金融審議会「公認会計士制度部会」(第8回)議事要旨

1. 日時:

平成18年7月10日(月曜日)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • 4大監査法人の監査の品質管理等について
  • カネボウに係る監査について

4. 議事内容:

○ 4大監査法人の監査の品質管理等について

  • 公認会計士・監査審査会より説明

○ カネボウに係る監査について

  • 事務局より説明
  • 中央青山監査法人 片山理事長より説明

主な意見等は以下のとおり

  • 公認会計士・監査審査会(以下、「審査会」)による4大監査法人に対する措置は、我が国の資本市場の信頼性を高めていく上で必要。監査法人は、検査結果を真摯に受け止め、監査の品質向上に最大限の努力を払ってもらいたい。
  • 4大監査法人に対する検査の結果、その全ての監査法人で基本的なことができていない部分があったということは深刻な問題。
  • 日本公認会計士協会(以下、「協会」)としては、検査結果を真摯に受け止め、しっかり対応していきたい。今回の指摘は、監査法人の業務運営全般にわたるものが主要なものであるが、今後、新たに適用された品質管理基準等に基づき品質管理レビューを実施していく。
  • 品質管理レビューの結果、個別監査法人に対して問題指摘が行なわれても改善されていないケースがある原因を考えるべき。もしそれが摘発又は懲戒を目的としないレビューの性格にあるのであれば、その性格について考え直すことも必要なのではないか。
  • 協会としては、上場会社を監査する事務所については、品質管理レビューによる問題点の指摘を受けても改善しない場合、その旨の公表や、今後設立予定の上場会社監査事務所部会からの除名を考える等、制裁的なものを入れて強力に指導していきたい。
  • 最近、品質管理レビューを行なった監査事務所のうち、ほとんど全ての監査事務所に対して改善勧告を行ったが、小さくても改善すべき点があれば指摘したためで、すべて悪いという訳ではない。
  • 4大監査法人の検査については、各監査法人についてとられたサンプル(被監査会社)数を示していくことが考えられるのではないか。
  • 協会による品質管理レビューでは、各4大監査法人の上場被監査会社の5%、約40社をサンプルとしている。
  • 審査会は、協会の品質管理レビューを受け、各監査法人について、約30社程度ずつのサンプルを選定して検査を実施している。
  • カネボウの事案をみても、監査法人内での社員交代(ローテーション)だけで十分なのか。監査法人自体の交代が必要なのではないか。
  • 監査法人内でのローテーションだけでカネボウのような事件を完全に防止することができないので、個人の意識や法人組織としての他の方策により、歯止めをかけていかないといけないのではないか。ただし、今後、短期間のローテーションが前提となれば、それが問題発生の抑止効果を有すると考える。
  • 監査法人自体のローテーションは、非常にエネルギー、コストがかかる。客観的な監査の保持ができるとの外観性はあろうが、それ以上にデメリットの方が大きいということで、なかなかこれに踏み切れないのではないか。
  • 問題の鍵は、レビュー・パートナーであり、監査チームと同じ部門・部署等の者が審査を行なっていたのは問題ではないか。
  • 監査の効率性、競争環境等とのバランスを考えつつ、審査担当者をバックアップしつつモラール(士気)を上げ、監査法人全体の規律を高めることが必要。
  • 適正な監査が行われていたか否かをチェックするルール、仕組み・体制が欠けていたのではないか。今後、適正な監査が行なわれていたかについてのチェック体制、ルール作りはどうあるべきかについて検討することも重要。
  • カネボウ事件について、当初、関与会計士が不適切との意見を言おうとしても通らなかったようだが、潜在的に同様の事例があるとすれば、意見提出のルート整備、ルール作りについても検討を尽くす必要がある。
  • 現在の審査の仕組みが「同僚相互審査方式」との指摘があるが、これは世界基準。この仕組み自体よりは、運用に問題があったと考える。全てのものについて重層的に上級審査にかけるのは時間・コストがかかり、制度として成り立たない。
  • 監査法人内の部門単位での社員の報酬・評価のシステムに問題があり、この中で明確にローテーションが行なわれれば、実質的な監査人の独立性確保に資すると考える。
  • 監査法人内では、品質管理システム全体の監視を行い、監査リスクの高い会社をチェックしており、また、協会の品質管理レビューでも、それなりに問題点を指摘してきている。今後、審査体制の不十分な点は相当直されていくのではないか。
  • 品質管理水準の向上にあたっては、監査コストが増加しないように、監査効率の向上と両立させるべき。
  • 現行の公認会計士試験について、知識偏重型ではなく、精神的な部分、監査判断といった監査人の資質等についても出題範囲に加えるべきではないか。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課(内線2765)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る