金融審議会「保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ」(第3回)議事録

1.日時:

平成23年8月30日(火曜日)10時00分~11時40分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎WG座長

それでは、ただいまより保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ第3回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、松山委員の代理として、鬼頭参考人にご出席いただいております。なお、本日は吉野会長にもご出席いただいております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日の議事ですが、前回お示ししました今後の検討事項のうち、まだご議論いただいていない事項について取り上げたいと考えております。

それでは、まず、「保険募集等の委託の在り方」を議題としたいと思います。事務局より、資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

保険企画室長の伊野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず説明に入ります前に、先般8月2日の人事異動で事務局に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。

まず、総務企画局参事官に小野、監督局保険課長に前保険企画室長の小原、小原の後任の保険企画室長に私、伊野が就いておりますので、ご報告させていただきます。しっかりと事務局を務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、資料の説明に移らせていただきます。資料でございますが、資料1、説明資料の丸1となっています「保険募集等の委託の在り方」について、ご説明をさせていただきます。あと参考資料2ということで、第1回ワーキング・グループにおける実務メンバーの方からご説明をいただいた資料を、ご参考にお手元に配付させていただいておるかと存じます。

説明資料の丸1からご説明をさせていただきます。まず、おめくりいただきまして、1ページ目でございます。保険募集の委託に関します現行制度について書かせていただいております。

まず、保険募集を行うことができる者ということでございますが、保険業法におきましては、保険募集の公正かつ適切な実施を確保するため、保険会社の保険契約の締結の代理または媒介を行うことができるのは以下の者に限られております。これが生命保険募集人、損害保険募集人ということでございますが、この生命保険募集人及び損害保険代理店につきましては、内閣総理大臣の登録を受けるということになってございます。

まず、生命保険募集人ですけれども、生命保険会社の役員もしくは使用人、もしくはこれらの者の使用人または生命保険会社の委託を受けた者、もしくはその者の役員もしくは使用人で、その生命保険会社のために保険募集を行うものという規定になってございます。

損害保険のほうの募集人でございますが、損害保険会社の役員もしくは使用人、損害保険代理店またはその役員もしくは使用人ということで、「したがって」と書いてございますが、保険会社から保険募集の委託を受けた者が保険募集を行いますが、さらに別の者に再委託をするというところまでは現在認められていないという制度になってございます。

次に、所属保険会社等の賠償責任でございますが、ここにございますように、所属保険会社は、委託をした保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負うということで、所属保険会社の責任が法令上定められているというのが現状の法令の制度ということになります。

これの関係で、※を書いていますが、保険募集人に対しては、そういうこともあって、資力要件は課されていないということになってございます。

2ページでございますが、現行の保険募集の委託のイメージでございますが、ケース1は、一般的な委託で保険会社はそれぞれ代理店に委託をして、保険募集をしてもらい、その管理・監督は保険会社みずからが実施しているというのが典型的なパターンでございます。

ケース2は、保険募集にかかる事務を他社に委託するケースでございまして、保険会社A、B、ここにございますが、保険募集の委託はAが代理店に対して委託をしておるんですけれども、保険会社Bに対して、その具体的な代理店の管理ですとか書類の授受といった事務手続を委託をすると。実質的な業務につきましては、Bのほうで行っているものの、委託契約はAが直接結んでいる、こういう形でBに対して事務を集中させるということが行えるということが現状、ケース2というのがございます。

資料をめくっていただきまして、3ページでございますが、現状を前提にグループ内の保険募集業務の集約化のために再委託を活用したいというご要望があります。そのイメージでございますが、まず左側、保険募集をグループ内の特定の保険会社に委託をするというケースでございます。これは、例えば、保険持株会社のもとに保険会社Aという代表的な大きな保険会社があり、B、Cといったそれぞれの分野に特化したようなものがあるようなケースです。大きな保険会社Aに保険募集の委託を行いまして、そこで集中的に代理店の管理をし、代理店管理業務の徹底と効率化といったものを図っていこうというようなケース、グループ経営としてそういったことをしたいというようなケースというのが考えられますというのが丸1でございます。

丸2のほうは、むしろどこかの保険会社に寄せるというよりは、共同の保険募集の委託、代理店管理をする会社といったものをつくって、そこにグループとしての代理店管理を集中させて、代理店をしっかりと管理していこうというようなケース、こういったものが再委託を認めた場合にグループ経営として考えられる選択肢の1つとして入ってくるというようなことかと思われます。

4ページに移らせていただきまして、そういった形での再委託をするということに関しての論点でございますが、論点を整理させていただきますと、保険募集業務を再委託する場合、再受託者、復代理の先ということになりますが、そこの再受託者は再受託者と委託契約、真ん中に入る左上の再受託者と委託契約を締結して、元の保険会社とは直接的な委託契約を締結しないという形になるということではないかと考えられます。

このことの論点でございますが、保険募集を再委託した場合には、保険会社の直接の監督が契約上は及ばないということになりますが、適正な保険募集をどのように確保していくんだろうか。また、グループ内の再委託者を通じた再委託であれば、適正な保険募集が確保されると考えられるのかということ。

2つ目でございますが、再委託を受けた者が保険契約者に加えた損害の責任の所在について、どう考えるのか。その際、保険会社、再委託を行ったものの責任について、どう考えるのか、またグループ内であれば、保険会社と再委託者の責任の所在が不明確になることが回避されるのかということ。

3つ目でございますが、現行でも代理店に対する教育・管理等の事務を他社に委託することは、先ほども申しましたように、可能とされております。そういうことでございますが、保険募集の再委託を可能とすることのメリットというのはどういうところにあるのかというところを挙げさせていただいています。

少し飛ばしますが、一番最後のページでございますが、7ページをごらんいただけますでしょうか。参考ということで、同じような再委託が銀行法で認められております銀行代理業の制度につきまして、ご説明、ご参考にさせていただこうと考えております。

銀行法では、預金または定期積金等の受け入れの契約の締結の代理または媒介等を行う銀行代理業制度が設けられておりまして、当該制度におきましては銀行代理業の再委託が認められております。

その概要でございますが、まず、行政庁の関与としましては、許可制ということになっております。再委託を受ける者も銀行代理業者と位置づけられておりまして、同様に許可が必要でございます。そういう意味では、保険募集人につきましては登録制ですので、そこが少し異なっているということかと思います。

あと、再委託の要件ですが、所属銀行の許諾が必要ということになっております。所属銀行による指導につきましては、所属銀行は銀行代理業者、これは当然、再受託者も含みますが、それが営む銀行代理業に関しまして、業務の指導その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないこと。

あと、銀行代理業の再委託者、これは真ん中に入る人ですけれども、真ん中の再委託者につきましても再受託者、一番最後の復代理の先ですが、そこの健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じるということで、所属銀行は一次代理のところと二次代理のところ、両方しっかり監督しろと。一次代理のところは二次代理のところをしっかり監督する、そういう仕組みになっておるということでございます。

丸4の所属銀行等の賠償責任でございますが、所属銀行は銀行代理業者、これは再受託者も含めまして、それが銀行代理行為について顧客に与える損害を賠償する責任を負う。

銀行代理業再委託者、真ん中に入っている代理業の再委託者は、銀行代理業の再受託者、二次受託者ですが、そこが行う銀行代理行為について顧客に与えた損害賠償する責任を負うということ。これも監督と同じように、それぞれ損害賠償責任を負うという構造になってございます。既に認められておる銀行業のほうの代理業につきましては、このような仕組みで再委託が認められるということでございます。

あと5ページ、6ページは、これまでの主な議論について載せさせていただきます。既にこれまであったことでございますので、説明は省略させていただきたいと思います。

以上でございます。

○洲崎WG座長

それでは、ただいまの事務局説明を踏まえまして、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

○水口委員

ご説明ありがとうございました。この件に関しては、契約者の視点から申しまして、保険募集を再委託することを可能にすることが、利用者の利便性の向上につながるような具体的などのような事例があり得るのかということを、実務家の方に具体的にお話を伺えいたい思います。

