金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第4回)議事録

1.日時:

平成24年9月27日(木曜日)9時30分~11時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第4回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、委員及びオブザーバーの方々全員にご出席をいただけることになっております。また、参考人といたしまして、保険代理店協議会の堀井様、国民生活センターの保木口様、加藤様にもご出席いただいております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、前回のワーキング・グループの最後にご案内したとおり、「保険募集・販売ルールの在り方」に係る議題のうち、「利用者が多様な保険の中から安心して選択できる商品募集のあり方」及び「募集・販売時規制の適用範囲」について、議論をしていきたいと思います。

それでは、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

事務局より資料のご説明をいたします。

まず、資料1をごらんください。資料1は「保険募集・販売ルールのあり方に係る検討項目」ということで、以前、出させていただきました3つの項目について、少し細かな内容を書いております。保険募集・販売ルールにつきましては、論点もいろいろとございますので、今回と次回の2回に分けて、まずは議論をいただきたいと思っておりまして、本日は、1、2、3のうちの2と3を中心に資料を用意させていただきました。具体的内容につきましては資料の2に書いてございますので、資料2に沿いましてご説明をさせていただきたいと思います。

資料2の1ページをごらんください。「保険仲立人・乗合代理店に係る規制について」でございます。まず保険仲立人でございますが、所属保険会社のために保険募集を行う保険募集人とは異なりまして、保険会社から独立した存在として顧客の立場に立って保険募集を行っております。そのため、募集行為に係る規制に加えまして、保証金供託義務等の、下に書いてあるような規制が課されております。これに対しまして、乗合代理店は、同様に複数保険会社の商品の比較募集を行う場合でも、法制上はあくまでも保険会社側の代理店として位置付けられておりまして、これらの規制は適用されずに両者の間の規制に差が存在いたします。

具体的な差につきましては6ページ以下に整理しておりますので、まず6ページをごらんいただきたいと思います。保険仲立人と乗合代理店の違いでございますが、まず参入要件につきましては、ともに登録制ということでございますが、細かな違いとしましては、登録拒否要件としまして、仲立人には「保険募集業務を的確に遂行するに足りる能力を有しない者」というものがございますが、代理店にはそうした規定がございません。また保険募集人と保険仲立人との兼営はできないことになっております。

顧客に対する事前説明については、ここに書いておりますように、保険募集を行おうとするとき、保険仲立人は、こういったことを書いた書面を顧客に交付しなければならない。代理店は、書面交付義務については特段規定されていないというものでございます。

手数料開示義務につきましては、保険仲立人は、顧客から求められたときは明らかにしなければならない、なお手数料は顧客に請求できないことに、現在なっております。乗合代理店については、手数料開示義務については特段の規制はございません。

誠実義務でございますが、仲立人は、顧客のため誠実に保険契約の締結の媒介を行わなければならないとされております。乗合代理店については、特段の規制はございません。この誠実義務につきまして、具体的にどのような内容になっておるかは、1枚めくっていただきまして、8ページに、監督指針を載せてございます。この右側の欄が、具体的に監督指針で誠実義務について定めているところですが、例えば(2)でありますと、「自己が知り得る保険商品の中から顧客にとり最も適切と考えられるものを、理由を明らかにして助言する」といったことですとか、(3)では「手数料等の多寡によりサービスの質を変えてはならない」、「同様の条件の顧客間で不当な差別を行ってはならない」といったこと、(4)では「保険に関する情報を客観的かつ誠実に顧客に伝えなければならない」、「特に顧客が個人の場合は、重要事項や推奨理由等を書面で説明する等、可能な限り顧客にわかり易く伝え、誤解を生じさせることのないよう努める」といったことが監督指針で定められております。

戻っていただきまして、7ページでございます。複数の保険会社の保険商品を取り扱う場合の規制として、仲立人については、特段の規制はございません。乗合代理店については、損保については特段の規制はございませんが、生保については1社専属制を原則とすることになっておりまして、複数の所属保険会社の保険商品の募集を行う場合については、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合ということになっております。

次に、保険会社の賠償責任でございますが、仲立人については、保険会社には賠償責任はございません。これは保険会社から独立した存在ということですので、賠償責任はございません。乗合代理店につきましては、所属保険会社が損害を賠償する責任を負うという構造になってございます。

募集規制につきましては、仲立人につきましては、重要事項説明義務等の保険募集に係る規制が適用になっておりまして、これは代理店につきましても当然のことながら同様でございます。

監督権限でございますが、仲立人につきましては、直接的な当局による権限は、こういったものがございます。間接権限は、生保・損保の保険会社を通じてという意味ですが、ここは特に保険会社によるものはないことになっております。一方、代理店につきましては、直接的な監督権限は、報告徴求、立入検査についてはございますが、帳簿の備えつけや事業報告書についてはございません。保険会社を通じての権限につきましては、「保険会社に対する業務運営に関する措置」として、代理店への指導が定められているという構造になってございます。

1ページに戻っていただきまして、以上のような規制の差が存在しているということでございます。最後に、先ほどの表で入っておりましたが、保険仲立人、保険募集人のいずれも金融庁が監督権限を有しております。所属保険会社に対する業務運営に関する措置として、保険募集人への指導については保険会社に義務づけられているという構図になってございます。

次に2ページでございます。これは3年前にございました「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」の中間論点整理でございますが、関連する部分として、募集主体のところとしましては、保険仲立人制度について利用が進んでいないことを踏まえて、制度の見直しが必要との意見があった。また、乗合代理店につきましては、独立性の高い代理店も出現してきていることを踏まえて、保険仲立人制度との関係も含め見直しを行うべきとの意見があったことが書かれてございます。

募集コストの開示につきましては、消費者が多様な保険商品の中から商品の選択を検討するに当たって、付加保険料の水準や代理店が保険会社から受け取る手数料の水準は有用な情報であるので、これらの情報の開示を検討すべきとの意見があったこと、代理店にベストアドバイス義務を課すべきかについても、その中で併せて検討することが望ましいとの議論になった経緯があることが指摘されております。また、消費者に対してどういった情報を提供していくことが有効か、乗合代理店制度や保険仲立人制度のあり方の見直しとの関係も踏まえて、検討していくことが必要と考えられるといった指摘が、中間論点整理ではなされているということでございます。

次に、「我が国の金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」でも、これに関連した指摘がございましたので、参考に載せております。

3ページ以降の、特に第2回で本件についてご議論をいただいている部分がございますが、これにつきましては時間の関係でご説明は省かせていただきたいと存じます。

次に、5ページの保険仲立人・乗合代理店に係る論点で整理しておるところでございますが、3つほど挙げております。これは第2回の、今説明を省略させていただきましたところの議論等を踏まえまして、事務局なりに整理したものでございますが、「保険仲立人がより活発に利用されるようにするための方策について」ということで、法令上、顧客の立場に立って最適な保険商品を提供することとされている保険仲立人について、利用者利便の向上の観点から、より活発に利用されるようにするためには、どうすべきか。なお、その際、契約者保護の観点から留意すべき点はないかといったことが、1つの論点となるかと考えております。

2つ目でございますが、「募集にあたって複数商品の比較を行う場合の行為規制のあり方について」でございます。法令上、保険会社の代理人である乗合代理店が顧客に対して「公平・中立な立場」ということで活動している旨を説明していることについて、どう考えるのかということで、1つがあろうかと思います。法令上は、あくまで保険会社の代理人という立場ですが、現実にはお客さんにしっかりとしたアドバイスをやっていきますということで、実際にもそういう活動をされているのだろうと思いますが、そこの齟齬をどう考えていくのかということではないかと思っております。2つ目でございますが、乗合代理店に対する規制はどうあるべきか、複数の保険会社の代理店であることに鑑み、代理店一般に課せられている規制とは別に、独自に規制すべき点はあるのか、ないのか。また、保険仲立人との規制の差異をどう考えるのかという点、その他、複数の商品を比較して顧客に勧める場合に、特に留意すべきことはあるだろうかという点でございます。

3つ目でございますが、「乗合代理店に対する監督の実効性を確保するための方策について」ということで、乗合代理店に対する監督について、複数の所属保険会社間における代理店への指導等のあり方について、どのように考えるのかということが論点となろうかと考えております。

以上が、保険仲立人と乗合代理店に係るものでございまして、次に10ページでございます。10ページからは保険募集の範囲をどう考えるのか、その他の業務のアウトソーシングについて、どのように考えるのかということでございます。

まず、保険募集の範囲の関係で、保険募集規制の趣旨でございますが、安居様の編著によります『最新保険業法の解説』よりとっておりますが、保険商品は、目に見えない将来の不安を対象としている、保険金の支払条件等の商品内容が一般消費者にとって理解が容易でない、しばしば実質的に長期にわたり高額な支払が必要となる、価格の妥当性の判断が、一般消費者にとってはなかなか難しいといった特徴がありまして、その募集の際には、保険契約者が正しい理解に基づく適切な判断ができるよう、適正な説明等がなされることが必要であるため、保険業法は、適正かつ公正な保険募集を確保するため、保険募集を行う保険募集人や保険仲立人について諸規制を設けているとされております。

具体的な内容につきましては、11ページ、保険募集の範囲についての、保険募集はどのような規制がかかるのかということでございますが、保険募集は法令上、保険契約の締結の代理又は媒介を行うこととされております。保険募集に該当する行為を行う者は、保険募集人の登録等のほか、保険募集に関する禁止行為、行政による立入検査、業務改善命令等の規制に服することになります。一方で、保険募集に該当しない行為に対しては、こうした規制は当然のことながら適用されません。

法令上、募集の範囲について具体的な規定は設けられておりませんが、監督指針において、少なくとも以下のいずれかの業務を行う者については、登録が必要とされております。具体的には、下にぽつぽつと書いてございますが、保険契約の締結の勧誘、保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明、保険契約の申込みの受領、その他の保険契約の締結の代理又は媒介となっております。

登録の要否については、一連の行為の中で当該行為の位置付けを踏まえた上で、総合的に判断する必要がありますが、例えば、次に掲げる行為のみを行う者には、基本的には上記登録は不要であるとされております。具体的には、保険募集人の指示を受けて行う商品案内のチラシを単に配布するだけの行為、コールセンターのオペレーターが事務的な連絡の受付や、事務手続等について説明をする行為、金融商品の説明会等において一般的な保険商品の仕組みや活用方法等について説明する行為については、保険募集に当たらないという扱いをしているということでございます。注でございますが、保険会社には、法人等に対し、登録を行わずに代理店委託を行う等により、法令等を潜脱する行為を排除する措置を講ずることが求められております。

次に12ページでございます。こちらは業務のアウトソーシングについてでございます。保険会社本体や保険代理店が、一般的な業務をアウトソーシングするケースが最近増加してきております。法令上の関係を整理いたしますと、保険募集の再委託は原則禁止されております。したがいまして、保険募集に該当するような行為を再委託することはできません。一方で、保険募集に該当しない業務につきましては、保険の募集人、代理店がアウトソースをしても構わないという構造になってございます。保険会社がアウトソーシングを行う場合、すなわち一段階のアウトソーシングにつきましては、その業務の適切な運営を確保するための態勢整備が求められ、行政によるアウトソーシング先への報告徴求や立入検査の措置も講じられております。保険会社以外の保険募集人が、具体的には代理店になろうかと思いますが、保険募集に該当しない業務をアウトソーシングすることはできますが、その場合についてはこうした規制は設けられていないという、今の法制になっております。

13ページ、14ページは、これまでの当ワーキング・グループでのご議論ですので、説明は省かせていただきます。

ただいまご説明しました現状を踏まえて、15ページでございますが、保険募集の範囲やアウトソーシングについてどのような論点があるのかを、整理させていただいたものでございます。近年、顧客へのアプローチ手段が多様化し、次のような行為が現れております。具体的には、保険比較サイト、コンサルティング、見込み客を保険募集人に紹介する行為などでございますが、こうした行為について保険募集の規制を及ぼす必要があるのかどうか、また、これらの行為のほかに考慮すべき顧客へのアプローチ手段はあるのかということでございます。

具体的には、保険比較サイトでございますが、単に保険会社・保険募集人の提供する情報を転載するに留まる場合と、サイト運営者が自らの意思を表明する場合で、違いはあるのかどうか。コンサルティングですと、単なるコンサルティングに留まる場合と、コンサルティング後に特定の誘導を行う場合で、違いはあるのかどうか。見込み客を保険募集人に紹介する行為で、単に保険会社や保険募集人を紹介するだけの場合と、紹介を行う者の意思を表明する場合で、違いはあるのかどうかなどが考えられます。

こうしたことを踏まえまして、保険募集に該当するか否かを判断するメルクマールについてどう考えるのかということで、少し論点を挙げております。上記のような例がございますが、自らの意思の表明、具体的には特定の商品の推奨等だと思いますが、そうしたことの有無ですとか、保険会社・保険募集人への誘導の有無によって、違いがあるのかどうか。さらには、上記のような行為を行うに際して、保険会社・保険募集人から手数料を得ているか否かで、募集に該当するかどうかの判断は違いがあるのかどうか。手数料を得ていなくても、上記のような行為を行う者が、資本関係や契約によって保険会社・保険募集人と密接な関係がある場合、違いはあるのかどうかなどが論点となるかと考えられます。

