金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第7回)議事録

平成28年10月19日

【神田座長】

おはようございます。それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。市場ワーキング・グループの第7回目の会合を開催いたします。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

本日でございますけれども、取引の高速化というテーマについての2回目のご議論をお願いしたいと思います。

まず初めに、本日の会合に参考人としてご参加いただく方を事務局からご紹介させていただきます。お願いします。

【齋藤市場課長】

私のほうからご紹介させていただきます。本日参考人として3名の方にお越しをいただいております。委員の皆様よりご覧になって、事務局の右側にお座りになっていただいております。

まず、インダス・キャピタル・アドバイザーズ・インク代表のハワード・スミス様でいらっしゃいます。

そのお隣、フューチャーズ・インダストリー・アソシエーション・ジャパン(FIAジャパン)より、プレジデント-CEO、マイケル・ロス様でいらっしゃいます。

バイスプレジデントのリチャード・クレアモント様でいらっしゃいます。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。お忙しいところ今日はどうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

それでは、早速ですが議事に移らせていただきます。

本日は、今ご紹介いただきました、参考人としてご出席いただいております、ハワード・スミス様より、中長期的な視点から投資を行っている方々から見た日本市場の現状、あるいは、その中における高速取引の影響について、お手元に配付しております資料1に沿ってご見解を述べていただきます。

続きまして、FIAジャパンにおいて、本日のテーマでもあります取引の高速化の問題に対する、いわゆるHFT業者の見解が取りまとめられたということでございますので、マイケル・ロス様とリチャード・クレアモント様からその内容について資料2に沿ってご説明をいただく予定でございます。その後で、これらについて一括して質疑を行いたいと思います。

それが済みましたら、参考人の皆様方にはご退席をいただいて、事務局から資料3の討議資料についての説明をし、討議を行うということにさせていただきたいと思います。

それでは、早速でございますけれども、まず、参考人のハワード・スミス様、よろしくお願いいたします。

【スミス参考人】

皆様、おはようございます。本日はお招きいただきまして誠にありがとうございます。よろしくお願いします。

簡単に自己紹介をさせていただきたいと思いますけれども、私は、日本株の株式ファンドのアクティブ運用をやっている人間でございまして、ファンドの本拠点というのはアメリカ、ニューヨークにありまして、日本株の運用額というのは約3,000億円になっております。投資家のほとんどは米国の、例えば、教育財団だったり、年金ファンドだったり、8割程度はアメリカにいらっしゃる投資家でございます。

どういうような仕事をやっているかといいますと、基本的にはボトムアップ的な分析に基づいて株式の運用をやらせていただいております。上場している企業を訪問したり、業績の見通しをつくったり、バリュエーション、いわゆる株価評価について一生懸命考えたり、銘柄の選択をやらせていただいております。

この1年半か2年ぐらいですかね、私どもの今までの仕事のやり方というのが極めて難しくなっているというふうに強く感じております。今まで持ってきた道具といいますか、それがもう本当にいろいろな意味で機能しなくなってしまっているところがありまして、ちょっと困っている状況でございます。

今日は、簡単に幾つかのチャートを準備してきました。1枚目の簡単な分析なのですけれども、私どもは基本的にはバリュー投資家といいまして、安い銘柄を買って高い銘柄を売るというのが基本的なスタンスでございますので、安い銘柄を買えば上がるであろう、高い銘柄を売れば下がるであろうというのは基本的な立場でございます。

去年の後半から、濃い青い線なのですけれども、Valueというファクターが非常にアンダーパフォームし始めているということで、安い銘柄がますます安くなってしまっています。今まで見たことのないぐらい安い株価評価で取引されていると。特に金融株とか、外需株、特に海外で稼げる銘柄というのは非常にアンダーパフォームしているということで、今までそれが15倍ぐらいのPERで評価された銘柄が、突然9倍とか8倍とか、今まで見たことのないぐらいの安さで売買されています。

正直に言いますと、これはHFTによる影響なのか、別の意味のクオンツ・ファンドによる影響なのか、ETFによる影響なのか、正直に言いますとわからないところがあります。我々から見えない部分がありますので。ただ、市場の構造が変わった、売買高の中身が変わったということは明らかに言えるかと思います。100%これはHFTのせいだよということを言うつもりは全くないのですが、ただ、今まで感じたことのないほどアクティブ系の影響が非常に薄くなっているというのが、現状だと思います。

それぞれのファクターの方向性だけではなくて、それぞれのファクターのでこぼこ、ボラティリティー、その標準偏差というのが極めて高くなっていると。これは2つ目のチャートなのですけれども、特に今年に入ってから、VALUEというファクターと、それから、MOMENTUMというファクター、赤い線と青い線ですが、その辺の変動が極めて激しくなってしまっていると。あるとき非常によくなっていて、その次に突然だめになってしまったり、ということで、これもやはりアクティブ投資家にとっては極めて困ることなんですよね。個別銘柄の標準偏差が極めて高くなることは、アクティブ運用のやりづらさを示すことだと思います。

3枚目のチャートは、全く同じ経過を別の形で示しているグラフなのですが、地震のように揺れが徐々に激しくなっていて、薄い灰色のところなのですけれども、マグニチュード4の地震が徐々にマグニチュード7になってしまっているようなもので、時間とともにその標準偏差が激しくなってしまっていると。Growthもそうですし、その次のチャート(4枚目)のValueもそうだと思いますので、我々みたいなアクティブ投資家にとっては、これは極めて強い向かい風だというふうに強調したいと思います。

したがいまして、市場全体の標準偏差も、ほかの先進国と比べて非常に高くなっているということも言えるかと思います。次のチャート(5枚目)ですけれども、2015年の夏ぐらいまでは、これは日経平均なのですが、標準偏差が割と落ち着いていて、ヨーロッパとアメリカと比べてそんなに激しくなかったのですけれども、この1年間ぐらいで標準偏差が高くなってきて、2月とか、6月とか、極めて高くなってしまっているということで、これもアクティブ運用のファンドにとってはかなり大変なことで、間違いなく世の中のマーケットの要因もあるかと思うのですけれども、6月にBrexitという大ショックがありまして、ある程度の標準偏差の変更というのは当たり前だと思うのですけれども、こんなに激しくなってしまっているということは、何らかの機械的な売買だというふうに理解しておりますので、もうちょっと勉強したいな、理解できたらいいなというふうに捉えております。

最後に3つの個別銘柄の紹介をさせていただいているのですけれども、1つ目は共立メンテナンスという会社(6枚目)でございまして、この会社はホテルの運営をしている会社なんですね。割と単価の安いビジネスホテル、ドーミーインというのは、皆さんもしかしたら泊まったことがあるかもしれないのですけれども、極めて安定的な業績を示している会社でございまして、徐々に業績を伸ばしているというのがこの会社の特徴なのですけれども、今年に入ってから、1万円ぐらいの株価が、今5,000円台まで下がってしまっていますので、激しく株価評価が下がってしまっていると。ほとんど一方的に下がってしまって、場合によっては若干でこぼこがあるのですけれども、これは、私どもの感じから見まして、本当に説明がつかない。業績を見て、半年、9カ月ぐらいでこの銘柄が5割近く下がるということは、あまり説明がつかない。多少ファンダメンタル的な要因、例えば、客単価の伸びが少し鈍くなっているとか、業績のモーメントが若干低下しているとか、それは言えるかと思うのですが、でも、こんなに9カ月ぐらいで45%の暴落というのはなかなか説明しにくいというふうに思います。

あと、良品計画とシオノギという銘柄の事例もあるのですけれども、良品計画(7枚目)も非常に業績を順調に伸ばしている企業でございまして、国内外において非常に成長性のある銘柄なのですけれども、突然6月から8月末において3割近く下落してしまったと。これは業績による要因ではなく、何らかの外部要因だと思うのですね。何らかのファクター・リバーサルといいますか、何らかの機械的な動きでございます。この暴落というのはほとんど8月において発生してしまっており、8月というのは日経平均もトピックスもほぼ横ばいに推移していましたので、この銘柄が1カ月間で2割近く下がったということは、何らかの機械的な売買だと。ファンダメンタル的な観点から全く説明がつかないということでございます。

最後にシオノギ(8枚目)、皆さんご存じだと思います、製薬会社でございまして、この会社も業績の標準偏差というのは極めて少なく、徐々に順調に伸ばしている企業でございますので、国内外において、為替との連動性が若干あるのですが、特にポンドですね、ですから、ポンドの下落というのは若干悪影響を与えているのですけれども、この銘柄は今年に入ってから1回4,400円ぐらいから6,300円ぐらいまで上がって、また4,500円ぐらいまで下がってしまったと。一巡してきたということで、これも4割、3割ぐらいの動きなので、ファンダメンタル的な感覚から見ますと、全く説明がつかないというふうに我々は見ております。でも、HFTのせいだよということを言っているわけではなく、ただ、市場の構造が変わりましたよと、我々みたいなアクティブ系のファンドにとっては極めてやりづらい外部環境ですよということだけを少し強調させていただきたいと思います。以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きましてお隣のFIAジャパンのマイケル・ロス様とリチャード・クレアモント様、よろしくお願いいたします。

