金融審議会金融分科会第二部会会合(第21回)議事録

日時:平成16年12月14日(火)10時00分~12時15分

場所:中央合同庁舎第4号館 11階共用第一特別会議室

○ 堀内部会長

それでは、時間がまいりましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第二部会の第21回目の会合を開催したいと思います。本日はどうもご多用中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開ということになっておりますので、その点、まずご了解いただきたいと思います。それから、本日は神田委員、田中委員、辻山委員がご欠席でいらっしゃいますが、貝塚金融審議会会長にご出席いただいております。

それでは、早速本日の議事に移らさせていただきます。

お手元の議事次第によりましてご議論いただきたいと思います。

まず、本日の議事の進め方でございますけれども、まず根拠法のない共済への対応についての報告書(案)につきましてご審議いただきたいというふうに思います。

それから、続きまして、保険契約者保護制度の見直しについて、保険の基本問題に関するワーキンググループからの報告についてご審議いただきたいと思います。

それから、最後に銀行代理店制度について、これは事務局からのご説明をお聞きいたしまして、これに関してご議論いただきたいと思います。

それでは、まず根拠法のない共済への対応につきましての報告書(案)について、事務局よりご説明いただきまして、ご審議いただきたいと思います。

それでは、事務局、よろしくお願いします。

○ 新川信用機構室長

信用機構室長の新川と申します。

それでは、お手元の資料に従いまして説明をさせていただきます。

根拠法のない共済への対応に関しましては、3つの資料をお手元にお配りしております。第二部会21-1、2、それから21-3-1、これは2枚紙になっています。その下が2ということになってございます。21-3の方の資料は、前回ご説明した資料と基本的に同じものでありますので、説明は省略させていただきます。それから、21-1、こちらが用意させていただきました報告書の(案)でございます。多くの部分は前回読み上げさせていただいたものと重複いたしますので、本日はその下にございます21-2に従いまして、前回からの変更点を中心にご説明をさせていただきます。

それでは、21-2を開けていただきますが、1ページ目、冒頭「はじめに」ということで、これまでのワーキンググループ及び部会の審議経緯を簡単に追加させていただいております。それから、同じく1ページの下の方になります。根拠法のない共済についてのいろいろな特性について3つほど並べてありますが、そのマル1のところ、制度補完の役割等の意義があるという表現につきまして、前回のご議論を踏まえまして、「特定のニーズに対応した商品提供の担い手となっている」というふうに表現を改めております。

以下、同様の修正が続いてまいります。2ページは前回と同じでございます。

3ページの上の方、前半、これも同じ趣旨の修正でございます。

それから、3ページの一番下から4ページにつきまして、一文削除してありますが、これは前の段落と同じ文章が重なっておりますので、その観点で重複部分を削除したということでございます。

その4ページ、それ以降も同様に制度補完の役割というところを先ほどの趣旨の言いかえをしております。

次に、5ページでございます。5ページの「4.少額短期保障事業者(仮称)に係る規制の具体的内容」でございますが、それの柱書きのところ、これを「保険業法において手当て」というのが前回の案でございましたが、これは明確化の観点から「保険業法に特例を設けて手当て」というふうに修文しております。

次でございます。6ページでございますが、6ページの(7)募集規制のところでございます。募集規制のなお書き以降でございますが、これについては、書いてある趣旨は短期契約が主体でありますけれども、更新されるごとに水準が見直される可能性があるといったようなこと、あるいは非常に保険集団が小さいということもあって、事故が多発する等一定の要件に該当する場合は削減される可能性があると。その記載を義務付けるという内容に続いて、そのことを契約書に十分説明されるという内容の明確化の観点から、記載内容が十分に説明されるということにしております。

それから、(9)セーフティネットの後ろの括弧書き、契約者保護機構の設立・加入の要否等ということで、「要否」という言葉はございませんでしたので、この(9)の中身は設立・加入までは要らないという趣旨でありますので、「要否」ということに整理してございます。

それから、7ページは前回のままでございます。

8ページをお開けいただきます。8ページの(ウ)、(a)というところでございます。こちらは既存事業者への経過措置といたしまして、再保険を行うことによって、自らのリスクがある程度限定される場合の特例について書いておりますが、そういった再保険を行うというビジネスモデルという言い方を最初しておりましたけれども、ビジネスであるかどうかいろいろな議論もあるかと思います。もう少し一般的に事業形態という言葉に変えてございます。

それから、制度補完の役割の修文のところは、先ほど来の趣旨と同じでございます。

それから、この当該時限措置の一定期間ということで前回ご紹介いたしましたが、これについては「例えば5年程度」というふうに例示をしてございます。

それから、最後のページでございます。最後のページ、上の方の(b)時限措置終了後の事業のあり方とあります。これは書いてある趣旨はいろいろな再保険に関する時限措置等が終わった時にどういった選択が既存事業者にあり得るのかということで、マル1が少額のものを扱うということ、マル2のところで、他の保険会社の商品を売りながら自ら商品を上乗せするというところで、少し原文趣旨が不明確でありましたので、「他の保険会社等の商品に自ら組成する少額短期保障商品を上乗せ等する形で組み合わせて提供」するというふうに書きかえてございます。

それから、一番最後でございますが、前回のご議論で行政における体制整備が不可欠であるとのご指摘がございましたことから、こういった記述を追加してございます。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

前回、非公開でありましたけれども、いろいろご議論いただきまして、原案についてコメントいただきましたが、それを踏まえて修文していただきました。ご意見等ございましたら承りたいのですが、よろしゅうございますか。

どうぞ、原委員。

○ 原委員

すみません、朝からいろいろと席も間違えたり、大変申し訳ありません。

今日は、本来なら大学の授業と重なったので欠席ということで申し上げていたんですけれども、ちょっと前回非公開ということでしたので、やはり議事録にも残していただきたいと思いまして、ぜひ発言をしたいということで、30分だけ、最初のところだけで大変恐縮なんですけれども出席をさせていただきました。

無認可共済についてなんですけれども、今回の取りまとめについて3点ほど意見を述べたいというふうに思います。

1つは、今回、どうしてこの無認可共済を取り上げるということになったかというと、相談とか苦情というのがじわじわと増えてきているということが消費者センターや何かの数字を見ていてもわかるということで、一体どういうところがやっているのかとか、そういった不安感とか苦情に近いようなものとかというのが出てきているということが背景にあったと思います。

今回、届出制がとられることになりましたので、私としては、総務省の調査もありますけれども、まず実態把握ですね、次の手法というのでしょうか、どういう規制手法を考えるかということのためにも、もう少し実態把握ができないと手を打てないというようなところがあると思いますので、まず第一に、この実態把握に努めていただきたいというのが第1点です。

それから、第2点なんですけれども、連鎖販売取引、マルチについてということです。これについては、今日の部会報告の中の2ページと7ページの指摘があるのですけれども、私としては、連鎖販売取引を実質禁止の方向に持っていくべきであるというふうに思っております。よく連鎖販売取引の中で、手数料を取るというところがあって、手数料と共済とで販売をしているということになると思うんですけれども、実際には手数料というのは名ばかりで、実際にはこの手数料が儲け口になるというのでしょうか、儲け口になっているというのがマルチの特質であります。ですから、そのために儲からなかったという苦情が出てくるというようなことで、これは総務省の調査結果の中にも消費者センターに寄せられている苦情の分析がありましたけれども、言われているようには儲からなかったという方が何人かいらして、どうしてそういう苦情になるかというと、儲かるということをメインにして販売をしているということで、共済を売るというよりはその手数料を得るということになっているというふうに思います。

特定商取引法の方で、マルチについては規制はかかっているのですけれども、これはやむを得ず事業者を把握するためというのでしょうか、そのために苦肉の策としてやられているようなところがございまして、実質的にはマルチの販売の中に取り込まれてしまうと、友人関係を壊して在庫を抱えるというようなパターンで、大変悲劇的な結果に終わっているという、消費者トラブルの非常な温床になっているという実態があります。

私自身から見ると、今の状況というのは、マルチの事業者が共済を狙っているのではないかというふうな感じがしていて、他の事業の失敗を共済で補てんをして回収をしようとか、それから非常に気になるのは、閉鎖的な空間で行われているということで、特定性ということのための、特定共済だから特定性なんだということで非常に閉鎖的な空間になっているので、ホームページを持っていないとか、それからホームページにアクセスをしても、どういう契約条件になっているのかということがまるっきり書いていないとか、それから消費者団体が事業者に質問状を出して、どういう内容になっているのかを教えてほしいというふうにしたんですけれども、独自業者を出して、一事業者だけだと、五事業者は開示する必要はないと、何の権限を持ってそういうことを言っているのかというようなことですね。まるで中の様子がわからないというような実態で、私としては、そういう閉鎖的な空間の中で、また次の悪質の金融商品のトラブルが起こる可能性というのを非常に感じておりますので、ぜひ実質的な禁止ということの方向に持っていくべきだと。マルチの事業者が退出するように、それから魅力を感じない、入り込めない市場にしていただきたいと思っております。

