金融審議会金融分科会第二部会会合(第11回)議事録

日時:平成14年12月19日(木)17時00分~18時00分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 特別会議室

○ 福井部会長

皆様大変お待たせをいたしました。ただいまから金融審議会第二部会の第11回目の会合を開催させていただきます。

本日は年末ご多用のところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。大変遅い時間で恐縮でございました。

議事に入ります前に、今年の3月に開催されました前回第10回目の会合以降、専門委員の方のメンバーの変更がございますのでご紹介を申し上げます。

杉崎委員、前田委員、松浦委員、森脇委員にかわられまして、専門委員を新たにお引き受けいただくことになりました皆様方でございますが、皆様方の座席から見まして一番右にいらっしゃいますのが鈴木委員でございます。それから寺阪委員でいらっしゃいます。それから、左から2番目にいらっしゃいますのが宮川委員でございます。そのほか中村委員がいらっしゃるわけでございますが、今日は欠席をされております。

また、臨時委員の大塚委員におかれましては、7月をもちまして退任されておられます。お知らせを申し上げます。

次に事務局の方々をご紹介させていただきます。河野信用課長からお願いいたします。

○ 河野信用課長

それでは失礼いたします。

7月に人事異動がございましたので、改めて本日出席をしております事務局側の者をご紹介させていただきたいと思います。

まず、委員の皆様方から向かいまして、貝塚会長の右側からでございますが、総務企画局長の藤原でございます。

○ 藤原総務企画局長

藤原でございます。よろしくお願いします。

○ 河野信用課長

次に、審議官の三國谷でございます。

○ 三國谷審議官

よろしくお願い申し上げます。

○ 河野信用課長

審議官の大久保でございます。

○ 大久保審議官

よろしくお願いいたします。

○ 河野信用課長

財務省参事官の日野参事官でございます。

○ 日野財務省参事官

よろしくお願いいたします。

○ 河野信用課長

同じく財務省の信用機構課長の谷口課長でございます。左側に移らせていただきまして、こちらでございますが、信用機構室長の藤井でございます。

○ 藤井信用機構室長

藤井でございます。

○ 河野信用課長

保険企画室長の中島でございます。

○ 中島保険企画室長

中島でございます。

○ 河野信用課長

金融危機対応室長の岡本でございます。

○ 岡本金融危機対応室長

岡本でございます。

○ 河野信用課長

国際課長の塚越でございます。

○ 塚越国際課長

塚越でございます。

○ 河野信用課長

企画課長の大藤でございます。

○ 大藤企画課長

よろしくお願いします。

○ 河野信用課長

監督局総務課長の木下でございます。

○ 木下監督局総務課長

よろしくお願いいたします。

○ 河野信用課長

銀行第一課長の鈴木でございます。

○ 鈴木銀行第一課長

よろしくお願いいたします。

○ 河野信用課長

銀行第二課長の岳野でございます。

○ 岳野銀行第二課長

よろしくお願いいたします。

○ 河野信用課長

調査室長の山沖でございます。

○ 山沖調査室長

よろしくお願いします。

○ 河野信用課長

協同組織金融室長の上野でございます。

○ 上野協同組織金融室長

よろしくお願いします。

○ 河野信用課長

最後に私、信用課長の河野でございます。よろしくお願い申し上げます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

それでは、早速本日の議事に入らせていただきます。

本日はまず、臨時国会で成立いたしました法律、預金保険法等の一部を改正する法律、それから金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法、これにつきまして事務局より簡単なご報告を頂戴したいと思います。

それに続きまして、10月30日に発表されました金融再生プログラム、それから11月29日に発表されました金融再生プログラム作業工程表、それぞれにつきまして事務局よりご説明をいただきたいと思っておりまして、これらにつきましてはその後皆様方からご意見を頂戴したいと思います。

さらに続きまして、作業工程表を踏まえた今後の第二部会における検討課題について事務局よりご説明をいただいて、今後の検討の進め方について皆様にご相談をさせていただきたいと思っております。

