金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」(第14回)議事録

1.日時:

平成25年1月25日(金)10時00分~11時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○藤本信用制度参事官

ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。報告書の案を配付しております。ご確認をお願いいたします。

○岩原座長

よろしゅうございましょうか。それでは、ただいまより「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」第14回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、本日の議事に移らせていただきたいと存じます。本日、第14回は、前回のご議論を踏まえまして、事務局と私で相談の上、修正いたしました報告書案をご確認いただき、報告書の取りまとめを行いたいと思います。

事務局より、報告書案の修正点の説明をお願いいたします。

○藤本信用制度参事官

報告書案の表紙をおめくりいただきたいと思います。

まず、外国銀行支店に対する規制でございます。3ページ目に参ります。(4)利益準備金と書かれているところの上の段落でございます。ここは資産の国内保有義務について触れているところでございます。現在の国際的な環境に照らすと、そういう義務を課すことは適切でないということを、より趣旨を明確にするという観点から、金融機関のクロスボーダーでの再建・処理について、特にリーマンショック後ということなのですが、国際的な協力が必要とされているという現在の環境を明確化するとの修正を行っております。

次に、(5)流動性規制についてでございます。これについては、今後の主要国の動向を踏まえ、引き続き検討することが適当であるということでございましたが、その趣旨を明確にする観点、バーゼルIIIとの関係等を明確にする観点から修正を行っております。バーゼルIIIでの考え方というのは、グループ全体で連結ベースで母国当局が流動性がきちんと確保されているかというのを見るという考え方であるということです。一方で、主要国の中では、具体的にはFRBなのでございますが、外国銀行支店といったレベルに対しても流動性規制を課すことを検討しているところもあるということからという、そういうことを踏まえて引き続き検討という趣旨を明らかにしたところでございます。

次のページに参ります。4ページの上のほうでございます。これは外国銀行支店を預金保険制度の対象にするかどうかということについて触れた部分でございます。資産の国内保有義務と、預金保険制度に入れることはセットなのかどうなのか議論と申しますか話でございます。ここでは国内保有義務とセットというよりも、関連性はあるにはあるのですが、支店形態で進出してきているものについては、ホスト国が健全性確保のための規制を課すことにはさまざまな課題があるといったことで、そういうことについて、どういう対応が今後とることができるかどうかといったことの観点を踏まえて、引き続き検討していくことが必要であるという趣旨に修正いたしました。

それから(8)で、預金保険にも加入が現時点で困難ということであれば、これは預金者の自己責任ということではないのかというご議論がございました。基本的にはそういうことだと思うのですが、報告書上、自己責任と書くのが適切かどうか悩みました。と申しますのは、前のページで、預金保険の対象とすることが預金者保護の観点から、特にリテール預金者の保護の観点から望ましいとしていることから、やはりそこには何らかの課題があるということがございますし、一方、国内の銀行の預金者も、一定の自己責任というのは求められるということもありまして、ここでは預金者にとってのリスク情報が明示される必要があるという記述にし、具体的にどういうことを明示するかというのを、その下に書いております。

3つ中ポツがございますが、3つ目に、ご指摘いただいたように、預金の一部の払戻しがあるとしても、それが迅速に行われない可能性があることなどを説明するということを付加しております。

以上が、外国銀行支店についての修正点でございます。

次に、大口信用供与等規制でございます。これは、次の6ページに飛んでいただきまして、上に中ポツが6つほど並んでおります。その中に、一番上でございますが、資金決済等に係る短期エクスポージャーというものの、短期とはどういうことかという指摘がございました。下の脚注の8でございますけれど、日中エクスポージャーは含まれるのだけれども、オーバーナイト、あるいはそれ以上といったものを含めるかどうかについては、実務的な検討、これはバーゼル委員会など国際的な議論も踏まえて検討を行っていくという趣旨のことを書いております。

それから7ページでございます。これは(3)の上の段落で、「また、加えて」ということで、名義分割や迂回融資等による規制の潜脱を防止するための規律、これは一体何ものかということがございました。これについては脚注で、例えばこういうような考え方で何か規律を設けてはどうかというものを書いております。潜脱として名義分割や迂回融資等が行われた場合、実質的な信用供与等の先を信用供与等の先とみなして規制を適用するといったような規律というのも考えられるのではないかということで、今後検討していきたいと思っております。

