金融審議会金融分科会「基本問題懇談会」(第3回)議事要旨

1.日時:

平成21年9月10日(木)14時00分~16時05分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • 委員からの報告

    (報告者)吉野 直行委員

    翁  百合委員

  • 討議

4.議事内容:

  • 吉野委員から「サブプライム金融危機と市場の高質化」及び「金融危機関連論文の紹介と資金フローの変化」について報告があった。

  • 翁委員から「グローバル監督政策におけるマクロプルーデンスの視点」について報告があった。

  • 続いて討議が行われた。討議の概要は以下の通り。

    • 金融規制の再構築に関するグローバルな議論に我が国は出遅れているのではないかとの議論があるが、これについては、我が国は、欧米と比べて、規制の見直しを喫緊に行わなければならない状況には必ずしもなかったという点に留意が必要である。

    • グローバルな金融規制の見直しに関しては、我が国も議論の場に参加し、貢献しているほか、金融機関のサブプライム関連商品の保有額等の公表や証券化商品のトレーサビリティの確保といった我が国の対応が、その後の国際的な対応にも活かされているなど、イニシアティブを発揮した点も存在する。金融機関等の流動性管理についても、我が国の水準は世界に誇れるものである。

    • 欧米の金融システムが抱えている問題点への対応のみでなく、経済成長率が低い中でいかに効率的に資金を配分するかという我が国金融システム固有の課題への対応を考えていくことも重要である。

    • 我が国で金融危機が欧米に比べ深刻化しなかった主な要因は、市場型金融への転換が必ずしも進んでおらず、従来型の間接金融中心の金融システムであった点にあるのではないか。

    • 他方、欧州の市場型金融が進んでいない国においても金融危機が発生したこと等からすると、我が国で深刻な金融危機が起きなかった理由として、バブルの記憶がまだ鮮明であり、欧米に比べてリスク商品への投資を拡大させていなかったことが大きいのではないか。

    • 我が国では、政策金融が経済を下支えし、当局の監督がうまく機能したこともあって、深刻な金融危機の発生が回避された面もあるのではないか。

    • 今回、我が国で金融危機が深刻化しなかったのは、バブルの崩壊後、十数年にわたって低成長のマクロ経済環境が続いたため、欧米のように高成長を前提にした投資の拡大をしにくかったことも背景にあるのではないか。

    • これまで我が国では市場型金融により軸足を移した金融システムへの転換を進めてきたが、市場型金融が進んだ欧米で金融危機が発生した点を踏まえると、日本経済の活性化のため、市場型金融への転換を引き続き進めていくことの必要性については改めて議論しておく必要がある。

    • 市場型金融については、銀行部門に過度なリスクが集中しないように、リスク負担の分散化が図れるという利点がある。また、市場型金融には、預金を運用原資とする従来型の間接金融に比べて、リスクマネーを提供しやすいというメリットもある。

    • 更に、日本経済を活性化するためには、経済に効率的に資金を配分することが大事であり、このためにも投資機会を発見する機能を強化する必要がある。市場型金融の仕組みでは、商品組成を行う主体が商品を保有する主体と分離されることにより、投資機会を発見して良質な資産を組成する機能を強化することに資する。

    • 市場型金融システムへの転換が進むと、銀行部門へのリスク集中の問題が緩和される一方、問題発生時に流動性リスクが急激に高まること、その他プロシクリカリティの問題が強まることに留意が必要である。

    • 我が国で証券化が欧米ほど進んでいない背景として、銀行の預貸率が欧米に比べて低いため、資産を証券化して資金調達するニーズが相対的に限られていたという面もあったのではないか。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課調査室(内線3524)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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