金融審議会金融分科会第二部会会合(第9回)議事録

平成14年1月25日
金融庁総務企画局

午後3時03分開会

○ 福井部会長

大変お待たせをいたしました。ただいまから金融審議会金融分科会第二部会の第9回目の会議を開催させていただきます。

久方ぶりの会合でございますが、多数お集まりいただき、まことにありがとうございます。きょうは村田副大臣のご出席を賜っておりますので、最初にご紹介をさせていただきます。

それでは、早速議事に移ります。本日は、大きく分けて3つのセッションを予定しておりまして、まず、生命保険に関しまして昨年報告書を出したわけですが、そのフォローアップというふうなことが第1でございます。それから第2番目は、この部会の今後の検討課題についてご検討をいただくということでございます。そして最後は、この審議会の審議事項ではありませんが、最近の金融情勢への対応に関し事務局よりご説明をお願いしたいと考えております。

なお、きょうの審議は透明化の観点から公開とさせていただいております。

それでは早速、第1のセッション、生命保険をめぐる総合的な検討に係る議事に入りたいと思います。

この問題につきましては、今ふれましたとおりこの部会では昨年の6月に「生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告」、それに続き昨年9月に「生命保険をめぐる諸問題への対応-今後の進め方-」というものをとりまとめました。そして、まず取り組むべき事項として、各生命保険会社がそれぞれに最適の経営戦略を選択し経営刷新の道筋を示す、また、そのための制度的な整備として私どもの中間報告に盛り込まれた具体的な事項について行政当局が検討を進め適切な対応を図る、そういったことを求めたわけでございます。

これを受け、金融庁が行政上の対応について検討を進められた事柄につき、きょうは事務局よりご報告をお願いするということでございます。それに続き松浦専門委員より、生命保険会社の経営刷新努力等につきご説明、ご報告を賜りたいと思っております。

それでは、まず事務局説明をよろしくお願いいたします。

○ 仲保険企画室長

保険企画室長の仲でございます。私の方からは9月の部会で行政当局の対応が求められました事項についてご報告をさせていただきます。お手元の資料の第二部会9-1と右肩に書いてある資料でご説明させていただきます。

今回のご報告をさせていただく事項は中間報告を受けてどういった施策が可能であるかということを私どもの方で検討させていただいて、とりまとめさせていただいたものでございます。迅速に対応できるようにしたいという観点から府令改正等により対応できるものについて措置をしたいと考えております。

今後は、きょうご報告させていただいたあと、すみやかにパブリックコメントを経て内閣府令の改正をするとともに事務ガイドラインの整備をしたいというふうに考えております。

それでは中身の方に移らせていただきます。

最初は財務基盤の充実の関係で1から3まで3項目ございます。まず、第1は「社員配当ルール(いわゆる80%ルール)の弾力化」でございますが、現在の厳しい経営環境に対応した内部留保の適切な確保を促す観点から、現在定款で定める配当割合の下限は80%となっておりますが、これを20%に引き下げたいと考えております。あわせて、「資本政策と配当割合についての考え方」を、毎年の総代会で説明するとともにディスクロージャー誌に記載するよう求めたい。

それから第2点の「基金の調達手続の弾力化」でございますが、現在の実務では総代会決議と引受・払込がほぼ連続して行われ、1~2カ月内にすべての手続が完了しております。ただ、より弾力的な調達が現行法のもとでも可能であるということを明確化したいと考えておりまして、具体的には基金調達の時期を総代会決議において定めた時期、これは複数の時期と定めることも可能と考えておりますが、そういったことが可能であることを明確化したいと。あわせて基金募集条件等に関する総代会の説明など、社員の権利保護の観点からの留意点や基金調達は原則として総代会後、次回決算期末までの間に行えることを定めたいと考えております。

3点目は「責任準備金の充実」に絡みまして、将来収支分析の実効性の確保を図りたいということで考えた措置でございます。こういう観点から行政当局が保険計理人や経営者から将来収支分析に関する保険計理人の意見書の内容について説明・意見を求め、その適切性を確認する場合の着眼点というのを明確化したいと思います。

具体的には任意シナリオを使って将来収支分析を行った場合の、その任意シナリオの合理性がどうであるか。あるいは責任準備金の不足が生じた場合に、経営政策の変更により対応する場合がございますが、こういった場合の政策変更が合理的であるかどうか。こういった点を着眼点にしたいと考えております。また、将来収支分析に基づく追加責任準備金を積み立てる場合の手続ですが、実務手続について現在必ずしも明確化されておりませんので、この点の明確化を日本アクチュアリー会において現在対応を検討していただいているところでございます。

それから2つ目の柱は保険契約者からの信頼の向上でございまして、この関係では4ページ目最後の7番までがこの関係になってまいります。まず、「ディスクロージャーの充実」という観点では、第1点目として責任準備金の内訳の開示を充実させたいと考えております。「逆ざや」等の経営環境も踏まえまして負債面のディスクロージャーを一層拡充する必要があるということから、責任準備金の詳細の開示を義務づけたいと思います。

具体的には生命保険会社の個人保険および個人年金の責任準備金につきまして、契約時期別にその金額と予定利率のレンジの開示を義務づける。今のは生命保険会社関係でございますが、損害保険会社につきましては、その商品特性に沿った責任準備金の内訳の開示ということで普通責任準備金や異常危険準備金などの開示を義務づけたいと思います。

それからソルベンシーマージンの内訳を第2点目に掲げさせていただいております。ご承知のとおり現在、ソルベンシーマージンは分子と分母とその比率の開示にとどまっておりますが、ソルベンシーマージン比率の水準のみならず、その内容および質が重視されてきていることに鑑みまして、分子・分母の内訳の開示を求めたいと思います。具体的には次のページの注1に分子の内訳、注2に分母の内訳を掲げさせていただいております。

3つ目のポイントとしましては、逆ざやの算出方法の統一化というのを掲げております。

生命保険会社が自主的に開示を行ってきました逆ざや額につきまして、その開示のルール、算出方法を生命保険業界において統一化を図っていただく。具体的には基礎利益上の運用収支に関する利回りである基礎利回りと、それから予定利率の差に責任準備金の額を乗じたも

のを逆ざや額とするよう統一化を図っていただきたいと考えております。

それから4点目は一般の保険契約者向けでございますが、代表的な経営指標等のわかりやすい開示ということで、ディスクロージャー誌の冒頭で代表的な経営指標等をわかりやすく解説するよう各業界におきまして、その対象となる経営指標の統一化を図っていただきたいと。具体的には(注)にありますように生保、損保それぞれにつきまして代表的な経営指標をディスクロージャー誌の冒頭で掲げるものを定めていただくというのを考えております。

続きまして3ページ目でございますが、「総代会制度の改善」ということで次に掲げる事項を措置したいと考えています。

まず、総代数でございますが、総代数の見直しを促す観点から総代数およびその数を適正とする考え方につきまして、ディスクロージャー誌に記載するとともに、毎年の総代会において説明すること等を求める。ということで、パブリックプレッシャーの中で見直しの機運を盛り上げていくという考え方にしてございます。

2番目の総代の選考方法でございますが、これも見直しを促す観点から総代になることを希望する社員が総代候補者に選出され得る方策の有無を含めた総代の選考方法に関する考え方について、ディスクロージャー誌に記載するとともに毎年の総代会において説明するということで、これも同じような考え方でパブリックプレッシャーのもと、見直しを進めることを促していくということでございます。

それから3つ目ですが、総代の構成につきましても見直しを促す観点から、保険種類別、職業別、年齢別、地域別それぞれの総代の構成と社員の構成とをディスクロージャー誌に記載することを求めるということでございます。

4つ目は総代会への報告・説明事項の追加でございまして、総代会の内容を実質的に充実させるために説明事項というのを追加したいと考えております。(注)のところに掲げてございますように、基礎利益やソルベンシーマージン比率の推移、それから契約高の推移や逆ざやの状況といったものを総代会で説明していただきたい。なお、この点は株主総会についても同じ話であろうということで、株式会社形態の保険会社にも同じような措置をお願いしたいと思っております。

5点目は総代会の議事録でございますが、議事録に各議決事項に対する主な賛成意見および反対意見を記載することを求める。あわせてインターネット・ホームページの活用等によりまして、その開示を求める。

それから6つ目でございますが、総代会の傍聴制度について傍聴を希望する社員にその機会を付与すること。それから傍聴者に対しまして総代会の直前あるいは直後に会社への意見・質問の機会を付与するよう求めるというのが総代会の傍聴関係でございます。

7点目は契約者懇談会との連携でございまして、現在は総代会のあとに開催されている契約者懇談会につきまして、その開催時期を総代会の前とし、契約者懇談会での契約者のいろんな意見を総代会に報告することを求める。また、契約者懇談会への参加を希望する契約者に対してその機会を付与し、あわせて開催の周知を求めたいと。

以上が総代会制度の改善関係でございます。

最後のページ4ページ目になりますが、6に掲げてありますのは「保険募集時における社員の権利義務に関する説明義務」でございます。各保険会社が保険募集人に対しまして、保険を募集する際に保険契約者に対して社員としての権利義務に関する説明をするよう義務づけることを求めたいというのが6番でございます。

7つ目は「保険計理人の機能強化」の関係でございますが、まず、会計監査人との連携ということで日本アクチュアリー会において対応を今図っている事項でございますが、保険計理人の実務基準の見直しにあたりまして日本公認会計士協会との連携を図ることや個々の保険会社の保険計理人が将来収支分析で用いた前提について会計監査人が検証をすることなどについて、実務基準におけるルールの明確化を図るということで、現在アクチュアリー会においてご検討をいただいております。

次はアクチュアリー会の自律機能の適切な発揮ということで、今申し上げました実務基準の見直しにつきましてルールの明確化を図るということで、例えば保険計理人の意見書の作成に関する調査を行いまして、不都合があるかどうか実務基準の検証を行うといったような形で実務基準の見直しのルールの明確化を図る。これを現在アクチュアリー会においてご検討いただいております。