また、保険会社の視点から言いますと、保険募集の再委託によって格段に事業効率化が進むようなシナリオというのも考え得るのかということについても、具体的にお話を伺わせていただければと思っております。

また、保険募集業務を再委託する場合に、再受託者は再委託者と委託契約を締結して、保険会社とは委託契約を締結しないという話でありますけれども、保険会社の直接の監督が十分及ばないといった問題意識を払拭するような有効な措置というものは何か特別なことをお考えなのかということも伺いたいと思います。

現行の体制に目を向けると、契約者の利便の増進などの観点から、合理的であるものについては既に一定程度、代理代行ということは行われているといえるでしょうが、保険募集の再委託を可能とするメリットをより具体的お示しいただきたいと思います。

契約者が受けた損害の所在が保険会社にあるということになったりしますと、先ほど責任の所在が不明確になる可能性もあるという話もありましたが、再委託者にとって保険会社とは間接的な関係にあることと相まって、再委託者への規律が働きにくくなるといったことも想定されるますが、こうした懸念を払拭するような措置として具体的にどのようなことをお考えなのかというのをお示しいただきたい。

一般論ではありますが、保険会社の外部チャネルの教育の資質の向上とか、それから保険会社による十分な監督という観点から言いますと、いまだ一定の改善の余地があるような可能性もあるかもしれないと考えております。こうした認識もご考慮いただき、指摘されている諸懸念事項を払拭するため、どのような具体的な措置を講じることが可能とお考えなのか。可能だとしたら、保険募集の再委託をよしとしたときのメリットがどれほどのものであるのかとお考えなのかというのを、諸観点から具体的なイメージをもう少しお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

以上です。

○洲崎WG座長

それでは、岩井委員、お願いします。

○岩井委員

幾つかのポイントがあります。多少全般的に網羅いたしまして、お話をまず申し上げたいと思っております。

まず、私どもが想定しているケースは、先ほどの事務局のご説明資料にも幾つかのケースが、出てきましたけれども、極めてシンプルなケースでございます。今、お話に出た中で、かつての例えば措置困難というようなご当局の見解が出ているようなものもございます。私どもが想定しておりますのは、例えば、保険グループの総合力を高めるために、ニッチな保険商品、こういったシンプルなものを新たに扱ったり、独自のビジネスモデルを展開していこうというようなケースでございます。

その際に、システムコストは極めてシンプルな商品ですから、低廉なものにしたいという理由で小規模の保険会社を設立したり、買収したりということが今後、特に出てくるのではないかなというふうに思っております。

御存じのとおり、新設保険会社や買収された保険会社では、保険業法で認められております業務の代理、事務の代行によって、さまざまな募集関連の事務あるいは保険契約締結の業務等々がグループ内の中核保険会社で代行されている場合がございますけれども、この代理代行を活用するような場合でも、新設保険会社が買収された保険会社では、新たに代理店委託契約を締結しなければ、グループ内の中核保険会社の販売基盤をすぐには使用することができません。すなわち、先ほど申し上げたニッチな保険会社を専門に取り扱うような保険会社の場合でも、多数の保険代理店さんと個別に代理店委託契約を結ばなければなりませんが、この点につきましてはロードやコストの観点からもやや違和感があり、グループ内の保険会社間に限って、募集委託の在り方について規制の緩和をご検討いただけないかというのが本要望の発想の原点でございます。

お話がございましたお客様にとってはというところで申し上げますと、グループ内保険会社間の販売代理が認められれば、代理店さんは今まで以上にお客様ニーズに合致する商品サービスを取り扱うことが可能になりますので、お客様の選択肢が広がるということにつながっていくものと考えております。

また、効率的なグループ経営が可能になることによって、お客様にも保険料面でのメリットをご提供できる可能性も広がるというふうに考えております。

もう1つございまして、保険会社側といたしましては、新設保険会社、買収された保険会社がグループ内の中核保険会社の販売基盤をすぐに活用することができますので、申し上げました通り効率的にグループ経営を行うことが可能になると思われますし、商品ラインナップの効率的補完によってグループの総合力を高めることができるものと考えております。

また、保険会社にこういった経営の選択肢があるということ自体が、グループ自体としての今後の成長に向けての企業価値の向上ということで、投資家さんへのインセンティブにもつながってくる可能性もあるのではないかと思っております。

一方、本規制の緩和に関しましては、お客様のほうの観点からも、ただいまお話がありましたが、ご懸念もおありになるかと思いますが、こちらにつきましてもお客様に対し、募集時に販売の代理であるということを十分にご説明させていただくと同時に、ご契約のメンテナンスを商品提供会社にて行う体制というのをしっかり整備した上で、これらの窓口をきちんとご案内させていただくと。

それから、今、責任の問題がございましたけれども、募集販売時に何か問題が生じた場合の商品提供会社と販売受託会社との責任関係を明確にしておくといった手当てを行うことで、問題が生じないように対応することが可能ではないかなと、何か整理ができるのではないかなというふうに思っております。

以上でございます。

○洲崎WG座長

では、加藤委員。

○加藤委員

岩井委員、ありがとうございました。今おっしゃっていただいた損保協会さんとしての要望、ニッチ商品や補完的な商品分野でのITコストおよび契約事務締結の軽減という効果が期待できること、よくわかったのですが、それを満たされるために一体どのタイプの再委託態勢をご要望されているか、お聞かせいただきたいと思っています。

というのは、再委託というのは、今回事務局提示資料の3ページにありますように、1番という類型である「保険会社が再委託代理店になる」もの、2番という類型である「保険会社でないものが代理店になるもの」があります。この両方を審議の対象としていくのか、もしくは、今の損保協会さんのご要望ということを踏まえると、1番という類型だけでいいのか、これによって再委託によるリスクの負担方法等々というのは、審議のやり方が違ってくるかと思います。また、第1回会合のときに生保協会さんから提示があった、3つ目の類型としていわゆる「復代理」というのがあると思いますが、それは今回議論の対象外だという認識でいいのか?これら3つある類型のうち、どの部分を今後対象として審議をしていったらいいか。もしお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたい。

○洲崎WG座長

岩井委員。

○岩井委員

はい。この話、いわゆるかつての復代理の議論とある程度重複する部分がございますけれども、先ほど申しましたように、かつての議論につきましては、措置困難という当時のご当局のご見解に、業界としても今も感覚的にそうであろうというふうに考えておりますので、この図でいいますと丸1の図ですね。もう少し多少こうシンプルになるかもしれませんけれども、丸1の図を当面私どもとして想定をしているというふうにお答えを申し上げたいと思います。

○洲崎WG座長

よろしいでしょうか。では、小島委員。

○小島委員

小島です。私も今回検討しております課題については、保険契約者の利益保護の視点から考えるべきだと思っております。その意味では、代理店あるいは募集人が契約者とどういう契約あるいは説明をしているかということについては、保険会社が最後まで責任を持つということ、あるいは、もし募集人なり代理店が損害を発生させた場合には、その損害賠償についても保険会社が最後まで責任を持つということが基本だろうと思っております。

そうした観点から考えた場合に、第1回目のWGで松山委員が指摘された、指導・監督、教育を含めた責任、あるいは損害賠償責任も保険会社が負うのかという点があいまいになるという懸念がありますので、そこをどう払拭するかが課題ではないかと思います。

その意味で、7ページにあります銀行代理業制度を参考に考えますと、再委託要件として、所属銀行にあたる所属保険会社の許諾が必要だという点。それから、再委託代理店についても所属保険会社が指導・監督責任を最後まで負う点。最後に、損害賠償についても所属保険会社が責任を負うという要件を課すということであれば、指導・監督・教育の問題あるいは損害賠償責任の問題をある程度払拭できるのではないかと思いますので、そういうことを含めて検討すべきと考えます。

