第36回金融審議会総会・第24回金融分科会合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成28年2月8日(月)10時30分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○岩原会長

ただいまから、第36回金融審議会総会・第24回金融分科会合同会合を開催させていただきます。本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。開催に先立ちまして、本日の議事は公開の形で行わせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、牧島内閣府政務官にお越しいただいております。まず、開会にあたりまして、牧島政務官よりご挨拶をいただきたいと存じます。

政務官、よろしくお願いいたします。

○牧島政務官

ありがとうございます。

皆さま、おはようございます。金融担当内閣府政務官、牧島かれんでございます。金融審議会の委員の先生方には、大変お忙しい中、多くのご尽力をいただいておりますこと、心から感謝を申し上げます。

金融を取り巻く環境について幾つかご報告をしたいと思います。1つには、世界的な資源価格の大幅な下落など、市場環境の変化があります。次に、IT技術の急速な進展等の変化も見られております。さらに、安倍内閣が掲げる地方創生の実現に向けて、金融機関の果たすべき役割も大変大きいものと期待をされております。こうした背景を踏まえて、我が国の金融機関においては、内外の環境変化に適切に対応しつつ、質の高い金融仲介機能の発揮などにより、企業活動を後押ししていくことが重要であると考えております。

本日の金融審議会総会では、金融グループを巡る制度のあり方及び決済業務等の高度化に関する2つのワーキング・グループの検討結果をご報告いただくこととなっております。最近の金融のグループ化の進展やFinTechの台頭の動きなどを踏まえて、今回の報告は非常に時宜を得たものと考えております。本日の報告や議論をしっかりと受けとめ、金融システムの安定や利用者保護などの観点には十分留意しつつ、ITイノベーションへの戦略的な取り組みなどの課題を官民挙げて進めてまいります。また、ご提言の中で、法改正が必要なものについては、今国会に関連の法案を提出できるよう、早急に作業を進めてまいります。

今後も金融を取り巻く環境の目覚ましい変化に対応していくため、金融制度のあり方については不断の見直しが必要になってくるものと思いますので、引き続きのご指導を何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

それでは、議事に移りたいと存じます。

本日は、まず金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ及び決済業務の高度化に関するワーキング・グループの審議の結果及び報告書についてご審議いただきたいと思います。決済業務等の高度化に関するワーキング・グループの座長でいらっしゃいます森下教授にも本日はご出席をいただいております。両ワーキング・グループの座長からご説明をした後に、まとめて討議をお願いいたします。

それでは、まず金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループの審議の結果及び報告書について、座長を務めました私からご説明いたします。

昨年3月の総会において、金融担当大臣より「金融グループの業務の多様化・国際化の進展等の環境変化を踏まえ、金融グループを巡る制度のあり方について検討を行うこと」との諮問が行われました。これを受けて、本ワーキング・グループが設置され、昨年5月から12月までの間、9回にわたり関係者からのヒアリングを行いながら、金融グループにおける経営管理機能の充実とグループ全体での戦略的かつ柔軟な業務運営の促進という視点を踏まえ、審議を行ってまいりました。本報告書はこれらの審議の結果をとりまとめたものであります。

まず、最初に金融グループを巡る環境変化について申し上げます。

現在、金融グループの経営形態の多様化が進んでおります。例えば、メガバンクグループなどでは、銀行以外の業態の子会社や、海外子会社のグループ全体に占める収益の割合が増加傾向にございます。他方、地方では、持株会社を活用し、県域の枠を越えた銀行間の経営統合の動きが見られます。また、FinTechに代表される最近のITイノベーションの急速な進展は、決済をはじめとする金融サービス業の今後のあり方に大きな影響を及ぼそうとしております。欧米の金融機関が、こうした環境変化に戦略的に応じる動きを活発化させる中、日本の金融グループにおいても、イノベーションの促進に向けた取組みを強化していくことが重要な課題となっております。

こうした状況を踏まえ、本ワーキング・グループでは、金融グループを巡る制度のあり方について、金融グループ全体の業務運営におけるシナジー効果・コスト削減効果の発揮やイノベーションの取込み、ひいては金融グループが提供するサービスの向上やそれを享受する利用者の利便の向上を図るため、次のような提言を行っております。

第1に、日本の金融グループの経営管理の充実を図る観点からは、各金融グループにおける経営管理のあるべき形態はまちまちであることを前提としつつ、グループとしての経営管理を十分に実効的なものとするため、持株会社等が果たすべき機能を法令上明確化することが適当であるとされました。具体的には、グループの経営方針の策定、収益・リスク管理、資本政策等の策定、経営管理体制の構築・運用、コンプライアンス体制の構築・運用と利益相反管理、特にG-SIFIsの場合、再建計画の構築・運用などを持株会社等が行うことを求めていくこととされております。

次に、各金融グループのシナジー効果・コスト削減効果の発揮を図るため、グループ内の共通・重複業務の集約等を容易化することが適当とされました。具体的には、システム管理業務や資産運用業務などの共通・重複業務について、持株会社の取締役会等に「社外の視点」を取り入れるなど、グループ全体に対する実効的な監督機能の発揮が確保されるのであれば、持株会社による実施を可能とすること。こうした業務をグループ内子会社に集約する際の各子銀行の委託先管理義務を、持株会社に一元化することを可能とすること。グループ内の銀行間での資金融通等の取引について、健全な財務状況の確保や明確な取引ルールの存在等を前提に、グループ外の他の業態との競争条件に不均衡をもたらさないよう、同一グループ内に複数の銀行が存在する場合の銀行間の取引のみを対象として、グループ傘下の子銀行に少数株主が存在しないことを原則に、アームズ・レングス・ルールの適用を柔軟化することなどが提言されております。また、邦銀や外国銀行支店が、外国銀行の業務の代理・媒介を行う場合に、委託元法人単位の個別認可にかえて、委託元法人グループ単位の包括的認可制を認めることが提言されております。

