金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

1.日時:

平成24年10月31日(水)15時30分~17時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○岩原座長

それでは、ただいまより、「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」第9回会合を開催いたします。皆様、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

それでは、本日の議事に移らせていただきたいと存じます。本日第9回は、まず第7回に引き続き、金融業の機能強化につきまして議論をしたいと存じます。事務局からの説明をお願いいたします。

○藤本信用制度参事官

事務局説明資料の表紙をおめくりいただきたいと思います。銀行等による議決権保有規制、いわゆる5%ルールについてでございます。上の欄に論点を書いておりまして、左側にこれまでの主なご意見、右側に銀行の整理というのを出しております。

まず最初の論点1は議決権保有の上限ということで、これは5%ルールの原則でございます。銀行とその子会社が国内の一般事業会社の議決権を合算して5%以上保有することを原則禁止しているというものでございます。

左のほうにいきまして、これまでの主なご意見でございます。我が国の金融危機も銀行が経営を支配している会社の負債の面倒を見なくてはならないといったことがきっかけになったという反省を踏まえる必要があるのではないか。

次に、銀行の他業禁止というものが、銀行が他の事業に進出することが望ましいのかという根本的な問題である。また銀行というのは規制で保護されているので、他の企業と比べて公平な競争ができるのか、当局は適切なリスク管理ができるのかということでございます。

それから、他業禁止というのは、規模に関係なく他業を禁止するものであり、一定の合理性はあるのではないか。

次は、バンキングとコマースの分離という原則をどう考えるのか。一方で現在の日本では、資本性資金の出し手が不足しているという現実があって、経済活性化を妨げているという側面もあるのではないか。

それから、銀行の創意工夫を促すというスタンスで臨むことが重要ではないか。次に、何%まで引き上げるかという点も検討すべきであって、その際は連結の範囲も考慮する必要がある。

2ページ目です。我が国の場合は、一般事業会社が金融業に参入しているという面もあるので、それとの整合性についても考えるべきではないか。

他業禁止の観点からは、議決権保有割合というものだけではなく、企業規模等も勘案するべきではないか。銀行において優越的地位の乱用に係る規定もあるので、健全性だけの話だけではないのではないか。あるいは、例えば地銀がリスクを適切に管理できるかという問題がある。また、決済システムに対する影響といった観点から検討するべきではないかということです。

1ページ目にお戻りいただきます。右側の議論の整理でございます。5%ルールの見直しに当たっては、金融機関が本業以外の事業を行うことによって、健全性を損なうことのないように、他業禁止の趣旨というのを踏まえる必要がある。一方で、地域経済に資本性資金の出し手が不足しているという状況がある。例えば、ベンチャービジネス育成・事業再生支援を通じた地域経済の活性化を図る、あるいは中小企業支援策の一環として、資本性資金の供給主体たる金融機関の役割を最大限に発揮させる環境を整備することが必要ではないか。

この現行のルールは平成10年に整備されたものでありますが、当時に比べると経済界における警戒の声は少なく、一方で企業側からは、金融機関からの出資の拡大を望む声が高くなっております。

これらを踏まえるとというところでございますが、現在の5%という基準にとらわれず、議決権保有の上限の引き上げを考えていくべきではないか。特に中堅・中小企業ということであれば、金融機関の健全性に与える影響は限定的ではないか。

2ページ目でございます。他方、大企業について一律に引き上げるということは、地域経済活性化という観点から、必要性が大きくないものも含まれてしまうのではないか。また、健全性という観点からは、相当な影響があるのではないかということにも留意が必要ということです。

このため、中堅・中小企業については、議決権保有の上限を引き上げ、大企業については、原則として現行規制5%を維持することが適当ではないかと出しております。

※が幾つかございますが、持分法が適用される水準以上の保有は銀行の連結決算の対象となることに留意ということでございまして、現在連結の範囲になったものについては、他業禁止の精神を及ぼしていくという監督上の取り扱いが行われているというところでございます。それから、中堅企業というのが出てまいりましたが、その定義については、地域経済における実態の反映に努める必要があるのではないか。そういう引き上げを行った場合に、リスク管理や深度ある検査・監督の枠組みが必要となるのではないかとしております。

次に、大企業、中堅・中小問わず、地域経済の活性化を図る観点から、例外分野、例えばベンチャー、事業再生、地域活性化事業等を設けることが適当ではないかということでございます。

注書きでございますが、独占禁止法上の規制については、当該担当しています当局による検討が必要なのではないか。協同組織金融機関にも同様の措置をとることとしてはどうかということです。原則5%の原則というのをどうするのかという話でございます。

3ページ目でございます。投資事業有限責任組合の形で持っていて、形式的に組合財産に入るものですから、組合員は議決権を形式的に保有することになる。しかし、議決権を行使しないようになっている場合には、5%ルールの適用除外になる。ただしその場合も、10年を超えて保有することはできないということになっているというものについてでございます。

これまでの主なご意見でございますが、実際に議決権を保有する、行使するのは、銀行ではなくてファンドのGPからであるため、完全に適用除外とすべきではないかという意見が出されております。

議論の整理でございますが、こうしたものは一定期間内に議決権を処分してキャピタルゲインを得ることを担保するために、10年という保有期間が定められたということになっています。しかしながらということですが、保有枠組みでは議決権は実際には行使しないということになっておりますので、保有期間を制限しなくても、実効性は十分に確保されるのではないか。このため有限責任組合員として取得・保有する議決権、今の枠組みでございますが、を5%ルールの例外とする期間を撤廃することが適当ではないかとしております。

4ページ目でございます。論点3のほうは、議決権を銀行グループとすると、行使するほうの話でございます。ただ、投資専門子会社というものを通じて議決権を持つ。しかも分野が限られておりまして、ベンチャービジネス会社というものと、事業再生会社というものに限られています。ベンチャービジネス会社の定義は、ここの①、②、③にありますように、例えば試験研究費といったものに着目したり、研究者といったものに着目したり、あるいは計画の認定を受けるといったことに着目した定義になっております。

これまでの主なご意見でございますが、現在のベンチャービジネス会社の定義では、例えばサービス業といったものが該当しづらくなっているのではないかということでございます。

右側の議論の整理でございますが、現行のベンチャービジネス会社の定義というのは、税制上こういうものは許しましょうといった、比較的厳格な要件をベースとしているということでございます。ベンチャービジネスの育成、事業再生支援といった観点からは、大幅な緩和が必要ではないか。このため、例えばこういった要件とすることが適当ではないかということで、まず中小企業者と一般的に言われております中小企業者である非上場の会社で、設立10年未満、次はビジネスモデルや販売する製品サービスの新規性が認められる会社ということで、広い定義を出しております。

5ページ目でございます。4ページ目にちょっと戻っていただきまして、上のほうでございますが、上から2行目で、ただし書きで保有期間が10年以内という制限もかかっているところでございます。

5ページ目にまいりますが、これはなぜ10年となっているかと申しますと、当時のベンチャーファンドなどの平均運用期間が10年ぐらいであったということということでございます。過去から現在まで数字を見てみますと、平均運用期間は12年から13年になっておりまして、10年を超えている。それから、リーマンショック後は長期化する傾向にあるということでございます。このため、投資専門子会社を通じて保有するベンチャービジネス会社の議決権を例外とする期間を、例えば20年に延長するのが適当ではないかとしております。

それから、例外とする対象で、今は投資専門子会社を通して保有することができるのは、ベンチャービジネス会社と事業再生会社なんですが、それに加えて地域活性化事業というものを追加してはどうかということです。この趣旨といいますのは、地域経済の資本性資金の出し手が不足しているという状況にかんがみてということでございます。ここで例として挙げているのは、観光とか、再生可能エネルギーとか、PFI等というのを例として挙げているところでございます。

6ページでございます。分野を限ったベンチャービジネス、事業再生会社、地域活性化事業会社というのは、先ほどのページでご説明をしたところですが、そういうものを銀行と本体が保有する。投資専門子会社を通さずに保有するということについてどう考えるかということでございます。

これまでの主なご意見として、5%ルールを緩和して銀行に株式を保有させる前提として、中小企業が再生計画を作成して、業績を好転させられるような環境を整備することが重要ではないか。事業再生会社の株式保有については、50%超の保有を認めてはどうかといった意見が出されております。

議論の整理でございます。地域経済に資本性資金の出し手が不足しているという状況にかんがみまして、こういった3分野といいますか、ベンチャー、事業再生、地域活性化への参画を行う観点からは、銀行等がみずからこれを行う。投資専門子会社を通さずに行う意義は大きいのではないか。特に銀行と本体がみずから事業再生局面において主体的な役割を果たすためには、リスクの適切な管理を確保しつつ、銀行と本体による保有も認める必要があるのではないか。

具体的には、こういった3分野については、次のはちょっとわかりにくいんですが、銀行と本体による原則とする水準といいますのは、2ページで、中小企業については引き上げる。大企業については原則として5%です。そういうものを超える水準の保有を検討することが適当ではないか。その際、事業再生会社の趣旨については上限を設けることなく保有を認めることを検討してはどうか。ただし、健全性の観点からですが、監督上の措置として、リスク管理の計画の提出等を求めるということはどうだろうかと。

※でございますか、ベンチャービジネスとか地域活性化事業の出資の総額というのは、やはり健全性の観点から一定額に限定するといった手当が必要かどうか。それから、出資の総額に、損失、リスクがとどまらない場合もございますし、我が国の金融危機などを踏まえればそういうこともあるものですから、こういった措置に則したリスク管理や深度ある検査・監督の枠組みが必要になるのではないかとしています。