これについて松山委員なり岩井委員がどう考えるかということをお聞きしたいと思います。また、こうした形でグループ内での代理店再委託を認める場合、保険会社の代理店、あるいは募集人に対する教育・管理・監督の徹底の強化が前提ではないかと思いますので、そういう観点からの検討が必要と考えます。それが結果的に保険契約者の利益保護にもつながっていくのではないかと思います。

○洲崎WG座長

では、鬼頭参考人。

○鬼頭参考人

生命保険協会、鬼頭でございます。

ただいまの小島委員のご質問についてお答えをいたしますが、7ページに挙げられております銀行代理業でございますけれども、まず、銀行と保険には少し相違があると思ってございまして、預金あるいは定期積金といった比較的シンプルな商品と、一方、私どもが扱っております保険というものは比較的複雑な商品でございまして、端的には再加入困難性でございますとか、色々な要素がございますために、募集についてかなり丁寧な取り扱いが必要だと思ってございます。

したがいまして、それに対する規制もただいま非常に厳格にされているというように思ってございますので、この銀行代理業で再委託が認められているからといって、それがそのまま保険に認められていいというものではないというように感じてございます。

また、再委託者のほうにもこういった色々な監督責任、あるいは損害賠償責任を負わせればいいのではないかというご意見かというように伺いましたけれども、現在のところ、それでは、再委託者にどのような要件が課されているかといいますと、今のところ、保険のほうでは特段色々な規制はない。どちらかというと、元受会社がすべての監督責任及び損害賠償責任を負っているというのが法の建付けでございますので、今、その建付けを前提にいたしますと、なかなかそうした中間段階の再委託者に色々な物事を背負わせるというのは少し課題があるのかなと、このように思ってございます。

○洲崎WG座長

では、阿部委員。

○阿部委員

資料1の5ページから規制改革の経緯が簡単に書いてあります。実は平成15年のときに経団連からも要望を出しておりますが、当時は生保・損保両業態からの要望のほかに、他の金融業態の要望とか、あるいは金融と関係ない業態から一種の新規参入的な要望もありまして、非常に要望が混在しておりました。特に非金融業態から保険の販売を自分たちも手掛けたいというような声もありまして、ここに書かれておりますような、まさに保険代理店の中の非常に規模が大きいものを作って保険の卸売業者を目指すような話もあったので、こういう結論になってしまったのは仕方ないと思っています。

ただ、当時から私どもの議論の中核は、やはり保険会社グループ、保険グループの中でのグループ経営の効率化ということで何かできないかということだったと思います。

そういう意味で、今回の議論の中で、もう一度保険の枠内でグループ経営の効率化を図るということで何ができるかということで考えればいいと思います。そういう意味で、参考資料2で、松山委員のほうの1ページのお話ですけど、代理、復代理という話が当然議論になるかと思うんですが、実はこの論点は、今、民法の債権法改正の議論の中に大きなテーマとして入っていますので、正直このWGで結論を出すのは無理があって、もう少し法制審議会民法(債権関係)部会の議論の行方を見たほうがいいかなと思っています。

別に民法改正まで待てとは言うつもりはありませんけれども、一、二年のうちにこの議論はかなり進むと思いますので、世の中のそもそもの考え方の変化は見たほうがいいと思います。そういう意味では、申しわけありませんが、この1ページに書いてあるようなことは難しいのではと思っております。

逆に、そういう意味では、3ページ、4ページにあるような話は、ある意味でグループ経営の効率化の中でかなり限定的な要素として考えられればいいと思いますので、もちろん賠償責任の問題等いろいろあると思いますが、方向性としては前向きにご検討いただければと思います。

経団連としては再度また要望させていただきたいと思いますけれども、何でもありではなく、グループの中での経営の効率化の視点で何ができるか考えていきたいと思います。

○洲崎WG座長

では、沖野委員。

○沖野委員

2点ございます。1点目は小島委員がご指摘になったところと全く同一です。責任関係についてですけれども、先ほどのご説明の中でニッチ商品などの例を挙げられ、その際に同時に手当てとして連動させて責任関係を明確にするというお話がありました。その責任関係を明確にするという場合の含意です。責任関係を分担するということを含んで考えておられるのか、そうではなくて、再委託がされた場合にも、むしろ一段階目、二段階目の委託者がともに責任を負うという対応も十分考えられるのかどうかを念のため確認させていただきたいと思います。特にコスト削減という点が重視されるとなりますと、責任部分についても分担ということをお考えなのか、それはともに責任を負うということで十分で、コスト削減というのはあくまでIT化ですとか契約締結事務の処理コストの点での削減さえできればよいということなのかです。

今日、事務局からご説明のあった、銀行の場合の規律の内容が非常に参考になると考えます。これについて、既に小島委員からご指摘があり、それに対するご回答があったところですけれども、仮にこういう形での規律を設けることを考えたときに、銀行と異なって保険では支障があるということがあるのかという点を、連動する事項として教えていただきたいと思います。既に先ほどのご説明の中で、募集についての丁寧さが必要であるということや、再委託者についても損害賠償責任を負わせるということが難しいといったお話がありましたが、それはそのための規律を設ければよいのではないかと思われます。きちんと丁寧な説明ができるような形でないと再委託はできないような規律にすることは考えられ、そのような手当てをすることでそれぞれ対応可能ではないかと思います。銀行業におけるような規律内容にすることについて、新たに募集の適正さ等の確保のための規律をかけるということも視野にいれたとき、保険の場合はなお問題があるという点があるのかというのを教えていただければと思います。

以上が1点目です。2点目は、復代理あるいは復委任につきまして、債権法改正のご指摘についてです。ご指摘のとおり、現在進められている民法の改正の検討の1つの項目ですから、その私法上の規律を踏まえるというのは十分考えられるべきことだと思います。

ただ、復代理ですとか復委任の場合の規律内容と、今回考えられている場面とは違う面もございます。と申しますのは、復代理や復委任の場合には、代理であれば本人、委任であれば委任者側から見て、受任者がさらに再度委任ができるというのはどういう場合で、それによって本人と元々の代理人ですとか受任者、あるいはさらなる復代理の先との関係はどうなるのか。その三者でどうなるのかという問題が専ら民法のほうの復代理や復委任の議論であると思いますけれども、ここではむしろ保険契約締結の相手方の保護をいかに図るかということが重要になってきますので、そのような違いがあることも念頭に置いて考慮する必要があるのではないかと思います。

以上です。

○洲崎WG座長

第2番目のご質問については、どなたに。

○沖野委員

失礼しました。第2点は、阿部委員がご指摘になったことを補足するつもりです。

○洲崎WG座長

最初に質問を2つされたと思います。第1点は、これは実務家側からお答えいただくということで、第2点の銀行代理業との違いについての……。

○沖野委員

第2点につきましても実務家の方からご指摘いただければと思います。それからもちろん、事務局からさらにコメントがあれば、それはお願いいたします。

○洲崎WG座長

では、よろしくお願いします。岩井委員。

○岩井委員

先ほどの責任関係というところですが、こういった形でグループ経営の効率化を一歩進めるというような場合に、やはり銀行法を参照すると、これは趣旨としては両方の保険会社に請求ができるというような趣旨がベースにあるのではないかと思いますので、これを参考にしながらということになるのではないかなというふうに業界として考えております。

実態としては、そこから先、委託元、委託先でどちらに責任があるかという内部の論議はありますけれども、ご契約者との関係からいけば、両方に対して責任を追及できるような形になってくるのではないのかなというふうに現在考えております。

それから、先ほど、その前の先生のご質問で、どんな商品を考えているのかということがございました。私は、先ほどニッチという表現をしましたけれども、例えば、現在の少額短期保険会社が取り扱っているような極めてシンプルな商品というような表現をさせていただくと、もう少しイメージがわかりやすいかなということで、補足をさせていただきます。

