金融審議会「投資運用等に関するワーキング・グループ」(第2回) 議事録

  • 1.日時:

    平成26年10月24日(金曜日)17時00分~19時30分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【神田座長】

それでは、定刻でございますので、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、「投資運用等に関するワーキング・グループ」の第2回目の会合を開催させていただきます。

皆様方には大変お忙しいところをご参集いただきましてまことにありがとうございます。早速でございますけれども、本日の議事に移らせていただきます。

本日はまだ2回目ということではあるのですけれども、いわゆるプロ向けファンドをめぐりましては、投資家被害の増加を受けまして、販売可能な投資家を制限する政令及び内閣府令の改正案というものにつきまして、パブリックコメントを実施するなど、法制度の見直しが進められてきているという状況にございます。

このパブリックコメントに付した改正案につきましては、いろいろな方々からさまざまなご意見をいただいております。プロ向けファンドの個人への販売は禁止すべきであるとのご意見をいただきました一方、販売が可能な投資家の範囲が狭く、新たなファンドの組成が困難になるため、範囲を広げてほしいとの意見も出されている次第でありまして、こういったことについてのご説明は、前回事務局からさせていただいたところでございます。

そこで、このワーキング・グループでは、プロ向けファンドをめぐる制度のあり方について、関係者の皆様方のご意見を聴取しながら、投資家の保護及び成長資金の円滑な供給という観点を踏まえて、皆様方にご検討をお願いしたいと考えております。具体的な検討に先立ちまして、今回と次回で関係者の皆様方からヒアリングをさせていただくという機会を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日でございますけれども、参考人といたしまして、次の方々にお越しいただいております。国民生活センター理事長の松本恒雄先生。それから、同センターの相談情報部相談第三課長、林大介様。それから、消費者委員会事務局企画官、金児敦弘様。日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝様。日本ベンチャー学会元会長・現顧問でいらっしゃいます、早稲田大学名誉教授の松田修一先生。以上の方々でございます。本日は、大変お忙しいところをお越しいただきましてありがとうございます。

そこで、本日の議事の進め方でございますが、まず最初に、証券取引等監視委員会の証券検査課の松重課長から、検査の状況と、本年4月に出されました建議の内容についてご説明をしていただきます。それに続きまして、国民生活センターへの相談状況について、松本参考人、林参考人からお話をいただき、それを踏まえた消費者委員会の提言につきまして、金児参考人からお話を伺います。その後、ベンチャーキャピタルとしてのご意見を伺いたく存じます。村口参考人、松田参考人の順でお話を伺いたいと思います。

本日は大変盛りだくさんでございますので、まず松重課長からご説明をいただいた後に、一旦質疑応答の時間を短く設け、次に松本参考人、林参考人、金児参考人にご説明をいただいた後で若干質疑応答の時間を設け、そして村口参考人、松田参考人にご説明いただいた後で、また質疑応答の時間を設け、時間があれば最後に全体として自由討議をさせていただくということで進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、早速でございますけれども、証券取引等監視委員会証券検査課の松重課長から、検査の状況と、本年4月に出された建議の内容につきましてご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【松重証券検査課長】

ご紹介いただきました松重でございます。座ってご説明させていただきます。

私のほうからは、適格機関投資家等特例業務届出者、今後特例業者と申しますけれども、こちらに対する証券検査の状況、それから我々が行った建議につきご説明申し上げます。

まず、全体の状況を2ページでご説明をさせていただきます。証券検査の対象の業者は、全体で約8,000弱ございますが、このうちの40%、3,000程度が特例業者でございます。特例業者に対する立入検査は、最近下の表にありますとおり増えておりますが、カバー率は低い状態でございます。

次のページに移っていただきまして、この検査の結果、問題が認められた特例業者のうち、下の表のとおり、検査対象の約半数以上で問題が認められました。我々はこれに対する行政処分を発する権限はございませんので、検査結果の公表等を実施しまして、当事者に注意喚起を行っております。また、検査後も引き続き無登録募集等の違反行為を行う蓋然性が高い場合には、裁判所に対しまして金商法192条に基づく違法販売等の差し止めを求める申立てを行うということも行っております。

それから、検査の際には、実際行ってみますと必要な書類が確認できないとか、あるいは代表者の不在または連絡がとれないといった形で、検査自体に支障が生じるような事例もございました。

続きまして、こうした結果を受けまして、4ページにありますとおり、今年の4月に建議をさせていただいたわけでございます。この内容を簡単に申しますと、これまでの検査におきまして、顧客に対する虚偽告知や、要件を満たさずに行った登録が必要となるファンドの販売や投資運用、あるいは出資金の流用、使途不明といった悪質な事例が認められました。このために投資者保護の一層の徹底を図る観点から、出資者に係る要件を厳格化する等、一般投資家の被害の発生等を防止するための適切な措置を講じていただく必要があるという旨を建議させていただいたわけでございます。

では、以下我々がその建議をした裏付けとなりました、検査で判明した実態につきまして、本年9月までに検査結果の公表等をいたしました37業者、これは一覧表は25ページにあるのですが、これについて把握された事実を、以下説明させていただきます。

まず、検査で判明いたしました法令違反行為等でございますが、この5ページの表のとおりでございまして、いずれも問題がある行為でございますが、特に多数の業者で見られましたのが、顧客に対する虚偽告知で、これは20業者に見られました。次に3番目の、出資金の流用が15業者で見られました。それから、ファンドの運用実態の不把握、出資者の管理不十分その他の杜撰な業務運営が19の業者で見られております。これらはいずれも投資家に不測のリスクを負わせたり、あるいは投資家の財産に損害を与えるといったような点で、投資者にとって被害が発生している、あるいはその可能性が非常に高いということで、特に問題が大きいかと考えております。

続きまして、虚偽告知の主な事例が6ページ目にございます。ここに幾つか例を挙げさせていただいておりますが、ここにあるとおり、特例業者の取り分であります成功報酬の水準、あるいは投資の実態、それから運用手法の信頼性、または元本償還の確実性等の商品の安全性や有利性等に関しまして、虚偽の告知をして勧誘をしている事例が見られました。

続きまして、7ページでございますが、出資金の流用に関する主な事例でございます。ここにございますとおり、例えば目的外の無担保貸付が焦げついてしまったとか、あるいは出資金を社長や従業員の給与、あるいは会社経費、それから取得勧誘を実際に行った無登録の業者への報酬への支払いに充てたと。あるいは、出資された資金を他の出資者にタコ足的に配当するといった形で、流用が行われている事例が認められました。

続きまして8ページ目は、ファンドの運用管理が著しく杜撰と認められた主な事例でございます。ここにございますとおり、例えば投資先とか経費の充当先がそもそも把握不能であったり、あるいは運用を委託した事実とか、その運用に関する実績報告に関する資料がその業者に全く残っていなかったりとか、あるいは出資金等資金の授受が現金で行われておりまして、その授受の記録もないといった形で、人のお金を預かっているとはとても思えない、考え難いような運用が行われているといった事例がございました。

続きまして、今のような運営によりまして被害を受けている投資家の方々の投資の状況とか、あるいはその属性についてご紹介するのが、9ページ以下でございます。まず9ページの上段の表でございますが、問題が認められた業者に関しまして、これらが組成いたしました1ファンド当たりの適格機関投資家の出資者数でございます。1者のみの業者が9割以上ございました。複数者はありませんでした。それから、いなかったというのが2件ございました。

それから、次はちょっと元となるデータが異なるのですが、問題業者と特例業者全体平均等を比較するために、ファンドモニタリング調査で把握されました、各プロ向けファンドに投資を行う適格機関投資家の数と、それ以外の数の割合について、問題があった業者と全体平均とを比較したのが下の図でございます。問題が認められた特例業者につきましては、適格機関投資家の数の割合は3%であるのに対し、全特例業者で見ますと約30%ということで、問題が認められた場合が適格機関投資家の数の比率が約10分の1にとどまっているということかと思います。

続きまして10ページの上段の表でございますが、問題が認められた特例業者に関しますファンド1本当たりの適格機関投資家の出資額を表記しております。1万円以下であったものが4%、1万円超10万円以下であったものが48%、10万円超50万円以下であったものが32%、50万円超100万円以下であったものが16%、ここで全てでございました。ですので、全て100万円以下の出資を行っていたということでございますが、ばらつきがありますが、我々が検査をして問題があると認めたところでは、大体1ファンド当たり数千万から数億円というオーダーでお金を集めておりますので、それとの比較で言うと、かなりの低い水準と考えております。

それから、問題が認められた特例業者による募集金額の中で、適格機関投資家がどれだけ出資しているかという割合をまとめたのが下の表でございます。0.1%以下が44%、0.1%超1%以下が44%、ここでほぼ9割を占めております。1%超2%以下が8%、2%超が4.0%ということでございまして、募集総額の1%以下しか適格機関投資家が出していないというものがほぼ9割という状況でございます。

それから、次の11ページをご覧いただきますと、再びファンドモニタリング調査のデータに基づいたものなのでございますが、それぞれ投資した各投資家の属性ごとに、その属性に属する投資家がどれだけ出資したかというシェアを、やっぱり問題がある業者とそうでなかった業者で比較したのが下の図であります。問題が認められた業者につきましては、個人が98%、個人以外が2%を出資しておりました。特例業者全体で見ますと、事業法人が63%、金融機関が21%、外国人が11%と続いておりまして、個人は1%ということでございまして、ここにおいても大分差がある。端的に言うと、問題が認められた業者は出資者の大半を個人が占めているということかと考えております。

続きまして、12ページでございますが、今申し上げましたとおり、問題ある特例事業者は、適格機関投資家の出資が極めて少ない一方で、個人の出資割合は高いと認められます。さらに適格機関投資家の内訳を見ますと、下の表にあるのでございますが、投資事業有限責任組合の比率がほぼ4分の3と非常に高いということになっておりまして、こうした状態は、果たしてプロ向けファンドの特例制度の趣旨に沿うのかという点が、議論になるのではないかと考えております。

それから、問題がある事業者の投資家には個人が多いということを申し上げましたが、この個人の年齢層を検査で把握された範囲で調べてみますと、必ずしも明快でないところがあるんですが、特に高齢者が勧誘等の対象となっていると見られる事例が多いのではないかと推察されます。

14ページ以下は、個別事案でございます。全部で3つ掲げておりますが、これらはいずれも虚偽告知とか出資金の流用、それから杜撰な運用管理といった点でかなり共通点が見られますので、それぞれについて特に特徴的な点についてのみ触れさせていただきます。

最初の14ページのアジア投資株式会社、こちらは26年4月に結果公表しておりますが、こちらの特徴は、まず15ページの1.でございますが、適格機関投資家として、投資事業有限責任組合が少額、0.2%程度でございますが出資し、特例業務の要件を満たしていたということでございました。それから、3.から5.にありますとおり、運用管理の杜撰さが甚だしかった事例でございまして、5.にございますとおり、必要な書類の存在が確認できないなど、業務の詳細がなかなか検証困難だったという事例でございました。

続きまして、17ページに飛んでいただきまして、F-SEEDについてでございます。こちらは25年3月に裁判所に対して申立てを行いました。18ページをご覧いただきますと、この業者に関する特徴は2.にございまして、投資家数が増えてきたので、別の特例業者を設立し、投資家を移管することで、特例要件である一般投資家49名以下という要件を充足していたという事例でございました。

続きまして、20ページに飛んでいただきまして、MJホールディングス株式会社でございます。25年3月に結果を公表しております。21ページをおめくりいただきますと、このMJホールディングスという業者は、無登録で第二種金商業を行っていた業者でございますが、こちらが多数の特例業者を設立し、資金集めのためのビークルとして利用しておりまして、実質的には当社が取得勧誘及び運用業務を管理していたという状況がございました。以上、簡単でございますが、過去の実例を3つご紹介いたしました。

それから、今ご紹介した37の業者以外についても、我々は例えば24ページにございますとおり、配当が止まってしまったであるとか、業者に連絡が取れなくなってしまったであるとか、あと脱法的というか潜脱的な行為でお金が集められたといった情報の提供を外部から受けておりまして、こうした点に鑑みますと、一定数の問題業者の潜在というのが推認されるのではないかと考えております。

それから、最後に26ページのほうに飛んでいただければと思うのですが、まさに先週金曜日、10月17日に特例業者の検査結果の公表及び関連する業者についての勧告を行いましたので、それをご紹介させていただきます。

27ページにございますとおり、株式会社リアルキャピタルマネジメント、これは二種業者でございますが、こちらに対して行政処分を打つよう勧告を行ったということと、28ページに移っていただきまして、クリーンコントロールベトナム合同会社、これは特例業者でございます。こちらに対する検査の結果を公表いたしました。この事案の中で、今回の議論との関係が特に深いと思われる点は最後の29ページでご説明させていただきます。

