金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第15回)議事録

1.日時:

平成25年5月17日(金曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第15回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、川島委員がご欠席となっております。なお、川島委員より、書面で意見が提出されておりますので、お手元に配付させていただいております。

なお、電車の事故等で若干おくれておられる方がおられるようですけれども、議事に入らせていただきます。

本日の議事ですが、「保険商品・サービスの提供等の在り方」について、これまでの議論を踏まえ、とりまとめの審議を行いたいと思います。

それでは、事務局より報告書案の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

では、報告書案について、ご説明をいたします。お手元に、新しい保険商品・サービス及び募集ルールのあり方について(案)というものをお配りさせていただいております。まず、全体でございますが、「はじめに」「おわりに」というもの以外では、全体として1.保険商品・サービスのあり方について、2.保険募集・販売ルールのあり方についてという諮問事項に沿った形で全体を取りまとめております。

まず、2ページの「はじめに」についてでございます。ここにおいては、諮問の内容と、その問題意識について書かせていただいております。我が国における少子高齢化の急速な進行などの社会経済の変化を背景に、国民の保険に対する新しいニーズの出現や多様化が進んでいる。保険の販売形態についても、いわゆる保険ショップ等の大型代理店やインターネット等の非対面販売を始めとして多様化が進展している。

こうした変化を受けて、少子高齢化の進展等に伴う新たな顧客ニーズに対応して、保険会社等がより幅広い保険商品やサービスを提供するとともに、販売形態の多様化等に対応した、保険の募集・販売等に関するルールを整備する必要性が、これまで以上に高まっている。このような状況を踏まえて、保険商品・サービスのあり方、保険募集・販売ルールのあり方について、審議をお重ねいただきました。

次に、3ページでございます。保険商品・サービスのあり方についての部分でございます。ここにつきましては、新サービスや新規事業を解禁した際の利用者に対する影響や、保険会社の業務の健全性等に与える影響にも留意しつつ、多様なニーズに対応できるように必要な見直しを行うことが適当であるという整理をしております。

具体的には、不妊治療、保険金の直接支払い、業務範囲の見直し、共同行為制度の活用といったものについて、それぞれ記載をさせていただいております。

まず、不妊治療に係る保険については、不妊という事由の発生には偶然性が認められるなど、保険の対象となり得る要素を備えており、また、社会的意義もあると考えられる。一方、不妊治療を受けるかどうかについては、被保険者の意思に委ねられるため、モラルリスクや逆選択の問題への対処が必要であり、商品開発に当たっては、こうした課題への対応が必要である。こうした課題への対応について、実務的に更なる検討を行った上で、実際の商品開発・引受が行われることが適当であるという整理をしております。

次に、保険金の直接支払いについてです。これについては、もともとは現物給付型保険について議論を始めさせていただきましたが、実際にニーズや要望を踏まえますと、現行法でも禁止されていない保険金の直接支払いにより顧客サービスの充実を図ることが可能と考えられるため、直接支払いサービスが可能であることを明確化するとともに、現物給付の解禁については将来の検討課題とするということで整理させていただきました。

なお、提携事業者の紹介等に対する顧客の期待を保護する観点から、提供されるサービスに関する情報提供や、提携先の業務のチェック等を保険会社に義務づけることが適当であるという整理をしております。

次に、6ページからの業務範囲の見直しです。保険会社や子会社の業務につきましては、従来認められているものに加え、既存サービスと関連性や類似性がある業務や、一体的に提供することで利用者利便に資するものについては、保育所の運営業務も含めて認めて差し支えないという整理をしております。

次に、7ページからの共同行為についてです。保険組成に必要なデータ蓄積のないリスクに係る保険について、データ収集等のために共同行為を認めることについて、さらに実務的な検討が進められることが適切であるという整理をしております。

以上が、1つ目の「保険商品・サービスのあり方について」でございまして、8ページ以降で「保険募集・販売ルールのあり方について」の整理をしております。まず、基本的な今回の見直しの考え方としまして、保険募集に係る規制の再編成についてまとめさせていただいております。現行の保険業法における保険募集に係る規制は、保険会社、保険募集人に対する一定の行為の禁止と、保険会社にかかる体制整備義務から成り立っております。

保険募集の規制のあり方を、販売チャネルの変化をはじめとする募集実態の変化に対応できるように、1つとしては、情報提供義務等、保険募集全体に通じる基本的なルールを法律で明確に定めるということ、もう1つとして、保険会社を主な規制対象とする現行法の体系を改め、保険募集人自身も保険会社と並ぶ募集ルールの主要な遵守主体とする法体系へ移行する必要があるという基本的な考え方を示しております。

次に9ページで、保険募集の基本的ルールの創設ということで、意向把握義務や、情報提供義務について記載をしております。国民が自身のニーズに合った保険を選択し、それぞれが備えるべきリスクに的確に対応することができるようにするため、保険募集について、顧客の意向を把握し、顧客のニーズに合った保険商品を勧め、顧客の意向に合った保険商品であることを確認した上で契約を締結する義務と、顧客に提示する保険商品に関する情報提供義務を導入することが適切である。

次に、意向把握義務としましては、保険会社及び保険募集人が保険募集を行う際に、保険会社又は保険募集人は顧客の意向を把握し、当該意向に沿った商品を提案し、当該商品について当該意向とどのように対応しているかも含めて分かりやすく説明することにより、顧客自身が自らの意向に沿っているものであることを認識した上で、保険加入できるようにする必要がある、との趣旨の義務規定を法律上設けることが適当である。その際、顧客ニーズを把握するための具体的な手法については、商品形態や募集形態に応じて、保険会社、保険募集人の創意工夫に委ねることとし、法律上は上記の考え方を一般的義務規定(プリンシプル)として規定することが適当である。一方、達成すべき目標水準を統一する観点から、「全商品・募集形態を通じて満たすべき水準」を監督指針において示すことが適当である。さらに、実務における対応方針を明確化する観点から、主な募集形態について、当該「プリンシプルを満たすための具体的な方法」として意向確認も含めたプロセスの例示を監督指針において併せて設けることが適当である、という整理をしております。

次に、11ページから、情報提供義務について記載をしております。保険業法においても、保険会社及び保険募集人が保険募集を行う際に、顧客が保険加入の判断を行う際に参考となるべき、商品情報その他の情報の提供を行うことを義務づけることが適当である。また、契約概要及び注意喚起情報についても、本義務に基づく情報提供を行う場合の標準的手法として位置づけ直すことが適当であると整理をしております。

次に、12ページの募集文書の簡素化についてです。生命保険・損害保険の両業界に対して、既存の契約概要等の記載項目や、実際の募集プロセスにおける位置づけを検証した上で、消費者が保険加入に当たって理解することが必要な真に重要な情報を掲載するという本来の目的に立って、記載内容の見直し・簡素化を行うように促した。両業界の自主的取組みとして、当ワーキング・グループの問題意識に沿った検討・改善が進められていることが確認できた。こうした取組みの継続を期待し、自主的な取組みを促すことが適当であると整理をしております。

次に13ページ、行為規制の適用除外についてです。次のような基本的考え方に当てはまる具体的なケースについて、法令上、必要に応じて行為規制適用除外とするなど、きめ細やかな調整を行うことが適当であるということで、1つは、情報提供義務の一般原則は適用するものの、情報提供の際に標準的方法によることを求めないものと、一般原則も含めて適用除外とするものに分けて、これまでご議論いただいたものをまとめております。

なお、これらの考え方に照らして、柔軟な対応をする合理性が認められ、かつ、保険募集に係る行為規制の潜脱防止等の観点から問題ないと認められる事例が認識された場合には、適用緩和・除外措置の対象として設定するとともに、契約者等の保護に欠けるおそれのある事例が認識された場合には、適用緩和・除外措置の対象から外すことが適当である。これについては、今後さらに実務的な検討を進めて、その検討に委ねていただくという部分を若干残しております。

