金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第14回)議事録

1.日時:

平成25年4月19日(金曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第14回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、委員及びオブザーバーの方々、全員にご出席をいただいております。また、参考人といたしまして、第4回、第7回、第9回、第10回、第11回ワーキング・グループにご出席いただいた保険代理店協議会の堀井様に、本日も参考人としてご出席いただいております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、前回会合において議論を行った「保険募集に関する行為規制の適用除外のあり方」及び「保険商品・サービスのあり方」の取りまとめの方向について確認を行うとともに、第11回会合において議論を行った「保険仲立人・乗合代理店に係る規制のあり方」の取りまとめの方向について議論をしていきたいと思います。

それでは、本日の議題に関しまして、事務局より資料のご説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料のご説明をいたします。右肩に資料1となっております説明資料をごらんください。まず1ページ目でございます。乗合代理店・保険仲立人に係る論点でございます。1ページから3ページの乗合代理店の部分につきましては、3月1日に開催されました第11回の会合でご議論いただきまして、概ね考え方がまとまってきたという状況でございます。その際の資料を改めて整理をさせていただいております。

まず、基本的な認識でございます。複数の保険会社の商品を販売することを認められている主体としては、保険仲立人と乗合代理店が存在し、保険仲立人に対しては、一般的な募集行為に係る規制に加えて保証金供託義務等が課せられている一方、乗合代理店については、一社専属の募集人と同様に、保険会社側の代理店として位置づけられ、保険仲立人のような上乗せ規制は課せられていない。

保険仲立人、保険募集人のいずれも金融庁(財務局)が監督権限を有しているほか、保険募集人については、これを補完する形で保険会社による管理・指導等が定められている。

乗合代理店は、極めて小規模なものから、フランチャイズ形式のものを含め、数百の店舗網を有する大規模なものまで様々なものが存在する。これらの中には、「公平・中立」を標榜し、その取り扱う複数の保険会社の商品の中から顧客のニーズに合ったものを販売するサービスを提供することによって、顧客の支持を集めているものもある。

一方、法律上の乗合代理店の位置づけは、あくまでも保険会社側の代理店であり、「公平・中立」な仲介者として法的に位置付けられているわけではない。

こういう状況を踏まえまして、右側、議論の整理でございます。乗合代理店についても、今般導入する保険募集に携わる者全てに共通して求められる情報提供義務等の募集行為一般に対する行為規制や募集人に対する体制整備が適用され、これに加えて、以下のとおり対応していくことが適当と考えられます。

顧客が乗合代理店による保険募集の法的性質について誤解することを防止するために、マル1乗合代理店は、法律上は保険会社側の代理店であるという自らの立場について説明することを求める。マル2所属保険会社と顧客の間で「公平・中立」であることを標榜するなど、保険会社の代理店としての立場を誤解させるような表示は禁止する。若干、マル2について補足いたしますと、「公平・中立」との表現を一律に禁止するということは行わないが、立場を誤解させる表示を禁止する以上、「公平・中立」という用語の用い方にはおのずと制約がかかってくるということだろうと思います。

次に、その下の丸です。複数の保険商品の比較販売を行い、特定の商品を推奨する場合には、比較可能な商品の範囲を明示するとともに、当該推奨理由を説明することを求めるということです。なお、推奨理由は商品内容の違いに限られず、嘘でなければ、例えば資本関係や経営方針といったことでも構わないという整理でございました。

注1ですが、取扱商品のうち、一部の商品のみを比較・検討する場合には、比較・検討を行った商品の範囲についても、説明を行うことを求める。

注2、顧客から把握したニーズに合致する商品全てを提示・推奨する場合には、「ニーズに合致している」以上の推奨理由の説明は不要。ただし、さらに絞込みを行う場合には、当該絞込みの理由についても説明を行うことを求めるといった内容でございます。

次に、マル2です。保険募集人一般に対する体制整備義務に基づき、比較販売を行う場合は、個別の商品説明を適切に行うことに加えて、適切に商品比較・推奨を行うための体制整備を求める。ただし、乗合代理店の規模・特性等に応じたものとするということで、下の注でございますが、フランチャイズ形式の加盟代理店の募集プロセスについて、一定の質を確保する観点から、フランチャイザーに対してフランチャイジーに対する教育・管理・指導についての体制整備についても、法令上、規定する必要がある。

戻りまして、なお、追加的ルールの導入に伴い、監督の実効性を確保するため、例えば乗合数の多い代理店など一定の要件を満たす代理店には業務に関する報告書の提出を義務付ける等、監督当局が乗合代理店の募集形態や販売実績等を把握するための措置を講じる。

下の丸でございます。手数料の多寡が代理店による商品推奨を歪めていないか顧客が確認する手段として手数料の開示を行うことが考えられるが、乗合代理店による保険の比較販売については、募集人一般に対する行為規制や追加的ルールによって、より直接的にその適切性を確保することが期待できる。

また、手数料を顧客に理解可能な形で開示することは困難であり、結果として誤った情報を与えることになる、手数料の多寡は、顧客ニーズと保険商品が合致しているかどうかや顧客が支払う保険料には直接の関係はない、という意見もある。したがって、まずは、行為規制や追加的ルールの効果を見極めることとしつつ、必要に応じて、乗合代理店に支払われる手数料の多寡によって顧客に対する適切な商品推奨サービスが歪められていないかどうか、当局の検査・監督において検証していくこととする。

保険会社による保険募集人に対する求償については、保険会社による保険募集人への管理・指導の一環として捉えることができるが、保険募集人への規律付けについては、募集人一般に対する行為規制や追加的ルールによって従来よりも強まると考えられることから、保険募集人への規律付け強化のために求償権行使を、行政上、積極的に促す必要があるかどうかについては、これらの規制の効果を見極めた上で、改めて検討する。

以上が、乗合代理店の関係でございまして、4ページからは保険仲立人についてでございます。保険仲立人につきましては、保証金の最低金額の引き下げをどうするのかというところが論点として残っております。さらにご議論いただきたい点についての主なご意見は、ここに書かせていただいたとおりでございます。現状からご説明いたします。まず、保証金の制度についてでございます。保証金の額は、過去3年間に受領した手数料・報酬等の対価に相当する額とされております。最低4,000万円、最高8億円とされております。なお、最低額及び最高額は、保険仲立人が保険募集を行った保険契約により支払われる保険金の額を担保できる額を念頭において定められたものであり、平成7年保険業法の制定当時の統計的に見た保険事故1回につき支払われている保険金の額や海外の例等を参考としているとされております。

保証金は現金等を供託所へ供託するか、代替措置として銀行等の金融機関の保証委託契約によって行わなければならないということになっております。この供託等にかわるものとして賠償保険契約が認められておりますが、その金額は保証金の最低金額である4,000万円を超える範囲ということになっております。

諸外国におきましては、一定の資本の確保及び賠償責任保険の付保を義務付けているところはあるものの、必ずしも現金等による供託制度によって、賠償資力確保を義務付けているものではないようでございます。

5ページでございます。保証金について考える際、参考とすべきものについて、2つほど挙げております。保険仲立人は、登録要件として保険募集業務を的確に遂行するに足りる能力を有していることを前提としております。また、現行においても当局が保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、賠償責任保険でカバーされている部分についても、現金等の供託を命ずることができる措置が講じられております。参考で載せております保険業法292条がございます。

対応案でございますが、以上を踏まえまして、保証金の最低金額の引き下げについては、保険仲立人の新規参入の活性化を図る観点と、保険契約者等の保護の観点を踏まえ、保証金の最低金額を4千万円から2千万円に引き下げるとともに、賠償責任保険で代替することができる範囲について、現行の4千万円以上の部分から、2千万円以上の部分に範囲を拡大する。

一方、契約者保護のために必要がある場合は、賠償責任保険でカバーされている部分についても、現金等の供託を命じることができる法第292条2項に基づき、必要があれば当局が供託金額の積み増しを命ずることで対応することとしてはどうか、としております。

注でございますが、一定期間問題がなかった場合には、2千万円から1千万円を目途に、さらに引き下げを改めて検討してはどうかと考えております。

6ページ、7ページはご参考に、第11回と前回の会合において使いました資料を載せております。保険仲立人に関する規制緩和要望項目を網羅的に載せているものです。説明は省略させていただきたいと存じます。