そして最後でございますが、生命保険のセーフティネットの再構築について事務局よりご報告をお願いしたいと思っております。

なお、審議の透明化の観点から、本日の会議は公開とさせていただいております。

短時間でございますけれども、効率よくやりたいと思いますので、ご協力をお願い申し上げます。

それでは、最初に、臨時国会で成立しました2つの法律について、それから金融再生プログラム、プログラムの作業工程表についてご説明をお願いしたいと思います。

○ 河野信用課長

それでは、まず最初に、臨時国会で成立をいたしました2つの法律につきましてのご説明でございます。お手元に資料の11-1、それから11-2、11-3といったようなものをお配りしてございます。法律の中身そのものにつきましては、詳細は時間の関係もございますので割愛させていただきますが、まず11-1の資料をご覧いただければと思います。

こちらの方でご紹介しておりますのは、これまでの2法の制定の経緯でございまして、まず第1番目に、いわゆるペイオフ関連でございますが、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律、大変長い名前でございますが、こちらにつきましては、7月30日の総理からの指示以降、当審議会におきまして精力的にプロジェクトチームを構成いただきまして、夏休み返上で作業いただきました上で答申を頂戴し、それに基づきまして法案の策定作業をさせていただきました。この法案につきましては、先般衆参両院で可決をし、成立をいたしまして、12月18日付で公布となっております。

同じく、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法、この2番目の法律につきましては、こちらは4月12日でございましたけれども、当庁で「より強固な金融システムの構築に向けた施策について」というものを発表いたしましたことを契機といたしまして、地域金融機関を中心としました合併等の組織再編成を促進するという政策といたしまして取りまとめを行い、8月末に概略を発表させていただきました上で、やはり法案化をさせていただいたものでございます。これにつきましても、国会提出後、衆参両院で可決成立をいただきまして、12月18日付で公布ということでございます。

施行日につきましては、預金保険法等につきましては、施行日は15年4月1日、これはいわゆる平成17年4月からのペイオフ実施、それから15年4月以降、いわゆる決済用預金の導入といったようなものを中心としまして、また仕掛かり中の決済の結了といったような項目を含んだ法律でございますが、これは15年4月1日施行ということで、もう一方の組織再編成の法律につきましては15年1月1日から、これはできる限り金融機関の経営基盤強化というものを早い段階からスタートしていただくためにこういう施行日ということにしてございます。

法律の中身につきましては資料11-2と11-3というものがございます。11-2の方は今申し上げましたような決済用預金の問題と、それから仕掛かり中の決済の問題、この2つを柱といたしますものでございますし、また2番目の組織再編成の特別措置法につきましては、手続の簡素化でございますとか資本増強措置、それから預金保険の保険基準額に係る経過措置といったような、支援策を金融機関に対して講じる。ただしこれは金融機関等が自主的に組織再編成を決定し、それを実施しようとする場合のものでございます。

以上、大変簡単でございましたが、法律のご説明でございました。

次に、岡本室長の方から金融再生プログラムのご説明を差し上げます。

○ 岡本金融危機対応室長

金融危機対応室長の岡本でございます。私から金融再生プログラム及びその作業工程表につきまして簡単にご説明をさせていただきます。横になっております11-4という資料で「金融再生プログラム」、これをご覧いただきたいと存じます。

こちらに、真ん中に「基本的考え方」というふうに書かれておりますが、今回この金融再生プログラム、10月30日に取りまとめ、公表を行ったものでございますが、まず主要行の不良債権問題を解決して、日本の金融システムと金融行政に対する信頼を回復するということを目的としておりまして、まずこの主要行を基本的に対象にしてまとめたものということでございます。

そういうことで、平成16年度には主要行の不良債権比率を半分程度に低下させて問題を正常化させる。そういった中で主要行の資産査定の厳格化、自己資本の充実、ガバナンスの強化などの政策強化を図っていくということを目指しているわけでございます。

この再生プログラムは大きく3つに分かれておりますが、一番左側の箱にあります「新しい金融システムの枠組み」という中では、安心できる金融システムの構築という中で、これはペイオフの問題等々にも触れておりますが、モニタリング体制を整備をするということで、金融問題タスクフォースというものを金融庁に新たに作るということにしております。

