金融審議会金融分科会第二部会会合(第20回)議事録

日時:平成16年11月24日(水)15時46分~17時15分

場所:中央合同庁舎第4号館 9階特別会議室

○ 堀内部会長

ただいまから金融審議会の金融分科会第二部会の第20回目の会合を開催したいと思います。本日は、皆様、ご多用中ご参集頂きましてありがとうございます。

既にご案内のように、本日は、根拠法のない共済に関して、これまで第二部会で検討してまいりました事柄について報告書に取りまとめたいということでございます。内容が微妙なこともありますので、会議としては非公開とさせて頂きます。

それから、本日の会議終了後も、通常は記者会見がありますけれども、本日については、会議の内容によりまして記者会見は行わないということになっております。その点をご了解頂きたいと思います。

本日は、翁委員、片田委員、神田委員、高橋委員、辻山委員がご欠席でございます。

それでは、本日の議事に移らせて頂きますが、お手元の議事次第に従いまして、根拠法のない共済への対応についてご審議頂きたいと思います。本日は、事務局の方から新しい規制のイメージと、既存の共済事業者への経過措置について説明して頂きまして、続きまして、報告書の本体になるものでございますが、「根拠法のない共済への対応について」ということで読み上げて頂きたいと思います。

それでは、まず、事務局の方からご説明頂きたいと思います。

○ 新川信用機構室長

信用機構室長の新川でございます。

それでは、お手元にございます横紙、第二部会20-1と書いた資料と20-2と書いた資料に従いましてご説明させて頂きます。

こちらの二つの紙は、この後読み上げます報告書の中に記載してあります一つの整理を模式的に表したものであります。議論については、前回、それからその前もありましたが、部会のご議論を踏まえて組み直したものでございます。頂いたご議論の大きな点としては、一つは実態把握を十分した上であるべき規制の姿の全体像を検討すべきではないかという意見、あるいは募集行為の適正化等早く対応すべき問題もあるのではないかという点、あるいは共済の事業といったものの特性を生かした規制の枠組みも考える必要があるのではないか、特に既存事業者等の関係も考える必要がある、こういったようなご指摘があったわけでございます。これらを踏まえまして整理し直したものでございます。

それでは、20-1の方から説明させて頂きます。

この図は、左の方が今の保険業法上の整理、制度共済については保険業法が適用されない、それから不特定を相手方に保険の引受けをやる、これについては保険会社として免許を取得する必要がある、それ以外のものについて、いわば制度共済ではなく、かつ不特定を相手方としていない、ここがいわば無認可共済ということになろうかと思います。

図に斜線が示してありますのが、いわば今保険業法の規制がかかっているという趣旨で線引きしております。

「法施行」と書いてありますが、ここから新しい規制の枠組みが始まったとしての模式図であります。

マル1適用除外」とありますが、今制度共済が適用除外になっていますけれども、いろいろご議論になりましたように、構成員が真に限定される共済につきまして、これは公的な規制の対象外でいいのではないかというご議論がありました。したがいまして、新しい規制の中では、制度共済及び構成員が真に限定される共済を列挙する形で保険業法の適用を除外するという整理にしてはいかがでしょうかということであります。

マル2少額短期保障事業者」ということですが、少額ということで見舞金、葬儀代、通常生ずる物損等の少額それから短期の保障のみを行う事業者の場合、かつ、マル2の下の括弧にありますように、これが一定の事業規模の範囲内で事業を行うような場合、参入時の財務規制等を緩和し、かつ免許制よりは緩やかな参入規制、登録あるいは許可といったような形での参入規制を行うという趣旨でございます。

財務規制等の緩和の内容でありますけれども、1つは、事業者については法人格の取得をすべきか否かというご意見がありましたが、内部のガバナンス等を勘案すれば、相互会社または株式会社といったような法人形態を求めるべきではないか。

それから、財産的基礎につきましては、保険会社につきましては10億円という資本金の参入規制がありますが、これは緩和すべきではないか。

それから、商品審査につきましてはご意見が分かれていたように思いますが、一つの整理として、例えば保険料が高いとか低いとか、そういったもののチェックまでは行政では行わず、契約者保護の観点等からの最低限のチェックのみを行うということにしてはいかがか。

資産運用につきましては、預金・国債等、こういった安全資産、流動性の高い安全資産ということにしております。

それから、事業開始時には保証金の供託、営業保証金という形になるのでしょうか、その供託を義務付けた上で、供託額については事業規模に応じて上乗せをしていく。

それから、一番下の黒ポツですが、セーフティネットに関して、予定利率のリスク、あるいは資産運用リスクなどのリスクを極力制度上排除した上で、供託制度を前提にセーフティネットは設けない、こういったような規制の枠組みにしてはいかがかということであります。

それから、一定の事業規模を超えるような場合、あるいは少額短期の保障ではないような商品を提供する事業者につきましては、保険会社として免許を取得して頂いて、保険会社として営業して頂くということで、ここはマル3のところに分類されることになろうかと思います。

それから、もう少し現実の問題に即して考えますと、既存の事業者がどのような整理になるかという点の方がむしろ重要であろうかと思います。20-2という資料をご覧頂きたいと思います。

既存の共済をやっている方というのは、先ほどの1枚目の図できますと、「特定(共済)」と書いてあるところが無認可共済の既存の事業者の方が業務をしておられるところですが、こういった業者の中には、マル1の適用除外として、構成員が真に限定される共済として列挙する中で保険業法の適用がなくなる、引き続き適用がない事業者という方もいらっしゃると思いますし、それからそうではない方もいらっしゃると思います。そこで、一つの考え方として、法律が施行して、直ちに、例えば保険会社の免許を取る、あるいは少額短期保障事業者としての登録なり許可を求めるというにしては少し規制のかかり方が急過ぎるということもありますので、一定の移行期間が必要であろうと思います。

移行期間と四角で書いてある部分でありますけれども、この移行期間中に、実際に共済を現状やっていらっしゃる方というのは任意団体が非常に多いということでありましたので、任意団体であれば何らかの法人を設立して頂いた上で、規制の枠の中に入って頂くということは必要になろうと思います。したがいまして、任意団体については移行期間中に相互会社または株式会社を設立し、少額短期保障事業者または保険会社の申請を行って頂くということになろうかと思います。

現に法人形態で事業を行っているような方、例えばNPO法人等、こういう方々も実際にはいらっしゃると思いますので、そういう方々については、別途特別の現行の法人形態での業務を認めるという形で特別の経過措置が必要になってくるかと思います。

一つの要請として、募集の適正化等についてはできるだけ早く措置をすべきであるというご意見を頂戴しておりますので、移行期間中であっても何も規制をしないというわけではなく、まずは、適用除外に当たらない共済の事業をやっている方については、届出をして頂いて、この届出は当局が実態を把握するためでありますが、届出をして頂いた上で、募集規制、保険会社にかかる募集規制と同様の募集規制をかける。それから、当局の検査、監督の対象とする。この募集規制の中でさまざまな行為規制がありますが、こういったものを速やかに適用した上で、今までは民事上の扱いだったものが、いわば保険業法上の罰則付きの規制の対象になる。それから、募集に問題があれば監督上の処分の対象となるということになろうかと思います。

したがいまして、この間、位置付けは免許なり登録、許可なりを求めるための準備期間ということになろうと思いますが、その間であってもこういった形で最低限の監督を受けるという期間になろうかと思います。

この移行期間終了後、保険会社もしくは少額短期保障事業者の申請をして頂くことになると思いますが、ここにつきましても、この移行期間の長さによるかと思いますが、少額短期ということになりますと、その少額の範囲が、例えば見舞金ということになりますと自ずとその金額は限られてくると思います。これも現行の事業者の現在やっている営業との関係からいくとかなり急激な変化になりますので、一つの時限措置として、原則免許を受けた保険会社等に再保険を行って、リスク保有が限定される場合は、少額保障を超える保障も可能とする、例えば5年程度の時限措置とするということであります。

