金融審議会金融分科会第二部会会合(第19回)議事録

日時:平成16年11月10日(水)14時00分~15時53分

場所:中央合同庁舎第4号館 9階特別会議室

○ 堀内部会長

それでは、お待たせしましたが、金融審議会金融分科会第二部会の19回目の会合を開催いたします。

皆様、本日はご多用のところをご参集頂きまして、ありがとうございます。

今日は、無認可共済についてお話をして頂くわけですけれども、議論に先立ちまして、会議が公開になっているということをまずご了解頂きたいと思います。

それから、本日は、川本委員、神田委員、島上委員、辻山委員がご欠席でございます。

それから、第一部会の方から上柳委員がご出席でいらっしゃいますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

それでは、早速本日の議事に移らせて頂きます。本日は、お手元の議事次第に従いまして、無認可共済への対応ということでご議論頂きますが、議論の進め方といたしましては、前回の10月27日に総務省及び事業者の方々から行ったヒアリングの際の状況につきましてまず事務局の方からご紹介頂きたいと思います。その後、無認可共済への対応にかかわる論点整理ということで、これまで意見募集を行ってまいりましたけれども、これに対する主な意見が大体出そろったようです。したがいましてこれを事務局からご説明頂くというのが2番目でございます。続きまして、更に御議論頂きたい論点について事務局の方からご説明頂きたいと思います。このように、主として事務局の方からご説明を頂いた上で、皆さんにご審議頂きたいと考えます。

それでは、まず前回の総務省及び事業者からのヒアリングの状況について事務局の方からご説明頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○ 新川信用機構室長

信用機構室長の新川でございます。よろしくお願いいたします。

報告に先立ちまして、一部報道におきまして金融庁が無認可共済に対する規制につきまして方針を固めたという趣旨の報道がございましたが、現段階において金融庁として一定の方針を固めたという事実はございませんので、その前提で引き続きご議論をお願いしたいと思います。

それでは、資料に従いまして、第二部会19-1と書いてある資料でまずご説明いたします。この資料は、去る10月27日、総務省行政評価局の三宅評価監視官から、大要この資料に基づいてご説明があったところであります。一部簡単にご紹介いたします。

1ページ目をあけて頂きます。調査の枠組みというページでございます。総務省行政評価局によります調査は、6月段階で中間報告という形で頂きました。中ほどの図に任意団体等による共済422団体と書いてありますが、これがいわば中間報告の形で6月にご報告頂いたもの、それから先日は企業内共済あるいは公益法人等による共済につきましてもあわせて結果がまとまったのでご報告ということでありました。実際に調査できたのは、任意団体で166、それから企業内共済等で85、公益法人等で119団体ということになってございます。以下、具体の調査結果についてまとめて頂いたものがありますが、最後のページに調査結果を踏まえて総務省としての行政上の課題を抽出して頂いておりますので、その部分をご紹介いたしまして調査結果のご報告にかえたいと思います。9ページでございます。

まず1とございますが、いろいろな調査結果から、次のとおり対処すべきと考えられる行政上の課題が見られたということで、1つは募集方法等でございます。共済の中で、加入から共済金の支払いあるいは解約に至るまでの相談の多くが、相談の原因やその背景にある募集の方法等が関係していると見られることから、募集方法等の適正性が確保されること、また、契約後に共済金支払等に関するトラブルが生じないよう、約款及び契約書が確実に交付されることというのが1つ目の指摘事項でございます。

2つ目が、財務情報でございます。これについては、少なくとも正確な財務情報、貸借対照表と損益計算書あるいは収支計算書といったものが開示されることが必要であるということでございました。

3つ目が、責任準備金でございます。これについては、責任準備金が適正に積み立てられることと、その残高も他の財務情報とともに開示されること、それから適正性を確保するため、少なくとも具体的な算定方法が開示されることということでございます。

なお、これらの課題については、加入者が少ないなど共済の対象者の範囲や加入者数等の規模等から見て、中には自治に委ねることで足りるというものもございますので、それについては共済団体に対応を委ねることが考えられるということが指摘されてございます。

それから、先ほどご説明しました1枚目の紙にもありましたように、調査に対する協力が得られなかった団体が相当数あったという事実を踏まえまして、一番下のところに実態把握等とございますが、共済の実態を個別に継続して把握、また問題のあるものについて適切な対応を図るための仕組みが整備されることが必要であるというご指摘を総務省から頂いております。

この報告に対します前回非公式ヒアリングでの主な質疑といたしましては、先ほど申し上げました協力を得られないということが相当数ありますけれども、どういう理由が考えられるかというご質問に対しまして、総務省で把握している限りでは、業務多忙、守秘義務、あるいは規制強化の動きに反対などの理由が述べられたということでございます。

それから、任意団体の関係で、年間の共済の掛金額と支払額の差が非常に大きいのだが、これはどういったことが考えられるのかというご質問に対しては、それについては、差のあることは調査しているが、その原因までの分析は行っていないということでありました。

それから、任意団体の中には加入資格が入会金だけ払えばいいといったものもあるのですが、これについて、保険業法では不特定の者を相手にする場合は免許が要るということになっていますが、それとの関係で調査はできているのかというご質問に対しては、入会金の額等については調べたが、それ以上の詰めは行っていないということでございました。

以上が総務省の調査結果報告であります。

続きまして、共済事業を実施しておられます団体等からのヒアリングの模様につきまして、19-2と書いてございます資料で大要をご説明申し上げます。

ヒアリングにおいで頂いたのは、4つの団体及び事業者の方でございます。1つ目の大東共済会は、これはいわば損保系の商品を提供しておられる。それから、2つ目の共済会いきいき世代の会は、生命・医療といいますか、医療保険系といった商品を提供しておられる。それから、アニコム(動物健康促進クラブ)は、なかなか既存の保険会社は提供しないようなペットの医療費に対する共済を提供しておられる。4つ目のエーオンアフィニティージャパン株式会社は、いろいろな共済の設立支援のコンサルティングを事業としてなさっておられるということでございます。以下、簡単に共済会の概要とご説明のあった内容をかいつまんで申し上げます。

大東共済会につきましては、1980年3月に設立されまして、契約者数は現在3万9,000人と。それで、大東建託株式会社が建築請負工事を行いました賃借建物のオーナーで、かつ大東建物管理株式会社に管理業務を委託している方々を対象に、こういう賃借物件では中途に空き室が生じると思いますが、そういったものに対する保障商品を提供しているということで、年間共済掛金額は129億円と、比較すればかなり大規模の事業を行っておられるということになると思います。

2つ目のいきいき世代の会は、2002年7月、最近の設立でありまして、契約されている方は6,100人でございます。母体であるユーリーグという会社が直販形態で発行しております雑誌を定期購読されている読者を対象に総合医療共済を販売されているということでございました。年間掛金総額は2億8,000万円ということでございました。

それから、ペット共済アニコムは、2000年12月に設立されまして、契約者数といいますか、契約数は11万件でございます。入会金3,000円を支払いまして一定の会員資格を得て、動物健康共済、中身は診療費の半額を負担するというものだそうでありますが、そういった共済でございます。年間掛金総額は25億円。

エーオンアフィニティージャパンにつきましては、1982年5月設立でございます。先ほど申し上げましたように、共済事業の設立支援、運営コンサルティングをやっておられます。現在、約120の共済団体と取引があり、ヒアリングにおきましては、エーオンアフィニティージャパンさんで立ち上げられました生命共済あるいは火災共済の実例、あるいは共済による保険の制度補完の実例といったものについてご報告があったところであります。

また、各々の事業者の方々からは、保険会社並みの規制は事業活動の自由を阻害するおそれもあるので、緩やかな監督制度の導入を求めるなどの意見がございました。

そのご報告の後、質疑応答がございました。主な内容といたしましては、委員の方から、共済と保険についてどのような整理・仕分けをやっておられるのかという質問に対しまして、規模やリスクの質によって分けている、保険でよりいいものができるのであれば保険、それから法的な特定性などが合致しているものであれば共済をお勧めするという答えがございました。

それから、消費者トラブルの現状等からいたしますと、手数料を得るために友人あるいは顧客を開拓するといった現状があるけれども、こういったトラブルの温床となるような形態についてどうとらえておられるかという質問に対しまして、手数料を取るという体系はいろいろあると思うがという前提で、友人から友人への募集ということになると、非常に特定性の部分が問題なのではないかという答えがありました。

こういったことも踏まえて、そろそろ金融庁の方で特定・不特定ということについてさらに具体的な形にしていくべきではないかというご意見もあったところであります。

なお、この質疑応答の中で、4つのうちの1つの事業者に対しまして、総務省からの調査の依頼があったか、あるいはそれに対して答えたかという質問がありまして、総務省の調査の依頼は来ていないので答えていないという趣旨のお答えをなさいましたが、持ち帰って後日調べたところ、実際には照会があって回答したということでありますので、訂正の申し入れがございましたので、この場でご報告させて頂きます。