さらに、ITの進展に伴う技術革新への対応として、金融グループがIT分野のイノベーションを戦略的に取り込み、グループ全体での柔軟な業務展開を可能とすることが適当とされました。具体的には、グループの健全性への影響、優越的地位の濫用や利益相反による弊害のおそれがないこと、当該出資がグループが提供する金融サービスの拡大またはその機会の拡大に寄与するものであると見込まれること等を条件に、銀行持株会社や銀行が、認可を受けて、「金融サービスの向上に資する業務やその可能性のある業務」を行う会社への戦略的な出資を可能とすること。決済関連のシステム管理やATM保守など、複数の金融グループ間の連携・協働が強く求められる業務について、銀行グループ内外からの事務等の受託を容易にするため、収入依存度規制を緩和することなどが提言されております。

こうした点に加え、今後の検討課題とされた事項もございます。まず、会社法等との関係では、持株会社が子銀行の取締役等に対して指揮命令を行い得ることを制度的に担保する必要はないのか、当該指揮命令に従った子銀行取締役には任務懈怠責任が生じないこととする必要がないかなど、金融グループの経営管理のあり方と会社法や銀行法による規制との関係について、引き続き検討を深めていくことが適当とされております。

また、異業種からの参入との関係では、銀行業に参入する異業種グループに対する監督のあり方について、伝統的な銀行を中核とする金融グループとのイコール・フッティング等の観点と、イノベーション促進の両面を視野に入れつつ、今後、更に検討を深めていくことが適当とされております。

以上、簡単でございますが、金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループの報告書の概要をご報告させていただきました。

続きまして、決済業務等の高度化に関するワーキング・グループの審議の結果及び報告書の説明を、森下座長からお願いしたいと存じます。

よろしくお願い申し上げます。

○森下座長

それでは、お手元の報告の概要に沿ってご報告をさせていただきます。

ご承知のとおり、平成26年9月の総会において、麻生金融担当大臣より「決済サービスの高度化に対する要請の高まり等を踏まえ、決済及び関連する金融業務のあり方並びにそれらを支える基盤整備のあり方などについて多角的に検討すること」との諮問がなされ、これを受けて、スタディ・グループが設置されました。スタディ・グループにおきましては、決済に関する実態把握等を行うとともに、決済高度化に向けた基本的な論点や方向性について審議を行い、昨年4月、「中間整理」を公表いたしました。

「中間整理」公表後、スタディ・グループを改組してワーキング・グループが設置され、昨年7月から12月までの間、7回にわたり、決済業務等の高度化を巡る課題と取組方策について審議を行ってまいりました。本報告書は、これらの審議の結果をとりまとめたものです。

まず初めに、決済を巡る環境変化について申し上げます。近年、FinTechの拡大に代表される金融・IT融合の動きに伴い、決済分野では、イノベーションが急速に進行するとともに、多様なプレーヤーが登場しています。こうした中、決済を中心に、銀行業務の「アンバンドリング化」とも言うべき構造的変化が進行しており、これは、将来にわたる大きな動きとして継続していくと思われます。このような情勢認識を基礎としますと、「アンバンドリング化」などの動きが金融サービス分野に与えていく影響の大きさを的確に捉えた上で、必要な対応や取組みを、スピード感を持って進めていくことが重要な課題となります。

こうした問題意識の下、本ワーキング・グループでは、決済高度化に向け、大きく4つの項目について提言を行っております。以下、順にその概要を申し上げたいと思います。

第1に、リテール分野では、金融・IT融合に対応したイノベーションを加速させる必要があり、このため、決済サービスや決済に関連する銀行業務の革新が必要であること、また、銀行サイドにおいて、いわゆる「オープン・イノベーション」を重視した体制とビジネスモデルの構築が重要であり、同時に、銀行のみならず多様なプレーヤーが競争的にイノベーションを進められるような環境整備を図ることが重要との認識が示されております。これを踏まえ、金融・ITイノベーションに向けた新たな取組みとして、「複数金融機関によるモバイル送金」、「ブロックチェーン技術やオープンAPIの活用」等が提言されております。更に、金融サービスやプレーヤーの多様化が進み、様々な新しいサービスが登場し、それらが総合的に提供されつつあることなどを踏まえ、業務横断的な規制体系の構築を検討していくべきである、とされております。加えて、足元の議題として、法制面では、ITの進展に対応した決済関連サービスの提供を容易化するため、プリペイドカードの表示義務の見直しなど、規制の合理化を図ることが適当とされました。

第2に、ホールセール分野については、「キャッシュ・マネジメントの高度化」及び「電子記録債権の利用者利便の向上」が提言されています。具体的には、キャッシュ・マネジメントの高度化に関連して、邦銀、特に主要行においては、キャッシュ・マネジメント・サービスの経営戦略上の位置付けや目指すべき水準を明確にすること、同時に、必要な環境整備として、「トレジャリー・センターの活用に対応し、貸金業規制など法適用関係の見直し」や、「外為報告の合理化」を図ることが適当であるとされました。電子記録債権については、地方自治体における電子記録債権の活用を推進していくこと、異なる記録機関間での電子記録債権の移動を可能とするための制度面での手当て、及び、譲渡人と譲受人の取引先銀行が異なっても債権の割引きができるよう、その実効的な方策の検討が提言されています。

第3に、銀行間ネットワークをはじめとする決済インフラについて、利用者利便の向上と国際競争力の確保の観点から、「5つの改革事項」が提言されております。具体的には、2020年までに、企業間送金について、現行の固定長電文を廃止し、XML電文に全面移行することや、送金フォーマット項目の国際標準化とともに、早ければ2016年度中に、国内の円送金について、居住者・非居住者間の取扱い区分を廃止すること、2018年を目途に新たに「ロー・バリュー送金」の提供を目指すことなどが提言に盛り込まれております。

第4に、仮想通貨について、G7首脳会議の合意や国内における取引所の破綻事案の発生等を踏まえ、マネロン・テロ資金供与対策及び利用者保護の観点から、仮想通貨と法定通貨の交換所について、登録制を導入し、マネロン等規制を課すとともに、利用者保護のための規制を導入することが適当と提言されております。

以上が、4つの分野における主な提言の内容となりますが、決済を巡る環境や決済サービスの変化・発展の可能性を踏まえれば、戦略的な取組みを継続的に実行することも重要です。こうした観点から、決済高度化のための課題と行動を継続的に特定し、それらを官民挙げて実行に移していくための体制整備が必要であり、また、その際には、決済システムの安定性や情報セキュリティへの対応にも留意が必要とされたところです。