また、不良債権処理を進めていく中で、中小企業の問題、これに対する十分な配慮をどのようにやっていくかということをここで整理をしております。

また、不良債権問題の終結に向けまして、そういった中で個別の金融機関が経営難、資本不足に、仮に万が一そういった状況に陥った場合には、日銀特融ですとか預金保険法に基づきます公的資金の投入といったことを通じまして、特別支援ということで、システミックリスクの発生を未然に防止をしていくといったことをここで整理をしております。

真ん中の箱は「新しい企業再生の枠組み」ということで、ここは不良債権処理を進めていく中で、企業再生への取り組み、例えばRCCの一層の活用ですとか、またこれは金融庁だけの取り組みということでは必ずしも十分ではありませんので、政府挙げての取り組みをということで環境整備を各省庁にいろいろと要請をする。また(4)の「企業と産業の再生のための新たな仕組み」ということで、これはご案内のとおり産業再生機構を立ち上げるということで現在政府で所要の検討が行われているということでございます。

一番右の「新しい金融行政の枠組み」ということで、ここでいわゆる3本柱ということで、資産査定の厳格化、自己資本の充実、ガバナンスの強化といったことで、それぞれの施策を掲げているわけでございます。

お時間の関係もございますので、これらを10月30日に取りまとめまして、これを速やかに実施をしていくということで、その後作業工程表を金融庁で作成いたしまして、11月29日に公表しております。そちらの中で具体の項目等につきましても併せてご説明をさせていただきたいと思います。

11-5という資料で、これは大変見にくくて恐縮でございますが、こちらでご説明をさせていただきます。

10月30日に金融再生プログラムが取りまとめられたわけですが、これは直ちに実施できるものはもう既に11月の段階で実施をしているもの、これは実施済みというところで整理をしております。

また、作業工程表をまとめまして、年内に対応するもの、あるいは年度内に対応して15年3月決算に間に合うように対応するものといった形でタイミングを整理をして、各項目ごとにそれぞれここに整理をさせていただいております。

例えば、最初にまず、中小企業金融のところでございますが、こちらにつきましては、「中小企業貸出に関する担い手の拡充」ということで、そういった申請が仮になされれば、銀行免許の迅速化という措置を私たちは図っていくといったようなこと。

またその不良債権処理を進めていく中で「中小企業再生をサポートする仕組みの整備」ということで、RCCの信託機能を活用いたしまして、再生可能な中小企業につきましてはできる限り再生を図っていく、そういったスキームを新たに創設するといったようなことを既に決めております。

また、「貸し渋り・貸し剥がしのホットライン」というものを金融庁及び財務局に設けておりまして、ファックス及びEメールでいろいろな情報を受け付けております。こういった情報につきましては、それを検査・監督に活用するといったことで既に取り組むことにしておりまして、必要な場合には貸し渋り、貸し剥がしに重点を置いた検査を実施するといったようなことを行うこととしているわけでございます。

その中小企業金融の中では、一番右をご覧いただきますと、中小企業貸出計画、これは早期健全化法に基づきまして公的資金を注入している銀行につきましては、健全化計画の中で中小企業の貸出計画を出していただいているわけですが、それが非常に大きく未達になっているといったような場合には、中身を精査した上で業務改善命令の発出を検討するといったことで対応することとしております。

2番目の大きな柱が「特別支援」でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、仮に経営難、資本不足に陥った場合には、日銀特融あるいは預金保険法に基づく公的資金の導入ということで即時に対応するということにしているわけでございますが、一方、先ほどちょっと申し上げましたが、金融問題タスクフォースというのを金融庁に立ち上げまして、こういった特別支援を受けた金融機関の事業計画のモニタリング等々を行っていくこととしております。なお、この金融問題タスクフォースにつきましては、例えば公認会計士の方ですとか弁護士、学者の方、あるいは産業界、金融事務家といったような方々からメンバーを選定いたしまして、近々に立ち上げを行いたいということで検討を進めているところでございます。

その年内のところでございますが、「新しい公的資金制度の検討」ということで、これにつきましても不良債権処理を進めていく中で、そういった新しい公的資金を迅速に投入する制度というものの必要性を含めまして、当金融審議会におきまして議論を行っていただきまして、これは半年程度で結論を得ていただきたいというように考えているところでございます。

