金融審議会総会(第29回)・金融分科会(第17回)合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成25年2月27日(水曜日)15時30分~17時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用特別第一会議室

○長谷川企画課長

定刻よりちょっと前ではございますが、委員の皆様全員おそろいでございますので、ただいまから第29回金融審議会総会を開催させて頂きます。

本日は、皆様ご多用のところご参集頂き、ありがとうございます。また、金融審議会委員へのご就任をお引き受けくださいましたことにつきまして、改めて御礼を申し上げます。

申しおくれましたが、私は総務企画局企画課長の長谷川と申します。この後、新会長を選任して頂きますが、それまでの間、私が議事の進行をさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、麻生金融担当大臣は国会審議の関係で欠席させて頂いております。また、島尻政務官は、別の会議が終了次第、おくれて到着される予定でございますので、ご了承頂ければと思います。寺田副大臣にご出席頂いておりますので、総会の開催に当たりましてご挨拶を頂きたいと思います。

それでは、寺田副大臣お願いいたします。

○寺田副大臣

ご紹介にあずかりました金融担当の副大臣の寺田稔でございます。今日は、先生方におかれましては大変お忙しい中、こうしてお運びを頂き、また委員のご就任、ご快諾を頂き、心から感謝を申し上げますとともに、常日ごろより金融行政に対しまして多大なるご支援並びにご指導を賜っておりますことを、まずもって感謝を申し上げる次第であります。

今日はちょうど3つのワーキングで報告書が提出をされる運びということで、これからその報告等もしっかり踏まえまして、金融資本市場、またさらに日本経済の浮揚と発展に向け、我々力を合わせていくことを、まずもってお誓いを申し上げる次第でございます。

座ってお話をさせて頂きます。私もちょうど80年から2004年まで24年間、大蔵省、また現財務省でお仕事をさせて頂き、ちょうど昭和の末期から平成10年に至りますまで、当時の銀行局また証券局、また国際金融局、いわゆる金融3局経験をさせて頂き、当時の金制調の先生方とはご講義も賜り、大変親しくご指導頂いたところであります。当時の日米の金融協議、あるいはまたSIIをはじめといたしますさまざまな金融協議、そしてまた金利の自由化に代表されるような金融の自由化の問題、また、証券市場の活性化の問題等々、行政の立場で参加をさせて頂きましたが、今回は担当の副大臣ということで、また先生方とご講義賜らんことを大変楽しみにいたしてまいりました。

ご承知のとおり、安倍内閣におきましては、規制改革を一丁目一番地と位置づけまして、私も規制改革の担当の副大臣を仰せつかっております。4つの重要分野が指定をされました。その4つの分野でそれぞれ規制改革会議でもワーキングが立ち上がるわけでありますが、雇用の問題、あるいはまた医療の問題、あるいは環境エネルギーの問題とともに、創業等という分類におきまして、新規産業の創出でありますとか、あるいはIPOをはじめといたします金融面からの経済の活性化と底上げ、これを規制改革会議でも大変重要な議題として、これから取り扱ってまいります。私もこの規制改革の金融関係のワーキング、これからも議論を深めてまいりたいと思います。

昨年の9月、改正金商法が公布になりまして、ご承知のとおり、金融審議会でご審議を賜りました総合取引所の創設に向けて、いよいよ今、最終段階、府令の改正等の手続に入っております。ちょうど6年前、時あたかも第1次の安倍内閣のもとにおきまして、当時の骨太の方針が打ち出されました総合取引所も、いよいよスタートする。そしてまた、今現在、今国会で法案提出を予定しておりますところの、いわゆる投資法人の資本政策手段の多様化の問題。あるいはまた、これからご審議、ご議論も賜りますところの保険分野におけます自由化の問題。これは保険会社の業務のスコープの拡大の問題と、いわゆる保険の商品設計の自由化の問題、両方の問題を包含いたしております。こうした諸点につきまして、先生方のご指導をぜひとも賜りたい、そのように考えています。

金融の分野もまさに日進月歩であります。平成4年12月の、いわゆる定額郵貯のキャップルールのときは、いかに郵便貯金を民業補完に位置づけるかということで、私も担当としてその交渉の一旦を担わせて頂いたわけでありますが、日本郵政も、ご承知のとおり民営化をされ、今回の震災対策の財源として、その株式を売り出す。4兆円という財源を、日本郵政の民営化の株式の売り出しによって調達をする方針も打ち出されております。そうした民営化企業のIPOの問題も、これから本格化をしてまいります。

また、金融分野の規制緩和で非常に大きな議題となっておりますところの資金調達におけるさまざまな規制の撤廃。あるいは、非常に我が国が今、薄い部分、弱い部分でありますところの成長マネー、リスクマネーの供給におけますエクイティ部門の自由化の問題、こうした問題なども、これから規制改革の場でも議論が取り進むわけでありますが、ぜひとも金融審議会の場におきましても、先生方の忌憚のないご意見、またご指導を賜らんことを切望するものであります。

今日は限られた時間ではありますが、ご審議のほど、よろしくお願い申し上げまして、また、これからいろいろな形で先生方にはお手をお煩わせをし、ご指導を頂く局面も多いかと思います。ぜひとも安倍内閣のそうした方針、ご理解賜らんことを切望いたしまして、私からの冒頭のご挨拶にかえさせて頂きます。

どうか、先生方、よろしくお願いをいたします。

○長谷川企画課長

ありがとうございました。

テレビカメラは、ここで退室してください。

(報道関係者退室)

○長谷川企画課長

それでは、議事を進めさせて頂きたいと思いますが、本年1月25日の委員改選後、初めての会合となりますので、委員の皆様をご紹介させて頂きます。なお、全体の名簿につきましては、お手元にお配りしております資料にございますので、適宜ご参照して頂ければと存じます。

座席順にご紹介させて頂きます。委員の皆様からごらんになって右側のほうから、秋池玲子委員です。

○秋池委員

秋池でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

川島千裕委員でございます。

○川島委員

川島です。よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

川波洋一委員でございます。

○川波委員

川波でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

神作裕之委員でございます。

○神作委員

神作でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

神田秀樹委員でございます。

○神田委員

神田でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

黒沼悦郎委員でございます。

○黒沼委員

黒沼でございます。よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

河野栄子委員でございます。

○河野委員

河野でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

洲崎博史委員でございます。

○洲崎委員

洲崎でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

田島優子委員でございます。

○田島委員

田島でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

永沢裕美子委員でございます。

○永沢委員

永沢でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

原田喜美枝委員でございます。

○原田委員

原田でございます。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

福田慎一委員でございます。

○福田委員

福田でございます。

○長谷川企画課長

家森信善委員でございます。

○家森委員

家森です。どうぞよろしくお願いします。

○長谷川企画課長

吉野直行委員でございます。

○吉野委員

吉野です。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

また、本日は後ほど、金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループにおける審議の結果及び報告書のご説明を頂くため、同ワーキング・グループの岩原座長にもご出席頂いております。