以上でございます。

○洲崎WG座長

鬼頭参考人。

○鬼頭参考人

鬼頭でございます。先生のご質問にお答えいたしますが、先ほどのお話で、銀行と同じようなこういうスキームを入れればいいのではないかというお話でしたが、一方で、損保さんがおっしゃった規制緩和の対象が、保険会社が再委託者になるということに限られるとすれば、現在の代理・代行のスキームを活用すれば、それでいいのではないかというように思ってございまして、逆にこのスキームを設けることで新しい再委託者に対して、契約の手間とかコストが省けるというメリットがあるというご指摘だったのですが、そのことと同時に発生する懸念、例えば、新たな契約者保護でございますとか消費者保護へのどのような影響があるのか、こういう懸念は多分比較考慮して判断されるべきものではないかなというように考えてございますので、申し添えます。

○洲崎WG座長

先ほど岩井委員から、少額短期保険業者がしているような業務が想定されるということでしたが、さらに具体的に言うと、例えばペット保険のようなものが考えられるということですか。

○岩井委員

ええ。あくまでも議論の中の話ですけれども、例えばペット保険というと非常にわかりやすいのかなというふうに思います。

○洲崎WG座長

では、後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。今の鬼頭参考人のご説明についてちょっと伺いしたいと存じます。現在の事務の代理代行で十分賄えるのではないか、それに対して再委託を認めると問題が生じるのではないかというようなご発言だったかと思いますが、それでは、なぜ代理代行の場合には問題は生じないとお考えなのかというところが私にはよくわからないところでございます。保険会社の直接の監督が及ばないこととなるということもあるような気もするのですが、そこで直接の監督というのは具体的に何なのかということを考えますと、もしそれが募集者の教育や管理等なのであれば、それを事務の代理代行として委託してしまえば、それは外に出てしまっていますので、その場合にも問題はあるという見方もありうるかなという気もしております。

もうそうなのであれば、むしろ正面から再委託を認める形で、委託者と再委託者両方に責任を課していって、かつ、その再委託者を保険会社に限定するのであれば、保険業法の監督の中で再委託者が再受託先に対する教育とかをしっかりやっているかということもチェックできるとすると、むしろ再受託を認めたほうが、事務の代理代行などで済ますよりも本筋なのではないかなという気が私はしております。なぜ事務の代理代行のほうが合理的なのかというところは少しちょっとイメージがわきませんでしたので、ご説明をいただければと思います。

○洲崎WG座長

では、鬼頭参考人。

○鬼頭参考人

恐れ入ります。ちょっと説明の仕方が不十分で申しわけございません。業務の代理・事務の代行のほうが優れているという説明をしたつもりではございませんで、効果としては同じではないかと。ただ、その差異は再受託先と元受会社の契約を結ぶか否かという1点にあるのではないかという指摘でございまして、そうであれば、事務とかコストの手間ということだけを大きなメリットととらえるべきかというような趣旨で申し上げたつもりでございました。失礼いたしました。

○洲崎WG座長

私も頭の中をうまく整理できていないのですが、最初に鬼頭参考人から、代理や事務の代行で十分であるというようなご発言があったように思うのですが、そういう趣旨ではなかったということでございますか。

○鬼頭参考人

すみません。今のそういう代理・代行のスキームでもこのことはできるのではないかということを申し上げたのですが。

○洲崎WG座長

「このことは」というのが。

○鬼頭参考人

再委託先に、この場合、再委託であるという表現になっていますけれども、元受の次の次のところが販売を行うということが可能ではないかということを申し上げたつもりです。

○洲崎WG座長

つまり、教育や研修について再委託の形をとることは現在でもできるということで。

○鬼頭参考人

はい。

○洲崎WG座長

販売についても再委託をしてもよいということにつながるという、そういうご意見だったわけですか。

○鬼頭参考人

新たに何かというよりは、今の代理代行という枠組みの中でも元受が、例えば、損保業界さんがおっしゃっているような新たなニッチな商品をお客様に届けることはできるのではないだろうかということを申し上げています。

○洲崎WG座長

このような新しいスキームをつくらなくてもできるという、むしろ消極的なご意見としてご発言されたということでしたか。そういうことであれば私もよく理解できました。

○鬼頭参考人

はい。恐縮です。

○洲崎WG座長

では、後藤委員。

○後藤委員

どうもありがとうございました。私自身はまだ納得がいっていないところもあるんですが、事務の代理代行でほぼ同じことができているのであれば、むしろきっちりしたほうが弊害にしっかり対処できるので、むしろ再委託のほうが私としては望ましいのではないかというふうに考えております。資料1の2ページのケース2では総括代理店が保険会社であるというような形で書かれていますが、もし事務の委託でやれるということになってしまいますと、それは保険会社でなくてもいいということになってしまってきて、そうすると、そこが何か変なことをやったときに監督をどうかけていくかということへの対処が確保されていないような気がいたします。

また、再受託先と元の保険会社のところに契約関係があるということの意味が何かというと、それは相手をお互い知っているという意味なのであれば、募集人が再委託をするときにはどこに再委託するかということについて、元々の保険会社の承諾が要るという形にしておいて、再受託先と元々の保険会社とがつながるようになっていれば、問題がないような気もするところであります。

○洲崎WG座長

沖野委員。

○沖野委員

後藤委員のご指摘を受けて、念のため確認させていただきたいのです。資料の2ページのケース2の事務の集中を図るというタイプにおいて、現行がどうなっているかということでお聞きしたいことがございます。

1つは、保険会社Bが総括代理店ということになっているのですが、この教育・管理を保険会社でないものが担うということは現行法制上できるのかということが1点目です。

もう1つは、このケース2の場合の保険会社Bは、保険会社Aが締結する契約に関して代理店等に何らか問題があったというような場合の責任をどういう形で負っているのかということです。そして、それが緩和されているのであれば、むしろ後藤委員がおっしゃったように、再委託にしつつ、責任をきっちりかけるほうがいいということにもつながるように思います。現在の事務代行で行けるのではないかという点の評価のためも含めて、現行法制はどうなっているのかを確認させていただきたいという趣旨です。

○伊野保険企画室長

まず、保険会社Bに位置するところが保険会社でなくてもいいのかどうかという点でございますが、これは特段、保険会社に限られているわけではございません。

あと、何か問題があった場合ということですけれども、保険会社が直接代理店を経由して保険募集をしているという形になりますので、保険会社がそこは責任を負うと。代理店が全く負わないというわけではございませんが、保険会社が責任を負うということになります。

○沖野委員

保険会社というのは、Aのほうが負うということですか。

○伊野保険企画室長

はい。Aが負います。あと保険会社と代理店の間は、どっちが負担するかというのはまた別問題ですけれども、顧客、契約者の方との関係では、保険会社が最終的な責任を全額について損害賠償責任を負うという形になります。

○沖野委員

Aが負うのであって、Bが負うのではないということですね。一般法理は別として。

○伊野保険企画室長

Aが必ず負います。ただAとBの間で、最終的な負担を調整をAB間で別途なさることはあろうかと思いますが、契約者との関係では必ずAは全額の責任を負っているという形です。

○沖野委員

わかりました。ありがとうございます。

○洲崎WG座長

木下委員。この問題に関してということでよろしいですか。

○木下委員

はい。ありがとうございます。先ほどから話題が出ておりますのは銀行法52条の59という規定かと思うのですけれども、この規定では、銀行は代理業再受託者に対する再委託の許諾を行うについて相当の注意をし、かつ再受託者の行う銀行代理行為について損害の発生の防止に努めたときという、そういう免責の規定もあわせて設けられているかと思います。