7ページでございます。事業承継についてでございまして、左側でございますが、事業承継については、これについて銀行、金融機関が関与したいという要望は高いわけでございます。これに対しては、現行は関係者の調整や融資を行うだけで十分ではないかというような意見も出されております。

右側でございますか、事業承継に伴って取得・保有する議決権については、何ら適用除外にも何もなっていないところでございます。一方、現場におきましては、取引先の事業の承継先が見つからないといった場合があって、一時的に金融機関が株式を保有する場合に、地域金融機関などが関与したいという要望が寄せられているところでございます。またこういう人数というのは、経営者の高齢化等を踏まえて増加していくことも予想されるところでございます。したがって、地域金融機関などが中小企業等の事業承継を支援する際の1つの選択肢として、そういう事業承継を行う企業の株式を保有することを認めることに合理性はあるのではないか。

このため、地域金融機関などが中小企業等の事業承継に伴って保有する議決権について、先ほどの中堅・中小は少し引き上げて、大企業はそのままですが、それを超える水準での保有を検討することが適当ではないか。その際、上限なく保有を認めることとしてはどうか。ただし、監督上の措置として、事業承継の計画の提出を求めるといったことはどうかということでございます。

8番目でございます。現在、デット・エクイティ・スワップについては例外になっているんですが、この立てつけは、担保権となっている株式を取得した場合と同じで、なるべく速やかに売却をしなさい。可能な限り1年以内に売却をしなさい。どうしても難しいときには個別で承認をしますよという立てつけになっています。そういう仕組みにデット・エクイティ・スワップも商法等で制度化が認められたときに、この適用除外のところに追加されたわけでございます。これまでの主なご意見ですが、デット・エクイティ・スワップにより取得・保有する議決権を5%ルールの例外とする期間については、1年では短いので3年程度に延長してはどうかということでございます。

議論の整理でございますが、デット・エクイティ・スワップなどを使う一般的な経営改善計画の計画期間は3年~5年というのが普通でございます。速やかに売却しなさいというものとはなかなか相容れないものでございます。このため、例外とする期間を延長することが適当ではないか。監督上の措置として、リスク管理の計画の提出を求める。例外とする期間を超える、何年かというのを設定いたします。それを超える場合に、承認を受けて延長するわけですが、その有効期間はデット・エクイティ・スワップに伴い取得した株式の処分計画に応じて設定してはどうかということでございます。

※でございますが、検査マニュアルにおきましては、経営改善計画の計画期間が5年以上10年以内であっても、計画どおりに進捗している場合には、その計画は合理的であるというふうに判断しているところでございます。

9ページでございます。これは今まで申し上げたものとは性質を異にするものでございますが、信託銀行の信託勘定で取得・保有する議決権についてでございます。次のものは5%ルールの例外と書いていますが、ちょっと逆に書いているのでわかりにくいんですが、次のものしか例外にはなっていないということでありまして、委託者とか、信託銀行以外の者が指図をする場合、これは当然のことだと思いますが。それから、信託銀行が議決権を行使する場合には、保有期間を1年以内でなければならないというものがかかっているということでございます。したがって、普通に信託銀行が議決権を行使する場合にはカウントされてしまうということです。

これまでの主なご意見でございますが、元本補てんのない信託であれば、信託銀行の健全性の観点から問題にならないのではないか。それから、信託銀行が行使する議決権に事実上裁量が認められるのであれば、慎重な検討が必要ではないか。それから、信託銀行は、当然委託者ですとか受益者のために議決権を行使しなければならないので、そうなっていないのであれば、信託業法、あるいは兼営法違反なのではないかという観点から監督していくべきではないかという意見が出されております。

右側でございますが、議論の整理でございます。元本補てんのないものであれば、銀行の健全性に影響を及ぼすことはないでしょう。また、あくまでも受託者の立場で保有するに過ぎないです。受益者のために議決権を行使することを前提として、例外とすることが適当ではないかとしています。

今までが、いわゆる5%ルールについてのものでございました。次は全く違う話でございまして、外国銀行の業務の代理・媒介についてでございます。これは文章だけだとわかりにくいと思いますので、参考資料の16ページをお開きいただきたいと思います。この制度をつくりましたときには、下のほうの図でございますが、邦銀が現地法人を持っています、現法を海外に持っております。邦銀は顧客が国内におりまして、顧客、企業でございますが、企業が海外に進出をしました。邦銀の現地法人と顧客との取引というものを、国内にいる邦銀が代理・媒介するといったものを念頭に置いておりまして、現地法人は日本の銀行の免許を受けているものではないものですから、そこは国内の顧客の保護を図るという観点から、この現地法人というのは、邦銀と資本関係にある子会社ですとか兄弟会社といったものに限定をするといったものになっております。

次の参考資料の17ページをお開きいただきますと、最近出てきておりますのは、次のようなものです。邦銀があります。邦銀が海外において支店なり、あるいは長期出張者といったものを出しているということであります。顧客のほうが海外に進出しておりまして、邦銀の現地の体制というのは、フルの金融サービスを提供できるようなものには仮になっていない場合がある。そうしたときに、顧客の支店、現地法人と現地の外国銀行との間を取り持つといったような要望が出てきているところでございます。こうした話でございます。

資料の10ページにお戻りいただきたいと思います。外国銀行の業務の代理・媒介についてでございます。これまでの主なご意見で、海外において外国銀行の業務の代理・媒介を行う場合には、邦銀との出資関係というのは必要ないのではないかということです。ただし、外国銀行支店の免許の潜脱にならないよう留意する必要がある。

あとは海外において行われる取引といっても、一部の作業を日本国内で行われることもあるけれども、これについてどう考えるかということでございます。

右側の議論の整理でございます。現在は国内の顧客の利益の保護という観点から、委託後の外国銀行を、邦銀と資本関係がある者ということに限定している。ところが外国銀行の業務の代理・媒介を海外において行うのであれば、国内の顧客の保護を図る観点からは特段問題は生じないのではないか。広く認めていくことが重要ではないか。このため、国内銀行が代理・媒介を海外で行う場合に限り、出資関係の有無を問わず、外国銀行の業務の代理・媒介を行うことを可能としてはどうか。

現行法規制上、委託元の外国銀行と国内銀行の間に子会社関係がある場合、これは子会社を持つときに基本的に認可制になっておりますので、1回認可を受けて子会社を持っているということを前提として、代理・媒介を行う際には届出制ということになっています。今回の場合は、国内銀行が資本関係にない外国銀行の業務の代理・媒介を行うということでございますので、当局の認可ということにしてはどうかということでございます。

11ページでございます。国内銀行の進出形態ということで、これはどういうことかといいますと、参考資料の17ページの邦銀が海外にどういう形で出ていくかという話で、人の形を2つ書いていますけれども、これがどういう形態かということです。資料のほうの11ページでございますが、国内銀行の進出形態については、海外における支店開設等の条件を設けず、行員の長期出張を含む多様な形態での代理・媒介を行うことを可能としてはどうかとしています。ただし、外国の規制、海外における拠点規制というのはありますので、それは当然かかってくるので留意する必要があるということでございます。また、協同組織金融機関にも同様の措置をとることとしてはどうかとしています。

業務の範囲についてです。現在は、銀行の固有業務及び付随業務に限定して、代理・媒介を認めているということです。国によっては不動産業等を銀行の業務として認めていることも想定されるんですけれども、国内銀行にそういう十分なノウハウがないということを前提とすると、顧客に不利益を与えてしまい、健全性が損なわれるという可能性もあるということから、従来どおり銀行法の固有業務及び付随業務に限定してはどうかとしています。

12ページでございます。これは海外におけるM&Aに係る子会社の業務範囲規制についてでございます。参考資料の19ページをお開きいただければと思います。左下の絵でございますが、銀行が国内において持つ子会社の業務というのは、一定の制限がございます。銀行が海外で持つ子会社についても制限がございます。銀行が海外において金融機関等を買収しようとします。この海外における金融機関等というのは、ほかの国のいろいろな金融グループが買収したいと思っているという状態が想定されます。そうしたときに、我が国の銀行法上、外国のバツがついているところですが、子会社対象会社に該当しない会社があったときのことです。我が国の銀行グループがこの金融機関等を買収しようとするときには、子会社対象会社は外してくださいとかということを言わなければいけない。外国の銀行は、こういう制限がかかっていないとしますと、買収の入札等において不利になるということでございます。

資料の12ページに戻っていただきます。銀行の子会社業務範囲規制は、銀行の経営・財務の健全性を確保する観点からの他業禁止の趣旨を踏まえたものであります。他方で、海外において金融機関の買収を行うときに、入札時に日本の金融機関の場合には、いろいろ条件をつけなければいけない。子会社業務範囲規制の観点から、条件をつけなければいけないということで、海外市場への進出を阻害するようになっているのではないか。

そこで、国際展開を容易にする環境の整備の重要性にかんがみれば、現行の業務範囲規制は基本的に維持しつつも、海外の金融機関等の買収の場合に限って、一定期間の保有を、子会社対象会社以外の会社の一定期間の保有を認めることが適切ではないか。例えば、原則5年間に限るといったことではどうだろうか。

買収対象となるのは、外国の銀行に限らず、保険会社や証券会社等の買収の場合にも認めてはどうかとしております。保険業法については本年改正が行われまして、外国の保険会社を買収する場合に、子会社業務範囲規制外のものについても、例外として5年間は保有が認められるということでございます。

