のためだけにとなり、やはりまた元へ戻ってしまうような感じがしておりまして、証券市場がさらに発展というか、証券市場が健全に発展していくための方策を検討するというのが本来の趣旨なのではないかと、気持ちとしては多分そういうことはあるとは思うんですけれども、一番最後の文章を読んだだけでは、また元の証券市場の整備だけになると思いますので、「健全に」という言葉を「さらに」に置きかえるか、追加をする形で検討していただけたらと思います。

○ 福井部会長

ほかにご意見ございませんでしょうか。

○ 樋口信用課長

今のご指摘につきましては、4ページの(4)を見ていただきますと、「個人投資家育成の観点からは、株式市場の信頼回復のための環境整備」といったような言葉も入れてございます。そういうふうな指摘、全体を踏まえまして9ページの方で「おわりに」の真ん中のパラグラフの3行目で「本報告にも指摘している」と。この本報告にも指摘しているというところで、多分おっしゃっているような趣旨に読めるんではないかなと。指摘を踏まえて、その上で個人を中心とする幅広い投資家の市場への参入を促進して、証券市場がさらに発展するというようなことで、一応私どもとしては前回の原委員のご指摘も踏まえて、読めるんではないかという気持ちでは書いたつもりではございます。

○ 福井部会長

あるいは表現がいま一つ十分ではなかったかもしれませんが、ご趣旨は私自身も全くフルに同意見でございますので、ご意見はしっかり議事録にとめさせていただくと同時に、外への説明のときには、しっかりその趣旨を踏まえてさせていただきたいと思います。

ほかにご意見ございますでしょうか。

それでは、この報告書につきましては、会議終了後、記者会見の場におきまして対外公表をさせていただきたいと思います。

続きまして、生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告につきまして、修正箇所を中心に事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○ 樋口信用課長

皆様、お手元に第二部会の資料7-2-1、7-2-2でございます。

まず、修正箇所を順にご紹介しますと、3ページ目でございます。これは、日本語を少し読みやすくしたという意味でございますが、原案で「金融のグローバリゼーションやITの発展への対応も重要である」と、その辺が「グローバリゼーションやITの発展に伴い、国際化やIT化の対応も重要である」といったような、表現が上手ではなかったところを直しているということと、そこのところの後半部分でも、「こうした動きにとどまることなく、グローバリゼーションやIT化は」となっているところが、「こうした動きがITの活用は」となっておりましたので、全体として日本語を読みやすくしたということで、実質的な内容の変更はありません。

次が5ページ目、「生命保険会社の財務基盤の充実」のうち「社員配当ルールの弾力化」の部分であります。ここの3つ目のパラグラフ、「このことを前提として」というところでございますが、今回お示ししてあります最終案というのは、このことを前提として、すなわち上に書いてありますように、「長期的な経営の健全性確保の観点から、経営状況の推移の見込み等を十分に踏まえ、経営努力の徹底を図りつつ、内部留保を適切に確保する」というようなことが求められると書いてありまして、「このことを前提として、配当水準の自主的な決定を促すべく、法令上の社員配当に関する80%ルールについて見直しを行い、配当比率の下限は、各保険相互会社が、自社の経営状態等を十分踏まえた上で、実費主義の理念等に則った剰余の分配を図ることができるように、それ

ぞれの定款において定めることとすることが適当である」というようにしております。

ここは、前回では「このことを前提として」というのは「こうした観点から」となっていまして、きょうお示ししている「自社の経営状態等を十分踏まえた上で、実費主義の理念等に」というようなところが、「長期的に必要な内部留保を確保しつつ、シャインリツ」というふうに直すわけでございます。ここについて、まず、財務基盤の確立ということが必要にせよ、やはり一方で、相互会社の理念である配当と、ここも指摘すべきであるというご意見がございまして、そういったことから、先ほどご紹介したようなことを前提とした上で「実費主義の理念に則った剰余の分配を図ることができるよう」と直したということでございます。

8ページの下から2行目、「保険契約者による商品の理解・選択の助けとなる情報が的確に提供されるよう」となっております。これにつきましては、「理解」という言葉を盛り込んだ。これは前回のご指摘で、一般の保険契約者の方、消費者の方という立場からすると、まずは商品の内容とか理解するような情報が大事だというご指摘がございました。それを踏まえて直したという実態があります。

次が14ページ、「保険契約の契約条件の変更」の部分であります。ここにつきましては、前回の部会で、最終的な考え方を取りまとめるに至っていないと、国民あるいは保険契約者の方のご意見も聞いてみようということで、そもそも場所の置き方を工夫することが適当ではないかというご意見がございまして、前回、この報告の中間部分に入っ

ていたんですが、今回はそういうご指摘も踏まえて、一番最後に置き直してございます。

それから表現も改めておりまして、14ページの(1)で「特別立法・行政命令による契約条件の変更」、これは前回は逆に「行政命令・特別立法による契約条件の変更」となっておりました。

それから、前回では(1)の3行目のところに、「またこの際には、個々の生命保険会社の財務状況のいかんにかかわらず、全社一斉の条件変更についても検討が行われるべきであるとの指摘もある」という記述がございましたが、これについては、必ずしもこの(1)の議論というのは全社一斉ということを前提としていないというご意見もございまして、そこの部分は削除しております。

次の15ページの2行目、「生命保険会社のほとんどが破綻に陥る可能性が高いような危機的な状況にはない」と、これは前回お示しした報告案でございますと「破綻に陥る可能性があるような」と、「高いような」とご指摘も踏まえて直しているというのが報告の直しでございます。