次の8ページに参ります。(5)の上の段落、オフバランス取引についての信用供与等相当額の算出方法でございます。ここはちょっと日本語になっていないのではないかというご指摘をいただきまして、一生懸命日本語らしく直したところでございます。

以上が、大口信用供与等規制でございまして、次に、9ページからは金融機関の秩序ある処理の枠組みということでございます。

11ページに参ります。11ページの下3分の1ぐらいに、今回の措置に必要ないろいろな法律上の手段というものを並べているところでございます。中ポツが幾つもありますが、その上から3つ目で、債権者からの倒産手続の申立て、強制執行等への対応という、「対応」というのはどういうことなのかというのが議論となりました。こういう手続を円滑に進めていくという要請と、いろいろ倒産手続ですとか、あるいは強制執行との関係というのを引き続き関係省庁、あるいは山本和彦委員とよく相談してまいりたいと思っているところでございます。

中ポツで真ん中ぐらいに、有価証券等の顧客口座の移管手続等の容易化というのがございます。これは基本的に有価証券の顧客口座の話は、今回想定しているような金融危機と直接関係あるかどうかという論点はございますが、秩序立てて処理をしていく上で、容易化をすることが必要だと考えられますので、例えば社振法などにおいて対応することを検討していきたいと思います。

それから、ポツの下から2つ目のポツで、金融商品取引業者・外国銀行支店に係る外国銀行とつけていますが、倒産手続の対象となるのは支店というよりも、外国銀行というエンティティーということでございますので、そこを明確化したところでございます。

次に12ページに参りまして、脚注15というのをつけております。これは例えばコンピューターのサーバーの契約ですとか、あるいは通信の契約といったようなものに、早期解約の条項のようなものが仮についていたとして、そういうものが切れてしまうと、その業務が一気にとまってしまう、事実上もとまってしまうということもありまして、こういうものを維持するという必要があるのではないかということでございます。これはどういった方法で、もしかすると契約の結び方かもしれませんし、それに監督当局として一定の関与をするということもあるかもしれませんので、その方策も検討してまいりたいということでございます。

それから12ページの(5)の費用の負担でございますが、事前負担ではなく、事後負担としているところでございますが、その趣旨を書くということで、いろいろ考えたのですが、基本は、あらかじめどんな危機になって、どういう処理が行われて、どんな額が必要になるかというのが予測しがたいということを考慮して、事前負担ではなく、事後負担とすべきであると書いております。

13ページに脚注の17というのをつけました。これはクロスボーダーでの金融機関の処理で、各国の当局間、処理実施機関相互の協力が必要だということで、預金保険機構はどのように協力していくかということを取り出して、具体的に書いたものでございます。

それから、13ページから、いわゆる5%ルールの話になりまして、現行の規制の枠組みは基本的に維持するということでございますが、14ページのマル3以降、いろいろ例外を書いております。これが、それぞれの項目について線の引き方がいろいろではないかと。それは統一的に何か理論的に説明できるものはないのかということでございました。結局、銀行の健全性確保というのが一方の軸にあって、他方で、地域経済において資本性資金の供給が真に必要とされているというものとのバランスということでございまして、当ワーキングにおいても非常に突っ込んだ激しい議論が行われたと承知しているところでございます。

14ページのマル2の上に、「なお」ということで、投資専門子会社によるものは、銀行本体に比べて少し緩やか、逆に言うと、銀行本体によるものは、より厳格な要件ということは書いているわけでございます。ただ、その後の、例えばそれぞれの項目について、どうしてここで線が引かれているかというのは、統一的になかなか説明しがたいものでありまして、それぞれの項目に応じていろいろニーズですとか、健全性の観点とか、そういうことを踏まえ引かれているものでございます。ちょっと演繹的に統一理論といったものが構築されているわけではないということでございます。

以上が修正点の説明でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

ただいまご説明いただきました報告書案につきまして、ご発言等がございましたらお願いいたします。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

