金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

1.日時:

平成25年1月30日(水曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第9回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、全ての委員がご出席いただくことになっておりますが、後藤委員は遅れてご出席のご予定です。また参考人といたしまして、第4回、第7回ワーキング・グループにご出席いただいた、保険代理店協議会の堀井様に、本日も参考人としてご出席いただいております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、昨年から議論を行っております、保険募集・販売ルールのあり方に係る議題のうち、「保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方」及び「保険仲立人・乗合代理店に係る規制」に関する課題について、論点の整理を含めた議論をしていきたいと思います。

それでは、本日の議題に関しまして、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料のご説明をいたします。説明資料につきまして、右肩に資料1-1というものと、資料1-2を使いまして、ご説明をしたいと存じます。

まず、資料1-1、1ページ、及び資料1-2の別紙1でございます。まず保険募集に係る行為規制の現状について、おさらい的に再度整理させていただきました。別紙1をごらんいただきながらお聞き願えればと存じますが、情報提供や意向把握に関する現在の手法及び法令等における規制についてです。保険募集のプロセスにつきましては、生保・損保でありますとか、チャネル毎に違いは若干ございますが、大まかには情報収集、商品提案・説明、契約手続きという形で進んでまいります。情報収集の中には、個人情報の収集として各種アンケートの実施等で、そういったことがなされ、ニーズ喚起という観点からいろいろなパンフレット等を用いてなされてまいります。また、ニーズを把握するということで、各社で募集人の方々がいろいろ工夫をしながら契約見込み者の方のニーズを把握されている状況と考えられます。具体的な規制につきましては、一般的な情報収集について特段の規制はございません。ニーズ喚起、ニーズ把握になりますと、ニーズ喚起についての規制としては、積極的な何らかのパンフレットの交付義務はございませんが、嘘をついてはいけないという禁止行為の適用は、この辺からは当然されてきます。ニーズ把握については、一般的な体制整備義務があると考えられ、そういったもので対応しているのが法令上の世界でございます。

次に、ニーズを把握した上で具体的にそれに合った商品の提案をし、具体的な商品の説明をしていく段階に入ってまいります。ニーズを踏まえた商品の提案ということで、ここも各社の工夫で提案がなされていきます。ここにつきましても、一般的な体制整備義務や禁止行為の虚偽告知等の禁止が適用されています。具体的な商品説明となってまいりますと、商品パンフレットを使うことに加えまして、保険業法上ないしは監督指針として、契約概要、保険設計書と呼ばれる場合が多いかと思いますけれども、これを使って具体的な説明をしていただくことで、ここにありますように、監督指針で具体的な内容について決められている形になります。

そして、商品の説明を受け、契約することに契約者の方が意思を固めていかれますと、具体的な契約手続に入っていきます。まず注意喚起として、契約に当たってご注意いただくべきことについて情報提供していただくため、注意喚起情報を使って説明することになっております。法令では、禁止行為、保険業法の300条1項をもとに、監督指針でその注意喚起情報について具体的な内容を定めています。

そうしたことも踏まえ、契約についての意向が固まっていきますと、意向の最終確認として、意向確認書面を使って最終的な保険加入の意向を確認する作業をしていくことになります。これについても監督指針で具体的な内容が定まっておりますけれども、保険業法第100条の2で、これまでの禁止行為、契約概要・注意喚起情報のもととなっております禁止行為ではなくて、体制整備義務から由来して、これを定めている形になっております。その上で、申込書の作成手続に入り、最終的に保険証券が交付される流れとなっております。

こうした流れは、業界の実務水準として一定程度定着している状況にありますが、我々や国民生活センター等へ苦情等が寄せられている状況を踏まえますと、募集人によってその質に一定程度の差異があるのではないかと考えております。また、ルールにつきましては、保険募集プロセスのうち、顧客のニーズの把握・ニーズを踏まえた商品の提案・説明の規制及び情報提供については、特段の具体的ルールが設けられていないということでございます。

2ページに移りまして、これまでいただいた各委員、オブザーバーのご意見、ご発言をまとめております。まず、情報提供義務でございます。情報提供義務を整備することについては、大方のところで基本的な方向に異論はないのではないかというご意見を頂戴しておりますが、その下、いくつか、かいつまんで述べさせていただきます。具体的な記載内容については、簡素化に向けた業界の取り組みの成果というものも当然に踏まえる必要があるというご意見。また、情報提供義務を整備するとした場合に、300条1項1号は禁止行為で、先ほど申しました、契約概要・注意喚起情報を引っ張り出している根拠規定になりますが、それとの関係をどう扱うのかについては、整理する必要があるのではないかといったご意見をいただいております。

次に、意向把握に関する義務でございます。意向確認書面を振り返り的に取るということが、現実には十分機能していないのではないか、最初の段階でこうしたものを使って確認したほうが有効に機能するのではないかというご意見。また、商品が顧客のニーズに合致しているかを確認するというのは、情報提供義務とは別の義務として整理されるべきではないか。顧客が保険に入る必要性をある程度認識できた段階でチェックを行う仕組みでないと、実効性がない。ルールの内容は、保険の特性を踏まえれば、顧客の目的やニーズなどの顧客の意向の的確な把握及びそれに合った商品を勧めることである。費用対効果を踏まえたものにしていく必要もあるだろうというご意見。

3ページに移りまして、説明義務のようなものを募集人に対する行為規制とすることによって、より実効的なものとすることができるのではないか。ニーズを把握するだけではなく、そのニーズを踏まえて相手方が必要としている保険を提案することを求めることとしたほうがよいのではないか。「単純にニーズを把握しよう」というレベルであればいいけれども、それ以上の大きな責任を募集人に求めるのは大きなコスト要因になるので、注意しなければならないというご意見。また、改めて法令に位置づける必要があるのか疑問であるというご意見。あと、これまで意向把握の部分につきましては、適合性原則類似のルールという表現をしておりましたが、適合性原則という用語を安易に使うのは問題をわかりにくくさせるのではないかというご意見も、頂戴しておりました。

4ページに移りまして、オブザーバーからいただいたご発言としましては、抽象的な規制では何をどこまでやればよいのかはっきりしないので、実務が混乱しないようにしなければいけないというご意見をいただいております。

次に、体制整備義務でございます。乗合代理店、保険仲立人についても、行為規制を課して体制整備を求めることが適切であるというご意見。複数の保険会社の商品の中から、特定の商品を選択して顧客に勧める際には、選択の理由を情報提供義務の一環として説明することを求めるべきではないかというご意見。フランチャイザーに対して、フランチャイジーに対する教育・管理・指導についての体制整備を、保険業法上も義務づける必要があるのではないかというご意見を頂戴しております。

5ページでございます。募集文書については、簡素化を基本に、情報提供の質を高める取り組みが不可欠であるというご意見を頂戴しております。

これまでご議論いただいた内容ですので、かいつまんで読み上げさせていただきました。

これらを踏まえまして、6ページ以降で論点の整理をしております。まず保険募集に関する行為規制のあり方についてでございます。情報提供義務を導入するに当たっては、法制化を理由とした募集文書の増加が起こらないよう、わかりやすい募集文書とするための、現在行われております保険業界による募集文書簡素化の取り組みを踏まえつつ、顧客にとって真に必要な情報が過不足なく提供されるようにすることが重要であると考えております。

次に、資料1-2の別紙2もごらんいただきながらお聞き願えればと存じます。適切な保険募集につきましては、情報収集、商品説明・商品提案、契約手続の3つが、どれも適切に行われることが必要であります。一方で、募集人によるこれらのプロセスの質に差異があると考えられることや、導入を検討しております情報提供義務や現行の意向確認書面だけでは、情報収集の場面における顧客の意向把握はカバーし切れないことを踏まえますと、全募集人が行うこれらのプロセスの質の底上げ、実務におけるスタンダードの一層の徹底を図っていく観点から、情報提供義務に加えて顧客の意向把握について、保険募集人に対して個別具体的な商品提案、商品説明の前に、顧客の意向を把握した上で顧客の意向に沿って商品提案をする義務、意向把握・意向を踏まえた商品を勧奨する義務とここでは書いておりますが、そういったものを法令で規定することとしてはどうかということでございます。

注1でございますが、具体的な内容につきましては、一定の柔軟性を持たせるために、内閣府令、監督指針あるいは各業界の自主規制で定めていくことが考えられるのではないか。注2でございますが、意向把握・意向を踏まえた商品を勧奨する義務の全体的なイメージにつきましては、例えばここに書いておりますように、一つとしては、商品提案、商品説明に入る前の段階での「意向把握書面」を用いたニーズの把握が考えられます。

別紙3をごらんいただければと思います。ここで、例えばこんなことが考えられるのではないかという、議論の素材として少しイメージを作っております。例えば生命保険であれば、具体的にどのようなリスクに対応するのかということで、万一の場合の保証では、自分が死亡した場合の遺族の生活費を確保したいというニーズなのか、むしろ医療・介護で自分が病気等になった場合に備えるためのもので、そうであれば具体的に、がんが気になっているのか、三大疾病なのか、もう少し幅広いものなのかという内容を聞くこともありましょうし、それ以外の資産形成・老後の生活資金の準備をしたいというニーズなのかについて聞くことが考えられるのではないか。

損害保険の場合ですと、どうして損害保険を考えているのかという意味では、例えば自動車保険であれば、自動車を買ったから自動車保険ですし、動機のところははっきりしているかと思いますので、自動車保険の中でどういったものに備えたいのか、自賠責に加えて上乗せをしたいということで、その中でどういったものを上乗せしたいのか、自賠責でカバーしていない部分について、どういった商品があって、それのどういったものに入りたいのかを例えば把握した上で、募集を進めていただくことが考えられるのではないかと思います。

ただし、現時点でこれだと決め打ちしているわけではありませんで、議論の一つの材料としてお考えいただければと存じます。

その義務の具体的内容としましては、顧客の意向の適切な把握と、把握した顧客の意向を踏まえて、手元にある商品群を推奨していくことになりますが、その推奨する理由を説明していただくことを義務づけることとして、その手段として、意向把握書面によることを規定していくことが考えられます。なお、ここで便宜上、意向把握書面としておりますけれども、これが独立した1枚の紙で、そこにお客さんにサインをしてもらうことまで必要なのかどうかについては、いろいろ議論もあり得るかと思いますし、現状の保険実務、募集実務を考えて、そこにあまり負荷のかからないような形で考えていく必要があるかと思っております。重要なことは、入る時に本当に自分の入りたい保険だったかどうかを最終的に確認する術を、何らかの形で提供していく必要があるのではないかという問題意識ですので、その問題意識に応えるような形で、かつ実務上あまり負荷のかからない方法を考えていく必要があると考えております。

次にマル2でございますが、意向把握書面を用いた意向把握に関しては、商品提案、商品説明等の意向把握後におけるニーズの変化を顧客が後から振り返ることができるよう、契約締結前段階で当該時点の意向と、当初意向の違いがわかる書面を交付することが考えられます。ここでは意向把握書面に追記したものでもいいのではないかと考えておりますが、繰り返しでございますが、保険の募集実務の中で現実的な対応ができる形を実務的に考えていく必要があると考えております。

米印ですが、なお、意向確認における具体的な確認事項やそのレベル感については、保険商品のカテゴリごとに異なると想定されることから、詳細な項目については自主規制に委ねることも考えられるのではないか。また、契約の変更・更新時などにつきましては、情報提供義務と同様に、より簡便な取り扱いを認めることが考えられるのではないかと考えております。

7ページでございます。意向確認書面につきまして、現在、保険会社の態勢整備義務に基づき、監督指針において規定されている意向確認書面につきましては、提案商品に対する最終的な意向の確認をする措置として、上記の意向把握書面とリンクする形で確認の実施を確保する義務に位置づけ直した上で、法令上に位置づけることとしてはどうか。注3でございますが、具体的な内容については、一定の柔軟性を持たせるため、各業界の自主規制なども含めて、そういったものに委ねていくことが考えられます。

次に、体制整備義務についてです。保険商品の募集のプロセスにおける規制を踏まえまして、全募集人の募集プロセスについて一定の質を確保する観点から、保険募集人に対しても、これらの義務規定の適切な履行確保を含めた法令遵守に関する体制整備を求める規定を導入することとしてはどうかと考えます。注4でございますが、体制整備義務に基づいて求められる具体的な体制につきましては、各募集人の規模や特性、扱う商品の種類、販売形態、保険会社からの指導監督の度合いなどによって異なると考えられます。なお、フランチャイズ形式の加盟代理店の品質管理につきましては、フランチャイザーに対してフランチャイジーに対する教育・管理・指導についての体制整備について、法令上規定する必要があるのではないかと考えております。

