金融審議会金融分科会第二部会会合(第24回)議事録

日時:平成17年2月16日(水)12時30分~13時50分

場所:中央合同庁舎第4号館 11階共用第一特別会議室

○ 岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから金融審議会金融分科会第二部会の第24回目の会合を開催いたします。皆様、本日はご多用のところ、ご参集頂きまして誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開ということになっておりますので、その点をまずご了承頂きたいと思います。

なお、本日は、堀内委員、水上委員、奥野委員がご欠席になっておられます。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。

本日は、お手元の議事次第に沿いまして、事務局から「生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)」についてご説明頂き、その後皆様にご審議を頂きたいと存じます。

それでは、事務局の方からお願いいたします。

○ 安居保険企画室長

保険企画室長の安居でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、右肩に「第二部会24-1」と書いてある資料に従いまして中身のご説明をさせて頂きたいと思います。

まず、前置きでございますけれども、保険の契約者保護制度、セーフティネットの見直しにつきましては、昨年の1月に第二部会で問題提起をさせて頂きまして、主に二つの点、一つは、損害保険につきまして、その特性を踏まえた手続を検討しようということと、もう一つは、生命保険を主に念頭に置きまして、現行の時限的な財政措置が17年度で切れてしまうので、18年度以降の財政制度のあり方をどうしようか、また、それを含めて制度全般の見直しを行おうという大きな二つの点をご議論頂いてきたところでございます。主にワーキンググループで議論して頂きまして、第二部会に6月に経過報告をし、12月14日に、別紙で配っております最終報告を出して頂いたところでございます。

お手元にあります最終報告におきましては、先ほどの第1点目の、損害保険の特性を踏まえた手続につきまして具体的な案を提出して頂いておりまして、他方、生保に関しましては、政府補助のあり方といったような問題を中心として賛否両論出たところでございまして、最終的には論点を整理して政府に検討を求めるという形になっているところでございます。

そして、本日これからご説明いたしますものは、こうした第二部会ないしはワーキンググループでの議論を踏まえまして、その後、我々として、財政当局や生命保険業界と議論をし、また調整をしてきたところでありますけれども、そうしたものを踏まえて現時点での案というものを金融庁でまとめておりますので、それをご説明しようということでございます。本日のご議論も参考にいたしまして、さらなる詰めを行い、できますれば今国会に提出予定の「保険業法等の一部を改正する法律」に盛り込んでいきたいと思っているところでございます。

本日は、第二部会に新たにご参加されている方もいらっしゃいますので、多少これまでの経緯などを振り返りながら説明をさせて頂きたいと思います。

1ページですが、まず、現行の生命保険のセーフティネットの概要について簡単にまとめております。読み上げる形で進めますと、保険会社が破綻した場合において、保険契約者等の保護を図るため、破綻保険会社の保険契約の移転等に対し保険契約者保護機構が資金援助等をすることにより、保険契約について一定の補償を行う仕組みということです。

2番目ですが、生命保険につきましては、再保険を除く全ての保険契約を対象としておりまして、一律に責任準備金の90%までを補償しております。すなわち、保険契約者は、責任準備金の10%までを負担するということになっております。さらに、実際の破綻処理におきましては、予定利率等の契約条件が変更されるということで、特に生命保険におきましては長期の契約が多うございますので、責任準備金ベースではなくて保険金ベースで見ますと、この予定利率の変更というのが結構大きな影響を与えてくるというのは皆様ご承知のとおりでございます。

3番目、保護機構による資金援助等の財源は、保険会社からの負担金で調達。負担金は事前拠出により積み立てられる。こういう制度になっておりますが、実際には破綻が先行して起こったことによりまして、事前の積み立てはなされておらず、むしろ借入金を返済している状況にあるというのはご承知のとおりでございます。

資金援助等の財源が、積立金で不足する場合には保護機構の借入金で対応。借入金には政府保証を付すことができる。この「借入金に政府保証を付すことができる」というのは生命保険の保護機構独自の制度でありまして、損害保険の方にはございません。

その次も同様ですが、政府は、保護機構による資金援助等の費用を保険会社からの負担金のみで賄うと、保険会社の「財務の状況を著しく悪化させることにより保険業に対する信頼性の維持が困難となり、ひいては国民生活又は金融市場に不測の混乱を生じさせるおそれがある」と認める場合(15~17年度において当該費用が累計1,000億円を超えた場合に限る。)」、こういう場合には、予算で定める範囲内で当該費用の全部または一部の補助ができる、という規定が生命保険については設けられているところでございます。この点についてはまた後で触れたいと思います。

2ページ目は生命保険会社の破綻の処理の状況について一覧表をつくっております。これまで合計で7件の破綻が起きておりますが、一番上の日産生命につきましては、資金援助等の欄にありますとおり、これは現行の保護機構制度のもとではなくて、その前にありました保護基金の制度でございます。そういう意味では、現制度下では6件の破綻が起きているということでございます。最初の3件と直近の3件ではちょっと趣きが変わっておりまして、根拠手続のところを見て頂きますと、最初の東邦生命から大正生命までは行政手続といいますか、保険業法に基づく手続で処理がなされたところでありまして、直近の3件につきましては、裁判所の更生手続によって行われております。

資金援助等の額を見て頂きますと、3,663億円から267億円というふうに資金援助がなされているのに対しまして、直近の3件では資金援助額はゼロになっている。これと表裏の関係にありますけれども、その左の欄、資金援助がない場合の弁済率を見て頂きますと、直近3件は90%を上回っているということでございます。

3ページですが、昨年12月14日の報告書の、生命保険関係についての要旨を簡単にまとめております。また読み上げる形でいきますと、最初の□ですが、特別勘定で経理されている団体年金保険等(最低給付保証が付されていないもの。-これは主に企業の変額年金です-契約者が運用リスクを完全に負担。)について、厳格な分別管理を前提として責任準備金を削減しない取扱いを可能とする一方、原則として保険契約者保護制度の対象外とする制度見直しが適当。こうした商品は年金信託と非常に類似している商品でありまして、その商品性に応じた制度にしたらどうかというご提案を頂いたところでございます。

次に、保険契約者の権利に大きな影響を与える予定利率の引下げや早期解約控除については、保護機構において一定の基準を明示し運用していくことが適当。ワーキンググループの議論では、むしろ制度的な制約というのを設けた方がいいのではないかという意見もありましたけれども、一方で、処理の柔軟性という観点から、そうしないでこういう形にしたらどうかということになったところでございます。

3番目は、制度改正により保険契約の補償内容が変更となる場合には既契約者等にも十分な周知が必要であること。また、保険募集の際にもわかりやすく制度説明がなされるように工夫すべき。