大変気になるのは、ここを突破口にして金融商品の販売の中にマルチ的な手法が入ってくるということを大変懸念をしておりますので、そういうことではないというメッセージをつけていただきたいし、それから今回の規制のあり方、そのあたり大変事務局としては工夫をしていただいているのですけれども、まだ例えば事業規模ですとか、商品性ですとか、具体的な数字とか、条件とかが提示されているわけではないので、例えば葬儀代と言ったって、人によって数十万円から数百万円の単位を考える人があるわけですから、そのあたりはたがを強めるというのでしょうか、きちんとした仕組みにしていただきたいというのが2つ目です。

それから、3点目なんですが、私自身は今回の処置というのは、かなり緊急避難的な処置というふうに思っておりまして、こういう金融サービスにかかわる法規制の中で、どういう位置付けにしていくかということについて、もう少し深めた検討というのが必要ではないかというふうに思っております。今回の処置というのは、5年間で、非常に東京都内、関東圏を中心に急増をしているというような実態とか、所在が不明だとか、総務省の調査でも返答しないところがあるとか、そういうような状況の中で、かなり緊急避難的にこの第一段階の措置をとられたというふうに思っておりますので、今回の小規模共済、限定列挙する部分と、それから小規模共済のところを厳しくかけて、あとは保険業法で取り締まっていくんだという考えで、まずマルチ的なものを排除していくような方針を第一段階で打ち出されるべきだと思います。

それから、第二段階で、今回提案をされているような少額短期保障商品についてどう考えるのかという、ワーキングもちょっと参加させていただいていたんですが、悪質なとか、脆弱な基盤を持つ共済事業者にどう対応するのかという話と、新しい芽を摘みたくないという話とかがちょっと混在をしたというような感じがしているんですけれども、その新しい芽を摘みたくないという意味では、この少額短期保障商品をどうしいくかということになるわけで、その次の段階としてはこの方向性での整理をどういうふうにつけていくのか。その場合は、第一部会で投資サービス法の検討をしておりますので、投資サービス法のレベル感というのでしょうか、そういうものと併せて検討を深めていただきたいと。

投資サービス法は、お金を集めて何を事業をしようとするようなものをかなり幅広く網をかけていく方向ですので、私としては重複してくる部分もあるかというふうに思っておりますので、第二段階としてはその方向性での検討を両輪でやっていただきたいと思っております。

第三段階として、私としてはいつも申し上げているように包括的、横断的な金融サービス法の網の中というのでしょうか、規制の中、ともかくお金を出して何か事業をする、そしてそれを消費者とかそういったところに勧誘販売をしていくというような部分に関して、参入、開示、勧誘・販売、苦情処理、教育、検査、それからサンクション、こういうものを全部含めた業態横断的な金融サービス法の検討の中に進めていくのだという方向性を示していただきたいと思っております。

ちょっと長時間で大変恐縮ですけれども、ここのところ毎回、長時間発言していて大変恐縮しておりますけれども、どうぞご検討を尽くしていただきますようよろしくお願いしたいと思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

事務局の方で、何かとくにお答えがありますか。

○ 原委員

意見ということで。

○ 新川信用機構室長

若干、お話しできる範囲でお答えさせていただきます。

1つは、実態把握でございます。これはおっしゃるとおりであると思いますので、仮にこういった報告書にまとめた仕組みが動き出しますと、金融庁に検査・監督の権限をいただけるということになりますので、それに基づく実態把握というのは相当程度進むのではないかと考えております。

それから、マルチといいますか、連鎖販売に関してのこの報告書の基本的な認識ですが、全体一貫して連鎖販売取引等十分な適格性を有しない社員による販売方法がとられていると、それは問題であるというトーンは一貫しておりますので、十分な適格性を有する者によるきちんとした商品の説明を行われるよう、いわば募集規制といったものをきちんとしていくという考え方になろうかと思います。

それから、いろいろな段階を追ってというお話もございました。7ページに記述もありますように、商品横断的な規制、その他といった記述もございます。第一部会の方でも検討が進んでおります。一定の検討期間が必要であることはある程度どうしても必要になると思いますので、この仕組みの中にも先ほど緊急避難的なものというご発言もいただきましたように、一定期間、例えば5年を目途に、実態把握を踏まえた上でいろいろな見直しをしていく、ご指摘いただいたような論点も当然のことながらそういった見直しの重要な論点であろうと思いますので、そういった中できちんと検討をしてまいりたいと思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

原委員、よろしいですか。

○ 原委員

ちょっと意見だけ申し上げて、さっと立ち去ろうかと思いますけれども、丁寧にご回答いただきましてありがとうございました。

まだ中身が十分にまだ具体的な細目で詰められていないようなところもありますので、またそういった、ちょっと部会という場ではないかもしれませんけれども、また意見を提出させていただけたらというふうに思っております。

ありがとうございました。

○ 堀内部会長

ほかにご意見、ご質問等ございますでしょうか。

どうぞ。

○ 島上委員

今回の報告は、規制の方向を一応示しながら、既存の共済事業者の実態調査をきちんと行った上でルールを作っていこうと、経過措置を設けながらやっていこうということで、大変現実であると、こう思っております。

しかし、実態把握だけでなくて、根拠法のない状態から根拠法のある状態になりますと、これから新規参入というのが十分考えられると思います。現在見ますと会員制でありますとか、あるいは契約者をベースとするビジネスというのが数も多くなっておりますし、規模も大きくなってきておるということから、こうした事業者から相互扶助というよりも営利事業を目的とする参入が予想されます。これはこれでいいことだとも思いますけれども、しかし、こういうことも十分念頭に置いた上で今後検討していただきたい、こういう要望でございます。報告そのものは結構ですけれども、これから先のこととして、こういうことを視野に十分置いていただきたいということでございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございますか。

どうぞ、加藤委員。

○ 加藤委員

参入のための規制や事業を持続させるための規制は十分だと思われますが、一方で退出のための規制がありません。契約者に更新オプションを与えているのですから、市場から退出させることの是非についてよく考えておかないと、ある一定までリスクが高まってくると必ず退出する者が現れるといったことが起こります。それまでに保険事故が発生している者には保険金を払うが、それ以外の加入者の期待権については否定するということが考えられるので、この点についてはもう少しご検討いただきたい。

○ 堀内部会長

事務局の方は、その点いかがですか。

○ 新川信用機構室長

退出に関して1つありますのは、まさに期待権を持って契約しておられるかというのは極めて重要な論点だと思います。

それから、もう1点は、短期の契約を主体としてまいりますので、ある意味では通常、例えば典型的な生命保険契約でありますような長期のものではないということを前提にいたしますと、その分のいわば退出の仕方というのはある程度短期であるという理由をもって一定の自由度があるのではないかと思いますので、いずれにせよ、一定の基準を満たさないような場合には、そこは具体的な基準を定める必要があろうと思いますけれども、業務の継続ができないというような仕組みにせざるを得ないと思いますので、その部分についてもよく具体的な案を詰める際に考えてまいりたいと思います。

○ 加藤委員

6頁「(7)募集規制」では、契約が更新されるものについて保険料が上がる可能性があること等をきちんと説明しなさいと書いてありますが、更新後の期待権がなくなってしまう可能性については、手当てされておりません。本報告書では短期といっても更新が想定されているだけに、期待権があまり大きくなるものについては、退出の危険性が十分あるということ、特に新規参入が増えてくると参入・退出を繰り返す者が出てくることが考えられるので、そういう点について十分ご留意いただきたい。

○ 堀内部会長

ほかにご意見等ございますか。

高橋さん、どうぞ。

○ 高橋委員

新しいルールをもって消費者利益に資するという面と、それから悪質な保障事業の一掃を狙っているという点で、今回金融庁さんが一歩を踏み出されるということに対しては、非常に評価できると思っております。この規制は5年を目途に見直しをするという形で、それまでの間にもかなり柔軟な設計になっているというふうに思われますけれども、それだけに検査・監督の行政手腕が問われる制度だと思っております。慎重かつ大胆な行政というものを期待すると同時に、少し懸念がありますので、その点を申し上げたいと思います。