次に、保険募集に関する禁止行為の見直しについてです。別紙5をごらんいただきながらお聞きいただければと存じます。保険募集に関する禁止行為でございますが、現在、保険業法第300条第1項第1号におきまして、保険契約者又は被保険者に対して虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為が禁止されております。現行法におきましては、この条文を根拠として、契約概要・注意喚起情報が導入されておりまして、同号における契約条項のうち重要な事項の範囲につきましては、限定的に捉える立場と広めに捉える立場が存在しております。注1にございます、保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方についての中間論点整理、平成17年においては、重要事項の説明義務でいう「重要事項」とは、顧客が保険契約締結の際に合理的な判断をなすために必要な事項をいうとされておりまして、重要事項の判断基準については、一般的な保険契約者を基準に客観的に判断されるとの考え方と、個別の保険契約者の属性や事情に応じて主観的に判断されるとの考え方がある。「保険業法第300条第1項第1号の「重要事項」のうち、特に説明すべき重要事項として整理する「契約概要」・「注意喚起情報」以外の「重要事項」の説明については、「契約概要」・「注意喚起情報」を記載した書面に、「「契約概要」・「注意喚起情報」を記載した書面には、全ての契約内容が記載されているわけではなく、詳細な内容については契約のしおりや約款などを併せて参照すること」等と記載し、契約のしおりを交付することで、一応の説明は尽くされているものと考えられる。なお、「契約概要」・「注意喚起情報」は、「重要事項」の核となるものであり、当該情報が記載された書面を交付する等の方法により当該情報を説明することは、同号で義務づけられるものと考えられる。」と整理されておりまして、「重要事項」の範囲はかなり広範なものとなっております。

一方で、保険業法第300条第1項第1号違反が刑事罰の対象とされていることを踏まえますと、同号の対象を「保険契約者の契約するかどうかの判断自体に影響を及ぼす保険契約の基本的な内容自体についての重大な告知またはこれと実質的に同視される重要事項の不告知に限定されるべきもの」とする考え方も存在いたします。これは、ご出席の山下委員の著書の中で述べられていることでございます。注3でございますが、裁判例において「重要な事項」の範囲を示されたものは存在せず、いずれも個別事案に即して「重要な事項」が判断されている状況でございます。

論点を整理しておりますが、まず米印でございます。現行の契約概要、注意喚起情報その他の契約者に説明する必要のある事項につきましては、基本的に保険業法第300条第1項第1号ではなく、新たに設ける情報提供義務に基づいて、今後は規定されていくことになると考えられます。それを踏まえますと、情報提供義務導入に当たり、保険業法第300条第1項第1号における「重要な事項」の範囲につきまして、その不告知が刑事罰の対象になっていることを踏まえてこれを再整理し、「保険契約者の保険契約を締結するか否かの判断に重大な影響を及ぼす事項」とこれまでよりは限定的に解釈する、ないしは限定的な表現に改めることを考えてはどうかと思われます。

ここの図にありますように、これまでは契約概要、注意喚起情報や一般的な情報提供義務を、この禁止行為を根拠として導き出してくる構造に現在の保険業法がなっておりましたために、ここについては比較的広めにとっておりましたが、今後新たな情報提供義務規定が入っていくこととなりますと、刑事罰の対象となるものについては、もう少し限定的に解釈していくのが一般的な考え方ではないかと考えております。

なお、ここの図におきまして、いろいろと輪がございます。これは、いろいろな情報提供を行うものでもレベル感があるという趣旨でございまして、下の図でいきますと、一番濃い小さい丸の重要事項としましては、もうここに問題があると刑事罰まで科されるという意味では、非常に狭い世界であろうと考えておりますし、特に説明すべき事項、契約概要、注意喚起情報については、そういったものを使ってしっかりと積極的に説明をしなければいけない部分になろうかと思います。

その外の部分については、いろいろあると思いますが、契約のしおりや約款については、基本的には渡しておいてごらんいただける状況になっていればそれで良いということで、特に積極的にそれを全て説明するということではないと思われますし、聞かれれば答えないといけないけれども、あえて積極的には説明をする必要はないものも、またその外縁としてはあるというイメージで、この図は作っております。そういう意味では、大きな円に入っているものを全て募集のときに説明しないといけないことは現実的でもありませんし、必要ないのではないかと考えていることを、申し添えさせていただきます。

次に資料1-1の9ページでございます。乗合代理店、保険仲立人についての部分でございます。現状の規制の概要については、複数の保険会社の商品を販売することを認められている主体としては、保険仲立人と乗合代理店が存在いたします。保険仲立人に対しては、一般的な募集行為に係る規制に加えて保証金供託義務等の規制が課されている一方、乗合代理店については、一社専属の募集人と同様に、保険会社側の代理店として位置づけられ、保険仲立人のような上乗せ規制は課されておりません。保険仲立人、保険募集人のいずれも金融庁(財務局)が監督権限を有しているほか、保険募集人については、これを補完する形で保険会社による管理・指導が定められております。

乗合代理店の状況については、極めて小規模なものから、フランチャイズ形式も含めまして数百の店舗網を有する大規模なものまで様々なものが存在しております。乗合代理店の中には、「公平・中立」を標榜し、その取り扱う複数の保険会社の商品の中から顧客のニーズに合ったものを販売するサービスを提供することによって、顧客の支持を集めているものが存在しております。一方、法律上の乗合代理店の位置づけは、あくまでも保険会社側の代理店として位置づけられておりますので、「公平・中立」であることについて、法的に位置づけられているわけではないという状況でございます。

10ページから、これまでいただいたご意見を整理しております。乗合代理店が「公平・中立」と言って活動していることにつきましては、大きく分けると2つほどの意見があったかと存じますが、まずは「公平・中立」と称して募集活動を行うことは禁止すべきではないかというご意見でございます。保険会社の代理店である乗合代理店の法的立場と矛盾することが、問題の本質ではないか。顧客に正確、適切に理解してもらい、顧客との認識のギャップを是正させれば解決できる問題ではないかというご指摘。また、「公平・中立」と称して保険募集を行えるのは、保険仲立人の領域ではないのかというご意見をいただいております。

次に、もう一つの議論としまして、「公平・中立」と称して募集活動は行っても良いけれども、上乗せの義務を課すべきではないかというご意見でございます。具体的には、善管注意義務やベストアドバイス義務は、保険仲立人同様に乗合代理店にも課すべきではないか、また手数料開示義務については、手数料開示が必要であるというご意見と、一方で、手数料体系が複雑であり実際には開示してもよくわからないものになったり、複雑で難しいというご意見をいただいております。

おおむね、10ページ、11ページは時間の関係もありますので、その程度のご紹介にとどめまして、12ページでオブザーバーのご発言としましては、保険会社による代理店管理についてもよく踏まえた上で、議論をする必要があるというご指摘をいただいております。

それらを踏まえまして、13ページ、14ページで論点の整理をしております。まず、募集規制一般の見直しとの関係でございます。乗合代理店をめぐる課題につきましては、別途、募集人一般に対して導入を検討していただいております、複数商品の中から特定の商品を選択して顧客に推奨する場合の推奨理由の説明も含めた情報提供義務や、フランチャイザーによるフランチャイジーの管理を含めた体制整備義務によって対応可能な部分もあると考えられますので、これらの義務に加えてどのような対応が必要なのかという観点から考えていく必要があるのではないかと考えております。

次に、乗合代理店が「公平・中立」を標榜して活動することについてでございます。乗合代理店による保険募集の場面における「公平・中立」という表示につきましては、保険会社と顧客の間で「公平・中立」であること、また乗り合っている保険会社間において「公平・中立」であるという、2つの捉え方ができると思います。あくまでも概念的にということで、現実の場面ではこの2つが混然一体となって、なかなか区別は難しいと考えられますが、概念的にはこの2つに分けられるのではないかと考えられます。

このうち、保険会社と顧客の間で「公平・中立」という部分につきましては、保険会社側の継続的な代理人であるという乗合代理店の法的立場との両立は、どう考えても困難であると考えられますが、保険会社間において「公平・中立」ということについては、概念上は各保険会社の代理人という立場と両立させることは不可能ではないのだろうと考えられます。

このことを踏まえまして、以下で整理をしております。乗合代理店は、法律上は保険会社側の代理人であることから、顧客が誤解しないよう、その立場について説明をしていただく必要があると考えられますが、どう考えるかということでございます。米印ですが、顧客の誤解を防ぐ観点からは、単に「保険会社から委託を受けて募集を行っている」ということではなく、「保険会社のために保険募集を行っている」など、わかりやすい説明が求められるという考え方があろうかと思いますが、どう考えるかということがございます。その下でございますが、所属保険会社と顧客の間で「公平・中立」であることを標榜するなど、保険会社の代理店としての立場を誤解させるような表示を行うことについては禁止すべきではないかという論点がございます。

14ページでございます。乗り合っている保険会社間における「公平・中立」を標榜することについてでございます。これはA案、B案という2つの考え方で整理しております。まずは、顧客が「公平・中立」を『所属保険会社と顧客の間で「公平・中立」である』と誤解するおそれがありますので、「公平・中立」と言うこと自体禁止するという考え方でございます。米印にございますが、「公平・中立」の言葉を用いない他の表示を網羅的に禁止することは、現実的には困難ではないかと思いますので、「公平・中立」という言葉だけを禁止することが適切なのかどうかという論点はあろうかと思います。また、必ずしも禁止する必要がない『乗り合っている保険会社間における「公平・中立」』まで禁止してしまうことが、どうなのかという論点もあろうかと思います。

次にB案でございますが、乗り合っている保険会社間における「公平・中立」であることを標榜すること自体は禁止しないものの、乗合代理店の特性に応じて適切な保険募集を担保するため、体制整備義務等に基づいて追加的な措置を求めることが考えられます。

追加的な措置の具体的内容としては、乗合代理店の特性に応じて、例えば、把握した顧客の意向を踏まえて、複数の保険会社の商品から特定の商品を勧める場合に、推奨理由を説明するための体制を整備する。顧客の意向に合致している商品のうち、一部しか推奨しない場合に、当該商品が顧客の意向に合致している理由に加えて、当該絞り込みの理由をあわせて説明してもらうことが考えられますし、顧客から求めがあった場合に、所属保険会社から受け取る手数料を適切に開示するための体制を整備することについても、論点として挙げられるのではないかと考えております。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

それでは続きまして、監督局保険課から資料の説明をお願いいたします。

○山本損害保険・少額短期保険監督室長

保険課の損害保険・少額短期保険監督室の山本と申します。よろしくお願いいたします。肩書が長くて恐縮でございますが、私どもは保険の募集について一般に担当してございます。昨秋、乗合代理店に対する実態調査を行いまして、ようやく結果の取りまとめができましたので、ご報告いたします。まさに当ワーキングにおかれまして、こうしたご議論をいただいていますので、何か参考になる点があればということで、ご紹介させていただきます。

資料2をごらんいただければと思います。おめくりしまして1ページ、「実態調査の概要」でございます。調査の目的でございますが、近年、保険会社の保険募集の方法、代理店の形態等が、多様化あるいは大型化しており、私どももきちんと捉え切れていないところがあるため、これを把握したいというのが目的でございます。今回の対象先でございますが、生保の代理店が204社、損保の代理店が299社でございまして、このうち生損兼営している先があり、これは両方に調査しております。そういった意味で、代理店のネットの数は478社でございました。対象先の選定方法でございますが、まず保険会社に契約件数の多い代理店をご紹介いただきまして、これを名寄せいたしました。その上で新契約の多い代理店を中心に、専業・兼業の別、保険料や苦情件数等を勘案し選定したものでございます。調査方法はアンケート方式でござまして、私どもから調査票をお送りしまして、全国の財務局を通じて回収いたしました。なお、一部大体80社程度でございますが、財務局でヒアリングを実施してございます。本日の資料につきましては、アンケートの結果のみを載せてございますが、説明の中で適宜ご紹介できればと思ってございます。実施時期は昨秋9月から11月にかけてでございまして、おめくりいただきまして、2ページ、5の調査項目に沿いまして、調査を行ったものでございます。