それから、下の(注)にありますように、これはあくまで既存の共済事業者への経過措置でありますが、現行法で合法に業務をやっている事業者ということでありますので、現行法のもとで「特定の者を相当方」として保険の引受けを行っている事業者に限るということでございます。

先ほど説明を省略しましたが、1枚目、2枚目に共通いたしまして、さらなる実態把握をした上で、あるべき抜本的な規制の姿を検討すべきではないかというご議論もありましたことから、施行後一定期間、例えば施行後5年を目途として、新たな規制の枠組みの中でさらなる実態把握を行いまして、少額短期保障事業者の業務範囲でありますとか、あるいは免許会社に対する規制の見直しでありますとか、その他、別途の法整備の要否等保険業法の適用のあり方について幅広く検討し、必要な措置を講ずることとしてはどうかという中身になっております。

説明がかなりはしょられておりますので、どうしてこういう整理になるのかという点については、これから報告書(案)の本体の方を読み上げさせて頂きますので、そちらと併せてご議論を賜ればと思います。

それでは、読み上げさせて頂きます。20-3という資料でございます。

○ 今泉事務官

読み上げさせて頂きます。

根拠法のない共済への対応について(案)

1 .現状

わが国において特別な法律上の根拠なく任意団体等で共済事業(特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業をいう。以下同じ。)を行う、根拠法のない共済が多数存在している。総務省の調査結果報告(注1)によれば、その数は任意団体として行うものを中心として最近5年から10年で急増している。

(注1「根拠法のない共済に関する調査結果報告書」平成16年10月総務省行政評価局)

共済事業については、自発的な相互扶助を基礎として、共同して社会生活を営む者が将来の危険に対して共同して生活の安定を図ろうとするものであり、基本的には保険業法による規制は不要とされてきた(注2.3)。しかしながら、近年、根拠法のない共済の規模や形態の多様化が進み、伝統的な共済と異なる形態のものが増加している状況にあり、特定の者を相手方として保険の引受けを行う共済事業と、不特定の者を相手方として保険の引受けを行う保険業とを区別することが容易でなくなりつつある。

(注2保険業法は、不特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業を規制の対象としており、特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業には適用されないこととなっている。

注3根拠法を有する共済(農業協同組合(JA:農業協同組合法)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済:消費生活協同組合法)等の行う共済)については、保険業法に代わる特別の法律の規制を受け、主務官庁の監督を受けて事業を行っている。)

根拠法のない共済については、マル1「比較的限られた顧客を相手に保険会社の提供しない特定のリスクに対応した保険契約や低廉なリスク移転を提供するといった制度補完の役割等の意義がある」、マル2「事業の多様性がある、すなわち、見舞金程度の給付から保険会社と同程度の高額給付までの多様な商品を、自ら保険の引受けに係るリスク保有を行うもの、再保険等によりリスクの大半を保険会社等に移転するものなど多様な事業形態で提供している」、マル3「連鎖販売取引等十分な適格性を有しない者による販売方法がとられているものや財務基盤が脆弱と見られるものなどがあり契約者などの保護の観点から問題がある」等の指摘がある。

また、総務省の調査結果報告においては、行政上の課題として、根拠法のない共済の実態を個別に継続して把握するため、また、問題のあるものについて適切な対応を図るための仕組みが整備されること、募集方法等の適正性や財務情報の開示等が確保されるべきこと等の指摘がなされた。

こうした点を踏まえて、契約者などの保護や公正な競争条件の観点からあるべき規制の姿を議論していくことが重要であり、また、その際、現実に事業を行う根拠法のない共済が広範囲に存在している現状も勘案した上で検討を行う必要がある。

2 .基本的考え方

(1) 公的な規制の対象とすべき範囲

根拠法のない共済に対する規制を導入する場合は、どこまでを公的な規制(注4)の対象とすべきかが問題となる。構成員が真に限定されるものについては、特定の者を相手方とする共済として、従来どおり、その運営を専ら構成員の自治に委ねることで足り、規制の対象外とすべきと考えられる。これに該当するものとして、小規模なもののほか、労働組合がその組合員等を相手方として実施するもの、企業がその従業員等を相手方として実施するもの等があるとの意見があった。規制の適用範囲を定めるに際しては、基準の明確性や規制逃れの防止の観点も踏まえ、規制の実効性の確保に十分配意することが重要である。

(注4ここで言う「公的な規制」とは、あくまで保険や共済についての公的な監督等に係る規制のことであり、当然のことながら、その対象外とされる場合においてもその他の法令(例えば刑法や出資法等)の適用を妨げるものではない。)

上記の範囲を超える根拠法のない共済については、構成員の自治による監督のみを理由に契約者などの自己責任を問うことが適当でない領域であって、契約者の保護などの観点から一定の規制が必要である。

なお、総務省調査においては、法人の運営に行政機関の一定の関与のある公益法人等が行う共済についても調査結果が示された。その活動内容は多岐にわたっており、こうした共済についても、仮に構成員が真に限定されない場合があるのであれば、契約者などの保護の観点から一定の規制の適用があることが望ましい。ただし、監督行政庁としてどのような主体が相応しいかについては、公益法人の多くが都道府県の所管となっている実態や現在政府において公益法人制度の抜本的改革について検討が進められていること等を踏まえると、国と地方の行政責任の分担のあり方や公益法人に対する行政庁の関与のあり方等の観点から、適用すべき規制の内容とあわせ、引き続き検討が必要である。

(2) 新たな規制の基本的枠組み

マル1 検討の視点

根拠法のない共済で新たに規制の対象となるものについては、契約者などの保護や公正な競争条件の観点からは、保険会社の提供する商品と同様の商品が提供される場合には基本的には保険業法の規制が適用されるべきである。ただし、契約相手方が限られることに伴う販売ロットの小ささや特殊なリスクの把握の問題等のために保険会社が必ずしも提供しない商品を提供する等の制度補完の役割、事業規模・態様の多様性を踏まえると、その全てについて幅広い保険商品を大規模に提供し得ることを想定した保険会社と同様の規制を課すことは、制度補完の役割等の意義を減殺することとなり、好ましくない。

したがって、契約者などの保護、保険会社との公正な競争条件、制度補完の役割等の観点を総合的に勘案しつつ、一定のメルクマールを定め、制度補完の役割を担う事業の特性を踏まえた規制を導入することについて検討する必要がある。

マル2 契約相手方の「特定性」の程度

これまで保険業法の規制の要否のメルクマールとされてきた契約相手方の「特定性」については、構成員が真に限定されるものを列挙し公的な規制の適用外とすることに加えて、公的な規制の対象とする範疇に属するグループの中でも、例えば、(ア)団体への加入の要件や他の活動との関連、(イ)保険募集の態様、(ウ)事業規模などに関して、一定の具体的な基準を設け、保険会社規制と異なる規制を導入する場合のメルクマールとすることも考えられる。

このうち、(ア)団体への加入の要件や他の活動との関連については、形式要件として一定の具体的な基準(例えば入会金等の額や他の事業の実施要件等)を策定することも考えられるが、その場合、活動の実態の実質的変更を伴うことなく予め定めた形式要件に該当するように加入要件等を設定するような場合も考えられ、要件自体が形骸化する可能性がある。また、(イ)保険募集の態様についても、仮に団体の構成員以外の者に対する保険募集を禁止しても、団体への加入の勧誘自体が自由に行われれば形骸化の可能性がある。こうした点を踏まえると、これらの要件については、相当程度個別・具体的なものでなければ異なる規制の基準とすることが困難であり、むしろ構成員が真に限定されるものとして公的な規制の対象外とすべきものを個別に検討する際に勘案することが適当である。

他方、(ウ)事業規模については基準の明確性があり、潜脱行為防止のための制度的工夫を行えば形骸化の可能性は低い(注5)。また、事業規模が限定されるものについては、制度補完の役割の観点を踏まえると、幅広い保険商品を大規模に提供しうる保険会社と同様の規制を課す必要は必ずしもないと考えられる。

