金融制度スタディ・グループ(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成29年11月29日(水)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(第1回)
平成29年11月29日
 
 
【岩原座長】

それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまより「金融制度スタディ・グループ」第1回会合を開催いたします。
皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
このたび、当スタディ・グループの座長を務めさせていただくことになりました早稲田大学の岩原でございます。どうかよろしくお願いします。
初めに、当スタディ・グループについてご説明申し上げます。11月16日に開催されました金融審議会総会において麻生大臣から諮問をいただきました、「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」を行うため設置されたものでございます。お手元の諮問文にございますように、機能別・横断的な金融規制の整備等、情報技術の進展その他の我が国の金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について検討を進めてまいりたいと存じております。
皆様方から貴重なご意見をいただきながら、ぜひ多角的に審議を進めさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、恐縮ですが、カメラ撮影の方はご退室をお願いいたします。

(カメラ退出)

【岩原座長】
次に、当スタディ・グループにご参加いただくメンバーの皆様のご紹介を事務局よりお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
おはようございます。事務局を務めさせていただきます信用制度参事官の井上と申します。
それでは、座席順にご紹介させていただきます。メンバーの皆様側から向かって右側からでございます。岩下直行様でございます。

【岩下メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
植田健一様です。

【植田メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
大野英昭様です。

【大野メンバー】
よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
翁百合様です。

【翁メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
加毛明様です。

【加毛メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
神田秀樹様です。

【神田メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
後藤元様です。

【後藤メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
坂勇一郎様です。

【坂メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
田中正明様です。

【田中メンバー】
よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
戸村肇様です。

【戸村メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
永沢裕美子様です。

【永沢メンバー】
永沢です。よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
福田慎一様です。舩津浩司様です。

【舩津メンバー】
よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
松井秀征様です。

【松井メンバー】
よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
森下哲朗様です。

【森下メンバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
また、本日はご欠席ですけれども、当スタディ・グループのメンバーとして、神作裕之様にもご参加いただくこととなっております。
次にオブザーバーの方をご紹介申し上げます。皆様側から見て左側でございますけれども、全国銀行協会の林企画委員長でございます。

【林オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
国際銀行協会の鳥海事務局次長です。

【鳥海オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
日本証券業協会の新井証券戦略会議副議長です。

【新井オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
皆様方から向かって見て右側でございますけれども、法務省民事局の竹林参事官でございます。

【竹林オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
財務省大臣官房信用機構課の堀田課長でございます。

【堀田オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
経済産業省産業資金課の福本課長でございます。

【福本オブザーバー】
よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
日本銀行金融機構局の中尾根審議役でございます。

【中尾根オブザーバー】
よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】
なお、事務局につきましては、時間の都合もございますので、お手元の座席表をもって紹介にかえさせていただきます。以上です。

【岩原座長】
それでは、続きまして、当スタディ・グループの議事の取り扱いについてご確認させていただきたいと存じます。
当スタディ・グループは、原則公開といたしまして、議事録も公表させていただきます。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をお願いしたいと思います。ただし、個別企業のビジネス等に言及して議論をされる際に、競争上の利益への配慮から非公開を希望される場合には、あらかじめ事務局を通じてご相談いただきたいと存じます。
皆様、このような形で議事を進めることでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】
ありがとうございます。そのように進めさせていただきます。
次に、私が万一会議に参加できない場合に備えまして、座長代理を神田メンバーにお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】
どうもありがとうございます。神田さん、よろしくお願いいたします。
続きまして、議事に移らせていただきます。議事次第にございますように、本日はまず事務局からご説明をいただきます。
それでは、事務局から説明をお願いします。

