金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」(第8回)議事録

1.日時:

平成24年10月16日(火)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○藤本信用制度参事官

ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。5つの資料を配付しております。右肩に資料1と書かれたもの、これは外銀支店関係でございます。それから、資料2、これが大口規制関係。資料3が、大口規制の監督関係の資料でございます。参考資料1、2とありますのは、これは以前このワーキングで使用した事務局説明資料でございます。参考1のほうが大口、参考2のほうが外国銀行支店となっております。確認をお願いいたします。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

それでは、ただいまより「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」第8回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきましてまことにありがとうございます。

それでは、本日の議事に移らせていただきたいと存じます。本日、第8回はまず「外国銀行支店に対する規制」につきまして議論をしたいと思います。事務局からの説明をお願いいたします。

○藤本信用制度参事官

資料1と書かれたものでございます。事務局参考資料。ページを1枚めくっていただきます。外国銀行支店に対する規制について、これまでの議論の整理を行ったものでございます。

論点1、外国銀行の参入形態・業務範囲ということでございます。これまでの主な議論といたしましては、支店形態でのリテール預金の受け入れを認めない方向がいいのではないか。一方で、それは理想なんだけれども、既に進出している外国銀行に現地法人化を求めることは困難ではないか。参入形態は選択制でよいが、いずれの場合も預金保険制度の対象とすべきではないか。

※印のところでございますが、WTOの金融サービス貿易協定において、我が国は進出形態ということでは留保していない。一方、信用秩序維持のための措置をとることは妨げられていない。諸外国ではリテールの場合については支店形態の進出を認めませんといった制度の例もあるんですが、その場合はWTO協定上留保しているということでございます。

右の議論の整理でございます。主要国を見てみますと、現地法人に限定、支店形態だけは認めるけれども、預金の受け入れを制限、支店形態でも預金保険制度の対象といった条件のもと認められております。我が国においても、支店形態のリテール預金の受け入れを認めるべきではないという意見がございました。ただ、既に支店形態で進出している外国銀行に現地法人化というのは現実的ではないのではないかという意見がございます。また、WTO協定上という条約の履行ということもあります。

他方、外国銀行支店に対しては、国内資産保有義務等がありません。それから、預金保険制度の対象外でもあります。こういうことを踏まえて、預金者保護の観点から一定の規律が必要ではないか。このため、信用秩序の維持に反しない限度で支店形態のリテール預金の受け入れを認めるとともに、国内資産保有義務等の規律を導入することができるのではないかということでございます。

例えば免許付与の審査基準等について次のようなことを明確化することが考えられないかということで、まず第1に、リテール業務を行わない旨の申請があった場合、その後リテール業務を行うこととする場合には事前承認とする。支店形態で進出したいんですという免許申請があったときには、リテール預金の受け入れの有無とか、その態様、規模、決済システムとのかかわりの深さ等の状況・対応に照らして、信用秩序の維持の観点から、支店形態での免許付与が適切か否かを審査するということが考えられるのではないかということです。

2ページ目でございます。自己資本比率規制・早期是正措置です。現在、法律・政令ではかけることが可能ということにはなっているんですが、今、自己資本比率基準が定められておらず、空振りとなっていると。

これに対しては両方の観点からの意見がありまして、外国銀行支店レベルでも自己資本比率規制を適用すべきではないかという意見があった一方で、それが実際にどれだけ預金者保護になるのか、実効性があるものなのかといったご意見がございました。

議論の整理でございます。外国銀行支店に自己資本比率規制をかけるということについては、バランスシート上に資産があっても、母体の外国銀行が破綻するといった場合に、実際に国内に資産がなければ、結局、預金者が十分な弁済を受けられないのではないか。実効性の観点から慎重な検討が必要ではないかということです。諸外国を見てみましても、支店単位で自己資本比率規制を設けている例はほとんど見られないということでございます。むしろ、後に出てきますが、国内資産保有義務、資本金規制等の手段によって預金者保護を図ることが適切ではないかという投げかけをしております。

3ページ目、資産の国内保有規制・利益準備金規制、流動性規制でございます。上のほうですが、緊急の際の命令として、資産のうち一定部分を国内において保有することを命ずることができるというふうにされております。一方、外国保険会社・外国証券会社に対しては、国内の資産保有が義務づけられているということがございます。

左側のこれまでの主な意見ということでございますが、国内資産保有規制を考えていく必要性があるのではないか。国内に資産があるというのは、国際的な協調においても大きな力になるのではないか。一方で、外国銀行のビジネスモデルを阻害するのではないか。ただ、そこに過分に立ち入る必要はないけれども、次善の解として何らかの資産保有規制を課すことはやむを得ないのではないかというような意見がございました。

右側でございます。現行の保有命令というのは非常時を念頭にしたものでございますが、その命令に反して海外に持ち出されてもそれを取り返すことは私法上困難だということでございます。そういうことで、平時から何らかの保有義務規定を新設することが考えられるのではないか。一方で、国内の資産保有の義務というのは、外国銀行支店のビジネスモデルを阻害する懸念もあるとの意見もありました。

以上を踏まえて、預金等の負債相当額の一定部分について、国内で資産の保有を義務づける一方、外国銀行支店のビジネスモデルを過度に阻害することのないよう、規模とか、どういう方法で保有するかといったことについて実態を踏まえたものにする必要があるのではないか。また、外国銀行の在日現地法人及び国内銀行についても同様の措置を検討する必要があるのではないかということがございます。

なお、将来、銀行の破綻処理に関する国際協調の法的枠組みが確立すれば、世界中のどこに資産があっても理想的には分配が受けられるということですが、改めてこういう規制が必要かどうかは検討する必要がある。それから、保険業法とか金融商品取引法ではそういう規制があるんですが、違反した場合には過料何十万円といったものになっておりまして、そういう罰則を強化することも必要ではないかということでございます。

3ページの上ですけれども、2つ目の丸で、外国銀行支店に対して、20億円に達するまで当期純利益の10分の1を利益準備金として計上し、当該準備金の額に相当する資産の国内保有を義務づけているという規制がございます。これについては4ページでございますが、意見として、20億円という金額の是非も含めて実効的な規制ではないというご意見がありました。現在は、純利益が生じた段階、もうかれば、その10分の1を国内で保有させると、こういう規制であります。これが預金者保護の観点から不十分であると考えられるのではないかとの意見があります。

本規制にかえて、国内で銀行の免許を受ける際には20億円という最低資本金があるんですが、その額を義務づけることが適当ではないか。徐々にもうかるたびに積んでいって、達しているところはあまりないみたいなんですが、20億円に達するところまでという現行の規制よりも、最初から20億円を保有させるのではどうかということです。なお、既存の外国銀行支店は、急に20億円といったものについては困難な面もあるかもしれませんので、経過措置を設けることが考えられるのではないかということです。

次に、流動性規制です。バーゼルIIIで流動性規制の導入ということになっているわけでありまして、外国銀行支店に対してもそういったものを導入することは考え得るんですが、バーゼルIIIの基本的な考え方というのは、支店レベルというか、拠点レベルでの流動性というよりも、グループ内あるいはエンティティ内で適切に流動性が確保されるように総合的に管理するというような思想でありますので、少し思想が違うかもしれないというのが1点。それから、バーゼルIIIの施行が2015年で少し先でございまして、国内銀行への適用のあり方もまだ確定しているわけでない部分もあるということで、そういうものも踏まえて引き続き検討する必要があるのではないかということです。

5ページ目です。外国銀行支店の破綻法制となっていますが、現在ありますのは、一番上ですが、銀行業の免許が取り消されたときなどに、日本にある財産の全部について清算をしなければならないとされています。それから、会社法の特別清算を銀行等に限っては特別な規定がありまして、監督当局が申し立てることが可能とされています。一方で、更生特例法は適用されておりません。監督当局の、更生手続とか再生手続、破産手続の開始の申し立て権はないという状況にあります。

参考までに※印のところですが、外国保険会社という、支店形態で進出してきている保険会社についてですけれども、特別清算の規定も銀行法と同じようにあります。それから、更生特例法上、監督当局による更生手続、破産手続の開始の申し立て権があります。あとは、保険契約者保護機構というのは、更生手続、破産手続において保険契約者に係る権利を代理することとされていて、保険管理人となることもできるといったようになっています。保険業法のこうした制度はいろいろな組み合わせで使われたり、この場合はこれを使い、あれは使わなかったりという場合もあるんですが、一応いろいろな制度が整備されているということでございます。

これまでの主張ですけれども、特別清算を中心に考えていくということなんだろうかとか、あるいは再建型の手続も検討すべきではないか。あるいは、一般の預金者が外国での手続に参加するということは困難ではないのか。預金保険機構が一定の役割を果たすということが考えられるのではないか。国際協調のもと、並行倒産手続の間の手続の協力を認めていくという考え方もあるのではないかといったことでございました。

議論の整理でございます。外国銀行の外国での破綻に一般の預金者が実際に参加するというのは事実上困難ではないか。何らかの預金者保護のための対応が必要ではないかということです。特別清算以外の民事再生等の手続についても制度整備が必要ではないか。

このためということで、3つ並べております。外国銀行支店を金融整理管財人制度の対象とする。どこかの時点で、経営権のようなものを、国内における代表者というような位置づけかもしれませんが、経営権を掌握する。それから、更生特例法を適用することによって、民事再生手続等の申し立て権や保全処分の申し立て権を当局に認める。それから、個々の預金者が外国倒産手続に参加するのではなく、預金保険機構が預金者のために参加することができるような措置を講ずるということでございます。いずれにしましても、国際的な協調も重要でございますので、そういうものの進展に応じて、将来的にそれに国際的ないろいろな枠組みができるに従って将来的に検討していく課題も多いと考えております。

6ページでございます。預金保険制度。現在は対象外となっている、外国保険会社は保険契約者保護制度への加入が義務づけられている、欧州では預金保険に強制加入ということになっています。