【ロス参考人】

本日の会議にFIAJをお招きいただきましてどうもありがとうございます。フューチャーズ・インダストリー・アソシエーション、FIAジャパンは、先物業界の全セクターの会員から横断的に構成される日本唯一の団体です。FIAジャパンの会員は、先物・証券取引所、証券会社、商品取引会社、銀行、その他の市場参加者、さらに、この業界にサービスを提供するIT企業、法律事務所やその他の専門業種に及び、現在約50社の会社が会員となって参加しております。

私たちは、金融、商品市場の双方に焦点を当て、国際的な業界の国内外の発展とともに歩んでおります。

FIAのミッションとしましては、日本の金融市場の成長と成功、そして、地域及び世界的な金融センターとしての発展を促すということでございます。なので、私たちがHFT業者であるとか、HFTの代表というよりかは、先物業界の発展を担うための団体であるという形で見ていただいたほうがいいのかなと思います。

その中で、FIAジャパンにはPTSGというグループがございまして、その中でHFT業者がいろいろとお話しする場を設けております。

私はFIAJ代表理事、プレジデント-CEOのマイケル・ロスです。

私の隣におります、FIAJバイスプレジデントのリチャード・クレアモント、及び、随行席のほうにおられる代表理事の丸山純一が、本日の会議に参加させていただいております。よろしくお願いします。

お手元にあると思いますけれども、今回パブリックコメントとして提出いたしました資料は、FIAJのProprietary Trading Study Group(PTSG)によって作成されたものです。PTSGのチェアマンは私、副チェアマンをクレアモント氏が担当しております。

PTSGは2年前に発足したグループです。先物取引業界で自己勘定取引を行う会社の意見をまとめ、日本での活動を業界レベルでいかに進めていくのかを議論する場として始まりました。現在15社以上が参加しており、30名以上が活動に参加しているワーキング・グループとなります。

PTSCの基本理念としましては、Integrity、業界の健全性、いかに誠実に市場に挑み、規制当局とオープンなコミュニケーションをとっていけるか。

そして、Regulation、良い規制環境は非常に高い安定性と効率性をもたらすと考えております。市場参加者及び市場が適正な規制の中で動くことがベストだと考えております。

Transparency、透明性、市場は参加者や投資家のために高いレベルの透明性を求めていると私たちは考えております。

Stability、安定性ですね、投資家から信頼を勝ち取るには、市場が安定した信頼性、機能性が高い環境を追求することが、そういうことが大切だと思っております。

Equal access、全ての市場参加者は同レベルでのアクセスを得る資格があるべきだと考えております。

そして、Equality of information、全ての市場参加者は同じレベルの情報を得る資格があるべきだと考えております。

そして、Risk Management、リスク管理が整った環境がないと市場は正しく機能しません。

最後に、Competitionですね、トレード・サイクル全ての過程で競争が発生する環境が必要です。これが新しいチャンスを生み、市場の効率化を促すと考えております。

今回提出する資料(資料2)でのキーワードは、私たちにとってはTransparencyです。新しい規制が議論されるときに必要なことは、いかに新しい規制が透明性を維持もしくは促すかだと考えております。

では、これよりリチャードよりパブリックコメントの内容についてご説明させていただきます。その後、質問やコメントをいただければ幸いです。どうもありがとうございます。

【クレアモント参考人】

おはようございます。リチャード・クレアモントと申します。

隣のロスと比較すると日本語がちょっともの足りないのですけれども、今日はゆっくり話しながら、アルゴ取引に関して幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

まず、今話があったように、今日私がFIAJを代表する形で、FIAJのPTSGグループの幾つかのメンバーのアルゴ取引に関する意見をまとめて報告させていただきたいと思います。

今日のパブリックコメントのペーパー(資料2)に情報、内容、詳細はたくさんあるのですけれども、今日伝えたいと思っているメッセージは、PTSGグループは、日本でアルゴ取引に関するPrudent Regulation、賢明な規制をサポートするというのが中心的なポイントになります。

このグループは、マーケットと共通する目的を幾つか持っていると思います。それは、例えば、日本の市場がこれからも成長することが1つ、それから、日本の金融市場が健全である、公平である、安全であることを目的として考えております。

それから、このマーケットがこれからも成長しながら、健全に安全に成長するために、Prudentな規制が必要だと思っております。

Prudent Regulationという言葉を使っているのですけれども、アルゴ取引に関するPrudentな規制を考えたときに、幾つかの重要なファクターがあるかと思います。まずは、この規制が何をするかというと、マーケットの悪用を防ぐことが1つです。それから、この規制の目的のもう1つは、テクノロジー、技術的な問題による市場混乱を防ぐことです。

この規制の話をさすがに二、三分で完全に話すことはもちろんできるわけではないのですけれども、先ほどロスの話にあったように、アルゴ取引に関する規制の話をするときに、おそらく3つの重要なファクターがあるかと思います。

それは何かというと、まずは、マーケットでトレードしている市場参加者の認識、Recognitionが1つ。それから、透明性、Transparency。最後に、Risk Controlsが重要です。

このRecognitionという言葉なのですけれども、これは市場参加者を当局が認識できるようなストラクチャーが必要だという意味で言っています。「simplified registration」というふうにこのパブリックコメント(資料2)には書いてあるのですけれども、要は、当局がどの会社が日本でアルゴ・トレーディングをやっているということを把握するというのが重要です。

それから、透明性の話をすると、例えば、アルゴがマーケットに注文を出すときに、その注文にユニークなIDコードがついていて、そのIDコードがついていることによってどの会社がどのアルゴで注文を出しているということが把握できることがポイントです。

それから、Risk Controlsは幅広いのですけれども、pre-trade risk controls、注文がマーケットに到着する前にチェックをする、例えば、その注文の金額の大きさが制限を超えているかどうかというのを、注文がマーケットに到着する前の段階でチェックするということです。

Risk Controlsの話をすると、post-trade risk controlsの話もあります。例えば、ブローカーのほうで、お客さんの今現在のトータルのポジションをモニタリングするというのがpost-trade risk controlsの1つになります。

それから、Risk Controlsに関して、もう1つ申し上げたい重要なこととしては、とにかく全ての電子取引がRisk Controlsでカバーされないといけないということです。どんな会社がアルゴを使っていて、どんなエンティティーがマーケットに取引、注文を出しているかにかかわらず、とにかく全ての電子取引がRisk Controlsでカバーされなければならないというのが1つの重要なポイントです。

ですから、繰り返しになりますけれども、アルゴ取引の規制を考えたときに、次の3つが重要です。市場の参加者が認識されること(Recognition)、透明性(Transparency)、それから、Risk Controlsです。

パブリックコメント(資料2)をご覧いただきますと、3ページにAlgorithmic Tradingというところがあるのですけれども、これに関してちょっと幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

このAlgorithmic Tradingという言葉が既に何回も出ているのですけれども、まずは、Algorithmic Tradingの話をすると、実は私のキャリアがほぼ20年前にゴールドマン・サックスで始まって、私は当時はソフトの開発をやっていたのです。まさに取引システムを当時作っていました。当時はトレーディング・フロアに行くと、既にアルゴリズム・プログラム・トレーディングが使われていたのです。株もそうだし、デリバティブも当然、20年前の段階でもAlgorithmic Tradingがマーケットで使われていたのですけれども、その中で、当然人間がこのプログラム・トレーディングを使っていたというのがポイントですね。ですから、今2016年に、アルゴ・トレーディングが何か新しいことと言われると、そうでもないのです。

それから、テクノロジーが進んでくると、20年経って、10年経って、テクノロジーが進んでくると何が変わっていくかというと、やはりhigh frequency tradingが世の中には出てきています。テクノロジーがこんなに進んできて、今のアルゴが高速、ハイスピードで行われるのですけれども、1つここで言いたいことは、やはり人間がこのプロセスには関わっていると。例えば、そもそものトレーディングのコンセプトを考える、マーケットデータを分析する、アルゴをテストする、それで、アルゴを実施すること、アルゴが実施されている間にモニタリングをするというところで、人間がまだ当然関わっているということが1つのポイントです。

今HFTという言葉のほうがよく使われていると思うのですけれども、HFTの戦略を考えると、HFTを使って何をやっているかというと、幾つかあるのですけれども、やはり中心的なところとしては、マーケットメイキングと裁定取引ですね。これによって、実はマーケットにいろいろなベネフィットがもたらされたと。このベネフィットは個人投資家でも、機関投資家から見ても、生じているかとは思います。まずは、流動性が高まっている、それから、スプレッドが縮まっている、それから、transaction cost、取引のコストが下がっているというのが、HFTによる幾つかのベネフィットになっているかとは思います。