また、ちょっと右のところにいきますと、例えば「検査官の常駐的派遣」、これは先ほど申し上げました預金保険法に基づく公的資金を受けるようなところにつきましては検査官の常駐的派遣の検討ですとか、また管理会計上の勘定を分離して管理するといったようなことにつきましての具体的な仕組みを、これを年度内に考え方を整理していきたいと考えております。

次の「企業再生」でございます。こちらにつきましては、既に実施をしているところといたしまして、まず「RCCの機能の強化」ということで、RCCの中におきます企業再生部門、ここの人員、体制を強化する、また民間の企業再生ファンドとの連携を強化をしていくといったようなことを既にRCCの方で公表しております。

また「貸出債権の取引市場の創設」ということで、これは全銀協を中心に検討を開始していただくということで、検討を要請して、現在既にその検討を始めていただいているところでございます。

先ほど申し上げました産業再生につきましては、産業再生機構の設立に向けて政府の中でその作業が行われているということでございます。

また、企業再生に関連いたしましては、RCCの保有債権、こういったものをRCCによる回収のみならず、積極的に売却をしていくといった中で、例えば企業再生ファンドに橋渡しをしていくとか、また貸出債権の流動化市場の創設に寄与していくとか、そういったような形でのRCCの保有債権の回収・売却、あるいは証券化、こういったものの拡充ということをRCCにおきまして考え方を整理・公表することとしております。

次の「資産査定の厳格化」のところでございますが、ここではまず、「DCF的手法の採用」ということで、またそれに対しまして「引当金算定における期間の見直し」といったことにつきまして、まずこれは公認会計士協会に検討を要請いたしまして、同協会におきまして直ちに特別チームを設置していただいております。また同協会と当局との連絡協議会を併せて設置いたしまして、その検討を進めているところでございまして、この件につきましては、ずっと右を見ていただきまして年度内のところでございますが、DCF的手法についての公認会計士協会での検討の結論を得ていただいて、15年3月決算に間に合うように検査マニュアルの改正につなげていきたいと考えているところでございます。

また、右左に恐縮でございますが、実施済みのところで、「デット・エクイティ・スワップの時価評価の要請」ですとか、また銀行の自己査定と金融庁の検査との間に格差が生じているということにつきまして、これは集計ベースで金融庁から公表をさせていただいております。

また、年内の資産査定の厳格化のところでございますが、1つは例えば大口債務者に対します銀行間の債務者区分の統一、こういった検査の体制を整備いたしまして、年明けからこういったことを適用していくようにする。

また、検査局の中に再建計画を検証する専門チームを設置をすることとしております。

また、財務諸表の正確性に関する経営者による宣言ですとか、先ほど申しましたように自己査定と金融庁検査の格差が生じている場合に、その是正がなかなか図られないというような場合には行政処分を強化するといった形で、これは事務ガイドラインを改正しているということでございます。

資産査定につきましては、そのほかにも担保評価の厳正な検証ですとか、特別検査の再実施といったようなことも併せてこの年度内に対応を予定しているところでございます。

次の「自己資本」のところでございますが、1つは繰延税金資産の厳正な評価、監査、この問題につきまして、これは各主要行、公認会計士協会にまずその要請をしております。また併せまして、この繰延税金資産の算入上限の取り扱いにつきまして、これも金融審議会におきまして検討をお願いすることとしているところでございます。

自己査定関係につきましては、そのほか第三者割当増資についての事務ガイドラインの整備ですとか、あるいは自己資本比率を外部監査の対象に新たにするといったことで、関係規則の改正等々を行いまして、年度内に対応することとしております。

次に「ガバナンスの強化」でございますが、1つは外部監査人による厳正な監査を公認会計士協会に要請をしているところでございます。

また、早期是正措置の厳格化、また早期警戒制度の活用といったようなことにつきましての事務ガイドラインの改正を先般行っております。

またこのガバナンスにつきましては、公的資本を注入しております金融機関に対するガバナンスの強化の観点から、優先株の普通株への転換、これは既に金融再生委員会でその考え方が示されておるのですが、その諸条件を明確化するということでガイドラインの整備を行うこととしております。

