第39回金融審議会総会・第27回金融分科会合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成29年11月16日(木)9時30分~11時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第1特別会議室

 
○岩原会長  
 おはようございます。ただいまから、第39回金融審議会総会・第27回金融分科会合同会合を開催させていただきます。
 
 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の議事は、公開の形で行わせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 
 本日、麻生大臣は、ご所用のため、審議の後半にご到着される予定ですので、ご了承いただきたいと存じます。
 
 大臣ご到着後、本審議会に対する新たな諮問を行っていただく予定ですが、先に諮問が予定されている事項について、事務局からの補足説明を進めさせていただきます。
 
 まず1つ目の「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」について、井上信用制度参事官から説明をお願いいたします。
 
○井上信用制度参事官
 おはようございます。信用制度参事官の井上でございます。
 
 私から、「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」について、ご説明申し上げます。
 
 お手元に、資料1「事務局説明資料(金融制度のあり方に関する検討)」と記載された資料が配付されているかと存じます。表紙をおめくりいただければと思います。
 
 本日予定されております諮問の背景、課題、検討の方向性について、1ページの一枚紙にまとめさせていただいております。資料の上部、「金融システムを取り巻く環境の変化」について、まずご説明させていただきます。
 
 1点目としましては、ITの進展等によりまして、金融機関以外の主体が、従来金融機関が担ってきた機能を分解し、個別の機能に特化して提供するアンバンドリングという動きや、あるいは環境、顧客のニーズに即して、複数の金融・非金融サービスを組み合わせて提供するリバンドリングという動きが拡大してきている点が挙げられるかと思います。
 
 金融庁では、このようなフィンテックへの対応といたしまして、これまで2年連続で金融審議会でもご議論いただき、銀行法等を改正いたしまして、銀行によるフィンテック企業等への出資の容易化、仮想通貨への対応、あるいはフィンテック企業と金融機関との協働・連携、オープン・イノベーションを促す環境整備を行ってきたところでございます。
 
 しかしながら、フィンテック等のさらなる発展可能性も鑑みると、こうした対応にとどまらず、この後ご説明させていただきます他の金融を取り巻く環境変化も考慮の上、さらなる金融制度のあり方についてご議論いただくことが必要ではないかと考えております。
 
 環境変化の2点目でございます。ファンド等の主体による銀行に類似した金融仲介、シャドー・バンキングが拡大してきている点でございます。その中には、実質的には銀行と同様の機能や、あるいはリスクを伴うものも存在するのではないかと考えられます。
 
 3点目でございます。金融環境の変化、例えば少子高齢化による人口減少、及びそれに伴う国内市場の縮小、あるいは低金利環境の継続といったことが挙げられるかと思いますが、そういった環境変化の中で、多くの金融機関がビジネスモデルの再構築を図っている際に、制度面の障害があれば除去していく必要があるのではないかという点でございます。
 
 最後に、背景の4点目でございます。これは将来的な話となりますけれども、デジタル通貨の出現等が金融システムを大きく変革させていく可能性があるのではないかということでございます。
 
 国内外において、銀行が発行するデジタルコインの開発等の研究が進められているとともに、各国におきましても、中央銀行等におきまして、デジタル通貨に関する研究が進められていると承知しております。
 
 このような取組みによって、通貨自体のデジタル化が進めば、社会経済のあり方自体が変わる可能性があるとともに、顧客同士が金融サービスを直接やり取りする動きが広がれば、金融ネットワークの変革につながるのではないかと考えられます。さらにこうしたことを通じて、金融システム、金融サービスや金融機関のあり方に抜本的な変革がもたらされる可能性があるのではないかと考えております。
 
 これらのような環境変化を踏まえましたときに、資料の左下にございます、現行法制の特徴を考えていただきますと、3点ほど課題が整理できるのではないかと考えております。
 
 1点目、業態ごとに法令(業法)が存在いたしまして、機能・リスクが類似したサービスでも、行為主体あるいは業態によってルールが異なるということではないかと思います。証券分野では、金融商品取引法において一定程度の横断化が進んだとはいえ、銀行法、あるいは保険業法、さらには貸金業法や資金決済法といったように、現行法制は、基本的には業態別の法体系になっております。このため、類似のサービスでも、行為主体によって適用されるルールが異なり得ることがあるのではないかと考えております。
 
 この点、IT技術の進展によって業態間の垣根が実質的に下がってきている中において、現行の業態別の法体系が、業態をまたいだビジネス選択の障害となったり、あるいは規制が緩い業態への移動や、業態間の隙間の利用等を通じて規制を回避する動き、レギュラトリー・アービトラージを生じさせているのではないかという懸念がございます。
 
 この点について、補足説明をさせていただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。一例といたしまして、決済業務等に係る現行制度について示させていただいております。
 
 左から順に、「銀行業」「資金移動(送金)業」「プリペイドカード業」(前払式支払手段)に関し、その主なサービスと規制内容についてまとめさせていただいております。
 
 簡単にご紹介させていただきますと、現行の決済業務等を巡る法体系といたしましては、為替取引、預金の受入れと貸付けを固有業務とする銀行に対しては、銀行法による厳格な規制をかけた上で、それら銀行の固有業務の一部あるいはそれらに隣接する業務を行う場合について、各種業務ごとに、銀行法に比べて緩やかな規制のもとで業務を行うことができる枠組みが整備されている状況となっております。
 
 すなわち、決済業務につきましては、資金移動業では、それまで銀行のみに認められていた為替取引につきまして、100万円を上限に営むことができるとされております。ここについては登録制となっておりまして、100パーセントの資産保全を義務付けることによって、銀行にかかる厳格な規制の代替としてございます。
 
 その右側のプリペイドカード業でございます。払戻しは、原則禁止とされておりますけれども、その譲渡については規制を設けておりません。自家型発行者は届出制、第三者型発行者は登録制のもと、未使用残高の2分の1以上の保全義務を課すなど、銀行業に比べて緩やかな規制となっております。
 
 ITの進展等によりまして、規制領域をまたがるサービスの展開の余地が拡大しているわけでございますけれども、こうした方向性で決済サービスが発展している中で、このように区々となっている現行の法体系では、これまでの金融審議会のご議論の中におきましても、例えば事業者のビジネス選択に歪みや制約をもたらす可能性があるのではないか、あるいは規制の不整合が恣意的に利用されて、取引の安全性等が適切に確保されないおそれがあるのではないかというご指摘をいただいてございます。
 
 恐縮ですが、1ページにお戻りいただきまして、「現行法制の特徴と課題」の2つ目、左側のボックスの2つ目でございます。「金融に関する統一的な基本的概念・ルールが存在しない」という点も挙げられるかと思います。
 
 現行の法体系の場合、「金銭」等の基本的概念に仮に変化が生じる、例えば、デジタル通貨の進展が考えられますけれども、そのような場合に法改正の必要が生じた際には、個別業法ごとに改正をしていかなければならないことになるわけでございます。
 
 この点につきましても、補足説明をさせていただければと思います。1枚おめくりいただきまして、3ページをご覧いただければと思います。
 
 金融規制と「金銭」概念を整理させていただいたものでございます。現行は、金融関係の各業法で定める金融業務につきましては、「金銭」という概念が基本的な前提となっているように考えられます。具体的には、資料にございますとおり、「預金」や「融資」、真ん中でございますが、銀行法や貸金業法におきましては、「金銭」もしくは「資金」と法律上明記されておりますけれども、左側の「決済」のところ、銀行法や資金決済法におきましては、「為替取引」と規定した上で、これも解釈については最高裁判例が下にございまして、資金の移動とされているように、「金銭」という概念が前提となっているかと思います。
 
 他方で、規定の仕方については、必ずしも統一化されているわけではございません。また、「決済」のところにございます「為替取引」についても、法令において明文の定義規定はございませんで、ご紹介いたしました最高裁判例を解釈の参考としつつ判断をしていかなればならないというように、金融に関する基本的概念・ルールについて、必ずしも統一化が図られているとは言えない現状になっているのではないかと考えられます。
 
