金融審議会金融分科会第二部会(第12回)議事要旨

1. 日時:

平成15年3月27日(木)10時00分~12時20分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 特別会議室

3. 議題:

  • リレーションシップバンキングのあり方に関するWGの報告書について

  • 金融再生プログラムを受けて設置されたWGの審議状況について

  • 保険業法の一部を改正する法律案について

  • 保険募集に係る構成員契約規制について

4. 議事内容

  • 金融再生プログラムを受けて第二部会に設置されたリレーションシップバンキングのあり方に関するWGについて、事務局より同WGの審議経過の報告及び報告書の読み上げが行われた後、同WGの堀内座長がコメントを付け加えた。引き続いて審議が行われ、同WGの報告書を第二部会の報告書として公表することが了承された。

  • 事務局より、金融再生プログラムを受けて設置されたその他のWG(信託に関するWG、公的資金制度に関するWG、自己資本比率規制に関するWG)の審議状況について、説明が行われた。

  • 事務局より、3月14日に国会に提出された「保険業法の一部を改正する法律案」について、説明が行われた。

  • 「保険募集に係る構成員契約規制」について、事務局より説明が行われた後、審議が行われ、引き続き検討を行うこととなった。

(堀内座長によるコメントの概要)

  • 日本経済の現状を踏まえると、地域経済や中小企業の活性化を進めるためには、リレーションシップバンキングにある程度依存せざるを得ない。しかし、このことは、必ずしも中小・地域金融機関の現状に満足していることを意味するものではなく、中小・地域金融機関にはさらにいろいろな形で頑張っていただきたい。

  • 当WGは、リレーションシップバンキングをどうみるかという比較的限定された視点から議論を行ったことから、資本市場の機能といった点については触れていない。しかし、資本市場が重要ではないということではなく、長期的にみると資本市場の本格的な機能を導入していくことが必要という認識はある。

(自由討議における主な意見等)

【リレーションシップバンキングのあり方に関するWGの報告書関係】

  • コンサルティング機能については、企業経営と銀行の融資との関係で、場合によっては企業の経営判断に対して介入しすぎる恐れがあることに注意すべきではないか。

  • 地域金融機関の将来について、自己資本の充実という形で自立していくという方向性も模索していくべきではないか。

  • 報告書13ページ以下の取組みについては、金融機関の自主性に委ねるべきであり、金融行政が今後考えていかなければならない課題なのか疑問。監督当局がどのような規制体系を組み立てていくかということは、24ページ以下の「監督当局の規律」というところに集約されるということでよいか。

    → 13ページ以下の取組みは、私的な企業体としての金融機関が個々に選択すべき課題であり、金融行政のターゲットという書き方はしていない。

  • 報告書25ページの「中小・地域金融機関の不良債権の特性を踏まえた処理」という表現はややあいまいであり、26ページでは、決してこれは先送りではないと書かれているが、これが根拠になって処理が先に進まないのではないかという心配はある。

  • 報告書にあるリレーションシップバンク的な役割は、必ずしも地域金融機関に限定されるものではないと考えられる。

  • 中小・地域金融機関に預金をする者の立場からは、経営が安定しているかどうかは大変気になるところであり、リレーションシップバンキングの機能があるからといって、不良債権処理を見逃すといったことにはならない。地域経済の中には、地域金融機関の預金者も含まれることに留意する必要がある。

  • 2年間の集中改善期間の終了後に向かって地域金融機関がこの報告書を真摯に受け止めて努力をされるということが一番のポイントだと思う。世の中全体として注目していただければと思う。

  • 報告書12ページで付加価値の高いサ-ビスを行っていくようにということで、コンサルティング機能とかビジネス・マッチングのための仕事をせよと書いてあるが、問題は、銀行がどこまでファイナンシャルアドバイザー業務をやれるのか、法律上の根拠がはっきりしないことであり、銀行としては、なかなか新業務に踏み切れないところもある。報告書では、銀行にいかに儲けてもらうのかということに対する配慮が少ないのではないか。銀行がきちんと儲かるような体質にするために監督官庁ができることは、どこまでの業務を銀行が行ってよいのかをはっきりさせることである。このことを行政の方で考えないと、報告書に書いてあることはなかなか実行に移し難いと考える。

