金融審議会金融分科会第二部会会合(第12回)議事録

日時:平成15年3月27日(木)10時00分~12時20分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 特別会議室

○ 岩原部会長代理

それでは、時間でございますので、ただいまから金融審議会第二部会の第12回会合を開催いたします。

皆様、本日はご多用のところをご参集いただきまして誠にありがとうございます。

議事に入ります前に、当部会の福井会長におかれましては、日本銀行総裁へのご就任に伴いまして、金融審議会委員をご退任になりましたので、その点をご報告申し上げます。

本日はまだ新しい部会長が決まっておりませんので、福井部会長より部会長代理のご指名をいただいております私が議事進行をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

また、皆様ご案内のとおり、去る1月25日に金融審議会の委員が選任されておりますので、本日は選任後初めての第二部会ということになります。メンバーにつきましては、お手元の名簿をご参照いただきたいと存じます。今後このメンバーでご審議いただくことになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、本日はリレーションシップバンキングのあり方に関するWGの堀内座長及び第一部会所属の嘉治委員にもご出席いただいております。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。

お手元の議事次第に沿いまして、まず、金融再生プログラムを受けて、昨年12月の当部会で設置をご了承いただきましたWGのうち、リレーションシップバンキングのあり方に関するWGの報告書につきましてご審議いただきますとともに、その他のWGの審議状況につきまして、事務局より報告をいただきたいと思います。続きまして、3月14日、国会に提出されました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、事務局よりご説明いただきたいと思います。最後に、保険募集に係る構成員契約規制につきましてご審議いただきたいと思います。

なお、本日の会議は公開とさせていただいております。

それでは、まずリレーションシップバンキングのあり方に関するWGの報告書につきましてご審議いただきたいと存じます。

リレーションシップバンキングのあり方に関するWGにおかれましては、堀内座長をはじめ各委員の皆様方に短い時間に大変ご尽力いただきまして、本年1月15日以降3月19日までの間に合計7回の会合を開きますとともに、2回の地方懇談会を開催されるなど、精力的にご検討を進めていただきました。

まず、事務局から審議経過等を簡単に報告していただき、同WGの報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」を読み上げていただきたいと存じます。その後、堀内座長からコメントをいただいた上で、皆様にご審議をいただきたいと存じます。

それでは、事務局より読み上げをお願いいたします。

○ 河野信用課長

それでは、お手元に「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」と題する報告書をお配りしてございますので、これに沿いまして読み上げさせていただきたいと思います。

先に全体の構成だけご紹介させていただきますと、表紙をおめくりいただきまして、WGのメンバーの名簿をおつけしております。堀内先生には大変ご尽力をいただきまして、この報告書をおまとめいただきました。

もう1枚おめくりいただきまして、審議経過の簡単なご紹介でございますが、今、岩原先生からお話いただきました内容でございまして、特に2カ所で地方懇談会を開催させていただいたということでございます。

さらに1枚おめくりいただきますと、目次がございます。全体の構成としまして、「はじめに」というところから始まりまして、リレーションシップバンキングの意義と有効性、わが国のリレーションシップバンキングの現状、さらには、リレーションシップバンキングの機能強化の必要性とその基本的考え方、4番目に、具体的な取組みといたしまして、機能強化に向けた取組みの内容についてのご提言をいただいております。「おわりに」のあとに、参考としまして、「金融再生プログラム」等の資料、特に地方懇談会、財務行政モニター等に対するヒアリング結果の概要についても、参考資料としておつけしております。

それでは、読み上げさせていただきます。

○ 事務局

それでは、2ページから始めさせていただきます。

(ワーキンググループの報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」の「はじめに」(2ページ)から「おわりに」(32ページ)までを読み上げ)

読み上げは以上でございます。

○ 堀内座長

どうもご苦労様です。

大変長い報告書を提出しまして申しわけないような感じがしておりますが、私から蛇足を2つほど付け加えたいと思います。

今、読み上げていただいたことで尽きておりますけれども、日本の経済の現状を踏まえて考えたときには、とりわけ地域経済、中小企業、小規模企業の活力を高めていくという観点から見て、いわゆるリレーションシップバンキングにある程度依存して経済の活性化を進めていかざるを得ないというのがこの報告書の一つのポイントであります。少なくとも形態的にはリレーションシップバンキングというものが、特に中小金融機関あるいは地域金融機関、協同組織金融機関によって担われているということから言えば、重要な担い手としての金融機関の活動に大いに期待したいというのが同時に出てくるわけでございます。

ただ、我々WGで心配した点は、そういう議論を進めてポイントを強調すると間違ったメッセージを、とりわけ金融機関の方々に与えてしまうのではないかということでありました。つまり、リレーションシップバンキングの理念というか理想的な姿というのがこの報告書の冒頭に書かれているわけですけれども、現実の日本の中小・地域金融機関の活動は必ずしも理想的な姿と一致しているわけではないということも我々は強調したいということであります。つまり、リレーションシップバンキングの重要性を強調するということは、必ずしも現状がいいということを言っているわけではないし、現在の状況をそのまま先送りしていいということでもないということでございます。その点で、地域金融機関、中小金融機関の方々にはさらにいろんな形で頑張っていただきたいということも、この報告書の中に盛り込んだつもりであります。それが第1点であります。

もう1つは、リレーションシップバンキングをどう見るかという、比較的限定された視野から我々は日本の金融システムについて議論したということでございまして、それが我々のミッションであったものですから、例えば資本市場の機能という点についてはあまりというかほとんど触れていないわけであります。触れていないということは、決して資本市場が重要ではないということではありません。リレーションシップバンキングが重要であるとは言いましても、ちょっと触れてありますように、長期的な視野で見ると資本市場の本格的な機能を日本経済の中に導入していくことは絶対に必要であって、避けられないだろうという認識を持っております。ただ、冒頭に申しましたように、現在の状況の下で本格的な資本市場の機能に、伝統的な銀行業務、融資業務に代わる形で全面的に依存するということには無理があるということをこの報告書では強調したわけでございます。

