金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第8回)議事録

1.日時:

平成24年12月21日(金曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第8回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、田島委員、錦野委員がご欠席となっております。

それでは、議事に移らせていただきます。

本日は、保険募集・販売ルールのあり方に係る議題のうち、第5回のワーキング・グループにおいて議論を行いました、「保険募集の範囲」及びこれに関する課題について、論点の整理を含めた議論をしていきたいと思います。

それでは、本日の議題に関しまして、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料のご説明をいたします。資料1をごらんいただければと存じます。

まず、1ページでございます。募集規制の及ぶ範囲についてということで、第4回のワーキング・グループに出しました資料を再度載せております。保険募集は法令上、保険契約の締結の代理又は媒介を行うこととされております。ただ、法令上、募集の範囲について具体的な規定は設けられておりません。監督指針において、少なくとも以下のいずれかの業務を行う者については、登録等が必要であるとされておりまして、その内容としまして、保険契約の締結の勧誘、勧誘を目的とした保険商品の内容説明、保険契約の申込みの受領といったものが定められております。

登録の要否につきましては、一連の行為の中で当該行為の位置付けを踏まえた上で、総合的に判断する必要がありますが、例えば、次に掲げる行為のみを行う者は、基本的に上記登録等は不要であるとされております。具体的には、商品案内チラシの単なる配布ですとか、事務的な連絡の受付や事務手続等についての説明、一般的な保険商品の仕組み、活用法等についての説明といったものだけでは登録は不要ということにされております。

2ページでございます。保険募集の範囲に係る課題についてでございますが、見込み客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集プロセスのうち、必ずしも保険募集の定義に該当することが明らかでない行為について、保険募集人以外の者が行うケースが増加してきております。保険契約の締結に至るまでには、必ず募集人資格を有する者による商品説明が行われますので、こうしたケースの全てについて問題が生じているわけではございません。

一方、保険募集人以外の者によって、特定の保険商品について誤った説明が行われた場合など、続いて行われる保険募集人による募集行為における瑕疵の治癒が難しい事態が発生するおそれというものは存在しております。

現在の募集行為規制は、広義の保険募集プロセスが複数の主体によって分担されることによって生じる、このような課題に十分に対応できるものとなっていないのではないかという問題意識があります。

3ページでございます。3ページ、4ページで、これまでいただきました委員の皆様方のご発言をまとめさせていただいております。まず(1)として問題意識というカテゴリでまとめさせていただきました。ニーズ喚起のプロセスで顧客側にバイアスや誤認が生じてしまうと、後々の商品選択にたいへん大きな影響が出る。正規の保険募集人から、その後説明を受けたとしても、もう分かっているからいいよ、これ以上聞きたくはないといったことで、その説明が顧客の頭の中に入らずに保険契約に至ることはある。

こうした問題意識を前提に、募集人に至る前の段階でかなり方向性が決まってしまうような販売方法が普及しているのであれば、今まで募集として整理されていた行為に至る前のものについてどういう規制があるべきか検討する必要がある。

顧客誘導に関しては、顧客のニーズ喚起にどの程度まで関わっているか、顧客の判断にバイアスを与えていないかを見て判断すべき。販売に応じて対価を得ている場合には、商品の販売プロセスの一翼を担っていると考えられるので、規制が必要なケースがあるのではないかといった意見の一方で、募集ではないと常識的には考えられるものの、購買行動に影響を与えるという意味では募集に関連する行為にまで、保険業法における募集という規制の網をかけるというのは行き過ぎではないか、といったご意見もいただきました。

次に、「募集」の範囲についてでございますが、保険商品の内容の説明をしているかどうか。保険商品の内容の説明には一定の能力が必要なので、登録をしている募集人が行う必要がある。また、保険会社への紹介・誘導のようなものがあるかどうか。例えば雑誌で保険商品の内容の説明をしていても、何ら保険会社に誘導しなければ、保険募集ではないと思う。この2つの大きな要素を考えれば解決できると考えているというご意見。これに加えて、無登録募集かどうかの区別を行為類型のみから行うのは困難ではないか。合理的な通常の手数料を超えた特別の手数料の提供を受けるなど、お金の流れも加味したほうがよいのではないか。

特定の保険契約の締結に結びつけることへの明らかなインセンティブとなり得る成約比例報酬を保険会社などから受領していることに主に焦点を当てて、保険募集への該当性について総合的に判断するのが適切ではないか、といったご意見をいただきました。

次に、4ページでございます。新たな類型に対する規制についてでございます。募集に該当しない一定の行為についても何らかのルールが必要との考え方として、保険募集の網を広げても、境目やグレーゾーンで潜脱行為が出てくるので、保険募集の前段階での保険商品の情報提供や説明等の行為に対して、募集規制よりも緩やかな規制を導入してはどうか。契約概要や注意喚起情報の適切な説明が募集の中核。商品選択に対して影響する全てに網をかけるのは行き過ぎ。保険募集とは違う枠組みで誤解を与える情報提供を禁止してはどうか。保険募集の概念を拡張して、比較サイト、紹介人等の行為に業法の募集人に対する規律を及ぼすことには問題がある。業として見込客を募集資格者に紹介する者を紹介人として規制し、商品の一般的な情報提供、比較情報の提供は認め、具体的な商品の提案は禁止するといったルールを設けてはどうか。

募集の範囲の問題は、道筋をつけるとか誘導するとかというレベルでは非常に問題だと思うが、商品の説明をするとか、契約締結の行為を行うという募集の本筋の話と、多少レベル感が違う。ただし、道筋をつける最初に間違ってしまうと不適切な商品を選択することになるので、目に余る誘導行為については何らかの手を打つのがよい。

これに対しましては、例えば、成功報酬型広告先で説明されているからといって、代理店が説明を行わずに契約をしたら、それは代理店の落ち度。代理店や保険会社できちんと説明しているかどうかの問題ではないか。紹介者を規制し、比較情報について保険業法300条1項6号と同様の水準を求めた場合、顧客へ比較情報の提供が少なくなるのではないか。また、手数料をもらって顧客に対していい会社を紹介することは、顧客利便に合致する面もあるが、紹介行為一般について規制をかけることにより、金融機関等におけるそうした業務にブレーキをかけることにならないか。

また、一見公平中立的な情報を提供しているように見せかけ、裏で保険会社等とお金のやりとりがあるときに問題となる。お金のやりとりは保険会社あるいは保険募集人との間でなされるので、そちら側から監督の仕方を考えることもできるといったご意見もいただきました。

以上を踏まえまして、5ページ以下で募集規制の及ぶ範囲についての論点について整理をさせていただきました。まず基本的な認識でございますが、典型的な広義の保険募集プロセスは、見込み客の発掘からニーズ把握、具体的な保険商品の推奨・説明、意向確認、契約成立によって構成されております。近年、この広義の保険募集プロセスの一部のみを行った上で、顧客を保険募集人につなぐ行為が増加しております。広義の保険募集プロセスの一部の行為であっても、例えば、誤った商品説明が行われる場合など、不適切な方法によって行われた場合には、保険募集人が事後的に適切な商品説明等の募集行為を行ったとしても、当該瑕疵の治癒が困難となるおそれがあるため、保険募集人による顧客アプローチの前段階において行われる行為についても、保険契約者等の保護の観点から、一定のルールに基づいて行われる必要があるものが存在します。

次に、保険募集の範囲についてでございます。現行の監督指針においては、保険契約の締結の勧誘や勧誘を目的とした商品説明は、保険募集に該当すると例示されております。一方で、いわゆる比較サイトや紹介行為等の中には保険商品の説明を行っているものもあるが、必ずしも保険契約の締結の勧誘や勧誘を目的とした商品説明かどうかが不明確な場合もあります。

そこで問題となるのは、一連の広義の保険募集プロセスの一環として行われる行為のうち、保険募集人が募集行為を行う際に、顧客が正しく商品理解をすること等の妨げになるおそれがある行為など、当該行為に問題があった場合に保険募集人による募集行為を通じた当該瑕疵の治癒が困難と考えられるものであります。

以上を踏まえますと、「募集行為」として位置づけられるメルクマールとしては、次のマル1及びマル2が考えられますが、このほかに考慮すべき事情があるのかないのかといったところをご議論いただければと存じます。

まず1つ目でございますが、保険会社または保険募集人等からの通常支払われる広告費相当額を超えた報酬等を受け取るなど、保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があること。下の注1にございますが、通常支払われる広告費相当額を超えた報酬等といったもののほかにも、保険会社や保険募集人と資本関係等を有する場合なども、一体性・連続性を推測させる事情と考えられるのではないかと思われます。

次に2つ目でございますが、具体的な保険商品の推奨・説明を行うものという、この2つが考えられます。まず1つ目の報酬等の関係でいきますと、マル1の括弧に書いてございますが、保険募集人が行う募集行為との一体性・連続性の観点ということで、報酬の受領などにより過度・不適切な勧誘・推奨がなされる可能性が高まることを考慮したものでございます。

2つ目の、保険商品の推奨・説明ということにつきましては、募集規制を一定の資質を有する者が行う必要がある行為に限定する観点でありまして、資格を有しない者による不適切な推奨・説明が行われますと、保険募集人による保険商品等の説明の理解を困難にするおそれがあるといったことを考慮したものと言えると考えております。

なお、注2にございますが、募集行為に該当する場合には、前回ご議論いただいた新たな行為規制を導入しますと、保険募集プロセス全体に対応した義務の対象となりますが、例えば、共同募集とすることにより、義務の履行に関して、共同して募集する保険募集人と適切な役割分担を行うことができるのではないかと考えています。

次に、6ページでございます。6ページは紹介行為の規制についてでございます。上記に加えまして、広義の保険募集プロセス全般のうち、募集行為に該当しないいわゆる比較サイトや紹介行為等について、新たに広く規制を及ぼすことについてどう考えるかという論点でございます。

紹介行為という新しいカテゴリを設けて、幅広く一定の義務を課す考え方が、1つの考え方でございます。この場合、例えば以下のような点について、考え方をまとめていく必要があるかと考えております。1つは、仮に規制を及ぼす場合にはその範囲を定める必要がございますが、どのようなメルクマールが考えられるのか。また、当該範囲と募集規制の範囲の境界線については、先ほど整理したものについて影響があるのかどうかといったことが1つの論点。2つ目としまして、保険募集人については、極めて多数の者が存在することや、その業務の実態を踏まえ、保険会社による管理・指導によって当局による監督を補完することにより、監督事務の効率性を高めておりますが、新しい規制対象については、どのような監督体制が考えられるのか。

このほかにもいろいろ論点があろうかと思いますが、そういった点について考え方を整理する必要があろうかと考えております。

次に、保険募集人に対しても体制整備義務及びこれに基づく委託先管理責任を導入することにより、不適切な紹介行為等を排除する考え方でございます。下の注3にございますが、保険募集人に対して、後述の体制整備義務やそれに基づく委託先管理責任を導入することにより、例えば、委託先が募集行為に該当することを行っていないか等を確認することや、顧客を害するような不適切な紹介行為を行っている業者等からの紹介を受けないよう、募集人に求めることが考えられます。

これは現行の規制体系をもとに、保険募集人を通じて紹介行為に対して間接的に一定の規律づけを行おうとするものと位置付けられると考えられます。なお、紹介行為という新しいカテゴリを設けることと、募集人を通じた一定の規律を導入するというものは、両者は必ずしも対立するものではなく、ともに考えていくということもあり得るかと思われます。