それからもう一つ、こちらの1枚紙の資料、この取り扱いにつきましては、部会長、座長とも相談をさせていただきまして、自主的な変更手続のイメージを理解してもらうということからは、公開をすることが適当であるということで、今回、中間報告とあわせてご紹介をさせていただきたいと思っております。ただし、表現につきましては、ご指摘がございましたように、例えば、条件変更手続の開始の欄の右側で、マル3マル4と書き分けてございます。経営責任についての考え方と基金・劣後債務等の取り扱いの見込みというのを書き分けているといったような直しでございます。その辺はご指摘も踏まえて変更を施しているというところでございます。

15ページの「次に」から始まる2行目で「行政命令・特別立法」となっておりますが、私どもの手違いでございまして、これは「特別立法・行政命令」と訂正をさせていただきます。

変更点は以上でございます。

○ 福井部会長

どうもありがとうございました。

それでは、この中間報告書(案)につきましてご意見を賜りたいと思います。

○ 原委員

前回、消費者のいろいろな意見ということでお話を申し上げて、今回パブリック・コメントを取られるということで、もう一段深まった議論になることを期待しておりますけれども、前回も気になっていて、本当はお話しすればよかったと思うのが、この1枚紙の資料の方なんですが、この方法は具体的にイメージできてわかりやすいんですけれども、気になっていますのが下から2番目のところの異議申し立ての部分です。

「例えば」という言葉が入っているので、このときということにはならないんですが、1カ月で10分の1、そして新聞公告というこの組み合わせなんですけれども、私いろいろな消費者運動とかかかわっていて、何度も署名を集めるという作業をしておりまして、大きい契約、保険会社だと 1,000万件ぐらいの保険契約があるというふうにおっしゃられたので、そうすると、10分の1は 100万件ですよね。これを異議申し立てで集めるというのは至難のことという感じがしておりまして、それは一人一人の方にどうですかというふうに言われて取るのだったら可能かなとも思うんですが、新聞公告という形を組み合わせてしまうと、途端にこの率というのは非常に達成困難なことになるのではないか。署名も3カ月とか半年かけて100万人集めるのも本当に大変なんですね。すごく時間をかけてやったりしているので、異議申し立ての道筋が立っているように見えて、かなり異議申し立てが困難ではないかというふうに見えてしまうようなところがありまして、これは例示にすぎないということで、ここの部分も何かいい提案があればという形で、外に出されるときにはおっしゃっていただきたいと思います。

○ 樋口信用課長

ここの部分は、まさに「例えば」ということでございまして、現行の保険業法の中に、保険契約移転の手続の部分がございます。それがまさに1カ月で10分の1となっておりますので、あえてとっかかりを探しますとこれがあるということで置いておりますが、そこはまさに、あくまでも「例えば」ということでございますので、いろいろご意見が出てくれば、当然また検討の対象になってくるということは間違いございません。

○ 福井部会長

よろしゅうございますか。

○ 原委員

はい。

○ 福井部会長

ほかにご意見ございませんでしょうか。

○ 石橋委員

今回のご報告、生命保険について多くのご提言をいただきました。生保業界に身をおく者といたしまして、改めて生保業界の果たすべき役割と責任の重さというものを痛感した次第でございます。

逆ざや問題等経営が置かれている状況が厳しい中で、その役割を着実に果たしていくということの方策として、前回も申し上げましたが、責任準備金あるいは諸準備金の充実あるいは基金の調達の簡易化、あるいはそのようなことによって財務基盤を強固なものにしていくということ、そして、運用の面でございますが、リスク管理能力を向上させていくこと等、報告でご指摘をいただいたとおりでございます。改めて認識をさせていただきました。

そのような中で、ご提言いただいている既契約の既契約条件変更につきましては、破綻に至るまで放置する場合に比べてご契約者の負担を軽減するものとして、あるいはまた、経営が経営として果たすべき責務をまっとうするための選択肢の一つとして、これを可能とする制度を整備いただくということはぜひとも必要だというふうに私も考えてございます。この報告にのっとりまして、立法化へ向けた作業を進めていただくよう改めてお願いをする次第でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

それでは、ほかにご意見がないようでございましたら……

○ 成川委員

これは中間報告ということで、これからパブリック・コメントに付するということですが、その後の扱いについてはどのようなお考えなのでしょうか。

○ 福井部会長

きょうこれ以上ご意見がなくて、中間報告の取りまとめを完了させていただきましたら、この報告書自体は、後ほどの記者会見で対外公表をさせていただくことになります。その後、この中間報告書につきましてパブリック・コメントという形で広く一般からご意見を伺う。それを集積して検討を加えました上で、再度この部会で皆様方にご議論をいただくということでございます。

○ 成川委員

わかりました。

○ 樋口信用課長

このスケジュールということで申し上げますと、この報告につきまして、いろいろご意見をちょうだいするということについての期限のめどについては8月31日と、ほぼ2カ月間、いろいろな方のご意見を集めてみようと思っております。それが出てきました段階で、私ども事務方で意見を取りまとめて、そして、また皆さん方にお知恵をちょうだいすると、こんな手順になろうかと思います。

