金融審議会金融分科会第二部会会合(第14回)議事録

日時:平成15年7月28日(月)9時30分~12時22分

場所:中央合同庁舎第四号館11階 共用第一特別会議室

○ 堀内部会長

おはようございます。それでは、時間がまいりましたので、ただいまから金融審議会第二部会の第14回の会合を開きたいと思います。まだお見えになってない委員の方いらっしゃいますけれども、間もなくご到着だと思います。

本日は、会議に先立ちまして、本日の会議が公開になっているということをまずご了解いただきたいというふうに思います。

それから、一部の専門委員の変更がございましたので、ご紹介申し上げたいと思います。寺阪委員にかわりまして、専門委員をお引き受けいただくことになりました斎藤勝利委員でございます。

また、上野委員にかわりまして、専門委員をお引き受けいただくことになりました、角川与宇委員でございます。

それから、事務局の方にも若干の異動がございましたので、その点を河野さんからご紹介いただきたいと思います。

○ 河野信用課長

恐れ入ります。それでは、人事異動によりまして、本日から新たに出席をしております事務局側の者をご紹介させていただきたいと思います。

まず、財務省の方から、細溝信用機構課長でございます。

それから、日本銀行企画室の方から、前原審議役でございます。

それから、金融庁でございますが、安居保険企画室長でございます。

それから、三井調査室長でございます。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。お手元にあります議事次第に従いまして、まず第二部会に設置されております信託に関するWGの中間報告について審議いただきたいと思います。まず、事務局から審議経過などを簡単に報告していただき、またWGの中間報告書を読み上げていただきたいと思います。その後、WGの神田座長からコメントをいただいた上で、皆さんにご審議をいただきたいと思います。

それでは、まず事務局からご説明をお願いします。

○ 川嶋信託法令準備室長

それでは、信託に関するWGの審議経過について簡単に申し上げます。その後、中間報告書を朗読させていただきます。

信託に関するWGの審議経過でございますけれども、お手元にあります「信託業のあり方に関する中間報告書」の、1枚目がメンバー表でございます。2枚目は「信託業に関するワーキンググループ審議経過」を記載しています。当ワーキンググループは第1回を平成14年6月に開始し、15年7月14日まで11回にわたりご審議いただきました。当初、信託業のあり方の見直しにつきましては、信託業法ほか、多数の法令が関係しますものですから、中長期的な視点で見直すということにしておりましたけれども、例えば知的財産権を信託業法上受託可能財産にしてほしいというニーズや、あるいは信託業の担い手として一般事業会社を入れてほしいというニーズが高まってまいりました。そして、今年の3月の規制改革推進3カ年計画の再改定にその2点が盛り込まれまして、15年度中に検討結論、措置予定とされたところでございます。

こういった状況を踏まえまして、同WGでは、受諾可能財産の範囲の拡大と、信託業の担い手の拡大という2点につきまして集中的にご議論いただいたわけでございます。

簡単に、審議経過につきまして補足させていただきます。1回目は事務局説明、フリーディスカッションをしたわけでございます。2回目は有識者からのヒアリングで、信託銀行から信託実務についてヒアリングいたしました。3回目は検討事項の整理と今後の進め方についてご議論いただき、4回目は経団連等から要望あるいはニーズについてヒアリングをいたしました。5回目は検討事項に関してご議論いただき、6回目は論点を絞りまして検討を始めました。このあたりから、先ほど申しました2点について集中的に検討をしていただいたわけでございます。7回目、8回目と検討を続けていただきました。7回目では、樋口委員からアメリカにおける信託業についてのプレゼンテーションをしていただきました。9回目に中間報告書案の骨子を提示いたしました。その際に、原委員に特別に参加していただき、一般消費者や利用者の視点からの意見についてプレゼンテーションをしていただきました。それから、10回目に中間報告書案をお示ししまして、11回に中間報告書案のとりまとめということになったわけでございます。

簡単でございますけれども、審議経過は以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

○ 事務局

それでは、中間報告書、お手元にございますものに沿って読み上げをさせていただきます。時間の関係がございますので、現行制度を紹介した部分を省略させていただきまして、3ページの(2)信託の機能というところから読み上げをさせていただきます。

(信託に関するワーキンググループの「信託業のあり方に関する中間報告書」を読み上げ)

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、神田さん、コメントをお願いします。

○ 神田信託WG座長

今、読み上げていただきました報告書の内容のポイントとして、私が感じますことをごく簡単にご紹介させていただきます。

世の中が変化していて、信託の仕組みを活用したいというニーズはいろいろなところにあります。これを法制度という面から見ますと、現在基本となる信託法、これは私法上の規定ですけれども、それから信託業法、これらはセットで大正11年に制定されておりまして、その後大きな改正がなく、今日に至っているという状況にあります。

報告書の中にも触れられてますように、信託法の方の全面改正作業というものが法務省の方で進められておりまして、当然のことながら、それに併せて業法というのでしょうか、業規制のほうも改正を考えなければいけないという状況にあると言えると思います。

それを中長期的課題というふうに言っているわけですけれども、その中でも特に前倒しして早く実現してほしいという具体的なニーズが2点あるのですけれども、それについて今回中間報告書で提言をしているわけであります。

その2点とは、第一は現在の信託業法では、兼営法もそうなのですけれども、信託設定時に信託の受託者が受け入れることができる受託可能財産、その財産を限定列挙しておりまして、これに知的財産権等が入っていません。これについて知的財産権等を受託可能財産となるように、すなわち法制度的に見ますと受託可能財産の範囲を拡大するということであります。

それから、第2点は、現在信託を業として行っていますのは、すべて信託兼営金融機関でありまして、信託業法という法律がありながら、それに基づいて信託業を行う信託会社という機関は日本には現在存在しておりません。この点について、金融機関以外の者が信託業を行えるようにというか、行いたいという信託業の担い手拡大についてのニーズがあります。これが第2点であります。

第1点につきましては、受託可能財産の範囲を業法で限定列挙するという方式は見直しましょうということが先ほど読み上げていただいたとおりの報告書の考え方であります。

第2点の信託業の担い手の拡大についてですけれども、この点はかなり細かくいろいろ言っているわけですけれども、報告書のページでいいますと、9ページあたりに基本的な考え方があります。基本的な考え方は、一般投資家を含めた多様な受益者の保護というのがポイントであります。そういう観点から、参入基準、行為規制・監督規制等のルールを整備し、信託会社におけるいわゆる受託者責任、これの確実な履行というものを担保し、信託業務の健全、適切な運営を確保しようということであります。

と同時に、もう1つの基本的な考え方として、信託業務の内容というのは多岐にわたります。つまり、信託という仕組みを使っていろいろなことが行われているわけですので、信託業法における規制体系というものを、そういう信託会社が行う信託業務の内容、機能に応じて物事を考えるのが適当であるということを指摘しています。

参入基準、これは10ページですけれども、例えばここで機能に応じた区分の考え方の例が挙がってますけれども、受託者が自らの裁量で信託財産の形を変えたり処分をしたりということがない、つまり受託者の裁量がないか低いというものを「維持管理型」とでも例えば呼べる。資産の流動化を目的として行われる信託、これは「流動化型」と呼べる。受託者が自らの裁量で運用とか処分を行うものを「運用管理型」とそこでは呼んでいますけれども、そんなような区分が可能です。そういった類型、何が行われているかという類型に区分した上で、例えば参入基準の内容も差を設けるということが考えられると指摘しております。

組織形態ですけれども、信託会社のですが、14ページあたりで、株式会社を基本としつつ、その他の組織形態については必要性、妥当性に応じて検討をするということです。TLOについては例外的なものを検討するということであります。

行為規制ですが、15ページ、これは受益者保護の観点に尽きると思いますが、信託商品の販売・勧誘ルールとして説明義務とか不当勧誘の禁止といったもの、これらについては私法上は金融商品販売法が一応存在しておりますけれども、業法上もこういったルールをきちんと整備するということであります。

ディスクロージャー、これは18ページですけれども、市場に対するディスクロージャー、それから取引の相手方、顧客に対して、これは入り口では説明義務がありますけれども、その後も継続的に、いわゆる直接開示というのでしょうか、信託財産の状況等の開示を行うことが必要であるという考え方を示しています。

19ページ、受託者責任、非常に重要なものですけれども、これは信託法上は規定が設けられていますけれども、業法上もこういったものの基本的な一般的な義務規定をきちんと設けるという考え方が述べられています。