3つ目の大きな柱は最後の8、9になりますが、多様な保険商品の開発ということで、まず8番は「保険商品の審査期間の短縮」関係でございます。現在、認可・届出につきまして標準処理期間・審査期間が90日ということになっておりますが、これを定型化された簡易な商品については60日に短縮する。

それから9番目でございますが、「企業向け商品の届出制への移行」ということで、いまだ認可制になっております保険商品につきまして、保険契約者保護等の観点から問題がないもの、確定拠出年金保険や火災保険などについて届出制に移行させるといった内容でございます。

以上、9項目を9月の部会で行政当局の対応を求められた事例についてご報告をさせていただきました。

私の方からは以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。それでは恐縮ですが、続きまして松浦専門委員からお願いいたします。

○ 松浦専門委員

本日は「生命保険会社における経営努力について」というテーマでプレゼンテーションをさせていただきたいというふうに思っています。

昨年6月に取りまとめられました中間報告では冒頭で「個人の自助努力による生活保障が一層求められていく中、多様なライフステージに応じた生涯保障商品の提供等、生命保険業に期待される役割は引き続き大きい」というご指摘をいただいてございます。まさに同感でございまして、生命保険業界に身をおくものとして責任の重さに身が引き締まる思いでございます。

一方で歴史的超低金利、長期化する景気後退、株式市場の低迷等、経営環境が大変厳しいなか、各社とも懸命に経営努力に取り組んでいるものというふうに認識してございますが、こうしたなか、当社においては逆ざやの状況を抱えた経営環境にどのように対応していくかという幅広い視点から問題をとらえて、社会の信任と顧客の信頼を強めるためにどのように経営努力や創意工夫を生かした事業展開を図っていくかが重要であるというふうに考えてございます。

本日は生保業界から専門委員としてプレゼンテーションを行う機会をいただきましたが、他社が鋭意取り組まれている事業については詳細に知り得る立場ではございませんことから、以下においては明治生命において社会の信任と顧客の信頼性向上に向け取り組んでいる事例を説明させていただきたいというふうに思ってございます。

資料は第二部会9-2という縦長のレジメがございます。

最初に「財務基盤の充実」でございますけれども、昨今の厳しい経営環境の下を長期に渡り安定的な保障を継続して提供していくため、財務基盤の充実が生命保険会社各社の重要な課題であるというふうに考えております。

当社におきましては、これまでに財務基盤の充実のために責任準備金の適切な積立、フロー収益からの内部留保の充実、基金の増額等の対応をとってきてございます。当社の財務基盤充実に向けての基本的な考え方は、基礎利益を重要視いたしましてこれにより自己資本の充実を図り、事業経営上の諸リスクへの対応と事業の円滑な遂行を図るための経営基盤として位置づけてございます。

自己資本につきましては、具体的な指標によりまして目標管理を行っているところでございます。基金償却積立金を含む基金の額でございますけれども、具体的に当社の状況で申せば平成8年度以降、3度に渡り基金の募集を行いまして10億円から 1,600億円に増額しているということでございます。今後とも相互会社各社が自己資本のコアである基金の増額を活発に行っていくことが期待されることから、今回事務局よりご説明がありました解釈の弾力化には感謝申し上げるとともに、さらなる自己資本充実を支援する制度についてもお願いしたいというふうに思ってございます。

「経営効率化の推進」でございますが、当社では従来より事業費の改善、とりわけ固定的経費圧縮の観点から職員数の縮減および営業拠点の統廃合、大型化を図りまして効率化を推進してきているという状況でございます。具体的な数字をちょっと申し上げますと、平成12年度の実績でみまして、事業費は平成5年度がピークでございましたが、そのときとの対比で22%の減。それから内勤の職員数、これは平成4年度がピークでございましたが、これとの対比で27%減。拠点数、これは平成5年がピークでございましたが、これとの対比で25%減となっておりまして、着実に成果を上げつつあることがご理解いただけるかなというふうに思ってございます。

本年度からは中期経営計画において事業費効率化3カ年計画を重点実施事項として打ち出しまして、従来にない発想を転換しました一段と厳しい取り組みを開始してございます。計画では具体的な効率化目標金額を設定いたしまして、事業費を6つのカテゴリーに分類しまして、総額を押さえるという管理手法を導入いたしております。また、最近では事業費のコストダウンのために団体年金の契約管理や代理店向けのシステムインフラの共同化等々、投資規模が大きい事業分野での業界内提携ということについても積極的に行ってございます。

次に「ディスクロージャー・ガバナンスの充実」でございますけれども、契約者から信頼されて社会から信任されるためにはディスクロージャーの充実が重要であるというふうに考えてございますが、これについては基本的に各社が自主的に取り組む事項でございますが、当社においても経営活動に関する情報開示のためのディスクロージャー資料の充実やインターネットの活用など鋭意取り組んでまいってございます。また、業界といたしましても共通で取り組めるところについては努力しておりまして、例えば平成9年度決算よりソルベンシーマージン比率を。さらに平成12年度決算からは基礎利益を生保協会の統一ディスクロージャー項目として導入して公表してきてございます。

また、当社は相互会社組織であり社員である契約者の声を経営に一層反映できるように、総代会機能のさらなる充実、ガバナンスに関わる情報提供の拡充等に向けて創意工夫により多くの取り組みを重ねてきてございます。

次に「高品質な商品・サービスの提供」でございますけれども、顧客ニーズの多様化や変化に対応するため、また競争が激化するなか、他社との差別化を図るために生保各社の創意工夫に基づく新たな商品、サービスの開発は近年ますます活発化しておりまして、当社におきましてもクオリティーの高い商品・サービスの提供に従来から注力してきてまいっております。

その1例としまして当社では予定利率を定期的に見直す仕組みのアカウント型商品というものを昨年度開発いたしまして、これによって新規契約の予定利率リスクの管理というものが進んできているということでございます。

今後保険契約者保護等の観点を第一義としつつ、審査期間の短縮等が図られるものと認識しておりまして、これを受けて多様な保険商品開発の取り組みを一層強化してまいりたいというふうに思っています。

以上、当社がこれまで取り組んできた経営努力についてご紹介いたしましたが、今後の経営刷新の取り組みといたしまして当社は昨日、安田生命と経営統合に向けた全面提携の実施について基本合意いたしております。この点について若干ふれさせていただきたいと思います。この提携は両社の特色、強みを持ち寄って質、量とも拡充する経営資源を効率的に再配置いたしまして、生命保険を中核とした新たな保険ビジネスモデルを構築しようというものでございます。これによりまして、先ほど申し上げた財務基盤の拡充、経営効率化推進、高品質な商品・サービスの提供といったものがより一層進展して成長力と収益力、財務健全性が高まることで社会の信任と顧客化からの信頼が向上するものというふうに確信してございます。

具体的に申し上げますと、1番目としてスケールメリットの実現に伴う収益力の強化によりまして、自己資本等の内部留保の充実が可能となりまして、格付けの向上と顧客に一層信頼される会社を目指せることでございます。

2番目といたしまして、人材・営業拠点・システム等の経営インフラの統合、効率化によりまして、システム開発整備への大規模投資など経営資源の効率的再配置が可能になることに加えて、内部育成がむずかしいとされております専門人材に厚みができるということで信頼をいただけるのではないだろうかというふうに思っております。

3番目でございますけれども、商品・サービスの共通化に向けた経営資源を集中することによりまして、商品開発力の飛躍的向上が図られ、顧客へのサービス提供力の一層の充実が図れると。これら大きな点で3つほど挙げさせていただきました。

以上、当社における取り組み事項でございますが、生保各社ともそれぞれの方法で懸命の企業努力をしているものと認識しておりまして、厳しい経営環境がなお継続するものと想定されるなか、今後制度面からのご支援が必要であるとも考えてございます。例えば中間報告に盛り込まれている事項といたしましては、特別勘定の資産保全については従来より顧客からの強い要望があるものでございます。これを含めまして契約者保護および生命保険会社の活性化、信頼性向上に資する制度整備を引き続きお願いしたいというふうに思っている次第でございます。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○ 福井部会長

ありがとうございました。それでは事務局の説明、それからただいまの松浦専門委員のご説明に対しましてご意見、ご質問など、どうぞご自由にご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○ 高橋委員

ご説明ありがとうございました。今回、金融庁さんの方からご報告のありました対応はいずれも昨年6月の報告に沿った見直しでございまして、特に異論はございません。そこで気になりますのはここに出されていない項目でございます。重要な事項が取り残されているように感じます。

例えばただいま松浦さんの方からお話がありました特別勘定について先取特権を付与する件に関して取り上げられておりません。これは総合規制改革会議において平成13年度中に措置すべきとされているものでございます。非常に時間のかかるものであるということは承知しておりますので、今どのあたりまで検討されているのかということを、ぜひ教えていただきたいと思います。

付け加えさせていただきますと、生命保険の新商品開発におきまして変額個人年金が急速に拡大しておりまして一般消費者の関心は高いです。しかし法律が改正した後からの商品しか対応できないということを前回ご説明をいただいておりまして、もし本当にそうなのであれば、かなりスピードアップしてやっていただきませんと、契約者保護の観点から問題が出てくるのではないかと思います。

以上でございます。

○ 福井部会長

具体的なご質問ですのでまずお答えをいただければと思います。

○ 仲保険企画室長

今、重要な事項ということで特別勘定に対する特別先取特権の付与ということをご指摘いただきまして。確かに総合規制改革会議の方からも13年度中に措置ということで13年度中に検討を開始せよということになっております。現在検討の状況でございますが、なかなかこの特別勘定について先取特権というのは法律的にはややむずかしいものを多分に含んでおりまして、現在すぐに具体的にこの件を要望されております生命保険業界の方と問題点を洗い出すという形で今議論を既に進めさせていただいております。