ただし、HFTが確かにいろいろなベネフィットをもたらしているのですけれども、HFTが世の中に出てきたことによって、この業界のリスク管理のやり方も変わってきていると思います。もう少し正しい言い方を使うと、業界がどういうふうにRisk Controlsするかを考え直さないといけないという意見があるかと思います。

だからこそ、FIAJのPTSGのメンバーがマーケットにPrudent Regulation、賢明な規制を導入することに対しては非常にサポートしているということを今日発言したいと思います。

次に、4ページを見ていただければ、ちょっとこのPTSGからのコメントがあるのですけれども、Risk Controls、Transparency、Recognitionに関してコメントがここに書いてあるのですけれども、これに関してもちょっと幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

まずは、Risk Controlsですね。ここでまずポイントとして言いたいのが、このPTSGのメンバーの会社が、みんながまずグローバルな会社でありまして、みんなが大体メジャーなマーケット、世界中の金融市場で取引をやっている会社になります。この会社がRisk Controls、よく設計されたRisk Controlsを今現在使っているということがポイントです。当然こういった会社、HFTの会社にとって効果的なリスク管理、よく設計されたRisk Controlsがビジネスにとっては非常に重要です。

それから、Risk Controlsに関して、もう1つ重要なポイントとしては、Risk Controlsがもちろんないといけないというのがあるのですけれども、このPTSGのメンバーであるHFTの会社から見ると、このRisk Controlsが市場参加者全ての責任というのでしょうか、義務にもなります。要は、当然トレーディング・カンパニー、HFT会社自体がRisk Controlsをimplementしないといけない。それから、ブローカーもRisk Controlsをちゃんとやっていないといけない。それから取引所のほうでもRisk Controlsをきちんとやらないといけないというのがポイントです。

あと、このRisk Controlsについて、4ページに2つ具体例があるのですけれども、アメリカとヨーロッパで実際にRisk Controlsのプログラムがもう導入されていて、という具体例があります。こういうプログラムが何をカバーするかというと、先ほど申し上げたように、pre-trade risk controlsとか、post-trade risk controlsというのが入っているのですけれども、それ以外にも、例えば、既にマーケットに注文が行っていて、何か問題があったときにその注文を取り消すことができる技術がこのプログラムには入っています。それから、アルゴがうまく機能しなくなってきたら、緊急措置と言うのですけれども、アルゴをカットして、もうそれ以上注文を出せないようにさせることが1つのRisk Controlsになります。

それから、このプログラムの中には当然システムのテスティングとか、モニタリングのスタンダードが入っております。

日本でもこういった規制が入るというのは非常にサポートします。またここで強調することというのが、このRisk Controlsの規制が入るときに、それが柔軟に入るというのが1つ。

ただ、もう1つ、これも繰り返しになってしまうのですけれども、非常に重要なことというのが、Risk Controlsの規制が入ると、マーケットの全ての電子取引がそのRisk Controlsでカバーされないといけないというのが非常に重要なポイントです。

次に、透明性の話ですけれども、まだ4ページにありますが、これは、ポイントとしては、FIAJ、PTSGのメンバー会社としては、当局がマーケットを効果的に監視しないといけないというのが当然なことだと思います。当局がAlgorithmic Tradingをどういうふうにうまく監視するかというと、アルゴが注文を出すときに、その注文の情報に、ユニークなIDがついているということが1つの具体例になります。そうすると、何か問題があったときに、この注文がどこの会社が出している、さらに、どの会社だけじゃなくて、その会社のどのアルゴリズムが出しているということが後から調べることができますので、こういった情報が非常に重要だと思います。これが1つの具体例になるのですけれども、透明性が非常に重要だということがポイントです。

最後に4ページのRecognitionというところがあるのですけれども、先ほど話にあったように、当局がどの会社が何をやっているかというのをやはり把握しないといけないので、FIAJのPTSGのスタンスとしては、日本でこういうlight registrationが必要だと思います。例えば、Algorithmic Tradingを使っている会社がそれをちゃんと当局に報告すること、当局から見て、この会社はどこにあるか、住所は何か、その会社の社長は誰か、要は、当局が直接その会社に関する情報を持っていることがポイントであって、「simplified registration」というふうに書いてあるのですけれども、これが1つのサポートするところになります。

最後ですけれども、5ページです。Moving Forwardというのが書いてありますが、ここに書いてあるのが、FIAJのPTSGグループが、これから金融庁さんが新しい規制をデザインするプロセスには当然何かサポートできればサポートしたいと思うということです。世界中に幾つかのAlgorithmic Tradingに関する規制のモデルがあって、そういったモデルが参考になるのではないかと思います。その既にあるモデルの一部は、もしかすると日本のマーケットには適さないかもしれない。例えば、registrationすることは非常にサポートしますが、例えば、日本でオフィスを置かないといけないとかということになってくると、そこまでの必要はないのではないかとは思います。なので、世界中のAlgorithmic Tradingの規制のモデルがあるのですけれども、その中の一部は、もしかすると日本では必要ないのではないかとは思います。

ただ、メインポイントとしては、賢明な規制が必要だと思いますので、それをサポートするということです。

以上です。

【ロス参考人】

FIAJからの発言をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、今いただきましたお話について、質疑の時間をとりたいと思います。

どなたからでもご質問等ございましたらお願いします。

大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。インダス・キャピタルさん、FIAJ、いずれにも質問したいのですが、まず、インダス・キャピタルさんのお話、ちょっと意外に思ったのは、長期にファンダメンタルで投資をされるというふうに前から存じ上げていましたので、もっと長い、10年ぐらいのお話をされるのかなと思ったら、去年と今年の違いということだったので、ちょっと意外に思いました。それで、今年に入ってボラティリティーが大きくなっているとか、ファンダメンタルでは説明しがたいような動きが増えているということで、もしかするとそこに、いわゆる自動取引が何らかの影響を及ぼしているかもしれないということを強く示唆されるお話だったと思うのですが、仮にそういった自動取引がこういうことを引き起こすのだとすると、それはどういうメカニズムによって起きると考えておられるのかという、その仮説がもしあれば教えていただきたいというのと、日本で自動取引が盛んになったのは多分2011年とか12年くらいからですから、もう随分長いわけで、なぜ今年になって急にその影響が出たと考えるのかという、その2点が質問であります。

それから、FIAJの方にお伺いしたいのは、具体的な規制の内容について少し触れていただいたのですが、例えば、誰であるかについて、Recognitionを求めるのは、それはいいことだというお話があったのですが、例えば、どの会社がということだけではなくて、その会社の株主がどういう人かとか、その会社の財務状態がどういうふうになっているかとか、そういったことも詳しく届け出てもらうとか、あるいは、それについて一定の基準をつくるというような内容に踏み込むことについてどう思われるかというのと、それから、もう1つは、アルゴリズムといったときに、いろいろなストラテジーがあるというお話ありましたけれども、そのどういうストラテジーをとるのかということについて、どこまで詳しく当局として把握すべきだと思われるかという、その2点について意見があればお願いしたい。

以上です。

【神田座長】

それでは、スミスさんからどうぞ。

【スミス参考人】

ありがとうございます。

まず、長期と短期の話になりまして、おっしゃるように、間違いなく、私どもみたいなアクティブ系のファンドというのは長期の観点から分析をやっておりまして、長期保有を基本として運用をやらせていただいています。それは間違いないのですけれども、ただ、このファクターの標準偏差、ボラティリティーが高まることによりまして、当然ながら月ごとのパフォーマンスが変わったりとか、四半期ごとのパフォーマンスが変わったりとか、当然ながら私どもの投資家、お客さんからの質問に圧倒されるんですよね。何でこんなにだめなのかとか。

残念ながら、これは世の中の現状だと思うのですけれども、私どものような長期保有を目指しているファンドでも、客の目線が少し変わりつつありまして、より短期的なパフォーマンスを意識し始めているということですから、言いかえれば、仕事が非常に増えるということで、客との対応が非常にやりづらくなっているというのが現状だと思います。

アクティブとパッシブの割合というのは、おっしゃるように、この1年間、2年間だけではなく、数年前から変わっているかと思うのですけれども、昨日のウォールストリートジャーナルに、アクティブ運用の死についての記事がありまして、これからはパッシブの時代だよ、もうアクティブ運用は死にますよ、みたいな記事がありまして、ちょっと気分がダウンしてしまったのですけれども、ただ、はっきり肌で感じているのは、この1年間ぐらいかなというふうに思っております。特に去年の夏からですね、我々が今まで使ってきた道具が本当に機能しなくなってしまっている。最初に出したグラフ(資料1の1枚目)の去年の後半からかなというふうに思っています。特にこのMomentumとValueの差が明らかに開いてしまっていますので、肌感覚ではやはりこの1年間ぐらいでかなり変わっているというふうに思っています。