あと、その他としていろいろありますけれども、21ページあたりで、代理店についてだけ申し上げておきますけれども、信託契約の取次ぎを行う、取次ぎのみを行うといった方がいいかもしれません、そういうニーズが高いようでして、信託サービスの提供チャネルの拡大という観点から範囲の拡大を検討するということであります。

もう1点、信託業務の委託、いわゆるアウトソースということですけれども、これも基本的には認めることが、ニーズもあるし適切だと思われますが、その際の法制度のあり方としては、信託業務を委託し得る第三者、つまりアウトソース先ですね、その適格性を監督当局で把握できるといった制度にすることが適切であるというふうに指摘しております。

冒頭にも申し上げましたように、この報告書は基本的には中長期的な大きな見直しをしていく中で、特にニーズが、今、高いと思われる2つの点につきまして早急な実現を提案しているものであります。私としましても今後金融庁の方でこの提言を踏まえて具体的な法改正作業を進めていただけるものと期待しています。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本中間報告書につきまして、ご質問あるいはご意見等ございましたら、ご自由にご発言いただきたいと思います。

どうぞ、安田委員。

○ 安田委員

信託業界の一員として、この報告書案につきまして、一言申し上げたいと思います。

まず、信託の今日的意義を踏まえて、精力的に報告書をまとめていただいた神田座長と、メンバーの方々、事務局に感謝を申し上げたいと思います。今後、この報告書を踏まえまして、法制化等の検討がなされるというふうに聞いておりますけれども、業界といたしましてご留意いただきたい事項を2点ほど申し上げたいと思います。

1点目は、報告書でも触れられておりますけれども、信託の持つ柔軟性という特質、これを損なうことのないよう、また他業等における親近性の問題、それから現行実務の観点にも十分ご留意いただいたご検討をお願いしたいということでございます。

2点目は、担い手がふえるということでございますので、信託の新しい担い手の拡大が信託制度の健全な発展につながるというためには、社会、マーケットからの信託制度、信託の担い手への信頼、信認、この確保が大前提でございますので、受益者保護と新しい信託会社の健全かつ適切な業務運営の確保、この点につきまして十分ご留意いただきたいということです。

それから、先ほどのご説明でも強調されておられましたけれども、信託の業務範囲、業務内容の3つの区分の仕方、それからグループ内企業の取扱い等につきましては、特にそのような観点が重要だというふうに考えております。

いずれにいたしましても、私ども信託銀行としましても、信託への新しいニーズに応えられますように、新しい担い手の方々とも切磋琢磨してやっていきたいというふうに考えております。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。斎藤さん、お願いします。

○ 斎藤委員

生命保険業界から要望したいと思います。ここで担い手の部分でございますが、信託契約の取次ぎを行える者の範囲を拡大するという方向性が出されております。生命保険業界ではこれまで企業年金の分野におきまして保険と信託の親近性ということから保険会社に信託の代理業務をお認めいただくよう要望しております。企業年金の分野で保険と信託商品を両方を取り扱うことができますと、顧客ニーズによりマッチしたそういった商品サービスを提供することができるということになりまして、利用者のアクセスの向上にかなうというふうに考えます。

今後、法令改正作業におきまして、ぜひ保険会社に信託契約の取次ぎ業務をお認めいただくようお願いしたいと思います。

それからもう1点、信託兼営金融機関の範囲につきましては今後の検討というふうにされておりますけれども、今後利用者利便の向上という視点で、保険会社にも信託業務の兼営、これについて可能となるような方向でのご検討をお願いしたいと思います。

以上でございます。

○ 堀内部会長

ほかにどうぞ。原さん、どうぞ。

○ 原委員

私は先ほど事務局からのご説明の中にもありましたけれども、第9回のワーキングの場に呼ばれて、一応意見ということで30分ほど意見を申し上げたんですけれども。その後、また消費者関連のグループとも話をすることがありまして、再度ペーパーを知財の戦略本部とそれからこちらとに提出をしております。それに基づいて意見を述べたいと思います。

今回、大正11年以来の大幅な改正ということで、信託財産に知財が入ってくる。今、柔軟性という言葉がありましたけれども、かなりいろいろな信託財産というものが組み込まれてくる。商品が複雑化するということです。それから、参入規制がゆるめられて、代理店というところもありますので、いろいろなところでまたこの信託商品が販売されるということになって、一般の消費者にとってもこれまで信託に抱いていたイメージとがらりと感じが変わるというふうに、とらえ方が変わってくるというふうに思っております。

そういう意味では、今回かなり手厚く説明義務と不当勧誘について、16ページと17ページですけれども、これまでになく書き込まれていますけれども、あくまでもここでのルールの決め方というのは、業法プラス金融商品販売法、消費者契約法という従来の枠組みの中での規制、販売・勧誘ルールの定め方というふうになっておりまして。私としては、今の状況はもうこれを越えるところにあるというふうに思って、ぜひ金融サービス市場法の理論のこれをとっかかりにして、はじめていただきたいというふうに考えております。そのことを再度ペーパーで提出をさせていただいたというところです。

何をもって消費者側が不満を感じているかですが、2点あります。1つは、消費者概念というものが、金融庁、金融政策の中で確立しているように思えないということです。業法の中で手当てをするとなると、投資者とか契約者とかという対等の当事者という立場になってしまって、広く一般の消費者というところがこぼれてしまう。ですから、例えば広告規制のようなものが、こぼれてしまうということです。

それから、もう1つは、契約者、投資者ということになると、お互い同士が対等ということが原則になるかというふうに思いますけれども、やはり消費者と事業者の力の格差ということを考えると、どうしても、それは保護ということだけでもないのですが、消費者概念というものを確立しての政策の立て方というのがあるのではないかというふうに考えています。

単純に消費者を保護しろということを言っているわけではなくて、消費者を強くして市場で機能させるようにもっていくということが私は本来の姿だというふうに思っておりまして、金融サービス市場法といってもイメージするところとかとらえ方というのは様々にあるかというふうに思いますけれども、私としては消費者概念を確立して、それを市場の中に生かしていくという形で再度整理をしていただきたいというふうに思っています。

今回のこの措置を見ても、例えば適合性の原則の話は落ちています。これはワーキングで神田座長も適合性の原則の点はもうちょっとというふうにはおっしゃってくださったのですが、そこが落ちる。それから、業法で手当てをするといっても、業法でかなり凸凹があります。それから、3つ目は、例えば、今、為替証拠金取引の被害が各地の消費者センターに多数寄せられてきておりまして、去年に比べてもう爆発的と言っていいぐらい寄せられてきていて、これは金融の取引なのか商品なのかというところで、どこが管轄をするのかという話にもなっているようですけれども、そういうふうにはざまで落ちてしまう取引とか商品というものが存在しています。私としては、ぜひ金融サービス市場法、それから金融にかかる消費者政策を検討していただく場を設けていただきたいということを、この信託業法の改正に併せて提案をしたいと考えております。

長くなりましたけれども、1年前にも同じように10分ぐらい話をいたしました。なかなか発言する場がないものですから、ぜひこれをきっかけに考えていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

○ 堀内部会長

どうも。

神田座長、何かありますか。

○ 神田信託WG座長

私も原委員のおっしゃることには基本的には個人的には賛成なのですけれども。ちょっときょうのご指摘は、1つは信託の報告書の範囲を越えているというところがありまして、それ以外の商品も含めて幅広く広告の段階から広告、勧誘、販売と全体について整合性のとれた横断的なルールを整備する必要があるというのはそのとおりだと思います。

1点だけこの報告書に関係することで申しますと、適合性の原則が落ちているというご指摘ですけれども、これは業法上は、この報告書でいいますと先ほどご指摘の7ページあたりの不当勧誘の禁止というところでそれに対応するルールを設けることが予定されていると思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。消費者というのは非常に金融、どういう金融の場においても重要なプレイヤーの1人であるということは言うまでもないわけで、金融審議会なんかでも今後いろいろな形で、消費者の意見も代表して述べていただくということは続くと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○ 原委員