○ 高橋委員

今までいろいろ議論をしてきましたので、改めて申し上げることも少ないのですけれども、一言申し上げます。

この検討というのは、検討する必要があるのではないかという形で始まり、現在で考え得る制度がこれであると。非常なリスクもはらんでいるのだけれど、これを一般の方に投げかけて、パブリック・コメントという形で意見を集めてみて、それで検討して法制化にいくかどうかと、こういう手順だと私は理解しております。パブリック・コメントに付すと、いろいろマスコミの方も動かれると思うのですけれども、そこでひとつ世論が巻き起こるということはよいことなのかもしれません。ただ、私は先ほど石橋委員がおっしゃったぜひとも必要という、そのぜひともというのが今までの10回を超える討議の中でも、どうして必要なのかということに関して全く理解できないままいるということを恥ずかしいんですが今申し上げたいと思います。

生命保険会社は重い荷物、高い予定利率の個人年金等と申し上げたらいいかと思うんですが、それを積み過ぎて、今、オールドスタイルの車では走るのに支障が出てきたということなんだと思うんです。なぜ、そんなに積み過ぎたのかというと、この先道はずっとなだらかな道だろうと思っていたんだけれども、予想もしない超低金利という坂道があらわれている。まだ5年は走れると、将来収支分析で5年大丈夫ということが出たわけなんですが、5年は走り続けられるんですけれども、それ以上走り続けるかどうかわからないというSOSが業界の一部から投げられているということだと思います。ですから、早目に荷物を軽いものに積みかえればもっと走れますよと、こういうメッセージだと思います。

会社としても、エネルギー効率をよくするために死亡保障契約をたくさん取り込むような営業政策をやって、ハイブリッドカーになりたいなというふうにやっておられるんだけれども、それがうまくいかなかったときに、早めに荷物を軽くすることが更生特例法と比べていいか悪いかと、これが議論されたんだと思うんです。

ところが、この議論の間でも、その荷物の運搬料、すなわち保険料を払っている契約者が少しずつ解約ということは起こっていると思いますし、私が心配しますのは、この議論が表に出たときに、かなりの解約が進み始めるかもしれない危険もはらんでいるのではないかという点です。それは以前申し上げましたように、ここの議論に関しては、マスコミ報道も、非常に緊急性があるからこれを今検討しているんだと主張する評論家等の意見を取り上げているところも結構ございます。かなりの一大事だというふうに一般の方が受け取る危険性がありますので、もしそうでないのであれば、これをパブリック・コメントに付すについては、記者会見もそうだと思うんですけれども、とにかくこの先5年間は金融庁の方の検査で大丈夫なんだというのが出ていると。それから先の話なんですよということははっきり言っていただく必要があるのではないかと思います。

このシステムそのものは、すぐに解約が進まなかったとしても、この手続に入るということで、エネルギータンクに入る新たなお金が、新規契約が一時的にストップすると、これはやむを得ないことだと思うんです。やはり一般の消費者は、これからその会社に入ろうかなと思ったら、いい車になったら入るけれども、今、そういう検討をして、もしかしたら完全に動かなくなるかもしれない車であれば、新規契約はとらないということになります。まず一つ、エネルギータンクに入らなくなるでしょうということと、更生特例法等と違って解約を制限できない状況のようですから、どんどん契約が漏れ出すということが起こるわけなのです。引き下げの是非を決議している間にも同様の危険性がある。一般の契約者からすれば、早く破綻してしまう、5年は大丈夫だったはずなのに、もうすぐにも更生特例法なりという処理に行く可能性がある制度なのだと思うかもしれない。ここのところのリスクをきちんと理解した上で、法制化が必要なのかどうなのかという国民的議論になるように、私は事実を正確に伝えることをお願いしたいと思います。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

パブリック・コメントの性格は、我々はこの審議会で、少なくとも我々の持っている英知を全部出していただいた、チェアマンとしてはそういう前提に立っております。

それから、今までに非常に大きな問題を抱えていた保険会社ではあるけれども、今後の保険会社の経営、やはりしっかり従来とは違った姿で前進するというのが何よりも大前提ですし、我々全体としては、特に保険契約者を含め、過去に起こった問題の処理ではあるけれども、将来につながる建設的な気持ちで物事を処理していかないと、いかに英知を傾けた案であっても、その案は長所と欠点は必ず背中合わせで、欠点の方が表に出るリスクというのはいつもあると思います。

したがいまして、この審議は、パブリック・コメントの後、さらに続くということでございますので、後ろ向きの問題処理であっても、前向きの、建設的な観点から問題を次につなげていくという姿勢で、ぜひ我々としてはやりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○ 高橋委員

私も、もしその逆ざやが重大な影響を将来的にもたらすのであれば、契約者保護のために何らかの手を打たなければいけないと、これは間違いないことだと思います。ただ、今までやってきましたのは、既契約の予定利率変更、つまり契約条件変更ということでそれを解消できないかということだったんですが、ワーキンググループ等でも申し上げましたけれども、ほかにも選択肢があるはずです。更生特例法の早期適用・厳格化という形で、今までのように破綻保険会社の資産が買いたたかれるような状況ではなく、預金保険のP&Aのようなスムーズな移行とか、そういうことを検討する余地もあると思います。選択肢が幾つかある中の一つの検討が今終わったのだという形だと私は考えたいのですが、いかがでございましょうか。

○ 福井部会長

選択肢がたくさんある中で、今回は少なくともこれを我々の英知でもってピックアップしたと、そういう理解でいいと思います。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告につきましても、会議の終了後、記者会見の場で公表をさせていただきたいと思います。