当然私どもの観点から見まして、よくわからない部分があるのですけれども、やはりほかの投資家さんの取引というのは見えない中で、一体何なのかというのは私どもも本当に教えてもらいたいぐらいに思っているのですけれども、私どもみたいなファンドだけではなくて、米系の大手投資顧問会社とか運用会社とかの力も明らかに減っている中で、機械、HFTなのか、もうちょっと長いスパンのクオンツのものなのか、当然ETFの影響もあると思いますよ、GPIFと日銀がかなりETFの購入を増やしていますので、要するに、アクティブでない部分、それは必ずしもHFTではないと思うんですよ。ただ、見えないので、アクティブでない部分が非常に影響力をなしている中で、我々が今まで持っていた道具が機能しなくなっているという肌感覚は非常に強いというふうに思っています。それ以上なかなか言えないのですけれども、それははっきり感じております。

【神田座長】

ありがとうございました。

それでは、ロスさん、どうぞ。

【ロス参考人】

2つ質問があったと思います。1つ目のほうを私のほう、2つ目をリチャードのほうで回答します。

市場参加者の情報を金融庁にお渡しするという形の質問だと思うのですけれども、私どもとしては、それは賛同します。基本的には今業界の中ではパブリックKYCとか、プライベートKYC、Know Your Customerですね、という形で、口座開設もしくは口座を維持するという形で、証券会社様のほうにいろいろな情報を常に提示しないといけないということになっております。多分その中で、オーナーシップの何%をこの方が持っていますとか、ファイナンシャル・ステートメントを出すとか、どんな親会社がありますかとか、そういった情報をきちんと出す必要があると思います。また、どういった人が理事に入っているか、そういった情報を出す必要があると思います。

問題性なのは、それにムラがあるというところ。ある証券会社に行くと口座が開設・維持できて、別のある証券会社に行くとそれができないというところがあって、あまりよくない参加者がそういったところを探して取引をするというのが一番の問題であると思います。その中で、金融庁のほうから一定のレベルの情報をきちんと集めて、こういった人たちなら参加してもいいですよというスタンダードをつくるというのは、業界として非常にいいことだと思います。

実際私もベンダーとして、ある証券会社にお客さんを紹介すると口座が開設できない、ほかのところに行くと簡単に、もう翌日に開設できたという経緯なども見てきています。実際にそのお客様は後日大きな問題を起こしたというのも経験しています。なので、そういったところで、やはりきちんとした情報を集めるというところが、そのスタンダードを持たせるというところで非常に重要なポイントかなと思います。

【クレアモント参考人】

2番目のご質問としては、どこまで戦略を提示させるかということだと思うのですけれども、これは難しい質問です。非常に気をつけてお話ししたいと思っているのですが、なぜ難しい質問かというと、当然FIAJのPTSGのメンバーカンパニーとこの話はしているのですけれども、これまで、戦略はどこまで正確に把握させるべきかという議論はまだ終わっていないというのが事実です。ですから、メンバーカンパニーがまだそこまで決めていないのに、私がここで勝手にいろいろなことを言うのは難しいということです。

ただ、例えば、MiFIDIIを見ますと、今ヨーロッパのほうでは結局戦略まで把握させるべきということになっていて、非常に合理的だと思います。ですから、多分日本でも同じように、戦略に関するディスクリプションをdiscloseするということは、非常にreasonableなことと思います。ただ、具体的に戦略の話になってくると、マーケットメイキングの場合はどちらかというと説明、discloseするのが簡単です。アービトラージのほうになってくると、どういうふうにそれをdescribeするかという問題になってくると。例えば、あるHFTに、20戦略がありました、戦略1が、例えば、日経225先物対ETFの裁定戦略であるとか、ということはできると思います。ですから、どこまで細かくするかというのは決まっていないのですけれども、コンセプト的にはこれは合理的だと思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、宮本委員、濱口委員、林田委員の順で、続けてご発言いただいて、その後で適宜お答えいただければと思います。

宮本委員、どうぞ。

【宮本委員】

それでは、インダス・キャピタルのスミスさんに、これは質問であります。今ご説明ありましたように、ボラティリティーが上がっているということなのですけれども、恐らくインダス・キャピタルさんは世界中に投資をされているので、いろいろな確認、チェックをされていると思うのですけれども、日本以外でも、アルゴリズム高速取引があり、ETFがあるのですけれども、ボラティリティーの観点、あるいは、言われたような説明がつかない動きの観点からいって、日本はそれ以外の主要マーケットと比べてどうなのかというところをお聞きしたいのでお願いします。

【神田座長】

続けて濱口委員、どうぞ。

【濱口委員】

宮本さんと同じで、ファクターの投資というのはもう世界中で、世界中の年金がやっていて、すごくはやっているので、こういうValueのアンダーパフォームの悪影響というのはもうみんな世界中で話していますから、それと、そのアクティブ運用の不調というのは我々も何十社も欧米の運用会社を使っていますけれども、総じて、特にアメリカは不調ですね。日本だけ、日本のファンドマネジャーだけが不調ということでもないように思いますし、あと、日本株のボラティリティーが高いというのも、これは昔から同じですので、何が今日本で特別に特有なのかというのを聞きたいということです。あと、FIAJの方に、先ほどの話で、ヨーロッパではこのESMAですか、それと、アメリカではSECはそのPrudent Regulationを持っていて、そのコントロールでそれを使っていると。日本にはそれと同等のルールはないのですかね。ということになると、欧米でそういうルールがあって、どういう問題が未然に発見されて、もしくは、事後的にそのルールを使ってわかって、具体的にリスクというのはどういうものなのかというのはいまひとつまだわかっていないので、それと、逆に言うと、日本にその同等のルールがないのであれば、欧米でのトレードの仕方と日本マーケットでのトレードの仕方というのはどういうふうに違っているのか、将来そのリスクにつながるような日本特有の、日本株で特有のトレードの仕方というのはあるのかを聞きたいです。

【神田座長】

ありがとうございました。

林田委員、どうぞ。

【林田委員】

私はFIAJの方々にご質問したいのですけれども、ご説明の中で、賢明なレギュレーションは必要というお話があったのですが、今後日本で登録制とか、届出制とか、そういった何がしかの規制が入った場合に、多分これぐらいの人的な人材を確保してくださいとか、国内拠点を設けてくださいとか、いろいろな条件が課せられると思うんですけれども、そうした条件が課せられた場合に、現に日本で高速取引をやっている事業者が対応できるものなのか、それを排除することにつながるようなこともあり得るのかどうか、そのあたりのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

【神田座長】

ありがとうございました。

それでは、スミスさんからどうぞ。

【スミス参考人】

ありがとうございます。

まず、日本とほかの市場の比較なのですけれども、私どもはアジアに特化しているファンドでございまして、あまりヨーロッパとかアメリカとかの投資を実はしていないのですけれども、はっきり言えますのは、ほかのアジアの市場、例えば、香港とか、オーストラリアとか、インドとか、あと、中国本体とかでは、同じような現象があまり発生していないような気がします。

なぜかといいますと、多分これは先進国と発展途上国の違いだと思うのです。日本は先進国でありまして、株式相場の流動性が非常に高くて、外資資本に対する規制があまりないので、資本家は簡単に入ったり出たりできる市場なので、ちょっとほかのアジアの市場とは比べてはいけない部分があるかと思うのですが、おっしゃるように、ヨーロッパ、特にアメリカにおいては、全く同じような現象が起きているかと思うのです。アクティブ運用の後退とともに、パッシブ系、アクティブでないところの伸びが明らかになっていますが、今日は米国のチャートを持ってこなかったのですけれども、ただ、この標準偏差の上昇、(資料1の)2つ目のチャート、このボラティリティーの上昇というのは、日本は特に激しいと思います。アメリカはこんなに上がっていることはないと思うのですが、次回アメリカのチャートをぜひ持ってきたいと思いますけれども、特に日本ではこの現象が非常に激しくなってしまっているということは言えるかと思います。ほかの先進国と比べて。

これがなぜなのかというと、いろいろ想像はつくのですが、残念ながら今日本の市場からアクティブ系の資本がもう出てしまった。特に外資系のファンドの資本がかなり急ピッチで出てしまっていると。これはアベノミクスに対する失望感、残念ながら、今日本の市場のレピュテーションというか、評判というのはあまりよくなくて、外資系ファンドがかなり急ピッチで株を売ってしまっている。特に従来型のアクティブ系の投資家さんというのは、ほかの市場に資本をシフトしてしまっている。それにしたがって、アクティブでないところの影響力がかなり明確になってしまっているという現象なのかなというのは、これはまた肌感覚なのですけれども。またアクティブ系のお金が入ってくれば、少しこの機械的な影響が緩和されると思うのですけれども、今はアクティブ系の外資系ファンドがかなり売っていて、残っているお金というのはその機械的な部分で、それで影響力がかなり増しているような気がいたします。