具体化するには法律改正が必要になってくるということでございますので、法律改正の機会があれば措置していきたいというふうに考えておりますが、いずれにしましても問題点を洗い出して、さらにそれを解決するにはどうしたらいいかというのをいろいろ検討してまいりたいと思っております。

○ 福井部会長

よろしゅうございますか。

○ 高橋委員

それにつきましては保険のワーキンググループを再開して検討する予定はあるのかどうか。時期的なことについても教えてください。

○ 仲保険企画室長

かなり技術的な側面がございまして、まず、いずれにしても問題点の洗い出し等検討していきたいと思っておりますが、必ずしもワーキングでさらに検討が必要かどうかということにつきましては、必ずしもそこまで必要ないのではないかというふうには考えておりますが、いずれにせよ検討を進めてまいりたいと思います。

○ 福井部会長

よろしいですか。

ほかにどうぞ。山下委員。

○ 山下委員

中間報告でいろいろご提案したことが、法律の改正をしないなかで府令の改正等によっておおむね実現するということで、なかなか制約があったなかで、非常に工夫をされまして今日のようなご報告をいただいたので、基本的には賛成したいと思います。

この中間報告を出す過程でも一番議論のございましたのは1ページの「責任準備金等の充実」の部分でございまして、これはなかには総代会において将来収支分析について計理人が報告をするようなことを義務づけてはどうかというふうな意見もございまして、その点はいろいろ賛否ございましたが、本日のご提案では、1ページの3の「実効性の確保」あるいは「総代会での説明」というふうなところへ盛り込まれていっているかと思いますが、具体的な実効性の確保というのは実務に委ねられている部分がまだかなりあるかと思いますので、この事務ガイドラインを実際につくられる際、あるいはそれを実施される際のチェックの厳格化あるいは総代会において説明を充実していただくことがきわめて重要かと思います。収支分析そのものを報告するというのは、これはいろいろ無理があると私も承知しておりますが、そこはしかしいろんな工夫をしてというふうなことで中間報告の段階ではご了承をいただいた経緯もあるかと思います。

当局、それから保険会社におかれましてもそこのところの努力をぜひともしていただきたいと思っております。

以上、意見だけでございます。

○ 福井部会長

事務局はコメントございますか。よろしいですか。

はい、どうぞ。

○ 岩原委員

今、山下委員おっしゃいましたように、この対応策に書かれていることはいずれもぜひ実行していただきたいというふうに願っておりますが、先ほど高橋委員がご指摘のように中間報告において提言したなかでいくつか、なおこの対応策の中に含まれていない問題がございまして、例えば基金の調達手段の弾力化でも株式会社の授権資本制度等にならったより一層の弾力化ですとか、標準責任準備金制度の対象範囲の拡大ですとかあるいは相互会社における少数社員権の充実ですとか、あるいはファイルアンドユースの制度の導入、そのほかには高橋委員ご指摘の特別勘定の制度等がやはり中間報告の中で指摘されていて、この段階の対応策には含まれていないところでありまして、その理由はおそらく先ほど山下委員ご指摘のように法改正等が必要で、いろいろ大変だということは十分承知しておりますが、やはりいずれも重要な問題であり、ぜひ実現していっていただきたいと思いますので、今後は法改正を含めたさらなるご努力をお願いしたい。

特に現在の通常国会で商法改正がされて、相互会社のガバナンスについてもそれに見合った改善が多分必要になってくると思いますから、そういうことも含めて考えますと、やはり保険業法等の法改正も視野に入れた作業が必要になると思いますので、ぜひ実現の方向にご努力いただきたいというふうに思っております。

以上です。

○ 福井部会長

高橋委員と今の岩原委員から出されましたけれども、中間報告に盛られた事項で今日事務局からご説明がなかった点の経過状況と、それからさらにその残っている項目でこの部会でさらに、あるいはワーキンググループでさらに検討を要する可能性があると思えるような点、もしございましたら一応ここで一通りサーベイしていただければと思います。

○ 仲保険企画室長

今回の措置で法改正を要する事項ということで盛り込んでおらない事項としまして、今、岩原委員や高橋委員の方からご指摘がありました事項なのですが、まず、「少数社員権の充実」というのがございます。それから保険計理人の機能強化というので監査役や会計監査人などを参考とした「保険計理人の権限強化」あるいは「責任付与」といった問題がございます。

それから3つ目に「ファイルアンドユースの導入」についての検討がございまして、4つ目に先ほどもありましたが「特別勘定の見直し」、それから5つ目に「中間業務報告書の導入」、それから「連結ベースのソルベンシーマージン基準の検討」と。こういった項目が法改正を要するという事項ということで、今回の措置の中には入っておりません。

先ほども言いましたように「特別勘定」ですとか「ファイルアンドユース」など法改正を要する事項については検討を進めていきたいと思っておりまして、まず、中間報告でも例えば「ファイルアンドユース」については先に販売が始まったあと、実際に問題が生ずるというのを発見した場合があったらどういう形でそれを改善させるのかといったような点が問題点として指摘されているところでございますが、そういった問題について現在こちらの方でいろいろ検討をさせていただいているところでございます。

○ 福井部会長

ほかにいかがでしょうか。

○ 高橋委員

質問でございます。9-1のペーパーの4枚目の最後で9番目「企業向け商品の届出制への移行」という項目の中に「確定拠出年金保険」というものが書かれています。確定拠出年金を企業向け商品ということで括っておられますけれども、被保険者は加入者である個人でございます。英国FSAのルール等でいいますと、だれが利用するかで規制をかけてます。その形でいうと売る先は企業ですけれども、それを利用するのは個人でございますので、これを届出制に移行することについて少し補足説明をいただきたいと思います。

それから確定拠出年金保険にもいろんな種類のものがございますが、すべて含むのかあるいは特定の商品を指すのか。それについてもお答えをお願いします。

○ 池田審査室長

保険審査室長の池田でございます。今のご質問でございますけれども、生命保険会社にあります確定拠出年金保険につきましては確かに被保険者は個人でございますけれども、保険の契約者は基本的には企業型の年金ですと資産管理機関、あるいは個人型年金ですと国民年金基金連合会ということになります。かつ、保険金の受取人も同じ資産管理機関等でございまして、確かに被保険者は個人なんですけれども基本的には資産運用の一種として使われているというのが実態ではないかということで、基本的に企業向けの色彩が強いということでこういう形で届出制に移行ということで考えさせていただいております。

それともう1点でございますけれども、確定拠出年金保険でもいろんな形態があるのではないかということでございますけれども、基本的に確定拠出年金法に基づいてつくられます保険につきましてはすべて届出制の対象ということで考えております。

○ 高橋委員

商品すべて対象ということなんですが、例えば拠出対象選択型確定年金保険とか今いろいろ出てきておりますけれども、投資信託の商品を選んでいくという形のものですと、例えば投資信託の中にデリバティブが組み込まれていたり非常にリスクの高いものがあるわけなんですが、これもすべて届出制で大丈夫だというふうに踏んでいらっしゃるのか。ご回答お願いいたします。

○ 池田審査室長

今のご質問なんですけれども、資産管理機関が生命保険会社と保険契約をするということが前提で、その商品としてそのようなものが入っているということでございましょうか。

○ 高橋委員

そうです。

○ 池田審査室長

そういうことでよろしいわけですか。そういうもの含めてすべて届出制の対象ということで考えてございます。

○ 福井部会長

ほかにございませんでしょうか。

○ 蝋山分科会長

ちょっと説明がよくわからないのですが、企業なら何でこういう届出制でよくて、そうでないものは認可制だということの論拠はどういうところにあるわけですか。

企業でも投資のプロがいる企業がいれば、極めてリスクラバーの企業も今まであったわけですし、金融のこういう点について素人の企業もあり、いろんなタイプがあると。企業か企業でないかということは、大して私はこういう届出制、認可制の基準として重要ではなくて「どれだけプロとして」という話ではないかと。それが基準ではないかと思うのですが、商品販売法その他のいろんな議論の中でも企業か企業でないかという議論は、少なくとも私が参加した議論ではしたことがないと思うのですが、その辺どういう論拠で企業向けを届出制にして、そうでないものは認可制だということになっているのでしょうか。

○ 福井部会長

逆に言えば何がプロかという……。

○ 蝋山分科会長

ええ、そこのところですね。

○ 福井部会長

お答えもらえますか。

○ 池田審査室長

届出制の対象とするということにつきましては、保険業法の中で保険契約者保護上問題のないものについては届出制に移行することができるというようなことが書いてございまして、具体的に保険契約者保護上問題のないというのがどういうものかということで、いろいろご議論はあるかと思うのですけれども、昨年6月にいただきましたこの中間報告の中でも「保険に関する専門的知識や交渉力を有する企業を顧客とする保険商品については、すみやかに届出制に移行させることが適当」、これはすなわち企業であれば専門的知識や交渉力を有するので比較的保険契約者保護上問題ないだろうという判断をされたということと考えておりまして、それに基づきまして企業向けを中心に、それ以外はすべて認可制に残すという趣旨ではございませんけれども、企業向けを中心に届出制に移行を進めているということでございます。

○ 蝋山分科会長

私も中間報告をちゃんと記憶してはいませんけれども、企業の形容詞が、今の読まれたところの形容詞が大事な訳でですね、企業というところはそんなに大事なところではないんじゃないかというふうに私は読みたいのですが、そう読んではいけないんでしょうか。

そして、例えばリコグナイズとかそういうコンセプトで考えていくとか、それならばまだわかるのですが、「企業」というふうに出るとあとで後悔しませんか。

○ 池田審査室長

確かにおっしゃるとおり企業と言いましても、大企業から零細企業まであることは確かだと思いますけれども、まったくの個人が生命保険を契約する場合に比べれば、相対的には事業活動を行っているものは専門的知識や交渉力を有するのではないかという考え方に立ちまして、こういう形で企業の方から届出制に移行しているということでございます。

