金融審議会「保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ」(第1回)議事要旨

1.日時:

平成23年6月29日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

保険会社のグループ経営に関する規制の在り方について

4.議事内容:

  • 事務局から、委員等の紹介。

  • 事務局より諮問事項に係る背景等について説明を行い、実務メンバーから諮問事項に関する見解等について説明があった後、討議。

  • 討議における主な意見等は以下の通り。

  • 同一人与信規制が、純粋な投資行動と違った形での事業展開、海外の事業の多様化などを進められるときに障害になるとしたら、それはどうなのかと思う。一方で、事業リスクはしっかり掌握する必要があるので、連結ベースソルベンシー規制などでのリスクの特性を掌握する枠組みに加え、買収した会社等のガバナンスのあり方をモニターする体制整備も必要ではないか。
  • 外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲について、規制を全くかけないのか、又は規制をかける一定の事業としていわばネガティブリストが想定されるのか。グループ内における代理店の問題は、生損保の商品の違いにより、ある程度の線引きをする形での対応が可能なのか。
  • 外国保険会社には、子会社の業務範囲規制がないことから、日本の規制とのアンバランスがあり、日本の保険会社にとって買収の阻害要因となることがある。一方で、保険業法の他業禁止の趣旨も踏まえて、例えば国内の業務範囲規制をあまり逸脱しないように留意して枠組みを決めていくことが必要。国内の子会社規制に関しても、他業禁止の趣旨に基づいて考えていくのではないか。
  • 海外のM&Aが喫緊の課題であり、まず規制撤廃をベースに取り上げ、議論させてほしい。海外の例では、オーナー系の保険会社が、比較的お付き合いで持っている小さい事業もあるので、事業で分けるという点が適当かどうか。
  • 外国保険会社の買収等に関連して、海外の、ダイベストといわれる「何年以内にこの部分は取り除け」という規制の仕方や、ダイベストメントといわれる、買収した経営側が要否を整理する監督の手法も参考になるのではないか。
  • 大前提として、経営の効率化を図る観点からいろいろなことについて見直しの検討はしていくべきだが、一方で大切なことは、契約者保護の視点や適切なリスク管理。これらとのバランスをとりながら進めていくことが必要。保険契約の移転単位やいわゆる復代理についても同じことが言える。
  • 現在の保険会社を取り巻く状況として、グループ化が進んでいる中、グループのガバナンスが相当強化されているという流れとあわせて、経済価値ベース、リスクベースの健全性のチェックが進んでいることが、従来と大きく違っている。
  • 生命保険契約は長期であり、契約内容は変わらなくても、財務内容や配当がよかったA会社からそうではないB会社に移転させられることがあるし、また、そのときに、B社をやめてほかの会社に移ろうとしても、被保険者の健康状態や加齢次第では、それができないこともある。他方、損害保険については、一部包括移転を特にやりたいという具体例を示していただければ、具体的なイメージを持てるのではないか。
  • 保険会社に関する最大のミッションはつぶれないことであり、破綻によって契約者の保護に欠けるようなことは絶対慎んでほしい。外国保険会社の買収については、外国へ出て行くのにそんなにハードルが高いのでは困るだろうというのがまず基本。ただ、外国の保険会社が非常にリスキーな子会社を持っていた場合に、業績が悪くなってそれが日本の保険会社にはね返ってくるのは非常に困る。
  • 子会社に大きな事故が起きた場合、本来親会社の責任は法律上遮断されるが、事実上は何か責任を取れと言われることが起こり得、このような規制になっていると考えられるが、法律的にはリスクを遮断できることからすれば、日本の子会社範囲規制自体厳し過ぎるということがあるかもしれない。海外子会社だけではなく、スタンスとしては国内の規制も含めて議論していくべき。また、これら対象範囲の問題と併せて、規制の手法も国内とのバランスがとれたものとする必要があるのではないか。
  • 移転単位規制について、「配当やサービスの水準から、この保険会社には移転したくない」ということがあるという問題と、責任準備金の算定の基礎が同一という現在の単位の規制とは、ややかみ合っていない議論に感じられる。現在の規制をやめる代わりに、認可等で移転による区別の仕方に問題があるかどうかをチェックしていくやり方も考えられ、規制手法をいろいろ考えていく必要があるのではないか。
  • グループ経営をこれから充実させていくという方向に議論を進めるとすれば、グループ全体のガバナンスをきちんと機能しておくことが大事な論点になるのではないか。本日提案のあった4つのテーマは、それぞれ保険会社の国際競争力や効率性を増す上での一つの手段になり得るのでぜひ議論する必要があると思う。
  • グループ内での包括移転だから規制緩和できるということに特化することが、この問題のアプローチとして少し違和感があり、なぜグループ外でできないのかという議論が後に控えている。また、チャネルごとに分けることは、一部移転を使わないとできないことなのか。
  • 日本の保険会社が海外に出ていくときの規制緩和と同時に、内資、外資という区別がつきにくく、外資であっても日本の利益貢献や売上貢献が半分を超えているような会社もある中で、外国の保険会社の日本における規制緩和も検討するべきではないか。
  • 保険会社の戦略的な自由度を拡大する選択肢を広げることが効率化につながるかどうかは、各社のマネジメントによる。この選択肢を広げるのに伴って生ずる問題をどうクリアするか、又はクリアできないのか、を議論するのではないか。
  • 保険会社においては、株主の4割ぐらいが外国人株主になってきている会社もあり、そうした海外の投資家からすれば、例えばM&Aの機動力や再編のスピードが劣っていると見られた場合、比較的簡単に投資を引き揚げて、他の海外の保険会社にその資金を振り向けられてしまう動きにさらされ易くなってきている。
  • 持株会社に複数並んでいる保険会社を、例えば一つの保険会社に合併し、事業部制、ユニット制とするのではなく、実質的にリーガル・エンティティとして特化する必要性についても議論したい。

以上

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総務企画局企画課保険企画室(内線3557)

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