4番目ですが、生命保険や第三分野について、現時点で補償率の全般的な引下げを行うことは適当でない。昨年の議論の過程では、特に外資系の生保会社から今の9割補償を8割に引き下げるという要望も出ておりましたけれども、経営環境などを考えたときに、そのアナウンスメント効果も含めて考えると、ちょっとこういう状況ではないのではないかという議論がなされたところでございます。

5番目ですが、予定利率の高い契約に関し、保険契約者間の公平性の観点から、責任準備金の補償水準を他の契約よりも引き下げるということについては、破綻処理に際しての契約条件の変更の影響等にも留意しつつ、慎重な検討が必要。ワーキングでは、生保業界から強いご要望がありましたけれども、他方、さまざまな問題点の指摘もあったところでございます。この点についてはまた後で触れたいと思います。

6番目、保護機構に対する保険会社の負担金の拠出方法を、現行の事前拠出制から事後拠出制に移行するということについては、現在の資金の積立状況等に鑑み、慎重な検討が必要。主に生命保険業界の方から、資金の効率的運用の観点も含めて見直してもらえないかというお話もあったところでありますけれども、最終的には、借り入れの状況がしばらく続きますので、引き続き検討する、今後の課題とするということを考えているところでございます。

最後ですが、生命保険契約者保護機構に対する政府補助制度の是非については、生命保険会社の経営環境、機構の財政状況、金融市場等の状況のほか、政府補助が臨時異例の措置であること、ないしは生命保険業の役割といったことを踏まえ、幅広く十分な検討が行われるべきということでございます。

4ページを見て頂きますと、生命保険業の経営環境のようなものを少し振り返ってみたいと思います。幾つか計表を並べております。

まず、左上、図表1と書いてありますのは当期の未処分剰余金、利益金の額の変化でございます。見て頂きますとおわかりのとおり、平成10年には1兆7,000億円程度あったものをピークとして、その後大幅に減少しております。ただ、直近の状況を見ますと、平成14年あたりを底にして若干回復してきている傾向にはあるかなというふうに思っております。

右側の図表2、公表されております逆ざや額の推移です。これは平成10年から始まっておりますけれども、徐々に減少してきている。ただ、具体的な水準を見ますと、平成15年を見ましても、依然として1兆円を超えるそれなりの規模の逆ざやがありまして、生命保険会社経営に対する圧迫要因となっているということが読み取れると思います。

左下、図表3は基礎利益です。基礎利益の方は概ね横ばいか、若干上下しておりまして、上の利益金のところとあわせてみますと、平成14年以降は少し回復しているというふうに読めるか、読めないかというような感じでございます。

右下の図表4は、保険契約の解約失効の金額ないしは件数の推移をとっておりまして、平成9年ないしは平成13年あたりをピークとして徐々に減ってきているというふうに読めるのではないかと思います。一時期に比べまして生保経営に対する不安感というのも随分薄れてきておりまして、最近では、新規契約件数にも下げ止まりの傾向が見られるなど、そういう意味では状況は改善している面もあろうかと思います。

5ページを見て頂きますと、一般的な経済情勢について振り返っております。左上、図表1は株価と金利の推移で、別にコメントできるものではありませんけれども、株価が下落しまして、生命保険会社の経営体質というのが非常に悪くなってきて平成不安が起こったということはご記憶にあるところでございます。ただ、今は若干回復してきておりますので、その辺が改善している感がございます。

図表2は、GDPの成長率の推移でございます。

下の図表3は銀行の不良債権の残高ということで、これは平成13年あたりをピークとして顕著に減少してきております。金融全般で見ますと、ペイオフ解禁も目前となっておりますので、危機モードから平時のモードへと移っていくというのが今の認識でございます。

以上が主な前提でございますけれども、6ページを見て頂きますと、今回の見直しの考え方を簡単にまとめております。

最初の□ですが、今回の考え方の最も中心になっておりますのが、安定的な財源制度を確立しようということでございます。これまで3年間の時限的な財政措置をやってきたわけですけれども、そうしたものから脱却して安定的な財源制度、セーフティネット自体はラストリゾートだと思いますので、それについてきちんとした財政・財源制度を確立しようということでございます。

その背景として、一つは、先ほどもざっと見て頂きましたけれども、生命保険会社の経営状況、運用環境は多少改善してきている。「改善」とまで言っていいのかどうかわかりませんけれども、少なくとも以前のような不安とか、危機といったようなものはなくなってきているので、平時というものを念頭に置いた制度設計ができるような状況になってきているのではないかと思います。

そうしたときに、どういう制度を考えるかといいますと、原則として保険会社からの拠出金によって賄えるような安定的な財源制度を確立しようということになります。

三つ目ですが、ただし、先ほど見て頂いたとおり、当面の生命保険会社の経営環境というのは決して万全だというほど胸を張れるものでもなかろうかと思いますので、当面3年間について、万が一の場合に備えて特例的な政府補助も含めた財源の確保をしたい。最後には、政府の押し当てがある形は維持したいということを考えて制度設計をしたところでございます。

次の□ですが、むしろこの前提になるのかもしれませんけれども、そうするに当たっては、制度の合理化・効率化というのはやはり必要であろうということでございます。

まず一つは、生命保険会社の破綻防止のための取り組みの強化をする必要がある。これは報告書の議論でも随分指摘されたことですけれども、ともかく破綻を起こさせないということが最も重要な契約者保護であろうということでございます。内容はまた後で触れます。

その次が補償の重点化ということで、最初にご説明しましたとおり、今は一律責任準備金の9割補償ということをしているわけですけれども、契約の特性に応じた補償というものを考えるべきではないか。なお、損害保険分野ではこういった点に着目して抜本的な見直しを行うことにしているわけですけれども、生命保険分野でも考えたらいいのではないかということで、その下にあります特別勘定契約、ないしは予定利率が高い契約について今回見直しをしたらどうかということを考えているところでございます。

7ページをご覧頂きますと、保険会社の破綻防止等に向けた取り組みということで、このペーパー自体は、昨年12月14日の報告書から抜粋してきたものでございます。ここに挙げてありますとおり、破綻処理につきまして、手法ないしは道具立てというのはかなり整ってきておりますし、検査・監督の現場におきましても、かなり検査・監督は強化され、また高度化してきているということが言えるのではないかと思います。先ほど見て頂いた破綻の今までの事例を見ましても、直近3件につきましてはかなり高い弁済率の段階で介入ができておりまして、もちろんこの制度的な要因だけではないと思いますけれども、そういった面にも貢献しているのではないかと思っております。

下にあります《今後のさらなる対応》というところですけれども、新しい保険商品に係る責任準備金積立ルール等の整備ということで、昨年既に変額年金の最低保証リスクについてはこうしたものの整備を進めてきているわけですけれども、ワーキンググループでご指摘頂きました第三分野、医療とか介護といった分野についての検討も始めているところでございます。