これまでの意見ですが、これはさまざまなご意見がございました。外国銀行支店であっても、付保対象にすべきではないか、強制加入にすべきではないか。ほんとうは現地法人形態のみリテールを受け入れさせるというのが論理的には理想だけれども、それが困難ということであれば、外銀支店を預金保険の対象とすることは適当なのではないか。一方で、資産の国内保有義務、資本金規制等をセットとして義務づける必要があるのではないか。あとは、更生特例法によって、監督当局による破産等の申し立て権を認める場合は、預金保険の対象とすることを考える必要があるのではないか。

預金保険の対象とする場合、次のページですが、決済性預金の使われ方に留意が必要ではないか。外銀支店のビジネスモデルはさまざまなので、預金保険加入も含めて、一律の規制は適当ではないのではないか。それから、趣旨として、預金を保護しないと日本の金融が回っていかないということであれば、外国銀行の預金の保険の適用というのはそれほど強い要請があるわけではないのではないかというような意見もあります。

それから、ディスクローズをすれば、きちんと説明をすれば、それ以上預金者を保護する必要はないのではないか、保険金支払い以外にも重要な機能を預金保険機構は果たしているけれども、どこまでやることが必要なのか。それから、選択制は考えられないのか。リテール預金を受け入れている場合とそれ以外を大まかに分けるべきではないか。システム上重要な金融機関のようなものは強制で、それ以外は任意というのも考えられるのではないかというような意見がございました。

6ページに戻ります。右の議論の整理でございます。前までに申し上げたような資産の国内保有義務とか、破綻処理におけるいろいろな法制上の整備によって、一応の預金者保護の対応はできると考えられる。他方、リテール預金の預金者の場合、破綻処理手続の中で、一般的な倒産処理手続の中で預金の払い戻しを受けるまでには相当な期間がかかるのではないか。その間、生活資金と言っていますが、いろいろな資金が必要であるなど、預金者保護に照らして十分なのか、預金に対する信頼性という観点からどうなのか。このため、少なくともリテール預金を取り扱う外国銀行支店の預金については、預金保険制度への加入を義務づけることが適当ではないかという投げかけを行っています。

※印のところですが、ホールセール預金については、生活資金とかそういうことが必ずしも当てはまらないことや、例えばホールセール預金のみを扱う外国銀行支店のビジネスモデルを阻害するおそれもあることに留意ということです。7ページですが、ただ、その場合も、リテール預金・ホールセール預金の概念・内容についてどう考えるかというものがございます。

6ページにまた戻っていただいて、済みませんが、上のほうに※印が3つついていますが、3つ目に、アメリカでは現在はリテール預金を受け入れるところは、支店形態では進出はできないという規制になっています。その旨、WTO協定においても留保しています。そこで言うホールセール預金というのは、付保対象の預金の水準である25万ドルを超える預金がホールセール預金とされています。ご参考まででございます。

7ページに戻ります。なお、預金保険制度の加入を義務づけた場合に、預金保険の信用力に依存して預金の受け入れを行うモラルハザードが起こるのではないかという懸念も考えられる。また、こうして受け入れた預金を海外に回金する可能性にも考慮する必要がある。そのために、財産や健全性についてより高度な規制、検査、監督を行うことが必要ではないか。それから、任意加入というお話もありましたが、これはアメリカの州法銀行とか、あるいは以前のヨーロッパの制度を考えてみても、なかなか制度として逆選択の問題が生じてうまく機能しないのではないかということを書いております。

勘定、保険料負担ということですが、勘定や保険料負担については、国内金融機関と別勘定にすると、保険集団が過少となってしまって制度として成り立つのでしょうかということがあり、保険料率については、外国銀行支店だからこの保険料率というのも設定が困難なのではないかということです。そうしたことを踏まえ、一般勘定で国内金融機関と同一の保険料とすることが適当ではないかというようなことを書いています。

なお、1,000万円までペイオフというのは当然考えられるんですが、そのほか、救済金融機関に対する資金援助等、いろいろな破綻処理におけるツールは預金保険法上あるんですが、それはどこまで必要でどういうことが可能なのかとかいうことは、実務上いろいろ詰めていく必要があるということを書いております。

8ページです。預金者等に対する情報提供義務ということで、現在は預金保険の対象であるものの明示を提示してあるというようなものであります。ただ、外国銀行支店は実際にはいろいろ説明をしているのではないかというご意見もいただいています。

議論の整理ですが、上記の整理を踏まえまして、預金保険制度の対象とならない外国銀行支店が仮に生ずるといった場合には、その預金が預金保険制度の対象外であることについて、顧客に対し説明義務を課すことが適当ではないかとしております。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、議論に移りたいと存じます。ただいまのご説明に関しましてのご質問、ご意見があればお願いしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、どうかよろしくお願いいたします。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

今回、資産の国内保有規制が重要な規制上の特徴になりそうに議論がまとまっているので、その点について少し教えていただきたいんですけれども、国内保有というのはどういうことを意味するのかというのが1つ目です。日本国債を持っていれば、これは国内保有と言うのかなと思うんですけれども、株式とかですと発行者が外国の株ならこれは国内保有とは言わないのかとか、そういう素朴なところを1つ教えてください。

それから、これは外国銀行の方にお尋ねするのがいいかと思うんですけれども、実際、外国銀行支店における現在の資金運用の状況で、いわゆる国内にないというのはどのぐらいのものなのでしょうか。本支店勘定の20%というようなものがそれに相当するのかどうかという、水準の感覚を教えていただいたらという点です。

それに付随しまして、普通に考えると、例えば日本法人に課したとしても、その法人の資産が全部外国にあったら、全然国内保有の意味がないような気もするんですけれども、今回のこういう規制で実効性ある規制ができそうなものなのかというのを規制当局の感覚として教えていただきたいということです。

さらに、証券とか保険については既にこれが実施されているということなので、これに関して、その分野で実効性、あるいは問題は生じていないのかということについてもわかれば教えていただきたい。

最後、このまとめの3ページの中には、国内銀行についても検討する必要があるというふうになっていますが、外国において、普通銀行についても、こういう規制が行われている事例を教えていただきたい。以上4点、お願いいたします。

○岩原座長

それではまず、藤本さん、お願いします。

○藤本信用制度参事官

1番目と3番目を少しあわせてですが、まず資料の3ページ目では、預金等の負債相当額の一定部分についてとなっています。それから、その2行目で、国内保有を求める規模とか資産保有の方法については検討しなければいけませんよということになっています。家森委員がおっしゃるように、これをどういう規制にするかというのは、その点が非常に大きなポイントだと思っています。

ちなみに、同様の規制があるところを探しました。アメリカで今は支店形態ではリテール預金を受け入れることはできないんですけれども、以前受け入れていたものが、グランド・ファーザーといいますか、引き続きできるようになっています。こうした例だけでなく、ホールセール預金だけを受け入れる支店形態の外国銀行に対する規制といいますのは、受け入れたものをほかの金融機関に預け入れなさい、FDICが承認する預金取り扱い金融機関に預け入れなさいということになっています。これはカナダのリテール預金についても同じような制度になっています。ただ、ここでどのぐらいの額を預けるかといいますと、負債の額の5%前後といったことであります。ここからわかりますように、ほかの金融機関に預けているとそれは非常に安心なんですが、その分それ以上の運用ができないものですから、額は少し低くなるということになるのかもしれません。そういう関係にあるのかもしれません。

次に、我が国の保険と証券についての質問がありました。まずその前に、銀行法に、先ほども言いました利益準備金というものを、もうかったら10分の1ずつ、20億円に達するまで国内に保有させるというのがあります。それはどういうものを保有しなさいということになっているかといいますと、現金とかほかの金融機関への預貯金、それから、国債、地方債、政府保証債といったようなもの、それから、元本の補填の契約をしている金銭信託とか、上場されている会社の担保つき社債とか、あとは、国内にある者に対する資金の貸し付けなんですけれども、国内において確実な担保を受けているものと、やや定性的に書いているんですが、担保つきであるということです。その他、金融長官が適当と認める資産というのもあるとのことです。

次に、保険業法では、保有すべき資産の種類というのは、金融機関への預貯金と、それから、金融商品取引法のいわゆる一項有価証券というんですか、流通性の比較的ある有価証券、それから、日本に住所を有する者に対する貸付債権。これは担保がついているとかといったことは明文にはないんですけれども、貸付債権。それから、日本に所在している有形固定資産ということですから、土地などということになっています。これに対しては、保有すべき資産の額というのが、責任準備金とか、支払備金、供託金、持ち込み資本金合計額ということで、ほとんど保険支払いの見合いになる額相当のものをそういう形で置いておきなさいということになっています。他方で貸付債権というのは規定上は裸で出ているということはあります。

金融商品取引法のほうは、預貯金とか上場株式とか金商法上の有価証券です。ただし、例えばSPCをかませたような有価証券というのは、やっぱりそこが基本的に空っぽである可能性もあるということで除かれている。それから、国内にある者への債権で確実な担保を受け入れているものとか、土地などの有形固定資産そういったものに現状はなっています。

したがって、やはり考えるときには、どのぐらいの規模のものを持たせるのか、それを一体どのような形態で運用するのか。もちろん預金に相当する額というか、負債総額を全て例えば金融機関に預金するということでありましたら、それはそれで安全ではあるのですが、日本で預金を集めている意味があまりないのではないかということになりますので、そこら辺のバランスがキーになるんじゃないかと思います。

○岩原座長

それ以外のご質問、あるいは監督当局のほうから何かありますか。よろしいですか。

家森さん、今の答えでよろしいですか。

○家森委員

はい。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

はい、川口委員、どうぞ。

○川口委員

別なところですけれども、預金保険のところで、任意加入の点についていわゆる逆選択の問題が生じるのではないかというご指摘だったんですが、確かに保険加入の条件を同じにすれば、リスクの低い者からリスクの高い者に所得が移転するので、リスクの低い者は保険加入を回避することになります。その結果、リスクの高い者だけが加入者になって、保険制度が成り立たないと、保険法の教科書に書いてあるような話かと思います。確かに基本的にはリスクに見合った保険料が要求されるというのが原則だろうと思いますけれども、現在では可変保険料率が採用されていないので、こういう問題が生じるという可能性は否定できないと思います。