【井上信用制度参事官】
改めまして、信用制度参事官の井上でございます。私のほうから、お手元の資料3、事務局説明資料をもとに説明を進めさせていただきたいと思います。
それでは、資料をおめくりいただきまして、1ページ目でございますが、諮問の背景、課題、検討の方向性についてこの1枚紙にまとめさせていただいております。
まずこちらを一通りご説明させていただきまして、その後、検討の背景となる事項について、具体的にその後の資料を用いて紹介させていただければと思います。
1ページ目の資料、上のほうでございますけれども、金融システムを取り巻く環境変化についてまず述べさせていただきたいと思います。
1点目でございますけれども、ITの進展等により、いわゆるFinTech等の進展によりまして、金融機関以外の主体が従来金融機関が担ってきた機能を分解して個別の機能に特化して提供する、いわゆるアンバンドリングと言われる動きや、あるいは、顧客のニーズに即して複数の金融・非金融サービスを組み合わせて提供するリバンドリングというような動きが拡大しているという点が挙げられます。
こうしたFinTechへの対応につきましては、金融審議会でもご議論いただいておりまして、2年連続で銀行法等を改正いたしまして、銀行によるFinTech企業等への出資の容易化、あるいは、仮想通貨への対応、FinTech企業と金融機関との協働・連携、いわゆるオープン・イノベーションを促すような環境整備を行ってきたところでございます。
しかしながら、FinTech等のさらなる発展可能性も鑑みますと、こうした対応にとどまらず、この後ご説明いたしますほかの金融を取り巻く環境変化も考慮の上、利用者保護を確保しつつ、金融イノベーションを通じた利用者利便の向上につながる金融制度のあり方についてご議論いただくことが重要ではないかと考えております。
上の枠囲いの2点目でございますけれども、ファンド等の主体による銀行に類似した金融仲介、いわゆるシャドー・バンキングが拡大してきているという点でございます。これは規制が厳しい領域からより対応が容易な領域に移動するようなことで規制を回避するような動きがその背景にあるのではないかと指摘されているところでございます。その中には、実質的に銀行と同様の機能やリスクを伴うものも存在するのではないかということも言われているところでございます。
3点目でございますけれども、金融環境の変化、例えば少子高齢化による人口減少、及びそれに伴う国内市場の縮小、あるいはマイナス金利等が挙げられるかと思いますけれども、そういった環境変化の中で、金融機関の支店網の機能・役割の見直しなど、多くの金融機関でビジネスモデルの再構築を図っておられるときに、制度面の障害があれば除去していく必要があるのではないかという点でございます。
最後に4点目といたしましては、若干将来的な話になるかとは思いますけれども、デジタル通貨の出現等が金融システムを大きく変革させる可能性があるのではないかということでございます。国内外において銀行発行のデジタル通貨の開発が進められているとともに、各国の中央銀行や政府においてもデジタル通貨に関する研究が進められていると承知しております。
こうした取り組みによりまして通貨自体のデジタル化が進めば、社会・経済のあり方が変わる可能性があるとともに、顧客同士が金融サービスを直接やりとりするような動きが広がってくれば、金融ネットワークの変革につながるのではないかと考えられます。
さらには、こうしたことを通じて、金融システム、金融サービスや金融機関のあり方に抜本的な変革がもたらされる可能性もあるのではないかと考えております。
これらのような環境変化を踏まえましたときに、資料の左下にございます現行法制の特徴を考えていただきますと、3点ほど課題があるのではないかと考えております。
1点目でございますけれども、業態ごとに法令、いわゆる業法が存在いたしまして、機能・リスクが類似したサービスでも、行為主体、業態によってルールが異なるということではないかと思います。金融商品取引法の整備によりまして一定程度の横断化が進んだとはいえ、銀行法ですとか、保険業法、あるいは貸金業法や資金決済法といったように、現行法制は基本的には業態別の法体系になっておりまして、そのため、類似のサービスでも行為主体によって適用されるルールが異なるということが起こり得るのではないかとも考えております。
この点、IT技術の進展等によって、業態間の垣根、あるいは金融と非金融の垣根が下がってきている中におきまして、現行の業態別の法体系が業態をまたいだビジネス選択の障害となったり、あるいは、規制が緩い業態への移動、あるいは業態間のすき間の利用等を通じて規制を回避するような動き、いわゆるレギュラトリー・アービトラージを生じさせているのではないかというような懸念がございます。
続きまして、現行制度の特徴と課題の2つ目といたしましては、金融に関する統一的な基本的概念・ルールが存在しないということが挙げられるかと思います。現在の法体系の場合、例えば金銭等の基本的概念に変化が生じるなど、法改正の必要が生じた際には、個別業法ごとに改正をしていかなければならないということになるわけでございます。
続きまして、現行制度の特徴と課題の3点目でございますけれども、各業法に、環境の変化に対応していない規制が存在する可能性があるということでございます。ITを活用した合理化やITに対応した合理化等を行っていく場合に、規制によって円滑にそれらを実現できないような可能性があるのではないかということでございます。現在、人口減少に伴う国内市場の縮小、あるいは、先ほどご説明しましたような低金利環境の継続等、金融を取り巻く環境変化が起こっている中で、金融機関のビジネスモデルの再構築の障害になるような制度面の課題があれば、それを除去していく必要があるのではないかということでございます。
これらの背景、課題を踏まえまして、金融に関する基本的な概念・ルールを明確化するとともに、同一の機能・リスクには同一のルールを適用するという考え方のもと、イノベーションの促進と利用者保護のバランスをとりつつ、法体系を機能別・横断的なものにすることについて検討を進めていただくのがよろしいのではないかと考えております。
こうした視点に立ちまして検討の方向性ということで、資料の右下でございますけれども、3つの基本的な原則に従って議論を進めていただいてはどうかと考えております。
1点目でございますけれども、同一の機能・リスクには同一のルールを適用するということでございます。この原則自体には特にご異論がないのではないかと考えておりますけれども、金融の機能をどのように分類するかということについてはさまざまなご意見があるかと思っておりまして、この点を今後このスタディ・グループで幅広くご議論いただきたいと思っております。
事務局からは、例えばということでございますけれども、「決済」、「資金供与」、「資産運用」、「リスク移転」といったようにある程度機能を大きく分類した上で、機能・リスクの程度に応じたルールの適用を検討してはどうかと考えております。この点について、次回以降ご議論いただければと思っております。
2点目でございますけれども、金融に関する基本的概念・ルールを横断化するということでございます。こうした議論の中で金融規制における定義の横断化、先ほども言いましたように、例えば金銭等の基本的概念の横断化について検討できないかということでございます。また、これに関連しまして、参入規制の横断化と柔構造化といった論点というのもあわせて検討いただくことも考えられるのではないかと思います。
3点目といたしましては、環境の変化に対応すべく規制を横断的に見直していくということでございまして、先ほど述べましたような企業を取り巻く環境変化に対応した規制の点検・見直しを行っていくということも視野に入れていただければと考えております。
こうした議論を行っていく際の留意点といたしましては、業態別から機能別に金融規制を変えていくにしても、エンティティ単位の適用を前提としたような、例えば破綻処理法制ですとか、セーフティーネット、あるいは金融機関の業務範囲規制との関係など、機能別法制との関係をどう考えるかということについては非常に難しい論点があると考えております。
例えば決済専用銀行というのを考えたようなときに、信用創造に関与していないのであれば既存のセーフティーネットから切り離すというような議論ができるかどうかといったような論点があるかと考えております。
また、機能別な法制のもとでの実効的な監督のあり方といった論点にもご留意いただいてご検討いただければと考えております。
このように情報技術等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討につきましては非常に広範なものとなることが想定されておりまして、全てを整理するとなりますと、数年単位の長期の検討期間を要するものと考えておりますけれども、先ほどご説明申し上げましたように、金融に関する基本的概念・ルールを横断化するとともに、同一の機能・リスクには同一のルールを適用するという原則的な考え方のもと、法体系を機能別・横断的なものにすることについて、まずは基本的な考え方を整理していただくことをお願いしたいと考えております。
以上が1枚目の概要の説明でございまして、本日は、この1枚目の資料の上段にございます金融システムを取り巻く環境変化を中心にまずはご議論をいただきたいと考えております。資料の右下で示しております検討の方向性で示しております機能の分類等につきましては、次回以降、事務局から論点を整理した上でご提示申し上げて、改めてご議論をお願いしたいと考えております。
つきましては、金融システムを取り巻く環境の変化につきまして、2ページ目以降の資料を用いながら、少し詳細にご説明させていただきたいと思います。
資料をおめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、まずは、ITの進展、FinTechに関して、その影響についてご説明を申し上げたいと思います。これまで情報という観点で言えば、金融機関においては、来店、往訪時の面談、あるいは書類の提出、入出金等、ごく限られた情報源から最低限の顧客情報を蓄積するという形になっていたのではないかと思います。
また、情報を追加的に取得することや蓄積した顧客情報を分析してテーラーメイドの商品を提供するということに関しては大きなコストがかかるというもので、富裕層と大企業向けぐらいにしか提供されていなかったというようなことがあるかと思います。
こうした情報の蓄積と処理の制約から、これまでの金融ビジネスは供給側の論理に基づくマス定型商品の提供というBtoC型のビジネスモデルが中心となっていたのではないかと思います。
他方、資料の真ん中にございますように、人間生活のデジタル化、すなわち、個人と企業の活動内容のIT化、また、顧客のライフログの自動蓄積の進展やAIによるビッグデータの処理・深層学習の進歩によりまして、サービス提供者から見た顧客情報の蓄積と処理の面での制約というのは急速に解消されつつあるのではないかと。これによりまして、従来のBtoC型のビジネスモデルから、右側にございますように、将来的には「顧客情報の蓄積・分析に基づく顧客と企業の共通価値の創造によるテーラーメイド商品の提供」といいますいわゆるCtoB型のビジネスモデルへの転換が進んでいく可能性があると考えております。
1枚おめくりいただきまして3ページ目でございます。現状、既存の金融機関にとりましては、店舗網ですとか、あるいは巨大なITシステム、バランスシートや、それを支えるための自己資本というのが従来からのBtoC型のビジネスモデルを支える競争上の力の源泉となっていたのではないかと思われます。
また、資本集約型の膨大な生産要素を確保する固定費を、資本集約型の参入障壁によりまして超過利潤が確保できる業務と利潤は薄いけれども品揃えのために提供している業務の全体で負担をして、フルライン型のビジネスモデルを成り立たせているというようなことではないかと思います。
しかしながら、現在進展しつつある変化というのは、こうした状況を変えつつあるのではないか。すなわち、スマートフォンの普及とか、あるいは分散型台帳技術の発達によりまして、これまで金融機関の本部と店舗に集中していたような機能を分散化・代替し低廉化することが可能となってきているのではないかと思います。例えば現在既存金融機関が超過利潤を確保している業務だけを行うようなモノラインの金融機関を立ち上げて、アンバンドリングによる価格破壊を実現することも可能となってきているのではないかと思います。
この方向の変化が進めば、将来的にはこれまで力の源泉であった巨大なメカニズムが逆にレガシーアセット化してしまうことも考えられるのではないかということでございます。そうすると、既存の金融機関の力の源泉が変わってきまして、これまでとは別の付加価値形成を行わなければビジネスモデルが成り立たなくなるのではと考えられます。
こうした中にあって、顧客情報の蓄積・利活用というのは新しい金融の決め手となる可能性は高いと考えておりまして、顧客側から見ますと、FinTechにより金融が高度化する中で技術自体を評価することは難しいため、提供者が信頼できるかという観点からビジネスを選択するようになると考えられます。
したがって、顧客本位のビジネスモデルを築いて、顧客との信頼関係を形成していくということが一層重要になるのではないかと思います。
こういうように、顧客情報を蓄積・活用いたしまして、既存の金融サービスや非金融サービスをアンバンドル・リバンドルすることによりまして顧客と共有される価値を創造できるようなビジネスを展開する主体というのが金融サービスを主導していくこととなる可能性が高いのではないかと考えています。
次に1枚おめくりいただきまして、資料の4ページ目をごらんください。金融サービスのアンバンドリング・リバンドリングのイメージを示したものでございます。銀行におきましては、預金・融資・為替取引(決済)というのをフルラインアップで提供しているわけでございますけれども、一方で、ITの進展等によって、例えば海外の例を見ていただきますと、銀行が担ってきたような金融サービスのうち、オンライン融資だけであるとか、あるいは電子マネーやモバイル送金サービスの提供であるとか、あるいは、こうした金融サービスをアンバンドリングして提供してきている業者が出始めていると思います。
例えば図の中央でございますけれども、海外のある電子商取引業者におきましては、インターネットモールを運営する中で、そこに出店している業者の事業状況、つまり、今はやっているかどうかということを確認して、そういうデータをもとに当該事業者に対してクレジットスコアリングを付して、オンライン融資を実施しているというものでございます。
また、右側のほうでございますけれども、ソーシャル・ネットワーク・サービスの提供会社におきましては、そのサービスの一環として電子マネーとかモバイル送金も始めている状況も、海外のみならず国内でも出てきていると理解しております。
さらに左側のほうでございますけれども、この例の場合で申し上げますと、電子商取引業者、海外の方でございますけれども、まずプリペイドカードを発行いたしまして、利用者はこれをアカウントと呼ばれる預かりサービスでためておくと。その上で、例えば支払いに使いたい場合に、ネットモールでプリペイドカードを用いて決済を行い、あるいは、個人間の送金にも使えると。さらには、金融商品でありますMMFの購入もプリペイドカードでできて、同時に事業者のほうではインターネットモールも運営しておりますので、そこに集積されたビッグデータを使ってモール出店者向けへの融資を行っていると。これらの業務を組み合わせ、リバンドリングすることによって、実質的には銀行と同様の業務を営んでいるわけでございます。
この例で申しますと、日本の現行法制に照らしますと、貸金業、プリペイドカード業、資金移動業、金融商品取引業ということを、全部登録で済むものを組み合わせれば可能ということになっておりまして、実質的に免許なしに銀行と同様の業務を営むことが可能となっているというような指摘もあるところでございます。
次に5ページ目に移っていただきまして、ここから2枚、シャドー・バンキングについてご説明をさせていただきたいと思います。シャドー・バンキングの定義というのはいろいろあるものとは承知しておりますけれども、金融安定理事会(FSB)等が示す定義を参照いたしますと、伝統的な銀行業務を通じた金融仲介の外でファンド等により行われる銀行類似の金融仲介をあらわす概念というふうに整理されているかと思います。
このシャドー・バンキングは、より多くの借り手に資金を供給する、信用を供給するとともに、市場流動性を高めて、マチュアリティ・トランスフォーメーション(満期変換)ですとか、あるいは、信用リスクの移転などの金融機能の充実に寄与することで、伝統的な銀行部門を補完する有益な機能を発揮しているというようなプラスの指摘もある一方で、銀行部門に対して課しているような自己資本比率規制ですとか流動性規制を含むプルーデンス規制が、市場を介して行われるシャドー・バンキングに対しては限定的である。あるいは、シャドー・バンキングの活動の中には、リスクの所在や評価方向が伝統的な与信活動と大きく異なることや、複数の金融サービスを重層的に組み合わせたものがある。さらには、シャドー・バンキングの活動というのは、金融技術の発展等を背景に多様で変化が速いことが多くて、既存の経済統計による捕捉が難しいなど、高リスク、複雑、不透明であるというような指摘から、金融システムの安定性の確保を目的とした監視や規制が必要であるというような議論もございます。
これらを踏まえまして、G20の枠組みの中でもシャドー・バンキングに対する議論が行われているというようなことでございます。
資料の右下のグラフでございますけれども、シャドー・バンキングの状況に関しまして、最新のFSBによるシャドー・バンキングのモニタリングレポートからグラフを抜粋しております。このレポートで報告されているシャドー・バンキングの計数については、見ていただきますと、一時、平成19年、20年ぐらいのリーマンショックのところで少しへこんでいるところがございますけれども、この黒い線ですね、その点線で囲っております黒い線の部分がシャドー・バンキングでございますけれども、基本的には右肩上がりになっておりまして、平成28年の規模としては92兆ドルというような数字になっているところでございます。
1枚おめくりいただきまし資料の6ページでございますけれども、シャドー・バンキングへの対応ということで、先ほど申しましたとおり、G20の枠組みのもとでもFSB等のイニシアティブによって取り組みが進められているところでございます。平成23年11月のG20のカンヌ・サミットで、その最終宣言におきまして、シャドー・バンキングシステムは、規制の裁定、いわゆるレギュラトリー・アービトラージの機会を生み出すとともに、規制されている銀行セクターの範囲外においてシステミックリスクの蓄積を引き起し得るということが確認された上で、FSBの提言等をもとに、シャドー・バンキングシステムに対する規制、監視を強化することが合意されたところでございます。
その際には、その資料の下のほう、1から5にございますように、銀行を通じた間接的なシャドー・バンキング規制、あるいは、MMF、証券化、証券貸借・レポ取引、その他直接的な規制という5つの検討分野を特定いたしまして、FSB等を中心に各分野それぞれにおいて対応策について検討が進められております。
その取り組み状況は、下のほうにございますように、引き続きG20においてモニタリングされているところでございます。
このシャドー・バンキングというのは必ずしも日本固有の問題ではございませんけれども、G20でも指摘されていますように、同等の行為に当たって厳格な規制が貸される銀行とそれ以外の主体との間で規制のギャップが存在すると。そうしたものにどう対応するかと。つまり、レギュラトリー・アービトラージへの対応ということは国際的な課題とされておりまして、金融制度を検討していく上では重要な視点であると考えております。
同等の行為における各規制間のギャップを解消していくために、分野ごとにきめ細かな対応をしていくのにとどまるのではなく、各分野横断的に俯瞰した上で包括的に規制のあり方を検討していくことが必要ではないかと考えております。
日本としては、当スタディ・グループにおける検討結果等も国際的に共有すること等を通じて、こうした国際的な枠組みにおけるルールづくりに貢献していくという視点も重要ではないかと考えております。
次に7ページ目と8ページ目でデジタル通貨について簡単にご紹介させていただきます。将来的なデジタル通貨の可能性ということでございますけれども、民間の取り組みに目を向けてみますと、ビットコインやイーサリアム、リップル等といった仮想通貨の取引が活発化してきているところでございます。
また、仮想通貨の浸透に伴いまして、その技術的な基礎でありますブロックチェーン技術に注目が集まりまして、金融分野への応用に向けて各種取り組みが進んでいるものと承知しております。
資料の左側でございますけれども、こうしたブロックチェーン技術やその他の技術を活用いたしまして、国内外の金融機関において銀行発行のデジタルコインの開発・研究が進められているというものと承知しております。
さらに資料の右側でございますけれども、こうした民間の取り組みに加えまして、各国中央銀行等においてもデジタル通貨の調査・研究が進められております。例えば真ん中にございますスウェーデンの中央銀行では、平成29年の3月にデジタル通貨「eクローナ」の導入に向けた3段階の工程表を発表しておりまして、理論検証と実践検討を行った上で、平成30年末をめどにeクローナの発行の是非を判断するというような計画を発表しておられるところでございます。
また、例えば日銀におかれましても、デジタル通貨発行そのものの研究ということではございませんけれども、金融市場インフラへのブロックチェーン、分散型台帳技術の応用可能性を調査するために、欧州中央銀行と共同調査プロジェクト、「Project Stella」を立ち上げて研究を進めておられるものと承知しております。
直近では、左下でございますけれども、ウルグアイの中央銀行がデジタル通貨「eペソ」を実用化して、国民を対象に6カ月間の試験運用を開始したと発表しておりまして、これが中央銀行発行デジタル通貨の実用化の第1号ではないかと言われているところでございます。
1ページおめくりいただきまして資料の8ページでございます。こうしたデジタル通貨の発展可能性につきましては、現在さまざまな調査・分析がなされているところでございまして、資料の左側には、国際決済銀行、BISの「Quarterly Review」のことしの9月からの抜粋でございますけれども、これは、Money Flowerと呼んでいるそうでございますけれども、幾つかの観点、具体的には、1番の形式、すなわちデジタルかどうか、2番のアクセス可能性、つまり、誰でもアクセス可能かどうか、3番の発行主体、中央銀行によるものであるかどうか、4番の移転の仕組み、個々の直接移転が可能かどうかというような4つの切り口から分析をしておられるところでございます。
他方で、こうしたデジタル通貨が発展していく中においては、利用者保護ですとか、マネーロンダリング対策、さらにセキュリティ上の課題ということが考えられます。この点、右側のほうでございますけれども、仮想通貨で言えば、一昨年の金融審議会でご議論いただきまして、資金決済法等を改正いたしまして、仮想通貨交換業者を登録制として、利用者保護、マネーロンダリング対策の観点からの規制整備を我が国においても行ってきたところでございます。
これがさらに進展いたしまして、個々の銀行、民間銀行やあるいは中央銀行がデジタル通貨を発行するような場合には、このような課題に加えまして、例えば預金保険の取り扱いをどう考えるか。とりわけ中央銀行がデジタル通貨を発行するようになった場合に、民間金融機関が果たす資金仲介や信用創造機能の役割が低下しかねないのではないか。あるいは、中央銀行と民間金融機関との役割分担をどう考えるかといったような課題があると考えております。
さらに、デジタル通貨、FinTechの特徴の1つとして情報・データの利用ということが考えられますが、中央銀行がデジタル通貨を発行するような場合に、こうした決済に係る情報データを中央銀行が独占するということについてどう考えるかというような論点もあろうかと思います。
この情報・データの利用をめぐっては、各国の権利保護法制など、情報利用等をめぐる国際間・業態間の規制面でのギャップがあれば、それが競争環境の不整合につながるという指摘もございまして、金融に限った話ではございませんけれども、この検討を進めていく際にはこうしたことにもご留意いただく必要があるのではないかと考えております。
次に9ページ目に進んでいただきまして、現在または将来起こり得る技術革新を考えていきますと、金融システムのネットワークの姿も大きく変化していく可能性があるのではないかと考えております。現在は、全体として見れば、金融機関がメインプレーヤーとして相互につながる一方、顧客は取引金融機関を通じて間接的につながる仕組み、左上の絵でございますけれども、金融機関ハブ型となっているのではないかと思います。
しかしながら、金融サービスと非金融サービスのリバンドリングが広がれば、単一の企業グループがあらゆる場合に最適な組み合わせを提供することは困難でございますので、顧客とのインターフェースをつかさどる企業が外部から顧客の利益に沿うようなサービスを調達して組み合わせて提供する、いわゆるインターフェース企業中心型のほうがより合理的となる可能性があるかと思います。
さらには、ブロックチェーン技術による分散処理等が進めば、顧客が直接取引所に参加するような仕組み、右上の取引所型や、あるいはルール設定等を行う仲介役のもとで、顧客同士が直接取引を行う仕組み、右下の分散型へ変化していくことも考えられるかと思います。
将来的には、ご紹介したこの4類型のどれかに特化していくというよりは、金融機関ハブ型のネットワークを残しつつ、サービスの特性によって多様なネットワークの姿がすみ分け共存するような金融システムへ移行していくのではないかということでございますけれども、このような金融ネットワーク構造の変化を見据えつつ、金融制度のあり方、あるいは、実効的な監督のあり方についても検討を進めていく必要があるのではないかと考えております。
最後に10ページ目でございます。以上の背景説明を踏まえまして、本日ご議論いただきたい論点をお示しさせていただいたものでございます。ここに記載させていただきましたとおり、FinTechをめぐる最近の動きについてどう捉えるか。シャドー・バンキングなど、リーマンショック以降の内外の金融の動向をどう捉えるか。金融と非金融の境界線が曖昧となってきている中、金融そのものの概念自体が大きく変容していく可能性があるとの指摘についてどう考えるか。デジタル通貨の出現等が金融システムに与える影響についてどう考えるか。その他、金融システムや金融業等を変革する可能性があるものとしてどのような事柄が考えられるか、また、その影響をどう考えるか。こうした変化に対応するために、機能別・横断的な法体系を検討するとの方向性についてどう考えるか。
以上のほか、金融制度をめぐる環境変化等に対応して留意しておくべきことがあるか。
本日はこれらの論点についてご議論を賜れればと思います。
11ページ目以降は、関連資料としまして、海外における金融法制、参考になりそうなものを事務局で見繕って用意させていただきました。時間の関係で詳細な説明は省略させていただきますけれども、12ページにイギリスの金融サービス市場法のご紹介でございます。これは参入規制の柔構造化という意味で参照していただければと思います。
13ページ目は、これはEUの決済サービス指令、その改正決済サービス指令、PSD2の枠組みをご紹介してございます。これも決済に関してある意味業態横断的な制度を図っている一例かと思います。
最後に、14ページ目でございますけれども、これはシンガポールの通貨監督庁、MASにおきまして、昨年の8月に決済サービスについてアクティビティベースの規制フレームワークの導入等を盛り込んだコンサルテーションペーパーを公表しております。これについて簡単にご紹介させていただいています。なお、これについては補足がございまして、先週11月21日にシンガポールの通貨監督庁がこの提案について第2次のコンサルテーションペーパーを出しておられると承知しております。来年の1月8日までに意見募集を行っているということでございまして、大枠は基本的にここでご紹介しているものと変わっていないというふうに承知していますけれども、次回以降必要に応じてその内容をご報告させていただければと思います。
こうした海外の法制等も参考にしつつ、我が国の金融制度について多角的に検討、ご議論を進めていただきたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。