以上でございます。

【神田座長】

ありがとうございました。

ロスさんとクレアモントさん、どうぞ。

【ロス参考人】

大きく2つ質問があったと思いますので、答えさせていただきます。

1つ目の規制の違いというところ、日本に必要な規制、そして、海外の規制との違いというところです。1つはやはりマーケットのストラクチャーが違うというところ、日本は非常にJPXさんに株の取引が集中している、PTSの存在というのがあまり大きくないという環境で動いていますと。アメリカに来ますと、株の取引ができるところがもう何十カ所もあるという形ですので、やはりそういうマーケットのストラクチャーによって、その規制の出てくる場所、考え方の違いとかというのがあるのかなと思います。特にSECの考え方と、日本の金融庁の考え方というのは非常に違う観点から見ていくところがあるのかなとは思います。

そういった点では、100%海外の規制を日本に導入するというのは非常に矛盾があると思います。とはいえ、海外の規制から学ぶこともたくさんいいことがあるのかなと思います。

2つ目のところで、日本国内に人材を置くとかというところ、レギュレーションの登録の中でそういったものをつけ加える必要があるかというところなのですけれども、既に、基本的には海外の投資家の方々はシンガポール、ロンドン、ニューヨークという、3つの大きなタイムゾーンに基づいてオペレーションを行っているというのが今の大体の現状かと思います。

その中で、アジアの中の同じタイムゾーンの中でもう1つの拠点を置きましょうというのは非常にコストがかかるところであります。今の金融業界の中では非常に利益が薄い環境で皆さん動いておられます。その中で、日本だけにこういったコストをかけるというのは、非常に拒否感があるところかと思いますので、日本のビジネスの発展、マーケットの発展にとってそれが本当にメリットのあることなのかなというのは疑問があります。

大体大手のところについては、他のマーケットでちゃんと登録をされているとか、認識されているという参加メンバーの方々が多いと思いますので、そういったところを活用していくというところが多分メリットになるかなと思います。やはり日本に外国人のスタッフを置くとなると、家族を置かないといけない、そのコスト、そして、日本語対応とかというところで、非常に大きなコストがかかってきます。非常に難しい課題をその市場参加者に課すという形なのかなと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

時間の関係もございますので、まだご質問もあろうかと思いますけれども、必要に応じてまた事後に出していただいて、お伝えして、ご意見等を承れればと思います。今日は先に進ませていただきたいと思います。

それでは、スミスさん、ロスさん、そして、クレアモントさん、大変お忙しい中を貴重なお話をいただきまして、どうもありがとうございました。また引き続きいろいろお伺いすることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(参考人 退席)

【神田座長】

それでは、次へ進ませていただきます。

お手元の資料3の討議資料について、事務局からご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【齋藤市場課長】

それでは、お手元の資料3に沿って、私のほうから説明をさせていただきます。「取引の高速化」に関する論点の討議資料についてでございます。

まず1.アルゴリズムを用いた高速な取引を巡る状況、本来であれば全部読み上げたほうがよろしいかと思いますが、時間の関係もあるので、かいつまんでご説明をさせていただきます。

最初の段落でございますが、情報通信技術の進展等を踏まえ、各国の取引所では取引速度の高速化が進み、2010年1月、我が国でも東証のアローヘッド導入以降、注文処理時間が大幅に短縮されております。取引にかかる通信遅延(レイテンシー)が大幅に短縮されている状況にございます。

2つ目の段落ですが、こうした中、2016年の東証の全取引に占めるコロケーションエリアからの取引の割合は、約定件数ベースで4割から5割程度、注文件数ベースで7割程度に達しており、アルゴリズムを用いて高速かつ自動的に行う取引が増加をしております。この中には、いわゆる狭義のアルゴリズム高速取引、すなわち、受動的マーケットメイク戦略に基づく取引から、投資戦略を限定しないより広義のアルゴリズム高速取引まで多様なものが存在しており、その内容は一様でないとされております。

参考を飛ばしまして、3つ目の段落ですが、このように、日本の証券市場においてアルゴリズム高速取引の影響力が増大する中、以下に見るように、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する証券会社の関与が薄まるとともに、当局や取引所もアルゴリズム高速取引の全体像やその取引戦略などを十分に把握できているとは言えない状況になっているのではないかと考えられるが、どうか。

2ページ目でございますが、最初の黒丸です。現行法上、証券会社について言えば、アルゴリズム高速取引では取引所のコロケーションエリア内にあるサーバに投資家がアルゴリズムを組み込み、注文は当該アルゴリズムに従って自動的に執行されることから、投資家に対する証券会社の関与が薄まっているとされています。このような中で、証券会社が顧客の注文について実効的にチェック機能を果たすことには限界があるという指摘がございますが、これについてどう考えるか。

2つ目の黒丸ですが、取引所について申し上げれば、会員証券会社が行う有価証券の売買の内容を審査することとされています。この点、取引所が会員である証券会社を越えて投資家に直接調査権限等を行使することは認められていないことに加えて、今申し上げたとおり、証券会社による顧客に対するチェック機能も実効性には限界があり得ることを踏まえれば、取引所が深度ある審査を行うことが現状難しくなっているということはないかということでございます。

3つ目の丸、当局の話でございますが、現行法上当局は個々の投資家に不公正取引の疑いがある場合に報告を徴求することが可能とされておりますが、こうした場合を除いて、当局は投資家に対して直接報告を徴求する権限を有しているわけではございません。このため、現状では必要に応じて証券会社を通じて投資家の取引等を確認しておりますけれども、証券会社や取引所が今申し上げたような状況にある中、深度をもってこれを行うことは困難となっているのではないか。

以上が日本のアルゴリズム高速取引とそれに対する当局、取引所、証券会社の現状に関する考え方でございます。

2.がアルゴリズム高速取引に関するこれまでの対応と欧米当局の更なる動きでございます。

2ページ目の一番下の段落ですが、我が国や欧米では、取引所における取引制度の見直しや、市場の混乱を排除するための証券会社を通じた措置が進められております。3ページ目でございますが、例えば、取引所では価格急変の増幅を防止するための措置として、サーキットブレーカーや誤発注取り消しルールが導入されているといった例がございます。

さらに、市場に混乱を来す発注の排除といった観点からは、証券会社に対して、自らのシステム管理体制の整備や顧客注文の審査を求めていることに加え、例えば、ネイキッドアクセスを禁止するなどの対応がとられてきているところでございます。

近年欧米ではこうした対応にとどまらず、アルゴリズム取引に由来するリスクに対応する観点から、以下のような規制を課す動きがございます。

例えば、欧州では、MiFIDIIによりまして、2018年1月からアルゴリズム高速取引を行う投資家を登録制として、以下のような規制を課すというようなこととされております。

まず、体制整備・リスク管理を求めるということで、取引システムが十分な処理能力を備えていること、誤発注を防止するための措置が講じられていること、市場の濫用防止に関する欧州規定、相場操縦やインサイダー取引規制でございますけれども、または、取引所が定めるルールに反する目的で利用されないことといったような体制整備・リスク管理を求めることです。それから、次でございますけれども、アルゴリズム取引を行う旨の当局に対する通知、各注文がアルゴリズム取引によるものであることの明示、それから、取引記録の保存やアルゴリズム取引戦略等にかかる情報提供を求めること。

それから、3つ目に、アルゴリズム高速取引を行う投資家が取引所の取引参加者となってマーケットメイク戦略に基づいた取引を行う場合には、4ページ目でございますけれども、通常の市場環境時には取引時間のうちの一定の割合においてマーケットメイクを行うことや、取引所との間でリベート等のインセンティブや流動性供給に関する義務を定めて書面で合意すること、それから、必要なシステムとリスク管理体制を整備することを求めることも入ることになっています。

このほか、ヨーロッパではアルゴリズム高速取引を行う投資家について、投資サービス会社としての登録を求めることとなるため、これらに加えて既存の投資サービス会社と同様に、以下の事項が求められることになっております。

まず、例えば、域内の拠点設置、それから、法令遵守のための社内規程の整備や利益相反防止体制の確保といった経営管理体制の整備、それから、主要株主の適格性の確保、それから、当初資本金、あるいは、自己資本比率規制といった財務要件が求められることになっております。

一方、アメリカにおきましては、先物市場において、電子的に取引所に直接アクセスする手法を用いて自己勘定でアルゴリズム取引を行う業者に、新たに登録を求めることとされております。その上で、欧州とほぼ同内容の体制整備・リスク管理、それから、アルゴリズム取引を行う旨の取引所等への通知や取引等に関する記録の保存、アルゴリズム取引にかかるソースコードの保存や、当局の求めに応じそれを提供することといったことが提案をされているところでございます。