次に16ページ、禁止行為の見直しについてです。法第300条第1項第1号の禁止行為のあり方については、この一般的な行為規制の関係を整理して、その適用範囲を狭めることが適当であるという整理をしております。

次に、16ページ以降、保険募集人の義務について記載をしております。保険会社に加えて、保険募集人についても、募集ルールの遵守をはじめとして、保険募集の適切性を確保するために主体的な取組みを行うことが求められる。保険募集人についても、保険募集の基本的ルールを遵守するための体制整備を義務づけ、主体的に複数保険会社の商品の比較推奨販売を行う場合の追加的義務を設けるとともに、外部委託先を使用する場合には、外部委託先に対する管理責任を課すことが適切である。

次に保険募集人の体制整備義務、乗合代理店に係る規制、保険募集人の委託先管理責任について整理をしております。

保険募集人の体制整備義務については、保険募集人に対しても、その業務の規模・特性に応じ、保険募集に係る業務を適切に行うための体制を整備することを義務づけることが適当である。

乗合代理店に係る規制については、複数保険会社商品の比較推奨販売について、まず商品比較推奨の適正化を図る観点から、比較可能な商品の全容を明示するとともに、推奨理由をわかりやすく説明することを求めることが適当である。さらに、乗合代理店の立場等について、顧客の誤認を防止する観点から、保険会社側の代理店であるというみずからの立場について明示することを求めるとともに、代理店としての立場を誤解させるような表示を行うことを禁止することが適当である。なお、乗合代理店は、それぞれの規模や業務特性に応じた体制を整備することが求められる。また、監督当局が乗合代理店の募集形態や販売実績等を把握するための措置を講じることが適当であると整理をいたしております。

20ページ、保険募集人の委託先管理責任についてです。保険募集人が保険募集に関連する業務の一部について外部委託を行う場合には、当該委託先の業務運営が適切に行われているかを確認するための体制整備を求めることが適当である。さらに、保険募集人の業務委託先に対しても、保険会社の業務委託先と同様に、当局の報告徴求及び立入検査権限を導入することが適当であるといたしております。

21ページです。保険募集の適用範囲についてです。保険募集の適用範囲の再整理・明確化ということであります。ある行為が保険業法上の募集に該当し、同法上の募集規制を受けるか否かにつきましては、保険会社又は保険募集人等からの(保険契約の成約に連動して支払われる等の)報酬を受け取るなど、保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があり、かつ、具体的な保険商品の推奨・説明を行うものといったメルクマールに照らして、総合的に判断していくことが適当である。

なお、保険会社や保険募集人が募集関連行為を第三者に行わせる場合には、当該保険会社や保険募集人は、当該募集関連行為従事者が不適切な行為を行わないよう、適切な管理態勢を整備することが求められると整理しております。

23ページ、その他とございますが、これは委託型募集人についての整理でございます。これにつきましては、保険募集人が自らの使用人と位置づけて募集業務を行わせることが認められるのは、法令等に基づき使用人としてふさわしい教育・指導・管理等を受けている者のみであることを明確にすることが適当であると整理をしております。

次に、保険仲立人に係る規制についてでございます。保険仲立人をめぐる規制については、顧客が公平・中立な立場からの媒介サービスを受けやすくするために、保険契約者保護の観点から問題のないものについては、保険仲立人に関する現行の規制を緩和することが適当であると整理しております。

最後に、25ページで「おわりに」ということで、今回ご議論いただきましたことを踏まえまして、当局に対しては、過度に細かな規制を行うことにより、保険募集の現場における創意工夫による改善を阻害することのないよう、保険会社・保険募集人に対しては、よりよい保険募集が実現できるよう不断の努力を続けるということを求めたいということで、書かせていただいております。

報告書の説明は以上でございまして、先ほど座長からご紹介がありましたように、本日ご欠席の川島委員から意見書を頂戴しておりますので、私の方で読み上げさせていただきたいと存じます。

所用により会議を欠席するため、報告書案に賛成の立場で、以下数点意見を申し述べます。

「保険募集・販売ルールのあり方について」においては、消費者保護の観点から、情報提供義務や顧客のニーズを適切に把握するための一般的義務規定など新たなルールが導入されるとともに、募集文書について簡素化の流れに逆行しない内容となったことを評価します。

同様に、「保険募集人」に関しては、体制整備義務の導入、乗合代理店の法的性質について誤解を与えないための方策など、消費者保護を念頭に置きつつも、保険募集人による有益なサービスの提供を委縮させないための配慮がなされているものと受け止めます。

当ワーキング・グループでとりまとめられた方策をより実効性のあるものとし、種々の施策を形骸化させないためにも、政府、業界団体・各社による今後の不断の取組みに期待します、ということでございました。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、まず1の保険商品・サービスのあり方、報告書案のページ数で言いますと2ページから7ページまでについて、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

水口委員。

○水口委員

全般的な感想ですが、事務局にお示しいただきました報告書案は、当ワーキングでの議論をよく整理していただいたものであると評価させていただいております。

一方で、当該報告書案の幾つかの項目の細部については、今後の事務的な検討に委ねられているところもあるのではないかとお見受けしております。今後、当ワーキングにおける議論を踏まえて、内閣府令、施行規則等を策定されることが想定されるところだと思いますが、十分な考察のプロセスを経て策定された細則、またその運用の仕方というものが、消費者の保護、利便の向上、それから保険会社の観点からは、健全性を維持しつつ、費用対効果を勘案した上での事業基盤の強化につながることを期待するところです。

以上です。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。私もこの報告書については、基本的にこれでよろしいのではないかと思っているのですが、サービス提供業者への保険金直接支払いについて少し意見を述べさせていただきます。ページ数で言うと5ページ以下のお話ですけれど、何度か申し上げさせていただいたことですが、保険会社が保険商品を販売するときに、例えば老人ホームを紹介しますというようなことを当該商品の中核に据えていた場合に、保険に入る側としては、老人ホームを紹介してもらえるという期待が生じるので、これに応えるために情報提供や体制整備を義務づけるというのは、非常に結構なことではないかと思っておりますが、この体制整備の内容が注11で幾つか挙げられておりますけれども、6ページの注の一番上の部分で、以前の事務局資料と比べると、提供事業者を紹介できる状態を維持するというときに、以前の資料では、「確実に」というフレーズが「維持する」の前に入っていたのが、今回の報告書案では抜けているように思います。

もっとも、そのすぐ1行下で、保険会社は提供業者の紹介を顧客に約束しているのだと位置づけておられまして、約束した以上は、それを守らなければいけないだろうということかと思いますので、保険会社は約束したことはちゃんと果たすべきであるということは前提とされているものと理解をさせていただいております。ただ、約束の内容にはいろいろあり得るところであって、場合によっては紹介できないこともありますという条件付きの約束であれば、何が何でも紹介しなければいけないわけではないということから、「確実に」というフレーズは落とされたのだろうなと思っております。

それはそれでよろしいのですけれども、そうすると、募集をするときに、どういった場合にどういうサービス提供業者の紹介がなされるのかということが契約者に伝わっていることが必要であろうと思っております。これは、今度は注の9や10にいくかと思うのですが、注9の1つ目で、提携事業者が提供する財・サービスの内容・水準の情報提供が必要とされていまして、ここには、提供されるサービスの内容・水準が変わったりする場合には、それについての情報も含まれているということになるかとは思うのですけれども、それほどはっきりはしていません。ただ、例えば、やはり老人ホームに入れますということを1つの売り文句として販売しておきながら、実は場合によっては当初想定されていた水準よりもランクが下がる、もしくは提供できない場合、紹介できない場合があるということが入っているのであれば、そのことはやはりかなりはっきりと伝えなければいけないだろうなとは思っておりまして、それは今の書きぶりでも読めなくはないような気もするのですけれども、しっかりと情報提供がなされるように、もう少しはっきりと書かれたほうがいいのではないかという気がしております。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