【岩原座長】
どうもありがとうございました。それでは、討議に移りたいと存じます。先ほどの事務局からのご説明で、10ページの検討に当たっての論点の紹介がございましたが、それに限らず、どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。植田さん、どうぞ。

【植田メンバー】
どうもご丁寧なご説明をありがとうございました。大きな論点かと思いますが、規制とシャドー・バンキングやFinTechの観点は、やはりそれらの関連を考えないといけないと思っております。
1つ目は、悪い意味でのシャドー・バンキング、先ほどもおっしゃられたとおり、規制があるとそれを逃れるためにできてきたようなシャドー・バンキングも、世界的にはあるものです。ですから、それを完全になくすというのは実はかなり難しいのではないかと思いますので、規制を考える際には、当然規制逃れがあり得るということを考えながら、どこまで規制を実行できるかということも考えながら、今後、まさにいろんな金融をめぐるテクノロジーが発展していく中で、そういうことをさらに考えながら議論していかないといけないと思います。
それから、FinTechについてですけれども、やはりアメリカ等、起業家精神が高いところ、どちらかというと、その意味では規制が緩いところなのかもしれませんけれども、一般的に言えばですね、そういうところで伸びてきまして、グローバル化された世界の中でいつの間にかそういうところで伸びてきたサービスが世界のデファクトスタンダードになってしまって、日本が後から追いかけるような形になりつつあるのが、少々懸念材料です。ですので、そこも考えながら、ぜひ日本からそういう新しいFinTechサービスができるような、その土壌が生まれるような形での制度、規制というよりもう少々広い意味での制度というものが必要になるのではないかと思っております。
それから、最後に一言ですけれども、今後の金融ネットワークの構造なのですが、いろいろ確かに技術が進んで、いろいろな複雑なことがわかるようになってくるのですが、これは、同時に、それを処理する人間の能力も必要になってくるわけです。必ずしも制度の議論と一緒になるかわかりませんが、私の感覚としては、例えば医療でいえば、いくら医療情報が一般の患者さんにわかるようになったとしても、一般の患者さんが医者を要らなくなるかというと、そういうわけには多分ならない。情報をうまく説明してわかりやすく教えてくれるような専門家というのは、今後、逆に言うと、さらに必要になってくると思います。そういう意味での金融サービス業というものの将来も踏まえて、制度を考えていくべきではないかと思います。