○岩原銀行WG座長

岩原でございます。どうかよろしくお願いします。

○長谷川企画課長

なお、本日は大崎貞和委員、太田克彦委員、沖野眞巳委員がご欠席でございます。

次に、事務局のメンバーを紹介させて頂きます。副大臣から見て、左手のほうからでございますが、畑中金融庁長官でございます。

○畑中長官

畑中です。どうぞよろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

河野国際政策統括官でございます。

○河野国際政策統括官

河野です。よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

桑原検査局長でございます。

○桑原検査局長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

岳野証券取引等監視委員会事務局長でございます。

○岳野証券取引等監視委員会事務局長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

中村総務企画局総務課長でございます。

○中村総務企画局総務課長

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

寺田検査局総務課長でございます。

○寺田検査局総務課長

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

中島総務企画局政策課長でございます。

○中島政策課長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

油布総務企画局政策課総合政策室長でございます。

○油布政策課総合政策室長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

田原総務企画局総務課国際室長でございます。

○田原国際室長

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

財務省より、栗原信用機構課長でございます。

○栗原財務省信用機構課長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

また、幹事として、門間日本銀行理事でございます。

○門間日本銀行理事

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

次に、皆様からごらんになって右側、私の右側からでございますが、森本総務企画局長でございます。

○森本総務企画局長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

池田総務企画局審議官でございます。

○池田総務企画局審議官

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

藤本総務企画局信用制度参事官でございます。

○藤本総務企画局信用制度参事官

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

古澤総務企画局市場課長でございます。

○古澤総務企画局市場課長

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

伊野総務企画局企画課保険企画室長でございます。

○伊野総務企画局企画課保険企画室長

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

栗田総務企画局企業開示課長でございます。

○栗田企画開示課長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

佐藤総務企画局企画課調査室長でございます。

○佐藤調査室長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

増田総務企画局市場課市場機能強化室長でございます。

○増田市場機能強化室長

よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

横尾総務企画局市場課企画官でございます。

○横尾市場課企画官

よろしくお願いします。

○長谷川企画課長

以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは次に、金融審議会会長及び金融分科会会長をお決め頂きたいと存じます。金融審議会令第4条第1項及び第5条第3項の規定によりまして、委員の互選により選任することとされておりますので、皆様のご意見を伺いたいと思います。

どうぞ。

○神作委員

私は、当審議会におけるご経験なども踏まえますと、吉野委員をご推薦申し上げたいと存じます。

○長谷川企画課長

今、神作委員から、吉野委員を推薦するというご発言がございましたが、ほかにいかがでございましょうか。

どうぞ。

○秋池委員

私も吉野委員が適任かと存じます。さまざまな研究会ですとか、それから審議会のご経験も豊富で、的確に議事を進行くださるものと思います。

○長谷川企画課長

ありがとうございます。

ほかにご発言はございますでしょうか。いかがでしょうか。

ほかにご意見がないようでしたら、金融審議会会長及び金融分科会会長には吉野委員が互選されたということになろうかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○長谷川企画課長

ありがとうございます。

それでは、ご異論ございませんようですので、吉野委員のご承諾をもって、会長、金融分科会会長の就任をお願いしたいと思いますが、吉野委員いかがでございますでしょうか。

○吉野委員

皆様のご推薦でございますので、一生懸命やらせて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○長谷川企画課長

ありがとうございます。

それでは、吉野委員、恐縮ですが、会長及び分科会長をお願いいたしたいと思いますので、会長席にお移り頂ければと思います。

それでは、新会長よりご挨拶を頂き、その後の議事進行をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○吉野会長

慶應義塾大学の吉野でございます。ただいまご推薦を頂きまして、ありがとうございます。

先ほど副大臣からもいろいろお話ございましたけれども、私も二、三、考えていますことを申し上げさせて頂きたいと思いますが、1つは、1,500兆円の家計金融資産があるとよく言われますけれども、もし、この金融資産が3%で利回りを上げてくれれば、45兆円が入ってくるわけでありまして、これがちょうど財政赤字と同じ金額になります。ですから、ここに多分たくさん金融機関の方がおられると思うのですけれど、頑張って3%で回してください。そうすれば、消費税も上げなくて45兆円が入るわけですから。

それとの関係で申しますと、最近株価が上がっているのですけれども、一番もうけているのは外国人だと言われていまして、ほとんど日本人は儲けられていない。やっぱり、もう少しいろいろなチャンスを考えながら、日本人がもっと日本の1,500兆円の金融資産を高く回せないかなと。ぜひ、こちらに金融機関の方々がおられましたら、ほんとうに頑張って頂きたいというのが1つの感想でございます。

それとの関連で参りますと、投資信託とか保険のいろいろなグループのご意見を聞かせて、後でご報告があると思うのですけれども、販売をする方々と、それから投資信託を買ったり、保険を買ったりする消費者の方の目的関数が違っているということをよく感じました。それは、販売をする方々は手数料、報酬が最も高いといいわけですが、商品を買う個人消費者は配当とか、その利便性が一番高いのがいいわけであります。残念ながら、これまでは一部の商品は手数料、報酬と、それから消費者の配当利回り、あるいは消費者の利便というものが必ずしも一致していませんでしたので、そうすると販売をする会社の方々は、どうしても販売手数料、報酬の高いのを販売するということになってしまっていたように思います。

そういう意味で、やはり利用者、それから投資家、そういう方々の一番利益、満足が得られる方法で手数料、配当、報酬も、これも一緒に動くという制度にすれば、多分日本人の皆様は目標に向かって動くのが非常に得意ですから、多分日本が一番世界でも冠たる運用の国になるのではないかと思います。

ちなみに諸外国で一番運用成績がいいのは、ドイツが一番で、それからアングロサクソンのアメリカとかイギリス、日本は残念ながらOECDの中では下のほうであります。そういう意味では、やはりこういう金融審議会も通じながら、いい制度にして、そして日本が1,500兆円をもっと有効に使えるようにして頂ければと思っております。

それからもう一つは、先ほど副大臣から成長への資金というお話がございました。現在の日本の資金の流れを見てみますと、ご承知のように貯蓄が金融機関を通じて国債に回っている。その国債が社会保障とか老人の方々にたくさん行く。そうすると、よく教科書では貯蓄が投資のインベストメントに行きまして、それが資本ストックになって成長するというわけですけれども、日本の資金の流れは、貯蓄が国債に行って、それが社会保障に行く。やはりこれでは絶対成長ができないわけでありまして、そういう意味では、やはり国債の発行も減らして頂いて、国債に資金が行かないようにすることと、やはり成長分野にいかに資金を流すかということだと思います。

成長分野の資金の流れとしては、最近さまざまファンドとか、そういうものが出てきておりますけれども、これも最初うまく販売はされるのですけれども、全部損をする商品ですと、後に続かなくなると思います。そういう意味では、それを運用する販売会社、それから運用会社の方々のリターンが消費者のリターンと合うような、そういう手数料、報酬体系にすることによって成長分野に資金が流れ、それが個人の収益としても上がるということが重要ではないかと思います。

今回の、これから多分2年間の間、皆様と一緒に金融審議会でやらせて頂きたいと思いますけれども、日本の金融の資金の流れがうまく成長のほうに向いて、そして日本が金融資産で稼げて、それが利子配当として入ってきて消費も増え、それで経済成長が回復されるということが一番重要だと思いますので、副大臣、大臣も含めまして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ただいま右のほうに島尻政務官、まだお越しでないですけれど、間もなくお越しになると思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、もう一つありまして、金融審議会では会長の代理、あるいは分科会長の代理というのを選任する必要がございます。金融審議会法令の第4条第3項及び第5条第5項によりますと、会長代理、分科会長代理は会長、分科会長が指名することになっております。私といたしましては、これまでの金融審議会のご経験、さらに学術的な幅広いご見識から、神田先生に会長代理及び分科会長代理をお願いしたいと存じますけれども、神田先生、よろしいでしょうか。

○神田委員

はい。

○吉野委員

ありがとうございます。それでは、神田先生にお引き受け頂きましたので、どうもありがとうございました。

続きまして、議事運営についてですが、金融審議会議事規則及び金融分科会議事規則にのっとりまして、今後ともこの金融審議会を続けてまいりたいと思っております。また、この金融審議会は原則として公開とさせて頂きたいと思いますので、ご承知おき願いたいと思います。

それから、部会長は会長が指名することとなっておりますので、私から自動車損害賠償責任保険制度部会の部会長を洲崎委員にお願いしたいと思います。また、公認会計士制度部会は私が務めさせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○吉野会長

それでは、進めてよろしいでしょうか。それでは、金融審議会のところで設置されました各ワーキング・グループの検討状況につきまして、これからご報告を頂きたいと思います。

まず最初は、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループが最初でございます。それから2番目が、インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ、これの審議結果、それからご報告に関しましては、両方ともワーキング・グループの座長を頂いております神田先生からお願いしたいと思います。