銀行持株会社が買収を行う場合についても、同様の措置にしてはどうか。信金中金等についても同様の措置を講じることとしてはどうかとしております。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。それでは、議論に移りたいと存じます。まずは今の事務局説明資料ですと、1ページから9ページの5%ルールに関しましてのご質問、ご意見を承りたいと存じます。委員の皆様どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

私、ここの議論の整理に書いていただいた内容はほぼ適切というか、こういう形で制度を見直したらいいんじゃないかと思います。ただ一、二点確認といいますか、意見を申し上げて、かつちょっと質問もしたいんですが、まず1点目は、論点1のところで、大企業と中堅・中小企業ということで区分けをするということが書かれておりまして、基本的にそれは私はいいんじゃないかと思うんですが、上場会社とそうでないものという区別も非常に重要だと感じておりまして、やはり上場会社の議決権を銀行が過剰に持つというのは、かつていわゆる持ち合い構造が問題視されたこととか等々考えますと、非常に弊害があるんじゃないかと懸念されます。最近、いいか悪いかは別として、上場会社の中にも、あまり規模的には大きくない会社もございますし、今後そういうのも増えていくかもしれないので、中堅・中小企業というのは、あくまでこれは非上場ということを、明確に定義上しておくべきじゃないかと思います。

それから、もう1点が、これは質問なんですけれども、現在銀行が保有している株式の評価、非上場の株式の評価ですね。バランスシート上、あるいは自己資本比率規制上、これはどのようになっているのかというのをちょっと教えていただきたいんですが。それについてちょっと意見を言いたいんですが。

○岩原座長

後者のご質問については、これは遠藤さんですかね。調査してからお答えになさるそうですので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。

それ以外にご質問、ご意見ございますか。川口委員、それから森委員。

○川口委員

私も提示いただいたもので、基本的によいのではないかと思います。確認の意味での質問をさせていただきたいのですが、1ページのところにあります、議論の整理のところの3つ目のところで、経済界に銀行側の出資拡大を警戒する声が現在少なくなっているということですが、これはリサーチなど何か具体的なものがあってそういうふうな話になるのか、あるいは何か日ごろからいろいろな方と接せられていて感じられていることなのかというのを、まずお聞きしたいと思います。

2点目、中小企業をはじめとした企業側から、金融機関からの出資の拡大を望む声が高くなっているということですが、確かに、ベンチャー企業とか事業再生とかというようなものについては需要が大きいだろうと思うんですけれども、一般の中小企業が資本性のあるものをどれだけ求めているのかというのは、前から疑問に思っています。持株比率を拡大するとして、おそらく銀行は50%は持っていないでしょう。3分の1ということにもならなくて、10%とか15%とかそんな話になるのかなと思います。

そういうものであるとすれば、現在でも5%は持てるわけで、その程度拡大してどれだけのメリットを中小企業としては感じられているのでしょうか。融資もできるわけでして、株式と融資の違いというものがどういうふうにあらわれてくるのかというのをお聞きしたいと思います。

○岩原座長

それでは、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

資料の1ページ目ですと、下から2つ目の矢羽根で①、②とございます。経済界の声ですが、これは今回の検討に当たりまして、経済団体等と意見交換をしました。それは東京においてもしましたし、地域においてもしました。そこで出た意見を総括しますと、こういったような傾向のご意見だったということでございます。

それから、2番目のご質問で、一般的に中小企業が、事業再生等の問題は置いて、銀行に、金融機関にどうしてエクイティ性のものを求めるかということです。そこは場合によってはよりリスクが高いんだけれども、少し業容拡大するとか、多角化しようとか、よりエクイティ性の資金を求める場合もあるというふうに聞いておりますし、あとは金融機関が出資することによって、ある程度の信用等が得られるといった声もあったところでございます。以上でございます。

○岩原座長

次に森委員お願いします。

○森委員

私もこの議論の整理の方向性で異論はないところでありますが、論点1の議決権保有の上限というところがあります。これは基本的には他業禁止の趣旨を踏まえるということと、健全性ということでありまして、2ページに記載していただきましたが、ここは原則の原則でありますので、連結の範囲との関係の影響力基準の15%、この辺が最大限になるところだと思います。その後、決めるべき水準については健全性の問題だとか、他業支配の問題であるとか、そういったところを踏まえながら、ご提案のとおりの大企業の場合はどうか、中小企業の場合はどうかというのを決めていくということになるんだろうと思います。

それと論点2につきましては、議決権の行使には影響がないと、影響させないということでありますので、これはまさに連結の観点からも、この議論の整理でよろしいのかなということだと思います。ただ、後にも出てきますが、リスク管理の観点というのは、1つ制限として設ける必要があると思います。

それと論点3につきまして、これは連結の範囲の原則から、日本の基準の場合は例外規定というのが、ベンチャーキャピタル条項というものと金融機関条項というものがありまして、ベンチャーキャピタル条項は、いわゆる支配を目的としないということが明確になっていて、キャピタルゲインを得ることが目的であり、それが営業取引であるということが条件になっているということであります。

金融機関の例外というのは、これも債権の円滑な回収を目的とするということで、これを営業としているということでありますので、これらについては、そのほかにもまだ条件があるんですけれども、基本的には保有する議決権が支配力基準、あるいは影響力基準に該当したとしても、支配目的ではない、あるいは影響を行使する目的ではないということで、連結の範囲から除外しています。これはまさに他業禁止のところにも当てはまるのかなというところでありますので、この論点3につきましては、5%ルールの適用除外というのは、ベンチャーキャピタル条項に当てはまるんだろうというふうに考えます。やはり事業育成であるとか事業再生といったものを目的としているものも入りますので、これには当てはまるということだと思います。

ただ、幾つか要件があると申し上げましたが、その中に、その持分の大部分を売却する合理的な計画があるというものが入っています。ですから、こういった要件ものがあることで、実質的に支配していないということになりますので、その辺をどのように制限をかけるのかということであると思います。

それと6ページの論点4についても同様に、ベンチャーキャピタル条項に該当することになると思いますので、ここでも先ほど申し上げました、リスクの適切な管理であるとか、検査・監督の枠組み、その辺が、金融機関がこういった条項を使いますとリスクは広がりますので、制限としてどういうものが必要なのかということを、きちっと検討する必要があるだろうということだと思います。

それとデット・エクイティ・スワップにつきましては、金融機関条項としての例外に該当するということでありますが、やはりここでも1年を超える場合は、基本的には議決権の大部分を売却する合理的な計画というものが提示されることが必要なのではないかと思います。9ページまでのところでありますと、私のほうでは以上であります。

○岩原座長

それでは、井上委員。

○井上委員

私自身も、今、特に地域においてエクイティ性の資金の出し手が非常に不足しているということにかんがみますと、そういった期待が金融機関にあるということ自体はそのとおりだなと思っておりまして。今ご説明をお聞きし、各委員のご意見をお聞きしていても、そう思うのですが、銀行の仕事をしておりますと、今のお話に絡んで悩ましいなと思う面もございます。

そういった企業には、通常もともと貸付があるわけですけれども、貸付がある、出資もする、コンサルティング機能を発揮する、場合によっては役員も出すということになりますと、いい面もありますけれども、そうでないことも起こり得ます。どんどんビジネスに対するコミットメントが高まっていって、これはビジネスがうまくいったときは大変結構なことでして、貸した金は返ってくる、出資して得た株式価値は増加する、出資先が優良顧客になって、その後の銀行取引も繁盛するということですが、うまくいかなくなったときには、単に出資について金額的なリスクを負うのみではなく、派遣した人をいつ引き揚げるのか、あるいは回収局面にいつ転換するのかという判断において、それまでコンサルティング機能を発揮して、一種の依存関係が発生しておりますと、場合によってはボロワーに対してフィデューシャル・デューティを負うに至っている可能性があって、非常に悩ましい判断を迫られることが実際ございます。自分が派遣している役員を見捨てることはもちろんできないわけですから、どこで引き揚げ、どこで救うかがポイントになりますが、逆にそれはボロワーを切り捨てるタイミングを見計らうことにつながるので、6ページの※に書いていただいているようなリスク管理が非常に重要になってくるということを、あわせて強調すべきではないかと思っております。

これは単に出資の額を上限とする投資リスクというよりは、今申し上げた貸付、あるいは出向者といったもののトータルのリスクを考えていかなきゃいけないということでして、レンダーズライアビリティの問題にもかかわってくる問題だろうと思っております。それは何もリスク管理をやみくもに厳しくするべきだと申し上げているわけではなくて、金融機関にエクイティ資金の出し手としての機能を発揮すべきだという価値判断があるのであれば、リスク管理は極めて重要ですし、その管理手法については、一面的にどこかでデジタルにぱたっと変わる話ではなくて、場合によってはより長い時間をかけて、リスク管理をしていかなきゃならない場面があることについて、自覚的な認識が必要だということを申し上げておきたいと思います。

○岩原座長

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

私もこの現在の方向性については、基本的なものに関しては全然違和感はないんですけれども、やはり井上委員がおっしゃった論点4のところは気になるところでございまして、殊にこういうふうな事業再生会社であるとか、あるいは事業承継に当たって地銀がどんどん活躍しろと、まだやる人がいるんだということで、前回小野参事官からご説明いただきまして、それはそういうことがあるんだろうなとは思うんですけれども、出資が上限なく保有を認めるというところにくると、100%保有もありということになります。そうすると、銀行法による他業禁止を一体どう説明していくのかというところが問題だと思います。