7ページの共同行為制度の箇所の最後に、「法的な問題を含めた実務的な検討が進められていくことが適切である」とありますが、今後、具体的なニーズ等が明らかになり、実務的な検討だけでは済まない事となった場合には、再度金融審議会で協議するという趣旨なのか、あるいは、行政当局と実務的な検討が進められれば、改めてこの場で協議せずとも実現は可能だということなのか、どちらでしょうか。

○伊野保険企画室長

この報告書では、基本的にここに書いてあるような観点から、もう少し使いやすいようになったら良いのではないのかという方向性をお示しいただいて、それを踏まえて実務的に検討して、こういったところについては、やりやすくしたほうが良いのではないのかということは、多分、当然こういう話ですので、公正取引委員会ともお話をしなければいけないと思いますが、まさにそういった実務的な検討を経て、できるようになれば、特にまた改めてここでご議論をいただくことなく、必要があれば制度を改めていくということでいいのかなと思っております。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

趣旨としては、阿部委員のご質問と同様かと思うのですが、一番議論が多かった不妊治療にかかわる保険について、諸課題の対応について実務的にさらなる検討を行った上で、実際の商品開発・引受けが行われることが適当であると書かれていることについての質問です。1つは、課題が非常に多かったことを考え、「検討を行った上で」という書き方よりも、「検討を行い、その課題の解決を図った上で」という表現にしたほうがよいのではないかということと、実務的な検討というのは、再度こうした場で確認するのか、それともパブリックコメント等で進めて行ってしまうことを意味するのか、うかがえればと思います。

○伊野保険企画室長

本件につきましては、いろいろとこの場でもご議論をいただいたところでございまして、そういう意味で、どういった課題を解決しなければいけないのかというのは、かなり明確にしていただいていると考えております。

当然、金融庁として商品認可という作業がございますので、そういった課題に対応して、それが解決されていないと、商品認可ということは当然ないと思っております。そういう意味では、ここで明確にした課題を解決できる商品が出てくれば、それは認可していくということだと思いますので、何か改めて、またこれもこの場で議論していただくというよりは、この場で整理していただいた課題について、しっかり解決した商品が出てくれば、それは認めていっていいということではないかと考えております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。今、テーマになっている不妊治療に係る保険なのですけれども、保険業法施行規則の4条に、疾病等に類する事由ということで幾つか掲げられているのですけれども、「出産及びこれを原因とする人の状態」と。出産に偶然性があるのであれば、その反対概念のような不妊にも偶然性があると言えるのではないか。

あるいは、別のところに「骨髄の提供及びこれを原因とする人の状態」、健康体であるドナーが、みずからの意思で受けるような骨髄採取の手術のようなものにも偶然性を認めているわけですから、この不妊治療というものについても、偶然性というものは認めていいのではないかと思っておりますし、そういう意味では、3ページに書かれていることには賛成でございます。

あと、これを審議会の意見とするかどうかというところはあるのですが、私は個人的には、やはりこういう社会的ニーズに対して、裸でと言うか、真正面から受けとめていくべきかなと思っております。やはりこういう不妊治療の保険に対する社会のニーズというのはございますので、しかも現代社会というのは、そのニーズに対して対応する際に求められる速度というのも非常に速うございますので、できますれば、早く施行規則の改正というのを行っていただいて、実際に、商品認可というところで、さまざまな諸課題に対して対応策を考えていただいて、世の中にそういう商品が早く出てきてほしいなと願っております。

以上でございます。

○洲崎座長

水口委員。

○水口委員

不妊治療に係る保険については、もう既にお話ししたところでありますが、ここにも書き込んでいただいているように、リスク管理の観点から課題はあると思います。それを踏まえた適切な対応ということで、収益リスク管理の観点から、十分な裏づけがあるということでもあればという、ただし書きがあるのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今の件について、ここの書きぶりで、よろしいと思うのですけれども、ここではアクチュアリアルフェアというか、保険数理的な公平だとかいう点については具体的に書き込んでいらっしゃらないようです。例えば不妊治療保険を特約とすれば、それが多少リスクが大きなものであっても基本契約となる部分で吸収できるような保険商品が考えられます。このような商品を作るのはとりわけ生命保険商品では実務的に可能だと思うのですが、そのような商品を認めてよいのだろうかということには疑問があります。つまりこのような設計の保険商品ですと、不妊治療の費用を不妊治療を必要としない契約者に押し付け、結果として内部補助するような商品となります。このような商品を認めてしまっていいのかという問題があります。そこで、ただ単にモラルリスクの問題に加えて、商品認可のときに保険数理的な公平性を慎重に考慮するということを加えていただきたいなと思っております。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。

2点、意見があります。一点目、不妊治療というお話がありました。私自身はこの報告書はいいと思いますし、賛成をしております。特に、その前段のところが、うまく報告書に書かれていると思っています。具体的には、3ページの中段「新しい保険商品について」という箇所で、「新たな保険ニーズが発生した場合には、適切なタイミングでこれに対応することが可能となるよう規定を追加する必要がある」という表現です。この前段の読み方として、不妊治療はこう言った新たな保険ニーズの一例であって、今後、社会的意義や消費者ニーズが強いものが新たに出て来たときには、いわゆる限定列挙型ではない形での商品開発が可能とする趣旨だと理解しています。そういう理解でいいのであれば大賛成だと思っており、これが1点目の意見です。

2点目は、直接支払いサービスということで諸所ご意見があったかと思いますが、私自身はこの報告書案に賛成です。というのは、5ページの中段にきちんと書き込まれていますが、あくまでこれは直接支払いサービスであって、現物給付保険ではありません。つまり、顧客が納得いかない場合には保険金支払いが選択できることに加え、「保険会社も保険金額の範囲内で、財・サービス提供した事業者に支払いを行えばよく、その価格変動リスクを負わない」という整理ですから、サービス提供ができなくなる可能性を、あらかじめ消費者にきちんと説明をすることを前提条件とした上でのサービス提供だと理解しています。その論理構成を的確に踏まえたのがこの報告書案だろうと思っており、私自身はこの報告書案の書き方に賛成です。

○洲崎座長

不妊治療に係る保険に関しては、このワーキングでも随分議論したところでございます。その議論の最終段階のところで問題になったのは、先ほど錦野委員からもご指摘がありましたけれども、現在の保険業法3条4項2号ロによれば、疾病にかかったことを原因とする人の状態に関して保険を販売することはできるのですが、2号ニによれば疾病にかかったことを原因とする人の状態に類するものとして内閣府令で定めるものについても、保険を販売することができる。そしてその内閣府令では、保険業法施行規則の4条の1号から3号までで、出産及びこれを原因とする人の状態、老衰を直接の原因とする常時の介護を要する身体の状態、そして、骨髄の提供及びこれを原因とする人の状態が定められている。この次に4号として、不妊に関する人の状態を書き込むかどうか。これをいつ書き込むかということについて議論をしたわけでございますが、すぐにでも書き込むべきだというご意見もありましたが、もうちょっと慎重に考えるべきだというご意見も相当強くございました。

具体的な商品設計がなされた段階、保険会社からこういう商品ではどうかということが持ち込まれた段階で書き込むということでもいいのではないかという、折衷説もございました。ただ保険業法施行規則を改正するとしても、今から考えても随分先になります。まずは保険業法本体を改正して、その後、保険業法施行規則を改正することになりますので、そうすると1年とか1年半とか、ずっと先になります。そのころにはひょっとすると具体的な商品が保険会社で設計されて、照会が来ていることはあり得ますけれども、そういうことが全くないこともあり得るわけで、そのような場合にもなお書き込むのかどうかが、このワーキングで随分議論になったと思います。そのあたりについて、相当議論があったことをご配慮いただいた上で、最終的に金融庁として対応していただくということではないかと、私は理解をしております。そういうことでよろしゅうございますかね。

