金融審議会総会(第20回)・金融分科会(第8回)議事録

日時:平成18年9月6日(水曜日)14時01分~14時51分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

○貝塚会長
 それでは、時間になりましたので、本日の第20回金融審議会総会を開催させて頂きます。

最初に、今日は与謝野大臣がお見えでございますし、櫻田金融担当副大臣にもご出席頂いておりますので、それぞれごあいさつを頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

〇与謝野金融担当大臣
 金融担当大臣の与謝野でございます。

金融審議会総会・金融分科会合同会合の開催に当たり、ごあいさつを申し上げます。

初めに、委員の皆様方におかれましては、日ごろから大変ご多忙のところを金融審議会の活動にご参加、ご尽力を頂き、心より御礼を申し上げます。

我が国の金融システムは、不良債権問題の正常化に伴い、金融機関が自らの責任と判断で積極的にリスクをとって金融仲介を行い、資源の適正配分機能を果たすことが求められるようになってきております。また、金融資本市場におきましては、投資家に正確でタイムリーな情報を提供することで市場を通じた公正な価格形成が行われることが必要であります。こうした課題の実現に向けて、昨事務年度におきましては、金融商品取引法の策定を初め、さまざまな規制改革を進めるとともに、地域密着型金融の推進、金融機関のガバナンス向上のための取り組み等を行ったところであります。これらの取り組みに当たり、金融審議会の委員の皆様方から大変貴重なご意見を頂戴いたしましたことに対し、この場をお借りして改めて感謝申し上げる次第でございます。

私どもといたしましては、これからも利用者、投資家の安全、安心の確保、市場機能の整備、透明な金融行政の推進を図り、活力ある金融システムの実現に注力してまいる所存でございます。

これらの取り組みに当たり、引き続き、高い見識を有していらっしゃる皆様方の格段のご理解、ご協力をお願いいたしまして、ごあいさつとさせて頂きます。ありがとうございます。

○貝塚会長
 どうもありがとうございました。

それでは、引き続き櫻田金融担当副大臣からごあいさつをお願いいたします。

〇櫻田副大臣
 金融担当副大臣の櫻田でございます。私からは2点申し上げさせて頂きます。

第1に、地域密着型金融の推進について申し上げます。

現在、地域金融機関におきましては、地域密着型金融の機能強化に関するアクションプログラムに基づき取り組みを進めているところであります。地域金融機関における17年度の進捗状況について見ますと、創業・新事業支援機能等の強化、取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化、事業再生への積極的な取り組み、担保・保証に過度に依存しない融資の推進のいずれにおいても着実な実績を上げていると考えておりますが、一方、金融機関の利用者から消極的評価が多く寄せられている項目もあることから、今後とも地域密着型金融の推進に向けて努力をしてまいる所存でございます。

第2に、適切な市場行政の推進について申し上げます。

金融庁といたしましては、従前より市場の健全性の確保及び投資家保護の観点から、市場の整備及び市場監視機能・体制の強化を進めてきたところであります。制度面では、さきの通常国会において、金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的とする金融商品取引法制をお認め頂いたところであります。また、市場監視体制の強化といたしましては、職員の増員を確保するとともに、証券取引等監視委員会事務局の体制を2課体制から5課体制へと再編するなどの対応を行ったところであります。

私ども金融庁では、現在金融行政におけるさまざまな課題に取り組んでいるところでありますが、金融審議会は多くの貴重なご意見を頂戴することのできる重要な場であります。委員の皆様におかれましては、今後とも引き続き活発にご議論を頂き、高い見地からのご意見を頂戴できますようお願いを申し上げ、私からのあいさつとさせて頂きます。

○貝塚会長
 どうもありがとうございました。大臣及び副大臣は公務ご多忙のため、ここで退室されます。

カメラも退室してください。

それでは、総会・金融分科会の合同会合としての議事予定に基づきまして、最近の金融審議会の活動状況につきまして事務局から説明して頂きます。しばらくこの総会を開いておりませんのでいろいろたくさんのことを伺いますが、それから、本日は、総会・金融分科会の合同会合に引き続きまして第一部会の開催を予定しておりますので、関係委員の数が多数に上るため、多分座席が窮屈ではないかと思いますが、要するに今の委員の数では大丈夫なんですが、あとまた第一部会の方から来られますと相当スクイーズした形になりますので、ちょっとこの点、ご容赦頂きたいと思います。