それから、もう一つ申し上げれば、事業承継についても同じようなことを提案されていますけれども、私はストラクチャード・ファイナンスをやっていますから悪知恵の方に行ってしまうんですけれども、何でもかんでも事業承継ですということで、銀行が様々な事業に進出することにも使うことができてしまいそうなんですね。緩めるのはいいんですよ。だけど、上限なくという発想がどうして出てきたのかがちょっとよくわからない。他方で、このワーキング・グループではシステミックリスクの話をしているわけですけれども、先ほど井上委員からお話があった、レンダーズライアビリティ、あるいは日本でもっと言えば母体行責任という、あの悪夢が出てきたときに、我々はシステミックリスクをつぶすことをやるはずなのに、ここでシステミックリスクの種をまいているようなことをやっているんじゃないかということになります。2つの局面、要するに、銀行業務の他業禁止のところ、あるいは付随業務をどういうふうに解釈するのかという問題と、それから、システミックリスクの防止という観点からどうなるのかという問題のせめぎあいです。

要するに、リスク管理の計画の提出を求めます。しかし、求めて履行できませんでしたというときに、銀行を処分できるかといったら、できないと思うのですよね。やっぱりそこで際限なく、まずい状態がずっと続いていくというのは望ましくない。やはりこれは上限について決めるか、あるいは期間を決めるか、やはり何等かの形でのマネジメントが必要なのではないかと私は思います。以上です。

○岩原座長

小野委員、どうぞ。

○小野委員

ありがとうございます。論点2以下については、幾つか細かい質問もさせていただきたいんですけれども、私もおおむね異論はありません。論点1について、今の和仁先生のお話と関係するのですけれども、ここでの整理というのは、他業禁止規定というのを原則維持しつつ、幾つかの側面に配慮して例外規定を拡大しようという立てつけになっていると思います。一方、論点2以降で例外規定として規制緩和という方向でのご提案をいただいていますが、率直な印象としては、ここまで例外規定を認めると、そもそも他業禁止規定というのが要るのかという印象を持ちました。私自身は前々回申し上げたように、もはや銀行の他業禁止規定というのはあまり意味のない規制になっていると思っているので、その意味において、論点2以降について賛成なんですけれども、この立てつけ自体をどう考えるのかという点について、整理が必要だと思っています。

その点に関連してもう一つ申し上げると、これも前回の繰り返しになって恐縮なんですけれども、もし他業禁止規定という原則を維持するのであれば、銀行の事業会社の株式保有と事業会社の銀行の株式保有は対称的にすべきだと思います。現状そうなっていない部分は直すべきであるというふうに思います。以上が論点1に関する点です。

それから、あと2つほど細かい質問をさせていただきたいんですけれども、1つは5ページ目に、論点3の投資専門子会社を通じた特例として、例外とする対象として地域活性化事業というものがあげられていますけれども、この地域活性化事業というのは、一体誰がどうやって決めるものなのでしょうか。

2つ目の質問ですけれども、論点4として、先ほど和仁先生等からもご指摘があった、銀行本体等による保有の特例となる事由についてですが、ここについては期間の制限がとくにはないようです。他方で、論点3の投資専門子会社を通じた特例については、保有期間の制限を延長するという立てつけになっています。論点2の有限責任組合員として取得・保有する議決権については、議決権がそもそもないため、期間制限を撤廃してもよいだろうというふうに私は理解したんですけれども、論点4の銀行本体がベンチャーキャピタル等を通さないで持つケースと、論点3のベンチャーキャピタルを通じた投資とで、期間要件が違う理由というのは何かあるんでしょうか。

○岩原座長

では、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

2つ目の論点4などで期間の制限がないということですが、これも私、きのう読み返してあれっと思いまして、やはり投資専門子会社を通じて持つのと同じような期間制限というのを前提としているものであります。

それから、地域活性化事業ということで、5ページに幾つか例を出しておりまして、どういったものをこういった分野として考えるかというのは非常に重要なことだと思っています。いろいろ立法令とかも探してみて、総合特別区域法、特区の法律なんかで一定の地域活性化事業については行政手続の簡素化を認めるみたいなのがあります。そこで書いているのは、農業、社会福祉、観光、地球環境の保全、その他の分野で地域の観点から、経済的、社会的効果を及ぼすものとして、下位法令で定めるものとか。下位法令にいきますと、地域で生産されたもののための何かを主たる目的とする取引の関係の整備などなどいっぱい書いております。こういった方式がいいものなのか、それとも別にいい方法があるのかということは検討していく必要があると考えております。

○岩原座長

森下委員。

○森下委員

論点4に関してなのですけれども、ここでは事業再生会社が問題とされていますが、前回の参考資料ということでいただいたものの3頁には事業再生会社の要件について、いろいろなものがあげられていますがが、ここでの事業再生会社というのは、必ずしも地域という区切りとは関係なく、全国規模で営業している会社でも構わないということになるかと思います。また、規模の要件もかかってこないと思いますので、そうするとかなりの大企業であっても、これによって全額資本を抱えるという可能性もあり得るということ、それはまずそういう理解でよろしいんでしょうか。

○藤本信用制度参事官

現在も投資専門子会社を通じてであれば、企業の規模に関係なく、あるいは地域ということに関係なく持てるということになっていまして、それを踏まえて銀行と本体が保有する場合であっても、そういう縛りはない形で提示しているということであります。

○森下委員

事業再生会社でほぼうまくいく、ちゃんと再生しているのでしたら構わないと思うのですけれども、ここで列挙されているようなさまざまなケース、例えば再生計画、補正計画は出した、認可を受けたものの頓挫するというケースがどれぐらいあるのかちょっとわからないですし、経営改善計画があったけれども頓挫したとか、そういうような案件が出てきますと、この事業再生会社への出資については規模の制限がなく、しかも投資子会社を介するというかたちでリスクの遮断もしていない。場合によっては本体にかなりのインパクトがあるということもあり得るのかなとも思ったのですけれども、事業再生会社については、ほぼこれまでのところ失敗なく再生できているというようなことが前提としてあるのでしょうか。

○藤本信用制度参事官

これは参考資料のほうの9ページで、きょうご欠席みたいですが、前回翁委員から、事業再生会社は43件で少ないのではないかというふうにご指摘を受けたものであります。投資専門子会社を通じたもので、現に行われているというものは件数は少なくて、その後いろいろ金融機関に聞いてみたところ、まず金融機関とすると、事業再生との関係では、自分が出している債権をどうするのかとか、そういうことを考えた上で、後でいろいろな手段をとり、調整などを行った上で、必要に応じ出資をする場合もあるということです。出資をするかどうかというのは、いろいろな再生手段の中で、今は比較的限定的に判断をしているということでございます。

これを銀行本体に対して認めた場合にどうなるかということはございます。各銀行がいろいろ判断をして、どのぐらいの議決権を持つかどうかというのを、まずは判断するということではないかと思います。

○三井総務企画局参事官

済みません、1ついいですか。複数のものがこの論点4の中に入ってございまして、若干複雑になってしまっていますが、単純化するために、事業再生のところに絞って、ちょっとほかと違う部分があるかと思って申し上げますと、銀行貸出債権がありますと。貸出先の企業がだんだん弱ってきまして、このまま放置しておくと破綻すると。そういう場合には、単純に貸し倒れてしまうという局面で、こうした中小企業の破綻によって、地域経済をこれ以上劣化させない、ないしは銀行からみると、貸出債権の最大回収のためには、融資先を破綻させるよりは、再生したほうが回収額は大きくなるという判断があればと、単純に債権放棄をして、破綻させて回収するよりも、むしろ一部債権放棄してでも再生させた方がよい場合があると思います。

ということは、再生に入るというときには、いいタイミングで、かつ有効な再生をするために再生プロセスに入っていくと。そして、合理的な計算のもとに債権放棄をして、経営再建をしていく。経営再建の方法としてリスケだけすれば自然と再生すればいいんですが、お聞きしていますと、最近は、売り上げが伸びないような状況にあり、事業自体を抜本的に再構築しないと、現状のビジネスのままでは再生できないという案件が出てきているという声もお聞きします。そういう意味では、大手術が必要になると。今、銀行、中小企業、それを取り巻く再生の専門家はご苦労されていらっしゃるようですが、そういうかなり踏み込んだ大胆な事業再構築をしながら再生をしていく局面で、経営権を大株主として掌握して銀行は事業再生にコミットし、抜本的な改革を行う、大きな変革を伴うような再生をしていくときに、短期間かもしれないけれども、思い切って100%持って、その影響力を行使して、事業再生に取り組む、こういう手法があってもいいのではないかと考えた政策です。このように、従来型の、あまり経営にはコミットしない、お金だけ貸しましょうというレベルの再生支援では済まない場合に至れば、こういうこともあり得るのかなという趣旨であります。

したがいまして、一般的にずるずると100%持って、儲かったらリターンを稼いでもらいましょうという趣旨で、この100%を積極的にここで規制緩和するわけではありませんで、むしろ、銀行から見ても、このまま少数株主なり、あるいは融資者として手を拱いているだけでは回収も図れないというときに、荒技というのでしょうか、思い切った経営再建のためにはこういう手段も、規制を緩和する形で使えるようにしておいてはどうかと。ただし、大きなリスクを伴うものでもあるでしょうから、それはより深度あるリスク管理が必要なのではないかというのを、あわせて同時に提示させていただいているという部分が、この事業再生の分野ではございます。

もう少し難易度が高くなってきますのが面的再生で、じゃあ個別の企業なりはわかったと。地域のシャッター商店街とか、地域で面的に企業の業況が沈んでいっちゃっている、そういう地域の中小企業を、塊として再生する場合はどうかと。こういう問題提起がされていまして、これは個別の企業の再建のように、具体例があちらこちらに転がっているわけではありません。もう少し難易度が高いものとして、地域再生というものをここで1つ提示させていただいております。