直接の契約関係のない再受託者について、損害の発生の防止に努めるということがどういう意味か。この規定自体が死文であれば、あまり個々の解釈を細かく突き詰める必要もないのかもしれませんが、規定として一応ありますので、実際問題になったときには解釈を議論しないといけないわけでありますから、契約関係にはない、しかもその前の条文で、銀行法52条の58では、所属銀行は代理業者が営む代理業に関し、内閣府で定めるところにより業務の指導その他の措置を確保しなければならないということで、これは具体的に何をしないといけないかというのは、おそらく保険業法でも規定が置かれれば、保険業法施行規則で具体的なこういう措置をとりなさいということが出てくるかと思うんですけれども、前提として直接の契約は、募集委託契約は結ばないけれども、直接契約関係のないものが顧客に対して損害の発生を防止することに努めないと免責されないし、あるいはそれに努めていると評価されれば免責されるというのは、先ほどから元受の保険会社が当然責任を負うんですよということとは、かなりスキームとしては、ずれがあるというふうに思っております。

そのあたり、こういう規定の解釈についてもある程度明らかにして、保険会社はほんとうに責任を負うということを前提に議論していいかということについて、少し注意を促したいと思います。

以上です。

○洲崎WG座長

資料の2ページのケース2が、保険会社Aと代理店の間に保険募集の委託契約がないタイプを認めてよいかという、今議論しているところですけれども、保険募集の委託契約があれば、確かにその契約を通じて保険会社Aが代理店に対していろいろ監督をする、指導するということは可能でしょうし、代理店がおかしなことをすれば募集委託契約を解除してしまうということも可能だろうと思うのです。しかし、そこの委託契約がなくても、保険会社Aが代理店に対して何か監督できるのか、あるいはその募集委託契約をやめさせることができるのか、今議論しているのはBと代理店の間の募集委託契約ですが、保険会社Aがこの代理店に任せておいてはよくないと判断した場合に、保険会社Bと代理店の間の委託契約を解除させることができるのかということが問題になるのかという気がします。

その点に関して、先ほど木下委員からご指摘をいただいた銀行法の規定に基づく銀行法施行規則の34条の63という規定で、「所属銀行は、銀行代理業者の銀行代理業に係る業務の健全かつ適切な運営を確保するため、次に掲げる措置を講じなければならない。」とあって、その3号で、「銀行代理業の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行代理業者との間の委託契約及び銀行代理業再委託者と銀行代理業再受託者との間の再委託契約の内容を変更し、又は解除するための措置」というのが入っていますので、保険会社Aと代理店の間には直接の法律関係はなくても、Bと代理店の間の法律関係を変更することができるような、そのような措置がどうも銀行代理業のほうでは考えられているということのようです。

○木下委員

銀行代理業の場合、そのもとになっている銀行というのは、交渉上、代理業者との関係で銀行のほうが劣位にあるということは普通考えられないと思うんですけれども、この場合には、真ん中に入っている保険会社が実は一番交渉力が強くて、あるいは販売のほうも再受託者の側がお客様をたくさん持っていて、交渉力が強いということがあり得て、元々の元受の保険会社自身がニッチな商品しか提供しない、できるだけコストの小さな保険会社ということで想定されているわけですから、そこにいわば大きな保険会社グループの買収された小さなニッチな商品を販売する保険会社が、再委託者に対してこの契約を解除せよというようなことが、規律としてそういうことを業法上求めるということと、それが実際に機能するかどうかということについては、銀行法と、ここの保険業法で、今の文脈で議論されていることでは、そういうものを当てにしていいかどうかということについて、かなり印象が違うんじゃないかというふうに思っております。

○洲崎WG座長

先ほど私が申し上げた銀行法施行規則34条63第3号の措置として、具体的にどういう措置が銀行法のほうで考えられているのかについて、ちょっと事務局のほうでご調査いただけませんでしょうか。

○伊野保険企画室長

はい。

○洲崎WG座長

この問題についてほかに。では、後藤委員。

○後藤委員

たびたび申しわけありません。今の木下委員のおっしゃられたことも、まさに問題であると思っておりまして、一番最初に委託者となる保険会社が小さいとすると、木下委員のおっしゃられたように、真ん中のところが一番強くなるであろうと。

その場合に私が想定しておりましたのは、むしろ真ん中の再委託者になるところの、おそらく保険会社なんでしょうけれども、再委託者となる保険会社に対して、もう少ししっかりと募集人の監督とかをするような監督を何か考えていくべきではないかなというふうに考えていたところでございます。

○洲崎WG座長

では、丹野委員。

○丹野委員

今いろいろな議論を聞いていて非常に思いますのは、銀行法でこういう手当てがされて、これ初めて知ったんですけれど、こういう手当てがされていることを見ても、じゃ、銀行に実際に復代理があるのかという話をすると、それはあんまり聞いたことが実はないんですね。使っていないんじゃないかというのが素朴にありまして、銀行法でこういう手当てがありますよと、だから保険業法の中でもというのはどうなのかと。

まず、先ほどどなたかがおっしゃいましたけど、銀行の商品とそれから保険商品では複雑さ、難解さに数倍の差がございます。現実に消費生活センターに寄せられる相談も、銀行の預金そのものの苦情って実はほとんどございません。多重債務の次に多いのは保険の苦情でございまして、保険のトラブルが非常に多い。

その保険のトラブルのほとんどを占めますのは、実は募集時の問題で、きちんと説明責任が果たされていなかったというものが非常に多くて、これが不払い問題以降、保険会社が募集の問題を真正面からとらまえて、きちんと説明責任を果たさなくてはいけないというふうに180度変わったですが、それ以降も一定数の募集に関するトラブルは残念ながら減っていないというのが実態でございます。

そういう中で、例えば、今、銀行のこの話が出ているので、ややこしいことを申し上げるようで申しわけないんですけれども、いわゆる銀行窓販の全面解禁以降、保険会社と銀行という、保険会社にとってはツービッグな代理店が存在して、その代理店さんが販売しているものについて、実質的に保険会社のコントロールが効かないで、銀行窓販がシェアを拡大するに比例してトラブルが非常に増えていて、保険会社が銀行の販売の実態をなかなかコントロールすることができないので、そういう意味では非常に解決が困難だという実状がございます。

そういう実状を踏まえて申し上げれば、今回のこういうものを今導入しておかなくてはいけないというのは、どれだけ消費者利益があるんだろうかというのをやっぱり考えざるを得ない。

それから、グループの中でこういうものをやるんだというお話がありましたけど、先ほど例に挙げられたニッチのペット保険という話がございましたが、ニッチの保険会社を例えば新設されたとしても、そのニッチの保険会社ってもしかしたらぽーんとグループの外に出る可能性だってあり得るわけで、そういう意味のグループの強固さというのがどれだけあるんだろうということを考えれば、その辺が非常に懸念されること、それからほんとうに、再委託、復代理、言葉の表現はともかくとして、その再委託先にガバナンスがちゃんと効くんだろうかというのは非常に疑問だと思っております。以上、意見です。

○洲崎WG座長

家森委員。

○家森委員

保険の販売の適切性というのは非常に重要であると思います。その点で、今も保険販売に関して問題が起こることがあるのですが、この図のケース1と2の間で、発生頻度に差異があるのかと言う点です。つまり、ケース2というちょっと特殊なケースで、問題の発生確率というのは変わっているのかがわかるといいと思いました。

仮に問題の発生確率が一緒だとすると、この保険募集の委託をしているということに基づいて、保険会社が実施されている監督とか監視によってそれが実現しているのかどうかについても知りたいです。これはちょっとデータとして難しいかもしれませんけれども、検査、監督でのご体験から何かわかれば教えていただきたいというふうに思います。

それから、最終的に保険契約者にとっての損害を救済するという意味で言うと、先ほど後藤先生がおっしゃっていましたように、この図でいうと、保険会社A、B、Cのうち、Aが一番強いグループの基幹会社であり、B、Cはニッチでグループ外に出ていくかもしれないような会社だということになると、やっぱりAのところに何らかの責任を負わさないと、保険契約者の保護が図れないのではないかという印象を私も持ちました。

以上です。

○洲崎WG座長

では、村木委員。

○村木委員

グループ外に子会社が売却されるリスクに関しましては、まずはそもそもグループ内での再委託に限定をするということと、元受会社に賠償責任を最終的に負わせるということができるのであれば、かなりリスクは落とせるのではないかというふうに思います。

