第16回金融審議会公認会計士制度部会議事録

  • 1.日時:

    令和3年11月29日(月曜日)10時00分~11時55分

  • 2.場所:

    オンライン会議(中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室) 
     
     
    ○神田部会長
     皆さんおはようございます。時間になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから、第16回金融審議会公認会計士制度部会を開催させていただきます。
     
     皆様方には大変お忙しいところ御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本年2月8日に開催されました第45回の金融審議会総会におきまして、この部会の部会長を務めさせていただくことになりました神田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。なお私も、本日オンラインで参加させていただいておりますので、もし私の声が聞こえにくいとかございましたら、適宜チャットその他の機能でお知らせいただければありがたく存じます。
     
     本日は第16回目の公認会計士制度部会会合ということになりますけれども、この部会の前回の会合は平成18年12月でございまして、それ以来の会合になります。本日の会合につきましては、去る11月22日に開催されました第48回の金融審議会総会におきまして、鈴木金融担当大臣から公認会計士制度の改善に関する検討を行うこととの諮問をいただきました。それに基づいてこの部会の審議を再開させていただくことになった次第です。
     
     新しく委員等が構成されまして行われる最初の会合ということになりますので、まず、事務局から委員等の御紹介をしていただければと思います。廣川企業開示課長よろしくお願いいたします。
     
    ○廣川企業開示課長
     皆様おはようございます。企業開示課長の廣川でございます。よろしくお願いいたします。
     
     当部会には神田部会長のほか、18名の方々に御参加いただいております。名簿の記載順にお名前を読み上げさせていただき、御紹介とさせていただきます。神作裕之様、原田喜美枝様、井口譲二様、石原秀威様、長嶋由紀子様、挽文子様、堀江正之様、弥永真生様、小倉加奈子様、佐藤淑子様、玉井裕子様、手塚正彦様、柳澤義一様です。このほか、幹事として、法務省民事局、渡辺諭様。オブザーバーとして、団体名だけでございますが、株式会社東京証券取引所、公益社団法人日本監査役協会、一般社団法人日本経済団体連合会、日本証券業協会から御参加いただいております。時間の都合もございますので、事務局については、失礼ながら御紹介を省略させていただきます。以上でございます。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それから、当部会の審議の再開に当たりまして、事務局を代表して古澤企画市場局長から御挨拶をいただけるとのことです。よろしくお願いいたします。
     
    ○古澤企画市場局長
     古澤でございます。本日はお忙しい中御参加いただきまして、誠にありがとうございます。再開に当たりまして、一言、御礼と御挨拶を申し上げたいと存じます。
     
     先ほど神田部会長のお話にもございましたとおり、当部会の開催は、平成18年12月以来ということで、15年ぶりということになってまいります。御案内のとおり、公認会計士制度は資本市場の機能発揮を支える基本的なインフラでございますけれども、監査法人の制度、会計監査の制度に関しまして、近年、様々な取組みが進んでございます。2017年の監査法人のガバナンス・コードの策定、それから2018年の監査報告書の監査上の主要な検討事項(KAM)の導入、そして今月16日の企業会計審議会で、監査に関する品質管理基準の改訂といった取組みが進められております。こうした取組みは、監査品質に対する社会からの期待の高まりを映じたものと考えてございますが、併せまして、監査をめぐる環境変化、公認会計士制度をめぐる環境変化といたしましても様々なものがございます。
     
     何と申しましても、公認会計士の担っておられる役割が、非常に幅広くなっておりますし、働き方も変化してございます。それから、AIの利用を含みます監査業務におけるITを活用した監査手法というものも、導入・開発が非常に速いスピードで進んでおります。さらに、サステナビリティ情報、非財務情報に対する投資家の関心というのも高まっておりまして、こういったものに対して公認会計士、そして監査がどういう役割を果たすかということも大きなテーマに浮上しているところです。国際的にも、監査の在り方の見直しについては、様々な取組みが進められているところと承知してございます。
     
     金融庁では、本年9月から、「会計監査の在り方に関する懇談会」を開催して、これらの環境変化を踏まえた会計監査のあるべき姿、将来像について幅広い観点から御議論をいただいたところです。詳細は、また事務局から説明をいたしますけれども、その懇談会の論点整理の中では、公認会計士制度についても、会計監査の信頼性の一層の確保、それから公認会計士の皆様の能力発揮、能力向上といった観点からの問題提起をいただいたところでございます。当部会では、こうした問題提起を受けまして、具体的な制度の在り方について、御議論いただきたいと考えてございます。
     
     公認会計士制度の見直しというものは、長い積み重ねもございます。また、資本市場の幅広い関係者に影響する重要な課題と考えてございます。当部会の委員の皆様の御指導をいただきながら、よりよい制度となるよう改善に取り組んでまいりたいと考えております。皆様方から忌憚のない御議論、御意見をお寄せいただくようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
     
    ○神田部会長
     古澤局長、どうも大変ありがとうございました。
     
     それでは、続きまして若干の庶務事項がございまして、まず当部会の部会長代理を御指名させていただきたいと思います。金融審議会令の第6条第5項におきまして、部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するということが定められております。そこで大変恐縮ではございますが、私からは神作委員に部会長代理になっていただくということで御指名させていただきたいと存じますが、神作委員いかがでございますか。
     
    ○神作委員
     よろしくお願いいたします。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございます。それでは、神作委員にお引き受けいただいたということで進めさせていただきます。
     
     それから先ほど申し上げましたけれども、本日、私自身もオンライン参加をさせていただいておりまして、万が一、途中で私のPCに不具合等が生じて接続が切れたとかいったようなことが生じた場合には、大変恐縮でございますけれども、その時点で進行は事務局にそのままお願いすることとして、私のほうで再接続を試みるといったことで対応させていただきたいと思います。
     
     続きまして、公認会計士制度部会議事規則の改訂案について、お諮りをさせていただきます。事務局から改訂案の内容について御説明をお願いいたします。
     
    ○廣川企業開示課長
     お手元の資料1を御覧ください。公認会計士制度部会の運営については、平成13年10月の第1回公認会計士制度部会において御了承いただいております公認会計士制度部会議事規則において規定されております。
     
     こちらの公認会計士制度部会議事規則でございますけれども、委員の皆様方の出席方法については、明示的に記載をされていないというところでございます。この点に関しまして、金融審議会と金融分科会におきましては、昨年9月開催の第44回金融審議会総会・第32回金融分科会合同会合におきまして、新型コロナウイルス感染症対策の観点や、全く別の有事が発生した場合の備えといたしまして、オンラインでの開催が可能であるということを明確化するために、議事規則の改訂がなされております。
     
     これも踏まえまして、公認会計士制度部会議事規則につきましても、同様の改訂をしてはいかがかと考えてございます。具体的な改訂点は2点ございます。
     
     1点目は、議事規則の第1条の「会議の招集」のところに、第2項として、「部会長は、必要があると認めるときは、情報通信機器を利用して会議を開催することができる」と追加してはいかがかと考えております。この情報通信機器というのは、本日、皆様方がお使いのオンライン会議の出席を可能とする情報通信機器を想定してございます。
     
     続いて2点目でございますけれども、第5条として、「部会長は、特に緊急の必要があると認めるときは、委員に対し文書その他の方法により、議決を求めることができる。なお、この議決を行った場合は、部会長が招集する次の会議に報告しなければならない」と規定してはいかがかと考えております。
     
     この規定を追加することによりまして、例えばオンライン会議の開催ができないようなときでも、部会長が緊急に議決を求める場合には、部会を書面開催し、文書による議決を求めることができるよう措置したいと考えてございます。
     
     以上でございます。
     
    ○神田部会長
     どうも御説明ありがとうございました。

     今、御説明いただきましたように、この部会の議事規則について改訂を行うということで、この公認会計士制度部会として、皆様方に御了承をいただきたいと存じますけれども、御了承いただけますでしょうか。
     

    (「異議なし」の声あり)

     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございます。うなずいていただいたり、お声を出していただいたりと、ありがとうございました。

     それでは、今、御説明いただきました案のとおり、議事規則を改訂させていただきます。この部会の会議につきましては、今、改訂されました議事規則の第4条第1項におきまして、部会に諮った上で公開することができるとされております。本日の部会も公開することとさせていただきたいと思いますけれども、この点につきましてもよろしゅうございますでしょうか。
     

    (「異議なし」の声あり)

     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございます。それでは、この部会も公開とさせていただきます。
     
     それから次に、会議の議事録についてでありますけれども、規則の第6条第1項において、原則として会議の都度作成し公表することとされております。また、その第2項におきまして、議事録の作成及び公表に関し必要な事項は、部会長が定めるとされています。
     
     この点につきましては、これまでと同様に、会議の都度、事務局で議事録を作成して、公表をさせていただきたいと思います。議事録の取りまとめにつきましては、大変恐縮ですけれども、部会長の私に御一任をいただければと存じますけれども、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。
     

    (「異議なし」の声あり)

     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございます。御承認いただいたということとさせていただきます。
     
     それでは、議事に入らせていただきます。本日は事務局から資料説明をしていただいた後、討議をしていただくという流れになります。事務局からの資料説明をお願いいたします。
     
    ○廣川企業開示課長
     それでは、お手元の資料2に沿って説明させていただきたいと存じます。おめくりいただきまして、目次を飛ばしまして、3ページでございます。
     
     こちらは、先ほど、局長の古澤より申し上げましたけれども、本年9月から11月にかけて、会計監査の在り方に関する懇談会が開催されました。11月12日公表ということで、論点整理が取りまとめられてございます。
     
     最初に、この概要を御説明させていただきます。会計監査の在り方に関する懇談会、今回は、本年9月からでございますけれども、一番上を見ていただきますと、前回、2015年ですけれども、大手上場企業の不正会計事案等がありまして、そういったことを受けて議論が行われて、2016年3月に懇談会の提言を取りまとめられてございます。そのときは、一番右側にありますように、「監査法人のガバナンス・コード」の策定、あるいは「監査法人のローテーション制度に関する調査報告」の公表、さらには、「監査上の主要な検討事項(KAM)」の導入、あるいは「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会報告書」が公表され情報提供の充実が図られるといったような取組みが進められてまいりました。
     