以上が欧米の更なる動きに関してでございます。

3.が、これらを踏まえたアルゴリズム高速取引を行う投資家に対する規制についての論点でございます。

まず、アルゴリズム高速取引については、こうした取引の存在により市場に流動性が供給されているとの指摘や、流動性が厚くなることでスプレッドが縮まり、一般投資家にもその恩恵が及んでいるとの指摘もあり、市場取引の円滑に資するようなアルゴリズム高速取引までをも一律に日本市場から排除してしまうような対応を行うことは適当ではないと考えられるのではないか。

他方で、アルゴリズム高速取引については、市場の安定性や効率性、投資家間の公平性、企業価値に基づく価格形成、システムの脆弱性などの観点から懸念を指摘する声が存在しております。

注は飛ばさせていただきまして、こうした懸念が指摘される中、上記のように当局や取引所もアルゴリズム高速取引の全体像やその取引戦略、あるいは、発注等にかかるリスク管理状況などを十分に把握できているとは言えない状況となっており、こうした状況を放置することは、我が国において年金基金・個人を含めた多様な投資家が安心して参加できるような厚みのある市場の実現を図っていく上で支障となるものと考えるべきではないか。

そのため、諸外国の状況も踏まえながら、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課した上で、当局がその取引実態・戦略などを確認することを可能とする枠組みを整備することが必要ではないか。その際、具体的には以下の事項を求めることについてどう考えるか。

まず体制整備・リスク管理に係る措置として、取引システムの適正な管理・運営、例えば、取引システムが十分な処理能力を備えていること、取引システムのテストやモニタリングを行うこと、誤発注を防止するための措置を講じることなどでございます。それから、それを担保するための人的構成の確保ということで、アルゴリズム高速取引を行うに必要な知識等を有する者の確保、それから、法令遵守のための責任者の設置などでございます。

続きまして、通知・情報提供に係る措置として、アルゴリズム取引を行うことの当局への通知、各注文がアルゴリズム取引によるものであることの明示、アルゴリズム取引戦略の届出、それから、取引記録の作成・保存ということでございます。

それから、その他の措置として、国内拠点設置、または、国内における代表者もしくは代理人の設置、それから、財務規制、主要株主の適格性の確保、事業報告書の提出、社内規程の策定や従業員に対する研修の実施などの内部管理といった措置を求めることについてどうか。

それから、次の6ページ目の下の段落でございますけれども、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対して規制を導入する場合には、海外に拠点を有する投資家に対しても規制の実効性を確保する必要があるのではないか。このため、こうした投資家から有価証券の売買等を受託する証券会社に対し、無登録でアルゴリズム高速取引を行う投資家や、アルゴリズム高速取引を行うための体制整備・リスク管理を適正に講じていることが確認できない投資家からの取引の受託を禁ずることなどが考えられるがどうか。その他、海外の投資家に対しても規律を徹底するための方策が考えられるか。

さらに、我が国の金融商品取引業者もアルゴリズム取引を行う可能性があるが、一方で、既に一定のシステムリスク管理体制の整備や取引記録の保存などが求められており、仮にアルゴリズム高速取引に規制を導入する場合には、過重な規制とならないよう既存の規制との関係を適切に調整していく必要があると考えられるがどうか。

また、規制の実効性を確保する観点からは、取引所がアルゴリズム高速取引を行う投資家を調査できるようにすることが考えられるがどうか。

いずれにしても、これらの具体的内容については。欧米における今後の動向、あるいは、取引所、証券会社を通じてどこまでチェックできるかを踏まえ、柔軟に対応できるようにする必要があるのではないか。

そのほか、取引の高速化の問題に関して検討するべき点はあるか。

以上の討議資料に関してご議論をいただければと思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、どなたからでもご質問、ご意見をぜひよろしくお願いいたします。

大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。

何点か意見を申し上げたいのですが、1つは表現と言えば表現で、この今日いただいたものの段階であまり言葉尻をあげつらうのもどうかなと思うのですが、今後取りまとめていく報告書のたたき台になるであろうと思いますと、やはり表現としてもちょっと気になる点はご指摘申し上げるべきかなと思っておりまして、5ページの下のほうから6ページの上のほうにかけての、現在のアルゴリズム高速取引について十分把握ができていないという状況を放置することの問題点でございますけれども、厚みのある市場の実現を図っていく上で支障となるものと考えるべきではないかという書き方ですね、これはそこまで踏み込んでいいのかなというのが率直な感想でございまして、支障となるような懸念はないのかみたいな、そのぐらいからまずは入っていくべきかなと。あまり高速取引が存在することが直ちに市場の厚みを妨げているというところまでは言えないのではないか、先ほどのスミスさんのお話を伺っていても、そう思った次第ですので、これを申し上げたいと思います。

あと、6ページに今後導入されるべき規制の具体的内容について書かれていて、先ほどFIAJの方と少しやり取りもさせていただきましたし、いろいろなご意見もあったと思うのですが、この点について、最終的にどうしたらいいのかはなかなか難しい問題だと思います。今は主にヨーロッパの規制で出てきている項目がほぼ全部並んでいるのかなというような感じがするのですけれども、ヨーロッパのほうでもいろいろまだ最終的に本当に確定しているのではないと理解しておりますし、ぜひ金融庁としても、ESMAと連絡を取り合うとかいうことをされたり、あるいは、FIAJとさらに対話をしていただくというようなことで、これだけは外せないというものと、もしかすると付加的に必要かもしれないという、何というか、若干のグラデーションをつけるようなことを試みていただけないかなと思います。私個人でつけるとしたら、こんなグラデーションという案もないことはないのですが、その辺ももし改めて機会があれば少し申し上げたいと思いますけれども、いずれにしても、これ全部をワンセットで一律に適用するという話になると非常に過剰な感じがするのかなと思う次第です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

池尾先生、お願いします。

【池尾委員】

横並びにするというとちょっと印象が悪いかもしれないのですけれども、FIAJの意見書の最後にもありますけれども、レベル・プレイング・フィールドを確保するというのは非常に大切なことだと思います。だから、各国で制度とか規制の内容が違うと、その差異を利用したレギュラートリー・アビトラージみたいな動きが生じたり、相対的に規制の弱いところに質の悪い業者が入り込んでくるとか、そういうことが考えられるので、レベル・プレイング・フィールドの確保という、揃えるというのはそれ自体割と重要なことではないかというふうに私は思っていて、それで、大崎さんおっしゃったことにも賛成で、ヨーロッパの動向とか、アメリカの動向が最終的にどうなるかということを見据えながら、揃えていくという、そういうことで、prudent regulationを導入するのが適切かなというふうに思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、宮本委員、福田委員の順で、宮本委員、お願いします。

【宮本委員】

今ご説明いただいたとおり、マーケットでアルゴリズム高速取引が占める割合は格段に大きくなっておりまして、第1回のワーキング・グループでも議論されたとおり、当然ながらこれらのマーケットに流動性を供給するという点で、非常に重要な役割を果たしているとは認識しております。

ただ、やはり先ほどからありましたように、当局、それから、証券会社、取引所による取引の把握、これが十分ではなくて、取引の実態が見えないことが課題だと思います。

それで、欧米のマーケットでは、ご説明いただいたように、当局や取引所がアルゴリズム高速取引を行う投資家に対して規制や監督を整備する方向に動いていると、このように認識しております。

発行体企業としては、アルゴリズム高速取引は本来あるべき株価の価格形成から乖離した短期的な価格の急変、これを増幅したり、システム面でのリスクを高めている面があるのではないかというふうに懸念しております。少なくとも、取引に問題があった場合に適切な対策を講じることができるように、取引の透明性を高める必要があり、そのために、我が国においても、国内外の投資家による取引を事後的に確認できるよう、当局や取引所による登録や報告制度を導入することを目指すべきと思っております。

また、世界の資本市場のシームレス化、一体化が進んでおりますので、欧米市場とのバランス、イコール・フッティング、これが重要だと思っております。我が国だけ欧米市場と違いがあると狙い撃ちをされるリスクもあるのかなということで、池尾先生がおっしゃったように、欧米市場と同等の環境、これを整備するということが重要と思っておりまして、これによって我が国のマーケットに上場する企業だけがボラティリティーの増加に翻弄されることを防止し、中長期的な収益性に基づく価格形成がなされることが重要だと思っております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、福田委員、林田委員、黒沼委員、濱口委員と、その後田村さんの順で、お願いします。

福田先生、どうぞ。

【福田委員】

ありがとうございます。

ほぼ皆さんご指摘と違うというわけではございませんけれども、高速取引は、いい面と悪い面、両面を持っているという認識のもとに、その是非をどういうふうに考えるかということなのだろうとは思います。全てがマイナス面だけではなくて、高速取引によってのメリットというのもそれなりにはあると。ただし、いろいろな問題もあるだろう。そうした中で、日本の金融市場を健全に発展させていくためにはどうすればいいかという問題意識なのではないかなと思います。そういった意味で、さまざまなチェック機能を持たせたほうがいいだろうという論点はそのとおりだと思います。