いろいろ問題点のあるところを、きれいにまとめていただきましてありがとうございます。

ただ、幾つか細かい点があって、それをまとめて申し上げます。

まず、4ページの1の(8)の外銀のところですが、預金者等に対する情報提供義務というところで、黒ポツの3つを表示しなさいと書かれています。これは説明義務を課すことは必要であると書いてありますが、この3つのうちの1つ目と3つ目はよくわかるのですけれど、2つ目の外国銀行支店に係る外国銀行本体の支払能力について第一義的に責任を負うのは母国監督当局であるということを、こうやって表示するというのは、何かそれは日本の金融庁は知ったことではないということを言っているようで、あまり格好いい話ではないと私は個人的には思っており、そんな義務を課すのは何かおかしいのではないかなと思うのです。受け入れ国としても、ある程度は責任を負わなくてはいけないわけですから、ここは、もう少し書きぶりを考えるか何か、ちょっと工夫したほうが。無責任と言われる可能性があるという感じがいたします。

それから、6ページになるのでしょうか、大口信用供与規制のところで、外すものというのでマル2で、6ページの上の部分なのですけれども、幾つかポツがついていて、そこで、こういうものは外していいのではないですかということなのですが、この関係で、インターバンクの中にインターナショナル・デポジット・ネッティング・アグリーメント(IDNA)というのがございまして、要するに金融機関の間で、金融機関が倒れたら、そのときにはお互いの預け金がネットされるという契約がわりと普及しております。全銀協もそれをバックアップされていますし、BBA、それからアメリカの外為協会とか、そういう団体もバックアップしているのですが、IDNAのネッティングの対象になるものは外してしまっていいのでしょうかというのがご質問です。要するにIDNAというのは、オンバランスの取引に関するネッティングアグリーメントなのですけれども、それについて、外すということを明確に書いていただければと思います。

ただ、このIDNAも、後で出てきますデリバと一緒で、倒産手続の申立てが起こったら、そこで全部契約終了しネッティングしますというたてつけになっていますから、ここも気をつけないといけないと思います。

それから、次は11ページ、破綻措置のところですけれども、パラグラフでいくと上から4つ目のベイルインについてお書きになっていただいて、これはこれで結構なのですけれども、ベイルインが契約等に定められたベイルインまでしか論及していなくて、それ以外の場合のベイルインについてお書きになっていらっしゃらないのは、どうしてなのか。やはりベイルインというのは、言うことを聞かない債権者を、エクイティとして取り扱うことですので、その意味で、ベイルイン規定をどういうふうにもっと使うようにさせるか、その辺の動機づけです。それはどういうふうにお考えになっているのかということを明確にしていただいたほうがいいと思います。

それから、11ページの下の(4)から始まるところの早期終了契約の発動の停止をするのは構わないのですけれど、一定の期間、たしか3日間はとめましょうという話をしていたような記憶があるのですけれども、よく考えると、その3日が過ぎるとどうなるのでしょうかということをお考えいただくというか、立法上配慮していただく必要があると思うのです。3日たって、そこで、はい、時間切れです、全部契約は切れましたということでよろしいのかどうなのか。そこのところを理論的に考えると、今の日本のデリバティブの契約書のたてつけというのは、ほかの契約でも、銀行関係の取引の契約はみな同じなのですけれども、倒産手続の申立てがありました、契約が終了するはずでしたと。しかしながら、この3日間の期間で停止することになりました。それでは、3日で停止したので、3日間の期間が過ぎれば、停止効が外れてしまうということになると、結局解除されてしまっているところに戻ってしまうということになります。それでよろしいのでしょうかというところについても、言及していただければよろしいのではないかと思いました。

とりあえず、それぐらいです。ちょっと多岐に及びましたが。

○岩原座長

それでは、藤本さんのほうから何か。

○藤本信用制度参事官

4ページの説明義務でありまして、具体的にどんな説明にするのか、この文言どおりにするかどうかというのは、また考えていきたいと思ってはおります。

それから6ページの、適用除外にすることが適当であるということですが、ここも2行目で「例えば」としておりますので、今いただいた話は、実は初めて聞く話でございますので、よく実態等を把握して、検討していく必要があるのではないかと思っております。

11ページのベイルインでございますけれど、このワーキングでも何回かご説明しましたけれども、制度上のもの、行政機関が何か命ずれば、債権が株式になるとか、カットされるというところまでは、我が国の法制上なかなか難しいのではないかという議論もございまして、ここでは契約等に定められたベイルインということでございます。

これについて、バーゼルIIIなどにおいて、その他自己資本にカウントされるポイント・オブ・バイアビリティーなどの債権というのはあるわけでございますが、そういうものについては、これに入るということだと思いますし、それを超えて何かインセンティブづけをするかどうかということについては、ここでは、そういうことまで書いているわけではないということでございます。