短期間でまとめるということでありましたので、ある意味では見落としと言いましょうか、不十分な論点、議論の不十分な点があるのではないかとやや心配しておりますけれども、事務当局にも随分ご協力いただきまして、地方懇談会等でヒアリングをすることもできました。そういう点で言うと随分有益な情報が得られて、私どもに課せられたミッションを全うできたのではないかと考えています。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございました。

それでは、本報告書につきまして、ご質問またはご意見がございましたら、ご自由にご発言願いたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

若林委員、お願いします。

○ 若林委員

1つお伺いしたいと思います。リレーションシップバンキングの趣旨を非常によくまとめておられると思うんですが、その中で、強化策というんですか、考え方としては、いろんなサービスを提供するという中にコンサルティング機能ということが書かれているわけでございます。コンサルティング機能をやるためにはかなりの人材がいるということもさることながら、企業経営と銀行の融資との兼ね合いでコンサルティング機能が位置付けられていった場合に、場合によっては貸出との関係で過度と言ったら語弊があるかもしれませんが、企業経営の判断に対する何らかの介入のし過ぎという問題と、これが逆に出た場合に責任問題というんですかね、そういうものにつながっていく恐れはないんだろうかなということが1つあると。

もう1つは、中小企業のこういう形での地域金融機関とのつながりがきちっとできていくということは望ましいんですが、将来の方向づけとしては、今、座長が少しお触れになりましたけれども、自己資本という形で抜けていくというんですか、自立していくと、そういう方向もきちっと模索していくべきではないかという気がいたします。その辺についてお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

○ 岩原部会長代理

それでは、お願いいたします。

○ 堀内座長

ご指摘は確かにそのとおりだと思いますし、WGでもその点について若干の議論がありました。我々はその点については、企業もさることながら中小あるいは地域金融機関が経営のガバナンスに大きな問題があって、そういうものをうまく解決できないと、今おっしゃったような経営介入のもたらす難点を克服できないのではないかと考えています。ですから、中小金融機関あるいは協同組織金融機関の経営ガバナンスがきちんと整えられて、その結果としてリスク選択、あるいは、融資活動と経営アドバイスの仕分けと言いましょうか、サービスの仕分け、デマーケーションというんですかね、そういうものをきちんとできるという体制を早急につくっていただきたいというのが我々の希望であります。

おっしゃるとおりの問題はあるということは、我々のWGの中でも認識はあるということを付け加えたいと思います。

○ 岩原部会長代理

川本委員、お願いします。

○ 川本委員

3点ほど質問させていただきたいと思います。

こういう経済環境ですので、こういう内容が多岐にわたるレポートが出されるということは理解ができるんですけれども、必ずしも金融行政あるいは金融監督が本来やるべきことばかりが書かれているわけではないような気がいたします。例えば民間銀行であれば本来自分たちで工夫をして探していくビジネスチャンスのようなものがかなり書き込んであって、特に気になりますのが13ページ以下です。「創業企業に対する起業支援の強化」とか、15ページの「成長期・安定期企業に対する円滑な資金供給、経営相談等の実施」、あるいは「早期事業再生に向けた積極的な取り組み」というようなところが、金融行政が今後考えていかなければいけない課題なのかと疑問を感じます。このような問題意識の下にお尋ねしたいのは、こういう状況の下にどのような規制体系を組み立てていくのかということは、突き詰めて言えば24ページ以下で書かれている「監督当局による規律」というところに集約されるという理解でよいのか、ということが1点目の質問であります。

2点目は、25ページに「中小・地域金融機関の不良債権の特性を踏まえた処理」と書いてありますが、ややもすると若干曖昧な表現なのかと懸念いたしまして、これが根拠になって処理が進まないのではないかというような心配が出るのは当然のことだと思います。それに対して、26ページで「決してこれは先送りではない」と書かれておりますけれども、特性というのはどういうふうに判断されるのかということの考え方。

3点目は、ここに定義されているリレーションシップバンキング的な役割というのは、必ずしも地域金融機関に限定されるものではないように、定義を拝見すると思いましたので、それについて、例えば大きな銀行についてもこういうふうなものは適用され得るのかということについてお尋ね申し上げたいと思います。

○ 岩原部会長代理

それでは、堀内先生、お答えいただけますか。

○ 堀内座長

一番最後の点は、報告書に書いてありますように、融資先の企業の問題として、中小や小規模企業に関して既に検査マニュアル等で取扱いに差ができているわけですね、大企業というものと。そういう点で言うと、リレーションシップバンキングの重要性を帯びていると思われる債務者に対する行政的な取扱いについては、大銀行と言いますか、メガバンクに関しても中小金融機関あるいは地域金融機関、協同組織金融機関についても、基本的には同じ扱いになると、金融機関の形態によって違いがあるというものではないというのが、我々の報告の趣旨でございます。

それから、第1点は、経営モデルと言いましょうか、具体的には本来私的な企業体としての金融機関が個々に選択すべき、あるいは解決すべき課題について、余計なお節介をしていると、私もそう思わないではないと。この種の審議会の報告書は代々そういうことできたんですね。おかしいと言えばおかしいんですが。したがって、我々としてはこれが金融行政のターゲットであるという書き方はしてないつもりです。これは、あくまでも民間の金融機関が主体的に取り組んでほしいということだけれども、こういう問題があるんじゃないかということを老婆心ながら付け加えると。そういう点なんですね。

私も研究会の席上で冗談めかしてそういうことを申しましたけれども、我々としてはぜひ中小金融機関の経営者に大いに頑張ってもらいたいというエールを送っているつもりです。もっといいアイデアが現場の方々からどんどん出てくるんじゃないかというふうに期待していまして、私としてはこんなものにこだわらずにどんどんやっていただきたいというのが本音であります。しかし、行政当局としてはこういう自主的な取組みについて絶えず心配していますよということを知らせる必要があったんだろうと思います。

それから、「金融機関、小規模企業の特性を踏まえて取扱い……」、二十何ページでしたか、確かにそういう文言があります。その特性というのは債務者の企業の経営のあり方が、少なくとも伝統的には情報が開示されずに、マーケットの関係性が評価しにくいという経営状態にあると。例えばかなり連続して赤字を出していても、従来はまともな経営努力をし、経営組織としての将来性もあると評価されて、現にその評価がそれほど間違いでなかったような企業は現在でもたくさんあるけれども、そういう企業が大企業と同じような基準で債権を評価するということになると、金融機関の側では問題のある債権として厳しく評価していく必要があるということです。