1つ目は、こういう新規制が導入されるということで想起しますのは、さきに金先法の改正で外為証拠金取引は不招請勧誘の導入、という形になりましたが、審議会でそれをやりますと決まった段階から、法規制までの間に猛烈な電話勧誘、訪問販売の勧誘をするというふうな実態が起こりました。ですので、これも法施行までの間にぽこぽこと変な業者が生まれて、そして逃げていくということも考えられます。特にマルチの部分ということになると思いますけれども、関係省庁の協力を得て、法施行前だからと言わずご対応いただきたいと思います。

例えば外為証拠金のときには、金融商品販売法の対象になっただけで、監督されている商品だから安心だとか、大丈夫だというようなセールストークがまかり通っておりました。金融庁公認であるとか、そういう勧誘がされたという事実がございます。

それから、現在、マルチ販売をしている共済事業者──先ほど原さんのご意見にもありましたけれども、物品販売で行き詰まって共済事業を始めた共済会が、米国の未公開株の仲介を共済のネットを使ってやったということも事実としてあるようですので、そういうことも含めて金融庁がなめられているなという感じがいたします。法施行までの間、何か手を打てれば打っていただきたいということです。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

報告書の内容というよりは、皆さんのご注意は法施行前にいろいろ起こり得る可能性に関して十分我々が注意しなくてはいけないということだと思います。この点は、十分行政当局の方にも注意していただきたいと思います。

ほかにご意見ございますか。

どうぞ、木村委員。

○ 木村委員

新たな意見ということではないんですけれども、前回、たしか池尾委員のご指摘によりまして、9ページのいわゆるエンフォースメントのために体制整備が必要であるというご指摘がございまして、ここに記載をされているんですけれども、これは全くそのとおりだというふうに思いまして、網をかけてどれだけの魚が入ってくるかまだわからない状況でございますけれども、いろいろな新規参入者も含めて考えますと、やはり一層の監督・管理の強化ということではこの文章というのは非常に意義があるのではないかなというふうに思います。ぜひともこの体制強化についてはご検討いただきたいというふうに思いますし、私ども連合、あまり力ないですけれども、応援をしていきたいというふうに考えております。

以上です。

○ 堀内部会長

事務局の方では、特に何かお答えがありますか。

○ 新川信用機構室長

体制整備につきましては、いろいろと関係先もありますので、しっかりとこの審議会でいただいたご議論、あるいは必要な体制等につきまして、しっかりと説明をした上で調整をしてまいりたいと思います。

○ 堀内部会長

よろしゅうございますでしょうか。

ほかに何かご意見等ございますか。

報告書の原案にはあまり特に修正すべき点などのご指摘はなかったというふうに思いますので、本日の議論を踏まえまして、この報告書(案)の内容につきまして、第二部会でご了承いただいたとしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、この案を第二部会の報告書とさせていただきます。そして、会議の終了後に行われます記者会見の場におきまして公表させていただきます。

それでは、続きまして保険契約者保護制度の見直しについての保険の基本問題に関するワーキンググループからの報告につきまして、事務局の方からまずご説明いただきまして、それからそれにつきまして、山下座長からもコメントいただきます。そして、皆さんのご審議をいただきたいというふうに思います。

まず、事務局の方からお願いします。

○ 安居保険企画室長

保険企画室長の安居でございます。どうぞよろしくお願いします。

今日は、報告につきまして後で読み上げをさせていただきますが、その前に一言だけ申し上げたいと思います。

資料は第二部会21-4というものと21-5という1枚紙の2つを、この関係では配布させていただいております。保険契約者保護制度の見直しにつきましては、本年1月16日の本第二部会におきまして、保険に関する主な検討課題の1つといたしまして、検討するということになりまして、具体的な検討につきましては、保険の基本問題に関するワーキンググループにおいて行ってきたところでございます。

審議経過につきましては、21-4と書いておりますものの後ろから2枚目に、15ページと書いてあるところですけれども、日程を書いてございますけれども、保険ワーキンググループにおきます検討は5月、6月と議論をしていただきまして、主に現行の仕組みでありますとか、外国の制度、それから各業界からの要望等についてお話を伺って、第二部会に対しましては、6月22日に座長よりその検討状況について報告をしたところでございます。夏を挟みまして、10月に議論を再開いたしまして、10月、11月と検討を深めていただきまして、11月30日にワーキンググループにおきまして、ここにございます第二部会への報告につきまして取りまとめの議論を行い、本日、提出したというようなことになってございます。

それでは、読み上げをさせていただきたいと思います。

○ 大沢課長補佐

保険契約者保護制度の見直しについて―保険WGにおける検討の報告―(PDF)を読みあげ

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、ワーキンググループで座長をお努めいただきました山下先生からコメントをいただきたいと思います。

○ 山下保険WG座長

山下でございます。現行の保険契約者保護制度は、平成10年に創設されまして、以来、約6年が経過いたしましたが、その間に実際の破綻処理が生命保険会社、損害保険会社合わせて8件行われてまいりまして、その中でいろいろな経験をしましたし、またいろいろな問題点も明らかになってきたということで、制度の見直しに向けた様々な指摘でありますとか、要望がなされてきたわけでございます。

そういう状況を踏まえまして、保険ワーキンググループにおきましては、この保険契約者保護制度の見直しについて、本年5月から合計9回にわたって議論をしてきたものでありまして、それをまとめたのが今お読みいただいた報告書でございます。

ポイントだけ申し上げますと、従来は生命保険会社の破綻、損害保険会社の破綻、いずれについても契約者保護制度としては共通の制度ということになっておったわけですが、これまでの経験等に鑑みれば、保険契約類型ごとの性質に照らして、契約者に対する補償のあり方を少しずつ変えていった方がいいのではないかということでございまして、この点については、ワーキンググループでも異論がなかったように思います。

そこで、どういうふうに変わったか、大きく変わったのが損害保険の方でございまして、お手元の資料の21-5の図にまとめてございます。自動車保険や火災保険など、こういう業界の言葉で言うと第二分野という呼び方になりますが、通常の損害保険ですね。この第二分野については、生命保険と異なりまして、再加入困難性がありませんし、短期の商品であるということから、契約の継続を目指す現行の仕組みを適用するのではなくて、むしろ一定期間、例えば3ヶ月というような一定の期間は事故が発生した場合の保険金の支払いについての100%の支払保証を認めた上で、契約者に対してはその契約を他の健全な保険会社へ乗り換えてもらうと、そういうことを促す仕組みを考えているわけでございます。

契約の継続ということで保険会社の事業を他の保険会社等に移転するという従来の方法をとろうとしても、やはり非常に短期の契約でございますし、代理店の話も報告書の中に出ておりましたが、契約がどんどん逃げていって、事業というか、企業の価値が非常に短期間に損なわれるというふうな特性がございます。そういうことよりも、一定の3ヶ月というような期間は事故が起きた人に対する保険金の支払いを100%補償し、その上で、契約については他の健全な保険会社へ乗り換えてもらうというのが一番契約者保護にとって望ましい仕組みだろうというふうに考えたわけで、これについても大体委員の皆様方のご了解をいただいたと思っています。ただし、生命保険と共通の商品でございます医療保険、介護保険などのいわゆる第三分野商品につきましては、従来どおり生命保険と同様の契約の継続を基本的に図っていくという仕組みを考えております。これは21-5の図で申しますと、左側の下の方に網かけがかかっている部分がありますが、こういう医療保険、介護保険というようなものはかなり長期の契約として引き受けられておりまして、やはり、一旦契約が切られますと、健康状態が悪くなったような、加入者にとっては再加入の困難性があるということでありますから、やはりこういう保険は社会保障を補完するような機能があるということで、これは現在の責任準備金を90%維持するというふうな仕組みを維持しようというものであります。

第三分野のところの網かけの上に、短期の傷害保険というふうなものがございますが、これは第三分野の保険でもあるし、しかし、短期という面では上の第二分野の保険とも共通性があるという、ここはいろいろ議論がございましたが、一応網かけの上のように短期の傷害保険は第二分野と共通の項で考えるということで大方ご了解をいただいたと思います。

積立部分については報告書にございましたように、やはり生命保険と同様の機能を持つ右下の部分につきましては、現行どおりの仕組みをとるし、それ以外の積立部分については、やはり80%でなるべく早期解約をして他の会社に乗り換えてもらうと、そういう仕組みにしようということであります。この結果、損害保険会社の保険については、自分の保険がどれに当たるのかというのがなかなか難しいわけで、この辺のこれからの契約者に対する開示、表示というのをどうするかというのが大きな課題だというふうなご指摘をいただいておるところでございます。以上に対して、生命保険の分野につきましては、大きく言えば、基本的には現行のシステム、制度を維持するということでございますが、いろいろな論点がございまして、それはどういう点にかかわってくるかというと、やはり保険におけるセーフティネットというのはなぜあるのかということについての理解、それからセーフティネットがどこまで契約者の権利を保障していかなくてはいけないのか、このあたりかなり広めに考える意見と、極力小さくしようという意見、基本的な哲学と言ってもいいかと思いますが、その辺についてはかなり委員の間でご意見が違うところがございます。