同じ発言を言いたくはないというのがありますので、ぜひお願いしたいと思います。

○ 堀内部会長

ほかに、どうでしょう。

どうぞ、和仁さん。

○ 和仁委員

すみません。和仁です。私は別にどこの業界団体にもおりませんが、こういう信託を使った法律取引を設計する人間として言わせていただきたいのですが、信託業法を今回改正していただく、これは非常にいいことなのですが、1つ目の問題として、何かガチガチの規制をかけようと思えばかけられる余地もあるように見える書き方になっております。信託業法については、我々弁護士として商品設計を行う場合に問題になるのは、これは受託者に対して信託業務の規制がかかる信託行為なのかどうかということです。いわゆる単なる民事信託だけで済ませられる世界なのか。普通なら利用者というか、我々法律家の方もできる限り信託のライセンスを持っている信託銀行にお願いしたいということはあります。その場合に問題になるのは、信託銀行のコストです。恐ろしいコストです。今回、これだけの規制をかけられると、またこれ規制コストがすごくかかって、信託会社をつくってくださるのはいいのですけれども、余り使い勝手がよくないのではないか、これが1つ目の論点です。

そして、こういう業としてやる受託業と、それから1回限りとか言われてはおりますが、実際的には1回限りとなかなか言えず難しいのですが、いわゆる民事信託型の信託での受託者の活動との境界線をどこに線を引くかということだと思います。土地の再開発等について民事信託はよく使われておりますけれども、そこで問題になっていることは、ここと同じようなことは、いわゆる投資家保護、投資家というかむしろここに住んでいる人の方で、多分原先生なんかからはそういう場合であっても同じような規制をかけるべきだとかいろいろご意見が出てくるのではないかと思いますが、それをやるととてもじゃないけれどもコストが引き合わない。皆さんそんなお金持ってないわけですから、土地を再開発してビルにしてしまって、その中でローンをかえていく、そういうふうな形での信託をやるということについて、一体信託業法はどう考えるのかということを考えていただくと、もっと軽い規制を目指していただきたいということになります。必要性のある論点はここに網羅されていますけれども、同じルールをみんなに適用するのではない。

それから、もう1つは利益相反、信託の場合、皆さん受託者にいろいろ規制をおかけになりますけれども、信託業をやるというのは、それはグループ会社でもやるニーズがあるから出てくるのであって、そうするとある程度利益相反についても規制をゆるめざるを得ないと思います。信託の関係における利益相反というのは、日本だと利益相反のある場合には全部だめだということをお考えになるようですけれども、それはそうじゃなくて、当事者の同意があればそれは外せる話なのですけれども、規制の関係で、そのような利益相反の例外的取扱いをどこまで認めるのだという話はございますでしょう。その辺を考えていただいて、立法作業に進めていただきたいというのが次の論点です。

それから、最後の論点はこれは法務省との関係もあるのでしょうけれども、民事信託と商事信託、これ神田先生はどういうふうに取り扱っていこうとされているのでしょうか、商事信託は信託業法の方に取り込まれてしまうおつもりなのか、それとも商事信託はあくまでも信託法の中で規定されていくおつもりなのか、そこのところをお聞かせいただければと思います。

○ 堀内部会長

今の点で何か。

○ 神田信託WG座長

では、ごく簡単に。私は個人的には規制緩和論者のつもりで、今、和仁先生からガチガチの規制と言われてちょっとショックを受けているのですけれども(笑)。報告書の文言は、そういうふうに読めるかもしれませんが、私は全然そうは読んでおりませんで、これは大きくこれまでの規制体系を変えるもの、というふうに理解しています。

業としてやるかどうかという話は、この分野だけではなくてすべての業法にある話で、1回限り、反復継続の意思がないものは業でない。これは解釈問題で弁護士の先生方のテリトリーですし、それはもう自由にやれるわけで、当然のことながら業法には服さないわけですね。その問題に今回立ち入っているわけではありません。

問題は、反復継続の意思を持って行う、つまり業として信託を行う場合のルールがどうかということなんですけれども、まさにその、今、ご指摘のあったような点を配慮して今回はすべて1本ではなくて、いろいろな類型に区分していこうと、それで必要なところはそれに応じて柔軟な法体系にしていこうという考え方に立っています。

したがって、基本的なところは、今、おっしゃった点をむしろ取り入れて書いているつもりだというふうに思います。ただ、他方で信託を使って何か業をするのにはコストがかかりますと、それだけを強調されますと困る。当然相手方には顧客がおり、一般消費者があり得るわけですから、そこのバランスは当然法制度としてはとらなければいけないということだと思います。

2点目の民事信託、商事信託という話は、私法上のルールとして考えれば、信託法の中に民事と、それから商事、これは今度は別の定義をしないといけませんけれども、というものがあるという考え方が1つあり得ると思います。私は基本的にはそういう考え方に立ってますけれども。それに対して、業としてやる場合の業法、監督法というのが今回取り上げているものです。ただ、実際の法制度を見ますと業法と呼ばれている名の法律の中にも私法上の信託法の特別規定になるようなものが入っている場合があるわけですから、そういう意味ではそこは必要があればそういう手当てが行われるので、その辺の基本的な考え方はこれまでの各種の法制度と同じ考え方にのっとって今回の報告書は書かれています。

お答えになりましたかどうか。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

よろしゅうございますか。

それでは、ほかにご意見もないようでございますので、このWGから提出されました中間報告書につきまして、第二部会としてご了承したいというふうに思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

よろしゅうございますか。

どうもありがとうございます。

それでは、了承したということにいたします。どうも。

それでは、このWGの報告書を第二部会の中間報告書として、この会議の終了後に行われます記者会見の場において公表させていただくことにいたします。

次に、自己資本比率規制に関するWGの経過報告について審議いたしたいと思います。まず、事務局の方から審議経過などを簡単に報告していただきまして、その後、WGの経過報告書を読み上げていただきます。そして、その後に池尾座長からコメントいただいた上で、皆さんからいろいろご意見いただきたいというふうに思います。

それでは、まず事務局からご説明いただきたいと思います。

○ 鈴木銀行第一課長

審議の経過でございますが、昨年出されました「金融再生プログラム」及び、その工程表におきまして、繰延税金資産に関する算入の適正化及び銀行の自己資本のあり方に関する考え方の整理について、金融審議会においてご検討をお願いするとしております。

また、審議に当たりましては、半年程度たったところで、それまでの議論を整理していただき、ここまでは合意できた、この点はまだ合意できてないということを整理しながらご議論をいただきたいということも併せてお願いしております。

そうしたことを受けまして、自己資本比率規制に関するWGでは、池尾座長のもとで、今年の2月以降、9回にわたってご審議をいただいたところでございます。具体的には、自己資本比率規制の仕組み等から始めまして、税制・会計、さらには監督規制のあり方の中で繰延税金資産とダブルギアリングの問題、あるいは新BIS規制の動向等々のご議論をいただいたところでございます。

こうした9回のご審議を経て、今回、現在の審議状況を整理するという形で経過報告がまとめられたところです。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、経過報告書の方の読み上げをお願いいたします。

○ 事務局

それでは、読み上げさせていただきます。1ページの「はじめに」は飛ばしまして、2ページの1、自己資本比率規制についてというところから読み上げさせていただきます。

(自己資本比率規制に関するワーキンググループの「経過報告」を読み上げ)

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

それでは、池尾さん、コメントお願いします。

○ 池尾自己資本WG座長

はい。この報告はタイトルにもありますように、経過報告でありまして、残念ながらと言うべきなのかどうかわかりませんが、現時点では踏み込んだ結論をいまだ得られている段階ではなくて、これまでの議論を淡々とまとめたということで、様々な意見があったのを紹介しているようなものになっております。

それで、その中で現状認識に関しては比較的認識の一致が得られたというふうに思っております。繰延税金資産について申し上げますと、それが資産として脆弱性を持っている点、そして現状において自己資本に占める割合が非常に高くなっている点について認識は一致しているのですが。ただ、現状比率が高くなっているという点についても、不良債権処理を精力的に進めているがゆえにやむを得ない状況であるというふうに認識するか、極めて好ましくない事態であるというふうに認識するかというような点については議論が分かれているなど、認識が分かれているというふうな点が残されています。

そういうことも背景にして、将来的に比率を低下させる必要があるという点については認識は一致しているわけですが、その将来的というときの時間軸の長さ等についてもまだ詰めなければいけない点があり。したがって、具体的な方策、現状を改善していくための方策の内容と実施時期について、依然として極めて意見の開きがWGの中で残されているというふうな状況であります。