次に、7ページでございます。参考として、第4回のワーキング・グループにおいて事務局説明資料で紹介いたしました事例について、上記のメルクマールに照らせばどうなるのかということを少し整理をさせていただきました。

資料3がございますので、そちらもごらんになりながらお聞きいただければと思います。まず、事例(1)は資料3の3ページにございます事例です。事例(1)としまして、保険募集人でない事業者が、対価を得て、店頭に商品案内チラシを備え置く行為でございます。具体的な保険商品の推奨・説明を行わずに、チラシを置くことに対する対価が設置場所を提供する対価に留まるのであれば、要件のマル1マル2、いずれにも該当いたしませんので、引き続き募集行為には該当しないという整理になると考えられます。

注4にございますが、ただし、事業者が保険ニーズの発掘、商品の主要な内容の説明又は申込みの受領を行い、保険会社・保険募集人から報酬を受け取っているというようなことがありますと、要件のマル1マル2のいずれにも該当いたしますので、募集行為に該当するということになろうかと思われます。

次に事例(2)、4ページの事例でございます。比較サイトが、閲覧者を保険会社ないしは保険代理店のホームページ等に誘導する行為のケースです。非募集人が運営する比較サイト、保険料の見積もりに誘導する機能のみを有する比較サイトにつきましては、保険会社から通常の公告料を超える対価を得て、具体的な商品内容や推奨文言を含む掲示を行っているというような場合には、要件のマル1マル2のいずれにも該当いたしますので、募集行為に該当する可能性が高いというような考え方の整理になるかと考えております。

(2)の類似例としまして、顧客から保険に関するニーズ等を聞き取って、ホームページなどで入力をしてもらうような場合も含みますが、ニーズを聞き取って、特定の保険会社又は募集人に当該顧客を紹介して、保険会社又は募集人から紹介手数料を受け取る行為といったものがございます。これについては、具体的な商品説明や推奨等を行っていないということであれば、要件のマル2を満たしませんので、募集行為には該当しないという整理になるかと考えます。

次に、5ページの事例(3)でございます。コンサルティングを実施し、顧客が保険加入を希望した場合に、提携代理店へ紹介し、保険会社等から対価を得る行為ということで、FPの方がコンサルティングの中で保険も含めたプランニングをして、保険部分について募集人につなぐような場合が該当するかと存じます。これはコンサルティングを行う場合において、具体的な商品説明や推奨等を行って、対価を得て顧客を募集人につなぐといったようなケースは、マル1マル2の要件いずれにも該当いたしますので、募集行為に該当する可能性が高いのではないかと考えられます。

以上が、具体的事例に当てはめたものの例でございます。

次に、資料1の8ページに移らせていただきます。保険募集に該当しない、その他の業務のアウトソーシングに係る規制についてでございます。概要といたしまして、法令上は委託業務が保険募集に該当しない限り、第三者への業務委託を行うことについて制限は設けられておりません。こうした中、保険会社のみならず、保険募集人が一般的な業務をアウトソーシングするケースが増加しております。アウトソーシングの活用が拡がった結果、アウトソーシング先の業務水準が保険募集のプロセスに与える影響が増加してきているという認識をしております。

こうした実態も踏まえまして、下の括弧にございますが、保険会社については、業務委託先管理責任が設けられておりまして、また、行政による業務委託先への報告徴求や立入検査権限が設けられております。

上2つの丸に戻りますが、一方、保険募集人に対しては業務委託先管理責任が設けられておらず、業務委託先において問題が発生した場合の保険募集人の保険業法上の責任は曖昧なものとなっております。また、行政による委託先への報告徴求や立入検査権限も規定されていないことから、業務委託先において問題が発生した場合の実態の把握にも限界が存在しております。

9ページの下の米印のほうをごらんいただければと思いますが、保険会社における委託先管理責任についての内閣府令でございます。53条の11というのが載っておりますが、保険会社は業務を第三者に委託する場合、次に掲げる措置を講じなければならないとなっておりまして、一号で、業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる能力を有する者に委託するための措置。二号で、業務の実施状況を定期的に又は必要に応じて確認する。また検証し、受託者に対する必要かつ適切な監督等を行うための措置をとる必要があるということ。五号で、必要がある場合には、契約の変更または解除ができるようにしなければならないといったことが、保険会社については定められております。

8ページに戻っていただきまして、(2)のいわゆる委託型募集人についてでございます。保険代理店の使用人は、生命保険募集人については特段の規定は存在しませんが、損害保険募集人の使用人については、監督指針において要件が明示されております。かつては、代理店と雇用関係を有する者に限られていましたが、平成12年度の規制緩和要望において、派遣社員についても認められるようにして欲しいとの要望があったことを受けまして、代理店との雇用関係は要件から削除されております。

使用人の要件としまして、9ページ米印の1つ目をごらんください。損保代理店の使用人届出については、監督指針において次のように規定されております。保険募集に従事する役員又は使用人とは、代理店の事務所に勤務している、所定の教育を受け、代理店の管理のもとで保険募集を行う者とされております。

同じく9ページの上の丸でございます。その後、生命保険募集人、損害保険募集人を問わず、代理店と雇用関係がない者のうち、当初想定されていた派遣社員以外の者が募集人の使用人として位置付けられるケースが見られるようになっております。

一方、保険募集人が業務委託契約に基づき、募集行為に該当する行為を第三者に再委託することは、保険会社が同一グループ内の保険会社を通じて、当該グループ内保険会社の保険募集人に再委託を行う場合を除いて禁止されております。

この具体的な例としまして、11ページ参考1、いわゆる「委託型募集人」の主な例となっておりますのをごらんください。事例1につきましては、保険会社が保険代理店と代理店委託契約を結んでおりますが、その使用人ということで、委託関係にある受託者を使用人としているケースです。ここでは契約者保護の観点から、その受託者に対ししっかりとした指導・監督が行われているのかといったことが問題になろうかと思われます。

次に、右側の事例2というのがございます。これは先ほどごらんいただきました資料3の8ページにも載っている事例でございます。保険会社が保険代理店と契約をしております。そこからさらに代理店がテレマーケティング会社のようなところと契約をしまして、そのテレマーケティング会社の職員を保険代理店の使用人として届出・登録をすることによって、実質的にテレマーケティング会社の職員が募集行為の一端を担っているというようなケースが現在出てきているということでございます。

10ページにお戻りいただきまして、アウトソーシングに関する論点の整理をしております。保険募集人等による委託先管理責任についてでございます。保険募集人による業務委託についても、委託先において不適切な業務運営が行われることによって保険募集人の業務に支障が生じては、顧客の不利益が生じることがあることを踏まえ、保険募集人についても、アウトソーシング先の業務運営が適切になされているかをチェックする態勢整備を求めることとしてはどうかと考えております。

米印ですが、また、保険募集人の所属保険会社等についても、保険募集人が保険募集に影響を及ぼし得る業務についてアウトソーシングを行っている場合には、当該保険募集人が適切な委託先管理態勢を構築しているかについて、保険募集人に対する指導・管理の一環として把握・指導することが求められることを併せて明確化することとしてはどうか。

次に、当局による募集人の委託先管理体制に係る検査・監督についてでございます。保険募集人の業務委託先において問題が生じた結果、当該募集人の保険募集業務に悪影響が生じ得ることを踏まえ、問題発生時における当局による実態把握等を可能にするため、保険募集人の業務委託先に対しても、保険会社の委託先と同様に当局の報告徴求及び立入検査権限を導入することとしてはどうかと考えております。

次に、いわゆる委託型募集人についてでございます。保険代理店の使用人として位置付けられるためには、両者の間に日常的に一定の指揮・監督関係が存在することが必要であると考えられます。しかし、雇用関係や派遣社員と派遣先との関係と異なり、委託契約の場合には必ずしもそのような指揮・監督関係が存在するわけではございません。ある者を保険募集人の使用人として位置付けるためには、雇用関係と同視できるほどの指揮命令関係が存在する必要があることを監督指針に明記していってはどうかと考えております。

注でございますが、この背景として保険会社が保険募集人をしっかりと指導・監督できるよう、再委託は認められていないわけですが、形式的に使用人という法的位置付けを利用することにより、募集行為の再委託の原則禁止を潜脱することが起こり得るのではないかということが問題ではないかと考えております。

次に、12ページをごらんいただきたいと存じます。情報提供義務の適用除外とすべき商品類型についてでございます。現行の情報提供義務でございますが、現行保険業法において保険募集に係る行為規制は、第300条第1項各号の禁止行為と、第100条の2の体制整備義務で構成されており、前者に基づいて「契約概要」及び「注意喚起書面」が、後者に基づき「意向確認書面」が監督指針においてそれぞれ定められておりますが、同時に、一定の商品については監督指針において適用対象外とされております。「契約概要」「注意喚起書面」の適用対象外となっているものにつきましては、団体保険又は団体契約、財形保険について、保険契約者である団体に対して行う募集行為でございます。

下の注1にございますが、なお、重要事項説明書、約款等の他の方法により、当該団体に対して重要な事項を適正に告げる必要がございます。また、保険契約者である団体が被保険者となる者に対して加入勧奨を行う場合は、保険契約の内容等について、保険会社が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供及び説明が適切に行われることを確保するための措置を、保険会社が講じる必要がございます。

次に、iiの企業向けの自動車保険、火災保険、賠償責任保険等でございまして、第2分野の保険商品のうち、自動車保険、火災保険、賠償責任保険などであって、事業活動に伴い事業者が被る被害を填補する保険商品ということでございます。

注2にございますが、ただし、重要事項説明書、約款等の他の方法により、これも顧客に対して重要な事項を適正に告げる必要がございます。

次に「意向確認書面」の適用対象外となっているものでございますが、第二分野の保険商品、第三分野の保険商品のうち、海外旅行保険及び保険期間が1年以下の傷害保険商品であって、契約締結に際しての告知事項に被保険者の現在又は過去における健康状態等に関するものが含まれていないものですとか、仕組みが極めて単純で、商品の説明により顧客が当該商品が自らの顧客ニーズに合致するか否かを判断できる募集形態を通じて募集されているものが適用除外となっております。

注3にございますが、ただし、契約の申し込みを行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致しているかどうかは、顧客が契約締結前に確認する機会を確保するために、社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制を保険会社は整備していただく必要がiiに関してはございます。

次に14ページで、情報提供義務の適用除外とすべき商品類型について整理をさせていただいております。まず1つ目としまして、企業向けの事業リスクを保障する保険についてでございます。情報提供義務等を導入するにあたっては、現在、契約概要等の適用対象外とされている企業向けの自動車保険、火災保険、賠償責任保険等については、具体的な説明項目を指定しない取扱いを維持することとしてはどうかと考えております。

この切り口ですけれども、現行は企業といった観点からの切り口となっておりますが、下の米印にございますが、個人事業主等の事業活動に係るリスクをカバーする保険について、当該特例の対象とすることについて、どう考えるかということ。これは事業という切り口で考えて適用する、しないを分けるという考え方であると思いますし、次の2つ目の米印にございますが、中小企業についても当該特例の対象となっていることについて、どう考えるのかということでございます。これについては、保険会社と対等な関係のところについては、適用除外とするけれども、必ずしもそうでないところについては、しっかりとした情報提供等が必要ではないかという考え方になろうかと思います。どこで切るのかということについては、少し整理が必要かと考えております。