ここの図にございますとおり、株式会社リアルキャピタルマネジメントというのは、23の適格機関投資家等特例業務を行おうとする者から、その組成するファンドに出資を行う適格機関投資家を紹介してほしいとの依頼を受けました。これを受けまして、適格機関投資家でありますA証券の代理人と称していました045fund合同会社というところに頼んでファンドに出資するよう依頼してやり、それにより、A証券からファンドに出資が行われるようにしてやるという旨を約束しておりました。それを受けて、紹介料の名目でお金を取っておりました。そして実際、当該ファンドには045fund社から出資が行われております。しかしながら実際には、リアルキャピタルマネジメント社及び045fund社が、特例業務を行いたいと言っていた人間から受け取った紹介料の一部を、045fund社を通じて、23の業者が組成したファンドの出資に充てていたということでございまして、適格機関投資家からの出資があるように装っていたという事例でございました。

このスキームは、リアルキャピタルマネジメント社と045fund社が考案したもので、リアルキャピタルマネジメント社は、適格投資家とされていたA証券から出資がされていないこと、また同証券による出資とされていた資金が、もともと23の業者から拠出されていたものであることを認識していたという事例でございました。

以上が、大変駆け足でわかりにくく恐縮でございましたが、私からのご説明でございます。以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、ここでちょっと時間をとって、皆様方から今のご説明についてご質問等をお出しいただきたいと思います。大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。大変嘆かわしい実態がまた明らかになったなというふうに思うんですが、ちょっと1点お伺いしたいのは、3,000以上の業者の中から数十を検査しただけで、これほどひどい状況になっているということになると、1つの考えは、3,000のうち千何百とかいうのがひどいんだというような考えもあるとは思うんですが、他方で私が推測しますに、おそらく監視委員会としてもリスクベースでやっておられるというか、大いに怪しいというところを集中的に検査されて、その結果こういう結果が出ているのかなというふうに思うんですが。

2点目としてお伺いしたいのは、全体としてこういうひどい状態になっているのは、届出業者のうちどのぐらいの割合というような、相場観を持っておられるかどうかということと、危ないところを見分ける上で、どこがリスクが高いというふうに見て入っておられるのかとか、差し障りのない範囲で教えていただければと思うんですが。

【松重証券検査課長】

ありがとうございます。まず全体がどれぐらいかというご質問に関しまして、率直に言うと、我々も検査の事例に限られておりますので、明確な相場観というものがないという状況でございます。ただ、とりあえず問題がある業者として公表されているのは全体のうち600ぐらいございまして、大体1割から2割ぐらい。我々が問題を認めたのが5割超えるということで、このいずれかの内のどこかにあるのかなという、数字をあえて言えばそういう感じかなと思っております。それ以上のところは今のところ申し上げるべき内容を持ち合わせておりません。

それから、危ないところに関しましては、ご指摘のとおり、我々は、まさに投資家保護にとって問題がありそうなリスクが高いところ、蓋然性が高いところを優先的に検査に入っておりますが、それについては特に何らか基準を設けてというよりは、やはりいろいろ外部からの情報で、どうも問題が多そうだと思われるところを選定するというのが実態と考えております。

【大崎委員】

ありがとうございます。

【神田座長】

ほかにいかがでしょうか。坂委員、それから永沢委員の順番でお願いします。

【坂委員】

私のほうからは、監視委員会のご努力に関して認識を深める観点から、3つ質問させていただければと思います。1つ目は、問題業者の被害拡大を防止する観点からは、できるだけ業者の問題を早く見つけるということが重要と思います。この点、今現在の制度枠組みからしますと、行為規制が比較的限定されているということが背景にあると思いますけれども、今日のご報告の中でも、基本的には検査を行って、業者の内部の事情を把握するという形で問題状況を把握するということが行われているようです。そういった検査を通じた実情把握でなければ問題が確認できないということになりますと、問題把握に時間と手間がかかるように印象を受けます。できるだけ早く問題を発見するという観点から、何か制度的な工夫ですとか、そういうことが考えられないかと思います。この点は、まさにこの場で検討すべきことなのかもしれませんが、監視委員会のほうで、もしお考えや視点等ございましたら、お伺いできればと思います。

それから2点目ですが、問題業者が発見されますと、早期に動きを止めるということが大事な点と思います。この点は、先ほどお話がありましたように、登録業者であれば、登録抹消等の手続きがとれるんでしょうけれども、届出業者ということになりますとなかなか手がない。その中で、裁判所への禁止、停止命令を申し立てるということが手段としてあろうかと思いますが、実際のところ、禁止命令の手段をとった場合にどれぐらいの時間がかかっているのか。検査から命令の発出までにどれぐらいかかっているのか、もしわかったら教えていただきたいというのが2点目です。

それから3点目ですが、問題業者はやはり責任追及を恐れるというところがあると思います。したがって、民事、刑事の責任追及がどういった形でその後行われるのかということが非常に大事な点だと思いますが、この点に関して、監視委員会のほうで、例えば刑事手続との連携ですとか、あるいは民事の損害賠償請求等の動きに対する連携ですとか、そういったことについてどんな取組みがされているのか、概略なり教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【松重証券検査課長】

1点目でございますが、まさにご指摘のとおり、問題を早く発見できるよう、何らかのツールがあればというのは常に思っておりますが、今の段階で、例えばこういう形での制度的手当がというものについては、申し訳ございませんが、私自身は持ち合わせておりません。

それから、2番目のご質問の申立ての期間でございますが、検査開始から、状況によって検査期間が結構ばらばらありますが、私がこちらに着任してから経験した印象で申しますと、まず申立てをしてからは、2週間とか3週間、1カ月以内には命令は出していただけたという感じでございます。

それから、責任追及に関しまして、まず刑事責任の追及として、虚偽告知などをしていると、詐欺ではないかと疑われるような場合もございまして、こういったものにつきましては適時、あまり詳細は申し上げられないですが、警察当局等に情報提供は行っているということでございます。

あと民事につきましては、今、にわかに具体的にこうだと思い当たる点はないというのが実情でございます。

【坂委員】

どうもありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、永沢委員、太田委員の順で、永沢委員どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。いつも丁寧なご説明ありがとうございます。私からは、1つ意見と3つ質問がございます。最後の29ページの、最近発表されたという件ですが、こういうことが行われているのではないかと、消費者の私たちでさえ疑っておりましたので、まさにこのような事例があったということのご指摘をいただいて、こういう現状を踏まえてやはり議論していかなくてはいけないという思いを、本日改めてこの事例を見せていただきまして強くした次第です。

続いて質問ですが、まず1つ目ですが、9ページ目の大崎委員のご質問ともかぶる質問になりますけれども、2つ円グラフがございますが、念のために確認ですけれども、左の問題が認められた特例業者というのと、左の全特例業者を2つ比較してあるわけですが、全特例業者の中には検査されていない業者も含まれていますが、この適格機関投資家の赤の部分、問題が認められた特例業者の比率というのは、実際に検査を行われたものの比率であって、これを比較するのは、誤解が生じるのではと思ったのですけれども、その点もう一度ご説明をいただきたいと思います。

それから、私のような単純な人間は、資料の12ページから、投資事業有限責任組合という器を適格機関投資家と捉えているのが間違いなんじゃないかと思ったりします。ほかの銀行や証券会社や、一般事業者にはもちろん条件があると思いますが、これらは適格機関投資家として位置付けられてよいと思いますが、それと比べると、投資事業有限責任組合というのは何か実体がないような気がします。これが適格機関投資家という扱いとなっていることが1つの問題ではないかなと思います。短絡的かもしれませんが、これを排除することによって、問題がある特例業者を除くことができるのかどうか、ご意見を伺いたいと思います。

第3点目は、14ページ以下で具体的な事例をご紹介いただきました。坂委員の質問にも重なりますが、この3例については、消費者の救済というのはどうだったのでしょうか。以上です。

【松重証券検査課長】

ありがとうございます。まず最初のご質問ですけれども、実は、こちらの参考のほうは全部ファンドモニタリング調査が基でございまして、例えば左側の問題が認められている業者は、まさに我々が問題を認めた37業者がファンドモニタリング調査でどういう回答をしていたかということを前提に作っております。この右側のほうの全特例業者は、やはりそのベースで全特例業者について書いておりますので、検査のスクリーニングを経ていないという点では、両方とも同じ状況でございまして、共に確かというか不確かというか、要するに表面上届出だけしているものが入り得るという点では、同じといえるのではないかと思っています。

それから、12ページ目の投資事業有限責任組合を適格投資家にしないことによる効果というのは、検査の結果として多かったというところまではわかるんですが、私にはそれ以上のコメントをする能力はないかなと思っております。

それから、救済につきましては、この事例にうち、MJホールディングスの事例は、たしかその後、訴訟が提起されておるということで、回復が行われているというわけではないんですが、回復に向けた被害者の方々からの取組みが行われて、司法の場で争われている状況になっていると承知しています。それ以外については、そういう情報は把握しておりません。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【神田座長】

よろしいでしょうか。では、太田委員、どうぞ。

【太田委員】

大変詳細なご説明、まことにありがとうございました。私、このプロ向けファンド規制の問題、非常に難しいのは、プロ向けファンドがいろいろな使われ方をしている中で、規制をかけるときにどのようにすれば適切な規制となるのか、本当に悪質なものだけが規制によって適正に対処され、そのほか問題ないものについては影響が及ばないという形で、いかに制度を仕組むことができるか、というのが非常にポイントなのかなと思っておったわけでございます。

本日お話をお伺いしますと、特にご説明の9ページ、10ページ目のあたりは非常に興味深いなと思ったわけですが、要は63条特例業務届出業者の中で、適格機関投資家の出資が非常にノミナルというか、藁人形的な出資しかなされていないような例が多いんだなと。そのあたりが1つポイントなのかなと思ったんですが、その関係で2点ほどお伺いをしたいんですけれども、1つは、10ページのところでございますけれども、募集金額に占める適格機関投資家の出資割合のところでございまして、適格機関投資家の出資が非常にノミナルなことがよくわかる表でございますけれども、1つ2%超というのが1件だけあるとなっているんですが、この2%超のものがかなりサブスタンシャルな出資、20%とか30%とかいう出資なのか、それとも3%、4%といったレベルのパーセンテージなのかという点が質問の1点目でございます。

それから2点目は、(3)の表に書かれているのは、問題が認められた特例業者に対する出資の状況ということでお出しいただいているんですけれども、これについて、もしファンドモニタリング調査等で、全特例業者の中で、適格機関投資家の出資割合というのは平均値としてはどれぐらいのパーセンテージになっているのかという点を、もし数字をお持ちであればご教示いただければ幸いです。

【松重証券検査課長】

申し訳ございません。ありがとうございます。ご質問にお答え申し上げます。まず2%超の事例でございますが、これは1社で100%でした。というのは、まだ募集をほとんどしていない段階でやったということでありまして。そういう点で言えば、数字で見れば断トツに多かったという事例でございました。(注)後刻、訂正発言(※)あり。

それから、2番目のお話は、私自身、全体に関する出資割合というものを持ち合わせていないので、確認をさせていただければと思っております。

【太田委員】

1点だけ補足で、今、このようなご質問をさせていただいた趣旨は、募集金額に占める適格機関投資家の出資割合などを1つの基準にして規制をかければいいのかなとも思ったんですが、100%のものでも問題事例があるということになると、なかなかそういう形で規制をかけるのは難しいということになるのかもしれませんが、なぜ100%のものについて問題事例となっているのか、要するに、何か募集を始める前だから、100%にたまたまなったということなのか。恐らく何か特殊な事情があって100%で引っかかったということなんだろうと思うのですが、そのところをもう少し詳しくお聞かせいただければ、大変ありがたく存じます。

【松重証券検査課長】

申し訳ございません。かなり個別の事例になってしまうんですけれども、実はこれがわかったのは、アジア投資に入ったときに一緒にわかったということでありまして、ある意味では検査のタイミングで、ほかのものも一緒にわかった、ある意味では偶然のことでございました。

【神田座長】

ありがとうございました。黒田委員。

【黒田委員】

1点だけ端的に質問させてください。11ページの全特例業者の円グラフですが、これは運用財産額ベースですが、もし数字がわかれば、件数ベースでは、例えば個人が1%ですから、何%になるかお聞かせ願えますか。

【松重証券検査課長】

たしか20%だったと記憶しています。

【神田座長】

よろしいでしょうか。どうぞ、家森先生。

【家森委員】

10ページのところについてです。適格機関投資家が全投資家を代表してガバナンスをするというような仕組みだというのでこれが作られたとすると、例えば10万円とかという少額しか出してない方がモニタリングするというのは、なかなか普通には考えにくいんです。今、全部のサンプルの中で、例えば10万円以下しか出資をしていないという母集団を考えて、その中で問題が起こっているというのはどのぐらいの割合であるのかというのを、今日はわからないでしょうが、教えていただくと有り難いです。例えば、さっき6割という数字がありましたが、それがどのぐらい問題サンプルに入るのかとかいうのを教えていただきたいわけです。さっきの比率に加えて両方の観点から、つまり、横串のほうで見た数字を、また教えていただければと思います。