それでは、まずは金融商品取引法について、三井市場課長からご説明をお願いいたします。

〇三井市場課長
 市場課長でございます。資料1、金融商品取引法という冊子をお取り出し頂きたいと思います。

昨年の12月の末に、この審議会の第一部会が報告書を取りまとめて頂きました。その報告書は、この資料の5枚目以下、資料1-2と、投資サービス法(仮称)に向けてというところに添付してございます。ここの内容、法案の内容とかなり重複いたします。この審議会、第一部会の報告書に沿って法案を作成させて頂きましたのでかなり重複いたしますので、報告書についてはごく一言で触れて、重複する部分、多くの部分はこの法案の説明ということでさせて頂きます。

大変恐縮でございますが、最初の方の4枚が法案の説明でございますので、5枚めくって頂きまして第一部会の報告書をご覧頂きたいと思います。

資料1-2、2枚めくって頂きまして、審議会の報告書の2ページ、3ページ、この「投資サービス法」の趣旨・目的が書いてございます。利用者保護のルールの徹底、それから市場機能の確保、それから国際化への対応といったことが書かれております。

それから、その次の次の5ページでございます。上から2行目、3行目でございますが、証券取引法を改組して、投資サービス法を制定するということでありまして、その下の5の基本的枠組みでありますけれども、3行目、金融商品の販売や資産の運用に関する一般的な性格を有する、そういう法律と位置づけまして、同じ経済的機能を有する金融商品にはその行為規制を業態を問わず適用する、同じような行為規制を適用するということが書かれております。

それから、一番下から4行目、同種の性格を有する法律を可能な限り投資サービス法に統合すべきである、こういう哲学が書かれております。

具体的な投資サービス法の内容につきましては6ページ以下で書かれておりまして、この考え方、基本的に法案とタブるのですが、法案で説明しないことだけピックアップして今から申し上げます。

6ページ、7ページで対象範囲が書かれておりますが、ここでは投資商品ということで書いております。お客さんが業者に自分の資金の運用などをリスクをとってリターンを期待してお金を投資すると、こういうことに着目しているということでありまして、特に12月の段階ではリスクとリターンの意義について、この7ページの上の半分でございます。市場リスクであるとか、信用リスクといったものがリスクということではないかと。それから、そのリターンの意義については、この真ん中辺、「また」以下ですけれども、「金銭的収益(プラスのキャッシュフロー)」、こういったものを期待している取引ではないかと、このように考え方を整理しまして、具体的な金融商品、ビークルなどについての整理を別紙がありまして、後ろの37ページほどから具体的な整理がつけておりますが、各商品について検討しております。それについては法案の中身で具体的に説明させて頂きたいと思います。

8ページ、9ページの(6)でございます。「金融サービス・市場法」への展望というところでありまして、9ページ、最後の8行でございます。「まず」ということで、「したがって、まずは」ということでありますが、概ね合意が得られている「投資性のある金融商品」について早期の法制化に取り組むということが宣言されています。それから、さらに包括的なものについては最後の4行、より包括的な規制の枠組みの検討については、投資サービス法の法制化とその実施状況、各種金融商品の性格、中長期的な金融制度のあり方なども踏まえ、当部会において引き続き精力的な検討を続けていくこととしたいと、このようになっております。

以下、具体的な制度内容でございまして、それでは法律の方の資料を使いまして説明したいと存じます。

最初に戻って頂きまして、1枚目、資料1-1とあって四角がいっぱいある図でございます。

横に倒して頂きまして、証券取引法等の一部を改正する法律案と、それからその右側に整備等に関する法律案とありますが、これは成立いたしまして法律となっております。証券取引法という題名の法律、これを改正するわけですが、題名も改正するという大改正でありまして、金融商品取引法に改めると。