2番目の販売チャネルや保険商品の多様化に応じたモニタリングということにつきましても、監督局においてそうしたことを今始めているところでございます。

また、3番目のソルベンシー・マージン比率の算定基準の見直しというのは、昨年の年末に発表いたしました金融改革プログラムにも盛り込まれておりますので、今後これについての検討も進めていきたいと思っております。

また、リスク管理、情報開示の充実等も同じでございます。

8ページをご覧頂きますと、保険契約の特性に応じた補償ということで、今回の見直し案の概要が書いてございます。

1番目は、先ほどもちょっと同じことを申し上げましたけれども、特別勘定で経理される団体年金保険等について、厳格な分別管理を義務付けた上で責任準備金を削減しない取扱いを可能とする制度整備を行うとともに、セーフティネットの対象からは外すということを考えております。すなわちセーフティネットの枠の外で100%補償ができるようにしようという改正を考えているところでございます。

2番目は、高予定利率の契約につきまして、保険契約者保護制度による責任準備金の補償率を他の契約よりも引き下げることとする。

一つは、高予定利率の契約につきましては、生命保険会社の破綻の通常の原因であります逆ざやといったものの大きな要因となっているということでありまして、これに対して資金援助を行うということは、その資金援助のもととなっております他の保険会社の契約者、低予定利率の方もいらっしゃるわけですけれども、そうした方のお金を使うということについて、公平なんだろうか。ないしは、破綻した保険会社の中を見たときに、高予定利率の方と低予定利率の方がいらしたときに、高予定利率の契約を賄うために低予定利率の配当が行われないという状況が続いているわけですけれども、そうした契約者間の公平といったものにも配慮して若干の差をつけてはどうかということでございます。

二つ目は、破綻処理における予定利率の引下げ等により既に相当な負担を求めているということ等に対する配慮が必要であろうということで、差をつけるにしても、そんなに大きな差をつけるのは適当ではないのではないか。具体案として考えておりますのは、その次のとおりでありまして、やや複雑ですけれども、一定の率、現時点では3%を想定しております。これは破綻前の予定利率引下げの下限として定められたものでありまして、動き得るものですけれども、これを上回る利率部分を過去5年間にわたり半分とした場合の減少率に相当する率の引下げということで、現状で見ますと、最も高い予定利率の方というのは、6%という方がいらっしゃいますけれども、6%と3%の差は3%、その半分ですと1.5%になって、それを5年分で7.5%分の減少というのが一番大きな減少になります。すなわち90%から82.5%まで引き下げることはあり得ることにしようということです。

ただし、その次にありますとおり、資金援助がない場合の弁済率を下限とするということです。すなわち悪くても資金援助はもらえないという範囲でとどめましょうということでございます。これまでの最低は、先ほど見て頂きましたとおり、大正生命の85%程度が最も低いので、これまでの経験を踏まえて考えると、82.5%程度が下限になる、すなわち5%のカットが限度となるということが言えるのではないかと思います。

なお、直近3件で見ますと、いずれも90%を超えておりますので、この場合、この引下げというのは関係ないということになります。

その下にアメリカの例とありますが、アメリカにおきましても、保険契約の予定利率が非常に高い部分につきましては補償しない。二つ目のティレにありますけれども、アメリカのモデル法によりますと、破綻前4年間の予定利率のうち、ムーディーズの公社債平均利回りから2%引いた部分を超過する部分については補償の対象外というふうにされているところでございます。

なお、先ほど申しましたとおり、最大でも5%程度のカットということを念頭に置いてあるわけですけれども、それでも高予定利率に相当する部分というのは、保険会社の責準全体で見ますと、その半分以上でありまして、これによる資金援助削減の効果というのは相当なものがある。マクロ的に試算をしますと、すなわち個別の保険会社でどれくらい高予定利率を持っているかというのは、多分ばらつきがありますので何とも言えませんが、マクロ的に見ますと、資金援助額は半分になる、半減するのではないかという試算もございます。ただ、これはあくまでも責任準備金ベースでの削減でありまして、先ほどもありましたけれども、破綻時の予定利率の引下げによりまして保険金額は大きく削減されますので、それと比べるとそれほど大きな影響はないのかもしれません。

9ページですが、今回考えております新たな財源措置スキームの概要について、この図でご説明したいと思います。左上の四角にありますとおり、平成10年に現在の制度ができ上がりまして、その当時は、当面10年程度の期間を多分想定していたと思いますけれども、数件の破綻が起こっても大丈夫なようにということで、4,600億円規模のセーフティネットをつくったわけでございます。そのときは10年間で賄おうということで、毎年460億円ずつ生命保険各社からお金を集めるということでスタートしております。

ところが、右の上にありますとおり、制度創設後半年ぐらいで東邦生命の破綻がありましてかなり大きな額のお金を使い、その後、第百生命でこの4,600億円は全部使ってしまうという状況が起こっております。そうした状況を踏まえまして、平成12年には上乗せスキームということで5,000億円の追加的なスキームをつくっております。このときは、業界がさらに1,000億円までは持ちますと、それを超えたときには政府補助を考えてくださいという仕組みになっているところでございまして、大正生命までで全部合わせて5,380億円ですから、最初の4,600億円を引きますと、網かけのあるところで見ますと、780億円まで使ったわけですけれども、それでとりあえず資金援助は止まっているというのがこれまでの状況でございます。

平成12年~14年度までの制度だったわけですけれども、平成15年に上乗せスキームを張り替えると言っておりますけれども、上乗せスキームをもう一度適用しようということで、15年度~17年度までの3カ年において破綻がありますと、1,000億円までは業界からの拠出金で賄い、それを超えた場合には政府の補助を考えるというスキームが現在でも続いているわけでございます。ただ、幸いなことに、15年度以降には1件も破綻が起きておりませんので、これが発動されているわけではないというのが現状でございます。

今回どうするかということですけれども、先ほど申しましたとおり、安定的な財政制度を確立したいということ、それから、危機モードから平時モードへということも考えまして、平成12年度以降とってきました上乗せスキームをやめてしまったらいいのではないかということで、もとの4,600億円の借入枠の中で対応しよう。幸い、最初5,380億円まで使ったわけですが、毎年460億円ずつ保険会社からの拠出を頂いて、これを返済してきておりますので、今後何も起きなければ平成18年度当初には借入金の残高が2,000億円弱になる。すなわち4,600億円の枠の中で2,600億円の負担余力が出るということでございますので、基本的にはその中で対応するということを考えていけばいいのではないかということを考えている次第でございます。