この点は、ここに触れてありますように、金融機関の側のエクイティの拠出と融資の関係がリレーションシップバンキングという名の下にかなり曖昧に、渾然一体となって使われているという面があるのではないかという認識は我々もあります。しかし、現状そういう状況にあるということを考えてみますと、そこを非常に厳しく、あるいは、機械的に評価して、不良債権の額を評価していくのがいいかどうかということについては、私の個人的な意見になりますけれども、無理があるのではないかと思います。日本の経済の状況に照らして考えると、私としては債務者の特性を反映した形の評価、あるいは、行政側から言えば行政のあり方というのが望まれるという書き方になっております。

じゃあ放っておいていいというわけではなくて、ここにも書いてありますけれども、金融機関の健全性を幅広いメジャーで見て、絶えず経営の健全性に努めるようにプレッシャーをかけていくということは同時に行う。非常に難しい手法になると思いますけれども、そういうことも要求しているということです。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございました。

行政サイドから河野さんお願いします。

○ 河野信用課長

若干補足をさせていただきます。

1点目につきましては、このWGにお願いしましたマンデートが「多面的な尺度から検討し」とございましたので、必ずしも行政がすべてやれということでもございませんし、むしろ金融機関の自助努力をお願いする上で、有識者の方に建設的なご提言を頂戴できればということでございましたので、そういった点にもお答えいただいたということであったかと思います。

2点目につきましては、26ページにいろいろ書いてございますけれども、(注)において不良債権処理にあたっての違いのようなものを書いてございますのは、マクロ的な意味での不良債権処理についての目標の立て方について、例えば異なった取扱いをする場合にこういう理由でそういう必要があるかもしれない、あるいは、同じ扱いをすることが適当ではないかもしれないということを述べたに過ぎませんので、個々の不良債権において処理すべきものを処理しないとか、そういったことを意味するものでは全くございませんし、この点はWGの中でも委員の皆様からご注意いただいたところでございます。適切な償却・引当は当然必要であるという前提に立っております。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

それでは、原委員、お願いします。

○ 原委員

WGに所属しておりましたので、今、座長と課長から話されたとおりというか、方向性、議論の中身はそうだったのですが、雰囲気的なところだけ少しつけ加えさせていただきたいと思います。

当初、リレーションシップバンキングとはという定義の話から、国民にもよくわからないんじゃないかというところから話はスタートしております。あとは、冒頭ヒアリングが続いたんですが、WG全体の雰囲気としては、実情については理解できるけれども、このままでいいというわけではないというところが委員全体の雰囲気だったと思っております。感じとしては、リレーションシップバンキングの必要性、そういった機能の必要性はわかるけれども、それを果たしていないし、これから果たしていってほしいというエールを送っているけれども、果たし得るのかというところでもまだ大変疑問はあるというところが、この報告書の段階だと考えております。

当初これが3月末という非常に短いタイムリミットの中で議論をしろということだったので、ともかく多面的にということで考えられる項目を挙げて、特にこれは行政が出す報告書なものですから、最後のところがいかにも行政がやる監督というところだけに収斂しているというような形になっておりますけれども、出された議論は非常に多様なものがあったと考えております。

それから、消費者として大変気になったのが、不良債権のところに力点を置かれて、それをどうしていくのか、今後、担保主義ではないやり方をどうするのかという議論が中心で、地域経済と密接に絡んでいるからというところに力点があったので、私としては、信金とか信組にお金を預けている側としては、そこの経営が不安定ということは大変気になるところで、特に年金を私どもにお預けくださいとかかなり派手なパフォーマンスが多いものですから、預ける側としても大変気になる、利用者側としても気になるということは再三申し上げました。

こういった機能があるから、不良債権処理のお見逃しをとか、自己資本がこの程度でというようなことにはならないということは何度も申し上げました。そういう意味で、この報告書の最後の「おわりに」というところで、「利用者にとっても」という文言が付け加わっているというのも、地域経済という中に消費者、利用者も含まれているということはぜひ盛り込んでいただきたいということで入れたところです。ですから、ともかく考えられるところをいろいろ出してみたということです。

あとは、26ページにありますけれども、2年間の集中改善期間が終わった後にどういう姿が出てきているのか。出されたものをそれぞれの地域金融機関が真摯に受けとめられて努力をなさるということが一番のポイントだと思っておりますので、ここのところに世の中全体として注目をしていっていただけたらと考えております。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございます。

和仁委員、お願いします。

○ 和仁委員

遅れてきて、しかも1回しか出席しておりませんので、雑なコメントになっていることをお許しください。今、読んで聞かせていただいた内容にのみ基づき理解をしているんですが、リレーションシップバンキングには2つの側面があると思います。1つは、今の不良債権あるいはパフォーマンスの悪い貸出をどうするかという問題、もう1つは、中小金融機関に今後どういうふうに儲けていってもらうかということなんですね。

後者の儲けてもらうという言葉に関して、これは表現が適切でないかもしれませんが、12ページに、付加価値の高いサービスの提供を行っていけということで、コンサルティング機能とかビジネス・マッチングための仕事をしなさいと書いてあります。問題は、銀行というのはそもそもファイナンシャル・アドバイザー業務をやれるんですかという問題があります。即ち法律上の根拠がはっきりしない。付随業務を銀行法10条2項の柱書きで読んでいますけれども、そこのところの手当がしっかりしていないということで、銀行としてはなかなか踏み切れないところがあります。

殊に、ここで申し上げる話ではないのかもしれませんが、最近の検査部の検査を拝見していますと、付随業務に列挙してあるものだけが付随業務であるような言い方をされる検査官も多いようでして、それ以外は他業禁止に触れるということを言われてます。まあ、脅しでしょうけれども、そういうことを言われると銀行としては新しい業務をやりづらい。ここでおっしゃっていることは、地域の金融機関だけではなくて、大銀行のリーテルバンキングをやっている人たちと同じ問題でありまして、銀行にいかに儲けてもらうのかということに対する配慮が少ないんじゃないかという感じがします。