重ねて申し上げますけれども、この後、パブリック・コメントにかけまして、再度当部会の審議を行いたいと思っております。

以上で、銀行の株式保有に関する報告並びに生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告の取りまとめを終了いたしました。

次に、銀行保有株式取得機構に関しまして、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。

○ 迫田信用機構室長

信用機構室長の迫田でございます。

お手元の資料で、右上に第二部会7-3と書いてある3枚紙があると思いますけれども、これが取得機構についてということでございます。

金融審議会の中ではございませんでしたが、まさに株式の保有制限とセットになって考えてきたものでございますので、この3枚紙の資料に即しまして、現段階のものということでご説明をさせていただきたいと存じます。

まず、1ページ目の頭の方に書いてございますように、緊急経済対策において言及をしてあるものでございます。

読み上げますが、「銀行の保有する株式の価格の変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内に留めることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため、株式保有制限の在り方に関する制度整備を行う必要がある。こうした施策に伴う銀行の株式放出が端的には株式市場の需給と価格形成に影響し、株価水準によっては金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性もあり、こうした観点から公的な枠組みを用いた一時的な株式買い取りスキームを設けることとする」というのが4月の緊急経済対策の文言でございます。

これを踏まえまして、金融庁において検討を進めてまいりましたけれども、現在のところの考え方というのが1.以下でございます。

まず、1.機構の組織・運営ということでございます。

保有株式取得機構は、法律に基づき銀行等からの拠出により設立される法人とする。

(2)会員でございますけれども、銀行、長信銀、それから農中、信金中央金庫。

(3)拠出金でございますけれども、当初拠出金と劣後拠出金と分けて考えてはどうかと考えてございまして、当初拠出金は、基本的に機構の運営経費に充当するものとする。 100億円を目途として全会員が拠出をする。なお、運営経費に不足が生じた場合には、全会員が追加的に拠出をする。

それから、劣後拠出金でございますけれども、これは機構を利用する会員が、その理由に応じた負担する。これは後ほど出てまいりますけれども、二次ロスの補てんの話と関係しているわけでございます。売却額の8%と書いてございます。

(4)機構の運営は、基本的には、銀行界から選出した役職員が行う。

(5)国は公的支援を行うために必要な関与をする。

組織・運営については1番でございます。

2番が、現実の株式買取等に関するスキームのお話でございますが、(1)にありますように、機構への株式売却は任意とする。市場で売っていただいても結構だし、機構に売っていただくのも結構である。また、買取価格は時価とするということでございます。

1枚おめくりいただきまして、株式の買取期間でございますけれども、先ほどございました保有制限のかかり方を前提といたしておりまして、5年をめどと書いてございます。

以下、(3)から(5)までが具体的な買取スキームでございますが、(3)、(4)がいわば一つのもので一つの柱、(5)はもう一つの柱ということでございます。

(3)は、機構による株式買取においては、証券市場の構造改革に資する観点から、ETF・投資信託の組成のための買取や発行会社による自社株取得を念頭に置いた買取というものを積極的に行う。

この意味が(4)に書いてあるわけでございますけれども、機構から見ますと機構の出口、いわば処理の仕方がわかった買い方ということになりますものですから、最初の・にありますように、保有期間を極力短縮化できる。また、二次ロスの発生が可能な限り回避できるということでございます。

買取資金は、株式を売却した会員が負担することとし、政府保証は付さない。

損益は機構の一般勘定において経理し、仮に二次ロス・ゲインが発生した場合には、すべて株式を売却した会員に帰属させるという構成でございますが、例えて言えば、証券会社サイドから機構の方にETFの組成等を目指した株式の買取というものが来た場合に、機構がいわばアレンジャーみたいな形で、会員の各銀行に声をかける。そういう形で株を銀行から機構、機構から証券会社に流していくというふうなイメージでございます。したがいまして、機構の保有期間というのは極めて短縮化できるというふうなことをねらっているわけでございます。

(5)がそれ以外の買取ということでございますが、これは言ってみれば、機構がある程度長期に保有をするということをイメージした買取になるかと思いますけれども、位置づけいたしましては、最初の・にありますように、いわばセーフティネットとしての機能を果たすという観点、つまり市場売却というのが片側にある中で、機構がセーフティネットとしての機能を果たすという観点ということで位置づけようと思っておりますが、定例的な買取日を設定し、実際に買取を行うかどうかについては、具体的なニーズの有無あるいは市場動向等を見て機構が決定する。

買取対象株式は、一定の要件を満たすものに限定する。例えば、上場株に限るとかということでございます。

買取資金は民間金融機関からの借り入れで賄う。当該借り入れには政府保証を付することができることとする。

買取限度額、すなわち政府保証枠は、当面2兆円を予定する。

下の注がやや薄い小さい字で書いてございますけれども、株式保有に係る上限規制に伴いまして、2004年までに銀行等から放出される株式は、大体13兆円から14兆円見込まれるわけでございます。一方、例えば平成12年度における主要行の市場での売却実績は3兆 1,000億円ということでございまして、そうすると、向こう3年半から4年ぐらいの関係で13兆円から14兆円の中で、市場でも相応の処理はできるであろうということでございます。そうすると、この場合、セーフティネットという位置づけをすれば、当面2兆円というふうな枠を設定しておけば、セーフティネットとしての入り方は十分ではなかろうか。ただ、もちろん括弧にございますように、機構設立後の銀行等の市場及び機構への株式売却動向等を踏まえまして、必要があれば見直しを行うという位置づけにしております。