以上、簡単ではございますが、決済業務等の高度化に関するワーキング・グループの報告の概要をご報告させていただきます。ありがとうございました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明申し上げました金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ及び決済業務等の高度化に関するワーキング・グループの審議の結果及び報告書につきまして、ご質問、ご意見等があれば伺いたいと存じます。

いかがでしょうか。ご質問、ご意見、ございませんでしょうか。

○福田委員

1点だけ。

○岩原会長

福田委員、お願いします。

○福田委員

非常に重要な提言が出されたと思います。この分野での進展というのは海外でも非常にスピード感を持ってなされていますので、日本も遅れをとらないように、こういう取り組みが提言されたということは非常に重要だと思います。

ただ、もう少し将来を見据えたときに、現状は、例えばFinTechで日本は海外から開発された技術を導入しているという段階が主とした状況で、国際的競争力という観点から見た場合、日本から海外へという段階にはなかなかまだ達していないという状況なんだろうとは思います。日本という国は、伝統的にはもともとの技術は海外から導入するんですけれども、それをよりよいものとして海外に発信していくということで強みを発揮してきた国です。先ほども国際競争力という議論が出ましたけれども、FinTechのフェーズも、これまで海外からなされてきた技術を導入するというフェーズから、日本が海外に売り込めるような技術をいかに開発していくかということが重要なフェーズに入ってきているのではないかと個人的には感じています。

そういった観点から、今回のいろいろな提言を生かしながら、金融業界等もより発展していくということを期待したいと思います。意見表明ということで、お願いいたします。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

洲崎委員、どうぞ。

○洲崎委員

金融グループに関するワーキング・グループの報告について、少し発言させていただきたいと思います。

この報告書の6ページ以下、第2章、第3章のところで、銀行持株会社その他の銀行グループに関する規制の緩和に向けた提言が幾つかされていると思います。とりわけ、これまでの銀行持株会社の規制は、銀行がグループの頂点に立つ場合とあまり変わらないような規制にしておこうというところが出発点になっていたのかなと思います。おそらくは、持株会社が解禁された際、持株会社が悪用されて、それまでの銀行業の規制が骨抜きにされてはいけないという非常に強い警戒感があって、それが厳しい規制の原因になってきたのかなと思います。そのせいか銀行持株会社は実質的な業務が何もできないような形になって、持株会社のメリットがあまり出せていなかったように思いますので、今回の報告書の提言は大変結構なものと考えています。

ところで、この報告書の第2章に書かれている話は、おそらくは保険持株会社や保険会社グループにも同じように当てはまるところが多いのではないかと思います。とりわけ持株会社の業務内容、委託先に対する管理義務、そしてアームズ・レングス・ルールに関しては、保険業法にもほぼ同じ内容の規定が置かれていたと思います。これらの規制について規制緩和を図るべき必要性というのは、保険持株会社や保険会社グループにも同じように妥当するのではないかと思います。また第3章で検討されていることについても、ひょっとすると保険会社グループにも多少同じように当てはまるところがあるかもしれません。今回のこの検討に基づいて、今後銀行法やその他関連規制を改めるということであれば、保険業法についても同様の改正について検討していただければなと思います。以上です。

○岩原会長

佐藤さん、お願いいたします。

○佐藤信用制度参事官

今、洲崎委員からご発言をいただきました点に関連しまして、金融グループを巡る制度のあり方のワーキング・グループの事務局を務めておりましたので、そこでの問題意識などをご説明したいと思います。

まず、今回のワーキング・グループの議論の背景としまして、銀行を中心とする金融グループのあり方がいろいろな意味で変容を遂げつつあるという大きな問題意識がございました。先ほど岩原会長からもお話がございましたとおり、メガバンクグループでは銀行本体のグループに占める収益の割合が逓減傾向にあり、すなわち海外の拠点や、あるいは銀行以外の業態の子会社からの収益が増加しているということ、また、国際的な議論の中でも、持株会社を中心に銀行グループを見ていこうという大きな流れの中で、現在の銀行法が銀行を中心とした制度体系になっているということ、金融グループの実態と制度のあり方にある意味で乖離が生じているのではないかという問題意識がございました。

加えて、地域銀行におきましても、同様に岩原会長からお話がございましたが、持株会社を頂点に置くことによってグループ化を進めていくという動きがあり、その中で、シナジー効果・コスト削減をどう図っていくのか、加えて、IT企業等への出資ということでは、現行法上銀行グループ全体の子会社業務範囲は極めて限定的になっており、こうした業務を柔軟に行っていくことができなければ、銀行グループを巡る国際競争という観点なども含めて、いろいろな問題が生じるのではないかということで、銀行グループについての審議を行い、その積み重ねをもって、今回の報告・提言をいただいたと考えております。

一方で、保険会社グループにつきまして、必ずしも銀行とは同列に論じられないところもあるのかなという感じを抱いております。1つとして、保険会社の中に相互会社もあり、持株会社を活用としたグループ化がどこまで進み、今後、どういうふうに動いていくのか、加えて、例えば、国際的な保険会社グループの財務規制のあり方等の議論はオン・ゴーイングで進んでいるということ、また、子会社への出資ということでは、現在、保険持株会社は当局からの認可を受ければ、限定列挙されていない会社を子会社として持つことができるという、既にある意味で柔軟な枠組みができているということもありまして、我々が今回問題意識を持ちました銀行グループのあり方と、保険グループのあり方について、必ずしも同一的に論じることはできないのかなという認識を持っております。

従いまして、保険会社全体の制度のあり方ですとか、今回、ワーキング・グループ報告で提言をいただきました出資のあり方、あるいは業務の集約のあり方とか、そういう個別の論点ということだけではなしに、保険会社全体の経営管理のあり方やグループのあり方をどう考えていくのか、そういった大きな議論の中で検討し考えていく、そういうことではないかなと感じております。