 こうした場合におきまして、先ほど申し上げましたデジタル通貨の発展等が起こりますと、「金銭」の概念に変化が生じる、あるいは「為替取引」への該当性が疑われる場合に、サービスの法適用関係を、実際の具体的な事業スキーム等を検証した上で判断していくことになるということだと思います。技術発展に伴いまして、新たなビジネスモデルが次々と出てくる中で、規制の適用関係が直ちには判断しがたく、これがビジネスの障害となり得るというご指摘もございます。
 
 今後、イノベーションの促進と利用者保護を確保していくためにも、法体系の整理とともに、金融に関する基本的概念・ルールを、可能な限り横断的にしていくことも考えられるのではないかと考えております。
 
 恐縮ですが、再度、1ページにお戻りいただきまして、「現行制度の特徴と課題」の3点目でございます。1番左下でございますけれども、「各業法に、環境の変化に対応していない規制が存在する可能性」があるのではないかという点でございます。現在、各金融機関が、ITを活用した合理化やITに対応した合理化等を行っていく場合に、規制によって円滑にそれらを実現できない可能性があるのではないかということでございます。
 
 これについても、恐縮ですが、また3ページおめくりいただきまして、最後の4ページをご覧いただければと思います。
 
 人口減少に伴います国内市場の縮小や世界的な長短金利の低下など、金融を取り巻く環境変化が起こる中で、ITを活用した支店網の機能・役割の見直しなど、金融機関においてはビジネスモデルの再構築を図っておられるところではないかと思います。こうした取組みに関しまして、制度面での障害があれば、これをプロアクティブに除去していく必要があるのではないかということでございます。
 
 幾つか例があるかと思いますが、一例として、銀行の例をご紹介させていただきます。銀行が、仮に過疎地においてサービスを維持しつつ、合理化を進めていくために店舗を見直す場合に、共同店舗を設立しようとした場合、現行ですと、建物や顧客情報の共同利用、職員の兼職に係る法令及び監督指針上の各種規定を踏まえますと、検討を躊躇したり、あるいは保守的な対応をしているという声も聞かれます。
 
 また、右側ですが、営業所の休日についても、法令で明確に定められておりまして、地域の実情や顧客ニーズに即した店舗運営が難しいというご指摘も聞かれております。
 
 これは一例でございますけれども、各業法において、こういった環境変化に合わない規制が存在するのではないかと思われますので、これらを横断的に点検・見直しを行っていく必要があるのではないかということでございます。
 
 改めて、1ページにお戻りいただければと思います。以上、ご説明いたしました背景、課題を踏まえますと、金融に関する基本的概念・ルールを明確化するとともに、同一の機能・リスクには同一のルールを適用するとの考え方のもと、イノベーションの促進と利用者保護のバランスを図りつつ、金融関連の法体系を機能別・横断的なものにすることについて検討を進めていただく必要があるのではないかと考えております。
 
 こうした視点に立ちまして、「検討の方向性」について、資料の右下にまとめさせていただいております3つの基本的な原則について、議論を進めていただくことが考えられるのではないかと思っております。
 
 1点目でございますが、同一の機能・リスクには同一のルールを適用するということでございます。これについては、特に機能の分類について、色々なご意見があるかと思っておりますけれども、ここでは、例えば、「決済」「資金供与」「資産運用」「リスク移転」といったように、ある程度大きく機能を分類した上で、その機能のリスクの程度に応じたルールの適用を検討してはどうかという考え方を提示させていただいております。この点について、ご議論いただければと思います。
 
 2点目でございますけれども、金融に関する基本的概念・ルールを横断化するということでございます。こうした議論の中で、金融規制における定義の横断化、先ほど述べましたように、例えば「金銭」等の基本的概念の横断化について検討できないかということでございます。また、関連して、参入規制の横断化や、あるいは柔構造化といった論点もあり得るかと思います。
 
 3点目といたしましては、環境の変化に対応すべく、規制を横断的に見直していくということでございまして、先ほど述べましたように、各業法に存在する環境変化に対応していない規制の点検・見直しを横断的に行っていく必要があるのではないかということでございます。
 
 このような議論を行っていただく際の留意点として、例えば、業態別から機能別に金融規制を変えていくにしても、こういう主体単位の適用を前提とした、例えば、破綻処理法制ですとか、あるいは業務範囲規制との関係など、機能別法制との関係をどう考えるかといった点については、非常に難しい問題があると考えております。また、機能別法制のもとでの監督の実効的なあり方等の論点についても、留意していただく必要があるのではないかと考えております。
 
 以上、情報技術の進展等の金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方についてのご検討でございますが、非常に広範で、検討に数年単位の長期間を要する課題ではあろうかと思いますので、ぜひ多角的な視点からご議論をいただければと考えております。

 私からの金融制度のあり方に関する検討についての背景説明は、以上でございます。
 
○岩原会長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、諮問が予定されている2つ目の事項であります、「企業情報の開示・提供のあり方に関する検討」について、田原企業開示課長から説明をお願いいたします。
 
○田原企業開示課長 
 おはようございます。企業開示課長の田原でございます。
 
 それでは、お手元の資料2「事務局説明資料(企業情報の開示・提供のあり方に関する検討)」と題しております資料に従いまして、背景についてご説明差し上げます。
 
 1ページおめくりいただきまして、「最適な資金フローの実現と企業情報の開示・提供のあり方」とございます。日本の資本市場の機能を強化いたしまして、国全体の最適な資金フローを実現する目的のために、金融庁としてもこれまで色々な取組みを行ってまいりました。特に昨今では、スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードの導入、また顧客本位の業務運営の強化など、取組みを行ってきたところでございます。
 
 上場企業、投資家の皆様を取り巻く経済環境が大きく変化する中で、資本市場の機能の発揮を通じまして、企業価値の向上と収益向上の果実を家計にもたらしていく好循環を実現していくためには、投資家の皆様によります適切な投資判断ができる情報を提供していく、また投資家と企業との建設的な対話を促す観点から、必要な情報が提供されていくことが必要だというご指摘を頂戴してございます。
 
 従いまして、こうした観点から、企業情報の開示・提供のあり方につきまして、再検討する時期に来ているのではないかということでございます。
 
 1ページの下に、資金フローの図を書かせていただいております。資本市場の中で、企業の皆様が資金調達をされる、あるいは発行された証券が日々取引される中で、それに対して、投資家の皆様が投資判断をしていく、あるいは、それを株主として企業と建設的な対話をしていくといったことを通じて、中長期的な企業の価値の向上を図っていく。それが、最終的に企業収益向上の果実として、家計に巡っていくという循環を、しっかりとしたものとしていく必要がございます。こういった観点から、開示についても見直しをしていく必要があるのではないかということでございます。
 
 1ページおめくりいただきまして、その変化の1つということで、ご紹介させていただきます。もう皆様ご承知のことかと存じますが、我が国の資本市場におきましては、金融機関による株式の保有割合が低下する一方で、海外投資家の保有割合が大変多くなってございます。
 
 2ページの下のチャートの左方をご覧いただきますと、1990年に金融機関が大体3分の1の株式を保有していたわけでございますが、これはもう今は10パーセントを切っている状況にございます。一方で、紫色の線でございますけれども、1990年当時は5パーセントに満たなかった海外投資家の方々の保有されている株式は、今は3割になっているということで、大きな変化になっていると考えているわけでございます。
 
 そういう中で、海外投資家の方々の投資判断あるいは企業との対話という観点から、必要とされている企業情報の開示・提供のあり方について考えていくことが課題になっているのではないかと考えてございます。
 
 また、個人投資家の方々につきましては、直接・間接の株式の保有割合を増加していただく、増やしていただくことが重要ではないかというご指摘も多々頂戴をしてございまして、個人投資家の方々、あるいは個人の方々の資産を運用する機関投資家の方々への情報提供が重要な課題となっているとしております。
 