この点、あるいはほかの点について、いかがでございましょうか。

家森委員。

○家森委員

ほかの点ですけれども、本質から外れるのですが、この4の保険金直接支払いについて、現物給付を認めることについての問題点として2つのポツがあって、その2つ目は、結局インフレリスクにどう対処するのかについて書かれていて、かねてから指摘されているのと同様の認識が示されたということになっています。ただ、インフレリスクについては、それに対応するような保険商品は法令上可能であるとお聞きしていたのですが、ここを見るとそれはだめなように見えるので、私としては、インフレリスクはこれからまた大事なリスクになっていくと思うので、できましたら「認識された」というところに注をつけてもらって、「法令上、インフレリスクに対する保険の提供は可能ではある」云々みたいなことを入れていただければ、ありがたいと思います。

○洲崎座長

梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

また別のところで1点、ご確認をさせていただきたいと思います。

5ページの真ん中の「ただし」以下の段落でございますけれども、「提携事業者が提供する財・サービスの内容・水準に言及して保険募集を行う場合には、保険会社が紹介する提携事業者が提供する財・サービスへの期待が顧客による保険商品選択時の重要な判断材料となりうることから、当該財・サービスの内容等に対する顧客の期待を保護する必要がある」と、書かれております。例えばですけれども、保険募集時に提携事業者が提供する介護サービスの内容や水準に言及して、かつそれを売りにして商品をお勧めするようなケースでは、当然それに対する期待は、お客様が保険商品を選択する際の重要な判断材料となり得るということで、ここに書かれているようなことに合致すると理解しております。

一方、例えばキャッシュレスでサービスが受けられますよといった、手続の簡素化のような形での言及にとどまっている場合は、財・サービスの内容・水準にかかわるものではないと理解しておりますので、お客様にとって保険商品を選択する際の重要な判断要素とはならないということで、ここに述べられている規制の対象にはならないのではないかと、思っておりますが、いかがでしょうか。

また、実際、財・サービスの内容・水準についても、その商品の売りとして、どこまでそれを訴求した場合に規制の対象となるかは、実務的な対応が今後必要かと思いますので、その点については今後ご当局とご相談させていただければと思っております。

以上です。

○伊野保険企画室長

最初、ご質問のあったところにつきましては、まさにここで書いていることは、「言った以上はやってください」と書いているという内容でございますので、まさにキャッシュレスを実現しますということであれば、その先のキャッシュレスで払うところのサービス内容は、もともと言及していないという以上は、それについて何か保険会社側が義務を負っているという状況ではないと考えております。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

ほかにご意見はございませんでしょうか。

それでは、続きまして、2の「保険募集・販売ルールのあり方」のうち、2-1「保険募集に係る規制の再編成」、及び2-2「保険募集の基本的ルールの創設」について、ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。報告書案のページ数でいいますと、8ページから16ページにかけてのところです。

では、錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

本当に、この報告書案は、私はよくできていると思います。読んでいても笑みがついついこぼれてしまうようなところが多々あったのですけれども、この意向把握義務はその一番手でして、まさに10ページの3行目から書いていただいている、このテーゼはすばらしいと思うのです。利用者利便、利用者保護の観点から、あるいはニーズに合った保険サービスの選択を容易にするための取組みという、本ワーキング・グループの大きな目的の観点からも、非常にすばらしいと思いますし、私は大賛成でございます。

このテーゼの肝は、2行目、「当該商品について当該意向とどのように対応しているかも含めて」説明すると。「当該意向とどのように対応しているかも含めて」というところが肝かなと思います。いわゆる一般的に言われている説明義務は、あくまで保険商品の説明ですから、それをどうして勧めるのか、たくさんある商品の中からそれをどういう考えで選択して勧めたのかは、一般的な説明義務の対象には入ってこないのですが、そういうものについてプラスアルファのアドバイス的なものを行うことを法令で求めている、現状は保険会社がそういうことをやっていないわけではなくて、今までサービスでやっていたのですけれども、そういう精神を法令上も一定求めていくところ、これはまさにほんとうに有益な、顧客にとっても有益なことだと思います。

また、こういうニーズ確認といいますか意向把握を、実効性ある形で行っていけば、トラブルも予防とか防止できますし、保険会社の法的リスクをヘッジすることができまして、保険会社にとってもメリットがあることではないかと思っております。以上から大賛成でございます。

○洲崎座長

村田様。

○村田オブザーバー

今取り上げられた意向把握義務ですが、募集人側が丁寧な説明をする、理解を求める努力をする、確認する努力をする。これは今もやっていることだと思います。法令上の義務として書かれるということであっても、当然そういうことをやっているものと理解しています。

一方で、読みようによっては、何でもかんでも結果責任だと読めなくもないようです。もっとも、さすがに、結果として不都合が発生した場合に、何でもかんでも結果責任であるということまでは心配しなくてもいいのだろうとも思っていますので、あくまで念のために、この点を確認させていただきたいと思います。この報告書が公表されると、たくさんの代理店の方がこれをお読みになる、そうなると、過剰に心配する方もいるかも知れないと思い、触れさせていただきました。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

この意向把握義務という言葉ですが、9ページの2-2-1の冒頭のパラグラフでは、募集人が顧客のニーズを把握し、ニーズに沿った商品を提案するということで、ここでは「顧客ニーズ」という言葉で、ただ後のほうへずっと行くと、「顧客の意向」を把握するという言葉に変わっています。そこで、この問題を考えるのに、やはり最終的には顧客の意思があるのですが、その前提として、お客さんに客観的に見てどういうニーズがあって、たとえば、前に議論しましたけれども、二十何歳未満不担保特約をつけるとか、やはりこのお客さんにとってはどう見ても不適当な保険とか、そういうあたりの絞り込みもどこかに入っているはずなので、意向把握義務という言葉だけをとってしまうと、まあ最終的にお客を納得させればそれでいいのですよねというところが、若干伺えるのですが、そうではなくて、出発点としてはお客の客観的なニーズがどうかということの把握も重要だというあたりが、どこかでわかるようにする必要があるのかなと思いました。

これは結局、保険募集人がお客にその保険を推奨するに当たって、専門家として注意すべき義務が、意向把握義務の中に含まれているのではないかという気もするのですね。そこら辺は、単に最終的にお客に意向はこれですよねということで、説得すればそれでいいという話でもないだろうという気がするわけです。

○洲崎座長

要するに、お客さんのほうが明らかに誤った意向を持っている、保険を売る専門家の立場からすると、この意向は極めて不合理であるという場合には、それを正してやるような義務もあるのではないか。そういうものが読めるような表現にしたらいいということでございますね。

○伊野保険企画室長

まさに山下委員のおっしゃるとおりで、できればそこまで保険会社にやっていただけるといいよなと思う方は、多分ほぼ全ての方だろうと思うのですが、ただ法令上の義務としてそこまで求めるのかというと、なかなか難しい面もあるのかと存じます。先ほど村田オブザーバーからもありましたように、必ずしもこれは結果責任を求めるものではありませんので、そういう意味では、最終的にお客さんが入りたいと思える、ないしは、思う商品に入っていただくのが基本であって、ベストプラクティスとして、できるだけそういう潜在的なニーズ、本来そこにあるはずだけれどもお客さんが気づかれていないニーズを、しっかりアドバイスして最も適した商品に入っていただくのが、ベストプラクティスとしては当然そうあってほしいということだとは思いますけれども、法令でそこまで求めるのかというのは、色々なご意見があり得るのかなと感じております。

○洲崎座長

以前は、多分、顧客側が明らかに不合理な意向を持っている場合には、広い意味での情報提供義務の中で対応することが考えられていたのではないかと思います。つまり、商品内容を説明するという情報提供とともに、あなたのその意向はプロから見ると明らかにおかしいのですよという情報も提供するということで、情報提供義務でカバーできていたのかなと思うのですが、今回のように、意向把握義務と情報提供義務を分けて記述すると、情報提供義務のほうは、おそらく、商品内容に関する情報を提供するものととられる可能性が高いと思いますので、そうすると意向把握義務の中で従来は情報提供の中でカバーできていたものもカバーできるようにしたほうがいいのだろうとは思うのですが、ただ事務局がおっしゃるように、あまりそこで幅を広げた表現をすることにも難しい点がありますので、そこはまた検討していただきたいと思います。