銀行がきちんと儲かるような体質にするための道を開いてあげるために、監督官庁がいろいろおっしゃる気持ちはよくわかりますけれども、監督官庁はお金を儲けるわけにはいかないわけでして、だれの責任かといったら、民間の人たちがやっていただかなくちゃいけない。そのためには何をしてあげるかというと、どこまで銀行はやっていいのか、どこから銀行はやっていけないのかということをはっきりさせることが必要ではないでしょうか。例えば、ビジネス・マッチングといっても、銀行が顧客を証券会社に連れていって、証券会社からフィーをもらっていいのかといったら、それは証券業の媒介だから証取法65条の問題が発生するということでお金をとれませんという問題もあります。その辺をきちんと行政の方でお考えいただかないと、ここに書いてあることはなかなか実行に移し難いと思います。

以上です。

○ 堀内座長

ご指摘の点は、WGの中でも規制の改革をどうするかということで論点としてはありました。ただ、我々のミッションは限定されていました。つまり、当面の地域金融機関の不良債権問題などに対してどうやって対処していくかということを、例の「金融再生プログラム」との関係で参考になる報告書を出せということでありましたので、規制改革と言いますか、自由化というものについてはあまり立ち入った議論ができなかったということは事実であります。

○ 岳野銀行第二課長

ただいまご指摘いただいた点につきましては、今、座長からお話がございましたように、WGの中でもいろいろ議論がございましたので、今後この報告を受けて当局で策定いたしますアクションプログラムも含めて、今後の行政上の対応の中で十分念頭に置いて対応していきたいと考えております。

○ 岩原部会長代理

中村委員、お願いします。

○ 中村委員

私ども主要行の立場として、やや実務に近い点から申し上げたいと思います。

今回、金融検査マニュアルにつきましては同一の基準で、同じ債務者に対する信用判定は同じ基準でということになりましたので、この点につきましては混乱はないと思っております。ただ、強いて留意点を挙げますと、最終処理の期限ということで、迫られている業態と迫られていない業態がございますので、実際の最終処理の個別のミクロの段階でフリクションが起きないかという点でございます。特に、中小・地域金融機関が多数取引されている中で、主要行が1行だけ取引があるといった場合、例えば破綻懸念先等の場合、主要行が処理を急ぐことが顧客の理解を得にくいとかいったケースが想定されるわけでございます。

もちろん、そういう全体的なスピード感、規制があるかないかということが1件1件の処理のスピードと短絡的に結びつくものではございませんし、こういった場合でも私どもは基本的には一義的には自己責任でやってまいりたいと思いますが、今後、想定以上のフリクションが生じてきた場合は、その時点でいろんな対応策とか補完策とか、こういうことをお願いしたいということでございます。ただ、いずれにいたしましても主要行といたしましては、昨年の10月に決められました再生プログラムに基づいて2年間で半減するということ、各行もいろんな経営計画を具体化してやっておりますので、これにつきましては責任をもって果たしていきたいと考えております。

○ 堀内座長

ご指摘の点は、主要銀行とその他の金融機関が同一の債務企業に融資をしているときですが、査定に関していえば私の理解では、マニュアルの上でいうと相当大きな企業であるということから言えば、処理は同一のマニュアルに従ってやらざるを得ないだろうと思います。したがって、債務者が大企業であれば、主要銀行以外の金融機関もそれについてはしかるべき厳しい、当然の査定をしていくはずだと思います。

○ 岩原部会長代理

それでは、翁委員、お願いします。

○ 翁委員

このリレーションシップバンキングのビジネスモデルというのは、協同組織金融機関にあてはまりやすいというところがございましたけれども、私も今日伺っていてそんな印象を受けたんですが、合併のところで書いてございましたけれども、リレーションシップバンキングを最も効率的にやっていく適正規模というのがいろいろあるのではないかと思います。一方で、地域金融機関などについては公的資金などを使って経営統合を促進するという動きもあるわけですが、かつての信用組合の例などを見ても余りにも規模が大きくなると、必ずしもリレーションシップバンキングがうまくいかなかったという事例もあるわけですね。

そういう点で、今回のこの報告書を地域の金融機関の合併とか経営統合のスタンスといったものにどういうふうに反映させていくかというふうに考えておられるのかとか、今回の報告書についてはそういったところについてどのような議論がなされたのかということについて教えていただきたいと思います。

○ 堀内座長

経営統合については若干議論が出ました。「最小最適規模」という経済学でいう言葉で申しますと、相当数の協同組織金融機関が最小最低規模に達してないかもしれないという心配、それから、これは地域性の問題がありますので、リスクを分散する機能をどういうふうに実現できるかということについて、個別機関の上にある中央組織のようなものとの関連性について議論されましたが、特に規模が大きくなければいけないという形では議論は決着しませんでした。

ここには明示的に書いてありませんので、ちょっと問題なんですけれども、ガバナンスのあり方として、協同組織、ノンプロフィット・オーガニゼーションという組織の経営形態のあり方、経営陣の体制のあり方等に関しては、かなり議論されまして、そこは今後見直していく必要があるんじゃないかという意見がかなり強く出されました。

お答えになっているかどうかあれですけれども。

○ 岩原部会長代理

今松委員、お願いします。

○ 今松委員

質問というよりは感想めいたことですけれども、1つは集中改善期間後の姿ですね。これは、いい姿になっていればいいということであるんですけれども、これはどういう姿なのかというのが、これが仮に国民に公表された場合にわかりづらいのではないかという気がするんです。もちろんその特性を加味しながら、例えば主要行のような形での半減とかいうようなものはないにしろ、地域全体の活性化との関連の中でどういう姿なのか。それぞれ個々別々だとは言いながらも、一定のどういう形なのかという点についてこれから先のアクションプログラムの中でどう処理されるかわかりませんけれども、一つあり得る姿を考えておられるのであれば教えていただきたいというのが1点です。