こういった、例えば長期複雑な生命保険契約のような商品に関しては、将来的に最終的な元受会社が責任を負うという形になっていれば、そもそも再委託であったり、あるいは子会社の売却に対してある程度抑制をかけたり、あるいは最終的にリスクを元受会社に遡求させるという効果が一定期待をできるのではないかというふうに思います。

特に、損保業界から要請が出ていますけれども、損保セクターに関しては、事業比率、これは保険料に占める保険会社でかかっている費用と、あと代理店の手数料の合計になったもので、契約者と株主が実質的には負担する形になっていますが、この比率が日本の場合は35%というふうに、ヨーロッパの平均が27%程度ですので、非常に高コストな体質になっています。保険会社と代理店双方でかなりコストがかかっており、これを圧縮するようなツールとして再代理がもし使えるのであれば、それは契約者あるいは株主双方にとってメリットがあるものではないかというふうに考えています。

以上、意見です。

○洲崎WG座長

先ほどの家森委員のご質問について、監督する立場からお答えするのはちょっと難しいかもしれませんけれども、2ページのケース1と2で何か異なった印象があるのかどうかということについては、これは今後の宿題ということでよろしいでしょうかね。米山委員。

○米山委員

最初の鬼頭参考人と、その後の後藤委員の議論にかかわってくることで1つ気になることがあって、ご質問させていただきたいんですけれども、鬼頭参考人の場合は、ケース2の場合で、これを使っていけば、わざわざグループ内の丸1を使わなくても効率的な経営はできるのではないか。したがって、このやり方で今までどおりでいいというご意見だったと思います。

これに対して後藤委員のご指摘は、責任と規律のあり方として考えれば、再委託を認めたほうがはっきりしていて、いいんじゃないかと。

このように見方が違えば、結論も違って、どっちなんだろうなと思いました。ここで私の質問なんですけれども、ケース2のやり方で効率的な経営がグループ内で達成できるという前者のご意見に対して、いや、丸1で委託をすることによってこういう違いがあるのだ、あるいはこういうメリットがあるのだということがもっと明確にわかると、経済的な立場から考える材料になるかなと思います。その辺を、具体的な内容も含めてに教えていただきたいと思います。

以上です。

○洲崎WG座長

岩井委員。

○岩井委員

今のご質問でいうと、2ページ、ケース2と3ページの丸1ということですと、先ほども申し上げましたように、ニッチという表現を使いましたけど、そういったシンプルな商品だけをA保険会社の販売チャネルを使って販売する場合でも、例えば保険会社Bが販売するすべての代理店、募集するすべての代理店に対して、代理店委託をすべてしなければならないということでございます。それのコストとロードだというお話でお答えになっているかと思いますが、いかがでしょうか。

○洲崎WG座長

米山委員。

○米山委員

事務委託と違って、保険募集の委託となりますと、代理店契約というふうに考えてもよろしいのでしょうか。

○岩井委員

代理店契約の締結ということで同義でございます。

○米山委員

代理店契約の締結ですね。そうすると、ニッチの会社を合併したときに保険会社Aと代理店契約をするということですね。ケース2の場合は、部分的にというのですか、形式的に保険会社Aが保険会社Bと代理店契約をするけれども、実質的には保険Bが募集等の事務を行っているので、両者は異なっているように思います。ケース2の代理店契約と丸1の場合のニッチ会社と保険会社Aの代理店契約は、実務的にどう違うのかということがご質問でございます。

○岩井委員

形式的にという表現がどうかわかりませんけれども、実務的にどう違うのかといいますと、代理店の委託契約を締結いたしますので、保険会社Bが代理店の委託している管理等々について前面に出てくる場面というのがある程度ございます。それは実は代理代行のご認可を頂戴し、実務としてやっている内容次第によって変わってくるというのがお答えになろうかというふうに思っております。その中身について、かなりのところを保険会社Aに委託している場合もございます。

一方で、例えば3ページの丸1のケースでも、先ほど申し上げましたように、メンテナンスとか事故処理等々については保険会社Bも直接対応できる。そこでコールセンターという表現を使うのがいいかどうかわかりませんけれども、こういう体制を整えるということが前提でありますという論議を先ほどもさせていただいたつもりでございますので、実態として差がないというような、あまり差がないようなケースもあるという見方をされる方もあろうかと思います。

商品などケースバイケースによっても変わりますので、以上、お答えさせていただきたいと思います。

○洲崎WG座長

契約を締結するためのコスト、2ページのケース2でいうと、保険会社Aと代理店の間、この代理店が相当たくさんあることが考えられますけれども、それこそ何万とかいう、そういう契約を個々に締結する必要はなくなる、これは大きなメリットとして考えられているということでよろしいでしょうかね。

○岩井委員

そうでございます。

○洲崎WG座長

まだ議論は尽きないかもしれませんが、もう1つ、本日は議題がございますので、本項目についてはここまでとさせていただきたいと思います。

引き続きまして、次の議題であります「保険会社の子会社等への与信に係る大口与信規制」に移りたいと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

では、資料2、説明資料の丸2という資料に基づきましてご説明をさせていただきます。

まず1ページ目でございますが、現行制度ということで、現行制度のご説明をしております。保険会社の財務の健全性を確保する観点から、特定の先に対する社債、貸付金等による運用の集中を排除するという観点から、保険会社の同一人に対する資産の運用の額には一定の上限が設けられております。ただし、金融庁長官の承認を受けた場合にはこの限りではないということで、承認を受ければ上限よりも超えていいということになってございます。

具体的には、ここに書いてございますように、対象資産いろいろ書いておりますが、一言で言うと、総資産の1割を超えて特定先に与信をしてはいかんというのが現行の制度でございまして、あと貸付金と債務の保証の部分については、合計で総資産の3%を超えてはいけない。そういう意味で、貸付金債務の保証で3%、それ以外も含めると10%というのが上限ということになってございます。

下に※がございますが、同一人という場合ですけれども、同一人自身と特殊な関係のあるものも含む。関係グループ企業というのを含むということになっております。ただし、与信先が保険会社の子会社、保険会社を子会社とする持株会社、当該保険持株会社の子会社という、いわゆる保険会社のグループ企業の場合には、単体での規制となる。

ちょっとここは説明が言葉だけではあれですので、2ページのほうの表をごらんいただきながらご説明したいと思いますけれども、今の話は受ける側でございます。ここにA社、B社とございますが、このA社、B社がグループの場合は、グループとして合わせて1割以下ということでなきゃいかんと。

ただし、グループ会社の場合には、それぞれA社、B社が分けて10%以内でいいということです。グループ会社でない場合は、A、B合わせて1割以下。A、Bが保険会社のグループ会社である場合は、A社で1割、B社で1割というような規制になっているということでございます。

1ページの2つ目の※が、与信側の話ですけれども、保険会社が子会社等を有する場合には、当該保険会社及び当該子会社等、または当該子会社等による同一人に対する資産の運用について、合算した額にかかる限度額が設けられているとなってございます。与信側の保険会社と、X社とあります、これが保険会社の子会社だとしますと、両方合わせて、それぞれの受信側に対する与信に対して1割ということがかかってくるということでございます。

計算方法のところで詳しく書いておりますけれども、A社、B社、これは受信側の受ける側が保険会社のグループ外だとしますと、与信側は保険会社とX社がグループ会社ですので、合わせてということになります。受信側も保険会社のグループ外ですので、合わせてということになりますので、丸1、丸2、丸3、丸4全部を合わせて、総資産とX社の自己資本の10%以内である必要があると。

ケース2として、A社、B社が与信側の保険会社の子会社であれば、まずA社に対します丸1と丸3、これが1割以下で、B社に対しても丸2と丸4で1割以下ということで、それぞれ分けて考えられるということになります。与信側は、どちらにしましても、グループということで規制がなされています。これが保険会社の大口与信規制でございます。