それから、駆け足で恐縮ですが、次に19-3という資料がございます。これは、後ほどご説明いたします一般からの意見照会に対応いたしまして、共済を実施しておられるとみられる団体から提出された意見書をそのままの形でまとめたものでございます。したがいまして、無認可共済をやられる方だけの意見を抽出しておりますので、意見照会全体を代表するものではないという前提でご参考にして頂ければと思います。

なお、中で第三者の個別名称あるいは事業の相手方等、個別名称に言及している部分については、事務局の責任において非公表の取扱いとさせて頂いております。こちらに10団体まとめてございます。

以上が10月27日に行われました非公式ヒアリングの概要でございます。

時間の関係もあるので、続けて資料の説明をさせて頂きたいと思います。19-4とあります資料が、10月5日から25日までの間、ワーキンググループにおいて報告頂きました「「無認可共済」への対応に係る論点整理」についての意見募集の結果をまとめたものでございます。全体で119件の非常に多様な幅広いご意見を頂いたところでございます。

まず1、総論でございますが、かいつまんでご報告申し上げます。規制の基本的あり方につきましては、端的に申し上げると、保険会社と同じような規制をするのかどうかということになりますが、保険会社、学識経験者、法曹関係者、消費者団体等を中心に、現行の保険会社に対する規制と同様の規制を課すべきであるという意見が多数ございました。他方、共済関係者や一部の学識経験者、消費者団体からは、保険会社とは異なる規制を導入すべきといった意見も相当数あったところでございます。

また、労働組合が実施するものなど、構成員が真に限定されるものは、規制の対象外とすべきであるとの意見は、幅広い層から寄せられたところでございます。

中身を少し詳しくご説明いたします。現行保険会社と同様の規制を課すべきとの意見、4つほど代表的な意見を並べております。端的に申し上げて、要するに保険会社と同様の商品を扱っているので、それであれば同様の規制に服すべきであるという意見、あるいは保険というのは非常に複雑な商品であるので、説明したからといって消費者の判断は自己責任というわけにはいかないといったご意見があったと思います。

それから、保険会社と異なる規制を課すべきとの意見につきましては、1つ目にありますように、契約者が数百万人にのぼることを考えれば、急激な変革ということであれば消費者に悪影響を与えかねないというご意見、あるいは実態を把握するためにも緩めの規制が導入されることが望ましいというご意見、あるいは多様な消費者ニーズに応える新商品は歓迎されるべきといった理由で、保険会社と異なる規制を課すべきということでございました。

次のページ、2でありますが、これは規制の具体的内容に対する各論についてのご意見でございます。これも、前提といたしまして、保険会社に対する規制と同様の規制をすべきであるという意見が多数ございましたが、そういったご意見については、これらの各論については現行保険会社と同じ内容ということになると思いますが、それと異なる規制を導入すべきではないのかというご意見を前提とした中で、あえて各論を抽出すると、こういった中身になってございます。これもかいつまんで申し上げます。

3つ目の丸の資産運用規制、あるいは4つ目の情報開示、それから検査・監督、こういったものにつきましては比較的意見が一致しておりまして、ここは緩くていいというわけではなく、かなりきちんとした規制が必要ではないかと。特に資産運用規制などについては、むしろ保険会社よりも厳しく、相当数の方が、預金や国債による資産運用に限定すべきという意見であったということでございます。

逆に、意見が比較的一致していたもので、緩やかでいいのではないかというところは、「セーフティネットについて」と一番下にございますが、セーフティネットは不要という意見が多数ございました。

その他の項目につきましては、いろいろと幅のあるご意見がありますので、非常に多様なとらえ方があったということでございます。

3枚目以降、頂いた意見を抜粋という形で事務局の責任において整理、抜粋したものがございますので、ご参考にして頂ければと思います。

恐れ入りますが、さらに説明を進めさせて頂きます。以上の状況を踏まえまして、19-5という資料がございます。その下にございます資料19-6が、10月5日の当部会におきましてワーキンググループの論点整理という報告されたものでありますが、10月5日以降行われました一般からの意見募集あるいは総務省の調査結果、それから事業者ヒアリングといったものを踏まえて、さらにご議論頂きたい点を抽出したものでございます。今申し上げました一連の意見募集等につきましては、基本的論点のところにありますように、ワーキンググループにおいて整理された論点が改めて確認された部分も多いですが、さらに今後の検討における基本的論点として3つほど並べてございます。

1つ目に、一般から募集した意見につきましては、ワーキンググループにおける論点整理と同様、どのような規制とすべきかということについて意見が二分されております。保険会社と同様の規制を課すべきという意見が多数ある一方で、保険会社とは異なる規制を導入すべきとの意見も相当数ございました。

2つ目に、総務省の調査結果におきましては、任意団体あるいは公益法人等が行う共済の実態が報告されたところでございます。内容は非常に多様でございましたが、例えば見舞金等程度の少額保障しか行っていない団体も多くあるものの、中には現行の保険会社に匹敵するような事業規模や保障金額を持つものも認められたところでございます。

さらに、先ほども申し上げましたが、行政上の課題といたしまして、まずは実態を個別に継続して把握する、あるいは問題のあるものについて適切な対応を図るための仕組みを整備する、それから募集方法等の適正性あるいは財務情報の開示が確保されるべきといったことが指摘されております。

3つ目に、事業者ヒアリングでございますが、事業者からは制度補完の役割あるいは事業の多様性を踏まえた規制の導入が必要との意見が出されたところでございます。これもワーキンググループで議論されましたとおり、様々な実態が認められたところでございますが、リスク保有の実態や事業開始に至る背景等について各々特徴が見られたのではないかと思います。リスク保有の実態を具体的に申し上げますと、リスクを全部自分で抱えて、自らで完結して共済事業を営む団体もあれば、再保険等の形で他にリスクを移転して、その大部分は自らはリスクを保有しないような形で運営されているといったリスク保有実態があったように思います。

こうした内容を踏まえますと、さらに以下のような論点についても第二部会において整理頂く必要があるのではないかと考えております。1つは適用除外の取扱い。ワーキング段階では、構成員が真に限定され、規制の対象外とすべきものとして、小規模なもの、労働組合が実施するもの、企業内の共済などといったものがあるのではないかという意見がありました。2ページをあけて頂きますが、これらに加えまして、例えば、企業内の共済会に類似する職域団体が実施するもの、これも相当数あるというのが総務省の調査で示されておりますが、それから監督行政庁の存在する公益法人、これも中身は見舞金程度の給付を行うものが多数でありますが、こういったものについてどうするのか。それから、一般に保険会社により提供される保険への加入が困難な人を相手方とする場合、相互扶助的な色彩が強く事業の実施が特に求められる共済。例えば、危険なスポーツをなさっているような方が保険に入ろうとすると、なかなか免責等で保険に入れない、あるいは入れるとしても掛金が非常に高くなるといった方々が集まって共済をしているような場合はどうするのか。このほかにも個別にいろいろ適用除外として扱おうとすべきものというのは、端的に申し上げて、真にメンバーが限定されているといったものがあるのかもしれません。

それとの関係で、次の丸でございますが、保険業と共済事業を分けるメルクマールとしての特定性でありますが、今申し上げましたように、構成員が真に限定されるものということで適用除外要件を見直し拡大する中で、個別に列挙していく。一定のカテゴライズは要るのかもしれませんが、そういうことでいわばこの両者の明確な線引きをするというアプローチが一つあると思います。

もう一つは、これもワーキングでありましたが、団体加入の要件や他の活動との関係、あるいは募集の態様、事業規模等について客観的・形式的要件を定めることで対応できるというアプローチもあると思います。ただし、形式要件として具体的な基準を策定した場合、特定性要件の形骸化の可能性についてどのように考えるかということを引き続きご議論頂ければと思います。総務省の調査にも、先ほどありましたように、入会金のみ払えば共済のメンバーになれるというものもありましたが、例えばそういった入会金の金額等で基準を定めることでうまくいくかどうか。あるいは、他のものでも数値基準その他あるかもしれません。ものによっては数値基準がうまくいく場合もあると思いますが、そういったことについてどのように考えるか。

次の少額短期保障を行う場合でございますが、保障額が見舞金あるいは葬儀費用、個人の通常の活動で生じるような物損といった少額短期の保障のみを提供する場合について、例えば一つの考え方としては、適用除外ということで規制の枠組みから外すのか。あるいは見舞金程度であれば、保険会社と同じというよりは、それよりも緩やかなといいますか、異なった規制を導入することについてどう考えるのか。

あるいは少しそれに類型が近いかもしれませんが、自己の保有するリスクが少額にとどまる場合、中身を申し上げますと、既存の事業者の中には、自己でリスク保有するものもあれば、再保険等によりリスクのほとんどを他に移転するものも見られますが、自己の保有するリスクが少額にとどまる場合についてどう考えるのか。あるいはこれに関連いたしまして、他に移転するといいましても、どういった先に移転するのかといった問題もあろうと思いますが、こういった点についてどう考えるのか。