【岩原座長】
続きまして、岩下メンバー、お願いします。

【岩下メンバー】
どうもありがとうございます。大変詳細な資料で頭が整理できたと思います。きょうの資料に直接はそのキーワードが入っていないわけですけれども、きょうのお話をお聞きしていて念頭に浮かんだのは、キャッシュレス化というキーワードであります。キャッシュレス化は、政府の未来投資戦略のKPIにもなっているかと思いますし、現に例えば日本のお隣の中国では既に相当進んでいます。私の研究室には中国人留学生が4人ほどいるんですが、ことしの夏に里帰りしたときに、つい日本の癖でお財布を持って出てしまったら、友達から笑われたと言います。そんなもの要らないじゃないかと、何でおまえそんなの持っているんだと言われて、確かに中国にいる間は1回も使わなかった。日本に来たらお財布というものが必要なんだということが改めてわかったと言っていたぐらい、ことほどさように中国ではキャッシュというものを使わなくなってきているようであります。
と同時に、その中にはFinTechの技術であるとか、先ほど植田先生からもお話のあった、情報をどのように扱うかとか、そういう問題というのは別途内在しているという意味では、今回のお話というのは、1つは、国民への生活に直結するという意味において、キャッシュレス化がどう進展するかということ、それはどのように誰が担うのかということ、そのときの情報のやりとりをどうするのかということ等々に深くかかわってくる問題のような気がいたします。
考えてみますれば、金融業界がFinTechという前から、既に日本においても非常に多くの、例えば交通系のカードによる電子マネーの提供であるとか、あるいは、Tポイントカード、Pontaカードといった、金融業界以外の流通関係の業界、あるいは、いわゆる個人情報を集めて解析することを目的とした企業による情報の収集というのは既に行われていたところであります。
ただ、一方で、そういうものは、海外においては銀行が提供するサービスの一環として行われている部分があって、まさにそれが銀行のビジネスのチャンスになっている面もあるやに聞きます。そういう意味において、日本の場合は、銀行が提供するのは純粋な決済機能に限定されており、あるいは、銀行券のディストリビューションにかかわる機能に限定されているということで、それ以外の部分は、まさに業法による他業の禁止等の影響もあって、そういったことはあまり関与してこなかったという面があるんだと思いますが、まさに今回、こういう情報技術が発達したことによって、さまざまな新しいビジネスチャンスが生まれてくるとともに、それが既存の業法によって十分に銀行のビジネスになっていない。また、銀行がそういうビジネスをやることのノウハウを持っていないということを招来してしまっていて、それが多分日本の金融にとってあまりよくない状態をもたらしてしまうのではないかということが心配されるところであります。
必ずしも海外の状況がベストだということだとは思いませんが、今現在の日本の銀行におけるさまざまな取引というものが、多くの場合、最終的には銀行の預金というツールを使って決済されるということが非常に大きなポイントになっているんだと思います。だからこそ、預金取扱金融機関というものが制度的にも特別な扱いをされてきて、バンク・イズ・スペシャルという概念があったんだと思うわけですが、近年の情報技術の進展によって、この預金に当たる部分というものが必ずしも預金でなくてもよいのではないかという傾向が出てきているというのもちょっと心配な点であります。
例えばメルカリという業者がありますが、メルカリの中で通用するメルカリマネーというのを持っていまして、さまざまな不用品を売却して、それをメルカリの中でためておけば、そのお金でメルカリの中で物を買って生活ができるという話がございます。
同じような仕組みが実はほかの多くのところで持っていますし、まさにそれの大きなものがペイパルですし、あるいは、中国でいえば、アリペイ、テンセントということになりますが、わが国では、そういう部分に銀行が関与していく必要があるのではないかと思います。銀行の預金というものは、やはり決済の主たるツールである必要があると考えるからです。でも、どうも成功しているような、決済を効率化しているような国においては、必ずしもそれはそうなっていないように思われます。そこの部分をどう考えるのか。むしろ、銀行の預金によって成功できる成功のモデルが示されるのであれば、それは日本にとってより望ましいことのような気がするんですが、そういうことが本当に可能なのかといったようなことも含めて、海外のキャッシュレス化の事例と比較することに非常に議論の価値があるのではないかということを非常に強く感じましたので、発言をさせていただきました。
以上でございます。

【岩原座長】
それでは、福田さん、どうぞ。

【福田メンバー】
ありがとうございます。2点意見を表明させていただきたいと思います。1つは、規制に対する考え方でありまして、銀行のビジネスは特殊かということです。銀行業のビジネスというのは、民間銀行がやるという場合でも、やっぱり特殊な面というのはたくさんあって、それはやはり預金を取り扱っている、あるいは、システミックリスクを生み出すという意味で特殊です。それは新しい技術が発展したからといってなくなるものではないと思います。
ただ、以前は、銀行業が特殊だということが、即、銀行が特殊だということにほぼイコールだったわけです。要するに、そういうビジネスをやる主体というのはまさに銀行でしかあり得なかったわけで、そういう意味では、銀行業が特殊だという問題は、銀行が特殊だという問題にほぼイコールという形で議論すれば大体物事が足りていたという時代だったと思います。けれども、新しい技術の登場によってそうではなくなったということが大きな問題の1つの源泉だと思います。
そういう意味では、もともとの銀行業は特殊だという考え方は大事だけれども、かといって、じゃあ、銀行だけをそれにはめ込めばいいかということではなくて、まさにシンガポールの例でもありますけど、アクティビティ、それをやっている主体が誰なのかということで、それをベースに規制していかなければいけなくなったという時代に来ているということです。今回のスタディ・グループでもそういう発想でやられているということは、非常に重要なことだろうと思います。
第2点目として提示させていただきたい問題というのは、こういう新しい技術、世界的な動向はどんどん進んでいるわけですけれども、残念ながら日本は世界の大きな流れからはおくれをとってしまっているという現状はやっぱりあるという視点はもう一つ重要なんじゃないかなとは思います。もちろんいろんな企業、日本の中でも生まれていて、頑張られている方もいらっしゃることは確かだとは思いますけれども、そうはいっても、アメリカとかイギリスとか、その他の国々でどんどん新しい便利な金融サービスが登場しています。それらの国でもそれらをそれなりに規制しなきゃいけないという議論はあり得ると思います。けれども、日本の現状は、新しい便利な金融サービス自体がなかなか生まれてきていないという次元の問題はやっぱりあって、その中でどういうふうに、そういうのを育成しながらも、他方では、もちろん金融業が特殊だという観点からの規制も考えていくかという視点、そういう第2の視点が大事だと思います。

【岩原座長】
では、次に永沢さん、どうぞ。

【永沢メンバー】
ありがとうございます。少しレベルが低いお話をさせていただきますが、4点、資料中で気づきましたことを述べさせていただきたいと思います。10ページに論点お示しいただきましたので、この論点に従ってお話しさせていただきたいと思います。
まずFinTechをめぐる最近の動きについてですが、この2年間、私は、先ほど銀行法の改正のお話がありましたけれども、その関連でFinTechに関する検討会などにも参加させていただきまして、新たな技術には私自身もびっくりし、これは大きく世の中を変えるだろうということを、保守的な私ですが、思った次第です。
本日の事務局からの説明を伺い、例えば3ページと9ページですが、従来、金融機関は包括的な品ぞろえを重視してきたと思います。1社でいろんなものが買えるというのが今までは消費者の利便性にかなうと言われてきましたが、そういった考え方が根底からおそらく変わるのではないと感じております。ワンストップショッピングが90年代以降は金融機関の戦略の中で重視されてきたように思いますけれども、資料中の図のように、間に仲介業者とインターフェース企業というのが存在してくるようになると、英語として正しいかどうかわかりませんけれども、マルチショッピングオンワンサイトといったらいいでしょうか、消費者は1つのサイトでいろんなものにアクセスして購入ができるようになるわけで、そうなると、いいものを持っているところに消費者が自分でアクセスできるようになるということになるのではないかと思います。こうした変化に既存の金融機関がどこまでついていけるのだろうかと、世の中の流れに従来の金融機関がついていけるのか、消費者の私でさえ気にはなるところです。そこで選ばれる金融機関、そのサイトの上に乗れる金融機関にならないと難しいだろうと今回のお話を聞きながらまず思ったところです。
それから、2番目として、FinTechというよりも、デジタル化という流れが1つのとどめることのできない大きな流れだと思っておりますが、この中で、2ページの絵なんかを見ますと、ビジネスの方々はこれをビジネスチャンスとお捉えになると思うのですが、利用者側からすると、非常に漠然とした不安を抱かざるを得ません。私という個人の情報がデジタル化されて、例えばライフログが自動蓄積されるということは、言い換えれば、自分の認識していない自分に関する情報がどこかで蓄積されて、気づかないうちに、もしかしたら購買行動に関する情報なども集積されていって、そうした情報が気づかないうちに利用されてコントロールされるのではないか、ということが心配になるわけです。自己決定の尊重というものが私たちの暮らしの前提にありますけれども、この自己決定というものは本当に自己決定なんだろうかというところが、こういった流れの中で利用者としては不安を抱かざるを得ないところがあるわけです。ただ、不安を抱いても生産的ではなく、これが時代の流れなのは止められないことですので、こうした時代の流れに、我々個人はどう対処していくのかというのを考えなくてはいけないと思っておりまして、そういった意味で、新しい利用者保護の視点として、パーソナルなデータの取り扱いをどうしていくのかというところが視点として重要なのではないかと思っております。従来の財産的被害でしたら、お金を返していただいて損害は回復されたということになりますけれども、この分野というのは回復は非常に困難です。こう言った視点も入れていただき、慎重に利用者保護を考えていかなくてはいけないのではないかと思うというのが2番目の意見でございます。
それから3番目として、金融制度のあり方について今回見直しをされるということには賛成でございます。私ども一般消費者は、業法というものを知らないんです。知らないということを前提にして、事業の内容と、どの程度のリスクがあるのかということ、その影響度等を見て、規制を作っていただくほうが、消費者には優しい制度のあり方だと思っております。特に決済の分野に関しましては、先ほど岩下先生からもお話がありましたが、フリーマーケットのポイントを使っての購入も、消費者的には1つの決済の手段とです。また、デジタル通貨が登場すると、デジタル通貨の定義がよくわかっているかどうか自分としては不安はありますけれども、仮想通貨、法定通貨というものが混在するような状況も考えうるわけです。そこに電子マネーもあれば、先ほどのフリーマーケットのポイントというんですか、正しい名称はわかりませんけれども、それもあればという状況も考えうるのではないかと思われます。今のお金であれば、紙幣を見て、自分が何を使って支払いをしているのかというのは当然わかりますが、デジタル通貨などの流れが進んでいくと、自分は一体何を使って決済しているのかというのがわからなくなることありえそうです。そういうことを考えますと、横断的に規制を作っていただくのが望ましく、支払いに使うものに関しては最低限の利用者保護の枠組みというのを設けていただいて、それなりの横ぐしを通していただくことが必要なのではないかと思っております。これが3点目でございます。
4番目は、これは今回の論点から外れることで余計なことでございますけれども、IT、デジタル化というところが進む中で、紙媒体を中心とした今日の取引のあり方についても見直しをしていただきたいと思っております。金融取引を行うときに紙でのやりとりが多くて、(無駄なコストが発生していると感じています。取引の)デジタル化というところも併せて、対応が進むことを期待したいとは思っております。
以上でございます。