山下委員。

○山下委員

まあそういうことではあろうかと思います。最終的には私の言った問題は民事責任の問題というか、私法上の問題のほうへ流れていく問題かなと思いますので、ここは要するに意向把握義務が、顧客の主観的な意図だけを確認すればいいというようなところが強く出過ぎない程度の書きぶりであれば、それでいいのかなという、それぐらいでございます。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

募集文書の簡素化が進むのは、大変お客様にとってもよい話だと思うのですが、11ページの半ばに、意向確認書面の内容について、顧客の意向、当該意向に対応した商品提案理由を記載、及び、当該商品が顧客の意向に沿ったものであることの確認という、3つが例示されているのが気になりました。このうち商品提案理由については途中で何回も確認が行われた上で、最終的には契約概要に書かれているはずのものと思います。その場合、意向確認書と内容が重複してしまうように思われたのですが、この部分の表現は単なる例示で、実際はトータルで記載されていればよいと考えてよろしいのでしょうか。

○伊野保険企画室長

トータルでまさにこういうことが書いてあればいいと考えており、全体一緒にして一体化を行うという中で、それが行われてもいいと思います。各社がそれぞれやりやすい方法で、わかりやすくやっていただくということだろうと考えております。

○神戸委員

ありがとうございました。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

○家森委員

1つだけですけれども、文書の簡素化についての13ページの、7行目のところで「両業界の自主的取組みとして」とありましたが、これは最終的には両業界の各社の自主的な取組みということであるかと思うのです。業界で統一基準をつくれというのはもちろんあるにしても、最終的には取組みはやはり各社の独自のものだと思うので、ここに「両業界の各社の」というように、やるのは各社であるというのがはっきりしたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

すみません。ここに書かせていただいた「両業界の自主的取組み」というのは、まさにそれぞれ生保・損保両業界から自主的な取組みとして、簡素化はこんな作業をやっていますというご報告をいただきましたので、それを踏まえてここでは「両業界」と書かせていただいております。当然、最終的には各社の文書となりますので、各社の取組みも当然お願いするということですので、この中で、もしそういう趣旨が出ていない、もう1回読み直しまして出ていないようであれば、ご趣旨のような形で修正したいと思います。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

ちょっと細かいことですけれども、今の家森先生の質問とやや関係しているかもわかりませんが、この会議で業界の方からご説明をお聞きしました記憶によりますと、消費者にわかりやすくするために文書を簡単にすることと同時に、募集文書として営業職員なり代理店が使えるようにというか、つまり説明の文書として容易に使えるようにするという問題意識もあったように思います。対消費者だけではなくて、募集チャンネルの募集人がよりよく説明できるようにという問題意識があったように思いました。もしこのような点が盛り込めるようでしたら、よろしくお願いします。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

今の箇所で私も家森先生の意見に大賛成でありまして、やはり実際に保険商品を販売する募集人の方の意見を取り入れながら、あるいはそういう人たちもメンバーの一員となって、こういう検討が進んでいくべきだなと思います。

ここで書かれている、簡素でわかりやすい募集文書作成への取組みは、私は永遠のテーマだと思いまして、PDCAサイクルの中でどんどん未来永劫に続いていくべきことだと思うのですけれども、保険会社個社でやりますと、推測ですが、どうしてもディフェンシブになってしまうわけです。例えば、こういう条項を説明書類の中に入れようかと検討するときに、日本生命のものに入っているから入れてしまえとか、日本生命のものに入っていなくても、ほかの生命保険会社に入っているから、では念のために入れておこうかと、どんどん書いて、ディフェンシブなところに標準が合ってしまうようなことが行われているのではないかなと、あくまで推測ではありますが、そういうことはあるのではないか。そういう意味では、やはり個社、個社でも頑張るのは当然の前提なのですけれども、業界全体、業界レベルの取組みとしてやっていかなければ、なかなか進まないところはあるのではないかと思っております。

また金融庁の保険会社監督においても、このような状況のモニタリングを行っていっていただきたいというのがございます。山下友信委員が以前ご発言されていたと思うのですけれども、契約概要等の量がどんどん増えてきたという状況について、原因分析や反省をする必要があるように思います。多分いろいろな、さまざまな原因が複合的に重なった結果、そういう状況になってきたのだと思います。推測するには、ディフェンシブな対応を行ってきた保険会社にもその原因があると思います。あるいは、問題があるごとに記載項目を増やしてきた金融庁にも、その原因があるのかもしれません。

いずれにしましても、過去は過去なのですけれども、今この審議会の中では、我々みんなが簡素でわかりやすい募集文書作成への取組みが重要だという思いを共有しているわけです。前段申し上げましたように、これは長い時間をかけて追求していかなければならないものですが、一方で、こういう思いはすぐ忘れがちなところもあるのだと思います。また何か大きな問題があれば、どんどんまた増えていく可能性もありますので、せっかくこういう熱い思いを皆さんが持っているうちに、こういう精神というかプリンシプルを、私はぜひ客観的な形ある方法で残していただきたいなというのが、一つの提案としてさせていただければと思います。例えば監督指針等に、まさに2-2-3で書いていただいているようなことを、明確に監督上の留意点として書いていただければ、金融庁の方が異動になられた後でも、こういう考えが引き継がれていくのかなと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

ほかにご意見はございませんでしょうか。

山下委員。

○山下委員

何となく印象なのですが、情報提供義務を正面から規定しましょうということが、11ページから書かれているのですが、それをしましょうという2-2-2が、何か非常に簡単にといいますか、あっさり書いてあるなという印象はあるので、結局、現在の契約概要、注意喚起情報に書いてあるようなことが基本になるのだろうと思うのですけれども、あまりレポートが膨らんでいくのもいかがとは思いますが、多少どういう情報提供をするのかということを、もう少し書き込んでもいいのかなと思います。簡素化のほうは結構丁寧に書いてあって、適用除外は非常に詳しく書いてありますが、大もとのところがもうちょっとあってもいいのかなというところです。

その関係で質問なのですが、この情報提供義務を規定し、かつ16ページで、現在の保険業法300条1項1号を、少し適用範囲を狭めるような規定ぶりに直そうということですが、そういう法制になったときに、現在の契約のしおりとか約款というものを保険種類によっては交付するようなことは、この法制だとどういう位置づけになってくるのでしょうか。

○伊野保険企画室長

そういった渡す書類の全部が全部、何か義務に取り込まれてくるのかというと、そういうわけではないと思っておりまして、そういう意味で、義務としての情報提供義務の係る部分につきましては、一定程度、契約概要や注意喚起情報といった法令の中で定めていくものに限られてくるということだと思います。ただ、文書の簡素化との関係でも、しおりに書いているので例えば省いていますということもありますので、一概にしおりに書いてあることは全部外れますよということではない、ということではないかと思います。

それと、当然、契約者のしおりにかなり丁寧に書いてある中で、仮に万が一、通常ないとは思いますけれども、頭の体操として、そこで明らかに契約者に誤認を与える虚偽な表示をしているとすると、罰則の適用は、使い方によっては当然あり得るということもあるのだろうと思います。現実にそんなことを保険会社がされるとは思いませんけれども、頭の体操としてはそういうことではないかと考えております。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

それでは、先に進みたいと思います。続きまして、2-3「保険募集人の義務」、それから2-4は飛ばしまして、2-5「保険仲立人に係る規制」ですね。2-3の「保険募集人の義務」と2-5の「保険仲立人に係る規制」について、ご質問、ご意見がございましたら、お願いいたします。