しかし、預金保険に加入するとそれで一定額の預金を保証するということになりますので、預金を集める上においてのアドバンテージになるというふうにも考えられます。そうすると、リスクの低い者であってもやっぱり加入するというインセンティブはあるのではないか。リスクの高い外国銀行のみが加入するということにはならないのではないか。この点で、先ほどの逆選択がそのまま当てはまるのかどうかというのは検討を要すると思いました。

また、先ほどご指摘があったように、基金の額を集めるということから考えると、外国銀行のみの基金というのは現実的ではなくて、国内銀行と同じ預金保険制度に加入するしかないのではないかと思います。そうであれば、先ほどの逆選択の問題で加入者がリスクの大きい者ばかりで保険が成り立たないということにもならないのかなと思います。

他方で、そうすると、国内銀行は強制加入を義務づけられているわけでして、同じ預金保険なのになぜ外国銀行だけが選択なのか、ということの説明が要求されることになります。今日ご指摘いただいた、ホールセールとリテールに分けるという考え方であれば、例えば付保預金の対象が1,000万という基準で加入と非加入を分けるとするならば、1,000万未満の者の預金は扱っていないんだから、預金保険に入らないという選択肢はあり得るので、制度としては説明しやすくなると思いました。

もう1点なんですけれども、情報の提供義務のところなのですが、事務局案では、開示だけではなくて、説明義務まで課すというお話でした。金商法などでも、契約締結前の交付書面は、交付だけではだめで、説明しなさいというものもあったりしますので、時代の流れとしてはそうなのかもしれません。他方、あまり過剰な説明義務を課すと、売るほうにも負担がかかりますし、顧客にとっても不要の場合もあるだろうと思います。説明義務を定めるとしても、顧客側が不要だというような場合は説明しなくてよいというような立法も必要ではないでしょうか。金販法などがそういうような定め方をしていますが、参考になるのかと思います。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

今日いただいた論点の中で、外国銀行支店については、自己資本比率規制や早期是正措置の対象としない一方で、預金保険のモラルハザードを防ぐために、より高度な規制なり監督なりに服するということで、ここで言う高度な規制・監督・検査の具体的なイメージが湧かないんですけれども、それはともかくとして、外国銀行の現地法人や、あるいは国内銀行との差別化をするというふうに理解しました。

その上でなんですけれども、もともと固定料率制のもとでの預金保険のモラルハザードを防ぐ手立てとして、可変料率制というのはその1つですけれども、それに加えて、過度にレバレッジをかけ過ぎないようにということで自己資本比率規制なり早期是正措置があるというふうに理解すると、外国銀行支店は、自己資本比率規制などの負債側の規制手段がないので、資産側のほうで国内保有規制を課すことにする、というように整理できるのかなと、伺っていて思いました。

ただ、そうなると、例えば外国銀行の現地法人あるいは国内銀行というのは、今日の資料の中でも、資産の国内保有規制をこれらの主体にもかけるということなんですけれども、彼らは、自己資本比率規制や早期是正措置の対象でもあるし、資産の国内保有規制の対象でもあることになります。他方で外国銀行支店は、自己資本比率規制などはなくて、国内資産保有規制だけかかるということになると、ここは矛盾というか、若干アンフェアな規制になっているんじゃないのかという気がします。

そもそも何でこういうことになってしまうかというと、結局、支店単体でどのような規制をかけられるかという問題があって、今日の事務局のお話の中にもありましたとおり、そこの不整合を取り除こうとすると、支店形態ではなくて、あくまで現地法人、エンティティ単位でリテール預金の取り扱いを認めるというふうにすると、支店なのか現地法人なのかという差による矛盾が解消できるのだと思います。ただ、そこは難しいというのが今日のお話だったと理解しましたので、そうであれば、支店形態の外国銀行には資産側の規制がかかって、現地法人形態の外国銀行には自己資本比率規制なり早期是正措置という負債側の規制がかかるというすみ分けを図るやり方が考えられないのかというのが、私の意見です。

○岩原座長

藤本さん、何か。

○藤本信用制度参事官

ここはどこまで安全を見るかということであります。ちなみに、外国保険会社とか金商業者も、国内資産保有義務がかかっているのは支店形態ということにはなっていることは参考までに申し上げておこうかと思います。ただ、やはり預金者を保護するという観点からは、そういうものが国内にあったほうがいいというのではないかという問題提起を行っているところです。

○岩原座長

よろしいですか。そうすると、小野委員のお考えですと、そういう規制のすみ分けをすることになると、例えば国内金融機関に関しては国内資産保有義務は課さないというような選択もあり得るんじゃないかという、そういうことですか。

○小野委員

そうです。あと、外銀の現地法人については、むしろ自己資本比率規制なり早期是正措置で対応すればいいんじゃないのかと。

○岩原座長

おそらく外銀の支店について自己資本比率規制等を課さないという考え方は、多分、国内支店の部分だけで自己資本比率規制を課して一体どれだけの規制の意味があるかという問題があるからでしょうから、そちらのほうはちょっと難しいかもしれないですね。

ほかにいかがでしょうか。

はい、鳥海さん。

○鳥海国際銀行協会ディレクター

ご説明お伺いしまして、いろいろご配慮をいただいたのかなと存じます。ありがとうございます。特に参入形態のところ、それから、今お話がございました自己資本比率規制、それから、流動性規制につきましては、実態に即した方向性をお示しいただいているのかなと存じます。

それ以外の点について2つコメントをさせていただきたいと思います。少し具体的なイメージも交えてお話しさせていただければと思います。預金保険制度についてなんですが、私どもも一体どのぐらいのインパクトがあるのかということを試算してみました。比較の対象になりますのは、当然、預金保険機構さんのデータでございます。これは平成22年度のデータなんですが、吉野先生が座長をされていました料率の研究会の報告書を拝見いたしました。これを見ますと、保険料率というのは当然0.084%、それから、対象預金が834兆円。このうち、保険でほんとうにカバーされる付保預金の部分が約650兆円ということでございます。これに対して金融機関が払い込んだ保険料が6,700億円ほどございますので、これを割り算しますと、実際に付保預金に対する保険料の率、実質的な保険料率が0.105%と、こういった数字になります。

これと比較する形で、私どもの会員も47行ほどございますけれども、任意で試算をお願いいたしました。有効回答が30行弱ほどございました。預金種別ごと、決済性の預金というのはこれは全額保護でございますけれども、付利される一般預金等について見ますと、半数近い12行において実質的な保険料率が1%を超えるということがわかりました。先ほどの数字は0.105ですので、こちら、1%ということになります。最高は約20%、それから、15%を超える銀行も2行ほどございました。これらの銀行の多くは法人からまとまった定期預金などをお預かりしているものでございまして、保険料だけで1%を超えてしまいますので、ぜひこうした観点にも実態にも十分ご配慮いただきたいなと思っております。

2つ目は、先ほど話題になっておりました、国内での資産の運用、それから、保有のルールです。このルールが必要だという論拠の1つとして、今、資料も再度配付していただいておりますけれども、ワーキング・グループの第2回と第3回のご説明資料の中で、それぞれ、第2回は11ページ、第3回は4ページになります。一部の外銀の支店が海外に資産を持ち出していると、本支店勘定を通じた海外の回金についてご紹介されていたわけなんですが、以前も申しましたんですけれども、この本支店勘定の動きといいますのは、必ずしも当該行の意図だけで決まるものではございませんで、お客様側のニーズによって左右される面も非常に大きいというのが実態でございます。私もヒアリングをしてみたんですけれども、そうしますと、やはり日本の大企業のお名前とか、官公庁のお名前とか、海外の政府とか、海外の中央銀行、こういった名前がよく聞かれるというのが実態でございます。

ちなみに、このご説明資料はディスクロージャー誌の情報に基づいて分析されたものというふうにお聞きしましたので、私どもも同じ分析をやってみたんですけれども、一番直近の2012年3月期のデータを見ますと、海外に持ち出しているという外銀支店が17行ございまして、このうちの半数以上の9行が中国と韓国の銀行の支店だということでございます。この傾向はどうも年々強まっているように見受けられます。申し上げたいのは、ご指摘になられたような持ち出しといった現象は外銀支店全般について見られるわけではないということでございまして、ぜひそういったところにもご配慮しながらご検討いただければと思っております。

○岩原座長

今の点は、先ほどの家森委員からのご質問にもお答えになったということですね。

○鳥海国際銀行協会ディレクター

先ほどのご質問はたしか国内保有の割合といったご趣旨だったと思うんですけれども、今、手元に正確な数字はございませんけれども、資産規模自体はこのところ縮小傾向がございまして、その間、端的に申しますと、日銀当座預金への預け金等の形で資産が増えていると。要は、相対的に円に対する信任が高まっておりますし、中でも日銀当座預金は現在10ベーシスポイント付利されるといった、いつまで続くのかわかりませんけれども、そういった事情もございまして、日銀当座預金への積み上がりが増えているといったことでございます。ですので、端的に国内資産保有ということになりますと、そういったあたりが一番選択肢になるのかなと考えております。

○岩原座長

ほかにご意見、ご質問ございますでしょうか。

目黒さん、その後、和仁さん、お願いします。

○目黒預金保険機構審議役

預金保険機構でございます。資料の5ページ、破綻法制につきまして、現行制度上、金融整理管財人を務めるのは必ずしも当機構というわけではございませんが、定額保護下で唯一の事例である日本振興銀行の事例で当機構が民事再生手続と並行する形で金融整理管財人を務めたこともございますので、その実務面の経験を踏まえて、意見を大きく3点ほど申し上げたいと思います。

