金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第21回)議事要旨

1. 日時:

平成21年4月23日(木)14時00分~16時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

3. 議題

上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について

  • ヒアリング

    • 日本監査役協会有識者懇談会

    • 東京証券取引所

  • 討議

4. 議事内容

  • 上記についてヒアリングの後、討議が行われた。

  • 主なやりとりは以下のとおり。

    • 我が国の資本市場の低迷の背景には、我が国のコーポレート・ガバナンスと資本市場への国際的信認の喪失が大きな要因の一つ。

    • 日本流のコーポレート・ガバナンスの評価が低い理由の一つには、上場会社の大半が採用している監査役設置会社制度について、内外の投資家から非常に不満が多いということがある。監査役には、経営者の人事権も取締役会での投票権もなく、むしろ、経営者が実質的に監査役を選任しているという実態では、投資家は、監査役によって株主の利益が十分に守られているということに対して納得できない。

    • 監査役制度は機能していない。だから監査役制度が駄目だということではなく、どうやって機能するように改善したらよいかを議論すべき。しかしながら、監査役は独立取締役としての役割は果たせないため、監査役の機能強化を図るとともに、独立社外取締役も入れるべき。

    • 会社が経営路線の転換等の極めてクリティカルな問題に直面した場合などに、社内取締役だけでは十分な判断ができないおそれがあるため、独立社外取締役を過半数にすることを義務付けることは相当無理があると思うが、まさかのときのためにも、複数の独立社外取締役がいることが望ましい。

    • 独立社外取締役を過半数にする、あるいは、取締役会を監督機関として、別に経営会議等と称する執行機関を作るという形で、執行と監督を分離するのが一番説得力が高いと思うが、これを推し進めると、いわゆる委員会設置会社に近づくので、監査役設置会社が大半という実態から見ればハードルが高い。現実的に考えれば、少数でもいいので独立性の高い取締役を入れて、経営の近くでモニタリングさせるだけでも、かなり説得力が高まるのではないか。

    • 海外の機関投資家は、株主の代表としての社外取締役を置かない日本企業に対し不信感を持っている。外国人投資家の不信感を払拭するためにも、また、多発している会計不祥事を防止するためにも、社外取締役を最低1人置いてアカウンタビリティーを高めることが必要。

    • 経営者にとって煙たい存在であるガバナンスが、その経営者を信認しているという事実にこそ経営権の正当性の根拠はある。そういう意味で、1~2人の社外取締役を入れた方が、むしろ経営権は強固なものになる。

    • 監査役会設置会社では、監査役の半数以上が社外監査役でなければならないことや、この社外監査役が取締役会への出席義務があること等が理解されていないので、投資家に対して、社外監査役が十分に機能を果たしていることについて、粘り強く説明していく必要がある。

    • 日本の監査役制度について、海外で説明してもなかなか理解されないのも事実であるため、外から見えるような形でガバナンスを見直していくことも大事である。しかしながら、上場会社の大半は海外でIRを行っており、外国人投資家の意見は十分認識した上で、各社各様の考え方に基づいて現在のガバナンス体制をとっているので、まずは、現行制度の下でどうしていくかという議論を深めるべきであり、社外取締役の設置の義務化はもう少し先の議論にする必要がある。

    • 役員の「社外性」について形式的に定義するのは適切ではない。現在でも、企業経営に取り入れている実質的な「社外性」の要素は様々あるので、それを積極的に開示して理解を求めることが大事。

    • 監査役が会計監査人の選任議案及び監査報酬の決定権限を持つことを制度的に明確にすることにより、いわゆる「インセンティブのねじれ」を解消し、我が国のコーポレート・ガバナンスに対する信認を獲得することが必要。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る