では、加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。

非常にうまくまとめていただいていると、思っております。

1点質問ですが、18ページの中段のところ、「複数保険会社間の商品比較・推奨販売を行う乗合代理店に対しては」と書いてあります。先日の議論で、乗合代理店だけではなく、保険会社そのものが他社商品を扱っている場合もあり、そういった場合にもこの規定は適用されるのだという議論があったかと思います。それを受け、この18ページの下の注釈52番をお書きいただいているのだと理解しております。細かいところで恐縮ですが、そういった流れで注釈52番を見ますと、「一社専属の募集人についても」とあり、「自社商品の優位性を示すために他社商品との比較を行う場合には、当該他社商品についてもその全体像や特性について正確に顧客に示す必要がある」と書いてあります。ここの表現ですが、ここでは一社専属の場合であっても商品比較をしているという場面を想定していると思いますので、乗合代理店に対する規制と同じで、全体像や商品特性だけでなく、その推奨理由の説明を一社専属チャネルであっても求める、そういう趣旨での報告書案だという理解でよろしいでしょうか。

○伊野保険企画室長

当然、事実関係を示していただければ、どちらがいいか一目瞭然だと思います。当然、その段階で勧める以上は、その勧める理由は示していただくことだと考えております。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

遅刻してまいりまして、大変申しわけありませんでした。

今の18ページの注釈の52番の話ですが、ここに書かれているのは、一社専属の募集人に対して、他社の商品と自社の商品を比べて勧めるときにという表現だと思うのですが、この文章を読ませていただいたときに、多少誤解をしまして、いわゆる乗りかえ募集のときに、既に他社の商品に入っている顧客に対して、例えば保険ショップで、既に顧客の入っているその商品についてもコメントをし、その上で新たに商品を勧めるというシチュエーションが想定されるので、そういう意味では、既に顧客が入っている、自分のところが扱っていない可能性が高い他社の商品についても言及した上で、新たに勧めるという行為をやっていると思うのです。それを考えれば、ここの「自社商品の優位性を示すために他社商品との比較を行う場合には」に該当しそうな気がしますので、ここの文言がいわゆる生保レディのように専属の募集人だけにあてはまることではなくて、むしろ乗合代理店の実際の募集のあり方を見ていると、ここの部分が該当するような気がしますので、そこを何か工夫して、乗合代理店にもすくい上げてはめ込めるような修文をしていただければありがたいと思います。

○洲崎座長

今ご指摘いただいた点は、本文のマル2では対応ができないということですか。

○丹野委員

本文のマル2は多分、推奨の場面で、たくさん自社で扱っている中からどれを勧めるかというときをシチュエーションとして考えているのだと思うので、むしろ、既に顧客が入っている、多分乗合代理店が扱っていない他社の商品にも言及して、もっと簡単に言えば、「そこは、こういうところが悪いから、こっちのほうがいいですよ」と勧めるシチュエーションだと思うのですね。そういう販売実態を考えれば、ここの注の部分を当てはめて、本文のほうでも何か工夫ができませんかというお願いでございます。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

今のところなのですけれども、52の脚注で他社商品との比較が書かれているのですが、これは本題からそもそも外れるのだと思うのですね。ここで議論していることは、たくさんの保険会社の商品、あるいはここで書いてあることを少し広げるとしても、自社の中で幾つかの複数の商品を比較・推奨販売をしながら行う場合に対する、一つの望ましいやり方を書いているわけなので、自社、自分の商品を勧めながら自分の扱っていない商品と比較しながら、それは丹野先生がおっしゃるように乗換募集もよく似た概念ではあると思うのですけれども、それは既に監督指針の中で比較表示を行う際の留意事項とかで書かれているところですし、このテーマとは少し離れることかなと。そういう場合に適切な表示をしなければならないことの重要性は全く否定しないのですが、乗換勧誘も適切に行わなければならないのですけれども、ここで扱っているテーマとは少し違うことだと思いますので、誤解が大きいようであれば、むしろ削る、この「また」以降を削ってしまうのも、一つかなと思ったりしております。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

この「また」以下が非常によい文章だと思うのです。そこに触発されました。錦野先生がおっしゃっているように、乗りかえ募集に関しては、ちゃんとルールがあります。ただその乗りかえ募集のルールの中でここまで踏み込んで書かれているかというと、そこはそうではない気がしますので、せっかくこういう文章を書いてくださったのなら、乗りかえ募集のところもここら辺まで踏み込んで、実態、問題点を踏まえてできませんかと申し上げたかったのでございます。

○洲崎座長

そうですね。わかりました。

○丹野委員

なぜそんなことを申し上げるかというと、前回の最後のほうでも申し上げましたが、保険を切りかえるときに転換と乗りかえがあって、転換のときは監督指針上、転換比較表が義務づけられています。でも乗りかえに関してはそういうものがなくて、一覧性のあるものがあったらありがたい、検討していただきたいというコメントを、この間、発言しました。言いながら、非常に難しいと自分でも思いながら発言をさせていただいたのですけれども、一覧性のあるものをつくるのはなかなか難しいというところから言えば、このような書き方をすれば、そこの部分が実質的には担保されるのではないかと思ったものですから、あえて申し上げております。

○洲崎座長

確かにこの本文で書かれているのは、代理店や専属の募集人が扱っている商品の中での話です。注52の最初の一文も、扱っている商品の中での比較です。しかし、「また」以下は、扱っている商品と扱っていない商品の比較なので、同じ注の中で入れるとちょっとわかりにくくなるというのは、そのとおりですね。丹野委員が残すべきだとおっしゃいましたので、残すとしても、同じ注の中で「また」で結びつけて書くのはちょっと問題があるのかもしれませんので、ここの修文については検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

では、加藤委員。

○加藤委員

もう1点ですが、18ページの中段、マル2のところで、「特定の商品を提示・推奨する際には、当該推奨理由を分かりやすく説明する」と書かれています。議論は、このとおりだったと認識していますが、その推奨理由として、例えば、資本関係にあるとか、系列だといった説明でも許されるといった補足的な説明が添えられていたように記憶しています。要するに、顧客の立場でベストな商品だという推奨理由ではなかったとしても、なぜ自分が薦めるか、例えば資本関係にあるとか、推奨理由をきちんと述べることさえできれば、顧客にとってベストかどうかの立証責任までは負うものではない、という議論だったと理解しています。今回の報告書案には、そういった注釈的なものは現時点で入ってはいないけれど、そういう理解は変わってはいない。もしくは、必要であれば補足を加えていただけるという認識でよろしいでしょうか。

○伊野保険企画室長

趣旨は全く変わっておりません。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

19ページの3つ目のパラグラフのフランチャイズ方式のところですが、表現として、「当該フランチャイズの名称を使用している代理店からは一定水準のサービスを受けられることを期待するのが通常であることを踏まえれば」と書かれているのですが、おそらく一般的には、同一名称を使っている場合には、取り扱い商品がほぼ同一で、同一水準のサービスを期待する方が多いと思います。ですから、一連の議論の中でも話題になりましたが、取り扱い商品が違うということ自体でいろいろな問題が生じる可能性もありますので、この部分については、同一水準のサービスや商品の選択を受けられることを期待するという表現にして、そうでない場合には、基本的なあり方とは異なっているというところを認識していただいたほうがよいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○洲崎座長

ただいまのご意見ですが、フランチャイジーの中でも、扱っている商品が違うことは一般的にあり得ることで、商品が違えば、サービスも当然違ってくる可能性があるということをわかりやすく書くようにというご指摘でございましょうか。

○神戸委員

はい。実態として、取り扱い商品がかなり違っているケースもあるようですので、そのあたりで保険に加入する側が誤解をする。あるいは期待している商品を買えないみたいなことも生じ得ると思います。フランチャイズ方式ということであれば、同一の商品と同一水準のサービスを、どこでも得られることを期待する方が多いと思いますが、現在の表現だと、一定水準のサービスということで、売り方についてしか表現されていないような気がしますので、その辺もう少し何とかならないかと思った次第であります。