しかしながら、もともと繰延税金資産の制度そのものはまっとうな制度であったはずが、現在、問題視されているということの基本的な背景には、計上されている繰延税金資産の数字に対する信頼性が失われているというところが基本的に大きい問題としてあるというふうにとらえておりまして。したがって算入制限等とは別に、数字そのものの信頼性をとにかく早く高めてもらわないことには始まらないという点については一致をみたわけでありまして。したがって、繰延税金資産の計上額に対する信頼性を高めるための情報開示の拡充ということについては、銀行関係者及び行政当局に有効な方策を速やかに実施するように要請したいという形に現状ではなっておりますということです。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本経過報告書につきまして、ご質問あるいはご意見等ございましたらご自由にご発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。

○ 今松委員

今のところ、最後に池尾先生がおっしゃったこと、最後の「おわりに」というところで大体尽きてはいるので、じゃあ、どうするかという議論がまさにこれからなんですけれども。実際、りそなの問題等々もありますように、じゃあ、本当に銀行の自己資本というのはどれくらいなのか、しかもその中に占める繰延税金資産というのがあれだけ多大になった場合、ある程度それはこれまで一生懸命やってきた結果であるとは言いながらも、それが本当に資本なのかというのは当然一般のああいう事態が勃発した場合に大変な国民の中でいろいろな、今回の場合というのは本当にいうと余り取り付けというのはなかったわけですけれども。起きた場合にやはり大きな問題になると思います。

そうなってくると、やはりこの繰延税金資産なり税効果会計がそれ自体として国際的にも十分どこでもやっている制度とはいえ、果たしてやはり今のそのままでいいのか、一定やはり将来的なこの議論をしていく段階といいますか、去年の段階でもある程度どういう形でこの繰延税金資産とかそういうものに頼らない、本来的な自己資本をふやすということを、ここを機軸に考えてきたということからすれば、これから先の議論の中ではやはり、税制等々、これすぐできないと言いながら、これを放っておいたら確かに難しいと思います。やはり税制のところの一定めどを、やはり税調等々でつける方向を促し、その上でやはり一定繰延税金資産の秘密内容についても検討していく必要があるのではないか。つまり、一定程度の規制的なところを入れていかないと、やはり余りに今の状況、これから先、果たして金融機関が本当に一生懸命経営をやって自己資本をどんどんふやしていければいいわけですけれども、やはりかなりまだ経営的に難しい。そうすると、やはり次の段階としての公的資金等々も含めての議論になってくると思うのですけれども。やはり、一定繰延税金資産についての議論については、この先いろいろ論点整理した中で、どういう国民的にも納得できる比率なりというものを提示するというのも1つの案ではないかというふうに、意見的に、あるいは感想的なところですけれども、ちょっとそういうふうに考えます。

○ 池尾自己資本WG座長

個人的意見を言ってしまうことになりますが、私の個人的な意見として言わせていただきますと、今、ご発言いただいたことからもわかるわけですけれども、繰延税金資産が積み上がっているというのは、ある意味では現象にすぎないわけでありまして、銀行自身の収益力が高ければ、どれだけ積み上がっていても実は問題ではないわけですから。そういう意味で言うと、本質的には銀行の収益力が乏しい、低いということが問題なわけで、繰延税金資産に関わる制度的措置を変更すれば、銀行の収益力が上がるという関係があるなら非常に話は簡単で、すぐ結論が得られると思うのですが。しかしながら、繰延税金資産に関する制度をいじれば、銀行の収益力が直ちに高くなるという因果関係があるとは到底思えないので、そうすると本質の問題をどう解決するかにやはり踏み込まざるを得ないわけですが。そうしたときに、当ワーキングの守備範囲を越えたような議論もせざるを得ないということで、なかなか議論の集約が難しい状況にあるということです。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。どうぞ、斎藤さん。

○ 斎藤委員

ダブル・ギアリングに関連しまして、銀行と生保の関係が言及されておりますので、何点か申し上げたいと思うのですが。銀行と生保とがお互いに出資をしている場合でございますが、総論的に申し上げますと、これは銀行と一般事業会社との持ち合いの関係と似たものだと思いますが、双方の事業に係るリスクの質というのは異なっておりますので、これがためにソルベンシー・マージン比率や自己資本比率がかさ上げになっているものではないというふうに考えております。

もう1点、信用リスクの管理におきましては、それぞれの信用状況ですとか、与信の集中度合い、こういったものに応じて信用リスクの連鎖の問題が論じられているというふうに思います。したがいまして、双方向のエクスポージャーの存在それ自身が問題とされるものではないというふうに考えております。

あと、各論的に申し上げますと、生保の基金等の調達において、銀行からの調達ウェイトが高いという点が一部で言われているわけですけれども、生保の調達規模といいますのが数百億とか1,000億という、そういったオーダーになりますので、どうしても結果として資金量の多い金融機関からの調達ウェイトが高くなるという、そういった事情はございます。

また、その逆の方向ですけれども、生保から銀行への出資につきましては、これは一般事業会社への出資と全く同じでございまして、資産運用の一環として適切なリスクとリターンの関係のもとに行っている、そういったものかと思います。

それから、エクスポージャーの水準のコントロールでございますが、これは各社においてシーリングを持つ等いたしまして適切にコントロールがなされているというふうに思います。

それから、もう1点でございますが、親子関係の場合にリスクの伝播の可能性が高いわけですけれども、現在、保険会社が子会社等に該当するそういった銀行を持つケース、これは持ち分法のもとでそういったケースがあるわけでございますが、この場合は生保が子会社等に該当する銀行に出資をした場合は、その部分は全額ソルベンシー・マージン比率の計算上、分子から控除をされていると、こういったことでございますので、この点についてはご承知おきいただきたいと思います。以上でございます。

○ 堀内部会長

ほかにご意見あるいはご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、いろいろ論点が多岐にわたっておりますので、なかなか質問も難しいかと思いますけれども、ご質問もない、ご意見もないようでございますので、このWGからの経過報告書につきまして、これは部会で了承するというようなことではなくて、まだ経過報告書の段階でございますので、これを公表するということをご了承いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

それでは、そうさせていただきます。私どもとして公表することを承認したいと思います。どうもありがとうございました。

したがいまして、経過報告を本日の会議の終了の後に行われます記者会見におきまして公表させていただきます。

それでは、続きまして、公的資金制度に関するWGの報告書について審議いたしたいと思います。まず、事務局から審議経過等を簡単に報告していただきまして、さらに同WGの報告書を読み上げていただきます。その後で、片田座長からコメントをいただきました上で、皆さんからご審議いただきたいというふうに思います。

それでは、事務局の方から、よろしくお願いします。

○ 藤井信用機構室長

それでは、審議経過につきまして簡単にご報告させていただきます。

当WGは昨年10月末の金融再生プログラムにおきまして、金融システムの安定に万全を期しつつ、不良債権問題を終結させるため、迅速に公的資金を投入することを可能にする新たな制度の創設の必要性などについて検討することとされまして、その後作業工程表において金融審議会で議論を開始し、半年程度で結論を得るとのスケジュールが示されたことを踏まえまして、12月に、当第二部会のもとに設置されたものでございます。

表紙から2枚おめくりいただきますと、日程・議事内容が添付してございますが。本年1月の第1回会合以来、計14回の会合が開催されております。この間、5月17日にりそな銀行に対します預金保険法第102条の1号措置の必要性の認定がなされるというような事態も踏まえつつ、それをまたいで議論が行われ、今般WGの報告、「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」として整理されたところでございます。

続きまして、読み上げさせていただきます。

○ 事務局

それでは、読み上げさせていただきます。

(公的資金制度に関するワーキンググループの「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」を読み上げ)

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、片田さん、コメントいただきたいと思います。

○ 片田公的資金WG座長

私たちのWGの担当したこの公的資金というテーマは、過去におきまして金融機能安定化法、金融機能早期健全化法、そして預金保険法102条とそのそれぞれが国民的な議論になった大きな問題でございまして、こうした難しい問題を金融審議会で扱うに当たりましては、WGとして通常の課題とは異なるアプローチが必要であるというふうに考えてまいりました。

また、このテーマの論点が内容的に多岐にわたる問題であり、当WGにおいても各委員から多様な意見をちょうだいいたしましたので、WGの座長としてはそれらの議論を報告書にどのように盛り込むかに最も苦労したところでございます。

その結果、報告書におきまして考え方をしっかりと整理するということを基本的なアプローチといたしまして、各委員から出された様々なアイデアをこういう意見がある、こういう指摘もあるといった形で報告書に記述、表現することに努めてまいりました。