神田先生、よろしくお願いいたします。

○神田委員

神田でございます。

それでは、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループのほうからご報告をさせて頂きます。このワーキング・グループは、昨年の3月から13回にわたって審議を行いました。その結果を昨年の12月7日に取りまとめました。お手元の資料1-1が最終報告でありまして、1-2が、その概要を分かりやすく表したものであります。これに沿って簡単にご報告をさせて頂きます。

まず、投資信託制度ですけれども、これにつきましては国際的な規制の動向や、経済社会情勢の変化に応じた規制の柔軟化、それから一般投資家を念頭に置いた適切な商品供給の確保等を図る観点から審議をいたしました。

審議の結果でありますけれども、まず第1に、規制の柔軟化に向けて、約款の変更や投資信託の併合等に関する書面決議制度の見直しなどを進めていくことが適当であるとの結論に至りました。

○神田委員

第2点目といたしまして、同時に投資信託商品の複雑化やリスクの複合化が進む中で、合理的な投資判断のための環境を整備するという観点から、受益者に対する運用報告書の改善を図ること、受益者がトータルリターン、これは配当の累積額とキャピタルゲインを合わせたものになりますけれども、これを把握しやすくするため、定期的に通知する仕組みを導入すること。個々の投資信託における商品のリスクの定量的把握と比較が可能となるよう、わかりやすく表示することといった手当ても進めていくことが適当であるとの結論に至りました。

次に、投資法人制度でありますけれども、これにつきましては資金調達手段の多様化を含めた財務基盤の安定性の向上や、投資家からより信頼されるための運営、それから取引の透明性の確保等を図る観点から審議を行いました。

審議をいたしました結果ですけれども、第1に、投資法人の資金調達、資本政策手段の多様化が求められているとの指摘を踏まえまして、ライツ・オファリング、無償減資、及び自己投資口取得の導入に向けた制度の整備を進めることが適当であるとの結論に至りました。

また、第2に、従来インサイダー取引規制の対象とされていなかった上場投資法人に係る投資証券の取引について、投資法人特有の事情を考慮しつつ、同規制の対象とすることが適当であるとの結論に至りました。

以上、簡単でございますが、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループの最終報告の概要をご報告させて頂きました。

○吉野会長

神田先生、どうもありがとうございました。

それでは、ただいま島尻政務官がご到着ですので、一言ご挨拶をお願いいたします。

○島尻政務官

ただいまご紹介賜りました、政務官を務めております島尻安伊子と申します。まず、各委員の皆様方、各部会、分科会においてご審議を頂いておりますことに、心から感謝を申し上げたいと思っております。

言うまでもなく、安倍総理がアベノミクスを堂々と掲げまして、我々今、日本の強い経済を取り戻すということでやっているわけでございますけれども、その中で、実は私、復興庁の政務官も兼ねておりまして、これから復興を加速度的に進めていくという中で、二重ローンの問題というのが現実化していくだろうと見ております。

そういう意味からも、ぜひ委員の皆様方のこれからのご協力、ご尽力ということもあわせてお願いを申し上げたいと思っております。

寺田副大臣、今日はお隣に見えておりますけれども、専門家でございますので、副大臣のご指導も賜りつつ、また一生懸命頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

○吉野会長

島尻政務官、どうもありがとうございました。

それでは、神田先生に引き続きまして、インサイダー取引規制に関するワーキング・グループの報告書をお願いいたします。

○神田委員

それでは、インサイダー取引規制に関するワーキング・グループの審議をご報告させて頂きます。このワーキング・グループは、昨年の7月から12月までの間、7回にわたりましてインサイダー取引規制に係る見直しについて審議を行いました。昨年12月25日に取りまとめをいたしました。お手元の資料2-1というのが報告書でありまして、2-2のほうが概要をわかりやすく示したものであります。これに沿って簡単にご報告させて頂きます。

まず1といたしまして、情報伝達・取引推奨行為に対する規制についてであります。最近のインサイダー取引事案では、会社関係者等からの情報受領者が違反行為を行っている者が多く、また上場会社の公募増資に際し、引受け主幹事証券会社からの情報漏えいに基づくインサイダー取引事案も生じているという状況にあります。

このような点を踏まえまして、取引を行わせる目的等で情報の伝達、取引の推奨、これを行い、その結果インサイダー取引等が行われたような場合に、刑事罰と課徴金の対象とすることが適当であるとの結論に至りました。

また、証券会社など、上場株券等の仲介業務を担う者について、課徴金額の計算方法について、より抑止効果の高いものとすることや、補助的な役割を担った者を除き、実行行為者の氏名を公表することが適当であるとされました。

さらに、投資家側に対する対応といたしまして、機関投資家等の運用担当者等が取引上の立場を利用して重要事実を要求するなどによりインサイダー取引を行った場合について、違反行為の中心的役割を担った者等の氏名を公表することが適当であるとされました。

次に2番目、「他人の計算」による違反行為に対する課徴金の見直しについてであります。最近のインサイダー取引事案におきましては、資産運用業者が顧客の計算で違反行為を行った場合の課徴金額が、違反抑止の観点から、著しく低いとの指摘があります。この点につきまして、資産運用業者は違反行為によって将来にわたり継続的に運用報酬を維持・増加させることが可能でありまして、その利得は顧客からの運用報酬全体に及んでいると考えられるため、一定期間、例えば3カ月の運用報酬額を基準とする計算方法に見直していくことが適当であるとの結論に至りました。

次に、3番目の、近年の金融・企業実務を踏まえた規制の見直しについてであります。近年の金融・企業実務を踏まえ、インサイダー取引規制の対象者、これは公開買付け者等の関係者、の範囲の拡大。それから公開買付け等事実の情報受領者が行う一定の取引に係る適用除外の導入。それから重要事実を知っている者の間での取引に係る適用除外の拡大。そして重要事実を知る前の契約、または計画に基づく売買等の適用除外の見直しといったことを行うことが適当であるとの結論に至りました。

最後に4といたしまして、インサイダー取引等の未然防止に向け、金融庁、証券取引等監視委員会、金融業界、金融商品取引所におきまして、それぞれの立場において求められる取り組みを推進・継続することが適当であるとされました。

以上、簡単でございますが、インサイダー取引規制に関するワーキング・グループの報告書の概要をご報告させて頂きました。

○吉野会長

神田先生、どうもありがとうございました。

それでは次に、岩原先生から、金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループの報告書、ご説明をお願いいたします。

○岩原銀行WG座長

ただいまご紹介頂きました、金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループの座長の岩原でございます。本ワーキング・グループにおきましては、昨年4月から今年1月までの間、14回にわたり金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方について審議を行いました。

以下、お手元の資料3-1にございます、1月25日に取りまとめた報告書につきまして、お手元の資料3-2の概要紙に沿ってご報告を申し上げます。よろしゅうございましょうか。

まず、金融機関の秩序ある処理の枠組みの整備について申し上げます。リーマン・ブラザーズの破綻等に端を発します国際的な金融危機の中で、システム上重要な金融機関の破綻等が金融市場を通じて伝播し、実体経済に深刻な影響を及ぼすおそれがあることが明らかとなりました。その経験を踏まえ、金融機関の実効的な破綻処理に関する新たな枠組みについて国際的に議論が進められ、G20サミットで合意されました。

こうした国際的な流れを踏まえ、市場等を通じて伝播するような危機に対して、金融機関の秩序ある処理を実現する枠組みを整備する必要があるとの結論に至りました。

次に、外国銀行支店に対する規制について申し上げます。現在、外国銀行支店は、外国銀行の現地法人や国内銀行と同等の業務が可能とされております。その一方で、外国銀行支店に対しては、国内銀行の資本金に対応する規定のような健全性確保のための規制が課されておりません。こうした現状に対し、我が国預金者の保護や、金融システムの安定を図るため、外国銀行支店に対し免許付与の審査基準を明確化することや、国内銀行の最低資本金に相当する金額の積立てを義務づけること等が適当であるとの結論に至りました。