もう1つは、地域資金循環と言いますか、いずれにしても中小金融機関の場合は預貸からいくと明らかに貸出が小さいという中で、これは金融プロパーというよりは、地域経済というか産業政策等々の中で問題を解決していかないとなかなかうまくいかないだろうと。そういう点ではこういう形でのリレーションシップバンキングの強化と同時に、地域経済の政策をより強化していくということを政府全体としてやってもらいたい、これは全く感想になります。

○ 堀内座長

今の点は全くそのとおりで、ここで扱っている問題で日本経済の帰趨が決するとは思っていないわけであります。

それから、最初の方の問題は、申し訳ないんですけれども、将来展望については十分時間をかけて議論することはできなかったということであります。時間的余裕がなかったものですから、当面、2年間の間にというようなパースペクティブで議論しました。

○ 岩原部会長代理

河野課長、お願いします。

○ 河野信用課長

全く同じご質問をWGでも頂戴しまして、私どもはそこをどういうふうにお示しするか苦しんだわけでございます。いずれにしましても、政府といたしまして、平成16年度までに不良債権問題を終結させると。もちろん、数値的にはいろいろな計数が必ずしも明確になっているわけではございません。例えば主要行の不良債権比率の問題はございますけれども、基本的にわが国の金融システムに対する信認が確保されているということが一つの目標になっているわけでございます。

その中でこのWGにおいてお示しいただいたのは、全体的な大きな目標の中で中小・地域金融機関について2年間でどういったことをやっていかなければならないか、どういう形で努力をしていただくことでその状況につながっていくか、さらに、中小・地域金融機関について言えば、WGの中で何度もご指摘いただいたことですが、リレーションシップバンキングが長期にわたってサステーナブルな状態をつくっていかなければならないということで、いろいろな努力の方向性を頂戴したと思っております。そういう意味で、2年後にともかくそういう状況に向けて前進をみているということが大変重要ではないかと思います。

○ 岩原部会長代理

ありがとうございました。

多くの委員から非常に貴重なご意見、ご指摘をいただきまして、この報告書を推進していく上で留意すべき非常に大事な点をご指摘いただいたように思いますので、そういった点を十分踏まえた上で行政には進めていただくということにいたしまして、WGからの報告書を第二部会としてご了承いただくということでよろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、このWGの報告書を第二部会の報告書として、この会議の終了後に行われます記者会見の場において公表させていただくことといたしたいと存じます。

続きまして、「金融再生プログラム」を受けて設置されましたその他のWGの審議状況につきまして、事務局より簡単な報告をお願いしたいと思います。

○ 河野信用課長

まず信託に関するWGの現在の審議状況につきましてご報告をさせていただきたいと思います。

昨年来、信託に関するWGにおいては、神田先生のご指導の下で5回の会合を開催しております。この間、「金融再生プログラム」においては、中小企業貸出信託会社、いわゆるJローンといった問題にも言及され、またこのWGにおける検討がプログラムの一項目としてうたわれているほか、規制改革推進計画、あるいは、構造改革特区といったところでも、信託について幅広い規制緩和要望が出されております。こうした状況を踏まえまして、当WGにおいては審議を急いでいただいているという段階でございます。

内容でございますが、できるだけ早い段階で結論を出していく必要がある項目といたしまして、第1点目に信託財産の範囲の拡大。これは信託業法第4条におきまして、営業信託において受託可能な財産に制限がございますが、これに例えば知的財産権を加えるといったこと、あるいは、さらに幅広い財産についてもどう考えるかを整理するといったようなポイントがございます。

2点目は、信託会社のあり方でございまして、現在、実務上信託会社が存在しない中で、新たな信託会社の参入を展望していく場合の参入基準や監督規制のあり方などにつきまして、ご検討いただいているところでございます。このあたりの法改正につきましては、別途、法務省では平成17年度以降と聞いておりますが、信託法の見直しの動きもございますので、そういったところとも整合性をとっていく必要はございますけれども、可能な法令の見直しについてはできるだけ早期に実施する必要があるという認識をこのWGとしてお持ちいただいておりまして、この夏までに少なくとも経過的なご報告をいただいた上で、当局としても所要の法案を、平成15年度中の可能な限り早い段階で国会に提出できるような準備をするようにという方向で審議をお願いしているところでございます。

信託WGは以上でございます。

○ 藤井信用機構室長

続きまして、公的資金制度に関するWGについて、現在の状況をご報告させていただきます。

当WGにつきましては、片田座長の下、これまで3回開催されております。本日午後第4回が開催されることとなっております。第1回、第2回では、事務局から現行制度の概要と事実関係の説明を行った後、各委員から意見表明がなされております。第3回のWGにおきましては、翁委員から「銀行界の現状と展望」、藤原委員から「金融機関のガバナンスと経営革新」というテーマでレポートがなされました。今後、さらに委員からのレポート、あるいは、金融界からもレポートしていただきながら、議論を深めることとしております。

幅広く議論いただいているところでございますが、その議論の一端をご紹介いたしますと、まず公的資金増強の必要性に関する議論といたしましては、例えば資本注入というのは金融危機の中のごく限られた状況に対する解決手段の一つに過ぎない。

あるいは、市場が増資の収益性向上効果を疑問視している状態のままでは、危機対応以外のための公的資金の投入を正当化するのは困難ですが、収益性が向上する全く新たなビジネスモデルを提示し、その実現にコミットできる銀行があれば、公的資金増強が経済合理性を持つ場合があり得るのではないか。

そうした新たなビジネスモデルのための公的資金と預金保険法102条のような危機管理的な公的資金の注入は分けて考える必要があるのではないか。資本注入すれば当該銀行が健全になるということであれば、その銀行は自ら市場で自己資本を調達できるはずであり、なぜ公的資金を用いなければならないのか理由をはっきりさせる必要がある。

公的資金を用いる目的という観点からは、金融仲介機能の円滑化、金融システムの安定、デフレ対策など政策目的はいろいろあるけれども、経済学的には複数の政策目的を1つの政策目的で達成するのは難しいので、公的資本増強の目的をきちんと整理しなければならない。不良債権処理の促進といった政策目的に対して、公的資金制度が手段として有効かどうかよく整理する必要がある。資本注入の最終的な目的は、不良債権処理の促進というよりも、むしろ金融システムの安定化、経営の改善ということに尽きるのではなかろうか。