次に、8ページをお開きください。不妊治療に関する保険サービスについてのものでございます。前回少しご議論がございましたので、改めて考え方の整理をしております。原因が特定できない不妊の治療費を保障する保険については、一定の需要が見込まれるとともに、社会的意義もあると考えられる。

一方で、不妊治療を受けるかどうかについては、被保険者の意思に委ねられていることから、モラルリスクや逆選択などの課題があることや、データ収集が困難であること等が指摘されている。

このような課題への対応として、例えば、契約締結後の一定の期間は保障の対象外とすることや、保険金の給付回数や給付金額の上限を設けることなどが考えられるが、課題に十分に対処するために、どのような措置が必要となるか、更なる検討の必要がある。

なお、こうした検討に当たっては、商品が過度に複雑になり、利用者にわかりにくくならないよう留意する必要がある。したがって、こうした課題に対応した上で、保険会社による実際の商品化・引受が行われる必要がある、という整理をしております。

次に、9ページでございます。以下につきましては、保険募集に関する行為規制の適用除外についてでございます。前回までの議論におきましては、一定の要件に該当するものについて情報提供義務等の適用除外を設けること。本ワーキング・グループにおいては、情報提供義務等に係る適用除外の範囲を設定する際の基本的考え方について議論いただくということとし、適用除外対象の具体的な選定については、実務的な検討に委ねるということとすることについては、概ねご異論はなかったと承知しております。

以下で、改めて適用除外のあり方について、整理をさせていただいております。今回の整理の仕方としては、一般原則も含めて適用除外とするもの、すなわち情報提供義務等が全く適用されないものと、一般原則は適用するものの、具体的なやり方については適用しないという2つに分ける形での整理とさせていただいております。

まず、一般原則も含めて適用除外とするものとして整理しておるものでございます。該当するものとしまして、保険契約者と被保険者が異なる保険における被保険者に対する情報提供義務等のうち、保険契約者に対する適切な情報提供等が行われれば、被保険者に対しても重ねて情報提供等を求める必要性が乏しいと考えられるものがあります。

注1でございますが、なお、死亡保険契約や保険金受取人と被保険者が異なる傷害疾病定額保険の場合には、保険法に基づき被保険者の同意が必要とされておりますので、当該同意の可否を判断するに足る情報が被保険者に提供される必要は当然のことながらあるということでございます。

これに該当する具体的なものでございますが、まずマル1です。被保険者が実質的にも保険料を負担していないものということで、これは被保険者が一方的な受益者であったり、保険料負担、保険金受け取りとあまり関係のない立場にあるというようなものでございます。これは一般原則も含めて適用除外としていいのではないか。

次にマル2ですが、保険期間が極めて短期間で、被保険者の保険料負担額が極めて少額であり、個々の被保険者に対してまで情報提供を求める実益に乏しいというものでございます。

マル3特定のサービスの利用や、特定のイベントへの参加等に伴い、主たるサービス等に付随して提供される保険であって、当該サービスの利用者やイベントの参加者が自動的に被保険者となり、当該サービス等に係る事故等の損害を補填するものというもので整理をしております。このマル3につきましては、前回は、被保険者1人当たりの保険料の額を事前に正確に提示することが困難なものという限定を付しておりましたが、それでは拾い切れないものがあるのではないかというご意見もございましたので、この自動付帯のものについては、提供されるサービスに付随するものというような形での限定を加えてはどうかということで、このような整理をしております。

10ページに、これに少し説明を加えております。特定のイベント・サービス等に付随する保険であり、また被保険者の保険加入に係る選択権がないことから、意思決定が行われないという事情がございます。このため、イベント等の内容とは別に、保険について説明を求める必要性が低いと考えられるだろうということでございます。

注2ですが、なお、適用除外対象の具体的な選定に当たっては、特定のサービス等に自動付帯させることによって、本来は適用除外対象に含めるべきではないような保険が含まれないように留意する必要があると考えております。

次に、2つ目の、一般原則は適用するものの、具体的な細則、説明のやり方については適用をしないもので、これには2つのパターンがあろうかと思っております。1つは、(A)とあります情報提供が実質的に行われれば、それでいいのではないかというもの。次に、その下に(B)とあります団体における自治による被保険者への情報提供等の補完を認めるものというものでございます。

まず(A)ですけれども、情報提供義務を実質化するものとしまして、まずマル1です。保険契約の内容に照らして、契約内容の個別性・特殊性が高いことから、一律の要式によるよりも、各社の創意・工夫により説明を行った方が、顧客にとって分かりやすい説明を行うことができる商品といったものでございます。

注3ですが、顧客が個人事業主であるか法人であるかを問わず、顧客の保険に係る知識が一般的な消費者と比べて豊富と言えないと考えられる場合には、いずれにせよ、一般原則は適用されますので、保険会社・保険募集人に対して、顧客に対して分かりやすい説明を行うことは当然求められるということでございます。

マル2ですが、顧客の支払保険料が少額に留まるものということで、一般に保険商品の内容が比較的単純で顧客の理解が容易であり、一律の要式によることを強制することが過度な負担と考えられるというようなものが、この類型と考えられます。

次に、(B)でございます。団体における自治による被保険者への情報提供等の補完を認めるものでございます。具体的にはマル3ですが、保険契約者と被保険者が異なる保険であって、保険契約者と被保険者の間に一定程度の密接な関係があることにより、保険契約者から被保険者に対する必要な情報提供が行われることが期待されるものでございます。ただし、被保険者に対する情報提供義務に限って、これは適用されると考えております。

このケースでございますが、契約者を通じて被保険者に対する情報提供が適切に行われれば、募集人から被保険者に対して直接情報提供する必要はないというカテゴリーになると考えられます。(A)は、情報提供自体は募集人の方がしっかりと何らかの形でやっていただく必要がありますが、(B)は、被保険者への情報提供は必ずしも募集人がやっていただく必要はなくて、契約者を通じて実質的に行われればいいという違いがございます。

注4でございます。なお、この場合には、保険契約者が被保険者に対して、保険募集人が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供・説明及びニーズ確認が行われることを確保するための措置を講じることを、保険会社・保険募集人に対して求める必要があると考えております。

11ページでございます。これに関連しまして注5ですが、密接な関係ということについて、具体的には以下のものを想定しております。

1つ目は、仮に、保険契約者たる団体が自ら保険者として共済事業を行う場合には、保険業法の適用除外に該当するような団体、これは人数要件による場合は除かれると考えております。

2つ目は、上記以外の団体類別基準に該当するような団体や、構成員と団体との間に、構成員と団体との間の密接性、両者の当該団体保険にかかる利害関係及び構成員となるための要件並びに団体の成り立ち・活動内容と当該団体保険による補償内容の関係性等を総合的に勘案して、それと同視できる程度の関係がある団体といったものが想定されます。

次に(3)でございます。既存契約の更新や一部変更の場合でございます。原則として、その変更内容、例えば、特約を追加する場合においては、その追加する特約の内容のみを説明すれば足りるのではないかと考えております。

最後の丸ですが、また、実務的な検討の結果、上記の考え方に照らして柔軟な対応をする合理性が認められ、かつ、募集規制の潜脱防止等の観点から問題がないと認められる事例が認識された場合には、上記の考え方を拡張して対応するとともに、形式的には上記の考え方に該当するものであっても、これらを機械的に当てはめた場合に、保険契約者等の保護に欠けるおそれのある事例が認識された場合には、適用除外の対象から外す対応をすることとしてはどうかと考えております。

この適用除外については、色々と細かいところについて実務的に詰める必要があると思いますので、基本的な考え方をおまとめいただいて、それに基づいて関係者とよく協議しながら仕分けをしていく必要があるということではないかと考えております。

私からの説明は、以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、梅﨑様より、募集文書の簡素化等に向けた生命保険協会の取り組みに関してご説明をお願いいたします。

○梅﨑オブザーバー

おはようございます。明治安田生命の梅﨑でございます。本日は、ワーキング・グループで報告の機会をいただき、まことにありがとうございます。

それでは、ただいまより募集文書の簡素化・わかりやすさに向けた生命保険協会の取り組みの中間取りまとめにつきまして、お手元の資料の、右肩に資料2と記載してあります資料を用いてご説明させていただきます。

資料の1ページをごらんください。まず最初に、募集文書に関する本取り組みの趣旨についてご説明いたします。これまでも生命保険協会では苦情やご要望などの消費者の声を収集する取り組みや、会員各社に対するアンケートを実施して、好取り組み事例を共有化する取り組みなどを行っておりました。そうしたことを通じて、わかりやすい募集文書を実現するための努力を重ねてきた次第です。