最後に16ページでございますが、業務のアウトソーシングに関しての論点といたしましては、保険募集人について、上記のような保険募集に該当しない行為については自由にアウトソーシングを行うことが可能でございますが、その際の保険募集人のアウトソーシング先に対する管理責任についてどう考えるか。また、行政による保険募集人のアウトソーシング先への報告徴求や立入検査等の措置についてどう考えるかということ。もう1点、保険募集に該当するか否かのメルクマールを考えるに際して、アウトソーシングに関連して特別に留意すべき点はあるのかどうかなどが、論点になろうかと考えております。

私からは、以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

続きまして、小原保険課長、よろしくお願いいたします。

○小原保険課長

保険課長の小原でございます。

保険募集の定義に関連して具体例を説明せよというオーダーをいただいておりますので、資料を用意いたしました。資料3をごらんいただきたいと思います。

1ページ目でございます。法令と監督指針を掲載しております。法律は省略いたしまして、監督指針は先ほど保険企画室からの説明にあったものと同じものでございます。(1)で、どういう場合に登録が必要なのかをお示ししたものでございますが、マル2は先ほどご説明があったとおりでございまして、ア、イ、ウ、エを見ても特段の新たな情報はないわけでございますが、ここで意味があるのは注書きのところでございまして、(ア)、(イ)、(ウ)、単にこれをやっているだけでは登録は不要という考え方を示したものでございます。例えば(ア)でいきますと、商品案内チラシの単なる配布、「単なる配布」が意味するところは、例えば申込書を配布したりしていないですとか、あるいは正規の募集人から説明を受けることになっているのであれば、単なる配布という意味合いでございます。

それからマル3でございますが、太字で下線つきで書いておりますが、「紹介代理店委託を行う等により紹介料などの名目で対価性のない金銭の支払いその他の便宜供与を行っていないか」。この「対価性のない」がわかりにくいわけでございますが、ここで意味しておりますのは、紹介料にしては異常に高いですとか、紹介料としてはちょっと算定方法がそぐわないような金銭の支払いという意味合いでございます。

2ページでございます。これも先ほどの保険企画室の説明にあった解説本の抜粋でございます。なぜ保険募集について重たい規制を課しているのかというところでございますが、上から4行目あたりがポイントかと思います。保険契約者が正しい理解に基づく適切な判断ができるよう、適正な説明などがなされることが必要であるということでございますので、どういう行為を規制すべきなのかをかみ砕いて申し上げれば、顧客が重要事項について誤解したまま契約締結してしまう、あるいは重要事項を知らないまま契約締結をしてしまうことにつながるような行為を、規制すべきという考え方かと思います。

それで2つ目の矢羽根のところで、具体的に、現時点で私どもが考えております判断要素を列挙しております。例えば1つ目でございますが、特定の保険契約の締結の申し込みを推奨するものかどうか。推奨すると契約締結につながる、あるいは優良なものと思い込んでしまうということかと思います。それから内容説明の程度ですが、詳しく説明すればするほど、顧客が重要事項を理解したつもりになってしまうということかと思います。3つ目、保険会社あるいは募集人と、資本関係や契約関係などがあるのかどうか。もしある場合には、1つは当該者が詳細な説明をしたり、推奨するインセンティブが働くのではないか。それからグループ内とか契約関係でありますので、正規の募集人による説明が省略されることがあるのではないかといった観点でございます。最後は、対価の有無とその性格でございます。これも強い推奨や詳細な説明へのインセンティブとの関係でございます。下の2つは、直接これをもって募集に該当するものというよりは、それにつながるおそれがあるケースがあるのではないかという観点でございます。

3ページ目以降で具体例を幾つか挙げてございます。1つ目の例でございますが、左側の図をごらんいただきますと、コンビニエンスストアに商品案内チラシを置いている例でございます。コンビニエンスストアは募集人登録をされていないという前提でございます。店頭にチラシを置いて、顧客はそのチラシを見て、保険会社あるいは保険代理店に問い合わせをして、その後、保険募集人から契約の勧誘・説明が行われる。コンビニエンスストアは、保険会社または代理店から対価を受け取るということでございます。ポイントとしては、コンビニがどの程度強く勧誘するのか、どの程度詳しい説明をするのか、申し込みの受領を行うことになっているのか、それからコンビニ業者に支払われる対価が、単に場所代程度のものなのか、あるいは成約すれば幾らという設定になっているのかというあたりがポイントになると考えております。ただ、これは私どもとしては、直接コンビニに対して報告徴求をしたり立入検査をする権限はございませんので、基本的には保険代理店なり保険会社を通じて情報をとることになります。

4ページ目でございます。次は比較サイトでございます。比較サイトの中に保険会社のリンク先を表示いたしまして、顧客がリンク先をクリックすると保険会社のサイトに流れる、そこで詳細な説明等が閲覧できるようになっていて、申し込みまで進むことができる。保険会社から比較サイトに対しては、広告料などが支払われることになっているものでございます。

ポイントのところで、どの程度、推奨することとなっているのかでございますが、例えば「アクセス数ナンバーワン」とか「保険料業界最低水準」というのがよく見られるのですが、それをもって直ちに顧客が何も知らないまま契約を結ぶのかは、なかなか判断しかねるかなと。さらに進んで「お勧め」という言葉があると契約にいってしまうのかという観点でございます。2つ目でございますが、どの程度詳細に内容説明を行っているのかということでございますが、単に商品名、例えば何とか終身保険ですとか、それと保険料プラス保険金を載せる例が多いかと思いますが、それをもって直ちに保険契約締結をしてしまう、重要事項を確認もせずに保険契約締結に持っていくと考えるのも、なかなか難しいかなと思っておりますが、だんだん情報が加わってきて、例えば免責事由がこういうものですとかいうことになると、何となく説明がわかったつもりになってしまうとか、あるいは双方向で、顧客が問い合わせをするとサイト運営者からお答えが来るような仕組みになっていると、また募集に近くなるような気がいたしております。対価については先ほどと同じでございます。

5ページでございます。コンサルティングの例でございます。コンサルティング業者が一般的なコンサルティングを実施いたします。その中でお客さんが保険に関心があることがわかりますと、その情報が保険会社あるいは保険代理店に伝達されます。コンサルティング業者から紹介を受けた保険募集人が勧誘行為を行って、保険会社からコンサルティング業者には紹介料が支払われることになります。これも基本的にはポイントは同じでございますが、我々の事情を申し上げますと、コンビニの例やサイトの例は見ることができるんですが、コンサルティングのような例では、なかなか我々が見るのは難しい。実際どういう会話が行われているのかを確認するのは難しいというのが違いかと思います。

6ページ目、その他の事例を載せております。1点目が、顧客から対価を得て行うコンサル、あるいは無料で行うコンサル、つまり保険会社や保険代理店から対価をもらうわけではないコンサルの一環で、勧誘や詳細な説明が行われる場合。これは保険会社とのつながりがない場合は、基本的に正規の募集人が事後に説明することが見込まれることもありますので、なかなか募集に該当するという整理は困難かと思います。これはさまざまなバリエーションが考えられまして、例えば保険マニアのような個人が、自らのブログで特定の商品を極めて詳細に説明し、かつ強く推奨する、これを買わない人はちょっとおかしいというような推奨をする場合でも、保険会社なり代理店とのつながりがない場合には、なかなか募集に該当すると認定するのは難しいのではないかと思っております。

2つ目は逆の例でございますが、資本関係や契約などによって保険募集人と密接な関係にある者が勧誘や説明を行う場合。これは基本的に、実質的に同一であると考えるべきなのだろうと、私どもは思っております。

7ページと8ページは、募集の定義とはややずれるわけでございますが、ちょっと関連する事例といたしまして、保険代理店の使用人について、資料を作っております。損保の例を出しておりますが、損保の代理店の使用人は登録の義務はなく、届け出となっております。使用人の定義はなかなか難しいわけでございますが、その下の監督指針でございますが、「302条にいう保険募集に従事する役員又は使用人とは、代理店の事務所に勤務し、かつ、保険募集に関し所定の教育を受け、その代理店の管理のもとで保険募集を行う者をいう」と書いておりまして、代理店との契約関係について特段特定をしておりません。例えば雇用に限るとか、雇用または派遣に限るとか、そういうことを特定しておりませんで、単に委託をした場合にこれがどうなるのかというのが論点で、現在やや曖昧になっているところがございます。

8ページ目、具体的な事例でございます。これは保険代理店がテレマーケティング業者と契約を締結いたしまして、当該テレマーケティング業者のオペレーターを使用人ということで使います。オペレーターは保険代理店の使用人としてマーケティング業務を実施いたします。当該使用人は、損保の場合は届け出がされている、生保の場合は登録がされているという前提でございます。資料請求があった顧客に対して保険代理店から募集資料を送付するということでございます。ポイントのところは、縷々書いておりますが、要は保険代理店の指導・監督がきちっと及ぶのかという観点でございます。態勢整備とか、指揮・命令ですとか、最終的には使用者責任といいましょうか、当該使用人に対する責任、あるいは第三者に対する使用人の責任などが、きちっと明確になっているのかが、適正な保険募集を確保する上では必要なのかなと思ってございます。

以上でございます。

○洲崎座長

ありがとうございました。

続きまして、本議題に関しまして、オブザーバー、参考人の皆様よりご説明をいただきたいと思います。

最初に、日本保険仲立人協会会長の葛石様から、お願いいたします。

○葛石オブザーバー

保険仲立人協会の葛石と申します。本日は、仲立人のあり方等におきまして議論いただける機会をいただきましたことを、感謝申し上げます。本日は、資料は2編ございます。説明用が資料4でございまして、参考資料だけのほうが資料5となっております。

資料4につきましてご説明をさせていただきます。保険仲立人制度につきましては、既に事務局よりご説明をいただいたとおりでございますので、当方からは省略させていただきます。したがいまして、保険仲立人の実務を中心とした説明を申し上げたいと思います。

まず、2ページを開いていただきたいと思います。保険仲立人の生い立ちをご理解いただくための参考といたしまして、「保険仲立人制度誕生の背景」と題しまして、平成4年の保険審議会答申をお示ししておりますので、ごらんいただきたいと思います。審議会答申では、(ロ)をごらんいただきます。我が国の損保の乗合代理店が、ブローカーに近い機能を有しており、我が国の風土からブローカーの活躍する余地は限られているのではないか、とする一方で、(ハ)をごらんください。保険ブローカーは中立的な立場から利用者に最もふさわしい商品をアドバイスすることであり、代理店とは異なった存在意義があり、保険チャネルの多様化、販売面での競争促進が期待できると、そのバイヤーズエージェントとしての存在意義が、初めて公に期待されたものでございました。同時に(ニ)で、ブローカー制度導入に当たっては、利用者保護やブローカーの中立性・的確性の確保のための法規制が必要とされているということでございまして、バイヤーズエージェントたる法的要因の確立を要求したものというのが、この審議会の答申でございました。

3ページをごらんください。その結果、保険の募集態勢はここにありますように、二分態勢になりました。基本的には法規制も資料編の7をごらんいただきたいと思いますが、保険仲立人が顧客サイドの代理人として存在することになったということでございます。

恐れ入ります、4ページをお願いいたします。その後、16年を経過したわけでございますけれども、お示しのとおり、大変残念ながら保険仲立人がバイヤーズエージェントとして脚光を浴びるケースは、大企業や独立行政法人など、極めて法人的な限定的な分野にとどまっております。そのシェアは損保で0.4%となっております。

5ページをお開きいただきます。先ほど法制度、規制についてはご説明が当局からございましたので、若干の補足をさせていただきたいと思います。この5ページに書いてありますのは、末尾でございますが、基本的には仲立人の中立性・的確性の確保が義務づけられているためにこの法規制があるということでございます。それは基本的には契約者保護を前提にした法規制であるということでありますので、これにつきまして、逐次説明をいたします。

6ページをお開きいただきます。第1番目は、賠償資力の確保について書いてございます。現在、仲立人は保証金が最低4,000万円、最高8億円まで供託をすることになっております。実はこの保証金は、「保険会社の保証保険、銀行保証で代替え可能」となっておりますが、現在のところこの保証金を、保証保険とか銀行保証で調達することは不可能に近いものになっておりまして、現実には仲立人になるためにはいわゆる現金等で供託をしなければならないということでございます。資料8にこの問題については書いてございますので、ごらんください。2番目は、顧客に対する自己の立場の明示でございます。これにつきましても書面で交付することになっております。3番目は、契約の証拠書面である結約書を交付するということでございます。

7ページをお開きください。誠実義務ということで、仲立人がお客様に商品をご紹介するときの誠実義務があることを明記するものでございます。これは先ほど事務局、当局からもお話があったとおりでございます。5番目が、業務の遂行能力の確保ということで、仲立人の試験には能力を求められているのが現状でございます。

8ページをごらんください。手数料の開示を表示しております。それから第7番目でございますけれども、保険仲立人の業務の把握として、年1回、決算が終わってから3カ月以内に、各地登録財務局に事業報告書を提出して、監督を受けることになっております。8番目でございますが、ADR機関との締結義務がございまして、仲立人は「一般社団法人保険オンブズマン」を契約締結先としております。現在のところ、仲立人に関する苦情相談は1件もございません。それが実情でございます。