次に、大口信用供与等規制について申し上げます。大口信用供与等規制は、銀行等(グループ)による特定の企業(グループ)に対する貸出等の信用供与等が、銀行等の自己資本の一定割合を超えることを禁止するものであります。我が国の現在の規制は、国際基準と乖離しており、IMFからも規制の強化が求められております。

このため、銀行等の健全性を確保する観点から、信用供与等の範囲や限度額等について、規制を国際的な水準に適合させることが適当であるとの結論に至りました。

次に、銀行等による議決権保有規制について申し上げます。現在、銀行等とその子会社が国内の一般事業会社の議決権を合算して5%を超えて保有することは原則として禁止されております。この規制は、銀行の健全性を確保するため、引き続き重要でありますが、その一方で、事業再生や地域経済再活性化等も重要な課題となっております。このため、現行規制の枠組みを基本的に維持しつつ、事業再生や地域経済再活性化に資する効果が見込める場合について、規制の例外を設けること等が適当であるとの結論に至りました。

そのほか、外国銀行の業務の代理・媒介に係る規制の見直しや、海外M&Aに係る銀行等の子会社の業務範囲規制の見直しを行うことが適当であるとの結論に至りました。

以上、簡単ではございますが、金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループの報告書の概要をご報告させて頂きました。

○吉野会長

岩原先生、どうもありがとうございました。

それでは、3番目のワーキング・グループであります保険商品サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループの審議の状況につきまして、洲崎先生からお願いいたします。

○洲崎委員

それでは、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ、以下保険ワーキングと略させて頂きますが、この保険ワーキングにおける審議状況について報告をさせて頂きます。資料4をごらんください。表紙をおめくり頂きまして、資料1ページでございますが、ここにございますように、保険ワーキングは昨年4月11日の諮問を受け、一、保険契約者の多様なニーズに応えるための保険商品やサービスの提供及び保険会社等の業務範囲の在り方、及び二、必要な情報が簡潔でわかりやすく提供されるための保険募集・販売の在り方等について幅広く議論を行うために組成されました。

資料の2ページにお進みください。保険ワーキングでは、昨年6月7日に第1回会合を開催して以来、10回にわたり諮問事項について議論を行っております。具体的には、保険商品・サービスのあり方については、不妊治療費を補填するための保険や、保険金受け取りにかえてサービスの給付を選択できる保険などの新しい保険商品。子会社による保育所の運営の解禁をはじめとする、保険会社グループの業務範囲規制のあり方。保険の共同行為制度等の見直し。この3点について。

また、保険募集・販売ルールのあり方については、保険募集人に対する情報提供、意向把握、体制整備などの義務の導入や、募集文書の簡素化など、保険募集に係る行為規制、募集文書のあり方。乗合代理店・保険仲立人に係る規制のあり方。そして保険募集の適用範囲。この3点について検討、議論をしております。

これらの項目について、本年5月から6月の報告書とりまとめを目指して、さらに検討、議論を行っていく予定です。

以上でございます。

○吉野会長

洲崎先生、どうもありがとうございました。

ただいま3人の先生から、それぞれのワーキング・グループに関しましてご報告、あるいは進捗状況のご説明がございましたけれども、何かご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。

河野委員、どうぞ。

○河野委員

今、最後にご説明頂きました保険商品・サービスの提供の在り方に関するというところの2ページ目で、これは質問なのですけれども、要するに保険会社、グループの業務範囲規制のあり方についてということで、(子会社による保育所の運営等)と書いてありますけれども、これは保育所というのは一般向けの受け入れができる保育所という意味と受け取ってよろしいのでしょうか。

○洲崎委員

一応そのようなものと理解しております。

○河野委員

では、特に保険会社に、あるいはグループ会社に対する保育所という意味ではなく。

○洲崎委員

そのようなものではございません。

○河野委員

そうですね。わかりました。ありがとうございました。

○吉野会長

ほかにご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

特別にご意見、あるいはご質問がなければ、この3つのワーキング・グループの報告書につきましては、今日お越しになっておられません麻生大臣に、私から別途お渡しさせて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、続きまして事務局から、最近の金融行政の動向といたしまして、今年の1月に緊急経済対策の金融関連の諸施策、あるいは国際的な金融規制改革、こういうものが変わってきておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。

それでは長谷川企画課長、お願いいたします。

○長谷川企画課長

それでは、まず私から、本年1月の緊急経済対策関連の諸施策について簡単にご紹介するとともに、その後、国際室から国際的な金融規制改革の動向について説明をしたいと思います。

まず資料5-1をごらん頂ければと思います。資料5-1の表紙と目次をめくって頂きまして、2ページでございます。これが本年1月に閣議決定されました緊急経済対策の金融分野における主な施策でございます。大きく四角が2つございます。柱が2つございますが、まず左側の中小企業・小規模事業者等への支援でございます。このうち、上の2つの四角の項目につきましては、本年3月末に期限到来を迎えます中小企業金融円滑化法の期限到来に伴う総合的な対策に関連するものでございますので、後ほどまとめてご説明したいと思います。

3番目の四角の個人保証制度の見直しでございますが、個人保証につきましては、一昨年監督指針を改正いたしまして、経営者以外の第三者からの保証については、原則禁止するという扱いをしております。ここでは経営者本人の保証につきまして、創業あるいは事業再生を促進する観点から、何らかの限定ができないかということで検討しているというものでございまして、現在、中小企業庁と金融庁で共同の研究会を立ち上げて検討をしております。

また、法務省の法制審におきましても、民法の改正の審議の中で、この個人保証制度についても検討が行われていると承知しておりますので、その動向も踏まえながら検討を進めていきたいと考えております。

その下のABLの活用促進でございますが、ABLの活用を促進する観点から、今般、金融検査マニュアルの運用を明確化しております。これも後ほど簡単にご説明いたします。

右側の柱は、金融・資本市場の活性化等でございますけれども、最初にアジアのNo.1市場の構築とありますけれども、最初副大臣からもご説明がありましたような総合取引所の創設につきまして、昨年金商法の改正を行って、法律レベルでは制度の整備を行っておりますけれども、今後政令なり内閣府令なりといった制度の詳細について検討を早急に進めますとともに、実際に総合取引所を実現するという、関係者間の取り組みについて促進をしていきたいと考えております。

その下のJ-REIT市場の活性化につきましては、今ご報告がありましたワーキングの報告書を踏まえた環境整備を行ってまいりたいと考えております。

それから、金融経済教育の推進でございますが、今後、下にもありますような日本版ISAも活用しながら、個人のリスク資産への投資を促進していきたいと考えておりますが、その前提として、金融リテラシーの向上というのは必須だと考えております。現在、金融庁の金融研究センターにおきまして、センター長でもあられます吉野会長も入って、研究会を立ち上げて検討を行っているところでございます。

それから、アジアの金融インフラ整備支援でございますが、アジア諸国に対して金融インフラ、法制度や決済システムなどの整備について技術支援を行うということをしておりまして、これは単なる技術支援のみならず、アジアにおいて我が国のすぐれた金融に関する諸制度を普及し、スタンダード化していくということもにらんでの対応でございます。

最後の、日本版ISA等につきましては、また後ほどまとめてご説明したいと思います。

3ページ、4ページは、緊急経済対策の本文でございますので、省略いたします。

5ページをお開き頂ければと思います。円滑化法の期限到来に当たって講ずる総合的な対策の一覧でございます。柱は3つございますけれども、最初の柱は、金融機関による円滑な資金供給の促進ということでございます。円滑化法の期限到来に伴いまして、中小企業の方々からは金融機関の融資態度が厳しくなるのではないかとか、条件変更に応じてもらえないのではないかといった不安の声が聞かれます。そういう不安を解消する観点から、円滑化法終了後も、引き続き貸付条件の変更や、円滑な資金供給に努めるということを金融検査マニュアルや監督指針に明記をいたしまして、検査・監督で徹底するということでございます。

そもそも銀行法1条の目的規定にも、金融の円滑ということがうたわれていることからもわかりますように、金融機関は本来、条件変更も含めた金融の円滑に努めていくべきでございますので、その点を改めて検査マニュアルや監督指針に明記するというものでございます。