中身は大きく分けて4つの柱がございます。横断化と柔軟化を柱とします投資サービス規制、それから取引所制度の見直し、それから罰則課徴金、それから開示制度の充実でございます。投資サービス規制については縦割りの規制を横断化するわけですが、その際、下の横長の四角にあります銀行あるいは保険、こういったものについては、最終的に法律上、法制の仕組みとしてそれぞれの銀行法、あるいは保険業法、商品取引所法の法律のもとでの規制という枠組みを維持しつつ、行為規制、販売や勧誘についてのルール、これについて同じ中身のルールを準用ないし書き下ろすという形で、それぞれの縦割りの法律は銀行、保険については残りますが、販売、勧誘については同じ規制を横断化すると、こういうふうな形にしております。

次のページ、対象範囲の横断化の中身でございますが、左の方が現行でございまして、それを右の四角のように拡大するということであります。集団投資スキーム、一部会報告で取りまとめて頂きましたように可能な限り包括的にということでございまして、左下でございます。2人以上の方から金銭を集めて、何らかの事業・投資を行って、それのリターンを分配する仕組みというものを包括的に規定しております。

また、デリバティブ、これは右側の真ん中ですが、定義規定自体は置きますけれども、かなり広いものをたくさん掲げるという形にしてございます。

次のページ、規制の横断化と柔軟化、これが全体の仕組みでございまして、左が縦割り規制になっております。これを金融商品取引業ということで横断化いたしまして、その上でその次、その4つのグルーピングに分けまして、参入規制などに高い、低いを設ける、あるいは右側にありますような行為規制について、お客さんがプロ的な方の場合には一定の規制を不適用とする、あるいは真ん中の下あたりですが、特例業務届出者、これはいわば投資家がプロフェッショナル、適格な投資家などの非常に高度な投資家のみから組成されているファンドについては届出で足りるようにすると、こういう形で柔軟化を図ってございます。

駆け足でございますけれども、金融商品取引法については以上でございます。

○貝塚会長
 どうもありがとうございました。

続きまして、信託法改正に伴う信託業法の改正及び電子登録債権法(仮称)の検討状況について、新川信用機構企画室長からご説明をお願いいたします。

〇新川信託法令準備室長
 新川でございます。

それでは、お手元の資料2に従いまして、まず信託法改正に伴う信託業法の見直しについて審議経過等をご説明させて頂きます。

資料2の1枚目をおめくり頂きまして、信託法案の概要という資料がございます。こちらについては、信託法の現代化に向けまして、法務省法制審議会において平成16年9月から現代化に向けて議論が重ねられ、本年の2月に法制審において答申のありました信託法の現代化に関する資料のご説明でございます。

実は、後ほどご説明いたします信託業法は、この信託法の現代化によりまして生じましたさまざまな新しい信託、あるいは柔軟化された規制に対して業法としてどういった対応をとるべきかといったことについてご審議を頂いたものでございます。

資料2-1でございますけれども、信託法見直しのポイントといたしましては、1つは信託の受託者、現行の信託法は非常にリジッドといいますか、かたい法律になっておりますけれども、受託者が義務の内容等を適切な条件のもとで緩和するといったことでございます。具体的には忠実義務とございますが、これは専ら受益者のために尽力すべきということでありますけれども、その規定の中でも受益者保護の観点から特段問題がないようなものについては柔軟化が図られております。

それから、2番目にございますように、受益者の権利行使の実効性・機動性を高めるための規律の整備でございます。典型的にはマル1にございますように、現在の信託法におきましては、受益者が複数いる場合におきます特段の規定がないということもありまして、そうした場合の意思決定の合理化等について新しく規定が整備されたところでございます。

それから、3つ目の多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備ということで、1つございますように、受益権の有価証券化を一般的に許容すると。あるいはマル2にございますように、委託者自らが受託者となる、いわゆる自己信託といったような形の新しい形の信託についても規定が整備されてございます。新しい形の信託としては、このほか信託財産に対する債務者としての責任を限定いたします限定責任信託ですとか、あるいは受益者の定めのない目的信託といったようなものについても規定の整備がなされてございます。

こういった検討と並行いたしまして金融審におきましては、昨年11月から第二部会及び信託ワーキング合同会議という形で、この信託法の改正を受けまして、現代化を受けまして業法としてどんな対応をすべきかということについてご審議を頂きました。