次に、2つ目でございますが、保険契約者と被保険者が異なる保険についてでございます。資料2、条文を書いておるものの4ページにございます第300条は、保険募集に関する禁止行為の規定でございますが、ここで禁止行為として、次に掲げる行為をしてはならないというところの一号で、現在、保険契約者又は被保険者に対して虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為となっておりまして、重要な事項を告げなければならない対象としては、保険契約者だけではなくて、被保険者に対しても重要な事項は告げなければいけないという制度となっております。

そういう意味で、資料1の14ページにお戻りいただきまして、2つ目の矢じりの保険契約者と被保険者が異なる保険についてどう考えるのかということでございます。団体保険をはじめとして、保険契約者と被保険者が異なる場合の被保険者については、保険契約成立のために求められる関与の程度や契約締結に伴う負担の度合いは異なっているとともに、保険契約者と被保険者の関係の密度についても様々であります。このことを踏まえ、被保険者に対する情報提供の在り方については、被保険者となることについて保険法に基づく被保険者同意が求められる場合や被保険者に保険料負担が生じる場合には、当該意思表示や負担を受け入れるか否かの判断を行うに足る情報が提供されることを求めるとともに、情報提供を行う具体的な手段については、保険契約者と被保険者の関係の類型に応じて、保険会社や募集人による情報提供を求める場合と、保険契約者を通じた情報提供を認める場合を設けることが考えられます。

具体的には次のように整理できるのではないかということで、まず情報提供の要否につきましては、被保険者が直接又は保険契約者を通じて保険料を明示的に負担している場合には、原則として被保険者も保険契約者と同程度の情報の提供を受ける必要がある。

被保険者が保険料を明示的に負担しない場合における当該被保険者への情報提供は、原則として不要とする。なお、保険料を負担しない場合であっても、保険法に基づき被保険者の同意が必要とされるものなど、特段の事情により被保険者の判断が求められるものについては、被保険者がその可否を判断するために必要な情報の提供が別途求められるということと考えられます。

次に、情報提供手段のマル2につきましては、被保険者に対する情報提供が必要な場合であっても、保険契約者と被保険者の間の保険契約以外の関係によるつながりの強さに応じて考えられるのではないかということで、15ページに入る前に、16ページを少しごらんいただきたいと存じます。

現在の団体保険に関して、どういったところを団体保険としてできるかというものとしまして、団体類別基準というものがございます。下の注書きにございますが、これは団体定期保険の運営基準ということで、旧大蔵省の銀行局長通達というのがございまして、現在これ自体は廃止されておりますけれども、これをベースに各保険商品の事業方法書で団体保険の基準というものが定められておりまして、そのベースになっておるものでございます。

ここにありますように、I種、II種、III種、IV種の団体というのがございまして、I種、II種というのは、ごらんいただいておわかりかと存じますが、多くはそもそもこの団体で共済事業をやった場合には保険業法が適用除外されるというような、比較的結合性の強い団体でございます。III種のところは、その近接団体で、多くは同業者団体といったものが入ってきております。IV種として、厳密にはI、II、IIIに該当しないけれども、原則として法人格を有する団体の所属員の団体ということで、何らかの一定の結合性があるものを含めておりまして、こういった何らかの結合性のある団体が団体保険の対象ということになっております。

15ページにお戻りいただきまして、こうしたつながりの強さに応じて、どのような分類があり得るのかということでございますが、まずⓐとしまして、仮に当該団体が保険者として共済事業を行う場合には、保険業法の適用除外に該当するような団体を保険契約者とする場合には、被保険者に対する情報提供については義務づけは行わないと割り切ってしまう考え方があり得るかと存じます。

次にⓑとしまして、それ以外の団体類別基準に該当するような団体や、構成員と団体の間にそれと同等の密接性がある団体を保険契約者とする場合には、保険契約の内容等について、保険会社が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供及び説明が保険契約者によって適切に行われることを確保するための措置を講じることを保険会社に求めるということで、現行の監督指針並びのものが考えられます。

なお、米印にございますが、ⓐのような適用除外の団体についてもⓑと同様に、保険会社が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供等が行われることを確保するための措置を講じることを保険会社に求めるということも、実際契約をする被保険者との関係で、そういったことを考えていくことも当然考えられると思っております。

次にⓒとしまして、上記ⓐⓑ以外のものでございます。団体保険であっても保険契約者と被保険者の間に、こうした同等の密接性が認められないような場合でございますが、これについては被保険者保護の観点から、被保険者に対しても保険契約者と同様に、保険会社又は保険募集人が情報提供を行うことを求めることが考えられるのではないかと思います。

米印にありますが、ⓒの形態の保険については、保険募集人等が説明を行う際には、原則として情報提供義務など募集ルールに則って行うことが求められると考えられます。

次に、3つ目としまして、既存契約の更新・一部変更でございます。既存契約の更新や一部変更が行われる場合については、契約の全内容について改めて説明を求める必要性は乏しいと考えられますので、原則としてその変更内容、例えば特約を追加する場合でありますと、特約を追加すること及びその追加する特約の内容のみの説明をすればよいこととするなど、簡易な取り扱いを認めてはどうかと考えております。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました資料1の1ページから7ページにあります、募集規制の及ぶ範囲について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

水口委員。

○水口委員

ありがとうございます。募集行為と位置づけられるもののメルクマールについての意見です。例えば比較サイトなどが、保険会社または保険募集人などから成約比例報酬とか、見込み客紹介件数比例報酬など、通常支払える広告費相当額を超えた報酬を得る場合などには、保険契約の締結への誘導機能を果たすことへの強いインセンティブが働くと考えております。

また、比較サイト運営会社などの兄弟会社が保険代理店であるなど、保険会社や保険募集人と資本関係を有する場合においても、同様のインセンティブが働くことが想定される。それに加えて、今後その他の形態のインセンティブがあらわれる可能性もあると考えておりまして、保険契約の締結への誘導機能を果たすことへのインセンティブのあり方を十分に留意していくことが妥当ではないかと考えます。

前述したような特性の報酬などの保険契約の締結への誘導機能を果たすことへの強いインセンティブを伴う形で、4回目のワーキングの事務局資料でお示しいただいたような、比較サイトなどが保険業界最低水準などの具体的な保険商品の推奨・説明を行うことがあると、消費者の視点からは比較サイトなどから得た当該商品に関する情報の印象が強く、最終的に保険契約締結に関係するプロセスを担当する保険募集人による説明の理解を困難にするおそれがあると考えております。

したがって、契約締結への誘導機能を果たすことへのインセンティブを伴う商品推奨・説明を行う場合は、保険募集人が募集行為を行う際に、顧客が正しく商品を理解することなどの妨げになるおそれがある行為であるという観点から、募集・販売時規制の適用対象としたらどうかと考えます。

また、紹介行為については、保険募集人に対しても体制整備義務、及びこれに基づく委託先管理責任を導入して、個人情報管理なども含めた観点から、不適切な紹介行為などを排除する体制整備を募集人に求めることが適切ではないかと思います。

最後ですけれど、新たに行為規制が導入される際には、こうした募集範囲の定義を前提として、保険募集プロセス全体に対応した義務の対象として、例えば共同募集を行う体制を整備するということを求めるアプローチがあるのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

ただいまのご発言に関してですが、5ページのマル1マル2のうち、マル1については、インセンティブ報酬や、資本関係以外に連続性をもたらす事情がありそうだということだったかと思いますが、どちらかと言うとマル2のほうを重視すべきというご意見ですか。

○水口委員

そういう意味でもなくて。

○洲崎座長

ではないですか。

○水口委員

マル1のところを重視すべきだと思っていて、多分、現時点で網羅的に募集行為と連続性があるようなものというのは洗い出していただいているのではと考えますが、マル1について例示したものだけに絞り込んでも将来、世の中いろいろな局面でイノベーションというのが起こることもあり得るので、マル1の具体的内容について決め打ち的にいってしまうというのはどうかと思っているということです。

○洲崎座長

マル1については柔軟にみるという。

○水口委員

そうですね。

○洲崎座長

規制の対象を柔軟にみるという。

○水口委員

マル1について、ただ、例示されたものだけに限定するわけではなくて、将来何らかのイノベーションが起こり、もしかしたら、これからもっと別形態のインセンティブというものが出てくる可能性もあり、現時点ではまだ見えていないだけかもしれないという認識で申し上げております。

○洲崎座長

どうもありがとうございます。

では、神戸委員。

○神戸委員

今の水口委員の話と少しダブるところがあるかもしれませんが、5ページのマル1及びマル2の観点から、募集行為か否かを判断するというお話の中で、先ほど7ページでご説明いただいた事例(2)の類似例というのがあげられています。こちらに関しては募集行為には該当しないという判断になっていますが、幾つか実際にこのケースに該当すると思われるものについて調べてみましたところ、紹介料を代理店から徴求しているのですが、その紹介料の金額は1件の見込み顧客のデータについて、私は1,000円、2,000円といったところかと思っていたのですが、数万円徴求しているところがありました。

相談者の属性が、例えば職業が企業経営者とか開業医とかであると、金額がさらに上がり10万円単位の情報提供料を取るという現実を知りまして、そういう金額を支払って情報を得た代理店は、水口委員が指摘されたように、かなり販売に熱心になるであろうと思いました。サイトでは具体的な商品説明や推奨等を明示して行ってはいないのですが、この様な顧客へのアプローチは一連の募集行為等には当たらないと、成功報酬を受け取っていないということだけで判断すると、不適切なケースも出てきてしまうのではないかと感じました。

私が調べたケースでは、相談者側が自分で個人情報をホームページ上で登録していくのですが、おそらく相談者は自分の個人情報がそんなに高い金額で売られているというのは、全く想像もしていないはずですので、個人情報保護の部分に関してはどのように対応しているのかも疑問でした。

ホームページ上に情報の共同利用については掲げているのですが、紹介先候補の代理店名がズラッと並んでいまして、その中のどこに提供されるのかは相談する側にはわからない状況です。このサイトの場合、相談を申し込むと、相談者が商品券をもらえるという仕組みになっていて、相談者にとってもわかりにくいビジネスモデルになってしまっているようですが、そういうビジネスモデルがすでに存在していることを考えますと、商品説明までいかなければ、その手前のところまでであれば、すべて募集行為に当たらないとしてよいのかということは検討課題になるのではないかと思います。

以上です。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

今の神戸委員のご発言についてなのですけれども、個人情報の問題については個人情報保護法が現状のままでいいのかとか、いろいろな考え方はあるかと思いますが、そこで仮に何か問題があるとした場合に、それを保険業法上のこの保険募集のところでやるべきかというと、ちょっと考える必要があるかと思います。おそらく、今のそういうことをやっている業者さんも、最初に、あなたの個人情報はこういうふうに管理して、こういうところに渡す可能性がありますと書いた紙を見せてサインをもらっているのではないかと思います。この紙は多分誰も読まずにサインすることが多いかと思うのですけれども、それはそれでいいということになっている以上、それはやむを得ないのかなという気もいたしま。今ここで募集規制の範囲ということで議論をされておりますのは、結局、最初の段階で、後で頭をもとに戻すことができないような説明がされてしまうことによって、頭が固まってしまうという問題であり、このために先に規制をしましょうというときに、紹介業者というのが何をやっているのかよくわからないところもあるのですが、もしそこで具体的な紹介をせずに、ただ職業とか年収とかを考えて、この人だったら高い保険料の保険に入ってくれるだろうと思えるところをスクリーニングして、ただその情報だけを売る、中身は何も説明していないというのであれば、その人は多分そこで誤解はしていないということである以上、保険募集規制をかけるという形には、おそらくなってこないのだろうという気が若干いたします。