それから、ワーキングの論点整理にもありましたように、どういった規制にせよ、移行の円滑化のための配慮が要るのではないかとのご指摘がありましたが、もう少しブレークダウンいたしますと、経過措置の取扱いということになろうかと思います。例えば、保険会社と同様の規制を課すべきとのご意見におきましても、共済事業そのものが広範囲に行われている現状を踏まえまして、所要の経過措置を設ける必要があるとというご意見が多かったように思います。どういった規制が必要になるのか。あるいは段階的に規制を適用していくといったこともあり得るのかどうか。

幾つか規制の例を並べてございますが、例えば総務省から指摘のありました募集の適正化のようなことについては、一般からの意見の中でも、これだけは早くやってくれというご意見もあったように思います。それから、2)のところにありますようなワーキングの論点整理の後段で示された参入規制とか資産運用規制その他、こういったものについて規制していく場合にどういった手順を踏む必要があるのか。あるいは実際に保険会社になるということになれば、かなりの準備が必要になってくると思いますが、そういったものについてどういった手順を踏んで規制を入れていくのか、こういった点についてもご議論頂く必要があるかもしれません。

それから3枚目、実態把握と必要な対応ということでございます。これは総務省の指摘にもございましたとおり、まず実態をきちんと継続的に把握して、それに対し問題があれば、適切に対応し得るような仕組みを整備せよという指摘があったところでございます。これを踏まえますと、どのような形での規制を導入するにせよ、一定期間経過後に実態把握を踏まえた規制の見直しが必要と考えられますが、これについてもご審議頂きたいと思います。

その他いろいろな事項があると思いますが、例えば、やや早過ぎる話かもしれませんが、法律で手当てをするとして、一体どのような法律によって手当てをしていくのか。保険業法を適用していくのか、あるいは保険業法の特則のようなものを設けて保険会社とは違った対応にするのか、あるいは共済監督法のようなものを設けてもう一つ制度共済のカテゴリーをつくるのか、そういったいろいろなやり方があろうかと思いますけれども、そういったものについてもできればご審議頂ければと思います。

大変長くて恐縮でございます。事務局からの説明は以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ご説明が幾つか同時にございましたので、ちょっと議論がしにくいかと思いますけれども、一括して、前回の総務省及び事業者からのヒアリング、それから公開ヒアリングというか、こちらの取りまとめに対して一般から寄せられました意見についてのご説明、それから最後は今後さらにここで議論した方がいいかというトピックス、問題点についてのご説明がございました。どこからでも結構でございますので、ご意見を頂ければと思いますが、いかがでございましょうか。それでは、原委員、どうぞ。

○ 原委員

私は、前回のヒアリングのときにも参加させて頂きまして、共済をおやりになっていらっしゃる方々のご意見も聞かせて頂きました。それから、出されたパブリックコメントについても、これはご説明のときでしたか、事前に資料を頂いておりましたので、それも目を通させて頂いて、それから総務省の調査結果も全部読ませて頂きました。それで、今回パブリックコメントをまとめて先ほどご紹介されたのですけれども、消費者団体の意見がちょっと二分されているような書き方になっています。こういう書き方だと、消費者団体でも両方の意見があると見られるかもしれませんけれども、消費者団体間でそれほど異なった意見を持っているわけではなくて、少し時間差ということを考えていて、ともかく保険業法を厳しく適用して悪質な事業者を排除してほしいということは第1段階で思っている。それから第2段階では、新たなニーズというのでしょうか、これを共済のニーズというのか、保険のニーズというのか、という分け方ではなくて、リスクに対するそういったニーズがあるという、そういう商品を求めるというところで、そういった新たな商品が出てくるというところについてはそれを認めるといった規制のあり方があるのではないかということで、第1段階と第2段階と考えていて、私が聞く限りでは、そのように皆さん認識していらっしゃるという感じで聞いておりましたので、必ずしも二分された意見が出ているということではないということを少し補足で説明させて頂きたいと思います。

次は議論の進め方についての意見なんですけれども、金融審議会の場でこの問題を取り上げようということになったもともとの経緯は、消費者センターにかなり相談とか苦情とかが寄せられているということが金融トラブル連絡調整協議会の場で問題になって、それから国会でも問題になって、取り上げて検討することになったわけです。そのもともとのきっかけのトラブルに対応できる形で整理されているかというところですが、今回私もこの部会が開かれた最初のときに、苦情というよりは相談が多いような感じがする、不安だからということでどうだろうかという意見を出して、前回の共済の事業者の方のヒアリングのときにも私の発言を引用なさっている事業者もあったわけですけれども、あの私の発言は1年前に国民生活センターに情報開示請求をして得た資料をもとにしています。だから、それは去年の8月までの時点での私の見解ということで、この1年について現場でどのようになっているかということは、総務省の報告書の本体そのものなので、今日お手元にはないということになると思うんですが、本体の65ページから66ページに、現在国民生活センターに寄せられている苦情はどういうものかというのが書かれております。その中で、大変懸念していたことが広がっていると感じられるのが、「絶対にもうかる商売だと友人に勧誘されて、断れなくて申し込みをしたけれども、だめだった」とか、「もうかると言われた」とか、「友人から勧められたけれども、病気になり失職して人間関係にも疲れたので解約したい」とか、募集の無限連鎖販売においては、募集の方法の面から規制することだけでは困難で、不特定性を問題にすべきであるといったご意見とかが出されて、かなりマルチによる販売方法ということでの懸念が現場に起きてきていると思っております。

今回の提案なんですけれども、私はやはり2段階として、まず第1段階では、マルチ、こういった無限連鎖販売取引ということについての規制、それから非常に財務基盤が危ういところとか、情報開示も不徹底のようなものは市場から退場して頂きたいと思っておりまして、第2段階として、新たなニーズがある部分を保険という形でやるのか、共済という新たな枠組みをつくるのかというところは、またその次の議論の段階としてあると思っております。第1段階のところでは、特定・不特定ということを考えると、無限連鎖販売で共済をやっていく限り必ず不特定になるわけで、私はこれは保険業法違反と思っております。

それから、第2段階のところなんでけれども、リスクに係る商品という意味では、双方とも同一の面を持っているわけで、例えば情報開示とか勧誘の部分とか検査とかは保険であろうと共済であろうと同じだと思っております。ただ、参入のところがかなりネックになっているということが前回のヒアリングでも感じ取れて、今回のパブリックコメントのまとめの最後にあったご意見を整理すればいいんじゃないかなと思ったんです。ちょっとお時間をとって申しわけありません。19-4の最後だから31ページなんですけれども、初年度及び2年目の責任準備金の負担が重いという話です。これはここだけの意見ではなくて、ちょっとほかからもお聞きしたような記憶がありますので、私としては、前回の共済の事業者の方のヒアリングをお聞きしても、なぜ共済でおやりになるのか、なぜ保険業でおやりにならないのかというのがどうしても払拭できなくて、コンサルティングをやっていらっしゃる事業者の方にもお聞きしたんですけれども、なかなか要領を得ないというところがあったんですが、保険業でやろうと思うときに具体的に何が困難なのかということの精査をもうちょっとやってみる必要があるかなと。基本的には、私は、保険であろうと共済であろうとリスクに係る商品なので同じであろうと思って、個別の精査が必要だと思っております。

ちょっと長い時間になりましたけれども、前回の資料と今日の提案等について意見を述べさせて頂きました。

○ 新川信用機構室長

恐れ入りますが、今の資料は少し事前にお配りしたものとページがちょっと違っていて、おっしゃられたのは、14ページの「その他」とありますところの最後の丸の2行目のところでございます。失礼いたしました。

○ 堀内部会長

ほかにご意見を頂きたいと思います。どうぞ、木村さん。

○ 木村委員

私はヒアリングを欠席してしまって残念ですが、資料には一応目を通させて頂きました。総務省でも結局実態はよくわからないということになっているかと思います。実態がわからないのにやみくもに規制をかけても、これは実効性という点で無駄になってしまい、行政としても面倒は見切れないということになると思います。そういう意味で、原委員からもご指摘がございましたが、今かけるべき規制で実態を把握できた段階でまた規制はどうあるべきかという段階を踏む形での規制のかけ方というか導入については、私としても支持したいと思います。マルチ的なものあるいは怪しげな無認可共済に早急な対応を講ずるということで、できることからすぐにやっていただく。募集人登録制にするといったやり方とか、あるいは募集人に研修制度を義務づけるとか、金融庁が検査に入れるとか、情報開示を義務づけるなどといったことが多分考えられると思いますが、いわば悪い無認可共済にすぐにご退出頂くという形での規制のあり方をぜひ工夫して頂ければと思います。特にディスクロージャーは消費者保護にとって非常に重要であると思います。

