金融分科会第一回会合議事要旨

1. 日時:

平成13年2月22日(木)15時00分~17時00分

2. 場所:

霞ヶ関東京會舘「ゴールドスタールーム」

3. 議題:

金融分科会における今後の審議について 等

4. 議事内容

  • 委員の互選により、蝋山 昌一(ろうやま しょういち)委員が分科会長に就任した。また、蝋山分科会長の指名により、田中 直毅(たなか なおき)委員が分科会長代理に就任した。

  • 事務局より議事規則等について説明があり、今後の議事手続等について以下のとおり了承された。

    • 今後、部会を含め、原則として会議を公開することとする。ただし、率直な意見の交換、意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れがある等、分科会長・部会長が特に必要と認めるときは非公開とする。公開の対象については、会場の都合等も勘案し、当面、金融庁を担当する記者クラブに所属する記者で各社1名とする。実施後の状況を見つつ、将来は、一般への公開も検討。

    • 議事録について、従来は節目節目に公表していたが、今後は会議の都度、事務作業が終わり次第原則公表する。等

  • 金融分科会における今後の審議等について事務局より説明がなされた。各部会における審議事項に関し、ポイントは以下のとおり。

    • 第一部会においては、証券取引のグローバル化・情報化等に対応した市場インフラ、取引の枠組み・ルールの整備等といった大きな切り口からご議論を深めていただきたい。

    • 第二部会においては金融仲介機能のあり方に関する各種事項として、(1) 金融機能の向上に関する諸問題(例えば、銀行社債の発行手続きの改善、銀行による事業会社の株式取得制限 (現行5%上限) 等の見直し)、(2) 国民のニーズに応えた金融インフラの整備(信託業法における行為規制をはじめ信託取引の全般的なルール整備について勉強を開始)、(3) 保険会社をめぐる総合的な検討(資本基盤充実手段や新商品提供の促進、ディスクロージャーの改善やガバナンスの在り方等)、(4) 国際的な観点も踏まえた金融機関監督、といった事項についてご審議いただきたい。

    • 特別部会においては、金融分野における個人情報保護等の在り方について、現在内閣官房において立案作業が進められている個人情報保護基本法制に加えて、どのような別途の措置が必要かということ等についてご議論いただきたい。

  • その後、自由討議が行われ、金融分科会の下に、第一部会、第二部会、特別部会を設置することが了承された。また、分科会長より、第一部会長に神田 秀樹(かんだ ひでき)委員、第二部会長に福井 俊彦(ふくい としひこ)委員、特別部会長に倉沢 康一郎(くらさわ やすいちろう)委員が指名された。

    自由討議での主な発言は以下のとおり。

    • 金融分科会での議論においては現実との密着性・適合性を如何に確保するかが大事ではないか。金融システムをめぐる状況は、議論をしている間にも時々刻々と変化している。例えば第二部会で金融機能の向上について議論していく上では、特定のテーマの継続的な議論のみならず、現実にレレバントな議論もできるようにしていくことが必要ではないか。

    • 審議会としては、大きな流れを見極めて、その流れを実現させるための議論・提言をしていくことが適切なのではないか。

    • 金融分科会では骨太の議論をしていくべきだと考える。これまで、国全体としていろんな問題にパッチワーク的に対応してきているが、今後は、基本のアーキテクチュアを議論し、その上に立って、実際の諸問題を対処していくことが重要である。審議会の役割は、基本となるプリンシプルを議論することではないか。

    • 金融分科会において、現実にレレバントな議論をしていただくことを排除するものではないが、現実の問題については日々動いているため、行政の方で「待ったなし」で対応しているようなところもある。金融分科会においては、それと合わせたペースのご議論をいただくよりも、むしろ、基本的な流れに関するご議論をいただければと考えている。