まず1点目でございますが、今回の事務局の資料では、外国銀行支店の破綻法制について、外国銀行支店を金融整理管財人の処理対象とするとともに、民事再生手続等の申立権を当局に認めるというふうに書かれておりますが、現実にこうした制度を外国銀行支店に適用するという場合には、実務の面からいいますと、以下に申し上げるようなちょっと難しい問題があるなと想定しております。

すなわち、話の前提といたしまして、現行の特別清算のほうの制度は外国銀行支店を対象としているのに対しまして、民事再生、会社更生、破産、いずれも日本の現行法制度上は、その倒産能力が認められているのは在日営業拠点を有する外国法人そのもの、ですから、外国銀行支店の場合でいえば、外国銀行そのものということでございまして、支店ということではございません。

この現行法を前提にしますと、外国銀行そのものの民事再生等が申し立てられて、その手続が進められるといった場合に、その中で一方で金融整理管財人のほうは、在日支店の金融整理管財人、いわば支店長権限という限定的な立場でどれだけ国内のケースと同じように円滑に処理が進められるのかというところがちょっと疑問の余地なしとしないというところでございます。

より具体的に申し上げますと、金融整理管財人は、ご案内のとおり、役割といたしまして、破綻金融機関の業務・財産の管理をすることを通じまして、円滑に承継機関への事業譲渡を行っていく、コントロールしていくという実質的な役割があるわけでございます。仮に外国銀行に民事再生手続が適用された場合にこれを行っていく場合には、当該外国銀行が本国とか第三国に保有する資産の取り扱いはどうするのかとか、あるいは逆に、日本国内の資産に対して本国あるいは第三国のほうから供出のようなことを求められた場合にはどうするのかとか、これらも含めて、本国の母店、それから、当局との調整等ということで、やはり国内の銀行とは比較にならないような難しいことが想定されるのかなと考えております。そうした中で、制度ができたとしても、それが実質的にうまくワークするのかどうかという点でございます。

あと、この点に関しまして、事務局の資料の上の※印の中で、外国保険会社の手続について言及がございますが、保険会社の破綻処理においては契約の移転ということが主眼になると考えておりますが、一方、銀行の資金援助方式による破綻処理、これは預金・貸付等を含めた事業の譲渡ということが必要になるものでございまして、単純に保険の話が銀行に当てはまるというものではないのではないかと考えております。保険契約というのは一本一本独立してわりと固定的なものだと思うのですが、一方、銀行の預金や貸出というのは日々変動するものでございまして、そういった中で破綻処理の実務を行っていくという必要があるものでございます。

2点目でございますが、事務局資料の右側の下のほうに、預金保険機構が預金者のために外国倒産手続に参加することができるように必要な措置を講じる、とございます。この点につきましては以前にこのワーキング・グループの場でもご意見があったかと思いますが、そもそも外国側のほうの倒産手続で、日本の預金者の参加、それから、その代理といったことが認められているという前提が確保されているのかどうかという問題が依然として残っているのではないかと考えております。

最後に3点目でございますが、倒産法制全般に関する国際協調主義の流れの一方で、これもワーキング・グループの場で議論がございましたが、金融機関の破綻処理の現実においては、例えばアメリカにおいては、支店を独立の主体として扱って、債務のほうは支店ベースで債務として見る一方で、資産のほうは、米国にある支店だけではなくて、当該外国銀行が有する米国にある全ての資産というようになっておりまして、いわば支店を分離した処理ということと、米国内にある資産についてのできるだけの囲い込み、ということが念頭に置かれているというのが現実だと承知しております。当機構といたしましては、先ほど申し上げたような実務上の問題に加えまして、こうした各国の制度の実情も踏まえて日本の制度をご検討いただく必要があるのかなと考えております。以上です。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

資料の5ページで、金融整理管財人制度の対象にするとか、あるいは民事再生手続が使われるようにするというものがあります。目黒さんがおっしゃるように、今の国内の銀行の処理では民事再生手続のもとで進めていきます。民事再生手続は誰が進めていくかというと再生債務者ということになっています。金融整理管財人というのは、当局の命令で経営権を掌握する者になりますから、再生債務者と一体ともうしますか、一緒になって、それはぴったりはまっていることになるわけです。おっしゃるように、外国銀行支店を外国の法人全体の一部と考えた場合に再生債務者というのは誰かというと、どこか遠い外国にいるかもしれない。ただ、民事再生法には管財人とかいう制度も別途用意されてもいますし、再生債務者等の「等」なんですけれども、そういう人が進めていくこともあるかもしれません。国境をまたがるエンティティの処理ということで、どういった知恵が出るのかというのをまた預金保険機構とも相談していく必要があると思っております。

○岩原座長

山本さん、この点何かご意見ありますか。

○山本委員

基本的な認識は今、目黒さんが言われたのと同じで、やはり外国銀行支店、法人格を持たない支店について、民事再生、会社更生あるいは破産の対象にするということは制度上はかなり難しいだろうと。したがって、外国銀行本体に対しての手続ということになると。そうすると、今、藤本さんがおっしゃったように、民事再生のいわゆるDIP型と言われるものでうまくいくかというとこれはなかなか難しくて、今おっしゃったように、管理命令を発令するか、あるいは会社更生にするかというような形になっていくのかなということです。

それから、その下の預金保険機構による外国倒産手続の参加の点も目黒さんが言われたのと同感です。結局、現在の更生特例法は、裁判所が預金保険機構に通知して、それを受けて預金保険機構が預金者表を裁判所に提出すると。再建計画等についても、預金保険機構を通じて賛否の決議をするというような仕組み、要は、完結的に手続全体を規律しているわけですけれども、外国手続が当然そういうようなことを認めてくれるとは限らないわけなので、おそらく書き方としては、手続の側からじゃなくて、預金保険機構の権限の側から書かざるを得ないと。しかし、その権限というのを外国手続が、外国手続というのは多様な手続やいろいろな手続があるわけなので、それぞれの手続で認めてくれるようなものでないとそもそも日本の預金保険機構がそれを認めても意味がないということになりますので、かなり柔軟な書き方にならざるを得ないのかなというような印象を持っていて、そこは書き方が少し難しいのかなと思います。ただ、実質として、ここに書かれていることは必要であるということは私は間違いないところなのかなとは思っています。とりあえずは以上です。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

何かこの件に関してほかにありますか。よろしいですか。

和仁さん。じゃ、その後で三井さん。

○和仁委員

山本先生のおっしゃったことと、全く同じ点なんですけれども、こういう手続を設けておく必要性があるというのはおっしゃるとおりなんですが、倒産手続に更生手続を入れてらっしゃる点ですけれども、教科書には日本にある外国法人の支店に関しても会社更生の手続を適用することができると書いてありますけれども、更生手続って資本構成をいじることであって、それは本店に行かないとどうしようもないことであって、実務的にはそもそもできないこと思うのですね。

ですから、今まで更生手続が3法だということでずっと引き継がれてきたのかもしれないですけれども、あんまり実現の可能性のない法律をここに引っ張ってくるのはどうなのかなという気持ちがずっとしております。ネッティングのオピニオンとかそういうものを書くときにも、じゃ、更生法はどうなるんだということで議論をしなければいけないんですが、「ほんとうに外国銀行の支店に対して更生法が適用されますか」「理論的にはあり得ます。しかし、事実上はあり得ません」というふうな妙な回答にならざるを得ないんですが、やはり立法に当たってはその点をはっきりさせていただいたほうがいいんじゃないかと思います。

○岩原座長

それでは、三井さん、お願いします。

○三井総務企画局参事官

1つだけ。ごくごく実務の必要性ということで、預金保険機構の参加について提案させていただいております。法律論はまさにおっしゃられたとおりの問題意識が私どもはございます。ただ、預金保険機構は民間の株式会社ではありませんので、権限を与えないと、仮に外国の手続において認められる場合であったとしても、現行、日本の法律上できないという整理になっては困りますので、その意味ではまず権限が与えられていることを明確化する必要があるのかなと思います。

その上で、本来、こういう制度をつくっていくに当たっては、全ての国との関係では整理できないと思いますけれども、大きな金融センターの関係で何ができる可能性があるのか、できるかどうかの検証は難しいんですが、できる限りは可能性を開く方向で、あるいは今日直ちにできなくても、今後の議論において将来的にできる方向で議論していくという足がかりをつくりたいというふうに考えさせていただきたいと思います。

○岩原座長

森下さん、どうぞ。

○森下委員

それでは、今の破綻処理の関係でございますけれども、金融整理管財人という名称を引き継ぐかどうかはともかく、在日支店について異常事態が発生したときに、それを従来の支店の経営陣に委ねるのではなく、一時的に何らかの当局の管理のもとでコントロールするというような制度というのはやはり意味があって、支店をコントロールすることになった管財人なりが本国の方と協議をしながら日本においてしかるべき処理をしていくという考え方は十分はあり得るのではないかと思います。フランスに行って調査をした際にも、そのようなお考え、制度があるようなお話をされていたと記憶しております。

他方で外国銀行の破綻処理を考える際には、先ほどのお話にもあったのですけれども、アメリカ型まで目指すのか、そうではないのかというようことは重要だと思います。日本で法人全体について倒産手続を開始するといった場合には、日本にある資産のうち、在日支店名義以外の資産も手続の対象に取り込むことができるということになると思いますが、支店単体での清算手続の場合には、例えば東京にある資産であったとしても本店名義の資産というのは手続に取り込まれないことになるのかどうかというようなことは考えなければいけないところです。

アメリカについては、先ほどのお話にもありましたように自国債権者保護の観点から資産を囲い込むような法制が採用されていますが、日本として、日本の国内債権者にとっての分配対象財産をできるだけ多くするアメリカのような法制度まで考えるのかどうか。ただ、これは国際的に批判も結構あると思います。そうではなくて、最低限、支店単位での破綻処理制度を整備することを目指すのか。ここはかなり大事な方針の決めどころなのかなという気がいたします。

○岩原座長

ほかに。

和仁さん、何か?