(注5形式的な団体の分割による潜脱行為を防止するため、法人格の取得を要件とした上で、法人の分割等について、現行の保険会社と同様、認可制とする仕組みの下で適切な対応が図られる必要がある。)

したがって、保険会社と異なる規制を導入する場合のメルクマールとして事業規模を中心とすることが考えられる。その際、契約者数により事業規模を勘案する考え方もあるが、保険商品の保障額も様々であることや引受けリスクの全体の大きさも保険事業を実施していく際には重要であることを勘案すると、むしろ保険料収入等を用いる方が適当である。

なお、制度補完の役割からは、幅広い保険商品を大規模に提供し得る保険会社と異なり、事業規模が小さいものでも参入可能な制度設計が望ましいが、他方で、事業規模が小さい場合は保険収支が安定しないことや適正に取扱える保険商品には自ずと制約があることを踏まえると、契約者などの保護の観点から、取扱い商品に一定の制約を設けることが必要である。

マル3 取扱い商品

取扱い商品が、保険期間が短期のものであって、保険金が見舞金、葬儀費用、個人の通常の活動で生じる物損の補填等程度に留まる等、少額短期保障に限定される場合には、以下の理由から契約者への十分な説明を前提に保険会社と異なる規制とすることが考えられる。

(ア )現行の保険会社と異なり、事業者は通常の生命保険契約で見られるような長期契約に伴うリスクや損害保険契約で生じ得る巨大なリスクの引受けを行うものでないこと

(イ )契約者側も長期の契約継続を前提としておらず、事業者の破綻等の場合に生じる損失が限定されるのであれば、契約内容や事業者の財務状況について適切な情報開示を前提に契約者などの自己責任を問うことも可能であると考えられること

なお、短期の契約であっても、契約者が保険料又は保険金の水準の見直しなく契約を更新できる場合には、実質的に長期契約の性質も有することから、こうしたものについては、保険期間終了毎に保険料又は保険金の水準が見直される可能性がある旨約款に記載されていることを要件とすることが考えられる。

また、一人の契約者が複数の契約を行うような場合を想定し、保障の合計額に上限を設けること、更に、保険会社と比べて事業規模が小さく保険収支が安定しない場合も考えられることから、保険事故が多発する等の一定の要件に該当する場合には予め約した保険金の水準が削減される旨約款に記載されていることを要件とすることが必要な場合もあると考えられる。

マル4 一定の事業規模の範囲内で少額短期保障のみ提供する事業者

契約者などの保護、保険会社との公正な競争条件の確保、制度補完の役割等を総合的に勘案すると、一定の事業規模の範囲内で、保険期間が短期のものであって、保険金が見舞金、葬儀費用、個人の通常の活動で生じる物損の補填等程度に留まる等少額短期保障のみの取扱いを行う事業者については、保険業法において、事業の特性を踏まえた一定の特例を設けて対応することが考えられる。

3 .少額短期保障事業者(仮称)に係る規制の具体的内容

一定の事業規模の範囲内で、少額短期の保障のみを提供する事業者(以下「少額短期保障事業者」という。)については、その業務の特質を踏まえて、以下のような規制の枠組みを保険業法において手当てすることが考えられる。

(1) 参入規制等

制度補完の役割や取扱い商品が少額短期保障に限定されることを踏まえ、参入規制を免許制から登録制等に緩和する。権利義務関係を明確にし、契約者などの保護を図る等の観点から、法人格及び一定の財産的基礎があること並びに的確な人的構成を有することを要件とする。

法人の形態については、契約者などの保護の観点を踏まえ、マル1会社法の規定等及び保険業法固有のガバナンス規定(保険契約者の計算書類への関与、株主の帳簿閲覧権の排除等)を適用させた株式会社、マル2社員相互の保険を行うことを目的とする社団であって、契約者などの保護のためのガバナンス規定等が保険業法に整備されている相互会社のいずれかとすることが適当である。

なお、一般に保険会社により提供される保険への加入が困難な者を相手方とする場合など、相互扶助的な色彩が強く事業の実施が特に求められるものについては、公的な規制の対象とする場合においても、事業の実施主体の適格性等は他のものと同様に厳格に確認すべきであるが、事業実施の必要性の高さに鑑み、財産的基礎等の参入規制の面で事業の開始・継続自体を著しく困難にしない等の配慮を行う場合も必要と考えられる。

(2) 商品審査等

保険会社と同様、事業方法書、普通保険約款、保険料等の算出方法書の作成及び提出を義務付ける。ただし、少額短期保障のみ取扱い、契約更新時等事後的な保険料の是正が容易であることを踏まえ、行政庁による事前商品審査は、マル1普通保険約款の内容が契約者などの保護に欠けるおそれがないか、公序良俗に反しないか等、必要最小限のチェックに留めることとし、マル2保険料等の算出方法書の妥当性については、事業者段階での一定の專門的知識を有する者の関与を前提として、決算報告時等における実際の保険事故の発生状況等を踏まえた事後チェックを行うこととする。

(3) 責任準備金の積立等

責任準備金等は、保険契約上の義務を履行するために会計上適正に計上されるべき負債であり、保険会社と同様、支払備金、未経過保険料等の責任準備金の積立てを義務付ける。その適切な計算・計上を確保するため、保険計理人の関与を義務付ける。

また、契約者などの保護の観点から、参入時において一定額の保証金の供託を義務付け、事業規模に応じて供託額を上乗せする仕組みとする。

(4) 兼業規制

既存の事業者の多くも共済事業を目的として行う団体を別に設立していることや破綻時の契約者などの保護の観点を踏まえ、他業は、実施の必要性が特に高くその事業規模が相当程度小規模な場合等特段の事情のない限り認めないこととし、専業を原則とする。

(5) 資産運用規制

事業規模や取扱い商品が限定されることにより保険会社のように大規模な資産を保有することは想定されないこと、事業規模が小さい場合、特にその財務の健全性の確保に配意する必要があることを踏まえ、保険会社のような幅広い資産運用を認めず、流動性の高い預金や国債等による運用を義務付ける。

(6) 情報開示

保険会社と同様、事業年度ごとに業務・財産の状況に関する説明書類を作成し、約款等とともに営業所に備え置くこととする。また、開示される書類の適正性を確保するため、一定以上の規模の事業者については外部監査を義務付ける。

(7) 募集規制

保険会社と同様、募集の際の重要事項の説明や虚偽表示の禁止等を定めた募集に係る行為規制を課し、また、保険募集人登録を要件とすることなどにより、保険募集を行う者の適正性を確保する。

なお、契約が更新されるものについては保険期間終了後に保険料又は保険金の水準が見直される可能性があること、保険事故が多発する等の一定の要件に該当する場合は保険金が削減される可能性があることについて約款への記載を義務付ける場合は、契約者に十分説明される必要がある。

(8) 検査・監督

法令の実効性を確保するため、行政当局の検査・監督の対象とする。その際、事業規模も勘案しつつ、支払い能力の能力の充実の状況が適当かどうかの監督も行う。

(9) セーフティネット(契約者保護機構の設立・加入等)

少額短期保障事業者については、マル1取扱い商品及び資産運用を少額短期保障及び預金等に限定することにより、予定利率リスクや資産運用リスクは制度上排除されること、マル2保険事故が多発した場合等に保険金が削減される旨の約款を義務付ければ、保険の引受けに伴い保険収支に生じるリスクは相当程度抑制されること、マル3事業規模に応じた保証金の供託を義務付け、事業者の万一の破綻の場合に契約者などに生じうる損失が限定されることを前提とすれば、セーフティネットを設けないことも考えられる。なお、この場合、募集に際してセーフティネットがない旨の説明を義務付け、保険会社との違いを明確にすることが必要である。