3ページをお願いいたします。「調査結果の概要」でございます。まず、今回調査対象となった代理店の概要でございますが、ここに「資本金」、「支店の数」がございます。分布をあらわした棒のうち、色の濃いほうが生保の代理店、薄いほうが損保の代理店でございますが、色の濃い生保の代理店が下のほうに長くなっておりまして、今回の調査先に関しましては、資本金、支店の数ともに生保のほうが小さいものが多いということでございます。一方、一番下のグラフでございます。「所属保険会社の数」でございますが、これは逆に、損保の代理店の薄い棒が下に長くなっていまして、下の2本を加えますと、7割以上が10社未満でございます。一方、生保は上のほうが比較的多うございまして、上の3本、10社以上のところで6割以上でございますので、所属の保険会社の数、いわゆる乗り合いの数でございますが、これは生保のほうが多いということでございます。

おめくりいただきまして、次に4ページ、2の「募集人の状況」でございます。これは損保の「200人以上」の線が非常に長くなっています。一方、生保は各ランクのところに、ばらばらとばらけている状況でございます。これは損保の代理店は自動車のディーラーなどの兼業のもの、かつ大きいものが多いことが原因ではないかと思っております。

次に3番目「財務状況」でございます。これについても保険の売上高等をお聞きしておりますが、特段傾向は見られず、ばらついていると判断しています。

恐れ入りますが、5ページをお願いいたします。4の「商品別の販売状況」でございます。「新契約件数のうち、販売上位5商品の占める割合」を出したものでございます。ごらんいただきますと、生保代理店が大体55%ぐらい、損保代理店が82%ぐらいでございまして、これを見る限りでは、代理店が販売している保険商品には、ある程度偏りがある傾向があると言っていいのではないかと思います。

続きまして、5で「経営戦略」をお聞きしています。選択肢の中から2つ選んでくださいという形式でございますが、グラフをごらんいただきますと、「顧客の立場に立った中立・公平な保険商品の提供」とお答えいただいたところが多うございました。特に生保に顕著で77%程度でございます。生・損で、やや特徴があるとすれば、ややでございますが、その下、「保険商品の品ぞろえ」は、むしろ生保のほうがたくさん挙げていただいておりまして、裏腹ではございますが、その下の下、「特定の保険商品に特化した販売」では、損保のほうが目立っています。ヒアリングの結果でございますが、「顧客の立場に立った中立・公平」の意味についてお聞きしておりますが、例えばある代理店については、特定の商品に偏らず、顧客の立場に立ってニーズに合った商品を提供するというお答えをしているところがございます。一方で損保でございますが、顧客には1社の保険商品を提案しているのだが、顧客の要望に応じて特約等を提案することによって、中立・公平な商品を提供しているという捉え方をしているところもございました。これは先ほどご説明のあった「公平・中立」を標榜しているところとは直接は関係ないと思いますが、ご参考まででございます。

次に6ページでございます。「経営上の課題」についてお聞きしたところ、「コンプライアンスの強化」「顧客サービスの充実」「募集人の教育態勢の強化」を選択した代理店の割合が50%超でございました。ヒアリングの結果でございますが、例えば支店網の拡大や募集人の増員等により、コンプライアンス態勢や業務管理態勢の強化が課題と考えているという趣旨のご発言が多数ありまして、業容の拡大に伴いまして、こういった要請がある代理店が多いのかなということでございます。

続きまして、7ページでございます。7の「業務委託、業務提携の状況」でございます。設問1の上のグラフでございますが、一番左の色の濃いところは「外部委託、業務提携ともに行っていない」という割合でございますが、損保をごらんいただきますと65.9%と多うございます。一方、生保をごらんいただきますと、その1つ右側が「業務提携のみを行っている」、その1つ右側が「外部委託のみを行っている」、もう一つ右側が「両方行っている」ということですが、これを合わせますと52.9%でございまして、生保は半分以上が何らかの提携なりを行っているということでございます。具体的にどのような提携等をやっているかが、下の設問の2でございますが、ごらんいただきますと、生・損ともに「募集資料の送付等」という事務委託的なものだと思いますが、こういったものが多いということでございます。加えて特徴的なものといたしましては、生保でございますが、「見込客の紹介、見込客情報の購入」あるいは「共同募集」が見られます。ヒアリングの結果でございますが、例えばですが、業務委託の状況を所属保険会社へ報告していないというお答えをいただいたところもあったようでして、保険会社がこうした実態について必ずしも全て把握できていないケースもあるかもしれないということでございます。

おめくりいただきまして、8ページでございます。「顧客への推奨商品の選定方法」でございます。特に考慮している点として、生・損保代理店とも、「顧客の保障ニーズの内容」「保険料の水準」を選択した代理店の割合が高うございました。生・損でやや分かれておるのが、上から2つ目の「顧客の財務状況」、要するに収入、貯蓄等でございますが、これを考慮しているとお答えになった生保の代理店が多かった。一方、損保は、その3つぐらい下の「契約手続きの簡便さ」、あるいはその下の「募集資料の使い易さ」などを挙げていただいたところが相対的に多かったということでございます。そしてその下、「募集手数料の水準」とお答えになったところは低うございました。

次に9ページでございます。推奨理由をお客さんに説明していますかという問いでございます。生保の代理店では、「必ず説明している」との回答が86%でございました。一方、損保は「必ず説明している」が63%、ただし、「問われれば説明している」を加えると9割弱という状況でございます。

時間の関係で10ページに進ませていただきます。「顧客の開拓方法」でございます。これにつきましては、「来店による集客」が双方多かったわけでございますが、損保代理店により顕著であったということでございます。生保に顕著だったかと思われるのは、上から5つ目の「テレマーケティング」は、生保のほうが高かったということでございます。その他につきましては、上の文章の黒丸の3つ目にございますが、この中でも「既契約者等からの紹介」が多かったということでございます。

続きまして、11ページでございます。コンプライアンスの態勢についてお聞きしております。11ページでは、「コンプライアンスに関する所管部署を設置していますか」という問い、あるいは「内部規程やマニュアルを作成していますか」という問いでございますが、これにつきましては、両方とも、整備をしているという回答が多うございました。

おめくりいただきまして、12ページでございます。上の設問3、所属保険会社による研修でございます。例えばコンプライアンスの研修をごらんいただきますと、一番左側は「全ての所属保険会社において実施している」で、その右側は「一部の所属保険会社では実施していない」でございますが、これが5割を超えている状況でございます。これに対しますヒアリングの結果でございますが、例えば、所属保険会社によるコンプライアンス研修は内容がほぼ同一であり、全社で行う必要性は乏しいと感じるというご意見が複数ございました。あるいは、研修内容は保険会社によってばらつきがあり、レベルの低い保険会社もあるという、厳しいご指摘もあったようでございます。下の設問4は代理店独自の研修でございますが、コンプライアンス、商品別の研修ともに高い数字になっております。

13ページを割愛させていただきまして、14ページに進ませていただきます。続きまして、「顧客の個人情報の管理態勢」についてお聞きしています。マル1マル2は、先ほどと同様、「所管部署を設置していますか」、あるいは「内部規程やマニュアルを作成していますか」という質問でございますが、先ほどのコンプライアンス態勢の回答とほぼ同様の傾向でございまして、設置しているものが多かったということでございます。

15ページ、設問3で、「データベースの作成・利用」に関してでございますが、この中では、「保険会社のデータベースへのアクセスが可能」とお答えになった代理店が、生・損ともに約7割でございました。問4でございますが、その際というわけでもございませんが、「データベースを使う場合のアクセス制限」についてでございます。生・損ともに9割以上の代理店で「アクセス制限なりをかけている」というお答えでございますが、逆に「アクセス制限を設けていない」とお答えになったところも5%程度ございました。

次に16ページでございます。兼業の代理店にお聞きしたものでございまして、「兼業部門と保険部門の顧客の情報の管理の状況」でございます。グラフをごらんいただきますと、上の生保でございますが、84%の代理店で、「データベース自体を別々に作成している」というお答えでございました。一方、下の損保でございますが、「兼業部門と保険部門の情報を一体化したデータベースで管理している」とお答えになったところが、半分ございました。

17ページ、右側、設問の7でございます。似たような質問でございますが、同じく「情報の利用状況」についてお聞きしたものでございます。グラフの一番左の濃い色が、「お客さんの情報を、当該顧客が契約している所属保険会社の募集等のみに使っている」というお答えが、生・損両方とも4割ぐらいでございました。その右側でございますが、「情報を乗合他社の募集時にも利用している」、もう一つ右側、「兼業部門でも使っている」というものでございます。これらにつきましても、大体5割ぐらい、生保・損保の代理店ともにお答えをいただいています。

少し飛ばして、20ページに進ませていただきます。最後に「苦情処理態勢」でございます。苦情のうち多く見られるものでございましたが、これについては「保険商品の内容に係る説明が不十分」とお答えになったところが、突出してございました。「その他」が多くなってございますが、主に手続面への苦情であったようでございます。最後の21ページでございます。受け付けた苦情を保険会社へきちんと報告しているかという設問でございますが、グラフの一番左の色の濃いところ、「全件を保険会社へ報告している」のが、生保で48%、損保が40%ぐらいでござました。その右側の2つにつきましては、「重要なもののみを報告している」というお答えですが、生保で47%、損保で53%ぐらいが、こういうお答えであったということでございます。ヒアリングの結果でございますが、例えば、即時に解決できた苦情等の軽微な苦情は保険会社へ報告していないというご回答がございました。あるいは、保険会社によって苦情の定義が異なっているというご回答もございました。こういった意味で、苦情について全てが保険会社へ報告されているかというと、そうではないかもしれないという実態がございます。

大変駆け足で恐縮でございましたが、代理店に係る実態調査の結果の報告は以上でございます。この調査は、統計的に処理するという類いではございませんが、大手代理店の特徴をある程度は見ることができたのではないかと思っております。何かご参考になれば幸いでございます。以上でございます。

○洲崎座長

続きまして、損害保険協会における募集文書の簡素化に向けた取り組みについて、参考人の村田様よりご説明をお願いいたします。

○村田オブザーバー

お手元の資料「わかりやすい募集文書への取組について」、参考資料マル1マル2マル3、現行の重要事項説明書(重説)と薄いプロトタイプとして作成した重要事項説明書を用意させていただいております。当協会では募集文書の簡素化のためにタスクフォースを設置して、作業検討を進めてまいりました。お手元の資料は、12月に取りまとめた中間報告書でございます。この報告書に沿って参考資料で補足しながら進めさせていただきます。

中間報告書の4ページをごらんください。わかりやすい募集文書については、金融審議会・保険ワーキングの検討項目となっているとともに、損保協会の中期計画でも重点施策としており、取り組みを既に開始しておりました。これら2つの流れを踏まえまして、「お客様の声・有識者諮問会議」のもとに業界の自主的な取り組みを具体的に進めていくためのタスクフォースを立ち上げ、検討を進めてまいりました。6月7日の第1回ワーキング、本席におきまして、外部専門家のノウハウ、意見を取り入れて取り組むことを検討していくと申し上げましたが、それは本タスクフォースによる検討を想定したものでございました。

次の5ページをお願いします。タスクフォースのメンバーと議論の経過を掲載いたしております。メンバーは、本ワーキングの丹野委員、錦野委員を含む4名の方にお願いいたしました。また募集文書の評価・分析等は、外部機関の一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)に作業を委託しました。議論は、現行文書の評価・分析を経て、改善案の策定、検討、その後プロトタイプの作成に至り、本日、本席で報告と提言をさせていただくことになりました。

次ページ以降で具体的に申し上げますが、現行の募集文書の評価・分析、その結果に基づき重要事項説明書の改善案を検討する中で、プロトタイプの作成方針を固めてきました。なお、評価・分析においては、現行の監督指針で規定されている募集文書の記載事項に関するルールは、一旦ないものとした上で、ゼロから作業しました。必要に応じ、ルールの改正等を提言させていただくことも視野に入れて論議を進めたものです。

6ページをごらんください。具体的な評価方法、評価手法について説明します。タスクフォースでは、協会長会社である当社の現行の自動車保険の重要事項説明書とパンフレットを検討素材として使用いたしました。先ほどごらんいただいたカラーのものでございます。

保険会社・代理店、帳票デザイン専門家、お客様のそれぞれによって現行の重説を評価することから始めました。評価は定性的評価のみならず、定量的な評価を多く取り入れて、客観性の確保に努めました。さらに保険会社による評価については、商品開発部門のみならず、販売部門、保険金支払部門といった他の部門も評価しました。

具体的な評価手法について、6ページの左側、「マル1保険会社・代理店による評価」の評価方法の1つ目をごらんください。、重要事項の説明を70のパートに仕分けをし、各項目の重要度を評価しました。現行の重説の2ページを評価したものが、参考資料マル1です。このような感じで仕分けし、その評価結果を一覧にまとめたものが、参考資料マル3です。