9ページをごらんいただきたいと思います。保険仲立人の業務フローにつきまして、ご説明を申し上げるところでございます。実は9ページと次の10ページは同じものでございますので、10ページをごらんいただきたいと思います。第1番目は、指名状の発行がございます。仲立人がいわゆる委託、受託の関係で、そういうお客様との関係という立場上、お客様より指名状を発行いただいて、みずからの代理人であること指名しております。2番目でございますが、自己の立場については先ほどもございましたように、自分が仲立人であるという立場の開示の書面を交付してございます。それから、6をごらんください。誠実義務が法律上課せられておるということでございまして、お客様に保険をお勧めするに当たっては、この誠実義務に基づいて情報を提供しているところでございます。

9ページに戻っていただきます。ちょうど契約者と仲立人の関係においては下から3番目、保険会社との関係においては下から4番目に、結約書の作成・交付がございます。仲立人の結約書の作成・交付といいますのは、お客様である契約者と仲立人と保険会社の三者合意で、結約書を作成して交付しております。要するに、お買いになった保険が間違いなくお客様の意図に合致しているかどうかを三者合意している、というご理解をいただいたらと思います。

11ページをお開きいただきます。保険給付の事由説明でございます。基本的に仲立人が指名状によってお客様から委託を受けておりますので、保険給付に当たりましてはお示しのとおりのサービスで行っているということでございます。特に保険会社がお客様に保険金を払う場合でございますが、特約を含めてほんとうにお客様がきちっとした保険金請求し、契約どおりの保険金を受け取られるかどうかという、昔、不払いというのがございましたけれども、そういうことも確認できるような制度のやり方をしておるわけでございます。特色といたしましては、お客様と仲立人の関係は、付保効果の検討、事故があれば事故があったでの、果たしてこれが適切に払われているかどうかということもあるのですが、そういう付保効果の検討とか、あるいは再発防止という原因究明的なことも仲立人のサービスには含まれておることが、現況でございます。

12ページ、13ページでございます。基本的には「健全な発展のために」ということでございますが、実は議論の前提といたしまして、消費者ニーズというものは、制度ができて16年たちますが、その16年前と比較いたしまして大きく変化したと思っております。昨今、消費者は多様化した商品の中からみずからのニーズに合ったものを選択し、購入したいとお考えになっており、そのため商品を比較する上で公平とか中立的な立場から専門家のアドバイスを求められているという認識には、仲立人のほうも立っております。また、既に保険契約を済まされている方々でも、例えば現役のときにおつき合いがあったいろいろな保険を購入してきたんだけれども、退職とか引退という状況になると、保険の現状とか自分のポートフォリオはどうなっているのかという、専門家による公平、中立なアドバイスを得たいという向きもあろうかと、基本的には存じております。

昨今、消費者は大変リスクコンシャスな方が相当いらっしゃると思っております。リスクを極めて強く意識する人々という意味でございますが、したがって保険も公平、中立な専門家からのアドバイスが欲しいという流れは、現状の中では相当強いものがあろうと思われます。そう考えたときに、仲立人制度で募集をしていただくことが、消費者にとって極めて安心・安全なものであると申し上げたいということでございます。

14ページをごらんいただきたいと思います。まとめますと、基本的に言えば、以下にお示ししたとおりになるということでございます。仲立人に今後求められるものは、ちょうど2に書いてございますが、リテール部門への進出拡大でございます。これを図るとともに、当業界の持つ特徴とか機能をアピールして、基本的に仲立人を法的に鮮明化していただいて、新規参入会社を求めていきたいと願っております。そのためにというわけではないんですけれども、先ほど言いました中立性・的確性という観点から課せられた法律、諸制度がございますけれども、基本的にはそれを遵守しつつ、保険仲立人と代理店の兼営の解禁と保証金の引き下げを求めていきたい。これが我々の思いでございます。

15ページをお開きいただきます。制度の一部規制緩和ということで、具体的にそれをご説明申し上げますが、1番目は、賠償資力、先ほど前段でございましたが、最低4,000万円、最高8億円を供託するわけでございます。これは、繰り返しになりますけれども、ボンドの調達が極めて難しいのです。したがいまして、新規参入を促進させるという意味では、これを引き下げなければ、新規参入の参入障壁になる可能性が極めて高いと思っております。ここに要望で最低1,000万円という言い方をしておりますが、これはあくまでも参考でございます。

下に理由がございます。どういう理由かと申し上げますと、先ほどADRのお話をいたしましたが、基本的にADRでは苦情等の1件もござません。それからもう一つ、我々のメンバーは、16年間、過去1社においても一度もこの保証金の発動が行われたことはないということでございます。それから下にございますけれども、賠償資力の必要性は十分認識をしておりまして、これは大事なことだと思っておりますが、基本的には保証金を引き下げても賠償保険でその減少額はカバーが可能でございますので、保証金を引き下げて、保険に基づいてこの引き下げた分を穴埋めしていくことを、お考えいただいたらということでございます。

16ページをごらんいただきます。ファイアウオールでございまして、実は仲立人は他の募集人とのファイアウオールがございます。その中で兼営禁止というものを取り上げております。

17ページをお願いしたいと思います。代理店との兼営を解禁するというご要望でございます。理由につきましては種々ございますが、3番目をごらんいただきます。仲立人及び代理店がそれぞれの特徴、機能を説明し、消費者がみずからのニーズに合致した保険商品と販売人を求めることが可能になってくると書いてございます。仲立人が今から発展していくためには、基本的には人材が必要でございます。その人材の供給先は代理店が最も適切なものでございます。したがいまして、1つの代理店から仲立人への人事交流といいますか、そういうことが、兼営が認められれば非常にスムーズにいくという考え方を持っております。

6番目でございますが、だからといってということではないのですが、保険仲立人と代理店は、その性質・機能が異なることははっきりしておりますので、募集従事者の兼任や共同行為、あるいは店舗の共有などのファイアウオールについては、現状どおりにしたいということでございます。

18ページをお願いしたいと思います。その他の要望事項でございまして、4項目ございます。第1番目は、保険仲立人の定義の明確化でございます。今、仲立人の定義は法第2条にございますが、私どもからしてみれば、やや不十分であると思っております。顧客の代理人であることを明確にしていただきたい、あるいは委託者であることを明確にしていただきたいということでございます。

2つ目は、委託契約書、現在は指名状を使っておりますけれども、これを法制化いただきたいということでございます。ただ1番目のところで定義が明確に、鮮明化になった状態であれば、委託契約書についての法制化はまた再度検討し直すような項目になるかもわかりませんが、基本的に申し上げると、仲立人は顧客の委任によって媒介契約を行う者でありますから、それを明確にするために委託契約書の締結を法制化したいと思っております。現行の中で、指名状は全契約において適用しております。もし仮に委託という形が明文化されますと、実はここに善管注意義務と書いてございますが、今の私どもは誠実義務が299条にございますが、誠実義務よりはもっと厳しい善管注意義務が発生することは十分覚悟の上でございます。

それから、結約書の簡素化でございます。今、結約書は1つの、リテール部門をやるときには特にそうなのですけれども、非常に事務手間がございますので、ここら辺につきましては少し簡素化を図っていただくような方策を考えていただきたいということでございます。

4番目でございますが、媒介手数料の契約者からの受領についてでございますが、保険仲立人はバイヤーズエージェントでございますので、契約者の代理人として保険媒介を行っております。したがいまして、あらかじめお客様の了解を得た場合は、媒介手数料を契約者より受領することを一応可能にしていただきたいということでございます。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

○洲崎座長

ありがとうございました。

続きまして、堀井参考人からご説明を伺いたいと存じますが、私から堀井参考人のご紹介をさせていただきたいと存じます。堀井参考人は、主に生命保険を扱う乗合代理店を中心とする保険代理店協議会の代表理事として、保険代理店の業務改善等に取り組まれております。本日は、生保乗合代理店の現状についてご説明をいただきます。

それでは、堀井参考人、お願いいたします。

○堀井参考人

ただいまご紹介に預かりました、参考人の堀井でございます。よろしくお願いいたします。

資料をごらんいただきたいのですけれども、今、このワーキング・グループにおきまして乗合代理店についてのさまざまな議論がなされていると思いますので、我々乗合代理店が常日ごろ、どのような考えに基づきまして、どのような募集行為を行っているかという、実情、現状をお知りになりたいという声が多分あり、私どもがここに参考人としてお呼びいただいたと認識しておりますので、今から早速その現状について発表させていただきたいと思います。

では、次ページをごらんいただけますか。P1です。アジェンダに沿いましてご説明をさせていただきます。1番から4番までございます。それと別紙1、2を添付しておりまして、この別紙につきましては、大項目の2番、3番でご紹介させていただきたいと思っております。

では、次のページをごらんください。1番、保険代理店協議会の概要ということで、今ご紹介をいただいたわけですけれども、若干補足をさせていただきたいと思います。当団体は、主に生命保険をメーンにしまして、比較的、規模感、全国規模で展開をしている、乗り合いに特化した代理店中心に組織されております。右の上の囲みのところに、その会員構成が書かれておりますが、保険代理店45社といいますのは、どちらかといいますと金融系の代理店や大企業の機関代理店ではなく、主に個人で始めてそのまま規模を拡大させていったような代理店を中心に構成しております。保険会社につきましては、主に代理店チャネルを積極的に展開されている保険会社に参加をいただいている団体でございます。先ほど、業務改善等を紹介いただきましたが、目的は、真ん中少し上の点線の部分にあります、お客様に対して最前のサービスを提供することを前提としまして、業務改善を中心に、保険代理店そのものが企業として健全かつ社会的にも認知をされるべく、さまざまな研さん活動とか情報交換をしておる団体でございます。

次のページをごらんください。ここからは、我々が日ごろどのような動機で、お客様が我々のところに来店をされ、どのようなプロセスで募集行為を行っているかをご説明させていただきたいと思います。ただ先ほどの資料にもありましたけれども、乗合代理店そのものが4万社ほどございますので、かなり個社に実態としてはばらつきがあるかもしれませんが、当団体が推奨もしくは現場で実践しております、最大公約数ベースで行っているフローだとご理解いただければありがたいと思っております。

上からご説明をさせていただきます。まずお客様の来店動機ですが、お手数ですけれども、別紙1をごらんいただけますか。「保険ショップ来店動機と選択理由(ほけんの窓口グループ)」と書かれているデータでございます。これは当団体の中の1社、ほけんの窓口グループが、実際、営業現場でおとりいただいているアンケートそのものを別添資料として付記しております。まず、どのようなきっかけでお客様が来店されているかは、左上の表でございますけれども、主に、ここにあるとおりですが、上から1つ、2つ、「保険料を節約したかった」、「保険に不安を感じた」で、約3名に1人はこういった来店動機でいらっしゃっております。上4つ、「結婚」とか「更新や見直しの案内が来た」まで入れますと、ほぼこれで2人に1人がこういった動機でご来店されるというのが、ほとんどでございます。「当社を選んだ理由」として書かれてあるところでいきますと、上から4つぐらい、「中立的な意見が聞けるから」、「相談が無料だから」、「取扱保険会社の数が多いから」、それから「ファイナンシャルプランナーが対応してくれるから」、大体これで70%を占めますので、このような理由で選ばれている、10名来店されると7名までがこういった理由だとおっしゃっているということです。

それから立地的な理由につきましては、やはり自宅に近い、もしくは駅に近い、駅近ですが、そういったところがほとんどの理由ではなかろうかということでございます。

これは代理店自身がとっている、選択型のアンケートの結果でございます。また、第三者機関によるアンケート等を見ますと、これ以外には、気軽に相談ができる雰囲気だったとか、話とかニーズをよく聞いてくれたからだというような、そういった内容もかなり多いと聞いております。

これが入り口のお客様がいらっしゃる理由だということになるわけですけれども、その後、3ページに戻っていただきますと、生命保険募集の一般的フローということで書かせていただいております。これが契約に至るまでのプロセスということになるのですが、大体私どもにおきましては面談回数が、ご契約をいただくまでに平均3回ぐらいの面談をいただいているということです。1回目の面談につきましてはヒアリングということで、お客様のニーズを聞くフェーズ、そこに合意をいただいて、次回そのニーズを満たす保険提案を行う。そして、さらに合意をいただければ、3回目は契約申し込みの手続を行う、こういったものが大体平均の面談回数で、1回の面談時間を平均すると約2時間ぐらい、都合6時間ぐらいの面談時間でご契約に至るというのが平均的な面談のパターンだということでございます。

では、この毎回毎回の2時間の中で、どのような行為を我々が現場でしているのかということを次ページでご説明をさせていただきたいと思います。4ページをごらんください。乗合代理店の保険募集フローでございます。これも上から下のほうに目線を移動させていただければと思うのですけれども、我々がお客様と募集人、代理店間でどのようなコミュニケーション、どのような募集行為がなされているかということです。