あと、11ページから12ページにかけての早期解約条項でございますが、一定期間を過ぎるとどうかとということでございます。期間をどれだけ明示するかというのはあるということでございますが、基本的には、その間にブリッジに移して、そこでは安全な場所なので発動されなくて、一定期間過ぎたら発動していいものが、元のところに残っているというイメージではありますが、今ご指摘いただいたところも踏まえて、そういうことについてどのように規定し運用していったらいいのかというのを考えていきたいと思います。

○岩原座長

そうしますと、インターナショナル・デポジット・アグリーメントの問題ですとか、最後におっしゃった点等については、さらに考えたいということですね。よろしいですか。

○和仁委員

殊に最後のことは考えておいていただかないと、1998年の長銀が倒れたときと同じで、契約はみんな切れているのだけれど、みんななかったことにしようということで黙って契約の遵守を続けたという、あの事態は避けたいと思いますので、手当てをしていただきたいと思います。

要するに、自動終了という慣行を覆すということは、いわゆる金融取引法におけるルールを根本から変える話なのです。英米法などでは、要するに当事者が債務不履行をしたということによって倒産手続が始まったときに、それを理由として契約が自動的に終了するという考え方は、あまり一般的ではありません。1度債権者から通知をして、それで契約が初めて切れるというスタイルをとっていますけれども、日本はそういう文化の上に立っていないので、正直言って、ここでやろうとしていることは、司法のルールを金融法で変えようとしているわけですから、結構インパクトは大きいのではないかと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

この話は非常に大きな話だと思っておりまして、実務上、問題が起こらないようにする必要があります。そういうこともあって、明文化しようということでもありますので、混乱、問題が起こらないようにきちんと対応したいと思います。

○岩原座長

よろしいですか。

ほかに、いかがでしょうか。では、和仁さん。

○和仁委員

もう1つ、すみません、あまり議論を発生させたくないのですけれども、13ページの4番目の、我が国金融業の更なる機能強化のための方策と、5%ルールを緩めていくということについて、ここに書かれていること自身は、そういうことなのだろうと思って、私も反対しませんけれど、これを拝見して、銀行がブッキング・エンティティとして株を持つということを何%まで持つかとか、そういうことで緩めてもいいのではないかという話が書いてあるのですけれども、これだけ緩めたのだから、銀行のほうがイニシアチブをとって、こういうビジネスをもっと真面目にやりなさいと書かれてはどうでしょう。地方銀行ですけれども、地銀はもっと真面目にやりなさい、JGBだけを買っているのではなくて、こういう方向に目を向けてビジネスをオリジネートしていくということをやりなさいということを、どこかににおわせると非常によろしいのではないかと思います。銀行はすごくやりたい、やりたいと言っていて、それを許してやるというような状況ならともかく、今回は銀行はどちらかと言うとあまり積極的に動きたくない場合が多い。一般的に、地銀よ、目を覚ませということをどこかに入れておくことのほうがよろしいのかなという感じがいたします。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

基本的には規制緩和だとは思っておりまして、一方でそういう機能を果たすことが求められているということは事実だと思います。それで、あなた、やりなさいと言ったときに、ほんとうに、ああ、そうですかということになるのか、かえってそういうふうに押しつけられることはどうか、北風と太陽みたいなものかもしれませんが。ということもありまして、期待はされているのですが、14ページの一番上ですが、より柔軟に行い得るようにすることが適当であるという表現にしているところでございます。

○岩原座長

なかなか書き方は難しいと思います。なかなか本気にならない人に、やらせようというのは難しいですし、下手すると検査等を通じて一定の実績を残しているかどうかということをチェックするということで、本来金融機関が望ましくないと思っていることが、形式的に強制されるというようなことになるおそれもあるわけですから、そこら辺は難しいところかと思います。

いかがでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員

ありがとうございます。2点あります。1点目は、3ページ目で利益準備金規制に関して、前回まで「国内保有」という表現になっていたかと思うのですけれども、それが今回「積立て」となっており、国内保有という言葉が消えているということの意味の確認です。これは、資産の積立てを義務づけることが適当であるといったときに、その資産が国内にあるのか国外にあるのかは問わないという理解でよろしいのでしょうか。これはご質問になります。