○岩原会長

よろしいでしょうか、洲崎委員。

○洲崎委員

よくわかりました。ただ、全て同じにすべきだということではなくて、例えば持株会社の業務内容については、銀行法でも保険業法でも経営管理に事実上限られているけれども、これを共通・重複業務についてもできるようにしてはどうだろうか。この問題については、銀行と保険でそんなに違いはないのではないかなと思っております。

それから、委託先に対する管理を持株会社に一元的にさせると言う問題についてもそれほど違いがないのかなという気がいたします。銀行と保険で全て同じにすべきということでは決してなくて、同じように規制緩和してもいいと思われる部分については検討をお願いしたいということでございます。

○岩原会長

よろしいですか、佐藤参事官。

○佐藤信用制度参事官

一言だけよろしいですか。

○岩原会長

はい、佐藤さん。

○佐藤信用制度参事官

今のご意見、承りました。ただ、1点だけ補足的に申しますと、今回、持株会社の業務執行を可能にすること等も含めて、ワーキング・グループでは様々な議論が積み重ねられまして、それはすなわち経営管理、ガバナンスのあり方というのはどう考えていくのか、その中で、銀行グループの中で持株会社のあり方というのはどう考えるべきなのか、そういう総合的な検討を行い、今回こういう結論をいただいたというところと考えております。

したがいまして、保険会社のガバナンスのあり方をどう考えていくのか、保険会社グループというものをどう観念し、どう捉えていくのか。そこは十分な検討が必要ではないかと考えております。

○岩原会長

よろしいでしょうか。

ほかに、何かございますでしょうか。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

今回、非常に重要なテーマについて2つの報告書を出していただきましてありがとうございます。

金融グループを巡る制度のあり方に関して言うと、第3章の最後にある、IT・決済関連業務への取り組みということに関連しますし、もう片方はそのものなんですが、FinTechというのは決済に限らず、より広い問題であろうと思います。今後金融庁として、とりあえず決済のところについて法律上、制度上の対応をされようとされるということは理解できたんですが、そのほかの分野について、今後どういうふうに検討されようとするのか、しばらく様子を見られるのか、そのあたりを、なにか考えていらっしゃたら教えていただきたいと思います。

○岩原会長

佐藤さん。

○佐藤信用制度参事官

今回、ワーキング・グループの報告の中で、非常に幅広い範囲の課題、問題点というのをご提言いただいたと考えております。

その中で、具体的に法制度のあり方に関するところもあれば、あるいは実務的にどう対応していくのかということも相当程度含まれております。実務的にどう対応していくかということは、これはただ行政庁が考えるのみならず、実務界の方々と我々も意見交換をしながら、あるいは、むしろ実務界の中でどういうふうに物事を前に進めていきたいのか、ということが重要な課題になろうと思っております。そういう幅広い論点がある中で、全体的にどう推進させていくのか、個々の問題をどう進めていくのか、といった点については、我々も考えていかなければいけないと思っております。

ただ、少なくとも、今回ご提言いただいた報告書の内容を今後着実に推進していくために、全体をちゃんとフォローアップしていけるような、加えて、新しい課題が出てきたときにそれを捉まえて検討していく、そういう大きな枠組みも必要ではないかと思っております。まだ具体的なお答えには必ずしも結びつきませんが、そういった問題意識は十分に持ちながら、今後いろいろな方面で考えていきたいと思っております。

○松尾企画課長

いいですか、すみません。

○岩原会長

松尾さん、お願いします。

○松尾企画課長

あと、金融庁として、金融行政方針でもFinTechへの対応は重点項目として挙げており、FinTechに関する一元的な相談・情報交換窓口として「FinTechサポートデスク」を設置しております。法制面だけじゃなくて、サイバーセキュリティ等の側面もあるかと思いますが、いろいろな対応を総合的にやっていって、かつイノベーションが促進されて新しいビジネスの種もできるように対応していきたいと思っております。

○岩原会長

よろしいでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。

原田委員、どうぞ。

○原田委員

金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループの報告に関することになると思うのですけれども、今回議論されていなくて報告書の中にも入ってきていないことで、議論があったのかなと思うことを1点お伺いさせてください。

銀証の間での顧客情報の共有ということに関しまして、です。これはおそらく顧客保護ということが最優先であって、そういうことを考えれば議論の中に入ってこないのであろうかとも思います。ただ、役員に限らず職員まで今や兼業規制は撤廃されているという中で、諸外国でも共有は認められていて、顧客の保護は別途手当てされているというところは多いかと聞いておるんですが、そういう中で、グループのあり方ということを考えるときには、一つ議論になってもいいのかなと思いました。その辺で何か議論があったかということを少しお伺いいたします。

○岩原会長

佐藤さん。

○佐藤信用制度参事官

今のご質問の点につきまして、今回の議論の中で、確かに情報共有のあり方というところも問題点として提起されております。論点として、顧客保護のあり方をどう考えるのかということがあり、現在、銀証との関係では、いわゆるオプトアウトという制度があり、顧客の法人企業は自分の情報を銀行・証券の間で共有されたくないということを申し述べたときにはその共有ができないという制度になっており、そういった顧客の情報の保護の観点と、オプトアウトの制度がある意味でそのバランスを考えた制度になっているということもあります。

一方で、グループ全体の経営管理のためであれば、情報の共有は制度上認められております。こうしたことも踏まえて、例えば経営管理という観点からこの情報共有をもう少し実効的に考えていくということもあり得るかということもございましたが、銀行と証券の情報共有については、今回の議論の中では、それ以上踏み込んだは議論はなされなかったというところでございます。

○岩原会長

私のほうからちょっと補足させていただきますと、一部の委員からは情報共有について見直しを図ることへの強いご要望がございまして、また、それに基づいてワーキング・グループでも議論されたところであります。ただ、今回はそれを結論までまとめるには至りませんでしたので、私としては、いわば継続的な課題として残っていると考えております。

よろしいでしょうか。

○原田委員

はい。

○岩原会長

ほかに、いかがでしょうか。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

ありがとうございます。

私は、決済のワーキング・グループに参加させていただいておりまして、そちらのほうでも意見を申し上げましたのですが、今日は意見というよりも、牧島政務官がいらっしゃっていますので、要望を申し上げさせていただきたいと思います。