それから、この論点の中で適用除外というところは、私ども労働組合としてもこれまでもお話をさせて頂いていたのですが、2)にある「一般に保険会社により提供される保険への加入が困難な者を相手方とする場合」ということで、これは多分意見書の中にも知的障害者の関係の団体からの意見書が入っていたと思いますけれども、こういう社会的弱者の場合には詐欺的な行為に引っ掛かりやすいとかということが考えられますので、そういうものは徹底的に排除していかなければならないということで、適用除外の要件として、これは私もはっきりこうすべきというところまではアイディアがちょっとまだ固まっていないのですが、そこは安易に適用除外にするという形はよくないのではないかと思います。私どもは構成員自治の確立というのが非常に大事であると思っていまして、共済というのはもともと構成員が真に限定され、構成員の自治がきちんと確立しているのが本来の共済であるということでしょうから、規模とか自己保有リスクの額というよりも、構成員自治の確立といったところに着目して検討して頂ければと思っております。

それから、どのような形式要件を定めるかということについても、これは専門家の方にご検討頂きたいと思いますが、抜け道ができないような形でやって頂きたい。それから適用除外になっても、労働組合のいわゆる制度共済をやっていないところなどは何か目安が欲しいということもありますので、ガイドラインみたいなきちんとしたものになるかどうかはわかりませんが、情報開示とかリスクマネジメントの目安みたいなものは必要になってくると思います。労働組合の中にはそういう声もあるということでございます。

それと、少額短期保障を行う場合云々と書いてありますけれども、これは多分企業内の共済会に類似する職域団体云々というところとかかわってくると思いますが、これはもう適用除外でもいいのではないかという気がしております。

雑駁ですが、以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。それでは、西川さん、それから今松さんという順に。

○ 西川委員

西川でございます。規制の方向性と留意事項について幾つか意見を申し述べたいと思います。

私は損保業界に所属しておりますけれども、損保業界としては、不適正な募集行為を行っている共済あるいは財務基盤の脆弱性が疑われる共済が現実に存在していることから、消費者被害が生じる前に適切な対応を行うことが必要であるという意見を以前にも述べさせて頂きました。本日配付されております資料でございますけれども、特定性の要件を明確化していくことによって実質的に不特定者を相手方とする共済事業を規制していく、また経過期間を設けてソフトランディングを図るといった方向性が示されているのかなと読みました。そういう点では、消費者保護の観点から望ましい姿だろうと考えております。

また、本来的な共済事業を特定者を相手方として少額短期保障を約する事業と定義していって、このような共済事業に対しては保険会社規制と異なる規制を適用していくという方向性も示されているのかなと思います。そういう点でいけば、共済事業の育成という観点も必要ではないかというご指摘をされた委員の意見にも配慮されているということかなと思います。現実にまじめに共済事業に取り組まれている事業者も存在するのは事実でございますので、そうした事業者が事業運営を適切に行う上での指針となるような形で制度設計が行われればいいのではないかなと考えております。

次に、規制導入時の留意事項について何点か述べさせて頂きます。新たな規制を導入する際のポイントとして、規制の実効性が確保されていること、それから既存事業者が新制度に円滑に移行できるよう経過措置を設けること、この2点を挙げることができるかと思います。

まず、実効性確保の観点でございますけれども、2ページにも書いてございますように、特定性要件の形骸化の問題がございます。経過措置の取扱い、2ページの一番下、3)保険会社規制というところに、事業規模が一定以上となると相手方の特定・不特定を問わず保険会社規制を適用するという考えが示されているのかなとうかがえますが、実効性に配慮された妥当なアプローチであろうと考えております。

また、経過措置の観点からは、2点。1点目としては、実質的に不特定者を相手方とする共済事業に保険会社規制を適用していく場合の経過措置と、特定者を相手方として高額長期保障を約する共済事業に新たな規制を適用していく場合の経過措置という2つのパターンが考えられると思います。資料を拝見しておりますと、経過期間の取扱いでは、今申し上げました前者のみに触れられているのかなと。後者につきましては、自己の保有するリスクが少額にとどまる場合におきまして、高額長期保障事業を行う事業者に再共済を義務づけ、支払能力を確保させた上で計画的に少額短期保障事業に衣替えをしていくという方向性なのかなと感じております。このアプローチが現実的あるいは適切かどうかということについては慎重な検討が必要であろうと思いますが、いずれにせよ、2つの経過措置を設けること、これを明確にすべきではないかと考えております。

以上でございます。

○ 堀内部会長

それでは、今松さん、どうぞ。

○ 今松委員

私が一番感じましたのは、総務省の調査自体の中で、任意団体では50というところは全く協力しない。企業内であるとか公益法人の中でもそうですけれども、ある意味、原委員がおっしゃった悪質業者をまず取り締まるということ、これは極めて重要であるし、具体的に今の現行法でも無限連鎖講とかそういうのはできるわけですけれども、現実には問題が起きる以前に、そこまで至った場合にはこれはある意味で本当は問題として必ずしも成功ではないわけなので、これから先というか、実際に今の無認可共済の問題というのを議論していく場合には、事前にどうとらえていくかということになるだろうと思います。その場合に、実態把握ができないという状況は一番どうしようもないというか、嫌だと言われればそうだとなってきますと、これから単に総務省だけではなくて、金融庁が実際に経営内容とかそういうものを把握する場合でも、そこでがんじがらめにする必要はないにしても、何らかの法的なものの中に入ってこないと難しいだろうと思います。その意味では、原委員がおっしゃった第1段階のところをきちんとしていく上でも、無認可共済というものの、これは非常に小さいものは例外としてあり得るということはいいとしても、実態把握ができ、少なくともそれぞれがどういうものであるかということを把握した上で行政的な対応をしていくということをやる意味で、まずそこに取りかかるというか、当座といいますか、最初のところの取り組み、ここをまずはやっていくということ。その意味では、原委員のおっしゃった第1段階というところはそのように解釈していっていいのではないかと思います。とりわけ消費者センター等々でいろいろそういう懸念が高まっている。この1年あまり相談案件等が増えているとすれば、そこはかなり早い段階でやらないと、具体的に問題が起きた場合にどう次に対応していくかというのは難しくなってくると考えますので、第2段階のところはいずれにしても業法とか、より高度な問題というのが入ってくると思いますし、まず第1段階のところをどう考えていくのかというのを当面議論していくのが必要ではないかと考えております。

○ 堀内部会長

加藤さん、どうぞ。

○ 加藤委員

資料19-5について述べさせていただきます。

まず、「適用除外」とする前提となる「特定性」についてでありますが、企業内の共済会に類似する職域団体、監督行政庁の存在する公益法人があげられておりますが、総務省調査によりますと、調査に応じない団体が相当数あり、また、公益法人でも加入に際して入会金のみでいいというもの、加入に際して特定の要件がないものなどが含まれております。何らの歯止めなく特定のカテゴリーを「特定性」あり、と決めて適用除外としてしまうと規制の潜脱が起きてしまいますので、適用除外する要件を明確にすべきであると考えます。特に、公益法人の場合は、主務官庁や都道府県の監督があればいいとの意見もあるかと思いますが、大規模の団体となると破綻時の影響が大きくなりますので、公益法人としての監督に加え、共済事業を行うこと自体の監督が必要であります。例えば、JA共済については農協法がありますが、共済事業を行うことを前提に規制が課せられており、保険業法との整合性もみています。したがいまして、公益法人だからいいというわけでなく、公益法人でも共済事業の規模によっては規制の整備が必要であります。

保険業と共済事業を切り分けるメルクマールとしての「特定性」についてでありますが、「特定」か「不特定」かを切り分ける要件が不明確なままですと、実質的に不特定に募集をしながら保険業法の適用を受けない団体が出てきてしまい、現在と同じ問題を引き起こしてしまいます。「構成員が真に限定されるもの」はいいと思いますが、いろいろな読み方ができるような「特定性」要件は問題であると考えます。

また、少額短期保障でも多数集めれば多くの金が集まりますので、これらにも基本的には保険業法の規制を課すべきであります。ボリュームが小さいものであれば少額短期保障だけは軽い規制とするなどの意見もあると思いますが、いずれにせよ潜脱ということを考えますと、適用除外というものに問題があると考えております。

自己の保有するリスクが再保険に出すことで少額にとどまるというように読める記載がありますが、長期のものや更新するものは、毎年必ず再保険が受けられるという保証はありませんので、再保険があればリスクが小さい、規制が軽くてもいい、ということにはならないと思います。

経過期間についてですが、あまり期間を長くすると被害が大きくなりますので、既存の無認可共済に対してどれくらいの移行期間が必要かを検討し、具体的に明示する必要があるのではないかと考えます。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。それでは、和仁さん、それから羽田委員。和仁さんからどうぞ。

○ 和仁委員

今までのお話を伺っていると、皆さん、2段階方式でいこうということに関してはそんなにご異論はないようなんですが、保険業と共済事業を分けるという前に、このような一種の金融商品の販売に関してルールは一緒であるべきだと思うんです。同じルールを適用すべきだと。金販法をここに持ってくるのは難しいというご議論もありますけれども、販売勧誘ルールは、別に監督官庁が存在しているか、していないかということとは関係なしに、同じルールが適用されるということでやっていくべきではないかと思います。