そのような中、当ワーキング・グループにおきまして、募集文書のあり方についてご議論がなされるということでございましたので、その議論の動向も見据えつつ、特に契約概要や注意喚起情報等を簡素化し、わかりやすさをさらに向上させようという趣旨のもと、生保協会として今回の取り組みをスタートさせたという次第でございます。

資料下段のほうに、これまでの主な検討経緯について記載しております。具体的には、11月から検討を開始いたしましたが、今回の取り組みの中において最も特徴的な点といたしましては、資料に下線を引いてありますが、新契約の募集を行っております全39社に対して、契約概要と注意喚起情報の分析をお願いしたということが挙げられます。

また、当ワーキング・グループの丹野委員と錦野委員に加えて、販売者の代表のご意見もお聞きするための有識者会議を開催するなど、検討を進めてまいりました。さらに、生保協会で外部有識者のご意見をお聞きするために設置しております裁定諮問委員会におきましても、先月、本取り組みの中間取りまとめ案を報告させていただいております。

なお、裁定諮問委員会におきましては、当ワーキング・グループの山下委員に議長としてご出席いただいております。

なお、本日の資料は、裁定諮問委員会で報告を行いました中間取りまとめ案の概要版という位置づけになっております。

それでは、次のページをお願いいたします。次のページは会員各社で実施いたしました募集資料の分析につきまして、その概要を取りまとめております。資料上段の分量分布のグラフをごらんください。こちらのグラフは会員各社の分析結果を集計したもので、縦軸に注意喚起情報の文字数を、横軸に契約概要の文字数をとってプロットしたものでございます。こちらにまとめてありますとおり、貯蓄性の単品商品、医療保障性の単品商品、特約パッケージ商品といった商品属性によって分量の分布がまちまちであるということがおわかりになると思います。

また、資料下段のほうに記載しております4つの項目を会員各社に共通課題として分析をお願いしております。1つ目が、法令等において必ずしも求められていない事項が記載されていないか。2つ目が、契約概要と注意喚起情報の両書面間で重複した記載がないか。3点目が、両書面それぞれの中において重複した記載がないか。最後が、両書面においてご契約のしおり・約款と重複した記載がないか。また、それを参照している記載がないかということでございます。

ちなみに、このご契約のしおりと申しますのは、約款の重要部分を図表などを用いてわかりやすくご説明した文書のことでございまして、通常、約款と一体化されており、お客様にお渡しすることになっております。

今般、このような分析課題に39社で取り組むことによりまして、会員各社が募集文書の課題を主体的に認識する機会が持てたのではないかと思っております。

次のページをお願いいたします。資料の左側に記載してありますけれども、今般の分析を通じまして、商品属性などによって分量はまちまちですが、多くのケースで募集文書が相当な分量になっているという課題を改めて把握することができました。また、記載が重複しているということや、法令に定められていない事項も記載されているといった課題を有するケースも多く、簡素化・わかりやすさの観点から改善の余地があるのではないかということも認識されております。

ところで、生命保険の募集につきましては、資料の右側に記載してあるような特徴がございます。例えば、生命保険の募集では、原則としてご契約のしおり・約款を契約申込前に交付いたしております。また、第三者による調査では、契約を検討し始めてから成約に至るまで、平均して3回面談しております。また、1回の平均面談時間が45分から1時間程度ということで、比較的多くの時間をかけて説明が行われているということがわかっております。

このような課題と特徴を踏まえて検討した結果、生命保険協会としましては、資料の下段に記載しているような課題解決の方向性を打ち出すことにいたしました。ポイントはアンダーラインを引いてあります2つの項目です。1つ目が、契約概要・注意喚起情報につきまして、新たに作成方針を策定しようということでございます。

また、もう一つは、既存の契約概要・注意喚起情報作成ガイドラインの記載項目を整理・明確化することに取り組もうということでございます。

それぞれの具体的な内容につきましては、以降のページでご説明いたします。次のページをお願いいたします。まず最初に、契約概要・注意喚起情報の作成方針についてご説明いたします。資料上段の作成方針案と記載してある部分をごらん下さい。まず1つ目に、契約概要や注意喚起情報などの募集文書につきまして、その役割を明確化し、それぞれの役割に沿って記載事項を必要不可欠な情報に絞り込むことによって、お客様が理解しようとする意欲を失わないような情報量とするという基本方針を、生命保険協会として打ち出したいと考えております。

なお、資料下段のほうには、パンフレットやご契約のしおりも含めた募集文書の役割についてお示ししています。例えば、このような形で募集文書の役割を明確化するとともに、作成方針案の下の※1に記載のとおり、詳細な補足情報は、事前交付しているご契約のしおりを参照するという構成にすることによって簡素化が図れるのではないかと考えております。

次に、作成方針案の2つ目ですけれども、書面構成やデザインなどについても配慮して、わかりやすい構成とするという方針もあわせて打ち出したいと考えております。こちらの、わかりやすさ・読みやすさにつきましては、現在検討の途中でございます。こちらは※2に記載してありますけれども、例えば文章の長さや表現方法、1ページの最大分量をどうするかといったことにつきまして、一定の基準を協会として策定したいと考えております。こちらにつきましては、現在、外部のコンサルティング会社とともに検討を進めているところでございます。

それでは、次のページをお願いいたします。課題解決に向けた対応の2点目、自主ガイドラインの項目の整理、明確化についてご説明いたします。今般、募集文書の分析を各社に依頼した際に、簡素化の制約になっている既存の制度などがないかという観点で意見を募ったところ、幾つかご意見が寄せられました。そこで生保協会といたしましては、それらの意見も踏まえつつ、資料に記載してあります3項目について、まず自主ガイドラインの見直しを行いたいと考えております。

まず項目の1つ目でございますけれども、現在、監督指針では、特に法令等で注意喚起することとされている事項については、注意喚起情報に記載する項目とされております。例えば、※印のところに記載してありますけれども、転換・乗換の際の不利益事項につきましては、監督指針や過去のパブコメの回答などを踏まえまして注意喚起情報の中に記載しております。

ただ、一方で転換・乗換の際の不利益事項につきましては、商品をご提案する際に初期段階で説明することが重要ではないかという考えもございますので、各社のご判断で、現在、契約概要にも重複して記載しているというケースが多く見られております。したがいまして、法令上で注意喚起することとされている事項につきましては、監督指針において注意喚起情報に記載すべき事項と決めるのではなく、例えば協会の自主ガイドラインで分類・整理することも容認していただければ、このような重複記載が解消できるのではないかと思われます。これが1つ目の項目の趣旨でございます。

次に、2つ目ですけれども、生命保険協会の契約概要作成ガイドラインにおきましては、その商品に付加することが可能な特約については、お勧めしている契約に実際付加されていない特約であっても、現に付加されている特約と同様の記載をすることになっております。しかしながら、実際に付加されていない特約については、付加されている特約と同レベルの詳しい説明まで求められていないのではないかと思われますので、付加されていない特約につきましては、代表的な事項のみを記載するよう、ガイドラインを改めてはどうかと考えております。

最後に項目の3つ目でございますけれども、生命保険協会のガイドラインでは、協会が指定するADR機関については、契約概要と注意喚起情報の両書面に同じ記載をするということになっております。そこで契約概要では注意喚起情報を参照することとして、記載を簡素化してはどうかと考えております。

以上の3項目が、自主ガイドラインの整理・明確化の具体案でございます。

次のページをお願いいたします。最後に、今後の対応についてご説明いたします。生保協会といたしましては、ただいまご説明いたしました契約概要・注意喚起情報に関する作成方針を新たに策定すること、それから自主ガイドライン項目の整理・明確化の2点について、まず取り組んでいきたいと考えております。ただ、新たに策定する作成方針が、もし策定するだけで終わってしまっては意味がありませんので、各社がそれぞれ把握している自社の課題の解決に向けて創意工夫を凝らして努力していくことで、初めてこの取り組みが実を結ぶことになると考えております。

そこで生保協会といたしましては、一定期間、例えば3年程度かけて、この作成方針に基づく各社の取り組みをフォローアップするとともに、好取り組み事例の共有化を図っていきたいと思っております。