それから、変額年金保険などについて報告書で言及した部分がございます。貯蓄性の強い保険についても言及して、7ページと8ページのあたりでございます。生命保険にはいろいろな機能があるので、例えば保険契約者保護制度についても、どの機能についてどこまで保障しなければいけないのかと考えていくと、理論的にはかなり難しい問題があるということがございます。

さらに、当然ながら実務の方からこれまでの破綻処理の経験でございますとか、あるいは生保の方は特にこれまでに破綻が数多く生じましたので、財源的な負担の面でもいろいろ問題があるということで、いろいろなご指摘をいただいたわけで、そのあたりをいろいろ全て盛り込んで、この報告書の文書ができているわけでございます。基本的には、現行の制度というものを維持するけれども、細かい点については少しずつ改善を図っていくというふうなことを盛り込んでいるということであります。また、技術的な点、例えば保険契約者保護機構が、破綻処理の中で、結局これは救済資金を支出するという機能を果たすと同時に、契約者の代理を果たすという面もあったりして、広い意味での利益相反の問題があるというふうなところについて、何か制度的に改善する余地があるのかと、その辺も盛んに議論になりましたが、大きなところでなかなか制度を改正するのは難しいけれども、いろいろ実務的には検討の余地があることはあろうということで、損保の部分に比べると、全体に必ずしも歯切れがよいわけではありませんが、大方の意見をあれこれ合わせていくと、こういう報告のようになったということでございます。

それから、一番最後に政府補助のあり方についても、これも意見が大きく分かれたところでございました。そこら辺は両方の意見を書かせていただいております。今後、広くこの部会以外の場でさらに広くご議論いただくというふうな問題提起をさせていただいているとご理解いただければと思います。

以上、簡単に報告します。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、保険契約者保護制度の見直しにつきまして、ただいまご報告いただいたものに関して、ご議論いただきたいと思います。ご意見等ございますか。

○ 種橋委員

ご質問なんですが、この報告書の12ページでございますが、この1.のところにあります破綻処理費用負担のあり方の中の最後のところにありますけれども、保険会社の破綻処理において、というくだりでございますが、この流れの中で、「その前提として、経営破綻に寄与した経営者、株主、銀行等の募集代理店等の関係者に対し各々の責任に応じた負担を求める必要がある。」という記述があるんですが、この「銀行等の募集代理店等の関係者に対して責任に応じた負担を求める必要がある」というのはどういう考え方で捉えたらよろしいのでしょうか。

○ 安居保険企画室長

この部分につきましては、必ずその責任があって、必ず負担を求めるということではありませんで、様々な保険会社が破綻をした場合、その様々な関係者がいらっしゃると。その様々な関係者について責任がある場合もあるだろうし、ない場合もあるだろうと。ただ、その責任がある場合については、当然のごとく関係者に対する責任追及はなされるべきであるということでございまして、銀行等募集代理店等と書きましたのは、銀行を初めとした非常に大きな募集代理店の場合には、そこで仮に不適切な募集がなされると、その結果として破綻の生じる可能性がないわけではないということの例示の一つとして挙げさせていただいておるものでございまして、必ず銀行に対して責任追及がなされなければいけないということを言っているのではございません。

○ 堀内部会長

種橋委員、よろしいですか。

○ 種橋委員

あえて「銀行等」と書く必要があるのかなと。この「募集代理店等」という形で全て包含できるのではないかなという気がします。

○ 安居保険企画室長

若干の経緯で申しますと、最初「募集代理店等」と書きましたが、ワーキンググループの中でのご議論で、その趣旨についてもう少し明確にということで、大規模なということの例示の一つとして、銀行等ということを挙げさせていただいたということでございます。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございますか。

よろしゅうございますか。

はい加藤委員、どうぞ。

○ 加藤委員

先ほど山下座長からもお話があったとおり、両論併記という形で整理いただいており、技術的な点等についてこれから詰めるということで、この部会で検討し、結論を得るということではないという理解でよろしいか。

○ 堀内部会長

それは一番最後の部分ですか。

○ 加藤委員

色々な論点で両論併記となっておりますが、この部会で検討し、結論を得るということではないという理解でよろしいか。

○ 山下保険WG座長

一応、私としてはそういう理解ですが、文章の書き方は例によっていろいろなものを含んでおりますから、そこは問題点ごとにいろいろな違いはあるかと思います。

○ 加藤委員

はい、かしこまりました。

○ 堀内部会長

はい、どうぞ高橋委員。

○ 高橋委員

政府補助のあり方の点で1点申し上げたいと思います。報告書は両論併記になって、これは政治マターになるのかなというふうに思われますが、あえて一言申し上げたいと思います。報告書13ページに、逆ざやの減少、制度整備や監督手法の充実、ペイオフ全面解禁など、政府補助の可能性とか必要性に否定的な意見が書かれています。必要としない理由が書き込まれているということで、必要としないなら一応つけておけばいいじゃないかというのが私の考え方でございます。一方、つけない理由として保険会社や監督当局の規律に与える影響というふうに書かれていますけれども、ここについて申し上げれば、まさに財政出動ということなると、国会で監督手法なりが問われてくるわけですから、むしろついていた方が監督がしっかりするとか、保険会社にも規律を求められるというふうに私は考えます。すみません、うがった見方かもしれません。

そもそも見せ金であっても見せ金の安心感というのはやはりあるわけでございまして、株価の急落であるとか、金利の高騰で国債暴落とか、不測の事態がもしも起こったときに、セーフティネットの資金がないから逃げろというふうな形で保険の解約が相次ぐというようなことがあるかもしれません。風評リスクによって余計な破綻が起きることの方を私は心配しておりまして、ぜひ政府補助についてはつける方向でお願いしたいと申し上げておきます。

以上です。

○ 堀内部会長

事務局の方は、この点についてどう考えますか。これはかなりある重要なご意見かもしれないんですが。もちろん、この報告書はそういう可能性を否定はしてないわけですけれどもね。

○ 安居保険企画室長

高橋委員、ご承知のとおりワーキングにおきまして、今の高橋委員のご意見、見せ金だからあったらいいじゃないかという意見もありますし、見せ金だったら要らないんじゃないかという意見もありまして、そこはご承知のとおり両論出たというのが、座長とも相談しましたけれども、こういう認識でございまして、そういう意味では、それぞれの意見につきまして書かせていただいたということでございます。ご了承いただければと思います。

○ 堀内座長

今後もそういうご検討いただければいいと思うんですが、このタイミングでこういうことを盛り込まないと非常に危機的だとかというふうにお考えですか。

○ 高橋委員

そこまでは考えませんけれども、一般消費者の感覚として、預金保険とかいろいろなセーフティネットが整備されている中で、特に生命保険分野に関しては、資金が枯渇しているということがマスコミでずっと書かれてきておりますので、何かあったときにまさに資金が逃げる事態が起きるのではないかと。つまり破綻しなくていい会社まで破綻するようなことがあり得るということに対する懸念として申し上げました。

以上です。

○ 堀内部会長

ありがとうございました。

ほかにご意見等ございますか。

どうぞ、木村委員。

○ 木村委員

私も高橋委員と同意見なのですが、それはそれとして、12ページに1.の負担のあり方について、第2パラグラフの「保険契約者の理解を高めるため、負担の明示等、よりわかりやすい説明に努めるべきとの意見があった。」ということですが、新しい仕組みが決まって以降の話になると思いますが、当然、保険会社の方からは契約者に対する説明、既契約者あるいは新規の契約者に対して説明が行われるものというふうに思います。これは行政側からもこういう新しい制度内容ができた、法律が改正されたということをきちんと行政側からも説明を何らの媒体を使ってしていただきたいと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

それはよろしゅうございますか。

○ 安居保険企画室長

いろいろな媒体があり得るのだと思いますけれども、できる限り広報に努めたいと思います。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございますか。よろしゅうございますか。

それでは、これはワーキンググループから提出された報告でございますけれども、ただいまいろいろご意見いただきましたが、最後の政府補助については、多少ご異論ある方がいらっしゃることはよくわかりました。ただ、そういうご意見が全く排除されているというような書きぶりではありませんので、私としては、この報告書をこのまま第二部会で了承させていただくということにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。