それで、正直言って、今の皆様のお話を聞いていると、販売のところに問題があるということなので、まず販売のところをやると。では破綻したときのリスクをどうするかというところがまだよくわからないというか、破綻してえらいことになったというのがそんなに苦情としては出てきていないのですが、別に破綻しないのであれば、そのままほうっておいてもいいかなということもあるかもしれません。しかし、販売勧誘ルールの関係からは財務の透明性といったことが出てくるのでしょうが、もう一つ気をつけなくてはいけないのは、保険会社と共済は線が引けるものなんですかということだと思います。共済というのは少額だから保険会社と同じように、あるいは保険会社以上にリスクのあるものを売っていいのかということについても、一度検討して頂きたいと思います。

さはさりながらということで、私の個人的な見解としては、共済に関しては保険会社ほどのプロではないと感じております。だからコンサルとかそういうのが海外からもいろいろ来てサービスを売り込もうとしているようですが、そこを考えれば、共済というのは小規模で、あまりこういうことを言ってはどうかとは思いますが、メインストリートというよりはメインストリートから一歩入った小さな通りでつつましくやっている世界の話ではないかなと思います。そうしますと、規模で規制をかけて、一定規模にいくと保険業法による業者規制をかけるべきではないかと思います。先ほど、少額短期保障を行う場合は外してもいいんじゃないかとか、自己の保有するリスクが少額にとどまる場合は、再保に出したりしている場合にはいいんじゃないかということが出ておりました。再保のテクニカリティーについては加藤さんがご指摘になったとおりだと思います。しかしながら、抱えているリスク、あるいは契約者から預かっているお金の金額、その辺で線を引いて、一定以上にいったら君は保険会社になってくださいという形で規制を入れるのが一番絵としてはみんなわかりやすいのではないかなと思います。経過期間の取扱いについては、とにかくここから見る限りは、募集規制のところをイの一番にやって、とりあえず堤防から水が漏れているところを塞ぐ、その次にどのようにもう一回堤防を改造するかということをやった方がよろしいのではないかなと思います。

以上でございます。

○ 堀内部会長

羽田さん、どうぞ。

○ 羽田委員

今日頂きました19-5の紙に従って幾つか意見を述べたいんですが、ちょっと皆さんと違いまして、先ほどからありますまじめな共済とか悪質な共済という立場に立ってこの文章をちょっと解釈してみたいと思うんです。

19-5の1ページの一番下、適用除外なんですが、「構成員が真に限定され」云々と書いてありますけれども、例えば企業内の共済会というのがありますが、では企業とは何かという問題も出てくると思います。この辺があいまいであると、悪い共済または共済コンサルティング会社としては非常に助かるということになると思います。それから、企業内とは何か。従業員なのか。従業員の家族まで含むのか。家族はだれまでなのか。退職者はどうするのか。この辺のところは一見真に限定されているようで意外と難しいところではないかという気がします。

それから、2ページ目の上のところですけれども、1)の共済会に類似する職域団体、この辺などはもっと難しいのではないかと思います。

ということで、2ページ目の真ん中の少し上あたりの「客観的・形式的要件」、この辺のところは、先ほどもありましたけれども、誰から見ても明らかという方式にしない限り、潜脱行為、脱法行為、これは即出てくると私は思います。

戻りまして2ページ目の一番上の行に「監督行政庁の存在する公益法人」とありますけれども、先ほどありましたように、行政庁が監督しているのは公益法人そのものであって、公益法人が行っている共済事業は多分監督できるはずもない。それだけの人もいないでしょうし、ノウハウもない。検査権限もない。検査もやっていない。そういうことだと思います。ですから、この辺のところはまさに通常のといいますか、監督官庁がない共済と実質的には違わないとみなすべきだろうと思います。

2ページ目の真ん中から下の方ですけれども、少額ということがあります。これも先ほどありましたように、別に1件の契約は100万円であっても、10件集めれば1,000万円になります。私が悪質なコンサルティング会社であれば、形式上は10件の共済を別々につくる。これで個々に考えるとそれぞれが1件であるということも、実際は反対側に立つと起こり得るということだろうと思います。

次の「自己の保有するリスクが少額」であれば、再保険はなじまないというか、本来再保険に出す必要のないものだと思います。例えば1件の事故が起こっても、30万円とか50万円とか、規模にもよりますけれども、そういうことであれば、これは再保険は要らない。すべて保有できる。本来保有しなければならない。企業経営から見ても、共済の経営から見ても、保有すべきものだと思います。逆に、例えば地震とか台風というように、一つ起こると何千万円、何億円、何十億円ということになると、これは当然再保険が要る。そういうことですから、多くの共済が9割とかというふうに再保険を出している、これがもし少額の契約がほとんどであれば、これはリスクの移転ではなくて、課税の移転といいますか、税金逃れだと私は思っております。ということで、まさに特定性が一番基本になると思うんですけれども、いろいろな面で考えて、潜脱・脱法行為の起こらないようなクリアな規制ということが必要と思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

片田さん、どうぞ。

○ 片田委員

お立場お立場でいろいろなご意見が出されていますが、私からは一般的な感想を簡単に申し上げたいと思います。

この問題については、保険並みに厳しい規制をするべきか、あるいはもう一方では保険とは異なった緩やかな規制でいいのではないかという意見に二分されております。もともと、一口に無認可共済と言いましても、今まで議論が出ていますように、その事業内容は著しく多様性を持っていると思われるわけであります。したがって、この漠然とした「無認可共済」というもののどの分野、どの部分を想定して規制の問題を論じているかということによって意見が若干分かれていると思われるわけであります。したがいまして、最終的な結論を得る前に、私は、今までも議論がございましたように、難しいかもしれませんけれども、もっと実態把握に努めるべきではないかと。そのプロセスにおいて事業内容の性格の分類をより明確にしていって、適用除外の要件を積み重ねていく、あるいは特定性の要件を現実的に積み重ねていくということが、基本的、かつ現実的なアプローチではないかと思っているわけであります。

以上でございます。

○ 堀内部会長

池尾さん、どうぞ。

○ 池尾委員

私も、2段階アプローチ的な考え方に基本的に賛成したいと思います。それで、和仁委員とかもおっしゃっていましたけれども、保険と共済の間の境を明確にするというのはなかなか難しい話なので、将来的には保険業法の中に取り込んでいくということを考えるのが自然かなと思うんです。その際に保険業法それ自体の弾力性を増すというんですか、具体的な論点があるわけではないですけれども、現状の保険業法というのは、こういう言葉はないと思いますが、総合保険会社を想定したような法律に、証券会社だと総合証券とそうでない証券会社があるわけですが、保険業法はどうも総合保険会社を専ら想定したような枠組みになっているような感じがしますので、そこをもう少しニッチだけの仕事をするような保険会社も対象に含むような形で保険業法そのものの弾力化みたいなことも経過期間の間に検討していくということが併せて必要とされているのではないかと思いますという意見です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございますか。原さん、どうぞ。

○ 原委員

今の池尾委員がおっしゃったのと同じようなことになってしまって、でも先ほどちょっと手を挙げましたので。善意の共済事業者と悪意の共済事業者という言葉が一人歩きするのもちょっとお気の毒かなと思いまして、私自身考えているのは、本当に悪意の事業者というのは、これは詐欺をやっているということですから、共済事業者と呼ぶべきものではなくて、詐欺ということになると思います。あとは、善意という事業者と、それから善意であっても、財務基盤が弱くて破綻してしまうということでは、消費者にとっては損失を被ることになると思っておりまして、もともとの悪意は事業者とも呼ばれないと思っておりますが、何か言葉だけで、悪意を持っている共済事業者とか善意のというのは、私もちょっと言葉を使って申し訳なかったなと思いますけれども、少し訂正したいと思います。

私自身がヒアリングなどを通して、それから総務省の調査などを見ていて感じるのは、共済とするために、だから特定性を持たせるために、わざわざ無理して抱き合わせ販売をしているというところです。入会金だけで共済の体裁をとっているところがたしか2割ぐらいはありましたけれども、ほかのところは、もちろんメンバーの特性に応じて障害者の方とか危険なスポーツをやっておられる方といったグルーピングもありましたけれども、ほとんどは抱き合わせ販売をやっているというところで特定性を出そうしているところにそもそも無理があって、これで特定性と言うわけにはいかないのではないかと考えるんです。そうすると、やっていらっしゃる事業そのものは今いろいろあります保険だと思うんです。ただ、現在保険会社が提供していらっしゃる保険の中にないものでニーズがあるところをとらえて商品を出されているといった感じがしております。ですから、私も、池尾委員がおっしゃられたように、将来的には保険業法の中で整理していくべきであろうと考えておりまして、冒頭の意見のところでも申し上げたように、ではなぜ保険業法の中に入ってこられないのかというところの実態把握と精査がもっと必要なんだと思っております。それで、和仁委員がおっしゃられたように、金融商品という点では同じなわけですから、ほとんど募集とか開示とか検査とか、このあたりは同じルールに従うべきであって、何がネックになって保険業法に入ってこられないのかというところの精査をぜひやって頂きたいと思います。