ただ、現在においては、生命保険のセーフティネットというのは、ある意味で上乗せ分である5,000億円規模のセーフティネットがあるというふうに申し上げているわけですけれども、それが18年度当初におきましては2,600億円と半分になってしまうということが不安かもしれない。そういったことも考慮して、右側にありますとおり、18年度~20年度まで3カ年、資金援助が業界負担枠を超えた場合には政府援助を出せるような規定を残して頂きたいと思っているわけでございます。

具体的には、その下に書いてありますけれども、「資金援助を業界の負担金のみで賄うことになれば、生命保険会社の財務状況が著しく悪化し、保険業に対する信頼性の維持が困難となり、ひいては、国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれが認められる場合」には、政府が援助することができる旨の規定を残したいというふうに思っているところです。

なお、何も起こらないまま行きますと、18年度当初2,000億円弱の借入残高があるわけですが、その後も460億円ずつ返していくことができますので、借入残高は減り、業界からの拠出金で賄う、セーフティネットの当初使える額というのは広がっていくという形になるということでございます。

長々とわかりにくい説明で申しわけございませんが、最初に申しましたとおり、我々で考えておりますものは以上のようなものでございます。皆様からご意見を頂ければ、私どもの参考にさせて頂きたいと思っております。

以上です。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの安居室長からのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたら、どうぞご自由にご発言頂きたいと思います。

いかがでしょうか。

特に保険ワーキングに参加されていた方は多分いろいろな思いもあると思いますが、いかがですか。座長の山下委員、お願いいたします。

○ 山下委員

ワーキング報告とそれを承認して頂いた部会の報告では、生命保険契約者保護に関しましては、損害保険の方ほど内容がまだ詰まっておりませんで、なお検討してもらおうという点がいろいろあったところかと思います。その点が今日のご説明で大分方向感がはっきりしてまいりまして、大体こういう方向かなというふうに理解したところでございます。全般的には、実務の方からは保険会社の負担を小さくするようなご提案をいろいろ頂いておって、ただ、ワーキングの時点でそういうご提案をどこまで入れられるかということについては、全体としては消極的な意見というのが割と多かったかと思います。

そういう中で、今日特に高予定利率の契約について、責任準備金の補償率を他の契約よりも引き下げるという、この点も業界から要望のあった点でございますが、ここが少し取り入れられたような形になっております。ただ、これについてもこういうことをしていいのか、将来にわたっての予定利率の引下げということで、相当大きな保険金額の減額になるということで、それ以上のことまで犠牲を求めるのは本当にいいのかということは大分議論したところでございますが、今日は、しかし、そういう方向へ踏み切ろうというご提案だったわけです。しかし、下限の率を設定したりすることによって、先ほどのご説明にありましたように、実態上はそれほど大きな負担を求めることにはならない。高予定利率の契約も徐々に減っていくと思いますので、この程度のことで済むのであれば、広い意味での公平感というのももう一つ重要なファクターかと思いますので、一つの合理的な解決にはなるのかなというふうに思いました。

それから、スキームでございますが、生命保険業界も、これは希望的な観測ではあるけれども、正常化していくだろうということを前提に、また業界の負担を少しずつ求めていくという方向で、万一に備えて政府補助の仕組みも当面残しておこうということで、これも非常に現実的かと思います。いずれにしても、こういう案の前提になっているのが、先ほどもご説明にございましたように、破綻というものを早期の段階で防止するということでございまして、これはワーキングの方でも各委員から、強く要請されていたところでございますが、とにかく破綻の傷が大きくならない段階での早期の破綻処理の開始ということが必要であれば果断に取り組んで頂きたい、また、そのためのチェックの仕組みもより強化して頂きたいというご要望がワーキングでも強かったということでございます。そういう方向をより強化して頂くということを前提に考えれば、一応今日ご説明のあった案というのは、このワーキングと部会の案を踏まえられた解決としては賛成していいのではないかと感じているところでございます。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございました。

吉野委員、お願いします。

○ 吉野委員

預金保険と比べて幾つかご質問させて頂きたいのですが、9ページのところで、18年~20年度まで政府補助ということがあり得るわけですけれども、預金保険の場合には、今政府からの補助があるわけですが、それを全部アカウントに残して、最終的にはそのバランスが合うように預金保険料率が決められると思うのです。この場合、政府の補助がもし18年~20年度にあった場合に、左側の方の業界負担として、将来はその部分を返済するような政府補助であるのか、それともそれを除いた政府補助であるのかというのはちょっと違うような気がするのですが、それが1点です。預保の場合には、政府補助も含めて、将来的に預金保険料率で返すことになっていると思います。

2番目ですが、8ページのところで、一定の率の3%を上回るという、これを何%にするかというのはあると思いまして、アメリカで見ますともっと低くなっているのですが、こういう根拠といいますか、なぜ3%になったのかわかれば教えて頂きたいと思います。

最後は、6ページのところで、今後のご議論だと思いますが、預金の方でも可変保険料率といいますか、金融機関の危ないと言ったら失礼ですけれども、変なところに応じてやるとか、保険の場合には、保険の種類によってやるとか、いろいろあると思うのですが、その方向性についてお聞きしたいと思います。

以上、3点です。

○ 岩原部会長

安居さん、お願いします。

○ 安居保険企画室長

預金保険との比較の問題ですが、預金保険について私必ずしも知識がないので、預金保険について政府補助を出された場合に、それを返す前提で預金保険料率が決められているのかどうか、そこはよくわかりませんけれども、ここで考えております政府補助というのは、非常に広い意味で政府補助と言っているだけでございまして、これが一体どういう形で出るかというのは、まさにそれが必要になったときに議論する。例えばこの枠を1円でも超えますと必ず出すのかというと、それはそういうわけでもございませんし、ここに書いてありますとおり、「国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれが認められる場合」ということを認定した上で、さらに補正予算等の措置も講じて政府補助というのは行われていくことになりますので、そういう意味では、現時点で詳細が確定しているわけではありません。その時点でまたいろいろご議論を頂く問題ではないというふうに全般的には思います。

ただ、それとの関係で1点だけ申し上げますと、預金保険の場合の公的資金というのは、1,000万円以下の守られている部分のことを言っているのではなくて、それを超える補償が必要かどうかというところを議論しているわけでございます。ただ、ここで言っておりますものというのは、むしろ9割補償という世界の中でお金がなくなった場合に一体どうするのかということで、ちょっとまた次元が違う話をしているのではないかと思っております。

2点目の3%を上回るというところの3%の根拠は何かというお話でしたけれども、先ほども申し上げましたけれども、15年の改正におきまして、破綻前の予定利率引下げの手続というのを入れさせて頂いておるところでございますけれども、そのときに、自主的な手続によって予定利率を引き下げられます限度というのが、今3%というふうに決められておりまして、そういう意味では、保険業法の世界で予定利率を区切る一つの基準というのがそこにあろうということで、基本的にはそれを援用してきているところでございます。これは当然のごとく今後運用環境が改善し、全般的な金利が引き上げられますと、それに連動して上がっていくものであろうと思っているところでございます。