それからもう一つは、機関投資家である適格投資家のうち、今回の場合の問題で、例えば銀行なんかも入っているのというのは、逆に私はすごく驚いたんです。そういうようなことが起こり得るのは何故なんでしょうかというのがわかりましたら、お願いいたします。

【松重証券検査課長】

申し訳ございません、個別の名前は出せないんですけれども、たしかこの2つ、信託管理銀行だったので、ひょっとするとさらにその背後があったのかもしれませんが、そこまでは捉えられませんでしたので、銀行という形で整理させていただいております。

【神田座長】

どうぞ、磯崎委員。

【磯崎委員】

ご説明ありがとうございました。12ページ目で1つ質問させていただきたいんですが、投資事業有限責任組合の適格機関投資家である比率がかなり高いというお話なんですが、投資事業有限責任組合のそれ自体の資産規模というか、私の予想では、おそらく100万円とか10万円とか非常に小さい投資事業有限責任組合を作って、そこから出資していたという話じゃないかと思うんですが、これ、投資事業有限責任組合を悪者にするのは、個人的にはちょっとかわいそうだなと思っていまして。

例えば、株式会社が適格機関投資家であるというような制度を作ったら、株式会社は最低資本金がありませんので誰でも作れて、株式会社が悪者になっちゃうんですけれども、株式会社という制度が悪いわけではありません。それと同時に、ほかの適格機関投資家の要件というのはご存じのとおり、みんな有価証券を10億円持っていなきゃいけないというような要件があるのに、投資事業有限責任組合には最低の資産規模の要件もありません。実際にファンドで検査で見つかったこの26の投資事業有限責任組合というのは、どれぐらいの資産規模のものが多かったのか、わかりましたら教えていただければと思います。

【松重証券検査課長】

申し訳ございません、きちんとした数字は持ち合わせていないのですが、ほとんどなかったということだったようです。

【磯崎委員】

ほとんどないというのは、ゼロに近いという?

【松重証券検査課長】

そういうことだと思います。

【磯崎委員】

なるほど、了解しました。あともう1点追加でお願いしたいんですが、これは出資する側の適格機関投資家側なんですが、それを受けるファンド側のストラクチャーというかスキームというか、これは例えば匿名組合で投資家個人から集めるようなケースが多いのか、それとも民法上の組合とか、投資事業有限責任組合なのかとか、その辺がもしわかりましたら教えていただければと思います。

【松重証券検査課長】

ありがとうございます。たしか前回のときにそのご指摘をいただいたと思いますので、一応今回ご報告した37について、それが組成したファンドがどういう形態かというのを、ちょっと拾えるだけ記録から拾ってみたところでは、全体で130ぐらいファンドを組成していたんですが、そのうち投資事業有限責任組合が30弱ぐらいありました。匿名組合が100ぐらいありました。大体そんな比率であります。

【磯崎委員】

ありがとうございました。

【神田座長】

時間の関係がございますので先へ進ませていただいて、また後ほど、もし追加のご発言があればいただくということでお許しいただきたいと思います。

それでは、続きまして、国民生活センターと消費者委員会からお話をいただきたいと思います。それで事前には、国民生活センターには10分程度、消費者委員会については5分程度とお願いをしていると思うのですけれども、適宜ご判断の上、お話をいただければと思います。まず、国民生活センターの松本先生と林さんから、よろしくお願いいたします。

【松本参考人】

ありがとうございます。プロ向けファンドにつきましては、ここ数年、制度を悪用した事業者による消費者被害が多数生じております。国民生活センターといたしましても、大変強い懸念と問題意識を持っておるところでございます。当センターでは昨年の12月に、消費者に対して注意喚起を行うと共に、金融庁・証券取引等監視委員会に、そもそもの制度趣旨に沿った仕組みを導入すべきであるとの要望をさせていただいております。資料の2でございます。

健全な市場の発展には、投資家が安心して取引できる環境が不可欠でありますが、現在のプロ向けファンド市場の中には悪質業者が多数入り込んでおり、そのような状況にはございません。ベンチャー投資をさらに活発にしていくためにも悪質業者を排除し、投資家が安心して取引できる制度とすることが不可欠であると考えております。

それに加えまして、金融商品取引法上、プロとアマでは勧誘規制が大幅に異なっております。アマ向けにつきましては、かなり強い規制がされておるわけですが、プロ向けファンドになりますと、一般のプロ向けよりさらに規制が緩和され、断定的判断も禁止されていないという、非常に特殊な状況にございます。全く見知らぬ業者から電話や訪問による不招請勧誘がなされ、そこで断定的判断を伴った勧誘がなされています。そのような勧誘をしてもいい、アマというのは一体どのようなものを指すのかにつきまして、これはかなり重要な問題と考えております。

本ワーキング・グループでは、プロ向けファンドからの悪質な事業者の排除と、プロ向けファンドで勧誘対象となし得るアマの範囲につきまして、しっかりと議論していただくことを期待しております。プロ向けファンドに関する相談状況につきましては、担当のほうから説明させていただきます。

【林参考人】

林と申します。よろしくお願いいたします。それでは、資料2をご覧いただければと思います。今、理事長からもありましたが、プロ向けファンドにつきましては、昨年12月に消費者への注意喚起を行っております。本日は、その資料に基づきまして、相談の状況、トラブルの状況をご説明させていただきたいと思います。

3ページをご覧ください。図1でございますが、プロ向けファンド届出業者に関する年度別の相談件数を記載してございます。ご覧のとおりですけれども、近年非常に相談件数が増えておりまして、2012年度は1,500件を超える相談が寄せられております。それから、2013年度をご覧いただきますと、この当時は800件程度でございましたが、今回新たに集計をし直してみますと1,300件程度ということでございました。各方面による対応の効果もあり、若干の減少ということでありますが、依然として1,300件ということで、2011年度の水準も上回っている高水準にあるということだと思っております。5年間で5,000件程度の相談が寄せられている状況です。

それでは、4ページをご覧ください。図2ですけれども、これは金融庁に届け出ている届出業者と、問題届出業者の割合のグラフでございます。全体が3,600社程度ですけれども、そのうち問題届出業者が2割程度ということでございます。この3,600社程度につきまして、全国の消費生活センターに相談が寄せられている業者の割合を見てみますと約1割程度ということで、三百数十社であります。ですので、一部の悪質な業者によるトラブルが非常に多く、5,000件のトラブルが生じているという状況が見てとれるかと思います。

それから、5ページをご覧いただければと思います。図3では、主な相談内容別の相談件数を記載してございます。多いのが虚偽の説明、あるいは強引な勧誘に関する相談でございます。それから、その次に業者との連絡不能。それから、一番下を見ていただきますと、業者の所在不明ということで、連絡がつかないというようなものも多くなっております。それ以外を見ますと、次々販売ですとか、判断能力不十分者契約。それから、元本保証のセールストーク、説明不足ということで、勧誘の問題と、それから連絡がつかないというような相談が多くなっています。

それから、図4をご覧いただきますと、契約当事者の年代別の割合でございます。70歳以上で見ますと6割強、それから60歳以上で見ますと9割弱ということで、高齢者の方がトラブルに遭っている状況がございます。それから、図5は販売購入形態別の割合ですが、訪問販売と電話勧誘販売で8割を超えているということで、不招請による勧誘が行われています。まとめますと、高齢者に対して電話勧誘、訪問販売による不招請勧誘が行われているというような状況でございます。

それから、6ページをご覧いただきますと、既に支払ってしまった金額についてのデータでございます。既にお金を支払ってしまった相談というのが、全体の半分強ございました。平均額で見ますと約600万円ということで、その総額は、最低でも144億円ということになっております。中には1億円以上支払ってしまったという方も、数名いらっしゃいました。

それから、次に相談事例を2つほどご紹介させていただきたいと思います。2.の事例1ですけれども、認知症気味の高齢者にプロ向けファンドを勧める業者ということで、これはそのお子さんからの相談であります。読み上げさせていただきますが、昨日父親から、母が投資ファンドの契約をして、明日100万円を担当者が取りにくると聞いた。母に聞くと、女性から電話があり、資料を送ると言われた。封書が届き男性の訪問があった。配当がもらえるというので、契約書らしき用紙に名前と印鑑を押したと言っている。母には軽い認知症があるため、父も気をつけていたが、父が留守中に訪問があり、契約したようだ。パンフレットを確認すると、「4カ月に1回、年金のように配当が受け取れる」「安心の3年満期定期タイプのファンド」「個人のための運用商品」「最低予定利回り4.8%」などと書かれている。母の手元には、リスクについて書かれている書類は一切なかった。また、契約書の控えもなかった。両親ともやめたいと言っているので、断り方を教えてほしいというもので、当事者としては80歳代の女性の方になります。

それからもう一つだけご紹介させていただきますと、7ページの事例3でございます。これも高齢者の方にプロ向けファンドを勧めたもので、ご本人からの相談であります。業者から出資しないかと電話があって、その後、自宅に訪問してきた。仕組みはわからなかったが、利率が10~12%と説明を受け、家族に内緒で自分の小遣いから10万円を出資した。申込書は自宅で書いたが、出資金の10万円の引渡しは、市内の家電量販店の建物の横で行った。約款、パンフレットは現金を渡した後にもらった。後日約款を読んだところ、かなりリスクが高いことがわかった。リスクがあることがわかっていたら、出資していなかった。最近も営業マンから、増資しないかとの電話がくるが断っている。出資先の業者は、本当に国の機関で認められた業者なのか。リスクも高く、本当に高配当が期待されるのかわからないので、今後継続をしようか迷っている、というもので、70歳代の男性からの相談であります。こうした相談が多く寄せられています。

それでは、8ページですけれども、こうした相談事例から見た問題点ということでまとめてございます。アンダーラインを引いてあるところですけれども、プロ向けファンドは、まさにプロ向けであるはずなのに、実際には一部の業者によって、不特定多数の一般投資家への勧誘を前提としたファンドが作られていて、高齢者を中心とした投資経験の乏しい者に対して、不適切な勧誘が行われている、ということが実態かと思います。以下、具体的に5つほど問題点を挙げております。

まず1つが、自宅への突然の訪問や電話によって、投資経験が乏しく、積極的に契約を望んでいない高齢者等に対して、ハイリスク、複雑なプロ向けファンドが販売されているということで、飛び込みによる訪問販売ですとか、電話帳に掲載されている人への電話勧誘、それから、そのほかにも名簿を使って電話をする、あるいは、番号を上から順に当てずっぽうに電話するというようなこともあったというふうに聞いておりますが、そうした勧誘が行われているということであります。

それから2つ目は9ページですけれども、嘘や欺瞞的な説明、不十分なリスク説明、迷惑勧誘などが行われているということで、「元本保証」「必ず儲かる」などの嘘の説明、あるいは「年金のように配当が受け取れる」「最低利回り○%」、さらに「予定利回り○%」などの欺瞞的な説明が行われていますが、その一方で、リスクに関しては全く説明がない、あるいは説明が十分でないという状況があります。それから、「金融庁に届け出ている」などと、あたかも金融庁公認の事業であるかのように説明し、消費者を信頼させようとする業者もいます。

それから3つ目ですけれども、劇場型勧誘が行われるなど、詐欺的な業者による勧誘も行われています。劇場型勧誘というのは、複数の業者が入れ代わり立ち代わり出てきて消費者を騙そうとするものでありますけれども、そうした詐欺的な勧誘も多く見られます。

それから4つ目は、ファンドの運用内容について十分な情報提供がなく、消費者が把握できていないということです。ファンドの具体的な仕組みですとか、投資対象の資産、事業がどういうものか、あるいは運用状況といったものが、契約をした出資者には全く開示されていないので、把握できていないというような状況もございました。

それから最後ですけれども、被害回復が難しいケースが多いということで、先ほどご質問があった部分ではありますが、その理由としては3つございまして、まず1つは、販売勧誘規制が大幅に緩和されているために、業者に対して勧誘上の問題点を指摘しにくいということで、これは相談現場でも非常に苦慮しているところであります。それから契約上、期中での解約ができないとなっている場合、あるいはできても高額な解約手数料が取られる場合がある。それから、トラブルになるきっかけというのが、配当が滞ったり、あるいは返済困難との連絡があった、業者が倒産したというケースも多くございまして、そうなってくると、既に業者に資金がない、あるいは連絡がつかないというようなことで、現実には救済というのは非常に厳しい状況にございます。

これらを踏まえまして、消費者へのアドバイスということで、5点ほど挙げております。まず1つは、プロ向けファンドは、投資経験の乏しい一般投資家が購入するようなものではないということですので、取引内容が理解できなければ契約しないということ。それから、「必ず儲かる」などの嘘の勧誘をしてくる業者とは契約しない。それから、金融庁に届け出ているからといって信用してはいけない。4つ目は、劇場型勧誘の手口の電話がかかってきたら、すぐに切ってほしい。それから、消費生活センターに相談する。最後は、トラブルに遭っている方の中には、判断能力が不十分な方も多くいらっしゃいますので、周りの方の見守りもしっかりしてほしいということをアドバイスしております。