6ページに戻っていただきますと、2番の真ん中の箱、「マル2帳票デザイン専門家による評価」は専門業者のUCDAに委託しました。上段のヒューリスティック評価とは、帳票デザインの専門家が情報量、レイアウト、単語のレベル、図表といった9項目について、読み手が情報を利用する上で効果的かどうかという観点、視点で評価していくものです。その下にドットレシオカウンターとありますが、これは紙面をどれだけ印字が埋めているかというインク率、印字率を測定するものです。誰しも文字がいっぱいに詰まっていると、それだけでそもそも読む気にならないというのがご経験のことだと思いますが、文字の詰まっている程度を数値で捉えて評価する指標です。

マル3お客様による評価」は消費者に評価をいただきましたが、単に漠然と聞きますと、読む気にもならないという評価だけになってしまうので、コーディネーターの方が評価の視点を示しながら、やや長時間をかけてディスカッションをしながら意見・評価を積み上げていったものでございます。

次に7ページをごらんください。評価・分析ですが、一番下を見ていただきますと、情報量の多さが3者共通して最大の問題点であると指摘されました。文字が小さいことによる読みにくさ。契約概要と注意喚起情報の記載内容の重複よって情報量が拡大し、わかりにくくなっているという指摘。最後に、位置づけが不明確なことによる重説とパンフレットの記載項目・内容の重複ということが挙げられております。保険会社自身も情報量が多過ぎるという認識ですが、どれぐらい簡素化できれば読む気になるか、わかりやすいものになるかについて、7ページの「マル2帳票デザイン専門家による評価」及び「マル3お客様による評価」を踏まえて、記載項目の絞り込み、記載内容の簡素化、評価を評価スコアに基づいて検討、決定をしました。

参考資料マル2に、4とか3.5という点数や、一番下の箱には削減度合いの大、中、小とあります。その意味合いの説明は省略いたしますけれども、こういった点数指標に基づいて先ほどの参考資料マル3の項目を重要度順に並べまして、保険会社と代理店の双方の評価の点数をかけ合わせて、残すべき項目、残すべきだが削減を大幅にすべき、あるいは削減は小幅にすべきという尺度で順位づけをして、客観性を持たせながら評価をしました。

8ページに進んでいただきます。以上の評価・分析を踏まえて、行きつ戻りつしながらプロトタイプ作成に当たっての方針を固めていきました。「記載項目・記載内容」については、評価結果等をもとに、必要不可欠なものに絞り込み、契約概要と注意喚起情報の一体化を前提として記載項目の重複を解消することとしました。お客さまの理解にあわせるということでもあります。また、「様式・体裁」においては、文字の大きさやレイアウト等、読みやすさを十分に考慮した上で、A3、1~2枚(両面)、ページ数でいうとA4で最大8ページということになります。これをめどとした分量におさめることにいたしました。

9ページをごらんください。この作成方法に基づいて作成したのが重説プロトタイプです。まず、構成については方針で示したとおり、契約概要と注意喚起情報の一体化を前提として記載項目の重複を解消しております。現行の重説では、契約概要と注意喚起情報を区分して説明を行っておりました。これにより、例えば2ページ下段にある契約概要の保険期間と、7ページ中段にある注意喚起情報の補償の開始時期など、似通った項目が双方に記載されていて、わかりにくさが助長されているという意見がありました。これに対して、プロトタイプでは契約概要と注意喚起情報を一体化しました。先ほどの保険期間、補償の開始時期を例に挙げれば、プロトタイプの4ページの下段に「保険期間および補償の開始・終了時期」として一体化をしまして、さらにタイトルの横に「契約概要」や「注意喚起情報」のアイコンをつけて、どちらに相当する情報なのかがわかるように維持しております。

また、プロトタイプの2ページ目には、パンフレットにあるような商品の全体構造を図示したものを入れております。現行の重説では、2ページに、細かい字で商品の仕組みと補償内容が書いてあって、7ページに保険金をお支払いしない場合が書いてあるという具合に、補償と補償しない場合が分かれて記載されていたわけですが、プロトタイプでは、これを2ページ、3ページ見開きの中で、パッと見て商品の構造、仕組みがわかる絵にして、補償する場合としない場合は一体化して3ページに載せる形になっております。構成としましても、2ページから5ページに「契約締結前におけるご確認事項」、6ページが「契約締結時におけるご注意事項」、7ページが「契約締結後におけるご注意事項」というように、契約前、契約時、契約後の時系列、思考の流れにあわせて整理をし直しております。これらは契約者にも契約の流れがイメージしやすくなるということや、代理店募集人においても説明しやすくなるということに配慮をしたものでございます。

中間報告書の9ページをごらんください。この結果として16ページが8ページに、文字数については5万5,000字が1万2,582文字、約4分の1になりました。様式については見にくいと言われた8ポイントを9ポイントにして、行間も4.5ポイントぐらいの見やすいものに変えました。

下の2行のドットレシオカウンターの数値は、UCDAさんによると、この数値が19%を超えると、過半数の方がそもそも読みたくないと感じるということでございまして、これを超えないようにしました。現行の重説は、平均で20.98、最大で26.32もあったのですが、平均14.98、最大16.25と基準をクリアするところまでレシオを下げております。

ほかに、文章表現において約款や法令を準用している部分以外の記載においては、1文を短くする、さらには主語と述語を近づけて理解をしやすくする、過剰な敬語表現をやめるといった読みやすさにも配慮したものといたしました。

10ページでございます。説明は省略いたしますが、パンフレットと重説の位置づけを再整理することを提言しております。

11ページでございます。これを受けた、今後、業界ガイドラインの整備をしていくための方針を示しております。具体的には「様式・体裁」において分量や文字の大きさなどを制限し、文章表現においても日本語のわかりやすさにも配慮するようにと、ただいまの内容を取り込もうと考えております。また、「記載項目・記載内容」については、「監督指針にある記載項目の内、保険商品の特性に応じ重要性が高い項目について、契約者が自ら読んで容易に理解できる様、簡潔に内容を記載する」、「監督指針にない項目の記載は、選択に関わる重要な事項または周知が必須な事項に限る」、むやみに増やさないということを書こうと考えております。

12ページに進んでいただきます。今回の重要事項説明の評価・分析に当たっては、監督指針に縛られない前提で検討を行ってきましたが、結果的に、自動車保険に関する限り、配当金に関する事項を省略することだけで、これまで検討してきました業界の自主的な取り組みによって作成した方針では、現行の監督指針と本質的な不整合はなかったと考えております。ただ、明確化を図るために、監督指針には、ここに掲げさせていただいたような注釈を追記していただくことをお願いしたいと考えております。

以上、9月から12月までのごく短い間に、重説の評価・分析に始まり、ここまで極めて精力的にタスクフォースのメンバーの方を中心にご努力をいただきました。関係者の方々、外部の方々に、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

なお、報告書を中間としておりますのは、12ページで申し上げたように、監督指針等に関してもご相談させていただく事項がございますので、これらを踏まえて最終的に業界ガイドラインの方向が固まる段階で中間から最終の報告にしたいということでございます。

説明は以上でございます。リーダー、メンバーを務めていただきました丹野委員や錦野委員からの補足等がございましたら、ご説明いただきたいと思います。以上です。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、まずは村田様よりただいまご紹介いただきました、損害保険協会における募集文書の簡素化に向けた取り組みについて、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。あるいは補足説明をいただいても結構です。

丹野委員。

○丹野委員

私、ここの委員会の席上で、顧客向けの文書が非常にあふれていて、もう顧客文書の洪水で、実際に募集段階で使わないような文書が交付されている可能性があって、非常に形骸化していると。だから、顧客文書はもっと真実の、本来の趣旨に沿ってダイエットすべきであると申し上げましたところ、今回、このタスクフォースのメンバーに入れていただいてとか、入れられてといいますか、そういう形で、文句ばっかり言ってないでつくるほうに回れということでしょうが、入りまして、これをやることになりました。

使用前・使用後をごらんいただきますと、ある意味一目瞭然でございまして、別に前のをけなすつもりは毛頭ないのですが、ごらんいただければ前のは確かに到底読む気になれないものでありましょうし、今回のはこういう形で、すごくボリュームも下げましたし、今まで例えばわからないとか、募集のときに使われてないんじゃないかというようなことを言っていたことが、今回のタスクフォースの中で、だったらということで、非常に薄くなり、字数も少なくなり、それから各ところにいろいろな配慮が行われて、消費者側がこれで説明を募集人にされた場合に的確なイメージを持てるものになったのではないのかなと。もちろんパーフェクトではないから、これからどんどんどんどん、さらにブラッシュアップしていかなくてはいけないんだけれども、とりあえずのものとしては、一定の評価できるものができたのではないのかなと思っております。

例えば、こんなに薄くなってしまったら、大事なことが抜けてやしないかとか、今まであったものの中で抜かしたものはいけないのではないかというような、もしかしてそういうご意見があるかなと思うんですが、消費者が加入時に必要なものは全て、この保険について全部を知るというのは事実上不可能ですので、この場合、自動車保険ですが、その商品についての的確なイメージをきちんと持てることが正しい理解だというスタンスからでき上がっていますので、難しいものについては、例えば約款のほうにひもをつけてそちらに誘導するようなことも工夫をしていらっしゃいますので、ぜひ、ごらんいただければと思っております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

私は常々、この情報提供書面、保険の世界で言えば契約概要とか注意喚起情報をよりわかりやすくするというのは、もうほんとうに永遠のテーマだと思っておりますし、社会的にも非常に有用なことだと思っております。一方で、その実現が非常に難しい、これまでのいろいろな歴史の中でつくられてきた書面でありますから、わかりやすくするために、1つの文章を削るにしても、1人の頭で考えても勇気がいることで、やろうと思ってもなかなかできないと、非常に難しい課題であると認識しておりました。今般、よりわかりやすい募集文書を追求していこうというこのタスクフォース、1つのチャレンジについてお誘いを受けまして、非常にありがたく参加させていただいた次第であります。

契約概要というのは、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報と監督指針でも整理されているわけなのですね。ところが、私は、きちんと実態を把握したうえでのものではないんですけれども、特に損害保険の分野では、保険代理店さんというのは、例えば自動車保険の内容を説明するときに、契約概要なんて利用していなくて、商品パンフレットを利用してやっているのではないかなと、そのような感覚を持っておりました。おそらく実態、現状はそうなのではないかと思います。

ということは、契約概要の役割って一体何なのかということになりますと、もしかしたら実質的にはリスクヘッジをするためだけのものかもしれないし、何らかのプラスアルファだけのものかもしれないしと。仮にそういうものであるとすれば、現状の契約概要の社会的有用性は監督指針で望んでいるほどに高いものではないし、しかもリスクヘッジのためだけであれば読んでもらうことを必ずしも想定していないわけですよね。ですから、読みやすくしたり、わかりやすくしたり、そういうインセンティブが保険会社に働かないこととなります。1つの、偏見かもしれませんけれども、そういう構造になっているのではないのかなという見方をしておりました。ですから、少なくとも実務においてはそういう位置づけの契約概要を、読んでもらうための、代理店さんに利用してもらうための存在にするというのが、私の一番大きな目標でございました。

先ほどの、オブザーバーの村田様からの説明ペーパーの10ページに、「重要事項説明書・パンフレットの役割・位置付け」というところで、こういう理念的なところはもしかしたら二の次なのかもしれないですけれども、これは私にとっては重要なことでございまして。従来であればこのパンフレットが担っていた、一般消費者が商品内容を検討・選択・比較する際に活用いただくためのものというのを契約概要に持ってきたと、矢印を引いておりますけれども。こういう位置づけにすれば、まず保険を売るのは当然代理店さんですから、代理店さんもプロでありますから、プロというのは通常、プロ野球選手でもそうですけれども、道具、バットにこだわるわけですね。先ほどの、保険課からのアンケート結果のご報告の中にも、代理店さんはわかりやすい帳票で選んでいる、損害保険のところにそのような結果がありましたので、この認識は間違ってないと思うんですけれども。やはりプロの代理店さんというのはわかりやすい、要するに募集の局面で使うのであればわかりやすいものを選ぶはずですから、わかりやすい帳票を保険会社がつくれば、その商品は当然、売り上げは上がっていくはずなんです。顧客についてもそのような見方はできるかもしれません。そういうことになりますと、わかりやすい募集文書にする、わかりやすい契約概要にするというインセンティブが生まれると思いますし、その分、資本も投下できることになると思います。ですから、顧客にとってわかりやすくするのは最終目標ですけれども、それはなかなか遠い目標でもありますので、まず代理店さんに使ってもらえるような契約概要とすることが大事、と私は考えておりました。