また併せて、この健全化計画を達成できないというところに対します業務改善命令の考え方、あるいはその責任の明確化といったようなことを併せてルールの中で明確化することによりまして、公的資本注入行に対するガバナンスの強化を図っていきたいと考えております。

あと一番最後、右下でございますが、中小地域金融機関の不良債権処理、先ほど申し上げましたように金融再生プログラムは主要行を対象としておりますが、中小や地域金融機関につきましては、リレーションシップバンキングのあり方につきまして金融審議会に検討をお願いいたしまして、年度内を目途にアクションプログラムの策定をお願いしたいと考えております。

以上、ざっとでございますが、再生プログラムの作業工程の説明とさせていただきます。

○ 福井部会長

どうもありがとうございました。

それでは皆様方からご意見あるいはご質問を頂戴したいと思います。どなたからでも結構でございます。

それぞれ公表されましてからある程度時間がたっておりますので、皆様方既に勉強済みということであるかもしれませんですが、よろしゅうございますか。――それでは次に進ませていただきます。

金融再生プログラムの作業工程表、ただいまご説明いただいたその工程表の中で、金融審議会で検討というふうに書かれている事項がございます。その事項について今後の検討の進め方についてご相談をさせていただきたいということでございます。この点に関しては、作業工程表に金融審議会で検討と記されております事項についてあらかじめ事務局の方で整理をしていただきました。信用課長から少しご説明をいただいた上で皆様にご相談をさせていただきたいと思います。

○ 河野信用課長

それでは、資料の11-6という横長の表と11-7というものをご覧いただければ幸いでございます。

まず11-6には、ただいま部会長よりご紹介をいただきましたような、作業工程表の中で金融審議会において検討と書かれております部分を抜粋をしておりまして、5項目ここに項目として挙げてございます。真ん中の欄には、それぞれその実施時期等ということで具体的表現を書いておりまして、一番右側に検討の場につきましての案を書かせていただいております。したがいまして、この11-6に沿いまして簡単に申し上げたいと思いますが、まず第1項目は、新しい金融システムの枠組みの中で、「中小企業貸出に対する十分な配慮」という項目がございますが、ここで「信託業について金融審議会において幅広く検討。」という表現がございます。これにつきましては実は既に当部会のもとで信託に関するワーキンググループを構成していただいておりまして、その場で鋭意今検討をしていただいておりますので、案といたしましてはここで引き続き検討をお願いをさせていただいてはいかがかと存じます。

それから2番目の項目でございますが、これは「平成16年度に向けた不良債権問題の終結」というところで、先ほど岡本室長の方からもご紹介申し上げましたように、「新しい公的資金制度の創設」、「制度の必要性などについて、金融審議会において議論を開始し、半年程度で結論。」という記述がございます。これにつきましては、公的資金制度に関するワーキンググループ、これはあくまで仮の名前でございますけれども、こういったものを新設をして検討していただいてはいかがかと考えております。

それから「新しい金融行政の枠組み」というところで、今度は「自己資本の充実」という中に、2項目ほどございます。まず最初は先ほどやはり岡本から申し上げましたような「繰延税金資産に関する算入の適正化」、これにつきましては、「参入上限については、金融審議会において年内に検討を開始。速やかに検討。法律、会計、税制等の幅広い観点から検討。」という記述がございます。

それから、同じここの並びの中で、「銀行の自己資本のあり方に関する考え方の整理」という項目がございまして、こちらの方も「金融審議会において速やかに検討。」とございます。

この2項目につきましては、現在やはりこの第二部会のもとに自己資本比率規制に関するワーキンググループが構成されておりますので、こちらの方でご検討をお願いしてはいかがかと考えております。

最後、「今後の対応」というところで、「中小・地域金融機関の不良債権処理については、「リレーションシップバンキング」のあり方を金融審議会で検討の上、年度内を目途にアクションプログラムを策定。」という記述がございますので、こちらにつきましてはやはりこの問題の専門性にかんがみまして、リレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループ、やはり仮の名称でございますけれども、こういったものを新設してご検討をお願いしてはいかがと存じます。