どうもありがとうございました。

それでは、「はじめに」というものをつけまして、これを付けた上で第二部会の了承した報告とさせていただきたいと思いますが、これは読み上げますか。

○ 安居保険企画室長

お手元に配られておりますけれども、簡単に言います。

はじめに

現行の保険契約者保護制度が平成10年に創設されてから、約6年が経過している。その間に、生命保険会社・損害保険会社をあわせて8件の破綻があり、この制度の下で処理された。こうした中で、制度の見直しに向けた様々な指摘や要望がなされている。

このような状況を踏まえ、本年1月16日の金融審議会金融分科会第二部会において、保険契約者保護制度の見直しを「保険に関する主な検討課題」の一つとして検討することとし、具体的な検討は、当部会の下に設置されている保険の基本問題に関するワーキング・グループによって行うこととした。

保険ワーキング・グル-プにおいては、本年5月から合計9回にわたって議論が行われた。この報告書は、保険ワーキング・グループにおける検討に基づき、保険契約者保護制度の見直しについての考え方を整理したものである。当部会としては、政府において、この報告書を踏まえた具体的な措置を速やかに検討し、早期に所要の対応を行うことを求めるものである。

以上です。

○ 堀内部会長

いかがですか。これでよろしゅうございますか。

どうもありがとうございます。

それでは、この報告書につきましては、「はじめに」を付けさせていただいて第二部会の報告書といたします。

したがいまして、この後開かれます記者会見におきまして、私の方から公表させていただくことになります。

それでは、3番目の議題でございますけれども、銀行代理店制度につきまして、ご議論いただきたいと思います。

まず、事務局の方から銀行代理店制度につきましての説明をお聞きいたしまして、その後で皆さんにご議論いただきたいと思います。

それでは、事務局の方、よろしくお願いします。

○ 三井信用制度参事官

信用制度参事官の三井でございます。よろしくお願いします。

資料は第二部会21-6、銀行代理店制度という横長の資料をごらんいただきたいと存じます。

1枚おめくりいただきまして、最初のページ、1ページ目でございます。この審議会の2年前の中期ビジョンの関係する部分だけ抜粋してございます。全体の5行目、アンダーラインの3行目あたりですが、「一つの金融仲介機関で多様な金融商品を直接的ではないにせよ、少なくとも代理などの形で間接的に提供することも考えられる。」ということで、2行ぐらい飛びまして、「金融商品の販売チャネルの多様化を進めることが重要である」と、このような中長期的なビジョンをこの審議会、2年ぐらい前にいただいているところでございます。

その次のページは、それに先立ちまして、蝋山先生が主催された将来のビジョンの懇話会というものの似たようなところを抜き出しております。これは飛ばさせていただきます。

銀行代理店制度につきましての規制並びにその経緯につきまして、まずご説明させていただきたいと存じます。

3ページ、銀行代理店制度にかかる規制改革でございます。平成12、13年以前の従前の代理店規制というのを一番上の箱で簡単に整理させていただいています。まず、店舗制全体が認可制であったということもありまして、代理店制度についても大蔵省の認可のもとにあったと。代理店につきましては、個人・法人2種類ございまして、個人については出資規制をかけようがないのでございますが、法人については100%子会社でなければいけない等の規制がございます。(注)として金融機関は他の金融機関の代理店になれないと、こういう制約がございました。

代理業務につきましても厳しく制限しておりまして、当座預金を除く預金取引、それから貸付けであって、かつそれは住宅ローンその他消費者に対するものに限る、為替取引も内国為替取引に限る、この3つの業務、しかも個人向けの限定的な範囲に限っておること。それから、専業義務というものがかけてございまして、銀行代理業務、上の3つのポツ、ポツ、ポツ以外の業務を経営することができないという規制。それから、5つ目でございますけれども、代理店の支店あるいは復代理店の設置は禁止ということでございます。これらの制度につきまして、平成12年の金融審議会におきまして、「銀行業等における主要株主に関するルールの整備及び新たなビジネスモデルと規制緩和等について」というこの新たなビジネスモデルと規制緩和等についてご報告をいただいたくだりの中に右の四角でございますが、現在、銀行の支店その他の営業所の設置、位置の変更又は廃止は認可制となっているが、情報化の進展や銀行業における経営の効率化の要請などの観点から、より柔軟な規制とすることとし、届出制に改めることが適当であるということで、これまで銀行法上、財務の健全性、それから人的な経営遂行能力に加えて、地域の資金需給等の需給条項というものに基づいて、店舗について全面的な認可制ということで店舗行政をしておったわけでございますが、この時に、その大きな方向転換をいたしまして、それは経営判断、原則経営判断の問題だということで届出制に改める方向が示されました。

これを受けまして13年3月、これは規制改革の閣議決定におきまして、銀行の代理店についても出資の規制緩和を決定しております。詳細については技術的なことになりますので、読み上げは省かせていただきますが、ここから大きな規制緩和の流れが始まっておるということでございます。

さらに、次のページをおめくりいただきまして、例えば一番上の欄ですと、代理業務に係る規制の撤廃であるとか業務の拡大であるとか、法人である代理店が従たる事務所を設置させてほしいとか、あるいは銀行によって他の銀行の代理の業務を行いたいとか、出資の要望が寄せられるようになりまして、また14年3月にも規制改革の閣議決定で緩和しております。これらのものを受けまして、14年4月1日以降、国内の営業所、代理店の設置等の認可制から届出制への移行であるとか、あるいは金融機関が他の金融機関の代理店になれる制度を認めるとか、あるいは法人代理店がその支店、したがって銀行から見ますと自分の支店以外に100%子会社である法人の代理店のまたその支店があるということでございますが、この解禁であるとか、代理業務の範囲拡大ということで、全面的な法人融資も含むかなりの分野の銀行業務の範囲が拡大されたということでございます。

また、その後も種々の規制緩和要望を銀行界から、あるいはその関連業界からいただいているという状況にあります。個々の読み上げは省かせていただきますが、こういった規制緩和の結果、おめくりいただきまして次の5ページでございます。現行の銀行代理店規制がどのようになっているかという骨格を示してございます。

1.これは銀行代理店の定義でございまして、やや民法に引きずられた定義をしているという現状でございます。これについてどう考えるかという問題が1つあります。

それから、2.でございますが、現行の代理店規制の骨子としまして、出資規制、個人に対しては当然のことながら規制しようがなくて、ありません。それから、法人については銀行の100%出資子会社、あるいはその当該銀行を子会社とする持株会社の子会社。それから金融機関については規制がないと。

それから、専業義務でございますが、個人、法人については銀行代理業務以外の業務の経営を禁止しております。他方、金融機関の代理店については規制はございません。通常の金融機関の業務の範囲内であれば何でもできるということでございます。

(3)の代理業務の制限、結果的には預金、貸出、為替、債務保証、手形の引受け、金銭の収納等、保護預り、両替の代理といった業務が列挙してございます。また、金融機関の代理店については、証券会社は証券業務、それから保険会社は貸付業務に限定しております。

こういう規制に対しまして、種々の規制緩和要望が寄せられまして、今年の3月、閣議決定でございますが、規制改革・民間開放推進3カ年計画というものの中で、銀行代理店につきまして、簡単に読ませていただきますと、真ん中の枠でございます「銀行代理店制度については、金融機関の健全性や決済システムに与える影響等の観点を踏まえつつ、資本関係規制等制度の見直しを行うこととし、平成16年度中に検討を行い、措置する。」ということになっております。今、16年度中でございまして、来年の3月までは16年度中でございますので、期限が迫ってきているという状況にあるということでございます。

それで、ここから先がどのように規制緩和を行っていくかということでございます。それぞれ金融機関、各業態別にヘビーな規制をする業法がございますが、そのお客さんとの接点、インターフェースといいますか、お客さんとの窓口になる業務について、それぞれ銀行以外については一定の制度がございます。例えば、証券業でございますと、本体は証券会社でございますが、お客さんとの窓口につきましては、この2年前、1年前の金融審議会のご議論をいただきまして、証券仲介業というのを法律上位置付けております。

今般、国会で成立いたしました信託業法につきましては、信託契約代理店という制度がございます。それから、保険会社はご案内のとおり損保代理店、生保募集人という制度がございます。銀行もこれは法律上、正面から位置付けられていると言えるか言えないか、やや微妙な位置付けのものとして銀行代理店というものがございまして、これは他の損保、生保を一つの法律として見ますと3つの法律と異なりまして、代理業あるいは仲介業というものを法律上、業として正式に認知いたしまして、位置付けているという関係にはございません。銀行の営業店舗、支店の中に括弧書きで代理店を含むというふうにした上で、それについての業務の適正な遂行を確保するということを内閣府令でその他行政上、ちゃんとまじめに監督するようにと、こういう抽象的な法律上の規制がございまして、それに基づいて、内閣府令で先ほどの100%の出資規制であるとか、兼業禁止の規定が置かれているということになっております。