○ 蝋山分科会長

これ以上やるとあれですが、だいぶ金融庁のご認識と私の認識とは差があるように思いました。

○ 福井部会長

ありがとうございました。非常にむずかしい問題で、さりとて認可の範囲が広ければいいというふうに言えないと思いますね。これが非常にむずかしいと思いますけれども。

ほかにございませんでしょうか。

それでは第1セッションは一応これで終了をさせていただきます。

本日の2つ目の議題でございますが、今後のこの部会における検討課題ということでございます。この第二部会は昨年3月に第1回の会合を開いて以来約1年間、今議論させていただきました「保険会社をめぐる総合的な検討」と、そのほかに「銀行の株式保有制限」、それから「国際的な観点も踏まえた金融機関監督」と、その3つのテーマについて審議を行ってまいりました。

昨年初めの金融審議会発足にあたりまして金融分科会での審議事項として、このほかにいくつかの項目が確認されたわけでございますが、今申し上げました3つの事項のほかに残された課題についても、これから順次審議を始めていきたいと思っております。そういうわけでございますので、まず残されました事項等につきまして全般的なご説明を事務局からお願いしたいと思います。

○ 大藤信用課長

信用課長の大藤でございます。それでは、私の方からご説明させていただきたいと思います。資料につきましてはお手元に9-3という資料と9-4という資料をお配りしておりますので、これをごらんいただきながら説明を聞いていただければと思います。

昨年の2月22日に第1回の金融分科会が開催されまして、その際、第二部会におきましてお手元の資料の9-3にございますけれども、4つの課題というようなものがその時点で検討課題と整理されたということでございます。

まず、第1点は「金融機能の向上に関する諸問題」として「銀行の株式保有制限および銀行社債の発行手続のあり方等について」ということでございます。それから第2が「国民のニーズに応えた金融インフラの整備」として「信託業法のあり方について」ということでございます。さらに第3点といたしまして「保険会社をめぐる総合的な検討」、それから第4点といたしまして「国際的な観点も踏まえた金融機関監督のあり方」ということでございます。

これらのうち昨年1年間精力的にご審議をいただきまして、まず「銀行株式保有制限」、これにつきましては昨年の6月26日に銀行の株式保有に関するご報告をいただいたところでございます。それから「保険会社をめぐる総合的な検討」につきましては同じく昨年6月26日に、「生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告」をとりまとめていただきまして、本日もそれを踏まえまして検討状況等を報告させていただいたところでございます。

それから「国際的な観点も踏まえた金融機関監督のあり方」等に関しましてもBIS等の動向を踏まえながら検討を進めていただいているところでございます。したがいまして、2月22日に検討課題として整理されたもののうち、銀行社債の発行手続のあり方および信託業法のあり方に関する点が手がつかない形で残されていることになるわけでございます。

そういうことで事務局といたしましては、本年はこれらの課題についても検討を開始していただければというふうに考えているところでございます。なお、この2つの課題につきましては資料9-4にもありますように、昨年3月にとりまとめられました規制改革推進3カ年計画におきましても、それぞれ平成13年度中に検討を開始するようにまとめられているところでございますので、この観点からも、ぜひご検討を開始いただければということでございます。

このうち、まず銀行社債に関しましては金融債を参考としつつ、発行手続のあり方等についてご検討をいただきたいと考えているところでございます。具体的にはこれからということでございますけれども、売出発行の問題でありますとかディスクロージャーのあり方といったようなことが検討課題になるのではないかと思っております。

また、信託業法のあり方に関しましては信託法でありますとか兼営法でありますとか、そういう法体系の中で信託業における行為規制をはじめとする信託取引の全般的なルールの整備等の問題につきまして検討していただきたいと考えているところでございます。この問題に関しましては、特に検討範囲が広範におよぶことからある程度時間をかけた検討が必要になるのではないかというふうに思っております。まずは論点整理をしたうえで議論を深めていただくということになるのではないかというふうに考えているところでございます。

なお、この2つの検討課題の審議に関しましてはそれぞれ専門的、技術的な観点から掘り下げた検討が必要になるのではないかと思っております。したがいまして、銀行社債の問題につきましては、既に設置されております金融機能の向上に関するワーキンググループにおきましてご検討いただくことが考えられるのではないかというふうに考えております。また、信託業法のあり方につきましては、新たにワーキンググループを設けていただいて検討開始していただければというふうに考えているところでございます。

事務局からのご説明は以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。今の2つのテーマは昨年の分科会の段階で一応大まかにはご確認いただいているテーマでございますし、いずれ早い機会に取り上げなければならないということも既にご承知おきいただいておりますが、ちょうどいくつかのテーマが一段落したところでございますので、できればこれに取り組みたいと私自身も思っております。

両方ともなかなかむずかしいテーマですが、特にこの信託の方は非常に幅広いテーマであります。しかし今後の日本の金融機能ということを考えますと、信託機能は非常に大事な点でございますので、我々の検討が中途半端にならないように、建設的な方向性が出るように積極的に取り組んで参りたいと思います。

今ご説明がございましたので、この新しいテーマへの取り組みについてひととおり皆さま方のご意見を頂戴したいと思います。勿論これに限らず、別に何かやれということがあれば、それも含めてご意見を出していただければと思います。

どうぞ、いかがでしょうか。

○ 杉崎委員

それでは今のお話の信託会社のあり方という点について、実務の担い手として口火を切らせていただきます。

今、お話のあった全般的なルール整備をするには、ここへきて社会環境の変化から信託機能そのものへの期待というのが大変多様化してきておりますので、まずその前提に立って今おっしゃられた行為規制等々について、あり方を検討していただくということから入るのがよいというふうに感じております。

新たなワーキングを設けて論点整理から入ってとおっしゃられましたので、ぜひその線でやっていただければありがたいと思っております。

1つだけ行為規制のあり方はこれからの議論でございますので、今の時点でどうこうということではございませんけれども、やはり信託法体系では信託法が民事信託を中心とした少し行為規制的な法令になっておるというふうに私どもは感じておりまして、それについては、神田先生ほか皆さまのご努力で一定の商事信託的な分野について、行為規制、受託者責任といった詳細な検討がなされておりまして、先ほど申し上げました経済取引の拡大といったところにマッチした検討がなされておるという具合に感じております。

したがいまして行為規制のあり方を論ずる場合に1つの視点は、規制緩和と経済実態の変化に合わせた信託機能へのニーズの変化といったところが1つは大きなテーマで、規制緩和からの視点が大変重要ではないかという具合にみております。

それからもう1つは、後退させるべきではないのではないかという分野がございまして、私見ではコンプライアンスであるとかリスク管理体制であろうかなと思っております。

何を申し上げたいかと言いますと、信託の歴史は大正時代に信託会社が乱立いたしまして、信託制度が信頼感を勝ち得なかった。こういう歴史でございますから信託会社の乱立といったような事態になるというのはまったく本旨に反するわけで、信託サービスの質を落とすような方向で後退させるべきではない部分があろうかと思っております。したがって、そちらについてのきちっとした整理を検討してもらいたいと思っております。

現在の信託銀行というのはその後者については銀行形態でありますから行為規制についても、それから監督体制におきましても十分過ぎるほどの規制をいただいておると思っておりますが、そういったものとの両にらみで信託会社のあり方というのをご検討いただくのがいいのではないかなというのが、個人的な意見でございます。

以上です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。どうぞ。

○ 岡部委員

この部会で中長期的な金融の課題について議論するのは非常にいいことだと思いますけれども、足元で当面の課題が今燃え盛っているという問題から目をそらすわけにはいかないのではないかと思います。

特に生保の問題で一応報告ベースあるいは今後の行政の対応ベースで片付いたということですけれども、ここが金融危機と連鎖する大きな火種になりかねないような状況に今現実問題としてなっているわけです。これにどう対応するか、どう危機管理の体制をつくっていくかということを、まともに議論する必要があるのではないかと。契約者保護機構に対する公的資金の手当をどうするのかということにも踏み込んでいく必要があるのではないかと思います。

もちろん、銀行と保険は違うし、それから保険と預金は違うわけで決済システムには直接関係ないわけです。ここに無制限に公的資金を投入して支えるというのは、これはやるべきことではないと思うのですけれども、現実はこれが銀行危機と生保危機が連鎖するような状況になりつつあるという、この現実から目をそらさないということを考えると、何らかの危機管理体制というものを、その備えをしておく必要があるのではないかというふうに思います。

○ 福井部会長

ほかにいかがでしょうか。

○ 高橋委員

先ほどいくつかのテーマが一段落した中で新しい取り組みを、というご説明がございましたけれども、私はやはり以前からのテーマが一段落していないときに、今、岡部委員がおっしゃったことと同じく、保険に関して一段落していないという認識を持っております。

前回、中間報告以外にも早急に検討が必要な事項として部会長の方にもノートしていただいたことではございますが、保護機構の財源問題と保護機構の制度そのものの見直しということがございます。特に財源問題につきましては以前にこの会議の席上で財務省の出席者の方から「2002年の通常国会に法案を提出していただかないと措置できませんよ」というふうなご意見が出されております。で、もう期限なのにそれができていないわけなのですけれども、その点に関してご説明いただきたいと思います。

今のセーフティネットで大丈夫かといいますと、セーフティネットに穴が空きそうな状態ということでございますし、政府保証の部分についても、一般の認識として見せ金的なものであるというような認識が消費者の中に広がりつつありまして、きちんとしたセーフティネットの整備をしないと生保不信が高まる事態になるのではないかと思っております。

以上です。

○ 福井部会長

保護機構のことはどうでございますか。

○ 仲保険企画室長

2002年の通常国会でなければ間に合わないというお話でございますが、現在の公的な資金ということで補助金を 4,000億円を限度として使うことも可能な枠組みがございます。これは15年3月までに破綻した生命保険会社についての措置でございまして、そういう意味で申しますと、この通常国会に出していないと措置が間に合わないというわけではございません。