1ページの一番下でございますが、参考で、銀行法における大口与信規制が書いてございますが、基本は今と同じような考え方に基づいて、銀行法の世界も大口与信規制がなされているという状況でございます。

次に3ページをごらんいただきたいと思いますが、大口信用供与の状況でございます。各保険会社の最大与信先に対する資産運用比率を数字でとっておりますが、5%を超えるところというのは必ずしも多いというわけではございませんが、やはり7%を超えるというところでもそれなりの数があるというのが現状ということでございます。この中には、子会社に対する与信がこの辺に達しているというところもあるというふうに承知をしてございます。

次に4ページでございます。現行規制に対する要望と検討に当たっての論点を事務局なりにまとめさせていただきましたが、まず現行規制に対するご要望ですけれども、大口与信規制は子会社等も対象となるため、大規模M&Aが本規制に抵触する可能性があるという状況のようでございます。また、子会社再編時に本規制に抵触する可能性があります。

単体のソルベンシー・マージン比率規制では、子会社リスクは信用リスクとは別の補足方法がとられて、そういう意味では、子会社リスクというのは一般の信用リスクとは別物という形、少し違ったものという位置づけになっておるということかと思います。

また、連結ソルベンシー・マージン比率規制導入により、子会社等の抱えているリスクも含めた資本充足の明示的検証も可能となります。これは、今事業年度からこの連結ソルベンシー・マージン比率規制というのが入ることになってございます。そういった状況もあるのではないか。したがって、子会社等については本規制の対象外としていいのではないかというのがご要望でございます。

論点として我々なりに整理させていただきましたが、大口与信規制は財務の健全性を確保する観点から設けられているものでございますが、M&Aや組織再編の際の子会社への与信について規制を緩和することは、本規制の趣旨からすると問題ないと言えるのかどうか。また、銀行の大口与信規制もございますので、それとの関係をどう考えていくのかということ。当該規制緩和の是非について検討する際に、連結ソルベンシー・マージン比率の規制の導入により、保険会社の財務の健全性についてはグループベースでの把握が可能となりますが、そのことをどういうふうに評価するのかといったことが論点としてあるかと考えております。

参考で、ソルベンシー・マージン比率の概要についてつけさせていただいておりますが、6ページは一般的なソルベンシー・マージン比率の概要でございます。基本的には、必要な現状想定される準備金以上に何か支払いが発生するような状況に対して、どの程度の備えが自己資本ですとかそういったものであるのかというのをはかる指標でございます。釈迦に説法ですので、ここは省かせていただきます。

あと7ページ、8ページで、子会社リスク等の位置づけについて資料をつけさせていただいております。まず7ページ、子会社リスクの部分でございますが、信用リスクとして貸付金債権につきましては、こういったリスク係数でやっております。一般的にはランク2のあたりが中心かと思いますけれども、あと、すいません、ここには載せておりませんが、国内、海外の株式については10%というリスク係数になってございます。

それとの比較でいくと、子会社等リスク、子会社リスクにつきましては少し高めのリスク係数を使っているということかと思います。ランク2の1%、内外株式10%という信用リスクに対しまして、国内の金融関連の子会社リスクという意味では、貸付金は1.5%、株式は15%ということになっておりますし、海外の金融関連業務ともに、国内に比べては5%ポイントずつ上乗せというような姿になっておるかと思います。そういったことで少し違った取り扱いをしておるということ。

あと8ページでございますが、これは新たに導入されます保険会社の連結財務規制、概念図だけでございますが、基本的には連結、単体ベースはもちろん引き続きやりますけれども、連結ベースでのソルベンシー・マージン基準というものを導入して、グループとしての連結財務の健全性についても、今事業年度からは見ていくということになってございますということでございます。

説明は以上でございます。

○洲崎WG座長

それでは、ただいまの事務局説明を踏まえまして、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。では、水口委員。

○水口委員

ご説明ありがとうございました。

今、保険会社といいますと、いろいろな会社形態がありますけれども、純粋持株会社も含めた保険グループ全体として、国内に限らず事業基盤・収益基盤をいかに強化していくかということが、国内市場の厳しい事業環境を考えますと、保険会社の経営としては重要な懸案事項となりうると思います。十分なリスク管理体制のもとで健全性を維持できるという前提で、保険グループが本業を強化するために、保険会社の大型買収や子会社再編などを選択肢とした経営の柔軟性を持つことを可能とする規制のあり方があってもいいのではないかと考えております。

保険グループベースの経営とかグループベースの健全性の確保という視点からの規制の流れがあり、複数の保険グループは、グループ全体の保険リスクと、それから保険負債の特性を意識した資産運用リスクなどにかかわる管理体制の枠組みを十分認識してきており、本業である保険事業の拡大・強化を目的とした大型買収などが行われる際の大口与信規制の適用のあり方の妥当性について、議論することに意義があると考えております。

保険会社への大口与信規制のあり方を見直すのであれば、具体的な規制の枠組みのあり方として、連結ソルベンシー・マージン比率規制さえクリアできれば保険会社の大型買収などはオーケーとすることで、保険グループの健全性を担保するに十分であると言えるかというと、私にはちょっとやや逡巡することもあるということで、追加的な監督の関与もあってもいいのではないかと考えております。

我が国の連結ソルベンシー比率の規制というのは、海外の保険会社特有のリスクの詳細を織り込むことも許容していると認識していますが、簡便法の利用も認める方向であると理解しております。

海外保険会社特有のリスクが大型買収を行う保険グループの内部モデルによって掌握されて、十分なグループガバナンス体制のもとで、グループのリスク管理の枠組みの中で、足元で健全性に問題ないんだということが確認でき、今後も買収された保険会社も含め、グループが健全に運営されていくための体制が十分整備されているかということを、規制当局にもご確認いただき、その妥当性について評価していただくというようなプロセスもあってもいいのではないかと考えております。

一方で、銀行の大口与信規制の存在意義には変わりないと考えておりますし、同様に、保険会社の純粋な資産運用にかかわる信用リスクの集中に対する規制としての大口与信規制の意義は引き続き存在しているとは考えております。

したがいまして、大口与信規制を完全撤廃するということではなくて、連結ソルベンシー・マージン比率も含む手段による健全性の確認に加えて、監督当局によって保険会社の大型買収を検討している保険グループにおける十分なグループベースのガバナンスとかリスク管理体制が確認できた場合においては、議決権の過半を所有する保険子会社に限って大口与信規制の対象外とすることも選択肢として考え得るのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎WG座長

ちょっと確認させていただきたいんですが、ただいまのご意見の最後に保険子会社というふうに言われましたけれども、保険子会社については、この子会社等の中でも特別扱いをしてよいのではないかということですか。

○水口委員

そうですね。保険グループが、保険会社が直面している国内市場の成長性の限界などの制約がある中で、そもそも本業、中核業務であり、ノウハウの蓄積を持っている保険業務を強化する手段として、海外事業の展開の柔軟性の向上に焦点を充ててることに意味があるのではないかと考えています。保険会社が、本業で頑張っていきましょうというときに、十分なリスク、ガバナンス体制がある場合には、保険会社の大口買収にかかわる規制のあり方を再考しても良いのではないかと。

○洲崎WG座長

第1回の岩井委員からのプレゼンテーションのときにも、海外の保険会社を買収して子会社とする場合のことが例として挙げられていましたけれども、ただ、本日の事務局からのただいまの説明では、これは子会社等となっていますから、保険会社が子会社として持つことができる会社すべてをを含んだ形のルールとして、本日はご説明いただいたということでございますね。

ただ、保険子会社に限って規制を緩めるということも、選択肢しては考えられるということでよろしいでしょうかね。

では、岩井委員。

○岩井委員

実態として業界内の論議も、保険子会社をまさに対象としております。今、全体のガバナンスというお話がございましたけれども、連結ソルベンシーの話のその前に、まさに監督指針であるとか決算マニュアル等々でも、子会社、グループベースでしっかり見てくれということが定められておりますので、我々としては、子会社というのは事業リスクであるということで、しっかり見ていこうと。