そのときに、チェックする場合に、やはり1人でというか、1つの主体がチェックするというのには限界があるとは思いますので、さまざまな主体が同時にチェックするということ、体制というのが大事なのだろうとは思います。もちろん金融庁、規制当局のチェックというのは大事なのですけれども、規制当局の規制というのはやはり限界があるということだとは思います。

そうすると、やはり取引所の方にも別の観点からチェックできるような機能を持ってもらうと。あるいは、証券会社には証券会社でチェック機能を持ってもらう。要するに、複数の機関がチェックするというような体制というのを整備していくというのがより健全なチェック機能を果たすメカニズムになるのではないかなと思います。

それから、規制に関しても、事前的な規制と事後的な規制という問題はあると思います。こういう問題が起こらないようにはどうすればいいかということで、ご提案にある多くのものというのは多分そういう事前的な規制ということだと思います。けれども、じゃあ、起こったらどうするかという事後的な問題もあって、それはサーキットブレーカーであり、誤発注を取り消すルールとかということにはなるのだと思います。両面で問題を考えていくということが重要なのだろうというふうに思います。

私からは以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

林田委員、どうぞ。

【林田委員】

ありがとうございます。この討議資料にありますように、高速取引を一律に禁止するようなのは望ましくないというのは適当な考え方なのだろうと思います。その上で、やはり多様な投資家が安心して市場に参加できるような条件、環境を整える必要があるのだというふうに思います。

ここに書いてある考え方は非常に、私は、是とするものでありますけれども、先ほど参考人の方に確認しましたところ、この6ページにあるようないろいろな具体的な規制の中身を考えますと、これを全部やるとなると、現に業務を行っている方々がいろいろ支障を来してしまうということも考えられますので、そのあたりはよく意見を聞きながら具体的に詰めていっていただきたいというふうに思っています。

あと、登録制なり、届出制なり、何がしか規制を導入して、はい、おしまいというのではいけませんので、やはり日々の取引をしっかりと見ていくということであれば、やはり金融庁だけでやるというのもなかなか無理があろうかというので、今福田先生からもご指摘がありましたが、取引所の役割は大きいのかなと。

あと、取引所だけでもなかなかということであれば、やはり自主規制機関としての役割を担っているわけですから、業界も巻き込んだ形で、いろいろな方策で実際の取引を監視していくと、チェックしていくというような方策、工夫が必要になるのではないかというふうに考えます。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、黒沼先生、どうぞ。

【黒沼委員】

2点ほど質問したいと思います。

第1点は、ここで提案されている登録制を導入して、その中で幾つかの体制整備義務等を求めていくという基本的な方向性には賛成です。これまでの議論からも、透明性の確保ということがいろいろと言われていたのですけれども、ここでは、具体的に透明性を確保するための措置として、通知・情報提供に係る措置というのが挙げられています。ただ、これを見ると、この透明性の確保というのは、監督のための透明性の確保という意味なのかなと思いまして、それ以外の透明性の確保というのは可能なのか、あるいは、必要があるのかという点について教えていただきたいと思います。

つまり、市場参加者にとってどういう者がどういう取引をしているのかということを、その透明性を確保することが果たして可能なのか、また、それが必要なのかという点について、事務局としてはどうお考えなのかという点をお伺いしたいと思います。

もう1つは、登録制を採用する場合に、その登録してきた業者については、いろいろな義務を課して、義務を守らないときには行政上の措置をとることは可能だと思うのですが、登録をしてこない者については、今日の資料では、証券会社が受託を禁止すると、そういう規制を置くことが提案されています。それ以外のものは考えられるのでしょうか。例えば、罰則を科すとか、そういうことをお考えなのかという点についてお教えください。

【神田座長】

ありがとうございました。

事務局からいかがですか。

【齋藤市場課長】

最初のご質問に関しては、まず、登録している業者なのかどうかということに関しては、登録簿みたいなものがあるので、そこは明らかになるのかというふうには思います。

他方で、具体的にどういう取引を誰がやっているのかというところを明確にするというのは、実際取引をしている方の、実際のビジネスの利益にもかかわってくる話なので、どこまでできるかというのは非常に限界があるところなのかなというふうには思っております。

なので、そういう意味では、マーケットに参加している人が個々の投資家がどういう注文を出していて、どういう約定をしているかということを完全に明示させるというのはなかなか難しいのではないかというふうには思っております。

それから、もう1つの登録業者のところに関しては、無登録の業者のことに関しては、そこは罰則担保みたいなところに関しては、今のご指摘も踏まえて、また考えていきたいというふうに考えております。

それ以外の方策があるかどうかについては、現時点で、どこまで、というところまではまだ明確にはお答えすることは難しいところであります。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、濱口委員、どうぞ。

【濱口委員】

論点で述べられている趣旨とか、基本的に規制を導入するということは賛成です。

それで、このドイツの例で、金融当局か取引所かという関連ですが、福田委員、林田委員が述べられたことと共通するのですけれども、登録された最終的な権限は、前回申し上げた利益相反の観点もあるので、金融庁でやられるのがいいと思うのですけれども、多分実効性の確保という意味では、その技術面での人材とかノウハウをどういうふうに維持していくのかというのは相当困難な課題だろうと思いますし、特に最近、ご存じのように、AIの普及がすごい速度ですので、それについていくというのは相当の難題だと思います。したがって、取引所なり、業界と調査とか判断の面でうまく協調されて、その現場の人材とかノウハウを実効的に活用されることが非常に大事だと思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、オブザーバーの田村さん、そして、大崎委員、有田委員、永沢委員の順でお願いしたいと思います。

田村さん、どうぞ。

【田村オブザーバー】

6ページのアルゴリズム高速取引に関して、その定義、どの投資家が該当するのかは結構大事な点だと思っております。特に通知の義務の中で、2番目の各注文がアルゴリズム取引によるものであることを明示する義務なのですけれども、これは、例えば、数でもそうだし、スピードもそうだし、コロケーションを使っている投資家になるのか、あるいは、機関投資家、証券会社のアルゴリズムを使っている投資家になるのか、これらにも義務があるのかないのか。もちろん投資家には証券会社のアルゴリズムを使わず、自分たちのアルゴリズムを使っての取引もあります。IT技術の進化もあるし、世の中かなり変わってきておりますので、恐らく現状はまだわずかながら将来は増えると思いますが、広義の投資家の中にもやはりアルゴを使っている参加者もないとは言えませんので、このアルゴリズム高速取引の定義、どの投資家が当たるのかということも考えないといけないとは思っております。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

7ページの部分についてですが、福田委員初め何人かの方からもご指摘ありましたが、私も当局、金融庁・証券取引等監視委員会だけに全ての監督というか、監視をゆだねるということではなくて、取引所や証券会社にも一定の役割を果たしてもらうという考え方に基本的に賛成であります。

ただ、そのときに、例えば、ここで書かれていることでちょっと気になりましたのが、証券会社に対して無登録の場合の注文を受託することを禁じると、これは無登録なのだけれどもアルゴリズムだというのは識別が非常に簡単ですので、実務的にも何ら問題ないと思うのですが、その次に書いてある、アルゴリズム高速取引を行うための体制整備・リスク管理を適正に講じていることが確認できない投資家と、これはどうなのだろうかと、正直従来でも証券会社が顧客注文を受託するときに、お客さんの取引に臨む体制がどうなっているかということを監視しろと言われたら非常に困るのではないかなというのが率直な印象でして、当然証券会社として代金の取りっぱぐれがあってはいけませんので、財務的な面とか、あるいは、とりわけ国内ですと反社との関係とか、顧客の適正な人であるかというのは当然監視するわけですけれども、ここまで踏み込んだことをアルゴリズムについてだけ求めるというのはどうなんだろうなというのが率直な感想です。

他方、取引所に関しては、コロケーション・サービスを提供するということになるのが大前提だと思うんですね、このアルゴリズム取引を日本でやるということは。そうすると、コロケーションの利用者についてだけ取引所が一定の踏み込んだ権限を持つというのは、これ十分に実行可能な規制なんじゃないかなという気がしまして、そういう特定の顧客に関しては証券会社を飛び越えるような形で取引所にも一定の権限を行使してもらうというのは十分検討に値するのではないかなと思います。

以上です。

【神田座長】

ありがとうございました。

有田委員、どうぞ。

【有田委員】

ありがとうございます。私の考えも各先生方のおっしゃったことと相当重複するところではございますが、1つ整理させていただきたいと思っております。

まず最初に目的なのですけれども、あくまでも取引所の、あるいは、キャピタル・マーケットの健全性の確保であり、その活性化ということでございまして、決してその活性化を阻害するようなものになってはいけないと思っております。また、取引所の4割の取引をしていただいております特定の業者の取引意欲を削ぐものであってはならないとも思っております。その意味では、各先生方から意見が出されておりますけれども、日本だけより厳しい規制を課すことで、国内外で規制に対する浸透圧が発生してはいけないというふうに考えております。