4 .既存の事業者についての対応

既存の根拠法のない共済について、上述のような新たな規制の枠組みを適用する場合には、現に広範囲の契約者が存在していることを踏まえ、契約者などの保護及び移行の円滑化の観点等から、速やかな適用が必要な規制と一定の移行期間経過後適用することが適切な規制とに区分することが適当である(注6)。

(注6以下の記述は、現行法の下で特定の者を相手方として保険の引受けを行っている事業者を念頭に置いたものであり、不特定の者を相手方として保険の引受けを行っている者を対象とするものではない。)

(1) 移行期間中の規制の枠組み

既存の共済事業は任意団体の形式で行われていることが多いと考えられるが、新たな規制の枠組みにおいて、少額短期保障事業者、又は保険会社のいずれを目指すにせよ、新たに相互会社又は株式会社を設立し、事業を移転する必要があり、円滑な移行のための一定の猶予期間(移行期間)が必要である。

この場合、連鎖販売取引等十分な適格性を有しない者による販売方法がとられているものや財務基盤が脆弱と見られるものなどがあり契約者などの保護の観点から問題があるとの指摘があることを踏まえ、重要事項の説明や虚偽表示の禁止等を定めた保険募集に係る行為規制は移行期間中であっても速やかに適用することが望ましい。

その際、これらの行為規制違反は、刑事罰の対象ともなっているが、行政庁により、法令違反の有無の確認及び問題がある場合は是正を命ずることができるよう、検査・監督の対象とするための法整備が必要である。

また、事業者が販売者の不適切な販売方法につき責任を負うことが明確にされる必要があり、現行の保険会社と同様に、募集人の不適切な説明等により契約者に損害を生じさせた場合に使用者としての賠償責任(使用者責任)を負うことを明確にすべきである。

なお、募集の適正化に関連して、金融商品においては連鎖販売取引自体が禁止されるべきとの意見があった。また、消費者保護の観点から、金融商品の種類を問わず、横断的な規制の整備が急がれるべきとの指摘があった。

(2) 移行期間終了後の規制の枠組み

マル1 基本的枠組み

既存の共済事業者で事業を継続する者は、上述の移行期間が終了するまでの間に、少額短期保障事業者又は保険会社として事業を行うための登録、免許等を受ける必要がある。その後は取扱い商品の内容に応じて、商品内容の確認、一定の基準に基づいた責任準備金の積立等及び財務状況の開示、資産運用規制、財務規制、保証金の供託を含めた契約者などの保護のための仕組みが適用される。また、募集規制についても、募集人登録を要件とすることなどにより、保険募集を行う者の適格性の一層の確保が図られる。

マル2 激変緩和措置

移行期間終了後の規制の基本的枠組みは上述のとおりであるが、規制の枠組みが大きく変更されることを踏まえ、移行期間終了後も更に、以下のような激変緩和措置を設け、円滑な移行に一層配意することが考えられる。

(ア )法人格について

現にNPO法人等の法人格を取得して事業を実施している既存の団体については、株式会社又は相互会社への移行や兼業規制の適用等について一層の配意を行う。

(イ )保険会社の免許申請について

移行期間が終了するまでの間に保険会社の免許申請を行う者については、最低資本等の規制(現行10億円)について、一定の猶予期間を設ける。

(ウ )再保険等によるリスク移転について

(a )再保険等によるリスク移転に係る時限措置

少額短期保障事業者と保険会社という二者択一の枠組みは、再保険その他の契約によりリスクの多くを他の保険会社等に移転するビジネスモデルの一部には必ずしもマッチしない場合もあると考えられるが、当該ビジネスモデルについては、制度補完の役割、再保険等に依存する場合の問題点等について、実態を十分に把握した上で慎重に検討する必要(注7)があり、現時点において保険業法の中で恒久的な制度として位置付けることは問題がある。現実的な対応としては、既存の事業者についての特例として、一定の期間に限り、保険金が高額でないものに限った上で、再保険等により保険会社にリスク移転が行われる場合は、少額給付の範囲を超える保障についても少額短期保障事業者と同様の規制の枠組みの中で業務を行えることとする時限措置を設けることが適当である。

なお、この場合においても、契約者などの保護の観点から、再保険先は原則として行政当局の監督が及んでいる保険会社である必要があり、また、再保険先の保険会社名など再保険契約の内容について、契約者に十分に説明される必要がある。

(注7再保険等に依存するビジネスモデルについては、特にリスクの性質に様々な形態のある損害保険の分野において販売ロットや特殊なリスクの把握の問題等のために保険会社が必ずしも対応できない分野について、共済が一定のリスク分散を図りながら、独自商品を提供する場合等に一定のニーズがあるものと考えられる。また、現行の保険会社の財務規制においても行政庁の監督下にある他の保険会社に再保険をした場合に責任準備金の積立を控除できるとされるなど再保険により一定の支払い能力を担保する考え方をとっている。したがって、適切にリスク管理を行えば、保険会社並みの自己資本がなくても少額保障を超える比較的多額な保険商品の提供も可能と考えられる。しかしながら、他方で、自ら引受けたリスクの大半を他に移転するという事業形態については、リスク移転先の保険会社が破綻した場合に契約者への確実な給付が確保されない等の問題があり、再保険先が適切に業務運営を行っているか、自らの流動性リスクは適切に管理されているか、引受けた保険契約と再保険の契約期間はマッチしているのか、契約者はこうしたリスクについて十分な認識があるのか等の点について十分な検証が必要である。

(b )再保険等によるリスク移転に係る時限措置終了後の事業のあり方

法施行後一定の期間、再保険等により少額短期保障事業者の規制の枠組みの中で業務を行う者については、現時点においては、時限措置終了後は、マル1特にニーズの強い分野に特化して少額短期保障事業を継続する、マル2保険会社の代理店等も兼ねて保険会社の取扱い商品と自ら組成する少額短期保障商品をあわせて提供する、マル3保険会社の免許を取得し幅広い商品を提供すること等の選択肢が考えられる。

上記以外の選択肢の必要性については、時限措置が終了するまでの間に、下記の規制の見直しの中で検討されるべきである。

5 .規制の見直し

当部会としては、これまでの審議において、根拠法のない共済について現時点で利用可能な情報をできる限り活用し、本報告の取りまとめを行ったが、総務省の調査結果報告等にもみられるとおり、現状においては未だ実態の全貌を把握しきれていない部分もあると考えられる。従って、将来的なあるべき規制の姿としては、今回取りまとめられた新たな規制の枠組みのもとで更なる実態把握を行い、制度施行後一定期間(例えば5年を目途)経過後にその妥当性の検証を行うことが不可欠である。

具体的には、新たに行政当局の監督対象となる事業者の事業の状況や保険会社への再保険等に依存する場合に生じ得る問題点の整理、保険会社の提供する商品の状況等を踏まえて、少額短期保障事業者の業務範囲や事業実施主体の見直し、保険会社規制の見直し、その他別途の法整備の要否等、保険業法の適用のあり方について幅広く検討を行い、必要な措置を講ずることとすべきである。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明頂きました資料の20-1と20-2、それから「根拠法のない共済への対応について(案)」という素案について、ご質問、ご意見等ございましたら賜りたいと思います。ご自由にご発言頂きたいと思います。いかがでございましょうか。

羽田委員、どうぞ。

○ 羽田委員

3つほどあるのですが、まず、20-1と20-2ですが、制度共済という言葉が左側の方に出ておりますけれども、この制度共済の範囲というのはどういうふうに考えたらいいものか。例えば公益法人等で実質的には不特定多数を対象とする共済をやっているのが幾つかあると思います。公益法人ですから、当然監督官庁はあるわけですけれども、当然のことながら、監督をしているのは公益法人の設立等々であって、定款の中で一種の事業として共済をやっているというものについては、その共済の内容について、いわゆる農協共済であるとか保険会社のような監督なり、そういうことをやっているかというと私は大いに疑問があると思います。実質は、いわば野放しと言ったらまずいのでしょうけれども、そういう状況にあると思うのですが、そういう公益法人がやっている共済、不特定多数を相手にするものですけれども、それが20-1なり20-2でいう適用除外の制度共済になるのかどうか、私はどうも適用除外ではないのではないかと思うのですが、それが1つです。