そこに連結ソルベンシーの、定量的、数量的と申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、管理もしっかり入ってくる、こういう流れかと思っておりますので、想定としては我々としても、よりしっかり見える保険子会社を想定しているということで結構でございます。

○洲崎WG座長

阿部委員。

○阿部委員

理屈としては、連結ソルベンシー・マージン比率規制を中心に考えるのであれば、保険子会社に限る必要もないと思うのですが、現実のニーズとしてほかにないということであれば、とりあえずここは保険子会社だけ考えて、早急な制度整備を図られたらいかがでしょうか。

○洲崎WG座長

では、後藤委員。

○後藤委員

大口与信規制というのは、そもそも私の中でのイメージとしては、自分がコントロールしていないところに大量に貸し付けすぎて、そのコントロールできない相手きが、つぶれてしまったときに困るというお話だとすると、自分の子会社であれば、そもそもちょっと最初の想定とは違うのかなという気がしますので、特に必要の高い保険会社に限って外すという話であれば、ニーズもあるのであれば、いいことなのかなと思うのですが、事務局の資料に少しわからないところがございますので、質問させていただければと思います。資料2の7ページのソルベンシー・マージン規制のリスク係数が何%という表のところなのですけれども、一般の国内外の株式は10%と見ているが、子会社の場合には株式について、国内であれば1.5倍で、海外であれば2倍の20%とい見ているということでしたが、このように金融関連業務の子会社についてリスクを高めに見積もっていることの根拠を教えていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○洲崎WG座長

7ページの金融関連業務に関する国内会社の株式のリスク係数が15%とされ、海外法人のほうは20%とされている。この差ということですか。

○後藤委員

はい、そうです。海外のほうが高いのは何となく想像がつくのですが、そもそも国内についても金融関連業務の子会社の場合には高いことはなぜなのかという。

○伊野保険企画室長

ちょっとすいません、すぐ詳細は不勉強であれなんですが、金融関連については、子会社のほうがリスク管理の必要性が高いということで、1.5倍にしているということのようです。非金融のほうはそういった事情もないので、そのまま同じということでございます。

あと、海外については、為替リスク分ということで上乗せになっているというふうに承知しております。

○洲崎WG座長

では、加藤委員。

○加藤委員

今、子会社等という言葉の含む範囲についての議論があったと思います。ここは、本ワーキング・グループの論点の第一番目である、海外における業務範囲規制と絡む話だと思います。今回議論の背景としては、ソルベンシー・マージン等で連結ベースでのリスクをきちんと見られるということを前提にしての緩和要望ととらえています。そういった意味で、リスクの種類が同一的なものを保険会社としてきちんと見られるという話には納得感がありますが、リスクが異質のものにまできちんと今の枠組みの中で見られるのかには疑問もあり、リスクの種類に応じて峻別して考えたほうがいいと思っています。

ですので、具体的には、子会社でも非金融関連業務をやる子会社と、金融関連業務をやる子会社、金融関連業務の中でも特に保険をやる子会社というところで、一定の規制緩和程度の違いというのがあってもよろしいのではないでしょうか。

保険子会社というところに限るのであれば、個人としての意見でございますが、今後のグローバル化、大型M&Aということを考えると、規制緩和要望、非常によくわかります。一方、先般の外国の保険会社の事例等を見たときに、本当にこういった大口与信規制の緩和というのが、非金融関連業務や、保険以外の金融関連業務まで及んでいいのかというところには若干懸念を感じております。

○洲崎WG座長

村木委員。

○村木委員

2つの事例で整合性をとる必要があると思うのですが、1つは、国内の主力保険会社が海外の非常に大きい会社を買収しようとしたときに大口与信規制がかかるという事例と、もう1点は、保険持株会社になっていて、国内の主力保険会社A社と、海外の大きい保険会社B社が横並びをするという形で、規制には抵触をしないという、その2つのケースでの整合性をとる必要があるのではないかと思います。

その点で、私自身もあまりまだ考えがそこは整理できていない部分なんですが、2点疑問に思うところがありまして、1つは支援リスクでして、単純に国内の保険会社A社がB社を子会社におさめたときの、B社の経営が悪くなったときのA社の契約者がさらされる支援リスクと、持株会社の下にA社とB社が兄弟会社として並んでいるときに、A社の契約者がさらされるリスクというのはイコールなのかということが1点。

もう1点は、今後連結経営をしていくに当たってのガバナンスの体制でして、持株会社、ホールディングカンパニーのほうにガバナンス機能を集約させていくような形が望ましいのか、あるいは、これまでのように持株会社の下にある子会社の、国内の先ほどの事例ですと、主力保険会社のA社、ここにガバナンス機能を置いておくような形が望ましいのかという、このあたりの点が、整合性を最初にとるという観点では、大口与信規制は緩和する方向だというふうに基本的には考えているのですが、ややこの2点が気にかかる点ではあります。

○洲崎WG座長

岩井委員、この点について何かございますでしょうか。特に最初の、持株会社で横並びになったときに、経営がまずくなった兄弟会社の支援をさせられる、そういうリスクと、親会社が経営状態が悪化した子会社の支援をさせられるリスクというのは、何か違うような気はするんですけれども、いかがでしょう。

○岩井委員

ちょっとその問題につきましても極めて法律的な論議でございますので、1点、なぜ実態として持株会社という制度ができているにもかかわらず、持株会社でなく損害保険会社がM&Aを行っているのかという点についてご説明させていただきます。皆様もよくご存じのとおり、現在は、これまでの経緯とか、あるいは多くのリスクを抱えて販売基盤、ご契約者様もご契約も抱えている損害保険会社子会社というのが多くの資産を持っているというところが実情でございますので、現在はそこの資産力、それから資金調達力等々をベースにしながらM&Aを行っているというのが実情でございます。というところで、今回こういう規制緩和のお願いを申し上げているということでございます。

○洲崎WG座長

ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。

○吉野金融審議会・金融分科会会長

金融審議会でもう1つ、海外のほうにこれから日本の企業がどんどん出ていけないかという議論をしておりまして、その観点からいきますと、今のような円高というのはまさに海外のM&Aのチャンスではないかと思うんです。

そういう意味では、ぜひこういう機会に出ていただきたいと思いますけれども、先ほど加藤委員からもございましたけれども、しかし、そうしたときのリスクを、きちんとソルベンシー・マージンなどを計算することによって資本を充実するということは大切だと思いまして、もう一方で、銀行の大口与信規制があったのは、昔、信用金庫とか信用組合とか、いろんなところで破綻があったんですけれども、つぶれたところの多くはやはり大口である特定に貸し込んでいたという事実がありますので、ですから、やっぱり連結ベースでのしっかりした資本充実のもとで、それで海外に、今がチャンスですから、なるべく早いときに、これは二、三年かかってしまいますと、また円が安く戻って、せっかくのチャンスを失うかもしれませんので、そういうところもぜひ考えていただければと思います。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。

それでは、本項目についてはここまでとしたいと思います。

本日のワーキング・グループで検討すべき事項についての議論は一通り行ったところでございます。今後、これらの項目についてさらに議論を深めていきたいと考えておりますが、さらに追加で議論すべきとお考えの論点がもしございましたら、この場でお申し出いただくか、または2週間後の9月13日までに事務局までご意見をお寄せいただければというふうに思います。

何かございますでしょうか。特にございませんでしょうか。

それでは、今、申し上げましたように、後日、事務局にお寄せいただくという形でも結構でございますので、何かございましたら9月13日までにお願いできればと思います。

なお、今後のワーキング・グループにつきましては、これまで取り上げました論点及び9月13日までにご提案のあったものについて、年末までに精力的に議論を行っていきたいというふうに考えております。

最後に、次回の日程でございますが、皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日はやや時間が余ってしまいましたけれども、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3557)

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