 次のページ、3ページ、でございますけれども、投資判断と並んで重要な課題でありますコーポレートガバナンス改革に当たっての企業情報の開示・提供でございます。こちらにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、成長戦略の一環ということで、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードを車の両輪といたしまして、中長期的な企業価値の向上を目的として、コーポレートガバナンス改革に向けた取組みを進めてまいってございます。
 
 本年5月にはスチュワードシップ・コードを改訂いたしまして、企業と投資家の対話というものの実効性が上がっていくよう、取り組んでございます。また、この10月からは、両コードのフォローアップ会議におきまして、コーポレートガバナンス改革の進捗状況の検証を行ってございまして、後ほど今事務年度の金融行政方針のご紹介もあると思いますけれども、その中でも、両コードをより実効的なものとしていく観点から、投資家と企業の対話の際のガイダンスを策定する方向性を示させていただいてございます。
 
 こういった流れの中で、企業と投資家の皆様に建設的な対話を行っていただく必要があるわけでございますけれども、その際に、投資家の方々からは、必要な情報がもう少し出してもらえるとありがたい、あるいは出し方について色々なリクエストがあるところでございます。
 
 こういった観点から、企業情報の開示・提供のあり方についてご検討をいただければと考えてございます。具体的には、3ページの下の囲みの中にございますが、例えば経営戦略ですとかリスクなどに関する情報、あるいはガバナンス情報の内容について充実をしていただけないかという声が、投資家の方から寄せられてございます。
 
 また現在、色々な形で企業情報開示あるいは情報提供が行われてございますけれども、例えば、ガバナンス情報について見ますと、有価証券報告書に記載されている部分とコーポレートガバナンス報告書に記載されている部分は、それぞれ情報が充実してきているわけですが、投資家の利便性向上という観点から、あるいは企業の負担という観点から、こういった情報提供のあり方について検討すべきだというご指摘も頂戴してございます。
 
 1ページおめくりいただきまして、今回の検討について、サマリー的に示させていただいております。4ページの上の欄に掲げさせていただいております目的、「資本市場の機能強化」、それから「国民の安定的な資産形成の実現」といった観点から、企業開示につきましては、投資家の投資判断に必要な情報が十分に、かつ正確に、また適時に分かりやすく提供されることが必要であると考えております。
 
 また、2つ目といたしましては、企業と投資家との対話を通じて、企業の中長期的な成長を促していくという役割を担っていると考えてございます。
 
 こういった観点から、大きく3つの柱を、今のところ考えてございます。左側の青の矢印でございますけれども、1点目は、「経営の戦略やリスクなどに係る情報の充実」が必要ではないかということでございます。その右側をご覧いただきますと、例えば、経営戦略ですとかリスク情報等の情報開示のあり方について考えていく必要があると考えておりますし、あるいはMD&A、経営者によります業績の分析について、セグメントの設定の仕方ですとか、各セグメントについての分かりやすい説明のあり方などについて考えていく必要があるのではないかと考えてございます。
 
 また2点目といたしましては、「建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供」でございます。先ほども申し上げましたガバナンス情報の提供のあり方、あるいは、政策保有株式に関する情報が、ややボイラープレート的になっているのではないか、もう少し詳細な情報を提供してほしいというご指摘がございます。それから、役員報酬につきましても、中長期の企業価値の創造に向けて、経営陣にインセンティブを付与するため、業績連動報酬などの活用が進められる中で、役員の方々の報酬のあり方をしっかり見直していく時期に来ているのではないか、また、役員報酬の決定方針などについても、開示のあり方を考えていく必要があるのではないかというご指摘を頂戴してございます。
 
 また、3点目に「提供情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組み」と書いてございますけれども、昨今の不正会計事案などを踏まえて、今、監査の透明性も大きな課題となってございますので、そういった観点から、監査法人の継続監査年数の記載など、会計監査に係る情報の改善のあり方も検討対象になるのではないかと思っております。それから、各種の開示書類の提供の時期、例えば、短信ですとか、会社法上要求されている開示書類、それから有価証券報告書が、どう提供されていくべきか。あるいは、英文での情報提供のあり方、先ほど申し上げましたように、海外投資家の方が非常に保有割合を増やしている中で、そういったことについても検討していく必要があると考えてございまして、こういった点を中心に、我が国の開示のあり方について検討していくことが必要ではないかと考えてございます。
 
 以上、手短ではございますけれども、企業情報の開示・提供のあり方に関する検討の背景につきまして、説明を申し上げました。ありがとうございます。
 
○岩原会長
 どうもありがとうございました。
 
 続きまして、このほど金融庁は「平成29事務年度 金融行政方針」を取りまとめ、公表しております。金融行政が何を目指すかを明確にした上で、広い方々との議論を通じて、金融行政を遂行していくものと理解しております。金融行政の大きな方針が示されたということでございますので、この機会に、事務局から説明を伺いたいと思います。
 
 それでは、油布参事官、お願いいたします。
 
○油布参事官
 ありがとうございます。参事官の油布でございます。
 
 メインテーブルには、金融行政方針をお配りしております。表紙をおめくりいただきますと、最初にパワーポイントが載っておりますが、こちらをもとにご説明させていただきたいと思います。
 
 右下にページがございますので、まず1ページをご覧ください。「金融行政運営の基本方針」という表題になっております。
 
 金融庁では、この数年、金融行政方針を公表し、1年間の分析と新たな問題提起を「金融レポート」という形で公表し、その問題意識を踏まえて、翌事務年度の金融行政方針を公表するというPDCAサイクルを回しております。
 
 お手元の「金融行政方針」は、11月10日に公表させていただいたものでございます。
 
 1ページ目の真ん中をご覧ください。金融庁では、金融行政の目標を下記のとおり整理しております。究極的な目標としまして、企業・経済の持続的成長と国民の経済厚生の増大ということを記載しており、そのために金融システムの安定と金融仲介機能の発揮といったものをバランスをとって両立させていく形で金融行政を進めております。
 
 こうした目標が、単なる標語ではなく、金融庁職員が、財務局も含めまして、常にこれを意識して業務運営に携わるよう、改革を進めていきたいと思っております。
 
 その1点目が、2ページでございます。これは、金融庁内部の改革でございます。3点掲げておりまして、まず、一番左、「組織文化(カルチャー)の変革」です。国民のため、国益のために働く組織へ変革するために、例えば人事評価について評価基準を変更してまいりたいと思っております。
 
 次に、真ん中、金融庁の「ガバナンスの改革」です。この部分は、外部からのご意見やご批判などが的確に金融行政に反映されるという開かれたガバナンスを目指していることを明らかにしております。1つ目の矢羽に「政策評価有識者会議による政策評価の充実と各種有識者会議の積極的活用」とございます。各省庁は法律上、政策評価のための有識者会議を設置しておりまして、金融庁にも政策評価の有識者会議がございますが、こちらに加えて、金融行政の大きな方針などについても適宜ご意見を拝聴していくことで、より能動的・積極的にこの政策評価有識者会議を活用できればと思っております。
 
 最後に、「組織の見直し」と記載がございますけれども、具体的には、現在の総務企画局、検査局、監督局という3局体制のリシャッフルについて、機構・定員要望を提出しております。
 
 次に、3ページをご覧ください。これは、金融行政の目標が的確に達成されるために、検査・監督のあり方やアプローチについての見直しを行うことを記載しております。
 
 1点目に「形式から実質へ」とありますのは、法令等の最低基準であるミニマム・スタンダードが形式的に守られていればよしとする、ということではなく、実質的により良質な金融サービスを提供できているかに重点を置いた検査・監督のあり方を考えております。
 
 2点目に、「過去から未来へ」とありますのは、例えばバランスシートに代表される過去の一時点のデータのみに基づく検査・監督ではなくて、将来の収益性、ビジネスモデルの持続可能性をも視野に入れて、検査・監督を進めてまいりたいということでございます。
 