こちらの報告書の11ページに、サーバー型プリペイドカードに関するトラブルについて、決済ワーキング・グループでも議論をさせていただいております。この問題については今後も継続審議ということで、こちらの報告書で取りまとめていただきました。これはこれで今後の重要な一歩を踏み出したと思っておりますし、よい方向へ対処していけると思っておるのですけれども、もう一点、やはり気になっておることがございます。それは事業者に対して法規制をかけることだけではこの問題は解決しないのではないかということでございます。今一番問題になっているのは電子マネーをめぐる詐欺が多発し始めているということでございまして、しかも以前の未公開株を中心とした投資詐欺は高齢者が中心でしたけれども、今回の詐欺は未成年がターゲットになっているということと、プラス我々大人がこの電子マネーの仕組みについてまだ十分理解しておらず、子供が何をしているのかということを理解していないということで、もしかしましたら、これはまた次の大きな社会問題になるのではないかということを危惧いたしております。そのことを先取りしていただき、今回このテーマが俎上にのったわけですが、先ほども申しましたように、事業者に義務を課すだけでは全く足りず、これは何よりも我々国民がこの問題を認識し未然防止していくことが大事でございます。

この点、以前の未公開株詐欺のときには、金融庁が呼びかけていただいて関係各省が集まり、そして日本証券業協会が中心的な役割を果たされて、官民連携の協議会といいますか意見交換会を開催していただきました。また、皆さまも郵便局に行かれてご覧になったことがあると思いますが、詐欺に気をつけろという黄色いチラシを配布して、国民への大々的なキャンペーンが行われたわけですが、これがようやく効果を奏しておりまして、ここへ来て未公開株等の投資詐欺はかなり未然防止されるようになっていまして、高齢者の方がこれは詐欺だと気づくようになってきております。サーバー式プリペイドカードをめぐるトラブル防止についても、やはりこういった取り組みが大変重要ではないかと思うわけですが、とは言いながらも、これにはやはりお金もかかることでございます。社会問題化する前に、政治のほうでも動いていただければとお願いする次第です。、私は電子マネーはこれからの日本の決済の中で中核になるイノベーションだと思っておりますので、この芽をつぶすことのないように詐欺を未然防止するということで、官民挙げて、省庁越えた取り組みをお願いしたいと思っておりまして、この機会にぜひともお願いさせていただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。意見というよりも要望になります。失礼いたします。

○岩原会長

それじゃ、牧島政務官、お願いします。

○牧島政務官

永沢委員、ありがとうございました。大変貴重な現場のお声を聞かせていただいたと思っております。

消費者の保護をしていかなければならない、国民を守らなければならないという私たちの責務をしっかりと全うしていきたいと思っています。そのためには、金融リテラシーというのも金融庁が力を入れさせていただいている業務でございまして、この金融の教育と、それから今お話があったようにIT教育もあわせてやっていく必要があるのかなと思います。また、未成年の方がターゲットということは、おそらく親子間で金融とITのリテラシー、教育にギャップが生じ始めていると思います。学校関係の方にも金融リテラシーの面でご協力をいただいていることがございますが、のみならずご父母の方たち、またはPTAなどの組織も活用させていただきながら、広く広報と教育を進めていかなければならないと今お話を伺って受けとめさせていただいております。ありがとうございました。

○永沢委員

どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○岩原会長

ほかに、何かございますでしょうか。特にございませんでしょうか。

それでは、貴重なご意見をいただき大変ありがとうございました。本件に関する審議はこれまでとさせていただきます。

ただいまの金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ及び決済業務等の高度化に関するワーキング・グループの報告を金融審議会の報告をさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、両報告書を牧島政務官に提出させていただきます。

(報告書手交)

○牧島政務官

受け取りました。ありがとうございました。

○岩原会長

次に、前回の総会で大臣からご諮問を頂戴しましたディスクロージャーワーキング・グループの審議状況について、事務局より報告をお願いいたします。

○田原企業開示課長

それでは、お手元の資料3に即しまして、ディスクロージャーワーキング・グループでの審議状況につきまして、事務局よりご説明をさせていただきます。

1ページおめくりいただきます。金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」でございますけれども、昨年10月23日の金融審議会総会におきまして、麻生金融担当大臣より以下の諮問を頂戴したところでございます。「企業の情報開示のあり方等に関する検討」ということでございまして、「企業と投資家の建設的な対話を促進する観点も踏まえつつ、投資家が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するための情報開示のあり方等について幅広く検討を行うこと」という諮問でございました。本諮問を頂戴いたしまして、神田座長にご就任いただき、下にございますように、これまで2回検討をさせていただいているところでございます。

1ページおめくりいただきますと、11月10日に公表させていただきました会議のメンバーの方々を掲げさせていただいておりますが、こういった方々のご参加を得ながら、現在ディスクロージャーワーキング・グループでご議論を頂戴しているところでございます。

もう1ページおめくりいただきまして、現在検討させていただいております主な論点ということでございますが、まず見直しの視点ということでございまして、企業の中長期的な成長に向けました企業価値の創造というものを念頭に置いた建設的な対話促進の重要性が高まっている、また、株主に占める海外投資家の方々の比重が増えておりまして、そういう中でもやはり対話の促進ということが要請されている。また、こういった中で、ガバナンス情報ですとかMD&Aと呼ばれますマネジメントによる分析などの情報、こういった情報についての開示の要請が高まっている。こういった環境変化というものを踏まえながら検討を行うべきではないかといったご議論をいただいているところでございます。

具体的には、その下のIIIIIIVの検討が行われているところでございますけれども、まず金融商品取引法・会社法・取引所規則による開示ということでございまして、こちらにつきまして、それぞれの開示の内容、開示日程・手続のあり方についての議論が行われているところでございます。まずは金融商品取引法上の有価証券報告書、会社法上の事業報告・計算書類、取引所規則上の決算短信、それぞれの開示というものはそれぞれの目的・役割がございますので、こういったものを整理した上で開示内容の整理、あるいは開示内容の共通化・合理化というものにつきまして議論が行われておりまして、開示内容につきまして申し上げますと、例えば決算短信につきましては速報性が非常に重要であるという観点から、その開示内容についてどうあるべきか、基本的には簡素化という方向ではないかといったご指摘をいただいております。