○洲崎座長

一定水準のサービスといっても、同じ商品をどのフランチャイズでも売るということまでの含意はないとは思うのですけれどもね。ここでのサービスとは、同じ商品を必ずどこでも売りますよということまでは言っていなくて、商品説明や推奨等に関してのサービスかなと、私は理解をしていたのですが。

○伊野保険企画室長

今、神戸委員がおっしゃっている内容は、フランチャイジーとフランチャイザーとで、少し扱っている商品が違うようなケースだと、期待している、例えば10の保険会社を比較してほしいなと思ったら、5つしかありませんでしたというときに、ちょっと期待とずれがあるので、その場合、全てで10扱えというのは仮に難しいとしても、自分のところは5しか扱っていませんよというのを、はっきりと明示した上で説明をしてくださいという、そういった方向でやるべきではないかというご趣旨かと思います。ちょっとそこは、ご趣旨はそのとおりだろうと思いますので、何か工夫ができるのかどうか検討してみたいと存じます。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

少し教えていただきたいのですが、例えば、19ページの上のほうで、比較販売を行う乗合代理店について、個別の商品説明を適切に行うというようなために、その体制を整備しなさいとされています。この体制が整備されていない場合には、どのような形で是正がされていくのでしょうか。金融庁がその代理店に命令を出された場合、これは世の中にも開示をすることになるのでしょうか。要は、私が思っているのは、悪い代理店を排除していくのにマーケットの力を使うほうがいいと思っているので、そういう開示をされたりするようになるのかを、少し教えていただきたいというのが、1点目です。

2点目は、そのページの下から2つ目の段落の手数料の開示についてですけれども、私自身は手数料そのものについてここに書いているように必ずしもオールマイティーではないと思っているのですが、ここでは比較販売手法について問題が存在するおそれがある場合などには、さらに必要に応じて、当局の検査・監督によって検証を行うということですから、おそれがあって、さらに必要に応じてという場合にこれをやると書かれています。一方、そのページの上から2つ目の段落の最後に、乗合代理店の募集形態や販売実績等を把握するための措置を講ずるというのは、経常的にデータをいただかれるということなのですが、その中にはこうした手数料関連の情報は入ってこないということになるのかを、聞きたいです。

○洲崎座長

では、まず前半部分については、監督の立場からお願いします。

○小野参事官

今ご質問がございました、体制整備の観点でございますけれども、当然、検査・監督で定期的にいろいろ見ていくわけでございまして、その中で著しい問題、体制整備に著しい欠陥がある場合には、当然、業務改善命令を発出いたします。業務改善命令を発出する際は、そこの名前が公表されますので、そこで開示されることになります。

○洲崎座長

前半の部分については、それでよろしゅうございますか。

後半部分についてはいかがでしょう。

○伊野保険企画室長

後半部分につきまして、まず19ページ目の2段落目については、一定の条件に合うところについては、ずっと恒常的に報告をしてもらうというものが想定されています。4段落目につきましては、特に立入検査は、代理店は数が多くございますので、全てに常に毎年行くことは想定が実際はされていない状況でございまして、まさに色々な報告ですとか、様々なところから入ってくる情報、特に金融庁にも利用者相談室等がございますし、丹野委員のところにもお話が行くかと思いますけれども、そういった情報を勘案しながら、まさに必要に応じて検査に行かせていただく。もう少し軽いものであれば、報告徴求を行っていくことを想定しております。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

19ページの一番下から20ページに求償権の義務づけのことが出ていて、今回は義務づけをすることは、今の段階では必要ないでしょうということですが、法律で義務づけることの当否についてのみ書いてあるので、ここだけを見ると、要するに義務づけはなかったわけだから求償はあまりやらなくていいのだと思われても困るので、やはり前提として、基本的にはやはり募集上、不適当な行為をした場合には求償をされるのだということが、前提としてはっきりしているほうがいいのかなと思った次第でございます。

○洲崎座長

例えば適切に求償するかどうかは、保険会社に対する監督の対象にもなるのだということを、一言書くようなことも考えられますかね。

○山下委員

一つはそうですね。

○洲崎座長

では、またこの点も検討させていただきたいと思います。

ほかにいかがでございましょうか。では、村田様。

○村田オブザーバー

ひとつお願いしたいのですが、乗合代理店の体制整備については、タイプによってといいますか、どういうことをやるかによって、必要とされる内容も一律ではなくて軽重があると理解しています。報告書案にも、規模や業務特性に応じた体制整備と書いていただいているので、これに尽きているとも思うのですけれども、先ほど申し上げたように、多くの代理店の方もごらんになる報告書ですので、もう少し、その軽重の差のある部分が読み取りやすくなるように、若干書き込んでいただけないかなと思います。いまの記載も、趣旨は、全く理解しているとおりなのですけれども、新たな読み手の方にとってもわかるよう、少し補記がされるとありがたいと思っております。

○洲崎座長

ほかにいかがでしょうか。

それでは先に進ませていただきたいと思います。

最後は、2-4「募集規制の適用範囲等」、ページ数でいきますと21ページから23ページにかけてです。2-4について、ご質問、ご意見がございましたら、お願いいたします。

錦野委員。

○錦野委員

募集規制を明確化していこう、保険募集概念を考えてみようというところでありまして、その判断のやり方がこの22ページに書いてあるところであります。保険募集の登録制について、21ページの冒頭に「保険契約者が正しい理解に基づく適切な判断ができるよう適切な説明等が行われること」が重要なのだと、こういうことを確保するためにということなので、この登録制度の趣旨は、やはり具体的な保険商品の説明をきちんと行ってもらう、そういう人に登録してもらう。そういうところに重きがあるのだと思います。ですから、22ページのマル2で、具体的な保険商品の「推奨」というのが少しわからないところはあるのですが、「説明」というのが書いてあって、説明に一定の重きを置いた考えだと私はお見受けしますし、少なくとも現状よりは、総合的にとかいうところはあるのですが、現状よりは保険募集概念が明確化されるし、私はこの考えには賛成でございます。

この保険募集概念は、保険募集を、結局、登録を行わずにやれば刑事罰の対象になるということで、いわゆる刑罰法規なのですね。罪刑法定主義が適用される刑罰法規ですから、やはり一定の明確性がそもそも求められるべきことだし、これが明確になるということで、いろいろな新しいビジネスを検討する時に、それが出来るか出来ないかがわかりやすくなりますから、この明確化の要請は非常に大事だと思っております。

この部分の私の思いは、従前に何度も申し上げているのですが、やはり一般に行われている、利用者利便の観点からも望ましいと思われる、ビジネスマッチング業務、顧客を紹介してもらう業務、その紹介先から保険会社だけが除かれてしまうことを防ぎたいなと、やめてほしいなと。例えば銀行は、自分たちの顧客にさまざまなビジネス、取引先を紹介しています。例えば証券会社を紹介しましょうとか、いろいろな土産物屋さんを紹介しましょうとかいうのも、やっているかもしれませんけれども、そこから保険会社だけは紹介できません、なぜなら保険募集の規制があって登録していませんからというのは、ちょっと保険会社だけがビジネスの世界から、あるいは社会から隔絶されるというか、ガラパゴス化されてしまうような懸念がございまして、そのようにはしてほしくないなという強い思いはございます。

それと、これは保険契約の締結の「媒介」という法解釈の問題ではあるのですけれども、同じような概念が用いられている銀行代理業や貸金業との一定の標尺は、とっていただく必要があるのかなと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

自分の認識が少しあやふやなので、確認までですが、22ページの中段で「保険契約の成約に連動して支払われる等」と書いてありまして、注釈62でも、マル1で「保険会社等から(成果に連動して)報酬」という表現になっています。ここの読み方として、いわゆる成果連動型報酬の場合が募集行為に当たるということでよろしいのでしょうか。というのは、ワーキングの議論では、単純な成果連動型だけではなく、必ずしも成果連動はしていないが、通常の広告費を超えるような、通常よりも大幅に高い報酬水準となっている場合であっても、募集にあてはまるという議論だったかと思います。ここは再整理をされ、成果連動型という趣旨に変わったという理解でしょうか。