     一方で、近年、資料中ほどの、会計監査を巡る環境変化と新たな課題というのが生じてきているかと存じます。具体的には、上場会社監査の担い手が拡大している、また、会計監査の品質管理の高度化が求められるようになってきている。さらに海外においても、監査の在り方の見直しに向けた動きがございます。また、個々の公認会計士につきましては、働き方の多様化が進んでいる、あるいは監査の現場でAIをはじめとする監査の技術革新が進展している。こういった環境変化、あるいは新たな課題が生じてきているものと考えてございます。こうした中で、会計監査の在り方に関する懇談会におきましては、大きく3つ、論点整理をいただいてございます。1つ目は会計監査の信頼性の確保ということで、上場会社監査の規律等について御議論をいただきました。2つ目は公認会計士の能力発揮・能力向上、そして3つ目は高品質な会計監査を実施するための環境整備等ということで、取りまとめをいただいたところでございます。
     
     次の4ページを御覧ください。今、申し上げました3つの点について取りまとめということで、概要を御説明させていただきます。中でも、右側を見ていただきますと、星印が6つほどございます。こちらが、制度的な対応が必要となる事項でございます。
     
     まず、会計監査の信頼性確保から説明申し上げます。環境変化・新たな課題としましては、企業活動が複雑化し、上場会社の多様性が広がる中で、中小監査事務所を含め、上場会社の監査の担い手の裾野が拡大している。また、会計監査の品質管理の高度化が求められている。さらに海外における監査の在り方の見直しに向けた動きがある。こういった中で、今後の対応の方向性としては、中小監査事務所に対する支援の充実、また、制度的に関係してくるものとしては、上場会社の監査に高い規律を求める制度的な枠組みの検討をする必要があると、こういう御提言をいただいてございます。それに関連して、監査法人のガバナンス・コードの受け入れの促進を進めていくべきである。また、第三者の目によるチェック機能の発揮ということで、深度ある日本公認会計士協会の品質管理レビューの実施、それから、制度的に関係してくるものとしては、公認会計士・監査審査会による検査範囲の見直し、これについても御提言をいただいてございます。
     
     大きく2つ目、公認会計士の能力発揮・能力向上ということで、公認会計士の働き方の多様化、具体的には女性活躍の進展とそれから組織内会計士、企業等でお勤めの公認会計士ということでございますけれども、こういった方々の増加といったような傾向が最近見られるところでございます。この関連では、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限について見直しを検討すべきである、これは制度的関連事項ですが、御提言をいただいてございます。それから組織内会計士向けの指導・支援を広げるための方策の検討や、研修プログラムの充実等も求められたところでございます。これも制度に関連する事項がございます。
     
     さらに大きく2つ目ですけれども、監査基準の高度化やAIをはじめとする監査の技術革新の進展ということで、こうした環境変化を踏まえまして、継続的専門研修(CPE)、実務補習・業務補助等の充実、これも制度関連事項がございますが、こういったことについて御提言をいただいてございます。また、監査事務所と企業の人材交流等による公認会計士の現場感覚の養成、さらには継続的専門研修(CPE)の受講義務を適切に履行しない者に対する対応ということで、これも制度関連事項の御提言がございます。
     
     大きく3つ目は、高品質な会計監査を実施するための環境整備等ということで、こちらは、企業側に関係してくることも含めた広い意味での環境整備の御提言をいただいたところでございます。環境変化・新たな課題認識としては、コーポレートガバナンス・コードに基づく企業の取組みが進展してきている、あるいは、本年6月に改定されたコードでございますけれども、それに基づいた企業の取組みがさらに期待されるといったような状況にございます。そうした中で、監査役等や内部監査部門とのコミュニケーション・連携の強化、あるいは内部統制の整備・運用状況の分析、さらには実効性向上に向けた議論といったところが求められる、こういった内容の提言をいただいたところでございます。
     
     5ページですけれども、これは、先般の11月22日の金融審議会の総会におきまして、本公認会計士制度部会に関係してなされた鈴木金融担当大臣からの諮問事項でございます。下の方を見ていただきまして、諮問事項としては、公認会計士制度の改善に関する検討ということで、会計監査を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、会計監査の信頼性確保や、公認会計士の一層の能力発揮及び能力向上に資する公認会計士制度の改善に関する事項について検討を行うとされてございます。それでは、続きまして、制度的な論点ということで、本日御議論いただきたい主な制度的論点について説明をさせていただきます。
     
     7ページでございますけれども、まず監査事務所の状況でございます。中小規模監査事務所の数というのは増加傾向にありまして、2017年3月から約13.5%増加しているという状況でございます。中小規模監査事務所の約86.6%と大部分が個人事務所であります。さらに監査法人について見ますと、所属する常勤の公認会計士の数が10人未満の監査法人は、7割以上となっているというような状況にございます。
     
     8ページを御覧ください。上場会社監査の担い手ということで見てみますと、大手監査法人から準大手監査法人・中小規模監査事務所への会計監査人を変更する傾向が見られます。左側の折れ線グラフですけれども、毎年、中小規模監査事務所、準大手監査法人それから大手監査法人それぞれのカテゴリーの監査事務所におきまして、上場会社監査の件数について、純増減を表しているものでございます。したがいまして、中小規模監査事務所とそれから準大手監査法人は、年々、受嘱の件数を増やしている一方で、大手監査法人が、年々受嘱の件数を減らしているといったような状況でございます。
     
     次に9ページを御覧ください。こういった流れの中で、上場会社に係る監査市場の動向で、具体的にはシェアを表しているものでございます。上場会社の監査につきましては、大手監査法人が大きなシェアを有する状況、これが根底にございますけれども、ただ、先ほどのような流れの中で、準大手監査法人や中小規模監査事務所のシェアの高まり、特に会社数ベースにおいてのシェアの高まりが見られるといったような状況がございます。
     
     10ページを御覧ください。監査の品質管理に関する基準の改訂ということで、先般、企業会計審議会におきまして、監査事務所における品質管理に関する基準、いわゆる品質管理基準の改訂が行われました。それまでの品質管理基準というのは、監査事務所に対してあらかじめ定められた一定の品質管理の方針と手続の整備を求めるものであったということでございますけれども、今般の改訂によりまして、改訂後の品質管理基準では、監査事務所自らが品質目標を設定し、当該品質目標の達成を阻害し得るリスクを積極的に識別・評価し、監査事務所として主体的に対応することが求められるということで、下のような内容になってございます。
     
     続いて11ページを御覧ください。諸外国の動向でございますけれども、特に英国それからドイツにおきましては、大手企業の会計不正等を契機といたしまして、監査品質の確保、コーポレート・ガバナンスの強化、監督機能の強化など、監査の在り方の見直しに向けた議論が行われてございます。
     
     12ページを御覧ください。我が国の上場会社監査に関する制度でございますけれども、日本公認会計士協会におきましては、上場会社を監査する監査事務所に対しまして、日本公認会計士協会が備える上場会社監査事務所名簿への登録を求めているところでございます。日本公認会計士協会におきましては、品質管理レビューの結果等に基づき登録の可否を判断し、登録された監査事務所の名称や所在地、品質管理のシステムの概要、品質管理レビューの実施状況等を日本公認会計士協会のウェブサイトで公開しているというところでございます。
     
     13ページを御覧ください。この上場会社監査事務所登録制度の運用状況でございます。2016年度以降ということで数字を挙げてございますけれども、一番上の登録状況を見ますと、上場会社監査事務所の数というのは、足元2020年度で127事務所になってございます。また、下のほうでございますけども、措置の状況ということでございまして、措置なしと措置ありとなって、措置ありというのは一号措置、二号措置というのがございまして、一号措置、極めて重要な不備事項または重要な不備事項が認められたときの措置というのが一号措置、また二号措置というのは、監査業務の全部または一部の辞退勧告を決定し、登録の取消しを行うといったような措置でございますけれども、それぞれ記載のあるような件数になってございます。
     
     14ページに参ります。こちらは金融庁、当局のほうでございますけれども、近年の監査法人の処分事例ということでございます。2015年のところから全部で9件ですけれども、多くは公認会計士・監査審査会の勧告を受けて処分に至っているということでございます。
     
     それから15ページを御覧ください。こうした中で、上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けにつきましては、先ほど申し上げました会計監査の在り方に関する懇談会で以下のような御議論がありました。
     
     1つ目、制度の実効性の検証の必要性ということで、上場会社の監査のレベルを担保するための登録制度の在り方を考える時期に来ている。また、登録に際して求められる水準が十分なものになっているか検証する必要がある。さらに登録制度に国が関与することも当然あり得るのではないか。また、国による規制が強化されると、形式的なコンプライアンスばかりを重視するようになり監査品質の実質が伴わない結果となる懸念には留意が必要という御意見もございました。
     
     2つ目に、上場会社の監査に対する期待ということで、監査品質の向上に向けて、担い手の規模や体制、リソース等が課題と感じる。また、監査法人のガバナンス・コードを受け入れていただくようにする努力をしていく必要があるのではないかということでございました。
     
     こうしたことを受けて、次の16ページでございますけれども、会計監査の在り方に関する懇談会の論点整理におきましては、現在の自主規制としての上場会社監査事務所登録制度について、登録審査やその後のレビューを通じて監査事務所が上場会社を監査するに十分な能力・体制を備えていることを担保する規律としての実効性をより高める観点から、法律に基づく制度の枠組みを検討する必要があるとされているところでございます。
     
     18ページを御覧ください。次は、公認会計士・監査審査会によるモニタリングでございます。公認会計士法上、立入検査等の権限のうち、公認会計士・監査審査会は、監査事務所の業務の運営の状況に関して行われるもののみ行使できることとされております。これにより例えば、公認会計士・監査審査会の検査先の監査事務所に、虚偽証明等の疑義が生じている場合でありましても、金融庁が別途、虚偽証明等に関する調査を行う必要性が生じているところでございます。上のほうを御覧いただきますと、検査範囲のイメージ、処分フローのイメージでございますけれども、業務の運用状況に関しましては、公認会計士・監査審査会が立入検査を行う。そして、処分勧告が出て金融庁による調査、それから聴聞を経た上で金融庁が処分を行う。虚偽証明等に係る監査手続の調査につきましては、下のほうですけれども、金融庁で調査を行い、金融庁が聴聞の上、金融庁から公認会計士・監査審査会に意見聴取した上で最終的に金融庁の処分に至るということで、言わばダブルトラックのような手続になっているということで、先ほど申し上げました金融庁の処分事例の中にも、こうしたダブルトラックが生じているものが実際にあったということでございます。
     