 3点目に、「部分から全体へ」とありますのは、個々のコンプライアンス違反などが発生した場合に、特定の個別の問題への対応に過度に拘泥するのではなく、背後にガバナンスやコーポレートカルチャーの欠如があるのかどうか、むしろそういった点を重視して問題を解決してまいりたいということでございます。
 
 このように、検査・監督の進め方の視点を3つ掲げてございます。この点については、この枠囲みの下にございます「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」の策定を現在進めております。追ってパブリックコメントの形で公表し、ご意見をお伺いした上で、確定させてまいりたいと思っております。
 
 それから、このページには「その他」という項目がございますが、これは例えば、免許・登録、届出も含め、許認可等の審査プロセスについて、より効率的で、迅速かつ透明性のあるプロセスを目指してまいりたいと思っております。
 
 4ページからは、個別のイシューに入ってまいります。「金融上の課題の包括的検討」という記載になっております。左側の図を見てまいりますと、従前の日本の資金の流れは、例えば、アセットオーナーや家計からは、銀行に預貯金という形で大きな資金が流れている一方で、資本市場に流れるお金は相対的に少ない。あるいは、銀行と企業との関係を見ましても、融資は担保・保証に依存しており、企業は借入金の縮小あるいは企業預金を積み上げるというような形が、一種の安定構造をずっと保ってきたと思っております。これを現在、右側にありますように、例えば、企業統治関係の2つのコードであったり、「顧客本位の業務運営」であったり、融資に関して申し上げれば事業性評価といったことを現在進めており、国の資金の流れを右側のイメージに変えていきたいということに取り組んでおります。
 
 これを進めてまいります上で、例えば、これに欠けている新たな視点、フィンテックなどに関係するものもあるかもしれませんけれども、そういうものがないかどうか。あるいは、金融庁の所管している資金の流れだけを見てもマクロ的には意味がございませんので、全体的な金融の流れを分析し、可能であれば政策手段の検討も進めてまいりたいと思います。これにつきましては、先ほど申し上げた政策評価有識者会議などのご意見も頂戴しながら、包括的かつforward-lookingに検証してまいりたいと思っております。
 
 5ページをご覧ください。ここからは、大きな柱になる施策について記載をしております。1点目は、資本市場関係でございまして、まず家計の安定的な資産形成等についてでございます。(1)に「『顧客本位の業務運営』の確立と定着」とありますが、本年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表しておりまして、9月30日時点で730以上の金融事業者が受入れを表明しております。これを、実際に受け入れただけではなく、実行していただく必要があると思いますので、そのためには金融機関の取組みの「見える化」というアプローチを使いながら、実効性を高めてまいりたいと思います。
 
 そのほか、長期・積立・分散投資の推進。それから、退職世代等に対する金融サービスのあり方についても、約1,800兆円の家計金融資産の6割以上は、退職世代が現に保有しておりますので、この世代について、金融資産の運用・取崩しを行う上で金融業はどのような貢献ができるかについて、検討を進めてまいります。
 
 6ページをご覧ください。資本市場の関連で、企業統治関連の記載がございます。2つのコードがございまして、本日の諮問の企業情報の開示・提供とも関連いたしますけれども、ガバナンス改革は進展を見せてはおりますが、さらに機関投資家と企業の対話を進める取組みを引き続き進めてまいります。
 
 次に、その下は市場監視機能の強化でございます。市場構造の急速な変化や市場におけるフィンテックの進展から、例えばマクロ的な視点も取り入れて市場監視を実施してまいります。
 
 7ページをご覧ください。ここから、間接金融関係の施策について記載をしております。まず地域金融機関につきまして、(1)に「持続可能なビジネスモデルの構築」という記載がございます。
 
 1つ目の矢羽でございますが、ビジネスモデルの持続可能性などに深刻な問題を抱えている地域金融機関に対しては、検査を実施し、課題解決に向けて、どのようなビジネスモデルの再構築を検討するのか、対応を促してまいります。
 
 それから2つ目は、金融仲介関係です。他の金融機関との比較ができるようなKPIを選定・公表することで、「見える化」を図ってまいります。
 
 3点目ですが、ビジネスモデルあるいは企業価値を高める事業性評価について、改革の意欲はあるが、具体的な取組みツールがいま一つ分からない地域金融機関も少なからず存在するようでございます。このようなところは、REVICやその子会社の日本人材機構を通じて、人材・ノウハウ面から支援を強化してまいります。また、地域経済の活性化、地域企業の価値向上に貢献できるものがあれば、金融機関の業務範囲規制についても、緩和を検討してまいります。
 
 公的金融と民間金融につきましては、競合などの実態を調査した上で、望ましい関係のあり方を、民間金融機関や政府系金融機関、その所管省庁などとも議論をしてまいります。
 
 また、将来にわたって健全性と仲介機能を両立させる競争のあり方について、有識者のご意見も参考にしながら、検討を進めてまいります。金融行政の観点から、この競争のあり方について、検討を進めてまいりたいと思います。
 
 さらに、金融機能の維持や退出に関する現行の制度・監督につきましても、改善の余地がないのかどうかについて、現時点から、有識者のお知恵も借りて検討を進めてまいりたいと思っております。
 
 (2)が「経済・市場環境の変化への対応」でございます。現在の低金利環境がずっと継続、あるいは逆に金利が反転する、いずれの場合でも健全性を維持できるように、証券運用をはじめとするリスク管理の高度化等に向けて対話を進めてまいります。
 
 (3)の「金融ビジネスの環境変化に対応したガバナンスの発揮」でございます。「希望的な観測に頼った経営」という言葉を使っておりますが、金融機関の中には、いずれまた利ざやが立つような環境に変わるのではないかという観測に頼った経営を行っている先、あるいはビジネスモデルの持続可能性に大きな懸念があるにもかかわらず改革に着手していない先が存在しているところです。こういった先につきましては、例えば社外取締役や株主などといった外部からの牽制が働いていないようにも見受けられます。そのため、各金融機関のガバナンス機能の実態を把握した上で、改善に向けて金融機関経営者と対話を進めてまいりたいと思います。
 
 8ページは、3メガバンクグループについてです。3メガバンクグループいずれも海外業務が拡大しておりますので、世界経済・市場からの影響が増大しつつあります。また、IT技術の進展等により、従来の競争力の源泉であったものが、むしろ負担になるといった大きな環境変化にも直面しつつあると思います。
 
 こうした中でも遅れずに適切な対応をとることができるよう、質の高いガバナンスの構築が重要であろうと思っております。そうした観点を踏まえ、(1)と(2)について、具体的なご紹介は割愛しますけれども、対応を進めてまいります。
 
 9ページをご覧ください。まず保険会社ですが、伝統的な国内保険市場は、生産年齢人口の減少に伴いまして縮小が予想されております。また、長寿化、IT技術の進展といった新たな環境変化も生じており、これに適切に対応する観点から、例えば、持続可能なビジネスモデルの構築や事業戦略などについて対話を進めるといったことを記載しております。
 
 証券会社につきましては、市況等に左右されにくい安定的な収益・財務基盤の構築、IT化に伴う顧客ニーズの変化等、経営環境の変化に適切に対応していくことが課題であると考えております。顧客利益を十分に考慮しない既存の営業体制を前提にしたビジネスモデルには限界がある可能性もございますので、分析を行った上で、証券界との対話の材料に役立てていきます。
 
 10ページが、国際金融規制関係でございます。(1)の「国際的な金融規制に対する対応」につきましては、バーゼルⅢの早期の適切な最終化、またそういった規制改革の影響評価などに取り組むことや、その他の取組みを記載しております。
 
 11ページをご覧ください。「業態別の法体系から機能別・横断的な法体系への見直しの検討」に関しましては、本日の諮問の1つ目でございますので、こちらの説明は割愛させていただきます。また、フィンテックについては、2年続けて法律改正をいたしましたが、引き続き、フィンテックを経済・金融の発展につなげていくための方策について検討を進めてまいります。
 