その場合でも、そこで何が起こるかわからないし、ひょっとしたら、情報を売っているだけだと言いつつ、こっそり何か言っていることがあるかもしれないのですが、資料の6ページに書かれておられますような委託先管理責任みたいなものを、保険募集人に対しても課すとすると、見込み客の紹介を委託するということが保険募集人からの委託ということになって、10ページの保険募集人の業務委託先に対する行政当局の報告徴求権とか、立入検査権というのも、こういう紹介業者にも適用されるのであれば、そこで担保するということが考えられるかと思います。いろいろ問題があるかもしれないというところですが、ただ、それはそれとして、募集規制という形でかけるかということは少し整理をしたほうが、募集規制の範囲を少し広げるということの趣旨からしても、いいのではないかと感じるところでございます。

以上でございます。

○洲崎座長

確認をしたいのですが、先ほどの資産家を紹介すると数万円から10万円の報酬というのは成約しなくてもということですか。とにかく紹介すれば、情報提供料としてですか。

○神戸委員

そうです。最初に協力して、年会費も払った上に、提供している情報1件につき幾らという形で払って、それが顧客の属性や単身か世帯かというので異なってくるみたいな、そういう代理店向けの資料があります。

ただ、その資料の中には、結局、挙績、締め切りに合わせてみたいな、それに合わせた顧客情報を提供しますみたいなところまでうたっていますので、これはやはりちょっと、そのまま放っておくのは厳しいかなという気はいたしました。

○洲崎座長

沖野委員。

○沖野委員

今の個人情報の点に関しまして、私は後藤委員がご指摘になったような方向で考えていくほうが適切ではないかと思っております。問題があるというのは、非常にわかりやすく指摘していただいたと思うのですけれども、しかし、それ自体は基本的には個人の情報収集と、その選別で、情報を売っているということにとどまりますので、果たして保険商品の募集という概念に当たるのか、それを募集として募集に関する規律をかけていくということが適切なのかというのは、そのマッチングと言いますか、そこは十分ではないのではないかと。

しかし、では野放しでいいかと言われれば、それはまた別の形で、特に、むしろ紹介行為の規制についてという6ページのこの規律の内容として考えていくべきことではないかと思います。

その際なのですけれども、個人情報の収集や選別行為については、意思決定のゆがみよりも、個人情報自体についての問題があると思われますので、一方では、これも後藤委員がご指摘になった共同で利用する可能性があるということで、それ自体は何らかの形で表示はされているけれども、十分にそういう、自分はそういう形で個人情報を売っていることになるのだということが顧客に十分わかるような形になっているのかという、その部分と、もう一つは、これはほんとうにあるのかどうかわからないのですけれども、伺っておりまして、例えば多数のものに提供をします、多くの商品に対して可能性が開かれていると書きながら、実際には紹介の手数料をもらう数社にしか渡さないとか。そうすると、一方では自分の情報をほんとうに多数に売って大丈夫かという問題と、いわば公正さ、中立さの内容として、ただいろいろなところにお伝えするだけですよと言いながら、ほんとうはチャネルは非常に限定されているのだというようなことがあるとすると、そういうことはないのかもしれませんが、もしそういうことがあるとすると、そちらの問題もあるかなと思います。

ただ、そうは言っても、それは結局、道として、その道がついているということと、情報がそういう形で流されているということの問題ですので、その問題としての適正化を図っていくべきではないかと。

そういう観点からは、むしろ6ページのほうの規律の問題として考えていくほうが適切ではないかと思います。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

5ページの保険募集の範囲マル2の意味の確認です。商品の推奨・説明がメルクマールになるということですが、推奨・説明にもいろいろな段階があるので、そういった意味で、具体的なという言葉を添えていただいているのだと理解をしています。例えば、保険会社が普通一般に誰でも手に取れるパンフレットでやっているような商品説明というレベル、比較サイトが自分独自の見解を添えて商品説明を行っているレベル、3つ目として、商品幾つかを比較し、私どもが勧める会社はここですというような推奨寄りのレベル。一番目のレベルである、保険会社がパンフレットに記載していることを、そのまま転記しているような商品説明は、ここで言う具体的な商品の説明に当たらないという理解でよろしいのでしょうか。

と言いますのは、先ほどの別冊資料4ページの比較サイト事例の(2)、これが募集行為として位置づけられる危険性が高いというご説明があったと思います。しかし、保険会社のパンフレットに載っているものを単純に転記しているレベルの商品説明が5社、6社、たくさん単純に載っていて、あとは自分でご判断くださいと言った、資料情報提供的な比較サイト。このサイトが、紹介量に応じて報酬をもらう場合、それまでも募集行為に当たると解釈すべきなのかという疑問から、質問しました。

○伊野保険企画室長

ここで具体的なと書いておりますのは、一般的な保険の説明ということではなくて、個別具体的な個社のこの商品という意味での説明という趣旨で書いておりまして、そういう意味では、今、加藤委員からご質問いただいた中でいきますと、パンフレットの内容そのままの転記であっても、個別具体的なA保険会社のα商品というものの具体的な内容を転記しているということであれば、該当してくるということではないかと考えております。

そういう意味では、単純に転記しているかどうかということよりは、一般的な保険の説明ではなくて、個別具体的な商品の内容という切り口ではないかと考えております。

○加藤委員

承りました。そういう意図だということで、まず理解いたしました。

だとしますと、例えば、いわゆる雑誌などに載るここの商品はどうだというような転記プラスアルファ、少し見解を入れた商品説明も、それはマル1のメルクマールである報酬というほうでかかってこないのでセーフだけれども、マル2番というメルクマールだけ仮に見ると、募集行為と解釈されるということでしょうか。

○伊野保険企画室長

おっしゃるとおりでございまして、マル2のほうには、例えば雑誌に商品の説明が書いてあれば、該当しますけれども、そこで特段高額な報酬を得ていないと、マル1には該当してこないという、そういう理解ではないかと考えております。

○加藤委員

承りました。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

資料1の5ページのマル1マル2の関係については、「かつ」ということなのですが、マル2の「具体的な保険商品の推奨・説明を行うもの」のみで、メルクマールにはできないのですか。比較サイトなどを見ておりますと、特定の会社の特定の商品にたどり着くということは、十分募集に近いのではないかと思うのですが、マル1の要件もあわせて必要ということはどういうご趣旨でしょうか。

○伊野保険企画室長

そこはいろいろなご議論があるかなとは思っておりまして、まさに保険契約をしようとする方が誤解をするおそれがあるというところを考えると、報酬の有無にかかわらず、保険商品の説明をしたり、推奨をしたりしたら、何らかの規制を及ぼすのだという考え方もあり得るとは考えております。

ただ、やっぱり一方で、自由な意見表明ですとか、そういったものが言論の自由との関係も含めまして、当然あるのだろうと思っておりまして、そこを報酬ないしはその他の色々な密接な関係ということで、保険会社の、ないしは特定の保険募集人のために働いているというような事情が推測できないような場合にも、ちょっと誤った情報を出したりというようなケースについて、保険業法上の厳しい規制を入れていく必要があるのかどうかというところはご議論のあるところかなということで、そういう意味では、マル1の要件というのは、何らか強い意図を持って推奨・商品の説明をして、一定のところに誘導していこうという行為に限定するという意味で、マル1の要件をここでは入れさせていただいておるということでございます。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

改めて、すみません。先ほどの加藤委員のご質問に関して、ちょっとお伺いをしたいのですが、今の5ページのマル2のほうの、具体的な保険商品の推奨・説明を行うものというので、先ほどのようなご説明の趣旨だということは理解をしたつもりです。これがどれだけ現実にやっているかどうかを把握できるかという問題はあるのかなという気はしますが、そこはちょっと置くとしまして、次の6ページのほうで、比較サイトはどうなのかというと、いわゆる比較サイトは募集行為に該当しないというような形で書かれているかと思うのですけれども、ただ、何の説明もなしに、例えばこの保険会社のこれがいいですよとか、勝手なランキングが出てきたとしても、多分何の信頼性もないとすると、比較サイトというのは、むしろ一般的には、この会社の商品はここがいいので第1位ですというように、具体的な説明を伴うことのほうが多いのではないかという気もいたします。そうすると、この比較サイトというのはどういうものがあるか、私は全て把握はしていないのですけれども、どちらかと言うと、ここで言われている、ただの紹介だけをしていて、具体的な説明をしていないほうというよりは、今回少し拡大するほうの募集に近いのかなという気もいたしまして、7ページの事例のほうでも、比較サイトというのは募集行為に該当する可能性が高いというようなことを書かれていたりしています。この辺りは、ひとり歩きをしそうなところでもありますので、いわゆる比較サイトとして何を想像するかは、各人それぞれかもしれませんが、どっちなのかというのを、ちょっとお答えにくいかもしれませんが、少し整理をしていただければと思います。

○伊野保険企画室長

一般的に善意で比較をして、自分はこういうのがいいと思いますというようなことを、例えばブログでお書きになるというようなケースで、そこに何ら保険会社ないしは募集人からお金をもらっていらっしゃらないようなケースというのも当然あって、単純に自分はこの保険に入ってよかったよと表明されているだけでは、当然さっきの要件でいけば、マル1に該当しませんので、先ほどのマル1かつマル2ということを前提としますと、そういったケースは当たらないのだろうと思われます。

一方で、比較サイトの中でよくあるパターンは、何とか保険ランキングとあって、ランキングをつけて、そこを何かクリックすれば、そこの保険会社の商品の説明のところに飛んでいくような、そういうものなんかがかなりあるのではないかと思われますけれども、その場合ですと、状況次第ということではあろうかと思いますけれども、そこに何らかのインセンティブ、それをどこかの特定の保険会社の商品を1位にするインセンティブが湧くような構造がその背後にあるようなケース、例えばリンクに飛んでいくと幾らもらえるということなのだけれども、2位以下は1回1円なのに、1位のところだけ10円もらっていますというようなケースですと、明らかにこれはそこを1位にするインセンティブというのがあろうかと思いますので、そういった総合的な事情を判断するということだろうと思います。

やはり、そういう意味で、単純に意見表明だけであれば問題ないかと思いますけれど、当然ランキングしていれば、1位がいいなと見る人は思うと思いますので、ランキングをつけていれば、ある程度推奨ということに該当してくる可能性は高くなってくると思います。その背後に何があるのかというものを含めて考えていくということではないかと思っております。

○後藤委員

ありがとうございます。そうすると、おそらく私が何となく比較サイトというのでイメージしていたものと、当局がここで比較サイトとして想定されたいたものとは少しずれていたということかもしれませんが、ここでの要件には、報酬を伴っているかというものと、具体的な保険商品の推奨・説明を行っているかというものの2つがあって、切り口が2つあるわけですが、おそらく個人のブログとか、そういうものはマル1のほうで切れて、先ほど神戸委員がおっしゃっておられたような、年収とかそういうものを入力すると、どこかのFPさんを紹介してもらえるとか、そういうのは多分マル2のほうで切れてということかと思います。そうすると、「いわゆる比較サイト」という表現はやめたほうがいいんじゃないかなと。「いわゆる比較サイト」というと、多分、今、室長がおっしゃっておられた後者のというか、大体ランキングをつけて、そこでリンクに飛んでいくようなものをイメージするかと思いますので。何が「いわゆる」かはよくわかりませんが、その辺の整理は、また今後詰めていただければと思います。