     次のページを御覧ください。こうしたダブルトラックの生じているところは、公認会計士法の具体的には、下線を引いてあります第49条の4でございますけれども、こちらにおいて、公認会計士・監査審査会に委任をされている権限の範囲というのが限定されていることによるものでございます。
     
     20ページを御覧ください。こちらは各国の制度比較ということで、諸外国における監査監督機関の検査の状況でございます。日本におきましては、公認会計士・監査審査会それから金融庁がございまして、検査の対象というのは、主に、日本公認会計士協会の品質管理レビューの対象となる監査事務所が検査対象になっているということでございます。右側にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それぞれ監督機関をつけてございます。ちなみに検査の対象につきましては、中ほどそれぞれありますけれども、アメリカであれば上場会社等の監査を行う監査事務所、イギリス、ドイツ、フランスは、パブリック・インタレスト・エンティティー(PIE)、なお、下に(注2)で書いてございますけれども、市場で譲渡可能な証券取引が認められている会社、金融機関等、保険会社など、定義は各国で様々でございますが、このPIE等の監査を行う監査事務所が上側の監査監督機関の検査対象となっているということでございます。
     
     21ページに参ります。この公認会計士・監査審査会のモニタリングの範囲につきましては、先ほどの会計監査の在り方に関する懇談会の論点整理におきまして、下線部分ですけれども、公認会計士・監査審査会の検査において、業務の運営の状況の検証に際し、虚偽証明に係る監査手続についても検証を行えるようにする必要があると提言をいただいているところでございます。
     
     それでは、次の論点に参ります。次からは、公認会計士の能力発揮・能力向上についてであります。
     
     1つ目は、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限に関してでございまして、23ページでございます。公認会計士の女性割合というのは、近年増えてきている傾向にございます。2020年12月末時点で14.5%、また、上場企業の女性役員比率も上昇傾向にあるといったところでありまして、監査法人の社員または被監査会社の役員として、女性が活躍する機会が広がっております。
     
     次のページを御覧ください。これは現行制度ですけれども、監査法人と被監査会社との間の独立性確保のために、監査法人の社員の配偶者が被監査会社の役員等である場合には、当該監査法人による監査証明業務の提供が、現行法上禁止されているというものでございます。具体的に、この図の中ほどを見ていただきますと、この禁止の範囲でございますが、監査法人の中にケース1、ケース2と書いてございますけれども、左側見ていただきますと、A社というのをこの監査法人が直接、監査の対象にしようとしているという場合ですけれども、この、A社の監査チームにこの配偶関係にある社員の方が所属している場合は禁止ですが、これに限らず、下のケース2にありますように、A社ではなく、別のB社の監査チームにこの配偶関係にある方が所属している場合であっても、これも、法律上、このA社の監査をこの監査法人が行うことが禁じられているという状況でございます。
     
     次の25ページですけれども、諸外国を見てみますと、一番右側に国際倫理規程というのがございます。また、アメリカとイギリスの例をつけてございますけれども、この監査法人側でこの対象となる構成員のところを見ますと、いずれも、監査業務チーム等ということで、先ほどの例でいきますと、A社の監査に関わりの深い方に対象となる構成員が限定されているといったようなところでございますが、日本の場合には、一番左のところですけれども、法令で全社員、いわゆるパートナーが対象になっているところで違いがあるところでございます。
     
     26ページに参ります。こうした中で、会計監査の在り方に関する懇談会では、大規模監査法人では社員が500名以上おり、この規定に該当するケースが実際に見られ、女性活躍推進の妨げになっているといったような御意見をいただきました。論点整理におきましては、監査人の独立性を引き続き確保しながらも、女性活躍の観点も踏まえ、能力ある公認会計士にその能力に見合った活躍の機会を確保できるよう見直すべき点はないか検討される必要があるということで、御提言をいただいたところでございます。
     
     次に、組織内会計士向けの指導・支援を広げるための方策について説明をいたします。
     
     28ページですけれども、公認会計士の活躍の場が多様化しているということで、近年は監査法人以外の事業会社や行政機関等で業務に従事する、いわゆる組織内会計士の数が増加傾向にございます。
     
     次の29ページを御覧ください。こうした中で、公認会計士の登録の際には、開業時の登録を念頭に、氏名、生年月日等のほか事務所の登録を求めているというところでございますが、事業会社等に勤務する組織内会計士につきましては、便宜的に自宅等を事務所として登録する例があるとされてございます。右下に、イメージでございますけれども、横浜市に御自宅がある方が、横浜市を事務所として、自宅の所在地を事務所として記載されているといったようなことがございます。
     
     これにつきまして、30ページですけれども、会計監査の在り方に関する懇談会では、組織内会計士の方は、監査や税務を行う公認会計士とはニーズが違うということで、組織内会計士が受講したいと思う研修プログラムを十分用意することが必要である、こういう御意見がございました。また、組織内会計士ネットワークにつきましては、ネットワーク化の推進と研修の充実が必要である、こういった御意見もございました。こうしたコンテクストの中で、論点整理におきましては、公認会計士登録上の組織内会計士の位置づけを明確にするなど、組織内会計士向けの指導支援がどのように届くようにするか検討すべきであるとされたところでございます。
     
     次の論点にまいります。実務経験期間の見直しでございます。

     32ページを御覧ください。公認会計士登録までの流れということでございますけれども、上の中ほどでございます。公認会計士試験合格された後、実務経験というのが登録には求められることになりますが、そのうち業務補助、監査証明業務の補助、あるいはその実務従事、財務に関する監査、分析等ということでございますけれども、この業務補助等というのが2年以上求められるとされてございます。
     
     次のページ御覧ください。33ページでございますが、国際的には、国際教育基準というのがございまして、実務要件3つほど、選択肢がございます。1つ目は3年間の実務経験、2つ目は2年間の会計等に関する修士課程、3つ目は5年以上の会計教育と実務経験ということで、3つを例示しつつ、1つ目の3年間の実務経験を好ましい方法としているというところでございます。
     
     34ページを御覧ください。諸外国における実務経験期間の状況ということで、アメリカは州ごとに公認会計士資格の取得要件が定められておりますので、概ね1年から4年以上と各州によって実務経験要件は様々でございます。イギリス、ドイツ、フランス、ヨーロッパはいずれも実務経験要件3年以上となっているところでございます。
     
     次のページを御覧ください。こうした中で、実務経験期間の見直しについて、会計監査の在り方に関する懇談会では、御提言をいただいているところでございます。上段の中ほどですけれども、こちらのほうで幅広い御意見をいただいているということでございまして、必ずしも監査業務だけではなくて、事業会社での経験、幅広い社会経験というのも必要かもしれないとか、それから企業側を含む現場経験について、例えば3年程度の期間があれば、様々なことを学ぶことができる等、そういった幅広い観点から御意見をいただいたところでございます。また、監査業務ということでも、論点整理を見ていただきますと、業務補助・実務従事の一層の充実などにより、企業の現場感覚を養う機会を多く持てるようになることが望ましい、こういった提言をいただいたところでございます。
     
     最後に、継続的専門研修の確実な受講を通じた公認会計士の能力の向上についてでございます。
     
     37ページでございますけれども、継続的専門研修の確実な受講を通じた公認会計士の能力向上ということで、この継続的専門研修(CPE)は、公認会計士の資質の維持・向上と、それから公認会計士制度に対する社会からの信頼を維持するために重要な制度でありまして、その受講が法律上求められているところでございます。一方で、近年は、この継続的専門研修の不適正な受講、例えば受講単位不足、早送り受講、二重受講といったような事例が認められているところでございます。
     
     38ページを御覧ください。こうした中で、現行の公認会計士法上、継続的専門研修を受講しないということにつきましては、先ほどの事例などでは、戒告などの懲戒処分というのがなされているわけでございますけれども、いくら受講しなくても公認会計士の登録抹消事由とはされてないところでございます。下に公認会計士法の第21条をつけてございますけれども、第21条第1項各号に、登録抹消事由というのが列挙されており、そのような制度になっているということでございます。なお、御参考までに、税理士法におきましては、虚偽申請等に基づいて登録を受けた場合、あるいは2年以上継続して所在が不明である場合に、税理士の登録を取り消すことができる規定というのもございます。
     
     次の39ページを御覧ください。会計監査の在り方に関する懇談会では、次のような御議論がありました。具体的には、この継続的専門研修の履修要件を満たさない公認会計士には、厳格に対応していくというような御意見をいただいたところでございます。下の論点整理におきましても、このCPEを長期に受講しないなど、CPEの受講義務を適切に履行しない者に対しては、公認会計士の登録を取り消すことも含め、厳格に対応することが求められる、このような提言をいただいたところです。
     
     以上が6点でございます。これを受けまして、本日御議論いただきたい事項でございますけれども、41ページでございます。
     
     1点目、上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けということで、一般投資家を含め多数のステークホルダーを有する上場会社の監査を担う監査事務所について、諸外国の制度を踏まえ、法制度を整備することをどう考えるか。また、上場会社の監査を担う監査事務所について法制度の整備を行うに当たり、従来の日本公認会計士協会の上場会社監査事務所登録制度における運用の知見・ノウハウを最大限有効に活用するには、どのような方策が考えられるか。
     
     2点目、公認会計士・監査審査会によるモニタリングでございます。監査事務所へのモニタリングをより効率的・効果的なものとする観点から、公認会計士・監査審査会によるモニタリングに関して、監査事務所の業務の運営の状況の検証に際し、虚偽証明等に係る監査手続をも検査の対象とすることについてどうか。
     
     3点目、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限でございます。監査法人の大規模化とともに監査法人側・被監査会社等側の双方で女性活躍が進む中、諸外国の制度を踏まえつつ、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限を見直すことについてどう考えるか。
     
     4点目、組織内会計士向けの指導・支援を広げるための方策でございます。事業会社等に勤務する組織内会計士について、日本公認会計士協会による組織内会計士向けの研修活動の充実等に向け、公認会計士としての登録事項を整備することをどう考えるか。
     