それから、3番目の丸では、金融業界におきましても、円滑化法終了後も貸付条件の変更等に真摯に対応していくということを申合せをしているところでございます。

大きな柱の2番目は、中小企業等に対する経営支援の強化であります。円滑化法の実施状況を見ますと、入り口の条件変更については9割以上実施しておりまして、問題なく定着をしているわけですけれども、その後の経営支援、経営改善計画の策定支援のようなことについては、必ずしも十分行われていない面もございますので、引き続き金融機関に対して中小企業等の経営支援に努力するよう、検査マニュアルや監督指針に明記をして、検査・監督で徹底していきたいと考えております。

その下の丸は、独力では経営改善計画の策定が困難な零細事業者につきましては、全国の認定支援機関が計画策定を支援することにしております。認定支援機関といいますのは、中小企業庁の制度でございまして、税理士や弁護士、その他、商工会、地域金融機関など、全国で5,000以上の機関が認定を受けておりますが、こういった認定支援機関が零細事業者の経営改善計画の策定を行っていく。そのための費用については、一部、国庫補助枠となることとしておりまして、補正予算に措置が行われています。

また、各都道府県にあります中小企業再生支援協議会の機能強化も行う予定でございまして、そのための費用についても補正予算で措置をされているところでございます。

右上の最初の丸でございますが、企業再生支援機構を地域経済活性化支援機構に改組・機能拡充することにしておりまして、これは関連の法案が昨日、参議院の本会議で可決して成立したところでございます。

内容につきましては、7ページをごらん頂ければと思います。右側に「地域経済活性化支援機構」という箱がございまして、左側に「地域」とあって、その下に事業再生を目指す企業などが書いてございます。従来の企業再生支援機構は、1の直接の再生支援に限定されておりまして、中身としては、真ん中に書いてありますが、再生計画の策定支援や債権者間調整、債権買い取り、出資・融資等でございます。この機能について、本来、今年の3月末で期限が到来するところでございましたけれども、この支援決定期限を5年間延長するとともに、個々の企業への支援期間についても、中小企業の特性を踏まえまして、従来3年でありましたが、これを5年以内に延長しております。それから、支援対象事業者名を従来公表しておりましたけれども、これをやりますと、風評が立ちまして、その結果、中小企業としては利用を躊躇することもございましたので、支援対象事業者名の公表は大企業に限定することにしております。

そのほか、2・3とありますけれども、2地域の再生現場の強化ということで、中小企業再生支援協議会や地域金融機関、事業再生ファンドといった地域の企業を支援する機関に、専門家を派遣したり、あるいは出資や融資を行うことによって、間接的に支援を行う仕組みも付加いたしました。また3にありますように、事業再生にとどまらず地域活性化に資するような支援の機能も付加しております。こういうことで機能を付加いたしましたことから、名前も企業再生支援機構から地域経済活性化支援機構と名称を変更いたしまして、機能も拡充したというものでございます。

5ページに戻って頂きまして、右側の2番目の丸でございますが、経営支援とあわせた公的金融・信用保証による資金繰り支援、政策金融についても強化をしております。

3番目の丸ですが、全都道府県に中小企業支援ネットワークを構築しまして、さまざまな中小企業を支援する機関がございますけれども、これらが連携をしながら中小企業に対して経営改善支援を行っていく取り組みも講じてございます。

大きな3番目の柱ですけれども、こうした諸施策について個々の借り手に説明・周知を行っていくということでありまして、まずは金融機関自身が顧客に対して、顧客への対応方針が不変であることを説明することにしております。特に、信用金庫、信用組合におきましては、条件変更を行っている顧客企業に対して、個別に理事長名でレターを出す取り組みも行っているところでございます。また、次の丸にありますように、商工会や税理士会などからも幅広く説明をして頂いております。また、金融庁の副大臣、政務官、幹部職員が手分けをしまして、全都道府県で、企業向け、金融機関向けの説明会も実施しているところでございます。それから、全国の財務局・財務事務所に、中小企業等金融円滑化相談窓口を、今週月曜日に設置しておりまして、中小企業等からの個別の相談、苦情、要望に対してもきめ細かく対応する取り組みも行っているところでございます。

以上が、総合的な対策の一覧でございまして、6ページはこれをイメージにしたものでございます。以上が、金融円滑化法の関係でございます。

次に、8ページをごらん頂ければと思います。ABLの積極的な活用でございます。ABLは、企業が保有します在庫等の動産や売掛金等の債権などを担保とする融資でございます。現状、金融機関の融資の担保は不動産担保が中心でございまして、動産・売掛金担保はあまり活用されておりません。しかしながら中小企業は不動産はあまり保有しておりませんので、こういう動産・売掛金担保融資は、中小企業金融にとっては非常に有効なものだと考えられます。

そこで、このABLをより一層活用してもらうという観点から、検査マニュアルの明確化を行っております。具体的には、最初にありますように、検査マニュアルにおきまして、「一般担保」要件の明確化を行っております。一般担保として認められますと、その部分は回収ができることになりますので、金融機関としては、その部分については引当金を積まなくて済むことになる。そういったことで使い勝手がよくなるわけですので、この一般担保として認めてもらうためにはどういう担保管理を行えばよいのか、担保管理手法を具体的に例示するなどして明確化をしております。また、それを事後的に検査で検証するわけですけれども、それも一律に厳しく検査で指摘するということではなくて、必ずしも金融機関はなれておりませんので、まずは金融機関のほうで問題点を把握して、それに基づいて改善策を実行するという、いわゆるPDCAサイクルが機能していれば、金融機関の取り組みを尊重するという方針も明確化してございます。また、担保の掛け目につきましても、動産担保については評価額の70%、売掛金担保については評価額の80%と、明確化したところでございます。

こういったことで使い勝手をよくすることによって、ABLがさらに普及してまいりますと、右の「効果」のところにもありますけれども、借り手企業にとっては資金調達枠が拡大していくという意味でメリットもございますし、金融機関も新規融資につながる上、ABLの場合は、在庫とか売掛金についてのモニタリングが必要になってきますので、それによって企業の経営実態をより深く把握することも可能になる。リスク管理も強化されるし、企業との関係もより密になるというメリットもありますので、金融庁としては、より一層このABLの活用を促してまいりたいと思っております。

9ページ、日本版ISAでございますけれども、これは、上場株式等の配当や譲渡所得につきまして、一定金額まで一定期間非課税にするものでございます。現状、1,500兆円の個人の金融資産の大半は預貯金でございますが、これをできるだけリスクマネーに振りかえていくことによって、個人の資産形成を支援・促進するとともに、成長マネーの供給拡大も図っていくという観点から、この制度を措置したものでございます。

ただし、当初導入予定であった制度は、平成26年から毎年100万円ずつ、3年間に限定した時限措置でございました。しかしながら、今後、長期分散投資による資産形成を行う機会を提供する観点からは、このISAの制度を拡充なり長期化していくことが望ましいと考えております。そうしたことから、25年度の税制改正におきまして、金融庁として要望を行いまして、その結果認められたのが、この黄色い部分でございます。具体的には、毎年100万円までの非課税投資を行うことができる期間を、平成26年から10年間に拡充いたしました。ただし非課税期間については最長5年となっております。

具体的にどういうことかは、10ページをごらん頂ければと思います。表がございますが、右側が税制改正後のスキームでございます。毎年100万円ずつ投資をして10年間投資ができます。ただ非課税の期間は5年となっております。これは下のほうに行きますと、グレーの部分の箱の数がだんだん減ってきますけれども、図の関係でそうなっているだけでして、いずれも5年間の非課税期間が認められております。平成35年の部分でいうと、100万円の投資が1つしか箱がありませんが、これも35年から5年間、39年まで非課税が認められるという意味でございます。