一方、スミスさんのプレゼンテーションの感想を申し上げますと、アルゴリズムを使った高速トレーダーというのは、基本的にはオファーとビッドを、買いと売りをバランスさせているものです。従って、私どもはその価格に対する短期的なボラティリティーの影響が大きいとは思っておりますけれども、先ほど何カ月かにわたるValueとGrowthのグラフが出ておりましたが、(この動きに対する高速トレーダーの)影響については長期的にはそこまで大きくないというふうに考えております。ただ、それを不安と感じている、すなわちこういった新しい手法が導入されたことによって不安が生じているというふうに考えていらっしゃる方がいらっしゃるということ自体がやはり問題でありまして、そこは規制を導入することによって明らかにしていかなければいけないというふうに考えております。

ではどういう人たちを規制するのかということでございますが、田村さんのご意見でもございましたけれども、また、大崎先生の今のご発言と全く私は同じ意見でございまして、アルゴリズム、あるいは、高速取引といっても、非常にvagueな定義でございまして、アルゴリズムというのは、今では誰でもやっている、あるいは、高速トレードといっても、1秒間に何千回やるというのが高速であって、1分間に10回やるのは高速でないのかという議論がありまして、どのようにその定義を明確化させるかというと、やはりコロケーションを置いている業者を規制の対象と定義するというのが、今現在ではほぼニアリーイコールで、非常にわかりやすいのではないかなというふうに思っております。

ただ、そういった環境は時代とともに変わっていきますので、今それがニアリーイコールであっても、6カ月後、あるいは、3年後にはそうでないかもしれませんので、そこはモニタリングが必要であるかなというふうに考えています。

その規制の内容ですけれども、これもご当局から示されている内容とほぼ違和感はないわけではございますが、1つ注意したいと思うのは、先ほど事前、事後というお話がありましたが、事前に取引の意図を明らかにするということは、これはあってはならないことだと思っておりまして、実際にそれは誰もやっておりませんし、齋藤課長のほうからも、ビジネスにかかわる話であるというご理解が示されましたけれども、事前にどういう意図でやっているかを提出されるべきではないと考えております。ただ、いざとなったときに、事後的にそれが検証できるような体制、あるいは、取引の記録、保存をしていただく必要があるというふうには考えております。

そうなると、それを見せていただくためには、やはり拠点といいますか、国内の拠点というのは大切になりまして、それに対する費用がかかるというご意見もありましたけれども、そこはいざ提出していただこうと思ったらどこにいるかわからないというわけにはいきませんので、国内に何らかの連絡先、拠点を持っていただいて、そこに取引記録があるということが1つ必要なのではないかなと思います。

あとは、その実効性については、今後フォローアップしていく必要があるというふうに考えております。このような取引形態が非常に短期間に変わってきておりますし、参入する方々も、あるいは、そこから出ていく方々も、非常に活発でございますので、実効性であるとか、実効性を確認するためのフォローアップが必要なのではないかなという感想を持っております。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、永沢委員、よろしくお願いします。

【永沢委員】

ありがとうございます。私は個人の投資家ですので、このような取引に関して直接意見を申し上げるような知見など持っておらないのですけれども、事務局のほうでご用意いただきました、おそらく報告書のベースになる本日の討議資料につきましては、全体として私はこの流れでいいのではないかと思っております。

その上で、幾つか意見を申し上げたいのと思います。第一に、大崎委員がおっしゃいましたように、5ページ目から6ページ目のところですが、この部分は大変重要な箇所ではございますし、と同時に、大崎委員がご指摘になりましたように、この種の取引が本当に支障となっているかどうかというところはよくわからないところでございまして、ここまで踏み込んで書いていいのかというところは私自身も疑問に思いましたので、課題ぐらいの書きぶりで良いのではないかと思っております。

それから、全体として、多くの委員からもご指摘がありましたけれども、複数の目によるチェックが必要であるということはそのとおりだと思っておりまして、7ページのところに、取引所に調査権限を与えてはどうかという提言が出ておりますけれども、これには賛成ですし、自主規制機関に当たる日本証券業協会等にもやはりこういった権限を与えることも検討すべきなのではないかと思っております。

戻りまして、6ページ目のところなのですけれども、登録を前提としてここに幾つか例示いただいているわけですけれども、1つ気になりましたのは、通知・情報提供に係る措置のところでございます。実際にどんな取引が行われているのかを把握する上で大変重要なところでありますし、市場の健全性を担保していく上で必要なところであるのですが、金融庁だけでなく、取引所や自主規制機関とも通知・情報提供というところに関しては一緒になって動いていただいて、日々の市場のチェックを担当されることが必要なのではないでしょうか。

それから、多様な投資家が安心して参加できるような厚みのある市場というのは、大事なテーマだと思っておりまして、スミス氏からお話がありましたが、私も第1回目のこのワーキングのときに指摘させていただきましたが、去年の夏ぐらいから、市場のボラティリティーが非常に上がっている、また、なぜ株価が下がっているのか、なぜ上がっているのか理由がわからないという状況が生じていることは、私も同様に感じております。スミス氏のような専門家の方から同様なご指摘があったということは、日本の市場のこれからについて重要な警告ではないかと思っておりまして、引き続き、なぜこのようなボラティリティーの上昇が生じているのか、また、説明できないような状況が生じているのかというところは引き続き検証していくこと、原因分析をしていくことが必要なのではないかと思っております。この点については高速取引のパート以外のところで触れていただくことになるかと思いますが、重要な課題と思いますので、一言触れていただきたいと思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

明渡さん、どうぞ。

【明渡オブザーバー】

まず1点目が、先ほどから出ていますアルゴリズム高速取引の定義のところですね、ここが幅広になりますと、業者に受託を禁じると言われていましても、なかなか実務的に難しいところがございます。前回申し上げましたが、例えば、仮想サーバを占有しているとか、そういったある程度実効性があって明確な定義をご検討いただければとは思います。

それから、2点目が、先ほどありましたが、証券会社がアルゴリズム高速取引を行うお客様の体制整備・リスク管理まで踏み込んで確認するというのはなかなか難しいところがあるのかなと思います。

3点目が、アルゴリズム取引のIDに関してなんですけれども、実際には1つのお客様で数十というストラテジーをお持ちで、それが組み合わさって同時に発注されたりもしますし、内部で議論されているようですが、そういったことをより細かく見せると、証券会社の中できちんと守秘義務があるとはいえ、手の内を見せることにもなりますので、そのあたりはよく対応していただいて、あまり細かく出すのは実務的には難しいのかもしれないなと思ったりはします。

それから、4点目が、業者としてできる限りのことはするのですけれども、お客様が複数の業者に発注されていますので、1つの業者では全体の概要が把握できないということで、業者にとっていろいろ行っていく上で限界があるということはご理解ください。

それから、5点目が、リスク・コントロールのところで、当然お客様、証券会社、やっているのですが、取引所のところでも一定時間当たりにプログラムが暴走したときにどう止めていくかというのは何かご協力いただけるとありがたいかと思います。

それから、6点目が、先ほどもありましたが、この表現の中で、きちんとした検証がされない中で、ちょっときつめの表現というのは避けていただければと思います。例えば、5ページの注の3点目のようなところは、私個人としては非常に賛同しかねるかなと思っております。

それから、7点目として、拠点の設置を求めるというところは、税金のところの整理が必要かなと思います。

それから、最後に、登録をするに当たって求めるところですが、基本的には高速アルゴリズム取引の概要の把握、それから、売買監視、それから、プログラムが暴走した場合の財務のモニターという、その3つの観点があるかと思うのですが、その中で全体の規制コストを適正にするという観点で強弱をつけてご判断いただければと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

土本さん、どうぞ。

【土本オブザーバー】

多くの委員の方から取引所の役割に関する期待も述べていただきまして、私どもとしても、今回の7ページのところに記述がございますように、こういった取引について投資家に直接調査をできるということになれば、より機動的、効果的に市場運営、市場管理ができると思っておりますし、それによって市場の信頼の向上にもつながると考えておりますので、こうした公共の目的にかなう活動につきましては、取引所自身としても前向きに対応して、その一翼を担ってまいりたいと思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、貴重なご意見をたくさんいただきましたので、予定した時間よりは多少早いですが、また将来延長することもあると思いますので、今日はこのあたりとさせていただきたいと思います。いつものように大変貴重なご意見をたくさんお出しいただきましてありがとうございました。本日いただきましたご説明、ご意見等を踏まえて、引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。

【齋藤市場課長】

次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、皆様のご都合等を踏まえた上で、後日、事務局よりご案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

【神田座長】

それでは、以上をもちまして散会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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