次に、報告書のポイントについて申し上げたいと存じます。

公的資本増強に関する基本的な考え方としては、まずりそな銀行に対する公的資本増強の事案で、預金保険法102条スキームが金融危機の未然防止に関して対応し得ることが明らかとなりました。こうした実績や公的資本増強制度そのものに内在する副作用等を踏まえますと、公的資本の増強は預金保険法102条だけで十分足りるとの考え方が一部の委員から示されましたので、このことをまず記述いたしました。一方、我が国経済や金融機関の状況を踏まえますと、現行制度だけで十分と言えるのだろうかという問題提起は重要でございます。この点について何度も議論を重ねまして、銀行部門において速やかな思い切った不良債権の処理と企業再生の取組みを含め、健全な金融機能を発揮するという国民経済的な課題に対応するために自己資本充実を公的にサポートすることが考えられるという理論を大きな流れとして整理した次第でございます。

ただし、こうした考え方に対しても異なる意見がありましたので、報告書においてその点についても明確に記述をいたしました。

また、預金保険法第102条とは別の枠組みについて、目的を達成するためにはどのような方策をとるべきかについて各委員から様々な意見が出されましたので、それらの意見についても、それぞれ意見として本報告書に盛り込みました。

さらに、公的資本制度の副作用に鑑み、公的資本増強の対象行の将来性や経営改革の確実な実行の見極めが重要であるという留意点を併せて付記しているところでございます。

冒頭申し上げましたとおり、公的資金というテーマは国民的な議論となる大きな問題でございまして、そうした問題を金融審議会で扱うに当たりましては、様々な考え方や意見を整理するというアプローチが適当であったと考えましたところであり、またWGにおいては各委員から多岐の論点にわたる様々なご意見をちょうだいしましたので、この報告書ではそれらの意見をそれぞれ尊重する形で整理するのが適切であると、このように考えましたことを申し添えまして、私の報告といたします。

ありがとうございました。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、この報告書につきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお出しいただきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。

どうぞ、原さん。

○ 原委員

意見と確認のようなことなんですけれども。今回、ワーキングで検討なさっている途中でりそな銀行の案件が出てきまして、それでこれは国民の間でもすごく大きな関心事でありまして、特にこの公的資金ですね、これをどう扱うかというところについては、例えばりそな銀行であればその時期、それから額、それからどういう性質のものかということについて、一般の国民からするとやはりすごく突然というのでしょうか、金融業界の中にいらっしゃる方々にとってはある程度予測がついたことかもれしませんけれども、一般の人にとってはかなり突然の印象があって。そういう意味では、国民への説明義務がとても大きなポイントになると思っています。ここでたくさんの論点を出していただいたことは大変参考になるというふうに思っておりまして、これを使って広くどういうところを議論していったらいいのかということをぜひ継続をして。一応ここは、先ほどの自己資本比率の経過報告とは違って、一応ここでのとりまとめということになるんだというふうに思いますけれども。これを活用していただきたいというふうに思っております。

それから、2つ目は確認的なところなんですけれども、出された意見はすべて網羅なさったためだと思うのですが、印象としてちょっと2つに考え方が分かれるというか。1つは早期に発見をして、早期に本当は破綻をしないようなことになれば一番いいという考え方です。実際に公的資金を投入した場合はそれを監督していくということになると、国がどこまで積極的に関与する、行政がどこまで積極的に関与するのかという話があります。それから、一方では、早期にそういう予兆をある程度ディスクロージャーする中で、世間一般にもわかるという形ですね。それから、実際に公的資金を投入するにしても、社外取締役を入れたりとかということでかなり民間を使おうというふうな意見と、両方がごちゃごちゃと入っているという印象があります。1つの意見が紹介されると、いや、一方でというふうに書かれていて、両方の意見があったんだなということはわかるのですけれども、全体的な議論の雰囲気というんでしょうか、流れとしてはどういうものであったかをもう少し教えていただけたらというふうに思います。

○ 堀内部会長

片田さん、何かございますか。

○ 片田公的資金WG座長

今、ご指摘の点、ごもっともかと思います。途中でりそな銀行に対する公的資金問題というのがございまして、これを巡っても随分議論がありました。したがいまして、この文章の中にも出てまいりますように、もし預金保険法102条で金融危機の未然防止とはいえ、ああいう形で処理できるならば、何ゆえに新たに公的資金制度が必要なんだというふうなご意見がございまして、そのことも書きました。

それから、いろいろと多岐の意見がいっぱい出ておってというご指摘なんですけれども、実は私ども14回、2時間あるいは2時間以上議論してまいりまして、冒頭に私が申し上げましたように、この問題は私の個人的な意見としても非常に議論の分かれる難しい問題なんです。だから、私としてはこの場合の金融審議会WGの目的としては、我々委員において有識者において、こういう議論を様々に出し合ったというふうなことを公開するといいますか、発表することが非常に大きな目的だと考えているのでありまして。もっと意見を集約してはどうかというふうなご意見のように聞こえるのですけれども、その集約はできません。それほど各委員それぞれ個性もあり、ご意見も持っておられまして、集約は困難で、こういう様々な意見がありますよということを世に問うことが私たちの使命であると、そういうことを私、今、冒頭のところでも申し上げたので。原委員からすれば少し足りないのかもしれませんけれども、そういう意味でございます。

○ 原委員

私としては意見の集約ということではなくて、両方半分半分に書かれているので、半分半分の議論であったのか、7、3ぐらいの議論であったのかというようなところが少しわかればというふうに思っただけで。私も本当にたくさんなので、恐らくこれで集約というのは大変難しく。それで、今の場面で、今の時期での集約はできても、また例えば2年後とかになるとまた違う選択の方法というのもあるかというふうに思いますので、あえて今の段階での集約を求めているわけではないです。

○ 片田公的資金WG座長

はい、わかりました。

○ 堀内部会長

ほかにご質問、ご意見等ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。はい、どうぞ、川本委員。

○ 川本委員

今のご議論に関連してです。片田座長から非常に議論の分かれて難しい問題で、そういう議論がいろいろあったということを発表することが意義であるというお話がございました。そうしますと、この部会でプロセス的にこの報告書を了承するというようなことになるのか、了承するということはどういう意味があるのか、その辺について教えていただきたいと思います。

2点目として、今後の行政の中でこの報告書がどういうふうに使われていくのか、報告書の中の多数意見を尊重されるのでしょうか。この報告書の中には、根本的な意見の違いがあると思います。その辺はどういうふうに扱われるのかということをちょっと教えていただければと思います。

○ 堀内部会長

そうですね。一般論としては、この報告書を踏まえて、今後その報告書がベースになって公的資金の注入のあり方についての制度をさらに踏み込んで議論をする際に、これが出発点となるという位置付けがこの報告書に与えられるだろうと思います。

ですから、報告書として我々が了承するということは、今後の議論の出発点としてはここをベースにしていきましょうというような話になるかと思いますね。より具体的には局長の方からお願いいたします。

○ 藤原総務企画局長

川本委員のご質問でございますが、先ほど片田座長からもお話ございましたように、極めて広範な難しい話につきましていろいろな角度から論点を整理していただいたと思って感謝いたしております。ここで一般論から始まりまして、仮に絵を書いた場合、どういう形があり得るかということまで整理していただいております。

ただ、まさしくいろいろな意見があるわけでございまして、ここで整理していただいたものを参考というか、ベースにいたしまして、金融庁の中で総合的に検討してまいりたいというふうに思っております。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。

よろしゅうございますか。

それでは、時間も押しておるということがありますので、一応ご意見伺ったということでございまして、このWGの報告書につきまして、第二部会としてご了承したいというふうに思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、このWGの報告書を第二部会の報告書として、この会議の終了後に記者会見が行われますけれども、そこにおきまして公表させていただきたいと思います。

それでは、最後に、保険業法の一部を改正する法律案につきまして、その内容や国会における審議などについて、事務局より報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 安居保険企画室長

それでは、先日成立いたしました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、簡単にご報告申し上げたいと思います。

この法律はご承知のとおり、保険の予定利率の引き下げの手続きの整備等を目的としたものでございます。保険の予定利率の引き下げにつきましては、本部会におきましても5月12日にご議論いただきまして、非常に幅広いご意見をちょうだいしたところでございます。その後、与党における議論も踏まえまして、法案としてとりまとめをいたしております。去る5月23日に国会に提出いたしまして、国会でご審議をいただいたというところでございます。