それで、このタスクフォースにおいては、日本代協の小平様にもメンバーとして参画してもらいましたが、このプロトタイプ、これは実務でもプロの代理店として使えますというご意見もいただいておりますし、私の第一目標というのは達成された結果がこのプロトタイプでございます。

ちょっと長くなってしまいましたけれども、帳票デザイン専門家のUCDAをはじめ、丹野リーダーを中心に本当に喧々諤々の議論を行ってまいりました。私自身としても学ぶことが非常に多かったです。例えば敬語、先ほど村田オブザーバーからもご発言があったのですが、過剰な敬語表現はよくない。それはどうしてかというと、敬語というのは「何とかされる」というのですけれども、これって敬語なのか、あるいは受動態なのか、どちらかわからない。少なくともその表現だけではわからない。その多くは文脈の前後を読めばわかるのですけれども、しかしその判断をするために少し時間もかかってしまいます。ですから、過剰な敬語表現というのはよくないのだとか、そのようなことも教えていただきましたし、学ぶことも多かったです。ですから、このような経験を、そういう事細かな部分も含めて今後業界の中でガイドライン化をして、私としては損保業界のみならず、保険業界全体でそのような貴重な経験を共有していく必要があるのではないかと考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

ほかにいかがでしょうか。

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。丹野委員のおっしゃっていたように、新しいものと古いものを見ると一目瞭然で、情報量もデータも半分以下になっていると思います。

1点ご質問させていただきたいのですが、今回作成された新しい重要事項説明書、8割、9割の自動車保険については、これを渡すだけで済むと、受け取ってよろしいのでしょうか。

質問の趣旨は、古い重要事項説明書では、例えば、パンフレットの12ページ、13ページ、2ページにわたってほとんど読むことが不可能なような表示方法で、特約について書いてあります。この部分は、消費者視点ということで、殆どが削除されているように見えます。つまり、新しい重要事項説明書においては、特約の商品内容についてはほとんど触れておらず、3ページを見ますと、自動車保険のコアであります対人、対物、人身、車両というところに非常に閉じた形でお書きになられている。

そういった特約商品内容の記述の削除を削減の大きなポイントとされたこと、個人的には賛成です。が、質問の趣旨は、弁護士費用特約など、いろいろと種類があり、保険商品内容をわかりにくくさせてしまっている付随的な特約というのを、そもそも商品性としてあまりつけない形での販売を今後志向されると、そういうことまで含んでの新しい重要事項説明書なのか。

もしくは、そういった特約は今後もセットで販売していくのだけれども、法律的な観点を踏まえても、そういった特約の商品説明に触れていない重要事項説明書で事足りる、つまり、特約については説明をしないでいいという理解なのか。

もしくは、そういった特約については別途これと同じような重要事項説明書がもう1冊あって、それを添付して、結局非常に読みやすいのだけれども、何冊もの重要事項説明書というのをお客様に渡して説明をするというご趣旨なのか。まだご検討中とは思いますが、教えていただければ。

○村田オブザーバー

回答させていただきます。

ご質問のあった特約に関して言いますと、2ページ目にセットすることができる特約をアイコンにして並べています。そして、特約の詳細な内容については、書面上は説明をしていないのですが、おっしゃられたとおり、詳細な説明を現行のように一覧表にして2ページにわたって記載しても、確かに読む気がしないと思いますので、そういう評価に基づいて簡素化をした次第です。

では、説明が一切なくてよいかと言えばそうではなく、特約の名称を見て、こういう特約あったほうがいいというお客さまに対しては、募集人が的確に説明をすることが前提になると思います。

もう一つ、特約自体を簡素化していく流れにあるのかというご質問ですが、これ自体は数年前、支払い漏れ等で問題になったときに、特約が多過ぎるという原因分析もありまして、自動車保険に限らず特約の整理、簡素化を実施しました。いまなお、多くの特約があるというところはあるかと思いますけれども、現在も極めてマイナーなものやわかりにくいものはさらに整理、統合していく流れにあるのだと思います。個々の特約をどう扱うかについては今承知しておりませんし、会社ごとに異なるかとは思いますが、特約自体をより簡素なものにしていくことも、単にパンフレットや重要事項説明書を簡素化することのみならず必要だとは認識しております。

十分なお答えになっていますでしょうか。丹野委員から補足いただけますか。

○丹野委員

私は、基本的には商品はシンプルであってほしいと思っている人間でございまして、特約をこれからどうするかというお話は、保険会社の営業ともかかわる非常に根本的な問題だとは思いますが、ただ、要は加入時にたくさんのものを情報として入れられても、結局右から左、耳を通るだけでわからないという部分がありますので、そこの部分については、あとはもう、重要事項説明書をこれ以上増やすことではないと思っておりまして、重要事項説明書はこれ、あとは例えばパンフレットがありますので、パンフレットの中でその保険会社の、その商品の売りの部分はそこでご説明をいただくようなイメージでおります。ですから、それから先は販売店のスキルといいますか、そういう問題に終着するのかなと思っております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

お二方の発言とも重複するんですけれども、やはりこれは割り切りだと思います。もとの資料の主な特約の概要は、これを載せていたとしても読む人はほとんどいないわけです。むしろ弁護士費用特約にしても、それをつけるかどうかというところは、そういう選択肢があるんだというところはきちんと示さなければならないわけですけれども、その具体的な内容をもとの資料を用いて説明する局面が果たしてあるのかどうか、そういう局面があるとしたら、例えば契約の書類、約款、そういうものを利用して説明するんだと思いますし、むしろそういうのじゃなくて、選択の幅を示す、商品の仕組みを示すほうが大事なのではないかというところと、もう余分なものは取っ払ってしまおうという1つの試みの結果、こういう形になっているんだと認識しております。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

感想になってしまうかもしれませんが、従来の重要事項説明書と今回のものを拝見させていただきますと、以前のものは何と申し上げればいいか、読ませたくないといいますか、アリバイ作りではないかというようにも感じられて、読む側からすれば質問にもつながりにくいと思われます。新しいものでは、重要事項の説明で不充分なところがあるというお話もありましたが、逆にこれだけすっきりしていて読みやすければ、逆に読む側が不足している部分を把握でき、質問しやすいのではないかと思います。

説明書の構成も最初に専門用語の説明の後に、2ページ、3ページでどういう商品を今買おうとしているのかがはっきりするという作りになっていますので、今回の議論の1つでもある、顧客の意向確認の部分、自分が買いたい商品と、今買おうとしている商品が合致しているかどうかということを、まずははっきり認識できる、させるべきだという要件を満たしていると思います。せっかく読みやすいものができたと思いますので、あとは実際に利用する、使用する中で足りない部分があればまた考えるという方向で、考えるべきではないでしょうか。タスクフォースの皆さん、どうもご苦労さまでしたと申し上げたいと思います。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。私の個人的な感想でございますが、今回の募集文書の簡素化に向けた取り組み、大変結構なというか、画期的なお仕事をされたのではないかと思います。何度もお話がありましたけれども、やはり使用前、使用後を比較しますと、その差は歴然でありますし、それから、村田オブザーバーが最後におっしゃった監督指針との関係でございますが、現在の監督指針だと、契約概要と注意喚起情報を分類して告げなければいけないとなっているために、契約概要のページと注意喚起情報のページを別にするのが現在の実務だと思うのですが、その結果、非常にわかりづらいということになっていたと思うのですけれども、それが今回の取り組みでは、これが契約概要です、これは注意喚起情報です、その分類を示した上で、同じところに説明がなされるということによって、非常にわかりやすくなったのではないかと思います。

山下委員。

○山下委員

新しくつくられたもの、大変結構なものだと承りましたが、この重要事項の既存のものも、最初、契約概要と注意喚起情報をルール化するという際には、そのときも簡素なものにしましょうよねということではあったと思うのですが、やっているうちに、こういう膨大なものになっていったわけで、なぜそうなってきたかの原因をもう1回考えておくことは重要かなと思っておりまして、これは商品が、特約も含めてどんどん複雑化して膨れていったのか、あるいは、保険会社の業務の中で、お客さんからトラブルが生じた際に、あれ書いてなかったじゃないのというふうなことがあって、やっぱり書いておかないと不安ですねということがあったり、監督する金融庁としてどういうスタンスで何かこういうことにかかわっておられるのか。最初は簡素で出発しても、こういう結果になったので、今回新しいものをつくっても、またどこかで膨れていくということがないように、そこら辺をどうすればいいのかなというのを考えておいたほうがいいのかなという感想でございます。

現場のほうはコンプライアンスということもあって、漏れがないようにという発想にとかく立ちがちだと思うのですが、お客さんにわかりやすいものをつくるということとのバランスをどうやってとっていくかという、これは案外難しい話かなと思っております。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

私も、こういう簡素化をしていただくということは重要であると思います。行動経済学でも、過剰な情報があると、結局全部の情報を受け取らないというようなことが、議論されるようになっています。そういう意味で、委員の皆さん方がおっしゃっているとおりだと思うのです。1つ質問があります。今日ご説明いただいた代理店のアンケートでも、例えば保険商品の内容に係る説明が不十分であるという苦情がいっぱい出てきているということのようですが、不十分であるというのは、今まで文書を渡しているけれども読めていないのであって、この新しい文書の範囲で、これがきっちり読めたら、そういうクレームはなくなると理解していいのでしょうか。特約のほうに結構クレームがいっぱい出ているのだと、それへは別の対応がいるということなのか。

つまり、説明が不十分だというところですが、どこが不十分だと金融庁として現状認識されているのかを教えていただけますか。

○洲崎座長

保険課のほうでのアンケートにかかわる話ですね。

○小原保険課長

直接お答えになっていないかもしれませんが、苦情は日々来ておりますけれども、全件私どもでチェックしております。感覚的な物言いでございますが、ほとんどは言った、言わないというところが問題になっておって、ある情報について文書に記載されていなかったということが問題になるケースは、あまりないのではないかと思っております。

○洲崎座長

文書に記載されているということは前提で、その上でさらに口頭で注意を喚起するような形での説明があったか、なかったかという、そこで争いになっているということでしょうか。

○小原保険課長

はい。そういうケースがほとんどでございます。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

それでは、続きまして事務局からご説明をいただいた資料1の1ページから8ページにかけてございます、保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

水口委員。

○水口委員

ありがとうございます。意向把握、意向を踏まえた商品の推奨する義務についての件です。意向把握、意向を踏まえた商品を推奨する義務については、商品とか顧客とか、チャネルなどの特性に応じた対応が可能なものであることが妥当であろうと考えています。

先回のワーキングでいろいろ議論がありましたが、消費者が募集人に求めるものは、大枠でみずからの加入目的やニーズを捉えた商品、サービスの提供であると思うのですけれども、多くの消費者がコスト見合いでどこまでのサービスを提供してほしいか考えるのではないかと思います。

したがって、消費者が感じる効用を上回るコストを伴う形で、保険会社、募集人がサービスを提供することが、消費者利便の向上につながらないケースもあり得るといった視点も踏まえた規制のあり方、保険会社、募集人による運用のあり方を考えることが肝要ではないかと思います。

また、募集プロセスの入り口におけるニーズ把握とか、また募集プロセスの途中とか、最終段階などにおける当初のニーズの振り返りができる仕組みというのは有用ではないかと考えています。こうした仕組みを考察される際には、先ほどもお話ありました募集文書の簡素化についての議論もされている現状の課題認識の観点と整合的なニーズ把握のあり方について、配慮をすることが重要ではないかと思います。

実務に詳しいわけではないのですけれども、具体的なニーズ把握の方法のイメージとして、例えばなのですけれども、ニーズ潜在型商品を販売する生保のコンサルティングのプロセスの開始時に見込み客に提示する設計書に、ニーズの大まかな類型を追記して、先ほども事務局からお示しいただいたような、例えば万が一に備える保障、重い病気とか、介護などに備える保障というような、どの保障について消費者が考察する意思があるかというのを確認する項目を設けるといったアプローチもあるのではないかと思います。

また、損保のようなニーズ顕在型の商品についても、例えば自動車について言えば、車両とか人身傷害とか、顧客が欲しいと思っている補償範囲を確認するようなことができるように申込書に、そうしたチェックボックス的なものを組み込むような措置も想定されるのではないかと思います。

これはあくまで例であるので、実務の実効性とか消費者の意識も踏まえて、具体的な対応についてはこのワーキングの場に限らず、今後、例えば業界の自主規制といったものも対象として検討することが妥当ではないかと思います。