 最後に12ページをご覧ください。サイバーセキュリティは、ますますその重要性が高まっております。それから、仮想通貨につきましても、イノベーションの促進と利用者保護のバランスに留意しながら、対応を進めてまいります。
 
 早口でのご説明で恐縮でございますが、以上、私からのご説明とさせていただきます。
 
○岩原会長
 どうもありがとうございました。
 
 それでは、討議に入りたいと思います。
 
 ただいま事務局からご説明のありました、諮問が予定されている事項及び金融行政方針に関しまして、ご意見あるいはご質問等がございましたら、どなたからでも結構でございますのでお願いいたします。
 
 志賀委員、その次に川島委員、朝田委員でお願いします。それでは、志賀委員、どうぞ。
 
○志賀委員
 はい、ありがとうございます。
 
 資料2の企業情報の開示・提供のあり方に関するところです。26年ぶりに株価が2万3千円になって非常にいい状況ですが、買っている方は外国の投資家で、売り込んでいるのは日本の個人投資家で、非常に情けなくなるのですけれども、我々が見ていても、最近、海外投資家が非常に長期的な視点でロングで株を保有していただいて、日本の個人投資家の方々がどうも短期に走っているのは、実感として感じるわけですね。
 
 企業と投資家の対話ということで、IRだとか機関投資家の方と話をしていても、またあるいは個人投資家の方と話をしていても、四半期決算の短期に話が集中してしまうということで、今日の資料の中で、企業が開示すべき情報として、非財務指標であったり、あるいはESG、SDGsみたいな企業が取り組んでいる長期的な部分、これは単に企業が発行する資料を統合レポートにしましょうということではなくて、もう少し企業と投資家の対話を長期的な視点で、あるいは企業が取り組んでいるESGの活動等を中心とした対話あるいはIRができる状況にならないと、四半期決算に追いかけ回されている。
 
 この四半期決算の問題は、今、徐々に四半期の開示等が欧米ではなくなりつつある中で、非常に日本が細かく四半期ごとに決算見直しをして、それが上がったり下がったりというのが新聞紙上を賑わせて、短期の業績を追いかけ回す風潮が強いと感じております。
 
 従いまして、こういう開示の議論をするときに、長期的視点で個人株主が所有していただくという視点の文章がここに1つもなかったものですから、それをぜひ含めていただきたいということと、今、開示の部分で言いますと、会社法、それから金商法、東証の開示ルール等が並行して、今も会社法の改正の議論が法制審で進んでいますけれども、それは私から見ると、パラレルに行っている気がどうしてもして、四半期決算と短信の統合とか、事業報告書と有価証券報告書、内部統制報告書の統合等々の議論をずっと今までもやってきたわけですけれども、そういう部分も、せっかくの諮問の中ではぜひ入れていただきたいと思います。
 
 それから、2つ目の金融行政方針です。4ページです。金融庁の業務範囲について、私の理解が足りないのかもしれませんけれども、この4ページの将来の好循環のイメージですが、アセットオーナーについて、家計のアセットオーナーだけではなくて、機関投資家あるいは年金基金等のアセットオーナーが、もう少しリスクマネーを提供する線が、日本で必要ではないのか。
 
 私は産業革新機構で、法律に基づいてリスクマネーを提供しているのですが、今、官民ファンドがリスクマネーを提供することにご批判もあって、本来民間でやるべきことではないかとおっしゃられるわけです。残念ながら、例えば東芝メモリの件に関しても、日本のプライベート・エクイティ・ファンドでは手を挙げられない状況にあって、海外のプライベート・エクイティ・ファンドしか手が挙がらない。
 
 さらに、私、もっと深刻なのはベンチャーキャピタルで、今、官民ファンドがメジャーに対して投資をしているわけですが、アーリーシーズのところ、あるいはグロース投資のところは、少しお金が大きくなると海外のベンチャーが入ってくる。特に日本のベンチャーでグロース投資が必要なときには、中国のファンドが入ってきている状況があって、ここにお金を提供する民間ファンドがない。
 
 従って、これは金融庁の業務範囲になるかどうか分からないのですが、多分入るのだと思うのですけれども、アセットオーナーの家計だけではなくて、機関投資家の部分、あるいは年金基金が、もっとリスクマネーをマーケットに提供する絵も何らかの形でここに入っていないと、日本はどうしても間接金融中心の国で、エクイティに対する理解が少なく、エクイティがリスクマネーとして回っていないところに、日本が経済的に徐々に沈没している根底の理由があるのだろうと私は思っているので、こういう金融庁の行政方針の中でリスクマネーに対する扱いも、ぜひ含めていただければと思います。
 
 以上です。
 
○岩原会長
 それでは、田原さん、何かございますか。
 
○田原企業開示課長
 どうもありがとうございます。
 
 最初にご指摘を頂戴いたしました中長期的な観点からの対話、あるいはそれに伴う開示、情報提供が必要というのは、全くそのとおりであると考えております。
 
 私の説明が足りなかったかもしれませんが、最後のページ、4ページの2つ目の目的の「企業と投資家との対話を通じて、企業の中長期的な成長を促していく」という、この「企業開示の役割」という形で書かせていただいておりますけれども、例えば有価証券報告書におきまして、経営戦略とか、経営者の方々が、それぞれの経営状況について、それぞれのセグメントについてどう考えていて、また将来の成長についてどう考えているかをお示しいただくといったことについて議論していくことは、中長期的な観点からの対応を促すことになるのではないかと考えておりまして、そういった観点からも議論をいただければと考えてございます。
 
 それから、3種類の日本の開示書類の提供の時期ということでご説明申し上げましたが、そもそも有価証券報告書は決算後2カ月で出すルールであったわけですけれども、会社法上の書類と有価証券報告書の内容が、どうしても有価証券報告書の方が詳しいということで、企業負担に配慮して、3カ月で出していいとした経緯がございます。
 
 この結果、皆様ご存じのように、日本では、会社法上の書類と有価証券報告書の中身が分化して進展してきました。有価証券報告書は、当然詳細な情報を辞書的に出すという性格がございますので6月末に提出するということですが、会社法上の書類は、郵送の手間などございまして、あと個人投資家の方に読んでいただく面が非常に強いということで、分かりやすくコンパクトに、かつ郵送しやすいことで進化をしてきました。それで、中身もかなり違ってきたということでございます。
 
 一方、短信は、諸外国では、10数ページ程度のものが多いと存じておりますが、日本の場合、有価証券報告書は3カ月経たないと出てこない経緯がございまして、どうしても投資家の方が早く決算に関する情報が欲しいと、「決算長信」などと言われるようにだんだんなってきました。
 
 こういう経緯で、中身が3種類分化してきたわけでございますけれども、これを今後どう考えていくのかは、おっしゃるように、議論の進んでいるところです。提供時期についていうと、投資家側の有価証券報告書を株主総会前に出していただくことに対する要望は非常に強いものがあります。そうしますと、会社法と一緒になっていくこともあるかと思いますが、一方で、企業は、それについては負担もあるということでございますので、それについてどう考えていくかは、なかなか難しい課題でもあろうかと思います。
 
 一方、内容について、今後、電子化なども踏まえますと、例えば会社法上の書類と有価証券報告書の中身を似た記載で書くというニーズが出てくれば、それにお応えすることもあると思います。現在、内閣官房、金融庁、経産省、法務省で、どこが一緒に書きにくいかについて企業にヒアリングをしまして、その内容をそろえやすくするような検討を今行ってございまして、そういったことも含めて、今後、色々検討をさせていただきたいと思いますが、色々経緯があってこの3種類の書類の内容になっているところもございますので、それもよく踏まえませんと、結果的に内容をただそろえることになりますと、有価証券報告書の中身を減らす話になり兼ねないものですから、我が国の資本市場への投資家の方々の目線もよく考えて進めていく必要があるのではないかと考えてございます。
 