次の2-2にございますのが本年1月にご審議の結果を報告としてまとめたものでございます。

ちょっと後ろの方になります。資料の形で2-3とございます。後ろから4枚目ぐらいでありますが、その内容等につきまして図示をさせて頂いております。

2-3の2枚目をおめくり頂いて、2.信託法改正に伴う信託業法改正案のポイントという資料をご覧頂きます。

これについては、基本的な原則としては、一番1行目のところにございますように、信託法改正後も、委託者・受益者保護のための現行信託業法の枠組みは基本的に維持するという基本方針のもとに、業法をどのように対応していったらいいのかという観点でまとめられております。特に問題となりますのが、先ほど申し上げた新しい信託類型に対する業法の規制をどうしていったらいいのかということでございます。

大原則といたしまして、他人から信託財産の引き受けを行うというもの、先ほど申し上げました新しい中でも限定責任信託ですとか目的信託、中には事業信託というものもあろうかと思いますが、これについては、現行の信託業法における通常の信託と同様に受託者、これは信託会社ですとか、あるいは信託銀行が当たると思いますが、参入規制等を適用した上で必要な説明義務等を課すということでございます。

それから、委託者=受託者となる自己信託の場合です。これについても基本的には現行の他者からの信託財産を引き受ける場合と同じような規制を適用してまいりますが、一つ、マル1にございますように不特定多数の受益者を予定すると。一般的には受益者が一定以上の数に上る場合については業法の対象とするという方向で、今具体的な細目について検討中でございます。

それから、規制内容につきましても、参入要件、あるいは管理運用上の義務、その他については、現行の通常の信託を扱う受託者と同様の規制を適用いたします。

それから、3つ目でございますが、信託設定の際に、受託者と委託者が同じになってまいります。したがって、委託者によるチェックという機能がどうしても図られなくおそれもあるということで、第三者が、第三者というのは弁護士さんですとか公認会計士さん、そういった方々になると思いますが、そういった方が信託財産をチェックすると、こういったものを義務づけるということで、通常の信託よりもチェックの要件を過重してございます。

簡単でございますが、信託につきましては以上でございます。

それから、もう一つ、資料3を─それから失礼しました。信託に関しては、さきの通常国会に法案を提出されましたが継続審議ということになってございます。今後のまた開かれます臨時国会で審議がされるものと考えております。失礼いたしました。

次に資料3でございます。電子登録債権(仮称)の検討状況についてでございます。これも1枚おめくり頂きまして、この絵に従いましてご説明させて頂きます。

電子登録債権、これは電子債権と呼ばれておりましたが、これについては、これも法務省の法制審におきまして、本年の2月から新しい形のこういう電子的なデータによって登録されて、それで債権が発生したり、移転したり、消滅したりする、新しいタイプの債権をつくってはどうかというご議論がされているところでございます。

法制審におきましては、中間試案という形で法案の要綱の骨格のようなものが取りまとめられ、両論併記の部分も幾つかありますが、それも今パブリックコメント中ということでございます。

少しその中身についてご説明をすべきかと思いますが、中ほどのところで「電子登録債権」とは何かというところ、中ほど左の方でございますが、最初の四角にございますように、電子登録債権を発生させる原因となった法律関係、これはいろいろあろうかと思います。例えば物品を納入したときに代金の支払いが生じるとか、そういった原因となる法律関係というものがあろうかと思いますが、それとは別個の金銭債権として成立するものでございます。

これを管理いたします電子登録債権管理機関、これはいわばデータを管理する機関であろうかと思いますが、これが作成する原簿に登録しなければ発生及び譲渡の効力が生じない債権ということでございます。

それから、指名債権、手形債権という既存の債権とは異なる類型の債権ということになろうかと思います。

法制審における審議は主にこの電子登録債権の私法上のといいますか、債権の基本的性格を定める私法上の関係について主に審議がされてございます。金融審においては、むしろこの電子登録債権の登録管理を行います電子登録債権管理機関についてどのような、いわば業法といっていいかもしれませんが、そういった規制を及ぼすべきかについてご議論をして頂いているところでございます。

本年6月来、情報技術革新ワーキングと第二部会の合同会議という形でご議論を2回頂いておりますが、今後の検討のポイントといたしましては、左下の方にございますように、電子登録債権に対する決済の安定性の確保その他利用者の保護に関すること、それから管理機関の業務の適正性の確保、それから電子登録債権の流動性といいますか、流通性といいますか、そういったものと証券法制、決済法制といったような金融関連法制との関係等につきまして、今後ご審議を頂く予定でございます。

