金融審議会総会(第15回)議事要旨

1. 日時:

平成14年11月18日(月)10時34分~12時02分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

「金融再生プログラム」について

「預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案」について

4. 議事内容

  • 貝塚会長より開会の挨拶があった。

  • 竹中金融担当大臣、及び伊藤金融担当副大臣より挨拶があった。

  • 事務局より、「金融再生プログラム」(以下「再生プログラム」)に加え「改革加速のための総合対応策」の再生プログラム関連部分について報告があった。

  • 事務局より、第155回国会に提出された「預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案」について報告があった。

  • 自由討議における主な質問や意見は以下のとおり。

  • 再生プログラムは、金融庁関連事項と税制等他省庁関連事項とが混在しているが、後者についてはその具体化が不透明ではないか。

→ 税制については、税制改正要望を財務省に提出しているところ。

  • 産業再生と金融再生を一体で実施しなければならないという理念は理解するが、実際の産業再生機構の運営は非常に難しく、下手をすると不良債権が塩漬けにされ、その結果産業再生ではなく産業保護機構になってしまう恐れもある。そうならないための透明公正で中立的な基準というものは、果たして策定し得るのか。

→ 11月8日には内閣府に産業再生機構(仮称)設立準備室が設置され、12日には産業再生・雇用対策戦略本部が設置されている。ご指摘の点については、今後、金融庁を含め政府一体となって議論が進められることになる。

  • 特別支援金融機関の概要が世間にうまく理解されていない。長銀や日債銀の破綻の時のように株式の価値がゼロになってしまうのか、それともそうではないのか。マーケットの関心は専らそこにあり、銀行株の売り圧力もそれによって随分変わってくる。当局として、この点を丁寧に説明していく必要がある。

  • 再生プログラムには、金融機関保有株式の価格変動リスクへの対処として、「日本銀行による金融機関保有株式の買い取りの円滑な推進を期待する。」としているが、その他に何か行う必要はないのか。

→ 事業法人による銀行等株式の処分の円滑化を図るため、一定の要件下で銀行等保有株式取得機構による事業法人からの銀行等株式買い取りを可能とする銀行株式保有制限法が、議員立法として本年の通常国会に提出されており、今臨時国会において継続審議中である。

  • 金融機関が特別支援金融機関になった場合に、早期健全化法に基づく中小企業貸出枠の扱いはどのようになるのか。金融機関に不良債権の処理を要請する一方、リスクの高い中小企業融資に貸出枠を設定することには、矛盾があるように感じる。

→ 早期健全化法に基づき資本増強が行われた金融機関については、同法及びこれに基づく告示に従って、中小企業融資に対してきちんと履行するよう求めていく。他方、特別支援金融機関については、危機対応として所要の措置を講じていく。

  • 公的資金の投入について、必要な場合には現行の預金保険法に基づき速やかに投入するとしている一方で、新しい公的資金制度の創設を検討することとしているが、後者の新しい制度とはどのような性格を有するものを考えているのか。

→ まず、預金保険法第102条以外に迅速な公的資金投入を可能とする新たな制度を創設する必要があるのかどうかを検討し、必要があるということになれば法的措置を講ずるとの趣旨である。

  • 中小・地域金融機関の不良債権処理については、平成14年度内を目途にアクションプログラムを策定することとされているが、具体的にどのようなスケジュールで策定するつもりなのか。

→ 現在、工程表を作成しており、その中で事務的に詰めているところ。

  • 再生プログラムを実施することによって、本当に平成16年度までに主要行の不良債権比率は半減するのか。現在のような経済状況が芳しくない中では、新たな不良債権の発生が予測されるが、これらについてはどのように考えているのか。

→ 不良債権問題については、金融再生プログラムに示したシナリオに沿ってこれを解決に向かわせると共に、経済全体の運営については、デフレと不良債権問題とをどのように整合的に解決するかについて、「構造改革と経済財政の中期展望について」(平成14年1月閣議決定)の見直しを行っているところ。

  • 金融庁には、不良債権処理に是非総合的・抜本的に取り組んでもらいたい。その際には、行政がかなり強権的に出て行かざるを得ない場合もあると思うが、以前のような監督行政に戻るというのではなく、金融システムが自律的に働いていくようなルールの整備こそをやってもらいたい。

  • 外部監査について、その担い手は一体誰なのか。そして、その担い手が十分手当てされるような具体的な取組みは考えているのか。

→ 外部監査については、公認会計士が大きな役割を担うことになる。公認会計士のあり方については、現在、本審議会公認会計士制度部会において精力的に検討いただいているところ。部会での検討結果を踏まえ、法改正が必要な部分については、法案をできるだけ早く、例えば次期通常国会に提出したい。

  • 世間には金融関係の情報が氾濫しているが、その割には消費者へ正確な情報が伝わっていない。消費者への情報提供のあり方について、是非検討いただきたい。

  • 決済性預金は、来年4月にペイオフが解禁されることを前提に、本審議会において極めて短期間に検討を行ったものであり、異論も多く、時間切れで導入が決まったもの。ペイオフ解禁を2年遅らせてもなおこれを導入する理由は何か。

→ 我が国の決済システムが過度に銀行預金に依存しているという現状においては、決済の新手段を用意しておくことにはやはり意味があり、そのため、法案を予定どおり国会に提出することとしたもの。

  • 今まで国民は、来年のペイオフ解禁を控えて金融機関の選別を進めてきたが、解禁を2年遅らすということは、国民にしばらく様子を見よということなのか。それとも今までどおり選別を進めよということなのか。国民からは政府のメッセージがわかりにくい。

→ ご指摘の点については謙虚に耳を傾け、政府のメッセージをきちんと国民に伝えていきたい。ただ、金融をしっかり改革して強くしていくという決意は今回のプログラムで示せたと考えており、このことを様々な機会に説明していきたい。

  • 再生プログラムは、「国民のための金融行政」ということを高らかに謳っているが、これから市場に参加しようとしている消費者を含めた消費者保護について、どのような取組みを進めていくつもりか。

→ 現在、内閣府においても消費者保護の見直しについての議論を行っているが、これとの連携も強めながら、引き続き検討していくべき重要な課題と認識している。

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課調査室
電話 03(3506)6000 (内線 3514,3515)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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