例えば平成26年に100万円で株を投資して、平成30年まで持っていて、120万円に値上がりしたといたしますと、そこで売却したときに、20万円の売却益には課税はされない。またそれまでの配当についても課税はされないことになります。さらにそれを引き続き保有し続けることも可能でして、その場合、課税口座に移しかえることになりますけれども、その場合は120万円が課税口座の取得価格になりますので、課税口座において例えばその後130万円に値上がりして、130万円でもし売ったとしますと、130引く120の10万円のみが課税の対象になります。これが、矢印が右に伸びている部分であります。また、120万円になったものを、さらに非課税の口座に引き続き持つことも一部可能でございまして、これは真下に矢印が伸びておりますが、平成30年からさらに31年目の新しい100万円の投資枠を使いまして、時価で100万円の部分についてはここに入れて、引き続き5年間非課税を享受することができるという制度でございます。

今後このISA、平成26年から実施されますけれども、金融機関とも連携しながら普及に努めてまいりたいと考えております。

11ページでございますが、金融所得課税の一体化でございます。分散投資を促進する観点からは、できるだけ広い範囲で損益通算が認められる必要がありますけれども、現状ではかなり制限をされております。下の箱にありますが、現在では、上場株式・公募株式投信の部分のインカムゲイン、すなわち配当と、キャピタルゲイン/ロス、譲渡損益の部分についてのみ、損益通算が認められております。債券・公社債投信については、課税方式が従来、申告分離ではありませんので、損益通算ができておりませんでしたが、今後ここも申告分離課税でそろえますので、上場株式とあわせて債券・公社債投信についても、損益通算が認められることになりました。ただ、証券会社のシステム投資も準備期間が必要ですので、平成28年1月以降実施となっております。

また一番下の「デリバティブ取引」ですけれども、これは有価証券のみならず商品のデリバティブも含まれておりますが、これについては現状、損益通算の対象になっておりませんが、今後、総合取引所が実現していく場合には、商品のデリバティブも含めて一体となって取引ができることになりますので、これが損益通算の対象になれば、ますます総合取引所のメリットも深まるということで、今後これは検討事項にするということで、与党の税制改正大綱にも記載があります。

以上、簡単ではございましたけれども、私からの説明は終了させて頂きます。

この後、国際室長から説明をお願いいたします。

○田原国際室長

続きまして、最近の国際的な金融規制改革の動向についてご説明をさしあげたいと思います。資料5-2をごらん頂けますでしょうか。2ページ、おめくり頂きます。

○吉野会長

途中ですけれども、寺田副大臣がここで所用のためご退席になります。今日はどうもありがとうございました。

○寺田副大臣

ありがとうございます。よろしくお願いいたします。失礼いたします。

○田原国際室長

3ページでございますが、アメリカにおきますサブプライムローン問題、リーマンショックに端を発しました危機が、世界的な金融危機に発展したことから、G20サミットにおきまして、危機防止のための金融規制改革の推進がされたことにつきましては、先ほど岩原先生のお話にあったとおりでございます。その主な内訳については、1に書いてありますように、バーゼル3、あるいはシステム上重要な金融機関への対応といった議論がなされておりまして、その中で日本といたしましては、中長期的に強固な金融システムを構築することは非常に重要ではありますが、一方で実体経済への影響に配慮する必要があること、また国際的な合意については着実に実施することが必要だという考え方で臨んでいるところでございます。また1点、特筆すべき事項といたしましては、最近、各国独自に金融危機の教訓に対する対応として規制改革をやっておりまして、これが他国にいろいろな影響を与えるおそれがあるのではないかということが指摘されています。

次の4ページでございますが、こういった国際金融規制改革の取り組みが検討されておりますフォーラムについて記載されているところでございます。詳細についてはご説明は差し控えますが、このうちIOSCOにつきましては、当庁の河野国際政策統括官が議長を務めているところでございます。

1ページおめくり頂きまして、これまで金融規制改革につきましては着実な進展をしてきているところでございますが、先般のG20財務大臣・中央銀行総裁会議が2月に行われましたけれども、この中でもこれまでの進捗を確認するとともに、今後推進すべき課題としてこのような項目が掲げられています。本日は、このうち主なものといたしまして、バーゼル3、システム上重要な金融機関、シャドーバンキング、店頭デリバティブ規制改革、それからLEIにつきまして、簡潔にご説明させて頂きたいと思います。

まずは6ページ、バーゼル3の進捗状況でございますが、1枚おめくり頂きまして、7ページをごらん頂けますでしょうか。この場で繰り返すまでもないと思いますけれども、バーゼル3につきましては、2010年12月に合意いたしまして、銀行の自己資本規制の新たな枠組みとして導入されつつあるものでございます。そのうち大きな柱の一つであります、普通株式等Tier1の強化につきましては、下のポンチ絵にございますように、段階的に2013年から導入することを合意いたしております。これは、先ほども申し上げましたように、実体経済に配慮して円滑に規制を導入するという、我が国の主張も取り入れられた結果として、このようになっているものと承知いたしております。日本におきましても、2013年3月期から段階的に適用されることになっておりまして、昨年告示を改正いたしております。残念ながら米国、EUにおきましては、やや実施がおくれている状況にございますけれども、ともに早期に実施するということで努力していく方針は確認されておりまして、日本としても着実な実施を国際会議などで主張いたしております。先般のG20におきましても、その旨、コミュニケに盛り込まれたところでございます。

次の8ページでございますけれども、もう一つのバーゼル3の柱であります流動性規制について説明を書いてございます。流動性規制につきましては、下の「規制の主な内容」にございますように、2010年12月に流動性カバレッジ比率ということで、適格流動資産、その流動性を賄うに必要な資産が、30日間のストレス期間の資金流出見込額を上回ることが必要であるという形で合意されましたが、その後、2011年から影響を検討する期間が設けられておりまして、必要であれば2013年の半ばまでに見直しを行うことにされていたところでございます。これにつきましては、ほぼ2年にわたる検討も踏まえまして、今年の1月に開催されました中央銀行総裁・銀行監督当局長官会議、いわゆるGHOSにおきまして、規制内容の調整、あるいは2015年度からの段階的適用を行うことに合意されたということで、これにつきましても当庁の考え方が反映されたものと考えております。規制内容の調整などにつきましては、次ページに簡単に記載してございますが、時間の関係もございますので、この場での説明は割愛させて頂きますが、詳細についてご説明が必要であれば、国際室にお申しつけ頂ければと思っております。

2点目でございますが、10ページの、システム上重要な金融機関についての検討状況でございます。1枚おめくり頂きまして、11ページをごらん頂けますでしょうか。システム上重要な金融機関につきましては、金融危機におきまして一部の大手金融機関を公的資金で救済したことに伴います、「大きすぎて潰せない」モラルハザードの問題に対処するということで検討が始まりまして、これも先般、岩原先生のワーキングでご検討頂いた内容でございますが、この点につきましても、その後、国内のシステム上重要な金融機関につきまして、昨年2012年10月に枠組みを公表いたしました。また、保険、それから銀行・保険以外のノンバンクにつきましても、現在どういった機関がシステム上重要であるかどうかについて、検討が行われているところでございます。

また、12ページをごらん頂きますと、グローバルなシステム上重要な銀行につきましては、2009年末データに基づきまして、2011年11月に一度、どういった銀行がこれに入るのかが公表されたわけでございますが、これを昨年2011年末データで見直しを行いまして、その結果が昨年11月に公表されたところでございます。5つのバケットに分かれまして、バケット5につきましては、3.5%の上乗せの資本を求める。順次、パケット4については2.5%、3につきましては2.0%、2につきましては1.5%、1につきましては1%となっているわけでございますが、邦銀につきましてはバケット2に三菱UFJフィナンシャルグループ、バケット1に、みずほフィナンシャルグループ、住友三井フィナンシャルグループが入っています。

続きまして、1ページおめくり頂きまして、シャドーバンキングの検討状況についてご説明をさせて頂きたいと思います。14ページでございますが、シャドーバンキング、銀行システム以外で行われます信用仲介機能のことでございますが、ヘッジファンドやMMFなど、実質的に銀行に類似した信用仲介活動を行っている、銀行以外の主体・活動のシステミック・リスクに対する規制・監視のあり方について、検討を行っているところでございます。その考え方につきましては、下のポンチ絵をごらん頂ければと思います。