また、会員各社に対しては、定期的にその取り組みについて報告を求めるとともに、消費者モニターやアンケートなどを活用して、その取り組みの検証なども促していきたいと考えております。

こうした形で会員各社を生命保険協会の取り組みの中に巻き込んでいくことによって、簡素化とわかりやすさの向上という基本コンセプトを各社の実務の中に定着させていきたいと考えております。

以上で、協会の取り組みに関する中間取りまとめについてのご報告は終わりにいたしますが、募集文書を見直した場合の効果を具体的にイメージしていただきたいと考えまして、弊社の募集文書につきまして、改訂後の試作品を作成いたしました。本日、皆様のお手元に、その現物をお配りしておりますので、お手に取っていただければと思います。上のほうに「見本」と書いてある文書が今回の試作品でございまして、何も書いてない文書が、現在使われている募集資料でございます。

資料の7ページに、それぞれの試作品について、分量の削減の状況について記載しております。契約概要につきましては、見直し作業を行った結果、文字数が約半分に、A4換算のページ数で、22ページのものが14ページに削減できました。また注意喚起情報につきましては、文字数で約3割削減できました。またA4換算のページ数で、8ページから4ページへと半減ができました。こちらはA3であれば、表裏の1枚におさまる分量になっております。

それぞれの試作品についての詳細な説明は割愛いたしますけれども、分量を削減したポイントといたしましては、先ほどの協会の共通分析課題として掲げました、法令で必ずしも求められていない事項を削減する、また同一書面内や各書面間で重複している記載を削減するということを行っております。

さらに、先ほどご説明いたしました自主ガイドラインの見直しを前提とした記載の削減も一部、とり行っております。こちらの試作品は、あくまで弊社における取り組みの一事例でございますので、その点ご理解いただきたいと思います。

また、商品属性や販売チャネルなどによって、募集文書の分量や内容はまちまちでございますので、各社がそれぞれ作成方針やガイドラインに沿って簡素化やわかりやすさの観点から募集文書の改善に取り組むということが基本になると思っております。

なお、ご留意いただきたいのですけれども、こちらの試作品は簡素化とわかりやすさの2つの観点のうち、特に簡素化の部分について試作品をつくったということでございます。先ほどご説明いたしましたとおり、わかりやすさの観点につきましては、現在、生命保険協会において外部のコンサルティング会社の協力のもと、文章の表現や様式、体裁などの基準づくりを検討しているところでございます。つまり、わかりやすさについては試作品には反映されておりませんので、ぜひその点、ご留意いただければと思っております。

したがいまして、例えば1ページの文字数、行間、文字の大きさといった読みやすさの観点につきましては、今後外部のコンサルティング会社の検討結果を踏まえて対応したいと思っております。

また、当ワーキング・グループでご議論いただいております、例えば意向把握や意向確認の具体的方法などにつきましても、この試作品には反映しておりませんので、その点もご理解いただければと思っております。

そういう意味で、この試作品はまだ完成品ではなくて、あくまで途中段階ということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

以上で、私からのご報告を終わりにしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま梅﨑オブザーバーよりご説明のありました、募集文書の簡素化等に向けた生命保険協会の取り組みについて、先に議論をさせていただければと思います。この点について、ご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いいたします。

水口委員。

○水口委員

ありがとうございます。こうした募集文書の簡素化に係る向上施策、お出しいただいたのは、まだ完成形ということではなく、今後もPDCAを回していくということであると思うのですけれども、よりわかりやすくなっているなという印象です。さらなるご検討を継続していく方針であるということですので、このような試みというのは評価に値するところだと考えておりまして、今後のさらなる成果を期待しております。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。このワーキング・グループの1つの大きな課題である、必要な情報が簡潔でわかりやすく提供されるための保険募集のあり方ということで、この募集文書の簡素化・わかりやすさの検討、これは非常に重要なことだと思います。契約概要という制度が導入された当時から、レス・イズ・モアといって、顧客が理解しようとする意欲を失わない程度の情報量まで少なくしよう、という要請は認識されていたのですけれども、なかなかそれが実現できているとの評価を世の中からいただくことができていなかったところだと思うのですけれども、まずもって、こういう取り組みを生命保険協会が自主的に取り組まれたこと自体に、私自身も敬意を表し、評価しておりますし、また、世の中からも評価されるべきものだと思っております。

内容と言いますか、大きな私の捉え方としましては、この前に損保協会のタスクフォースにも携わらせていただいたのですけれども、損保の場合は、実際に保険代理店さんが保険募集、保険商品の内容説明のために使っているのは、契約概要ではなくて、むしろパンフレットではないかという見方を私はしていたのですけれども、生保の場合は、契約概要とか設計書とかいうのは、実際に販売勧誘の局面で利用されている。また、そのせいもあってか、図表等も既に用いられていて、それなりにわかりやすいというのはあったのです。その一方で、その書面の中に募集の局面ではまず利用しないような文章、そういうものがたくさんあって、しかも重複感ある形であって、そういうものがあればあるだけ、利用者の意識というのは、そちらのほうにも意識をしなければならなくなって散漫になってしまいます。そのような部分を現場では辞書的に、お客さんから質問を受けたときに、それを用いて説明しているらしいのですけれども、それであれば、梅﨑オブザーバーからご説明ありましたけれども、生保の場合は契約のしおりという約款と、それをわかりやすく説明した、なかなかわかりやすい書面だと思うのですけれども、それを利用しながら、辞書的な部分は補えばいいので、そういう部分は削れるのではないかというのが私の印象でした。

お隣の丹野先生と一緒に取り組みに参加させていただいたわけでありますけれども、丹野先生が厳しくハッパをかけていただいたこともあって、2万8,000というのが1万2,000字になった。文字数だけで・・・というところも、もちろんあるのですが、ここはやはり客観的な結果、評価されてしかるべきことだと思います。これまで少なくしようというのは、頭ではわかってはいても実行できなかったわけですし、やはり削るには相当の検証ですとか、また悩みながら、チャレンジしながら割り切りをして削っていこうという一定の判断も必要だったと思いますし、そういう行動をとっていただいた、39社とおっしゃられましたか、協会とか業界の実務者の方には敬意を表したいと思います。

今後、わかりやすさですとか、読みやすさの観点から、外部コンサル会社に検討を依頼してということをおっしゃられていましたけれども、その道のプロの意見を聞いてみるということが非常に有用ということは、この前の損保協会の取り組みの中でも私は実感したところでありますし、ぜひそういうものは積極的に取り組んでいただきたいと思います。

また、契約概要等の作成方針というものを策定されるということですけれども、せっかくこういうチャレンジングな取り組みをしていただいているわけですし、既にその中で得られた経験とか知見というのは既にあられると思います。そういうものを外部コンサルティング会社からの意見も含めて、生命保険業界ですとか保険業界全体で有効活用していくべきだと思います。ですから、その作成方針の中では、わかりやすさというのは永遠のテーマですけれども、細やかな留意点、少し違うだけで全然わかりやすさとか読みやすさですとか、読むことに対する意欲というのは違ってくると思いますので、そういうものも含めて、生命保険協会の各社がせっかくの気づきを共有できるような具体的な作成方針の策定というものを期待しております。

また、百聞は一見にしかずということもございますので、今日の参考資料として見本をつけていただいていますけれども、それをそのままつけろということではないのですけれども、作成方針の中には一定のモデル例みたいなものも、イメージをそういう関係者の中で共有するために付けて頂ければ、より有用ではないかと思います。

以上でございます。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

みこしの片棒を担いだ人間として一言申し上げたいと思います。数年前の保険ワーキングでの宿題だったものが、業界が本腰を入れて取り組んでいただいて、今回、一定の改善方向に結果を出していただいたのだと思っております。

消費者にとって文書の量が非常に多くて、内容もわかりにくかった。募集人も、いわゆる死にページがたくさんありまして、使わない部分がたくさんあるのが現実だったと伺っていますので、各文書の役割分担の明確化と、それから、説明する側にとってもそうですけれども、とにかく読み手である消費者側にとっても負担感をなくしてほしいとお願いをしていたことを、しっかり受けとめていただいたのだと思います。

大変ありがたいことに、募集人の方からも、これなら新人でもベテランでも、自信を持ってこれを使って説明をできるとおっしゃっていただいたというのは非常にありがたいと思っています。そういう形で使われることによって、もっとよくなっていくのだろうと思います。