なお、国会における審議の過程におきましては、衆参の両院で参考人質疑が行われておりまして、本部会の委員の先生方にも参考人としてご出席をいただき、質疑に参加していただいております。具体的には、衆議院の財務金融委員会における参考人質疑におきましては、堀内部会長を初め、岩原委員、高橋委員にご出席をいただきまして、参議院の財政金融委員会の質疑におきましては、山下委員、原委員にご出席をいただいたというところでございます。

両院における審議を経まして、本法律は7月18日に成立、同月25日に公布ということになってございます。

それでは、法律の内容につきまして、一番最後のつづりの資料の一番最初にございます、「予定利率の引下げスキーム」という表題を書いた資料に基づきまして簡単にご説明をしたいと思います。

まず、法律の基本的な考え方でございますが、上の囲みにもございますとおり、「超低金利が継続する中で、「逆ざや」問題を解決し保険契約者の保護を図るための制度として、保険会社・保険契約者間の自治的な手続きにより、契約条件を変更する仕組みを整備する。」というものでございます。

次に、その下にございますフローチャートに従いまして具体的な手続きにつきまして簡単にご説明いたします。

まず最初に、「保険会社からの契約条件変更の申出」というふうにございます。保険会社の健全性の確保に当たりましては、まずは保険会社自身が経費の抑制や合併、提携等の経営努力を行うということが基本であることは言うまでもございません。その右にありますとおり、さらに必要があれば、行政が経営改善努力を促すということになります。今回の法律はこうした経営努力を行ってもなお契約条件の変更をしなければ保険業の継続が困難となる蓋然性がある保険会社について、契約条件の変更の申出を行うことができることとするものでございます。

次にまいりまして、「行政当局による申出の承認」とありますが、行政当局は保険会社から申出がありますと、その申出に理由があるときには手続きに入ることを承認するということにしてございます。その際、その右にありますけれども、手続きを混乱なく進め、保険集団の維持を図る必要がございますので、行政当局は保険契約者の保護のために必要があると認めるときは、期限を付して解約にかかる業務の停止命令を行うということにしております。

申出の承認がなされますと、その次には、「保険会社による契約条件の変更案の作成」に進むことになります。保険会社は、具体的な変更案を作成するわけですが、その枠の中にございますとおり、契約条件の変更に当たっては、法令上一定の制限を設けることにしてございます。具体的には、第一に、それまで積み立ててきた責任準備金に対応する権利に影響を及ぼしてはならないということ。第二に、変更後の予定利率は保険会社の資産の運用の状況等を勘案して定める水準を下回ってはならないということとしております。この2番目の予定利率の下限につきましては、政令で定めることになってございますけれども、今のところ3%を予定しております。

また、変更案というものは、保険会社自身の機関意思の決定という手続きが必要でございまして、相互会社の場合は総代会または社員総会、株式会社の場合は株主総会の特別決議を経るということとしております。特別決議に際しましては、事前に総代等に書類を送付することを義務付けておりまして、十分な理解を求める仕組みとしております。具体的には、その右の囲みにございますとおり、契約条件の変更がやむを得ない理由、契約条件の変更の内容、変更後の業務及び財産の状況の予測、基金・劣後ローンの取扱い、経営責任に関する事項を記載した書類を送付するということとなっております。

さらに、その下にございますとおり、将来金利が上昇した場合等において契約条件の変更の対象となった保険契約者に対して優先配当を行うことも考えられます。こうした方針をとるという場合には、その内容を記載した書類を送付するということも義務付けてございます。

総代会等の特別決議を経ますと、その次に「行政当局による契約条件の変更案の承認」を求めることとなります。行政当局による変更案の承認に当たりましては、第一に保険業の継続に必要な措置が講じられているのか。第二に、契約条件の変更が保険業の継続のために必要な範囲のものであるか。第三に、保険契約者等の保護の見地から適当なものであるかといった観点から審査を行うこととしております。

その際、変更案の内容につきまして、第三者の立場からチェックするということが必要な場合も想定されますので、必要に応じて行政当局は保険数理の専門家等を保険調査人に選任いたしまして、契約条件の変更の内容等について調査させることができる仕組みを設けております。

こうした行政当局によるチェックを経た上で、保険契約者の保護手続きといたしまして、その次にございます「変更対象契約者による異議申立」が行われることになります。1か月以上の異議申立期間を設けた上で、異議を申し立てた保険契約者等が契約条件変更の対象となる保険契約者等の10分の1以内であった場合に限り、契約条件の変更を行えることとしております。

その際、先ほど申しました総代会等の場合と同様に、契約条件の変更の方針等については保険契約者等に十分な理解を求めることが重要でありますので、そのやむを得ない理由を記載した書類等を送付することを義務付けることとしております。

最後に、「契約条件の変更の公告及び変更対象契約者への通知」を行うこととなります。

以上が法律の仕組みでございます。

最後になりますが、本法律は、先ほど申しました7月25日に公布されておりますけれども、この日から1月以内の政令で定める日から施行されるということになっております。したがって、現在のところ8月24日の施行を予定しております。現在、先ほど申しました予定利率引下げの下限の設定など、関連する政令、府令につきまして、パブリックコメントの手続きを行っているところでございます。

ご報告は以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局のご報告に対して、ご発言等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでございますしょうか。

どうぞ、高橋さん。

○ 高橋委員

私は国会においてこの法案反対の意見陳述をさせていただきました。したがいまして、細かいことは余り申し上げたくはないのですけれども、今後のことを考えましたときに、混乱が起きるといけませんので、気になる点をご質問させていただきます。

国会の審議もずっと傍聴させていただいたり、見ていたのですけれども、この法律を認めるか認めないかということが主要な論点になって、今、ご説明いただきましたスキームに関して細かく入り込むということがなかったのですね。私が気になっておりますのは、このスキーム自体に反対理由を2つ挙げているのですが、自主的に判断するといいながら、契約者保護の名のもとに行政がかなり関与しますねという点が1点。それから、保険会社と契約者との間の自主的自治の手続きだとしながら、契約者の権利はかなりないがしろにされているのではないかと、この2点でございました。

予定利率の引下げを可能にするスキームということでは、先ほどの説明は非常にきれいに出来上がっているのですが、私が国会で反対しましたのは、これがうまくいかなかったときにどうしますかということだったわけなのですね。総代会とか株主総会での特別決議ができなかったケース、あるいは異議申立が10分の1を超えて、この手続きが実行されなかったケースということなのですが、その場合は、破綻の蓋然性があるということで、破綻処理に移行する可能性があると思います。そうなりますと、契約条件変更ができないという公告がされて、解約停止命令が解除されると思うのですが、その辺のタイムラグがよくわからないのですね。結局、もしそういう事態が現実に起こった場合には、一般の方々は保険の解約に走るかもしれないということが想定されます。解約がふえてきたから、じゃあ、破綻処理に移らざるを得ませんという形になるのか、あるいは異議申立等が成立した段階で、そういうことがあるだろうから破綻処理に移行してしまうのかというところが、非常に不透明だというふうに思っております。

法案の250条の説明資料の5枚目に保険業法第250条関係の「特定契約範囲の見直し」というのがあります。ここには細かい解説がございませんが、この法律を解釈していきますと、結局、当局が個別の保険会社の自主申請を受けて解約停止命令を発動することはできるのだけれども、個別の契約者にまで解約の申出をしてはいけない、解約を受け付けてはいけないというところまで拘束力がない。解約返戻金を払ってしまったら罰則よと、そこまでしか決められていませんから、一般の契約者はこれに反対である場合には解約の申し出ができて、保険会社はそれを受け付けるという形態になっていると思うのですね。

ところが、この250条をよく読みますと、もし破綻処理に移行した場合には、解約申込みをした人に対して、早期解約控除ですとか、責任準備金ですとか、予定利率の3%以下の引下げという、破綻のときに行われるであろう効果が及んでしまうというふうに書かれているのですね。そうしますと、破綻でもないのに解約停止をかけるというのは、反対した人に対して、もしこの手続きが実行された場合等において、早期解約控除をかけたりせず、普通に解約したのと同じ権利を保証するというのがもともとの精神だったと思うのです。この手続きに入った途端に解約したいという申込みをした人に対してまでも、破綻時に財産権を侵害するようなことが起きてしまうということに対して、私は非常に問題ではないかなというふうに思うのですが。