1枚おめくり頂きますと、具体的には2011年11月のカンヌ・サミットにおきまして、5つのシャドーバンキングの検討分野が合意されております。銀行のシャドーバンキングへの関与、マネー・マーケット・ファンド、その他のマネー・マーケット・ファンド以外のシャドーバンキング主体、証券化商品、貸株・レポ取引でございますけれども、このうち2と4のMMF、証券化商品につきましては、昨年、最終報告書がまとまりまして、公表されております。このうちMMFにつきましては、先ほどご報告頂きました投資信託についての検討ワーキングの中でも言及されていると、承知いたしております。残る1・3・5、銀行のシャドーバンキングへの関与、その他のシャドーバンキング主体、貸株・レポ取引につきましては、今年の9月のサンクトペテルブルク・サミットに向けまして最終提言をまとめる方向で、それぞれの基準設定主体、バーゼル委員会やFSBなどにおいて検討が行われる予定となっているところでございます。

続きまして16ページから、店頭デリバティブ規制改革の進展につきまして、ご説明をさしあげたいと思います。17ページをごらん頂けますでしょうか。店頭デリバティブ市場改革につきましては、もうこの場でもご議論を頂きましたので繰り返しませんけれども、下の「参考」にございますように、現在、中央清算されないデリバティブ取引に関する証拠金取引についての議論が行われているところでございます。これはシステミック・リスクの低減、それから清算機関の利用促進を目的といたしまして、中央清算されないデリバティブ取引を行う金融機関等による、当初証拠金と変動証拠金の授受を提言するものでございまして、BCBS(バーゼル銀行監督委員会)とIOSCOの共同作業部会が2013年2月15日に第2次の市中協議報告書を公表いたしておりまして、市中協議報告書や影響調査などを踏まえまして、9月のサミットに最終報告書を提出する予定となっているところでございます。

また、18ページでございますが、店頭デリバティブ市場改革をめぐりましては、先ほど3ページでご説明いたしました、各国独自の金融規制改革の問題点という観点から、やや懸念を抱いている事象が生じておりまして、それはクロスボーダー取引に係る米国店頭デリバティブ規制の問題でございます。その内容につきましては、最初の「規制の主な内容」に書いてございますが、非米国の金融機関につきましても、米国人と一定額以上の店頭デリバティブ取引を行う場合には、米国商品先物取引委員会(CFTC)にスワップ・ディーラーとして登録しなければならないということでございまして、具体的には下の米印に書いてございますが、過去1年間の取引の想定元本額が80億米ドルを超える場合と、今のところ想定されています。仮にこれが適用されることになりまして、例えば邦銀が、日本で活動する場合、米国当局に登録、米国規制の適用が必要になることになりますと、日本の規制との重複がかかってくる懸念があるということでございます。したがいまして、日本の考え方といたしましては、規制の重複、過剰規制を回避する観点から、相手国の規制を信頼すべきであるという主張をアメリカに対して行っておりまして、「参考」にございますように、コメントレターを日銀とともに発出する、あるいは英仏の財務省、欧州委員会とともに閣僚級の共同レターを発出するという取り組みをしておりますほか、河野国際政策統括官が米国議会の下院農業委員会において証言をする取り組みを行ってきております。

また、1ページおめくり頂きまして、アメリカの独自の規制でございますが、このような問題に対しまして、2012年11月のG20におきましては、規制のクロスボーダーでの適用を含む、各国の国内規制枠組みの抵触、不整合、ギャップを確認して対処することが必要だということに、合意いたしております。これを踏まえまして、日米欧等の主要当局が集まりまして議論した結果、共同プレス声明が昨年12月に発表されておりまして、これはクロスボーダーで店頭デリバティブ取引を行う主体や、取引に対する規制・監督のあり方について、国際協調を促進するという観点に立ったものとなっております。その主な内容につきましては、四角の囲みの中に入っているとおりでございまして、その最後に「今後の検討分野」と書いてございますが、今後、クロスボーダー規制の範囲や規制遵守に関しまして、各国がどのようにお互いの制度を認証するか、あるいは他国の制度が自国の代替となり得るかという、代替的コンプライアンスについての考え方の整理などを、今後行うことになっているところでございます。

最後のトピックでございますが、20ページのLEIでございます。日本語では「取引主体識別子」と訳しております。21ページをごらん頂けますでしょうか。LEIは金融危機後に、金融取引の実態把握を強化していくために、金融取引主体であります法人に、世界共通の識別方式があったら効果的・効率的ではないかという考え方に立って、検討が始まったものでございます。世界共通のものが実現すれば、システミック・リスクの把握に有用ではないかという考え方に立ったものでございまして、米国、欧州、カナダなどでは、今後店頭デリバティブ取引情報の報告に際して、これを使ってはどうかという考え方があるようでございます。

これまでの流れといたしましては、ロスカボス・サミットにおきまして枠組みに関するFSBの提言が承認されまして、昨年11月には、LEIシステムのガバナンスを担います監視委員会についての憲章が、策定されたところでございます。今後、来月3月中にLEIシステムに係ります業務運営機関を立ち上げる予定となっております。今後どのような活用がされるのかとか、具体的にどういった数字を振っていくのかなどは、まだ決まっていないわけでございますが、そういったことを含めまして、段階的実施のあり方や費用負担、参照情報の範囲等、多様な論点について今後検討が進められていくということですので、ご参考までにお伝えさせて頂いた次第でございます。

以上、非常に駆け足で恐縮でございますが、最近の国際金融規制改革の動向について、ご説明さしあげました。

○吉野会長

田原国際室長、どうもありがとうございました。

ただいまの資料5-1と5-2の2つのご説明につきまして、ご質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。では、河野委員。

○河野委員

資料5-1の7ページで、地域経済活性化支援機構法案の概要のご説明がありましたけれども、これは24年度の補正予算で活性化ファンドへの出資による経費、30億と書いてあるのですが、時間的な期間、いつまでというのがあるのでしょうか。それともう一つ、ここに専門家の派遣とか、出資・融資と書いてありますけれども、これも期間とか、今、一度張りついてしまうと、その後ずっとそれは特に組織としては縮小もしないで、ついていくものなのでしょうか。産業界では、実際の需要が生じていないところに、要するに中小企業等を、本来はその中で生き残りと死んでいくものとが二通りあるのを、支援することによってゾンビになるという話も、ゾンビ企業を応援しているという話も出ていることもありますので、そこら辺を少し教えて頂ければ。

○吉野会長

ありがとうございます。

では、よろしいでしょうか。お願いいたします。

○三井参事官

今お開き頂いています資料7ページでございますが、これは単純に競争に負けた企業に資金繰りだけをつけてゾンビとして生き延びてもらうことではなくて、むしろここにありますように、「事業の集中と選択」で、括弧にありますが、少し字が小さくて恐縮ですが、「円満な退出を含む」と書いています。もちろん、中小企業で不振企業の置かれた状況はまちまちでございますので、画一的にはなかなか申し上げにくいところはあるのですが、その企業にとって最も最適なソリューション、もし退出が最適であれば退出、あるいは業種転換、M&A、事業の集約、あるいは別の事業への転換、規模の縮小等、いろいろなものも含めた広い概念でここでは「再生」とさせて頂いています。

その際、既に競争に負けたとか、ライフサイクルが終わったような事業の部分を畳んでいくプロセスの中では、銀行の債権放棄やDDS、DESといった債権カットを含むような、大きな血を流す処理が必要になる場面もある。そういう場合には、中立的な第三者である機構なり、あるいは機構がいろいろな面で支援する支援協議会などで、中立的に債権者間調整を行った上で、そういった債権カットなどの血を流す改革もしていく。一方で、きっちりと再建計画、経営改善計画がつくれる場合には、そこにニューマネーを出して新しい事業なり、あるいは再生に向けた事業を行っていく。こういうことを支援する仕組みでございます。