消費者としては、もちろん、たくさんのこういった被害になる予兆を感じるようなところがありますので、早急に手を打って頂きたいということを冒頭に申し上げましたけれども、既存の保険会社がおやりになっていらっしゃる保険商品にはないものを新たなニーズとして出されてきているようなところでは、今共済という形でおやりになっていらっしゃる事業者の努力というのもあると思いますので、そういった方たちが保険業法の中で消費者の新たなニーズを発掘して新しい商品を市場に提供してきて頂けるということは、それは歓迎したいと思っております。 以上です。

○ 堀内部会長

それでは、加藤さん、どうぞ。

○ 加藤委員

資料19-1についてですが、P1で、任意団体等による共済で「既に休廃止していたもの」「所在不明となっているもの」が合わせて89もありますが、適用除外を決める際に、少額とか小規模で決めると、お金を集めるだけ集めて、事故が起こりそうになると廃止してしまうということも可能となります。適用除外を決める際には厳格にしなければ、こういった抜け道ができてしまうおそれもあります。

○ 堀内部会長

では、和仁さん。

○ 和仁委員

新しい規制の話も事業法の話も特定性のところで出ているんですけれども、これを保険業法で吸収するということはいいんじゃないかと私も思っているんですけれども、保険にしなくても、これはかなりの部分はクレジットデリバティブで構成できますので、保険をお考えになるときには、これはクレジットデリバティブと保険との区別を今度はちょっときちんとつけて頂きたいと思います。ですから、これは現行法でも、共済ではなくてクレジットデリバティブですということで売れば、かなりの部分が売れてしまうんです。ですから、いたちごっこになりますから、そこもきちんと整理して頂きたいと思います。

○ 堀内部会長

幾つかの問題については、後で事務局のお考えも聞いた方がいいかもしれません。語られる限りにおいてですが。

ほかにいかがですか。どうぞ、上柳さん。

○ 上柳第一部会委員

第一部会の上柳です。今日は突然お邪魔しまして、簡単に2点だけ。

1つは、第一部会の議論とも関連するんですけれども、今、投資サービス法なり、将来的には金融サービス法をつくろうという動きがありますので、ぜひそれと矛盾のないような形にして頂きたいなと思います。諸委員がおっしゃっているとおりですけれども、同じサービスには同じ法的なコントロールがあるべきだということが出発点ではないかと思います。

それで、これはちょっと余分なことですけれども、適用除外については、一つの考え方としては出資法についての最高裁の判例がありまして、これで見ると、かなり今の共済の実態は不特定の方に募集をかけておられるのが多いのではないかと私は思っております。という考え方もありますが、さらに言えば、今、和仁委員がおっしゃったこととかかわるかどうかわかりませんけれども、証券とかで言いますと、あまり規制のかからない一つの目安として、例えば50人であるとか、あるいはプロ私募の場合はもう少し多いのかもわかりませんけれども、そのような数字があって、何となく私は50人以上の方に募集をかける場合は保険サービスと考えざるを得ないのではないかなと思っているんです。これは極端な意見だということは分かりながらですけれども、そうでないと本当にどこで区別していいのかよくわからないという気がしております。

それから、今のは余分ですけれども、2つ目に、私が今までいわゆるマルチの被害から大変怖いなと思っているのがこの共済の関係です。マルチの被害というのは、不安感はだんだん高まってくるのですけれども、現実の被害は急に来るんです。倒れる前2~3カ月は何か雰囲気がわかりますけれども、そのぐらいのスパンでぐっと来てしまうわけです。しかも、ここで今扱っておられる商品は、身体被害はともかく、死亡についての給付ということになりますと、最初の支払いから給付まで、リターンまでの払い戻しまでの期間がすごく長いので、これは明日起こると言うとうそかもわかりませんけれども、本当にどこで起こるかわからないということから言えば、ぜひ今日のまとめといいますか、ペーパーにも一定期間という言葉があるんですが、これまた私の感じでは、この一定期間というのは限りなくゼロに近いということだろうと思うんです。もう少し妥協するとしても、権限ある方々が一定の検査に入って、その検査が一巡するぐらいの、それが3カ月なのか2年なのかは知りませんけれども、そんなところが目安なのではないかと。本当にこのマルチというのは急に来ますので、そこはぜひ忘れることのないように制度設計をしなければいけないと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

岩原委員、いかがですか。

○ 岩原委員

多くの委員のご指摘の点は、いずれもまことにごもっともだと思います。まず最初に、例えば片田委員ご指摘のように、まずきちんとした調査が必要だと、そのとおりだと思うんですけれども、問題は現在そういう調査を金融庁がやれるような権限を与える法制が整っていない。やりたくてもやれないということがまず問題であって、そういう検査ができるような法制を整備する必要があると思います。従来そういう検査の権限を与える法制というのは、規制権限と一体であるのが普通だと考えられていたと思うんです。そうすると、結果的に規制の対象にならないものは検査の権限の対象外でもあるということになってしまって、疑わしいものに対する検査がなかなか行えないという実態があると思います。そこで、最初のステップがまず大事だといういろいろなご指摘がありましたけれども、最初にまずそういう実質的に特定性のない、いわば共済として扱ってはまずいようなものをきちんと検査できるような権限を与える法制をつくる必要があり、しかもそれは従来の役所的というか、従来の立法の何となく常識になっている規制権限と一体ではなくて、検査権限はより広く与えるような形の立法がまず必要ではないか。それは現に、例えば銀行法が大口株主規制の時などは、規制権限よりも広目に、5%以上になれば、検査権限を与えるような形が、たしか銀行法もそうなっていたと思いますし、一部の立法にありますので、そのような検査権限が行使できるような形の法制の整備がまず必要になるのではないかと思います。

第2点として、池尾委員を初め、あるいは和仁委員等多くの方が指摘されましたように、保険と共済というのは実際上は区別できないと私も思います。経済的な機能としては両者は同じことをやっているものだと。同じ機能のものは、募集の面だけでなくて、本来は財務規制その他の規制の面でも同じように規制するのが筋だと思います。

第3点として、したがって本来は保険業法の中で同じように規制するのが筋だと思いますけれども、池尾委員がご指摘のように、一方で現在の保険業法の規制があまりにも画一的であって、その結果一部の商品について柔軟な新しい商品のサービスの提供ができにくくなっているのではないかというご指摘、これは確かに一理あるご指摘だと思いまして、むしろこの問題を検討するということは保険業法の規制そのものを見直すということに結びついていくところがあるのだろう。それによって、共済について保険業法を適用するという規制を加えたことによっていわば新しいサービスが提供されにくくなったという非難は受けないようにする必要があるだろうと思います。ですから、共済にも実質的には保険業法の規制と同じような規制をすべきだと思いますけれども、それには業法自体の見直しも伴うべきだと思います。

そういう観点からしますと、今日の19-5の論点について申しますと、最初の基本的論点のところでは、私もこの募集した意見の多数と同じように、基本的には、現在の保険会社に対する規制と同様というか、現在の保険会社に対する規制を柔軟にするということを前提にですけれども、同様の規制を課すべきだという考えを持っております。

その次に、適用除外のところでございますけれども、先ほど羽田委員からでしょうか、ご指摘のありましたように、ここで適用除外として挙げられているものが自動的に適用除外として適切なのかということは、私はちょっと問題があるように思っております。まさに構成員が真に限定され、規制の適用の対象外とすべきものとして、一般的に例えば先ほどご指摘のあったように企業内の共済会であれば、それだけで自動的にそういった限定されたものであると言えるのか、これは実態を見ないとわからない。特に巨大な企業の中での共済などということになると、それこそ保険会社以上のものができるし、中には子会社をつくって保険をやろうと言っているようなところもあるような実態がありますから、そういうところを考えてみると、ちょっとこのような整理で最初からこういったものを全部適用除外だと決めつけるのはいかがかという感じがしております。

同じ意味で、2ページ目の職域団体もまさにそうですし、それから公益法人、これも先ほどご指摘があったように、私は公益法人などという理由で特別扱いする理由は全くないと考えておりまして、「監督行政庁の存在」と書いてありますが、今、内閣官房の規制改革推進室の方で公益法人法の見直しをやっておりまして、そこでは公益法人は今までの主務官庁の認可を受けるのではない準則主義で自由に設立することができるようになるわけで、まさに監督行政庁がなくなるわけです。ですから、これを特別に扱う必要は全くないし、現行法を前提にしても、先ほどご指摘のありましたように、共済事業をするようなことを予定した監督が行われているとはちょっと思えませんので、こういったものを特別扱いする必要は全くないのではないかと思っております。