個別には、例えば東京近郊で大きな工場がなくなって、大きな土地があいてしまったところに、銀行と地域の地方公共団体が一緒になって住宅団地やら商店街、あるいは面的につくって、銀行としては融資が伸びたとか、地域としては、まず地公体としてはそこから税収なりが上がってきて、地域住民も工場跡地で町が荒れてしまうのを防ぐことができたという成功例もあるようですが、現状、シャッターが増えていくという厳しい町もたくさんあることも事実でございまして、すべてがうまくいくとは全く思っておりませんが、そこをどういうふうに民間の活力の力で、地方から変えているかというコンテクストの中での1つのご提案でございます。

○岩原座長

ほかにありますか。家森委員。

○家森委員

私も基本的に、今回ご提示されている方向性で、ぜひ進めていただきたいと思います。現状、金融機関の方々は、株式保有に対して非常にネガティブ、特に現場の役職員の方々でネガティブなところがありますが、今回こういうふうな法改正が行われることによって、企業再生や地域再建のいろいろな手段が増えるという形で、積極的な意識改革にもつながるのではないかと思います。

他方、先ほど出た無制限というところは、私も正直言うと気になったところです。それについては事務局からご説明がありましたが、別の観点から意見を申し上げます。今回、地域活性化という観点から、地域の中小企業、中堅企業について緩和をしようということですと、バブルの時代に、域外のところへ融資をして、それが焦げつくというようなことがしばしばあったので、この規制緩和に関しては、地域の企業、その銀行なら銀行の地元というような形の制限が必要なような気もしております。どこの企業でもやってもいいよというようなのはどうかなという気が、私はします。

それからもう一つは、こういうふうに新しいリスクを背負うということになると、市場のほうから金融機関について、リスク開示についてやはり疑問が出てくる可能性があるので、この部分についての開示の工夫をぜひ考えていただきたいです。今までどおりではなくて、これの部分についての追加的な開示を考えていただきたいということです。

それから3つ目は、やはり従来5%でやっていたところに、15なりに上げていくということになって、やっぱり未知の領域に入るわけでして、若干心配があるという気持ちを皆さん方もお持ちだと思うんです。例えば深度ある検査・監督の枠組みというのでは、どのようなことをイメージされるのでしょう。素朴に考えれば、例えば自己資本比率のウエートを、この部分についてだけ少し上げるといったことがあるのかなと思うんですけれども、どういうものを深度あるということなのか、イメージとしてで結構ですので、教えていただければと思います。以上です。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

資料の1ページの左上をごらんいただきたいと思います。1997年の金融危機も、銀行が経営支配している会社の負債の面倒を見なくてはならないといったことがきっかけとなったといったご指摘、あるいは和仁委員、井上委員のご指摘と関連がございます。出資額に限らず、リスクを持ってしまうということに対する検査・監督というものを、今、そういう目では見てはいないところもあるものです。そういった点を踏まえて、検査・監督の枠組みということを提示しているところでございます。具体的にこうするのだという方式が、今あるわけではございません。

○岩原座長

小野委員。

○小野委員

済みません、あともう1点だけ。ご質問とコメントなんですけれども、論点1で、中小企業と大企業とで取り扱いを別にしてはどうかというご提案なんですけれども、この点について、他業禁止という観点からは、中小企業と大企業で区別する理由はあまりないと思います。

あるとすると、金融機関の健全性維持の観点からということだと思うんですけれども、その点については、前回の大口融資規制の話の中で、出資についても5%ルールを緩める場合は、当然網にかかってきますという話でしたので、そちらのほうで手当することにすれば、おのずと企業規模が大きくなればなるほど規制に引っかかる可能性は高くなると思います。中小企業と大企業というように、外形的に行政当局のほうで線引きをしてしまうと、必ずその境目でアービトラージが働きますので、そういう余計な労力を使わせないためにも、健全性の話は大口融資規制なり、あるいは自己資本の何%以上の株式は総体として持ってはいけないというような立てつけにしたほうが、シンプルな印象を持ちました。この点について、どういった配慮からこうしたご提案をされているのか、何かあれば、お教えください。

○藤本信用制度参事官

その点はまさしく小野委員から先ほどご指摘がありましたように、何を原則として、何を例外とするかということと関係します。今のこの資料は、基本的には5%というのが原則であるので、何らかの政策的な観点などがあるものについては例外――例外と言う表現がよいかどうかわかりませんが、そういうような発想に基づいております。そういうことで政策的に引き上げるものがあるとしたら、何だろうということになっているものでございます。

線を引くと、そこで何かアービトラージが生じるのではないかというご指摘はもっともなところもございまして、今は中堅企業というところで考えてみようとしているわけですが、これを一体どういったふうに線を引けば、規制としてそういうゆがみが生じないのかというのは、よく検討する必要があると思っております。

○岩原座長

私が発言してもいいですか。森下先生、先にどうぞ。

○森下委員

論点4のところで、先ほど参事官にご説明いただいたことはよくわかりました。要するに、漫然と貸金を、リスクを抱えているよりは、出資をすることによって、よりリスクをうまく管理をしていくための手法を増やすというふうなことで理解させていただきました。6ページの※の1つ目のところなのですけれども、VB会社とか地域活性事業会社との関係では、出資の総量をある種キャップをつけるというようなことはあるものの、事業再生会社については、出資について上限なく保有を認めることとされています。他方で、先ほどもお話になりましたけれども、この手法というのは、地域活性化といった目的以外にも使えるようになっており、出資について上限なしということになると、場合によってはかなりの出資をすることも可能になるのかなとも思ったのですけれども、何か積極的な理由があって、ここで事業再生会社については出資について上限なしとされているのでしょうか。

○岩原座長

どうぞ、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

事業再生の場合は、全体を、上限を設けないというのも関連しているんですけれども、どうしても金融機関がコントロールをして、事業再生を進めていかなければいけないということの要請のほうが、非常に強いのかなという判断のもと、事業再生のものについては、一定額という制限を加えていません。一方で森下委員がおっしゃるように、そういう事業再生の場合についても、リスク等の懸念があるということは理解できるところでありますので、その辺はよく考えていきたいと思います。

○岩原座長

ほかに。では、松井委員。

【松井委員】  済みません、ちょっと場違いというか、見当外れな発言かもしれませんが、今回の事業再生会社に対する融資についてなんですけれども、もう融資としては貸せないというようなときに、株の取得に切りかえて、かつ増資なんかをしてお金も入れたと。その結果、失敗に終わった、かつ金融機関も破綻しちゃったというときに、破綻金融機関については、取締役の融資責任が問われていて、判断基準が結構厳しく定まっているわけですけれども、融資責任の場合には、追加融資が不可ではあるけれども、株式で出すならオーケーとなるというような理屈というか、制度的な担保がないと、銀行はやっぱり怖くて動けないんじゃないかと。制度、事業再生の計画ぐらいはしっかり立っていて、見込みがきちんと評価できたみたいなことが制度としてないとだめとか、何かしらの仕組みをうまく組む必要があるのではないかという意見です。

○岩原座長

済みません、私にも発言の時間をいただきたいと存じます。

○和仁委員

今の松井先生のご質問にもお答えを。

○岩原座長

ええ。今の松井さんへのお答えにもなると思うのですけれども、全体として私にも少し発言させていただきたいと存じます。権限を濫用して済みません。

現在の5%ルールというのは、平成10年の銀行法改正で、16条の2、16条の3等の規定が入ったことによって設けられたものです。それまでは独禁法11条の、独禁法の観点からの5%保有規制があっただけで、銀行法そのものに株式保有規制の規定はなくて、いわば独禁法の規制を借りてくる形で、銀行監督上5%を原則とするということになっていたのです。なぜ平成10年に現在のような法規制を入れたかというと、それは皆さん周知のとおり、平成9年から10年にかけて、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行等の破綻が続いて起きまして、さらにその前には住専問題があって、社会的な大問題になって、日本の銀行システム、金融システムはまさに危機に陥って、金融が機能しないという事態になったことへの反省から、そういうことを再び起こさないようにしようということで、各国の銀行の規制や関連会社規制の比較・検討をした上で、大議論して現在のような規制になりました。

その検討をしたのは、当時の金融制度調査会の銀行グループのリスクの管理等に関する懇談会というところでして、その報告を金融制度調査会で承認して、平成10年の改正が行われました。この懇談会の座長をしたのが私でありました。そのときの経験を持っている人は、金融庁にも殆どいらっしゃらないのではないかと思います。そのときはほんとうの危機感を持って、このままでは日本発の世界金融恐慌を起こしかねないのではないか、そういう金融機関の破綻が起きないようにするにはどうしたらいいかということで、現在のような規制ができたわけです。

そのときの、例えば北海道拓殖銀行の例で言えば、カブトデコムとか幾つかの不動産、観光開発会社等に大幅に事業にコミットする形で投融資を行いました。そのような起業家を育てる投融資を彼らはインキュベーター路線と言っていました。形の上では出資の割合は少ないのですけれども、実質は融資先企業の第三者割当増資資金を融資する等の形で出資したり、あるいは大変な貸し込みをすること等によって、事実上銀行が経営にコミットするような形で融資をしました。それで例えばカブトデコム関連だけで約三千億の融資を抱え込むことになる。さらに言えば、当時は母体行ないしメインバンクの責任等という考えがありましたので、自分が貸し込んだ、あるいは自分の関連会社が貸し込んだ分だけでなくて、他の金融機関の融資等についても引き取りや救済を求められて、単に出資した額、あるいは自分が融資した額だけでリスクが済まなくなったわけです。そういうことが重なって、北海道拓殖銀行は破綻しましたし、日本長期信用銀行もイ・アイ・イ・インターナショナルその他につき同様のことが起きて、やはり破綻しました。松井委員が指摘されたように、最高裁は、そのような北海道拓殖銀行の融資につき、取締役の民事・刑事両面の厳しい責任を認めました。