まずお客様は、先ほどの面談の動機に基づきまして、ネットでありますとか、媒体(広告・チラシ)、もしくは人を介して面談の予約をされてくる。パターンとしましては来店されるケースもあれば、業態によって訪問するケースもございます。初回面談に至るということになります。その後、面談の流れが上から下に移動をしていきます。まずは自己紹介ということで、募集人そのものの自己紹介、もしくは代理店の自己紹介をした上で、何か動機をもって面談に当たられますから、面談目的の確認ということをします。ここの面談目的につきましては、先ほどの別紙の左上に表記されているとおりでございます。代理店によっては、そのときに受付票なり個人情報の収集同意書をいただくケースもございます。

そこで顕在化されたお客様のニーズをまず解消するということをした上で、その後1回目の面談では、このニーズをお聞きする、ニーズヒアリングということをいたします。そこに括弧書きの中に4項目ほど、三つの保険、生老病死、ライフプランニング、次回面談の約束ということが書いてありますが、これを少し上からご説明させていただきますと、三つの保険、基本レクチャーをいたします。これは売り手と買い手の情報格差を埋めるために、基本的な保険の構造について勉強していただくということをするケースが非常に多いということです。一般的なお客様は、この基本的な構造をご存じない方がほとんどでございます。

その上で、次は(潜在)ニーズの確認ということで、本来の生命保険、保険という商品がどういった目的で有効なのかということを知っていただくということで、ご説明をさせていただきます。その上で、ライフプランニングとありますが、これは個々の価値観や家族構成、資産状況によって、その必要性というものが異なりますので、それを可視化するためにライフプランニングという行為が必要であるということをご説明させていただきまして、そこの趣旨に同意いただいた方が、次回面談につながっていく。つまり保険提案する前提の上で、こういったことをまず知っていただき、理解をいただいた上で保険提案に移るということが流れでございます。

続きまして、次の5ページをごらんください。これで、この流れに合意をしていただいた方が、次回の面談の約束をいただくということで、また再度ご来店いただく、もしくは募集人が訪問するという形になります。そしてこれが2回目になりますが、まず個別具体的商品を提示する前に説明することとして、そこの囲みの上にあります、前回のヒアリング内容に基づくライフプランニング表の提示、それに沿った必要保障額の提示、それに合致した保険種類の提示ということを、個別商品を提案する前に行うということです。これを別紙2をごらんいただくと、少しわかりやすいかなと思いますので、お手数でございますが、よろしくお願いをいたします。

必要保障額算出ツールの事例いうものでございます。これは某生命保険会社様の資料を抜粋しております。ヒアリング項目については、大項目としましては、そこにある左上8つのようなこと、これをもう少し細かくお聞きした上でグラフとして可視化していくというのが右の上でございます。単年度別の収支グラフということで、その方の収入の推移のシミュレーション、それから支出のシミュレーション、こういったものを算出した上で、この表は必要な死亡保障算出の根拠の絵になるわけですけれども、こういった方が、もし今亡くなれば、どのぐらいの保障が必要なのかということを示していますのが左下の必要保障額グラフでございます。

これを少しだけ説明しますと、この35歳の方が今、亡くなると、約1億の保障があれば、残された遺族は安心ですという絵づらになります。これが40歳でこの方が亡くなれば約6,000万、例えば60歳で亡くなれば約1,000万、このように必要保障額が推移していくということを、まずご理解をいただくという流れになります。

その上で、この必要保障をヘッジするためには、どのような保障がいいのかということを提案するのが右下の生命保険の設計例というものでございます。これも簡単に説明をいたしますと、例えばそこに終身保険という囲みがございますが、いつ亡くなっても必ず必要な保障額というものが、例えば終身保険というもので賄いましょうと。住宅を購入するまでに、もし亡くなっても、残された遺族が住居に困らないようにするために、定期保険という保障を使いましょう。ご主人がいなくなって社会保険制度で賄えない部分は、収入保障保険という分割で支払われる保険を使いましょう、こういったものがこの死亡保障に適しているのではないかと、このような流れのご説明をさせていただくということが非常に多いということでございます。

すみません、5ページにお戻りいただけますでしょうか。ここまでが商品選定をする前に、あるべき必要保障額に基づいてどのような保険がいいのかというところを導き出すプロセスでございます。その上で商品選定の基準というところに入っていきます。例えばここでいきますと、終身保険という保険の中で、どの保険会社の商品がいいのか。もしくは定期保険という商品の中で、どの保険会社の商品がいいのか、こういったチョイスをしていくのが、その後になるということになります。

そこで選ぶ基準としましては、そこに5項目を掲げておりますが、1つは保険会社さんです。信用度、ブランド、もしくは引受基準。引受基準というは、例えば保険会社様によって微妙に告知された内容によって、A社は引き受けるが、B社は引き受けないとか、そういったケースもございます。そういったものに基づいて保険会社様を選ぶということがございます。

あと、もちろん保険商品です。それは機能とか特約とか、貯蓄性があれば返戻率というものを見て、保険商品を選んでいくということです。機能といいますのは、例えば同じ医療保険をお勧めするにしても、A社は通算が1,000日出ます、B社は通算が1,095日出ます、保険料は微妙に違います、こういったところで、どの商品がいいのかと選択するというところにつきましては、そういったものをベースに商品を何種類か提示していくということになります。

あと、もちろん保険料の安さ、それから保険期間、あとカード払い、これもA社はいわゆる口座引き落とししかできないのですが、B社はクレジット払いができますと。A社のほうが保険料は安いですが、B社のクレジット払いを選びますといったことも、お客様のニーズとしてままあれば、そういったことで保険商品が変わるケースもございます。

それから、代理店、代理店担当者ということで、代理店の信用度、ブランド、立地、設備、それから比較的現場ではわりと多いと感じているのは、担当者の印象、専門性、人間関係、こういったものをベースにお客様が選ばれていくということが比較的ございます。

こういったものを基準にいたしまして、これも平均でございますが、各商品、終身とか収入保障とか、医療とかガンとか、この商品ごとに複数社の商品を提示する。2社とか3社、4社です。それは先ほどの微妙な違いを並べて、お客様にどれがいいかを選択をしていただくというような形でご提案するケースが非常に多いということでございます。

これがご提案の流れのところで、我々が常日ごろやっている行為でございます。

次、6ページをごらんください。6ページにおきましては、その上で商品までが確定をしたときは、3回目は申し込みの手続という行為でございます。ここにつきましては見ていただくとわかると思うので、多少割愛をさせていただきますが、一人のお客様に複数保険会社の申込手続をしていきます。もちろんそこに重要事項、意向確認、約款説明、いろいろ要りますので、これも時間的にはやはり2時間ぐらいは申込手続だけでもかかるということで、そのぐらいの時間をかけて申込手続を行っていくということをやっているというのが我々の現状の実態だとご理解いただければと思います。

次のページお願いをいたします。7ページ、乗合代理店の課題ということです。我々が課題として掲げておりますのは、基本的には上記の3項目です。完全な募集態勢の構築、教育の充実、内部監査の確立ということで、これは我々は乗合という立ち位置を例外的措置ということで理解させていただいた上で、少し真ん中のところの米印、当時の記事、これは多分業法が解禁された直後だと思いますが、生損保商品の選択肢の拡大、クロス・マーケティングの促進のため、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合に限り緩和するということで、承認をされたと理解をしております。これにより、適正な競争促進や代理店の効率化等を図れることを期待とおっしゃっていたと理解しておりますので、特に下線部分を遵守した上で、上記3項目をいかに完璧にこなしていくかということを意識しているということでございます。

それが基本的には我々の課題ですが、下の2つ、各保険会社の方針により指導内容が異なるというところと、保険会社の意向により業務委託契約内容や手数料が変わるというところは、代理店自身の問題だけでは解決できないところということで、少し付記をさせていただいているところでございます。

各保険会社の方針によりといいますのは、乗合をしている以上、複数の保険会社様に管理をしていただいているということではありますけれども、例えば募集文書の登録をするに当たっても、A社はオーケーと言われますが、B社はだめと言われると、そういったことが現場では往々にしてございますので、どの保険会社様の、いわゆる指導を遵守すればいいのかというところを、現場で少し悩むケースがあるということでございます。それが嫌なら乗合をするなというような意見もあるかと思いますけれども、現場では今現状ではそういうことが往々にしてあるということでございます。

それから下です。保険会社様の意向によって業務委託内容や手数料が変わるというのは、経営課題として掲げさせていただいておりますが、いろいろ大きな代理店が保険会社と逆の力関係を形成しているのではないかということもご指摘を受けているのですが、我々のレベル感からすると、やはり委託内容というものは基本的には保険会社様からの差し入れの契約内容でございますので、我々がそれを交渉するということは、基本的にはございません。そういう意味では、手数料が一方的に、もちろん状況によって下がるということを受け入れるという関係だと理解しておりますので、それは代理店の経営者という立ち位置で見ますと、永続的にお客様を守っていくということに対しての経営不安を、既に抱えているというような立場であるということを少し申し上げたいということで、あえてここは書かせていただいております。

8ページでございます。乗合代理店の使命ということでございます。ここは我々はあくまでも以下のようなライフプラン、個々のライフプランに基づいて、社会保障制度の不足分を補う必要保障額を我々は顧客に提示していくことであると理解しております。その上で顧客ニーズに合致した最適な商品の選択肢を複数商品提供していくことということです。

そして、それでお客様が選んでいただいたとすれば、そこに必ず重要事項を説明完璧に行って、十分な理解を得て、契約の媒介を行うということです。契約をしていただいた後は、もちろん支払いが完結するまで保全手続を正確かつ迅速に行う。そして、いわゆるフォローする期間がかなり長いわけでございますから、その間のおつき合いを、いろいろな有益な情報提供しながら顧客フォローを行い、ニーズの変化や新商品販売に伴う最適保障への見直し提案を行っていく。これが行為として我々がやっていくべきことだと捉まえて遵守していきたいと思っていることでございます。

我々が健全性の指標とあえてありますが、これはここにあるとおりなのですけれども、保険料収入がまず伸びているかどうかということは、やはり市場から評価を受けているかどうかということだと理解をしております。あと、継続率、これは24カ月の継続ですというものが保険会社様からいただきますので、これをもちろん落とさない。そして苦情件数を減らすということが、総じて市場からの評価だと捉まえておりますので、我々団体の中の平均的な数字を見ると、やはり保険料収入で二桁程度の成長しているところが多いということです。

継続率につきましては、おおむね97から98%で推移している代理店が多いので、これも平均的に我々の売り方が市場から支持されていないというわけでは、多分ないのではないかなという数字なのではないかと思っております。

苦情の多さにつきましては、また消費者センター様のほうで多分把握されているかと思いますので、またその報告を受けたいと思っております。

以下、監督監査指摘事項ということで、保険会社さん、金融庁さんからの評価ということで、これをいかに下げていくかということで、今後は金融庁様も直接代理店様に入られるということも、もちろん周知しておりますので、指摘事項等があれば対処していきながら、代理店経営を図る所存でございます。

以上、少し時間が押して申しわけなかったですけれども、発表とさせていただきます。ありがとうございました。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

続きまして、保木口参考人からご説明を伺いたいと存じます。保木口参考人は、国民生活センターの相談第二課長でいらっしゃいます。保険募集、販売ルールのあり方について議論を行うに当たり、保険募集に関して最近は何が問題になっているのかを伺うことは有用であると考え、本日は、最近の保険をめぐる苦情、相談の状況についてご説明をお願いいたしました。

それでは、保木口参考人お願いいたします。

○保木口参考人

ただいまご紹介いただきました、国民生活センターの相談情報部、保木口でございます。本日はよろしくお願いいたします。

説明に当たりまして、まず最初に国民生活センターというものの立場を若干説明させてください。全国に消費生活センターが各都道府県ですとか、市区町村にございますが、そちらにも寄せられました消費者からのあらゆる消費生活相談に関する苦情が一元的に私どもに集まってくる形になっております。そちらの中で出てきました件数ですとか傾向をもとに、本日はお話しさせていただきたいと思っております。

まず、2011年度に全国に寄せられましたあらゆる消費生活相談の件数なのですが、こちらは87万8,598件です。この中で生命保険に関するものとしましては、2011年度が9,117件。この数字が多いか少ないかということなのですが、2009年度が1万1,411件、2010年度が1万209件でしたので、傾向としましては若干減っているのですが、商品・役務別で見ますと、生命保険というのは上位19位に入っておりまして、決して少ない数字ではない。むしろ、相変わらず多いと思っております。

そうしまして、生命保険に関しての相談の特徴なのですが、60歳以上の高齢者に多くて、販売購入形態としましては、訪問販売によるトラブルが多いという特徴がございます。そこで、パワーポイントの2ページをごらんいただきます。生命保険に関します相談内容の傾向としましては、販売方法、接客方法という、この2つで見ますと、販売方法の割合が多くなっております。

次のマル2のほうでもう少し詳しく見てみますと、説明不足、こちらが断トツで多くなっております。こちらに関しましては元本保証かどうかとか、自分がどんな商品を契約したのか理解していなかったといったものもございます。

次のページに移っていただきまして、次は損害保険に関する相談内容の傾向です。こちらに関しましては販売方法はもちろんございますが、接客対応、こちらのほうがむしろ多くなっております。これは連絡してもなかなか返事がないとか、契約書、書類のミス、電話の対応がぞんざいだといった基本的な対応に関するものもかなりございます。こちらの件数もちょっと紹介しておきますと、2011年度損害保険に関する相談件数というのは4,829件ございます。