     5点目、実務経験期間の見直しでございます。公認会計士の資格要件である実務経験期間(業務補助等の期間)について、実務感覚の一層の向上を図るため、諸外国の制度を踏まえ、見直すことをどう考えるか。
     
     6点目、継続的専門研修の確実な受講を通じた公認会計士の能力向上でございます。継続的専門研修(CPE)の不適正な受講事案などを踏まえ、CPEの内容の充実と併せ、CPEの確実な受講を確保する観点から、登録抹消事由の見直しを行うことをどう考えるか。
     
     以上でございます。長くなりまして失礼いたしました。
     
    ○神田部会長
     どうも御説明ありがとうございました。
     
     それでは、本日は残りの時間を討議の時間ということにさせていただきます。今、御説明いただきました内容を踏まえ、特に、事務局から示されました論点が6点ありまして、今、御説明あった資料、画面共有されていると思いますけれども、41ページと42ページに挙げられている6つの論点につきまして、御質問とか御意見をいただければと存じます。
     
     それで、そう言いながら大変恐縮なのですけれども、時間も限られておりますので、皆様方の御発言の時間を確保するという観点から、目安ということで申しますと大変恐縮ですけれども、お一人当たり3分から4分程度を目安としての御発言をいただければありがたく存じます。御質問、御発言がおありの方は恐縮ですけれども、このウェブ会議システムのチャット機能を利用して、全員宛てに、発言希望などと書いていただければ、私がそれを拝見して御指名をさせていただきます。そうしましたら、お名前を名乗って御発言をいただければと存じます。なお御発言の際には、ミュートをオフにして御発言いただき、御発言が終わりましたら、恐縮ですけれども、また、ミュートをオンにしていただければと存じます。
     
     それでは、どなたからでもと思いますけれども、今既にチャットいただいております、日本公認会計士協会の手塚会長、どうぞお願いいたします。
     
    ○手塚専門委員
     ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
     
     私からの質問と発言で論点の1と2についてです。まず、2について質問です。公認会計士・監査審査会によるモニタリングに関して、先ほど会計監査の在り方に関する懇談会で提言があったという説明を受けました。その提言というのはどういうことか確認させてください。先ほど御説明ありました公認会計士・監査審査会と金融庁の検査と調査に関する事項は、会計監査の在り方に関する懇談会の委員からの提言ではなく、金融庁側からの話であって、それに対して委員から異論がなかった、こう理解していいかということと、先ほどおっしゃっていた提言に、公認会計士・監査審査会との検査と、日本公認会計士協会の品質管理レビューについて、その役割分担を明確にすべきという内容を含んでいるのかどうか、です。これは後ほど答えていただきたいと思います。
     
     論点の1につきましては、会計監査の在り方に関する懇談会では、公認会計士法上に上場会社監査事務所の登録制度を設ける必要があるのではないかという議論がなされました。これに関しては、私としては、制度の詳細が明らかではないので、賛成するとも反対するとも申し上げていないわけですが、法制度化されたとしても、自主規制として行ってきた日本公認会計士協会に制度設計と運用を任せるべきであると考えています。法律で定めることによって、一定の実効性の確保、現在の証券取引所の上場規則より実効性が確保されるという側面はあるとは思いますが、会計監査の在り方に関する懇談会でも述べたとおり、海外でも国内でも、規制が強化され、監査基準等が詳細になっていく中で、官庁が直接監督するようになると、監査法人に対して無謬性が求められる要素が強くなると思っています。したがって、監査法人側が法令や基準に準拠することに注力して、コンプライアンスを極めて重視した、言わば形式的な監査に陥ってしまうリスクがあるということを懸念しているわけです。
     
     監査手続の実施について、形式上は問題ないが、不正の発見や企業との交渉能力などに関して、監査人の真の実力が伴わないまま潜在的にリスクが高まってしまうということを、日本公認会計士協会の会長としては非常に心配をしています。したがって、法律に定めることになったとしても、実効性、透明性、効率性という観点において、日本公認会計士協会の上場会社登録事務所制度の設計運用に任せていただきたいという、これが私のお願いでございます。
     
     それ以外に様々御意見をいただいたことについては真摯に受け止めて、我々として対処すべきことについてしっかり対処したいと思います。
     
     以上でございます。ありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。それでは、御質問の部分について、事務局からいかがでしょうか。
     
    ○廣川企業開示課長
     企業開示課長の廣川でございます。

     御質問いただいた件ですけれども、会計監査の在り方に関する懇談会におきまして、先ほど説明を申し上げました公認会計士・監査審査会の検査について、具体的には業務の運営の状況の検証に際し、虚偽証明に係る監査手続についても検証を行うようにする必要があると論点整理に書いてある点でございます。
     
     こちらは先ほどもスライドで申し上げましたように、公認会計士・監査審査会の検査とそれから金融庁の調査がダブルトラックになっている。主に、当局の公認会計士・監査審査会と、金融庁ですから、どちらも当局ですけれども、当局の中での行政の効率性、あるいはより実効性のあるモニタリングといったような観点から出てきている問題意識でございます。今、手塚会長がおっしゃられたように、懇談会の中で、当局以外のどなたかということで御意見をいただいたということでは必ずしもないかもしれませんけれども、私どもなりの問題意識というのを、各懇談会のメンバーの方々に御説明をさせていただき、そして、こちらの論点整理は懇談会の中でも案という形で御提示をさせていただいた上で、懇談会において、御異論なく、各メンバーの方々に御了承いただき、最終的には論点整理として公表をしていただいているというプロセスを経ていると認識しておりますので、そういった点から、御提言をいただいたと申し上げたところでございます。
     
     関連して役割分担云々という御質問をいただいたかと存じます。こちらにつきましては、資料の21ページでございますけれども、ここの文章、二段落続いている文章ですけれども、こちらの文章の中では、あくまでも公認会計士・監査審査会の検査について書いているという中で、先ほども私が申し上げましたように、金融庁との関係で効率的な、かつ効果的なモニタリングを行っていくという観点から、当局においてどうしたらいいのかということで、こちらの公認会計士・監査審査会の検査によって虚偽証明に係る監査手続についての検証を行えるようにするという問題意識が出てきているところでございます。御指摘の日本公認会計士協会の品質管理レビューのお話というのは、本日の資料には入ってございませんけれども、それよりも前のところで、ちょっと読み上げさせていただきますけれども、日本公認会計士協会においては、品質管理レビューにおけるリスク・アプローチの強化等を行うとともに、2020年度の品質管理レビューにより、実施頻度の柔軟化などの見直しを行っているが、職業専門家団体としての自主規制機能を十分に発揮し、監査事務所の特性に応じたより深度ある品質管理レビューの実施を徹底することが必要である。日本公認会計士協会の品質管理レビューについては、今申し上げたような形で、別途の段落で整理をされているということでございます。ですので、そういった論点整理の書き方を踏まえると、こちらの公認会計士・監査審査会の検査範囲の見直しに係る部分というのは、直ちに日本公認会計士協会と当局の役割分担論から、論点整理において記述がなされているものではないと理解をしてございます。ちょっと拙い説明で失礼いたしました。
     
    ○神田部会長
     ありがとうございました。手塚会長、よろしゅうございますか。あるいは追加で御発言があればお願いします。
     
    ○手塚専門委員
     では少しだけ。ここの下線部分については、私の理解と一緒ですので、了解しました。
     
     会計監査の在り方に関する懇談会では、ある方から、日本公認会計士協会の品質管理レビューと公認会計士・監査審査会の検査は、重複があるので、公認会計士・監査審査会の検査に一本化すべしというような発言がありました。私はそれに関しては明確に反対をしており、先ほど説明を伺っていて、そうした議論になる可能性を感じたので、御確認を申し上げた次第です。先ほどの、上場会社監査事務所の登録制度を仮に法定化しても、今の品質管理レビューと公認会計士・監査審査会の検査とは、その関係が変わることがないことを確認させていただいて、そのように理解しましたので、私はそれで結構です。

     以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、多くの方からチャットをいただいておりまして、その順番でいきますと、柳澤委員、弥永委員、石原委員の順になると思います。日本公認会計士協会の柳澤副会長どうぞ、お願いいたします。
     
    ○柳澤専門委員
     日本公認会計士協会の副会長を務めます柳澤でございます。

     私は日本公認会計士協会の中で、中小監査事務所、組織内会計士、後進育成等を担当しておりまして、その関係から参加させていただいたのではないかなと思いますが、いずれにいたしましても、ありがとうございます。
     
     今回、この資料にもございますように、中小監査事務所が、極めて資本市場において重要な役割を負っているということで、その点に関しましては、中小監査事務所をポジティブに捉えていただいているということで、その点は大変うれしく思っている次第でございます。現在、中小監査事務所Tier3、Tier4で大体700社ぐらいの上場会社を監査しておりまして、これは多分世界に例のない、日本だけの、いい意味での特徴だと思っております。
     
     また、中小監査事務所は、IPOやスタートアップ企業、また地方の中核企業等の支援においても重要な役割を担っていますので、そういう点を入れましても、中小監査事務所が注目され、かつ、基盤強化が図られるということは大変いいことではないかなと思った次第です。
     
     この上場会社監査を担う規律付けの点で2点だけ、私のほうからまず申し上げます。1つは、今言いました中小監査法人、中小監査事務所に関する育成支援ということをどうやっていくのかということです。実は今日の資料には、その部分は、制度的枠組みになじまないということで記載が落ちてしまっているのですが、あえて申し上げますと、やはり、中小監査事務所に対する実践的に有用な支援については、先般の品質管理基準でもしっかりうたわれているところでございます。ここは当然、日本公認会計士協会が主体となって動いていかなければならないところではありますけれども、例えば、デジタル、人手不足、人的基盤などの面においては、個々の事務所だけで対応しても、なかなかできないものですから、ぜひとも、行政当局の方々にも、検査、処分だけではなくて、日本公認会計士協会で行う様々な支援策・育成策に対して、御協力いただきたいと思っているところでございます。それがまず1点目です。
     