それから2点目は意見になりますけれども、12ページ目の脚注の16は、破綻処理のための費用について、事前ではなくて事後負担がいいでしょうという趣旨の脚注ですが、多分これは前回、私がちょっと意見を申し上げて、それを踏まえて対応していただいたと理解しています。ありがとうございますということなのですが、前回申し上げたかった趣旨は、必要額算定の困難という事後負担のベネフィットを、何と比較考量した結果、事後負担のほうがいいという結論に至ったかを書いていただきたかったということです。具体的には、事前負担のほうはモラルハザードを抑制するという意味においてはより望ましいが、実際に事前の負担額をどのように計算するかいう問題があるので、ここでは事後負担という結論になったと私は理解しているので、もしそうであれば、そのように修文して頂くのが望ましいのかなと思います。

○岩原座長

藤本さん、どうぞ。

○藤本信用制度参事官

3ページの利益準備金規制のところは、説明を忘れておりました。前回、(3)の資産の国内保有義務は法律上一律に課さないとしているのに、(4)の利益準備金の話になると、国内に資産を保有させているではないかということについてでございます。

(4)の利益準備金規制、あるいはそれにかえて最低資本金20億円に相当する資産の積立てということですが、それは、いわゆるエクイティ性の勘定のところに入れるというのが主目的のものでございます。では、どこに持つかということについては、現行の利益準備金規制でも、国内に保有することにはなっているものですから、最低資本金に相当する資産の積立ても、それをエクイティ性の勘定に入れるということが主眼ではあるのですが、その部分は国内に保有させることになるということでございます。

それから、12ページの脚注の16でありまして、おっしゃるとおりではあるのですが、そこら辺をひっくるめて「問題等」という表現をしているところでございまして、ということで、できればご理解いただきたいということでございます。

○岩原座長

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

今の点についてなのですが、私は、先ほどの参事官のご説明にもあった、どういう危機が発生するかが現時点では予想できないという、そこのポイントも重要だと思いまして、必ずしも事前積立てをすればモラルハザードが抑止できると言っても、それはある程度想定できる危機に落ち込むようなことを防止するという限りにおいてということだと思うので、あまりここに逆にモラルハザードということを明文化するのは、私はむしろ、よくないのではないかと。現在の表現のほうが適切ではないかと思います。

○岩原座長

いかがでしょうか。理論としては、小野委員ご指摘のとおりなのでしょうけれども、実際上、こういう制度をつくることを考えると、大崎委員のご指摘されたような問題があるので、こういう修文にしたというのが、多分事務局の原案ではないかと思いますが、よろしいでしょうか。基本理論は小野委員のご指摘のとおりだと思いますが。よろしいでしょうか。

それでは、それ以外の点について。家森委員、どうぞ。

○家森委員

全体に関してなのですけれども、全ての課題について結論を得られたわけではないと思いますが、国際的な金融規制の動向に沿う形で、しかも日本の金融の実情を踏まえて幾つもの重要な課題について、当ワーキングの考え方を適切にまとめていただいていると評価をしております。

特に4の金融業の機能強化のための方策に関して、地域経済における金融機関の新たな役割や、本邦金融機関の国際展開の新たな可能性が付与されたと考えています。

先ほど、和仁先生からもご発言があったように、不適切なリスクテークのために金融機関の健全性に影響が出るということがないということを前提にして、こうした新しい機能を金融機関が積極的に利用できるように、周辺の環境整備も含めて、監督当局として今後も取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

1つ確認で、1つ意見なのですけれども、1つは、破綻処理のための費用のところで、今回ベイルインという考え方が加わって、金融機関の債権者にも負担を求めて、これも秩序ある破綻処理において負担を求めるという考え方が入っているわけですが、(5)のところには、それは既ににそういった仕組みが入っていて、その上での議論だと理解してくださいという意味でよろしいのかということが1つです。

あと、もう1つは、今の家森先生のご意見にちょっと触発されたのですけれども、やはり銀行が今回5%ルールを少し緩和して、リスクを取るという規制緩和が行われたわけなのですけれども、やはりリスクマネーの供給者を育てていくという、もともと非常に重要な課題も進めていくということと並行的に、こういうことをやっていくことが重要であるという理解でおりますので、やはり引き続き市場の整備というか、そういったリスクを取れる投資家を育てていくということについても、取組みを続けていただきたいと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