マル2に移りまして、もう少しその内容を見ますと、やはりここでも説明不足、こちらが24.6%。これは12年度、今年度の割合ですが、例年一番多くなっております。多分ほかの補償、クレーム処理、契約更新、こちらに関しても結構ございます。この契約更新というのは、主に自動更新であるとか、そういうものです。

次のページに移りまして、その他の保険、こちらはいわゆる第三分野といいますか、介護保険や医療保険に関するものです。こちらに関しましても、販売方法の割合が多くなっておりまして、この割合がちょっと増えております。

マル2に移りまして、こちらにおいてもやはり説明不足、こちらが気になるところです。

次に移りまして、具体的な事例に移りたいと思います。

なお、資料8でお手元に配付してございます資料は、私どもで4月19日の段階で、「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル」について、大変目立っておりましたので、まとめて公表いたしたところでございます。

事例に戻らせていただきます。こちらの事例1に関しましては、この方の場合、定期預金に書きかえてはどうかということで、銀行に行ったところ、一時払い終身保険を勧められて契約したのですが、本人は定期預金の書きかえだと思っていらっしゃったのです。契約後2週間ほどして保険証券が届いて、そこで初めて保険の契約だとわかったというものです。この方は、80歳を超えていらっしゃるのですが、そういう人に対して9年間据え置かないと元本割れしてしまう商品を勧めることが適合性の面でどうだったのかという疑問もございます。週明け早々にクーリング・オフを申し込んだのですが、期間が過ぎていたということで応じてもらえなかったというものです。

次の事例も同様ですが、こちらは70歳代の男性が、やはり元本保証ということで口頭で説明を受けたのですが、実際にはリスクの大きな商品(変額個人年金保険)であるということを後で知ったというものです。高齢者にこのような商品を販売するのはやめてほしいと言っています。

次に10ページに移りまして、事例3です。こちらは既に複数の生命保険を契約している知的障害のある男性が、募集人から不告知教唆があり、いざというとき出るかどうかもわからないような保険に対して、毎年2万円以上の保険料を支払っており、それに対して苦しんでいるという状況です。

事例4に関しましては、勧誘の問題です。高齢の父母の家へ生命保険の勧誘がしつこい。非常に嫌がっている。何とか勧誘をやめさせたいという相談でした。

次の事例5からは、損保に関する相談です。損害保険の場合ですと、事故やトラブルが起きたら、すぐにでも保障を出してほしいというのが心情ですが、この例ですと、1カ月以上たつのに、まだ結論が出ない。結論を出すと言った日になっても連絡がないということで、いまだに車の修理ができず困っているということで、これは接客対応への不満です。

事例6に関しましては、募集人が保険商品に対して十分理解していなかったために、そもそも保険に入れなかったという苦情です。

事例7に関しましては、やはり補償の範囲に関するトラブルです。こちらは約款が明確ではなくて、事前に消費者にとっては見ることのできない会社の決まりというのでしょうか、そちらで適用除外になっていたというものが納得できないという例でした。

ちょっと飛びまして、事例9なのですが、ここからは第三分野の相談です。こちらは、当てにしていた医療保険が出ずに、しかも自分に非のある告知義務違反を問われたというトラブルです。

事例10は、がん保険の自動更新に関するトラブルということですが、こちらは代理店担当者が、もうすぐ満期になりますと説明していたので、本人はもう終了するのだと思っていた。ところが自分で手続をしないと、そのまま自動更新になるものだったということで、3年間も不必要な保険料が引き落とされていたことに納得できないというものでした。

事例としては以上なのですが、こちらを踏まえまして、問題点を幾つか整理させていただきたいと思います。生命保険に関しましては、販売方法に関する不満が多いということです。しつこい勧誘といった勧誘に関するものもあるのですが、何と言っても説明不足によるものが非常に多いと感じます。この場合、詳細な説明をしなければ説明不足としてトラブルになりますが、詳細な説明をするために資料を増やしていくと、説明に時間がかかって煩雑となります。結局、長時間の説明では消費者の理解も衰え、記憶ができないというジレンマに陥っているのが現状と考えられます。

ですので、消費者側のニーズと本質としては、複雑な商品を漏れなく詳細に説明してほしいというわけではなくて、説明に時間のかかるような複雑な商品を望んでいない。シンプルな商品をわかりやすく説明してほしいということではないでしょうか。シンプルな商品ならば、その分説明資料も減ります。消費者も理解しやすい。ふだん聞きなれない専門用語が出てくる保険の話を、集中力をもって聞いて理解できる限度というのは限られます。まして、体力や理解力が低下している高齢者であれば、なおさらではないでしょうか。もっと条件がシンプルな保険は提供できないのでしょうかということも申し上げたいです。

実際にトラブルに遭う高齢者というのは、契約内容どころか、先ほどの例のように、自分がどんな商品を契約したのかすら理解していない状態です。しかし現状では、販売側は適切な説明をしたということで、消費者の意識と保険会社の認識は離れたままです。

2つ目としまして、勧誘の初期段階での意向確認が必要ではないかということです。特に高齢者にとって銀行というのが元本保証の預金をするところという、昔ながらのイメージがまだ払拭できていないようです。事例1のように、保険商品を紹介される場合も、定期預金の満期を見計らって、肝心の保障内容ではなく、定期性と利率を強調した説明で保険商品を勧めています。そのため、この事例では証券が届いて初めて気づくという状態でした。

ですので、商品を紹介する前に、元本保証の商品を望んでいるのか、保険商品を望んでいるのかといった質問項目を設けて、意向を確認した上で商品を紹介していただけたらどうかと思います。

トラブルの多くは、元本保証だったのに、そうではなかったというものが多くなっております。現状では意向確認が形骸化しているのではないでしょうか。今のように複雑な用語満載の分厚い資料の説明を聞き、最後に意向確認されると、消費者は流れで「はい」と答えてしまいがちです。

あと、もう一つございまして、誤認状態から脱して、自分の契約内容がわかった際に、ノーコストあるいは低コストで契約から離脱できるような商品設計あるいは制度はできないのかということです。保険商品が送付されたタイミングで、先ほどの例にもあったように、望んでいない商品であったと気づくことが多いのですが、その時点ではもうクーリング・オフのタイミングが過ぎていて、できない。契約した後で解約すると、金銭的なダメージが多い。例えば解約手数料だけでこんなに取られるのといった素朴な疑問も、トラブルの要因になっております。

せっかくクーリング・オフの制度があるのですから、実効性の面から、契約から8日間という現状の体制から、例えば保険証券が届いてから8日間といったような形にはできないのでしょうか。起算日の特定が難しいということであれば、この8日という日数を、例えば2週間程度にもう少し長くできないのでしょうか。

このように、生命保険の場合の消費者トラブルは、商品の内容に関してというよりは、販売時の説明責任が十分果たされていたら防げるものが多いと感じます。消費者の望む、適合性に合った商品を紹介し、その商品がシンプルでわかりやすいものであるならば、ある程度の説明時間と理解力があれば、後でトラブルに至る事態は避けられるのではないでしょうか。

次に、損害保険に関しましては、やはりこちらは説明不足などの販売時のトラブルに加えて、接客対応のトラブルが多いという特徴がありました。ですので、そういう基本的な部分に関しましては、コストを上げずに丁寧な対応をしていただける工夫はできないのかというお願いです。

例えば事例5に関しましても、なぜ結論が出るまでに1カ月も時間がかかるのかということを適切に説明していただけるだけで、消費者の受けとめ方は違うはずです。そして、やはり説明不足の部分を何とかしていただけないかということです。代理店の商品理解や知識不足による説明不足、こちらに関しては補償に関するトラブルに関しても説明不足が解消されていれば回避できるものだと思われます。損保に関しても、やはり商品が複雑になればなるほど説明責任が十分果たせず、トラブルになりやすいと考えております。

以上をまとめまして、保険会社では綿密に商品設計を行われて、先ほどの監督指針でも、契約者がきちんと理解した上で契約できるよう、押さえていただいているのですが、まして募集人の教育にもきちんと十分な研修を行っていらっしゃるのかもしれませんが、残念ながらそれが末端まで行き届いているのかという部分が疑問です。

ですので、まずは説明をきちんとしていただく、それで販売責任、説明責任を明確にしていただきたいということです。その上で、やはり契約の際に錯誤したまま契約してしまった場合、そこから回避できるような制度といったものを確保していただきたいと考えております。特に高齢者に対する商品選択や適合性、説明義務などは、代理人や募集人の販売責任を明確化することで、消費者のトラブル削減につながると考えております。

以上です。ありがとうございました。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局説明やオブザーバーの皆様からのご説明を踏まえまして、議論に移りたいと思います。

まずは国民生活センターの保木口様からただいまご説明をいただいたところであります、保険をめぐる苦情、相談の動向について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

丹野委員。

○丹野委員

国民生活センターの保木口課長、今日はありがとうございました。非常に保険の消費者トラブルの実態が皆様によく周知されたのではないかと思いますが、いただいているご説明の中で、ちょっと幾つかつけ加えて質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど銀行のお話がありまして、事例が出ておりましたが、それに関して申し上げれば、多分皆様そう思っているのだと思うのですけれども、なぜ消費者は銀行の話を適切に理解しないまま契約して署名をしてしまうのかというのが、ある意味、どうしてなのだろうと多分皆さん素朴に思っていらっしゃるのだろうと思いますので、そこについてご説明を加えていただきたいこと。

それから、高齢者のトラブルが生じる原因はどこにあるのだろうか。それから、いろいろな形で、例えば銀行の場合でいえば、高齢者に対するルールを設けたりして、それの回避のために努力をなさっていらっしゃって、例えば保険会社ペーパーといえば意向確認書面などもあるのですが、それでもやっぱりなかなか理解されないところがあれば、それはどうしてなのだろうか。

それから最後に、銀行窓販がこういう形でトラブルが増えていて、一向に減らないのですが、どうしたらトラブルが減るだろうかということについて、先ほどクーリング・オフの説明がありましたけれど、それも踏まえて何かご提案がありましたら、お教えいただきたいと思います。

○保木口参考人

今たくさんいただいたのですが、実際に日々相談の現場でこういう金融関係のトラブルを担当しております加藤から答えさせていただきます。

○加藤参考人

国民生活センター相談情報部の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私、相談の現場で実際に相談のお話等を受けて、あっせん等も行っておりまして、その関係で経験も踏まえて、少しご説明ができればと思っております。

まず、丹野様から質問いただいた件につきまして、なぜ銀行の話を理解しないまま契約してしまうのかというところなのですけれども、これも私、実際にあっせんして、三者面談等の場に立ち会った経験からなのですけれども、高齢者の方々、銀行さんを非常に信頼しているというところが大きくあるようです。相談者の申し出の多くに、信頼していた銀行が、まさか自分が損をする商品を売るとは夢にも思わなかった、銀行に裏切られたというようなお話をよく聞きます。銀行に対する信頼が大きいがために、トラブルに遭うと非常にダメージを受けられて、裏切られたというお言葉を使われるというところが目立っております。お気持ちとしては、いろいろな相談を私どもは受けているのですけれども、非常に怒られる、激怒のような形で申し出される方が多いのが、本トラブルの特徴でありました。

あと、高齢者のトラブルが生じる原因は何かというところなのですけれども、先ほど保木口も説明はある程度しているところではあるのですけれども、要因の1つとして、契約自体がやはり複雑だというところが根底にございまして、そのため商品が理解できていないというところがトラブルにつながってしまっているのかと感じております。

保険会社さんですとか銀行さんとお話しする機会もあるのですけれども、もちろん説明は適切にしていただいているという印象は受けるのですけれども、説明をすることのみに、場合によっては傾注してしまって、高齢者がどれくらい保険契約を理解しているかというところを適切に見ていただいているのかというところが気になっております。保険募集の際のマニュアルですとか、教育ツールですとかいろいろつくってくださって、協会の方ですとか、保険会社さんとお話しして、コンプライアンスの部門の方々がとても尽力されていることは、こちらとしても理解しておるところなのですけれども、そこがトラブル防止のためにどこまでつながっているのかというところは、少し気になってしまっているというところです。

特に募集人さんですとか、代理店さんというレベルになると温度差を感じてしまうということもございます。

理解度について、意向確認書面等で確認等もされているというところですけれども、どうやったら消費者の方々が理解できるか、認識することができるかというところなのですけれども、書面の使い方というのも1つポイントになってくるのかなと思っております。相談者の申し出を見ますと、よくわからなかったけれども、銀行さんを信頼してチェックしたですとか、あとは募集人さんを信頼してチェックした。またはチェックしないと、もう契約できないと思ったので、チェックした。言われるままに「はい」と答えたというような形で申し出されているケースが目立っております。

そして結果的に、いいか悪いかというところではあるのですけれども、トラブルになった際に、意向確認書面には適切にチェックがしてあるからということで、いわば免罪符のような形でも使われてしまっているという側面もあるように感じています。なので、最後に意向確認書面を「はい」「いいえ」の形でチェックするというよりは、もう少し早い段階で意向について十分に確認していただいて、その方がほんとうにどのようなニーズを持っていらっしゃるのかというのを適切に確認していただければと思っております。