    • 金融審議会の委員等が現実の諸問題に対してどのような意見を持っているのか、事後的にでも行政側に伝えることができるようにしていくべきではないか。

    • 金融分科会として、お互いに意見交換するフォーラムのようなことができるのかどうか考えてみたい。

    • 保険の問題を考えるにあたっては、銀行と生保、預金と生命保険は異なるという基本認識が必要。生保については金融システムに対する影響はあるが、間接的であり、預金者保護が求められているわけでもないので、できるだけ公的資金による負担は小さくして、保険契約者の負担、保険会社の合理化努力等で対応することが原則であるべき。予定利率の引き下げについても、当局の命令によるとするのではなく、自主的に対応できることとすれば、こうした枠組を保つ上で役割を果たせるのではないか。したがって、予定利率引下げの問題についてもタブー視せずに議論していくべき。

    • 第一部会は市場、第二部会は仲介、という切り分けとなっているが、今後の金融の大きな流れとして、市場と仲介については、棲み分けるものとか、代替的で対立するものとは考えるのではなく、補完的な存在として考えていくべき。こうした考え方の下、金融分科会として、全体のアーキテクチュアを考えていく機会を作るべきではないか。

    • 年金や投信等の個人の資産選択・形成の問題をとってみても、市場と金融仲介の両方に密接に関連していることから、こうした問題については適切に議論していけるようにすべき。また、審議事項のうちどれから議論していくこととなるのか、また、これらの審議事項だけで十分と言えるのか。

    • 審議事項及び部会構成については、現状に即応した制度整備が必要な事項等について、これらを適切にグルーピングして議論いただけるような体制ということで、機能的な考慮もなされているのものであり、世の中のあらゆる問題を整理した上でこのような部会構成とすることとしてはどうかと考えているわけではない。トップダウン型のアーキテクチュアに関する議論については、「金融の基本問題に関するスタディグループ」において始めているところ。

    • テクニカルな議論をしていては生保は救えない。生保は30~40年間の事業であり、目先の流行ばかり追っていたら全体を見失ってしまう。生保については国家の社会保障を支える二本柱の一つと考えるべきとの意見もあり、生保産業に対して、理念・価値観を持たせ、使命感を明確にさせることが必要。保険に関する総合的な検討においては、例えば、生保の長期性と会計上の問題とか、また、破綻に至る前の早期是正として予定利率の引下げも含めた何らかの方法を考えるなど、問題を問題として真っ正面から捉えた骨っぽい議論をすることが必要。

    • 第二部会の方が比重も緊急度も大きいように感じる一方、第一部会に関する基本的な方向性は、既に金融システム改革でかなり明確になっているのではないか。

    • 金融をめぐる情勢は激しく動いており、課題の設定は難しい面がある。部会の体制はともかく、いずれにしても重要なことを先行的に審議していくことが重要。

    • 今後2年間の審議を見据えて、第二部会では現時点で考えられる項目を提示しているが、これら全てを同時に進めていただくことは想定していない。いずれにしても、全ての事項について金融分科会のレベルでご議論いただくのではなく、ある程度のまとまりに分けて部会でご議論いただかざるをえないと考えている。

    • 法制審議会では、これまで、民法、商法といった法律毎の部会等を設けていたが、これが改革され、総会の下にテーマ毎にサンセット方式で部会を設置し議論を行う構造となった。

    • 金融分科会でも、第一部会、第二部会ともに、例えば個別の項目毎に小グループをつくるなど運用面で工夫することとすれば、法制審に近い形になるのではないか。

    • 制度的な手当てが必要なものについては、できるだけ制度改正のスケジュール等を示していただきたい。また、業界の人が入っている会議の模様については、当局による議事録の公開等に先立って、業界内に流れてしまうが、我々の議論にいろんな影響を与えるなどの問題もあり、これに関して一定のルールが必要ではないか。生保に関して、予定利率の引下げを議論するにあたっては、各社が費差、死差も含めた三利源を開示しないと国民の理解は得られないのではないか。

    • 今の第二点目の問題に関していえば、金融分科会として、今後は、できるだけ会議を公開するとともに、議事要旨も従来よりも詳しいものを早めに公表していくこととしており、こうしたことで対応していきたい。

    • 業界からの参加者におかれては、業界・企業の代表としてではなく、公益の代表者としての立場に立って、会議のメモ等をご利用いただければと思う。

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3514、3515)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。


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