○和仁委員

この件以外です。

○岩原座長

そうですか。ほかに何かございますでしょうか。

よろしゅうございますか。それでは、ほかの論点もございますので、先に進めさせていただきたいと思います。

○和仁委員

ごめんなさい。済みません。

○岩原座長

どうぞ、和仁さん。

○和仁委員

申しわけないです。藤本さんの頭の中でリテールとホールセールの預金の区別ってどういうふうにされておられているんですか。それをお伺いさせていただきたいんですが。

○藤本信用制度参事官

私の頭の中の区別でいいのであれば参考までに申し上げます。資料の6ページでありまして、1つの切り方は、※印の上から3つ目で、アメリカなんですけれども、25万ドルというのがあります。これは以前は、リーマンショックの前は10万ドルでした。これが引き上げられたものです。つまり付保対象、日本でいうと1,000万円といったような金額です。そういう金額の単位のものを下回らないような預金の受け入れる銀行というイメージがあります。

ただ、必ず1,000万円じゃなければいけないかというとそういうわけでもなくて、カナダを調べてみますと、付保限度が10万カナダドルなんですが、ホールセールのスレッシュホールドは15万カナダドルとかいうことでありまして、すき間があってもいいのかもしれません。とりあえずそこら辺が出発点になるのかなとは思っていますが、もっといい頭の中のイメージがある方は教えていただければと思っています。

○岩原座長

和仁さん。

○和仁委員

主体、即ち誰が預けて入れるかということで切り分けるということは、今のところ考えておられないわけですね。

○藤本信用制度参事官

なかなかそこは、誰がというのが区別ができるのであれば、私はホールセールのお客さんですとか区別ができるのであればあり得ると思うんですが、それはそれなりに実務上の困難があるのかもしれません。そういうものも含めてどんな案があるのかというのは考えなければいけないと思います。

○岩原座長

松井さん、どうぞ。

○松井委員

今、ホールセールとリテールの話が出たので少しだけ確認なんですが、ホールセールの場合には、資産の国内保有規制及び資本金規制というのは、これは連動してかからないのか、それとも、この場合には資産の国内保有規制等は全ての場合にかかるのか、どちらの方針で今のところ考えていらっしゃるかという。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

先ほどもこの資産の保有というのは、ここの資料では3ページですが、国内銀行についてもかけるというようなことを検討してはどうかというような投げかけを行っております。それを前提とすれば、資産の保有制限についてはホールセールについてもかけるということになります。

その点で、小野さんからの質問にお答えする際にちょっと忘れていたのですが、保険とか証券は支店だけだと言ったんですが、ソルベンシーマージン規制とか自己資本規制比率というのは、外国保険会社とか外国証券業者にもその分野ではかかっていて、そこは代替的な関係とうまく整理できるわけではないということは念のため申し上げます。

○岩原座長

森下さん。

○森下委員

今の資産の保有規制に関してなんですが、おそらく資産の保有規制の目的は、破綻をした際に国内債権者のためにある程度の資産を確保したい、あるいは様々な交渉上ある程度資産を確保しておいた方がよいだろうということだと思うのですけれども、たとえば預金等の負債を基準にその額を決めていった場合には、必ずしも日本は預金債権に倒産法上の優先順位が与えられていないと思いますので、場合によっては預金債権に充当されることなく、一般の取引債権者の債権に充当されていくというようなこともあるのかなと思います。海外などでは、倒産法上預金債権に優先権を与えるデポジタープリファレンスのような制度を有している国もあり、英国などでも導入を検討しているやに聞いたりもします。どのような目的で資産保有を求めるのか、破綻処理手続やそこでの優先順位との関係をどう考えるのか、といった点も考えて議論する必要があると思います。

他方で、今回の規制の見直しで流動性規制をどうするかことも問題となりうるかもしれませんが、欧州の枠組みでは、ホストカントリーはどちらかというと流動性をしっかりと見てくださいというようなことがあるようです。そうすると、破綻に至る前に何とか流動性でやりくりできるように流動資産をキープしてもらうことが大事なのか、バターンと破綻してしまったときに何とか処理できるように固定資産でもいいから国内に置いておいてもらうことが大事なのか、そこも1つ整理のしどころのような気がいたしております。流動性規制という観点から流動性資産をある程度しっかりキープしてもらう。それが破綻処理の場合にもある程度の国内資産の確保にうまくつながるという考え方もあるかもしれないなと思っております。

あともう1点、海外なんかですと、相手国の監督の度合いなどに応じて、一定の場合は規制の免除、ウェーバーをかけてあげるというようなことも認められているようでして、日本の金融機関などにも幾つかの規制項目についてウェーバーを与えている国もあるようです。その場合、日本が外国金融機関に一律の規制をかけますと、場合によってはレシプロシティーの観点から、外国における日本の金融機関の取り扱いがひょっとすると影響を受ける可能性もあるような気がいたします。国内保有規制というのはいろいろ規制の仕方が難しいと思うのですが、今のような点も考慮に入れて考えていただくといいのではないかなと思います。

○岩原座長

かなり数多くの非常に重要な問題点をご指摘いただいたかと思います。預金に優先権を与える、アメリカなんかはそうですが、これは国によって違いますし、また、その政策的な是非についても随分議論があるところです。日本では生命保険の保険契約者の債権について生命保険会社の総財産の上に先取特権を保険業法117条の2に基づいて立法により与えましたけれども、一方で損害保険の契約者にはそういう先取特権が与えていなくて、非常に政策的な問題があるところかと思います。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、次の論点に移らせていただきたいと思います。「大口信用供与等規制」につきまして議論をしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○遠藤監督局審議官

大口信用供与規制に関しまして6月25日の第2回ワーキング・グループで最初議論させていただきまして、そのときに幾つかご質問をいただいております。まずはそのご質問に対する回答を答えさせていただきたいと思います。

幾つかございまして、大口信用供与規制の一時的な超過時の例外措置というのはどの程度の頻度で承認を行っているのかと、これは翁委員からいただきました。

それから、受信側サイドの信用供与額が25%から40%になっているケースはどの程度あるのかと、これは大崎委員からいただきました。

それから、大口信用供与規制を改正した場合のインパクトはどういうふうに考えればいいのだろうか、できるだけ金融機関のどの層に影響を与えるのかという実態を確認すべきではないかという問題提起を家森委員からいただきました。

それから、大口信用供与規制の対象にする場合であっても、インターバンク取引の資金繰り調整機能に影響を与えることはないか、そういうことについても実態をよく見るべきではないかという問題提起を井上委員、川波委員、吉野会長、翁委員からいただいたところでございます。

我々は預金取り扱い金融機関に対して、まずは全体に当たりまして、それから絞り込むというような形でサンプリング調査をやってみたわけでございますけれども、資料2はちょっと抜かしていただきまして、資料3にまとめてみました。2ページにわたる資料でございます。

まず1ページ目に、その前提といたしまして、大口信用供与規制の監督をどのようにやっているのかということについて書いております。まず上の「モニタリング方法」というところでございますけれども、バーゼルIIのピラー2、第2の柱におきましては、金融機関がみずからリスク管理を行い、必要に応じて適切な監督上の措置を求めるということが示されているわけでございます。これを受けまして、我々はバーゼルII第2の柱の実施方針を公表し、平成18年3月にその内容を監督指針に落としております。

参考にその真ん中に書いておりますけれども、主要行等向け監督指針におきましては、このモニタリングについては半期ごとに各行の大口与信先、これはTier1の10%以上の与信先または与信残高上位一定水準の先について、特定業種への集中度等のモニタリング及びヒアリング等を実施という形でございます。我々は半期ごとに金融庁及び財務局を通じまして、全ての預金取り扱い金融機関から計数を集めまして、その計数上フラッグが揚がったものに関してヒアリングを行っているという監督行政を行っているところでございます。

それから、2つ目の丸でございますけれども、大口信用供与規制の上限を超過する場合の例外承認ということでございまして、これは翁委員からの質問でございました。例外承認件数は、現時点において十数件ございました。実態はどうなっているのかということでございますけれども、これは個別の話でございますので、毎年毎年何件の申請があるというのが趨勢的になかなか言えないんですけれども、全然ない年もありましたし、それから、複数、2件とか3件申請がある年もございました。

一度申請がありますと、一般的には数年で限度を超過しないように解消していただくようにという形で計画をつくっていただいて、我々はその進捗を見守っているという形でございます。今、例外承認件数が残高として十数件あるというのは、中を見てみますと、平成20年前後の申請に係るものが今残っているという実態がございます。

それから、1ページめくっていただきまして2ページ目でございますけれども、インターバンク取引の現状でございます。これについても全体の金融機関に当たりまして、総資産に占める預け金なりコールローンの残高が一定レベル以上のものについて、より絞ってヒアリングをしてみたものでございます。現状、下記のような場合に相対的に大きな金額の取引が行われているということです。

まず預け金でございますけれども、ここにありますように、信託勘定から銀行勘定に貸し出した上で銀行勘定から預け金運用を行う場合とか、国内で調達した資金を海外の拠点に移転している場合、それから、国内のグループ内金融機関で資金のやりとりを行っている場合、それから、4つ目は、国内の信用金庫・信用組合が大手行等に預け金を行っている場合というのが特徴的な、相対的に大きな金額の取引が行われている場合でございました。コールローンについては、運用の一環として、短資会社、他の金融機関向けにコールローンを出しているケースなどが多いということでございます。

2つ目の丸で、地域金融機関においては下記のような運用の実態が見られるということでございますけれども、1つ目の黒ポツで、協同組織金融機関。上の預け金の4つ目のポツが協同組織金融機関でございますけれども、これは大手行に預け金を行っている場合でございます。2つ目の白丸の1つ目のポツというのは、協同組織金融機関が貸し出し先が原則として会員に限定されているなど資金運用方法に制約があるから、中央機関をはじめとする他の金融機関への預け金の割合が相対的に大きいということで、やっぱり中央機関への預け金の割合が協同組織金融機関においては、制度上当然ということかもしれませんけれども、非常に大きかったということでございます。