また、買取株式の管理は信託銀行に委託をする。損益は機構の特別勘定において経理をする。

この(5)というのは、もう一つの一連の柱というふうに位置づけているわけでございます。

3.機構解散時の取扱いということでございますが、(1)にございますように、機構の存続期間。買取期間は5年をめどと置きましたけれども、機構全体の存続期間は、その後の処理も含めまして最長10年といたしたいと思いますが、買取株式を全額売却した場合には、できるだけ早く解散をしてしまうという位置づけでございます。

(2)、(3)が、仮に解散時に機構に損失が生じていた場合の話でございます。機構が上記2.(5)、つまり長期保有の場合にのみロスが機構に生じるという構成でございますので、その場合にロスが生じうる。そのロスにつきましては、まず、劣後拠出金。1ページ目で申し上げました、売却額の8%というもの。言ってみれば、利用者負担というような形での充当というものをまず一番目に考えるという考え方でございます。

(3)上記によりすべての損失を補てんできない場合には、機構解散時における当初拠出金の残額を充当する。これが2番目でございます。さらに不足がある場合には、政府が全額を補てんするという埋め方の順番を考えてはどうかという発想でございます。

(4)、(5)は、今度は益が出た場合でございまして、これは(2)、(3)のちょうど対称形になっているわけでございまして、解散時に収益が生じているときは、原則として、まず当初拠出金の残額、劣後拠出金、これには手がつかない形になりますので、それはまずお返しをする、返還するということでございますが、その次には、ロスが生じた場合に、最初にリスクをかぶるという、実際に機構に売った銀行が配当をもらう権利があるだろうということ。

(5)は、それでさらに剰余がある場合には、今度は2番目にリスクを負担しておりました当初拠出金、もちろんこれは運営経費に使ったものは戻りませんから、それを控除した額の範囲内ということになりますが、ロスの2番目のバッファーであったところの当初拠出金の配当が2番目に来る。さらに剰余がある場合には、国庫に全額を納付する。リスクの背負い方の順番に益の取る順番が来るという対称形でイメージしてございます。

4.その他でございますが、上記のスキームをもとに、今後、関係各方面のご意見を踏まえ、取得機構についての政府案を決定する。

それから、税制上の措置につきましては、上記の政府案を決定する過程で引き続き検討することとする。

3番目に、今後、所要の法律案を国会に提出し、法律案成立後に所要の準備を経た上で機構を設立するということでございます。

あらましは以上のようなことでございますが、考え方といたしましては、機構の位置づけとしては、市場というものがありますので、市場の補完的なものという位置づけで考えるというのが一つの定義としてございます。それから、国のかかわり方も補完的ということで考えていくということでどうだという哲学でございます。

なお、細部につきましては、今後詰めていかなければならないことがありますけれども、こんな感じで現在のところ考え方を整理しているところでございます。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

どうぞ、この件に関しましてご質問ございます方。

○ 蝋山分科会長

今お聞きして、買うのはよくわかったんですが、売るわけですね。

○ 迫田信用機構室長

はい。

○ 蝋山分科会長

幾らで売るんですか。そういう点について、上場ETFとか、あるいは投資信託の組み入れとか、そういうときに機構が委託会社へ、そういうところとマーケットを通す形で、証券会社を通す形で取引をするんですか、あるいは取引を通す形で取引をするんですか、それとも相対で。

○ 迫田信用機構室長

相対ということになります、ETFの場合は。

○ 蝋山分科会長

ETFの場合、投資信託委託会社に相対で売るんですか。

○ 迫田信用機構室長

はい。

○ 蝋山分科会長

すごいですね。その辺が買取の価格、本当は時価でするとはっきりしているんですが、機構が保有し、信託銀行に信託している株式をどういう形で売却するのかという点が必ずしも明快に書かれていない。普通でしたら、機構も市場を通して売るんではないですか。

○ 迫田信用機構室長

長期保有の場合、二通りの買い方、売り方という話をさせていただきましたけれども……

○ 蝋山分科会長

いや、売る方を聞いているわけです。

○ 迫田信用機構室長

それで、(5)は、いわば出口がわからない形での買い方でございます。つまり……

○ 蝋山分科会長

ですから、(5)はいいです。(4)は。

○ 迫田信用機構室長

ですから、(5)は、まず市中売却ということを考えているわけでございます。

(4)の方は、証券会社からオファーがここにあって、機構が銀行にまた要望等を流して、それで、各銀行から機構に来て、機構が証券会社に流していくという流れでございます。

○ 蝋山分科会長

私にはよく理解できませんが。

高い価格で買おうとする委託会社、投資信託は上場投信の委託会社ですね。委託会社が高い価格で買おうとはしないでしょう。安い価格で買いたいということを機構に申し出るんですね。そして、それを……

○ 迫田信用機構室長

機構が。

○ 蝋山分科会長

安いんですよ。

○ 迫田信用機構室長

はい。

○ 蝋山分科会長

そうすると、機構はどういうふうなルールで決定するんですか。

○ 迫田信用機構室長

その申し出た価格が、銀行サイドは機構にいるわけでございますから、その価格……

○ 蝋山分科会長

いえ、ちょっと待ってください。銀行サイドはもう既に買い取っているんではないですか、機構が。機構はトンネルですか。所有権は依然として銀行等に残っているわけですか。

○ 迫田信用機構室長

いえ、機構は買います。

○ 蝋山分科会長

買いますね。そうすると、機構がみずからリッシュできるわけでしょう。

○ 迫田信用機構室長

はい、そうです。

○ 蝋山分科会長

そうすると、委託会社から上場投信を組み入れたいので、これだけの株をワンセットで欲しいという注文が来るわけですね。それは、市場でその価格を、その商品を仕込むよりは安いから注文が来るわけですね。あるいは少なくとも同等か、何か魅力がなければそういう注文は来ませんね。