この引下げの手続きがうまくいかなかったときのその破綻への移行のときの混乱等、どういうふうに処理されるのか、ご説明をいただきたいと思います。

○ 堀内部会長

はい審議官、どうぞ。

○ 三國谷審議官

保険業法につきましては、先般、国会でご審議いただきまして可決いただいたわけでございます。実は衆議院と参議院を通じまして、その間、この過程におきまして相当な議論が行われまして、後ほど議事録等ご拝読いただければご理解いただけるかもしれませんが、それぞれの項目につきまして、かなり突っ込んだ議論が行われております。審議も相当行われてきたということをまずは申し上げたいと思います。

なお、このスキームでございますが、これは従来から申し上げておりますけれども、保険会社にとりまして、保険集団にとりまして将来の事業継続が困難となる蓋然性がある場合に、その選択肢を広げるというこういうスキームでございます。いろいろご議論あろうかと思いますけれども、保険会社の場合、やはりほかの事業会社と違いまして、負債の構造が非常に特殊、特別な事業形態でございます。そういったことにつきまして、仮に将来においてそういった事態が生じた場合に、そのときにどういった選択ができるか、その選択肢を広げるという観点でございます。

なお、この過程におきまして、総代会なり、あるいは契約者に対しましては、この表にもございますとおり、契約条件の変更の内容、やむを得ない理由、そういった相当の考え方をご説明してご理解を求める仕組みとしております。

したがいまして、私どもといたしましては、こういったスキームというものが保険集団の判断において適切な選択が行われていくものと考えている次第でございます。

なお、行政当局による介入という話もございましたが、これはこういったスキームの性格が必要な範囲で、あるいは過度に行き過ぎないようにしながら所要のチェック等を行っているというものでございます。

特定契約の問題につきましては、この手続きに入りました瞬間にやはり保険集団が崩壊していくということを防ぐ観点から、その保険集団を維持していく必要がある。しかし、その過程においてあらかじめ解約を念のため申し込んでおいた者とその後の方ということにつきましては、やはりその条件はイコールであることが必要ではないか、こういった観点から設けているものでございます。

いずれにいたしましても、この保険業法につきましては、ここに至るまで数年前から大変な議論がありまして、大変いろいろなご議論がある中ではございますが、私ども行政といたしましてもこういったことにつきましても一応の判断工夫をいたしまして、法案を提出させていただきまして、大変な議論をいただいた上で成立したということでございます。この運用に当たりましては、私どもも今後きちんと適正を期してまいりたいと思いますので、よろしくご理解賜りたいと思います。

○ 堀内部会長

今のご質問は、もう少し具体的な内容で、契約内容の変更がうまくいかない場合もあり得るわけですね。その場合にはどういう状況を想定されておられるかというようなことなので、そこもちょっとご説明、可能な限りでご説明いただきたいと思います。

○ 三國谷審議官

いずれにいたしましても、このようないろいろな制度でございますので、それがうまくいく場合と、また理屈の世界ではうまくいかないという場合もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましてはこういったものがうまく機能するようにいろいろな制度的な工夫はしたものでございます。

今のご指摘の、うまくいかなかったような場合ということもございましたのですが、特定契約というのは全体の公平が保たれるような、そういうようなことで制度を仕組んでいるものでございます。

いずれにいたしましても、これにつきましては一般的な選択肢を広げるという、そういった保険集団というものの置かれている現在の状況、それから事業の特殊性、こういったことに鑑みまして、1つの備えとして選択肢として準備させていただいたものでございますので、そういったこともご理解賜りたいと思います。

○ 堀内部会長

あと補足的に、安居さん、何かありますか。

○ 安居保険企画室長

うまくいかなかった場合ということでございますけれども、資料の4ページの一番下にございますとおり、例えば異議申立でございますけれども、異議申立で仮に10分の1というものを超えてしまったような場合はうまくいかなくなってしまうわけで、その場合につきましては、一番下に10の(1)にありますとおり、2つ目ですね、「契約条件の変更をしないこととなったときも、同様とする。」ということですので、そこで公告がなされることによって手続きが終わるということになります。

それで、何が起こるのかというご質問だと思いますけれども、それはなかなか仕組み上、ただちに何が起こるということが出てくるわけではございませんで、そこはこの予定利率の引下げというものが本当に予防的といいますか、かなり早い段階で行われているということが皆さんがご理解いただいているのであれば、別に何事も起こらないかもしれませんし、もっといろいろな風評があるなり、経営の実態としていろいろ問題があるのであれば、何らかの動きがあるのかもしれません。それはちょっと、制度から直ちにどういうことが起こるということが出てくるわけではございませんので、それについて直ちにお答えするというのはちょっと難しいと思います。

○ 藤原総務企画局長

国会でもこれに、そのものずばりではないのですけれども、類似したご質問もありまして、私の方からもお答えしたことがございますので、私の方からお答えした方がよろしいかと思います。

確かに株主総会あるいはそういう意思決定のところで否決されたり、あるいは最後に10分の1以上の反対があって否決されるというような危険性というか、そういう可能性というのはかなりあるわけであります。しかし、私が国会で申し上げたのは、そういうことが起きれば、当然のことながら混乱が生じる。混乱が生じることは保険集団にとっていいことではないと。したがって、そういう混乱が生じないように十分、いわばふんどしを引き締めてきちっとしたものをつくり、きちっとしたディスクロージャーをし、説明をして契約者に納得していただくというようなことが極めて肝要であると。まずそれが第一である。

しかし、仮に仮定の問題としてそういうことが否決されることが起きることがあるわけでございますが、しかしそれは高橋委員が言ったように、即破綻ではないわけでございます。これは破綻ではない。その時点では。破綻の場合は破綻処理するわけでありますから、この契約条件の変更というのは破綻の前で、そういうものを提案し、それが否決されたということでございますから、ここは破綻ではないわけであります。そこがちょっと誤解されているような気がいたします。

じゃあ、その後どうなるかというのは、これは私どもまだ想定というか、法案では何も書いてないわけでございますが。しかし、あの法案自体よくごらんいただきますと、じゃあもう一回提案することを否定するのかといったら、それも否定していないのです。そこが保険会社、保険集団がどういうふうに考えるかというのはその時点でもう一回考えていただくということでございます。したがいまして、先ほどちょっと高橋委員がお話になりました中で、それは否決されたらすぐ破綻ではないかというのはちょっと我々は想定しておりませんし、そうではないというふうに思っております。

○ 堀内部会長

原さん、どうぞ。

○ 原委員

ちょっと時間を超過しておりますけれども、私としてはこの会の流れを見ておりますと、やはり金融政策の中でこのことが検討されて、契約者の財産権の侵害であるとか、それから契約者の行動ということについて余り考慮されずに検討が早急に進められた結果が、今のような矛盾というところで出てくるというふうに思います。

私、参議院でお話ししましたけれども、そのときに10分の1に何の根拠があるのかというふうに言われて、特に何の根拠がある数字でもないということになってしまうのですが。10分の1以下であれば、契約者が自分たちはやはり異議申立をせずに保険契約者としてできるだけこれで守っていこうというふうに思っても、私は将来的には新規の契約が入ってこなくなるので、じわじわと破綻に陥る恐れがあるというように考えています。

10分の1以上であれば、もっと早い段階で破綻が起きてくる恐れがあるという、全く破綻を、完全に破綻しますというふうには言えないと思いますけれども、それは十分高い。そうすると、高橋委員がおっしゃられたように、先ほどの250条の矛盾点ですね、やはりそこはきちんと整理をされておく必要があるというふうに考えておりまして。

いずれにしても、やはり私は賢明な方策ではなかったのではないかというふうに思っております。

それから、ちょっと保険を離れて恐縮なのですけれども、消費者側とか契約者側の意見を言う場がなかなかなくて、先ほど信託業法の中では申し上げましたけれども、ぜひ金融審議会の中に消費者側の意見とか政策とかを検討していただく、今、特別部会というのが個人信用情報保護法をやるということで控えていますけれども、ぜひそういうところを活用して、消費者側の意見と契約者の意見、投資家の意見をもっと反映させる場も設けていただきたいというふうに考えております。