そのほかさまざまな意見がありますが、これまでの既存の公的資金制度の経験を踏まえて、具体的な投入方法を考えていくべきであろう。公的資金を不良債権処理の促進を目的として使用するのあれば、RCCへの補助といった方法の方が効率的、効果的ではなかろうか。あるいは、国が株主となった場合、株主利益と社会的利益が相反する可能性があり、市場等が混乱する可能性があるので、国がどちらの立場で行動するのか明確にすべきである。

資本注入行の信用供与拡大と収益性向上、こういう2つの課題は相矛盾するのではないかという議論は従前からあったところであり、将来の制度においてはこの2つの課題をどう整理するのかよく検討する必要がある。銀行は、現在新たに公的資金を受け入れるとした場合、民間からの資金調達に比べコンプライアンスコスト等のトータルコストが非常に大きいと考えているのではないだろうか。このようなさまざまな意見が出されているところでございます。

以上でございます。

○ 鈴木銀行第一課長

自己資本比率規制に関するWGについてご紹介いたします。

池尾座長の下でこれまで2回行われております。第1回は2月6日、再生プログラムや自己資本比率規制の現在の仕組みなどを事務局よりご紹介した後、各委員から今後どのような観点から議論すればいいか等につきまして自由なご意見の開示がございまして、フリーディスカッションが行われたということでございます。

第2回は3月11日、第1回目の議論を踏まえまして、自己資本比率規制の考え方と経緯や、税効果会計についての国際比較、税制上の話等が事務局から紹介されまして、その後それぞれについて各委員から自由な意見交換が行われたということでございます。

今後の日程につきまして、池尾座長から第2回目の冒頭で、「次回、税制、会計等について有識者ヒアリングなども含めて議論をした後、監督規制のあり方として繰延税金資産、ダブルギアリング、新BIS規制をめぐる議論などを3回ほどやりたいと。その後、経過報告の議論をした上で、7月の上旬に経過報告をまとめたい」というお考えが示されまして、各委員から特にご異論がございませんでしたので、そうした方向で議論が進められるのではないかと思っております。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございました。

ただいまの事務局からの各報告につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、どうぞご自由にお願いしたいと思います。

よろしゅうございますか。

それでは、続きまして、3月14日に国会に提出されました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○ 中島保険企画室長

お手元の資料12-3に沿いまして、3月14日に国会に提出いたしました保険業法の一部を改正する法律案についてご説明させていただきます。

まず1つ目、生命保険のセーフティネットの整備でございますが、これにつきましては昨年12月にもこの場でご報告させていただきました。これを法案という形で取りまとめたものでございます。

下に書いてございますように、平成10年に、万一、生命保険会社が破綻した場合には生命保険契約者保護機構が資金援助を行うという仕組みが、当時4,600億円規模のセーフティネットとして整備されました。その後、相次ぐ破綻の中で、平成12年度から14年度の3年限りの措置ということで、5,000億円規模、うち業界対応1,000億円、国対応4,000億円のセーフティネットが整備されておりました。

このセーフティネットにつきましては、この3月末で期限が切れると。一方で、保険会社を取り巻く現下の厳しい環境ということで、保険契約者の信頼を確保する必要があるという観点から、引き続き15年度から17年度までの3年間の措置といたしまして、5,000億円、うち業界対応が1,000億円、国対応4,000億円のセーフティネットを整備するというのが、この法律の大きな柱となっております。下にその他の法改正事項が書いてございます。

1枚おめくりいただきますと、もう少し書いてございますけれども、この機会に、一昨年、金融審の中間報告でご指摘いただいたことなども参考にいたしながら、1つ目としては相互会社への委員会等設置会社制度の導入。これは昨年の商法改正において既に株式会社について整備されたものを、相互会社においても導入が可能とする法整備を行うものであります。

2つ目は、株式会社化のスキームの積極的な活用を促すという観点から、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定の見直しを行うというものでございます。

3点目は、中間業務報告書の作成の義務づけであります。銀行等に義務づけられている中間業務報告書を、保険会社に対しても法律上義務づけるというものでございます。

4番目は、保険会社の業務範囲の拡大ということでございます。保険会社の業務について、他の金融機関との連携のニーズが高まっていることを踏まえまして、他の金融業を行う者の業務の代理等を付随業務として明確に規定するというものでございます。

5番目は、保険募集人等の登録手続の簡素化でございます。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございました。

ただいまの事務局の説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたら、お願いしたいと存じます。

寺阪さん、お願いします。

○ 寺阪委員

ただいまご説明のありました保険業法の改正案でございますが、大変な情勢の中で本案についてご検討、ご準備をいただきました皆様方のご苦労に業界として大変感謝申し上げている次第でございます。

改正案につきましては、1つは、生命保険のセーフティネットに財源措置が講じられたということがございますし、もう1つは、保険会社の経営の選択肢の拡大等に資する事項について、前向きな対応がなされているというふうに考えられます。私どもといたしましても、生命保険業界の信頼の向上ということが大変重要なテーマでございますが、それに向けました取組みを改めて一層加速させなければならないと考えております。

本改正、まだ案でございますけれども、この改正がなされましたら、それを受けまして、今後制定される政省令におきましても、経営の選択肢の拡大とか業務範囲の拡大について、ぜひとも具体的なニーズに基づいた手当を行っていただきたいと考えております。この改正案に関連いたしまして、2点ほど申し上げたいと思います。

1つは、セーフティネットの問題でございます。今回の財源措置は3年間の暫定的な措置とされております。その後の政府のセーフティネットのあり方の見直し等につきまして、見直し後の制度の実施までの時間を視野に入れますと、それほど十分な時間があるとも思われませんので、同審議会において早急なるご検討をいただきたいと考えております。

もう1点は、今回の改正法案の中に入っていない件でございますけれども、特別勘定資産の資産保全というテーマでございます。本件につきましては、この審議会でも審議が行われまして、その必要性あるいは妥当性が十分あるということが確認されております。あるいは、検討を進めるべきとされているというふうに理解しております。先ほど申し上げましたように、今回の改正案の中には入っておりませんけれども、ぜひとも実現していただくようお願い申し上げたいと思います。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

どうもありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。

よろしいですか。

私の不手際で時間が余計にかかっておりまして、若干の時間延長をお願いしたいと存じます。

最後に、保険募集にかかる構成員契約規制につきまして、事務局からご説明をお願いした上で、ご審議いただきたいと存じます。

○ 中島保険企画室長

お手元の資料12-4に沿いましてご説明をさせていただきます。

保険募集に係る構成員契約規制についてでございますけれども、構成員契約規制と申しますのは、企業が生命保険会社と募集代理店契約を締結して生命保険商品の募集を行う場合には、その従業員への圧力募集等を防止するという観点から、その企業及びその企業と密接な関係を有する法人の役員及びその従業員に対しましては、生命保険商品の募集を原則として行うことができないという規制でございます。

この規制につきましては、従来からこの審議会でも議論をいただいているところでございますけれども、一番下の行革の「最終意見」の中で、構成員契約規制の撤廃の可否を含めた検討を行っていくべきであるという意見をいただきました。

2枚目に、規制改革推進3カ年計画がございますけれども、行政改革委員会の意見を最大限尊重し、金融審議会において構成員契約規制のあり方について結論を得るべく引き続き検討を進めるとされているところでございます。この点につきましてご議論いただければと思います。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

それでは、構成員契約の問題につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、どうぞご自由にお願いしたいと思います。

上野委員、お願いします。

○ 上野委員

上野でございます。構成員契約規制につきましては、損保業界から過去から一貫して廃止を主張してきております。それは、この規制があることによりまして、消費者にとってみれば生保商品を購入する際の選択肢が広がらず、消費者利便の向上が阻害されていると考えること。また、重要事項の説明義務や圧力募集の禁止といった保険業法の募集規制があるにもかかわらず、生保商品を一定の顧客層に販売することを一律に禁止する規制のあり方が、自由化時代の規制としては過剰だと考えているからであります。

この規制は、損害保険と第三分野の保険には適用がありませんで、生命保険にのみ適用されるわけであります。その理由としまして、損害保険と第三分野の保険はニーズが顕在化しているが、死亡保障が中心である第一分野の生命保険はニーズが潜在化しているため、圧力募集が行われやすいという説明がなされております。しかし、我々が生命保険事業を子会社で行った経験ではこのような理由には説得力があるとは思っておりません。

さらに、昨今の銀行窓販に関する動きを見ていますと、ますますこの規制は廃止すべき時期にきていると思っております。それは2つの理由がございまして、まず1つ目は、皆様ご承知のとおり、保険の銀行窓販は圧力募集の恐れがあるとされ、長年懸案となってきたものの、一律に禁止するのではなく、消費者の便宜にも配慮して、所要の弊害防止措置を設けた上で販売するという方法が採用されたわけでありますが、現在までのところ際立った問題は生じていないと、この方法は有効に機能していると考えております。

2つ目は、銀行窓販につきまして、昨年8月に出されたパブリックコメントにおきまして、御当局から構成員契約規制の解釈が公表されたことに関連してであります。解釈公表の背景には、例えば自発的に生命保険に加入しようとして銀行窓口を訪問した顧客が、たまたま銀行と関係のある会社の従業員であれば、この規制により保険に加入することはできないといった不合理な問題が生じたことにあるものと推察しております。解釈では、転籍や出向の定義が記載されておりますが、これは事前一律規制というやり方ではもはや無理があることを示していると考えます。

以上、この規制に関連しまして、問題意識をお話いたしましたが、この問題を考えるにあたりまして、消費者の利便性の向上という消費者メリットがあることは明らかでございますことから、弊害があれば全面禁止という対応ではなく、規制緩和の上、必要であれば弊害防止措置を講じるという考え方に立って考えるべきであるというふうに考えております。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

寺阪委員、お願いします。

○ 寺阪委員

ただいま上野委員からご発言がございましたけれども、生命保険業界の意見について少し申し上げたいと思います。

私どもとしては、これはルールというふうに理解しておりまして、このルールがわが国の職場における雇用関係の実態を踏まえれば、消費者保護の観点から非常に重要なものと考えているところでございます。このルールがいわゆる圧力募集を行うことを排除するため、消費者、従業員保護の観点から、企業の代理店についてその構成員に対する生命保険商品の販売を制限するものであるわけですけれども、企業がその企業の従業員、子女を囲い込む等によりまして、生命保険の募集市場が非競争的になるということを防止する効果も有していると考えております。

企業が代理店となって自らの従業員に対して保険募集を行う場合、従業員に対して委託保険会社の保険に加入するようにとの有形無形の圧力をかけるということは容易に予想されることでございまして、この種の圧力は顧客の意思形成過程においてかかってくるものでございまして、仮に事後的な規制を設けたとしても、顧客の自由意志による加入を十分に担保することは困難であろうと考えられます。

ご案内のとおり、生命保険というのは長期にわたる契約でございまして、個々人のニーズ等に応じて適切な商品設計が求められるものでございます。また、一般に年齢や健康状態等によりましては再加入が困難となる可能性がある。そういうことからも契約者の主体的な選択、商品を選ぶということが確保される必要性は高いものだと考えております。このルールを見直しますと、ただいま申し上げましたような圧力募集の問題、企業代理店以外からはそこの企業の従業員が保険に入れなくなってしまうというような問題等が、繰り返しになりますけれども、あるのではないかと危惧しておりまして、このルールを堅持していくことが必要であると考えております。

また、銀行窓販の問題についてご指摘がありましたけれども、銀行窓販でどのようなことが起こっているかという問題につきましては、まだスタートしたばかりでございますので、現段階において何も起こってないというような結論を出すことは難しいのではないかと考えておりますし、昨年の8月に特定代理店の関係で見直しが行われまして、それも十分機能しているように思いますので、先ほど申し上げたようなことで、私どもとしてはこのルールは堅持すべきというふうに考えております。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

ほかに。中村委員、お願いします。

○ 中村委員

銀行窓販の話が出ておりましたので、銀行窓販のフィールドに限って一言申し上げたいと思います。

昨年、ある程度実効性のある措置が一部とられたことは事実でございますけれども、とはいえ、依然店頭での保険募集に関してはかなり問題が起こっております。まずは、構成員規制という問題がございますので、来られた方に勤務先をお聞きするというステップがございまして、プライバシーについて非常にナーバスなこの時代に、これをいきなり聞くということについては非常に違和感がございます。