そういうことが二度と起きないようにしようということで、銀行法自体でもはっきりと銀行はそういういわば不動産とか観光業その他の事業にみずからコミットするようなことはできないとすることにしました。そして他業禁止という趣旨を、銀行だけでなくその関連会社を含めて実現しようということで、現在の規定はできました。

これは歴史を振り返れば、その先の住専問題のときもそうです。住専に対して、銀行は表向きは5%の出資にしかすぎなかったんですけれども、関連会社による出資や、役員の派遣その他、もともと銀行が設立にかかわって、そして主な役員等を自分たちのOB等を派遣していたということから、母体行というふうに当時は呼ばれて、住専の負った債務について、他の金融機関、例えば当時ですと信連ですとかそういうところが融資した債権についても、すべて母体行が負担すべきだというふうに言われて、それが銀行に大変な打撃を与え、銀行だけでは負担しきれなくなって、ついには国税が六千数百億投入されて、政治問題になりました。

さらに戦前までさかのぼって考えますと、昭和金融恐慌というのは、ご存じのように東京渡辺銀行というような、事業会社の資金調達機関であったいわゆる機関銀行と呼ばれるところの破綻から始まっています。そして鈴木商店と台湾銀行の深いつながり等、つまり事業会社と銀行がほとんど一体化したような経営が行われていたところから、銀行が大きいリスクを背負い込んで破綻を起こし、そして銀行取付を起こして、昭和金融恐慌に陥り、日本は戦争への道をたどっていきました。そういう反省から、現在のこの規定はできているわけです。

世界的に見ましても、大抵の国は何らかの他業禁止原則を持っています。一番厳しいのは、多分アメリカだと思います。アメリカは、銀行自体が株を持つことすら原則禁止しています。わずかにGLB法により、金融持株会社が、広義の金融業を営む会社を子会社として持つことができるほか、その他の会社にも5%の出資を持つことを認めている。そのほかに金融持株会社が、転売目的で経営には関与しないことを条件に株式投資を行うマーチャントバンキング投資を行うことを認めています。このようにGLB法によって緩和されましたが、依然としてなお日本よりははるかに厳しい株式保有規制を持っているわけです。

そういう今までの歴史的な経験で、銀行が他業に深くかかわるということは、それだけのリスクを負うということです。さっき申しましたように、単に出資額だけの話ではないし、場合によると融資額だけでもない。いわば丸抱えになった場合は、その企業の総負債を銀行が結局持たざるを得ないことが起きました。それを考えて、リスク管理のために現在のような規定にしたわけです。そういうことで現在の規定をつくったのですけれども、それから約十数年がたって、日本経済全体がどんどん沈滞化して、そして活力を失っていく中で、経済活性化のために銀行に株式保有をして事業を担って欲しいという声が出てきたわけです。

事業再生等、リスクは大きいけれども、リターンも大きいような業務は、アメリカにおけるように本来はインベストメントバンクにやってもらおうという前提で、現在の銀行法はできたと思います。ところが、実際には日本では、その役割を担うべきインベストメントバンクが、結局育ってこなかった。事業再生とか、あるいは事業承継等もそうですけれども、そういったことにつきインベストメントバンクがその役割を果たしてくれないので、再び戦前と同じように、銀行にその役割を果たしてもらおうということでしょう。

そもそも日本は戦前でも、インベストメントバンクが育たなかったために、日本興業銀行その他の専門金融機関をつくって、それを経由して、銀行資金を株式・社債といった長期資金に変換してそういう産業投資に回すための制度を特別につくりました。いわばインベストメントバンク機能を専門銀行ですとか、さらには都市銀行にまで担わせてくるということで、日本は経済を発展させてきたわけです。しかし戦後、特に平成9年、10年の危機で、米英型の、アメリカ型のインベストメントバンクとコマーシャルバンクを分けて、そして銀行にリスクが集中しないようにしようとしたのですが、その結果何が起きたかというと、金融機能全体が低下し、産業の活性化のための資金調達というか、資金の流れがうまくいっていないと指摘されているわけです。

これは非常に情けない状態で、銀行がそんなリスクをとる必要のないような体制になっているのが一番望ましかったのですけれども、そういうことになっていないので、やむを得ず再び銀行にある程度、そういうインベストメントバンク的な機能を果たしてもらおうということです。ただし、やはりリスクは大きいから、一定の限定をかけた上で、そういうことをやってもらおうというのが、現在事務局から案として、この資料に書かれていることだと理解しています。

しかし上限のない出資も認めるということですと、当該出資先を、いわば銀行が丸抱えすることを認めるということですから、銀行自身も従来からのリスク管理体制で足りるのかが問題になりますし、金融庁も従来からの検査・監督や大口信用規制等だけで銀行のリスク管理体制のチェックができるのかという問題が生じます。ですから、家森委員の御質問にございましたように、いかなる深度ある検査・監督により、従来にない形での銀行のリスク管理を金融庁がどういう形でちゃんとチェックして、レビューできる体制をつくることができるかということが最大の問題だろうと思います。

松井委員からご指摘のあったような、経営者の責任の問題を含めて、銀行がインベストメントバンキング的な業務に対応できるような仕組みをつくり、さらにそれを金融庁がきちんとチェックしレビューできるような体制をつくって初めて、ここで提案されていることが機能すると思われます。ですから、こういうようなインベストメントバンク機能を銀行が一定程度果たすことを認めるならば、それに対する新しいリスク管理のあり方、それに対応する深度ある検査・監督や規制の体系はどのようにしたらいいかということが、本来議論されるべきことではないかと思います。

小野委員の言われるように、全く他業禁止原則を廃止するという御提案については、大口信用供与規制があるのではないかとおっしゃったのですけれども、リスク管理としては、多分それだけではとてももたないのではないでしょうか。銀行が出資するということ自体が、それだけ信用が生じることになって意味があるというご説明がありましたけれども、ということは、銀行が出資したということで、銀行に対して他の融資者や出資者が、それだけいわば信頼して行動することになるわけで、銀行がその分だけ、結局責任を引き受けることを意味しかねないわけです。そうだとすると、そこまでのことを想定したリスク管理なり、検査・監督等の体制をつくっておかないと、危険ではないかという感想を持っております。

座長自身がしゃべり過ぎました。お許しください。和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

それについて、岩原先生のお考えは前回も伺いましたし、卓見だと思うのですけれども、その場合に、松井先生のご質問に関連するのですけれども、要するにこういうインベストメント・バンキングをやっているときの取締役の善管注意義務の判断基準と、銀行業をやっているところの善管注意の判断基準の関係って、どうなんでしょうかね。カブトデコムの判決とかを見ても、地裁と高裁で正反対の考え方をしている。岩原先生がお書きになったように、バブルに浮かれたのはしようがないというような理屈で裁判所も甘いことを書いています。特に、高裁判決はひどかったですけれども。

そのような状況を考えれば、ここでやはり監督側としては、取締役は何をすべきかということも考えた上で、立法を準備されたほうがいいんじゃないかなと思います。私は岩原先生とは立場が違いますけれども、岩原先生は銀行、金融機関の取締役に関しては、極めて善管注意義務の程度を高く設定しておられます。一般の商社とか、そういう事業法人に比べると高い善管注意義務を課していらっしゃいます。その考え方も成り立つと思いますけれども、じゃあそれがこのような局面に適用されたら、誰もインベストメント・バンキングなんかやりませんから、そこのところをどう緩めるのかということも、金融庁のほうでお考えいただきたいなと思います。

○岩原座長

おっしゃるような問題も、当然出てきます。今までの銀行経営者の善管注意義務に関する考え方は、現行法の、銀行の財務の健全性、安全性を第一に遵守する立場を前提にした解釈論ということになりますから、それと異なる役割を、銀行の取締役、経営者に求めるようになれば、それはその部分については、また善管理注意義務の基準について別に考える必要が当然出てくるということになります。ただ、そういうことを果たしてできるか、非常に難しいところです。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

簡単にコメントさせていただきます。1つは、他業禁止規定に関する考え方なんですけれども、私自身があまり実効性がなくなっていると考えている背景として、銀行業とコマースの分離の議論というのは、歴史的にも長い間行われてきたわけですけれども、そのかなりの部分というのは、銀行といわゆる証券の意味での銀証分離の話の中で出てきたと理解しています。そのときに言われていた分離の論拠というのが、結局銀行と証券の垣根をなくしてしまった時点で、かなりの部分崩れてしまったのではないかというのが、私の理解です。あともう一つは、先ほど申し上げた、事業会社による銀行保有については、今のところ規制が非常に緩くなっているということがあります。

それを踏まえた上で、先ほど三井参事官のほうから、地域金融機関が企業にコミットしていくことを期待しているというお話がありました。そのとおりなんだろうと思いますが、そうなれば、当然金融機関の破綻リスクは高まるし、破綻があり得るという前提で、それがシステミックリスクにつながらない体制をつくることが大切だと思います。深度ある検査・監督もその一つですし、あるいはそれ以上に重要なのは、資本主義社会、あるいは市場経済である以上、金融機関がリスクをとりうる体制をつくるのであれば、金融機関が破綻しても、それがシステミックリスクにつながらないようなフェールセーフな体制をつくるというのが本質的に大事なことなのではないかなと思います。