【岩原座長】
それでは、次に森下さん、どうぞ。

【森下メンバー】
ありがとうございます。事務局からお話をいただいたことを踏まえまして、4点ほどコメントさせていただきたいと思います。まず1点目ですけれども、永沢メンバーがまさにおっしゃられた点ですけれども、FinTechの眼目というのは、情報をいかに活用していくかというような点にあると思います。そういった点に鑑みますと、個人情報保護法というものはありますけれども、情報の取り扱いに関するルールづけというようなものをどう考えていくかということが今後の金融法制にとって非常に重要な点であると考えております。
2点目ですけれども、資料の3ページにおきまして、アンバンドリング化というお話がございました。これもまたFinTechの1つの特徴ですが、例えば決済ですとか、あるいは貸付けといったようなものの一部のみを提供するプレーヤーですとか、あるいは、ユーザーインターフェースのみを提供するようなプレーヤーというようなものが出てきたり、あるいは、プラットフォームというような形で、従来あまり金融としては認識されてこなかったような機能を提供するプレーヤーも出てきているかと思います。本日の冒頭で、決済ですとか、貸付けですとか、運用というような機能のお話がございましたけれども、そういったようなものとあわせて、そうした機能の一部のみを担うプレーヤー、あるいは、従来とは少し違う機能を果たすようなプレーヤーについてどのように考えていくのかというような視点が大事かと思っております。 あとは、4ページの資料に関連するかとは思うのですけれども、銀行の場合には、従来与信と受信をあわせて営むところに非常に厳重な監督が必要な理由があるというような説明がされてきた部分があると思いますけれども、この資料が示していますように、例えば決済と貸金の機能を同時に営むというような2つの機能を複合して営むようなプレーヤー、あるいは3つの機能を複合して営むようなプレーヤーが出てきたときに、複合することによって何かリスクの質や量が変化し、プラスアルファの何らかの規制が必要になってくるのかというような視点というものも、機能ごとに考えるのと同時に、保っておく必要があるのではないかと思います。
3点目に、同じく4ページの図との関係では、電子商取引と決済、あるいはソーシャル・ネットワーク・サービスと決済というようなことがワンセットで提供されているようなことがイメージされておりますけれども、最近の1つの特徴としましては、金融取引が単独で行われるというよりも、商取引であるとか、さまざまなサービスの一部として金融取引が行われ、場合によっては、ユーザーは金融取引を行ったという認識も持たないまま、金融と同じようなサービスが提供されているというようなことがあるのかなと思います。そういった中で、どの部分を金融として規制し、どう効果的に規制をしていくのか。場合によっては、商取引に関するリスクの問題に委ねてしまっていいのか、そういった点が1つ大きな課題として存在するのではないかと思います。
あと、最後ですけれども、今回の資料では触れられていなかったと思いますが、FinTechの1つの問題として、レグテックといわれている規制へのテクノロジーの活用というような側面もあるかと思います。新たな規制の枠組みを考えていくと、場合によっては新しい規制の導入ということもあるかもしれませんが、その際に、例えばテクノロジーをうまく使うことによって負担感を軽減できるかどうかというのは大いに検討されるべきであると思います。あとは、横ぐしで同じような機能に着目して規制をしようということになりますと、同一の機能を果たしているけれども、リスクの種類が少し違うですとか、あるいは、リスクの量が少し違うというようなプレーヤーが横に並ぶというようなことが考えられると思います。外国なんかでお話を伺うと、規制当局の方がかなり裁量を持っていて、その裁量を柔軟に使うことによって新しいサービスに適応できているんだというようなことを聞くこともございます。そういった観点からは、新たな枠組をつくっていく際に、監督をする際の裁量の幅というようなものに関して少し柔軟に考えていくというような視点というものも重要なのではないかと感じております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、次、坂さん、お願いします。

【坂メンバー】
ありがとうございました。論点表のうちの上3つに関連して発言をしたいと思います。この間の動きですけれども、基本的にここ10年、あるいは最近の動きの中では、全体として金融をめぐる社会的な分業のあり方というのが、銀行、証券、保険という縦割りから機能に応じた横割りに変わってきているということなんだろうと思います。そういう観点から、制度も縦割りから横割りに変えていくというのが基本的な方向性ということになるのではないかと思います。
ポツの3つ目のところで金融概念について問われていますが、この点について若干発言をしたいと思うんですが、金融概念の変容ということを考えるときには、前提として金融概念というものをどう捉えるのかということがおそらく問題になるだろうと思います。この金融の概念というのは、資金決済の観点から語られる場合と、それから、資金の融通、ないしは信用の媒介という観点から語られる場合が多いように思います。
資金決済という点で見ますと、これは基本的には資金を移転して、取引における債権・債務関係を解消するということでありますし、資金の融通というのは、余剰資金を持つ者が将来のリターンの約束を受けて、資金を必要とする者に現在の手元資金を融通すると、こういうことかと思います。
こうしたコアの概念というのは、最近の金融サービスの形がいろいろ変わっていく中でも、基本的には変わるものではないのではないかなと思われます。ただ、資金決済、資金の融通といった場合に、これまでは資金というものが現金預金を念頭に置かれていたということなんだろうと思います。これに関しては、仮想通貨等が最近出てきておりますので、これを加えるかどうかというのは、議論があるところかと思います。けれども、基本的に、今後制度を検討するに当たっては、一応現金預金を念頭に置いて規制の横断化等を考えて、その上で仮想通貨等に必要な拡張を行うということが1つのいき方ではないかというふうに思われます。
それから、金融と非金融の境界が曖昧となる局面の1つとして、先ほどご指摘にもあり、資料の中では4ページにあるところかと思いますけれども、金融取引と非金融取引が連続する、あるいは一体化するというような場面が非常に出てきていると。今後、例えば金融機関がコンサル的機能を強くしていくとか、いろんな動きがある中で、こういった傾向はおそらく強まっていくんだろうと思われます。こうした場面においてどういうふうに規制対応していくかというのは1つ論点かと思いますけれども、基本的な方向性として、全体を一くくりとして捉えて、金融規制のあり方を検討するというのが1つのあり方ではないかと思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは、松井さん。

【松井メンバー】
ありがとうございます。2点ございます。1点目は、前提となる議論の確認をさせていただきたいということ、2点目は、それを踏まえて若干のコメントをさせていただければと思います。
1点目にお伺いしたいのは、スタディ・グループでの検討の方向づけの仕方です。例えば資料の1ページを拝見しますと、このうちの現行法制の特徴と課題というところの①では、業態ごとに法令が存在して、機能・リスクが類似していても、行為主体によってルールが異なる、とされています。ここにはさらに2点の指摘がございまして、1つは、業態をまたいだビジネス選択の障害となりかねないという問題があるとされています。かりに、これを踏まえて検討するということになれば、こういった規制間のインバランスを直し、より円滑にビジネスが進むようにしましょうといった形で、どちらかというと規制を緩和する、あるいは合理化していくという方向に行きやすいのではないかと思います。
他方で指摘の2つ目を見ますと、規制が緩い業態の移動や業態間のすき間の利用を通じ規制を回避する動きが生じかねないということがございます。これに、漫然と対応しようとしますと、規制は強めていきましょうといった議論も出なくはないわけです。
今回は、これら2つを踏まえて、検討の方向性は、同一のルールを適用しましょうという方向が示されているのですが、同一のルールを適用しましょうというときに、どのような前提が存在していると考えればよいでしょうか。例えば、今回のスタディ・グループでは、技術の進展も、金融機能のアンバンドリング化やリバンドリング化も不可避であるので、これを踏まえて規制の合理化をしましょう、可能な限りビジネスを阻害しないような方向で行きましょう、ということになるのか。あるいは、そういう前提自体はまだ議論の俎上に載っていて、そもそもそういう方向性に行くことも含めて、場合によっては規制を強化するという可能性も含めて、このスタディ・グループでは検討することになるのか。
ここで念頭に置いておりますのは、以前の決済のスタディ・グループやワーキング・グループです。これらの議論が行われた際には、技術の進展を前提にして、可能な限りビジネスの新しい動きを阻害しないようにするという価値判断がかなりクリアに出ていたように記憶しているのですけれども、今回のスタディ・グループもおおむねそのような方向性で進んでいけばいいのか、このあたりを少し確認したいというのが1点目です。
2点目は、仮に1点目がイエスである、つまり、技術の進展なり、金融の機能化なりを踏まえて、それを可能な限り尊重して新しいビジネスを構築できる体制をつくりましょうということであれば、10ページの論点整理のいくつかはおのずと決まってくる面があるように思います。例えば3番目、金融と非金融の境界線が曖昧となっていって、金融の概念が変容していく可能性があるというところについては、もし金融の概念を再定義、再構築しなければ、先ほどの前提をふまえて、新しい規制の体系がつくれないということであれば、これはやはりやらざるを得ないでしょう。あるいは、6番目の機能別・横断的な法体系も、金融の機能に合わせて新しいビジネスをサポートしていくような体制が必要で、そのために規制も機能的・横断的であることが不可避であるということであれば、もうこれはやらざるを得ないのだと思います。ですので、これらの論点は、このスタディ・グループで基本的にどういう方向性をとっていくのかということと密接に関連するところがあるかと思っておりまして、このあたりの前提を確認できればと思います。もちろん、今日その結論を出す必要はないと思いますので、この点はコメントだけさせていただきます。
以上です。

【岩原座長】
井上さん、何か。

【井上信用制度参事官】
ご確認ということですので、こちらからお答えさせていただきます。1ページ目の業態ごとに法令が存在して、機能・リスクが類似したサービスでも、行為主体、業態によってルールが異なるということを前提に、2つ、両面から書かせていただいたのが下のポツのところだと思います。業態をまたいだビジネス選択の障害となりかねないというのは、金融の垣根が技術の進展で低くなる中で、新たなプレーヤーが入ってくるということについても、それは顧客の利便の向上につながって、利用者保護も図られるのであれば、それはもちろん入ってきていただくということは価値判断としていいことであるということだと思います。
他方、下のほうにございますように、業態別に法体系がなっていることによって、規制のすき間ができて、そこを狙ったビジネスが出てきて、結果的に利用者利便が図られず、あるいは顧客保護上問題が生じるということは、これはよくないことだと思いますので、それはその両面が必要なんだと思います。
そのために、現行の縦割りの法制よりは機能別に整理したほうがよりよいものであるかどうかということがまず初めの論点だと思っておりまして、そういう意味で10ページに書かさせていただいたということでございます。

【岩原座長】
松井さん、よろしいですか。

【松井メンバー】
どうもありがとうございました。私、ちょっとある意味、恣意的というか、意図的に二分法で書いたんですが、もう少し中立的にご判断をくださって出ている表現だと理解をすればいいということですね。ありがとうございました。