     2点目といたしましては、やはり中小監査事務所が基盤強化していくために必要なのは情報開示でございます。しっかりした情報開示をして資本市場の皆様に安心していただくということだと思います。そこは、やはりガバナンス・コードを中心として、自主規制、ソフトローを中心としていくべきだろうと思っております。これは今日御参加の堀江委員からも御質問いただいているところではございますけども、仮に上場登録名簿が、法規制の中に入ったとしましても、こういった情報開示等につきましては、やはり、ソフトロー、ガバナンス・コードを中心にして、自主的に行っていく、やはり自ら基盤を高め、自らが開示していくという姿勢で臨んでいけたらなと思っているところではあります。
     
     別の論点ですけども、組織内会計士の問題につきましては、御指摘のとおりでございまして、ここは今現在、大変多くの分野で活躍している組織に属している会計士がいるのですが、なかなか、そういう会計士に対する実践的な有用な支援というのがしづらく、どの組織に属しているか分からないために、そこになかなかたどり着けないところがあります。現実問題も、国際連合世界食糧計画(WFP)で勤務してローマで活躍している会計士がいたのですが、登録情報を見ると、日本の自宅に個人事務所を開いているようにしか見えないということもありましたので、ぜひ、こういったことについては、所属先が明確になるような登録事項というのを整備していただくことは、組織内会計士に対する会計士協会の支援を実践的かつ有用なものにするためにも大変有用かなと思っています。
     
     それから最後に後進育成も担当していますので、実務経験の見直し、これにつきましても御提案のとおり、ぜひ、やはり2年から3年にしていくということがよろしいのではないかなと思います。特に複雑高度化した会計監査の分野におきましては、実務で学ぶ知見が一番重要になってくると思いますので、昨今の合格者の若年化のことも相まっているのですけれども、ぜひこの部分を少し延長して、多くの実務経験を積める期間というのをつくっていくということは有効だと考えている次第でございます。
     
     取りあえず私から以上でございます。ありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして、弥永委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○弥永臨時委員
     ありがとうございます。
     
     監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直しは、時機を得たものであり適切だと思います。また、この喫緊の課題への対応に絞るというのは分かるのですけれども、これは、先ほど事務局からも御紹介がありましたように、社員が500人以上いる監査法人があることを前提といいますか、それを想定しているわけでして、現在の公認会計士法自体が、この500人という多くの社員がいることを想定した規律にはなっていないという、本質的な問題があるように思われます。すなわち、合名会社という全ての社員が経営に関与するという仕組みに倣っているということですので、このほかにも幾つかやはりゆがみが出ているのではないかと思われるわけです。ヨーロッパの国々ですと、私が知っている限りではフランスとかドイツは、監査法人に当たるものは、株式会社あるいは有限会社という形態をとっているのが一般的であります。そういったことを考えると、そもそも、やはり、この監査法人という制度自体についての規律を見直したほうがいいのではないかという気がいたすわけです。そうでないと、パッチワーク的に、本当に、喫緊の課題だけしか対応しないということになって、根本的な解決ができないのではないかということがちょっと気になっております。
     
     また、古澤局長が最初におっしゃいましたように、公認会計士・監査法人に期待される役割というのが、監査法人制度が入ってきた当時、昭和40年代の初頭とは、かなり違っているということになりますと、やはりこの辺りも、今、実際に、この公認会計士の活躍の場というものが、監査法人を通じて果せるというためには、監査法人ができる業務が第2条第1項業務、第2条第2項業務と、あとは実務補習というように限定されているかのような現在の規律というのも、本当は見直さなければならないのではないかという感想を持ちます。今回のこの3番目の御提案に、ちょっと触発されて、公認会計士制度、少なくとも監査法人制度は、本来は全般的に検討の対象にしてよいのではないかと思いました。
     
     以上です。よろしくお願いいたします。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして石原委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○石原臨時委員
     日本製鉄の石原です。よろしくお願いいたします。
     
     私は会計監査の在り方に関する懇談会のメンバーとしても、議論をさせていただいてきました。したがって、今回、御提示いただいている6項目の各論点につきまして、検討していく、あるいはある一定の方向性の中で見直しをしていく、程度の問題はありますけれども、この必要性については、全く異存がないところであります。
     
     私自身は、事業会社の財務部門の立場であり、個々の監査の現場における問題意識から、この場も含めて、議論に参加させていただいているという認識であります。
     
     これまでも、いろいろな場を通じて申し上げてきたわけですが、やはり今、監査に対して期待されていることは、大手あるいは中小監査法人問わず意図的な不正会計、これは、企業側だけの問題ではなくて、場合によっては監査事務所側も一体となっているケースもあるのかもしれませんが、これをいかに再発させないかということが、極めて重要なミッションであり、社会の期待はまさにそこにあると認識しています。もちろん、事業会社が、まずきちんとそうしたことを起こさないようにすべきであるというのは、大前提でありますけれども、監査の議論においては、今、申し上げた点がやはり最大の目的であろうと考えております。
     
     そういった意味で、なぜこれまでそういう事件が起きてきたのか、その背景に何があったのか、そういったことに対して、最も熟知されているのは公認会計士の皆さん、監査業界の皆さんであろうと思います。したがって、今回の論点について、特に、監査人サイドの皆様、あるいは日本公認会計士協会の皆さんがお持ちの真の問題意識に基づいて、社会的に果たすべき自分たちの役割という観点から、どういう方向で見直すべきなのか、ぜひ御提案をいただきたいと考えている次第であります。
     
     私自身は、高品質な監査とは、基本的には、リスク・アプローチを徹底していくということで、特に意図的な不正会計に関わるような重要なリスクに資源を集中していく、これが本当の意味での監査品質の向上ではないのかと考えておりますし、いろいろな場でもそう申し上げてきましたけれども、実際に行われてきたことというのはむしろ逆であります。実質の追及よりも、形式的なチェック、そしてそれによる免責、こういった方向に向かってきたのではないのかとそう感じております。結果としてそのツケが監査の現場にきて、本当の意味での監査力の向上をむしろ阻害してきたのではないのかと感じているところであります。リスク・アプローチと言っても、監査法人にとってというよりは、企業の監査現場におけるリスク・アプローチそのものですから、ぜひ間違えのない方向に進んでいただきたいと思っております。
     
     監査人サイドの皆さんとして、今のこういう方向に来てしまったのはやはり、ある部分は、皆さんとしての意見の発信が不足していた部分もあるのではないのかと感じるところであります。したがって、繰り返しになりますけれども、やはり、監査というのは社会的な基盤として、極めて重要な役割を持っているわけですから、御自身の業界であるとか、御自身の職業のプレゼンス、レピュテーションの向上に向けて、防衛的な発想ではなくて、前向きな発想で、これらの論点についてどう対応するべきか、ということを積極的に御検討いただいて、ぜひ発信をする、それが今、期待されていることではないのかと、果たすべきことではないのかと考えております。
     
     よろしくお願いします。以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、チャットの順番によりますと、長嶋委員、小倉委員、挽委員の順になると思います。長嶋委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○長嶋臨時委員
     長嶋でございます。

     論点6つほど提示していただいているのを、私、民間企業の監査役としての立ち位置を割と重めに、ポイントを絞って意見を出させていただきます。
     
     1点目の上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けのところですけれども、これは事務局から資料を御説明いただいたとおり、中小監査法人による上場企業の監査について、実際にマーケットニーズがここまで実態ができている中で、チェックをより厳格にするという方向性には賛同いたします。ただ、この規制をどうしていくのかというところに関しては、今、日本公認会計士協会のほうでやっていらっしゃる自主規制の流れを継続する中で、この登録制度の中で行っていくのがいいと思っております。
     
     冒頭に手塚委員が確か見解を出された理由とほぼニアリーの理由で、やはり行政に登録制度を移管すると、行政の方々たくさんいらっしゃる中で恐縮ですが、形式的なところに重きを置かれて、実質的なものがおろそかになる可能性があるかなと思っています。大きな事件やインシデントが起こった後、今の上場企業に対してのこの監査を請け負うチェック機能を高めているからこそ、先ほどの資料にもありましたように、直近の決算期、ピークである今年の6月で124社ほどがビッグ4から中小の監査法人を移しているというような実態もありましたけれども、これは、上場企業の監査基準ということに関しての自主規制が機能しているというふうにも受け取れると私は思っております。日本公認会計士協会で、登録制度の中でより強化していくために、具体的に実効性のあるものとしてどういうものが考えられるのかという運用がなされるのがいいのではないかと思っております。
     
     2点目は、実際携わっていらっしゃる方から御意見をいただければと思っておりますのでスキップいたします。
     
     3点目も、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限を緩和しようと、もうこれは女性活躍推進からも当たり前なので、早々にお願いいたします。
     
     4、5、6の観点ですけれども、これはすべからく規制の緩和策でもあり強化策でもありということなのですけど、前提の課題の捉え方というところが一番大事ではないかと思っています。要は、会計監査人のレベルを上げること、これを前提課題にされていますけれども、ただでさえ逼迫している業務実態をまず改善しなくては、レベル向上に資する時間も生み出せないと考えますし、要は研修履歴の偽装とか、その行為自体は問題ですけれども、その真因が何か。業務過多ですよね。これを解決しないと意味がない施策だと思います。AI活用などで生産性改善をうたい文句に、今、してきていますし、端緒にはついていますけれども、このことで、時間チャージ制の今のビジネスモデル、公認会計士のビジネスモデルをどう進化させるのか。この辺りで原資をちゃんと生み出ださないと、モデルチェンジで原資を生み出さないと、質の向上に費やす時間も生まれないと思います。ビッグ4であれば、AI活用などで進化していくビジネスモデルも、ある時点で不連続に変えられるかもしれませんけれども、中小の監査法人、ここは、一つ一つではAI活用の云々というところは、法人としてはきっとかなり無理があると思います。それは共通基盤のサポートをどのようにしていくのか。IFRS対応などは、ちょっと厳しくても、少なくとも日本基準の対応は、共通のAI基盤などは公と共に、日本公認会計士協会等々とも協力して、基盤整備を急いでいくという、もともとの課題の真因を解決していくこちらのほうにメスを入れるべきではないかなと考えます。

      以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。
     
     それでは続きまして、日本公認会計士協会の小倉副会長、どうぞお願いいたします。
     
    ○小倉専門委員
     日本公認会計士協会副会長の小倉でございます。
     
     私からは、3の監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限について、意見を述べさせていただきます。冒頭廣川企業開示課長からの御説明にもありましたとおり、現行の法規制は、特に配偶者に関して、国際基準と比べて厳しいものとなっております。被監査会社からの独立性の確保は非常に重要ですけれども、国際基準と同等の範囲での規制で十分と考えております。
     