3点目の可変保険料率の問題につきましては、ワーキングで明確にその点について議論されてはいなかったので、現時点においてきちんとした今後の議論の方向性があるわけではございません。

○ 岩原部会長

細溝さん、お願いします。

○ 細溝企画課長

最初のことですけれども、預保の場合は、一般勘定でやる通常の場合と、102条を発動した場合とがあって、通常の場合は全部保険料でやっていくことになっていますが、102条を発動した場合は、システミックリスクの発動なので、預金保険機構が資金援助をした後、預保が負担金ですか、それを決めて金融機関から取ることになっている。ただし、それを取ることによってなお金融機関において信用秩序の維持に支障がある場合には、政府が補助することができるという規定となっていますので、そこはバランスがとれていると思っています。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございました。

今の点で何かございますか。

預金保険の場合は、保険という制度の立てつけになっていますけれども、これは保険の制度という形をとっておりませんので、そういう点で、そもそも制度の仕組みそのものの違いもあります。

池尾委員、お願いします。

○ 池尾委員

今部会長が最後におっしゃった点ですけれども、確かにそうだと思うのですが、ただ、改正案の方向性はどちらかというと保険制度的なものに向かうような形の制度見直し案ではないかと理解していたのです。ですから、現時点では、私が理解している方向性が正しいとして、前提にできるとすれば、次のステップでは、業界負担の負担金の決め方、保険料の設定のルールのあり方とか、そういうことが次の課題になってくるのではないかと思っていましたので、先ほどの吉野委員の発言なども少し先取りしたようなご質問なのかなという感じで、保護制度から保険制度に立てつけを変えていく一局面的な提案なのかなというふうに理解していたのですが、そういう理解はまずいですか。

○ 岩原部会長

安居さん、お願いします。

○ 安居保険企画室長

まずいことは全然ないと思います。まさに今池尾先生おっしゃったとおり、もともとこの制度というのは破綻が起こってしまったときに、それをどういうふうにみんなで助け合おうかというような考えもあってできている制度ですから、最初にご説明しましたとおり、創設当初は4,600億円を10年間で毎年460億円ずつみんなから集めましょうという形になっておりますから、そういう意味では、何らかのリスクに応じて保険的にお金を集めるというふうにはなっておらない。そういうものから、預金保険が完全な保険制度だとは思いませんけれども、より保険の考え方を入れたような方向に持っていくことを考えているというのは、まさにおっしゃるとおりだと思います。その延長線上に、先ほどおっしゃったような可変保険料率という話も出てくるのかもしれません。ただ、現時点でそういう方向性を明確に決めているわけではないということでございます。

○ 岩原部会長

高橋委員、どうぞ。

○ 高橋委員

今の点ですけれども、まず、政府補助が可能な枠組みの維持ということは私もお願いしてまいりましたので、今回の案に関しては賛成でございます。ただ、今池尾委員からもご発言がありました今後の見直しという点で、私も積極的に意見を述べさせて頂いたつもりなのですが、そういう方向には現実はなっていないのではないかというところで不満を述べさせて頂きます。

といいますのは、保険的なものであれば事前拠出であって、業界の助け合い制度的なものであれば事後拠出というのはすごく素直な考え方だと思うのですけれども、これは業界の負担でありながら事前拠出という非常にねじれた制度になっていると思っています。ですので、できれば保険的な、預金保険のような考え方で事前拠出というのが望ましいのではないかという考え方を持っております。でも、現行はそうではないので、そういう考え方をすると、この政府補償というのは、業界他社が返すものというようには言えないのではないかと思います。

早期是正措置の強化とか、本来ならばもう破綻が起きないだろうというところまで制度的には進んでいて、それでもなおかつ起きるとすれば、検査・監督の何らかの不備があったのか、あるいは予見できなかったような未曾有の事態なのかということになりますので、これをほかの保険会社の契約者に負担を求めるというのは、私は合理性がないというふうに思っております。

制度改正の点から言いますと、もしもう一歩進めるというのであれば、業界負担のあり方というのを、新規参入の事業者にも事前的にもっと負担を求めていくような枠組みができれば、それは一歩進んだというふうに思えると思うのですけれども、現行の業界負担のあり方でいくと伝統的な保険会社に非常に重く負担を迫っております。ですから、予定利率の問題のような、今まで検討してきたような事態には合っていましたけれども、今後バッグバンでどんどん競争が進んで、いろいろな事業者がかなりコストを削りながら入ってきたときに起きてくる問題に対して、この枠組みが対処できるかというと、私はクエスチョンマークを持っております。

以上です。

○ 岩原部会長

山下委員、どうぞ。

○ 山下委員

助け合い的なものか、保険的なものかというのはなかなか難しいところですが、可変保険料率的なことについては今回はあまり議論をしておりませんでした。他方で、保護機構による補償というか、給付の態様をどうするかというのは、責任準備金ベースで現在のような穴埋めをしてやるのか、それとも保険契約ごとの保険金額に上限を設けて、その範囲で保険的に補償するか、そのあたりの議論は少ししていました。ただ、そういう保険的な方向へ持っていくのは、いろいろ検討したけれども、技術的には非常につくりにくいですねということで、基本的には従来のスキームを維持するという結論になったところでございます。ただ、保険も非常に多様なものになってきていますので、この仕組みが未来永劫このままでいいのかということまでの判断は含んでいないと思います。今後ご議論があれば検討していかれればよろしいかと思います。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございます。

ほかにございますか。原委員、どうぞ。

○ 原委員

ワーキングの方にはオブサーバーで参画をしておりまして、半分ぐらいの回数しか出ておりませんけれども、二つ意見があります。

一つは、今後どうしていくかというところですが、実は、ワーキングでは無認可共済の検討もしていて、無認可共済とこのセーフティネットの話だったということになるのですが。セーフティネットの議論は、平成17年度が終わるところである一定の結論を得なければいけないということで、ずっと先延ばしにしてきたというところもあったので、この春には結論を出さなければというところで、生命保険分野についてはまだ深められた検討というところまでいっていなくて、今いろいろと意見が出ておりましたけれども、そういったあたりは、改めてじっくり検討してみるべきなんだろうということは感想的に思っておりますので、今後の継続の課題として頂きたいと思います。

もう一つは、8ページにありますけれども、高予定利率の方への対処ですけれども、実際に3%を超える予定利率の契約というのが今どれぐらいあって、将来的には徐々に減少していくでしょうと山下先生おっしゃられたのですが、どれくらいのスパンをかければ減少していくことになって、そして、将来これほどの予定利率を約束するような商品が出てこないとも限らないように思うので、そのあたりをどのように見ていらっしゃるのかということと、それから、50%というスパッとした切り方ですが、30%とか70%とか80%とか、いろいろな切り方があるように思うのですけれども、50%をとられた根拠が何かあったのかどうかを確認したいということが一つです。