○ 藤原総務企画局長

今の原委員からのご指摘でございますが、例えば契約者がどういう行動をとるかというのは余り考慮しないでスキームをつくったじゃないかという話でございます。これはむしろ前回の2年前におまとめいただいたものの方が、契約者がどういう行動をとるかというものについて十分な観察といいますか、考察が欠けておったのではないか。したがって、それはなかなかワーカブルでないと言われるゆえんでありました。したがいまして、今回、まさしく解約停止でありますとか、あるいは行政の関与であるとか、そういう前回のものを補完するスキームも、むしろ契約者がどういう行動をとるか、それがどういう結果をもたらすかということを十分考えた上で考えたところでございます。

また、その10分の1の根拠がないとおっしゃるのですが、これは現行の保険業法の中で契約条件の変更するときは拒否権のところで10分の1と。5分の1もございますけれども、5分の1は契約条件の変更に至らないもの。したがいまして、今回のものも当然契約条件の変更でございますから、10分の1というのを念頭に置いて私どもは、つくったわけでございます。

それから、これも国会答弁みたいになって恐縮でございますが、こういうことをやれば新規の方が入ってこないというようなご意見、確かに国会でもございました。他方、今回こういうことでやりまして、新たに、例えば現在配当が受けられない方々が配当を受けられるようになる、あるいは新たに加入する方も場合によっては配当を受けられるような状況になるということであれば、むしろ新たな方々が参加する、加入するというようなことも十分あり得るというようなご意見もあったわけでございまして、そういう見方もあるわけでございまして、そこは一概に全く新規の方が入ってこないというようなことではないのではないかというふうに思っております。

それから、原委員の2点目の話でございますが、今現在金融審議会におきましては国内外の金融問題につきまして、重要事項につきまして、各界の方々にご参加いただいてご議論していただいておりまして、そういう各界の方々が事柄ごとにご発言をいただくというようなスキームでやっておりますので、ご理解いただきたいと思っております。

○ 堀内部会長

原さんの後段のご質問については、大藤さん、お答えいただきましょうか。

○ 大藤企画課長

金融審議会の運営に関することでございますので、事務局の方からちょっと補足的にお話し申し上げたいと思います。

金融審議会につきましては、今、局長の方から話がありましたように、国内金融等に関する重要事項に関して調査、審議いただく等の目的のために各界の方々にご参加いただき、ご議論いただいているところでございます。具体的には、金融審議会におきましては、それぞれのテーマに応じまして、必要に応じて学界でありますとか、産業界、もちろん消費者関係者など、各界からそれぞれのテーマに応じまして適切なメンバーにお集まりいただきましてご議論をいただいているところでございます。

このようなことを考えますと、テーマを問わずにもっぱら特定の分野の方々の意見をお聞きするというような場を設けるというのはなかなかなじまないのではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、今後ともテーマに応じまして、必要に応じて適切に多様なご意見をいただくように努めていきたいと思っております。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

それでは、斎藤さん、ちょっと手短に、時間が過ぎておりますので。

○ 斎藤委員

すみません。当事者の業界でございますので、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

予定利率の引下げ制度につきましては、我々生命保険業界にとって大変重たいテーマでございますが、同様に国民、それからご契約者の方にとっても大変関心が高く、またご心配をいただいている、そういったテーマでございます。

こういったことを踏まえまして先の国会においてさまざまな視点で審議がなされたというふうに承知をさせていただいております。この予定利率引下げ制度によりまして長期的に見れば、当該会社のご契約者のためになる、そういった可能性が高いというふうに思いますが、一方で、保険金を削減されるという、そういう厳しい現実もございます。

そういったこともございまして、現在どこの保険会社に限らず、ご契約者のご心配、それからご照会というものが大変多く寄せられております。そういったご照会事から考えますと、ご契約者にこの制度の内容というものがまだ十分に浸透していないということ自体がこのご心配を増幅させているというふうに考えます。

先の、この間の法律の成立を受けまして、先週7月24日でございますが、生命保険協会のホームページに予定利率の引下げ制度につきまして、やさしく解説したものをアップしております。これについては、各保険会社は今後リンクをしていく予定でございまして、こういったことを通じましてご契約者の不安を少しでもやわらげていきたいというふうに考えます。

また、これとは別にしまして、各生命保険会社はさらなる経営の効率化に努めまして、何よりもご契約者の信頼をさらに高めていくという努力を図っていく、これが肝要だというふうに思っております。以上でございます。

○ 堀内部会長

では、最後に1点。

○ 高橋委員

手短に申し上げます。1点、まず藤原局長から、前回のワーキングのときは契約者保護を考えてなかったということについては反論させていただきます。非公開の作業部会の議事録を全部読み返していただきたいのですが。なぜ、契約者集会が出てきたかというようなことであるとか、なぜ解約停止をかけないのかというような議論の中で、契約者の動向を十分に我々は検討して当時決めたというふうに思っております。

それから、2点目ですけれども、異議申立が成立したら即破綻ではないかというのは誤解だというふうにおっしゃっているのですけれども、その点に関しましては、即破綻でなければ250条であのような特定契約の条項を設ける必要はないわけですから、解約停止解除命令がいつ出るのかということをきちんと出していただいていないことが、今、一番の問題だというふうに思っております。一般の方々は解除命令が出るまで保険料を払い続けなければいけないし、解約返戻金も手にできないという状況に置かれるわけですから、契約者のことを考えていただくのであれば、どういうときに解約停止解除命令を打つのかと、その時期に関しても3ヶ月以内なんていうことではなくて、きちんとそこを説明していただかないと無用な混乱が起きて、まさに取り付け騒ぎ的な大騒ぎになるのではないかと、私は心配して申し上げているわけでございます。

ですので、金融庁さんとしても、あれをつくったということはこの手続きがうまくいかないということを十分に想定されていると思っております。十分に想定されていて、内部ではシナリオをいっぱいつくっていらっしゃると思うのですが、25日に出されました政令も府令も、その他所要の措置を講ずるということで細かいことが何も書かれていないということに関して、非常に不安なり不満なりというものを持っているわけでございます。

もう細かいことも時間がないので申し上げませんが、1点だけ確認させていただきますけれども、国会の説明及び金融審議会の説明において、生命保険の予定利率引下げがうまくいった場合には、公告をして解約停止を解除するということですが、私は、契約者が異議申立をすると破綻しちゃうから、実際には予定利率が引き下げられてから解約をする契約者がかなりいるのではないかと。これも国会でも議員の方々が出しておられたことなのですけれども。そこに関して、破綻であれば早期解約控除という安全装置をかけて解約返戻金を最大2割削減するとか、そういうことを今までかけてきているわけなのですけれども、今回についてはかけないということをご説明されておりますが、どこにも書いてないので、これに関して本当にかけないのか、この金融審議会の席上ではっきり明言していただきたいというふうに思っております。以上です。

○ 藤原総務企画局長

先ほど、私、原委員が契約者がどういう行動をとるかは余り考えないでというふうなご質問があったのでお答えしたのでありまして、別に契約者保護を考えてないというふうにご指摘したわけではありません。むしろ、前回のワーキングの方が契約者がどういう行動をとるか、まさしく解約に走るのじゃないかということを懸念されながらも、そうはしない、解約というのは起きないだろうというかなり性善説に立ったワーキングの設計図だったのですが、それはなかなか難しいと、ワーカブルでないということで、どういう行動をとるかということも考察した上での、今回の新しいスキームでありまして、契約者保護を考えてないというのでなく、どういう行動をとるかということを考えていたのかという原委員のご質問に対してお答えしたつもりであります。

それから、今回、もし解約を申し込んだ場合、これは当然のことながら解約の申し込みは有効なわけでありまして、解約停止が終わった後、それでもなおかつ解約したい方は解約すればいいわけでございます。その際に、今回の法律で既に積み立てた責任準備金は取り崩しちゃいかんと、削減しちゃいかんということが書いてございますから、そこが削減されない限り、解約停止後直後に解約すればほとんど、ほとんどというか、まさしく積み立てた分はそのまま返ってくるわけでありまして、まさしく、高橋委員がご心配のようなそういうことは起きないということです。このことは何回も国会でも答弁いたしております。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

私のコントロールがうまくいかなくて、ちょっと時間が長引いてしまって申しわけございませんが。やや要約しますと、一部の委員が契約者保護に関してご心配されておられるということは否定できないところでございますので、行政当局としてはぜひこの点を深く受け止めていただいて、今後の行政に当たっていただきたいと思います。

それでは、大変申しわけございませんけれども、本日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。長時間どうもありがとうございました。

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