 なお、四半期短信につきましては、ご存じのように、先般、東京証券取引所でかなり大幅な見直しをしていただきました。特に色々ご指摘のありました業績予想については、任意であることをより明確にすること、それから、分量につきましても、サマリー1枚でいいとされまして、第1四半期の結果を見ますと、既に40社ぐらいの上場企業がサマリーと財務諸表のみとなっています。四半期報告書がすぐに出てきますので、投資家との対話の中で財務諸表が必要なければ付けなくてもいいことも東証でお示しいただいているのですが、こちらにつきましては、各企業でまだ付けられるというプラクティスだと存じていますけれども、短信については簡素化の流れになってきていますので、これについて、第2四半期、第3四半期、どういう動きになっているかをよく見させていただいて、今後の検討につなげさせていただければと考えております。
 
 やや長くなりましたが、お答えさせていただきます。
 
○岩原会長
 それでは、第2点について、油布さんお願いします。
 
○油布参事官
 手短にお答えいたします。
 
 図にしてしまうと、情報が捨象されてしまいますが、4ページの図は、「アセットオーナー」という言葉と「家計」という言葉を1つの絵の中に入れておりますが、実は両者は同じものではないということで記載しております。このアセットオーナーは、機関投資家、企業年金を含めたものでございます。
 
 具体的なご紹介は、時間の関係で割愛しますけれども、金融行政方針の本文の中でも8ページとか11ページに企業年金等の課題についても記載をしてございます。
 
 金融庁は、企業年金を直接監督している立場にはございませんが、資金の流れ全体の中で、あるいは企業統治改革の中でインベストメント・チェーンの位置付けとして、金融庁でできることを問題提起していきたいと思っております。
 
 それから、日本のプライベート・エクイティの話、ベンチャーキャピタルのお話も、この資金の流れの包括的な検討の中で課題を抽出して分析をしてまいります。
 
○岩原会長
 志賀委員、よろしゅうございましょうか。
 
○志賀委員
 はい。ありがとうございます。
 
○岩原会長
 ただいま麻生大臣がこちらに向かわれたようでありますので、一旦審議を中断させていただきまして、諮問をいただいてから、また再開することとさせていただきたいと思います。
 
 川島委員ほか、お待ちください。
 
○佐藤企画課長 
 恐縮でございます。ここで一旦、マスメディアのカメラに入っていただこうと思いますので、しばらくお待ちいただければと存じます。
 
(報道関係者入室)
 
(麻生大臣入室)
 
○岩原会長 
 麻生大臣がお見えになりましたので、麻生大臣よりご挨拶をいただき、それに引き続いて、本審議会に対する新たな諮問をいただきたいと思います。
 
 大臣、よろしくお願いいたします。
 
○麻生大臣 
 麻生太郎です。
 
 本日は大変お忙しい中にもかかわらず、金融審議会総会にお集まりをいただきまして、誠にありがとうございました。
 
 ご存じのように、日本経済の現状を見ますと、過去5年間のアベノミクス等々、その効果によって、企業収益が大幅に伸びておりますし、雇用・所得環境が大きく改善をいたしております。株価も、ご存じのように、21年ぶりに2万2千円台を回復するなど、経済の好循環が間違いなく回り始めていると考えております。
 
 政府としては、少子高齢化という国として最大の壁に立ち向かい、かつ足元の好循環、経済の好循環を持続的な経済成長につなげていくために、年内にも生産性革命と人づくり革命を柱とする新たな政策パッケージを取りまとめてまいりたいと考えております。
 
 こうした中で、金融庁といたしましても、国民の安定的な資産形成や金融仲介機能の発揮に向けた施策を通じて、金融面からも経済の好循環を確かなものとするよう、取組みを強化してまいりたいと考えております。
 
 また、情報技術、ファイナンシャル・テクノロジーというものの進展等、決済分野を見ましても、金融を取り巻く環境には、構造的な変化の兆しが見られるのはご存じのとおりです。これによりまして、金融システムや金融サービス、金融機関等々のあり方が大きく変わっていく可能性があるのだと考えております。このため、金融制度につきましても、このような構造変化にきちんと対応したものにしていかねばならぬと考えております。
 
 さらに、資本市場の機能強化や国民の安定的な資産形成の実現のために、投資家の投資判断に必要な情報の提供、また企業と投資家の建設的な対話を促進していくことが必要であります。こうした観点から、企業情報の開示及び提供のあり方についても検討を行うことが必要であろうと考えております。
 
 これらの課題について、金融審議会の皆様方のご意見をいただきたく、本日、新たな諮問をさせていただく次第です。委員の皆様には、ぜひ活発なご議論をお願い申し上げます。
 
 それでは、諮問をさせていただきます。
 
 金融審議会会長 岩原紳作殿
 
 金融庁設置法第7条第1項第1号により、下記のとおり諮問する。
 
 情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討。

 機能別・横断的な金融規制の整備等、情報技術の進展その他の我が国の金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について検討を行うこと。
 
 企業情報の開示・提供のあり方に関する検討。

 投資家の投資判断に必要な情報を十分かつ適時に分かりやすく提供することや、建設的な対話に資する情報開示を促進していくため、企業情報の開示及び提供のあり方について検討を行うこと。
 
 以上であります。よろしくお願いします。
 
(諮問文手交)
 
○岩原会長
 どうもありがとうございました。
 
 麻生大臣は、ご所用のため、ここで退席されます。大臣、どうもありがとうございました。
 
○麻生大臣 
 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 
(麻生大臣退室)
 
○岩原会長
 それでは、カメラの方は、退室をお願いいたします。 
 
(報道関係者退室)
 
 ○岩原会長
 それでは、審議を再開させていただきます。
 
 川島委員、大変失礼いたしました。どうぞお願いします。
 
○川島委員 
 ありがとうございます。
 
 ただいま諮問のありました2つの課題について、私からは2点、考えを申し上げたいと思います。
 
 1点目は、金融制度のあり方に関する検討についてです。
 
 資料1の4ページに、「営業所の休日」について取り上げられております。1993年に12月31日が休日化され、まもなく四半世紀が経とうとしております。この間における情報通信技術の進展は、目覚ましいものがあります。また、今、政府では、働き方改革、生産性革命を重要な戦略に掲げ、様々な取組みを進めているところであります。
 
 今後、営業所の休日のあり方の点検・見直しについて、顧客の利便性を確保しつつ、生産性向上やワーク・ライフ・バランスなどの視点から検討が行われることを期待いたします。
 
 2点目が、企業情報の開示・提供のあり方に関する検討についてです。
 
 私ども連合は、企業と投資家との間の建設的な対話の促進を図る上で、ESGなど非財務情報の開示について、その重要性が高まっていると考えております。特に、雇用・労働に関する情報は、非財務情報における最も重要な項目の1つであると考えておりますが、例えば、有価証券報告書においては、従業員数や労働組合の有無を記載する程度にとどまっております。
 
 人手不足が今後進行する中で、人事労務管理、労働安全衛生、労使関係、女性の活躍などに関する状況を積極的に開示することで、適切な人事労務管理を行う企業が評価される、また、そこで働く者にとっても働きがいや定着度が増すことにより、中長期的な企業価値の向上につなげていくという視点が重要であると考えております。これも、金融と経済の好循環の1つだと思っております。
 
 今後このような視点も含め、非財務情報の開示・充実について、検討が行われることを期待いたします。

 以上です。
 
○岩原会長 
 どうもありがとうございました。田原さん、何かございますか。
 
○田原企業開示課長 
 はい、ご意見ということで承ります。
 
○岩原会長 
 それでは、朝田委員、お願いします。
 
○朝田委員 
 私からは、最初の資料と2つ目の資料に絡んで、企業の立場からお話をしたいと思います。
 
 まず、最初の情報技術の進展等にかかわるところであります。私ども総合商社といたしまして、1つ新しい実証実験を開始しております。これは、金融機関と総合商社と船会社と保険会社、この4者が共同して、貿易決済をブロックチェーンを使った形でもって電子化していこうという取組みでございます。このメリットは、ペーパーレス、とにかく早い、早く決済ができる。コストが削減される。そして、ブロックチェーンを使いますから、結果的にリスクが軽減される。こういうメリットがあるわけであります。
 