それから、2つ目の黒ポツでございますけれども、地域銀行においては有担保コールを中心に、日中、オーバーナイトから1週間程度の期間で運用ということでございました。これは上のほうの1つ目の丸の中に括弧してコールローンで、運用の一環として短資会社等に出しているケースが多いというふうに書いておりましたけれども、短資会社に出しているケースが多いのは地域銀行が非常に多うございまして、その地域銀行の出し方の対応として、ここの黒ポツにありますような有担保コールを中心に、日中とかオーバーナイトから1週間程度の期間で運用しているといったことでございました。

それから、下のほうのマル2、受信側グループ向け与信が25%超のケースでございます。これは大崎委員からのご質問でございました。これについては、25%を超える信用供与になっている先が現状10数件ございました。40%の上限を25%に引き下げた場合には、これらの先について新たに限度額を超過するということになると思います。以上でございます。

○岩原座長

ありがとうございます。

それでは、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

資料2と書かれた事務局説明資料をごらんいただきたいと思います。表紙をめくっていただきます。1ページ目、信用供与等の範囲ということでございます。国際的にはありとあらゆる信用供与を対象とするようにとされているんですが、それに比べると幾つか抜けているものがあるということで、最初がコミットメントラインの融資未実行残高分です。

これはどうしても経緯的にちょっと見落としていたということのようでございまして、ということであれば、改めて規制するのは当然の話というのが左側のご意見でございます。それから、実行されて初めてというところにも着目する必要があるのではないか、あるいは、コミットメントラインといって単純に見るのではなくて、性格づけを細かく見るべきではないか。あるいは、途中で自己資本が棄損した場合は規制違反になってしまうんじゃないかというようなご意見がございました。

議論の整理でございます。最初に書いているのは、どうも経緯的な理由で検討から漏れてしまったというようなことが書いてあります。どう考えるべきかということですが、融資未実行残高分については、お客さんから請求があれば融資をするということが義務づけられているということでありますし、大口の規制というのは保守的であるということが求められているということでありますので、規制対象とするのが適当ではないかとしています。

ただし、主要国の例を踏まえまして、一定の場合に適用除外とすべきではないか。例えばどういう場合かといいますと、任意の時期に無条件で取り消しが可能なもの、それから、相手方の信用状態が悪化した場合に自動的に取り消しが可能なものといったものです。この※印は、こういうものであってもあまりにも大きい枠を与えるのはちょっとよくないのではないかといったことを付加しているものでございます。

それから、自己資本が棄損した場合でございますが、これは現行法におきましても、一時的なものであれば、増資等により自己資本の回復が見込まれるという事情があれば個別承認という道があるということでございます。

2ページ目でございます。今までインターバンク取引あるいは金融機関預け金というのは規制の対象外とされておりました。

これについての主なご意見は、金融機関の破綻もあり得るのだから、こういうものを対象にしてはどうか。しかし、その実務的なインパクトもあるのではないか。特に短期金融市場へのインパクトはよく検証する必要があるのではないか。協同組織金融機関の中央機関への預け金についてはどうなるのか、ちょっと性格が違うんじゃないのか。グループ内与信は規制対象外とすることも考えられるのではないかというようなご意見がありました。

議論の整理でございます。これは今、規制対象外とされているのは、かえって金融機関の資金繰りに悪影響を与えることもあるんじゃないか、あるいは金融機関の経営の健全性をかえって阻害することもあるんじゃないかということで規制対象外にしているわけですが、やはり金融機関が破綻した場合には、貸し手、預け元の銀行等に損失が発生するんじゃないか、それで健全性を損ねることもあるのではないか。主要国においても特にリーマンショック後そういうことを規制する流れにあるという一方、実務的な影響を検証する必要があるのではないかということでございます。インターバンク取引等については、今、遠藤審議官から話があったとおりでございます。

以上を踏まえますと、まず規制対象とした上で、リスク特性や取引実態などを踏まえて、例えば以下のものについては適用除外とすることが適当ではないかということで、例示でございますが挙げております。資金決済等に係る短期エクスポージャーを適用除外とするのが適当ではないか。一定の条件を満たすグループ内金融機関間の取引、日銀預け金、協金の中央機関(連合会)への預け金、短資会社がポジションをとる取引である有担保コール、清算機関に対する信用供与を挙げております。

3ページ目でございます。デリバティブ取引の信用リスク相当額でございますが、これは何か技術的な問題があるので当分の間適用しないというふうに、十何年か、当分の間適用されていないということです。これはこれまでの意見は、そういう状態がずっと続いていてざるになっているのではないか、クレジットデリバティブなんかの場合にどう考えるのか、想定元本ベースで考えるのはミスリーディングではないかというようなご意見がございました。

議論の整理でございますが、この規制は今かかっていないんですが、規制の枠組みが導入されていたときの考え方は、デリバティブ取引の失敗により多額の損失が発生し、企業に悪影響を生じさせる事例が見受けられたということで規制の対象にすべきだということでした。しかし、技術的にまだ未熟であったので、適用除外とされていました。想定元本ベースではなく、ネット計算後のコスト額とすることが適当であって、主要国もそうなんですが、自己資本比率規制におけるリスクアセット算出と同様の手法で計測した額について規制対象としてはどうかということでございます。

4ページ目でございます。公募社債はこれも当分の間適用しないとされ、トレーディング勘定のCPも当分の間適用しないとされています。これに対するご意見でございますが、株式は公募・私募を区別しないのに、社債は公募を区別するのは説明がつかないのではないか、社債は短期間で処分できるというわけでも公募社債の場合も限らないのではないかというご意見でございました。

議論の整理でございます。社債は基本的に規制対象とされているのですけれども、今までの考え方は公募社債は転売によるリスクの回避が容易であるということでした。しかし、株式は上場の有無を問わず規制対象とされておりますし、社債も転売によってリスクを回避することが現実には難しい場合もあるということで、規制対象とすることが適当ではないかということでございます。

トレーディング勘定のCPにつきましても、これは厳格なリスク管理が行われているし、短期保有なんだからという理由で当分の間適用除外とされていましたが、諸外国においてもトレーディング勘定全般についても適用対象としておりますので、これも対象とすべきではないかということでございます。

5ページ目です。合算するということで、受信側というのは借り手側の合算で、借り手のほうの話です。今は議決権ベースで、議決権で50%超の子会社、グループが合算されています。与信側は、与信側というのは銀行のほうですが、連結ベースということになっています。

これに対するご意見ですが、特に受信側については、今の会社法では有価証券報告書提出会社については連結ベースという考え方になっているので、そこも参考になるのではないかとか、海外では実質的な基準でワークしているんだから、形式的だけという方針を改めるべきではないかといった議論がございます。

議論の整理でございますけれども、これは当初、当時の商法が親子関係で規律されていた、つまり議決権ベースということでありました。そういうことを前提とすると、借り手側の企業が連結財務諸表を作成しているわけじゃない、どこまでがグループかがわからなかった。ただ、そういうことを踏まえれば、現在では、会社法のもと連結財務諸表の作成を義務づけている企業であれば、自分のグループの範囲というのはわかるでしょう。そうすると、貸している側の金融機関もわかるでしょうと、こういうことでございます。

与信側の合算対象についても、実質的なつながりのある先を合算対象にすることが適当ではないかという投げかけをしておりまして、迂回融資等による潜脱を防止するため、規律を設けることが必要ではないかとしております。

6ページ目です。グループ内の扱いということでありまして、現在はグループ内は、上から2行目ですが、グループ内の資金配分の効率性に配慮する観点から、受信側は合算しない、借り手側としては単体規制のみとしています。一方で、グループを構成するのか、それとも、1つのエンティティでやるのかというのは中立的であるべきという考え方もあるんだろうと思います。

議論の整理ですけれども、現行規制ですけれども、グループ内の資金配分の効率性には配慮するんだけれども、一定の場合に合算規制の対象外としている。受信側(単体)としている。主要国においてはグループ内の与信を適用除外としている例が多いのは確かです。ただ、近年のリーマンショック後の金融危機の経験も踏まえて、これはやっぱりグループ内だからといって、エンティティが違うと大口与信集中といった問題が起こるのではないかという議論もなされているところであります。そういうことで、我が国の現行規制については当面これを維持して、こうした国際的な議論の動向も見きわめる必要があるものと考えられるとしています。

ただし、銀行・銀行持株会社の関連会社が行う信用供与等においては、関連会社というのがグループ内でもありグループ外でもあるような取り扱いになっているものですから、これがM&A等の金融グループ再編の支障となる場合もあると考えられているということです。参考は、以前、図とかをお見せして説明したものがございますが、海外でのM&Aなど金融グループ再編の支障となるという指摘が存在します。このため、銀行・銀行持株会社の関連会社が行う信用供与については、承認制のもとで個別具体的な事案に即して解決していくことが適当ではないかということ等を書いております。

7ページです。信用供与等の算出方法ですが、今はオンバランスシートは簿価、オフバランスシートは対象とされていないため、算出方法が定められていないということです。これまでの主な意見ですが、大口規制の趣旨からいって、リスクウエイトといった複雑なものはあまり考慮すべきではないのではないか。一方で、担保、保証については減額したほうがいいんじゃないか。しかし、担保の性格も分析しながら決める必要があるんじゃないか。大口規制の目的というのがバックネットといいますか、そういうものであるということからすると、担保つきの信用供与であっても保守的に見積もるべきではないか。想定外の事態の発生ということもあるので、保守的に考えるべきではないかということでございます。

議論の整理でございますが、大口信用供与は、信用供与先に対するエクスポージャーそのもの(リスクウエイト等は乗じない)に上限を画するための措置であることを踏まえれば、規制対象とする信用供与の額については、基本的には保守的に考えていくべきではないかと考えられる。オフバランスのほうは、なかなかほかに算出の方法もないということもありまして、自己資本比率におけるリスクアセットの算出方法を基準とすることが適当ではないかとしております。