拝見すると、先ほど梅﨑さまもおっしゃっていましたけれども、まだ完成形ではありません。一目瞭然というわけではないのですけれども、やっぱり山に登り始めて、もう6合目から7合目というところだと思いますので、あとはデザインとかレイアウトとか、さらに頂上を目指して改善を重ねていくことによって、もっとよいものになっていくのだと思っています。

一番ありがたいのは、資料2の6ページ目にありますけれども、生保協会の取り組みというところに、取り組みの左側の下から2つ目ですが、一定期間にフォローアップするのだということがありまして、右側にも各社の取り組みで定期的な取り組み、取り組みの検証ということも書かれました。消費者モニター制度や、顧客アンケートの活用等と書かれました。これは、つくったら、それでおしまいでなくて、さらにブラッシュアップを重ねていって、実際に使っていって、顧客にわかりやすい説明につなげていくのだという意味では、非常に歓迎でございまして、今後も努力をされることを期待しますし、評価をさせていただきたいと思っております。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今回、生保協会の簡素化のお話を聞きまして、前回の損保も含めて、業界の努力に敬意を表したいと思います。

ただ、全体的に危惧されることがあるとしたら、また形骸化してしまうのではないかな、ということがあるのですけれども、ただ、今回PDCAサイクルでチェックするなどの業界側の具体的な取り組みが具体的に組み込まれていますので、形骸化しないようにしていただきたいと思います。

これまでなぜ形骸化するのかということを考えてみますと、保険会社の側にも、監督当局の側にも、あるいは顧客の側にもそれぞれ理由があるのではないかと思います。保険会社の場合は、担当者の事なかれ主義がありますが、担当者が必ずしも一方的に悪いわけではなくて、それを許してしまうような経営風土があって、募集文書を簡素化して募集人が実質的に使えるようにするという正論にもかかわらず、文言を入れなかったことによって何か争いがあり問題が生じた場合には担当者の責任になってしまうような経営風土があるのではないかと思いますが、この辺でこのような経営風土を改めていただきたいなと思います。

監督当局に関しては、プリンシプルベースとは言いながら、ともすれば募集の実質がを見るよりも、一定の基準を満たしているのかどうかということにウエートが置かれがちではないか。これは推測ですけれども。プリンシプルベースというからには、募集の実質を見ていただけるような形で変わっていただきたいなと思います。

最後に、顧客ですけれども、争いの際に、ここの文書に記載がなかったとかいうことを瑕疵として争いをする顧客がいるとしたら、ある意味で、募集文書の簡素化による募集の実質化という正しい方向性を悪用するものでございますから、このような顧客からの言った言わないの争いに対して保険業界は募集の実質化ということで対抗できるように、今後頑張っていただきたいと思います。その結果、今回の方向性が形骸化しないように、もとに戻らないように皆様に頑張っていただきたいと思います。

以上、感想でございます。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

家森委員。

○家森委員

皆さん、褒められているのですけれども、生保の場合は会社の営業職員の方が丁寧に説明されるので、どこが要点になるのかが適切に説明されれば、分量よりもむしろ、これを読んだわかりやすさのほうがより重要だと思っております。無理に4ページにされずに、8ページでもよくて、それよりも、もっと書いていることが一般の契約者の方に読めるよう、専門用語を工夫して言いかえしていただき、たとえば、告知受領権とか書いてありますが、普通の方に告知受領権と言って何のことかなとなると思うので、わかりやすさをぜひ踏まえた上で、最終的なものをつくっていただきたいということを、お願いしておきたいと思います。

○洲崎座長

よろしゅうございますでしょうか。

この点については、おおむね生命保険協会の取り組みを評価するというご意見であったかと思いますが、簡素化・わかりやすさに向けて、これからも取り組みを続けていただきたいと思います。

それでは、続きまして、事務局資料の1ページから7ページにございます「保険仲立人・乗合代理店に係る規制のあり方」の取りまとめの方向性について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

川島委員。

○川島委員

まず結論を申し上げますと、事務局のまとめられた論点について、賛成をいたします。今回、顧客が乗合代理店による保険募集の法的性質について、誤解を防止することを基本にまとめられた内容について妥当であることと、私も気にしておりました有益なサービスが萎縮しないようにするといった配慮も、先ほどのご説明の中で、単に公平・中立という言葉を使わないということではなくて、誤解をさせるような表示を禁止するということですので、一定の配慮がされているのではないかと受けとめました。

それと、手数料の開示等の規制については、まずは行為規制や追加ルールの効果を見きわめることとしておりまして、この点について、手数料の開示の効果がどれほどあるのか、あるいは効果がある一方で、デメリットといいますか、副作用的なものもあると認識しておりまして、こうした取りまとめにしたことについては適当であると考えております。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

私も事務局の提案に賛成でございます。特に一番すばらしいと思うのは、2ページの1つ目の丸のところです。推奨理由の説明ですとか、絞り込み理由の説明。これは一定のアドバイスを行うことを義務づけるといいますか、求めていくものですけれども、やはり顧客がニーズに合った保険サービスの選択を容易にするためには、非常に有用なことだと思います。しかも実際の募集現場においては、おそらく実務においては行われていることだと思います。こういうことが求められる、具体的に明示的な形で求められるようになるのは、極めて有用なことかなと思っております。

一方で、こういう推奨理由の説明等は、本来乗合代理店だけに求められるべきものではなくて、おそらく専属代理店や営業職員にも同じように求められるところはあるのではないか。ですから、そういう面からすれば、法律では乗合代理店だけに対する規制という形でまとめるにしても、それを100%専属代理店とか営業職員に求めるかどうかという議論はあるにしても、行政において監督指針等に記載することで、一定、やはり推奨理由の説明等の要請を専属代理店や営業職員についても確保していていただきたいという意見を持っております。

それからもう一つ、その部分なのですけれども、複数の保険商品の比較販売を行えというところですが、比較情報の提供と申しますのは、保険商品は無形なものですから、目に見えないものですから、そういうものをやはり素人といいますか、必ずしもその道のプロではない一般の利用者が、比較することによって具体的に認識できることとなって、それは顧客等の商品選択に資するもので、極めて比較情報の提供は、利用者利便、利用者保護の観点からも有用なものだと考えております。これまでは保険業法で禁止される、比較情報の提供自体は禁止されていないのですけれども、「誤解させるおそれ」があるものは禁止されておりまして、そこを過度に恐れるというか、ディフェンシブに解することによって、あまり積極的には、保険会社や保険募集人から提供されてこなかったのではないかと思います。それは大きな目で見れば、やはり利用者利便とか利用者保護の両方の観点からも、ちょっと残念なことでもありますし、副次的にはその比較情報の提供が積極的ではないことによって、保険会社間の適正な競争が促進されない、市場原理が働きにくいといったデメリットもあったのではないかと思います。このような比較情報、比較販売についての一定のルール化がなされることによって、比較情報が現状よりも積極的に、有効に利用者に提供されるようになる効果を期待したいと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

私も、この議論の整理というペーパーのまとめ方に基本的に賛成でございまして、特に乗合代理店の典型である銀行や、今テレビでもたくさんコマーシャルが出ていますけれども保険ショップなど、乗合代理店が消費者に接する頻度がたくさんになってきている中で、非常に問題がたくさん出てきている。例えば消費生活相談やADRの現場で、募集人に、たくさんの商品の中からどうしてこれを勧めたのですかとお聞きすると、お答えできない。そんな質問をされたことがないから絶句してしまうのですけれどもね。そのような実態の中では、こういう推奨理由を説明することを求めるとか、それを行うための体制整備をすることを、今回追加ルールとして入れることは、やはり非常に必要なことだし、非常にタイムリーに適切なことだと思っております。

その上で、2点だけお願いというか、ご検討をいただきたいのがありまして、例えば、同じ保険会社の中で転換をするときには、監督指針の中で、転換一覧表と私どもは俗にそう言っていますが、転換一覧表をお客様に見せて、前と後ろを比較して選んでくださいとやることになっています。実際に今、乗合代理店のやっている業務の中に、前の契約を解約して、新しく勧める契約に入るという乗りかえですけれども、乗りかえが非常に行われていて、それで苦情がぼつぼつと顕在化してきている中でいえば、乗りかえについても一定の転換比較表に類するような一覧性のあるものを消費者に提供することが行われると、トラブルが起きないのではないかと考えておりますので、ご検討をいただければありがたいというのが、一つでございます。

