金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第1回)議事要旨

日時:平成19年1月30日(火)13時30分~14時30分

場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

議事内容:

  • 冒頭、池尾座長より、スタディグループの設立趣旨、運営方法等についての説明があり、事務局からの資料説明の後、討論が行われた。主な意見は以下のとおり。

    • 世界各国が自国の金融・資本市場の国際競争力を高めるべく競争している中、日本だけが市場間競争から取り残されている。今後は、諸外国の例を学び、省庁の壁を越えた総合的なパッケージを国家戦略として創るべき。
    • 諸外国はそれぞれ独自の国家戦略を持ち自国の金融市場の国際競争力を高めている。その中でも、英国におけるホールセール分野では規制緩和により自由なマーケットとしつつ、リテール分野では投資家保護を厳格に行う、といった規制の二分論、オーストラリアにおいて年金から資本市場に資金が流れるようになっていること、シンガポールの政府(GIC)による政府資産の積極的な運用などは参考になる。
    • 英国は、製造業がアジアからの廉価な製品の流入で衰退したことを受け、サッチャー政権のリーダーシップの下でビッグバンを行い金融業が発展。その過程で男女問わず優秀な人材が金融業に流入。他方、日本は資本主義でありながら「資本」を大事にしていない。例えば、金融取引において税は重要なファクター。今からでも遅くないので、国を挙げて金融市場の発展に向け取り組むべき。
    • 金融の発展は日本の国益につながるということを認識すべきであり、その際には理念を明示し、国民からコンセンサスを得ることが重要。
    • 金融・資本市場の国際化を議論する際には、2つの点をはっきりさせる必要。1つは、国際化により金融市場に「ウィンブルドン化現象」が起こるのを是認するのか否か、もう1つは、そもそも何のために金融の国際化を進めるのかという国際化の目的。
    • 今や日本の国際競争力のある大企業は日本の金融機関に頼らなくても困らない状態。今後は、金融業自体の国際競争力をどう高めていくのか、金融業だけで産業として成り立っていけるのか、という点が重要。
    • 日本のあるべき金融の姿を考えると、まず金融が経済の足を引っ張らないことが最低限必要。我が国は最近までこのレベルにあった。その次の段階は、ユーザーの役に立てる金融システムとなっていく必要。その上で、金融が経済を牽引できるようになっていくことが望ましい。
    • 金融・資本市場の国際競争力の強化は、格付けにとってもプラス。マザーマーケットの成長性、流動性、多様性の程度も産業リスクとして格付けの制約要因となる。
    • 国が行うべきなのは、市場環境の自由化・公平化・透明性の向上であり、業としての国際競争力の向上は個別の企業の経営者が行うべき課題。
    • 国際化において重要なのは、マザーマーケットである日本の資本市場の整備。高齢化の進展により人口に占める年金受給者の割合が非常に大きくなるということは、年金資産をはじめとする金融資産の運用力、すなわち我が国金融の力というものが老後の生活を決定することになるということを認識する必要がある。そのためにも、金利市場の正常化が必要。
    • 『金融改革プログラム』であげられている、利用者保護、地域金融機関の連携強化、国際化、ITの活用、レフェリー機能の強化、のうち、前二者はある程度進んでいるが後三者はまだ道半ばであり、これらもあわせて検討すべき。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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