また、経営方針などにつきましては、現在決算短信にも載っているわけでございますけれども、先ほど申し上げました見直しの視点なども踏まえますと、こういったものについては有価証券報告書ですとか事業報告において記載され、その内容につきましてもひな形開示が多いという指摘もある中で、財務諸表に対する経営者の考え方などがよりあらわれていくように、MD&Aなどとともに開示の充実をさせていく工夫が必要ではないかというご意見、また、一方で、こういった非財務情報につきましてはできるだけ自由に開示するということが重要ではないのかというご指摘もいただいているところでございます。

また、開示内容の共通化・合理化につきましては、大株主の状況ですとかストックオプションについて有価証券報告書と事業報告で開示内容が若干異なっておりますこと、あるいは有価証券報告書における新株予約権に関する事項の開示の仕方がやや煩瑣ではないかといったご指摘をいただきまして、こちらについて議論を行っていただいているところでございます。

また、2つ目のポイントであります開示の日程・手続に応じた選択肢の拡大でございますが、こちらにつきましては、株主総会を例えば7月に開催し、総会の時期の分散ですとか株主の方々との対話の機会の拡充という観点から、そういったことを行った場合に制度上問題があるのかといったご議論、あるいは事業報告ですとか計算書類の電子化を行うことによって、株主と投資家の対話の促進などに資するかどうか、あるいは監査などにどういう影響が出るかというようなことについてのご議論を頂戴しているところでございます。

また、具体的項目の2つ目の非財務情報の開示につきましては、先ほど申し上げました経営陣による経営についての見方に関する情報ですとか、ガバナンス情報あるいは環境・社会情報といったいわゆるESG情報といったものなどの、財務でない非財務の情報についての開示の充実というものについての要請が高まってくる中で、こういったものについてどう考えるべきか、定型化、標準化するとかえって対応を阻害するのではないかといったご意見がございますし、法定開示と任意開示という中でどちらがどういう役割を担うべきかと、こういったご議論も行われているところでございます。

また、その他の検討項目といたしまして、開示にあたりまして単体の財務諸表でIFRSを使えるかどうか、使えるようにするべきかどうかということ、また、フェア・ディスクロージャー・ルールについて導入の必要があるのかないのかということ、それからこういった開示を活用していく上で、投資家のリテラシー、これは機関投資家、個人の投資家の両方あるかと思いますけれども、こういったものはどうあるべきかということ、また、企業情報について今さまざまな報告書、有価証券報告書ですとか事業報告、決算短信はもとよりガバナンス報告書、環境報告書あるいは知財報告書などございますが、こういったものはできるだけ一体的に提供してほしいという投資家の要請があるということについてどのように考えるか、こういった多様な点につきまして、現在神田座長のもと、本金融審議会の委員の方にもご参加いただきまして、活発なご議論をいただいているところでございます。

以上、簡単ではございますが、審議状況につきまして事務局よりご説明を差し上げました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

続きまして、金融安定理事会やバーゼル銀行監督委員会などの国際会議において、新しい国際金融規制のあり方が議論されております。この機会に国際金融規制改革の最近の動向について、事務局から説明を伺いたいと思います。

事務局から説明をお願いいたします。

○小森国際室長

それでは、資料の4に沿いまして、国際的な金融規制改革の動向について事務局からご説明を申し上げます。

3ページをごらんいただきたいと思います。2008年のリーマン・ショックに端を発しました危機が世界的な金融危機へ発展したところでございますけれども、これを受けまして同年ワシントンで初めてとなりますG20の首脳会合が開催されたところでございます。ここから危機の防止のための金融規制改革というものが始まっております。

3ページから4ページにかけて、サミットの概要が出ておりますけれども、ワシントン・サミット以来、毎年1回もしくは2回、G20の首脳会合というものが開催をされ続けておりまして、それぞれのサミットで新たな措置についての合意を行ったり、あるいは議論の進捗を確認してきているということが行われてきているところでございます。

5ページをごらんいただきますと、このG20首脳会合が開催された以降の国際交渉の枠組みが図で記載されているところでございます。G20の下にFSB(金融安定理事会)がございますけれども、こちらが2009年に設立をされまして、G20の指示を受けまして、国際的な金融安定上の課題を議論してきております。FSBの下に書いてございますけれども、バーゼル銀行監督委員会等の業態別の国際機関もFSBと連携をしながらそれぞれの分野の国際的なルールを策定してきているところでございます。

1ページ飛んでいただきまして、7ページをごらんください。こちらに昨年11月のG20アンタルヤ・サミットの概要が記載してございます。こちらでは2点大きく宣言をしておりますけれども、1つは「金融機関の強靭性の強化及び金融システムの安定性の向上は、成長及び発展を支える上で極めて重要」ということが改めて確認されているところでございます。もう1つは、「グローバル金融システムの強じん性を向上させるため、我々は、金融規制改革の課題の中核的な要素を更に完了させた」と述べておりまして、これは昨年にTLAC、巨大銀行の総損失吸収力の最終化を行ったことなどを評価しての言葉でございます。

このアンタルヤ・サミットで行いました昨年の主な成果、新たな課題としては3つございます。1つ目は、残された規制改革の最終化ということで、主な成果といたしましては、今申し上げましたTLACの最終化ということでございます。2つ目が、過去の合意の適時、完全かつ整合的な実施ということでございまして、主な成果といたしましては、規制改革の実施と影響に関するFSBの最初の年次報告書が策定されたことでございます。3つ目に、今後の課題として、新たなリスクへの監視及び対処が挙げられておりまして、シャドーバンキング等の新たなリスクの監視等がこうしたリスクであるというふうに整理をされております。こちらに出てまいります論点の幾つかにつきましては、後ほどそれぞれ個別に説明をさせていただきます。

9ページ以降をごらんいただきまして、こうした中、金融庁としてどのように対応していくかということを10ページに記載しておりますけれども、昨年9月に策定いたしました金融行政方針におきまして、金融危機後規制強化の動きが継続する中で、成長資金の供給に及ぼす影響などの規制の副作用や、シャドーバンキングの肥大化などの予期せざる影響について懸念がされるということを述べているところでございます。