このご提案につきまして、11-7の資料におきまして一応図をお示ししてございます。

ご覧のとおり第二部会のもとにワーキンググループが幾つか既にございますが、新たに公的資金制度に関するワーキンググループ、それからリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループというものを点線でお示ししますとともに、現在既にございます信託に関するワーキンググループと自己資本比率規制に関するワーキンググループについても表示してございます。

ご説明は以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。要するに、この作業工程表で金融審議会で検討というふうに記されているものが4つある。信託業とそれから新しい公的資金制度の創設、それから自己資本絡みのところで自己資本充実、そして繰延税金資産に関する算入の適正化、それからリレーションシップバンキング、こういうことになると思いますが、今の事務局のご提案は、信託業については既に動いている信託に関するワーキンググループで自然に吸収されるのじゃないかというお話でございました。それから自己資本充実、繰延税金資産に関する算入の適正化という点については、自己資本比率規制に関するワーキンググループ、新しいBIS規制等を展望しながら池尾先生にリードしていただいているワーキンググループに当てはまるかどうか。今回の工程表の中で指摘された項目については、具体的には今までこのグループで吸収しておりませんが、このワーキンググループの性格からいって、ここに吸収していただくことでどうか、こういう提案でございます。それから、リレーションシップバンキングについては今のところ該当するワーキンググループはできておりませんので、新しく作ってはどうか、こういうふうなことでございました。

したがいまして、ワーキンググループの新設提案が2つ、新しい公的資金制度とリレーションシップバンキング、残りの2つは既存のワーキンググループで吸収できるのではないか。

なおかつ、実施時期等というところをご覧いただきますと、期限が切られているのが新しい公的資金制度の創設が半年程度、それからリレーションシップバンキングについては年度内を目途にと、こういうふうになっているわけでございます。

こういった全体の検討体制の組み方、検討の進め方について皆様方からまずご質問あるいはご意見をぜひ頂戴したいというふうに思います。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。池尾先生。

○ 池尾委員

確かに自己資本比率規制に関するワーキンググループというのは存在しておりまして、それの座長を私がやっていることになっているのですが、実質的には大本のBISにおける規制の見直し作業が遅れているということもありまして、自己資本比率規制に関するワーキンググループは事実上開店休業状態がかなり長く続いております。したがって今回新設ではありませんが、かなり新たなミッションをいただいて再出発するというような感じになると思います。それを機に座長を見直していただければ本当はいいのですが、そうもいかないとしても、資料の11-6にありますように、「法律、会計、税制等の幅広い観点から検討。」ということになっておりますので、メンバーの見直しをお願いして、法律とか会計、税制の専門家の方を新たにワーキンググループのメンバーとして参加いただいて進めていくという形にさせていただきたいなというふうに思っております。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

ほかにございませんですか。それでは、ほかにご意見がないようでございますので、この第二部会で今ご説明のありました事項、つまり作業工程表において「金融審議会で検討」と記されている事項につきましては、当部会で検討していくこととさせていただきたいと思います。

そして、新しい公的資金制度の創設の必要性というテーマと、リレーションシップバンキングのあり方についてというテーマにつきましては、ワーキンググループを新設させていただきたいと思います。

それから、繰延税金資産に関する算入の適正化、それから銀行の自己資本のあり方に関する考え方の整理につきましては、池尾先生大変ご苦労様でございますけれども、自己資本比率規制に関するワーキンググループにおかれましてぜひ検討をしていただきたい。メンバー構成について池尾先生からご意見がございました。しかるべく対応すべきであろうというふうに思います。

それから、新たに設置する2つのワーキンググループの人選、それから自己資本比率規制に関するワーキンググループのメンバーの異動でございますけれども、できますれば私にご一任いただければと存じておりますが、この点に関しましてよろしいでしょうか。皆様方のご意向を確認したいというふうに思いますが。よろしゅうございますか。――ありがとうございました。それではそのように今後取り運ばせていただきます。