【岩原座長】
田中さん、お願いします。

【田中メンバー】
まずはこのような会議に参加の機会をいただきまして、ありがとうございます。去年まで大体40年ぐらい金融の実務に携わっておりましたけれども、内外の金融制度には実務の観点から非常に大きなかかわりを持ってまいりました。
それから、最近では、FinTech企業の経営にも関与しておりまして、まさに金融事業の変革というものを実感しているところであります。
例えば最近では、仮想通貨の登録業者がICOを実施しまして、1カ月もたたないうちに世界98カ国の約5,000人から100億円以上を調達するということがありました。同時に、新たな仮想通貨をつくって、それを上場すると、こういうプロセスがありまして、これにも関与致しまして、非常に大きな変革が起きているということを実感しております。
従いまして、今回のスタディ・グループの組成によりまして、こうした変化にも耐えられるような金融事業に関する法制を機能別もしくは横断的に見直すという試みは非常に時宜を得たものであるという気がいたします。
この検討を進めるに当たりまして、第1回なので、総論的に少し違う観点からお話をしたいと思うんですが、まず、新たな金融制度を検討するということですので、その方向感とか新制度の目的、これ、1ページにいろいろ書いてあるんですけれども、やはり同時に、その目的は、今回発表されました金融行政方針というものとも基本的に合致する必要があるんじゃなかろうかという気がいたします。金融行政の目的は、「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大」ということで明確にされたわけですので、これが非常に大事な指針だろうと思いますし、そのためには、金融システムの安定、利用者保護、市場の公正性・透明性を確保するということだけでは足らず、加えて、金融仲介機能の発揮、利用者利便、市場の活力、これらと両立させる必要があると、こういう方向感をおつくりになったわけですから、やはりこれを念頭に置いておく必要があるだろうという気がいたします。
それから、同時に、金融行政方針の中には、「国全体として最適な資金フローが実現しているか、どうすればよい均衡が実現するのかといった観点から、課題の分析と政策手段の提示を行っていく」と、こういうふうにされておられまして、金融概念などを考えるに当たっても、こうした問題意識を共有して議論を進めていく必要があろうかと思います。
ご参考までですが、日銀が平成29年、第2四半期の資金循環レポートを出しておりまして、それによりますと、日本の家計の資産は1,832兆円、そのうち945兆円が預金取り扱い金融機関の預金、こうなっていますが、そこの金利は、ご承知のように、普通預金だったら0.001%、定期預金でも0.01%ですね。いわば日本全体でこれだけのお金が国民の資産形成の役にほとんど立っていないということがあります。
それから、日銀の金融システムレポートによりますと、平成24年の12月から平成29年8月の5年間で、全ての金融機関の総資産は何と236兆円も増加しているんですね。ところが、そのうち80%に当たる191兆円は日銀当座預金を中心とする現金預け金に金融機関は充てているわけです。
このように、現在の預金金融機関を中心とするお金の流れというのは、我が国の産業構造の変革に必要とされるリスクマネーの供給という役割も果たしていないという面があります。こうした国全体のお金の流れに関する認識が大事で、金融制度を考えるのであれば、これも踏まえてしっかりした問題意識を持って制度論を考える必要があろうと思います。
それから、FinTechですけれども、先ほど岩下先生、福田先生もおっしゃいましたけれども、日本のFinTech業者もしくはFinTechの事業というのは明らかに世界から大幅に劣後していると思います。世界のFinTech事業者が提供する商品とかサービスというのは、基本的にテクノロジーを駆使していますから、既存の金融事業者に比べて圧倒的にコストが低いという面があります。それから、一般的にFinTech事業者の従業員の半分ぐらいはエンジニアですから、商品とかサービスの開発の速度も速いという面があります。
個社の名前を言わないようにということなので、言いませんが、例えば中国の大手のFinTech事業者のチーフストラテジーオフィサーという方がおられまして、この方は、その会社の経営理念として、テクノロジーを駆使することによってコストを大幅に低くして、そして、そのメリットは顧客に還元するということを明確に言っているんですね。したがって、その会社が発行するクレジットカードは年会費がありません。こういうことは、金融事業のユーザー側からしますと、明らかなメリットですから、こうした動きを支援するような制度改定が望まれるのではないかと思います。
最後に一例を申したいんですが、それは資金決済法の1送金当たり100万円を限度とするという規制です。既に内外のFinTech決済業者が、格安で、かつ速い海外送金というものを実現しているわけですが、このような規制は日本だけであるという主張がなされています。金融審議会における資料にもこの例が載せられていますけれども、このような日本の海外送金のユーザーのみが不利になるような規制というのは、利用者利便という観点から、このスタディ・グループの検討を待たずに見直しをするというようなことがあっていいんじゃないかと思います。
これは一例ですけれども、FinTechを中心とする金融事業の変革というのは、グローバルで、かつ非常に速いスピードで起きています。したがいまして、このスタディ・グループにおける検討に時間がかかって、そのために必要な改正がおくれて、ひいては日本だけ世界の動きに取り残されると、そういうことがないようにお願いしたいと考えております。
以上です。

【岩原座長】
次に後藤さん、どうぞ。

【後藤メンバー】
どうもありがとうございます。非常に詳しくご説明をいただいて、大変勉強になりました。先ほど松井メンバーからご指摘のありました、どういう方向で行くのだろうかという問題についてなのですが、今回の資料では規制という言葉が抽象的・一般的にくくられているので、どっちに行くのかわかりにくいようなところもあるように思うんですが、新しい技術を用いた金融業に関するイノベーションを阻害しないということと、他方で、規制が緩い業態への移動などのレギュラトリー・アービトラージによって規制漏れで消費者が被害を受けるということを防ぐために規制を強化するということは、規制の中身の工夫次第では両立し得るものだというようにも感じております。過度に高い参入障壁によって新しい技術を用いた新しいサービスが提供できないということはやはり消費者の利便にとって望ましくないので、それは避けつつ、他方で野放しでいいのかというと、やはり一定の手当てが必要だということになると思います。例えば資金決済法などは、まさにそういうことを実現するために、銀行の免許を取らなくても一定の送金サービスは使えるわけですが、ただ、そこで一定の保護や規制をかけているものと認識しております。
今回も、業態をまたいだビジネス選択の障害となりかねないことはやはり望ましくないということで、基本的に高過ぎる参入障壁は望ましくないだろうという一定の方向感として打ち出されているのかなと認識をしまして、それ自体には基本的に個人的に賛成、賛同しているところでございます。
その上で、規制漏れによる被害を防ぐという観点をどうするかということですが、先ほど森下メンバーからもご指摘のありました、例えば既存の銀行のように複数のサービスをそろえて提供している場合、その複数の機能が組み合わさることによってリスクが積み重なっていくということにどう対処するかも考える必要があると思います。このことのために銀行業は厳しい規制を受けているわけですけれども、そのこと自体はやはり崩すわけにはいかないとしますと、そういう既存の業者は、3ページの図ではフルラインの金融機関とされていますが、今まで参入障壁で守られてきたことによって超過利潤を享受していたわけですが、参入障壁は下げていくんだという方向を打ち出しますと、利潤が得られる領域はモノライン業者によってとられていき、その上の利潤は薄いが品ぞろえのために提供している業務というところだけが残る結果、非常に苦しい立場に置かれることになります。なので、それはおそらく各金融事業者がビジネス上の工夫をされて、今、立ち向かっておられる課題なのかとは思いますけれども、こういうフルライン金融機関が今後どうなっていくのかということも考える必要があると思います。例えば、今の銀行が3年後になくなるということは想定しがたいわけでして、しばらくはこのフルラインの金融機関というものも社会の少なからぬ人々にとっては重要な役割を果たしていくということになるかと思うのですが、そうすると、例えば国際送金などはコスト面で勝る新しい事業者にとられていき、利幅が薄いところだけで勝負をすることになります。これを防ごうとすると、先ほど田中メンバーからもご指摘がありましたように、一定の高額の部分だけ業界の分野のすみ分けによって守ってあげるということも考えられますが、これも1つの参入障壁であります。これも望ましくないのだとすると、フルラインの金融機関がどんどん苦しい立場に置かれていくのだと認識しております。別に銀行業界の利益を代弁しようとしているわけではないのですけれども、ただ、この問題を結局正面から認識しないと、例えば今現在の100万円の限度のようなすみ分けでことを済ませるということになるおそれがあります。
繰り返しになってしまって恐縮ですが、この既存のフルラインの金融機関に対してサービスは提供してもらわなければいけないという社会的な要請がありつつ、その中でただ新しいサービスはどんどん自由にやったほうが社会、国民の利益になるということを考えますと、一定の公共性のあるサービスを果たしてくれているフルラインの金融機関に対してどういうアプローチで臨むのかという問題があります。一定の業務分野をすみ分けで確保するのか、それか、ほかの形での何らかの公的な、支援という言葉がいいのかわかりませんけれども、そういう補助をしていくのか。そこまで含めて考えないと、最後、どうしても業際のすみ分けで終わらせてしまう、お茶を濁すということがあるようなおそれがある気がいたしまして、せっかくグランドデザインを考えるというような広い視野のスタディ・グループですので、そこまで含めて見ていただけるといいのではないかなという気がしております。
もう一つは、今回、FinTechなどの新しい技術革新によってこういうことを考えなければいけないという話が出てきたのはもちろんそうなんですけれども、じゃあ、今までこういう問題がなかったのかというと、そういうわけではないと思います。今回はどちらかというと銀行にフォーカスが当たっているようにも感じますけれども、例えば保険の分野では、例えば家電量販店がポイントの何%かを使うと5年間の長期保証を受けられますというサービスを提供している場合、これは一種の保険とも言えるわけなんですが、これを保険業の免許を取らずにやっていいのかどうかという問題は昔からずっとあったわけでございます。これがさらにスケールアップして登場したのが今回のFinTechなどの問題だと認識しております。
そうしますと、これは、新しい技術を使った問題だけを考えればいいというわけではなくて、銀行法、金融商品取引法、保険業法、ほかにも金融関連の業規制はいっぱいありますけれども、それぞれがどういう問題を規律して、どういう消費者利益を確保するために規制をかけていくのかという、そもそもの業法の存在意義というか、確保しようとしている利益の中身から検討するということも、もちろん新しい技術という側面からフォーカスを当てるわけですけれども、そういったところも見ていかなければいけないというような気がいたしますので、今後検討していくに当たってその点も考えていただければと思います。
最後にもう1点だけ、先ほど少し言及したのですけれども、今回のペーパーでは、規制というのを非常に大きく捉えているわけですけれども、具体的な規制の方法をどうしていくのかという観点、そこにどういうバリエーションを加えていくのかということも非常に重要かと思います。例えば免許制という参入障壁は使いにくい。すみ分けにより業務分野を確保するというのも、これもおそらく規制が強過ぎるということになってくるとしますと、事後規制的な、もしくは行為規制的なアプローチをとることになるのかとは思いますけれども、そのときに、イノベーションを促進するという要請と、消費者に被害が及びそうな事態が生じた場合には速やかに対処するという要請とをどうやれば両立できるのかという観点もあわせて取り込んでいっていただければなと思っております。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、次に翁さん。

【翁メンバー】
私は、きょうは総論的な話なので、金融システムについて機能的なアプローチをとることは適切だと考えるということについてちょっと申し上げたいと思います。1990年代ぐらいから金融技術革新が進んで、デリバティブとか、証券化とか、そういった金融技術革新が出てきたときから、資金仲介ではアンバンドリングというのが進んできて、リスクや資金の流れがアンバンドリングして、それをまたリバンドルするなどで、いろいろな形で経済的に等価の取引を提供できるという世界がもう広がっていたと思います。
それに加えて最近FinTechという新しい動きが出てきて、4ページのところでご説明いただきましたけれども、特に決済の分野でのアンバンドリングというのがさらに進みました。それから、今まで資金仲介のところにもIT関連の新規参入者が入ってきていて、ローンのオリジネーションと預金というのが、預金の受け入れというのが、銀行業のところでは非常に経済的な結びつきが強いものとして観念されていたのが、そういうことでもないのかなというようなことも明らかになっているように見えていまして、そういう意味で、FinTechの新しい動きというのが、さらに技術革新で新しいこういった機能的な視点が重要になってきているということを一段とあらわしているような気がしております。
それから、シャドー・バンキングにつきましても、先ほどから幾つかご指摘ありましたけれども、やっぱり担い手だけに注目していてはきちんと守ることができないんだということをあらわしていると感じております。やっぱり業態別アプローチをとっていくと、時に新しい動きが、既存の規制を低コストでかいくぐってしまうという手段を与えることになって、シャドー・バンクの全てがそうではないんですけれども、やっぱりそういった広い機能で見ていかないと、担い手だけに注目していると、システム全体もきちんと見ることができないということもあらわしているように思います。
それから、デジタル通貨については、仮想通貨だけでなく、中央銀行がデジタル通貨を発行するのは、日本銀行はまだそういう話は出ていませんけれども、頭の体操として、中央銀行がデジタル通貨を発行して、それをスマホでPtoPでやりとりできるというような世界が広がっていけば、例えば日本の全銀システムとか、小口決済の部分ってどうなっていくのだろうという、そういうようなことも関係してくると思いますし、そういう意味では、担い手だけで見ていてはだめで、やはり決済という、そういった機能で見ていくということが、やっぱりこういう変化のある時代では非常に重要なのではないかと思っております。
いずれの論点につきましても、金融システム全体を機能で見ていく必要があるということが金融技術革新の進む非常にダイナミックな世界ではとても重要で、もちろん担い手にもある程度着目しなければいけないわけですけれども、同時に機能で見ていかなければいけないウエートが高くなってきていると思っております。
先ほど幾つかご議論ありましたけれども、システミックなリスクという観点で考えた場合も、やっぱりこういった機能的に捉えていくというのが、さっきのシャドー・バンキングのことを考えても守れなくなってきているということも重要でありますし、同時に、機能別のアプローチをとるということが、新しいビジネスモデル、新しいエコシステム、そういったものが出てくるときに非常に親和的であるはずだということで、それはイノベーションに対して親和的なアプローチでもあると私自身は考えていますし、そういうふうなアプローチであるべきでもあると思います。