以上でございます。

○貝塚会長
 ありがとうございました。

それでは、続きまして、監査法人制度等の在り方について、池田企業開示課長からご説明をお願いいたします。

〇池田企業開示課長
 それでは、お手元の資料4に沿いましてご説明をさせて頂きたいと思います。

表紙をおめくり頂きますと、金融審議会公認会計士制度部会の審議状況についてと、資料4-1という紙がついてございます。公認会計士・監査法人についての規律を定めております公認会計士法につきましては、平成15年に金融審議会での議論を踏まえてかなり大幅な改正が行われまして、これについては平成16年4月1日から施行されておるところでありますけれども、昨今、公認会計士監査法人をめぐっては、ご案内のとおり、カネボウ事件でありますとかライブドア事件でありますとか、会計監査をめぐる不適正な事例が明るみになっているところでございます。

こうしたことを踏まえまして、会計監査に対する国民の信頼を確保していくという問題意識に立ちつつ、監査法人制度等のあり方について、改めて総合的な検討を行って頂くということで、この4月から公認会計士制度部会における審議を頂いているところでございます。

ここにありますように、公認会計士制度部会では、これまで4回の会合を開催しておりまして、これまでの議論で総論的な議論についてはおおむね一巡したところかというふうに考えておりまして、この9月12日に第5回の会合が予定されておりますけれども、第5回以降の会合では、これまでの議論を通じて出てきました具体的な論点につきまして、それぞれについてさらに議論を深めて頂くということになっておるところでございます。

これまでの議論を通じて出てきた主な論点として部会の方で整理されていますのは、第5回以降のところにポツで3つないし4つ書いてございますが、1つは、監査法人等におけます監査法人自身の監査の品質の管理の問題、あるいはガバナンスの問題、あるいは監査法人自身のディスクロージャーのあり方の問題ということが一つの論点となっているところでございます。

例えば、監査法人の場合、財務の状況あるいは品質管理の状況等について、当局に対しては一定の報告義務が法律上課されておりますが、必ずしも一般に対するディスクロージャーの義務といったようなものは規定されておりません。この辺についてどう考えていくかというようなことがあろうかと思います。

それから、2番目に、会計監査人の方にしっかりとした監査をして頂くためには、被監査企業との関係において、監査人の地位・立場といったものがしっかりしたものであることが必要であります。こうしたことで、監査人の独立性といったものをどのように確保していくかとか、あるいはその関係で監査報酬が一般に言われることですが、会計監査人の場合は、監査報酬を被監査企業から受け取るので、なかなか被監査企業に対して厳しいことは言えないというようなことがよく言われるところでありますが、例えば諸外国ではこうしたものを経営者をチェックする立場である監査委員会などに監査報酬額を決定させるということで、その辺のインセンティブのねじれを解消しているというような指摘がございます。こうしたものについてどう考えるか等、監査人の地位の強化のあり方についていろいろと議論がされているところでございます。

それから、3番目に、監査法人に対する監査・責任のあり方ということでございますが、これについては若干次の資料で補足をさせて頂きますと、次に資料集がついておりますが、この中の右下のページ数で15ページをご覧頂きたいと思います。

ここでは、現在の監査法人制度の概要を整理させて頂いておりますが、この1にございますように、現在の公認会計士法におけます監査法人は、公認会計士が5人以上共同して定款を定めて、設立の登記をするということで成立をするということで、会計士が5人以上集まって、共同で監査をするという、そういう人的な法人をイメージして法人が定められておりまして、3にありますように、そうしたことから監査法人のパートナー、社員は、それぞれ監査法人を代表すると。4にありますように、何らか問題が生じて監査法人の財産をもって債務の完済ができないというときには、各パートナーは連帯して責任を負う、いわゆる無限連帯責任を負っているという状態にあります。このイメージは個人の会計士が5人集まって共同で監査をする、それでその中で何か問題があれば共同で責任を負うというイメージで、これは昭和41年に監査法人制度が導入された時からこういう形で来ているわけですが、現実の特に大手の監査法人などを見ますと、例えばパートナーだけで数百人という数がおって、必ずしも共同で監査をするという実態にはないということで、かなり現実と法律の予定している監査法人制度との間には変わりが出てきているといった問題をどのように考えていくかということが指摘をされているところであります。