これらについて、重点施策として、金融規制改革の取り組みに対して、経済成長と金融システムの安定との両立を確保し、規制の複合的な効果による悪影響等にも配慮した、全体として最適な金融規制の構築を推進するべく、国際的な場で積極的に発信・貢献するということが述べられているところでございますけれども、金融庁といたしまして、国際的な議論、会議の場で金融庁の考え方を主張するとともに、英字紙への寄稿や公開のシンポジウムにおいて当庁の幹部が講演などを行いまして、英語で発信するなどの取り組みを強めているところでございます。あわせて金融行政方針中に監督当局間の国際協調、連携のさらなる推進の必要性が記述されているところでございます。今日のご説明の最後に、アジア諸国等新興国との金融技術協力について述べさせていただきます。

これ以降、金融危機以降の規制改革の進展についての各論について申し上げます。

まず、1つ目として、バーゼル規制について申し上げます。12ページの図をごらんください。銀行の破綻を防止して健全性を確保する観点から、銀行に十分な自己資本の保有を義務づけているところでありますが、金融危機以降、自己資本の質の向上と量の強化が企図されております。図にございますように、質のよい普通株式等Tier1、図の青色でございますけれども、これを保有する割合を高めるとともに、右側にございますが、資本保全バッファーを導入して量的にも自己資本を強化することを求めてきておりまして、段階的にこれらを実施してきているところでございます。

13ページにこの段階的な実施のイメージが記載されているところでございます。12ページにございました青い部分、普通株式等Tier1比率がどのように強化されていくかを示しているところでございます。本年2016年からは資本保全バッファーが投入され始めたところでございまして、2019年から完全実施をされるという見込みでございます。

この自己資本の質、量の充実以外にもさまざまな議論が行われているところでございまして、14ページをごらんいただきたいと思います。14ページ、細かい字でいろいろなことが書いてあるところでございますけれども、このうち、上のほうにございますTLACにつきましては、この次の各論の中で紹介をさせていただきます。この自己資本比率規制をはじめとしていろいろな議論がなされておりますけれども、最近の議論を抜き出してご紹介いたしますと、上のほうの緑で書いてございますけれども、信用リスクにつきましては、昨年12月に信用リスクの標準的手法の見直しに関しまして、第2次市中協議文書を公表いたしたところでございます。真ん中の黄色の市場リスクについてでございますけれども、銀行勘定の金利リスクにつきまして、自己資本比率の分母に勘案する1柱案、そして現行の監督枠組みを維持しつつ監督対応を明確化・透明化した2柱案と両論併記された案が昨年の6月に市中協議されたところでございます。各国の団体等からコメントがなされたところでございますけれども、これを受けまして、本年中の最終化を予定しているところでございます。同じく、市場リスクの中で、本年1月でございますけれども、トレーディング勘定の抜本的な見直し案を最終化いたしまして、トレーディング勘定と銀行勘定の境界を見直しまして、勘定間の規制裁定を防止する案を取りまとめております。2019年の12月から規制の適用の開始を予定しております。さらに、今後でございますけれども、これらのリスク項目にまたがるものでございますが、リスク資産の計測に関しまして、銀行の内部モデル手法の使用の見直し等につきまして、本年中に作業を完了させる予定でございます。

下のほうにございますレバレッジ比率、流動性規制につきましては、次のページ以降に書いてございますので、15ページをごらんいただきたいと思います。15ページがレバレッジ比率でございますけれども、金融危機の拡大の要因の1つとなりましたレバレッジの拡大を抑制するために新たに設けられた規制でございます。リスクベースの規制でございます自己資本比率規制を補完するものとして導入されまして、今年の1月に最低基準がエクスポージャーに対して3%の資本を義務づけるものとして合意がなされております。2018年に第1の柱に移行することを視野に、本年中に最終調整を行う予定でございます。

16ページ、流動性規制でございます。30日間のストレス下での資金流出に対応できるような良質な流動資産の保有を求める流動性カバレッジ比率、そして中長期でも十分な安定的な資本等の調達を求める安定調達比率がそれぞれ定められているところでございます。

続きまして、各論の2つ目でございますけれども、大きくてつぶせない問題、Too bog to fail問題への対応でございます。金融危機の反省から、システム上重要な金融機関を指定して規制していくといったアプローチがとられておりまして、銀行・保険・その他の3つに分けられまして、それぞれスピードにばらつきを伴いながらも議論されてきているところでございます。

このうち、上の銀行でございますけれども、2011年11月にG-SIBsのリストを公表しておりますが、右側でございますが、国内のシステム上重要な金融機関につきましても、2015年12月、昨年12月に指定を行ったところでございます。

19ページにG-SIBsについての世界全体のリストがございます。こちらは昨年11月に公表された一番新しいリストでございますけれども、現在世界全体で30行が指定されているところでございまして、邦銀では3つ指定されております。1.5%の自己資本の上乗せが求められるバケット2に三菱UFJフィナンシャルグループ、1%の上乗せが求められるバケット1にみずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループが入っているところでございます。

20ページがグローバルなシステム上重要な保険会社でございますけれども、保険につきましては、世界で9社が指定されているところでございまして、現時点のリストにはごらんのとおり日本の会社は含まれていないところでございます。

21ページにTLACについての説明の紙がございます。TLACは巨大銀行に対して破綻時に備えた損失吸収力をあらかじめ確保させる取り組みでございまして、納税者の負担を回避しながら秩序ある破綻処理を可能とするものとして規制がつくられております。破綻時の損失を吸収するべく自己資本に加えて社債等の損失を吸収することができるとされる負債等を加えまして、この額がリスク資産との比率で一定以上の水準になるようにG-SIBsに求めるものでございます。昨年11月に最終案が公表されたものでございます。2019年から適用されますけれども、その際にはrisk weighted asset比で16%、3年後の2022年からは18%の水準が求められているものでございまして、あわせてレバレッジ比率におきましても6%、6.75%がそれぞれの時点で求められるところでございます。