2番目が既存の共済についてですけれども、既存の共済には非常に特定性の高い、無認可共済というか、根拠法のない共済ですけれども、非常に特定性の高い対象を契約者としてやっている場合と、実質不特定多数を対象にしている根拠法のない共済、これが結構あると思うのですけれども、今回のイメージといいますか、案の中においては、そういう既存の不特定多数を実質的に対象としてやっている根拠法のない共済に対する取り扱いはどう考えられているのか、それが2番目です。

3番目は、既存の共済の中には、たしかこの前のヒアリングでもありましたけれども、株式会社等の組織であって、かつ事業会社が親会社になって、100%株式を保有しているというケースもあったと思うのですけれども、そういうところに対する規制なり対応というのはどういうふうに考えられているのか、その3つについてお伺いしたいと思います。

○ 堀内部会長

それでは、室長、お願いいたします。

○ 新川信用機構室長

まず、公益法人でありますが、今の普通の整理でいえば制度共済とは位置付けられないと思います。ただし、先ほど整理にありましたように、公益法人制度そのものが抜本改革について、そのあり方も含めて今議論されているということ、それから監督官庁の問題等ありますので、ここの整理で制度共済だから適用除外というわけではありませんが、その扱いについてどういうことをすべきかということについていま少し検討する必要があるのではないかということでございます。

それから、既存の共済でありますけれども、特定性が非常に高いものとそうではないものと2つあるというご指摘でありました。言葉の厳密な意味でのというわけではありませんが、構成員が真に限定されるような共済については、図の方で申し上げますと、マル1の適用除外で個別に列挙される中で拾っていくという形になろうかと思います。それから、そうではないものについては、一定の規制の枠組みがかかるということになろうと思います。

さらに、現行の保険業法に仮に抵触するような不特定を相手方として保険の引受けを行っている場合、これは先ほど「注」にございましたように、いわば現行法における違反事例ということになりますし、経過措置の対象にもならないという整理になろうかと思います。

ただし、当部会あるいはワーキングでのご議論もありましたとおり、現行法の適用について、その両者の区分が容易でなくなりつつある現状があるということは踏まえる必要があろうと思います。

3つ目の株式会社が親会社となるようなケースについてどうするかということでありますけれども、これは実際に新しく法人を立ち上げられて、新規参入のようなケースも考えられると思いますけれども、法人を立ち上げられて、それで共済をやるということを考えますと、そういうケースというのは出てくるのではないかと思います。出てくると申し上げたのは、ある事業会社なりほかの活動をしている団体等が株式会社を立ち上げて、それで共済を行うというケースがあるのではないかと思います。

○ 堀内部会長

羽田委員、よろしゅうございますか。

○ 羽田委員

はい。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。

これは確認ですけれども、20-1と20-2の説明で考えますと、これから新規に共済の領域に入ってくる人たちに関しては、そういうものと、既存のもので、とりわけここで言う少額短期保障事業者というふうに規定されるものとが、事実上同じ業務をやりながら、一方はある程度猶予期間を置かれているということで、若干違った取り扱いを受けるということが前提になるわけですね。

○ 新川信用機構室長

そのとおりであります。

○ 堀内部会長

どのくらいだというふうに考えているのでしょうか。

○ 新川信用機構室長

タイムスパンということでございますが、文章にはあまり書いてありませんでしたが、施行後5年を目途に見直しをする前提でいろいろ考えていきますと、まず20-2をご覧頂きますと、例えば既存の事業者が免許の申請なり登録の申請なりをやろうと思いますと、常識的には一回きちんとした決算をまとめられた上でないとなかなか申請も難しい、当局としても判断しづらいという部分があろうかと思いますので、移行期間としては、あまり長いとどうかと思いますけれども、最低でも2年ぐらいはどうしても必要になるのではないかという気がいたします。

したがいまして、施行後5年と書いてありますのは、いろいろな移行期間も考え、かつ5年後に何か物を見直すとすれば、新しい規制の枠組みの実態も見る必要があるということで5年と書いてありますが、それプラス、20-2にあります少額短期保障事業者については、保険会社等に再保険を行う場合は少額を超えるものもできる。これについてはいろいろ設定の仕方があろうかと思いますが、例えば5年ぐらい。したがって、施行後5年見直しというのがちょうど再保険をやっている方についての特別の時限措置をやっている途中に来る、そういう時間的なタイムスパンのイメージだと思います。したがって、この絵でいくと、移行期間プラス再保険に関する時限措置が終われば、両者には違いがなくなるということになろうと思います。

○ 加藤委員

報告書の大筋については、異論はございません。ただ、2点ほど懸念がございます。まず、公益法人についてですが、このようなカテゴライズを行って規制の対象外とすることは、特に新規参入のことを考えても問題があるのではないかと考えます。不特定多数の者に対して保険を販売している場合には、保険業法の適用を受けるべきと考えます。

2点目として、資料20-3の3頁で、少額短期保障事業者を分けるメルクマークとしての「特定性」について、事業規模を基準とすることが示されていますが、この基準を考える際には既存保険会社とのバランスを考えていただきたい。生命保険会社でも個人保険の保有件数が3万件程度という会社もあり、10社は30万件未満であります。保険料水準を決める際には、加入者数が過大なものとならないよう、加入者がどの程度になるのか、既存の保険会社とのバランスを念頭に置きながら検討していただきたい。

○ 新川信用機構室長

まず、公益法人でありますが、仮に引き続き検討ということになりますと、スタンドスティルということになりますから、今の扱いがそのまま継続されるということになろうかと思います。ただし、公益法人については現実のプラクティスとしては、新規の公益法人を設立するということは非常に今難しい状態になっていると思いますし、新たに業務を追加するというのも非常に難しい状況ではなかろうかと思います。

いずれにしても、公益法人制度そのものをなくしてしまおうか、存続させようかという議論がなされている段階でありますので、施行までに何らかの規制をかけるとすれば、監督官庁についてはそのままにした上で、何らかの行為規制がうまくかかるかどうか、そこは少し法律上、制度上の詰めをしてみたいと思います。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。

島上さん、どうぞ。

○ 島上委員

ちょっとワーディングですけれども、制度補完という言葉が幾つも出てきます。例えば2ページの最後の2行目あたりから読ませて頂きますと、「ただし、契約相手方が限られたことに伴う販売ロットの小ささや特殊なリスクの把握の問題等のために保険会社が必ずしも提供しない商品を提供する等の制度補完の役割」の「保険会社が商品を提供しない」というのは制度の問題でも何でもないのではないか。したがって、制度補完というよりもむしろ特定ニーズ対応ということではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○ 新川信用機構室長

そのとおりだと思います。確かに補完されているのは商品ということになろうかと思います。

○ 島上委員

ですから、制度によって商品が限られているということはないだろうと思うのです。

○ 新川信用機構室長

一つの整理としては、商品の金額とか、長期か短期かということでは限られていますが、実際の提供している制度として何か補完ということではないのかもしれません。おっしゃるとおりだと思います。工夫してみたいと思います。

○ 島上委員

お願いします。

○ 堀内部会長

それでは、川本さん、それから原さん、どうぞ。

○ 川本委員

前回欠席をさせて致しましたので重複になったら恐縮でございます。ワーキングにも参加をさせて頂いておりますが、思想として、現在の重厚長大型の総合保険会社に対して、ブティック型といいますか、大学に対するカレッジのような違う規制体系を設ける、ということがあるのだと思います。そしてその目的としては規制特区的な考え方をして、現在の規制のあり方とか、あるいは保険業界の近代化を図るトリガーになればというようなことも思想として入っていると思うのです。