○岩原座長

遠藤さん、どうぞ。

○遠藤監督局審議官

今、深度ある検査・監督のあり方、体制という話が出ておりました。金融庁でどういった検査・監督体制をつくっていくのが適当かという議論はまだ行われておりませんが、検査局と監督局を経験した個人的な意見を述べさせていただきますと、確かに今ご議論が出ていますように、どういう形で金融機関がインベストメントバンク的な事業に乗り出していって、そのリスクが大きくならないうちに、我々が予防的に検査・監督、チェックできるかが課題になっていると思います。

それだけのノウハウが、今金融庁にあるのかというと、正直、まだやったことがない部分でございまして、自信がありません。リレバンのコンサルティング機能の監督指針においても、事業再生や、経営健全化に向けてのサポートを、金融機関が中心になってやってくださいと書いております。自分たちで力が足りない部分に関しては、その地域におけるエキスパートに協力を仰いでやっていただきたいとも書いているのですが、金融機関に監督指針で要請したことが、何かブーメランのように金融庁に返ってきているなという感じがしております。

ただ、今回この5%ルールの例外の拡大という形で、そのリスクが拡大する前に検査・監督で、事前にリスクが大きくなる前にキャッチするような検査・監督体制というものをつくるということになると、例えばどのような頻度で、どういった内容の報告を金融機関側からいただいて、それを我々がどういう目線でチェックしていくのかと。それは金融庁本体だけではなくて、これは地域の話でございますから、財務局も巻き込んだ検査・監督の基準といいますか、ガイドラインをつくっていかなければいけないと思っております。

ということなので、今回この資料を作成しながら、岩原座長にもご相談させていただき、その過程で、深度ある検査・監督体制というのは絶対必要ですよというご指摘をいただいて、非常に重い宿題をいただいたなというふうに受けとめております。今後早急に我々内部でも検討させていただきまして、法改正のタイミングもにらんで、どういった体制をつくっていくのかということを、検討していきたいと思っております。何らかの形で、また先生方にお示しし、議論させていただければと思っております。

それからもう1点。先ほど大崎委員からいただきましたご指摘でございますけれども、非上場、未上場株式の評価ということについて、銀行はどういう取り扱いをしているのかというご質問でした。この未上場株式については、会計基準上、これはご案内のように時価のない有価証券ということでございまして、金融機関はBS上は取得原価で計上するということでございますけれども、当該株式の発行会社の財政状況が非常に悪化して、実質価格が著しく低下したということであれば、取得原価から相当の減額をなした減損処理を行うということだと思います。

それから、バーゼルの扱いがどうなっているかということでございますけれども、標準的手法で自己資本比率を計算する場合には、保有株式については100%のリスクウエートを乗じた金額にします。ただ、より精密な内部格付手法による場合は、株式のリスクウエートについて下限がございまして、上場株式については200%以上のリスクウエートを付すと。非上場株式については300%以上のリスクウエートを付すという形のルールになっております。

○岩原座長

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

ありがとうございました。私は実は保有株式をどう評価するかというのがこの問題を、岩原先生がご指摘になったような昔の問題を再現させるようなことを起こさずに、いいほうへ生かしていくために非常に重要な鍵になると思っております。確かに極端な場合に減損するというのはそうなのかなと思う一方で、もともと事業再生なんかの目的で取得した場合に、なかなか容易に減損するという判断に至らないんじゃないかというふうにも思うものですので、この辺、会計士さんとの連携も必要になってくると思うんです。銀行さん自身が保有しておられる株式を、何か全体を取り繕うためでなく、実態を把握するという意味で、ほんとうの価値を客観的に認識してくれるかどうかというのが非常に重要だと思っております。

かつての不良債権問題も、ある意味では債権の真の価値というものを銀行が真剣に直視していれば、あそこまでなる前に別の方向へ向かったんじゃないかという気もするので、私はどちらかというと5%ルールの見直しについては前向きというか積極的だということを何回か申し上げておりますし、それは今もそういうことなんですが、不良債権問題にかわる不良株式問題ということだけは起こしてはいかんと強く思っておりまして、ぜひ評価方法についての検討はしていただきたいと思うんです。

監督の進化というのは、確かに私も必要だと思うんですが、一方で監督ということだけで全部対応できるんだったら、銀行を国営にしたほうがうまくいくわけだと思っていまして、やはり銀行が自主的にリスクをとって行動するからこそうまくいくという部分もあると思っているんですね、私は。ただ、リスクをとった結果が裏目に出たときに直視しないというのが、最大の問題なので、そういう株式の評価みたいな細かそうなところから、実は自分の失敗を直視するということにつながっていくんじゃないかなと。それが結果的に、じゃあ自己資本を積み増ししなきゃいけませんというようなことで、リスクを適正に管理していくということになるのじゃないかと思います。

○岩原座長

どうぞ。

○有泉銀行第一課長

今の一連の検査・監督のあり方について、一言ちょっと申し上げたいと思ったことがあって、それは要は例えば信託銀行であれば、信託勘定の中でこういったベンチャーファンドに対する投資というのは当然あるわけですね。例えば、先般長野の某案件がありましたけれども、そこにおいては信託銀行が、信託勘定においてベンチャーファンドに投資をしていると。我々のほうで記者ブリーフもしましたけれども、その際に問題になっていたのは、やはり信託銀行が、当該ファンドがその先のどこに投資をするかについて、どこまでデューデリジェンスを果たしていたのか。あるいは、そういったファンドが投資する先について、どういう形でモニタリングをしていたのか。こういうところが信託勘定ということですから、必ずしも銀行本体が投資している場合と、全く同視できるかという問題はあろうかと思いますけれども、まさに今大崎先生がおっしゃられたような、金融機関がどこをチェックすべきかということを考える1つの材料にはなり得るのではないかと思います。

その際も、おそらく1つ、また先生のほうから非常にいいご指摘をいただいているなと思うのは、じゃあファンドに投資をしたその先について、時価をどう見ていくのか。あるいは、時価のところまで銀行は見るべきなのか。それは果たして当該ファンドにおける評価、ファンドが先に出しているところについての評価との関係をどう考えていくのか。それはまた非常に難しい問題だと思います。いずれにしても、先ほど審議官のほうからも申し上げましたけれども、検査・監督の在り方は非常に重い宿題だろうというふうに思っておりまして、我々監督の中でもよく考えていきたいと考えております。

○岩原座長

どうもありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。では、ほかの論点もございますので。

外国銀行の業務の代理・媒介及び海外M&Aに係る子会社の業務範囲規制に関しまして、ご質問、ご意見があれば承りたいと思います。先ほどの5%ルール関係は、時間があればまた後でも戻って議論することにしたいと存じます。では、和仁さん、どうぞ。

○和仁委員

済みません、よく理解していないのかもしれないのですけれども、議論の整理の最初のところで、要するに、外国銀行代理店業務に関しては、本国についてよくわからないから、委託元の外国銀行を限定しているといいますけれども、この理屈、現在の金融庁とほかのレギュレーターとの連携関係を見ていると、こういうエクスキューズは成り立つのかというのが、1つ目の私の疑問です。

それから、もう一つ、ちょっとこれは書き方を考えられたほうがいいんじゃないかと思うのは、その次の、外国銀行の業務代理・媒介を海外において行う場合であれば、国内の顧客保護を図る観点からは特段の問題は生じないのではないかというところです。要するに、外でやるから俺たちには関係ないというふうにも読める表現なのですが、これは違う話だと思います。やっぱりお客さんの海外の法人についてサービスをしていくということは、まさに国内の法人に対してサービスを提供しているのと同じことですので。ですから、私はむしろここで書いていらっしゃる第2部のほう、要するに、国内企業の海外システムを、国内銀行は支援する環境を整備する、それが主目的とすべきではないかと思います。

それでまた一番上の矢印と、それから、最後のパラグラフなんですけれども、要するに、認可でやるよといっても、認可といっても、国内銀行、外国銀行のことはわからないのに、じゃあ外国銀行を審査できるのかというと、やっぱりそういうことはないわけで、やはり審査できるわけですよね。というか、むしろ外銀が支店を出したいというときには、書類を出させてそれを見ることもやっていらっしゃるわけですから、ここのちょっと理由づけというのは、もう少し整理してお書きいただいたほうがいいんじゃないか。方向性としては、これはやるべきでしょう。

もう一つ申し上げたいのは、要するに、日本国内で行われる業務を一体どういうふうにとらえていくのか。海外でやられる業務と同時にどういうふうにとらえていくのかということを、もう一つきちんとルールの中で書き分けていただきたいと思います。

それからもう一つ、次の11ページにいきまして、国内銀行の進出形態、行員の長期出張等の多様な形態での代理・媒介を行うことを可能としてはどうか。これをはっきり書くのがいいのかなという感じはするんですよね。海外のレギュレーターは、逆に反発する可能性があると思いますので、そこのところはご配慮いただければいいと思います。

あと業務の範囲のところで、代理・媒介を行う業務の範囲は従来と同様銀行法の固有業務及び付随業務に限定することが適当ではないかということですが、これは10条2項柱書きの伸縮自在条項も含めてという趣旨ですね。そこのある程度バッファを持ってくださるのであれば、全然私は異存ありません。