12ページの費用に関する記述とベイルインの関係ですが、もちろんベイルインでカットされた分は、株主、債権者がかぶる。それは契約上のものであれ、あるいはベイルインと呼ぶかどうかは別として、倒産手続に移行した後カットされるということはありまして、結局そういうものでは埋められない費用が仮に生じたときに、こういった枠組みで負担を事後的にするという趣旨でございます。

○岩原座長

よろしいですか。翁委員が後半でご指摘になったリスクマネーの供給者を育てるということも、非常に重要なことだと思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。本日のご発言の中では、若干の項目につきましては、今まで原案を作成する中で検討されていなかったので検討させてほしいという藤本さんのご発言がございました。また、今日いただいたご意見の中で、その他修文に反映すべきこともあり得るかと思います。そこでいただきました修正意見の取り扱いにつきましては、そのようなことを検討の上、必要なものはこの報告書の案に盛り込むということで、私にご一任いただくということでよろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございました。それでは、私のほうで取り扱いについて検討し、修正が必要な場合には修正を行った上で、公表させていただきたいと思います。

また、本ワーキング・グループの検討課題について、金融担当大臣より直接諮問を受けた金融審議会に対しまして、本ワーキング・グループの取りまとめとして、私から報告をさせていただきたいと存じます。

それでは、最後に森本総務企画局長から一言お願いいたしたいと存じます。

○森本総務企画局長

委員の皆様には、14回にわたり本ワーキング・グループで精力的なご議論をいただき、また、ただいま報告書の取りまとめをいただきまして、大変ありがとうございます。

今回のワーキングのテーマ、それぞれかなり大きな課題だったと思っております。そうした課題に対して、かなり理論的にも高いレベルでご議論をいただきまして、また一方で、私どもの現実の実行可能性にも、その辺もしんしゃくしていただきまして、大変ありがたい議論の進め方をしていただいたと考えております。

そうした意味で、今回の取りまとめは国際的な動向、また金融の実態を踏まえた、大変画期的な内容だと考えております。私どもとしましては、この取りまとめを受けまして、これを法律等の形で実行する重い責任があると考えております。

そういうことでございますので、委員の先生方には引き続きご助力、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。

また、審議の過程で、報告書にもちょこちょこ出てくるのですが、引き続き検討するようにという課題もかなりいただいていると認識しております。そうした課題については、この審議の経緯を踏まえまして、引き続き我々もよく検討していきたいと思っております。

また、特に最後の銀行の新たな機能につきましては、かなり行政やその周辺の取組みによって、今回の制度改正の趣旨に沿った実績が上がるように努めていきたいと考えておりますし、翁委員からご指摘のありました、銀行以外の並行するリスクマネーの供給者の育成といった課題についても、今後我々いろいろ考えていきたいと考えております。

いずれにいたしましても、大変立派なご検討をいただきましたと我々は考えております。ほんとうにありがとうございました。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

この報告書を受けて、今後、法改正作業をしていただくわけでありますが、法改正作業の過程でいろいろ検討し、そして詰めていただくべき課題は多々あると思いますので、そういう点をしっかりやっていただき、さらにはその後、政省令、そしてその次の監督指針等、実際それを運用していく体制づくりが極めて重要であり、そこに、なお大きい課題が残されていると思いますので、その点をぜひしっかりやっていただいて、この報告書に書かれたところをよく実現するように、当局にはお願いしたいと思います。

そしてまた、局長がおっしゃいましたように、将来の課題として引き続き検討していくことが適当であるという文言がたくさん入っておりますので、そういう点は、継続的に検討をするだけでなく、そういうことを実現できるように、よりよい体制に移行できるように監督等の行政の体制も整備しながら、途切れることなくよりよい体制に持っていくようにご努力をお願いしたいと存じます。

そしてまた、最後の4のところにつきましても、新しい機能を金融機関等が果たせるようにするという点について、一方で、金融機関だけでなく、森本局長がおっしゃいましたように、新しい資金の供給主体を育てることなど、全体の体制がよりよくいくように、ぜひ金融庁として努力をしていただきたいと思います。また、さっきも申しあげましたけれども、それをやっていく上で、適正にそれを実現するような検査監督が行われるように、ぜひお願いしたいと思いますので、その点、どうか局長、よろしくお願いいたします。

それでは、委員の皆様におかれましては、これまで14回にわたり精力的なご議論をいただき、どうもありがとうございました。これをもちまして、本ワーキング・グループを終了させていただきたいと思います。

ほんとうに、どうも長いことありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3566、2753、3962)

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