ありがとうございました。

○洲崎座長

比較サイトといわれるものは、大体マル2はしているのだけれども、マル1も伴っていることが少なからずある。しかし、それがないものは6ページでいうところの募集行為には該当しないという、そういう整理です。

ですから、6ページの(紹介行為の規制について)の1行目のところは、「比較サイトの中でも募集行為に該当しないものや、紹介行為等について」と整理すれば正確になるかなと思います。

沖野委員。

○沖野委員

一段落したのに、申しわけないのですけれど、比較サイトの件なのですが、比較情報の充実というのは非常に重要なことだと思いますので、たとえ個人のブログであっても、経験だとか調査を踏まえて、こういう保険商品の比較なんかをしているというようなことは考えられるでしょうし、雑誌の記事などもあり得ると思うのですけれども、そういったものもあれば、非常に簡単なものであっても、保険商品こんなものですという説明をするということもあり得て、そう考えますと、別々のことを言ってしまいましたが、1つは比較情報の充実という点は、一方で考える必要があり、そしてその信頼性の確保ということも考える必要があるかと思いますので、それとの関係を考える必要があるということと、もう一つ、マル2の具体的な保険商品の推奨・説明につきましては、先ほどご説明のやりとりの中で、具体的なというのが保険商品に係るのか、推奨や説明に係るのかということで、おそらくは保険商品に係るということなのかなと理解をしたのですけれども、マル2のほうは、そういう意味では比較的幅広く捉えられるのではないかと。

そもそも保険商品というのは、言ってみれば、法律関係の束というようなことがありますので、その商品がどういうものかというのは、まさにパンフレット等によって明確にされている面がありますから、その記載を抜いているということでも、やっぱりそれは1つの説明なのだろうと思います。

さらには、誤導が問題なのだということだとすると、パンフレットの有利なところだけ引くというようなことでも、非常に誤った認識を形成するということにもなりますので、マル2の点は比較的広めに捉えられるのではないかと。

ただ、そうしますと、あまりに広がり過ぎるということがありまして、そこに絞りをどうかけるかというのがマル1の点ではないかと思います。その際に気になりますのは、誘導という点でして、単にブログで書いているだけであれば、全くそれを見た人が、どうかなと自分でサイト検索して保険会社を見に行くということであれば、おそらく問題はなくて、やっぱりそこにダイレクトなチャネルがついているということが問題なのではないかと。そこから直ちにリンクを張って飛んでいけるとか、隣に広告を置いてあって、ここから飛んでいけるとか、あるいはそこでさらには情報を入力して、その情報がずっと流れていくとか、そういう直接に募集人ですとか、あるいは保険会社に対してそのままつながっていくチャネルがついているという点が、もう一つあるのだろうと思います。

そのチャネルのついていることに対する、さらに対価的なものが普通の広告等を超えてあるということがもう一つで、それが結局、募集行為との一体性、連続性ということに落ちてくるのかもしれませんけれども、何か雑誌で特集するというようなことも、まずは問題に入ってくるのかというと、それはマル1で抜かれるのですけれども、そもそもの前提として、そこの一直線の線がついているというか、そういうものでないものは除くということになるのではないかと思うのですが。

広くとるならば、そういうものがついているものは全部ということになりますけれど、そうすると一方的にリンクを張られても対象になってくるので、やっぱりそこはさらに絞らざるを得ないということでマル1が出ているということではないかと理解をしています。

○洲崎座長

リンクを張るという場合に、そのリンクから保険会社に行って、そこで成約した場合に一定の手数料が払われるということが、多分通常だろうと思うので、顧客がブログを読んで、別に検索して保険会社へたどり着いたという場合には、そのブログ主のところには手数料は全く入ってこないのだろうと思います。

手数料というか、報酬だけを問題とするだけでは済まないというのは、直接的な報酬はないが、資本関係があって、連続させることに意味があるという場合もあるので、連続性として報酬だけを取り上げるわけではないということだと思うのです。

およそ報酬が支払われない、あるいは単にバナーをクリックすれば1回1円とか、その程度の報酬であるものについてまで、ここでマル1に当たるということではないと思うのです。通常支払われる広告費相当額を超えた報酬額と言っていますから、単にバナーをクリックして、誰かのブログから業者へ行けば、そこへ自動的に手数料が支払われるという形ではないものを想定しているということなのだろうと思うのですけれども。よろしいですか。

○沖野委員

その点、全く異論がございませんで、むしろバナーを張っているとか、保険会社や保険募集人につながっていく形になっていれば含むべきだということを申し上げたつもりではなくて、それがついていないようなものは、もちろん当然排除されるのでしょうということを前提にすると、ある程度議論の中で絞り込みができるのではないかということを申し上げたつもりでした。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

この話が結局出てきたのは、顧客側、契約者側は今までだって保険募集人に行き当たるのに、地縁、血縁だったり、何らかの機会を捉まえてだったり、そういう形で募集人に出会っていたのに、ネットが非常に普及をして、新たに募集人に行き当たる前に、募集への誘導をするような事業者が出てきて、それがある意味、目に余るという部分が一番問題なのだろうと思っています。、問題なのは、先ほどから皆さんご議論されているように、顧客側がそこの比較サイトなどに誘導されて、そこで生半可に、中途半端に動機づけをされて、契約に至ってしまう可能性が非常に大きいというのが問題なのだろうと思っています。

ですから、そういう意味では、ここのマル1マル2に書かれていることは、ある意味、非常によくできているというか、これを募集行為として位置づけさせて、そういうものを募集人登録をしていない人はやってはいけませんよとされるという、消費者側が誤導されるとか、一応道をつけられてしまったものだから、自分のニーズに必ずしも合っているかどうかよく考えないで契約してしまうことを防ぐためには、こういうことが必要なのではないかと私は素朴にそう思いますが。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

先ほどからの各委員のご意見で、大体5ページのマル1マル2の整理で、募集行為というのを定義するという方向でよくて、そこへ至らないのは6ページの紹介行為という整理でいいという方向ではなかったかと思います。 結局やはり何が重要かというのは、決め手になっているのは、報酬というか、お金の流れということなのではないかと思うので、そこが5ページの募集行為の定義では報酬等を受け取るなどというところで出てくるのですが、こういうふうに規制の区分けはできるとして、それにより全部お金の流れが透明になるのが一番理想的な状態だと思うのです。報酬等を全て透明にするというところまでは求めないのだというのも1つの考え方かと思いますが、透明性を図るために、個別の募集についての報酬はともかく、全体としてどういう報酬システムをとっているので、それは保険会社の側がどうやっているし、募集代理店、乗合代理店のようなところがどういうことをやっているか、比較サイトで募集に当たるものがどういう報酬の取り方をしているか、そのあたりのそれぞれのやり方というのを開示してもらうとか、そういうことは必要なのかなという気はします。

それから、6ページの紹介行為の規制で、2つの考え方があるとされていて、紹介行為と紹介業というのを1つの広い意味での募集に関連する業務として位置づけて、何か規制を導入するかというのと、保険募集人の規制の中で、紹介行為の不適正なところもチェックしていくという両方の考え方があって、後藤委員とか沖野委員の先ほどからのお話を聞くと、後者のほうの方向かなという気がしたのですが、その場合にも、注の3にあるような不適切な紹介行為が行われているとすれば保険募集人に対して実質的に監督当局の監督の中でチェックしていくだけでいいのか。やはり先ほどの非常に大きい紹介料の流れがあるというようなことがあったりすると、紹介行為についても何らかの透明性を確保するようなところを、保険募集人の規制の中へ取り入れていくかとか、そんなことが問題になり得るのかなという気がします。

○洲崎座長

沖野委員。

○沖野委員

私は、先ほど申し上げたときには、むしろ6ページの下のほうの募集人がチェックをするという形で、そうすると不適切な紹介については受けないという形で淘汰が働かされると思いますので、そういうことを考えておりました。

報酬の流れにつきましては、今のご指摘を受けるまであまり考えていなかったのですけれども、そういう点も明示しているのかということもチェック事項に載せることはできるのだろうと思います。そのように考えておりました。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。私も上のほうか、下のほうかと言いましたら、下のほうです。紹介行為というものを何か提示しようとすると、5ページのほうで拡大された募集概念にも、多分紹介みたいなことは含まれて、わけがわからなくなるのではないかなという気がしますので、募集を広げた上でも、それ以外のものは募集人の管理責任、体制整備義務みたいなものと、それの当局による監督になるのかなと。

不適切な紹介行為が何かというのは、これはまた詰めなければいけないかと思うのですけれども、報酬の額が大きいというだけで規制されるべきではなかろうと思っておりまして、それは募集人さんが自分で一々説明しても、冷やかしも多い中で、見込みが高い人に対してうまく入ってもらえることが見込めているのであれば、そこに高い紹介料を払うのは、それは別に自然なことであるでしょうから、1件何万円でも、それがもし見合うと思って払っておられるのであれば、そこをとやかく言うことはないのかなと私個人としては感じております。

○洲崎座長

この6ページの下の方の矢印の「不適切な紹介行為等」ですが、5ページの保険募集に実質的に当たるのだけれども、保険募集人の登録を受けずに紹介行為としてそれをやっていると、これは多分明らかに不適切な紹介行為等にあたる。もちろんこれは無登録募集として規制はできるのですけれども、全国で行われている5ページのマル1マル2の行為を保険監督だけで対処できるかというと、そこはなかなか難しいと思いますので、そこは保険募集人や保険会社の体制整備等で無登録募集に当たるような、それを紹介行為としてやっている場合に、そういうところから紹介を受けないという形で5ページの無登録募集が行われないようにするということは考えられると思うのです。

もう一つは、5ページの募集行為には当たらないのだけれども、非常に極端な対価で情報を売るという行為、これが果たして不適切な紹介行為に当たるのかどうかということです。後藤委員は、ちょっと難しいのではないかというご意見であったかと思います。

沖野委員。

○沖野委員

私は対象に考えることがあっていいのではないかと思っておりまして、それは対価を取って紹介するということが、やるべきではないとか、高い価格で売り買いするのがやるべきではないということではなくて、そういう紹介行為の適正化のときに、情報を渡す人が、そういう売買されるような貴重な情報を手放しているのだということと、先ほどの、誰にそれが回るのかという点について明確にするというようなことは考えられてよくて、それは、やめろということではなくて、その点の問題点を対応できるような形にすべきではないだろうか。そうすると、それが明示されるような形で収集を行っていることというチェックをかけるということではないかと思っております。それから対価を取るというのも、1件数万円というのは、ちょっと予測に反する。普通の人は、それを入力して、それで数万円も取れるようなものだとは思っていないと思うのですが、ともあれ、その額はともかくとして、その入力によって、例えば一定の紹介料を取っておりますというようなことが明らかにされていれば、そういう形で進んでいるのだなというくらいのことはわかるという形の情報提供はあってもいいのかなと思っております。