特に高齢の方々ですと、いろいろな金融商品がある中で、ほとんどの方が元本保証の商品を望んでいるということがございまして、保険という枠組みもあるのですけれども、それを超えて、どのような金融商品を望んでいるか、元本保証の商品を望んでいるか、いないのか、保険を望んでいるのか、投資商品を望んでいるのか、そういったレベルからご確認いただけると助かります。

もともと保険を買いたいという意向の方であれば、そこまで必要ないのかもしれないのですけれども、勧誘当初どういう商品を望んでいるか、そこまで明確な目的ですとか意思を持っていない、例えば不招請勧誘になってしまうのですけれども、訪問販売ですとか、電話勧誘等で勧誘を行う場合には、そのようなところから意向の確認をしていただけると、トラブルの防止につながるのかなと思っております。

私が相談を受けていて、とても感じるのは、消費者側がいかに理解していないかということと、理解していないということを保険会社さんですとか銀行さんがどれだけ認識しているのかというところに、大きな隔たりを感じているように思っております。もし、よろしければなのですけれども、意向確認書面に関する消費者の認識というのはどれくらいあるのかですとか、保険についてどれくらい理解しているのか。先ほど代理店協議会さんのお話でも少しあったと思うのですけれども、ほとんどの方は保険を知らないというお話もあったので、でも保険を知らないのにもかかわらず、保険は契約してしまっているという現状が、今あるのではないかと思っておりまして、そこのあたりの部分について、契約の時点とは少し離れたところで、一般的な広く消費者の方々に保険の理解度ですとか、意向確認書面は知っていますか、こういうルールで保険販売勧誘がなされていることを知っていますかというアンケート等をとられてみたら、どれくらい溝があるのかということもわかるのかなと思っております。

最後に、銀行窓販のトラブル、今後販売も増えることによって、トラブルが増えてしまうということは予測されるところではあるのですけれども、どうやったらトラブルが減るかというところで、我々が今、考えているところをお伝えできればと思っております。1つは、無理なニーズの発掘というのは、できればしないほうがトラブルが減るのかなと。よく銀行さんですとか、保険会社さん、潜在的なニーズを発掘して販売勧誘をお勧めしていますということなのですけれども、高齢者の方がそこまでほんとうにニーズがあるのかというところは、私ども非常に疑問に思っているところでございまして、保険会社さんですとか銀行さんが売りたい商品が、さも消費者のニーズがあるかのように誘導されて販売勧誘されてしまっているというような印象を受けておりまして、そこがほんとうにニーズがあるのか、それとも、そうではないのかというところで、無理なニーズ、必要のないようなものであるということならば売らないというような形。それの適切な判断、認識というのをしていただければと思っております。

あと、商品の簡素化ということで、やはり複雑な商品ですとトラブルが起こりやすいという現状はあるのかなと思っております。特に変額個人年金保険ですとか、保険の性質だけではなくて、投資性もあるということとなると、高齢者の方はほとんどそれが十分には理解できていないのかなという印象は受けています。

あとは、今までお話もあったかとは思うのですけれども、直接的な販売責任というところが、今、銀行さんにはなくて、そこがトラブルのなかなか解決につながらない1つになっているのかなと思っております。あっせんをする際なのですけれども、契約当事者になっておられます保険会社さんにご連絡して、お話し合いをさせていただくことが多いのですけれども、実際に販売勧誘をされているわけではないので、そこでうまくやりとりができない。あとは保険会社さんと銀行さんとの関係もあるということで、もちろん丁寧には対応してくださっているのですけれども、どういう事実関係があったのかというところがスムーズにできていないというところはあるのかなと。

なので、販売責任を明確化していただいて、どういう勧誘が行われたのかということを、より適切に確認することができれば、それが反射的に慎重な勧誘ですとか、適切な勧誘にもつながるかとは思うので、そういったところが進んでいければと考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

後藤委員。

○後藤委員

貴重なご報告を、どうもありがとうございました。本日の前半にありました議論に関連して、お伺いをしたいのですけれども、乗合代理店の中には、今非常に問題があるとおっしゃっておられました銀行のほかにも、いわゆる来店型の保険ショップのようなものですとか、比較サイトなど、色々なものがあり、それぞれいろいろ問題は違い得ると思われます。

例えば、今おっしゃっておられた銀行が高齢者に信頼されているという問題は、おそらく来店型保険ショップについては、保険ショップが銀行と同じほど信頼されているという事情はあまりないように思いますので、同じ問題は多分生じないであろうと思います。

その一方で、これらの来店型保険ショップなどは、先ほどの堀井様のご説明にもありましたように、マーケットにはそれなりに受け入れられているということで、消費者にとって有益なサービスを提供しているという側面がありますので、そこに対して何かの規制をかけるというときには、今現在どういった弊害が実際に起きているのかということを考慮した上で、それに見合った形での規制をして、その有益なサービスが殺されないようにする必要があると感じております。

その関係でご質問なのですけれども、今回の議論の前半で取り上げられておりましたような来店型の保険ショップですとか、いわゆる保険の比較サイト、またコールセンターなどについて、銀行窓販の場合に高齢者が預金と間違ってしまったというような、それは銀行窓販に特徴的なトラブルかと思うのですが、これらの新しい販売チャネルに何か特殊な紛争というものがあるのか、そこにそれまでの伝統的な営業職員チャネルとやはり違った何か問題があるのか、まだ新しく始まったばかりのチャネルですので、まだ件数としてはそんなにないのだろうなということは薄々わかるのですけれど、もし何か今現在でお感じのことがあればご教示いただければと思います。

○加藤参考人

保木口にかわって、ご説明させていただければと思います。

今ご質問いただきました部分についてなのですが、やはり、まだ新しい販売チャネルということで、そこまで多くの相談が入っていないという印象があるのが1点と、我々で分析できるツールで、代理店さんですとか、募集人さんですとか、そういった乗合代理店さん別の件数というのがなかなか集計ができませんでして、そこまで顕在化していないといいますか、トラブルとしては報告が上がっていないというのが実情です。

その中で少し、全体の相談の中から見たところ、特有のトラブルというものはまだ寄せられていないのかなという印象はありますが、ただ、信用性を問う相談、ほんとうにこの乗合代理店さんと契約して大丈夫だろうかというような不安に関するご相談というものは何件か見受けられております。

○洲崎座長

ほかに。加藤委員。

○加藤委員

今と同趣旨の質問なので、確認までですけれど、生保のところで販売方法40%もということ、大変よくわかりました。ただ、事例をいろいろ挙げていただいたものを、例えば販売方法、今おっしゃっていただいたようにチャネルと密接な特有なものであると思いますので、専属の営業職員のチャネル、あと銀行等の金融機関さん、ある意味、非常に金融庁の監督も違う形で及びますし、設立要件も、非常にある意味、仲立人さんよりも厳しい金融機関、それとあと、いわゆる今日ご説明をいただいたような一般の乗合代理店といわれる3つに分けたとき、今日のご事例というのは銀行であり、もしくは専属チャネルのところの事例だという認識でよろしいでしょうか。

○加藤参考人

そのとおりでございます。まだ乗合代理店さんの苦情というものは、そこまで私どものほうに多くは寄せられていないという現状ではありますが、ただ、一般的なことにはなるのですけれども、市場が大きくなればなるほど、トラブルも増えるということはございますので、トラブルが増えるということであれば、我々としてももう少し分析ですとか、調査等はしていかなければいけないと考えております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

今のお話をお聞かせいただきまして、意向確認書面が免罪符になっているというご発言があったのですけれども、私は免罪符になること自体が悪いことではないとは思うのですが、やはり意向確認書面の実効性ある活用、これは保険会社にとっても大きな課題であると思っております。単に形式的にちょんをつけるとか、署名をするだけではなくて、やはり契約者自身のニーズに合った保険かどうかをきちんと確認できるようなものにする、これは運用方法一つ、気持ち一つによって全然効果は違ってくると思いますので、具体的な処方箋はなかなか難しいところではあるのですけれども、今のご発言で、そういう課題を再認識いたしました。

そういう実効性あるニーズ確認が行われれば、トラブルも当然減りますし、それは保険会社にとっては、いい意味で免罪符として使うことも可能なわけですし、お互いにとってウイン・ウインの話かなと思いました。

それから、銀行にかかる高齢者のトラブル、なかなか難しくて、高齢者は何歳からなのだろうかとか、一般にはいわれるのですけれども、難しい問題があって、しかもこういうトラブルでよく挙がってくるのは、預金と保険を間違えたというすごいベーシックな、悪い言い方をすれば、文字が読めれば間違うはずではないのではないかみたいなものも多くあって、なかなか私自身もこういう問題に対する評価というのは難しいと思っているのですけれども、やはり今おっしゃられた以外にも、例えば高齢者の場合、私でもそうなのですけれども、高齢の父とか母が一人で家にいるときに、よその人が何かを売りつけに来たら、何となく気持ち悪いというか、そういう家族の方からの不信感が根拠になっているようなものもあるのでしょうか。教えていただければと思います。

○保木口参考人

一般的に家庭訪販、訪問販売においては、まさにおっしゃるとおりで、知らない人がいきなりやってきたら気持ち悪いと感じるのです。ただ、この契約においては、よく知っている、信頼している銀行の方がいらっしゃったりするわけです。これまでのおつき合いでは、定期性の元本保証の商品を扱っていて、おつき合いがあった方ですので、その延長上で、むしろ信頼が前提にあって家に上げてしまう。上げてしまうという言い方は変ですね。上がっていただいて、お話を聞くことになる。そういう形ですので、ほかの家庭訪販とは、ちょっと前提が違うように思います。

○加藤参考人

家族の方からのご相談が多いかということなのですけれども、トラブルを知るきっかけとして、家族の方から、これはおかしいんじゃないかというようなご指摘といいますか、当事者の方に話がありまして、そこで消費生活センター等に相談に来るというケースが多くございます。

もちろん家族の方も心配されているのですけれども、当事者の多くは、ご本人さんからご相談に来られるということが印象としてございます。

○錦野委員

どうもありがとうございました。

○洲崎座長

募集文書については次回のワーキングで取り上げることになっておりますので、本日、意向確認書面についていろいろご指摘いただいたところは、それも参考にしながら、次回ご議論させていただければと思います。

それでは、最初の事務局からご説明いただいた資料2に戻らせていただきます。資料2では前半は保険仲立人・乗合代理店に係る規制について、後半は保険募集の範囲・その他の業務のアウトソーシングに係る規制についてご説明いただきました。前半部分の保険仲立人・乗合代理店に係る規制について、保険仲立人については、日本仲立人協会から、それから乗合代理店については代理店協議会からご説明いただきましたが、その説明についてのご質問でも結構でございますので、まずは保険仲立人・乗合代理店に係る規制について、ご質問、議論いただければと思います。

では、水口委員。

○水口委員

ご説明ありがとうございました。消費者の選択志向の高まりを背景にいたしまして、新たな募集形態を含めた、消費者ニーズに合わせた保険サービスの選択肢が広がることが、消費者の利便に資するという側面があると思う一方で、消費者保護の観点から、懸念事項もあるのではないかと考えております。

まず、意見なのですけれども、ただいまの保険代理店協議会さんのプレゼンテーションによりますと、生保の乗合代理店というのは、顧客ニーズに合致した最適な商品の選択肢を提供することを追求し、多くの顧客に中立的な意見が聞けるという認識をされているということで、所属保険代理店の代理人として位置づけられている法制度上のたてつけと異なる立場をとられているようにも聞こえました。

こういった点にかかわるところの諸事象というのが、消費者が正しい理解に基づく適切な判断を行うのに障害となり得るかどうかということを考察するのが妥当ではないかと思います。消費者に誤解を与えないためには、どういう措置をとったらよいかということも考える余地があるのではないかと思います。

それから質問ですが、乗合代理店の課題についてご説明いただきましたが、保険ショップの場合、フランチャイズ、またはそれに類似した方式を用いて店舗網を拡大する事例もあると耳にしたことがあるのですけれども、こうしたことは事実なのでしょうか。

もし、そうであるとしたら、伝統的な代理店における管理体制と異なったケースもあるのではないかという観点から、フランチャイズ方式などを伴う店舗展開に関して、ご認知されている課題と、それに対する措置についてご教示いただきたいと思います。その際に、募集人にかかわるガバナンスなどを含めたご説明をお願いできればと思います。

以上です。

○洲崎座長

それでは2点目のフランチャイズ方式の場合についての水口委員からのご質問について、堀井参考人お願いいたします。

○堀井参考人

今のフランチャイズ方式の件につきましては、現実的にはフランチャイズと標榜している、いわゆる多店舗展開の代理店はございます。そのフランチャイズというものが、いわゆる一般的な流通のフランチャイズというものと同じなのかどうかという話なのですが、基本的には、多分少し違うと思っておりまして、フランチャイジー、いわゆるザーとジーがあるとすれば、ジーのほうは個々の法人の代理店が個別に法人として、いわゆる活動をしているということです。A代理店ならA代理店。

ただ、その屋号を、例えば先ほどでいきますとほけんの窓口グループというふうに、例えば屋号として名乗っているということを、いわゆるフランチャイズという表現をしている、ただ個々のいわゆる保険会社への登録については、別々の代理店というやり方です。ですので、例えばマーケティング、広告宣伝についてはほけんの窓口グループとして広告宣伝を打てば、そこにお客様がやってきやすいということにはなるのですが、保険募集の際には、その個別の保険代理店の名前でもって募集行為を行うということが一般的なフランチャイズの認識としては多いということが、私が捉まえている現状でございます。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