最後ですけれども、行政への要望として、金融庁、監視委員会に対して2点要望しております。1つは、プロ向けファンドの制度趣旨に則った仕組みを導入すること。それからもう一つは、それまでの対応としてということですけれども、不適切な行為を行う届出業者に対して厳格な対応をとることです。説明は以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。続きまして、消費者委員会事務局の金児参考人から、消費者委員会の提言についてご説明をお願いいたします。

【金児参考人】

内閣府消費者委員会事務局の金児と申します。私からは、資料3になりますが、本年4月22日に消費者委員会が公表した「適格機関投資家等特例業務についての提言」についてご説明させていただきます。

まず、この提言を出すことになった経緯ですけれども、冒頭の「はじめに」というところで記述してございます。3行目あたりですけれども、平成25年8月に、「詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての調査報告」を消費者委員会ではまとめまして、そこでもこの特例業務を利用した詐欺的投資勧誘被害の存在を報告し、とりわけ高齢消費者被害への対策の必要性を指摘してございます。その後、国民生活センターが、今ご説明のあった内容を公表され、当委員会とも密接に連携して情報を共有し、当委員会としても調査・検討を継続してまいりました。本年1月21日の消費者委員会本会議では、国民生活センターよりご報告いただき、審議を行いました。

その下の中ほどのパラグラフですけれども、金融庁及び証券取引等監視委員会も、対応を強化してきた旨を述べてございます。下から3行目ですけれども、しかしながら、国民生活センターの報告書によれば、先ほどご説明があったとおり、これらの対策が実施されてからも、被害が解消されたと言える状況にはないことは明らかであり、また証券取引等監視委員会によりますと、先ほどのご説明があったような法令違反の事例が多くございます。

2ページ目の5行目のところでございますけれども、このような事態を受け、関係機関、金融庁さんにおいて、投資家保護をめぐる制度の在り方が真摯に検討されてきていると承知しておりまして、そこでの検討結果が大いに期待されるというところでございますけれども、当委員会としてもこれまでの検討を踏まえてこの提言を行うことによって、よりよい市場の形成への参考に供することとしたところでありまして、この提言が制度のあり方の検討に資することを期待しているということでございます。

以上が、この提言を出すに至った経緯と提言の趣旨でございます。

次に、消費者委員会として、どのような検討を行ったかということですけれども、2の「適格機関投資家等特例業務の導入の経緯」というところで、まずプロ向けファンドが創設された趣旨を確認してございます。「そもそも」というところですけれども、この特例業務は、金融商品取引法制定の際に、金融審議会金融分科会第一部会報告を受けて制度が創設されたものでありまして、金融審議会報告の基本的な趣旨が尊重されるべきことは言うまでもないと述べてございます。

次のパラグラフで、金融審議会報告の内容を書いてございますけれども、これは前回のワーキング・グループの参考資料に載っているものですけれども、一番最後の行、次のパラグラフの「つまり」というところでまとめてございますけれども、「金融審議会報告は、特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)の区分を導入し、プロについては規制緩和を推進する一方で、アマについては適正な投資家保護を確保するという考え方を採用することによって、新たな洗練されたプロ向け市場を整備することを目指していた」と。そして、集団投資スキームについても、もっぱら特定投資家(プロ)向けのファンドについて、規制を簡素化するとしていたわけでございます。以上が、金融審議会の部会の報告の段階ですけれども、実際にでき上がった金融商品取引法における特例業務はどういうものかというのが、3ページの下のほうから4ページ、上に書いてございますけれども、こちらは皆さんご案内のとおりですので省略させていただきます。

提言の中身ですけれども、4ページ下のところになります。1つは、(1)適格機関投資家等特例業務における投資者の範囲の見直しでございます。「以上に述べてきたところからすれば」というところですが、この特例業務は、本来プロ向けの制度でありまして、そこで制度のあり方として、プロ向けの仕組みという制度趣旨に則って整備される諸要件を見直すということが適当ということでございます。その際、この特例業務にふさわしいプロとは何かを検討する場合には、まず金融審議会の報告が参考になると考えたところです。しかしながら、健全なファンドも多くあるということですので、そこには配慮しつつ、なおかつ消費者被害が出ないようにするための要件を考えますと、現行のプロ特定投資家に限定するというだけでは当てはまらないということがございますので、特定投資家の要件を参考にしつつ検討した結果が、提言の中身になってございます。

まず法人ですけれども、5ページの上のところに書いてございますけれども、金融商品取引法では、法人はいつでもプロに転換できるということになっていますけれども、法人イコールプロというわけではないのではないかということを書いてございます。ただ、当委員会の立場としては、法人の部分に立ち入って議論する必要はないと考えておりますので、金融庁さんにおいて適切な要件を設定してくださいというような内容になってございます。

次に個人ですけれども、個人においては、プロに転換できる一般の個人が、金商法及び内閣府令で規定されておりまして、その要件は3ページに戻っていただきまして、3ページの下のほうのマル1マル2マル3というところですけれども、マル1の「金融資産が3億円以上」、マル2の「投資性のある金融資産の合計額が3億円以上」、マル3の「当該業者との同種契約締結後1年の経過」という3つの要件があります。

これがプロに移行できる一般の個人の要件ですけれども、この要件を参考に、特例業務における投資者の範囲として、5ページに戻っていただきまして、5ページの下から5行目ぐらいのところですけれども、「少なくとも億単位の余剰資金をもって、投資性の金融取引を年単位で継続的に行っている投資家という要件を満たすべきだろう」という提言内容でございます。ここで億単位という表現を使っておりますけれども、特定投資家の要件である投資性金融資産3億円というのは、ちょっと高いのではないかという意見が消費者委員会の委員からありまして、他方で消費者被害が生じないような要件にする必要があるということで、億単位という表現で出したものでございます。

いずれにいたしましても、下から3行目のところに書いてございますけれども、「危険性を内包する自動車を運転するにあたって運転免許証が必要なように、極めてリスキーな市場に自己の資金を投資する個人には、それに相応しい金融知識とリスクに対する覚悟や耐性が認められる必要があり、そのために客観的指標が策定されるべき」であるという考え方に基づいてございます。

もう一つの提言の中身は、6ページの上のほうですけれども、(2)悪質業者の排除でございます。この悪質業者の排除のための金融庁及び証券取引等監視委員会の取組みを、さらに徹底してもらいたいという要望を併せて行ってございます。

雑駁なご説明で恐縮でございますが、私からは以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、3人の参考人の方々のお話につきまして、ご質問等お願いしたいと思います。大崎委員、増田委員、永沢委員の順で。大崎委員からどうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。1点だけ、国民生活センターの方にお伺いしたいんですが、相談案件事例ですね。これは基本的にはプロ向けファンドに絡む相談になるというふうにセンターとしてはご認識なんだと思うんですが、これ、本当のプロ向けファンドなのか、プロ向けファンドを称するものなのかという、そこについては何か感触はお持ちですか。つまり、本当に金融庁に届け出ているのかどうかということについて確認をされたのかどうか。また、本当は届け出ていないのに届出業者と称しているようなものについての相談も結構あるのか、その辺を教えていただければと思うんですが。

【林参考人】

今回の資料の3ページで相談件数をまとめておりますが、これは金融庁の届出リストと、私どものデータベースで持っている業者のリストを突き合わせて数字を作っておりますので、基本的には届出業者だというふうに考えております。

【神田座長】

それでは、増田委員、どうぞ。

【増田委員】

済みません。私もそれに近い質問なんですけれども、4ページの上の段ですけれども、全届出業者の1割程度ということで、先ほどの発表と少し割合が違うと思っています。例えば相談者の方がはっきり覚えていないとか、判断不十分な方であって聞き取りが十分ではないとか、そういうようなことも含めるとどうなのかという点が1つ。

それからもう1点、5ページのほうですけれども、販売購入形態で、電話勧誘と訪問販売ということで、まさしく不招請勧誘がトラブルの実態であるというふうに思いますけれども、この通信販売という部分が、果たして本当に通信販売なのか。通信販売の形式をとっていながら、実態としては違うのか。広告を見て申込みをした後、勧誘があり、契約に至るとかというケースもあるかと思うんですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。

【林参考人】

ありがとうございます。1点目ですけれども、私どものデータベース上で登録されている事業者というのは、まず相談者の方がその事業者名を相談員に伝えて、相談員がそれを入力するという形になります。ですので、相談者の方が間違って業者の名前を伝えたりすると、別の名前で登録されてしまうというような可能性もありますので、そういう意味ではもう少し、どのくらいかはわかりませんけれども、多い可能性はあります。

それからもう1点ですけれども、5ページの販売購入形態別の割合で通信販売が出ておりますが、これは今、ご指摘いただいたとおりでありまして、多いパターンとしては、まず届出業者から郵送でパンフレットとかDMが届いて、その後電話がかかってきたり訪問販売というような形になりますので、このデータベース上の区分としては通信販売となっているものもありますが、おそらく大半は電話勧誘か訪問販売が行われているものだと考えております。

【神田座長】

よろしいでしょうか。それでは、お隣の永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。まず、国民生活センターの方に1つ質問がございます。増田委員のご質問に関連した質問となりますが、電話勧誘や訪問販売、あるいは通信販売という形で事業者が来るということは、個人に対して特定のアプローチがあるというわけですけれども、その個人情報はどのようにして得たのかというようなことについて、何か情報をお持ちでしょうか。

質問を続けてさせていただきますが、消費者委員会の方には、アマの要件を厳格にというご主張はよく理解できるのですけれども、出資できる人の要件を厳しくすることは、悪質な業者にとって本当に抑止力になるのかと疑問に思ったりもします。というのは、悪質な業者は、投資家要件を厳しくしても守らないに違いないのではないかと思ったりもいたします。投資家要件を厳しくすることによって、何かこのような効果が期待できるというようなことをお考えでいらっしゃいますでしょうか。

【林参考人】

ありがとうございます。1点目の、業者がどのように消費者を見つけているのかということですが、事業者から直接聞いたところでは、飛び込みによる訪問販売。それから、電話帳に書いてある人への電話。あるいは、名簿を入手して、そこにある電話番号に電話する。番号を順番に上からかけてみて、つながったところに勧誘する、ということでした。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【金児参考人】

要件を制限しても、悪質な事業者は守らなくて効果がないのではないかというご質問かと思いますけれども、罰則が科されることになれば守るようになる業者も出てくるのではないかと思いますし、あと現状では、素人にアプローチがあった場合、それが適正な事業者か、それとも悪質な事業者かというのは見分けがつかないわけなのですけれども、こういった素人へのアプローチはだめというルールを導入すれば、素人に勧誘があった場合、それは違法であるということははっきりとわかるという、そういった面があるのではないかというふうに思います。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【神田座長】

ありがとうございました。上柳委員、どうぞ。

【上柳委員】

国民生活センターの方々に質問が2点あるんですけれども、1つ目は内容というよりも、こういうことが今後調べることが可能かどうかという趣旨で伺いたいんですけれども。被害者といいますか、投資をされた方々の属性で、どのぐらいのお金持ちなのかといいますか、資産、あるいは金融資産をどのぐらいお持ちなのかということは、このPIO-NETそのほかの情報で調べようと思えば調べられるんでしょうか。あるいは、サンプル調査というようなことができるんでしょうかというのが1点です。

もう一つの質問は、この資料2で、最後の行政への要望のマル1で、仕組みを導入することという提言になっているんですが、これは消費者委員会がおっしゃるようなアマの要件を工夫するということも含むのか、あるいは参考を見ますと、例えば適合性の原則であるとか、あるいはご報告の中で、不招請の勧誘というような言葉もありましたので、そういうことである程度防止できるという趣旨も含めているのか、それだけではだめだという趣旨なのか、特定されていないのか、もし審議経過がありましたら教えていただきたいと思います。以上です。

【林参考人】

ありがとうございます。1点目のトラブルに遭った方の資産がどの程度かということは、データベース上は把握することはできません。またその方に電話をして、もう1回確認するということは、物理的には多分できると思いますが、ただ、相談が終わった後、もう1回調査をかけるというのはなかなか難しいかもしれないと思います。

それから、要望の件ですが、プロ向けファンドの制度趣旨に則った仕組みを導入することと、やや抽象的な表現にしておりますが、具体的な制度内容というのは所管官庁で考えるべきことだろうということでこのような形にしておりますが、私どもの言いたかったのは、プロ向けのファンドなのに、なぜかそれが一般投資家、素人向けのファンドとして作られて、それが電話勧誘、あるいは訪問販売で不招請の勧誘で高齢者に販売され、トラブルになっているということでありますので、要は、そういう一般の消費者に対して電話勧誘とか訪問販売などの不招請の勧誘でプロ向けファンドが売られることのないようにしてほしいと、そういう趣旨でございます。