 これだけ見ると、決済という観点でありますから、金融機関、特に銀行が対象になって、法令となると銀行法ということになるかもしれませんけれども、当事者がこれだけ多くなってくる状況の中で、銀行法だけで果たして対応できるのか。
 
 それから、当然のことながら、最大の問題としてはリスクという観点で言えば、ハッカー対策も含めたセーフティネットの構築が極めて重要だと思っておりまして、従来の業法にとらわれることなく、まずはやってみる。やってみた上で、その中での色々な支障、問題点を浮き彫りにした形でもって是正していく形が、極めて重要ではないかと私は思っております。中国でこれだけフィンテックが普及している最大の理由は、まずはやってみるというところが最大のポイントであるとも聞いておりますので、ぜひぜひ、こういったものの実証実験を、皆様方にバックアップしていただくと同時に、何が必要かについて共同研究していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 
 2つ目の企業情報の開示・提供でありますけれども、1つは、私どもがやっている例だけをご参考までに申し上げたいと思います。四半期報告書と決算短信のだぶりといった問題については、既に議論がございましたので省かせていただきます。
 
 今、中心となっている外国人投資家、それから、減っているとはいえ、2割近いポーションを持っている個人投資家、ここら辺をカバーするには、従来の紙によるディスクロージャーとは別に、ネットを使ったディスクロージャーが極めて重要だと思っておりまして、私どもは、会社説明会あるいは決算説明会で、これに対する部分を、全て動画で配信するようにしております。
 
 これは、会社から、経営戦略、あるいはガバナンスの状況、あるいはリスクファクターといったものを説明するとともに、主として会社説明会とか決算説明会は、機関投資家の方とかアナリストが多くなってしまうわけでありますけれども、こことの間の質疑応答について、これを直ちにインターネットでもって動画配信をする。と同時に、直ちにと言っても時間がかかりますけれども、外国人投資家のために全て英訳をして、同様に動画としてネットで配信をする。
 
 まだ若干未整備の部分があるのですが、こういったものというのは、必ずしも法制化と言いましょうか、そうしたことができない、あるいは難しい面もあるかと思いますけれども、情報開示を充実していって、投資家に対して有益な情報を与えるという観点では、一考に値するのではないかと思っておりますので、これもあわせてご検討いただければと思います。
 
 以上であります。
 
○岩原会長 
 ほかにございますか。永沢委員、どうぞ。
 
○永沢委員 
 ありがとうございます。
 
 私は消費者と言いますか、国民の立場から、今日ご諮問いただきました事項について、意見というよりも希望を申し上げさせていただきたいと思います。
 
 まず、企業情報の開示・提供のあり方に関する検討についてです。ただいま朝田委員からご指摘のあった点、それから、先ほど志賀委員からご指摘のあった点と重なる部分もあるのですけれども、思うところを述べさせていただいて、希望を述べさせていただきたいと思います。
 
 まず、先ほど志賀委員から、現状、外国人が買って個人が売っているというお話がありました。確かにそのとおりかと思うのですが、短期でというのかどうか私も分かりませんが、かつての高値のときに買ってしまった個人が、「やれやれ売り」と言うのですか、株価が買値まで戻ってきたところで売っている状況がある一方、その後に続く新しい個人投資家が入ってこない状況があり、結果としてこの個人投資家の比率が少しずつ減っているという状況になっているのではないかと、私は推察しております。
 
 朝田委員からもお話があった点と重なるのですが、今、若い方は新聞をお読みになりませんので、新聞を中心とした情報提供のあり方は、もちろん新聞は重要な、基本のメディアではあるのですけれども、これを補完する新しい情報開示のあり方が求められていると、私は感じております。
 
 フィンテックというお話がたびたび出てきておりますが、このフィンテックという新しいものを活用し、今、若い世代が使っている媒体に乗りやすいような情報開示のあり方も、分かりやすいという面と合わせて、重ねて考えていく必要があると思っております。
 
 このため、その点を審議の中で入れていただきたいと同時に、残念ながら、こういうお話は私どもの世代よりも下の世代の方になるのかと思っておりまして、こういった分野で、新しい情報の出し方、発信をされている方もお招きし意見をお聞きし、若い世代が個人株主になる時代を想定した開示のあり方について議論につなげていけたらいいのではないかと、私としては願っているところです。それが、まず第1点目でございます。
 
 それから、第2点目でございます。金融制度のあり方に関する検討の中で、先ほどご説明もありましたけれども、今まで考えていた金融のあり方とは、色々と大きく変わってきております。
 
 例えば、ICO、仮想通貨による資金調達というのが出てきているというご指摘もありましたし、自分の身の回りを見ても、自分の息子夫婦などを見ておりますと、フリマアプリの利用が広がっており、ベビー用品など不要になったものを売って、必要なものを買うということが行われています。これまでにないモノの購入の方法が、世の中で、若い方の間では広がっているようで、そういったものも含めた上で、金融や決済というものはどういうものかを再確認していく必要があるように感じております。今回の審議では審議の過程で、色々な分野の方をお呼びいただいて、これから起こり得ることもカバーできるような幅広に議論を進めていただけたらと思っております。
 
 最後に、仮想通貨に関することですが、今、消費者の間では非常に関心が高まっております。金融庁の金融サービス利用者相談室に寄せられた仮想通貨に関する相談・問い合わせ件数がこの秋、これまでにないくらいの件数になったと聞いております。全てがトラブルというわけではないと思いますが、関心の高まりには驚くばかりです。金融商品についての講座を担当しており、講座の最後に「何か質問がありますか」とお尋ねすると、仮想通貨について質問されることが多く、金融商品の一種のように取り違えている方も少なくないようで、この仮想通貨というのはどういう扱いをしていいのかもまた悩ましいところです。現時点でも、注意喚起のパンフレットを作っていただき、ご尽力いただいていますけれども、より一層の注意喚起が必要だと思っております。
 
 また、10月に公表された金融レポートから登録業者への検査が進んでいると拝察しましたが、現行の利用者保護のあり方では不足があるということであれば、早めに手を打っていただき、規制のあり方の見直しについても検討をいただきたいと思っております。

 以上でございます。
 
○岩原会長 
 翁委員、どうぞ。
 
○翁委員 
 資料1と2、それから金融行政方針について、1つずつ申し上げたいと思います。
 
 金融制度のあり方に関する検討については、1980年代は金融技術革新ということで、証券界はデリバティブということで、まずは資金仲介のアンバンドリングが進んだわけですけれども、まさに今、フィンテックで決済の分野についてもアンバンドリング、リバンドリングで、様々な主体が入ってくるようになってきていまして、機能で考えていくことが非常に重要になってきていると思いますので、こうした検討を、本当にぜひ進めていただくことが重要だと思っております。
 
 その際、少し井上参事官からのお話にもありましたけれども、金融システムで何を守っていくのかという議論が欠かせないと思っています。リーマンショックのときに、銀行だけを守っているところから変わって、システミックリスクの形も変わってきたということで、何を守るかも、今もう変わってきていると思うのですけれども、随分大きな金融システムの変化の中でどう考えていくか。イノベーション促進的で、実効的な規制・監督が、世界に先駆けてできる形で議論を進めていくことが重要だと思っております。
 
 資料2について、大きな方向感は非常に賛成ですけれども、「役員報酬の決定方針」というのが書いてありまして、これはまさに今1億円以上だけとかということになっているので、もっと充実したものにしていく必要があると思っているのです。その役員報酬の決定自体や開示自体が、かなり税制で、例えば、ストックオプションから新しいパフォーマンスシェアに移行するときも、税制でかなり規定されている側面もあるので、できるだけ広い視野で色々ご議論をいただけると、新しいコーポレートガバナンスのあり方を検討しようという企業にとっては、非常に望ましいのではないかと思っております。
 