【岩原座長】
それでは、次に大野さん、お願いします。

【大野メンバー】
岩原座長、ありがとうございます。先ほど事務局のほうから非常にコンパクトで要点を得たご説明いただきまして、大変ありがとうございます。きょうは5つほど意見というか感想を述べさせていただきたいと思います。
まず機能別・横断的なフレームワークの重点シフトということをこうしたスタディ・グループで検討することは大変時宜を得た取り組みだと思います。積極的に参加させていただければと思います。
今、金融業への参入のハードルはテクノロジーの進歩によって格段と低くなっています。IT企業、eコマース、流通系企業、これらが金融業に進出する例というのは国内外において枚挙に暇がないと思います。銀行などの伝統的な金融機関のライバルはもはや同業他社だけではなく、むしろ手ごわい競争相手はIT企業やeコマース業界などの他業種という形で、競技場のフィールドでは異業種で競い合うということが日常化しているのではないかと思っております。今日的な競争とか競合の関係というのは、いわば「昨日の敵はきょうの友」であるとか、あるいはその逆であるかもしれません。業界の垣根を超えた提携、協業であるとか、場合によっては子会社化や合併が進むと思われます。そういう流れがこれから大きくなっていくと思っておりますし、こうした動きをうまく取り込む形でダイナミックな広義の金融産業・マーケットを育てていくためには、規制や制度についても業態別の視点から、より機能別・横断的なフレームワークへ重心をシフトしていくということが極めて重要だと考えています。
2つ目は、フレキシビリティだと思います。テクノロジーの発展というのは、我々の周りにいるITに詳しい同僚に聞いても、先端の技術に精通している人間ほど、1~2年先ぐらいはわかるけれども、5年先にどこまで進歩しているかということの予測は極めて難しいと言っている人が多いです。事前に5年、10年先の金融や金融システムの姿を的確に描くということはかなり難しいと思ったほうがよいのではないかと思います。もちろんそうした努力は大切でありますが。
そういった中で、規制や制度の設計や整備を検討する際の現実的、プラグマティックなアプローチとしては、いわゆる動く標的(ムービングターゲット)を捉えることができるような、井上参事官もおっしゃっていましたけれども、柔軟な構造というものを目指すことが大切ではないかと思っております。内容的にはこれからご議論させていただければと思いますけれども、まずは包括的な大きな原則をしっかり捉えることが肝要です。その上で、フレキシブルな枠組みを備えた柔軟な構造を編み込んでいくことができるとよいのかなと、少し理想論かもしれませんが、そのように思っております。
その際のツールとしては、標準化や、ガイドライン・マニュアル、マスターアグリーメントであるとか、いろいろな行動規範の整備であるとか、そういったところがヒントになるかなと思っております。
先ほど後藤メンバーのおっしゃった自己規制的なことについても私は興味を持っております。
次に、3つ目に留意点ということでいうと、テクノロジー、デジタル、ブロックチェーン、イノベーションの発展によってもたらされる「光の部分と影の部分」をどのようにうまくコントロールするかということが重要だと思います。影の部分については、既に井上参事官の方からキーワードとして、非常に難しい利用者保護の問題、さらには、サイバーセキュリティ、マネーロンダリングが出されましたが、これらはどうしても外せない論点と思います。
一方の光の部分については、この2年間、金融庁をはじめとして、ここにいらっしゃるメンバーも多く参画されたと思いますが、エポックメーキングといってもよい進展があったと高く評価しています。例えば、銀行のIT産業への参入障壁を下げる試み、それから、オープンAPIの推進です。特に、概念的にオープン・イノベーションの重要性の認識を広めたことは非常に重要な前進だったと思います。
この先大切なことは、イノベーションの健全な発展を育み、できれば加速させることと認識しております。そして我が国の金融界、産業界、アカデミズム、研究機関の皆様の持っている総力を結集させて潜在的な力を極力引き出せるような、法制度やビジネス・市場環境を整備すること、そこに高い優先順位をつけることができればよいのではないかなと感じております。
規制緩和ありきかというと、そうではなくバランスが重要です。アクセルとブレーキの両方が必要だと思います。金融当局によるバランスのとれたイニシアティブと、金融機関を始めとした民間セクターのイノベーションに対する意欲、意気込みという2つ歯車をうまくかみ合わせて、それを通じて革新的な金融サービスの創出が促進されるような素地を整えること。これは最初に植田メンバーもおっしゃいましたけれども、そういったところを重要な目標の1つとしたいと思っています。
あと2つですが、1つは、データの活用と保護について述べさせていただきたいと思います。今後の金融界や他の業界にとってはデータのガバナンスを整えながら高度の情報産業化を図るということが産業界全体にとっての重要な課題だと思っております。これは、自ら持っている顧客データをデジタル化するということから始まります。さらに最新のテクノロジーを駆使して解析し高付加価値を生む上では、同業他社、あるいは他業種、そういったところのデータとも連携させるということが非常に大きな課題となってきます。ここで、先ほど永沢さんがおっしゃった、個人情報の保護との折り合いをどういうふうにつけていくかということが課題となると思います。おそらく概念的にはデータのマスキングという方法が使えるかもしれませんが、これをうまくやるというのは非常に難しい話ですので、この情報の共有と個人情報の保護、両者のバランスというものが特に大きな論点としてあると思っています。
最後に、我が国の立ち位置ということに触れさせていただきます。多くの皆さまが日本のFinTechがすごくおくれているとコメントされました。確かにFinTechベンチャーについてはそうだと思いますが、すべてについて日本がおくれているかなというと、いいところもあるという気がします。アドバンテージもあるのではないでしょうか。例えば、我が国の金融法制度、それから規制体系というものは好位置にあると思っています。
監督規制面では、日本の金融庁では銀行、証券、保険も全てカバーしていますが一つの当局で完結している国は少ないのが実情です。アメリカでは事情が全然違います。また、EUに目を転じると、ユニバーサルバンクが基本ではありますが、EU当局はアクセルとブレーキのうちアクセルを踏むこと、すなわち規制緩和をあまり得意としていない印象を持っています。
実際に、アメリカであるとか、EUであるとか、イギリスはいい物ももっているのですけれどもブレグジットの影響があるため、いずれの地域や国においても、いわゆる横断的、包括的なフレームワークの構築については相当苦労しているようです。そういう意味では、我が国の金融制度のフレームワークというものがグローバルレベルで見てフロントランナーになること、多少野心的にすぎるかもしれませんが、そういったところも1つ目標に掲げたらよいかなと思っています。伏兵は、先ほど田中さんのお話にもありましたが、中国であるとか、あるいは、小回りの利くシンガポール、北欧等が頑張ってくる可能性があるかと思います。
それから、最後に一言だけ付言いたします。これから当グループで検討を進めて行く際には、金融や金融業はもちろん重要ですけれども、資産運用、年金、働き方改革なども含め、金融面から日本経済の活性化を後押しできないかという視点も念頭におくことができればなおよいと思っております。
以上です。ありがとうございました。

【岩原座長】
坂さん、手を挙げていらっしゃるんですか。

【坂メンバー】
はい。

【岩原座長】
そうですか。2度目ですね。先に神田さん、その後、坂さんにお願いします。

【神田メンバー】
ありがとうございます。2点、感想めいたことを申し上げたいと思います。若干次回に関係するかもしれませんけれども、この分野の法制度を機能別に分析をして、将来は横断化、柔構造化していくという方向性は大変結構なことであると思います。昔、投資サービスの分野についてそれを試みて、金融商品取引法制をつくったということがありますけれども、それ以外の金融分野につきましては、まだ十分ではないというか、横断的な議論というのをきちんとする機会がなかなか、少しずつはされていたと思いますけれども、なかったからであると思います。
金融制度は非常に広いので、どこから具体的な議論を始めるかというのはなかなか難しいところだと思うのですけれども、1点目として、機能に応じた分析をするときに、機能に応じた因数分解をした場合の最小単位は何かということを整理していただければと思います。具体的な例を挙げますと、伝統的に決済という概念と資金移動という概念があるのですけれども、どちらがより今日的な状況において最小単位となる概念なのかと。これは両方重なり合うので、決済かつ資金移動という場合もありますし、資金移動だけであって決済は含まないという場面もある。逆に資金移動はなくて決済という場面もあるわけですね。だから、両方が基礎概念だということかもしれませんけれども、諸外国の法制度、日本の法制度も含めて、どちらの基礎概念を出発点にしているのかという違いがありますし、将来を見渡すうえでは、そのようなことが問題になるというか、少なくとも整理をして議論をしておく価値があると思います。
2点目は、同じような話なのですけれども、先ほど金銭等というお話があって、また次回以降話が出ると思うのですけれども、例としてデジタル通貨を取り上げますと、法定通貨もデジタル通貨も抽象的に言えば同じ機能であれば同じ法制度ということになるべきものと思うのですけれども、その同じ機能というのを少し整理しないといけないということではないかと思います。デジタル通貨についても、一般的な伝統的な通貨としての機能で言えば、価値の保存機能と価値の移転機能があると。そういう中で、例えば法定通貨を移転すると貸金業になると。なぜデジタル通貨を移転するとならないのか、もしならないとすればですけれども。説明は簡単ではないと思います。
それから、より具体的に言いますと、デジタル通貨も法定通貨も、支払、決済と言ってもいいですけれども、支払の手段になる場面と、それから、取引の対象といいましょうか、投資の対象と言ってもいいですけれども、そのようになる場面があるわけです。例えばドルというものでも、これは支払の手段として使われる場合もあれば、取引の対象といいますか、投資の対象とされる場合もあるわけです。
そうだとすると、支払の手段として使われる場面というものをより具体的に整理していく必要があるし、取引ないし投資の対象、ICOがいい例ですけれども、となるような場面というのもさらに整理していく必要がありまして、それぞれの場面において法定通貨とデジタル通貨が同じ機能を果たしているのに、もし法制度が違うほうがいいとすれば、なぜ違うほうがいいのか、同じなら、なぜ同じのほうがいいのかと、こういうことを整理していただく必要があるように思います。
業という観点から見ます、それぞれの機能にかかわるサービスというのでしょうか、広い意味での金融業ということが観念でき、実際にも使われ始めているわけですから、例えばこれまでここでも議論されてきたと思いますけれども、決済関連サービスと総称できるようなものについて、さらに具体的にそのサービスを類型化していって、そこでどういう、例えば利用者の保護の課題があるのか、あるいは、先ほどから出ておりますデータ管理のどういう課題があるのかという、そういう作業を今後進めていっていただければいいのではないかと思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは、坂さん、お願いします。