【神田座長】

よろしいでしょうか。それでは、時間の関係もございますので、先へ進ませていただきたいと思います。それで、ここで証券取引等監視委員会から、1点修正があるとのことですのでお願いいたします。

【松重証券検査課長】

(※)申し訳ございません。先ほどご説明申し上げた中で、1点だけ修正させていただきます。10ページの募集金額に占める適格機関投資家の出資割合2%超がどれぐらいか。100%と申し上げましたが、申し訳ありません、別の法人のことを申していました。それは届出ベースでは100だったんですが、検査に行ったところ、しっかり0.数パーセントで多数派のほうに入っておりました。こちらの2%超というのは、ある法人が16%、6分の1ぐらいの数字であったというのが1個あって、それを書かせていただいております。申し訳ございません、お詫びと共に訂正をさせていただきます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、議事を進めさせていただきます。

次に移らせていただきます。日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口参考人から、ベンチャーキャピタルとしてのご意見を、15分程度ということでいただきたく思います。よろしくお願いいたします。

【村口参考人】

ありがとうございます。こういう機会を与えていただいてありがとうございます。日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業有限責任組合の、無限責任組合員をやっております村口でございます。

今、すごい儲かっている詐欺ファンドの話を聞いて、すごい儲かっているなと。あんまり苦労しないでこんなに儲けられる詐欺ファンドの実態というのが本当に印象的だなと思う次第でございます。

さて、お手元の資料4について、時間が限られておりますのでぱぱっと話をしていきたいと思うんですけれども、特例業務でベンチャーキャピタルのファンドを運用しておりますけれども、我々は独立ハンズオンのベンチャーキャピタルというふうなことをうたっております。まず30年の私の歴史、経験をお話ししますと、まず私は南海大地震の津波の被災者の二世でして、徳島県の生まれで、慶應の経済を出ましてジャフコに就職しまして、14年間を経て、それで独立をしてベンチャーキャピタル事務所を始めております。1980年から98年まで組織人としてキャピタリストをやっていたんですけれども、シリコンバレーに行っては「You are not venture capitalist!」とよく言われて、なぜなんだろうというふうな、意味が全然よくわからなかった。

独立をしまして、志に書いてありますけれども、日本の出資者による日本の制度下で、日本のベンチャーキャピタリストによる日本のベンチャーキャピタル投資組合で、日本の無名な起業家をゼロの状態から支援して、会社及び事業を立ち上げて、フロンティア領域の新産業を興していくということを目標として、ゆくゆくはかの地に匹敵する独立ハンズオンベンチャーキャピタル活動にまで高めていきたいと思って、30年活動してきました。ひたすら遵法精神でやっていかなきゃいけないということは、心に刻んでやってまいりました。

次のページですけれども、組織人としての活動として、2点だけ言いたいと思うんですけれども、特に地方の企業の上場のプロジェクト。もう十何年上場がなかった帯広の地において、共成レンテム、フクハラという上場会社を出したり、全く後にも先にも上場がなかった伊達紋別において、ナガワという上場会社を出したり、小樽で和弘食品、札幌で土屋ホーム、松本建工などなど、地方の上場を手掛けてきました。新産業の立上げについても力を入れてきまして、調剤薬局の立上げ。それから、老人介護は、まだ介護法ができる4年前に投資をしましたのが、ジャパンケアサービスです。あと、今では萌え系とかいうのは当たり前になって、AKB48とか、萌え系フィギュアとかまだなかったころに、日本のアニメ産業から何か世界に出せるものが出るんじゃないかということで、ブロッコリーという会社の創業を手伝ったりしました。とにかく組織の中でスタートアップをするのは結構大変だった記憶があります。

アインファーマシーズ、それからジャパンケアサービスの写真を入れていただいています。いずれにしましても一番下ですけれども、未来は全く予言できません。今でも私は、30年経験がありますけれども、未来は予言できませんけれども、ベンチャーキャピタルは詐欺ではないというふうに思っております。新しい時代が来ると言われて、過去予想されたことがそのとおりになった場合と、そのとおりにならなかった場合とやっぱりあると思うんですけれども、ここで重要なんですけれども、それでも計画どおりにいかない会社の役員に就任しまして、経営に関与すると。これをハンズオンといっておりますけれども、ここが一般のファンドと抜本的に異なる点だと思っておりまして、組織を98年に独立して、サラリーマンでしたので、お金も何百万ぐらいしかなくて、日本初の独立ハンズオンベンチャーキャピタルを目指したのが98年です。

3ページですけれども、これはお金を持って、資産家の人ですが、堀場製作所の堀場さんが右側に映っておりますけれども、私のアイデアを説明しまして、ハンズオンで独立をゼロのところから投資をすると。「ほれや!」というふうに堀場さんが叫んだことが耳に残っておりますけれども。それで15ページですけれども、NTVPi-1号投資事業有限責任組合。先ほど騙される人は個人がほとんどだということなんですけれども、私は信用がないということもあって、独立個人というベンチャーキャピタルファンドを作りまして、i-1号というふうに名付けたわけです。そのときに一番手伝ってくれたのは、親戚や知人の大学の同期、それから組織人のサラリーマンの同僚、こういう人が、大きな野村グループを離れて独立して1人で始めましたので、信用がありません。当然、生・損保、金融機関は出してくれませんので、いろいろな親戚や旧友、知人を回って集めたわけでございます。

それで結局、ファンドが3億3,000万集まりまして、17ページ、3ページの下のほうですけれども、左ですけれども、DeNAの創業期。南場さんの『不格好経営』の中で私の名前がいっぱい出てきますけれども、創業のゼロから投資をすると。この18ページの右側にグラフがありますけれども、私がうちのファンドで投資をしたのが一番左のところでございます。

次のページですけれども、インフォテリア。ここにももちろんグラフがあって、まずは2007年にマザーズに上場させていただきましたけれども、投資をいたしましたのがこのグラフの一番左の端っこのところで投資をさせていただいて、役員に就任をして、ハンズオンでやっております。たまたま2005年にDeNAが上場して、成功報酬もたくさん入ってきましたので、ふるさと納税という、当時日経新聞の夕刊にコラムを持っておりましたので書かせていただいたのが、ふるさと納税に大反響になってつながっていったという副産物も生まれました。

日本のベンチャーキャピタルは、ホリエモン事件が起こりまして、それで当時、反市場という単語がまことしやかに言われて審査をされるような時代になり、三木谷さんまでが反市場だと言われた時期もありまして、どうすれば上場ができるのかわからないというような審査の状況になっておりました。

一番下の左ですけれども、合同会社というのは結局LLCでパススルーにならなくて、アメリカみたいにならないなということで、アメリカみたいなベンチャーキャピタルができないなということで苦労しております。挙げ句の果てには、右下ですけれども、日本で上場というのはもうないねというふうなことを、外国の証券会社の人がうちの東京の事務所を訪ねてきて、外国でやりましょうというふうにお誘いいただくことが連発した時期でもございました。

5ページですけれども、これが結局、我々が言っている失われた5年という、上場が韓国で80社、中国で毎年200社上場会社が出ているのに、日本で50社を下回るというのが5年連続で続いて、IPO市場でその際、結局ベンチャーキャピタルの仲間たちはどんどん去っていって、ベンチャーキャピタルのマーケットというのは、私の実感では5分の1に縮小したというふうに感じております。

28ページですけれども、やっと上場審査がいろいろと改革が行われ、反市場的勢力という単語はありませんと。反社と違いますよ。反社と違って、反市場的勢力という単語が当時あったんですね。そういうものでは審査しませんということになったので、やっと復活をしてきまして、去年の3月には、これまた一番下に、東証で鐘をたたいている写真を載せていただいていますけれども、右下のグラフで一番私が投資をしましたのは、グラフの一番左端です。ここで創業のところを投資していますけれども、やっと苦難の挙げ句、日本でも独立ハンズオン型のベンチャーキャピタルが、少しずつですけれども台頭してきていると。中国、韓国は、遅れて歴史上始まっているにも拘らず、独立ハンズオンのベンチャーキャピタルは、中国、韓国のほうが進んでいるというのが、残念ながら現実となっております。

次のページで、成長戦略と独立ハンズオン。真の成長戦略というのは、結局起業家とベンチャーキャピタリストの両方の活躍が必要でございまして、技術やリスクマネーだけでは、残念ながら産官学がいくら動いてみても、何も起こりません。そこでプロデューサーが必要になるわけですね。したがって、ベンチャーキャピタルファンドというのは、一見金融ファンドみたいに見えるんですけれども、そうじゃないというふうにアメリカでは言われております。私もそう感じております。

35ですけれども、最も大事にしたい。国民と共に全力を挙げて、相携えて。パートナーシップっぽいですね。この憲法を正しく運用し、節度と責任とを重んじて、自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思うというのが、日本国憲法公布のときの勅語でございまして、この精神で本当にやっていくのが重要だなというふうに感じております。

次のページですけれども、大きな7ページですね。独立ハンズオンのベンチャーキャピタル機能というのは実に多様でして、未来の新しい産業を発見する、新しい若い起業家を発見する、会社経営を立ち上げるのをバックアップする、役員に就任する、社会に散在するいろいろな技術やそういうものを結合しまして、1つの企業として世の中にデビューさせていく。投資先の役員会を充実させるみたいな機能がございます。

結局、未上場株ファンドではないというふうに私、あえて書かせていただいていますけれども、この39ページを見ていただくと、ハンズオン型ベンチャーキャピタル活動の局面を、6つポチをつけておりますが、先ほど来説明をいただいている問題特例業者というのは、上の2つしかやっていないと思われます。ですので、おそらく問題の詐欺のファンドというのは、ハンズオンはやりませんし、ファンドとしての特例業務だけを強調しているというふうに感じております。アメリカではハンズオンをしないベンチャーキャピタルは、ベンチャーキャピタルとすら呼ばれていないという実態でございます。良質なベンチャーキャピタルを増やさなきゃいけないということですね。

8ページですけれども、金商法とVCとの関係でございます。リーマンショック後のファンド規制で、米国におきましては、賢明にもベンチャーキャピタルを別扱い、適用除外というふうなことで外しました。もちろん金商法外の活動も、多々ベンチャーキャピタルの責任においてハンズオンをやっておりますので、それを外そうということで。日本においては、45ページですけれども、金商法のベンチャーキャピタルの届出制が本当に悪用されていまして、私のところにも相談がございます。世界のベンチャーキャピタルは、残念ながら日本はちょっと枠が違うということで寄り付かないという原因にもなっているように思われます。

とにかく私が強調したいのは、46ページの独立ベンチャーキャピタルを、とにかく正しく日本の中で、もっともっと質量共に活躍させなければならないんじゃないかと。成長戦略のミクロ政策、この中核に、世界ではベンチャーキャピタル、独立系のハンズオンベンチャーキャピタルの活動促進というのがございます。詐欺ファンドが横行するからといって、ハンズオン禁止原則の金商法をあれこれ規制してはいけないんじゃないかなというふうなことを一般的に。もちろん世の中から詐欺がなくなってほしいなということを、やっぱり組合をやっておりますので、1日も早くなくなることを希望しております。

これは私のアイデアなんですけれども、46ページに書いてありますが、ハンズオン組合を金商法から除外すると。一見新しい発想ですけれども、除外をすると、金商法の除外された組合であるということになりますので、詐欺のファンドが、私も相談を受けているのを目論見書とか見ますと、我がファンドは金商法に準拠した特例業務をやっておりますというふうなことを堂々と書いてあるわけですね。届出をしておりますと。したがって、金商法は投資家を保護しているんだから、安心ですというような3段論法でお年寄りを騙しているように感じられます。

もしハンズオン型のベンチャーキャピタルファンドが適用除外になれば、金商法で保護外ということになりますので、そういうふうな売り方ができなく、真似されることがないんじゃないかというふうに感じておる次第です。一アイデアですですけれどもね。

47ページですけれども、これが今回、我々独立系のベンチャーキャピタリストが、これをやってもらうと大変なんだというふうなことを切実に思っているところなんですけれども、もし皆さんのお子さん、あるいは若い親戚の20代の方たちがベンチャーキャピタルを、私もそうだったんですけれども、ベンチャーキャピタルを始めるというのも、立上げのところというのは誰も信じてくれません。そもそもベンチャーキャピタルファンドというのは回収が保証されておりませんので、いまだに私も未来が予言できません。それをハンズオンで努力して、努力して、努力して、困難を乗り越えて、試行錯誤を乗り越えて、そのイベントを成功に実現まで持っていくのに膨大な時間と労力をかけているわけです。

詐欺ファンドはそれをやっておりませんけれども、そういう若い人間が日本から大量に出てくることが期待されているし、それが成長戦略の私は要だと思っているんですけれども、一番最初の立ち上がりはやっぱり信頼されないので、やっぱり大学時代の友達とか、クラブの同僚、あるいは働いていたときの組織の同僚、それから同郷、それから先生、そういう人たちが、本当に君がやるんだったら応援するよということで100万円、200万円、10万円、1万円という形で49人集めまして、何とか二、三億のファンドにして。