○ 迫田信用機構室長

一つあるのは、要するに、市場で市中から証券会社が買い集めるということはもちろんあり得ると思いますけれども、機構にオファーを出すことで、そこがいわばアレンジャーみたいな形で、会員の銀行に一遍にばっと声をかけられるというふうなことがあると思うんです。そうすると、参加銀行からすれば、それで条件にかなうものであればそこに出すというふうなことは、証券会社サイドからもメリットがあり得るし、銀行サイドから……

○ 蝋山分科会長

証券会社?何で証券会社が入るんですか。上場投信は証券投信委託会社がつくるんじゃないんですか。

○ 迫田信用機構室長

はい。

○ 蝋山分科会長

その辺をしっかりしてください。証券会社と委託会社は全然違うんですから。そうでしょう。

○ 迫田信用機構室長

はい。

○ 蝋山分科会長

そうすると、安い価格で、あるいはマーケットインパクトが少ないとか、そういうメリットはあるかもしれません。しかし、今、マーケットは相当流動性が高いものとして考えると、値段だけが基本だとすれば、安いから仕込むんですね、機構にお願いするわけですね。そこから機構が利益が上がるんですか。損するしかないんじゃないですか。

○ 迫田信用機構室長

利益を上げることは……

○ 蝋山分科会長

機構のどこかで損が発生しなければ、そういう仲介はあり得ないんではないですか、それが基本ではないんですか。僕はどこでプラスがあるのか、どうもよくわからないんですが。

○ 迫田信用機構室長

機構はプラスが発生するところまでは考えてないんです。もうける必要はないんだと思っておりますけれども。

○ 蝋山分科会長

そうですか。もうちょっとよく詳しい……、ともかくもっと説明のときに、機構が取得したものを売るときにどういう売り方をするのか。買うということばかり丁寧に説明されていますけれども、売るという場合の説明がない。しかし、一番難しいのは、買うだけではなくて売ることなんですね。それを平等に説明をしていただかないと、私は筋が悪いなと思います。

済みません、言葉が悪過ぎました。

○ 迫田信用機構室長

もう一回よく検討いたします。

○ 田中委員

売却のお話がございましたけれども、信託会社に対して処分信託という形でゆだねるというのが筋だと思います。ですから、フィディシャル・デューティーというものを信託会社は受けるわけですから、委託者のために最もいい時期に売るというのが筋ではないか。処分は処分信託にゆだねるというのが筋だと思います。

○ 貝塚会長

投信の会社が最終的に処分する形の投信をつくって、結果的に売るということですよね。そういう理解で……。処分投信とあわせて。

○ 田中委員

信託会社との間にこの機構が買いますでしょう。買って、それで信託会社との間に信託契約を結ぶ、それが処分信託という形の信託契約を結ぶという。

○ 有吉企画課長

今の信託処分というのは、恐らく2番目の、いわば出口が見えずに買ってしまったときに、では、それをどういう場合に処分しましょうということで、一つのオプションとして蝋山分科会長のおっしゃったような形のというのはあり得ると思います。そこはどういう売り方をするかということでございます。

それで、全社のETFのことについて言いますと、もともと設定するときに株を集めて、株式を現物出資という形で設定するわけでございますね。要は、最初のときにそこに事情調査みたいなところで証券会社みたいなものが入って、このくらいのものが売れるだろう。それでこのくらいの規模のものをつくりたいと。それについては株式を集めたいというので、ここは一時的に証券会社が間に入るような形になります。そのときに、実は、もう何千億設定したいので、これこれこれだけの株式が要ります。これは、いわばマーケット連動の形で、例えばETFというか、インデックスから若干の売るためのディスカウントを1%か2%かわかりませんけれどもやって、そこからスタートして、要は、銀行とか持っている人に対して、これくらいの条件で売ってくれませんかというふうに機構を通じて問いかける。全部そのディールがセットされたら、一挙に流すということですので、いわば買いから売りまでがすべてワンセットで基本的には構想されていると。こんな形で基本的には考えられているということでありますので、説明になっているかあれですが。

○ 蝋山分科会長

今の有吉さんのご説明を伺うと、基本的に、ETFなり大規模な投資信託を念頭に置くと、それを仕込む玉がマーケットから調達した場合には、非常にマーケットに対するインパクトが大きい。しかし、ごそっと持っているこういう機構のような存在があれば、そのマーケットインパクトは少なくて済む、そういうところにメリットがあるんだということに尽きるんじゃないかと思いますけどね。それならそれで一つの考え方だとは思いますが、その場合には、やはり機構がどういう株式を買い取るか、機構自体の信託をするわけですけれども、フォートするのがどうであるかというのが非常に重要になってくるわけでして、その辺のところは十分お考えいただかないと、結局はETFなり機構力に踏み込んだ投資信託を買うのは一般投資家であるわけですから、おかしな消費になれば、一般投資家が損をするということで、ツケは一般投資家に回ってしまう、その辺のところを十分ご注意いただきたいと思うわけです。