以上です。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

逆の意見になると思うのですが、意向把握書面については、どのぐらいのレベルのものが求められるのでしょうか。ここの6ページの(注1)で、まさにレベル感が非常に多様だから、詳細な項目については自主規制に委ねることも考えられるとございますが、例えば自動車保険が欲しいというときに、最初から自分が欲しい自動車保険の補償の内容が全部わかっている人がそんなにたくさんいるものでしょうか。生保に至ってはもっと複雑だと思いますし、入り口の段階でどこまでのものを書かせるのでしょうか。

また、(注2)の特にマル2についてです。加入の相談を始めてからその後、具体的に補償内容を細かく決めていったときに、当初の意向とどう違ってきたのかというような過程を全部トレースするというと、なぜそうなったかという理由の記載になるかと思います。勧められたから、やはり欲しかったから、とか。

そういう事情を全部1つの形式で記録するというのは非常に難しく、無理があると思いますし、これを法令で規制する書類とするには非常に疑問があります。どうしても何か定めるというのであれば、業界に委ねるということぐらいではないかと思います。それから一番下の※※についてですが、契約の変更・更新について、要は前と同じ内容でいいというのだったら、それで、特段の意向把握はなしでいいのではないかと思います。少なくとも、また同じことを確認しなければいけないような話では全くないと思います。

最初の段階で何が欲しかったのかというところから、その後の流れを把握できるようにするということには、反対はしませんけれど、これを法令に基づく書面にすることには無理があると思います。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

今の意向把握の話なのですが、さっきの流れ図の中でありましたように、一番おしまいの、申し込み手続の直前のところで意向確認という振り返りの確認を、今、意向確認書面を取りつけてやっているという実務があって、これが基本的には、あまり役に立っていないというか、保険会社の免罪符的に使われるというか、そういう、まず向きがあって、そういう意味では、この意向確認を一番おしりの申し込みのクロージングの最後のところで取るのではなくて、最初のほうへ持っていって、消費者が年金保険に入りたいと思っていたのか、保障性の保険に入りたいと思っていたのかというところを、ふわっとでいいからつかまえていくほうが、まだ効果があるのではないかということを考えます。

そういう意味では、例えば意向把握書面という名前の書面がほんとうに要るのかどうかもわからないですけれど、別紙3にあるような記載事項例みたいなものが、この例が適切かどうか、これからさらに販売の場面において営業職員がやるのか、それとも乗合代理店がやるのか、何がやるのかという場面においても、多分少しずつ違うのか。例えば設計書を使う場面と、使わない場面が実際にあったりするから、そういうのは違うのかなと思っていますけれど、原則的なことを申し上げれば、その一番最後に意向確認を振り返り的に取るというところに、あまり利益がないのであれば、それを前に持っていって、むしろ後ろのほうはなくしてしまうという。前に持っていって、意向把握をこのレベルのものをイメージしていらっしゃるとすれば、こういうものを取りつけておいて、ただし意向は当然お話ししているうちに動いたりはするけれど、それのトレースの書面を取ったり、それから最後に申込書というものがあるのに、さらに重ねて意向確認書面を持っていくというのをやめてしまって、一番最初の、あなたはどういう保険に入りたいと思っていました、その前に多少の話は当然あるのだとしますけれど、まともな募集人ならやっているようなニーズ喚起の部分を終えたところでそれを取りつけてというのは、効果があるのではないのかなと思っていて、私は一番最初にこの意向確認書面を取るようになったころに、お話があったときに、当然一番前のところで取るのだと消費者側としては思っていたのだけれど、それが実務に落ちたら、なぜか知らないけれど、申込書を書くというところで、申込書で事実上意向がきっちり決まっているわけなのに、そこでダブルで取っているというところが、非常に重複感があって、そこは今お取りになるのだとすれば、意向把握書面にするのかどうかもわかりませんけれど、意向把握書面として、少なくとも法令に落とすのはいかがかと思いますけれど、そういうものを取りつけることによって、少しでも消費者の誤認を防ぎたいというのがあるのかなと思っています。

ここの部分にそんなに時間をかけてしまうと、実際の募集の場面というのは、直近のいろいろな話を聞いていると、募集の場面というのはそんなに時間をとれませんので、こういう手続的なところでそんなに時間をとってしまうよりは、やっぱり自分が入るべき保険の中身をちゃんと説明を聞いて理解をするというほうに重きを置きたいと思うので、なるべくなら書面を増やすという方向には、ぜひいかないでいただきたいと思います。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

今日は遅刻して参りまして、失礼をいたしました。

今の問題になっております意向把握について、書面かどうかというところは丹野委員のご指摘がありましたけれども、顧客の意向を踏まえて、それに合った商品を売るべきだという、その理念自体には全く異論はないところでございますが、ただ、今回ご提案をされているものが一体何をしたいのかということが、私にはいま一つわかりかねております。

と言いますのは、これをやると何がいいことがあるのだろうかと。今の丹野委員のお話に少し出てきましたのは、おそらく保障が欲しいのだと思ったのに、例えば、いつの間にか投資性のものを売られたですとか、逆に、年金が欲しかったのに、全く掛け捨てのものになってしまったとか、そういう大枠で全然違うものになってしまった、それを防ぐという話は、それはそれでよくわかるのですが、そうすると、それはある意味、金商法にいう適合性の原則に似てきた話になってまいりまして、元本保証が欲しいと言っていた人に対して、投資性のもので元本割れをするリスクがあるものは、そもそも売ってはいけないという方向になっていくのであれば、もちろんご異論のある方もいるかとは思いますが、それはまたそれで理解できなくはないと思うのですけれども、今回ご提案されたもので、後から振り返るという形で、ある意味、効果の薄いものを広く投げかけることは、対処すべきことには対処できないかわりに、あまり問題が起きていないところに無用な負担をかけることになってしまうのではないかという懸念を強く持っております。

問題としては、以前国民生活センターの方がおっしゃっておられた銀行窓販で、銀行で預金だと思ったら保険だったというのは、今と同じような問題かと思いますが、それ以外にあるとすると、まず、水口委員が示唆されておられた、勧誘がしつこいという問題があるかと思いますが、これは意向確認をするというよりも、もう来るなと言われたら、それ以上勧誘してはいけないというようなお話かと思います。もう一つは、最初は保険料を安く抑えようと思っていたのに、いろいろ話を聞いて、こういうことが起きたらどうするのだとおどされているうちに、いろいろと特約をつけてしまって、過大な保険料を払わされてしまうという問題ですが、それは、むしろ最後の段階で、改めて、これだけの保障があるけれども、保険料はこれだけで、この特約は幾らなんだということがわかって、もう1回値段とカバーの範囲を見比べることができるようにするということが、必要になってくるのではないかと思います。つまり、それぞれの問題についての方策というのは本来異なるべきなのではないかと思っておりまして、先ほど阿部委員がおっしゃっておられましたように、一番最初の段階で、例えば自動車保険でどこまでの特約が欲しいのかとか、医療保険で三大疾病だけでいいかと思っていたけれども、介護は要るかどうかとか、そういうことを、先ほどの銀行預金と保険を誤解したというものと同じような手法で規律するというのはなかなか難しいのではないかと感じております。

またさらに、今回ご提案されているのは商品提案を説明の前に把握する、しかも書面を取れということでございますけれども、商品提案、説明というのが、何もしないうちからこれがわかる人というのは、おそらくいなくて、たとえば自動車保険の人身傷害補償保険を何の説明も受けずにわかる一般の方は、多分いらっしゃらないのではないかという気がいたしますが、それを人身傷害補償保険がいいですかということを説明もせずに、まずチェックをつけてもらうということには、おそらく意味はなかろうと思います。

多分それは当局もわかっておられていて、何度か行ったり来たりの説明をやるうちに、どこかの段階で商品提案と具体的な説明というものがあるというご説明なのかとは思いますけれども、そうだとすると、それはどの段階が最初なのかということは非常に不明確になってきまして、どういう項目を確認するのかということを実務に任すというのは結構なことかと思いますけれども、どのタイミングで何をしなければいけないのかという規制の骨格にかかわることを実務に投げるというのは、これは実務がおそらく混乱して、過度に保守的になるというリスクをはらむのではないかと思っております。

ですので、今回のこの形というのが、聞こえはものすごくよく響くわけですけれども、それがほんとうに何かのトラブルの解決になるのだろうか。この資料の1ページに、苦情等を踏まえれば、まだいろいろやるべきことはあるだろうということが書かれているのですけれども、そこで出てきている苦情というものをもう少し類型化して見ていかないと、苦情の件数が、その中身はともかく、それなりに出てきているので、とりあえずいろいろやってみるというのでは、一番対処すべき問題にうまく対処できないのではないかということになるおそれがあるように感じております。

以上でございます。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

これまでの議論の中でも、それを法律に上げるかどうかは別にしまして、販売会員の局面で顧客のニーズを把握をして、それに見合った商品を勧める。結果として顧客がニーズに合致した商品を購入する、これが非常に大事なことで、ここは共感が得られているところだと思います。

現状に、もう既に意向確認書面という制度がありまして、実施されているわけなのですけれども、一方で、悲しいかな、それが形骸化しているのだとか、免罪符になっている、そういうご指摘もあるところでありまして、そういうご指摘はいろいろな意味合いもあるのでしょうけれど、必ずしも的を外れていないのではないのかなと私は思っております。

ですから、私の中では、この意向確認書面を実効性ある形で運用する、その目的は、やはりこの当局が提案されている意向把握書面というのと同じでありまして、顧客の目的やニーズの的確な把握、それに見合った商品を勧める、そういう目的を達成するためにも、この意向確認書面を実効化するですとか、あるいは、今ある意向確認書面という制度を変更していく、そういう必要性というのは感じるところであります。

私はこの前、前々回のときに、それを1つ実効化、要するに免罪符とか言われないために、目的みたいなプリンシプル、原理原則を法令に上げて、金商法の適合性原則みたいな形で、少し抽象的ではあるのですけれど、上げて、保険会社が常に考え続けるということを、今できていないのであれば、それを少しでもできるようにするために、そういうのを上げてはどうかという提案をさせていただいたのですけれども、今般、事務局で考えていただいたのは意向把握をするという、全く新しいことを、全く新しいと言いますか、少し抜本的に変えようというご提案なのだと思います。

事務局説明資料の別紙のところ、別紙の中の別紙2に、保険募集のプロセスというのがあるのですけれども、この下に意向把握書面導入後のイメージ図があるのですが、やはり意向把握義務を導入したら、当然、契約概要、注意喚起情報とか意向確認書面も法令、府令改正に伴い簡素化と書いているのです。当然、全く新しい制度を導入するわけですから、現状までの制度というのに重複感があるところもありますし、だから、ここらまで含めて大幅に変えていこうというご提案かなと思いました。

この枠組み自体は、いわゆる適合性レターのような発想に近いものかなと思いますし、そういうほかも整えた上で導入するというのであれば、外国でも導入している国もあるのでしょうから。私は諸外国の法制の現状を必ずしも詳細には把握はしていない前提での発言ですけれども。ですから全く不合理なものではないと思うのです。しかし、現状からは大分募集の実態を変更していく必要があるのだろうと思います。

いずれにいたしましても、こういうニーズの把握ですとか、それに基づいた勧誘というのをどういう形で実効的に行っていくべきかという、これは1つの提案だと思いますけれども、そういう方向性については賛成でありますし、こういう具体的な形にするのか、プリンシプルの形にするのかは別にして、何らかの形で法律で、そういう方向性というか、原理原則というのを明確化することには、全く賛成でございます。

○洲崎座長

いろいろご意見いただきましたが、顧客のニーズを把握した上で商品提案をするという義務を明記すべきであるということ、それから現状の意向確認書面では、その義務を履行してもらうには十分でないということについては、おそらく皆さんご意見が一致しているのではないかと思うのですが、その義務を履行してもらうための手段として、意向把握書面なるものを法令で定めるということについて、どうもご意見が分かれているようでございますが。