一方で、2枚めくって頂きますと17ページになりますが、先ほどの問題は民事上の責任ということになりますけれども、一方で刑事上の責任につきましては、カネボウ事案、ライブドア事案などで監査をやっていました個人の会計士については刑事上の責任が問われているところでありますけれども、監査法人に対しては、現在の法制下では罰条が存在しないというような点、その点についてどう考えるかといったようなことがまた一つの議論になっております。

さらに、18ページには行政上の責任、いわゆる懲戒処分の規定が整理してありますけれども、この(2)にありますように、現在、監査法人に対する懲戒処分の類型としては、戒告、業務停止、解散命令と3種類の懲戒処分類型が規定されておりますが、こうしたものがバリエーションとして十分かというようなことも議論をされておりまして、こうした民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任、こうしたものをトータルでバランスよくどのように考えていくかということが一つの大きな論点とされているところでございます。

 最初の紙に戻って頂きまして、公認会計士制度部会では、今後議論を重ねまして、年内を目途に報告書を取りまとめるという方針で運営がされているところでございます。

以上、検討状況についてご報告させて頂きました。

○貝塚会長
 ありがとうございました。

それでは、最後に貸金業制度に関する懇談会の検討状況について、大森信用制度参事官からご説明をお願いします。

〇大森信用制度参事官
 深刻化する多重債務問題に金融制度としてどう対処していくかにつき、昨年3月から1年強かけて金融庁懇談会で検討され、この4月、議論の整理が行われました。資料5-1でございます。

その後、与党においても精力的な議論が行われ、貸金業制度全体の包括的改革の基本的考え方が去る7月にまとめられました。資料5-2でございまして、大きくは貸金業の適正化、過剰貸付の抑制、金利体系の適正化の3つの柱からなっております。この考え方に沿って、政府としての改革のフィージビリティー等を詰めよという指示がございましたので、政府としての検討状況、資料5-3を昨日、自由民主党、本日、公明党にご報告し、与党での検討が再開されたところでございます。

この資料5-3、正確にご説明しようといたしますと1時間ぐらいかかりますので省略いたしますが、この間、懇談会からは厳格かつ実効性のある規制の枠組みをつくるべきと、多くの意見を頂きまして、それを踏まえ検討を続けているところでございます。

今後とも、多重債務問題の改善に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

○貝塚会長
 どうもありがとうございました。

それでは、以上ご報告頂きました。かなり多岐にわたる問題についてそれぞれご報告頂いたわけですが、以上のご説明に対するご質問、ご意見を含めまして、委員の皆様より自由にご意見を頂きたいと思います。何分にも時間が限られておりますので、質問の時間は余り、お1人長くとって頂かないことを希望いたします。どうぞご自由に。

質問なさそうなので私からちょっと一言だけ。貸金業につきましては、私はうんと昔、銀行局の徳田さんの時代に貸金業の話があって、その当時は200%とかそういう金利がありまして、それを抑えるということから始まりまして、現段階に来て今の段階で下げるという形になっております。そういうことで一言だけちょっと私、なかなか貸金業の実態というのは非常に複雑でして、要するに規制を強化すれば単に、あるいは金利を抑えれば単に物事が進むかと言えば、そうすると余り下げ過ぎるとヤミ金利が発生するということになって非常に難しい問題がありまして、そういう点を十分配慮して、実質的に有効性のある規制をお願いするのが一番重要だと思います。これは私の個人的な意見で質問ではありませんが、というふうに思いますが。