○伊野保険企画室長

すみません。文章が長くなるものですから、「等」で読み込んでおりまして、連動型はここに該当すると思いますので、まさに今、加藤委員がおっしゃった、通常よりも高いものであれば、当然推奨したくなりますので、そこはここの「等」という中に入れておるという認識でおります。

○加藤委員

そういう意味では、一定水準を超えるような、いわゆる通常の広告費水準を超えるような報酬体系であった場合には、「募集行為と一体性・連続性を推測させる」というように、文意がつながってくるということでしょうか。

○伊野保険企画室長

はい。そういう認識でございます。

○洲崎座長

ほかにいかがでしょう。

錦野委員。

○錦野委員

どうもありがとうございます。

今、加藤委員がおっしゃられた、62の脚注のところなのですけれども、このページの上に、さっき申し上げたような、私は賛成すると申し上げたメルクマールがあるのですが、そのメルクマールにやはりこの例示を、これは例示で書かれているわけですから、照らして考えてみる必要があると思います。

マル1は、「報酬を得て」というのがありますし、これでメルクマールのマル1を満たすと思います。それから、「具体的な商品説明を行う行為」というので、マル2のメルクマールを満たす。ですから、これが非常に上のメルクマールと整合的ないい例であると思います。

マル2のほうが、いま一つ、少しわからないところがありまして、報酬を得るということなのでしょうか。マル1のメルクマールを満たす。特定の保険会社の商品はわかるのですが、「商品(群)のみを見込み客に対して積極的に紹介して」というのですけれども、それがこのマル2の、具体的な保険商品の説明を行っているような場合を指すのかとか、ちょっとここがどういう、具体例として挙げるには少し抽象的である気がするのです。それで読みようによっては、ここはあくまで積極的に紹介してと、「積極的に」というところに重きがあるのかもしれませんけれども、私はビジネスマッチング業務を阻害してもらいたくないという思いがあるものですから、紹介業務全般にこれを広げられてしまうと、もしかしたら読み手に誤解を与えるのではないかと思いますので、もう少し、このマル2は具体的な内容に、特に前段のところをしていただければと思います。

○伊野保険企画室長

ここのマル2につきましては、特定の会社の商品のみを積極的に紹介するということは、やはりそこの商品を推奨していることに該当するのだろうという理解をしておりまして、それでかつ報酬を得るということであれば、ここでいうと募集に該当してくるのではないかということを説明しておるものでございます。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

例えばビジネスマッチング業務というのは、銀行がやるにしても、保険商品をお求めなのであれば、例えばA生命保険会社を紹介しますよということをやるわけです。ということは、そういう業務自体が、もともと特定の保険会社を紹介するような形でやっているのが普通だと思うのです。複数社ありますけれどもという形で紹介行為は行いませんので、顧客紹介業務はどうしても紹介をする相手は限られる、そもそもそういうものだと思っております。例えば保険会社を紹介してもらいたい方は、A生命保険会社を紹介しますとホームページ上に書くのと、例えば生命保険商品をお求めの方は紹介しますと書くのと、商品群ということでいえば、医療保険をお求めの方はと書くのとで、違い、そういうものも射程に置いての話なのかどうなのかが、ちょっとわからないところがあります。そこら辺はいかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

まさに上にありますように、総合的に判断していくということですので、個別具体的なところまでこの報告書で細かく書くことは困難だろうと思いますけれども、先ほど錦野委員がおっしゃっていたような、銀行が特定の保険会社を紹介するというようなケースであれば、通常、銀行窓販規制で何を考えてやっているのかというと、その融資をする銀行が特定の保険会社を推奨するのは、やはり何らかの圧力がそこに生じ得るのではないかということで、そういった規制をしておりますので、そういった銀行窓販規制との関係等も考えながら、まさに総合的に判断していくということではないかと考えております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

私の例示、テーマの設定の仕方がまずくて、銀行がと言ってしまったので、きっとそういうお答えになったのですけれども、別に紹介を行う主体は銀行だけではないわけですよね。ですから、この議論ばかりずっと続けるわけにはいかないと思うのですけれども、私が申し上げたいのは、マル2の例示がちょっと、いずれにしましても総合的な判断というのはよくわかるのです。それを全てここで明確化できないのもよくわかるのですが、例示としてこのメルクマールがよりわかりやすくなるような、ちょっとこのマル2の例示がどういう場合を想定しているのか少しわかりにくいので、具体的にしていただかないと、このマル2だけを読んでしまうといろいろな場面が想定されてしまって、読み手によってはいろいろな解釈が生まれてしまうかなと思ったので、具体的にするか、あるいはもう消してしまうかを、していただきたいなと思っております。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

それに関連して、私の読み込みがちょっと違うのかもしれませんが、紹介というのは歴史的に見ると、業務としてやるものではなく、会社への臨時的な協力であり、相互会社では無報酬で紹介していたというのが、本来の紹介だと思うのです。今それを、紹介を業としてやるものは、むしろ、本来の紹介ではなくて募集にかぎりなく近いものではないかと考えまして、ここのあたりを読んでいたのですけれども、こういう理解は極端な理解なのでしょうか。

○伊野保険企画室長

すみません。ここに書いておりますのは、まさに「業として」「特定の会社の商品のみを」「積極的に紹介して」ですので、それは募集ではないのかなというのが、一般的な見方ではないかと思います。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

何度も申しわけありません。では、ここだけでも明らかに。これは対面でやる場合を想定されているのですか。ホームページとかではなく、対面でやる場合であれば、今、室長がおっしゃられていることがしっくり、ある程度場面的には、半ば押し売り的に、例えば「この損害保険会社の商品は本当にいいですから」と言って、その場で契約締結意思が醸成されてしまうような強いやり方を想定できるのですよね。そういう場合を想定しているのであれば。

○伊野保険企画室長

対面の場合はこれに該当しやすいということだと思いますけれども、一方で、例えばホームページで何か書いてあるだけでは、「積極的に」という部分にはあまり該当しないのだろうと思います。もちろんホームページを使ったやり方でも、状況によっては、当然募集に該当するようなケースが多々あると思いますし、ホームページだから該当しないというわけでは、もちろんございませんが、ここのマル2の例示としていくと、「積極的に」というところの解釈ではないかと考えております。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

ほかにご意見はございませんでしょうか。

一応、本日用意していただいた報告書案全体について検討をさせていただきましたけれども、報告書案全体について、何かございましたら。

米山委員。

○米山委員

「おわりに」がまだなっていないので、そこに関してよろしいでしょうか。

○洲崎座長

その「おわりに」も含めて全体について、これまで議論したところも含めて全てについて、ご意見がございましたら。

○米山委員

わかりました。

前回、募集文書の簡素化が形骸化しないために、実務、監督規制、及び消費者の3者の努力が必要であるという発言をさせていただいたのですけれども、それを「おわりに」で盛り込んでいただきまして、どうもありがとうございました。

ただ1点だけ申し上げておきますと、簡素化に伴って消費者側も、例えば簡素化の揚げ足を取るような行為を行うとしたら問題であろうかと思います。そこで重要なのは、消費者の金融経済教育というか契約者のリテラシーといったものも、とても大事なのだと思います。そこで前回発言しましたように、消費者も含めた3者を考慮した記述を盛り込んでいただくと、大変ありがたいと思います。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

それでは、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思いますが、この報告書案について追加のご意見がある方は、来週水曜日、22日までに事務局宛てにご意見を提出していただきますよう、お願いいたします。事務局におかれましては、本日の議論や追加のご意見を踏まえて、報告書案の修正作業をお願いいたします。

次回は、本日の議論も踏まえて、事務局において修正した報告書案について確認の上、報告書を取りまとめたいと考えております。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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