○洲崎座長

吉野会長。

○吉野会長

すみません、ちょっと違った立場からなのですけれど、パソコンなどでもいっぱいこのような比較サイトが、我々パソコンよく買うわけで、引っかかりまして、それで、そこでいろいろな情報なり、これいいよ、あれいいよとあるわけですけれども、我々はお店に行って、別に気にされずにきちんと買ってきて、またその次のときに買うという。

保険の場合は、やっぱり情報の非対称性が強いので、なかなか顧客にとってその商品がわからないところが、ほかのところとちょっと違うのではないかと思うのですけれども。

今日の中では1つご議論がなかったのは、商品の属性をもっと顧客にわかりやすくダイレクトに示すことができないのだろうか。例えばいろいろな場合、属性というのがあるのです。貯蓄型なり、保障型なり、多分ご専門の方だったら、ここと、ここと、ここのポイントのところを見れば保険というのがわかるのだという、そういう情報がもしわかれば、顧客に対して途中の紹介やいろいろな方々を通しても、自分なりのある程度の選別ができて、そこに1ついかないかん。

ですから、いかに情報の非対称性というのを軽減できる方法というのはないのだろうか。ないのだとすると、こういう紹介とか、あるいは募集とかに頼らざるを得なくなる。それが第1点です。

それから2点目は、募集の方とか紹介の方がほんとうに顧客のことだけを考えて紹介できるシステムというのができないのでしょうかということなのですけれども。やっぱりどうしても報酬、あるいは手数料を見て、そちらで考えてしまいますと、顧客のことを考えずになってしまう。そうでなくて、募集人、紹介人の方が顧客の方を一番考えると、自分たちの報酬、手数料が最終的には一番よくなるのだという体系にすると、もう少し違った形になるかなと。少し大所高所で申しわけないのですけれど。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

やや、そもそも論なのですけれども、私は今もまだ当該瑕疵の治癒が困難となるおそれがある場合というのが、そんなにたくさんあるのかというのがよくわかっていないというのが率直なところです。最終的にやっぱり契約するという従来のところでコントロールできるのではないかと思います。大海に泳いでいる魚が、必ずここの契約というところを通るのですから、その大海まで行ってこなくて、やってくるところでつかまえたらどうかなというように率直には思っています。

ですから、規制の効率性が果たして十分得られるのだろうかというのが、まず第1点としては思っています。

ただ同時に、仮にそういう問題が起こるとすると、今、吉野先生がおっしゃったように、情報の問題という点はやっぱり重要であって、その質を確保するということは私も大事であると思っています。今回この規制をすることによって、市場に出回っている情報の質が上がるのかという点について、検討する必要があるのではないかと思います。

例えば、今は規制をするとしていますが、ちゃんとしたいい情報を出しているというものを何らかの形でオーソライズできるような形で、その出ている情報の質を第三者か当局かわかりませんが、確保するということだってあり得るのではないでしょうか。

つまり、これは何のオーソリティーもない情報ですというのと、オーソリティーがある情報だというようなこともあるのではないかと思います。

また、募集の行為に関しても、1位にしたら多くのお金が支払われるというのも、ほんとうにどう考えてもこれがいいと思うものを1位にして、それでさらに報酬をもらえるという幸せな世界もあるはずで、高い報酬をもらっているのが問題ではなくて、正しくない情報を伝えるのが問題なので、さっき申し上げたこととつながるのですが、情報の質がきちんと上がるような規制の仕組みにしていただきたいと思います。

そうは言いながら、こういう議論が出ているので、その点で質問したいのですけれども、ここにあるような規制を今後強化されるとなると、例えば報酬を受け取っているかどうかがメルクマールになるということは、報酬を受け取っているかどうかを知らないといけないので、こういう業者については、ちゃんと帳簿を用意させるとか、そういうようなことを規制されていくことになるのだろうかと思うのです。それで、例えばどんなような規制のイメージが、新たな規制の領域にするという場合に、ここにも監督としてはどうするかと書いておられますけれど、イメージがあるのかを教えていただきたいと思います。

○伊野保険企画室長

そういう意味では、募集人のアウトソーシング先というカテゴリに入ってきた場合には、報告をお願いするとか、場合によっては検査に行くということは、ここで考えている中に入っておりますけれども、ただ、日常から帳簿をどうつけてくださいとか、そこまでの義務をかけるというところまではいかないのだろうなと考えております。

報酬という面では、いずれにせよ募集人ないし保険会社から出ていきますので、状況によってはどこから報酬をもらっているのですかというのはお尋ねして、出しているほうに、どれだけ出しているのですかというのは一般的な監督権限で当然聞けていくということになろうかと思いますので、そういった形になるのではないかと思われます。

○洲崎座長

情報のオーソライズの件については、5ページのマル1マル2のような行為を募集行為とすることで情報が出てきにくくなるとかいうことはなくて、マル1マル2のような行為をするのであれば、保険募集人として登録してください、そして正々堂々とお金もうけをしてくださいという話ですので、現状でもよい比較サイトを運営されている方は、保険募集人となることは、そんなに困難なことではないと思います。試験にも合格されるでしょうし、募集人登録も受けられる。その上で正々堂々と保険募集をしてくださいということですので、むしろこういう規律を課すことによってよい情報、レベルの高い情報がオーソライズされた形で出てくるのではないかとは思います。

神戸委員。

○神戸委員

先ほどの吉野先生のお話の中に、お客さんのためにやると報酬が増える仕組みができないかというお問いかけがありましたが、保険商品の場合は、コミッションの支払われ方として契約時の比率があまりにも大きいという問題があると思います。金利のもらい方でたとえれば、20年の借り入れのうちの十数年分の金利を最初にもらってしまうような形で手数料が代理店に支払われますので、その手数料の払い方を少し変えていかないと難しいのではないかと思います。現状は最初に契約を取った者勝ちみたいな状況になっていて、それが代理店の行動を左右する一番の動機付けになっていると考えられます。本来は長く面倒を見てもらえるほうが、お客さんにとってはハッピーでしょうから、手数料の支払い方に関して、まず考えないといけないでしょう。金融商品の中でも、特に生命保険は契約時にたいへん大きな手数料が支払われるということがあるために、顧客紹介とか、他の付随するビジネスが生まれているとも考えられます。そのあたりに根本的な原因があるような気がしますので、手数料の支払い方について検討しないと難しいのではないかと思います。

○洲崎座長

梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

実務の立場から、ちょっと繰り返しのある部分もありますけれど、発言させていただきます。

募集行為の範囲について、今般、事務局から示されましたメルクマールマル1マル2についてはおおむねこの方向でよろしいのかなと我々も思っております。ただ、いずれにしても個別のケースに当てはめる際には、やはり画一的な判断というのはなかなか難しいかなと思っておりますので、最終的には総合的に判断するということになるかなと思っています。

さきほどマル2のほうで具体的な保険商品の推奨・説明を行っているとまでは明確に言えないけれども、報酬の水準がすごく高いとか、成果連動値が極めて高いとかいうお話がありましたけれど、そういった場合、やはりマル2に該当するようなことが行われている蓋然性が高いので、個別ケースに当てはめる際は、総合的にご判断いただきたいとは思っております。

それから、紹介のほうのお話でございますけれども、そもそも当ワーキングでは、これまで保険募集の範囲ということで議論が続いてきていると思っております。紹介行為という新たな規制のカテゴリーを設けた場合、募集の範囲の話だけではなくて、紹介の範囲についても議論が必要となって、さらに規制が複雑化するのではないかと思っております。

お客様にとっても、その相手が募集人か紹介人かということになってきます。そういったことも懸念されるという点もお含みおきいただいて、慎重な議論が必要ではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

どうもありがとうございます。

本日のここまでの議論について私なりに理解したところをまとめさせていただきますと、5ページのマル1マル2のメルクマールについては、おおむねご賛同がいただけたのではないかと思います。

それから6ページの紹介行為については、下の矢印の考え方で規律すべきではないかというほうが多数意見だったかなと思います。ただ、「不適切な紹介行為等」に何が含まれるかについては、まだいろいろと考えていく必要があるということでしょうか。

ほかに、この「募集規制の及ぶ範囲について」というテーマについてご意見、ご質問ございませんでしょうか。

米山委員。

○米山委員

もうほとんど議論されたことなのですけれども、一言だけ。このメルクマールのマル1マル2ですけれども、このマル1に関して、マル1マル2、原則として問題ないかと思うのですけれども、マル1の表記が、報酬があることが不適切な勧誘を呼ぶみたいな表記をされているので、これについては、これまでも議論があったように、報酬そのものではなくて、報酬を与えたにもかかわらず誤った情報などが提供され、あるいは報酬のインセンティブが募集に働かなかった場合に問題があるわけであって、報酬そのものは何ら問題がないと思うということを確認したいと思います。

その背景には、やはり最終的にはこの報酬全体をトータルで見ると、エクスペンスローディング、いいかえれば、契約者が経費について付加保険料で払う部分で補っているわけで、そのトータルが、大きくなれば、募集はあまり効率的ではないでしょう。情報の問題を無視して、コストだけで考えると小さくなる可能性があります。そうなれば、それは効率的であるといえます。要するに、こういった新しいものが出てきたことによって、事業費のコストが小さくなるのだとしたら、これは決して潰すべきではありません。

次に考えるべきは、配分が変わるかもわからないということです。保険会社と新しいチャネルの間のコストの配分が変わるかもわからない。でもそうであったとしてもトータルのコストが同じだったら、契約者にとっては別に問題はないと思います。

その意味で、マル1番で報酬をクローズアップする視点については全く問題ないと思うのですけれども、この問題を考えるにあたって、報酬は誰が払って、何のために払ったのかというのを絶えず考えていただいて、この物事を進めていただきたいと思います。

以上、意見です。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、資料1の8ページから11ページにかけてご説明いただきました、「その他の業務のアウトソーシングに係る規制について」、このテーマについてご質問、ご意見をお願いできればと思います。

後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。先ほどもちょっと述べさせていただきましたけれども、利用者への紹介の委託みたいなものも含めて、アウトソーシング先の業務運営が適切になされているかをチェックする態勢整備を求めるというのは、それは結構なことではないかと思っておりまして、それとあわせて当局による委託先への検査・監督というのも、それがどのような形でなされるかは、これからご検討されるのかと思いますが、こういう枠組みをつくられることは非常に結構なことではないかと思っております。

その後で、具体的に挙げられている委託型募集人と言われているものが実態がどういうものがあるか、よくわかりかねるところもあるのですけれども、現状で募集行為の再委託は、昨年のこのワーキング・グループでやったもの以外は原則としてできないということになっていることを踏まえますと、ここもやはり手当てをされるべきなのかなとは思うのですが、他方で、どういう働き方がいいのかというのは、それは別のところの考慮で、派遣なり何なりいろいろなものがあるわけでして、委託型募集人のところの10ページの一番下のほうで、雇用関係と同視できるほどの指揮命令関係があるかどうかというのがメルクマールになると書いておられるのですが、労働法は決して詳しくないのですけれども、直接の雇用関係はない派遣社員とか、ほかにいろいろなものがあるかもしれませんが、雇用かどうかという法形式の話ではなくて、おそらくここで意図されておられるのは、ちゃんと保険代理店が指揮監督をしているというところで、それが雇用関係と同視できるほどという切り口が果たしていいのかというのは、ちょっとよくわからないところもございまして、では何という表現がいいのかというと、全く別案は持ち合わせていないのですけれども、ご趣旨としては一般の従業員に対してできるのと同じぐらいの管理指導をできているという意味だと思って、そこは特に、何か派遣はだめだとか、ほかの働き方はだめだとか、そういうことを含む趣旨ではないというものだろうと理解いたしまして、これでよいのではないかと感じております。