次の特定性についてでございますけれども、これは非常に難しい問題だと思います。先ほどの検査権限と非常に結びついた問題だと思うんですけれども、本筋から言えば、確かに実質的に特定されているかどうか、はっきり言えば、保険業法的な規制をかけなくていいというか、それほどの必要のない、まさに保険業法の規制を柔軟化する、そこまでの手間をかけた、あるいはコストのかかる規制をする必要がないものを除くというのが本来の趣旨であって、それに合ったものが除けるようなルールにするのが一番いいわけです。ただ、まさに検査権限の発動要件等の問題と絡んできますけれども、かなり形式的な要件も用意しておかないと、実際に検査ができるかどうかということを判断する時点から問題になってしまいますので、これは金額とか人数等、ある程度形式的に特定性の除外をするものがわかるような判断要件を設ける必要があるだろうと思います。その際に脱法、潜脱がなされないようにするというのは当然のことでありますし、先ほど上柳委員のご指摘のような点も当然のことかと思います。

あと、一つ飛ばしまして、自己の保有するリスクが少額にとどまるという問題ですが、先ほどの再保険に出せればいいというのも考えてみれば変な理屈と言えば変な理屈で、再保険であろうが、保険を引き受けているのには変わりなく、再保険に出している保険会社はいっぱいあるわけですし、さらに見方を変えれば、全部再保険に出してしまうのでしたら、いわば保険の代理店をやっているようなことになるわけで、一体そういうものをどう考えるかという問題が出てくると思います。ですから、これはまさに保険業法の柔軟化、保険業法の規制を見直す一環として考えられるべき問題ではないかと思います。

次の経過期間の取扱いでございますけれども、ここのところでこそ先ほどの段階を追ってステップを踏んで考えていくということが考えられるべきではないかと思います。恐らく、既存の共済団体については、ある程度グランドファーザー的な扱いを考えざるを得ないと思うんです。ただ、その中でも、まず募集の面については既存の団体についても先ほどあったようなマルチ的なものは抑えられるようにするとか、そういったところから規制を入れていく必要があると思います。その後でここに書いてある参入規制や資産運用規制等を見直していく。確かに、参入規制で、例えば資本金規制とか、それから先ほどご指摘のあった初年度と2年目の責任準備金、あれはいわば純保行政と絡んだ問題だと思いますので、それはむしろ、一体どこまでそういう規制を、例えば比較的金額の限定されたような保険についてもどこまでそういった規制を厳しくやっていくかという、責任準備金の規制に関する保険業法自体の柔軟化と多分結びついてくると思いますので、その中で考えられていくべき問題ではないかと思います。一定以上大きくなれば、当然保険会社の規制と同じ規制に最終的に持っていく必要があると思います。

とりあえず、以上です。

○ 堀内部会長

それでは、高橋さん、どうぞ。

○ 高橋委員

岩原先生の緻密なご意見、ご解説の後ではちょっと発言しにくいのですけれども、私はワーキングの委員ですので、今日は部会の皆様のご意見をお聞きしたいと思っておりました。感想から申し上げますと、まず驚きましたのは、2段階アプローチという点にコンセンサスが得られそうだということでございます。これは多分皆さん、日経新聞で予習をしていらっしゃったというか、あの記事に引きずられているというか、率直にそういう感想を持っております。私自身はワーキングでは先ほど上柳委員がご発言になったような内容のことを繰り返し発言させて頂いてきた立場でございまして、不特定多数を対象に募集しているもので、保険業法違反が疑われるといいますか、限りなく黒に近いものに関しては、早く手を打たないと、法律をつくって云々ということではないでしょうと申し上げておりました。今回の2段階アプローチの1段階目というのは、違反かどうかわからないから、まず登録制とか何か手当てをして金融庁の検査・監督が入るようにしましょうということだと思います。これが第1段階だとしますと、どのぐらいのタイムスパンでやっていくのかなど、細かな論点もありますので、また日経新聞に書いてある範囲の中だけでもかなり多岐にわたるものですから、ちょっと心配になっております。

総務省の調査で行政が手を打つべきこととして、募集方法、財務情報、責任準備金というのがあるのですけれども、私は、今問題になっていることとの絡みでいえば、募集方法が一番難しいと思います。委員の中には販売・勧誘という表現をお使いになられた方もいらっしゃいますけれども、販売・勧誘・募集という、この規制をどうかけていくのかということに関して、本日の論点では、「虚偽表示の禁止等の募集規制は課されるべき」とあります。この辺は当たり前で誰でもできるんですけれども、「保険募集人登録を要件とすることなどにより」という、ここの部分を具体的に考えていったときに何ができるのかに関して、私は当局に質問させて頂きたいと思います。現在は登録というのは、生保協会や損保協会など業界団体が資格試験などいろいろやっておられるわけですけれども、共済のように業界団体があるわけでもないところに関して登録を要件とするということは、金融庁が直接やるのか、やるとして、どこまでその募集に関して目が行き届くのかということに関して、非常に危惧しております。以上、意見と質問とさせて頂きます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

今のご質問には随分たくさん論点が含まれていましたが、このうち現在の段階で事務サイドからご議論いただけるものがあればお願いしたいのですが。

○ 新川信用機構室長

まず、高橋委員から頂いたご質問の件であります。恐らく、募集人登録そのものについての事務ということになりますと、今は財務局中心にやっておりますけれども、試験の実施その他は各協会が自主的にやっておられるという現状にあろうかと思います。それは、いわば一定のクォリティーを確保して、募集に関するトラブルが起こらないように自発的にやっておられるという前提だと思います。それで、どれぐらいでできるのかというタイムスパンの問題のご質問が中心だと思いますけれども、恐らく登録事務そのもののいろいろな準備を考えますと、先ほどおっしゃったような虚偽表示のようなものをまず禁止するというタイムスパンと、当局に登録した上でその登録に基づきいろいろな規制をかけていくというタイムスパンでは、登録行為を要する方が準備その他に少し時間がかかるのではないかと思います。

あとは、実務の面で業界団体等というものが組織されていない前提でどうやっていくかということについては、まさに非常に難しい問題もあると思いますので、実務的に方針が決まった段階でよく詰めていきたいと思います。

それから、今日はその他いろいろなご意見を頂いたわけですが、新しい論点その他もたくさん頂きましたので、せっかく発言の機会を頂きましたが、できるだけ忠実に、頂いた論点を可能な限り整理していくという形で、何とかうまく整理してみたいということに今の段階では尽きるかと思いますので、申し訳ありませんが。

○ 山下保険WG座長

前の段階で保険ワーキング・グループの報告をさせて頂きまして、この中ではアプローチとして、共済を保険会社として捉えて適切な規制をかけていくという考え方と、保険会社とは別のものとして捉えてやや軽い規制をかけていくという2つのアプローチが示唆されていて、私の報告ではワーキング・グループのメンバーの中ではどちらかというと後者の方の意見が有力であったと申し上げたかと思います。その後者の方の意見がなぜ出てくるかというのは、1つは今、高橋委員がおっしゃったような、現状で緊急的な規制が要るけれども、それについては保険会社として捉えて保険業法を直ちに適用するのでは実際に動くかという疑問があるので、軽い規制でとにかく販売行為の非常に悪いものを抑えていこうというものと、もう1つは、今日は川本委員が来ておられませんからあまり意見として出てきませんでしたが、保険会社であって保険業法として捉えていくということは、実際に何か独自の存在意義があるかもしれない共済をもうやるなと禁止するのに等しい効果も持ち得るので、そういう意味では保険会社とは違った事業分野として位置付けて、軽い規制をしていこうというものであろうかと思います。そのときに保険会社と同じであれば、責任準備金を積み立てて、監査もするし、ディスクロージャーも非常にしっかりしたものにする、あるいは募集については募集人の登録のようなものが要ると言うのだけれども、そういうことをやっていると、これはコスト的に大変なことにもなるわけで、かといって、そういうものが何もなくて、契約者の自己責任ですよと言ってしまっていいかというと、そこもなかなかそうは言い切れないところがあって、あのときの軽い規制というのは、今日の19-5にもありましたように、保険金額を相当低いレベルを抑え、万一破綻しても契約者の被害がそれほどヘビーなものにならないというものとして考えていたわけです、どうもパブリックコメントに出てきた意見としては、保険会社として捉えた方が基本的にいいのではないかという意見もかなりありまして、今日の委員の皆様方の意見も基本的な考え方はそういうところが多かったと思います。ただし、皆さんの多くの意見は2段階のアプローチということで、まず保険会社として捉えて業法の適用はしていくけれども、2ページの終わりにあるような経過期間を設けて、実質的にはワーキング・グループのペーパーで出ていたような軽い規制で当座は出発して、実態把握をしていくということであったと思います。それから、多くの意見の中で、保険会社として捉えて保険業法に取り込んでいくけれども、共済の実態を十分把握した上で、それにふさわしい緩やかな規制というものがあり得るとすれば、それはそれで規制緩和を図るべきだというご意見もあったと思います。そういう意味では、実質的にはそれほどワーキング・グループの報告と違わない結論になっているのではないかと思います。

