金融審議会金融分科会「基本問題懇談会」(第5回)議事要旨

1.日時:

平成21年10月1日(木)14時00分~16時05分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • 事務局からの説明

    (説明者)中尾武彦 財務省国際局長

    山崎達雄 総務企画局参事官

    藤本拓資 総務企画局企画課調査室長

  • 討議

4.議事内容:

  • 大塚副大臣及び田村大臣政務官より挨拶。

  • 中尾財務省国際局長から「グローバル金融危機への国際的対応」について説明があった。

  • 山崎総務企画局参事官から「今次の金融危機を受けた国際的な議論の動向」について説明があった。

  • 藤本総務企画局企画課調査室長から「我が国の資金の流れの概観」について説明があった。

  • 続いて討議が行われた。討議の概要は以下の通り。

    • アジア域内での資金循環が促進されてアジア通貨建の取引が増えれば、アジア危機の際に問題となった通貨と満期の二つのミスマッチのうち通貨ミスマッチが抑制でき、域内の金融安定に繋がるという側面がある。ただし、大量の資金流出入が起きれば、いずれにせよバブルの生成と崩壊の問題が生じる可能性はあるという点には留意すべきである。

    • 本年2月のG7声明にもあるように、各国の財政政策の活用がうたわれているが、重点を定めた投資によって長期的な生産性向上にも寄与するものでなければならない、財政の持続可能性に配慮したものでなければならない、といった点についてコンセンサスがある。

    • グローバルな金融規制の見直しの我が国金融機関への影響について、欧米で業務を行う機関にとっては、米国や英国といった各国市場において自己資本規制、流動性規制がバーゼル銀行監督委員会の議論に先行して導入される動きがあり、欧米で業務を継続する以上、それにどう対応していくかが喫緊の課題である。また、バーゼル銀行監督委員会で、中核的自己資本の主要部分は普通株と内部留保にすべきことが再確認された。普通株への転換権付優先株を有するごく一部の金融機関には影響があるが、優先株の扱いは、これによって変更があるわけではない。今後、繰延税金資産等控除項目のような実質的な影響がある具体的な項目の扱いについての国際的な議論が今後行われていく予定であり、我が国としては必要な主張を行っていくことになる。

    • 今次の危機の局面で、各国における資金の流れの違いが各国の状況にどのような違いをもたらしたのかという点については、例えば、我が国では預金取扱機関の資金調達に占める預金の割合が大きく、市場調達の割合が相対的に低いこともあって、流動性の面では影響が相対的に小さかったという面があった。一方で、我が国では社債・CP市場における預金取扱機関の保有シェアが高いことから、預金取扱機関の投資スタンスの慎重化がこれらの市場に大きな影響を与えたという面もあった。

    • プロシクリカリティを抑制する枠組みについては、例えば、資本の社外流出の制限等の措置を含むとの共通認識はあるが、具体的な内容については引き続き国際的な議論が行われている。

    • レバレッジ比率に基づく規制導入については、他方で、流動性規制の強化で、流動性資産の保有義務が強化されることとの整合性、特に、我が国の場合、安全資産である国債の保有の扱いについて関心があり、今後議論していく。

    • ワシントン・コンセンサスは終わったという議論もあるが、IMFによる支援に際して財政赤字の削減や構造改革を当局と議論しながら進めることの意義は、現在においても必ずしも失われていないのではないか。もっとも、例えば、構造改革を求めるコンディショナリティについては、未達の場合に機械的に支援を停止する条件から外しているなど、強制的な色彩は弱まってきている。

    • 金融機関や企業への公的資本の注入といった政府の介入は、各国間の競争条件に影響を与える。この点に関しては、今般公表されたIMFの「Global Financial Stability Report」にもあるように、競争条件に大きな影響を与えるような措置については早めに出口戦略を検討すべきという意見が存在する。

    • 国際的な規制見直しの議論に参加する際、我が国としては、金融危機の再発防止は世界共通の利益であり、規制の国際的な整合性の確保や自己資本規制の強化等が重要であるということを基本としたうえで、規制導入は景気動向等を注意深く見ながら適当な時期に行うべきとの主張を行っている。

    • システム上重要な金融機関の定義については、現在作業中であるが、最終的には各国当局の判断に依らざるを得ないであろう。いずれにせよ、システム上重要な金融機関に対する規制・監督及び破たん処理手続については、国際的な議論が行われているところ。

    • 自己資本規制の強化等のミクロの観点からの金融規制改革とともに、適切なマクロ経済政策の重要性も指摘されている。一連の国際会議でも、経常収支のインバランスは予想された通貨の混乱ではなく、むしろ米国などへの大規模な資金流入と緩和的なマクロ環境の継続に起因する金融セクターの過剰な活動を招いたとの認識が共有されている。危機の再発を防ぐためには、このようなマクロ経済政策上の課題を見逃してはならない。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課調査室(内線3524)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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