○ 高橋委員

制度そのものの見直しについてはいかがですか。

○ 仲保険企画室長

今申し上げましたように、15年3月末までに破綻したものについて特例の措置ということで 4,000億円の補助金枠はございます。これについてはこの法律が通りました際に、施行後3年以内に必要な検討を行い、必要な場合には見直しの措置を講ずるというような附則がございます。その附則の中では、各生命保険会社がおかれていますいろんな環境とかそういったものを見ながら、そういう検討を行っていくということになっておりまして、私どもとしてはそういう各生命保険会社の健全性の状況などを注視していきたいというふうに考えています。

○ 高橋委員

あと、具体的にいつから検討するということはいかがなんでしょうか。

○ 仲保険企画室長

現時点ではいつからということは確たることを申し上げられませんが、先ほど言いましたように15年3月というのは一つの区切りではございますので、そういった区切りを勘案しながら検討に入るということになろうかと思います。

○ 大藤信用課長

私の説明がやや誤解を与えたかもわかりませんけれども、今回、取り組んでいただければという以外のテーマにつきまして、検討がもう一段落というか、もう終了してしまったという趣旨ではございません。生命保険の問題につきましては先ほどの説明にもありましたように、中間報告の中でまだ措置されていないものもありますし、私の申し上げたかった趣旨というのは、今回検討をお願いした以外の問題については、もう既に何らかの形で検討を始めていただいており、検討をもう完全に終了してしまったというようなことでは必ずしもございませんので、その点はご了解いただきたいと思います。

○ 高橋委員

この機構の問題、あるいは中間報告の積み残し課題につきまして、いつ、何をどうやっていくのかというのは、やはり構造改革でも工程表が出されている時代ですので、やはりその辺は明らかにしていただくことが国民の安心感につながることだというふうに思います。

それで今、そのほかにも総合規制改革会議の方で平成13年度の課題として保険で出されているものが、あと2つ、今ここで話題になっていないものがございます。1つは、特別勘定対象商品の拡大という問題、もう1つが銀行等による保険商品の販売規制のさらなる緩和ということです。

この中でも特に後者の銀行の保険商品に関しましては、平成13年度中に結論を得ると。こういうふうになっているわけですね。もう今1月の末なんですね。これをどこでどう検討されるのかがわからないということを私は大変不安に思います。と申しますのは、この銀行の保険販売に関しましては、以前参加しておりました保険審議会でもかなりもめた問題でございます。去年から販売したからもう慣れてきたからいいじゃないかということではなくて、どういう弊害防止措置を講ずるのかとか、どういう商品ならいいのかとか、この検討にはかなり私は時間を要するのではないかというふうに思っています。ワーキングを動かす予定がないというふうにうかがっているのですけれども、それを金融庁の方と事業者の方で詰めて、ただパブリックコメントに付して一般の声を聞いたよという形で通していただくことに関しては、かなり不信がございます。その点についてもお答えいただきたいと思います。

○ 仲保険企画室長

今、銀行窓口での保険商品の販売についてご質問がありましたが、平成12年12月に、今の金融審議会になる前の体制で第一部会においてご議論いただきまして、13年4月以降の窓口販売というのが可能になります。

その際にその対象となる、窓販の対象となる商品の拡大とそれから信用生命保険につきましては、その販売できる信用生命保険は、その銀行の子会社、それから兄弟会社の商品に限るという、いわゆる子会社・兄弟会社限定といわれておりますが、そういったものが付いていたわけなんですが、この対象商品の拡大と子会社・兄弟会社限定の見直しについて検討を平成14年3月末までに行って結論を出していただきたいということで、こちらに検討を委ねられておりまして、そういうことで現在検討を進めさせていただいております。残りの期間が短いということでご心配いただいているのですが、本年度中に結論を出すべく検討を進めてまいりたいと思っております。

○ 松浦委員

先ほどセーフティネットの件について高橋委員の方からございましたが、業界として 5,600億の拠出ということでやってございまして、それがもう 5,380億使っているということでございます。生保に対する信頼性維持のためセーフティネットの財源の確保というものが不可欠ではないだろうかなというふうに思ってございますので、平成15年4月以降のセーフティネットの問題について、当局による検討をぜひともお願いしたいということです。

○ 福井部会長

原委員どうぞ。

○ 原委員

遅れてきて申しわけありません。大体生保の話はもう終わったのかというふうに思っておりましたけれども、またいろいろ議論が出ておりますので。

先ほど私が入って来たときにちょうど蝋山先生が私が考えていることと金融庁の考えていることにずいぶん違いがあるというふうに……。

○ 蝋山分科会長

考えているんじゃなくて、認識が違う。

○ 原委員

認識が違うとあったんですけれども、似たような感想というのをちょっと持っているのです。きのう、生命保険について横浜でちょっと消費者を集めた集会があったのですが、大変皆さん関心が高くて、たった 100人足らずぐらいの会場だったのですが、途中で質問状を取りましたら32人の人から質問が出たんですね。非常に不安が強いということなんです。情報も不足をしているということで。1つは情報が見えないという点では、今回ディスクロージャーの充実とか総代会の傍聴とかいろんな形、仕組みがとられるということで方向性としてはそうだというふうに思うのですけれども。

今のセーフティネットの話なんですが、冒頭、金融庁の方としては現行セーフティネットで十分で、それで活用する方向でというようなあたりは、もうまったく消費者がかかえている不安と食い違っているというのでしょうか。認識が全然違っているというところですね。やはり早急にどういうふうにこの問題を考えていくのかということを明示して検討に入るという姿勢を出すべきだというふうに思いますね。平成15年3月というのはもう来年、ちょうど1年後ということなので、ぜひそれはお願いしたいというふうに思います。

それから中身では商品の認可制と届出制のところの話なんですけれども、徐々に全体にそういう方向にはなっているのですけれども、確定拠出年金保険や何かも届出制にそのままいっていいのかなというあたりなんかも、内容的にはちょっと危惧しておりますので。ここの議論はもう終わったのかもしれませんけれども、意見としては出しておきたいと思います。少し認識の食い違いというのを非常に感じますので、ぜひご検討していただきたいと思います。

○ 福井部会長

ありがとうございました。さて、ほかに。

○ 上野委員

セーフティネットの話が出ましたので、損保業界からもちょっとお話ししたいと思いますが、損保業界についてもこのセーフティネットのあり方を見直すべき時期にきていると考えております。しかしながら、その見直しは即生保業界さんと同様の公的資金枠を求めることにつながることは考えておりません。むしろ損害保険に適した契約者のあり方は全体の議論を行うことが必要であるというふうに認識しております。

と申しますのは、現行の損害保険契約者保護機構は生命保険契約者のスキームとほぼ同一でございまして、1年契約、実損てん補契約が主体であり、募集後も乗合代理店制度が一般的な損保契約・事業の実態に照らし合わせますと、必ずしも契約者保護の点で最善の機能となっていないように思っております。ぜひ、そういった観点から全般的な見直しをお願いしたいというふうに考えております。

○ 福井部会長

ほかにいかがでしょうか。

○ 蝋山分科会長

総論に関する私の意見を申し上げてよろしいですか。

○ 福井部会長

はい。

○ 蝋山分科会長

危機というのはだれも 100%の確率で予想をすることはできない。また、それは人によって非常に差がある。危機があったときにどうするかという点は、1つはやはりこういう場で議論はできない話なんですね。ですから、例えばブラックマンデーのときにどういうふうに連銀と財務省が対応したかというような、いくつか有名な話があるわけですね。

そういう形でのいわば政治家、行政を含めての非常にそのときどきの判断というものが極めて重要であると。それをあらかじめ何かマニュアルを例えば局長なり長官なりに作って渡してもあまり意味がない。おそらく、そういう人たちは、それぞれきちんと持っているのだろうと。それはオープンにできない話だし、そういう問題とそれからそういう危機におけるアクションを、危機対策というものがどういうところまで取り得るかということのシステムをどうつくるかという問題とは別だと思うんですね。

そしてそのシステムが非常に不備だと、取り得るべき機敏な対応というものもとりにくいと。今、おそらく岡部さんでも高橋さんでも、原さんでもあるいは上野さんでも指摘されたのは日本のこの制度というものについて、その危機をあるいはミニマムなコストで処理するということのための制度の不備というものがあるんじゃないかという認識を示されたと思うし、それならばセーフティネットも問題という形で表れているんじゃないかなというふうに思います。

しかしセーフティネットの問題とそれから危機が起きたときの処理のためのアクションを制約するさまざまな制度というのは似ていて非なるところがあって、セーフティネットの問題というのは、もう少し幅広い問題ではないかというふうにも感じられるところもあるわけなんです。そういう点ではセーフティネットの見直しという問題をシステムの問題として、仕組みの問題として取り上げるというのは、私はこの金融審議会としては大変大事なことなのではないか。

しかしそれをどういうふうに運営するか。いくらの金を公的資金として政府に要請するかというのは、これはまたちょっと違う問題ではないかというふうに思います。どういう点でシステム上の不備があるのかという点、お金がないからというのが不備ですか。その辺のところが必ずしもよくわからないところがあって、もう少しきちんと整理すべきではないかなというふうに思います。

何も積極的な提案をしていなくて、申しわけないのですけれども。

もう1つは、保険のことが話題になっておりますが、保険は保険としてそれ自体として取り上げられる問題ではないと思うのです。非常に人々の将来に対するある種の見方というものは保険は保険で、それを切り離して銀行は銀行だというふうには見ていないと思うんですね。非常に一体として見ているところがあって、しかも今の時期は、この1月という時期は4月から始まるペイオフを直前に控えている時期であります。いつこういう問題を、システムの問題はシステムの問題としてきちっと取り上げるかというタイミングも非常に重要ではないかというふうに思いますね。