ただ、実際に経過期間の取扱いということで、最初は一応届け出させて検査の対象等にもして把握しよう、それである程度重過ぎる規制の部分は適用を除外していこうというのですが、それが技術的にどこまで可能なのか、保険会社の規制をほとんどしないようなものが経過規制とはいえ可能なのかという若干の疑問は私にもあるわけで、そういう意味では保険業法とは別の軽い規制で出発して、それで保険会社としてふさわしいものは保険業法へ取り込むというアプローチも十分あるように私個人は思っていますけれども、保険業法に取り込んで経過期間の取扱いについて多くの委員がイメージされているようなことがうまく盛り込めるのであれば、そういう方向で今回は処理してはいかがかと思います。実際に先ほど申しましたように、保険会社として位置づけると、規制緩和をするといってもおのずと限度はあると思うんですが、そういうことでいいのか、さらに将来は保険会社に全部吸収していくことでいいのか、それともよく実態を踏まえて考えれば、別種類の共済制度のようなものをつくっていく方がいいのか、そこの判断がつくだけの材料がどうもまだないようで、そこは先送りにして、今回はこのペーパーで出ているようなアプローチで処理していくということが、今日これまで伺った多くの意見の最大公約数かなと思います。ですから、事務局には経過規制とはどんなものかというのをもう少し明らかにして頂いた上で、もう一回判断してはいかがかと思います。

それから、法律家としては、先ほど岩原先生の言われたことは非常に重要なことで、これは事務局にも常々言っているのですが、今度、特定性とか適用除外の要件をどう規定するにしても、今度はもう脱法は絶対にないということを自信を持って言えるだけの規定を作って下さいと申しております。そこは、先ほど岩原委員あるいは和仁委員の言われたような意見も踏まえて、そういうことが本当に可能かどうかというあたりも詰めて頂きたいと思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかに。

○ 原委員

もう終わりの発言をするようだったので……。

○ 堀内部会長

いやいや、まだ終わりの発言ではないです。まだ15分ぐらいありますから。

○ 原委員

もう一度ちょっと確認と、それから1つ意見なんです。

2段階という説が有力ですねということですが、多分2段階説のタイムスパンというのでしょうか、それぞれ皆さんイメージは違うと思って、私としては、できれば瞬時という感じもあります。というのは、外国為替証拠金取引の規制が今回金融先物取引法に入りますけれども、今、駆け込みでちょっと被害が広がっているという感じを持っています。それから、相談を受けてちょっと見守っている訴訟事例が1つあるんですけれども、相手方の事業者が計画的破綻をしてしまったということで、今、大変困難な場面に直面しております。そのようなことが起きないようにと、根拠法のない共済では素早い対応をぜひ第1段階の部分については早く、それから第2段階についても早急に手当てをして頂きたいと思っております。

それからもう1つ、確認なんですが、先ほど高橋委員の方から募集人の規制についての話が出て、昨日の夕方の新聞紙上で私も拝見したんですけれども、マルチの事業、ああいった販売形態をとっているものについては、こちらの募集人登録規制で対応できると考えていらっしゃるのかどうか。これと、それから先ほど一定規模以上になったら保険業法の規制をかけるという話がありましたけれども、この2つでできるという判断のもとで今おやりになっていらっしゃるのか、まだ幾つかの手法を組み合わせるということなのかということを、もう一度ちょっと丁寧に、そこに絞って事務局のお考えをお聞きしたいと思います。

○ 新川信用機構室長

募集規制についてでございます。保険業法の中には募集に関する規制は一つの固まりとしてありまして、恐らく直接にマルチ的な販売を禁止する規制はないんですが、現状において、今の募集規制の枠組みの中でマルチ的販売をやろうと思うと、なかなか一定のクォリティーを持った人でないと販売できないというのが基本的な考え方ですから、素人が素人に気軽に売るということはできなくなる。それであれば、実質的にはマルチ的な販売というのは困難だと思われます。恐らく、ワーキング段階でもそうでありましたし、今日のご意見でもあったと思いますが、募集規制については、共済であろうと保険であろうと同様の規制をやるべきであるというご意見が、少なくともこの場においては多かったように思います。ただし、同じ募集規制の中にも、例えば虚偽の説明を禁じて、それを守らなかったら場合によっては刑事罰が科せられるといった規制をとりあえずしましたという部分もあれば、登録行為などを伴うようなもの、それは登録をする方も、登録を受けて、審査といいますか、拒否要件に当たるかどうかを見る方も、一定の準備期間というのも必要になってきますから、同じ募集に係る規制の中でも、実施という面ではすぐにできるもの、できないものというのは、物理的にあると思います。しかしながら、募集規制を一固まりとして保険会社並みの規制をかけた場合、現行の保険会社においてなかなかマルチといったものは実質的には不可能であるように、同様の規制がかかった場合には実際にはマルチ的販売というのは困難なのではないかと考えております。

○ 堀内部会長

はい、どうぞ翁さん。

○ 翁委員

先ほど山下座長がおまとめ頂いた方向に私も賛同いたします。先ほど池尾先生が、ニッチ型の保険業というものも認めるような形で保険業法を柔軟な形で見直していけばどうかというお話で、私もそういう方向で保険業法全体を見直して、ファンクショナルなアプローチをより取り入れる方法で見直していくということではないかと思います。それで、先ほどどなたかの委員で、実際に特定だからリスクが低いのか、小規模だから低いのかというと、必ずしもそうではなくて、大数の法則が働かなかったり、またリスクを組み合わせることによって全体のリスクプールのリスク度が下がったりとか、そういった面もあると思いますので、ニッチと総合型というのを考える場合には、そういった本来保険という機能を提供する場合のリスクの大きさをどのように測って、それに対してどういう手当てをするかという考え方で新しい監督のあり方というのを考えていくという方向ではないかと思っております。

○ 堀内部会長

いかがでございましょうか。そろそろ今日の皆さんの議論をまとめてよろしゅうございますか。

実は、既に山下先生が大分お上手にまとめられたので、非常に助かっております。大変貴重なご意見を頂きましてありがとうございました。伺っておりますと、特に実態に詳しい方ほど問題の緊急性を強く認識しておられるという印象を強く持ちました。我々としては、今は潜在しているけれども、かなり深刻な問題になる可能性のあることがらに対してどのように対処するかという当面の緊急的な対応策と、それから先ほどから出ていますような長期的なパースペクティブで扱うべき、たとえば情報の問題などを含めた対応策という2つに分けて考えざるを得ないだろうと思います。個々の委員の方のご意見で若干のニュアンスの違いはありましたけれども、以上のような点については基本的に一致できているのではないかと思いました。

それでは当面必要な措置としてどのようなことができて、それらはどのぐらいのタイムスパンで実施すべきかということで、この点は今後さらに検討しなければならないだろうと考えます。しかし、明らかなことは、募集・販売のプロセスに関して何とかしなければいけないのではないか、というご意見が強かったということだと思います。したがいまして、当面の措置として、募集・販売のあり方を適正化することをめざして対応していくべきものと考えます。それが第1点で、この点については恐らく皆さんの間で意見の大きな違いはないだろうと考えております。

2番目は、これは我々の間で議論が完全に煮詰まったわけではありませんが、長期的な対応策としては、保険業法を見直すという問題も含めて考えざるを得ないのではないかというご意見がかなり有力であったということです。つまり、共済と現在の保険業法でカバーされている保険業というものが現実的に区別できるものかどうかということについて、いろいろご意見がありました。むしろ、現在の業法を大幅に弾力化していくというご意見もあったかと思います。それを通じて、実質的に同じ業務については同じ法制度のもとでビジネスが展開されることが望ましいというご意見が有力であったと思います。もちろん、これはまだ議論の余地が残されておりまして、少し時間をかけて検討していくべきかと思います。

3番目は、これは第1点と関係していますけれども、実態がどうなっているかということを我々としてはまだわからないところもありますし、かといって、実態がわかった頃には手遅れだということになっては困るので、この辺をどうするかです。我々としては、早急に実態を把握できるような対応策を行政にも何とか工夫して頂きたいと思います。

次回の会合ですが、特に今日頂いたご意見、ご議論を踏まえた上で、報告書の素案を作っていくという作業に入りたいと思います。素案を検討するというちょっと微妙な段階でございますので、次回の議論については非公開の形で取りまとめたいと考えておりますので、ご了解頂きたいと思います。

それから、今日はこの後記者会見がございまして、事務方と私とで対応したします。本日の会合の模様につきまして、簡単にご紹介するということにさせて頂きます。

では、最後に、事務局の方でご連絡等がありましたら、お願いします。

○ 安居保険企画室長

次回の開催につきましては、部会長ともご相談の上、改めてご連絡させて頂きたいと思っております。よろしくお願いいたします。

以上です。

○ 堀内部会長

それでは、本日はどうもありがとうございました。

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