そうすると、現行の保険業者の方たちを、総合保険業者といった形で区別する必要はないのかというのがワーディングの面でちょっと気になったところです。5ページ目の最初の3行目、「以下のような規制の枠組みを保険業法について手当てすることが考えられる」と書いてあります。これは共済法とかを設けないで、保険業法において手当てすることだとおっしゃっていらっしゃるのかもしれないのですけれども、6ページ目の一番下に「保険会社との違いを明確にする」と書いてあります。保険業法の中で整理するにもかかわらず、保険会社との違いを明確にすると書いてあると若干わかりにくいのではと思いました。

○ 新川信用機構室長

おっしゃるとおりだと思います。保険業法の、例えば特例を設けること等によって手当てをするといったような表現に工夫させて頂きたいと思います。

○ 原委員

幾つかございます。大きくは3点ですが、まず1つは、今日のご説明を聞きまして、幾つもクエスチョンをつけてしまったのです。というのは、一定規模とか、一定の制約とか、それから水準とか、いろいろな言葉が出てきて、これがどのように決められていくのかというところが、実は大きな問題として残っているので、それはどのような作業が含まれるのかということです。

内容的なところで3点確認をさせて頂きたいのですが、4ページのマル3の取扱い商品で、(イ)があって、最後の段落のところには「予め約した保険金の水準が削減される旨約款に記載されていることを要件とする」と書かれていますが、私はここは少し下限というようなことも入れて頂きたいというふうに思っております。

それから、5ページの(1)の参入規制ですが、免許制から登録制に緩和するというふうに書かれているのですけれども、私としては、ここは要件を定めての認可といいますか、そういうことが取り得ないのかなというふうに思っているので、この断定ということをここの部会の結論としていいのかどうかということはもう少し検討して頂きたいと思います。

それから、9ページですが、(b)のところで、「再保険等によるリスク移転に係る時限措置終了後の事業のあり方」で3つの選択肢が示されているわけですが、そのマル2のところですが、これは保険会社の代理店を兼ねるというのはわかるのですけれども、「自ら組成する少額短期保障商品をあわせて提供する」ということが、ちょっと具体的なイメージとしてわからないのでご説明を頂きたいと思います。それが1点目です。

2点目ですが、実際にここでの検討というのは、今川本委員がおっしゃられたように、新しい事業形態、ブティック型の芽もできれば育てていきたいということがあります。一方で、総務省の調査にあるように、財務基盤が弱かったり、マルチ的な手法をとっているところをどのように排除していくのか、両方を検討の俎上に一遍に上げたので、最初は議論が混乱したというふうに思っているのですけれども、マルチの方の排除ですが、特商法の中にも規定があるので商法として認められているのではないかということですが、実際には、マルチ商法、これは「ハンドブック消費者」を持ってきたのですけれども、注視しなければならない商法の中に連鎖販売取引は紹介されていて、実際に特商法に入れているというのは、合法的な商法として入れたというよりは、何らかの規制がどうしても要る。ただ、入れたけれども、失敗の連続というのが実態です。

実際には、消費生活センターには、マルチ商法による被害というのがたくさん寄せられていて、特に私が懸念をしているのは、これまでのマルチの対象というのは、まだ数万円とか数十万円単位の商品とかサービスだったのですけれども、金融にかかわる商品というのはもっと高額なものがあるというところに大変懸念をしております。総務省の調査にもありましたように、勧誘自体が儲かるからというような形の勧誘をされている。それですと、共済の勧誘ではなくて、手数料収入についての勧誘をしているということになるわけで、私としては、「共済」という名前をとっているからマルチ的な手法、特に金銭を扱うので、私は「ねずみ講」ではないかという感じもしているのですけれども、慎重に考えて頂きたいと思います。こういったものを突破口にして、金融取引全体にこういうマルチ的な手法が広がっていくことを懸念をしているということです。

その点についてはたびたび申し上げたので、金融庁としても配慮して頂いて、今回の規制を設けて頂いていると思うのですけれども、先ほど既存の共済の不特定多数のところの扱いは大丈夫かというふうにおっしゃられたのですが、いろいろな形で、一定規模という財務、募集人規制、商品規制、そういったものをかけてマルチ的な手法でおやりになられているところをできるだけ排除していく、健全な方向に向けていこうというふうになさっていると思うのですけれども、本当に確実に、移行期間もありますので、できるかどうかということを懸念をしておりまして、私としては、金融庁としては、「そういう手法は望ましくない」というメッセージを出して頂きたいと思っております。それが2点目です。

3点目はもっと大きな話ですけれども、一応2段階ということで、最終的には数年後にきちんとした法体系ということがありますけれども、私自身は保険業法は保険業法で厳しく規制を設けられて、共済とか、そういったようなものも含めて金融サービス法、今投資サービス法の検討が第一部会で始まりましたけれども、その次のステップとしては保険とか銀行の業務を含めての金融サービス法に持っていくべきだというふうに考えておりますので、そういったところも視野に入れて検討を重ねて頂きたいと思っております。

以上です。

○ 新川信用機構室長

1つ目に頂いたご議論でありますが、共済というのは保険集団が小さいせいもあって、非常に大きな事故があった場合に保険金が削減され得ると、そういう規定を設けなければいけない場合もあるのではないかというご趣旨は、どこまでも削減されるのではなくて、一定のあらかじめ定められた範囲内までの削減とすべきではないかというご議論だったと思います。契約者保護の観点からはそういったルールも必要と思います。ただ、逆に、共済として受け切れないようなリスクが発生した場合に、そこで吸収できない場合は破綻するということになりますので、そこの下限をどう設定するかというのは一つの問題だと思います。典型的なケースで申し上げますと、下限まで下げてもなお債務超過のような状態というのはあり得ると思います。もともとそういう巨大なリスクを引き受けてはいけないのだと思いますので、そこは引受け段階から商品設計はきちんとしておかなければいけないと思いますが、不幸にしてそういう事態が起こった場合については、約款に書いてある点でどこまで許して頂くかという話と、実際に破綻すれば、保険金そのものが支払われない、そこのバランスをどうとっていくかということでいろいろ検討しなければいけない話だと思います。具体的な水準については、まだこの場で申し上げられる材料を今のところ残念ながら持っておりません。

それから、参入規制の緩和のところで、登録制とこの場で断言するのはというご議論がございました。それもそのとおりだと思います。したがいまして、文章ではやや役所的かもしれませんが、「登録等」と書いてありますが、「等」と書いた趣旨は、場合によって、参入のときの人的構成その他、あるいは事業遂行のための部分もチェックしていく必要があるとなれば、登録よりはもう少し行政の方で審査をするという場面も必要になってくるかもしれませんので、そこはその他の規制とのバランスも踏まえてよく検討したいと思います。

それから、最後のページにありました保険会社の代理店も兼ねて自ら組成するというのは、確かに文章がわかりにくいと思いますが、イメージは、保険会社の既存の商品、団体保険の形になるのか、あるいはもっと一般的な商品になるのかわかりませんが、それを提供する代理店となった上で、例えば免責とされている期間を独自商品で埋める、あるいは保障の上乗せをオプションのような形でつける、そういうようなイメージになるのではないかと思います。

○ 原委員

その場合、少額短期保障商品を扱う事業者としての、登録になるか、認可になるかわかりませんけれども、それは必ず申請をするということですね。

○ 新川信用機構室長

はい。

○ 原委員

わかりました。

○ 新川信用機構室長

2つ目の大きな論点、マルチ販売に関しての排除ということでございますが、金融庁としては、新しい規制の中で、いろいろな募集に伴う規制をかけていくことになると思いますが、一つ言えるのは、商品知識をよく知らない、あるいは保険商品を募集するだけの一定の資格といいますか、一定の資質のない者によって募集行為が行われているとすれば、それは問題だと思いますので、募集を行う際にはきちんとした知識のある、きちんとした一定の資質のある者が募集すべきであって、知人であるからという理由ですとか、あるいはたまたま自分の手数料目当てで、中身がよくわからず押し売りをするとか、そういったようなものは望ましくないというのはおっしゃるとおりだと思います。当局としても同じ姿勢であります。