したがいまして、ここでいいますと、上から3つ目の箱、例えば資本関係規制は、他のお客さんとのインターフェースを規制する代理業等のものにはかかっていない。あるいは、2段飛ばしまして、専業規制という欄でございますが、これも証券仲介業務、信託あるいは損保制度については「×」ということで専業規制をかけておりません。こういうことを銀行代理店についてはかけるということで、事実上、銀行と一体のものであるということを見て、銀行を通じて規制すると、こういった体系になっているということでございます。

したがいまして、例えば一番下の欄でございますけれども、制度上代理店というものを銀行法上認知しておりませんので、仮に代理店がお客さんの保護にもとる行為をした、法令違反をした、あるいは不適正な遂行をしたという場合であっても、その業務改善命令の対象に代理店自体はならないということで、銀行を通じての遠隔操作になるということでございます。

それから、次のページでございます。海外の制度、これは法律のもともとが異なりますので、一概に比較はできませんが、個々の読み上げは省かせていただきますけれども、アメリカでありますと、例えば預金を預けられる方ですとメッセンジャー・サービスでありますとか、あちらは小切手社会でございますので、個々の取引がいろいろな形で行われますけれども、銀行サービス会社あるいはその貸付になりますと資金の貸付組成サービスといったものが、連邦法上位置付けられておりますし、州法におきまして送金業者というものが、これは銀行とは別の業者として位置付けられておりまして、お金の振り込みであるとか、個々のいろいろなマネートランスミッティングの業務が行われます。これらの業者については兼業も可能でございます。

それからイギリス、これは法律は漠としていまして、専らFSAのハンドブックにおいていろいろ書かれておりますが、アウトソーシングについては明示的に認められていると。ドイツについてもアウトソースが可能でございます。フランスについては、銀行取引仲介人という制度があるということでございます。

最後のその次のページでございますが、そうすると、その出資規制とか兼業規制を外すとどうなるのかということでございます。例えばということで、これは非常に原始的な例で大変恐縮でございますが、恐らく委員の皆様や業界はもっといろいろなビジネスモデルをお考えになっていると思いますが、お客さんからしてみると、幅広い金融サービス関連商品について、1つのインターフェースで購入できるであるとか、こういったことが可能になってくるということでございまして、それを前提に最後のページ、10ページの論点でございます。

出資規制なり専業義務、業務範囲というものを大幅に緩和ないし撤廃する際の車の両輪ということになると思うんですが、2つ目の丸で、例えば円滑かつ安全な決済システムの維持、あるいは金融機関の健全性の確保等のために、きちんとした対応が必要なのではないかということで、隣接業界のインターフェースの規制、保険とか信託の代理店、証券の仲介業務みたいなものを横目でにらんで、例えばということで、議論の余地のあるものとして、例えば法律上、正面からこの代理業なり代理仲介業なるものを銀行法上位置付けまして、これに対して、お客さんの保護の観点から一定の行為規制をかける。例えば、顧客に対する説明義務であるとか、預貯金とそれ以外のものの誤認の防止であるとか、お客さんから預かった預金を分別管理するであるとか、利益相反の防止。開業規制、これは恐らく銀行等に比べるとはるかに軽い、これは保険それから信託、証券、いずれもこれは登録制という軽い参入条件になっていることも横目でにらみますと、軽い開業規制ということで、人的構成、例えばその銀行業務を実際にやったことがある人が1人ぐらいはいる必要があるのではないかと、財産的基礎といいますけれども、これは例えば営業保証金みたいなものがあった方がいいのではないかであるとか、あるいはお金を振り込むとそれが決済資金に使われますので、システムとか体制がきちんと整備されている。こういうことを確保しておると。こういうことの裏返しとしまして、柔軟なビジネスモデル、営業展開の妨げになっていると思われます出資規制とかあるいは専業義務といったものを廃止していくと、こういった方向性があり得るのではないかと、こういうふうに事務的に考える次第でありまして、関係の役所であるとか、あるいは個別の業態に対しましては、こういった問題意識を投げかけてまいりたいと思っているところでございます。

これが現在の銀行代理業についての検討状況でございますが、いろいろご意見、ご指摘等賜ればありがたいと存じます。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ご説明ありましたように本年の3月に政府で決定しました事柄に対応するということでございまして、規制改革・民間開放推進3カ年計画の分野別措置事項の中に一応書き込まれているものでございますので、これは今年度中にある程度進めていくということが必要です。それで、今ご説明いただいたような事務局の考え方が示されたわけです。これについて、ご意見いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

どうでしょうか。

どうぞ。

○ 種橋委員

私ども銀行がお客様に対しまして、多様なニーズを提供していくという必要がある訳でございますが、その流れの中では、やはりチャネルの多様化というのは非常に重要な課題でございます。代理店を通じましたサービスの提供は、その実現に向けました有効な選択肢の1つと考えまして、従来から規制緩和をお願いしてきた次第でございます。しかしながら、現状を見ますと、先ほどご説明がございましたように、法人代理店に関しては100%出資規制、あるいは専業義務などが課されておりますために、なかなか機動的な設置が困難となっておりまして、活用されているとは言いがたい状況にございます。この100%出資規制の撤廃、専業義務の撤廃を含めた規制緩和が実現されますと、他の事業者との提携等を通じまして、代理店の機動的な設置が可能になり、従来のマーケット以外への出店の可能性も高まりまして、顧客利便が向上すると考えております。

こうした観点から、ぜひとも規制の見直しを進めていただきたいとお願いしている次第でございます。

○ 堀内部会長

ほかにいかがでございましょうか。

どうぞ、和仁さん。

○ 和仁委員

私はちょっと違うことで、検査の方の関係でいろいろと問題になっている見地から申し上げますと、岩原先生もいらっしゃるので、ちょっと岩原先生の方からコメントいただいた方がいいのかもしれませんけれども、なぜ代理業務に対して規制をかけなくちゃいけないのか。本来業務、銀行業と付随業務で、だれでもできる付随業務を銀行がやっている場合に、その代理店業務に何で代理店規制をかけなくちゃいけないのかということが第1点。

それで、ここには書いておりませんけれども、証券会社、私がやっておりますデリバティブ業務なんかですけれども、証券会社が銀行の代理をしてデリバティブ取引の契約の締結を行い、それを銀行にブックする。デリバティブ業務というのは結構資本を食いますから、銀行にブックした方がいいわけですけれども、それをやろうとするときでもそれはならぬと、要するにここに書いてないからだめだということで、JPモーガン、ドイツ証券、みんな軒並みやられてしまいましたし、非常にほかの国際的なマーケットから何でこんな規制をかけなくちゃいけないのと、リスク管理はきちんと銀行の方でやっているじゃないか。それにもかかわらず、要するに枠を与えて、それでやっているにもかかのわらず、なぜそういうことで書いていないからだめだということに、検査官の方は書いてないということになるとだめだと。そうすると、媒介というふうなスキームをつくり出さなくちゃいけませんで、要するに取引をやるときに証券会社以外に銀行の側にも1人いて、その人が常にダウンダウンと言う。その人に役に立たないとダウンダウンと言っているだけの話なんですけれども、そういうふうなことをやらなくてはならない。

それから、もう一つ申し上げれば、最近はやってきていますカイムブローカレッジという取引があります。これはどういうことかといいますと、お客様と銀行の間に、要するにお客様がやる為替取引に関して、お客様がある他の銀行と為替取引をやった場合には、同時にお客様とメインバンク、その間で為替契約、バックテルの契約が成立し、同時に銀行とお客様が最初に契約をした相手側の為替銀行との間で取引が成立するということであって、要するにバック・トゥ・バックにしてしまって、相手方の銀行にしてもリスクがもっとレーティングがはっきりしている銀行に移るということがあるんですが、これは非常に一般的な銀行ですし、一般的な取引なんですけれども、これも日本へ持ってくると代理店規制に引っかかってしまうと。

それで、何が起こるかというと、また日本のマーケットは遅れているということで、恐らく金融庁もご存じだと思いますけれども、東京の国際銀行協会、IBAの証券部会からこの点についてはいろいろな文句が出ていると思いますけれども、代理店規制をお考えになるときに、どういうふうにアプローチをするか。1つは、ここでおっしゃっていることは、非常にそれなりに正しい論点をいろいろ挙げてあるんですが、消費者を相手にするリテールのマーケットと、それからいわゆるホールセールマーケット、その2つを区別した上で、なおかつどこまで規制をかけるのか。もう一つは、銀行業務というのは、怖いのは、要するに付随業務というのが10条2項のただし書きでかなり伸びたり縮んだりするようにできているんですけれども、逆に他業禁止の規制がかかっている。