ほかにどうぞ、もし何か。

原委員、何かありますか。

〇原委員
 恐縮です。貸金業について毎日のように報道が出ていて、実際のところどれが本当なのかというのがよくわからなかったのですが、今日、資料で5-3ということでつけてくださったので初めて条文を、8月24日にも貸金業懇談会を開かれたのですけれどもここまで具体的な形ではなかったので、今回初めて詳しく中身を見させて頂いておりまして、それで質問をと言われても突然で挙げられなかったのですが、大体報道もかなりこの内容で伝えているんだなというようなことがちょっと見てわかりました。それで大変貸金業懇談会では白熱した検討を重ねたわけですけれども、やはり気になっておりますのが、短期小口の特例の扱いと、それから経過措置期間のお話と、それから過剰融資の部分についてということになるのですけれども、私としては、ぜひ8月24日に開かれた貸金業懇談会での検討結果を尊重して頂きたいと思っておりまして、そこで出ていた議論の中では、やはり短期小口の特例はかなり抜け穴的になるのではないかとか、それから短期小口についてもそれぞれイメージしている金額、それから用途、それから年限、期限についてもさまざまでしたので明確ではないということと、ニーズがあるのかどうかというところと、抜け穴になるのでそれはやめて頂きたいという、非常に限定的な形でつくるのは大変難しいだろうということでかなり異論が相次いだということなんですが、今回かなり具体的に書かれていて、ただ読んだときにさっと気になるのは1年50万、それから半年30万という金額なんですが、やはり50万、30万という金額は大変大きくて、例えば50万を1年で返却をするとなる、多分月々5万円ぐらいの返済でやっていかないとできないんだろうと思うのですが、年収200万から400万ぐらいの方々が借りられていると考えるとやはり月々5万円は返せないですね。実際には相談で自治体なんかにお見えになる方は相談料の5,000円さえ分納させてもらえないかというような形でお見えになるような感じなので、私はやはり実態とは違うのではないかというような感じがします。

それから、物価変動とあわせて利息制限法の刻みを上げたらどうかというのが8月24日の懇談会の資料でも出ていたのですが、これにも随分異論が出て、野村先生も異論の意見を出されていたと思うのですが、物価変動ということよりは、私たちの家計が払えるかどうかということで考えたらどうかという話が出ておりまして、やはりそこで随分反対意見が出たにもかかわらずそのまま残っているとかというようなところがありまして、全体に非常に事業者に配慮しているというイメージが強いということですね。

それからもう一つが、経過期間のことについても、24日は余り審議をする時間がなかったということで不十分なままだったのですけれども、報道で見るのでは、特例措置まで含めると最長9年まであり得るということで、これでは大変長いですね。確かに事業者の配慮というのがあるのかもしれませんけれども、やはり私は多重債務の今の現状を見ると、早急に手当をすべきは多重債務者への配慮のところだと考えております。24日の貸金業懇談会のときでも、もちろん多重債務に陥る人はあるけれども、8割の方はきちんと返しているというお話を事業者がなさっていたのですけれども、きちんと返せているということが健全な借り手ではなくて、大変苦しい状況で返している、今年3月に出された国民生活センターのデータを見ても、借金返済のために借金をしているという状況が続いているということが見てとれるわけで、8割の人が別に健全な借り手でいるわけではなくて、ほとんど疲弊した状況にあるということですね。

私の知っている方も当初50万円借りたのですが、19年間返し続けて返せなくて19年目に自己破産ですね。その間、年金の保険料も払えないままでしたから無年金になってしまったので、結局のところ福祉のお世話になるということです。私としては社会構造とか金融全体の構造から見ると、ぜひここの貸金の法制をきちんとしたものにして、そういう社会の疲弊するようなものを生み出さない形の構造にぜひして頂きたいと思います。事業者への配慮というのはもちろんお考えになるのだと思いますけれども、やはり社会全体を見たときの産業構造というのは時々刻々変化をしていくものなのですから、その中で考えて頂きたいと思っています。

○貝塚会長
 ただいまの、要するに懇談会で出されたご意見と、法改正で一応法律が出てきたということ、ある程度のギャップが感じられるけれども……
〇原委員
 具体的な情報を初めて今ここで見させて頂いたので。
○貝塚会長
 その辺あたりの、これは事務局の多少個人的な見解でもよろしいんですが、こういう形になったということについて何かご説明、これは結構あれだと思いますが、もしよろしければ。
〇大森信用制度参事官
 事業者への配慮ということではなく、まさに貝塚先生が先ほどおっしゃったように、金利を引き下げることによって事業者のリスク許容度が低下せざるを得ないと、貸さぬも親切みたいなことがあるのかもわかりませんけれども、借りなきゃいけない人もいるという中で、借り手の健全なニーズというものはどういうものなんだろうかということについて精いっぱい考えているところでございます。
○貝塚会長
 何かほかに、まだ多少時間がございますが。貸金業以外の問題についてももし何か、あるいはそれぞれの部会でいろいろご議論された、例えば関委員なんかは、何か。
〇関委員
 ございません。
○原委員
 もう一回確認させて頂いてよろしいですか。