○岩原座長

藤本さん、何か。

○藤本信用制度参事官

資料の10ページの議論の整理の表現ぶりは、この制度をつくったときの考え方の整理に若干引きずられております。今、目の前にある問題というのは、ちょっと違った側面でありますので、やや違和感がそこはあるんじゃないかとは思っております。今の制度の仕組みというのは、参考資料の16ページでございまして、下の図がございますけれども、下のほうに邦銀と顧客の間に二重の矢印がついております。ここに当時の考え方でやりますと、勧誘というのが国内で行われるということをどう考えるかというのを検討したものであります。国内で勧誘が行われるのであれば、理屈からいうと外国の銀行は、国内に拠点を設けなければいけないんじゃないかという考え方の整理が行われております。そこで、国内に拠点を設ける必要はないものは何だろうと考え、邦銀と資本関係のある外国の銀行、すなわち現地法人ということにしたものであります。その過去の整理との平仄をとる必要があるということで、このような説明になっているところであります。

今回の場合は17ページのようなものでありまして、基本的に外国の銀行との関係は海外で完結――完結というとまた語弊があるかもしれませんけれども、主たるものは外国で行われるということを想定しております。そのときにこの外国の銀行が国内に拠点を設ける必要があるかどうかという問題は生じないのではないかというのを、裏から書いているものですから、ちょっとわかりにくいということだと。

じゃあその上で、日本で何らかの行為が行われたら、それは少しでも行われるといけないのかということについては、またよく実態も踏まえて検討していく、この政策の目的に合うように検討していく必要があると思っております。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

11ページなんですけれども、質問があります。もしかしたら私が、この外国銀行の業務の代理・媒介という言葉を正しく理解していない可能性もあるので、そうであればそのようにご指摘いただければと思います。

基本的には仲介をするということですよね。その場合、なぜ銀行法の固有業務及び付随業務に限定しなければいけないのかという点について、若干疑問があります。たとえば海外ですと、不動産仲介を銀行業務として認めている国ってたくさんあると思うんですね。そのときに、海外の現地に拠点をもっていない日本の銀行が、そこに進出した顧客企業に対して、提携先の海外の金融機関に不動産仲介を取り次ごうとしたときに、それがその日本の銀行の健全性にどう影響するのか、あるいはなぜそれを取り次いじゃいけないのでしょうか。これがだめだということになると、今日本の金融機関は国内でビジネスマッチングというのを盛んにやっていますけれども、ビジネスマッチングというのは一体何なんだろうという気がします。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

参考資料のほうの17ページをごらんいただきます。邦銀があって、海外に支店なり何なりがあると。そうしたときに、どの程度の代理・媒介業務を行わせるかということであります。それはいろいろな考え方があって、外国で銀行に認められているものは全部認めるべきだという考えもあるとは思います。しかし、やっぱり邦銀が海外に進出して、しかも邦銀自体が支店なり何なりでフルの金融サービスを提供できないような体制ではあるといった場面設定です。そうしたときに、外国の銀行に話をつなぐとしたときに、そこをどの限度に限るべきかというところでありましす。そうしたときに、我が国の銀行法の業務範囲規制の中にあるものをフルにできないのを、外国の銀行につなぐのであればどういう範囲かということで考えているものです。外国にいるから何か不動産業もつなぐことができるんだという案にはなっていないということであります。

あとはビジネスマッチングというのはどうかということです。媒介に当たるのかどうかというのは、普通言われるのは、契約成立のために尽力するということによることとされています。今のビジネスマッチングというのは、場を設けて紹介をしていて、情報提供しているというような位置づけで行われていると承知しております。

○小野委員

ちょっと追加でいいですか。おっしゃることは何となく理解できたと思うんですけれども、顧客企業の立場からすると、邦銀が代理・媒介しなければ仕方がないから自分で探すしかないわけですよね。彼らの立場からすると、もし邦銀が仲介してくれるのであれば、情報が1つ増えます。その情報が取るに足らない、不要な情報であれば、お客さんはその情報を切って捨てればいいわけです。もちろん銀行の健全性に影響があるとなると、それは日本の金融システムに対するコストが発生するので、そこに制限をかけるというのは理解できるんですけれども、そうでないのであれば、顧客利便性という観点からしても、選択肢を増やすことにさほどのコストはかからないんじゃないかというのが意見です。

○藤本信用制度参事官

コストはかからないかもしれませんが、代理・媒介ということになりますと、それなりの責任が生じる。お客さんにいろいろ説明するのは日本の銀行のほうになりますし、契約・締結に係るいろいろな責任を負うということになって、どの範囲の業務であれば責任を負えるかということがあります。そうしたことも踏まえて、この範囲に限ってはどうかということでしているということであります。

○岩原座長

では、和仁さん。

○和仁委員

私、金融庁の人間ではないですけれども、金融庁の今の藤本さんがおっしゃったことをもっと平たく言えば、要するに、どうしても銀行の固有業務、付随業務で読めないところは、10条2項の柱書きの付随業務のところを拡張して、何とか付随業務として読めるでしょうということだと考えます。それから、そこまで踏み込んだ解釈をするのが難しいような場合、要するに、銀行について法令違反の責任が発生するようなおそれがかなり高いという場合であれば、それはビジネスマッチングは一般的には紹介と言われていまして、紹介は要するに、個別の特定の取引の成約に尽力するんじゃなくて、こういうふうなチャンスがありますよというビジネスのチャンスを紹介するということで、そちらのほうでやってください。別に紹介でお金をもらっても、それは構いませんという整理が、実務ではなされていると思います。もし間違っていたら直していただきたいんですけれども。

○岩原座長

はい、三井さん。

○三井総務企画局参事官

限界事例はなかなか難しいところがあると思いますけれども、不動産仲介というとピンとこないかもしれませんけれども、ずばり不動産業であるというふうにお考えいただいたほうが、もうちょっとわかりやすいかもしれません。外国で不動産業が銀行が絶対できないかというと、もちろんできない国もあると思いますけれども、仮にできたとしますというときに、当然不動産業そのもの、日本の不動産会社がやっているようなことを、その国では銀行ができると。日本では一番リスクが大きいこととして銀行にやらせていないという典型的なケースを考えると、やっぱりそこは限定したほうがいいのではないかと考えられます。不動産自体の大きなリスクを負うような不動産業を行うかどうかと。それは子会社であれば、現地法人化しているのであれば、また別の発想があるかもしれません。ここで念頭に置いていますのは、銀行本体が長期出張者なり、あるいは支店形態なり、出張所形態でやるということを念頭に置いた一般論としての事柄でございます。

じゃ、個別に具体的なこういう仲介の形態、紹介の形態は、銀行の付随業務に実際に含まれないのかどうかということになると、かなり事実依存的なところであるので、不動産にワンタッチもできないのかというと、必ずしもそうではない可能性もあると思います。おっしゃっている趣旨は、聞いていてだんだんわかってきましたので、一体どの程度のものが銀行がやるのに、本体として海外で行うのにそぐわないものなのか、あるいは銀行の関連としてできることなのかという問題提起として受けとめて、ちょっと私どもとしても勉強したいと思います。

○岩原座長

森下委員、どうぞ。

○森下委員

和仁先生が先ほどおっしゃられたところと共通すると思うのですか、海外において行う場合といったときに、何をもって海外で行ったか。この図を拝見しますと、支店、海外店、あるいは現地法人が主体となって行うことを指すということのように見受けられますけれども、例えばメールなどでのコミュニケーションなども考えますと、国内、国外という区別がどこまで合理性があるものかというのはかなり微妙で、後ほど判断に困るような事例を生むような気がいたしますので、あまりここにこだわる必要はないのではないかと思います。もし懸念すべき要素がほかにあるのであれば、国内で行われた、海外で行われたということではなく、ほかの基準でしかるべき規制をしたほうがいいのではないかという意見です。

○岩原座長

ほかにありますでしょうか。よろしいですか。

今の代理・媒介という形で、外国銀行にやってもらうにしても、代理・媒介をする邦銀も、それ自体がそれだけのちゃんとした能力を持っていないといけないということを前提にしているということです。よろしいでしょうか。

それでは、前の5%ルールのところはもうよろしいでしょうか。はい、どうぞ、川口さん。

○川口委員

コマースと銀行業の話が出ていましたが、私はやっぱりこれは分離すべきではないかと思っています。先ほど小野委員からのご発言がありましたけれども、銀証の分離とコマースの分離とは違い、銀行と証券は業務の類似性が見られます。だからこそ、世界でユニバーサルバンクというのをやっているところもあるというわけです。この点で、その融合というのは、1つの選択肢としてあり得ると思います。しかし、一般的な商業ということになりますといろいろなものがありますし、それらの業務のリスクを銀行が引き受けることができるのかというと、それはなかなか難しいところです。かかる理由から、5%ルールを作ったわけであって、私は厳格に維持すべきと思います。例外的に必要な場面に限り、緩めれば良いのではないでしょうか。

きょう冒頭に質問させていただいたのは、果たして中小企業に対する拡大というのは、ほんとうに必要なものなのかというのが疑問でしたので、このような趣旨から問題提起をさせていただいた次第です。

○岩原座長

ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、ちょうど時間にもなりましたので、そろそろ審議を終えたいと思います。皆様、大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。時間もまいりましたので、本日の審議は終了させていただきたいと存じます。

本日ご議論をいただいた論点につきましては、まとまった点もあればまとまっていないところもありますので、まとまった範囲で取りまとめをしていきたいと思います。

次回第10回は、金融機関の破綻処理の枠組みにつきましてご議論をいただくことを考えております。

それでは、事務局のほうから連絡がございましたらお願い申し上げます。

○藤本信用制度参事官

次回の日程につきましては、皆様のご都合を踏まえながら、座長と相談の上、別途ご連絡させていただきます。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。本日は、私がしゃべり過ぎまして申しわけございませんでした。以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3566)

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