  • 地域金融機関は、不良債権の最終処理を迫られている主要行と異なる取扱いとなることから、実際の最終処理のミクロの段階でフリクションが起きないか心配。例えば、ある債務者に多数の取引先金融機関があって、その中に1行だけ主要行があるといった場合に、主要行が処理を急ぐことについて顧客の理解が得にくいといった事例が想定される。このような場合でも基本的には自己責任の問題であるが、今後、想定以上のフリクションが生じた場合は、その時点で対応策や補完策を考えていただきたい。

  • リレーションシップバンキングをもっとも効率的に行っていく上での適正規模というのがあると考えられる。あまりにも規模が大きくなってリレーションシップバンキングがうまく機能しなかったという事例もあるかと思うが、今回の報告書を地域金融機関の経営統合のスタンスにどのように反映させていくのか。

    → 規模が大きくなければならないという議論はなかった。むしろ、中小金融機関のガバナンスのあり方に関して見直していく必要があるのではないかという議論があった。

  • 集中改善期間後にどういう姿になるのかが一般国民には分かりづらいような気がする。

  • 中小金融機関は、預金に比べて明らかに貸出が少ないという状況の中で、金融プロパーというよりも産業政策等の中で問題を解決していかないとうまくいかないと思う。リレーションシップバンキングの強化と同時に、政府全体として、地域経済に関する政策をより強化していっていただきたい。

【保険業法の一部を改正する法律案関係】

  • 改正法では、生保のセーフティネットに財源措置が講じられたことに加え、保険会社の経営の選択肢の拡大等前向きな対応がなされている。政省令においても具体的なニーズに基づいた手当てを行っていただきたい。

  • 今回の財源措置は3年間の暫定的な措置であり、その後のセーフティネットのあり方について当審議会で早急な検討をお願いしたい。特別勘定資産の保全については今回は実現されていないが、実現されるようお願いしたい。

【保険募集に係る構成員契約規制関係】

  • 構成員契約規制については、損保業界は過去から廃止を主張してきている。消費者利便の向上が阻害されており、事前に一律に禁止するのは過剰な規制である。昨今の銀行窓販の状況を見ると、益々廃止すべき時期に来ていると思う。全面禁止という対応ではなく、規制緩和の上、必要があれば弊害防止措置を講ずるという考え方に立って考えるべきである。

  • このルールは、雇用関係の実態を踏まえれば、消費者保護の観点から非常に重要なものである。このルールを見直すと、圧力募集の問題が発生し、顧客の自由意思よる加入を充分担保することは困難である。銀行窓販についてはスタートしたばかりであり、どのような問題が起こっているか結論を出すのはまだ難しい。昨年の8月に見直しが行われ、充分に機能していることから、このルールは堅持すべきと考える。

  • 昨年、ある程度実効性のある措置が一部採られたことは事実であるが、構成員契約規制との関係で、顧客に勤務先を聞くというのは違和感がある。顧客利便性の観点から、この規制については撤廃すべきと考える。

  • 生命保険契約は、どういった属性の人であるかを確認して加入の手続を進めるのが通例である。顧客に理解してもらい、そういったデータをいただいている。こうした点も理解いただきたいと考えている。

  • この問題は検討が進んでいないと認識している。金融庁の内部で検討を行ったということがあれば、実態等を踏まえて報告して欲しい。消費者の目線に立ち、不要な規制は撤廃すると同時に新たなルールを作ってもらいたい。英国の金融サービス市場法のような横断的な市場・取引ルールを構築しないと本当の意味での消費者保護にはならないと考える。

    → この問題については毎年お諮りしているところであるが、今年度について言えば、銀行窓販の開始を契機として、転籍や出向の定義について明確化したが、その過程でどういう規制のあり方がよいのかということを議論してきた。今後については、今日の議論を踏まえ、審議会等の場で対応したいと考えている。

  • 構成員契約規制については10年来検討が行われている。状況はかなり多様化していることから、今の段階で、金融商品の勧誘についてしっかり議論してほしい。内閣府において消費者政策の議論が行われているが、その中で勧誘のあり方が大きな論点になっていることから、このような論点とリンクさせて実質的な議論を進めて欲しい。

問い合わせ先

金融庁総務企画局信用課
電話03(3506)6000(内線3587,3569)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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