     事務局資料の49ページに、大手監査法人の社員の数を示していただいておりますが、500名を超えるようなケースが出ているということで、私の身の回りにおきましても、監査法人の社員の登用や、監査法人の社員の配偶者の方の企業における役員登用において、実際に制約が生じているということがございますので、ぜひこの点については、今回御検討いただきたいと考えております。
     
     それから、弥永委員から御指摘がございまして、これだけ対応されてもという御意見ございました。まさにそのとおりであるのですが、この配偶者に関する規定の問題は、今回ぜひとも対応していただきたいと考えております。現在、監査法人が大規模化しており、法の制定当初の想定にないような状況になっているというのは事実でございます。今後においては、この大規模化を踏まえた対応の検討ということも続けていただきたいと考えております。特に弥永委員からご指摘ございました総社員の同意によっていろいろな意思決定を行うという規定があり、例えば監査法人の合併であったり、代表者の選任であったり、社員の脱退についての規定がございますので、そういったところについては、引き続きの検討はお願いしたいと考えております。

     私からは以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、続きまして、挽委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○挽臨時委員
     ありがとうございます。一橋大学の挽でございます。
     
     6点ほどの御提案につきましては、基本的には賛成をいたしております。その上で、1点目について、まず、補足で意見を述べさせていただきます。
     
     会計監査が上場会社監査の担い手が拡大しているということに関連して、大手と契約更新ができないのか、それとも、大手と契約更新をしないのかということは、大きく違うことかと思っております。大手と契約更新できない場合、これは大手の監査法人がリスクを上乗せして、監査報酬を適正にもらおうとしているので、契約更新が結果的にできない。このような場合には、それを上場企業が引き受けることになる準大手・中規模監査法人においてリスクが非常に高い案件の監査を引き受けざるを得ないことになるのではないかということを心配しております。また、大手と契約更新しない上場企業の監査におきましても、この準大手とか中規模法人が、適正な監査報酬をきちんと設定していただけるのかどうか、それを受け入れるのかどうかということも、監査品質にも関係してきますし、準大手・中規模法人の経営にも関係してくることかと思います。特に、IT環境の整備が遅れているという御指摘がございました。そのため、監査工数は大手が引き受ける場合よりも多くかかることが考えられます。確かにそれに掛けるレートのほうは大手に比べると低いかもしれませんけれども、監査工数が多くかかるということで、適正な監査報酬を設定できるようなサポートは、各法人の問題ではあるのですけれども、上場企業のほうが準大手・中規模監査法人よりもパワーが相当強いというようなことだと、ちょっと困るかなと考えております。
     
     2点目については、公認会計士・監査審査会の権限拡大ということでございますので、人員を充実させるなどして、それが有効に、現場に負担がかかり過ぎることがないようにお願いしたいと思います。
     
     それから5点目です。実務経験期間の見直しについても、これ大賛成でございますけれども、少し大学の教員としての発言をさせていただきます。今年度の論文式試験合格者は、合格者のうちの44.4%が現役の大学生でした。大卒の学生が、その次に41.7%ということですけれども、やっぱり大学現役生が受かっているという事実がございます。これは、令和2年度も同様に、合格者を100%とした場合の大学在学生が41.6%ということで一番多かった。このときに何が起きているかといいますと、3年生が結構受かっております。4年生も受かっていますけれども、一番の問題は3年生です。大手の監査法人は、いろいろ気を配っていただけるようになりまして、苛酷な労働は強いられないようにはなっているのですけれども、問題は実務補習です。12月から始まります。本学始め多くの大学は、12月、1月が試験期間になります。合格者が考えればいいじゃないかという考えもあるかもしれませんが、現役の3年生が実務補習を休むことはできず強制されているように思うわけで、大学教育への悪影響というのが出ておりますので、その辺いろんなルートから声を発信しておるのですけれども、全然聞いていただけないので、少し考えていただかないといけないのではないかと思っております。
     
     それから、6点目についても賛成ではございますけれども、今日の御説明だと、CPEの受講義務を適切に履行しない者に対する対応ということで、一個人のことを問題視しているように思うのですけれども、先ほども別の方からも御発言がありましたように、なぜ適切に履行しないのかということ、何かそこに真因があるのではないか、例えば現場の負荷が多過ぎて受講できない。その場合には組織的な問題も関係していますので、一個人の問題というよりも、その真因を分析すべきではないか。大学の場合だと、昨年度からのコロナの影響で、動画を配信しているのですね。そうするとやっぱり学生の受けは非常にいい。というのは、分からないところが何度でも見直せると。授業だと、1回聞いて分からないと分からないままで終わってしまって、次以降、受講する、授業を受ける気がなくなってしまうというようなことがあるのですけども、オンラインで何度も見られるという場合には、そういうことがなくなるからです。これに照らし合わせて考えると、早送りなどをなぜ行ったかについては真因の究明が必要ではないかと思います。

     以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、チャットの順番でいきますと、佐藤委員、神作委員、井口委員の順になると思います。佐藤委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○佐藤専門委員
     ありがとうございます。

     私は、企業と投資家の間のコミュニケーション促進という仕事をしているのですけれども、加えて、会計監査の在り方に関する懇談会のメンバー、そして公認会計士・審査委員会の委員を務めさせていただきますので、その立場から、主に1、2、6あたりの論点について意見を申し述べさせていただきます。
     
     まず、1でございますが、この法制度の整備というのは、やはり考えなくてはいけない局面に至っているのではないかと考えております。といいますのも、御報告にありましたように、かなり上場会社の中小監査事務所による監査というのが増えてきておりまして、そういった事務所も、上場会社を監査する重みを改めて認識して、しっかりとした基盤をつくっていく必要がある。それに対してモニタリングないしサポートするには、法律的な根拠があったほうがいいと考えるわけです。
     
     ただ、そういった上場会社の監査を担う事務所というのも、かなり多様化しておりますので、法律で一律的に見ていくといったときに課題もあると思います。こうした事務所に問題が見られるようなときというのは、私のこれまで見てきた事例からしますと、求められる品質管理のレベルに体制が追い付いていないような印象です。例えば昔から頼まれて比較的大きな上場会社の監査を担ってきたが、新しい監査基準への対応や十分な監査チーム体制が整備されていなかったという事案ですとか、あるいはスタートアップ企業とか、急速に成長するような上場会社の監査を担当したのだけれども、これも事業拡大のスピードに、体制や人員の確保がなかなかついていかないとか、そういった感じで、業務運営向上の意味で引き受けたのだけれども、品質管理という意味では必ずしも十分でなかったというような事務所もあると感じております。したがいまして、法律で一律に管理というよりは、運用面におきまして、この上場会社の監査を担うことの意義ですとか、それを実際にどのようにやっていくのかについてのサポートが非常に重要であると考えております。
     
     その中で、2ポツ目の論点にも関わりますけれども、これまで日本公認会計士協会が上場会社監査事務所登録制度で運用されてきた知見・ノウハウ、また、今後も先ほど監査法人のガバナンス・コードの受入れというのを促進されるとおっしゃっていましたので、これをぜひ日本公認会計士協会のほうで促進するとともに、その受入れに当たってのQ&Aですとか、相談窓口とか、そういったものを設けていただきたいと感じております。
     
     2つ目の公認会計士・監査審査会によるモニタリングですが、これは私も公認会計士・監査審査会3期目でございますが、実際にこういう虚偽証明等に係る監査手続の検証というのが議論になったように記憶をしております。特に通常検査の間で見つかったという場合は、何かしらやりようがあるようですけれども、そうじゃない場合どうするかという点につきましては、やはり議論していく、考えていく場面に来ているのではないかと感じております。一方、では、この虚偽証明に係る監査手続を審査会が検証するので、金融庁でありますとか証券取引等監視委員会は関わらなくていいということではないと思いますし、何か横串を刺すといいますか、その連携についての情報共有などをしていただけると、資料で「効率的・効果的」と書いておられる部分、特に効果的というところに働くのではないかと感じます。一方、検査・検証対象が広がりますので、先ほど挽委員もおっしゃっていましたけれども、この部分を担う人員を、どのように確保するのかというあたりは課題ではないかと思います。
     
     そして6番ですが、CPEの不適正な受講などを踏まえた登録抹消事由の見直しです。たしかに不適正な受講というのは問題だとは思うのですけれども、背景には、これも何人かの委員がおっしゃっていましたが、業務が非常に忙しいという実情も影響しているかとは思いますので、いきなり抹消というのも結構厳しいのではないかなという印象がございます。また時間が厳しいというのもさることながら、この研修の意義を意識して受講いただくことも大切であると思います。冒頭申し上げましたように、私、企業と投資家とのコミュニケーションを促進しているのですけれども、公認会計士の皆様の資本市場に対する認識というのが、やや期待するものとはギャップがあるなと感じております。公認会計士の皆様というのは、市場のためにも働いていただける方々と思っておりますので、その観点で、こういう研修というのは重要だと、そういう意識づけをぜひやっていただきたいと考えております。
     
     以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に神作委員、どうぞ、お願いいたします。
     
    ○神作委員
     どうもありがとうございます。

     私は、今回から、公認会計士制度部会に加えていただくこととなりました。よろしくお願いいたします。いろいろ理解不足のところとか、誤りもあるかと思いますので、ぜひ、間違ったことを申したら、御指摘、御教示いただければと思います。
     
     6つ御提起いただいたこの御議論いただきたい事項の第1点と第3点を中心に、コメントをさせていただきたいと思います。
     
     まず、第1点についてでございますけれども、この上場会社、有価証券報告書提出会社における監査の重要性、まさにこれはコーポレート・ガバナンスの要と申しても過言ではないと思いますけども、その重要性に鑑みると、この上場会社監査事務所名簿への登録制度というのに法的位置づけを与えるというのは、これは2つの面から、適切なのではないかと思います。
     
     まず、第一は、法体系上と申しますか、上場会社の監査事務所名簿に登録された監査事務所からの監査というのが、取引所規則によって上場の条件とされていると。そしてこの取引所規則というのは、ハードローである金商法によって、いわば裏づけられているソフトローであると、こういった体系から見て、この上場会社監査事務所名簿への登録制度というのは、これ何らかのハードロー的な位置づけをもって体系上問題ないと思います。
     