それから、投資サービス法を超えた金融サービス法についての検討でございますが、今第一部会の方で投資サービス法についても精力的に議論がされておりますので、その一つ向こうの話ということになりますが、それにつきましてもしっかりとテイクノートしたいと思います。

○ 原委員

1点、補足ですけれども、マルチのところは募集人規制でやりたいというのは、前回も、それから事前のご説明でも聞いたのですが、気持ちはわかるのですけれども、実際に、例えば生命保険の場合ですと講習と試験をやっていますけれども、それを一体どこが行うのかとか、実際の勧誘の場面をそれぞれチェックできるというわけではないので、その辺の実効性のところ、考え方とか理念としてはわかるのですけれども、そこについての具体性というのがもっとほしいということになります。

○ 新川信用機構室長

現在、生命保険会社あるいは損害保険会社におかれましては、協会を中心として試験を実施しておられると承知しておりますが、各社、個社においてもいろいろと試験をしておられると思います。

新しいこの業態に対してどんな試験、試験をやるのかやらないのか、やるとすればどういった形で実施できるのかという点につきましては、まさにご指摘のとおり、非常に重要な問題だと思いますが、現時点で個別の具体案を私として持っているわけではありませんので、そこもしっかりと募集人の適正性が確保されるような、かつ実行可能な案がないかどうか、引き続きよく検討させて頂きたいと思います。

○ 堀内部会長

よろしゅうございますか。

ほかの委員の方でもしご意見ございましたら、どうぞ、今松さん。

○ 今松委員

2点ほどありますが、1点は、いずれにしてもセーフティネットは設けないという形でやるわけですから、それで行けば、その前のいろいろな意味での規制、資産運用規制、これは厳しくやるわけですが、商品審査等はそれとの見合いで、十分にそこをクリアするといいますか、危険度等々、あるいは被害等々を出し得ないと、そこは確認した上での審査ということになるだろうと思いますが、そのあたりの確認が1点です。

もう1つは、NPO法人等々の別途の法人格ですけれども、これについては一層の配慮というのは、これを見ますと移行期間終了後の措置となるわけですけれども、この場合、将来的にどういうふうに位置付けていくのか、つまりある意味、NPO的なところでやる場合には、株式会社あるいは相互会社ではない形というものをどうそこで意味付けとしてやっていくのか、そのあたりの考え方を伺えればと思います。

○ 新川信用機構室長

まず1つ目の商品審査でございますが、非常に難しい問題だと思います。1つは、役所の中であまりぎりぎりと商品を審査してしまうと創意工夫の余地がなくなるというご指摘、それから、商品性がいいかげんであれば破綻するのではないかというご指摘、両者ごもっともなご指摘だと思います。今ご指摘のあったセーフティネットがないことも踏まえて、商品審査の段階で被害のないようにということでありますが、今の時点でのまとめでは、5ページの(2)のところでありますが、ここでの一つの整理は、行政庁による事前の商品審査というのは、約款を中心とした、その中で契約者の保護に欠けるおそれはないか、公序良俗に反しないか、さらに具体的に申し上げれば、例えば契約者側が好きな時に保険金を削減できるというような規定が仮に入っていたとすれば、それは著しく契約者の保護に欠けます。それから、公序良俗に反するようなものとしては、例えば罰金など経済罰に対しての制裁効果を弱めてしまうような、そういった共済があれば、明らかに公序良俗に反するということになろうと思います。

そういった面での審査はやるが、マル2にありますように、算出方法書の妥当性については、いわば事後チェックにとどめるとあります。したがって、ここの部分について一定のリスクというものを潜在的に抱えることになりますが、それについてはむしろその他のところ、いわば商品の保障できる上限が極めて厳しく限られているという枠組みになっていますので、その意味では、通常の商品審査以上に厳しい枠の中で商品開発をして頂くということになろうと思います。それを踏まえて、実際破綻の場合には、その範囲内での最大限は、たかだかいってもその範囲内でのロスにとどまる。加えて、運用規制などを厳しくすることで、いわゆる逆ざやの問題は発生しない。それから、株式等へも投資しないので、いわば運用リスクも非常に減少する、さらに供託金も預けて頂くということで、セーフティネットを求めないことも考えられるという整理であります。

2点目のNPO法人等につきましての今後の取り扱いということになりますが、現状、NPO法人でやっておられる方というのは、一定の規制の中には服しますが、あえて法人の転換までは求めないということになろうと思います。いずれにしても、最後のページにありますように、規制の見直しの段階で、最後の段落の下から3行目でありますが、少額短期保障事業者の業務範囲、事業実施主体の見直しという中で、施行後5年を目途に見直しをして頂く中で、NPO法人なるものがきちんとその中でやっているということであれば、場合によって、経過措置ではなくして一定の制度として位置付けるということも考えられましょうし、あるいはそのニーズがあまりないということであれば、一定の経過措置の中で時限を切ってある程度サンセットしていくというような選択肢もあろうかと思います。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでしょうか。和仁さん、どうぞ。

○ 和仁委員

資産運用規制のところですけれども、要するに、預金か国債による運用のみだということで、要するに共済はあまり大きくなるなと、要するにあまり儲からない組織に置いておく、それで皆さんにご迷惑をかけないようにしようという判断だろうなと思うのですが、私はその判断は正しいと思いますけれども、それでいいのかどうか。

それと、でも、事故が起こらないようにということになると、既存の激変緩和措置のところですけれども、再保険を出すのは、大きなリスクを抱え込んでいるのであれば、再保険に出すのはしようがないと思うのですが、ここで金融庁の監督が及んでいる保険会社のところで格付けを要求した方がいいと私は思います。金融庁の監督下にある保険会社ということではなくて、ある程度のソルベンシー・マージンがかなり高いところでやるという形でやって頂いた方がいいのではないかというのが一応私の雑感で、基本的には、私はこれで結構ではないかと思います。

○ 新川信用機構室長

資産運用の方の趣旨ですが、儲けないようにと、場合によってはそれもあるのかもしれませんが、趣旨は、むしろ貯蓄性のない短期掛捨商品のみを扱うということであれば、基本的にあまり経過保険料その他も発生しないと思います。それから、積立てその他についても、要するに流動性はある程度確保しておく必要はありますが、運用として余資をため込んでおくという必要性が、現行の保険会社ほどはないという趣旨で、最低限のものだけでいいのではないかというのが、どちらかというと私どもの主眼であります。

それから、再保険につきましては、まさに今おっしゃったようないろいろな問題があるかと思いますので、現状ではあくまで経過措置的な存在として位置付けておりますので、場合によって、さらに厳格な運用が必要かどうかについても制度実施後見直していく必要が出てくるという場面もあろうかと思います。

○ 原委員

もう1点ですが、すごく基本的なことですけれども、20-2の資料が経過措置ですよね、図で示されているわけですけれども、これは既存の共済という名前でおやりになっていらっしゃるところを、移行期間でこういう形ですが、実際に届出をなされるのでしょうか。というのは、総務省の調査でも、全然回答もしないようなところもあるわけです。届出をしていらっしゃるところは、それだけである程度健全な経営をやろうというふうに思っていらっしゃるところだと思うのですが、届出をしていらっしゃらないところが出てくるので、それはどういうふうに考えたらいいのかということも検討しておく必要があるのではないかと思います。