我々から見ると、親戚が応援してくれないような人間は、ベンチャーキャピタリストになれません。やっぱり我々にとっては、親戚が応援してくれるかどうか。親戚といっても、ほとんど1億円ばんばん運用しているような親戚は、私には1人もおりませんけれども、やっぱり親戚が応援してくれるような誠実な人柄、根性、こういうものを持った、親戚でも応援してくれるような、あるいは大学の同期、同郷の高校の友達たちが応援してくれるファンドこそが信頼のおけるファンドだというふうに、我々は現場では見られます。

それから、次ですけれども、金商法の改正で、「日本の独立ハンズオンVCは日本から出て行け」――私自身はこれをやられると、日本で独立のベンチャーキャピタル、ハンズオン型のファンドって作っちゃいけないというふうにメッセージとして聞こえてしまうんですよね。そうではなくて、日本の独立ハンズオンベンチャーキャピタルは、誠実な一生懸命やる若者の中からどんどん出てくるようになってほしいなと思う次第です。

9ページですけれども、金商法準拠の詐欺対策ですけれども、やっぱり被害者が安心して投資できないようにするというのが、私は一番重要な部分だと思っていまして、先ほどの消費者庁のほうからのご報告からもありましたように、やっぱり金商法に準拠しているファンドですと。届出制です、登録制ですと。金商法は投資家を保護しているので、したがって国が守ってくれますという3段論法が成立しないようにする。

すなわち、ベンチャーキャピタルファンドですが、金商法の適用外危険組合ですというふうなことを、例えばマークで、景品表示法、あるいは特定商品取引法などなど、消費者庁のほうでは、JAS、あるいはJISマーク、いろいろなマークがあって消費者を守っているわけですけれども、同じように、これは6歳以上の人には危険ですとおもちゃに書いてあるわけですね。ですので、金商法適用外と。適用除外組合というふうなことをマークで必ず1枚目の目論見書のところにでかでかとかけなさい。あるいは電話をかけるときは、適用除外であることを宣言せねばならないというような。そうすると1,000万円以下の罰金ですというようなネーミング。

名は体を表すというので、やっぱり名前が適格機関投資家の特例業務。適格と入っていると、何か信頼できるのかなと。金商法で届出、金融庁。何か非常に安心して守ってくれるファンドのようなネーミングの面構えになっておりますので、危険であるということが、ドクロマークがついているような、そういうファンドの顔つきになるようにしていただいても、我々のプロの世界は全く影響、関係ございません。ということなんですけれども、私の提案でございます。

9ページの5番目、最後ですけれども、日本人の教育。新しい21世紀の日本人というのは、全ての人が組織人として守られるだけの弱々しい草食系の日本人ではなくて、起業家であると同時に組織人であるというたくましい日本人が出てくる、21世紀のハイブリッド新日本人というふうに書かせていただきましたけれども、そういう人たちが自由闊達にさまざまな企業努力、開業努力をすることで、日本経済全体が開業率10%になって、それで新しい産業がどんどん生まれ、新しいIPOがどんどん生まれて、世代交代がどんどん生まれるような、そういうふうな企業社会になっていけばいいなということで、10ページの最後ですけれども、義務教育の中でも我々、社会貢献活動として毎年3,000人の子供たちにこういう企業体験プログラムというのをやっているわけです。

最後の最後ですけれども、やっぱり日本国憲法の精神で、国民と共に全力を挙げ、相携えて、この憲法を正しく運用し、節度と責任等を重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思うという我が国の憲法の発布のときの勅語、この精神でもって、いろいろな経済活動がより盛んになればいいなというふうに思っています。

以上、独立ハンズオンベンチャーキャピタルは、いわゆる詐欺の未上場株ファンドではないというふうなことで、ベンチャーキャピタルを金商法から除外し、悪用されないようにするという工夫も1つの工夫ではないかという提案でございます。以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、続きまして、日本ベンチャー学会元会長・現顧問、早稲田大学名誉教授でいらっしゃいます松田参考人から、ベンチャーキャピタルとしてのご意見について、恐縮ですが15分程度ということでご説明をお願いいたします。松田先生、よろしくお願いいたします。

【松田参考人】

こういう機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

今、日本ベンチャー学会というご紹介をいただきましたが、日本ベンチャー学会と日本ニュービジネス協議会連合会、そして日本ベンチャーキャピタル協会が3者で、日本のベンチャーを中心にしたイノベーションをどのように行うかという、非常によい意味での提案というのを過去行ってきました。そして私自身は、大学の中にいて、その前、公認会計士――今でも公認会計士なんですが、いかにベンチャーをイノベーションのツールとして使っていくか、そのために制度というのをどのように関わり、直していくかということを実践的に研究してきました。いずれにしても制度の中でどのように若いやる気のある方々を、インセンティブをつけながら支援していくかという制度設計が非常に必要であると痛感しております。

国民生活センターのお話をお聞きして、こんなことってあるのかなということを、今さらながら思いました。そういうことがなきように、みんな知恵を出し合う必要があると同時に、どこかで何かやれば全てが解決できるという話でもないので、どこをどのように組み合わせて制度設計すれば適切かを検討する必要があります。金融庁のほうからもパブコメが出ていますので、パブコメに照らし合わせながら、少しご報告したいと思います。

それでは、ベンチャーのお話をするときには、いつもベンチャーブームと、日本の成長そして日本がいかに老大国になってしまったかということを併せて説明しています。

2ページを開けて下さい。日本の豊かさの推移と経済活力の低下がまとめてあります。1.は経済成長率と1人当りGDPの変化の図で、右肩下がりになっています。そして同時に、ベンチャーブームというのがいつ起きたのか。そのときに何が起きたのかという図であります。

第1次ベンチャーブームは、東京オリンピック、前の東京オリンピックが終わった後におきました。いわゆるハイテクという言葉が出てきた。ベンチャービジネスという言葉が日本でつくられました。しかし、1973年の第1次石油ショックがあり、その当時ハイテクベンチャーは協会をつくりましたが、IPOした方は1人しかいません。今は80歳半ばの方です。ほとんどのベンチャーが頓挫してしまいました。

それ以降、高度成長5%前後の成長が続いて、90年の平成のバブルに入っていくわけでありますが、第2次ベンチャーブームが1980年初頭に起きました。

このときのブームの内容は、ジャフコさんが日本の金融機関にお声がけしたことから始まっています。銀行もベンチャーを支援するファンドを作らなきゃいけないということで、非常に多くの銀行系ベンチャーキャピタル会社が設立されました。そういう意味で第2次は、どちらかというとベンチャーキャピタルブームというふうなことも言われております。

それから第3次ブームがあります。平成のバブル崩壊で景気が長期低迷になっていた1995年に、中小企業創造活動促進法という時限立法ができまして、技術ベンチャーをみんなで盛り上げなきゃいけないという時代がまいりました。その当時ベンチャー企業、技術ベンチャーと言われる企業を多く作るために、私も全国キャンペーンを回ったわけですが、地方に行くと、いわゆる町の発明レベルの案件が半分ぐらいの状況でありました。今、それとは全く違ったステージといった、レベルの高い起業家が輩出しているというふうに見ています。

現在第4次のベンチャーブームのスタート時点ではないかと思っています。すなわち、いわゆる官民ファンドも含めた多くのファンドが組成され、レベルの高い起業家が数多く輩出している。そして、日本がハイテク系、バイオ系も含めて、スタートアップには非常に適していると言われています。これは、スタートアップのためのインフラや支援制度が相当充実してきていることを意味しますが、成長のためには、日本のマーケットのままでは難しく、市場を海外に求める必要があります。

この図の中で、従業員の労働者の平均年齢があります。これは全く私の推測ですが、第1次ベンチャーのころは25歳。東京オリンピックのころは二十二、三歳だったという記憶があります。30歳ぐらいの平均年齢の会社は、年取った会社だなというのが、第1次ベンチャーブームから第2次にかけての印象であります。今はこれが45歳。伝統的な会社はほとんど40歳を超え、そして中小企業はもっと高齢化が進んでいますので45歳とみています。。ということは、日本が全然違ったステージに入り、ハイコスト国家になっている。それを救済するために、ファンドと起業家ということを結び付けたのが今回の議論だろうというふうに思っているわけであります。

次に3ページにまいります。戦後のイノベーションのリスクマネー供与を投資という視点で見てみましょう。1982年に、民法上の組合が組成されました。これは、JAFCO方式による二重課税の回避のための仕組みです。このときに私は公認会計士として、この仕組み作りとベンチャーキャピタル業界の会計処理、開示データをどうすべきかというルール作りを外部から関与していました。ファンドが集りませんので、営業活動まで協力した経験がございます。

それから約十五、六年間、民法上の組合が多く組成されましたが、あまり今回のような問題は発生しませんでした。それはやはり銀行、証券を中心とした金融系が組成した組合が多かったからであると思っています。しかし、組合運営上の問題があり、1998年投資事業有限責任組合法ができまして、投資手法の自由化と投資家保護というのを明確にしました。この制度設計の委員も私は関係していました。民法上の任意組合ベースのオペレーションにあたり、JAFCO方式を、きっちり守っていないファンドが相当多いということも、実際に調査してわかりました。制度整備が必要であるということで、いわゆる有責法によるファンド組成を促したわけです。

その前後に個人のエンジェル制度ができ、2008年にまた大きく1,000万円未満の投資を損金処理できる改正もでき上がりました。さらに、ベンチャー投資促進税制やクラウドファンディングを今検討しているとお聞きしています。こういう流れの中で、今、プロ向けファンドの問題が出てきていると思っております。

それでは次の4ページにまいります。ベンチャー資金を取り巻く環境について整理します。今、村口さんがおっしゃったことがまさにこれにもなるわけですが、資金の出し手としての起業家のエコシステムが日本では未成熟です。大成功された起業家の方が50歳でリタイアして、次のエコシステムとして自らリスクを負って投資をすることをあまりしない。日本の創業社長は極めて真面目ですから、自分のグループの中にベンチャーキャピタル会社を設立するというCVCは多くありますが、本業は他の人に任せて、自分の経験を活かしてベンチャー投資をすることはなかなかないため、ベンチャーエコシステムが未成熟のままになっています。

そして、2000年後半からの株式市場の低迷がありましたので、大手の金融系VCも含めてどんどん縮小し、独立系のところは、村口さんのように頑張っているほうが少ないという状況が起きてきたわけであります。

しかし、ベンチャーキャピタル業務に携わっていた方は、株式公開までの大変な苦労をしながら、株式公開時点で、共に苦労した起業家の方々との感動を共に味わうことができます。この感動の共有を1回味わうと、また味わいたいと思う方が結構多いのは確かです。勤務していたベンチャーキャピタルを退社したいろいろな苦労をしながらも、ベンチャー支援を、自分でもずっとやり続けたいと思うような若手が非常に多くなっております。

そういう意味で、ハンズオン能力、すなわち、ベンチャー支援においてベンチャーの課題を、聞き出して、どういうリスクが起きそうか想像して、そしてリスクに対して事前の手を打っていくという手作りの支援能力を持った方々が、今多くなっている。しかしながら、先ほど申し上げましたように、金融系ベンチャーキャピタルや資金の出し手としての地銀のリスクマネーが、本当に今、細ってきています。このような現状のときに、今回の厳しいルールが出てくると、せっかく出てきたベンチャーキャピタリストの芽を殺してしまうことを心配しています。

そこで4.の5ページで、機関投資家等特例業務の現状・課題に移ります。今までのプロ向けファンドの運用や販売のポイントを整理しています。基本的には届出制度のもとに虚偽説明と損失補填禁止のみが、行為規制として入ってきています。先ほどのファンド検査のご担当からの説明にもありましたように、適格投資家の出資割合が極めて低いという現実があります。これは半年間ぐらいの期間にいろいろな資金を集めていくというプロセスがあるものですから、最初の段階では適格機関投資家の方の出資割合が高くても、だんだん他の資金が集まるに従って低下していくと、こういうことが現実には発生します。

しかしながら、ファンド運用者、すなわち無限責任社員(GP)は、村口さんのように、日本では個人が少なく、多くは株式会社がGPになっています。GPである届出業者自体のガバナンスというのは、金融庁の担当ではないのかもわかりませんが、これは本来ならば、人の金を預かって運用するわけですから、多くの義務がルール化されています。ファンドとその運用情報の開示のために公認会計士の監査を受け、定期的な報告と組合集会の開催は、基本中の基本です。このようなことがどこまで届出事項としてきっちり届けられているのでしょうか。このようなプロセスはファンド組成の届出と、そしてファンド清算したときの届出は不可欠です。また毎年、組合の決算報告と組合集会の開催日の届出を義務づけるなどの届出の内容の拡大があっても良いのではないか。金融庁はきわめて少人数で問題先を検査しているので、いかに効率よくコストがかからないような仕組みにするかです。いずれにしても届出事項の拡大ということが必要になり、届出を毎年行っているファンドのリスクを自動的にWeb掲載したらいかがでしょうか。