8ページです。上限の規制で、これはどういう規制だったかといいますと、分母にTier1、Tier2という自己資本がありまして、分子に信用供与等の額が来るものであります。この表をごらんいただきますと、銀行単体、受信企業側も単体という場合には、Tier1+Tier2の25%まで1つの会社に貸せます。それがグループで合算されるんですが、グループで合算されたときにTier1+Tier2の40%まで貸せます。銀行側の与信サイドのグループとして捉えた場合にも、そういうような同じような構造となっています。

それについてのご意見ですけれども、単体、グループで違いがあるが、単体が潰れれば、グループ全体が潰れることが想定される。これは企業のほうですね。なぜグループなら単体と違って40%まで許されるのかと。国際的に見ると確かにこれが非常に際立っているということは否定できないと思います。IMFからも指摘はされているということです。ただ、IMFに言われたからそれをまねするというのではなくて、日本の実情をよく調べなさいということを書いております。

議論の整理ですけれども、受信サイドグループの自己資本の40%という上限比率は、国際的な25%より高いという評価・勧告がIMFよりなされている。先ほど監督局から、実務への影響は一定の範囲にとどまるものとも考えられるとの説明がありました。以上を踏まえると、受信サイドグループの信用供与限度額については25%に引き下げることが適当ではないか。もちろん実務への影響が過大になる場合には経過措置ということが考えられます。

なお、左下でございますが、8月に公表されたIMF・FSAPのレポートにおいては、分子が今、Tier1+Tier2となっているのを、Tier1またはコアTier1とすべきというようなIMFの意見が出されているところでございます。

9ページです。与信上限超過時の対応。例えばA企業に25%貸していて、B企業に25%を貸していて、そこが合併してしまうと50%でいきなり超過してしまうというような問題でございますが、そういったやむを得ない事由というのは今、限定列挙されております。限定列挙された上で、それに入ってさらに承認を受けたときに上限を超過することが認められています。

これについては、議論の整理のところですが、直ちに規制を適用すると資金繰りにかえって悪影響を与える、健全性をかえって阻害するという事情がある場合とか、一時的に超過しても、健全性に実質的な支障がないと認められる場合には、個別具体的な事例に即して柔軟な対応を行うことが今は限定列挙なので可能ではないんですが、このために、個別に適用除外とすることが可能となるようなバスケット条項を設けることが適当ではないかとしています。

10ページ目です。外国銀行支店に対する大口信用供与ということで、今は一応、規制の枠組みというのは、分母が外国銀行本体の自己資本、全体の自己資本という規制があるんですが、自己資本が規制上定められていないので、実際には未適用になっているというものがあります。

これまでの意見では、外国銀行の本店に対する資金の提供を一種の与信として考えるのは実態にマッチしないのではないかというようなご意見が出されています。

これについての議論の整理ですが、外国銀行支店に対して大口の規制を課すというのは2つ考えられるでしょう。1つは、分母を外国銀行本体の自己資本とします。それで、外国銀行支店に適用する。もう1つは、分母を外国銀行支店の日本における疑似資本のようなものにして適用します。この場合、本店への回金を規制対象とするということになるのかもしれません。

しかしながら、最初の分母が外国銀行本体ということであれば、それは結局、日本としても分母がちゃんとその額があるかどうかというのもなかなか日本の監督当局としてもわかりにくいところもあり、通常は母国の監督当局が行うべき話なのではないかということであります。後者の、分母を疑似資本にするということですけれども、これは外国銀行支店における本店への回金に関しては、同一法人内の資金のやりとりであって、大口で対応するのにはなじまないのではないか。銀行がAという企業に貸し込んで、Aという企業が倒れれば銀行も倒れてしまうというのが大口規制の趣旨・内容なんですが、本店が倒れれば支店も倒れるのは当然なので、大口規制という文脈じゃないんじゃないかというようなことです。むしろ預金者保護の観点からは、先ほど出ましたが、国内資産保有義務等のほかの手段による規制が適当ではないかとしております。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、議論に移りたいと思います。ただいまのご説明につきましてご質問、ご意見があれば、お願いしたいと思います。

太田委員、どうぞ。

○太田委員

ありがとうございました。ページ1のコミットメントラインのところなんですけれども、右側の議論の整理の丸の3つ目でありまして、適用除外の例が例えばと書いて2つあります。1つ目は、そもそも無条件に取り消し可能というのはコミットメントラインとは普通言わないんだろうと思いますが、除外にすることは当たり前だと思います。2つ目は、コベナンツがついたコミットメントラインというのはどの程度例があるか私は承知しておりませんけれども、考え方としてはそういうことだろうと思います。

それで、質問は、その後ろに「等」と書いてあるんですけれども、上の諸外国の例では3つ例があって、原契約期間が1年以内というのが諸外国の例では記載されているわけですが、この「等」の中に同様の考え方が入っているかどうかがお聞きしたいということであります。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

この原契約期間が1年以内かどうかというのを必ずしもこの「等」で含めているとは思っているわけではありません。一方で、こういう縛りをかけたほうがいいのかどうかということについては、もう少し実務の状況をよく勘案して、具体的にどういう適用除外項目にすべきかということに関し関係者の意見も聞いて定めていく必要があると思っております。

○太田委員

ということは、1年かどうかは別にして、期限の概念は議論の中で詰めていくと、こういう理解でよろしいですか。

○藤本信用制度参事官

そういうことでございます。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

いかがでしょうか。今回はかなり具体的な議論の方向も資料の中に示されておりますが、いかがでしょう。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

済みません、2回目か3回目の議論でもしかしたら出ていた議論かもしれないんですけれども、忘れてしまったので教えてください。5ページの与信側の合算対象範囲についてなんですけれども、現状について整理していただいている中で、「但し」以降で、銀行持株会社が行う出資は適用除外だけれども、銀行が行う出資は規制対象ということで扱いが違っていますけれども、その背景をもう一度教えてください。

○岩原座長

藤本さん、どうぞ。

○藤本信用制度参事官

これは、銀行持株会社というのは出資をするのが商売といいますか、それが本業でありますので、それを適用除外にしているということであります。もちろん銀行持株会社が持てる子会社とかいうのは一定の制限があります。そういう制限は別途あるんですけれども、大口信用供与規制では本業なので適用除外と、こういうことにしています。

○岩原座長

貸付金等だけではなくて出資も大口信用供与規制の対象になっていますので、そういう経緯から銀行持株会社による出資分というのは例外にしたということであります。

ほかにございますでしょうか。

このグループについての大口信用供与規制の適用をどうするかという問題については平成10年の銀行法の改正のときに大議論しまして、あくまで銀行単体を基準に考えていくのか、それとも、グループ全体としてのリスク管理をするという方向で考えて、そのかわりグループ内については厳しい規制をしないという方向でいくのか、基本的な方針で大議論した上で、グループとしての規制を中心にいくということになって現在の大口信用供与規制等の法制のあり方になっているということかと思います。

いかがでしょうか。

森下委員、どうぞ。

○森下委員

直接関係するかどうかちょっと自信がないのですが、一番最後の外国銀行支店に対する大口信用供与規制という点に関係してなのですが、これは外国銀行の日本における全体としての営業の状態がやや悪化してきたときに、臨時であったとしても、外国への回金というか、資産の海外への流出をとめるような措置は別途あることを前提とした上で、平時は特に本店に対してかなり多額のエクスポージャーを持っていたとしてもそれは問題としないというようなことなのでしょうか。済みません、現状、資金の本店への回金を緊急的にとめるような手段があるかどうかを確認させていただければと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

現行ではまず大口信用供与規制はかかっていません。一方で、国内資産保有命令を緊急事態に出すことはできるということになっていますが、もう危機になっている状況ですので、それで大丈夫かどうかという問題はあります。そういうことで、先ほど外国銀行支店に対する国内資産保有義務がある程度この文脈においても効果を持つ場合があるのではないかというような全体のつくりになっています。

○森下委員

ありがとうございました。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

鳥海さん。

○鳥海国際銀行協会ディレクター

今の論点なんですけれども、この資料の一番最後のページ、10ページの海外の実情のところで、アメリカと英仏独という記述がございますけれども、英仏独におきましては、原則として外銀支店は規制対象だと。ただし、同等の監督に服している国に本店が所在する外国銀行は対象外という条項がございます。これは邦銀さんに伺いましたところ、邦銀の現地における支店というのは、まさにこの同等の監督に服している国ということでウェーバーされているという、先ほど森下先生がおっしゃられたレシプロシティーの観点が実際ワークしているポイントでございますので、その辺もよくご斟酌いただければと思っております。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

今回おまとめいただいているのを読んで、私はおおむねこういう方向で進むといいかなと思っているんですけれども、若干時間があるみたいですから、銀行の方なんかに、実務上こういう規制について、もちろん規制は全部嫌だとおっしゃるかもしれませんけれども、例えば中小企業への融資とか、金融機関がこれからやるべき業務について何らか差しさわりがありそうな、懸念するべきところがあれば教えていただければと思います。

○岩原座長

これは実務の方に伺いましょうか。

泰松さん、もし差し支えなければ。

○泰松みずほファイナンシャルグループ経営企画部参事役兼みずほ総合研究所調査本部金融調査部長

必ずしも実務とは限りませんけれども、大口信用供与規制全体の流れは時代に即したものにしよう、また、国際的な議論を踏まえて見直しに取り組んでいこうということで同意するところだと思っています。

幾つか実務的なところで3点ぐらい申し上げたいと思っています。1つ目は、前の資料にあったと思うんですけれども、規制のあり方ですかね、推計等でなるべく簡易なものにしてほしいというのがございます。これはやはり複雑なものになるとなかなか大変かなと。具体的には、例えば受信側の合算というところの例示で海外で経済的な相互依存関係を取り入れているというところがございますけれども、これは実務に落とすときにもし入るとするとかなり工夫が必要かなと考えているところであります。

2つ目は、これはもう既にいろいろ議論いただいていますけれども、インターバンク取引等、まさしく規制が入ることによって金融機能の低下につながるということがないようにしていただければというところは考えております。