それから、この理由ですが、他の保険会社の負担軽減というところは、私としては、契約者にそこまで求めるのは違うと思っておりまして、本当は保険会社と個別の契約をしているわけですから、実は高予定利率のものであっても、その人にとっては保険契約なわけですから守って頂きたいと思うのですけれども、保険会社のリスクということを考えると、同じ破綻保険会社の契約者間の公平性というところはまだ少しは出てくるかと思うのですけれども、自分としては、その保険契約を選んで、その保険会社を選んでいるにもかかわらず、他の保険会社のリスクまで背負わされたようなつくり方は少し違和感を覚えるところです。

以上、回答できるところはぜひお願いしたいと思います。

○ 岩原部会長

安居さん、お願いします。

○ 安居保険企画室長

順不同で申し上げますと、最後におっしゃっておりました8ページの高予定利率の理由で、その他の保険会社の負担軽減、ないしは他の保険会社の契約者の負担軽減というのはどうかということにつきましては、もちろん契約は守られるべきでありますし、高予定利率の方の契約は守られるべきなのですけれども、ここで想定しておりますのは、まさに破綻が起こった事態にどうするかということです。破綻が起こったときも、破綻した保険会社の高予定利率の契約者をどのくらい守るかという議論をしておりまして、守るときには当然お金が要るわけで、そのお金というのは機構のお金ですけれども、もともとはほかの保険会社の契約者から出てきているんだろうというときに、本当に破綻した会社の高予定利率の人を、例えばほかの保険会社の低予定利率に甘んじている契約者が本当にそのお金を出さなければいけないんですかというところの公平感ということを申し上げているわけです。

ですから、まさに負担するのは、ちょっと語弊があるかもしれませんが、賢明な選択をした、きちんとした保険会社を選んだほかの契約者の方が、一体破綻した保険会社の高予定利率の人のためにどのくらいコントリビュートしなければいけないんですかという問題で、多少そこはほかの保険契約と差をつけてもいいのではないですかということを申し上げているので、ちょっと誤解があるのかよくわかりませんけれども、我々としてはそういうことを考えてやっておるわけでございます。

それから、高予定利率の契約はどのくらいあるのかということにつきまして、実は明確な統計がないのではっきりしことはわかりません。幾つかサンプルで聞いたところのイメージで申し上げますと、保険契約者のベースで言いますと全体の2割ぐらい。ただ、その全体の数には団体で1年ぐらいの契約で入っていらっしゃる人もたくさんいらっしゃいますので、そういう方を除きますと、3割から4割の間ぐらいかなというようなイメージでおります。ただ、そうした方々は、責任準備金ベースでいいますと、昔から入っていらっしゃる方ですので、責任準備金は非常にたまっておりまして、マクロ的な責任準備金ベースで見ると、先ほど申しましたとおり半分が対象になります。したがって、資金援助額は大きく節約することができるということになります。

それから、金利の動向の話で、将来どうなるのかというのは、すみません、将来の話はよくわかりませんけれども、3%というのは、先ほどもちょっとお話ししましたが、破綻前の予定利率引下げの下限ということで、一つの基準と思っておりまして、それは今後の金利の動向によって、運用環境が改善していけば当然その数字は上がっていくべきものでありますので、時間がたつごとに高予定利率の人がだんだん減っていくというのと、金利水準が上がっていけば、この3%という数字も上がっていくということによって、対象にする人はどんどん少なくなるだろうと思います。

今後の金利水準の動向につきましては、すみません、私ではよくわかりませんので、池尾先生にお教え頂いた方がいいかもしれません。

それから、一番難しい質問は、過去5年間にわたる半分の根拠は何かということでございますけれども、ちょっと思い出して頂きますと、生命保険業界の方からは半分ではなく全額見たらどうかというようなお話があったわけです。もちろんその一つは、高予定利率の方々が、可能性としては逆ざやを生む、別にその方々が悪いわけではないのですけれども、客観的に見ますと逆ざやの原因になっているわけでございまして、それが破綻の原因になることが非常に多い。ただ、どのくらいそれがコントリビュートするかというのはなかなか計算しづらいものですから、非常にコントリビュートするかしないかという二つに一つだということで半分にしているということでございます。

すみせん、あまり説明になっておりませんけれども、以上です。

○ 岩原部会長

原委員の三つ目のご質問は、むしろ健全な保険会社の契約者が破綻した会社の契約者を救済するのに使われてしまうのは適当ではないのではないかという、むしろ逆のご質問だったわけですか、ちょっとそういうふうにも聞こえたんですけれども。そうだとすると、こういった保護制度そのものの存在意義を疑うようなご質問というふうにも聞こえたのですけれども……。

○ 原委員

おっしゃるとおりです。

○ 岩原部会長

それこそ池尾委員からご指摘があったように、保険的な制度と理解するならば、原委員のような御意見もあるところと思います。

ほかに何かご質問ございますか。

では、会長、お願いします。

○ 貝塚会長

経済学者の方お二人が言われたご意見とちょっと違うのですが、先ほどの預金保険との類推は、あまりやってしまうと具合が悪いです。預金保険は何といっても決済手段を担保しているもので、契約的には全部短期の契約であって、保険は非常に長期契約で、それは確かに国民生活にとっては非常に重要な役割を果たしているのですが、それがおかしくなったときにどうするかという話とは、大分話が違うのではないかということで、あまり類推はしない方がいいというのが私の意見です。ちょっとそれだけ申し上げておきます。

○ 岩原部会長

ありがとうございます。

いずれももっともなご指摘だと思うのですけれども、ただ、預金保険も今までの預金保険料の設定の仕方を考えると、本当に現実に保険になっているのか、むしろ大量に政府の資金が使われて全くバランスを失しているわけですから、それに比べますと、保険の方は今まで実際には政府資金を一円も使っていないわけです。実質から言うと、むしろ保険の保護制度の方が広い意味での保険になっているといえばなっている、それがいいかどうかは別ですけれども。

ただ、ご指摘のように、今までの保険の契約者保護制度というのは、むしろ緊急の必要に迫られて、現実に破綻が生じた会社の保険契約者を守るということから、緊急の制度として、いわば保険会社の間の相互援助的な性質を持つ制度として今まで運用されてきて、それがだんだん保険会社が全体として改善してきて、そういった緊急の制度というのを、先ほど安居さんあるいは池尾さんからのお話にもあったかもしれませんが、平時の制度に戻していこうということで、今回の制度改正はそのいわば一つのステップと私は理解しております。これから、まさに平時の制度に移していくときにどういう制度設計をすべきか、池尾委員、吉野委員のような預金保険的なものにしていくのか、あるいは貝塚会長がご指摘のように、保険の場合には長期ということで必ずしもそれだけでは割り切れない要素があると考えるのか、これらはまさに今後ここで検討していく必要あるのではないかという気がしております。

何かほかにございますでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○ 高橋委員

同じく8ページの保険契約の特性に応じた補償のところですが、一つ目のマルの特別勘定の部分に関しては、長年お願いしてきたことですので、全く異議ございません。

しかしながら、二つ目の高予定利率の契約云々というところに関しては、異議ありでございます。他社の契約者との公平感というところは、私もそれは納得をしております。資金援助をするほかの会社の契約者の低予定利率の方々の納得が得られないというのはそのとおりだと思うのですが、破綻した会社の中での契約者間の不公平感ということを言われるのであれば、それは違うというふうに思います。ですので、それを理由に挙げられるのであればこの案に反対せざるを得ないです。

一般の契約者の場合は、先ほどもほかの委員からご意見もありましたし、安居さんも別に悪いことをしたわけではないというふうにおっしゃっておられましたけれども、まさに個々の契約者が破綻に至るために何か悪いことをしたのかというと全くそういうことはないので、何かこういう措置を求められるということには納得感がないと思います。

ただ、高予定利率の契約の中で責任を問われてもいい契約、つまり破綻の原因になったんだからという理由をもってするのであれば、それに相当する契約はかなりの数あると思います。それは当該保険会社の役員及び従業員が持っている高予定利率の契約ということになると思います。それらを自分たちは温存しておきながら、現実には90年代後半から徐々に予定利率が下がったという表現がありましたけれども、「徐々に」ではないですね。かなり意図的に不正転換とか、あるいは新たなアカウント型への乗換えの勧めとか、そういう形で予定利率が下がってきた経緯があるのです。

ですから、一般の何も保険の仕組みをわからない契約者が高予定利率を低予定利率に引き下げられている中で、保険会社で保険の仕組みをよく知っている方々、それは役員であれ、従業員であれ、保険の営業職員であれ、そういう方々が自分の契約を最後まで守っているというのはやはり納得がいかないわけです。ですから、それはかなりの数に上ると思われまして、そこのところを下げれば、一般の方々、すなわち高予定利率であっても何の罪もない人たちにまで厳しい措置を強いる必要はないというふうに思います。個々の契約者間の不公平ということをおっしゃるのであれば、役員、従業員の保険というところに踏み込んで頂いて、それに関しては3%などというバーではなくて、現行の予定利率より上がっている分は全部無しと、このような状況でのカット率を設定すべきではないかと思っております。

以上です。

○ 安居保険企画室長

おっしゃったことはわからないでもないなというふうに思いますが、制度論として申し上げますとそのようなお考えもあり得るのかもしれませんけれども、制度として見たときには、会社の役員の方、従業員の方という性格の人たちと契約者という性格の人たちは、重なっていることもあるかもしれませんけれども、制度としては一応別にとらえていく。そうすると、契約者でそういう取扱いに差別をするかどうかというのは、もちろんあり得ない話ではないと思いますけれども、では、役員と従業員だけに限っていいのかとか、いろいろな考慮をしていかなければいけない話だと思いますので、現時点では直ちにそれがいいということもよくわからない。

ただ、考えてみますと、ここで議論しております場面というのは、まさに会社が破綻したという状況でございますので、それは役員にしろ、従業員にしろ、それ相応の不利益が生じているのではないかと思いますので、こうした「けしからん」ということを一体どういう形であらわしていくかというのは、必ずしもこの予定利率、補償率を変えるというところだけで判断していく問題ではないのではないかと思います。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございます。

それでは、翁委員、お願いいたします。

○ 翁委員

ちょっと将来像のところにかかわる話に戻ってしまうのですけれども、今回の18年~20年度というのは過度的な措置であって、最終的にどういう制度がいいのかということについて議論を深めていく必要があるのではないかと思います。例えば4,600億円という業界負担枠自体もこれからどう考えていくのか。また、恐らく事前積立という方向でやっていくことが重要だと思います。今までの危機に対応するというやり方ですと、厳しい市場環境でさらに負担を求めるということになって、預金保険でもプロシークリカルな問題点というのは指摘されましたけれども、同様の問題を持ちます。どういうふうに資金を拠出していくのが業界の負担にとっても望ましく、コストを小さくするのか。また、保険料の設定の仕方についても、保険会社のディシプリンをより高める方向に考えるにはどういうふうにすればいいのか、やはりそういうことをトータルに考えていって、セーフティネットの設計自体も保険会社の行動に影響を与えますので、そういったことを考えた長期的な制度づくりというのが必要なのではないかという感想を持ちました。

○ 安居保険企画室長

おっしゃったことは本当にそのとおりだと思っております。先ほどもちょっとご説明しましたとおり、今回は恒久的なファンディングの仕組みをつくりたいということで、基本的には業界からお金を出してもらって、3年ごとに見直す必要がないようなファンデーションをつくるというところがまず主眼でございます。ただ、それに対して、現時点では借入金もそれなりの額が残っておりますので不安だということで、政府補助を時限的につけて頂くということで全体の制度設計をしたところでございます。これとともに、今でも法律上は書いてありますが、今度も3年以内に業界による負担のあり方でありますとか、政府補助を存続する要否について検討しましょうという旨の法律上の規定も置こうと思っておりますので、また、そういう中で引き続き制度のあり方についてご議論頂ければと思っております。

○ 岩原部会長

原委員、どうぞ。

○ 原委員

二度目で申しわけありません、簡単にいたしますけれども、高橋委員がおっしゃられた内部の事情、役員とか従業員の方々が高予定利率の商品をどのくらいお持ちなのか。やはりそういう状況が世の中に知られれば、例えば銀行でも、銀行員の方は金利の高い預金をやっていらっしゃった時期がありましたけれども、非常に不公平感があると思いますので、そのあたりは、今日すぐこの場での結論ということにはならないと思いますけれども、お願いしたいと思います。

世の中的には、平成10年から12年ごろにかけて乗換えとか転換とかをおやりになったトラブルが表面化しつつあります。乗換え時の告知義務違反の訴訟も行われておりますし、例えば私の弟なども50代になったら、公務員の割には月4万もの保険料になっておかしいと。58歳までに死ななければ4,800万円が入らないとか言っておりまして、何か変な乗換えをしてしまったような感じがするのですけれども、そういうのが表面化してきていて、破綻というのは非常に特殊なことで、再生手続に入ればゼロというようなこともあって、負担がかからないということもあるかと思いますけれども、何かジワジワッと、乗換えとか転換とかで消費者側に負担がかかってきているというようなところも出てきておりますので、ぜひそのあたりの実態を明らかにして頂いて、会社全体としての責任のとり方ということもあるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○ 安居保険企画室長

