金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第3回)議事要旨

1.日時:

平成24年4月13日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • 1.開会

  • 2.事務局説明

  • 3.自由討議

  • 4.閉会

4.議事内容:

  • 事務局からの説明の後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

(総論)

  • 投資信託と株式会社とでは、ガバナンスの仕組みが大きく違うことに注意する必要がある。例えば、合併に関する投資家の差止請求権の有無や取締役/ファンド・マネージャーを選任する権利の有無などが異なる点である。ただし、投資信託と株式会社を同列に考えるのは、非常にミスリーディングである。投資信託においては、事業支配目的で受益証券を取得する投資家は論理上いないはずであり、ゆえに少数受益者保護の必要性は減じられるのではないか。
  • いわゆる出来高報酬制のような投資信託を巡る各プレーヤーの利益が一致するような商品設計が行われるべきである。
  • シンプルな法制が望ましいものの、オープンエンド型投信にのみ適用されるような例外規定の創設も十分検討の余地がある。
  • 投資信託における受益者保護のため、受託者によるモニタリング機能は重要である。
  • 投資家保護の局面では、種類受益権の容認、運用財産相互間取引の容認範囲明確化について、利益相反の問題が生じる。対処方法としては、事後チェックのみならず、事前の開示等も検討をするべき。
  • 実質的な投資家保護を念頭に置いた場合、販売の局面における説明の在り方、開示の在り方の見直しのみならず、投資信託の商品性に対する規制も導入を検討すべきである。
  • 例えば約款変更について、迅速かつ容易に情報が取得できるような取組みがなされるようになれば、特にこれから投資信託を購入しようと考えている投資家にとって非常に有益。そのような取組み(例えば、約款の変更内容の一覧が投資信託協会のホームページで公表される等)をぜひとも進めてほしい。
  • 運用会社が投資家の個別情報を有していないことが、多くの論点における問題の所在なのではないか。
  • 理解容易な法制とすることにより、関係者のコストが下がるようにすべき。

(受益者書面決議制度について)

  • 書面決議を要する約款変更範囲の見直しについて
    • 投資信託約款の変更に際して受益者書面決議を不要とする場合について、「商品としての同一性」が失われない場合という従来の基準に変えて、「商品の基本的性格」が変更されない場合という新しい基準を用いることが想定されているが、結局は解釈上、疑義が生じない手当てがどのように確保されるかが重要。その際、法令等のハードローだけではなく、自主規制規則等のソフトローにおいて対応することも検討すべき。
    • 投資信託の受益権は振替制度の対象となっているところ、総株主通知のように振替機関から運用会社に受益者情報を提供させるという仕組みをとれば、運用会社において名寄せも可能となり、約款変更に係る書面決議も可能となるはず。そういった仕組みの検討も必要。
  • 投資信託の併合手続の見直しについて
    • 日本の投資信託における大きな問題のひとつに、ファンドの併合が進んでおらず、小規模ファンドが乱立している点が挙げられる。この問題を解決するためにも、ファンドの併合に関する法制の改善を図ることは非常に重要。ただし、具体的な検討に際しては、現行法制上も投資信託の併合は可能となっているにもかかわらずファンドの併合が進まない理由の更なる分析が必要。
    • 小規模ファンドが乱立しているという問題を解決するためには、ファンド法制の見直しのみに焦点を当てるべきではなく、新しい商品が開発販売されては、その多くが小規模化していくという流れを止めることも重要。新たな商品の乱発を抑える取組みも進めつつ、投資家と運用会社の間のWin-Winの関係を構築することを目標とすべき。
    • 大規模ファンドが小規模ファンドを吸収する際、大規模ファンドの投資家からすれば、予測していなかったイベントを自らの決定を経ずに受容しなければならないということとなり、大規模ファンド投資家における予測可能性が害される可能性があることに留意する必要がある。
    • 投資方針が異なるファンドが合併する場合、大規模ファンドの方のポートフォリオも一定程度は変化するが、これは約款中の投資方針の変更にあたらないのかという点の検討も必要だと思われる。
    • ファンド併合を促進するためには、ファンドの併合に関する法制の整備のみならず、投資信託経理における個別元本の算定をどうするかという問題も検討する必要がある。
    • 合併を促進するために、海外の事例等を参考としつつガイドラインを策定する等の取組みが求められる。
  • 書面決議制度の見直しについて
    • オープンエンド型投資信託における反対受益者請求権制度の撤廃については、賛否が分かれた。

(種類受益権の容認について)

  • 現状マザー・ベビー方式で構成されているファンドは非常に多くなっているが、その整理が進む可能性があるものと思われる。但し、開示の在り方によっては、投資家にとって非常にわかりにくい仕組みとなる可能性もあり、この点をよく検討するべき。
  • 種類受益権の発行が実務上ワークするのかにつき、実務家を交えて慎重に検討するべき。

(外部委託に関する規制の明確化について)

  • 業界全体の業務効率の向上、コストの削減につながってくるため、非常に期待したい。その際、投資信託全体のガバナンスについての議論を常に視野に入れつつ、法制化がなじまないということであれば、ガイドライン等のソフトローを用いることは適切。
  • 委託者・受託者において基準価格を二重に算定することの必要性、基準価格に誤差が生じた場合のルールについて、検討する必要があるのではないか。

(金銭と現物の混合出資・償還について)

  • ETFにおける金銭・現物の混合設定・償還に関する検討を契機に、金銭信託性についての見直しまで検討してはどうか。

(その他の検討事項について)

  • 取得・譲渡の際の価格調査義務が課せられない特定資産の範囲については、市場価格がある資産のみならず、理論価格が容易に算出できる資産まで含めることを検討すべき。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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