後藤委員。

○後藤委員

今の洲崎座長のおまとめに、ある意味、逆らうような形になってしまうかもしれないのですけれども、現状の意向確認書面で全く問題がないと申し上げるつもりではなく、またそれが最後紛争になったときに、ここに判を押したじゃないかという形で使われることも、もちろんあるのかとは思いますが、それが形骸化しているとか、免罪符に使われるというときに、形骸化とか免罪符という言葉がマジックワードとなってしまっているのではないかなという気もしておりまして、それによって、どういう問題に対処しようとしているのかということを、もう少し具体的に考えておく必要があるように思います。例えば、何となく想像ができますのは、本来こういうカバーが欲しかったのに、それは免責となっているままで売られてしまったという問題。それはおよそ免責でしかあり得ないものなのか、何か追加の料金を払えればカバーしてもらえるものなのかという点での違いはあるかもしれませんが、そういうタイプが1つと、もう1つは、要らないと思っていたカバーを、いつの間にやら追加されてしまっていて、保険料が高くなったという場合。保険会社であれば、できるだけ売ろうとするのではないかなという気がするので、後のほうが多いのではないかという気がいたしますけれども、その場合に、どういうトラブルがあって、どういう形で免罪符として使われてきているのだろうかというところが、いま一つ明確にイメージできていないところがございます。

それとは別に、先ほど申し上げましたような、元本保証が必要だったのに、銀行預金ではなくて、例えば掛け捨ての保険ですとか、変額保険ですとか、そういうものを売られてしまって穴があいてしまった。それは対処すべき問題だろうと思っているのですけれども、それ以外の問題としてどういうものがあるのかというところを、これは丹野委員か、錦野委員か、もしくは事務局のどなたかにお伺いをしたいと思っているところでございます。

○洲崎座長

それでは、今の問題についてということでよろしいですか。

丹野委員から。

○丹野委員

すみません。ご指名されたのでお話をしますが、銀行窓販では確かにこの間、国センの方がおいでになったように、年金保険だなんてことはそもそも知らなかったというような類いの苦情がたくさんあります。それは一定の件数出てくるのですが、では、翻って多分販売ツールにおいて、それがないかというと、それは一定のものがやはりあるのです。それは、すみません、非常に直感でしか申し上げられないで、統計が出せればほんとうはよろしいのですけれど、そんなもの持っていませんので、直感でしか申し上げられませんが、私は介護の保険保障は要らないと申したのに、ついていたとか、それから逆で、介護の保障を勧められたつもりだったのに、だからそれがいいと言ったのに入ってなかったという類いの、それは両方ございます。

両方あるので、そういう意味では、当然のことながら、ある意味ニーズ喚起されなければ、何に入ったらいいかわからないというのが実情ではありますが、そのところで、それに合わせて設計書をつくるのですから、設計書をつくるところで、お客様のニーズはこうでしたねというところを取っておくというのは、少なくとも今、意向確認書面が最後のところで振り返りの場面であるよりは、私は有益ではないのかなと思っています。

と言うのは、今の振り返りの意向確認書面というのは、事実上、申込書で全部担保されています。申込書で担保されているのが、それと別で全く同じものがなぜ要るかと言ったら、その申込書がわかりにくいからなので、そこは申込書の改善の問題でありまして、ダブって要らないだろう。

でも、やっぱりお客様に一定のニーズを掘り起こした、そのニーズに合わせた商品を提供していますよということであれば、ニーズの確認というのをおやりになったほうがよろしいのではないかと思っております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

事務局の資料の1-2、説明資料別紙としてつけていただいているものの別紙、その中の別紙4というところに、意向確認書面の記載事項というのが、これは現状の監督指針を抜き出していただいているのですが、記載されているのです。まず「顧客のニーズに関する情報」、それからイ.のところで、「当該保険商品が顧客のニーズに合致すると考えた主な理由」。本当はウ.というのがあって、ウ.というのは、「その他顧客のニーズに関して特に記載すべき事項」ということで、そこにこの(ア)から(ウ)までが並んでいる。

そういうのが現状の法制で、これは意向把握書面のように勧奨前に取るというのではなくて、契約締結前に取るということなのですけれども、それで、例えばイ.のところで、「主な理由」というのが、一応書きましょうということにはなっています。それから、「特に記載すべき事項」として、ニーズの全部、一部を満たさない場合には、その旨を書けば、お客さんとの間でニーズに合致しているかどうか、あるいは合致しなくても、それでいいかどうかというのを契約締結前に確認ができるわけなのです。

ところが、実務において使われている意向確認書面というのは、この主な理由というところの実質的な記載がないのではないか。あるいは特記事項欄をせっかく設けても、そこに実際に特記事項として書いている例はどれくらいあるのか。私は保険会社に所属しているわけではないので、実際に確認書面の多くの実例を見たことはないのですけれども、現状の意向確認書面のこういうところを、それぞれの販売勧誘にあたる募集人が販売勧誘に従って記載していけば、実効性あるものとして私は機能すると信じてはいるのですけれども、むしろそういうのを記載しないというようなところに、その形骸化の理由というのがあるのではないかと考えております。

では、そこから一歩進んで、こういう書面をつくるのを前に持っていったら果たしてどのようになるのかというのはあるのですけれども、いずれにしても、意向確認書面が形骸化しているという理屈は、そこら辺にあるのかなというのが私の認識です。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

どうもありがとうございました。確かに、ニーズに合致しているかを判断する為に最低限必要な情報が提供されなかったということを堂々と書くということは、あまり考えがたいようには思いますので、その欄の書きぶりという問題があるでしょうし、また、先ほど丹野委員がおっしゃっておられた、余計なものまで押しつけられてしまったという問題については、結局値段を見て、なんでこんなに保険料が高いのだということに気づくことができればよいのではないかと思います。私が見たことのある意向確認書面は、このカバーがあります、このカバーがあります、という形のものですが、カバーがあるということだけ示されると、それはたくさんあってよかったと思ってしまうという可能性があり、そこは、この特約が幾らかということが書いてあれば、そこはもう少し冷静に考えるかもしれないということはあるかもしれないということで、そういう意味で、意向確認書面の情報をわかりやすく、かつ充実させるという問題はあるかなということは、おっしゃるとおりかと思います。

ただ、こういうニーズがあったはずなのに、これを拾ってくれていなかったという問題のほうは、最初では多分具体的なものは出てこないとすると、最初に要求しても、おそらくあまり意味はなくて、もしやるのであれば、全ての話の中で、ここの保障が実は欲しいのだということが真ん中辺で出てきたときに、それも拾ってあげないといけないわけですから、会話を全部録音するのかということになりますが、それはとてもやっていられないとは思いますが、そうしないとすると、やはり効果は薄くなってしまうのかなという気がいたします。

もし、一番最初に取るのであるとすれば、それはやはり大枠として、そんなものは全く要らなかったのだけれども、途中で話が変わってしまったということの対処は、一番最初でやったほうがカバーできるかと思いますが、真ん中の途中の過程の、介護が欲しかったのに入ってなかった、それは聞き漏らしなのか、わざと落とすということは考えにくいように思いますので、多分何かのミスなのかとは思いますけれども、それはこの形で対処するのがベストだとは思えませんし、かえってコストだけがかかってしまうのではないかという懸念だけ持っているということだけお伝えさせていただければと思います。

ありがとうございました。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

ありがとうございます。おそらく私の意見は、一部後藤委員の意見と重なっていると思うのですけれども、ニーズに見合った商品を売るというのは当然なのですけれども、ただ、保険商品の特性を考えますと、今提案された仕組みは最初のニーズと最後のニーズが合っているのかどうかは確認できます。しかし保険商品というのは、ご存じのように、説明を受けているうちに顧客のリスク回避度が変わってくるし、また新しいリスクも発見してくるようなことがかなり多いわけです。したがって、最初のニーズと、締結するときのニーズが合っているかどうかということを比べることが、どのくらい意味があるかと考えますと、保険商品の特性を考えますと、あまり意味がないように思います。むしろ一番最後の時点でいろいろ学習した結果、顧客のリスク回避度も変わり、新しいリスクの認識を受けて、その時点で顧客が納得するかどうかが重要です。もし顧客がその時点で納得しなかったら、イエス、ノーのボタンのうちノーのボタンを押して、もう一度考え直すことができるのです。

最後の段階のニーズの確認が形骸化されているということなので、それが事実としたら、そこを充実させることが、保険商品の特性に合った本当の意味でのニーズに適合することを確認する方法ではないかと思います。

なお最初にニーズの確認を持ってくるというお考えは理解できますし、1つの方法だと思いますけれど、それを実質化しようと思ったら、商品提案、説明と一緒にしないと、実質化できません。もし効率的に確認しようと思うと、チェック方式が適当かもしれませんが、チェック方式だと、コンピューターのソフトのインストールの時と同じで、イエスを押さないと先に進めません。つまり、ノーにしてしまったら、保険に入りたくても入れませんから、イエスにするしかない。そうなってしまうと、本来のご提案の趣旨にかなわないので、今回のご提案については、保険商品の特性を十分に踏まえて考えていただきたいと思います。

○伊野保険企画室長

米山委員からいただいたご指摘は、ごもっともだとは思っておりまして、契約される方が、入る時にしっかりと確認を自分の意向としてできる状態であれば、多分、まさにそのとおりだと思うのですけれど、現実に起こっているのは、思っていたような商品ではなかったと何年も経って気付いてしまうということなので、それは募集人の人だけが悪いというよりは、いろいろな経過の中で契約される方が誤解して、そのままになっているとか、思い込んでしまっていたとかというようなケースもあるのだろうと思います。どっちが良い、悪いということではないのだろうと思いますけれど、その中で、今の契約、申し込みをする段階で確認をするということですと、基本的には同じ時点での意向であったり、申込書ですので、その比較というのが、もし契約される方に思い込みとか誤解があっても、あまり正されることがなく、同じ意識のまますっと通り過ぎてしまうということになっているのではないかと思っておりまして、そういう意味では、別の時点での意向と見比べることがあれば、そこで別にそれが一緒でなければならないという必要は全くないと思います。もし、当初の意向として、ここといって印をつけたものと、実際に契約する内容に若干違いがあるのは、よくあることだと思います。その違いがあれば、あれ、なんで違うのかなと思い返してみるというきっかけを作るという意味はあるのかなと思っております。

そういう意味では、同じ時点で同じ誤解をしていたり、思い込みをしていたりということで気付かないよりは、何らかの気付くきっかけを与えるという意味では、別の時点での意向と契約する時点の内容とを見比べるということには、意味があるのではないかと考えております。

○洲崎座長

ただいま伊野室長から言われたことは、私ももっともだと思います。確かに、自分の本来の意向・ニーズと、実は食い違っているのではないかということに気づくためのツールというものが何かあればいい、それにこしたことはないと思うのですが、ただ、それを意向把握書面ということで定めてしまうと、先ほど後藤委員からご指摘があったように、最初で取るのか、真ん中で取るのかという話になって、これはまさに意向・ニーズというのはどのあたりではっきりしてくるかは、保険商品によっても違いますので、個々のルールで定めるというのは非常に難しいことになるのかなという気もいたします。

ですから、この事務局からの提案でも、詳細な項目については自主規制になることも考えられるということであって、具体的にどこで意向を把握するのかについても、商品によって違ってくるということは十分にあり得ると思うのです。

ただ、そのように法令で具体的に定めることが難しい書面というものを法令で定めるということが、果たして適当かどうかについては、いろいろご意見があるところだと思います。

神戸委員。

○神戸委員

実務家の立場として考えますと、一番重要なのは、最終的な意向確認のところで、ほんとうに加入者が、自分が買う商品がどういうものかということをわかっているかどうかを確認できるようにすることだと思います。その後のクレームにつながるかどうかもそれにかかっている部分が大きいと感じます。今、行われている意向確認が形骸化してしまっていて、そういう機能を果たしていないのであれば、この最終的な意向確認が、もっときちんと行われる仕組みを、まずは考えるのが大切ではないかと思います。

今回検討されている、意向把握というか、意向確認よりも少し軽いニュアンスのニーズ把握を行うというのですと、既存のセールス・プロセスの中でも保険設計書というのは、実務上何回も作り直されています。ただ、作り直す作業がお客様との話し合いの中行われますので、どのニーズに応えて、新しいものが再作成されたかというのがわかりにくいケースも多いと思われます。最初のページから、今回提案する商品の保障額はそれぞれ幾らという一覧表が出てしまうような作りになっていますので、お客様から別に確認したチェックどうこうというのをいただく必要はないかと思いますが、保険設計書の一番最初のページには、お客様のニーズというのがあって、そのニーズに対してこういう商品を今、提案しているということが記載されているといいのではないでしょうか。それを見て、顧客のほうから、ちょっとこれでは違うと言われれば、次の設計書が出されるということが繰り返されることで、顧客の手許には自分のニーズに応えて商品がどう変わっていったかという履歴が自然に残っていくと思います。

あえて新しい書類を作成しないでも、現在用いられている契約概要、保険設計書の内容を少し変更することで、顧客のニーズに応えていったという履歴が残るはずですので、それをもう少し上手に活用するということで対応できるのではないかと思います。