今何か取り上げると、ある種の疑心暗鬼を生んでペイオフ解禁の問題に、もう少し正確に言葉を使った方がいいのかもしれませんけれども、全額政府による預金保険制度をやめるという問題に対することを考えると、金融庁に保険に関するセーフティネットの問題についての取り組みを今ここで約束しろと、こう言っても大変むずかしいところがあるのではないかというふうに思います。

そういう点で福井部会長にお願いしたいのは、しかるべきときに、安定したとは言いませんが、いわゆるペイオフ解禁がある種の影響を見通せるようになったときあたりに、生保のセーフティネットという問題を取り上げるということも一つの考え方ではないかなというふうに思いますが、どうでございましょうか。我々が議論するタイミングというのが重要だということを申し上げられたら本望です。影響は少なからずあると思います。

○ 福井部会長

ありがとうございました。あとで私の考えをまとめて申し上げることにいたしまして、ほかに今後のテーマ等につきましてさらにご発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○ 蝋山分科会長

では、発言のついでにもう1つ。違う問題です。銀行社債と金融債について、考え方だけしっかりしてもらえばいいわけです。

金融債という債券を、特別な債券を、ある種の恩恵を他の社債に比べて与えられている債券を銀行という産業、特別な産業に与えたわけですね。金融債というのはそういうものだと思います。それは銀行という特別な存在の上に乗っかった特別な好条件の特殊な商品だったわけです。そういう特殊性を銀行であるがゆえにもっと一般に広げるかどうかという点は、銀行というものが何かということとすごく結びついた問題であって、そこまできちんと考えていただきたいということが1つ。

それともう1つ、銀行はいろんな特典を与えられているわけで、それをさらに広く与えることになるという点があるということを指摘したいということが1つ。

それから日本の社債市場は、一般の事業債市場はそれほど間違いではないと。そういう間違いでない一般社債の普通事業債の正常化といいますか、成熟化というものに対して、この銀行社債、金融債の関係の整理をした結果、どういう影響を与えるかということもぜひ考えていただきたい。

考える際の視点をきちんと、ただ金融債に与えた特権をいわば業際問題的な形で、足して二で割るような利害調整の審議ではなく、議論していただきたいなというのが私の希望です。

○ 福井部会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○ 翁委員

今の蝋山先生のご意見とちょっと関係しますけれども、この社債市場の検討という際には、ぜひこういう視点をということでございますが、アメリカなんかでも今、市場規律を生かした監督のあり方ということで、例えば劣後社債、劣後債務の発行を強制するかどうかというような議論があります。影の金融監督委員会とかまたはアカデミックな立場で、監督当局がマーケットの情報をどういうふうに活用していくのかとか、そういった観点から社債の問題というのが取り上げられておりますので、今後めざすべき市場規律主軸型の監督のあり方という点からも、銀行の社債発行のあり方についての検討の一つの視点として考えていただきたいというふうに思います。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

冒頭に事務局、それから私もそれに加わって、銀行の社債発行手続の改善に関するテーマと、それから広い意味での信託業法の今後のあり方に関するテーマ、この2つを提案させていただきましたが、それに加えてただいまのご議論ではセーフティネットの話と、それから保険に関する残りの課題と、こういうご提案が追加的に出てきたということでございます。

議長としてどこまで整理をする権限があるか分かりませんが、セーフティネットの問題の重要性についての認識は私も十分シェアさせていただいております。この問題の取り扱い方については蝋山先生からも大きなヒントを頂戴しましたが、私自身も具体的にセーフティネットをどう発動するかという問題と、セーフティネットのシステムを常に十分整えておくという問題とは、これを少し切り離して考え、この審議会においては後者にウエイトをおいて検討すべきだということだと思います。

セーフティネットのシステムに金額的にいくら備えがあるかというは、いったいどちらの問題かというのはなかなかむずかしい問題ですけれども、米びつが空なのに十分かといえば不十分に決まっているという意味では、当然この審議会の課題になってくると思います。しかし、いくらであれば適当か十分かというようなぎりぎりのところは、具体的なケースを想定しないで審議するこの審議会のメンバーが、責任もっていくらがいいとは、なかなか判断しにくい問題かなというふうに思います。やはりこの辺になると行政判断、政府の責任の問題の中でカバーされる範囲が大きいのかなというふうな気がしております。

いずれにしてもシステムの問題と実際の発動の問題を明確に切り分ける。そして金額の問題については現状は米びつが空に近い、その意味でシステムとして差し迫った問題という認識には変わりはございませんので、金融庁の方に当審議会のお願いとしてよく問題を整理して、今後必要なタイミングで制度的にセーフティネットを補完する必要を感じた場合、あるいは我々の方で強く感じた場合に今後他のテーマの流れ如何にかかわらず、この問題を審議会で取り上げていきたい。そういうふうにお願いしたいと思います。

それから保険の方は一段落と申し上げましたけれども、大変失礼をいたしました。一段落といっても保険の問題はもうやらないという意味ではありません。これも金融庁の方で残りの問題あるいは今までふれていない問題についてもさらによく整理をしていただいて、タイムリミットを十分念頭に置きつつ、仮にこの審議会が別のテーマで走っていたとしても、必要があればこの審議会で改めて審議の対象にする、時間に間に合うように審議の対象にすると。こういうふうな扱いにさせていただけれはと思います。その点は金融庁であとでまたご答弁いただきたいと思います。

そういったことを申し上げましたうえで、きょうご提案申し上げました銀行の社債発行手続の改善、それから信託のあり方。この2つについてはこれを取り上げてはならないというご意見はこの席上なかったというふうに思いますので、異論なしというふうに認めさせていただきたいと思います。

冒頭、事務局からも若干追加的ご説明がございましたけれども、銀行の社債発行手続の改善の方のテーマにつきましては、昨年4月に設置いたしました金融機能の向上に関するワーキンググループで詳細なご検討をお願いしたいと思います。

それから信託のあり方につきましては、これはかなり幅広い問題です。相当専門的な検討を要する、法律的にも詳しい検討を要するといったものでございますし、とりわけ金融機関の今後の新しい機能と絡めていいものをつくらなければならないということでございますので、新しいワーキンググループを設置させていただきたいと思います。そういったことを了解いただけるようでございましたら、新しく設置するワーキンググループの人選につきましては恐縮でございますが私にご一任いただければ幸いと思っております。

大変たくさん申し上げましたけれども、以上全部まとめてご異議がないかどうか、さらにご異議があればぜひおっしゃっていただきたいと思います。

○ 蝋山分科会長

このいただいた規制改革推進3カ年計画のテーマが「信託会社のあり方」となっているんですね。日本には信託会社というのはないのです。具体的には、部会長が強調されたように信託機能の普及の拡充とか詰めのあり方とか、表現上の問題ですけれども、そういうような表現にした方か私は皆さんにわかりやすいんじゃないかなというふうに思うんですが。

読み方によっては、信託銀行のあり方というふうに読めてしまって、「そんなの困る」というふうに皆さんおっしゃるだろうと思うし、そういう点で少しタイトルをこれにこだわらないで我々らしくつくりませんか。

○ 福井部会長

私自身は信託機能というふうに、そういう認識のもとにきょうお話させていただきましたけれども、皆さんご異議がなければそういう概念的なとらえ方で広く入っていきたい。我が国の金融機能を十全ならしめるために、この信託という法理をいかに活用するかというふうな観点でお願いしたいと思います。

以上のことも含めましていかがでございますでしょうか。ご異議ございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

○ 福井部会長

ありがとうございました。それではそういうふうな取り運びにさせていただきたいと思います。

最後に残りの時間を利用いたしまして、本日の3つ目のテーマでございますが、最近の諸情勢に関する事項、行政に関する事項につきまして事務局よりご説明を頂戴したいと思います。

最初に「抵当証券業の規制等に関する法律施行規則の改正について」、事務局よりお願いいたします。

○ 大藤信用課長

信用課長でございますが、続きまして「抵当証券業の規制等に関する法律施行規則の改正」につきまして説明させていただきたいと思っております。これにつきましては、これから説明させていただきます内容につきまして来週から施行規則の改正ということでパブリックコメントに付しまして改正に移っていきたいというふうに考えているものでございます。

9-5という資料でご説明をさせていただきます。

今回の規則の改正でございますけれども、抵当証券の商品性に関する顧客、購入者の一層確実な理解をはかりまして、購入に関するより適切な判断を確保することを通じまして、購入者の保護を図るものであります。この観点から対象となる抵当証券の内容や販売をいたします抵当証券会社の概要等につきまして、情報提供の拡充を図ること等を目的として抵当証券業の規制等に関する法律施行規則につきまして改正を行うというものでございます。

改正の中身に入ります前に、まず抵当証券の取引の仕組みにつきまして、概要をご説明させていただきたいと思います。資料9-5の2ページ目に「抵当証券取引の仕組みの概要」ということで図にしたものがございます。

抵当証券と申しますのは、これはずいぶん古い法律でございますけれども、昭和6年に法務省所管の抵当証券法というものがつくられまして、その法律によりまして、いわゆる不動産を担保といたしまして貸付を行う者が申請によりまして法務局、登記所から証券を発行してもらうという仕組みでございます。この証券はそういう意味で貸付債券とそれを担保する不動産の抵当権を一体のものとして券面に表したという性格を持つものでございます。

このような抵当証券につきまして民法でありますとか商法でありますとか、そういった法律の枠組みの中でいわば自由に取引が行われていたところでございます。ところが、昭和58年頃でございますけれども、抵当証券会社というものが次々に設立されまして、抵当証券の販売額も急増したわけでございます。ピーク時で販売残高といたしまして6兆 5,000億円ぐらいのオーダーになったようなものでございます。

その一方でカラ売りでありますとか二重売りでありますとか、そういったような詐欺的な行為が行われていろいろ問題が顕在化したということを背景にいたしまして、昭和62年の12月にいわゆる規制法がつくられたということでございます。「抵当証券業の規制等に関する法律」というものが制定されました。当時の大蔵省から国会に提出したものでございますけれども、63年11月1日に施行されたわけでございます。