 最後に、この金融行政方針ですけれども、公的金融の関係で検討していただくことが書いてございます。従来は、民間で足りないのは公的金融と言うと、デットのところで、公的金融、政策金融機関と出てきたわけですけれども、足りないのはエクイティだということで、非常に官民ファンドが多くなってきていると思います。ただ、官民ファンドも今13もありまして、人材自体はそのように多くないのに、組織自体は非常に多くなっていることがございます。
 
 新しい成長を促していく、日本経済の成長を促していく観点で、広い視野で、もともとあった政策金融だけでなく、官民ファンドもエクイティをどのように供給するのがいいのか、どういう組織でやっていくのがいいのか、そういったこともまさに検討しなければならないことではないかと思っておりますので、ぜひこういった視点も入れて、ご検討いただければと思っております。
 
○岩原会長 
 どうもありがとうございます。ほかにございますか。川口委員、どうぞ。
 
○川口委員 
 ありがとうございます。
 
 企業情報の開示の件ですけれども、先ほども朝田委員からありましたように、インターネットの時代になっています。これまで、間接開示で備え置き型というのと、直接開示で交付型というものを併用してきました。しかし、ネットで間接開示の書類も見られるようになってきている状況で、この2つの開示方法を整理する検討をしてはどうかと思っております。今回の諮問事項に入るのかどうかは分からないのですけれども、そういう検討が将来的には必要ではないかと思います。
 
 また、取引所の適時開示が充実する中、法定開示、例えば臨時報告書との関係も気になります。若干適用場面はもちろん違うのですけれども、開示事項が相当に重複するのではないでしょうか。開示内容だけでなく、両制度が併存することについてどう整理していくのかも、今後の課題かと思っております。
 
 それと、金融行政方針について、1点質問があるのですけれども、7ページで、先ほどご説明があったところの真ん中辺の上です。「金融機関の業務範囲規制の緩和を検討」ということを言われたのですが、数年前に、これについて金融審議会のワーキングで、白熱した議論がなされた記憶があります。これは、おそらく法改正が必要になる問題かと思われますが、金融行政方針の中で業務範囲を緩和していくというのは、どういうことをお考えになっているのでしょうか。
 
 
○岩原会長 
 油布さん、お願いします。
 
○油布参事官 
 業務範囲規制というと、色々な印象を与えることがあるかもしれませんが、ここで申し上げているのは、例えば、地域企業や地域経済に貢献できる、コンサルティング機能のような関係等もございますし、あるいは、既に持っている物的資産の有効活用のようなものについて規制緩和することによって、ビジネスにつなげていく余地があるのであれば、前向きに対応するという趣旨の記載でございます。必ずしも法律改正をするような大きなものが、念頭にあるということではございません。
 
○岩原会長 
 よろしいですか。福田委員、どうぞ。
 
○福田委員 
 手短に、金融庁の組織のあり方に関して、1つコメントさせていただきたいと思います。金融庁は、かつては検査・監督中心の経済のブレーキ役的な組織だったとは思います。けれども、今は新しい時代に入ってきて、必ずしもブレーキだけを踏むわけではなくて、経済の成長を促進する、ある意味でのアクセルを踏ます役割も、同時に担ってきている組織に変わってきているというのが、新しい組織のあり方になっているのだと思います。ただ、そのときに、1つの組織がブレーキとアクセルを両方持っていることの難しさというのは、あるということだと思います。
 
 そのときに、同一の主体がブレーキとアクセルを踏むのは、やや難しい問題があります。このため、組織の中にブレーキ役、従来的な検査・監督、プルーデンス政策を中心とする組織と、それから、アクセル役、戦略をもって金融の成長を図る組織とが同時にあって、それがある意味では対等な立場に立って意見を交わすという組織形態のあり方が望まれることです。例えばイギリスの中央銀行(Bank of England)は、まさにそういう2つのボードを持っている組織として実際に存在しているわけです。金融監督を一方では担っていると同時に、もう1つは金融政策を担うボードが、全く独立のボードとして存在していて、2つが対等な立場に立つ組織形態をとっています。日本でそういう組織形態がいいのかどうか分かりませんけれども、新しい金融庁の組織のあり方も、その2つの異なる役割を持っている組織のあり方という形を考えていただくのは、1つのあり方ではないかとは思います。
 
○岩原会長  
 それでは、家森委員、どうぞ。
 
○家森委員 
 2つあり、両方とも金融行政方針に関してです。
 
 1つは、この5ページに書かれている、長期・積立・分散投資の促進についてです。ここに「投資教育の推進」とありますけれども、昨年、金融広報中央委員会が実施したアンケート調査でも、実際問題として、皆さんがまだ積立投資のよさとか分散投資のよさをわかっていらっしゃらない現実を考えると、ぜひこの投資教育と言いますか、もっと広く、金融経済教育について継続的に実施していただきたい。
 
 その際、たぶん金融庁の所管の関係で、職場つみたてNISAの導入等を強調されていると思うのですが、海外の事例などですと、確定拠出年金と関連付けられている例が多いので、ぜひそれについても、今までもやられているわけですから、これからもぜひ強化をしていただきたい。
 
 学生と比べても、社会人の金融経済教育はなかなかできない。教えたくても教えるチャンスがないので、ここをぜひ充実させていただくことを今年度も続けていただきたい。
 
 それから、もう1つは、7ページの地域金融機関のところですが、今回この金融行政方針を読んで、ここで言うと(3)にありますが、ビジネスモデルの持続可能性に大きな懸念があるのに努力をしていない先が存在する、ということになっており、一方で、forward-lookingな、動的な監督をされるということだとすると、こういうところについて今から数年後に、きっとこうなるだろうというのを考えると、今、何かをやらないといけないとなると思うのです。それで(1)にある「早急な対応を促す」ということですが、実際に金融庁として、こういう状況に対して、対応する手段があるのだろうかということを考えると、現行では、「説得する」ということだけかと思いながら、これを読んでおりました。
 
 でも、こういう状況があるというご指摘があったので、この問題を勉強する必要があると思った次第です。
 
○岩原会長 
 今の点、よろしいですか。ほかに特にございませんか。特にご発言がないようでございますので、審議を取りまとめたいと思います。
 
 多くの貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。
 
 2つの諮問事項のうち、「企業情報の開示・提供のあり方に関する検討」については、検討を進めていくため、ディスクロージャーワーキング・グループを設置してはいかがかと存じます。
 
 また、「情報技術の進展等の環境変化を踏まえた金融制度のあり方に関する検討」につきましては、金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について、多角的に調査・検討を行っていく趣旨から、スタディ・グループという位置付けとし、金融制度スタディ・グループを設置してはいかがかと存じます。
 
 なお、金融制度スタディ・グループの座長につきましては、大変僭越ではございますが、私が務めさせていただきたいと存じます。また、ディスクロージャーワーキング・グループの座長については、神田委員にお願いしたいと存じます。
 
 本日、委員の皆様から、様々なご意見をいただいたところ、これらのご意見を十分に踏まえ、今後のスタディ・グループ及びワーキング・グループの運営を行っていくこととしたいと存じます。
 
 以上のような取り進め方とさせていただきたいと思いますが、皆様、よろしゅうございましょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
○岩原会長 
 どうもありがとうございます。
 
 なお、スタディ・グループ及びワーキング・グループのその他のメンバーにつきましては、私にご一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
○岩原会長 
 どうもありがとうございます。
 
 それでは、予定の議事を全て終了いたしましたので、以上をもちまして、本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了したいと思います。
 
 なお、本日の議事の模様につきましては、事務局から、後ほど記者レクを行いますので、ご承知おきいただきたいと存じます。また、今後の日程などに関しましては、事務局より後日ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
 本日は、皆様お忙しい中、朝早くからご出席いただきまして、誠にありがとうございました。

 

以上

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