○堀井参考人

答えになっていますか。大丈夫ですか。

○水口委員

わかりました。ありがとうございました。いろいろな形態があるということはわかりましたので、今後、諸観点から、頭の整理をする必要があることは認識させていただきました。ありがとうございます。

○洲崎座長

第1点目についてはご意見ということで……。

○水口委員

ええ、意見です。

○洲崎座長

よろしいですか。特にコメントを伺いたいということではないですか。

○水口委員

ないです。

○洲崎座長

わかりました。

それでは、阿部委員。

○阿部委員

金融庁事務当局に質問です。資料2の5ページの、最初の論点として、保険仲立人がより活発に利用されるようにするためにはどうすべきかという項目がありますが、これについては、保険仲立人をもっと活発に利用すべきであるという政策的な意図があるのでしょうか。また、もう一つはこの中に、より多くの事業者が参入できるようにすべきだというニーズがあるのでしょうか。要するに、制度導入時に想定していたより普及してないから何とかしなくてはいけないということなのでしょうか、あるいはもう少し政策的に活用されるよう積極的に何かしなくてはいけないということなのでしょうか。

○伊野保険企画室長

意図としましては、仲立人がどうかというのはちょっと置いときまして、もともと問題意識としまして、保険であれば保険会社が作る保険商品の中から幅広く、どういう商品がいいのかというのを消費者の方が選んでいただけるような、そういう仕組みをうまく作れないのかというのが金融庁全体として、保険商品に限らず、金融商品について、そういう問題意識は持っております。そういう意味で、消費者の方にそういう立場でアドバイスできる立場の人がうまく育っていけば良いのではないかと思っておりまして、保険でいえば、現在そういう立場というのは仲立人と定義されておりますので、仲立人制度という形でいくのかどうかというのはもちろん、ここでご議論いただくということかと思いますけれども、そういう立場の人がもっと活躍していただけるような場というのがうまく作れないかという問題意識を持っております。その1つとしては、今の仲立人制度がありますので、この仲立人制度がもっと活用されるということもいろいろご検討いただければと、その全体の中の1つという位置付けではないかと思っております。

○後藤委員

先ほど申し上げたことと若干矛盾して聞こえてしまうかもしれませんが、先ほどの水口委員のご発言と同じように、私も、今の来店型保険ショップのような乗合代理店がやられているのは、実質的には中立、公平性を標榜して、お客様に一番いいものを選びますということであり、それは当初、保険仲立人に期待されていた役割に非常に近いと感じております。そうしますと、同じようなことをやっているのに規制の内容が違うということは、やはり規制としてあまり望ましい状態ではないので、何か対処は必要だろうと感じておりまして、例えば、もし中立、公平性を標榜しているのであれば、いわば疑似保険仲立人といいましょうか、少なくとも誠実義務や手数料の開示義務は準用というか、及ぼされてしかるべきではないかなと感じている次第であります。

これは、今の伊野室長のお話につながるかもしれませんけれども、そういった乗合代理店の一部を保険仲立人に寄せていこうとするような側面を持つ話になってくるのかなと思っています。そうすると、そのときに保険仲立人になれと言われてもなれないということがあるとすると問題で、それは先ほど仲立人協会の方からご発言があった参入障壁の話につながっていくのかなとも思うわけでございます。

そこで、それと関連して、保険代理店協議会の堀井様に1点お伺いをしたいところがあるのですけれども、堀井様のご説明の中にもありましたように、目標としておられるのは顧客ニーズに合致した最適なものを売るということで、それはやはり、先ほどの中立性、公平性ということにつながっていくのだろうと思うのですが、そういうことを目的とされておられながら、保険仲立人という形態をとらないのはなぜかということをこの機会にちょっとお伺いをさせていただければと存じます。

○洲崎座長

では、堀井さんに。難しい質問かもしれませんけれども。

○堀井参考人

そうですね。なぜ、仲立人にならないのかという質問ですよね。これはちょっと答えになっているかどうかわからないんですが、我々保険代理店を経営する者は、基本、例えば保険会社に所属していた人間がドロップアウトして独立するケースが流れとして非常に多いわけですね。そのときに、実情としてはその独立をするときに、仲立人になろうか、代理店になろうかと考えてなるというケースというのは極めて過去の事例でいうと多分少なかったと認識しております。ですので、どちらかというと完全に保険会社にいたところから独立をするときに、代理店という選択肢というものが自然に行われてきただけで、そこに仲立人との比較を吟味して、どちらかを選択するということ自体が今までの文化というか、流れとしてはほとんどなかったのではないかということですね。それぐらいしか多分答えが見当たらないというのが現状なんですけれども。

○後藤委員

お答えしにくい質問をしてしまって申しわけありませんでした。大変よくわかったのですが、そうすると、保険仲立人に対する具体的な規制の中でいいますと、例えば、今おっしゃっておられたような、もともと保険会社におられた方が独立しようとするときに制約になりそうなものとして、一番単純に思いつくのは、4,000万円の保証金を準備するのはちょっと無理だということでして、仲立人協会の方も、この金額は引き下げてもいいのではないかということを批判されていたかと思いますが、他方でいわゆる誠実義務ですとか、手数料の開示義務などの規制は、中立にやっているんだから、もちろん手数料が高いのを売りつけたりなんかしていません、それは言われれば見せますよということで、それは皆様のやっておられるようなビジネスとしては、こういう規制がかかってきても違和感はないということになるでしょうか。

○堀井参考人

それは乗合代理店にそういった義務が課されても問題はないかどうかということですか。

○後藤委員

はい。

○堀井参考人

非常に難しいですね。

○洲崎座長

堀井参考人個人のご意見としてで結構です。

○堀井参考人

それは、ハードル自体があるのは確かですね。例えば、その4,000万を積まないといけないとかというところに対しての抵抗感というのは、乗合代理店を経営するということと比較すると、やはり重たいということで、二の足を踏むケースというのは私も含めて、もちろん独立してすぐの状態であると、なかなか資金がそこまで捻出できないですから、ないのではないかなと思うんですね。あと、我々が、先ほど私がご説明させていただいたような流れのセールスのプロセス、あれをもってして、あれが中立、公正なのかどうかで判断を、何をもってしていただくかという話だと思うんですけれども、どちらかというと、一連の募集プロセスのあり方とかやり方に何か問題があるのか、ないのかと。もし、そこにないのであれば、我々としてはこのままこの売り方、考え方を踏襲していきたいというのが本音でございます。

○後藤委員

先ほど国民生活センターの方のご発言をお伺いすると、今やっておられる売り方で現在問題が生じているわけではないのだろうとは思うのですけれども、来店型の保険ショップですとか、比較サイトとかでは、特定の保険会社の商品だけじゃなくて、あらゆる保険商品を比較した上で、その中であなたに一番いいものをオファーします、それはどこか特定の保険会社の利益のためにやっているのではありませんということを、宣伝とかでうたっておられるような気もするんですね。このような宣伝に対する期待が何らかの形で守られているのであれば、これ以上にすばらしい売り方はないとも感じるわけですけれども、そこがもし裏切られたときに何があるかというのが、規制として何を設けるべきかというお話だと思います。今まで何も問題が起きずにやってこられているのであれば、規制が変わっても対応できるのかなということかと思いますので、現在の売り方を特に何か変えるべきだということを申し上げているわけではないということを念のため付言させていただきます。

○洲崎座長

契約者のニーズに最適な商品を選んで売っていると標榜している以上は、仮に、現実にそうではない売り方をしたときに、契約者に対して損害賠償責任を負うというようなルールが考えられるのではないかということを、おそらく後藤委員は考えておられて、そういうルールになっても大丈夫でしょうかというご質問だったかと思うのですけれども。

○堀井参考人

個人的な見解としては大丈夫かと思います。それは、あくまでも選択をしていただくのは顧客だという認識に常に立っている前提でやっておりますので、ラインナップをお見せして、お客様に選んでいただくということを前提としておりますので、そういう意味では大丈夫だという認識をしています。

○洲崎座長

ありがとうございます。それでは、沖野委員が最初に手を挙げておられましたので。

○沖野委員

申しわけございません。後藤委員のご指摘と問題関心が全く共通しておりますので、続けて教えていただければと思います。

本日のご報告を聞きまして、これは水口委員がおっしゃったことかと思いますけれども、法制度上の位置づけと、実際に携わっておられる方々の認識といいますか、それがかなり違っているように思われまして、逆に、実際にこういうことを行っているという説明を伺ったところからすると、どこが違うのかが必ずしも明瞭ではないように思われまして、それがむしろ規制の内容に反映するべきではないかということにつながっているのかと思います。ただ、その一方で、改めて規制の内容と対比して考えていきますと、1つは消費者なり、顧客との関係で、たとえ1社であっても、顧客のニーズを的確につかんで、最も適合するような商品を選び出す。ただ、選択の幅が「この生保なら生保、損保しかうちはありません」というのと、「数社持っています」というのだとうちの選択の幅からこれだけお選びできますという違いになる。それが仲立ちだということになると、そういう選択の幅の限定がない、そこに違いがあるという理解でいいのか。そうだとすると選択の幅を持っている、その部分についてはきちんと責任を負った上で、その中で最もよいものを提供しますということが誠実義務の規律だとしますと、そのような基本姿勢自体は、法的な立場によって変わってくるというよりは、顧客のためにそれをやっているという限りでは、非常に共通したものになってくるのではないか、誠実義務自体の捉え方があるいは変わってくるのかもしれないと思いました。これは印象だけです。しかしそうは言いながら、例えば適切な表示の点ですが、自分はどういう立場でやっているのかを表示しなければいけないというわけですけれども、その表示が消費者にされることによって、消費者としては何を期待すべきなのか、うちは仲立ちでやっていますという場合と、乗り合いですよという場合とで、消費者としては、ここが決定的に違うんだと、現在の業務の活動を通じて、この理解にかかわってくるんだという点を、実際に活動されている方からすると、ここがまさに両者の形態が違うんですよということを消費者にアピールできる……、アピールしてないのかもしれませんけれども、そういうことを考えたときに、責任のあり方という点が違いではないか。やはり代理店ですと最終的には保険会社がバックアップをして、監督もそうですし、それから最終的な損害賠償等の責任も、これは代理店等ももちろん私法上も責任は必ずかかってくるのであって、全く免責ということはないのですけれども、保険業法上のたてつけとして、保険会社が責任主体としてきっちりおりますということになっていて、逆に言うと、そういうバックアップがあるから信頼してくださいというチャネルになっているのに対して、仲立ちということになるとそこがないので、そこはやはり独自で形成していただかないといけないから、きちんとしたことをやっていただかないといけないし、さらにそこがない以上は、資力の問題はきっちり確保していただかないといけないということにもつながってくると思うんですけれども。現在の活動からして何が違いであると理解したらいいのかという点なのですが、特に消費者にとってはこここそが、このチャネルの特徴でありここが違うんですと強調していただくことがあれは、補足していただければと思います。それが第1点です。

もう一つは、兼営解禁のところです。兼営解禁ということが、仲立ちという形でのチャネルが非常に望ましいチャネルの1つであり、その健全な発展のためには人材の供給という点から、保険会社の事情もよくわかった方が担い手となりうるよう、兼営解禁が望まれるとのことですけれども、これは現在、逆に乗合代理店の立場からするとどのように評価されるのか。つまり、両者別チャネルであるということで、きっちりした特色を持っているとすると、兼営されると逆に違いが不鮮明になって非常にわかりにくいということにもなりかねない。そこはファイアウオールをきちんと立てるということだと思うのですけれども、代理店の立場から望ましいことと評価されるのかどうかをお聞かせ願えればと思います。

あと、すみません、2点あります。さっと言います。

1つは報酬の関係です。報酬の開示が言われたのですが、今度は逆に、仲立人の場合に、本来顧客からの委託なのだから手数料を顧客からとれるようにというのは、もっともなことのように思われるのですけれども、現在は手数料をとれないということになっているとのお話で、では仲立ちの場合に報酬というのはどこから来ているんだろうかということです。先ほどのチャートから見ると、その報酬は手数料という名目で保険会社から来ているようにも見えるんですけれども、それで中立、公正性の担保というのはどういう形で図られているんだろうか、利益相反はないんだろうか。さらにもう一つ、サービスの提供として非常に重要だと思いましたのは、締結過程だけではなくて、保険請求のときのバックアップというのは一つのサービスとして大きいと思うんですが、そうすると、その部分の報酬というのがあると思うんですけれども、その報酬関係は一体どうなっていて、そしてそれが、どれが望ましいやり方だと考えておられるのか。

あと1つ、最後の点です。ADRに関して、苦情が少ないということを仲立ちの関係で説明していただいたんですけれども、他方でご説明を聞きますと、現在の件数、それから対象となる顧客が大企業等であるということになりますと、これはやはり苦情も少ないし、ADRへ行く前に当事者間で解決するのではないかという感じもいたしますものですから、ほんとうに、消費者を相手としたときに十全だろうかというのが気になるところです。これは感想です。