それから、先ほど申しましたように、GPと出資するPLとは騙した、騙されたじゃなくて、基本的な信頼関係がないと成り立たない。これは業務でありますので、当然決算書は作って報告するのは当然です。これは届出のときの義務条項としてあるはずだし、契約書にもちゃんとあるはずなんですが、それを実行しているか実行していないかというふうなことをどのように簡単に開示できるのか。少なくとも決算書の適正開示では公認会計士の監査があります。届出時の監査人を届出事項とし、公表することはコストがかからないと思っています。

と申しますのも、詐欺的・確信犯を防ぐために、個人投資家禁止という1つのことだけでは不可能でありますので、ファンド組成にいろいろな方が関わっているということがきっちり開示できることが必要と思っております。今回の説明のように問題あるファンドが約2割あるとしたときに、その2割のファンドが問題だということを調べて公表するということはコストとスピードで現状に合いません。毎年の届出によりガバナンスを担保し、届出しているファンドのみをリストアップすることは、あまりコストがかからないで実効性のあると思っています。

次の5.の6ページにまいります。新たな若いベンチャーキャピタリストの方が多くなっていると申し上げましたけれども、ベンチャーのスタートアップと同様にベンチャーキャピタルのスタートアップもあります。私はウエルインベストメントの会長ということになっておりますが、私は創業者なんですが、いかに98年頃ファンド組成に苦労しました。大体3億前後のファンドを4本作ったんですが、お金を集める苦労をしました。もちろん証券会社、他のベンチャーキャピタルからも出資いただいたんですが、相当多くを個人から集めるということでスタートしました。ですから、志の高い、ベンチャーを育てたいと思う若手キャピタリストがファンドを集めるときに、個人投資家をどこまで認めていくのか。誰でもオーケーという話ではありませんが、個人投資家を排除する必要はありません。私の経験からも含めて、お話しました。

それからもう一つは、東京だと多くのファンドの資金提供者がいますが、やはり東京と地方の格差は拡大しています。また4大学、すなわち東大、京大、阪大、東北大学に、研究成果の事業化のための投資資金が配分され、大学がベンチャーキャピタルを設立することになりました。制度設計的には全ての国立大学の研究成果に各大学も投資ができることになっています。各地域のイノベーションに、各地域の関係者が関わらざるを得なくなります。各地域の自立のための仕組みを今後作っていくときに、このプロ向けファンドとの関わりが非常に重要になってくるのではないかと思っています。

下段の赤字の「課題」は、適格機関投資家のベンチャー資金の減少ですが、他方この「救い」とは中小企業基盤整備機構のマッチングファンドによる支援を意味しています。総額6,000億円超のベンチャーキャピタルとの共同ファンドです。いわゆるベンチャー向けの間接投資資金を中小機構が出すことになっています。独自のお金が集まれば、中小機構に申請し、同額の資金を提供します。しかし、中小機構の資金は、国のお金でもありますので、相当ガバナンスを明確にしています。最近、株式会社だけではなく、個人ファンドのGPに対する出資も行い、ガバナンス指導を行っています。キャピタルとしてスタートする場合の1つの「救い」が中小機構のマッチングファンドにあると思っています。

6.の7ページのプロ向けファンドの制度設計に移ります。改正案の目的と内閣府令が出ました。パブコメを求められていますが、8ページから意見を整理しました。

7.の8ページは、小規模ファンド組成に対する出し手の拡大を、個人の限定で整理しています。プロ向けファンドの個人の出し手に関してです。ファンドの運用者の役員、取締役を過去にさかのぼり、「元」も含めるように拡大する。やっぱりファンドを運用した経験値の高い方が独立してキャピタルを設立する時、ファンドの運用者の元役員との信頼関係をもとに、資金の出し手を依頼することがよくあります。退社したキャピタリストが、現職の役員にはお願いできません。

それから、上場会社の役員に限定しているのを、連結子会社の役員にも拡大する。関係会社など無制限に広げると、きりがないので、やはり連結子会社までの役員ぐらいまでは限定するのが適切という気がしております。

次に、ファンド運用者とか上場会社の運営に間接的に関わっている専門家には、会計監査であったり、法律顧問だったり、技術顧問がいます。そういう意味で、サムライ「士」の方々が多いわけですが、専門家全部に広げるというのは、やはり問題で、全員が専門家というわけではありません。ファンド運用に契約上関係した専門家の方々に限定することは容易にチェックはできるという気がしています。

最後に、富裕層に対する考え方です。高齢の富裕層が多い日本で、ストックのフロー化は重要です。金融庁のパブコメでは、証券口座で1億円というのがあるわけですが、日本は富裕層でも証券口座に1億円預けている方が多くないような気もいたします。金融資産が1億円ぐらいあれば、1,000万円ぐらいの投資は可能でしょう。ここで金融資産という言い方で、もし1億円というハードルで考えるのであれば、いわゆる金融資産全般で良いと思います。これは各金融機関での残高証明をとればいいからです。いずれにしても、キャピタルがスタートアップ時にスモールファンドを立ち上げるときというのは、5億円前後の小規模になりますので、そこへの出し手というのは、個人は避けて通れないと思っております。

それから、8.の9ページで、地方の活性化という視点で申し上げます。資本金が5,000万円以上の未上場会社という政令案があります。しかし、資本金5,000万円というのは結構地方へ行くと大きい会社でして、内部留保が数億円あっても、実際のところ資本金自身は1,000万円ぐらいのところが結構多いということを考えたときに、資本金ではなくて純資産が適切です。決算書を提出していただければわかります。純資産が5,000万円ということで、地方の先行企業が後発の企業を支援するという株式会社の幅が広がります。

そして、地方の有力企業は、持株会社とか管理会社とかいろいろな組織づくりをします。このような会社の関係者も含まれます。いずれにしましても、小資本で好業績の地方の先輩の方々が、後輩のベンチャーを興そうとする方を支援するファンドに協力することが重要です。会社であったり、その役員である個人であったりしますが、地域の活性化の支援をしたいという方々を排除しないということが必要であると思います。

それから、ガバナンスに関して最初に申し上げましたように、9.の10ページに入ります。改正案の問題というのは、ファンドのガバナンスという視点と、そして地方の活性化という視点が抜け落ちているのではないかとちょっと思っています。東京で投資資金を集めて、ハンズオン支援は東京から地方に出張ればいいじゃないかという方もおられます。しかし、地方は地方の事情があります。当該そして、地方をよくわかっている方がハンズオン支援をするという重要性があります。このようなことが可能になったのは、東京でファンド運営に関わった方々が、Uターンで結構県庁所在地には帰っておられます。これは公認会計士も含まれます。そういう方がベンチャー支援に動いておられます。彼らのスモールファンド組成を支援し、地方の活性化に貢献していく。地方の先輩企業は、地方の後輩企業をキャピタルスタートアップを通して支援していく。このような新しいエコシステムということをぜひ実行する必要があるのではないかというのが9.のプロ向けファンドのガバナンスの内容でございます。

以上すべてが、10.の2050年までの日本を乗り越えるために、つながってくるわけです。2050年まで、あるいは60年まで、団塊の世代が人生を終わります。それまでのハイコスト国家は避けて通れません。20世紀型の体力勝負中心の産業構造はもう成り立たない。そうすると、ユニークなビジネスモデルを数多く創出し、そして日本でインキュベートして、それを海外に展開をして、リターンをまた日本に戻してくる、こういう仕組みを完成させるために、やっぱり若者の能力を徹底的に引き出す多様な手法の芽をつんではならないと思っています。

そして、労働人口は15歳から64歳と統計上は計算されますが、日本の現状は全く異なります。義務教育が不可欠な国際的な基準とは異なります。日本は高卒は普通、大卒に半分以上ということになりますから、20歳から75歳が労働人口だというふうに切り替えることによって、キャリアのある方々が後輩の若手を支援する新たなサイクルを作る必要があります。振り込め詐欺や未公開株詐欺の被害に合った方々は60歳以上で、これは高齢者の孤立化ということと連動しています。30歳のビジネスに従事している子供に話せばすぐわかる連絡をしていない。そういう意味では、セーフティーネットは、別に考え、日本のイノベーションを牽引しようとする若者の芽をつぶさないでいただきたい。

それと日本の経済拠点が東京一極集中でなくて、リスクを分散化していかなければなりません。地方の新たなファンド組成を東京で豊富なトレーニングを受けた方がUターンしてスタートするための仕組みを作っていく必要があります。

最後に矢印を書いてございますが、若者と高齢者の対立が非常に明確になりつつある。誰が何を負担するのか。都心と地方、これも対立します。対立を連携化するのがスモールファンドということができます。プロ向けファンドの重要性はまさにここにあります。金融庁には大変苦労しながら政令案ルールを作り上げていただきました。もう一歩工夫が必要なのかなということを申し上げました。以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。本日、予定の時間がそろそろ近づいているのですけれども、若干の延長をお許しいただきまして、皆様方からご質問等をいただければと思います。大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。1点だけ村口さんにぜひお伺いしたいんですが、ちょっと私、どうしてもわからなかったのが、ハンズオンベンチャーキャピタルという形態について、金商法ではできないんだというようなことをおっしゃっているように聞こえたのですが、投資運用業の登録を受けると、ハンズオンができないというのは、どうしてそういう理解になるのかがちょっとわからなかったもので、そこを教えていただきたいんですけれども。

ちなみに投資運用の登録をされている、まあ、村口さんからすれば、そんなものは本物のベンチャーキャピタルじゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、ジャフコとかいうような会社を始め、投資運用業の登録をして、ベンチャーキャピタルと称して活動している会社もあるわけなんですが、かつそういう会社もハンズオンということをやっているというふうに公には言っておられるんですけれども、それはおかしいのかなということなんですけれども。

【村口参考人】

お答えいたします。金商法の投資運用業であるかのように、まさに適格機関投資家等特例業務というのが、適格機関投資家が運用してくれる特別な運用をやっているファンドであるというふうな誤解の元になっているわけですけれども、その元となっている金商法の中に、投資運用業というのがあるわけですが、そうすると投資運用業でベンチャーキャピタルができないのかということについては、ジャフコさんなんかは見事にそれをやられていると思いますが、実際のベンチャーキャピタル事務所というのは、誤解を恐れずに言うと、投資先取締役就任業なんですね、ベンチャーキャピタル事務所というのは。ですから、ベンチャーキャピタル事務所の中にいるのは、投資先にハンズオンするために取締役になるための芸能プロダクションと言ったらちょっと語弊がありますが、そういう松井がいたり、田中がいたりみたいな感じのチームを組んでやるわけですが、その活動の大半が、ファンドはファンドという全体の形になっているのでやりますけれども、ハンズオンで役員活動をやっていくと。

その中で、特にファンドで我々なんかが特に非常に出資者に向けての説明で困るのが、当然投資先の役員としての、役員になりますと、当然守秘義務もありますし、人もヘッドハントをするところに立ち会っていたり、あるいは大きな提携にくみしていたりということで、極めて重要な情報、秘密の情報に、その80%は実際にはならない活動かもしれませんが、そういう非常にディープな水面下の先行投資的な、来年韓国のこういう企業と提携して、ここにこういう工場を造って、こういうふうなことをやればこうなるんじゃないか、こういう特許を出そうというような活動であるとか、非常にそういう現場の経営に直に関係してしまっているものですから、それがいろいろな投資運用業者が、こういうことは開示しなければいけない。当然なんですけれども、非常にいつも報告書を作るときに、頭を悩ませることもあるなと。

もちろん正直に、出資者の方々にはお話をできる範囲でするんですが、非常に経営に近いというか、そういうところから、投資運用業でやるのを我々も検討していたんですけれども、なかなかこれでやっていると結構重いなというふうに思った次第です。そこら辺については、また時間もあれなので、ジャフコさんなんかもぜひ入れて、ハンズオン型ベンチャーキャピタルを、金商法下の投資運用業で実現しようとするとなかなか大変だというのが、皆さん言っていることなので。何か投資家の方を騙くらかすためにそんなことを言っているんじゃなくて、実務上、結構大変だなというふうな感じを持っております。

【神田座長】

それでは、永沢委員、家森委員、坂委員の順で、永沢委員から。

【永沢委員】

私は、まず村口さんに質問があります。まず、とても情熱的なプレゼンテーションありがとうございました。

質問というのは、大変恥ずかしい質問ですけれども、プレゼンテーションの中で説明があったとも思うんですが、ハンズオンというものの意味がよくわからないまま、ずっと最後までいっておりまして、この言葉の意味を説明いただきたいというのが第1点でございます。