もちろん、構成員規制ということをご説明するわけでございますけれども、マネーロンダリングのように知れ渡った規制ではございませんので、この辺についてお客さんに違和感が強いと。こうした不自然な業務フローを余儀なくされているという面があることも事実でございます。その他の理由もございますけれども、顧客利便性の観点からこの規制は撤廃すべきというふうに銀行としては考えております。

○ 岩原部会長代理

寺阪さん。

○ 寺阪委員

ただいま銀行の窓販につきましてのご見解を伺ったわけでございますけれども、基本的な考え方は従来より保険契約者の保護と利用者の利便性向上という両面から慎重な検討が行われてきたというふうに考えております。その結果といたしまして、顧客の皆様への弊害が生じにくく、また、利用者の利便性の向上に資するということで、銀行業務と親近性、あるいは、一体性が認められる保険商品について、現在、銀行に販売が認められているというふうに理解しております。

それ以外の商品、具体的には保障性の商品等がございますけれども、これは銀行業務との親近性の一体性というのは認められませんので、こういった保険商品の販売を拡充することは現段階では認められないだろうと考えております。先ほど、勤務先云々の問題がございましたけれども、生命保険契約というのは基本的にどういう属性の方かということを確認をして、加入の手続を進めるというのが通例でございます。したがいまして、私どももプライバシーの問題、例えば健康状態の告知書というものがございますけれども、そういうことを危惧しながらお客様にご理解をいただいてデータを頂戴しているということもございますので、そういうことについてぜひともご理解をいただきたいと思います。

○ 岩原部会長代理

高橋委員。

○ 高橋委員

保険審議会の平成4年の答申から検討ということなのですけれども、保険審議会委員もしてきました立場から申し上げますと、この問題は全然検討が進んでいないという認識です。今回配られたペーパーの中に、平成13年度、14年度検討というふうに書いてあるんですけれども、このような場だけで検討して終わることには違和感を持っております。銀行窓販も始まったことですし、金融庁の内部で検討を行ったということであれば、実態等を踏まえてご報告をいただきたいと思っております。

これまで検討の進まなかった理由には、既得権益を消費者保護の名前の下で守ろうとする生保業界さんと、攻め入ろうとする損保さんと、最近は銀行も入ってと、三つ巴の、業界の縄張り争いにどうしても見えてしまう点がありました。でも、この問題は消費者にとって実は大変重要なことでございまして、消費者の目線に立って不要な規制は撤廃していただくと同時に、新たなルールをつくっていただきたいと思っております。消費者利便の向上と販売チャネルの競争促進というのは、保険審の答申以来の大命題であると思っております。

最近、保険業では1社専属の営業職員とか代理店による販売という形がどんどん崩れて、製販分離も進んでいるわけでございますので、保険業法で云々ということではなくて、例えば英国の金融サービス市場法のような横断的な市場ルール、取引ルールを構築していただかないと、本当の意味での消費者保護にはならないと思っております。顧客情報保護、プライバシーの問題も含めてきちんと検討していく必要性を感じます。

「そういう問題があるので、今回の検討も踏まえて対応する」というお答えを金融庁さんからいただければ、私としては大変ありがたいのですけれども、実際には、この年度末に1回の会議になってしまいましたので、少しご説明いただきたいと思います。以上です。

○ 岩原部会長代理

中島さん、お願いします。

○ 中島保険企画室長

この問題はまさに毎年こういう形で諮らせていただいているわけですけれども、14年度について言いますと、先ほど幾つかの意見の中にもありましたように、銀行窓販を契機といたしまして、今までの構成員契約規制の具体的な中身について、例えば転籍の定義とか出向の定義とか、そういうところについて現実的に明確化するということで、全く触れてはいけない分野ではなくて、実際問題、銀行窓販にあたってどういう規制のあり方がいいのかということについては随分と議論をしてまいりました。

今後につきましては、今日のこういったご議論も踏まえまして、また、こういった金融審議会等の場で、高橋委員のご意見を踏まえまして対応を考えていきたいと思います。

○ 岩原部会長代理

原さん。

○ 原委員

高橋委員の補足的な意見になりますけれども、実際これはもう10年ぐらい検討を重ねていて、消費者団体にも業界からいろいろ情報提供があって、その都度ご意見を提出したりしているんですが、いずれも一方的な情報に基づいての消費者の意見で成り立っているように思います。今、状況としてもかなり多様化してきていますので、今の段階でしっかりした議論をぜひ、全面的な金融商品の勧誘というところで行っていただきたいと。

今、高橋委員からはイギリスにならっての金融サービス保護の例もありましたけれども、一方で、内閣府で21世紀の消費者政策の議論をしておりますが、この中で勧誘のあり方が大きな論点に上がっておりまして、不適切な勧誘についての規制のあり方とか、利用者の特性に応じた勧誘とか、幾つか論点があがってきておりますので、こういったところもリンクさせて、ぜひ実質的な議論を進めていただきたいと思っております。

○ 岩原部会長代理

ほかに何かございますでしょうか。

それでは、今、各委員からご指摘いただきました点、最後に、高橋委員、原委員からご指摘いただいた点も踏まえまして、もっと大きい視点から問題を検討してほしいということでありますので、それを踏まえて事務局で検討していただきたいと思います。

それでは、終了の時間をとっくに過ぎておりますので、特にご意見等がなければ、本日の審議を終了させていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。

なお、この後、堀内座長と事務局で記者会見を行いまして、本日の会合の模様について簡単にご紹介させていただく予定ですので、あらかじめご了承いただきたいと存じます。

最後に、事務局から連絡がございましたら、お願いしたいと存じます。

○ 河野信用課長

次回の第二部会につきましては、新しい部会長を蝋山金融分科会長にご指名いただきまして、新しい体制でご審議をお願いしたいと思っております。日程等につきましては、新部会長ともご相談の上改めてご連絡をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

○ 岩原部会長代理

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。

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