そうすると、やはり外れたことをやると他業禁止に触れるということで、検査官に脅されるということで、非常に柔軟性があるように見えて柔軟性がない状況になってきている。銀行の業務というのは、あまり将来的にそんなに、もう護送船団経緯を外した結果、かなりしんどい業務になってきていますから、そこで一体日本の金融機関がどうやって残っていくか。東京ばかりでなく、他のマーケットが生き残っていくかということを考えた場合に、やはりある程度グローバルなスタンダードでできることが日本でできないというのは、やはり問題があるのではないかという視点を持ってちょっと検討していただきたいというのが、すみません、今日の私の第一に申し上げたいことでございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。今のコメントに対して事務局、何かご意見ありますか。

○ 三井信用制度参事官

有意義なご指摘なりをいただいたと思いまして、よく具体的な制度設計の中でそういったことを踏まえていきたいと思います。特に、今回こういう制度、法律改正として制度見直しということをご提案させていただいている趣旨は、現在は銀行を店舗の一部と見なして括弧書きみたいな形で代理店というものをあまり認知していないということで、銀行の一部でしょう、銀行の一部なんだから銀行と同じ業務範囲規制がかかるんでしょう、そして、銀行なんだからいろいろなことをやっちゃいけないよと、こういうふうな非常に保守的な格好で規制ができちゃっています。隣接業界では、代理店というのはいろいろな柔軟な使い方ができるということで使いやすい制度が既に構築されておりまして、いつまでも代理店を自前の営業店舗と同じに見ますという規制の中で規制緩和をするというのはもう無理があると思いますし、先生のご指摘のものも、それから銀行界からご要望のものも飲み込んで、かなり大胆な規制緩和をするためには、そういうものをきちんと位置付けた上でそういう緩和をしたいと、こういうふうに考えている次第でございまして、よく勉強させていただきたいと思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

池尾さん、どうぞ。

○ 池尾委員

今、ホールセールとリテールに分けてというふうなご指摘がありましたが、ホールセールとリテールに分けるかどうかは別にして、ある程度類型というのか何というのか、一律で規制しようという発想は、ちょっととらない方がいいのではないかというふうに思うんですよね。代理店が活用される場面というのがかなり多様ではないかというふうに思いますので、一律ではなくて、実情を踏まえたような類型的対応をすべきではないかというふうに思います。例えば、過疎地等での銀行サービスに対するアクセスを確保する必要性というのが、今後、これまでよりも社会政策上重要になる可能性というのはあるわけですよね。ライフラインバンキングというふうな言葉がありますが、日本の場合は、口座維持手数料等をとる慣行が普及していないということがあって、だれでも口座を持てるという現実があったということと、それから郵便局のネットワークが存在していたということで、ほとんど実質上、ライフラインバンキングの確保というふうな話は、課題としてこれまで意識する必要はなかったわけですが、今後はそういう状況は崩れていく可能性はあるわけで、そうした場合に、基礎的銀行サービスへのアクセスを確保する手段として、銀行代理店等を活用していくというふうなことは考えられると思うんですね。

そうした場合は、かなり小規模な代理店というふうなイメージになるわけで、そういうものとかなり大規模なホールセール分野の代理店というのに対して、同じような行為規制と同じような、ここであるような開業規制で、過疎地で預金の受け入れ等のアクセスポイントを確保するためだけに、すごくシステム、体制の整備を求められるとかということになると、やはり実情に合わないというようなことも考えられると思いますので、その辺、機械的にならない形で、対応を考えていただきたいというふうに思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

今の点はいかがですか。

○ 三井信用制度参事官

ご指摘のとおりだと思います。各業態から今ヒアリングをしつつあるという状況でございますが、当然、大銀行から信金・信組までございます。信組の中は、今都銀が持っているような大規模なネットワークを持っていないという信組もありまして、そういうところのシステム対応というのはどうなるんでしょうかと、こういう議論もあります。

当然のことながら、そういうところの代理店というのは都銀の代理店とシステム対応というのは恐らく現実のレベルは違うのではないかということを前提に私ども考えております。どう法律に落とし込んでいくかという問題になってきますと、連続的なスペクタラムのお話になりますので、立法技術上の問題はまた別途ございますが、考え方としては先生のご意見のとおりだと思って今検討中でございます。

○ 堀内部会長

ほかに。

どうぞ、岩原さん。

○ 岩原委員

先ほど、和仁委員から名前を挙げられてしまいましたので、和仁委員からのご指摘と、それからただいまの池尾委員からのご指摘について、若干コメントさせていただきたいと思います。

先ほど、和仁委員が挙げられました問題は、幾つかの問題を含んでいるのかなと思います。最初にご指摘になったのは、そもそも代理店の定義というか、代理店として規制の対象となるものの範囲をどうするか、特に付随業務だけについて代理業務を行っているものについて、他の一般の代理店と同じような規制の対象にするか、それが妥当かということのご指摘だったと思います。

確かに、現在ですと銀行法施行規則の8条5項の定義によりますと、付随業務だけ、その一部だけを代理するものも銀行代理店ということになって、全面的な代理店規制の対象になるということで、例えば両替だけを代理するとか、そういったものについても同じ1セットの規制がかかってくるということになっておりますので、多分そういう点は和仁さんご指摘のとおり、そういう代理業務の内容の軽重に応じた柔軟な規制のあり方を考えておく必要があるだろうというように思います。

それから、その次に和仁委員がご指摘になった点は、証券会社が取引、いわば銀行の代理店としての取引を行って、銀行の方にそれをブックするような取引、国際銀行業務等においてそういうことはデリバティブ等についてよく行われているのは、現在では代理店規制に引っかかってしまうという問題でありますが、これはむしろ今回のご提案によって、出資規制や専業義務を外すことによって、むしろそういうことができるようにするという、少なくともそもそもできないとうことではなくしてしまうということがむしろ今回のご提案の趣旨ではないかと思っていまして、その意味では、むしろ評価すべき今回のご提案だと思います。

ただ、一方で銀行にブックされるということは計算のしりが銀行にいくわけでありますから、当然、銀行の業務の健全性等の観点からしますと、その点のチェックは当然必要になってくるわけでありまして、実質的な取引は全部証券会社の方で行って、単に計算のしりだけが銀行に持っていかれて、銀行の方の業務の健全性の観点からのチェックがないというようなことになってしまうと、これは問題でありますから、当然、その意味での規制をかける必要は出てくるわけでありまして、実質的な代理店としての取引を行う銀行代理店について直接検査なり、行政による監督の対象にすることができるようにしようという今回のご提案は、そういう取引自体はできるようにした上で、合理的な規制が可能にするという意味で、非常に合理的な提案ではないかと私は思っています。

それから、その次に池尾委員がご指摘になった点、非常に重要な点だと思いまして、銀行代理店といっても、そもそもどのような代理店をイメージし、実際にどういうような代理店が新しい制度のもとでできるようになってくるかということだと思いまして、池尾委員ご指摘のとおり、いろいろな多様なものがあって、その多様性に応じた規制が必要になるんじゃないかと。先ほどご指摘のとおり、まず実際上、最初に考えられるのは過疎地なんかにおいて、実際銀行が店舗を開かないようなところ、そういうところで多分、今後郵便局のシステムなんかが変わり、恐らく農協とか、そういうところの金融のあり方も変わっていって、本当の金融サービスがないエアポケットみたいなところが出てくる可能性がありますから、そういうところで一定の金融サービスが提供されるような代理店システムを用意していくということは非常に大事なことであります。

その意味でこの制度をご提案いただいたというのは非常に妥当であり、そういう場合は当然ある面でいえばかなり柔軟な規制が必要で、当然、預金の受け入れとかそういうのを扱いますから、そういうお金の部分について資産の分別管理、その他不当な扱いが行われないような点は押さえる必要があるとか、そういう観点からの柔軟な規制になっていくんだろうと。

それに対して、一方で、例えば巨大な代理店ができると、巨大な事業会社が小さい金融機関の代理店という形で実質的には自分が金融業務を行うということだって考えられないわけではなくて、そうなると、いわば銀行法の規制の脱法的なことが行われる可能性だってあり得ないわけではない。ということを考えると、そういうことに対しては十分な手当てができるそれなりの重装備が必要になってくる可能性がある。いわばそういう想定し得るいろいろな銀行代理店の形態に応じた柔軟な対応ができるようなルールをお考えいただけたらありがたいというのが私の感想であります。

以上であります。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

今、お話の第2番目の点で、デリバティブの銀行へのブッキングで、銀行の経営に影響を与えるというお話ですが、その点、岩原先生は付加的な現行の健全経営規制にさらに付加的な何か監視ないし規制が必要ではないかというふうな示唆をされておられるということですか、それともそうではないと。