それでは最後に、生命保険のセーフティネットの再構築につきまして、事務局より、これはご報告事項でございますが、お願いを申し上げます。

○ 中島保険企画室長

保険企画室長の中島でございます。お手元の資料11-8に基づきまして、生保のセーフティネットの再構築についてご説明させていただきます。

まず、中身の方をご説明するために1ぺージおめくりいただきまして、「生保の新セーフティネット」という図を見ながら聞いていただければと思います。

現行の生命保険のセーフティネットにつきましては、平成10年に4,600億円の規模で創設をされました。しかしながら、下に書いておりますが、東邦生命の破綻によりましてその財源の相当部分が使用される見通しとなったことから、平成12年に3年限りの措置といたしまして政府補助の特例措置を含め、5,000億円の規模のセーフティネットが追加的に整備をされております。これが右側の上の図、「現行スキーム〔12~14年度〕(15年3月までの破綻に対応)」という部分でございます。

さらに実際の現時点での使用状況を見てみますと、注の「これまでの資金援助額」、左の側を見ていただきますと、合計が5,380億円となっておりまして、また右上の方のミシン目が入っております部分、これは実は780億円、1,000億のうち780億円部分までが使用されております。現在のスキームの中で残されておりますのは民間の220億円、それから国の4,000億円となっております。ただし、この国の4,000億円につきましては、先ほども申し上げましたとおり、15年3月末までの時限措置というのが現在の状況でございます。

こうした状況のもとで、また現在の生命保険会社を取り巻く厳しい環境にかんがみまして、保険契約者等の保護を図りまして、さらに生命保険に対する信頼を確保するという観点から、そこの下にありますように、新スキーム、15年度から17年度の3年間につきまして、これまで同様の業界対応1,000億、国対応4,000億の合計5,000億規模のセーフティネットを整備する、こういう案でございます。

もちろん業界対応1,000億と書いてございますけれども、まず第一に破綻がなければ当然出ないわけでございまして、また最近の破綻の事例を見ますと、早期処理なども定着している、あるいは会社更生法等の適用もありまして、使わなければそれはそのままお返しするという考え方をとっております。

そういう意味で、ここの真ん中、張替えと書いておりますけれども、現行のスキームにつきましても、15年3月までの破綻に対応ということで、仮に今ミシン目、先ほど780億円と申しましたけれども、万々が一今後何かの破綻が生じて右側にずれるということも、もちろん可能性としては全く否定できないわけではございませんけれども、一方で現在東邦生命、第百生命の中の清算法人に一部財産が残されている部分が将来的に返還されれば、その部分はミシン目がやや左に戻るということも想定されるわけでありまして、それはそれといたしまして、15年3月までの破綻に対応したものという整理といたしたいと考えております。

こういったスキームをつくりまして、金融庁としては引き続き生保に対する信頼感を確保していきたいということでございます。今後この保護機構の会員となっております生保会社の理解を得た上で、来年の通常国会に所要の法案を提出するべく準備を進めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

ご質問、ご意見等ございましたらどうぞおっしゃってください。よろしいでしょうか。

それでは、特にご意見がないというふうに――ございますか、どうぞ。

○ 高橋委員

今ご説明いただきました資金拠出のお話ではないのですが、先ほど第二部会における今後の検討の進め方のご説明におかれましては、金融再生プログラムに直接的な関連はないということで、保険ワーキングに関してはご説明がありませんでした。その点に関してご説明をいただきたいというふうに思っております。

と申しますのは、この生保の安全ネット、それから損害保険の安全ネットも含めまして、保険のセーフティネットに関しては再検討の要請というのがこの金融審議会の席上で何度かなされてきていると思います。私も複数回申し上げてきております。

98年の金融システム改革のときに、そもそもこの機構ができましたときにも、もう時間切れという形で、私などもかなり反対した部分があったのですけれども、想定される問題を含みながらきたわけです。その後生保6社、損保2社が破綻しまして、仕組みそのものの問題というのが露呈してきているのではないかというふうに思います。