もう一つは、このペーパーの3ページ目の一番下のところで、今回、手数料のことと求償のことに関しては、先送りしますよとなっているのだと思いますが、特に一番下の求償に関しては、書きぶりが手数料のところとは、もっと下になっているように見えます。手数料のところは「当局の検査・監督において検証していくこととする」とあるのですが、求償のほうは「改めて検討」と非常にあっさりと捨てられているように見えますので、この辺も一定、当局がフォローをするというような表現を入れていただいて推移を見守るというようにしていただくと、ありがたいのではないのかと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

前回、特にご意見が分かれていたのは、保証金の最低金額の引き下げのところですが、今回は折衷説といいますか、とりあえず2,000万円まで引き下げてはいかがかという事務局案でございますが。

では、後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。

前回も申し上げたことですけれども、結局幾らにするかというのは、正解はないので、平均をとったようなものにするのも一つのやり方なのかなと思います。特に、保証金の最低金額というのは、結局3年間の保険料がその基準に満たないものにどこまで上乗せで積ませるかというので、それは明確な線引きはなかなか難しくて、2,000万でも足りるかもしれないし、足りないかもしれないわけですが、正解がないので、その辺はこの判断でもだめということには、多分ならないのかと思います。

ただ、賠償責任保険に代替することができる範囲の方は、前も申し上げたことですけれども、経営の苦しくなってきた業者が、故意でお客さんのお金を横領したりということがないとは言い切れず、そのときに、事業は手広くやっているので、保証金としては、ほんとうは例えば1億円とかを積まなければいけないのだけれども、現金は2,000万だけで、あとは責任保険でやっていますというときに、横領で故意になりますと、その2,000万しかないということをどうするかという問題があります。苦しくなってきた業者が、そういうことに例えば1件でも手を染めたことが発覚したのであれば、そのときはその業者に対して供託金を積ませるという292条もありますが、苦しくなってくるからこそ、そういうことをやっているのであって、供託金を積むといっても積むお金がないことも想定されるわけですので、おそらくこれの裏側には、これを積めないのだったら、業務停止命令なり、そういうものが控えているということになるかと思います。これらの他の監督の手段も機動的に使っていって、それでカバーされるということかとは思いますので、その辺も含めて、当局が2,000万に引き下げるかわりにそれでやれるというご判断なのであれば、それでもよいかと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

堀井様。

○堀井参考人

ありがとうございます。

質問、意見というよりはお願いに当たるかと思うのですけれども、今後、乗合代理店に対する体制整備等の新たな規制の導入が行われることになるかと思うのですが、少なからず募集実務には影響を与えることになってくると思われますので、ぜひ、実際の運用に当たっては、いろいろそのあたりのご相談に、実際の運用に当たってのご相談には乗っていただければありがたいなと思っております。特に新たな規制の導入の中に、委託型の募集人という形も今回は出てまいりましたので、これは乗合にかかわらず専属にも一定の比率で存在する形と認識しておりますので、そのあたりも、教育、指導、管理等を含めまして、いろいろな影響があるかと思われますので、ご相談に乗っていただければと思っております。

それと並行いたしまして、制度施行前であっても、業界としましては、特に契約者保護に資する取り組みにつきましては、できる限り先行して行っていければと思っておりますので、ぜひその点につきましても、いろいろこれからご相談に乗っていただければなと考えております。

以上です。

○洲崎座長

その点については大丈夫ですね。

○伊野保険企画室長

当然のことながら、色々なやり方等々に応じて義務の履行の仕方も異なってくると思いますので、大枠はここでご議論いただいて、細かなやり方といったところは、それぞれのやり方に合ったようにやっていくということで、では、どこまでやれば満たしたことになるのかといったことは、個別具体的にご相談しながら進めていくことになろうかと思います。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。沖野委員。

○沖野委員

後藤委員がご指摘になった点の、むしろ補足的な意味合いになるかと思いますけれども、この積立金の保証金の引き下げにつきまして、これ自体既にご指摘のあったような、保険だけでは十分にカバーできない部分をこれでということがありますので、やはり慎重なといいますか、徐々に状況を見ながらという方向がよろしいのではないかと私は思っておりまして、このような形がよろしいのではないかと思います。

その際に、引き下げること自体についての担保といたしまして、そもそもの登録要件のところのチェックと、それから必要になったときには引き上げが個別具体的な事情によってできるという措置が設けられているからということでありますが、後藤委員がご指摘になりましたように、保険契約者等の保護のために必要があると認められるときという要件が、どういう場合に発動するのかと考えたときには、かなり何か問題が起こってからであって、事後的なものになると手おくれということも考えられる中で、この制度があるから大丈夫だと言っていいのかといえば、やはりそこには、これだけではない各種の実効的な監督と組み合わせることによってという点が、当然前提としてあるのだと理解しています。この引き上げというか、積み立て増加の措置があるからということだけではないのだという点は、あわせて確認し、またそれが合わさって引き下げを考えてしかるべきではないかということになるのではないかと思いますので、場合によってはそういうことを付言してもよろしいのかと思います。

○洲崎座長

ありがとうございます。

それでは、本議題につきましては、事務局が整理した取りまとめの方向性にご賛同いただく意見が多かったかと思いますので、これをベースに報告書の原案の作成に向けた作業を、事務局に進めていただきたいと思います。

それでは、続きまして、資料1の8ページにあります「不妊治療に関する保険サービスの議論の整理について」です。この取りまとめの方向性について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

では、水口委員。

○水口委員

ありがとうございました。

事務局の資料にも反映していただいているところでありますし、繰り返しになりますが、不妊治療に関する保険サービスについては、モラルハザード、危険選択に関する懸念があるところであって、保険商品設計にとって重要な要件である、信頼性の高い統計データに基づいたプライシングを実施して収支管理を行うことが、なかなかなじまないような特性を有していると考えています。不妊治療に関する保険サービスについては、健全な保険会社の経営の核となる信頼性の高い統計データに基づく収益・リスク管理などに大きな課題があって、十分に慎重に検討すべきであると考えておりますので、こうしたことが可能となるような対応を期待するところであります。

以上です。

○洲崎座長

川島委員。

○川島委員

1点、質問です。前回欠席したので、その点の確認ですが、前回の取りまとめ、整理の中で、保険会社が不妊治療費を補填する保険を引き受け可能とするという文書がありまして、あれは今回撤回したということでよろしいのでしょうか。それとも、その上で今回こうした整理をしたということなのか。そこだけ確認をさせてください。

○伊野保険企画室長

前回は、可能とすると先に書いていたものですから、どうも当局として何が何でもやるぞという強い意志を示したという誤解を与えたようなところがございましたので、あくまで、そもそも制度的にどうであろうと、商品認可のところで、商品としてリスク管理がしっかりできるものとして出てこないと、当然認可されません、そういう意味では、まずはこういった課題を解決した商品設計を各社に工夫していただく必要があるだろうということを、まずは前面に出させていただいたということでございます。こういった課題をクリアして商品設計をやっていただけるようであれば、当然制度はついてくるということですので、基本的に、何かここで、不妊治療の保険商品というものができないとかいうことではなくて、あくまで基本的にはやることは有意義でしょうけれども、課題としてはこういうところをクリアしていただく必要がありますね、という書き方に直させていただいたということでございます。そういう意味では、できるとするという方向性自体を撤回したものではないということでございます。

○洲崎座長

では、川島委員。

○川島委員

どうもありがとうございました。前回の趣旨はそのまま踏まえているということで受けとめました。

そもそも今回の議論は、第1回目の会合で、明治安田生命の梅﨑さんから、少子高齢化社会における生命保険事業の今後の取り組みの方向性という中で、不妊治療を保障する商品の提供が認められれば、安心して治療に専念できる環境の整備に貢献できるということが発端であったと理解をしておりまして、ぜひその方向性が成就するように、各業界、各社でのご努力に期待するところでございます。

少し話がそれてしまうかもしれないのですが、企業において、これは明治安田生活福祉研究所が、2008年に、企業の福利厚生制度のあり方についての調査をされておりまして、企業が福利厚生として不妊治療費の補助制度を既に導入しているのが、調査対象の回答のあった中で1%。これは非常に低いとは思うのですが、ただ今後、新設・拡充したいという企業が5%でありまして、5%が高いか低いかは別にいたしまして、そうした取り組みを企業が行っていく方向性は確認できるのではないかと思います。