     それから次に、実質的に見た場合なのですけれども、この上場会社の監査事務所名簿への登録の可否で、登録が認められないという場合が、極めて重要な不備事項があったり、重要な不備事項があったりという記載がございました。しかし、その目的が、品質管理体制を強化するというより、品質向上を目指すのであるとすると、少し、抑制的な登録の拒否事由と申しますか、登録がなされない場合の要件がやや抑制的になっているように思います。ハードローによる位置づけを与えるとともに、登録の認められる場合について、要件の明確化や、最低限の基準など要件を定めるということが考えられるかと思います。
     
     他方で、この要件とか基準というのは、これ古澤局長から最初にお話がありましたように、この監査基準、実務自体が非常に動いているという、こういう状況のもとでは、やはりソフトローとの連結というのが現実的であり、それがスピード、それから内容的な適切性も担保するという所以ではないかと思います。そういう意味では、このハードローとソフトローのベストミックスを目指して制度を構築するということが考えられるように思いました。
     
     以上が、第1点目についてのコメントでございますけども、1点、この点に関係して御質問させていただければと思うのですけれども、この品質管理レビューの対象に、内部統制報告書についての監査についても、これは当然この品質管理レビューの中に入っているのでしょうか、教えていただければと思います。
     
     それから続きまして、このスライドですと、42ページの3番目の論点、この監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限についてでございますけども、私もこれ25ページのスライドに戻りますけれども、少なくとも法令による制限は、やや過剰なのではないかと思います。ただ、緩和するときの理由づけなのですけれども、この女性活躍の推進という視点はもちろん大事だと思うのですが、やはりお話を聞いていて、利益相反が薄いところまで規制がかかっている。むしろ利益相反の実質に着目して、この規制緩和の議論も正当化する、あるいは進めていくのが必要なのではないかと感じました。
     
     逆に申しますと、この法令による制限を緩和したときにも、それこそ自主規制ですとか、あるいは事務所ごとのルールによって、この自主規制あるいは社内の事務所内のルールとして、この利益相反をきっちりやるというこういう視点は重要だと思いますけれども、いずれにしてもこのハードローでこの事前的、形式的な禁止を課すとしたら、ちょっと過剰規制になっているという。利益相反の観点から見て、過剰規制になっていると感じました。
     
     以上でございます。どうかよろしくお願いいたします。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に井口委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○井口臨時委員
     よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。

     私は、機関投資家の立場から発言させていただきたく思います。そうすると、事務局資料41ページの論点の中でも、上場企業監査というのがとりわけ重要となりますので、1番目の論点を中心にコメントさせていただければと思っております。
     
     まず、上場会社監査事務所登録制度ですが、この制度は、今まで御説明ありましたように、上場企業監査のクオリティーを支える制度として極めて重要と考えていまして、法的な枠組みが必要ではないかと考えます。同時に監査法人等の登録の可否については、日本公認会計士協会の品質管理レビューはこれからも重要な役割を果たすと思っておりますが、公認会計士・監査審査会の検査と実効的に協働できる仕組みを確立して、審査を強化していただくということが、上場会社への監査品質の維持に資するのではないかと考えております。
     
     次に、ソフトローの監査法人のガバナンス・コードですが、会計監査の在り方に関する懇談会でもかなり議論されておりましたように、私も、今般、品質管理基準が改訂されまして、組織としての品質管理目標の必要性などが明確化されたとは思いますが、上場企業監査に関わる監査法人等については、より高い組織運営を確保するという指針が必要と思っております。また、私のような資本市場にいる者から見ますと、監査法人の活動が理解できる唯一の仕組みですので、コード適用を上場企業監査の要件にするということも検討すべきではないかと思っています。
     
     ただ一方、現状のコードの適用状況を透明性報告書で見ますと、大手あるいは準大手監査法人は、取組みが明確です。よく分かります。ただ、それ以下の規模になりますと、例えば原則2の指針で、品質管理体制を設置していますということだけを記載されているケースで、対応が全然分からないとか、あるいはさらに規模が小さくなっていくと、指針に対する対応さえも示されていないという状況になっています。したがって、コードを適用するだけではなくて、こういった中小監査法人等にコードに沿った取組みの改善を後押しする仕組みの確立というのも同時に必要と考えております。御存じのようにガバナンス・コードですと機関投資家、スチュワードシップ・コードですと公的年金基金などのアセットオーナーがこういった改善を後押しする役割を担っております。
     
     監査法人のガバナンス・コードの場合は、投資家というのは、残念ながらその対話チャンネルというのは、大手監査法人の方と議論をさせていただくこともありますが、そういうところに限られていると思います。そういう意味では実効的な監督ができるという意味では、普段品質管理レビューをやられておって対話もされている、御負担ばかりをかけるようなのですが、日本公認会計士協会、あるいは監査を通じ普段対話を行っていらっしゃる監査役などが、こういった行動の監督の機能・役割を担えるのではないかと思っています。
     
     ただそうはいっても、資本市場から見ますと、品質管理体制の整備が必要になってくる中で、監査法人等の規模、これが本当に大丈夫なのかというのはすごく懸念しておりまして、会計監査の在り方に関する懇談会の論点整理で、報酬依存度ルールの設定の議論もあったと認識しておりますが、そういった議論も進めたほうがよいのではかないかと考えております。
     
     あと2番目から6番目に示された論点につきましては、会計監査の在り方に関する懇談会の論点に示された方向性に賛同いたします。特に、3番目の神作委員からネーミングがどうかというお話もありましたが、配偶関係に基づく業務制限に関する取組みは重要と思っています。これは女性の活躍というよりも、近年、会計基準の高度化とか、企業活動のグローバル化・複雑化などから、公認会計士の業務が逼迫していると聞きますので、監査品質を維持しつつ、公認会計士の方の業務負担を適正化するというような制度設計、あるいは改正も、今後ともいろんなところで検討する必要があるのではないかと考えるからです。
     
     以上でございます。ありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでちょっと私の進行がよくなくて申し訳ございません。神作委員から1点質問を出していただいておりますので、事務局か日本公認会計士協会から、お答えいただくわけにはいきませんでしょうか。
     
    ○廣川企業開示課長
     企業開示課長の廣川でございます。

     法律上の話をまずさせていただきますと、資料の19ページでございますけれども、一番下のところで、法律上、公認会計士法の第46条の9の2の第1項ですね。日本公認会計士協会は会員の第2条第1項の業務の運営の状況、ちょっと間飛ばしまして、業務の運営の状況の調査を行うものとするという、この条文が、いわゆる品質管理レビューのことを、法律上指している条文という理解でございまして、ちょっと第2条第1項のほうは読み上げをさせていただきますと、公認会計士は他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査または証明をすることを業とするということでございます。私の理解では、そこの中で、神作委員御指摘の内部統制報告に関する監査も入ってくるという理解でございます。
     
     もし日本公認会計士協会より何か補足いただけることがありましたら、よろしくお願い申し上げます。
     
    ○神田部会長
     ありがとうございます。日本公認会計士協会のほうから、どなたかいかがでしょうか。
     
    ○手塚専門委員
     今、廣川企業開示課長から御説明いただいたとおりであります。財務諸表監査の枠組みの中で、内部統制の状況についてどのように検討しているかということを、品質管理レビューでもチェックしているということでございます。
     
    ○神作委員
     理解いたしました。どうもありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、チャットの順番で進めさせていただきます。あと玉井委員、原田委員、堀江委員の順になると思いますので、玉井委員お願いいたします。
     
    ○玉井専門委員
     公認会計士・監査審査会の非常勤委員をしております玉井です。よろしくお願いいたします。
     
     6項目の各論点のうち、特に1つ目の点に関してコメントいたします。上場会社の監査の担い手につきまして、特に、大手事務所から中小事務所への変更が目立って増加しているという点に一定の警戒感を持っています。モニタリングレポートに紹介されている異動の理由を見ますと、その受皿となっている中小事務所が、監査リスクの比較的高い被監査会社についても、より安い報酬で受嘱しているというようなケースがあるのではないかと思います。また、新規上場会社の監査の受嘱についても同様の傾向があると理解されます。
     
     もちろん中小事務所の中でも、問題ないケースが多々あるのだろうとは思いますけれども、資料の14ページの表にあるように、年に5件程度の中小事務所の公認会計士・監査審査会検査の中でも、勧告事例、処分につながる事例がほぼ毎年生じているというのが実情です。また、上場会社といっても様々ですけれども、中には中小事務所でもかなり大きく複雑な企業の監査を担っている例というのも散見されます。
     
     会計監査人の選任・再任の判断をするのは、第一次的には被監査会社、その監査役等ですけれども、実際にこの上場会社の監査事務所登録制度における登録内容を一覧したとしても、どの事務所が問題含みなのか、さらに言えば、例えば海外子会社を含めたグループ監査やIFRSの対応がきちんとできる事務所なのかといったようなことは、直ちには分からないのではないかと思います。
     
     現行制度の下では、日本公認会計士協会において、これら120余りの登録事務所は、上場会社監査をできますよと、言わばお墨つきを与えているかのような外観を呈してしまっているところが気になっておりまして、予防的な観点から、何らかの改善を図ったほうがいいのではないかと思っております。その意味でこの登録制度を、法律上に根拠のある制度として内容を整備し、規律のレベルを一段高めるといったことには賛成です。
     
     それを機に、一定の要件を設定するということも考えられるのではないかと思っています。具体的な考えがまとまっているわけではないですけれども、会計監査の在り方に関する懇談会の提言にもありましたように、例えば、(1)一定の規模を求めるということがあってもよいのではないか、また、(2)ガバナンス・コードの受入れを求めるということも考えられるのではないかと思います。
     
     まず、監査品質確保のためには、実際の監査業務を通じて培うその事務所内でのノウハウ、スキルの蓄積が何より重要だと思われますので、一定のまとまった数の上場会社監査を持っているべきだと思います。また、様々な環境やルールの変化あるいはデジタル化といったことに対して、構成員の継続教育の重要性も高まっていますし、IT環境の整備も必要となりますので、これらのために必要な投資・コストを考えても、一定の規模、あるいは財務基盤、リソースといったものが求められるのではないかという気がしています。
     