○ 新川信用機構室長

一つの考え方として、本当に網を、細大漏らさずかけようと仮にすれば、適用除外も含めてすべて届け出て頂くということは一つあろうかと思います。ただ、それをやると、例えば町内会ですとか、そういったものも形式上は場合によったら当たるかもしれないということで、全員届け出て頂くのは実務上難しいのと、恐らく国民からも。一つの考え方は、適用除外に当たるか否かのところを、できるだけ紛れなく個別列挙の形にした上で、仮に無届でやっておられる方がいれば、その無届か否かについて紛れのないような状態にしておく。いわば「無届ではないかと当局は言うけれども、いやいや、じっくり読めば私は適用除外かもしれないじゃないですか」ということがないように、紛れなく適用除外に当たるものを明定しておくということで、無届営業か否かの部分の実効性を担保するというのは一つのやり方だろうと思います。その意味でも、部会でいろいろとご指摘のあった、適用除外を並べるに当たって曖昧さを排して、明確な基準とすべきであるというご指摘がございましたが、そういう無届営業を牽制するという意味でもそれは重要なことではないかと思います。

○ 池尾委員

無届営業者だというふうに分かった時のペナルティというのはどんなイメージですか。

○ 新川信用機構室長

監督外になりますので、刑事罰で担保する以外にないと思います。

○ 川本委員

先ほどの話の追加ですけれども、規制特区的な考え方であるならば、本来であれば、共済法を設ける可能性もないわけではないと、私は個人的に思っておりました。ただ、それですと、現実として既存の根拠法を有する共済との関係をどう整理するかという問題が出てくるので、保険業法の枠組みで整理するということになったと理解をしております。そういうなかで、やはり保険業法の特例だということを行間ににじむように書いて頂くといいますか、法の目的自体が、悪性の業者から消費者を守るということでありますので、良質の業者をブルドーザーでつぶしていくようなことがないように、監督官庁にはお願いをしたいと思います。

○ 新川信用機構室長

もう一度読み直してみまして、工夫すべきところがあれば工夫をしたいと思います。

○ 堀内部会長

岩原委員、どうぞ。

○ 岩原委員

私は基本的方向としては大変結構な案ではないかと思っております。とにかくこういう形で、今まで全く手をつけられなかった無認可共済について足がかりをつくってやっていこうと、皆様のご努力に対して大変敬意を表したいと思います。

ただ、何人かの委員からのご指摘にもございましたように、できるところからということで、施行後5年を目途ということで体制を整えていこうということになっておりますので、はっきり言って、今の川本委員とは逆の側面がありますけれども、当初すべてに問題があるのを網がかけられる体制にはなっていないということを前提にしている報告書でもあると思います。前にも申し上げましたように、企業内のものについては、すべて適用除外というのも、それでいいのかどうかという感じもしますし、場合によるとそれがまた脱法的な行為の手がかりにもなりますし、公益法人についてはなお慎重に検討ということでありますけれども、金融庁の方でも5年を目途に体制を整えていって、そういった問題が将来的にはきちんと処理されるようにしていって頂きたいと思います。

細かい点について言えば、先ほど原委員からもご指摘がありましたように、確かにこれはやむを得ないことだと思うのですけれども、今後の事務的な検討を経るということで、「一定の」というのが多いわけです。例えば商品審査、これは非常に難しいというのは新川さんおっしゃったとおりであり、ある意味で、商品審査が規制の命というところもあると思うのです。短期の商品であるということで、こういう対応でというのは私も十分理解できますので、こういう方向になるかと思いますが、5ページの(2)の商品審査の下から2行目の「事業者段階での一定の専門的知識を有する者の関与」と、この「一定の専門的知識を有する者」としてアクチュアリーをお考えなのか、それともそれほどの大ごとではないことを考えているのか、そこら辺を伺いたいということが1点です。

もう1つ、供託金の話でありますが、6ページの下から4行目ぐらいに「事業規模に応じた保証金の供託」というのですが、この供託は、身元を確かにする、ある程度供託金が出せるというぐらいの確認のためのものなのか、あるいは問題が起きたときに、ある程度保障するためのものとして積むのか、例えば前払式証票法における担保金、あれは残高の2分の1を課しますけれども、そういった趣旨のものにするのか、これは保険会社の規制とちょっと違うものですので、どういったことをお考えなのかということを伺いたいと思います。

最後に、再保険についてのご指摘、大変ありがたいと思っておりまして、8ページの特に注の7で書いてありますようなことは、単に新しい少額短期保障事業者だけでなくて、保険会社の問題として、今後再保険についてぜひ検討していって頂きたいと要望を申し上げます。

以上です。

○ 新川信用機構室長

まず、商品審査に関する一定の知識を有する者でございますが、念頭にありますのはやはりアクチュアリーの資格です。ただ、アクチュアリー資格というのは法律上の資格ではありませんが、そういった程度の資格を持っておられる方、社内で採用しというところまでいくと過剰な規制になるかもしれませんが、少なくとも今の心持ちとしては、そういったアクチュアリーの資格などを持っている方に関与して頂きたいと考えております。

それから、供託金につきましては、できれば保険契約者に対して、それは先取り特権のような形で、万一の場合に、契約者に優先して支払われるような趣旨の供託金と位置付けてやるということでありますけれども、ただし、供託金の額を、実際の支払われるべき保険金の相当部分をそれでカバーするというのはなかなか難しかろうと思います。恐らく流動性がそれほど確保できないと思いますので、万一のときの最低限の保障という意味合いになろうかと思います。再保険につきましてはいろいろ検討してみたいと思います。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。

羽田委員、どうぞ。

○ 羽田委員

この新しい法律ができる、つまり業法の改定ということになりますと、それに伴って恐らく今の保険会社の数よりも相当多い業者といいますか、共済事業者がこの分野に参入してくるということも考えられるわけです。そういうことを考えますと、先ほどありました監督の実効性を確保するためには、金融庁サイド、監督局なり検査局ですか、その辺のスタッフィングを相当考えないと、確かに法律は作ったけれども、実質的に不可能ということになりはしないかと非常に危惧をしております。その辺ところ、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○ 三國谷総括審議官

実は金融庁行政、これに限らず、随所にそういう行政に対する要求水準というのが高まってきておりまして、それにどう応えるかというのが課題であります。一方、国家公務員については大変厳しい枠があるわけでございますが、その中で少しでも理解を得るべくひたすら努力してまいりますので、ご支援をよろしくお願いしたいと思います。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございますか。

まだご意見いろいろあるかと思いますけれども、幾つか既にこの素案についてご意見が出ましたので、多少の修正は必要かと思います。全体として伺っておりますと、非常に根本的なご批判はなかったというふうに認識しておりますけれども、いずれにしても、一方で既存の保険業態に対していろいろプレッシャーをかけるといいますか、そういうような意味で事実上の新規参入が共済を通じて行われること自身はいいことではないかという見方がある一方で、何人かの方からご指摘がありましたように、かなり問題のある営業、販売が同時に共済で行われる危険があるということもあって、できるだけ事実上の新規参入を許しながら、問題のある共済の活動については法的にルールを定めて排除していきたいという、2つの非常に難しい問題を両立させていかなければいけないということで、事務局、大変ご苦労頂いたと思います。

私としては、今までのご意見を参考に、事務局に若干の修文をして頂きまして、その内容について次回にお諮りしたいと思います。この後お帰りになって、またいろいろご意見がおありでしたら、本日以降に事務局の方にご意見をご提出頂きたいと思います。そういうご意見もできるだけ修文のときに配慮させて頂きたいと思います。

よろしゅうございますか。

そういうことで若干修正をして頂くということを事務局にお願いして、今日は時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

事務局の方からご案内がございます。

○ 安居保険企画室長

次回の第二部会の会合につきましては、部会長とご相談の上、改めてご連絡を差し上げたいと思います。

それから、本日の資料は右肩に「会議終了後返却」ということになってございますので、申し訳ございませんが、机の上に残していって頂ければと思います。

また、こちらの方から個別にお話を伺う機会をつくりたいと思いますので、そういった中でいろいろご意見を頂ければと思いますし、お帰りになりまして、何か思いつかれたことがございましたら、遠慮なく我々の方にご連絡頂ければと思います。

事務局からは以上でございます。

○ 堀内部会長

それでは、どうもありがとうございました。

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