以上でございます。

○洲崎座長

ほかにございませんか。この問題は、委託型募集人、こういうものを保険募集人として認めないという監督をしていれば、ここで議論せずに済んだのかもしれないのですが、派遣社員、つまり保険代理店と直接的な雇用関係がない者についても、実質的に保険募集人とすることを認めたことから、どんどん広がってしまったということかと思います。

しかし、一旦広がってしまったものを、突然監督のやり方を変えるということもなかなかしにくいということもありまして、このようにワーキングで議論をしていただいた上で、監督の仕方を変えていただくということかなと考えております。

家森委員。

○家森委員

質問なのですけれども、紹介人も同じことなのですけれど、例えば委託先を今後管理するというふうになって、直接の委託先は管理できるようになるけど、そこがまた委託をしたときとかというのは、どういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。

○洲崎座長

11ページの例で、右側の例ではないですか。

○伊野保険企画室長

どちらにしても保険募集に該当するような行為であれば、外にいきようが、さらにいきようがないのですが、それ以外の部分ということで業務のという部分でございますが、業務の部分で募集に該当しないとなると、そこは可能だということなのだろうとは思いますけれども、そこは保険募集人がしっかり監督できているのかどうかということが、今回こういう義務が入ってまいりますと出てきますので、そこで監督ができないような状況で、さらに次の段階にいっているということは、当然義務違反ということになるのだろうと思います。

ただ、そこがきっちりとどういう状況でなっているかというのが監督できる状況であると、全くだめということにはならないのだろうと思いますが、二段階になると、当然監督というのは相当難しくなってくるということは言えるかと思いますので、しっかりと見ているということが言いづらい状況になってくるのは確かだろうと思います。

○洲崎座長

ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、続きまして資料1の12ページから17ページにかけてございます、「情報提供義務の適用除外とすべき商品類型について」というテーマについて、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

後藤委員。

○後藤委員

何度も申しわけありません。ここの14ページ、15ページあたりに書いてある、どういう商品類型について例外を置くかという、その具体的な中身自体については異論はないのですけれども、何を適用除外するかというところについて、表現ぶりに若干これでいいのかなと疑問を持っているところがございまして、と言いますのは、今現在の仕組みというのは、情報提供義務という一般的なルールはあまりはっきり書いてない中で、とりあえず書類を配りなさいということになっているところの書類の配り方は、こういうものについてはわざわざ書類を渡さなくてもいいですよとなっているわけなのですが、情報提供義務を、おそらく業法に書くとすると、内閣府令の定める方法に従って情報を提供しなければならないという規定が入るのかなと思うのですが、情報提供義務自体が、およそなくなるという形の適用除外というのは、何かおかしいのではないかなという気がいたします。契約法上もおそらく信義則上、情報提供義務が何らかの形であれ入っているわけでしょうから、おそらくここで適用除外されるべきは、契約概要とか注意喚起情報といった特定のこういった方式でやらなければいけないという、特に企業向けなどについては、そういうことがよく当てはまるかと思いますけれども、特定の形での情報提供というのは外してあげて、それは適宜の方法でやりなさいということになるのかなという気がいたしまして、それは団体保険とかの場合にも同じでして、15ページのアスタリスクがついているあたりかと思いますけれども、方法は指定しないけれども、何らかの形でちゃんと情報は提供されることは、それは各自で確保しなさいという形で整理されるのが穏当なのではないかなという気がしております。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

14ページから15ページは大体においてこの方向でいいと思いますが、いくつか申し上げたいと思います。

まず「企業向けの事業リスクを保障する保険について」の下のほうのアスタリスクですが、企業ということであれば、個人事業主であっても、中小企業であっても、扱いを変える必要はないのではないかと思います。

それから、14ページの下のほうから15ページにかけてでございますが、具体的な整理として、マル2にⓐⓑがあり、その下のアスタリスクでは、ⓐについてもⓑと同様というところでありますが、これは必要なのでしょうか。つまり、ⓑと同様、保険会社が顧客に対して行うのと同程度の情報提供等が行われることを確保するための措置を講じることを、やってはいけないとは言いませんけれども、ここまで必要とすべきなのでしょうか。ややそこは疑問があります。

以上です。

○伊野保険企画室長

まさにそこについては適用除外にそもそもなっているようなところに、保険業法の規定を及ぼさなくてもいいんじゃないかという考え方もあり得ると思いますし、一方で、実質的に被保険者の方が費用を負担してお入りになるので、一定程度の説明は通常当然行われるとは思われますので、そういう意味で、ⓑと同程度のものの説明を何らかの形でやっていくということを求めるというのも考えられるのかなということで、そこは両方考え方としてはあり得るのだろうと思っておりまして、その辺は委員の皆様のご意見をお伺いしたいなと思っておったところでございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

意見ということであれば、ここまで求める必要はないのではないでしょうか。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今の阿部委員と基本的に同じなのですけれども、企業保険において個人事業主であっても、一般に認められる以上の情報提供をする必要があるかどうかと問われれば、私もないと思います。かえってモラルハザードを生んでしまうので、ないと思うのですけれども、ただ、念のため保険業界の方にお聞きしたいのですが、個人事業主とか中小企業対象とする保険で、一般には認められている以上の情報提供がないことによって何か問題が生じた事例があるでしょうか。実務の方に質問させていただきたいと思うのですけれども。お願いします。

○洲崎座長

村田様。

○村田オブザーバー

網羅的に把握しているわけではありませんが、特に苦情が頻発しているという状況にはないと思っています。一般的には、企業の契約であれば、ある程度規模が小さくても、事業特有のリスクに関しての損害保険ということになります。これらは、定型的な重要事項説明書で説明することになじまないので、説明や情報提供をしなくてよいというのではなく、定型的なものを義務づけられても、それはかえって具合が悪いので例外になっているという理解をしており、そもそも説明していないためにトラブルが生じているということは、起きていないと思います。

ついでに申し上げると、個人事業主の方が乗用車を会社名義で購入しておられるということであれば、そのリスクは個人の自動車保険と変わりませんから、実際の募集の上での説明、使う帳票類に差はありません。一方、一定の事業リスクに応じた固有性や複雑性を持っている商品は、それに応じた説明をしているということが実務で行われていますが、そのことが何か問題になっているという状況は、特に把握はしていません。

○洲崎座長

瀧下様。

○瀧下オブザーバー

米山先生と後藤先生の件で、ちょっと申し上げたい。まず後藤先生の件に関して、ここで言っている情報提供義務というのは、1件1件の契約に対して何らかの形で文書で説明しなければいけないという義務と理解しているのですが、それはとんでもない場合がありまして、例えば商社なんていうのは、日に何百件という保険を買っているわけです。その貨物保険証券に1枚1字同じ文書を日に何百枚とつけて出すのかという話ですので、そんなことはとてもできる話ではないし、そんなことをしたら商社に、おまえら、ばかにするのかと怒られてしまいます。そんなもの不要だし、邪魔だからやめてくれと言われるに決まっているので、1件1件に対して貨物保険証券について何らかの重要事項を説明するものをつけろなんていうのはとんでもない話かと思います。

それと、米山先生のご質問で、私、金融ADR機関の役員も兼務しているわけですけれども、確かに中小企業にかかわる契約時の成約過程における瑕疵があるようなものというのは、確かにあります。ただ、この場合、中小企業の場合は大体定型的な商品ですので、文書は出ているのです。ただ文書が出ているのだけれど、商品が若干複雑だったりすると、それでもわからなくて、そんなこととは知らなかったというようなことでトラブルになっているのが、今まで何件かありました。

そういうことで、文書を出しても、きちんとした説明が行われないと、やはりトラブルが発生するということで、その辺は中小企業だと専任の保険担当者がいるわけでもないし、やはり相当に理解に欠けると思うので、中小企業とか個人事業主に対しては丁寧な説明。むしろ商品が複雑なだけに、一般の消費者が買うよりも企業向けは若干複雑になっていますので、中小企業に対してはさらに丁寧な説明が要るのではないかと。

ただ、それと同じことを大会社にしたら、ばかにするなと怒られて、おまえ来るなと言われてしまうので、その辺はプロアマ規制のような何らかの線引きをしていただかないと、とても現実にはやっていけないと思います。

○洲崎座長

後藤委員がおっしゃったのは、多分そういうことではないと思いますので、後藤委員から。

○後藤委員

瀧下様と全く同じことを考えているつもりでございます。

○洲崎座長

ですから商社に対して全部書面を出すというようなことを、後藤委員が言われたわけでは決してないと思います。

○米山委員

私のほうで、ちょっと一言お聞きしてよろしいですか。問題は幾つかADRの事例はあるということなのですけれど、それでもって、この特段の情報提供義務という、意向確認とか、そういったものを提出することによって、それがゼロになるということをお考えですか。

あるいは、そこまで課さなくても、個々の保険会社の対応で、ある程度対応できるほどの規模なのでしょうか。感覚で結構です。

○瀧下オブザーバー

非常に難しいところで、やはり中小企業向けの商品について、傷害保険とか何かは別ですけれど、事業向けの保険については、やはり何らかの形で重要事項説明書がいいのか、おそらく重要事項説明書という形では書けないのではないかと。かなりいろいろなパンフレットを、紛争なので、募集に使った文書を全部取り寄せて見ていますけれども、僕らが見ても、一体何が払われるのかわからないよねという話のものもあります。

したがって、やはり何らかの文書で説明しなければいけない義務というのは、当然中小企業、個人事業主に対してはあると僕は思います。

ただ、それが重要事項説明書がいいのか、何がいいのか、どういう方法がいいのかというのは、ちょっと私には今のところ思いつかないです。

○洲崎座長

確かに後藤委員が最初にご指摘になったように、契約概要等の均一的な規律が外されているものについて、情報提供義務等を最初から適用しないというふうにしてしまうと、多分現在よりも状況としてはよくない形になってしまう。現在は明文の規定はないけれども、種々の情報提供義務、信義則上の情報提供義務というようなものは、おそらくあると考えられていて、しかし、こういった企業向けの事業リスクを保障する保険については、家計保険等についてなされている契約概要等の規律を適用しないというだけであって、信義則上の情報提供義務というものはあるのではないかと思うのです。

ところが、それを情報提供義務等を適用除外にすると言ってしまうと、そういうものをそもそもないということになってしまう。それはちょっとまずいのかなという気はする一方で、ただ、あると言ってしまうと、またそれもちょっと難しい問題が生ずるかもしれない。そこを懸念されて、情報提供義務等の適用除外を論点として出してこられたのかなという気はするのですけれども。