【坂メンバー】
2回目ということで申しわけありません。イノベーションと規制というご議論がありましたので、その点について若干発言させていただければと思います。イノベーションの確保というのは大事な視点かと思いますが、イノベーションの確保と、それから促進ということが言われているんだろうと思いますけれども、やはり利用者保護、投資者保護の観点から重大な問題が生じるということになっては本末転倒であるので、そこは十分な留意が必要です。これまでの金商法等でも枠組みはつくられてきているかとは思いますけれども、規制の柔構造といいますか、要するに、プロの間の取引でイノベーションを先行して進めていただいて、そのなかで生き残ったもの、一般の人々に適した有用なものを、一般の人々に及ぼしていくというアプローチも重要なのではないかと思います。これが1点目です。
それから、2点目ですけれども、イノベーションの確保という観点からは、阻害要因が何かということを一応考える必要があるんだろうと思います。この点は、規制の存在ですとか、あるいは厳しさというよりも、むしろ規制が複雑であるとか、あるいは、法令の解釈適用の範囲が統一されていないですとか、あるいは、限界が不明確であるということによって、わかりにくいということが障害となるということもかなりあるのではないかと思います。こういった点について検討が必要ではないかと思います。
それから、3点目ですけれども、規制がイノベーションを促すという面もあるのではないかと思われます。環境規制なんかとの関係では、我が国の環境技術を発展させるために、発展するに当たって、それが一定の役割を果たしたというような指摘もあるところで、規制がイノベーションの促進において果たす役割というのがあると思います。例えば投資商品の勧誘という点では、わかりやすい情報提供ですとか、適合性に関する情報の的確な把握ですとか、あるいは問題が生じた場合の検証、是正のあり方などについては、イノベーションの観点からまだまだいろいろと改善されるべき、あるいは改善が期待される点があるのではないかと思われます。
以上です。

【岩原座長】
戸村さん、どうぞ。

【戸村メンバー】
ありがとうございます。いろいろな論点が出て、私の意見もかぶるところが多々ありますけれども、今後の議論においてあり得る論点について私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。
規制の目的は、皆さんご案内のように、まずやはり利用者保護が最初にあって、その次にはシステミックリスクの防止というか、システミックリスクの保護というものがあると思います。その観点からいいますと、森下先生から既にご指摘があったように、アクティビティごとの規制で利用者保護をするとしても、アクティビティの組み合わせでシステミックリスクが生じると。例えば為替と融資の組み合わせが信用創造の要件なわけですけれども、信用創造の担い手がこれまでの例ですとシステミックリスクの発生源となってきたというような歴史的な観察事実がございます。そう考えますと、アクティビティごとの利用者保護に加えて、アクティビティが組み合わさった場合の、掛け算が生じた場合に規制が追加されていく形になるんだろうと思います。そう考えたときに、ほかのメンバーの皆さんのご発言にあったように、産業育成の点からどのように規制を柔軟化していくかというのが課題なんだろうと考えております。
こういうふうに考えてきますと、私個人の考えとしては、システミックリスクがどのようなアクティビティの組み合わせから生じるのか、識別することが必要であろうと。そういうリスクの識別がなされた場合に、そのようなアクティビティの組み合わせ、システミックリスクを起こし得るアクティビティの組み合わせを、現在の業法のようなアクティビティの組み合わせをあらかじめ決めて規制を置くのか、理想的な形である機能別の規制にするのかというのは1つあり得る論点であろうと思います。
その意味では、やはりシステミックリスクに対する対応というのはがちがちな規制になりがちなので、産業規制の観点からは、規模別の規制というものも1つ考え得るかなと。資金決済法の立法時、インクルメンタルアプローチがとられたという話を聞いたことがあるんですが、資金決済法は私も成功した法律だと思いますので、そういう考え方があってもよいように思います。
また、ちょっと違う観点ですけれども、システミックリスクを考えますと、今の銀行法上の業際規制をどうやって考えていくのかは、私個人は重要な視点になってくると思います。
最後に、これは翁さんが既におっしゃったことですが、現在の金融システムのあり方は中央銀行のあり方に深く依存しておりまして、現在のあり方は、中央銀行はリテールは行わない。市中銀行がそこを間接的に仲介するという形になっておりますが、金融制度のあり方も中央銀行のあり方と密接に関連しますので、中央銀行のあり方をここで議論するとは思わないですけれども、念頭に置きながら議論する必要があると思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは、加毛さん。

【加毛メンバー】
ありがとうございます。3点ございます。まず、本日の重要なテーマである金融・非金融の関係について、アンバンドリングが従来、金融と考えられてきた機能が分化することであるのに対して、リバンドルは非金融サービスが金融機能と結びついて価値を生み出すことであると理解しています。そのことを前提として、今回のスタディ・グループがどこまで立ち入った議論をすべきなのかということが関心の対象となります。
先ほど後藤メンバーが指摘された、既存の金融機関について今後どのようなビジネス・モデルが有望であるのかという問題については、植田メンバー・大野メンバーが強調された、情報分析の高度化が1つの方向性なのだろうと、私も考えます。そして、既存の金融機関は既にさまざまな顧客情報持っているわけですが、そこには尽くされない情報、ほかのプレーヤーが有している情報のほうが価値が高い場合があるということは、既に様々なところで指摘されているものと思います。そのような情報の利用が、リバンドルの観点から、ノンバンク・プレーヤーだけではなく、既存の金融機関についても重要な問題になるものと理解しています。
そうすると、このスタディ・グループでも、金融・非金融という区別にとらわれずに、議論をすることが望ましいことになります。ただ他方で、これまでの議論において繰り返し登場してきた、個人情報保護の問題や個人データの利活用については、既にさまざまなところで検討が進んでいます。例えば、現在、IT連盟を中心として「情報信託機能の認定スキームに関する検討会」が設置されており、民間団体による自主規制の形での制度の構築・ルールの策定が検討されています。そのような検討の成果を、このスタディ・グループにおいて、どの程度、視野に入れて議論をすべきなのかということが、重要な課題になるだろうと思います。
2つ目は、資料1頁の「金銭」とは何か、という問題にかかわります。デジタル通貨・仮想通貨のほか、本日の議論に登場したものとして、「ポイント」の問題がございます。この問題については、資金決済法の制定以前からさまざまな議論があったものと理解しております。しかし、その後の実務の展開を踏まえれば、法定通貨でないけれども、一定の通用力を持ち、決済手段・支払手段として広く利用できる「ポイント」が登場しており、それらを現在のように、規制・レギュレーションの外に置いていいのかということを議論すべきように思います。先ほど、規制の強化なのか、緩和なのかというお話がございましたけれども、むしろ規制の合理化という観点から、「ポイント」の問題を議論の対象とすべきではないか考えております。
3点目として、金融機能のうち、必ずしも本日の議論において強調されなかったように思われるものとして、受信機能・預金の受け入れがあるように思います。元本保証を伴う預金の受け入れは、現在の銀行法において中核的な要素であると理解していますので、検討の俎上に載せる必要があるように思います。とりわけ元本保証により、一般公衆・一般大衆から資金を獲得することが前提となる場合の顧客保護の問題は、重要な意味を有するように思われるところです。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、舩津さん。

【舩津メンバー】
ありがとうございます。このスタディ・グループでは、一旦機能をばらばらにしてみて、それに必要、あるいは有益な規律は何かを考えるということかと思います。例えばですけれども、銀行という、為替取引と預金の受け入れ、資金の貸し付け等のまとまりを有する現在の銀行業の業態が維持される限りは、規律自体も、まとめるところはまとめるという検討になるんだと思います。
このスタディ・グループ自体でまとめ方をどこまで検討するかというのはまた問題かとは思いますが、仮に規律のまとめ方まで視野に入れるとしますと、どのようなくくりで規律をまとめるかというのが1つ問題になるのかなと思います。特に複数の機能に対する規律がうまく融合できない場合には、別個のものとして全く違う規律という形で設けざるを得ないということもあるかと思いますが、その際に、どのようなくくり、すなわち、どのようなエンティティで切り分けるかというのは、井上参事官もご説明で非常に難しい問題だということはおっしゃっておられましたけれども、それも検討の俎上にいつかは上るのではないかと思います。
この点に関しては、これまでの規律というのは法人格を別にすることによるリスク遮断効果というものを比較的重視してきたかなというふうな気がしておりますけれども、これが果たして今後も維持すべきであるかということについては、再検討の余地があるのかなという気がしております。
法人格を別にすることによる効果というのは破綻処理がしやすいという点が1つあるかなとは思うわけですけれども、それと関連して、競争力を強化するという観点から参入規制の横断化・柔構造化をするという方向で検討してみてはどうかという方針が示されているわけですけれども、他方で、競争することによって当然淘汰とか退出というものがあり得るわけですので、その場合に、淘汰や退出の場合における合理的な規制をすることによって、合理的な淘汰・退出というものを促進するというような形の法制までを少し考えたほうがいいのかなという気がしております。それは広い意味では利用者保護ということになるのかもしれませんけれども、そういう視点もあってよいのかなという気がしました。

【岩原座長】
どうもありがとうございます。以上で全てのメンバーの方からご意見を伺いましたが、特に追加してということはございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
皆様から非常に中身の濃い多様なご発言をいただきまして、私としてはまとめようがないという気がしておりますが、イノベーションを促進することが重要であり、かつ、機能を横断的に捉える規制を目指すことが適切であるという点では、皆様のご意見の一致があったのではないかと思います。ただ、機能別の法体系にするというのは、他の諸国でも余り先例がなく、言うは易く行うは難しでありまして、これは大変なことであります。速やかな制度改革が必要だというご意見は、そのとおりなのですが、かつて金融商品取引法は結局10年ぐらいかかってやっと投資商品に関する横断的な法制ができたわけでありまして、金融全体に関する横断的な法制の整備も、これから先、長い道を歩く作業になるかもしれませんが、皆様方のご協力をお願いしたいと思います。
一言つけ加えれば、預金の受け入れという機能が取り上げられていなかったのではないかというご指摘ございましたが、これについては後日、1つの大きい問題として検討させていただきたいと思っております。
それでは、以上をもちまして討議を終わらせていただきたいと思います。本日いただきましたご説明やご意見等を踏まえ、さらに審議を深めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後に事務局のほうから連絡事項がございましたら、お願いします。

【井上信用制度参事官】
次回のスタディ・グループの日時につきましては、皆様のご都合を踏まえた上で調整させていただきまして、後日事務局よりご案内させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【岩原座長】
それでは、どうも長時間、熱心なご討議ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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