日本の場合など強靭な預金保険制度がある場合には、この算入上2.5%、それから2022年以降は3.5%、それぞれの時点以降で算入できることとなっておりまして、各国制度の特性等を踏まえた柔軟性のある枠組みとなっているところでございます。こうした枠組み、あるいは移行期間が設けられていることなどを踏まえれば、日本の3メガにとっても総体として経営努力の範囲で無理なく達成可能な内容になっているものと考えているところであります。

続きまして、シャドーバンキングについてでございます。23ページに図がございますけれども、ヘッジファンドやMMFなど実質的に銀行に類似した信用仲介活動を行っている銀行以外の主体があるところでございますけれども、銀行システムに対する規制が強化されるにつれまして、ヘッジファンドなどこうした規制の緩いほうに資金の流れがシフトするリスクがありまして、こうした主体や活動、シャドーバンキングと呼んでおりますけれども、このシャドーバンキングが持つシステムリスクに対する規制や監視のあり方が検討をされているところでございます。

24ページにございますけれども、シャドーバンキングはさまざまな主体を含む幅の広い概念でございまして、G20としてもさまざまな角度から対応をしてきております。5つの分野につきまして、こちらにございますけれども、例えば銀行がシャドーバンキングへ関与する際の出資・大口エクスポージャーに関する規則などを定めているところでございます。G20のアンタルヤ・サミットをここに抜粋してありますけれども、こちらを見ていただきますと、「システミック・リスクに見合うような方法で」というふうに書いてございまして、一様な規制ではないというアプローチを志向しようという認識が示されております。また、最近でございますけれども、シャドーバンキングに代わり、あるいは並びまして、市場型金融、market-based financingという言葉が使われ始めてきておりまして、シャドーバンクという言葉から、徐々に置きかわりつつあるような状況でございます。

各論の最後で店頭デリバティブ規制改革について申し上げます。26ページの左下の図でございますけれども、金融危機当時の問題といたしまして、店頭デリバティブ取引の透明性が十分高くはなかったこと等ございまして、取引相手を通じまして破綻の影響が伝播しやすかったという問題がございました。こうした教訓を踏まえまして、店頭デリバティブ取引等の決済の安定性・透明性を向上させるために、標準化された店頭デリバティブ取引につきましては、中央清算機関を利用するという清算集中義務が2012年11月以降導入されております。また、これら以外の取引につきましては、証拠金規制によりまして影響の伝播を回避するためにしようとしておりまして、本年の9月からの施行を予定しているところでございます。

1ページ飛んでいただきまして、28ページでございます。その他の主な作業ということでございまして、店頭デリバティブ取引の透明性の向上に向けて各国ごとに取引情報蓄積機関がつくられて、取引情報の蓄積が進められているところでございますけれども、現在、情報のとり方などに国による違いなどがございまして、国際的な情報の集約を行うことができないという課題がございまして、取引情報蓄積機関へ報告する情報の標準化について、現在国際的な検討が進められているところでございます。

説明の最後でございますけれども、アジアとの金融技術協力につきまして、簡単に申し上げたいと思います。

近年、金融庁としてアジア各国との金融技術協力を積極的に進めているところでございますけれども、30ページの地図でごらんいただけますように、2014年以降金融技術協力に係る覚書の締結などを各国の監督当局などと行っているところでございまして、先方の関心分野に応じまして、制度整備の支援、あるいは職員研修などの技術支援を行っているところでございます。

31ページにアジア金融連携センター(AFPAC)とありますけれども、こちらは一昨年7月よりアジア諸国の金融当局の幹部候補生を研究員として金融庁に招聘をしております。来ていただいた研究員には二、三カ月にわたりまして研究員個々の関心分野に応じましてテーラーメードのプログラムを提供いたしまして、研修をしております。これまでに9か国39名の当局者を受け入れてきたところでございます。この金融連携センターにつきましては、昨今アジア諸国以外からの関心も示されてきているところでございまして、アジアだけではなくて、グローバル金融連携センターに改組するということを予定しておりまして、この春以降中東あるいはアフリカ等の地域からの研修生の受け入れを開始する予定でございます。

簡単ではございますけれども、以上でございます。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

それでは、先ほどのディスクロージャーワーキング・グループの審議状況、及び、ただいまの国際金融規制改革の説明につきまして、ご質問、ご意見等があればお願いいたします。

いかがでしょうか。何かご質問、ご意見、ございませんでしょうか。

翁委員、どうぞ。

○翁臨時委員

国際金融規制改革の最近の動向についてのご説明、大変ありがとうございました。非常にさまざまな規制改革が進められていまして、こういう形で全体像をお話しいただくのは大変理解に役立つと思っております。

特に、10ページのところで、金融行政方針にも出ておりますけれども、国際的な金融規制改革の取り組みに関して積極的に対応するということに関して、ぜひよろしくご対応いただきたいと思っております。こちらにも書いてございますが、さまざまな規制がたくさん今折り重なって導入されておりまして、こういった複合的な効果というのがどうなるのかということに関しまして、やはりしっかりと見ていっていただくということが非常に重要だと思いますし、また少し揺り戻しが起こってきているように思いますが、金融機関のリスク管理に対するインセンティブとをどう両立していくかという視点は引き続き重要であり、そこについての配慮というのもお願いしたいと私は思っております。

あと、規制、例えばTLACとかバランスシートで見た場合、ミクロで見た場合に重要と思われる規制が、マーケットの全体で見るとインターコネクティッドネスというか、非常に複雑に取引が関連していますので、そういった規制がマーケットにどういう影響を及ぼすのかということも重要だと思います。十分いろいろご検討されているかと思いますが、これからもぜひ国際的な場でいろいろと発信して、やはり経済全体へのインパクトとかマーケット全体へのインパクトがあまり大きくならないように推進していっていただきたいと思います。以上でございます。

○岩原会長

ほかに、いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

それでは、予定の議事を全て終了しましたので、以上をもちまして本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了したいと存じます。

なお、本日の議事の模様につきましては、事務局のほうから後ほど記者レクを行わせていただきますので、ご承知おきください。

また、今後の日程などに関しましては、事務局よりご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

皆様、本日はお忙しい中ご出席いただき、熱心にご議論いただきまして、まことにありがとうございました。

以上

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企画課

(内線3645、3520)

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