今回この中での議論では、個人が加入する点に着目をして議論が進められてきましたけれども、例えば今申し上げたような、不妊治療費の補助に取り組む企業をサポートするような形での金融商品のあり方ということでの検討も、意義があるのではないかと思っておりまして、そうした点もぜひ期待したいと思っております。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

このワーキング・グループの大きな目的の中に、時代の変化に伴う新しいニーズに対応していきたい、そういう保険商品とかサービスのあり方を検討していこうと。これは大きなテーマでありまして、その一つの具体例が、不妊治療に関する保険サービスであったと思います。これについては一定の需要が見込まれるとともに、社会的意義があるものだという共通認識は、このワーキングの中でもできたのだと思いますし、またそのためにクリアすべき課題も明らかになったと思います。これは各委員の中で、喧々諤々の議論をして得られた共通認識であって、こういうものが報告書に書かれることは、一つの前進だと思います。私は、これは導入したほうがいいという意見をもともと持っていましたし、しかも性格的にちょっとせっかちな部分がありますし、あるいは、まだ人間として未熟なところもありますので、この前は施行規則改正について先送りするのであれば、議論した意味がないのではないか、みたいなことを申し上げてしまったのですが、冷静に考えてみるとそんなことはないと思いますし、その発言についてはおわびの上撤回したいと思います。一方で、社会的ニーズに対応する際に求められる速度は、こういう情報化社会の中で従来では考えられなかったぐらい、ほんとうに高度に迅速な対応が求められているようになっているところでございます。これは、このワーキングとしての意見としてほしいというものではなくて、私の立場といいますか、私はこれを導入してほしいという意見を持っておりますので、そういう立場からの発言ではありますけれども、当局におかれては、できる限り早く、ここに書いていただいている課題に十分に対応するために、必要な措置について検討の上、結論を得ていただいて、速やかな制度的対応を行っていただくことを、個人的には望みたいと考えているところでございます。

以上でございます。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

この不妊治療に関する保険のニーズがあり、少子化問題にある程度貢献するであろうというご意見にはもちろん賛成ですが、今回募集文書が増えてしまってどうしようという議論になっていることの一つの背景として、保険に関して入り口規制よりも出口規制のほうがだんだん強くなってきているという流れがあり、文書の内容として、あれもこれも入れておいたほうがいいのではないかということがあるような気がしております。私自身の感覚的なものかもしれませんが、不妊治療に関する保険についても出口規制のところが非常に厳しくなる可能性が高くなることが予想されるのに対して、加入者は当然保険に入っていれば、治療に対してまず間違いなく保険金がもらえるだろうと期待して加入するでしょうから、出口規制が厳しすぎると、払う、払わないの問題で大変トラブルが発生しやすい保険になってしまうような気がしています。

また信頼に足りるデータがない中で、ビジネス的にどう対応しようかということになると、今現在もそれに近いような医療保険も存在するようですが、最高でも100万円の保険金を得るために、120万円の保険料を払うことになるといったような商品が出てくる可能性もあるでしょう。そういうタイプの保険商品もまた、クレームにつながる可能性が非常に高いと思われます。

それらを考えると、不妊治療の保険については、入り口規制に関してきちんと検討した上で、窓口を開かないとまずいと私は思います。前回の議論で、入り口を開けないと、真剣に議論がなされないのではないかというお話もありましたが、保険会社各社の競争が激しくなる中で、マーケティングにしても商品開発にしても、とりあえずダメと書かれていなければやってみようと考える会社も出てくるでしょうから、早いうちからチャレンジがたびたび行われるような可能性もあると思います。前回、金融庁さんがきちんと管理監督するイメージをお持ちなのかという部分もお聞きしたいと思ったのですが、入り口の規制方法についてしっかりと議論し、問題をクリアしてオーケーだということで窓口を開かないと大変なことになるのではないかと考えております。

以上です。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

前回も申し上げましたけれども、皆さんがおっしゃられているように、需要があることは、ある意味では間違いない。それから、少子化対策「三本の矢」に不妊治療が既に挙げられているという現実もある。だから非常に世の中の耳目を集めるというか、関心があることは、非常にそうだと思います。ただ業界のご発言を聞いていると、商品化が簡単なのだろうかとか、検討する予定がほんとうにあるのだろうかという部分でも、非常に「ん?」という、耳を傾けるような部分が実はあって、そういう意味では、やりたい会社が出てきたときに入り口をあければいいと前回申し上げたのは、入り口は施行規則レベルですよね。だから当局がその気になれば、あけることが別にそんなに難しくないだろうと思えば、ここの書きぶりでいうと、「こうした課題に対応した上で、保険会社による実際の商品化・引受が行われる必要がある」というところでとどめておいて、これが既に入り口をあけることだと読めるとすれば、それはちょっと違うのではないかという気がします。特に、「利用者にわかりにくくならないよう留意する必要がある」というのは、要は利用者に誤解をさせるな、期待に沿わないような商品にするなという意味でしょうから、そこら辺も考えれば、ここの文章の解釈でいえば、私は、やりたいという会社、ほんとうにやれますよという会社が出てきて、それがちゃんと一定の継続的にそういうことができるというときに、入り口をあければいいというスタンスは変わらないような気がします。

○洲崎座長

今回の表現は、今、丹野委員がおっしゃったような趣旨かなと、私は理解しております。いろいろな解釈が可能なのかもしれませんけれども、前回の事務局のまとめは、先ほど伊野室長からもお話がありましたように、事務局側で前向きに踏み込んだととられかねない表現だったわけですけれども、それを少し、多少マイルドにしたというか、今回はそういう表現になっておりますね。

家森委員。

○家森委員

もともとこの不妊治療が保険の対象になり得るかどうか、それは疾病ではないから云々というのが問題になって、それを新たに入れるかというのが、そもそもの議論だったと思うのです。そうすると、現状は、保険技術的にはこれの保険を引き受けるのは不可能、あるいは、我々の知っている保険技術では今のところは難しいということなら、そもそも保険の対象にできないということにしてしまうのか、それとも、潜在的には我々は未知だけれども、近い将来に保険技術的に可能になるかもしれないということで、そうした商品を設計ができれば門戸は広がる可能性があるということで、そういうものも含めて門戸が広がったと考えていいのかという点をお尋ねします。さきほどおっしゃった可能性は広がるというのは、そういう説得的な保険技術的なものを持ってくれば大丈夫という意味でしょうかという点について、質問をさせていただきたいのですけれども。

○伊野保険企画室長

整理としては、保険の商品としてはあり得る商品でしょうと。ただ、今の法制上は、文言上は認められていないと解釈できますので、保険としては成り立ち得るものであることを確認するとともに、その議論の中で、一方で商品として設計するに当たっては難しい課題があるので、クリアすべき課題としてここに載せておりますような、モラルリスクや逆選択の問題をクリアできる商品設計にし、かつ複雑にならないように考える必要があるでしょう。そういう問題がクリアされれば保険商品としては成り立ち得るものであるし、制度的にもそこはクリアした上でやっていけばいいのではないかということだと思っております。そういう意味では、保険商品としてはあり得るけれども、現行制度上、文言上はできないことになっているので、課題がクリアされれば、その法制上の問題点は、できるように変更してもいいのではないかということではないかと思います。

○洲崎座長

今、伊野室長がまとめていただいたことを、このワーキングで議論して、この点については了承が得られたのだというようなことを、報告書で書かせていただければということかと思います。

では、五十嵐様。

○五十嵐オブザーバー

今のお話で十分理解させていただいたところですが、特に少額短期保険については、これまでも、ここでも何回かご説明のとおり、非常に潜在的な保険のニーズといいますか、ニッチな分野を開拓して、それをヒントにしていろいろな商品をつくってきております。たまたま気づいたヒントといいますか、材料が、現行の法律の枠組みに入っていれば、こういう場で議論をせずに個別の商品審査ということになっておりまして、たまたまそれが枠の外に入ってしまっていると、そこで明暗が分かれてしまうこともあろうかと思います。例えば今、家森先生もおっしゃられたところにもつながるのですが、たまたま法律に書いていないけれども商品としては十分成り立ち得るということであれば、ぜひそういうことは前向きにご検討いただけたらありがたいと思いますし、法律に書いていないのは、実はこういう問題があって、だから認めていないということであれば、それはそれでもちろん当然のことだったと思いますので、この不妊治療の保険に限らず、そういう新しい保険のニーズのときに、そういう観点でいろいろまたご議論いただけたらありがたいなと思っております。