まず、内部の方で高予定利率をどのくらい持っておられるのかというのは、すみません、承知しておりません。制度論としてそういったことが本当に必要なのであればまた考えたいと思いますけれども、今はちょっとそこまで考えがいっておりませんで、今ご提案しているような制度をまず仕上げて、将来の課題として考えていくというのがあり得る道かなと思っております。

○ 岩原部会長

先ほど野村、川本、根本3委員同時に手を挙げられましたので、レディーファーストで川本委員からお願いします。

○ 川本委員

ありがとうございます。簡単にいたします。皆さんおっしゃっていることですけれども、昨年1年ワーキングに参加させて頂いて、平時か緊急時かというところの認識もワーキングでは大きく分かれていたと思うのです。それために、その部分が結果として両論併記になりました。ですから、セーフティネットのあり方であるとか、保険会社のガバナンスとか、保護制度がいいのか、保険制度がいいのかというようなところまでは十分議論ができなかったということだと思うので、今後、平時のセーフティネットのあり方というのはどうあるべきかという議論を深めて頂きたいと思いました。

○ 岩原部会長

ありがとうございます。

では、根本委員、それから野村委員、お願いします。

○ 根本委員

高予定利率の契約については、私もワーキングに参加しておりまして非常に迷ったところですけれども、結論としては、やはりここでご提案頂いているような、補償率を下げるというのは次善の策としてやむを得ないのではないかと思いました。先ほど破綻会社の中でも公平性を欠くというお話もあったのですけれども、一方、これまでの長い期間、高い予定利率に応じた保険金を受け取れたメリットというのを享受してきたということもあるので、ある程度こういう扱いでもやむなしではないかというふうに思います。また、役員の方も、恐らくこうなった方がデメリットを受けるのではないか、仮に故意にそれを持っていらっしゃるとすれば、という気もするのです。あと、自己責任をある程度問える状況になっているとか、そういった環境的なこともあるのではないかと思います。

一方、インプリメンテーションとしては、契約者にとってのわかりやすさというのも一つの制度の目標だと思うので、例えば預金保険であれば1,000万円とか、何がリスクかというのはわかりやすいと思うのですけれども、契約者にとっては、もともと責任準備金と言われても大概の人はピンと来ないわけですから、さらにこの数式とか言われると非常に難しいので、どのくらいのリスクをとっているのかという試算とか、わかりやすい形で伝えることができたらいいのではないかと思いました。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございます。ごもっともだと思います。野村委員、お願いします。

○ 野村委員

先ほど来、高橋委員はじめご指摘のある点についてですが、そのほかもう一点お話しさせて頂きたいと思います。

まず、負担の公平の観点ですが、私自身、確かに高橋委員のおっしゃられることは実態として存在していると思いますし、大変大きな問題をはらんでいるというふうに思うのでありますけれども、世の中の事後的な救済の手段というのはこのセーフティネット一つではございませんので、このシステムの安定化のための制度の中にそういった要素を全部盛り込んでしまうのかということは考える必要があるかなというふうに思います。私のように法律をやっている者から見ますと、責任の追及の手段もたくさんあるわけでございまして、その中で、例えば破綻にどれだけコミットしたのかとか、そういった破綻に至るまでの経緯等々の、かなりさまざまな要因の中で誰が最終的な責任を負うべきなのかということを議論すべき局面もほかに用意されておりますので、今後消費者保護に関する法制度の整備等も進んでおりますので、そういった中で最終的なリスク、一たんは負担したリスクがまた役員の責任追及の形で還元されるといったようなこともあり得るのではないかと思っています。

もう一点は、やはり行政の取り組みとして、とにかく破綻させてもらっては困るわけでありまして、保険回り、生命保険回りのところでは、例えば変額年金保険の最低保証リスク等についての責準規制などはやや後手に回ったという感があると思います。本来変額年金と言っても、変額年金保険はいわゆる投信と同じようなリスクですから、本来契約者の方が負担すべきリスクという設計もできるわけでありますけれども、過去の変額保険のトラウマみたいなものがありますので、こういう形の商品設計になっている。これは早い段階からわかっていたわけです。私などもおかしいと前々から思っていたのですけれども、こういったようなリスクについての規制がやや後手に回っている部分をぜひ慎重に検討して頂いて、今後またコングリマリットなどもありますので、どういうリスクが保険会社の方に生ずるかよくわかりませんので、できるだけ早目の監督体制の整備をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございます。

確かに新しいタイプの商品なども出てきて、そういうものに対する保険料の設定、その他リスク管理の体制がまだまだ必要ではないかという点はワーキングでも指摘されていたところでありますので、今後ぜひそういう点の整備を図って頂きたいと思います。まさに平時への移行を含めて、保険ワーキングにはさらに何か課題がかけられたようで、山下委員、よろしくお願いします。

ほかに何かございますでしょうか。

○ 高橋委員

野村先生、ありがとうございます。私も制度的に難しいというのはわかりつつ発言させて頂きました。おっしゃるとおり、責任追及の方法というのはいろいろあるわけですから、一般の方々がそういうことも知った上で、総代会や株主総会がきちんと機能するのであれば、そこのところで開示を求めたりしていくべきであると思いますので、今回はその第一歩を築きたいというふうに思いました。私が機能しないだろうと言っております破綻前の既契約の予定利率引下げ制度も、もしそういうふうな申し出があったときには、まさに一般契約者が従業員あるいは役員に既契約の引下げを迫って、それで済むのであれば、そこで大きな問題にならないわけです。そういうことも含めて今日あえて申し上げましたので、マスコミの方々もぜひ書いて頂きたいと思っております。

以上です。

○ 岩原部会長

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、まだご意見があろうかとは思いますが、予定していた時間になりましたので、本日はこれまでにしたいと存じます。何か特にご発言をということはないでしょうか。よろしゅうございましょうか。

それでは、本日事務局からご提示頂きました内容につきましては、大変活発なご意見を頂きましたが、こうしたご意見も踏まえまして、基本的にはこういった方向で保険業法の改正に向けてさらに検討を進めて頂くということで当部会としてはご了承したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、そのようにさせて頂きたいと思います。

なお、この後、私と事務局の方とで記者会見を行いまして、本日の会合の模様等について簡単に紹介をさせて頂くことにいたしたいと思います。

最後に事務局の方からご連絡等がございましたら、お願いしたいと思います。

○ 安居保険企画室長

次回の第二部会の開催につきましては、また部会長ともご相談いたしまして、改めてご連絡をさせて頂きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局からは以上です。

○ 岩原部会長

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させて頂きます。

どうもありがとうございました。

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