     また、2つ目のポイントとして、トップの意識や、法人運営に関する取組の姿勢といったものが、監査品質を支える重要な部分を成しているのではないかと感じていますので、上場会社監査をする監査法人については、監査法人のガバナンス・コードを適用することとしたほうがよいのではないかと思っています。中小監査法人の実情に沿わないような部分については、エクスプレインしてもらうということでもよいでしょうし、中小事務所について適用を一部除外するといったことも考えられるのではないかと思います。
     
     日本公認会計士協会の品質管理レビューと公認会計士・監査審査会の検査の関係についてですけれども、これらは一定の連携をしつつも、それぞれ目的に沿った独自の役割を果たしていると思いますので、一本化といったことは、私自身はあまりしっくりきません。登録制度の実効性向上の観点というのはやはり、従前からの日本公認会計士協会の品質管理レビューを通じて、また、これの運用を工夫していただきつつ図っていくという形を維持していただくのがよいのではないかと思います。
     
     論点の2点目について、公認会計士・監査審査会の検査は「業務の運営の状況」に関して行われるものですけれども、その中で虚偽証明の疑義が生じているということになったのであれば、そこから踏み込んだ調査ができるようにするということ自体には賛成です。先ほど御指摘もありましたけれども、その公認会計士・監査審査会のほうの人員が不足にならないように、リソースの確保等に留意していく必要があるという点はおっしゃるとおりかと思っております。
     
     その他の3つ目から6つ目の論点については、会計監査の在り方に関する懇談会における議論の基本的な方向性に異存ございません。

     以上です。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に原田委員、お願いいたします。
     
    ○原田委員
     原田でございます。よろしくお願いいたします。

     私のほうからは3点申し上げさせていただきます。
     
     まず、1つ目としては、論点の3に関連するところになりますけれども、女性の社会進出が進んだ結果、社員の配偶関係に基づく業務制限を見直すというそういう表現は、これはちょっとよろしくない言い回しかなと感じております。時代の要請に応じて、今回の改正を考えているということなのだろうと思います。先ほど神作委員からは利益相反という視点からの御発言がありまして、その意見もごもっともでありまして、同意いたします。例えば24ページに絵を書いていただいていますけれども、この絵を見たときに、企業側のブルーの人形は、男性の企業役員を表していて、監査法人側に配偶者の女性がいて、企業Aとの契約継続のために、女性会計士が他社へ移るといったようなことがあったと聞いておりますけれども、そういうイメージの絵になります。今のところ逆のバージョンはないのかと思うのですけれども、ですが、別のページに表がありましたけれども、女性役員が10%に近づいてきているところですので、今後は逆のケースも出てくるかと思います。今までなかったのかどうかというところは聞いておりませんし、把握できておりませんけれども、男性の公認会計士が他社へ移籍するというようなことが今後あるかもしれませんと。ということは結局のところ、共働きが増えてきたということで、時代の要請に伴って今回の見直しを考えるという、そういう論点での議論が大事であろうかと考えました。まず、これが1点目になります。
     
     2点目は論点6のところになります。以前、国際会計研究科という公認会計士のリカレント教育を担う会計専門職大学院に勤務しておりましたので、会計士の継続的な学習・研修を確実に受講していただくということは、とても必要なことだと認識しています。けれども、会計専門職大学院の人気が続かなかったのも、当初、理念はよかったのですけれども、そもそも、公認会計士の人たちが忙し過ぎて通えなかったからという側面は否定できません。公認会計士の方々にはファイナンス的な知識も必要なのですけれども、なかなかそこまで時間が割けないというのは、今でも継続して現実的な課題としてあるかと思います。その研修のための時間確保をサポートする仕組みということについても、処分だけではなく考えていただきたいと思いました。
     
     3点目、今の論点6に関係しまして、教育に関係するのですけれども、マクロ経済的な視点から考えますと、中小の監査法人が増加するというのは、大手4社の寡占状態を緩和するという点でもよいことだと考えられます。中小の監査法人を利用することで、適度な競争環境が生まれるというのは、よいはずであろうと思いました。ただ、今後の展開としましては、グローバルな大企業の監査は大手監査法人が担うという、それ以外のところは中小が担うというそういうすみ分けのようなイメージが一部考えられるのではないかと思うのですけれども、グローバルな大企業じゃなくても、製造業でもサービス業でも、今や海外進出していますので、海外拠点や海外子会社を抱えている、そういう状況で、そこに中小の監査法人が関わることで直面する問題などもあるはずですので、教育に関連しまして、学ぶ機会、中小監査法人の信頼性を向上するような教育制度なども、今後は考えていくことになるのであろうと思います。先ほど、もう私は大分後ろのほうで発言をしておりますので、柳澤委員の御発言でも、中小監査法人の育成策・支援策が必要だとお話しなさっておられましたし、長嶋委員からも中小のサポートということをお話がありました。そうした御意見に賛同いたします。

     以上になります。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に堀江委員、どうぞお願いいたします。
     
    ○堀江臨時委員
     御指名ありがとうございました。

     制度対応についての基本的なアプローチについて、考えを述べさせていただきたいと思います。
     
     事前的な対応とか事前的な措置ということにつきましては、確かに上場会社の監査を想定したときに、社会的な影響の大きさという観点から考えても、一定の縛りというのは必要だと思うのですけれども、手足を縛るようながちがちな規制をやってしまいますと、監査事務所の規模を問わず、現場への負担がものすごく大きくなる。それと、やはり日本人的な気質と言っていいのでしょうか、とにかくルールに合わせようという、こういう形式的な準拠性が優先されてしまう。ここを非常に心配しております。そういったようなことのないような対応、対策が必要ではないかと考えております。そういう意味で、先ほど神作委員から、ハードロー型の規制とソフトロー型の規制とのベストミックスが必要だという御発言がございましたが、確かにそのとおりでありまして、事後的な、要するに事故が起こったときに法で厳格に対応するといったような規制のほうが我が国に合っているような、そういった印象を持っております。
     
     それともう1点、この点に関して、事前的な規制という観点を考えたときに、やはり開示だと思うのです。それで、今、問題になっております上場会社の監査事務所登録制度でございますけれども、私は上場会社から選んでもらえる、会社から選んでもらえる、そういう努力とか環境整備というのがすごく大事だと思います。今般改訂されました監査に関する品質管理基準におきましても、受け止め方として規制強化だというふうに多く受け止められているようでございますが、私は、監査事務所の品質を継続的に改善していく、そして、その品質あるいは品質管理の状況について、適切な開示を、自主的な開示をしていくのだという、ここがポイントになってくるのではないかと思います。最近の有価証券報告書等の法定開示におきましても、リスク情報等の開示でも、アップサイドリスクもどんどん開示するように、いろんな工夫がなされている。そういった工夫を促すことが有効な自主規制となり、適切な競争を促すことになるのではないかと考えております。
     
     なお、3点目以降の論点につきましては、基本的には、これまで御議論いただいたとおりの形で私は賛成ですけれども、次回以降、もし細かい点について発言が許されれば、そこで発言をさせていただきたいと思います。
     
     本日は大きな方向性について、決して規制が不要だということを言うつもりは全くございませんけれども、その規制の在り方については慎重な対応が必要ではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。
     
     以上でございます。発言を許していただきありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     本日は初回ということではございましたけれども、委員、臨時委員、専門委員の皆様方全員から大変貴重な御指摘をたくさんいただきまして、ありがとうございました。

     それでは、日本公認会計士協会の手塚会長どうぞお願いいたします。
     
    ○手塚専門委員
     時間のないところありがとうございます。2つだけ、1分ほどで発言します。

     挽委員はじめ、何人かの方から、実務補習やCPEの在り方について、貴重な意見をいただきました。我々としては、試験制度、実務補習、CPEを一体として考えてよりよくしていく必要があると思いますので、この辺りはまた、次回、時間があればお話しさせてください。
     
     最後にもう一つだけ、今日の6つの論点とは異なるもう一つ、我々が法改正をお願いしていることがあります。それは、会計基礎教育という日本公認会計士協会の事業を、公認会計士法上に規定していただきたいということでございます。これも論点に落ちるといけないので最後に発言させていただきました。次回時間があれば、御説明をさせてください。
     
     以上でございます。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。

     ほかに追加で、御発言等ございますでしょうか。事務局の廣川課長にお伺いしたいのですけれども、おおむね6つの論点についての御意見は、もちろん時間の制約の中でということですがいただけたようには思いますし、今、手塚会長からは7つ目の論点というのも示していただいたわけですけれども、今日残りの時間で、もう少し意見を聞いておいたほうがいいという点等ございますでしょうか。
     
    ○廣川企業開示課長
     いえ、特に本日はございません。ありがとうございます。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございます。

     基本的なところというのは1つ目と2つ目でしょうし、3つ目以降の論点は、確かに一つ一つは各論ということなのかもしれませんけれども、基本的な考え方に基づく各論という、そういう整理がきちんとされるべきだという御指摘をいただきまして、大変有益な御指摘であったように思います。
     
     そろそろ時間ですので、今日はこの辺りとさせていただいてもと思いますけれども、もしどうしてもということがございましたら、御発言を承ります。幹事やオブザーバーの方々を含めまして、もし御発言があればお伺いしますが、いかがでしょうか。
     
     特に、よろしゅうございますでしょうか。それでは、繰り返しになりますけれども、第1回というか実質、再開後第1回にもかかわらず、非常に多数の貴重な御意見を、また活発で前向きな御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日は以上とさせていただきたいと思います。
     
     なお、時間の制約もございますので、後でお気づきの点等がございましたら、どうか、メールとか電話等で事務局までお知らせいただければと存じます。本日いただきました御意見を事務局のほうで整理していただき、次の会合でさらに議論を深めていただくということになると思います。
     
     それでは、最後に事務局から連絡等ございましたらお願いいたします。
     
    ○廣川企業開示課長
     ありがとうございます。

     次回の日程等につきましては、皆様の御都合も踏まえまして、事務局より別途御案内をさせていただきます。
     
     事務局からは以上でございます。ありがとうございました。
     
    ○神田部会長
     どうもありがとうございました。
     
     それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。長時間にわたり熱心に御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
     

    以上

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企画市場局企業開示課(内線3810)

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