○ 岩原委員

実施的な内容は一緒なんですけれども、銀行に対して健全性規制をかけていても、実質的な取引が代理店のレベルで行われて、法律上はそこで行われた取引の効果が自動的に銀行に帰属することになってしまいますから、従来、銀行に行っていたようなチェックが代理店に対して、チェックが働くような仕組みは考える必要があるんじゃないかということであります。

○ 堀内部会長

事務局の方で何かお答えありますでしょうか。

○ 三井信用制度参事官

極めて重要なご指摘と存じます。制度設計で一番今関係の法制局等の役所との詰めの段階で、一番争点になっているところのご指摘と思います。

例えば、銀行が代理店に振り回されるのか、銀行が代理店をきちんと管理するのかということであれば、当然、銀行が代理店をきちんと管理できるようになってなければいけない、こういうことをどういうレベルで確保するかということでございまして、なかなか立法技術的にはすとんと簡単に例がたくさんあるわけではないのですが、そういうふうなことを確保する必要があるという考えを持っておりまして、技術的な詰めをしております。

そういうことの裏返しとしまして、そこがいい加減にきますと、例えば代理店が野放図に乱脈融資をして、そのしりが銀行につくと。そうすると、銀行はそれで破綻すると、こういうことはあってはいけないと、こういうことで、その関係する役所とも相談しながら何らかのその対応を盛り込んでいきたいと思っています。

それから、付随業務のみのというところも実は、ちょっとこれまた今いろいろ思い悩んでいるところでございまして、重要なご指摘だと思いますので、またさらにちょっと検討させていただいて、しかるべきところでまたお話しさせていただきたいと思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございますか。

どうぞ、今松さん。

○ 今松委員

2点ほどなんですけれども、1点はこの論点のところで書いておられる現行規制の緩和・撤廃及びその次の行為規制等々の、この規制改革・民間開放の3カ年計画で今年度中に措置ということなんで、その大体段取り的なものをどういう形で、実態として金融庁としてどういう形での施行というか、それを描いておられるのかということが1つであります。

それと、今岩原先生とか池尾先生おっしゃられたところに、ちょっとこういうこともかかわってくるのかなと思ったんですけれども、今、民営化の議論をやっています郵政ですね、民営化された後、つまり窓口会社が実態として各地域でというか、金融業務等々も担っていくと。その場合、どの程度改廃されるかはありますけれども、将来的にそれ自体も郵貯があるわけですけれども、もう一つ金融業務等々の窓口での委託等々を柱にしていくと。その場合に、ここでの代理店として位置付けることができるのだろうと思いますけれども、そういうところもこれは想定しているのか、ある意味では通常の郵貯バンクがどこまでの業務をやるかというところにもかかわってくると思うんですけれども、池尾先生おっしゃられたような、かなりのライフライン的なというか、いろいろなサービスを他の銀行のものもやり得るとすれば、そういう形で位置付けられる訳ですけれども、その場合、極めて岩原先生おっしゃられたような巨大な組織がそれを担っていくということになってくるわけなんで、このあたりは規制等々どう考えていけばいいのか、この2点をちょっと教えてください。

○ 三井信用制度参事官

まず、1点目の今後の段取りでございますが、これはまさにこれからのお話でございまして、確たることは何とも予測しがたいところもあるのでございますが、その閣議決定では16年度中に検討して措置をするということになりますので、場合によっては、この中身、銀行法改正を伴うことになります。したがいまして、その法律改正の成案がまとまりまして、その状況が許せば次期通常国会ということも考えられ、次期通常国会に法案を提出して、ご審議をお願いするということも考えております。

どういう形で施行かということになりますと、それはまさにそういうことで、法律改正ということになれば、その法律改正が通ってから一定の経過期間を置いて施行していくということになろうかと思います。また、どういう形でということで、銀行だけではなくて、協同組織金融機関等についても同様の手当てをしていくということが考えられるのではないかと考えますが、これも事務的にいろいろ議論させていただきたいと思います。

それから2点目の郵政の話でございますが、とりあえずこれまで検討してきたものは郵政民営化より以前からありますここでの審議会の中期ビジョンであるとか、あるいはその一部規制改革に携わっておられた関係者が多かろうと存じますが、そこでの長い議論の末、こういうことになってきているということで、それをベースに現代的な銀行業の最前線でいろいろな新しいことが行われているということに対応できるような制度をきちんと作るということで、今検討しているわけでございます。

片や郵政の民営化につきましては、ウェブページ等で郵政民営化準備室の検討状況が有識者会議というところで諮られて議論しているというところまでは我々も承知していますが、具体的に窓口ネットワーク会社がどういう形で行うかということは、我々もウェブページで拝見する以上のことはちょっと現時点では承知しておりませんので、その点については私から具体的にどういうイメージがあるということはちょっと申し上げにくいというか、正直言って、今後の話ということになろうかと思います。

○ 川本委員

今回こういう議題が出されたことについて感想を申し上げますと、繰り返すまでもないことですが、店舗戦略については、銀行の経営戦略の根幹であることにもかかわらず、厳しい店舗規制がなされてきた。それに対して、三井さんもおっしゃいました通り、規制改革会議、私も所属をしておりましたけれども、そこで規制改革の要望を出しており、それが閣議決定もされていた。事実としてはここで金融庁がやっと重い腰を上げるということだということになります。重い腰を上げるというふうには、私個人も実際には思っておりませんけれども、位置付けとしてはそういうことになるのではないか、と思っております。

一方で、銀行代理店が銀行法上認知されていないということは、やはり非常に問題でありまして、今後は銀行代理店の出資の規制、100%出資の問題と、あと専業規制をどういう形で解いていくのかということがご議論になります。あと池尾先生がご指摘になりましたけれども、事故が起こったときにそれが大数の法則で処理できるのかどうかということがポイントなのではないかと思いますので、その辺の事務的な詰めをしていただけばと思います。

○ 堀内部会長

どうぞ、翁委員。

○ 翁委員

いろいろな先生のご指摘ございましたけれども、この代理店というのは本当にいろいろな多様な形態があり得ますので、本当にリテールのものと、ホールセールを念頭に置いたものではかなり論点も少しずつ変わってくると思いますが、今、指摘されたような点にご配慮いただいて、ぜひご検討を進めていただきたいと思います。

特に、リテールに関しましては、アメリカなどを見てましても、銀行の数はすごくこの20年間減ってきておりますけれども、支店の数は一貫して増えているということで、恐らくコストの低い形で支店を設置できるという環境にあることも一つだろうと思います。そういうふうに考えますと、日本の銀行の代理店というのは数は減る一方でございまして、いかにも使い勝手が悪く、一方で国民の利便性にもかなっていないという面があったと思います。ですから、今回お示しいただいたような方向でぜひ規制緩和を行っていただきまして、金融システムにとってはいろいろなビジネスモデルを広げていくきっかけにしていただきたい。一方で、郵政改革についても、仮にネットワーク会社のような会社が誕生することになれば、この規制緩和の流れに沿って進められていくべきものと思いますし、そういう方向でぜひ国民にとっても利便性の高い、過疎地のキャッシュアクセスポイントを非常にコストを低く確保する有益な手段だと思いますので、おすすめいただきたいというふうに思います。

配慮すべき項目としては、ここに書いてあるような点はすべて重要と思いますけれども、やはり銀行代理店ということであると、業務運営における厳格性の確保というのが非常に重要だと思います。その意味では、代理店の内部のマネージングと、同時に委託元である銀行もきちんと監督できる体制が敷かれていると、そういったことが重要だと思います。

それから、もう一つ過疎地についてかなり今後論点になってくると思いますが、復代理というような形で、例えば2つ以上の金融機関がその代理店を活用するというようなことが認められるような方向で利便性が確保されるということもぜひご検討いただきたい。以上のような点もご検討いただきたいというように思います。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

よろしゅうございますか。

ほかにいかがでございましょうか。

これは今年度中にある程度結論といいますか、一定の結論を出す必要がありますので、今後また結果が我々の方にも知らされてくるということであります。

どうもありがとうございます。

もしご意見ないようでしたら、今日は大分長いこと時間をいただきましたけれども、本日の審議を終わりたいと思います。銀行代理店の問題を含めて、本日の会合の内容につきましては、記者会見におきまして私の方から簡単にご紹介させていただきます。

それでは、最後に事務局の方からご連絡することはありますか。

○ 安居保険企画室長

次回以降の第二部会の開催につきましては、また改めてご連絡をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

○ 堀内部会長

ありがとうございました。

サイトマップ

ページの先頭に戻る