後藤委員。

○後藤委員

情報提供義務があると言って、抽象的にあるというだけで、それをどうするかというのは、先ほど瀧下さんもおっしゃっておられたように、理解力のある大手の商社などであれば、それはわかっていれば、伝わっていればいいわけですから、最初に一度言えば、それで後はなしというので、その後の個別の契約について情報は提供されていたのだと考えることはできるでしょうから、先ほど阿部委員も言及されておられましたけれど、この15ページのアスタリスクの中で書いてあるように、保険会社が顧客に対して行うのと同程度のという表現はいいのかわかりませんが、保険会社のほうでちゃんと顧客に対しては、伝わるべき情報は伝わっているのだということが、保険会社のほうで納得できているようなことを保険会社がやっていれば、その中身は保険会社が考えるということでよいというふうにしておけば、そこの、必要以上に何かやらなければいけなくなってしまうということはないのではないかと思っているのですけれども、ただ、今まであるとはっきり言っていなかった義務が、あるということになると、それはそれでいろいろな反応があるのかなという懸念もよくわかりますので、表現ぶりの問題かとは思いますので、うまく調整をしていただければと思います。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

現行法だと300条1項1号がオールマイティーで、これが不実表示の禁止だけではなくて、情報提供義務の根拠として、実質的に機能したわけです。この場合には、相手方が消費者であれ、事業者であれ、そこは違いがないのだろうということなのです。この情報提供義務を今度、整備するとした場合に、300条1項1号の規定が残るのか。まるでそれがなくなるのか。金商法なんかを見ても、少なくとも不実表示の禁止規定は残るのだろうと思うのですが、そこの重要な事実を告げるというあたりが後藤先生が言うように非常に抽象的、一般原則を示すものとして残るのか、そこも消しちゃうのかで、話は大分違ってくるのかなという気がします。

○伊野保険企画室長

確かにこの情報提供義務の適用除外というのが、表現としていき過ぎているのではないかというご指摘だと思っております。確かに細かく一つ一つをもう少し見ていって、一般的にしっかりとした情報は当然、費用を負担して保険にお入りになる方に到達していなくてはいかんというのは、当然なのだと思っております。ただ、今、山下委員もおっしゃっていましたけれども、いわゆる、前回ご議論いただいたような一般的な行為規制というのを導入していくということになりますと、今までの禁止行為というより、もう少し幅広く情報提供義務というのが、保険募集行為全般にかかってくることになるだろうと思っておりまして、そういう場合に、今までは悪いことをしなければいいですよということだけだったのが、一般的にしっかりと情報提供してくださいということになりますので、そうなりますと、必要な情報を提供しないだけで、法律違反ということになってきます。

その場合に、何らかの形で明示的に抜くところについては、抜いておかないと、法令違反状態がよりあらわれやすくなってしまいますので、そういう意味で、情報提供義務が明確にかからないところは何なのかというのは確定しておく必要があるのかなというのが、ここの問題意識で、そういう問題意識からこの情報提供義務の適用除外というような表現をしているという趣旨でございます。そういう意味で、繰り返しになりますが、何らかの保険に入るための情報が、費用を負担する方に到達しているというのは、当然必要なことでございますので、表現等々が雑だった部分があろうかと思いますので、今後についてはしっかりと、その辺は整理をさせていただければと思っています。

○洲崎座長

確かに中身を読みますと、具体的な説明項目を指定しない取り扱いを維持するということなので、これは全くそのとおりだと。ただ、表題が「情報提供義務の適用除外」となってしまうと、やはり一般的な情報提供義務について、現在、300条1項1号から出てくるような義務について、企業保険には一切、それが妥当しないのかという疑問が出てくるおそれがあります。そこのところは、何か事務局でまた検討していただければと思います。

では、沖野委員。

○沖野委員

既に当然の前提になっているんだと思うんですけれども、14ページの1つ目の印のところのアスタリスクは具体的な規律を考えていく際に個人消費者と企業という2本立てでよろしいのか。それとも個人事業主や中小企業というものをもう一つのカテゴリとして、中間的な、むしろ消費者寄りかもしれませんけれども、そういうカテゴリとして、特有の規律を考えていく必要があるのかという問題提起だと思われまして、それに対しては、企業と個人で違うというのは十分もちろん理由があると思いますけれども、民法の情報提供義務等につきましても消費者概念との関係で、こういった個人をどこまで取り込んでくるのか。同じではないにしても、全く二分でいいのかという問題が上がっているということもあり、ここで書かれている問題意識は、ここで落とすということではなくて、もう少しやはり考えていく必要があるのではないかと思っております。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

今日の最後のところの情報提供義務の点です。これは、法律上の特定行為だということでわかってきたんですけれども、既存契約の更新・一部変更についての扱いです。ここに書いているように既存の契約は確かにもうよくわかっているからというのはよくわかるんですけれども、質問があります。新たに契約が終わって、次の契約が始まるときに当然その方にとって、過去契約したときとは条件が変わっているので、最適な契約というのは変わっている可能性があります。そうすると、ほんとうはこっちのほうがいいとわかっているけれども、こういう契約更新のときは何もそういうことは頬かぶりしてやってもいいということなのでしょうか。更新のときと、新規の募集のときは、規制上は全然違うものというのが現行の扱いなのかということを教えていただきたいのです。

○伊野保険企画室長

多分、それは前回ご議論いただいたところでいくと、情報提供義務というよりは、前回は適合性原則類似のルールと書いておりましたけれども、むしろそっちの世界でどう考えていくのかという問題かなと今、お聞きして感じました。その中で多分もうちょっと有利な、ないしは最初聞いていたときよりももっとニーズに合ったような商品が出てきたので、そっちを勧めなくていいのかというような観点ではないかと思います。それはまさにそちらのところでどこまで募集人に求めていくのかということで考えていくことかなと考えられます。

○洲崎座長

ほかに、よろしいでしょうか。

はい。梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

また実務の立場から少しお話をさせていただきます。適用除外の中で話題になっています団体保険でございますけれども、こちらにつきましては契約者である企業、団体と被保険者である従業員等の間で、雇用関係が存在していて、その中で、福利厚生制度の一環として運営されているというものでございます。その前提のもとで、団体のほうから被保険者に対して加入勧奨が行われているわけでございますけれども、実務上は監督指針に基づいて、保険会社が顧客に対して行うのと同程度の情報提供を確保するための措置が講じられているという状況でございます。団体保険に対しても情報提供の義務が導入されるということになるのであれば、現在、有効に機能しております実務にこれ以上過度な負担がかからないようにしていただきたい。その結果、お客様の利便性が損なわれないようにしていただきたいという意見でございます。

なお、前回から申し上げておりますが、情報提供義務の導入自体につきましても、業界といたしましては、契約概要とか注意喚起情報等の書面を用いた現行の実務の枠組みが定着しており、また現在、文書の簡素化や、わかりやすさの向上に向けた取り組みも、行っているところでございます。ですから、情報提供義務の導入につきましては、改めましてその必要性を含め慎重なご議論をいただきたいと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

石川様。

○石川オブザーバー

今、更新の話が出ましたので、それの是非というよりは、現行実務がどうなっているかというお話をさせていただきます。一般的に更新が行われるときには、更新のご案内という通知をしております。その際に、更新後の保険金だとか保険料が幾らになるかということをあわせてご案内しています。更新を希望されない方につきましては、その旨のご連絡をいただいて、その場合には、当然、更新しないということで、現行実務は動いているということをご説明させていただきます。

以上です。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

ちょっとつまらないことを質問します。14ページのところのマル1の(a)のところは、「原則として被保険者も保険契約者と同程度の情報の提供を受ける必要がある」という書きぶりです。それから、例えば15ページのⓒのところは「上記ⓐ、ⓑ以外については、被保険者に対しても保険契約者と同様に、保険会社又は保険募集人が情報提供を行うことを求める」と書いてあります。例えばⓐのところで、一番考えつきやすいのは、団体信用生命保険みたいなものでしょうし、それから15ページのⓒのところで考えつきやすいのは、例えばクレジットカードに付保している民間の保険みたいなものなんだろうなと思うのですけれども、ここのカテゴリの差があるのは、違うのですか、違わないのですかというところが。

○伊野保険企画室長

ここで問題意識は、14ページのマル1(a)の部分については、先ほどちょっとご紹介がありました職場の団体保険のようなケースで、職員が自分の保険料は自主的に負担しているんですけれども、その場合は同程度の情報という意味で、職場経由での情報提供等々があれば十分ではないかなという意識があって、こういう表現になっておりますが、ⓒのほうはまさに今、丹野委員がご指摘いただいたようなケースですので、そこにあまり一体性とかそういうものが感じられないものが、ここのⓒのところに落ちてくると思われますので、そういう意味では、しっかりと募集人資格を持った人が情報提供をしていただく必要があるんではないかなということで、表現が若干違うということだと考えております。

○丹野委員

実質的には、(a)のほうも保険会社、もしくは保険募集人から被保険者も情報提供を受けるということなのかなと読んだんですけれども、そういう意味ではないんですか。

○洲崎座長

(a)というのは?

○丹野委員

すいません。14ページのマル1の(a)。

○洲崎座長

14ページマル1の(a)ですね。

○丹野委員

はい。

○洲崎座長

これは、企業が保険契約者になって、その従業員を被保険者とするような団体保険のようなケースが想定されているのですね。これについては、どうでしょう。

○伊野保険企画室長

そういう意味では、現行の運用としましても、企業がその企業の職員のためによかれと思って、保険を勧めているというものですので、そこは一体性のあるようなところであれば、契約者となっている企業が職員向けに説明をしっかりとしてもらっている状況であれば、あえてその募集人の方が出張っていかなくてもいいようなケースではないかなとは思っております。現行の運用が前提です。

○丹野委員

現行の保険契約者を通してという、内容をということですね。

○伊野保険企画室長

はい。

○洲崎座長

これに対して、団体信用生命保険は15ページのⓒに当たるということなのですか。

○伊野保険企画室長

団信については、普通、金融機関と債務者の間が極めて密接な一体性があるとは通常は思わないということなので、形の上では、ⓒに落ちると思えます。一方で、債務者に万が一のときがあれば、債務が保険金で賄われていくという意味では、多分、利害関係は貸す側と借りる側とでは一致していますので、そこまで厳しい規制が必要なのかどうかは、もう少し実務的に詰めていく必要があろうかと思っておりまして、厳密にずっと詰めていく中で、そこまで必要ないのではないか。クレジット会社とカード会員の方との関係よりはもう少し規制は緩くていいんじゃないかということも十分あり得るのかなとは思っております。そこら辺はもう少し詰めていく必要があろうかと思っております。

○洲崎座長

瀧下様。

○瀧下オブザーバー

今の点で、ひとつお願いしたいのがございまして、保険料を明示的に負担している場合について、契約者と同等の情報を被保険者にも与えるべきだと考え方はよくわかるのですが、零細のものについて除外していただけないか。というのは、例えば町内会が餅つき大会をやりますと、参加無料だけれども、保険料100円だけは払ってくださいというのがよくあるんですよ。保険料100円というのは、非常に多い。例えばNPOのような団体が里山観察に行きますと。参加無料です。保険料100円だけくださいというものがあって、100円でこの情報を全員に渡せてと言われても、非常に困るし、そういう規制がもし入ってくるとしたら、保険の形を変えて、被保険者が団体になるような企業保険のような形にしないと、ちょっとやっていけないのですが、いかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

細かいところではいろいろあると思いますが、そこは実務的に詰めさせていただきたいと思います。

○洲崎座長

ほかにございますでしょうか。

このところずっと2時間半以上質疑をしておりましたので、たまには早く終わってもということで、本日はここまでとさせていただきたいと思います。

来年の会合におきましては、本日ご議論いただいた項目も含めて、さらに議論が必要だと思う点について、皆様のご意見を踏まえ、調整した上で順次議論をしていきたいと思います。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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