この法律でございますが、資料の3ページ目をごらんいただきますと法律の概要がございますけれども、主な内容といたしましてはまず、登録制度を導入いたしまして、必要な開業規制を行うこととしております。それから情報の提供も含めまして行為規制を課しております。それからカラ売り、二重売りといったような問題が起きておりましたことも踏まえまして、抵当証券をきっちり保管して保管証を発行する、あるいは保管抵当証券に係る弁済金の受領代行を行うといったようなことで、法律に基づく組織といたしまして抵当証券保管機構をつくるということで制度の枠組みがつくられたということでございます。

こういった枠組みでその後、抵当証券業者による抵当証券の販売が行われてきておりまして、今に至っているということでございます。ただ、こういった中で最近新聞等で大和都市管財の問題として報道されておりますけれども、一部と申しましょうか。大和都市管財、これは非常に詐欺的な極めて異例な悪質なケースだと思いますけれども、この制度の枠組みを悪用した事例が生じてきているところでございます。

抵当証券につきましては、いわばいろいろな形でリスクを保有したリスク商品でございます。こういった中で抵当証券業規制法の枠組みの中で購入者がその商品性、リスクを理解、認識して適切な判断を行え得るようこれまでも適宜、業者による情報提供の促進等いろいろな措置を講じてきているところでございますが、今般、これに加えまして一般に金融商品等につきまして情報提供、いわゆるディスクロージャーの充実が図られている中で、大和都市管財の事例も踏まえまして抵当証券の商品性、リスクに対する購入者の一層な確実な理解を図りまして、自己責任のもとで適切な判断が確保されるよう債務者や抵当証券業者に関する情報提供の促進等の措置を講じ、これにより購入者の保護をより確実にしたいということで、今般の規則改正を行いたいと考えているものでございます。

その規則改正の内容をご説明させていただきます。資料の一番最初のページにお戻りいただきたいと思います。今回の規則改正は情報提供の充実強化というのが中心でございますけれども、現在、規制法のもとでは情報提供につきましては、まず契約締結前に交付する書面というものがございます。それから契約締結時に交付する書面というものがございます。それから抵当証券業者の店頭で閲覧できるという情報提供。こういったようなものが情報提供の枠組みになっているわけでございますが、今般、四角で囲んだところ(資料9-5の1ページ目)にございますが、購入契約締結にあたっての購入者の判断に資するために、従来事後的な情報提供あるいは抵当証券業者の店頭での閲覧にとどまっていたようなものにつきまして、内容を拡充のうえ、事前かつ個別に情報提供することを義務づけたいというふうに考えているところでございます。

具体的には1でございますけれども、抵当証券を購入しようとされている者に対しまして、契約締結前に対応する抵当証券の内容を書面で情報提供をきっちりさせるということでございまして、抵当証券の内容といたしましては債務者名でありますとか、担保物件でありますとか担保の順位とかそういったようなものが含まれているわけでございます。従来は購入後に店頭で閲覧することが可能ということだったわけでございますが、これを事前に書面で個別に提供させるということにしたいと考えております。

2はそれを補強するものでございますけれども、債務者につきましても債務者名だけではなくて、債務者の概要につきまして登記されているような内容、資本金でありますとか業種といったようなものにつきましても合わせて情報提供をさせたいということでございます。それから抵当証券業者が販売しようとする抵当証券が、抵当証券自身の関係会社等に対するものである場合には、関係会社等でありますという旨もあわせて記載させるということにしたいということでございます。

それから抵当証券業者自体の概要および財務内容についても書面で情報提供させることとしたいということでございます。これは従来は行政当局に提出されます事業報告書につきまして店頭で閲覧することが可能ということだったわけでございますけれども、小口の抵当証券購入者、いわゆるモーゲージ証書の購入者につきましては必ずしも店頭まで足を運ぶということが行われない場合も想定されますので、事業報告書の写しを合わせて契約締結前に交付させたいということでございます。

事業報告書の内容につきましても充実を図りたいと考えておりまして、抵当証券業者の関係会社でありますとか、それから抵当証券業者の貸付債券の状況、いわば不良債権がどの程度あるかといったような状況につきましても事業報告書の内容として、購入しようとする者にあわせて提供させるということにしたいと考えております。

抵当証券業者は一般に商法監査特例法等に基づきまして会計監査を受けております。会計監査人監査にかかる監査報告書の写しについても交付させたいということでございます。

それからいわゆる抵当証券につきましてはいろんな形で発生し得るリスクがあるわけでございます。こういったような点につきましても十分に説明することを義務づけるということでございます。

備考でございますが、ほとんどの抵当証券業者は中途解約に応ずるということを守っているわけでございますけれども、中途解約を認めない販売契約を締結するということがあり得ます。これについてはやはり中途解約を認めない販売契約を締結することにつきましては、購入者保護の観点から問題があると考えられますので、こういったような契約を締結することは禁止したいということでございます。

以上、ご説明したような内容を含みました内閣府令改正を来週からでもパブリックコメントに付しまして実施したいと考えているところでございます。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。残り時間等の関係から、恐縮ですが、もしご質問おありの場合はあとでしていただきたいと思います。それでは残りの問題、不良債権問題の現状について、それからRCCといいますか金融再生法の改正の問題について引き続きご説明をうけたまわりたいと思います。

○ 木下総務課長

監督局の総務課長木下でございます。私の方からは「不良債権問題の現状について」ということで簡単にご説明を申し上げたいと思いますけれども、資料といたしましては第二部会の9-6ということでお手元に3枚紙をお配りしておるかと思いますので、それに沿って申し上げたいと思います。

まず、不良債権問題につきまして、不良債権処理の強化をしていくということがあるわけでございますけれども、不良債権の処理という言葉につきましては2つのものが含まれているというふうに考えられます。1つ目の概念は、不良債権について会計上、きちんと認識して財務上の処理を行うということです。もう1つは、その不良債権となりましたそういう貸付等におきまして、オフバランス化をするというような、いわゆる最終処理といっておりますけれども、そうした処理を行うことです。この2つの別の概念であろうかと思いますけれども、それをあわせて不良債権処理と呼んでおります。

前者の不良債権処理、会計上の処理に関しましては私ども改革先行プログラムに盛り込みました政策措置といたしまして、特別検査というものを10月末から実施いたしております。これは、私どもの検査は基本的には事後チェック型ということですので、金融機関が自己査定を行って、それを事後的な検査で見させていただいて、金融機関の自己査定の適正性、リスク管理体制を確保していただくというのが基本でございます。けれども、一方で市場の評価と経済情勢の変化が早い場合にはそうした事後チェック型のものだけですと、その検査あるいはそれを反映した金融機関の内部上の処理がやや後手に回るというような問題があるのではないかということで、補完的に、市場評価等に着目しまして、それを適宜反映したような債務者区分、償却・引当が確保されるような、そうした目的に沿った検査を実施いたしているところでございます。

これに対応しまして主要行の方の不良債権の会計上の処理につきまして次の(2)のところに書かせていただいているわけでございますけれども、「最近の景況悪化」というようなことがございますので、2つありますけれども、1つは経営不振企業の債務者区分の見直しというようなことです。もう1つは経営不振企業ではあるけれども、ゆくゆく破綻するということではない、注意して貸していけば大丈夫であると思われる先、要注意先ですけれども、こうしたところにつきましても引当を強化していくことです。このような流れで行っているところでございます。

こうしたことの結果、不良債権の会計上の処理をいたしますと不良債権処分損ということで、損失が立つわけですが、それが当初の見込みにおきましては通期予想 1.9兆円だったわけですが、 3.4倍、 6.4兆円ということで抜本的に増加をしてきているというようなことでございます。こうした不良債権の会計上の処理の抜本的な強化と並行いたしまして、最終処理、オフバランス化というのを進めているところであります。その基本的な考え方といたしましては、(3)の1つ目の白丸印でありますけれども、主要行の破綻懸念先以下の不良債権を既存分は2年以内、新規発生分は3年以内にオフバランス化するというようなターゲットを立てまして、これは昨年の4月の緊急経済対策におけるターゲットでありますけれども、その状況につきまして主要行は自らディスクローズしていくというようなことになっているわけでございます。

その状況等が下に書かれているところ(資料9-6、1ページ目の下段)でございますけれども、12年9月末時点で既存分ということで12.7兆円あったわけですが、この9月末でみますと、その部分につきましては既に 6.6兆円になっているということでございますので48%のオフバランス化という処理が行われています。それからこの3月末に新規に発生した不良債権が 3.4兆円あったわけですが、これも3年間でオフバランス化していくというようなことになっているわけですけれども、半年で24%の処理が進んでいるというようなことでございます。

そうした意味で実質的な最終処理ということはかなり早く進められておりますので、過去の負の遺産は相当程度処理されているというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。ただ、一方で13年9月末の一番下のところをごらんいただきますと、新規発生が 3.0兆円あるということでございますので、最終処理による減少と新規発生の差引をみますと、(2)の最初のところに書きましたようなことで、破綻懸念以下のところでは11.7から12.2兆円ということで、わずかながら増えているということでございます。

次のページに進みます。このように不良債権の会計上の処理と最終処理が進められていく中で、政策上これをサポートするような仕組みを盛り込んでいくということがございまして、具体的には改革先行プログラム、あるいは後ほどご説明があると思いますけれども、金融再生法の改正などによりまして、大きくみて2つの仕組みを挙げているところでございます。1つ目がRCC、整理回収機構の機能拡充とその活用ということでございます。金融再生法の改正によりましてRCCが不良債権を買い取るときに時価で買い取ることができるようにする、あるいは入札に能動的に参加できるようにするというような制度改正が行われました。