○ 有吉企画局長

おっしゃるように、この辺はうまく仕組めなければいけないわけですし、ETFにするメリットというのは、トピックスなりいろいろな形のインデックスで極めて価格が明快になっているということが一つと、それから、組成する段階でも、こういった形でパッケージ化した一つの商品として、投資家にとってもインデックスの形は魅力がある、いい商品だと思っておりますし、逆に、売る側から見れば、個々にばらばらと売っていけば、そのマーケットインパクトがありますし、その企業のそれに対する株式の価値に対する売り手が高い値がついていると思っているから売るというところとはちょっと別なところでこれが出るところがありますので、そういう売ることに伴うマーケットに対するシグナルというものがどうしても出てしまうわけですけれども、こういった集めることによれば、非常にそういった意図せざるシグナルというのを消すようなことができると。

さらには、この機構を通じるということで、1社が例えばこういうものを組成しようと思いますし、あちこちから買い集めなきゃいけない。むしろ非常に高い値段で買ってこなきゃいけない場合も、要するにこれは需給ですから、買おうと思ったら非常に高く買って、それをETFにとって組成しようと思うと結構難しい。逆に、そういった多くの銀行から、ある程度集めてやっていただければ、むしろその辺うまく、コストも安くなるし、非常に需給みたいな面で両面でマッチできるような形でできるんではないか。こんなことで、この辺あたりは、むしろ仕組みとしてもちろん細部にわたっていろいろなことを注意してやっていかなきゃいけないわけですけれども、仕組みとしてはなかなかいいんではないかなと、こんな気持ちでございます。

○ 福井部会長

ほかにご質問ございますか。

それでは、ほかにございませんでしたら、本件についてのご説明及び質疑応答は終了させていただきます。

〔柳澤大臣及び村田副大臣 着席〕

○ 福井部会長

第二部会長の福井でございます。

本日、柳澤金融担当大臣及び村田副大臣におかれましては、国会中でご多忙の中、当委員会にご出席賜りまして、まことにありがとうございます。

それでは、銀行の株式保有に関する報告、そして生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告を貝塚金融審議会会長から、大臣に報告書をお渡し願えればと思います。

〔貝塚会長より柳澤大臣に報告書を手交〕

○ 福井部会長

ここで、大臣からごあいさつを賜れればと思います。

よろしくお願い申し上げます。

○ 柳澤大臣

本年1月に発足をいたしました新しい金融審議会の初めてのご報告をちょうだいすることに当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

委員の皆様方には、ご多忙のところ、日ごろより金融審議会の活動にご尽力をいただいておりまして、また、本日は貴重な報告をいただき、まずもって心から厚く御礼を申し上げます。まことにありがとうございました。

さて、我が国の金融システムの現状でございますけれども、一時期、あの金融危機の真っただ中の状況と比較をいたしますと、かなりの程度安定を取り戻しつつあるかとも存じますが、景気が悪化しつつある中で、不良債権残高の高止まりや株価の状況が金融機関の経営にいろいろと影響を及ぼしておりまして、そのことをめぐって、さまざまな見方がとりざたされているという状況にあると存じます。

私といたしましては、平成14年4月からのペイオフ解禁も控えておりますので、より強固な金融システムの構築に向けまして、一層身を引き締めて取り組んでまいる必要があると考えております。

去る4月6日には、緊急経済対策が取りまとめられました。この中には、「金融再生と産業再生」という観点から、不良債権の抜本的なオフバランス化、これは小泉総理が最終処理という言葉に言い直されたのでございますが、このオフバランス化のための施策が盛り込まれておりまして、本日閣議決定をする予定の、いわゆる骨太の方針、基本方針というものでございますが、これにおきましてもRCCの活用などの面で、さらにオフバランス化のための施策の肉付けがされているところでございます。

金融庁といたしましては、本施策の迅速かつ着実な実施を推進してまいる所存でございます。

また、同対策に盛り込まれております銀行の株式保有制限につきましては、本日、貴重なご提言をちょうだいいたしました。金融審議会におかれましては、銀行のリスク管理の観点のみならず、企業の資金調達、個人の資産運用やコーポレート・ガバナンスといった非常に幅広い観点から精力的なご検討をいただきました。厚く御礼を申し上げる次第でございます。

私といたしましては、ご提言を踏まえまして、今後、所要の法令改正等の制度整備に全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。

また、本日は生命保険をめぐる総合的な検討に関しましてもご報告をちょうだいしました。生命保険会社の経営は、総体的にはなお黒字基調で推移しておりますけれども、いわゆる逆ざや等により、厳しい経営環境にあることは事実であると認識をいたしております。こうした状況に適切に対応していくためには、財務面・業務面等での総合的な取り組みが必要であると考えておりまして、本日いただいたご提言は、大変貴重なものであると考えております。

今後、本報告の内容をベースにいたしまして国民・保険契約者の方々による十分な議論が行われることが何よりも望まれるところであります。金融審議会におかれましても、これを踏まえ、さらに引き続き十分な検討をお願いいたしたいと考えております。

最後になりますが、貝塚会長、蝋山分科会長、福井部会長、ワーキンググループの岩原・山下両座長を初め委員の諸先生には、これまでのご尽力に深く感謝を申し上げますとともに、今後とも引き続きご指導、ご協力を賜りますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、私のお礼の言葉とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