以上です。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

ちょっと今の点で、念のため確認させていただきたいのですけれども、法律上できないようになっているが、今回商品としてはあり得るのでということの意味ですが、私は法律に詳しくないのですが、例えば、生保の定義は、偶発性云々は保険法で定義されてありませんが、損保の場合は偶発性が定義されています。さきほどのご指摘は、偶発性が定義されている損保であっても不妊治療のような偶発性が疑われるものを取り扱うことができるようにするものと解釈してもよろしいのですか。それともこのような解釈はおかしいのでしょうか。

○伊野保険企画室長

すみません。ちょっと保険法について、詳細は確かでないですけれども、基本的には第3分野と位置付けておりまして、前回の資料にあったかと思いますが、第3分野の書き方は、法律では人が疾病にかかったこと等の理由により一定額の保険金ないしは損害を填補するというものでございまして、その疾病というところで、疾病類似で府令で定めるものはできることになっております。その中に、疾病では不妊は必ずしも今の認識ではないと思いますので、入っている必要があるのですが、今は入っていないのでできないという解釈をしております。そういう意味で、府令の中で不妊治療に関する保険を入れるかどうかというのが、法制上は問題になってくるというものでございます。

○洲崎座長

病気にかかることについても偶然性は認められると思いますので、これを損害保険契約として構成することも可能だとは思います。

では、梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

私から、前回までの補足になるようなことをお話しさせていただければと思います。皆様からいろいろご意見をいただき、ありがとうございました。繰り返しますけれども、皆様からご意見をいただいたとおり、実効性のある危険選択方法や、データが不十分であるといった課題があることは、十分、認識しております。また、商品開発につきましては、前回もお話ししましたとおり、基本的には各社の経営判断事項でありますので、一般論の話はできないのでございますが、報道等いろいろなされておりますけれども、個社として考えた場合、仮に検討を開始したといたしましても、課題を解決して実際に販売に至るまでは、かなり時間がかかると思っておりますので、その点についてはぜひご理解をいただければと思っております。

以上です。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

どうもありがとうございます。それでは、この議題につきましても、8ページのような事務局の整理については、前回のような異論はなかったように理解いたしております。したがいまして、8ページのような整理をベースに、今後、報告書の取りまとめに向けた作業を事務局に進めていただいてはどうかと思います。

それでは、続きまして、資料1の9ページから11ページにあります、「保険募集に関する行為規制の適用除外について」の取りまとめの方向性について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

後藤委員。

○後藤委員

どうもありがとうございます。

前回いろいろ申し上げたことを、うまくすくい上げていただきまして、どうもありがとうございます。前回の整理よりも格段にわかりやすくなったのではないかとは感じておりまして、基本的にこれでいいのではないかと思っております。ただ、少し思いますのは、例えば10ページの、一般原則は適用するけれども、具体的細則については適用しないという中で、(A)のマル2がございまして、「顧客の支払保険料が少額に留まるもの」というところがございます。その括弧の中で、趣旨としては保険商品の内容がかなり単純で、そんなに難しいものではなくて、そうすると、そこで紙を何枚も配ってということをするのは、かえって過度な負担になるのではないかというところで、それの一つの代理変数として、保険料が少額かどうかということを使っておられて、確かにそういうこともあるかなとは思うわけですが、前回私が例に挙げさせていただいたような、例えば家電量販店で壊れたときの保証を掛けるというときに、おそらく保険料は何を買うかによって多分変わってくる、例えば非常に大きな液晶テレビを買いますと、もとの商品の値段が高ければ保険料が上がってくると思います。かといって、「少額」というときの額を引き上げていくと、そこの中にはいろいろなものが入ってきてしまうでしょうから、保険料が少額にとどまるという基準は一種のセーフハーバーとして、これ以下の金額であればいいでしょうというものはあるのでしょうけれども、それと同じような保険ではあるのだが、たまたま目的物の価値が大きいので保険料の額が上がってしまうようなものであっても、それでも保険商品の内容は単純で顧客の理解が容易であるというものは存在するでしょうから、そういうものは、11ページの一番下の丸で適宜拾われるということなのかなと考えております。そこまで行くと非常にうまい整理かなとは思っているのですが、その辺も、結局具体的な商品ごとの問題になってくるでしょうから、そこで適宜対応されるであろうということを踏まえまして、この整理でよろしいのではないかと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

私もこのまとめでわかりやすくなってよいと思います。特に10ページのマル1の(注3)の書きぶりは、このようにしたほうが望ましいと思っております。

加えて、11ページの最後の丸ですが、これもやはり今後の議論の中で、実務的な検討を行う中で当然あり得ることであると思いますので、このようなまとめ方でよいかと思います。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

どうもありがとうございます。

私も非常にわかりやすい整理で、これは大賛成なのですけれども、確認といいますか、細かいところではあるのですが、10ページの(2)の(A)のマル1、今、阿部委員がおっしゃられた部分です。「契約内容の個別・特殊性」という観点からアプローチをされていて、そういうものについては「一律の要式によるよりも各社の創意・工夫により」というアプローチも当然あり得ると思うのですけれども、私のイメージとしては、(2)の(A)のマル1は、事業性の保険といいますか、ビジネス社会で利用する保険については、金融監督行政は利用者利便と利用者保護の調整をどううまく線引きするかということだと思うのですが、やはり事業分野とかビジネスのところは、利用者保護よりも利用者の利便性を優先してもいいのではないかという価値判断のもと、ここはビジネス、事業的なものについて、契約内容の個別性・特殊性が高いようなものについての記載かなと。まさに消費者向けの保険商品についての記載ではないのではないかなと理解はしておるのですけれども。ですから提案としては、一つは個人事業主か法人であるかは、なかなか議論があるので書かないにしても、事業性の保険商品かどうかというメルクマールは示されたほうがいいのかなという、これは私の意見でもあります。

それからもう一つは、このマル1が、考え方によっては個人の、これは質問ですけれども、個人消費者に対する保険商品に係る募集文書であっても、個別性・特殊性が高いものについては、これが適用されるのだという考えもあろうかとも思いますが、そこまでを想定したものなのか、事業性に限ったものなのかというところを、ちょっとご質問というか趣旨の確認をしたいと思います。

○伊野保険企画室長

ここでは、基本的な考え方をおまとめいただくということだと思っております。そういう意味では、個別性・特殊性が高いという点を捉まえて、一律の要式による必要がないのではないかということで考えておりますので、概念的には、個人の場合でもそういうものがあるのであれば入ってくるのだろうとは思いますけれども、一般的に個人向けの商品で個別性・特殊性が高いというのは、想像するにはないのではないかと。そこまでのコストをかけて個人向けに商品をお出しになっている保険会社はないのではないかと思います。そういう意味では、個人向けの場合は通常はマス商品として自動車保険や火災保険でありますので、あまり、現実問題としてここに入ってくることはないのではないかと考えております。理論上はあり得るとは思いますが、あまりないと考えております。

それと事業性の保険は、個別性・特殊性が高いという概念に入ってきやすい部分だと思いますが、今後考えていく中で、例えば自動車保険については、個人事業主に対しても、一般の個人にやっているものとほとんど一緒ですということであれば、そんなに個別性・特殊性は高くないということかもしれませんが、同じ自動車保険の中でも、特殊な車両についての保険は、やはり個別性・特殊性が高いことになると思います。そういったところを、今後、複雑なものが多くあると思いますので、時間をかけて仕分けをしていく作業が必要になってくるのだろうと考えております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。よくわかりましたし、こういう表現でも結構かなと思います。

○洲崎座長

よろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。本議題につきましても、事務局が整理した取りまとめの方向性にご賛同いただく意見が多かったと思いますので、これをベースに報告書の原案の作成に向けた作業を事務局に進めてもらいたいと思います。

そういうわけで、ここまでの議論を総合いたしますと、結局、当ワーキング・グループにおける全てのテーマに係る取りまとめの方向性について、おおむね合意が得られたと思いますので、ここまでの議論をもとに事務局に報告書素案の作成をしていただきまして、次回の会合におきましては、当該素案について議論をしていきたいと思います。

今日はちょっと早いですけれども、今まで毎回2時間半以上も議論をしてまいりましたので、今日はここで、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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