これを受けまして、1月11日に早速、買取価格審査会というものをRCCの方に設置しまして、その下に書いてありますよう入札への参加あるいは相対でのお取引も相談というようなことが進められているものというふうに承知いたしております。別途、こうした新法に基づく取り組み以前から、実はRCCはいわゆる不良債権の行き先になっているわけでございますけれども、この点につきましても最終処理をする際にできるだけ再建型の処理をしていこうというような考え方もございまして、企業再生検討委員会というものを発足させました。企業再生の専門家の方々に集まっていただきまして、その再生可能性等をご検討いただいたうえで実際の対応を検討していくというふうに聞いております。

これが1つ目の柱でございますが、もう一方の柱としまして、企業再建ファンドというものが創設されるというようなことをサポートしていこうということでございます。これは一般にディレバレッジング・ファンドというふうに呼ばれておりますけれども、再建計画のできあがった企業につきまして、一方では債務を削る、他方では資本を増やすというようなことで財務構造のリストラを進めまして、かつそこの株式をファンドが保有することで、ガバナンスを効かせて再建計画をきちんと実行していく。そういうような仕組みでございます。英米等では非常に一般的な仕組みであるというふうに承知いたしておりますが、我が国におきましては民間ベースでそうしたものがつくられていくように環境整備を進めるとともに、ここに書かせていただきましたような日本政策投資銀行、RCC、民間投資家による企業再建ファンドを創設するというようなことにいたしておるわけでございます。

具体的な中身は企業がまず私的整理あるいは法的整理の手続を経まして、ビジネスの面、事業の面で厳格な再建計画を策定するということがございます。その際に財務面、負債、資本面のリストラということで債務の株式化、 debt-equity swap というものを活用しまして、そのスワップされましたエクィティーを旧債権者、今まで債権を持っていた債権者であります銀行あるいはRCCが引受け、株主となるわけでございます。この株式を企業再建ファンドが拠出を受けるあるいは買い取るというようなことで、当該再建対象企業の大株主になりまして、企業価値の最大化に努めていく。このような仕組みを想定しているわけでございます。

具体的な財政上の措置といたしましては、補正予算で 500億円の予算措置をいただきまして、別途、政策投資銀行の手金といいますか、そちらの方の 500億円とあわせまして 1,000億円の資金を確保しました。これを踏まえまして、さらに日本政策投資銀行が出資対象とできる企業再建ファンドはどんなものであるかということに関連しまして、基準を策定、公表しまして、昨年末から説明会を実施してきているところでございます。現在、具体的な案件について協議がなされているというようなことを承知いたしております。

3枚目をめくっていただきますと、以上のようなことで不良債権処理につきましては最終処理を迅速に進めていくということで流れができているところでございますが、それに対応する銀行の体力の方はどうなのかということにつきまして、簡単に書かせていただいております。時間の関係もありますので通期の見通しのところだけ申し上げますと、通期でみますと主要13行中11行が残念ながら赤字を予想せざるを得ないということがございます。しかしながら、一方でリストラ、自力増資等に積極的に取り組んでいるということでございまして、これらをあわせて考えますと、最後のところでございますが、13年9月末の株価、当時1万円を切っておりましたけれども、この前提といたしますと、 6.4兆円の積極的な不良債権処理を行ってもこの3月末の自己資本率は総じて10~11%の耳というようなことになっております。

こうした意味で体力面で問題があると私ども考えているわけではございませんけれども、一方でマーケットというのはいろんなことがあり得るかもしれないということでございます。その点につきましては(注)でございますが、現時点で資本再注入の必要はないけれども、万一、信用秩序の維持にきわめて重大な支障が生ずるおそれがある場合には、金融危機対応会議の議を経て、15兆円の政府保証枠を活用した資本再注入を躊ちょなくということで、この辺につきましては総理をはじめとしまして柔軟な対応の用意があるということで申し上げるところでございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。金融再生法のご説明はよろしいですか。

○ 大藤信用課長

それではちょっと私の方から簡単にご説明させていただきます。ただいま木下課長の方から不良債権問題につきまして説明があったわけでございます。その資料の2ページにふれられております、「金融再生法改正を受けた取組み」ということであります。これは既に法律改正が成立いたしまして、すでにもう動きだしているわけでございますので、ある意味で事後的なご報告ということになりますけれども、前臨時国会におきまして議員立法という形でRCCの機能強化についての法律改正が行われたわけでございます。

これはそもそも金融再生法というのが議員立法というような経緯もございまして、議員立法により改正が行われたというものでございます。資料の9-7をごらんいただきたいと思いますけれども、金融再生法により、RCCによる健全銀行からの不良債権の買取りという枠組みがつくられているわけでございます。これは預金保険機構から買取り委託を受けました、整理回収機構が健全銀行から不良債権を買取るというスキ-ムでございます。

この買取り業務につきまして所要の改正を行うというのがその内容だったわけでございます。その内容でございますが、1ページおめくりいただきまして「金融再生法の改正の概要」というところでございます。与党3党による議員提案であったわけでございますが、3点ございます。

1点は、買取り価格を時価とする価格決定方式の弾力化ということでございます。これにつきましては改正前の条文が、国会の審議の過程の答弁等によりまして、やはり時価では買い取れない、時価を下回る価格という解釈ということでございましたので、買取り価格を時価とする価格決定方式の弾力化を行ったものであります。

それから第2点が入札への参加を可能とする買取り方法の多様化であります。

それから第3点が、預金保険機構とRCCとの協定に、買い取った不良債権の処理に関する規定を新設したということでございまして、具体的な内容はちょっと省略させていただきます。

以上が金融再生法改正の概要でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。もしご質問ございましたらどうぞ。

○ 翁委員

不良債権問題とペイオフ解禁との関係でちょっとご質問したいと思うのですが、今当局からや小泉総理などでいろいろなメッセージで「危機になった場合には必ず対応します」というそのメッセージとそれから実際に信用金庫や信用組合などを見ていましても、ペイオフ解禁をにらんで非常に処理を急いでいるという、そういったメッセージは伝わってきます。

一つメッセージとして伝わってこないのは、迅速に、仮に4月以降になって、もし万が一破綻する金融機関が出た場合に、実際に実務的に迅速にP&Aというのができる体制が本当に整っているのか、どうなのかということだと思います。具体的には例えば名寄せとかそういった実務上の用意が進んで、本当に金曜に閉じて月曜日の日に開くというような金月処理という現実的な体制が整ってきているのかとか、それからあとシェアリングルールの検討とか、実際に極力大口預金者のロスを被らせないような形で迅速に破綻処理できるような体制が整いつつあるかということについて、もっと明確にメッセージが伝わってくるといいと思っているのですが、その辺教えていただきたいのですけれども。

○ 木下総務課長

ご指摘の中で実務的な準備、例えばデータ整備とか、こうしたところにつきましては、まさに実務でございまして、法関係者においてしっかりやっておるということでございますが、これはある意味ではあたりまえですので、とにかく一生懸命やっておりますということでございます。

もう一方、4月以降もし潰れましても迅速に処理できますというメッセージというのはお出しするのがいいのかどうかという議論がありまして、私どもとしましては、4月以降お店を開く金融機関につきましては、健全なものとしてラインアップをそろえていただきたいと考えているということをひたすら言わせていただいているというようなことでございまして、そちらをメインに申し上げる方がいのではないか。こういう判断をさせていただいています。

○ 福井部会長

それでは大分時間が過ぎましたものですから、もしほかにご質問がなければ最後に局長のごあいさつをよろしくお願いします。

○ 原口総務企画局長

総務企画局長の原口でございます。本日は熱心なご議論をいただき、まことにありがとうございました。また、日ごろから金融行政にご高配を賜っておりますことに改めて御礼を申し上げます。

また、きょうは今後のテーマについてご議論をいただきました。新しく2つのテーマを選定させていただきましてご賛同をいただきました。これについては一つよろしくお願いをいたしたいと思います。また、その他ご指摘のあった事項、先ほどまさに福井部会長の方からご整理をいただきました線に沿って、我々もよく部会長とご相談しながら適時適切な対応をとっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

最後に私どもから若干ご報告をいたします。まずは国会関係の状況でございますが、先ほどご説明いたしましたRCCを含めまして、先の臨時国会におきましては4本の金融関連の法案の成立をみております。1つはいろいろご議論もいただきました銀行法等の一部を改正する法律案、これは継続になっておりました。それから銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案ということで銀行の保有制限あるいは株式取得機構の設立に関する法律案、この2本を当庁から提出し、成立をしております。

その他、当庁関連として財務省および総務省から提出されました証券税制の改正に関する法案、それから、ただいまご説明いたしましたRCCの改正の法案と、かなり短い期間でございましたが、4本の成立をみております。

また、次の通常国会では現在のところ、2本を予定しております。1つは「証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法案」ということで、いわゆる社債、国債等についてのペーパーレス化等により振替制度などの新しいインフラ整備に関するものでございます。現在、第一部会の証券決済システム改革ワーキンググループで最終的な詰めのご審議を願っているところでございます。

それからもう1つは、「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約」の締結に伴うものでございまして、金融機関等による本人確認等に関する義務付け等を内容とした法律案でございます。この2法案につきましては現在立法作業中でございますので、成案を得た段階で改めて審議会においてご説明をさせていただきたいと考えております。

いろいろ金融を取り巻く環境の厳しいなか、我々もいろいろな状況に対応していきたいと思いますが、今後とも引き続きご指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。

以上、ごあいさつに代えさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

○ 福井部会長

ありがとうございました。本日の会合の模様につきましては、このあと事務局の方から記者レクをさせていただく予定でおります。

事務連絡がございましたらどうぞ。

○ 大藤信用課長

次回の第二部会の日程等につきましては福井部会長ともご相談のうえ、改めてご連絡させていただきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

事務局からの連絡は以上でございます。

○ 福井部会長

議長の不手際で皆さま方の貴重な時間を5分余計超過させていただきました。まことに申しわけございませんでした。

本日の会議はこれをもって終了させていただきます。ありがとうございました。

午後5時05分 閉会

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