○洲崎座長

ただ、今ご指摘になった保険設計書での対応というものが、事務局としても、意向把握書面の一例になりうるという、そういうご理解なのではないですか。

○伊野保険企画室長

そういうことは十分あり得ると思います。実は、保険募集の現状に照らすと、一番現実的な案なのかなという気もしております。

ただ、我々も実際の実務をよくわかっているとまで言い切れませんので、そこは実際やるときには、そういうやり方でいいのかどうかといったことは、まさに実務をされている保険業界の方々ともよく話をさせていただきながら、内容を決めていく必要があろうかと思います。

今いただいたような案というのは、非常に有効な1つの考え方ではないかと思っております。

○洲崎座長

沖野委員。

○沖野委員

この意向把握書面といわれるものについてなのですけれども、ここでそのような考え方として出されているのは、募集の過程を3段階に分けた上で、その初期の段階でどういうことをするか。さらにはそのニーズの把握ということに着目し、かつ、とりわけ顧客からの情報を適切に引き出すということ、そしてその情報ですとか、考えとかが変わっていく中で、それを明確化していくということに力点が置かれているように思います。

ただ、それが果たしてよいのかというのも気になっております。最終的に購入しようと思うものが、自分が欲しいものであったのかというのは、最終的に確認すればいいというのは、確かにそのとおりだと思うのですけれども、募集の段階での各種の行為規制というのを考えたときに、そのニーズどおりなのかというところの確認だけでいいのかということが気になっておりまして、何らかの書面化等をするにしても、意向がどうであるかということとともに、例えばこの点には特に注意したほうが、自分の中でニーズを固めていくにあたっても適切であるというようなこともあると思うのです。

そして、どういうことを考えているかと言いますと、例えば、打ち合わせ記録のような形でやりとりの過程で適切な確認をしていくということはできないか。今ご指摘があったような設計書というものですと、例えば設計書を提示したということであると、今回はこういうタイプの観点から設計書を交付しました。ただ、やりとりの中でもう少し医療保障が厚いものがいいとか、保険料はこのくらいの幅にしてほしいということがありましたので、次回はそういうものをお持ちしますとか、あるいは配付資料としてこれを配付し、特に条項の何条のここのところにご注意くださいということを申し上げましたと。それは相手方がそのようなことに着目したから、ここを申し上げたということを、例えば1枚紙程度で渡していくというようなことはできないのか。そうすると、例えば先ほどの言った、言わないでもないですけれども、そのような問題にもある程度の解決を与えたりする面もあると思います。

ですから、視点としてはニーズをいかにつかみとるかというだけではなくて、それはおそらく募集等にあたっての情報提供とあわせて、いろいろな方向からだんだんにまとまっていったり、顧客の考え方や理解が深まっていくということがありますので、そのための手がかりになるようなものを考えられないでしょうか。

そうしたときに、この意向の把握書面という、把握という観点から類型化すると、医療保障がいいですか、年金ですか、投資ですかといったものでしたら、そういうものを渡されても、それほど大した意味はないような気もするのです。もう少し具体的なやりとりの中で、どういうところが着目されたのかというものが明らかになるようなものだと意味があると思われまして、着目点を少しずらすことはできないのだろうかと思います。

もちろん、コストの問題などがありますし、それを法令で書くというのは、かなり難しいと思いますので、どのようなことが考えられるかというのは業界でさらに考えていただくということがいいのではないかと思うのですけれども。

土台を覆すようなことを言って申しわけないのですけれども、少し考え方を変えられないだろうかと思います。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

顧客の意向やニーズを把握するということは、それは商売として当然です。本来はそういうことをきちんとしていなくて、余計なものを売っているとしたら、お客さんにとって不満になるわけで、そういう変なことをしている人をマーケットからなぜ排除できないのかという、そういう問題をそもそも扱うべきではないのかなと思います。市場で解決してもらうのが原則ではないのかというわけです。

今回こういう法令で規制をするというのがどんな意味を持つか、十分わからないのですけれども、コストばかりかかって、効果はゼロではないにしても、コスト対効果で考えて、あまり得策ではないような気が、私は直感的にはします。

そもそも本来的に言うと、保険のニーズそのものよりは、ライフサイクルの中で、今保険に入るべきなのか、貯蓄をすべきなのかという、そういうレベルでも消費者の方々は考えられている。実際そういうことを相談に行かれているわけですから、保険はこれだけ入りたいというようなニーズがきっちり決まっているということは例外的であるというような気がいたします。

3番目は、仮に何かこういうことをするとしても、これは各社の自主的な努力でするべきであり、業界のと書いていますが、これこそ販売のところなので、各社の創意工夫で十分ではないのかと思います。私はこういう規定を入れることには非常に懐疑的であるということです。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

なかなか難しい問題なのですが、保険を売る過程で、先ほどからお客のニーズを確認する、それをしながら募集を進めていくということなのですが、ニーズというのは、今いろいろな委員の発言にあるように、お客さんははっきり自分で持っているのは比較的まれで、やっぱりセールスするほうの募集主体からニーズを生み出して、感じさせていく、それがうまいセールスだろうと思うので、要するに、お客さんに自分の意向を確認してもらうということをするにはどうしたらいいのかという観点とともに、進める募集主体の側から、どういう理由でそれぞれのタイミングで、どういう商品を勧めているか。それぞれ何か勧めるには理由があったはずなので、それがほんとうにお客さん本位の理由になっているかどうか。それが本来は募集のプロセスで、損保の商品を売るようなときは一度のセールで全て片づいていくということもあるでしょうし、しかし生命保険の大型のようなものだと、何回かの面談を通じてだんだんニーズが絞られていくというか、商品が絞られていくということなので、本来そういう長いプロセスをたどるものは、そのプロセスの段階ごとの、どういう進め方をしたのかの記録が残ることが望ましいのだろうと思うのです。それを制度化すると、多大なコストがかかるというのですが、どこかでどういう理由が決め手になってこれを推奨したのかということが何か記録に残るような仕組みがあってしかるべきではないのかなと思います。だから、今日議論になったように、最初の段階がいいのかと言われると、確かにそれは断定もできませんねということにはなろうかと思います。

○洲崎座長

吉野委員。

○吉野委員

ご意見、皆様ありがとうございました。1つは、家森先生のように、非常に代理店の方の質がいい、悪いが、もうちょっとマーケットでわかれば、ほかの代理店を使おうということが一般的になると思いますし、特に特定の商品の苦情が多ければ、またそれに対するいろいろなことが。普通の製造業の製造品ですと、パソコンなんかですと、すぐそういうことがわかって、あれはちょっと壊れやすいよという評判がすぐわかるわけですから、何とか保険の市場でもレピュテーションと言いますか、名声と言いますか、そういうものがうまく市場に伝われば、少し違うのではないかと。

それからもう一つは、意向確認書面というのは、やっぱりその時点での意向だと思いますので、将来どうのと言っても、いくら議論しても私はしようがないような気がします。そうであるとすれば、長期の保険でも、途中で自分のニーズが変わったときに、別のいろいろな内容を変更できる保険であるとか、ですから最初から、ずっと最後までそれではない。それから、あるいはある段階で別の保険に乗りかえることができる保険であれば、それぞれのニーズに応じて、またその時点で変わっていけるわけですから、むしろ商品性でもっといろいろ各社に工夫していただいて、それぞれのニーズに合うようにしていただければという気がいたします。

ですから意向確認というのは、もう仕方がないので、その時点と考えるしか、私はないように思います。

ありがとうございます。

○洲崎座長

本日は、もともとはもう一つテーマを用意していたのですが、時間の関係で無理ですので、次回回しとさせていただきまして、この募集に関する行為規制について、ご発言を希望される方がいらっしゃいましたら。先ほど挙手されていた方、川島委員、申しわけありませんでした。

○川島委員

時間もありませんので、神戸委員が先ほどお話しされたこと、私は全く同じイメージを持っていました。やはり意向確認書面の効果を最大限あらしめるには、振り返りを行うということが重要だと思っていまして、振り返る相手先と言いますか、いつの時点の、どのタイミングで、何を考えていたのかということを振り返ることができるような記録があったほうがいいのではないかと思ったところです。

保険設計書ですとか、あるいは打ち合わせ記録でもいいのですけれども、ある1点の定点でなくて、やはり契約に至るまで時間をかけてやりとりをするような非常に高額な商品の場合には、いろいろと考え方が変わるわけで、契約時の納得感ですとか、あるいは正確に内容を理解するためにも、契約者本人の思考の過程をたどっていくことができるような記録をイメージしています。

ただ、そのときに問題なのはコストがかかることだと思いますので、先ほどの設計書をつくるときの営業マンのコメントだとか、打ち合わせ記録、そういったものをうまく活用しながら、後からたどれるようなものを整備したほうがいいのではないか。

そういった意味で、私は神戸委員と非常に考え方が近いと思いました。

○洲崎座長

石川様。

○石川オブザーバー

6ページの注2は、あくまでも例示ということですので、この例示に対してコメントするのが適切かどうかという話はあるのですけれども、実務的な観点から、非常に難しいと思っていることをお話させていただきます。注2のマル2のほうですけれども、2行目の「契約締結前段階で当該時点の意向と当初意向の違いがわかる書面」ですが、先ほどからコメントいただいていますとおり、仮に業界の自主規制ということになったとしても、当初意向というのをどのタイミングか定めるのは非常に難しく、これを統一的に運用するのはなかなか難しいと思っているところです。

もう1点が、契約締結前段階の意向と当初意向を比べるということなのですけれども、当初意向というのをお客様が比べられるようにしておくということであれば、お客様のほうで書類を持っていただくということで済むのですけれども、仮に保険会社のほうで比べる書類を持っておかなければいけないということになりますと、当初意向を把握した書面を保管しておかなければいけない。当然、先ほどからお話がありましたとおり、1回、2回の面談でご契約をいただけるお客様もいれば、3カ月、4カ月、5カ月かかっていただくお客様もいる。中には、3カ月、4カ月、5カ月かかってもご契約をいただけないお客様もいるという中で、仮にですけれども、20人のお客様にアプローチして、1件しかいただけなかったといった場合に、残りの19件の分も、いざというときに備えて持っておかなければいけないというようなコストが発生するということでございます。

このあたり、何かできないかと頭を悩ましているのですけれど、保管というところのコストを軽減させるというのはなかなか難しいと思っているところでして、そういう実務的な問題があるということをご理解いただければと思っております。

以上です。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

時間がないので、一言だけ。すごく難しいということは重々承知をしております。重々承知をして、皆様のご意見も、なるほど、そうだなという部分もあります。ただ、現実の意向確認書面というのは、振り返りの中で有効ではないかというようなお話であれば、それはこんなにトラブルはないはずなのです。意向確認書面が取られるようになって、もう何年もたちます。何年もたちますが、自分の思っていたのと違っていたとか、話が違うというトラブルは、実は全国の消費生活センターにたくさんございます。それはやっぱり意向確認書面の取られるタイミングとか、それから申込書を書く直前の段階だとか、それから事実上めくらチェックだとか、そういう部分があったりするので、そういう意味では、何のためにこれを取っているのかということをちゃんと消費者が自覚しているか。チェックしているかということについて、消費者が自覚しているかということになれば、それは、そういう方もいらっしゃるかもしれないけれど、そうではない方もたくさんいらっしゃるとしか言いようがない。そうすると、やっぱりそういう意味では、そこのところは何らかの工夫をされて、このままでいくのであれば、何らかの工夫をされて、同じようなことを2枚書いたけどみたいなことを消費者に言われないようなことをするべきではないかと、一言申し上げます。

○洲崎座長

時間が参りましたので、このあたりにさせていただきたいと思いますが、意向把握書面、具体的にどのようなやり方で把握するのか、仮に意向把握をするツールを何か用意するとしても、そのやり方にはいろいろなやり方がある。神戸委員からご提案いただいたようなやり方もあるかと思います。

ただ、それが実務的にうまくいくのかどうかということについても、石川様からご指摘がありましたように、また検討する必要があると思いますが、事務局でそのあたりも議論を整理して、また考えさせていただければと思います。

本日は、司会の不手際で、保険仲立人・乗合代理店に係る規制について、全く検討することができませんでした。これは次回回しにさせていただきたいと思います。堀井様にはわざわざ来ていただいたにもかかわらず、どうも申しわけございませんでした。

次回は、時間があれば募集の範囲についても議論をさせていただくかもしれませんが、さしあたりは今回事務局から説明いただいた後半部分の保険仲立人・乗合代理店に係る規制について、これを中心に議論をしていただきたいと思います。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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