○ 福井部会長

大臣、まことにありがとうございました。

大臣及び副大臣におかれましては、午後も国会の日程がぎっしりと承っています。どうぞ、ご退席くださって結構でございます。

○ 柳澤大臣

どうぞよろしくお願い申し上げます。

ありがとうございました。

〔柳澤大臣及び村田副大臣 退席〕

○ 福井部会長

それでは、2つの報告の取りまとめが終わりましたところで、事務局の方からごあいさつを賜れればと思います。

○ 乾総務企画局長

総務企画局長の乾でございます。

午前中から大臣、副大臣とともに銀行法の審議に出席をしておりまして、冒頭から出席をすることができませんで、大変申しわけございませんでした。

今、大臣からもお礼の言葉を申し上げましたけれども、金融審議会・金融分科会・第二部会の委員の皆様方におかれまして、日ごろから大変にご多用のところ、この審議会の活動にご尽力いただきまして、ありがとうございました。

この第二部会におかれまして、3月の発足以来、金融機能の向上に関する問題と保険会社をめぐる総合的な検討及び国際的な観点も踏まえた金融機関監督の課題につきまして、熱心に議論を積み重ねていただきました。私も第二部会、それからその下のワーキングは国会等の事情の許す限り、できる限り出席をさせていただきましたけれども、二部会及び両ワーキンググループの開催回数が延べ24回に及んだと承知しているわけでございます。そうしたご努力の成果が、本日取りまとめいただきました2つの報告書として結実したところでございます。

銀行の株式の保有に関する報告につきましては、第1回の会合でご説明申し上げましたような、4月6日の政府の緊急経済対策を踏まえて、直面する重要課題の一つとして、一定の経緯の上でご審議をお願いしたわけでございますけれども、皆様方に大変中身の濃い議論をいただきまして、経済対策では株式の上限というふうな形になっていたわけでございますけれども、ここでの議論の場は、やはり銀行監督あるいは銀行のリスク管理という観点からの、非常に内容の濃い専門的なご意見をいただきましたことを、私は非常にありがたく思っているわけでございます。

この問題につきまして、なおバーゼルの推移を見守る必要がありますけれども、ここでいただきましたご意見を踏まえまして、バーゼルの場におきましても必要な対応をすると同時に、国内的な対策も考えてまいりたいと思っているわけでございます。

また、生命保険の問題につきましては、生命保険の基本問題につきまして全般的なご報告をちょうだいしたわけでございます。とりわけ非常に国民の皆様から関心の深かった予定利率の問題につきまして、非常に掘り下げた議論を行っていただいたわけでございます。いただきましたご報告にありますように、今後広く国民の皆様からの意見を聞くという形になりますけれども、私ども事務局といたしましても、そうしたものを8月末に取りまとめて、また秋以降、この問題につきまして引き続きご審議をいただきたいと思っているわけでございます。

3月の第二部会の発足以降、今日まで、この事務年度でございますけれども、委員の皆様から賜りました多大のご強力に対しまして心から感謝を申し上げまして、本日2つの貴重な報告をいただきましたことに対しまして御礼のあいさつとさせていただきます。

どうもありがとうございました。

○ 福井部会長

ごあいさつ、まことにありがとうございました。

最後に、部会長として一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

本日、2つの報告を取りまとめることができたわけでございますけれども、このうち、保険会社をめぐる総合的な検討につきましては、生命保険会社の財務基盤の充実、契約者からの信頼性の向上、あるいは多様な保険商品の開発の促進、監督手法の整備と、そういったいろいろな問題につきまして、非常に幅広いご検討をワーキンググループも含めまして、毎週のように熱心にご討議いただいたわけでございます。

この保険の問題につきましては、契約条件の変更という国民あるいは保険契約者の方々の非常にご関心の高い内容が含まれております。今後、パブリック・コメントのような形で、より広く一般からご意見をお伺いします。これを踏まえまして、この部会として、さらに充実した審議を行いたい。そして、最終的な結論を得たいというふうに考えております。

また、金融機能の向上に関する諸問題につきましては、銀行の株式保有制限のあり方についてと、その点に絞って議論をさせていただきました。銀行のリスク管理面での健全性、企業の資金調達における銀行の仲介機能、コーポレートガバナンス、BIS規制等の国際的な制度との整合性、そうした観点から、これまたワーキンググループを含め、数多くの会合を開いて、極めて精力的にご審議をちょうだいしたわけでございます。こうした委員各位のご尽力が結実した2つの報告、ただいま大臣に貝塚会長からお渡しいただいたわけでございますが、金融システムの安定化あるいは保険会社の健全化のために極めて重要な役割を果たすものではないかと考えておるものでございます。

この第二部会は、3月に第1回目の会議を開きまして以来、わずか3カ月ぐらいということでございましょうか、非常に短い期間でございました。このように充実した審議活動を行うことができましたことは、貝塚会長、蝋山分科会長の数多くのご示唆のたまものでございますし、また、各ワーキンググループの座長さんを初めといたしまして、委員の皆様方がご多用中にもかかわりませず、審議会の活動に熱心にご参加いただきましてご尽力をいただいたたまものにほかなりません。この場をおかりいたしまして、部会長として改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。

まことにありがとうございました。

それでは、いろいろございましたけれども、本日の審議はこれをもって終了させていただきたいと思います。

最後になりましたが、今後の予定等につきまして、事務局の方からご連絡を賜りたいと思います。

○ 樋口信用課長

今後の第二部会の日程等につきましては、福井部会長ともご相談の上、改めてご連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

以上です。

○ 福井部会長

それでは、これをもちまして散会いたします。

まことにありがとうございました。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る