何か報道によると、今は自民党の中で検討していらっしゃるんですよね。昨日から検討していらっしゃるということなのですが、実際には議員立法ではなくて、閣法で提出されるということなんですが、閣法になると、金融庁の中で検討する場面というのがまたあるかどうかということについてはいかがでしょうか。

〇大森信用制度参事官
 いつも国会、どういう法形式でということについては、まだ与党の方からご指示を頂いておりません。
○貝塚会長
 何かほかの件でも結構ですが。

高橋委員。

〇高橋委員
 今の貸金問題に関してです。借り手の健全ニーズというご説明がありましたけれども、事業者がおっしゃる健全な借り手が80%だということに関しては、本当にそうだろうかということは随分懇談会で議論されたところだと思うんですね。身内が返しているケースも多いですし、自転車操業になっている方も多いわけなので、その点は、私は8月の貸金業懇談会でほとんど議論は尽くしたというふうに思っております。閣法になるのであればなおさらのこと、貸金業懇談会の結論は金融審の結論といってもいいぐらいの重さがあるのではないかと。懇談会は金融審の第二部会が有識者委員を母体としてできたわけですし、かなりの意見の一致を見ているところが多いわけですので、そういう観点でご誠実にご対応頂きたいというふうに思っております。

先ほどのヤミ金が発生するというお話ですが、これも事業者の方も相当にご主張されたところなんですけれども、とにかくヤミ金に行かないようにすることが非常に重要です。政策金融であるとか、自治体の融資であるとか、共済制度であるとか、いろいろ幅広くオールジャパンで考えなければいけない問題だと思いますので、金融商品取引法と同じように、金融庁だけでは解決できない問題をもっと幅広くやって頂けるものと期待しています。そのあたりをあと短期間、残された期間で詰めて頂きたいと思っております。

以上です。

○貝塚会長
 ほかに何か、もう時間が余りございませんがご意見あれば。別に貸金業に限っているという話ではございませんが、どうぞ。

では、淵田委員。

〇淵田委員
 貸金業以外の話ですが、2004年の骨太の方針に対応して金融改革プログラムというのが導入されて、今、来年3月までこれを実行している最中であるわけですけれども、今までの事務局からのご説明を聞きますと、やはり金融改革プログラムに掲げられていた利用者保護ルールの徹底という面では随分進んだと評価できると思っております。

この上で、今後ということでは、骨太の方針2006で新たな挑戦の10年というふうに打ち出されているわけでございまして、それに対応した施策を検討し、実行していくというのが一つ金融行政としては期待されているのではないかと思っています。骨太の方針2006の中にも、金融関連の施策が幾つか挙げられていますが、どちらかというともう既に取り組まれているような項目が集められている点が多いと思いまして、ほかにも有意義な施策がいろいろあるのではないかという気がしております。もちろんいろんなキャッチフレーズに応じて行政をその都度変えていく必要はなく、粛々とやっていけばいいという面も多いと思うのですけれども、やはり経済のステージ自体が新しくなってきたという面もありますので、今後審議会等の場で新たな施策などを考えていければいいのではないかという感想を持っております。

○貝塚会長
 どうもありがとうございました。

そろそろ時間が来ましたので、ぜひともご発言、あるいはご質問したいという方がおありでしょうか。

それでは、総会の議事はこの辺で終了させて、本日の総会・分科会の合同会合はここで閉じさせて頂きます。

なお、議事につきましては、本日の夕刻、私の方から記者会見を行わせて頂きたいと思います。ご説明したいと思います。

それから、今後の日程などにつきましては、事務局より後日調整の上、ご連絡させて頂きたいと思います。

また、本日は、この後、第一部会の開催を予定しておりますので、開始時刻等につきまして、事務局より連絡をお願いします。

〇桑原企画課長
 第一部会を3時から予定しております。今の時刻ですと、あと10分休憩ということで、3時から始めたいと思います。

また、第一部会のみに出席される委員、皆様の横に並ばれますけれども、今ここに出席して頂いている委員のお席は基本的にはそのままでございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3513)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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