それで、今回の話とはちょっと別なのでどうしようかと思ったのですけれども、もともとはペイオフ問題が一段落してからこの基本的な問題に関してもやりましょうという課題があったというふうに思います。それからいいますと、銀行を中心としましたこの再生プログラムの実行と並行して銀行と資本関係にあります生・損保の問題というのも検討を開始すべきではないかというふうに思っています。今日もネット上では金融庁さんと業界の方で責任準備金を90%保証じゃない、もっと下げるという討議が行われているというようなものが流れているわけでございますが、この第二部会及びワーキンググループというのは今年の2月、3月の開催以降は開催されていないのですね。でも私どもの方にはやはり審議会の委員ということで、検討しているのではないかということでいろいろご照会がありまして、内容がわからなくて大変困っております。悩ましい問題なのでなかなか公開の場で議論にならないというようなご説明も以前いただいたように思うのですけれども、このセーフティネットに関しましては、とりあえず今のお金の問題は解決したわけですから、この次の問題をやっておかないと、また網をつくろうようなことをずっとやって、消費者の信頼を損なっていくということが起きるのではないかと思います。ですので、早急に、不安だからということではなくて、よりみんなが納得できる、みんなというのは、消費者もそうですし、保険会社、資金拠出をしている会社もそうですし、銀行とかいろいろ資本関係にある周りのところもいろいろ保険に関したご意見をお持ちだと思います。もうそろそろ本当に着手しないと大変ではないかというふうに思いますので、提案をさせていただきます。

以上です。

○ 福井部会長

お答えいただけますか。

○ 三國谷審議官

いずれにいたしましても今回3年間のセーフティネットを整備しようということで今こうやって努力している最中でございますが、この措置が3年間限りの措置でございますので、その後のあり方ということについては、私どもは幅広く勉強していきたいという具合に考えております。したがって、時期についてということは別といたしまして、そういった議論をするのであればこのワーキンググループなどでいろんな議論をしていくということになろうかと思います。

ただ、いろいろ言われておりますが、今あらかじめ特定の方針を決めたとか、特定の項目に絞り込んだとか、これはこうするとか、そういうことはございません。それこそいろんな項目につきまして、特定の項目に絞り込むこともなければ、特定の項目を排斥することもない、そういうことでいろんな議論はこれからしていかなくちゃいけないだろうなというふうに考えております。

○ 原委員

よろしいですか。消費者の立場から、今高橋委員がおっしゃられたように、このセーフティネットの議論はともかく緊急的に組まれたという印象が確かにありまして、抜本的などういう仕組みがいいかということの検討はいたしましょうというふうになっていたわけで、今のはちょっとご回答をお聞きしますと、問題とは感じているのでということなんですが、勉強しますということではなくて、やはり具体的に検討をするという、今回は本当にタイムリミットで来年の3月というところがあるので、その次の3年間を組まれたということになるのだと思うのですが、私の感じとしては勉強しますというレベルではなくてやはり具体的に検討を開始するということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○ 三國谷審議官

いずれにいたしましても、今私どもが考えておりますスキームというのは3年間限りの措置であります。3年間限りの措置ということは、3年後の17年度まででございますが、18年度以降のあり方については幅広く検討しなければいけない。

一方生命保険の問題というのは大変込み入ったシステムの大変難しい問題でございまして、ご主張、ご意見、それぞれいろんな立場でいろんなご意見があるわけでございます。そういったものを、それからご指摘ありましたように生命保険だけではなくて損害保険の問題、重なっている部分、それから両者の保険の違いとか、そういったものを全部やっていかなくちゃいけないわけでありまして、それも例えば3年後にそういった新しいスキームでやろうとすれば、その前にいろんな議論の取りまとめをして、次にどうするかという方向に持っていかなくちゃいけないわけです。3年間何もしないということじゃなくて、できるだけ時機を失しないように検討に入る項目は多々あるということでございます。

○ 福井部会長

それでは大分時間も迫ってまいりましたので、ほかにございませんでしたらこれをもちまして本日の審議を終了したいと思います。

なおこの後、事務局の方で記者レクを行われる予定になっております。本日の会合の模様について事務局から記者レクをさせていただくということでございます。

最後に事務局の方から、このほかご連絡事項がございましたらどうぞお願いいたします。

○ 河野信用課長

ありがとうございました。

次回の第二部会の日程等につきましては、部会長ともご相談の上、改めてご連絡をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

事務局からは以上でございます。

○ 福井部会長

ありがとうございました。

それでは、ワーキンググループができるだけ早く発足して実質審議に入れますように準備を整えたいと思います。何分よろしくご協力をお願いいたします。

部会そのものは年内はちょっと開くのは無理だと思いますので、どうぞよいお年をお迎えください。

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