3つ目は、まさしく監督局さんからお話があったとおり、個別性が強いところですので、そこら辺には十分ご配慮いただければと考えております。以上です。

○岩原座長

ありがとうございます。

他の金融機関のほうはいかがでしょうか。何かご感触があれば。よろしいですか。

それでは、それ以外の……、はい、どうぞ。千田さん。

○千田日本銀行金融機構局総務課長

日本銀行です。ちょうど今、金融機関の実務のお話も出ましたので、日本銀行として少し申し上げると、今回この規制について、規制導入以降の環境変化や、国際的な規制見直しの議論に対応しつつ、制度趣旨に照らして規制をより適切に見直していくとの方向性には、我々も異論はないということかと思っています。

その上で、今、全銀協さんのほうからもお話がありましたけれども、今般の見直しによって、金融機関の流動性の調達や実体経済に不測の影響が生じないようにするという観点は非常に大事だなと思っています。現状の市場取引の状況を前提にするとあまり影響はないという部分もあると思いますけれども、例えば市場取引が非常に活発であった時期の取引の状況や、将来の発展の可能性なども踏まえて、今回の規制の影響度を丁寧に繰り返し調査した上で、最終的な規制の内容や導入時期、経過措置等の必要について、検討していく、ないしは検証していくことが必要と考えております。

それから、我々の政策的な観点から申し上げますと、今回、2ページのところで、「日銀預け金」を適用除外とするものに挙げていただいております。これは我々の金融政策にご配慮いただいた部分だと認識しております。このほか、金融調節においては、資金吸収手段として行う国債売現先オペや手形売出オペでも与信関係が発生いたしますので、このような手段ごとではなく、「日本銀行に対する信用供与」一般を対象外としていただくことをご検討いただければと思っております。

本件については、実務面での検証を関係者がしっかりと行っていくことが必要と考えております。以上です。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

川口さん。

○川口委員

信用供与の限度額のグループ規制の話ですが、平成10年のときに大激論があったというお話がありました。そこでグループは別途40%というふうに決められたというのはそれなりの理由があって決められたんだろうと思うのですが、それを今回25%に引き下げるというご提案をされているわけですが、それのよしあしを言っているわけじゃないんですけれども、ルールに対する考え方が変わったということなのでしょうか。それであればそれを教えていただきたい。国際的に統一するということが重要だから、今回はそういうふうにするふうにお考えなのか、その辺を教えていただければと思います。

○岩原座長

私がさっきグループ内与信の取り扱いについて申し上げたのは、6ページに書いてあるような考え方の整理について大激論になったということです。40%かどうかについては、むしろ当時の実情を踏まえて、それに急激な影響は与えないということを考えて40%という数字が出たと記憶しております。そこら辺は多分事務局のほうが詳しいと思いますので、お願いします。

○藤本信用制度参事官

当時の通達、この規制が入る前に監督上の通達がありまして、そこで40%だとされていたというのが発射台になりました。それに、当時の実務上の状況も加味したところ、現在既に行われている取引を阻害したり、実態経済に無用の混乱を生じさせることを回避するといった観点から、通達の水準を法令上も引き継いだというのが実情でございます。

○川口委員

その実情が今、変わってきたというふうな理解でよいということでしょうか。

○岩原座長

おっしゃるとおりだと思います。当時は実際にこれぐらいの信用供与が実務上行われていて、それを急に縮小させるということは困難であったので、それを前提に40%という数字を入れたわけですけれども、それが望ましいと思っていたわけでは必ずしもありません。今、藤本さんからご説明のありましたように、急激な変化をもたらすことによるマイナス効果が生じないようにということで、当時の実情を踏まえた40%という数字が入ったと記憶しております。

森下委員。

○森下委員

資料の8ページの表なのですけれども、ご提案によると、今、40%となっているところが25%ということに変わって、銀行主要株主の単体ベースというところだけが15%です。要は、25%という数字が重要であって、銀行主要株主であるかそうでないかという点は、25%を超えていないのだから重要ではないというような整理ということでよろしいでしょうか。

○岩原座長

藤本さん、どうぞ。

○藤本信用制度参事官

銀行主要株主のほうは、今回必ずしも検討の対象にしているというわけではありませんで、主要株主ではない受信サイドのグループの40%というものをどう考えるかということでご議論いただいているものです。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。

松井委員、どうぞ。

○松井委員

5ページ目の受信側の合算対象範囲のことなんですけれども、実務の方から、相互依存性等は実務に落とし込むのは非常に大変だというご指摘がありましたし、議論の整理として、有報提出会社プラス子会社・関連会社という、会計基準にのっかって範囲を決めるというのは1つの割り切りかとも思うんですけれども、ただ一方で、共倒れの可能性という視点で決めるということであれば、ほんとうであれば、有報提出があるかどうかというメルクマールとか、会計の子会社・関連会社という概念にのっかり過ぎると、最初の概念と少しずれるのかなと思います。

それで、主要国ではというのがあるんですけれども、この主要国では、日本と同じように受信側の合算対象範囲を決めて実務で落としていくときに、あまりに曖昧だと多分難しいということで一定のメルクマールを設けているのではないかと思うのですが、主要国でも有報提出会社プラス関連会社というような基準を使っているのかどうかということを少し教えていただければと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

特にヨーロッパの国においては、実質的に経済的な関係があるのかとかいうメルクマールになっておりまして、EUの指令でそういうようなものがあります。各国の法制度に落とすときにいろいろ細則は定めているようであります。国によっては、何か細則定めると、やっぱりそれは厳し過ぎるんじゃないかというふうに緩めるべきだとの議論もなされるようであり、そうした内容のパブコメを行っている国もあるようでございます。ヨーロッパのような考え方もあるとは思いますが、ここでは明確にわかりやすい基準で考えてはどうかと提示しているところであります。

○岩原座長

川波委員。

○川波委員

インターバンク取引のところで少し教えていただきたいんですが、要するに、規制の対象にはするんだけれども例外規定を設けるというのが今、出ている基本的な方向性だと思うんですが、その規制の具体的な中身ですね。先ほど銀行の方のご意見もありましたし、以前のワーキングでそういう意見も出ていたと思うんですが、短期金融市場というのは非常に重要な機能を持っている、金融システムの非常に重要な機能ですので、逆にそれを阻害するようなことがあってはいけないということですので、規制の対象にするというときに、その規制の中身というのは金額で縛るのか、それとも、何か他の規制のあり方があるのか、諸外国の例も含めてもう少し具体的な中身についてどう考えたらいいのかという、その辺どうでしょうか。

○藤本信用制度参事官

やはり基本は、分母が自己資本で、分子は受信者とかそのグループに対する信用供与で、それがインターバンクを通じてであろうが、金融機関預け金という形を通じてであろうが、あるいは貸し付け、出資というのもあるかもしれませんが、そういうものも含めたものが分子になって、結局そこが倒れたときに金融機関の財務上問題が起こるかどうかという捉え方をしています。

今、インターバンクあるいは金融機関向けというのがバサッと抜かれているものですから、そこに健全性上問題が生じることもあるのではないかということです。一方で、もちろん資金繰りとかいうことには配慮する必要はあると思っています。

○岩原座長

よろしいですか。

○川波委員

はい。

○岩原座長

小野委員、どうぞ。

○小野委員

済みません、先ほど質問させていただいた点の更問になるんですけれども、先ほどの5ページで、銀行と銀行持株会社が行う出資について、与信側の合算対象範囲とするかどうかの対応が違うということなんですけれども、前回、5%ルールの議論がありまして、そのときに、今後これから議論すると思うんですけれども、5%ルールを、他業禁止規定の文脈で捉えるという考え方と、銀行の健全性を維持するという観点から捉える考え方の、2つがあったと思います。その際、健全性ということから整理するのであれば、大口信用供与規制で対処すればいいという議論もあったと思います。

そこで、仮に健全性維持については、大口信用供与規制のほうで対応するとした場合、銀行やそのグループ会社が出資をするときに、銀行持株会社だけが適用除外であると、問題が生じる可能性はないんでしょうか。あるいは、銀行持株会社というのはあくまでグループ会社を持つ会社なので、普通の一般の事業会社に出資することはできないという理解なんでしょうか。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

そこは非常に連動している話であると思っています。結局、銀行持株会社にぶら下がる企業は今は限定されているんです。銀行とか保険会社とか証券とか貸金業者とか、そういうものに限定されています。その中にこの前の5%ルールでいいますと、投資専門子会社みたいなものもぶら下げてもいいよということにはなっていたりはするんです。

そこからは仮にという話になるのですが、もしそういうものを銀行持株会社にぶら下げたときに、ここの出資の部分が現行規制上は抜けることになるんですが、そういったものについてまたどう考えるかというのはあります。ただそっちのほうは5%ルールをそういうふうにしたらというような相当な仮定に基づいているものであります。もしそういうことになれば、ここもどう考えるのかという議論になると思います。

○岩原座長

よろしいでしょうか。銀行持株会社についても、銀行と同じような株式保有規制が現在はあることを前提にしているわけでありますので、銀行の規制のほうを見直すとなると、こちらも当然あわせて連動して検討する必要が出てくるということになるかと思います。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、そろそろ時間でございますので、ここら辺で本日の議論を終了させていただきたいと思います。本日は、大変活発なご議論をいただきましてまことにありがとうございました。ただいまご議論いただきました外国銀行支店に対する規制及び大口信用供与等規制については、おおむね意見が一致したのではないかと考えられますので、ご議論をいただいた方向で取りまとめを行っていきたいと考えております。

次回第9回は、金融業の機能強化につきましてご議論をいただくことを考えております。

それでは、事務局のほうから連絡がございましたら、お願いします。

○藤本信用制度参事官

次回の日程につきましては、皆様のご都合を踏まえながら、座長と相談の上、別途連絡させていただきます。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3566)

サイトマップ

ページの先頭に戻る