長くなってすみません。以上です。

○洲崎座長

ありがとうございます。第1点の仲立人と乗合代理店の違いについて、これは仲立人協会からもう一度説明していただくということでよろしいですか。

○沖野委員

はい。いずれからでも適切な方からお願いできればと。

○洲崎座長

よろしゅうございますか、葛石様。

○葛石オブザーバー

以前ちょっとご回答させていただき……、ちょっと2番目の質問が定かではなかったので、申しわけない、後でちょっとご確認……。

○洲崎座長

兼営の問題については、むしろ代理店協議会からということでしたか……。

○沖野委員

はい、それについては代理店の方からお伺いできればと思います。

○洲崎座長

乗合代理店と違って、仲立人はどういう利便を契約者に提供できるのかについてお話しいただければ、と思います。

○葛石オブザーバー

なるほど、わかりました。

まず1番目は、仲立人と代理店がどのぐらい違うのかという1つの業務フローのお話であったと思うんですけれども、まず、先ほどの説明、2つ比較していただきますと、まずはお客さんの接触、いわゆる委託を受けたのか、あるいは販売目的で接触しているのかという1つの入り口のところの接点。2つ目は、商品情報をお客様に提供するときの、どういうようなやり方の違いがあるのかという問題。それから先ほど言いましたように、ご確認も含めて、最終的にお客様がどういう商品をお買いになったのかという3点です。これは今のビジネスモデル的にお話ししますと、仲立人も基本的に先ほどの代理店のご説明でも全く同じような形態をとっているということでございます。

実は、仲立人はご存じのように、平成7年にできたわけでございますけれども、当時、法規制が先を走りました関係で、法規制に合わせたようなビジネスモデルというのを仲立人がつくったわけでございます。例えば指名状を取りつけるとか、ベストアドバイス義務をどの時点で働かせるのかとか、結約書というのは何物だというようなことを、その当時、新しく始まったわけですから、そのコンプライアンスをどう適合させたビジネスにするかということが問題であったわけです。

そこから始まったことは、先ほどのご質問にありましたように、消費者さんのほうからも言われていましたように、販売責任という言葉があると思うんですが、保険会社さんは、つくられた商品に対しては、非常に問題のない商品をいろいろな形で検討されておるわけです。その商品、いわゆる保険会社がつくる商品というのは何の問題もないものです、もともと。それを代理店が売るのも、仲立人が情報として提供することにおいても、いわゆる媒介者としての販売責任がどうかということになるんだということが、今議論されていることかなと思っております。

ですから、売り方が問題であって、商品が問題でないわけですから、別に代理店さんだから、保険会社の商品を扱っているから信用性が高いとか低いとか、仲立人がどうだとかいう話では、ちょっと議論が違うように思っております。

それから、先ほど利益といいますか、仲立人を使うメリットは何かということでございますが、基本的には信頼性以外の何物でもないわけでございます。要は、その法制度があるからこそ、先ほど、お客様とのコンタクトをとる上において、そこの信頼性が法規制としてあるものですから、仲立人は例えば手数料の多寡において、この商品を売ろうということはできないということですから、そういう意味合いの中で、仲立人制度で例えば保険販売するということにおいて、ちゅうちょされるか方も結構いらっしゃると思っております。

3つ目、手数料の問題でございますけれども、手数料については、実は今現在は営業保険料の中に手数料が入っております。その営業保険料の中に入った手数料を保険会社から受領するということが、今、法律上そう定まっておりますので、そういうことにやっているのが今の実情でございます。

ただ、代理店の場合はコミッションといいます。仲立人の場合はブローカレッジという言葉を使っておりまして、あくまでも報酬として得るわけでございますが、本来の考え方からすると、仲立人はお客様の委託者でございますから、それであればお客様からいただくというのが大原則で、今少し、そこのところの法律がそう定まっているというところが問題だと申し上げた次第でございます。

4番目、ADRでございますけれども、現実には先ほど言いました仲立人が、非常にコンプライアンスがかかっております関係で、売り込みをする、販売をするということにおいて、売りたいものを売るというわけにはいかないんですね、仲立人は。要するに、自分の知り得た情報の中で、一番最適なものをお客さんに勧めなくてはいけないという、いわゆる誠実義務がかかっているわけです。それをまともに実行いたしますと、要するに、例えばAという保険会社が「この商品を売ってください」といって仲立人に来たとしても、それをもって今回はプレミアムの手数料を払いますから頑張ってくださいと言われても、仲立人はそれに乗ることはできないということになります。そういうことから考えますと、いわゆるリテールの分野にちゅうちょしたということは事実なんです。そうしますと、ADRの件数は少ないじゃないかとおっしゃるのは実際にそうでございますが、現実の中では、いわゆるリテール部門の数字もそこそこはございまして、今現状、オンブズマンにお願いをしておりますけれども、いわゆる件数そのものの絶対量が少ないと言われることは事実でございますが、対応としてはいわゆるリテール分野もたくさんあるということだけはご認識いただきたいと思います。

以上でございます。

○洲崎座長

私から補足をさせていただきますと、現在の保険業法のルールでは、保険仲立人の定義は、保険会社から委託され、あるいは雇用されて保険募集を行うのではない形で保険契約の締結の媒介をするものというように、いわば裏側から定義しておりますので、保険契約者と保険仲立人の間の法律関係は、実ははっきりしていないと思います。しかし、葛石様から最初のプレゼンテーションでご説明がありましたように、実際には必ず顧客から指名状をとった上で媒介をしていますので、現実には委託契約は既に顧客との間で成立している。したがって、善管注意義務を顧客に対して負っているといえます。また、そのような義務を負うことについて、特に問題はないというのが現在の保険業法のルールだと思います。

これに対して、代理店の場合は少なくとも保険会社との関係で委託契約があり、保険会社に対する関係で善管注意義務を負っていますので、顧客に対して「私はあなたのために最適な商品を売りますよ」と言って、顧客から委託を受けてしまうということができるかどうかについては、保険業法上はっきりしないし、むしろそれはできないと考えられている可能性があると思います。そうすると現在のように、そういうことができないはずなのに顧客のためにやっていますよということを標榜して売るのはいかがなものかという議論が起こってきますし、先ほど後藤委員が言われたように、今後のルールとして、顧客のために売りますよということを標榜して売る場合には、むしろ法律で特別な義務を、善管注意義務なのか、誠実義務なのかわかりませんが、そのような特別な義務を負わせるというルールを置くことも、あるいは将来的には考えられるかもしれないと、現状はそういうところかなと思います。

それから、手数料を顧客から取れないということが、法律で定められているとありましたが、法律では定められていなくて、監督指針でそういうことが書いてあるということだと思います。ただ、その監督指針では確かに顧客から取ってはいけないと書いてあるのですが、それが、およそ顧客から取ってはいけないということを言っているのか、それとも顧客と手数料について事前に特に合意していなかったにもかかわらず、成約した後で顧客に請求することができないということを言っているだけなのか、私自身はむしろ後者ではないかと理解しております。このように、当初から顧客と、つまり顧客から指名状をもらうときに、この契約に関しては報酬はあなたからもらいますよと顧客と合意することは、現行法のもとでもできるという解釈もあり得る、これは私個人の考え方ですけれども、そういう考え方はあり得る。監督指針で書いてあるのは顧客から取れないということだけなので、それがあらゆる場合に一切取れないという趣旨なのかどうかはよくわからないと思います。

それからもう1点、顧客と委託関係にありながら、報酬を保険会社からもらうというのは、利益相反ではないかというご指摘ですが、まさにこれはそのとおりです。ただ、保険仲立人は、世界的に見てそういう形で活動しておりますので、顧客に対して善管注意義務を負いながら報酬は保険会社から受け取るという世界的な慣行に、日本の保険仲立人も従っているということだと思います。ただ、そういう利益相反状態にあるということから、手数料の開示義務が保険仲立人には課されていると、説明することができるのではないかと思います。

○瀧下オブザーバー

今の座長のご発言に関して、手数料の関係なんですけれども、ブローカーは、古典的には保険手配したときに保険料の一定割合をコミッションとしてもらう。ただ、保険金請求に関しては、保険金請求の手続を行う場合は、回収した保険金の一定割合、0.5%とか1%をもらうというのが古典的なビジネスモデルです。

ところが、最近は保険手配に関しては、コミッション、おっしゃるように利益相反なものですから、基本的にはフィーベースということで一定額、最初に合意して、それから保険手配を行うのが一般的とブローカーから聞いております。

○洲崎座長

顧客から?

○瀧下オブザーバー

ええ。顧客から一定のフィー。それはお客からもらう場合は、フィーとかわりないようになりますので、フィーベースがほとんどだと聞いております。

○洲崎座長

顧客と最初に合意すれば、顧客から受け取ることもできる。現実に、そういう例も最近ではあるということですか。

○瀧下オブザーバー

が多いと。

○洲崎座長

多いのですか。むしろ。

○瀧下オブザーバー

アメリカで二、三年前に起きたスキャンダルというのがありまして、それにもかかわらず保険会社から裏でコミッションもらっていたというのが発覚して大変な騒ぎになったと。コンティンジェント・コミッションというのが話題になりました。

○洲崎座長

ありがとうございます。沖野委員からもう1点ご質問があった点についてはいかがでしょう。兼営に関して、代理店の立場から兼営が認められるかどうかについて、何かお考えはあるか。現状では、兼営は認められませんが、仮に将来認められることになったとした場合に、何か問題点等はあるか。代理店協会にとって何か問題があるかというご質問だったかと思いますけれども。

○堀井参考人

いや、兼営解禁に対する異論はあるかないかというと、今の私の感想からすると特にありません。ただ、それでやる意味とかメリットがあるかどうかという意思決定は、もちろんそれは吟味した上での、多分、取り組みだとは思うんですけれども、特段それが、今、兼営になったからといって、我々が何かそれを反対するものは、特段何もないと認識をしております。

○洲崎座長

ありがとうございます。

○瀧下オブザーバー

すいません、押しているところ、すいません。それに関しても情報提供で、主に個人向けの外国のブローカーですけれども、お客様から委託を受けるんですけれども、保険会社ともあらかじめ業務の、保険の引き受け契約を結んでおりまして、それに基づいてブローカーが双方代理の格好で、ブローカーの名で引き受けております。これをバインディングオーソリティーということで、個人向けの契約の場合は、まずこういう形態でブローカーが保険の契約を引き受けることになっています。

○洲崎座長

それは両方?、保険会社からも委託をされるということですか。

○瀧下オブザーバー

はい、保険会社との間で業務委託契約を受けて、こういう保険について、こういう権限を与えると。

○洲崎座長

ただ、その業務委託契約というのは、それは善管注意義務を発生させるような、そういう業務委託契約なのか、それとも単なる報酬についての合意なのか。報酬についての合意というのは、現在の日本の保険仲立人も、保険会社との間でしていると思いますが。それは業務……。

○葛石オブザーバー

業務契約書です。

○洲崎座長

業務契約書というのが締結されているので。あるいは、それだとすると……。

○瀧下オブザーバー

それの中に、保険の引き受けの具体的な権限も与えていると。保険会社からブローカーに。

○洲崎座長

保険会社を代理しているという意味ですか。

○瀧下オブザーバー

はい。代理して引き受けてよろしいと……。

○洲崎座長

そうですか。そうだとすると、日本の保険仲立人と明らかに違う。

○瀧下オブザーバー

日本も双方代理が可能になりましたから、そういう方法でブローカーがブローカーとして契約することは可能。

○洲崎座長

双方代理が可能だからといって、保険仲立人は保険会社からは委託は……。

○瀧下オブザーバー

民法上可能となったと。民法上、かつては無効ですけれども、現在は同意があれば双方代理が可能……。

○洲崎座長

いや、保険業法上はできないと思いますので。

○瀧下オブザーバー

業法上はできないですね。かつては民法上も無効でしたから、一切できなかったんですけれども。

○沖野委員

民法上と言われましたものですから、派生的な情報提供です。多分民法108条のことをおっしゃっており、かつ2004年の現代語化の際に、本人の許諾があれば可能であることが明文化されたことをおっしゃっているかと思います。それ以前からも解釈としては、本人の利益のためですから、本人がいいと言うのならばそれは構わないと解されていたと思います。たとえば、契約当事者の両方ともが同じ司法書士に委託するなどはそれ以前からあり得、認められていたと思いますので。ただ、明文化されたということかと……。

○瀧下オブザーバー

失礼しました。

○沖野委員

時間をとりましてすみません。

○洲崎座長

どうもありがとうございます。今日は非常に盛りだくさんの内容で、まだまだお話しいただきたい方もいらっしゃるかと思いますが、もう12時も過ぎてしまいましたので、どういたしましょうか。次回回しということにいたしましょうか。特に、資料2の後半の問題については全くご質問、ご意見をいただけませんでしたので、この問題は引き続き次回に検討させていただきたいと思います。

本日ご議論いただいた項目については、また論点を整理した上で、次回以降引き続き議論をしていくということにさせていただきたいと思います。

次回は、今日の積み残し部分とともに、新たに利用者目線に立って必要な情報提供をする保険募集のあり方について議論をしていきたいと思います。

本日は、司会の不手際で申しわけございませんでした。以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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