金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第11回)議事要旨

1.日時:

平成24年10月26日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • 1.開会

  • 2.事務局説明

  • 3.自由討議

  • 4.閉会

4.議事内容:

  • 事務局からの説明の後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

【トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入】

  • 投資信託同士を比較できるよう、計算方法を統一する必要がある。
  • 一律に足並みをそろえるために実施が遅れるよりは、できることから早期に実施すべき。
  • 全ての販売会社が対応可能なよう配慮すべき。
  • トータルリターンに影響を及ぼした要素についても、投資家が適切な投資判断をするための重要情報として開示すべき。少なくとも、いわゆる実現益や評価益、手数料については把握できるようにすべき。
  • 投資家が通期で利益を上げているのか否か、現在は非常にわかりにくい。トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入は必要。
  • 「評価金額」として、基準価額を用いるのか、解約価額を用いるのか。両者には相当差がある場合もあるため、議論する必要がある。
  • 現実的には、顧客レポートの根本的変更や、必要なデータをそろえるのに時間がかかると聞く。具体的・実務的な検討は自主機関に任せるのがよい。
  • 基本的な情報に加えて、投資家にどこまでわかりやすい情報を示すかは各機関の競争。必ずしも法令等で規制する内容ではない。
  • 対象に公募の外国投資信託も含むのは非常によい。
  • 事務局説明資料においては、通知方法の1つに「ホームページの顧客専用画面上での表示」が挙げられているが、これが店頭で取引をする顧客にも援用されることを危惧。慎重な議論が必要。
  • 同一の金融機関で取引を続けているものについては、可能な限りさかのぼってトータルリターンを示すことを原則とすべき。

【有価証券届出書及び有価証券報告書の提出の見直し】

  • 現在の制度は、利用者の便益に比べて作成者の負担が大きい。有価証券届出書と有価証券報告書の効率化を図るという観点から、見直しに賛成。
  • A案(組込方式又は参照方式案)とB案(みなし有価証券届出書制度案)で実質が異ならないのであれば、従来の体系をあまり変えないA案(組込方式又は参照方式案)がよいのではないか。
  • A案(組込方式又は参照方式案)は、作成者の負担削減には寄与しないかもしれないが、投資家は理解しやすくなるのではないか。周知性要件を適切に設けた上であれば、実施に異論はない。
  • 事実上1本化するB案(みなし有価証券届出書制度案)のほうがわかりやすく、実務的にも受け入れやすいのではないか。
  • B案(みなし有価証券届出書制度案)は実務的にどの程度のニーズがあるのか。新たな書類を作成・公表する義務が生じ、またEDINETのシステム変更も必要。コストに見合うだけのメリットはあるのか。
  • 訂正届出書をどのように取り扱うかは、B案(みなし有価証券届出書制度案)だけでなくA案(組込方式又は参照方式案)でも検討する必要がある。
  • 報告書代替書面制度の利用例が乏しいとあるが、協会規則に基づき作成された書面まで適用を広げていくときには、運用の実効性や実際の作業なども踏まえて、利用されるよう検討していく必要がある。
  • 委託会社の情報の範囲や詳細度合いなど、内容面での見直しの機会にもなるのではないか。
  • 委託会社の情報は投資判断に必要不可欠。一般投資家が日ごろ接することができる媒体を通じて委託会社に関する情報を知る機会を保障すべき。

【複雑化・複合化するリスクへの対応】

  • 信用リスクの単一発行体への集中は、リターンを上げるために絶対必要というものではないと認識。他方、デリバティブ取引のカウンターパーティーに対するリスクの集中は、コスト等のメリットが存在するからではないか。しかしながら、これらにつき、リターンに大きく影響するものでないのであれば、海外のように一定の上限を設定することは選択肢になりうる。
  • リスクよりリターンを強調した名称に問題はあるものの、投資不適格債の比率が非常に高い商品につき、比率を一定にとどめるという規制自体は不要ではないか。
  • 運用財産の内容に関する規制につき、開示でカバーできるところについては開示を充実させ、それでもなお難しいところについては一定の規制を入れるという方向性のもと、事務局説明資料19ページに沿って進めることに賛成。
  • UCITS等既に運用規制を導入している国があるなか、新たに日本で導入する規制を外国投信にも機械的・硬直的に二重にかけることの合理性に疑問。柔軟な対応が可能となるよう余地を残すべき。この場合、投資家に誤解が生じないよう、日本の規制と内容が異なる旨開示をすることが必要。
  • 参考資料2にあるように、現状ファンド・オブ・ファンズが非常に多いのはいかがなものか。ここの場ではないにせよ、議論していく必要がある。
  • 複雑なファンドのなかには、全体としてどのようにリスクを把握・管理しているかを説明していないものが多い。複雑なファンドに関しては、一定の規制を設ける必要がある。
  • 運用報告書での開示が十分にできないのであれば、ファンド・オブ・ファンズの利用は制限すべき。全体としてリスクがどうなっているのかを投資家が知ることができない開示では不十分。
  • 事務局説明資料19ページの「発現し得るリスク量を予め軽減するような一定の枠組み」に関しては、購入できる人を経験や知識等で分けることも必要。また、分散型、非分散型と類型化することに賛成。この分類を目論見書の表紙で明示し、投資家が選択するときに認識できるよう周知徹底する必要がある。
  • デリバティブ取引に起因するリスク量に係る計算方法を、一定程度規格化することに賛成。加えて、それが運用報告書等で公表され、投資家に知らされる仕組みが作られなければ、マーケットによる監視やコントロールは期待できないのではないか。
  • 事務局説明資料にある諸問題を考慮しつつ、実務上の細則等については自主規制の枠組みの中で規定していくべき。
  • 投信協会の規則で、デリバティブ取引の使用目的は約款に明確に記載するように求められているが、非常に大ざっぱな規定となっている。異常事態が起きたときにどのようなことが起きるのかという、投資家が知りたがっている情報をしっかりと開示すべき。
  • 金商法の適合性の原則をより厳格に運用することも検討すべき。
  • 直接販売される外国籍投資信託を議論から除外しているように感じるが、国内籍の投資信託と分けることなく議論をすべき。
  • 信用リスクの分散につき、例外をどうするかは別途検討するとして、5%を原則に定量的な枠組みを整備すべき。投資信託は、零細な投資者を含め、分散投資を可能にするためのツールというのが基本。
  • 投信法において、善管注意義務や受託者責任を一定程度具体化し、基本となる姿勢を示すべき。当局の監督指針や検査基準に根拠を与えるとともに、自主規制機関が活動できるような基盤を与えるべき。
  • 「非分散型」のようなカテゴリーを設けて規制するアプローチと、細かく例外規定を列挙して規制するアプローチとの比較検討を、専門家・実務家にしていただきたい。
  • 投資信託は分散投資をするための器であるとして国民に浸透している。この点に鑑みれば、分散型が「原則」とされるべきであり、例外として非分散型を認める場合には、きちんと開示させるべき。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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