そうした中で、専門家の派遣というのは、今のような広い意味での事業の再編なり、その体制を含む大きなメスを入れていく専門家を派遣して、アドバイス、支援を行っていくということでございますし、出資といいますのは、そういった場合にニューマネーを出す事業再生ファンドの組成に当たっての一種のシードマネー、GPを派遣するために、一口以上、どうしてもお金を出す必要があるための出資、シードマネーのお金でございます。主体としては、むしろ民間と共同でリーダーシップをとって事業再生のファンドを運営していく、そういう出資なり人材の派遣でございまして、委員ご指摘のとおり、むしろ経済の新陳代謝をできるだけ円満な形で進めていくという含意も含めて、この機構の改正と補正予算を頂く措置をしているところでございます。

○吉野会長

よろしいでしょうか。

○河野委員

はい。

○吉野会長

それでは、島尻政務官も所用により、ここで退席されます。今日はご出席頂きまして、どうもありがとうございました。

それでは、長谷川課長から、今補足があるそうですので。

○長谷川企画課長

1点、補足でございますけれども、説明を先ほど省略いたしましたが、30億円はファンド等への出資の種銭になるもので、補正予算で計上しているものでございますけれども、当初予算のほうで直接支援の買い取り枠として1兆円の一応政府保証枠でございますが、そこまで買い取れるようになっております。全額政府保証ということになっております。それは5ページの最初の右側の丸のところに書いてございます。地域経済活性化支援機構の「当初予算政府保証枠:1兆円」となっています。

○吉野会長

それでは次の質問で、川島委員、どうぞ。

○川島委員

緊急経済対策に関して、1点コメントと1点質問をさせて頂きたいと思います。今回、緊急経済対策の中で、中小企業円滑化法の期限到来後、前と後の段差がないようにということで、1つには、この企業の資金繰り支援と再生の支援を行っていく、非常に重要な施策だと思っております。それと、金融資本市場の活性化の中で、今回、金融経済教育の推進が取り上げられております。ここは、活性化という意味で、個人投資家の金融リテラシーの向上などは非常に重要だと思っておりまして、そのための教育が今回取り上げられたのは非常にいいことではないかと思っております。どうかこの種の施策は、さまざまな関係者がかかわる施策だと思いますので、省庁の連携や官民の連携をとって頂きながら、実効が上がるような対応をお願いしたいと思います。

2点目は質問ですが、金融経済教育は、具体的にはどういった人たちを対象に、どういった内容のものをお考えになっているのか。参考までに教えて頂けたらと思います。

以上です。

○吉野会長

ありがとうございます。

では、中島政策課長、どうぞ。

○中島政策課長

先ほど、企画課長から説明のあったように、今、金融研究センター、まさに吉野先生に進行役を務めて頂きながら、有識者のほかに文科省、消費者庁、それから関係業界団体の方、それから日銀は金融広報中央委員会の事務局をやっておりますので、そういった方々に今メンバーになって頂いて議論を行っております。対象としては、まさに文科省のところの小学生・中学生・高校生、さらに大学生、社会人、高齢者の方々まで全部捉えたところで、ではどのように、どういう内容をやったらいいのか、どこにフォーカスしたらいいのか、そもそもどういう目的でやるのかというところから、今整理をしている段階であります。もし吉野先生、補足して頂ければ、お願いします。

○吉野会長

今、中島政策課長からご説明がありましたけれども、金融庁と文部科学省、消費者庁、日本銀行の金融広報中央委員会、それから委員の方々の中にはそれぞれの業界団体でこういう活動をしているところがございますので、その方々全員に入って頂いております。それから委員としては、ここの中では永沢委員にも来て頂いております。

私は、金融を供給する業界の方とそれを購入する需要者が、ある程度きちんとした金融経済教育を受けないと、バランスがとれないと思っております。それの間に立つのが、金融市場であり金融機関であると思いますので、やはり金融経済教育を通じることによって、先ほど川島委員のように、よくリスクという言葉を日本人は「危険」と訳してしまうのですが、リスクはボラティリティーがある商品であるということですので、そういうボラティリティーがある中で最初に私も申し上げましたが、株価が上がっているときに一番もうけているのが外国人で、日本人は預貯金ばかりというのは、やはり日本経済にとってもマイナスだと思いますので、この金融経済教育をぜひ推進しながら、おっしゃるように幅広く、それからオーバーラップがないように、省庁間でうまく連携するように。特に教育に関しましては文部科学省が必要でしょうし、消費者の方々、それから高齢者の方々に対しては消費者庁とも連携が必要だと思いますので、進めていきたいと思います。

ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。では、家森委員、いかがでしょうか。

○家森委員

時間がないと思いますので、一つだけ。

緊急経済対策のほうで、5ページに、認定機関が計画策定を支援することがありまして、従来なかなか中小企業、零細企業に対する経営支援が難しいということで、非常に重要な施策だと思うのですけれども、これを効果的に実施するためには、対象先をどのように選ぶかも非常に重要だと思うのですが、今、金融庁あるいは中小企業庁で、この辺について、どのように効果的にお金を使っていく上で工夫を考えられているかを教えて頂きたい。

○吉野会長

課長でよろしいですか。

○長谷川企画課長

この制度は、まさに中小企業庁の制度でございまして、認定を受ける、支援する側の機関は、先ほども少し申しました税理士なり弁護士、商工会、商工会議所、それから地域金融機関なども認定を受けております。支援をする対象先としては、一応、中小、小規模の零細事業者を想定していまして、最大2万社を想定しているとのことでございます。どのように選んでいくかは、おそらくその現場で判断していくのだろうと思いますが、通常ですと、この前総会のときに申し上げたと思いますが、条件変更を受けている対象の事業者が大体三、四十万社ぐらいで、そのうち特に経営改善計画がつくれないでいて支援が必要とされているのが、五、六万社ぐらいではないかと推定しているのですが、その中でも2万社ぐらいはこの認定支援機関で計画策定を支援していけるのではないかと思っております。

○家森委員

どうもありがとうございます。ぜひ、その後、単につくるところだけでなく、フォローアップにも十分力を入れて、金融庁としても見て頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○吉野会長

では続いて、原田委員、どうぞ。

○原田委員

今、家森委員がご質問なさった同じく5ページにあります、1の丸でいうと4つ目になります。1点だけコメントを申し上げたいと思います。

貸付条件の変更などを自主的に開示する点についてですけれども、今現在、地方銀行ですと、開示をしているところは多いかと思いますが、開示の中身も詳しいところは詳しくて、件数や金額を開示しているのですが、それがやはり自主性に任せる点から網羅的ではないですし、どこも同じ基準で同じように開示してくれているわけではないかと思いますので、それを、言い方は悪いですが「隠れ不良債権」や、見えない「不良債権予備軍」と言われておりますので、できれば自主性をもう少し推し進めたような形で開示して頂けると、今後の分析などに役立つのではないかと思います。

以上になります。

○吉野会長

課長から少し。

○長谷川企画課長

今、金融円滑化法のもとでは罰則つきで開示を強制しておりまして、その場合はどういうものを開示するかは法令等で決まっております。円滑化法は終わりますので、その規定はなくなるわけですが、引き続き自主的に開示をお願いしたいということを、ここに書いてあるわけです。具体的にどういうフォーマットでやるのかとか、ある程度統一したほうがいいのではないかということは、ご指摘のような点があると思いますので、今後、関係部局で検討していきたいと思っております。

○吉野会長

では、よろしいでしょうか。ほぼ時間になりましたので、以上をもちまして、本日の総会、並びに金融分科会合同会合を終了させて頂きたいと思います。

今後のことでございますけれども、大臣からの諮問事項がある場合などにつきましては、ご参集頂くことになろうと思っております。また今後の日程につきましては、事務局から皆様にご連絡させて頂きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、お忙しい中をご出席頂きまして、どうもありがとうございました。これで終了させて頂きたいと思います。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645、3520)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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