それから、これは神田先生、もしくは金融庁の方に教えていただくことになるかもしれませんが、村口さんご提案の金商法適用除外ということになったときに、できることになることとできないことというのは何になるのでしょうか。そのイメージがちょっと湧かず、除外してどうなるのかというのが、よく分かりませんでした。どなたかご説明いただければと思います。

それから、松田さんには、ガバナンスのお話、とても納得のいくお話でして、特に5ページの検討課題についてはまことにそのとおりと思いました。質問ではございませんので、ありがとうございましたということをお伝えしたいと思います。以上でございます。

【神田座長】

村口さん、いかがでしょうか、ハンズオン。

【村口参考人】

はい。それでは私が先に、ハンズオンという単語について。ベンチャーキャピタルの業界、あるいはベンチャーキャピタル業を業としている人たちが必ずキーワードでハンズオンをやっていますということを主張というか、バズワードになっているんですね。クラウドであるとか、それと似たような単語で使われるんですが。ハンズオンというのは、今日、時間がないので説明しませんでしたけれども、次の資料に、企業家倶楽部さんの雑誌に投稿しました、ちょっとタイトルはあれなんですが、「本物ベンチャーキャピタリストの条件」ということで、12の条件をずらっと。

こういう体験することが重要だということをるる書かせていただきましたが、一般のファンドマネージャーさんが、私も一応勉強もしてアナリストの資格も持っておりますけれども、アナリストが必要とされる活動と大きくかけ離れた現場の経営活動というものを、ベンチャーキャピタリストという自体が、南場さんのところであればDeNAのオークションから始まって、それがいろいろな事業をディベロップしていく上で、重要な人が退職したり、それを引き止めたり、あるいは重要な人を入れたり、ファイナンスをやったり、契約を結んだり、特許を取ったりというその前線に深く関わっていくわけです。しかも取締役として関わっていきますので、いろいろと会社法上の取締役としての果たさなければいけない義務責任も同時に投資をした会社の第3の株主から、代表訴訟を受ける危険性を負いながら活動していくことになるわけです。

そういうここに書いてある12のことのうち、特に3、4、5、6、7、8、9、10あたりを投資先と共に、先ほど松田先生が、寝起きを共にするようなありがたい表現もいただきましたが、いろいろな1万も2万もあるような苦労を本当に、お子さんを家庭が育てるのが大変なように、苦労するのが我々の仕事でして、それをハンズオンというふうに言っております。

忠実責任に基づいて、何でもしなければいけないと。何でもする、労働基準法、あるいは会社法、まあ、会社法は善管注意義務ですけれども、それが仮に労働基準法上の立場であっても、投資先で起こっているありとあらゆる困難に対して、できる限りのことをしなければいけないという、こんなことでございます。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【神田座長】

ありがとうございました。それから、金商法を適用除外した場合にはどうなるかというお話は、金商法は適用されないということだと思うのですけれども、先ほどのお話のいただいたスライドの51番ですかね。9ページを拝見しますと、どういう法律で投資者を保護するかということだと思いますけれども、景表法、特商法か何かというのを、もし教えていただければ。

【村口参考人】

私ですか。これは一般の消費者の方々が、本当に詐欺が起こる。これは実は私の認識違いであったらご勘弁願いたいんですが、金商法ができてから詐欺が多いなというふうに、実は現場の実感としてはですね。というのは、やっぱり金商法に準拠して適格機関投資家を入れると、適格機関投資家等特例業務、金商法準拠というふうに届出ファンドというふうに堂々とうたえるものですから。それ以前というのは、単に投資事業有限責任組合法に基づく組合ですと。何ですか、それはと。無限責任組合員はとかいう、おどろおどろしい単語が出てくるので、みんな怖がって出資をしなかったんですが。

ここら辺も含めて、適用除外にも私、2つあると思っていまして、金商法の中に適用除外と称する枠を作って、金商法下の適用除外組合というのを作って、適用除外を訴えなきゃいけないという制度論的な、被害者が安心して投資できなくするための方法というのは、私はあり得るのかと思うんですけれども。まさに景品表示法だとか特定商取引法、あらゆるこれまで日本の憲法下で消費者が被害を被らないように、諸先輩がご努力をしてきた知見というのがあるので、そういうものを金商法との連動なのか、あるいは金商法がそれを取り込んだ形で何かするのかよくわかりませんが、少なくとも金融機関から見て法律がわかりやすいかどうかではなくて、一般の投資家、あるいは消費者の皆さんからして、この組合がきちっと名は体を表して、あたかも適格機関投資家が運営されている、全然違うんですけれども、そういうふうに読めてしまうようなネーミングになっているというのには、工夫の余地があるのではないかということで、特定の何かスキームを具体的に考えているわけではございません。済みません。

【神田座長】

いえいえ、どうもありがとうございました。また次回以降、議論になると思いますけれども、ここでは適用除外という場合、おそらく業規制の適用除外という意味だと思いますので、金商法の法体系からいえば、何人にも適用される行為規制というのはまた別途ありますので、そこは全体の法体系との関係でのご議論を、また次回以降お願いすることになると思います。

それから、すみません、時間が超過しているのですけれども、松田先生へのご質問ということで承りたいと思いますので、家森委員、それから坂委員の順で、できれば手短によろしくお願いいたします。

【家森委員】

すみません、手短にさせていただきます。村口さんにお尋ねしたいんですけれども、シート47のところで、親戚、同郷、同窓、同期などによる少額出資を得て、それで徐々に経験を積むということが記載されています。ご提案としては、人的な関係というのも特例の中に入れるべきであるというご提案なのかという点が1つお尋ねしたいことです。

それから、松田先生のほうには、今回一旦金融庁から出ているパブリックコメントに対して、もう少し広げたほうがいいというようなことをご提案されているんだと思うんですけれども、こういう方々が実際今、どの程度投資をされて、それによってベンチャーキャピタルがうまくいっているのかという点です。逆に言えば、この禁止をされると、従来コミットしていただいた方がどの程度できなくなるのかという点について教えていただければと思います。

【神田座長】

お願いします。

【村口参考人】

最初の属人的なものを入れるべきか。私はやっぱり列挙すればいっぱい入れられると思うんですが、ただ、本当に同窓かとか、本当に同郷かとか、本当に高校の同級生か、本当に親戚かという、偽親戚、あるいは捏造親戚みたいなことも、詐欺師だったら準備しそうなことではあるんですが、少なくとも親戚が一生懸命応援してくれる、あるいは同郷の高校の友達が、おまえ、本当に東京に出ていって苦労して貧乏なんだけど、そういうことやるの頑張ってねみたいなことで言ってくれようとしているのに、出資ができなくなってしまうというシーンを何とかカバーできないかなと。あるいは、似たようなことがカバーできないかなというふうなことを本当に思っていまして。

親戚が支援することの是々非々というのはあるんですけれども、やっぱり親戚すら応援してくれないようなやつはだめだという言葉があるぐらい、私は大事にしておりまして、そういう人が入ってくれて叱ってくれるから、またしっかりと初心に戻って仕事ができるような部分も、効果もありますので、ぜひそういうベンチャーキャピタルのスタートアップのときというのは、誰も出してくれない真っ暗闇の中でファンドを作っていきますので。詐欺は絶対撲滅しなきゃいけないんですけれども、それができなくなるとなると、若手の中からベンチャーキャピタリストになる人が本当にいなくなってしまう。農薬まいたら益虫まで殺してしまったというようなことにもなりかねませんので、ここは知恵を絞って何とかそういう事態をカバーしてほしいなと。

私自身はここまできていますので、そういう必要はある意味なくなってはいるわけですが、やっぱり20代、30代のやる気のある本当に若手の連中に、新しいキャピタリストになって入ってきていただきたいと。少なくとも私はそうやって独立してきたし、今回の基準だと、私すらここの場に立っていることはなかっただろうなというふうに思う次第でございます。

【神田座長】

ありがとうございました。松田先生。

【松田参考人】

個人の出資割合がどの程度かということは、そう多くはないと言えます。やっぱり大口はちゃんと余裕資金のある会社、金融機関、機関投資家等々が投資するものですから、割合としては低いのが現実です。しかしながら、今、村口さんのように個人でパートナーシップを組んでベンチャーキャピタルファンドをスタートするという若者が、結構出始めました。この中にやはりシリコンバレーに長くベンチャーに関係した方々もおられます。ということは、出資者の方々はファンド運営者(GP)の、過去、例えばシリコンバレーにいたときのキャリアをある程度考えてあげながら出資します。キャピタリスト個人の能力を機関投資家はもちろん、彼のパフォーマンスを評価し出資する方々には、彼を知っている個人が多くいるということがございます。

それから、少し前に相談を受けた案件ですが、私のちょっと後輩の公認会計士から、うちの息子も公認会計士ですが、自分でキャピタルをやるということで、いろいろ相談に乗ってほしいと依頼されました。どういう方々から資金を集めるのですかとお聞きしました。ある株式会社が中心ですが、彼と信頼関係のある個人にも協力していただくということでした。

他の事例です。地域の活性化に強い情熱を持っている知事が結構おられる。知事の経済運営のスタイルが選挙によって少しずつ変わってきていると思います。地方のイノベーションのために、その地域、県出身の成功者を呼び込み、その支援を受けながら、新しいベンチャー支援スキームを県内で作ろうとしています。それでは誰をコアにして作るのかということになると、寝る間を惜しんでベンチャーを支援したいというGPになる可能性のある個人、そしてその人の賛同者ということになります。このような支援スキームを実現している県はそれ程多くありませんが、着実に増加しているのは確かです。

また、ちょうど17年間、ベンチャーのスタートアップ支援のための事業プランの発表会を続けています。プロの支援者が集まって、事業計画に対してアドバイスをしています。今、それが全国に拡大して、年間で40回開催し、私も地方にも随分行っています。そのような場でベンチャーを支援しようとする層、すなわち先ほど申し上げました若手キャピタリスト、ベンチャーを支援する先輩企業家の方々が相当出始めているという実感を持っています。若手キャピタリストがスタートするときに、二、三億円最初集めるのは、自分のお金が小額ですので、信頼していただける個人や会社になります。特に地方でファンド組成をする場合に、個人投資家を全部排除するということになると、せっかくの志が高く、地域に貢献したいという若手の能力引き出しができなくなってしまいます。そういう能力を引き出せるチャンスが確実に今増えている時に、角を矯めて、経済活性化という牛を殺さないようにしていただきたい。ここで若手キャピタリストとは、40歳前後であるとご理解いただければいいと思います。このような方が増えている現実があります。

【神田座長】

ありがとうございました。最後に坂委員、お願いします。

【坂委員】

手短に質問させていただきます。ベンチャーキャピタルは非常に大事な取組みをされているというふうに認識しておりますが、ベンチャーキャピタルの担い手という点で、どう考えたらいいんだろうという点についての質問です。

先ほど来のお話ですと、ベンチャーキャピタルは単に資金の供給ということだけではなく、企業を育成するという大事な役割を担っているというふうに思われます。そうしますと、投資家に対する影響ということと、さらに企業に対する影響という点でも、大事な責任といいますか、大事な立場におられるというふうにお伺いいたしました。

そういったベンチャーキャピタルの担い手ということを考えますと、それなりの資質といいますか、相当専門的な知識等が必要になってくるのではないかというふうに考えます。そうすると、参入を考えるときに、一方でできるだけ若い人たちに機会をということはあると思いますが、他方でそれなりの資質を備えた人でないと困るという考え方もあろうかと思います。もちろんベンチャーキャピタルの育成の諸施策の必要はあろうかと思いますが、こういった資質をどう確保するかという点と、それから、参入要件等について、もしお考えやご意見等ありましたらよろしくお願いします。

【松田参考人】

今、私が申し上げました若手キャピタリストというのは、既にハンズオン能力、先ほど村口さんがおっしゃったけれども、私がここでハンズオンということは、課題を会社から聞き出して、引き出した課題を自分で想像しながら、こういうふうなことをやれば問題解決できるんじゃないかと提案し、そのソリューション自身を会社の経営陣と共に解決していくと理解しています。これができるキャピタリストという意味で、プロキャピタリストということができます。そういう方々が非常に今、過去から比べると格段に、揃ってきている。これは逆に言うと、証券不況があった結果としてしっかりトレーニングされた方々が独立し始めたとも言えると思っています。

それの具体的な例を申し上げます。文科省で大学の研究成果の事業家というSTART事業が運営されています。大学の研究成果について、まだ特許を取得していると否とにかかわらず研究開発成果に事業化のためにベンチャー企業を設立し、設立後の方向性までを、大学と認定された事業プロモーターであるキャピタリストと、そして研究者が一緒になって育成していくものです。それと全く同じようなことを、今、経済産業省のNEDOのほうで事業カタライザーという言い方で採用しています。事業を育成するハンズオン能力のある方を、研究段階から事業化をして成長させる仕組みが、村口さんが最初おっしゃったことに近いかもわかりませんが、今、制度的にも始まっています。この中でもベンチャー支援の若手人材育成が一つの目標としてあり、新しい人材が育ってくるだろうと思っています。

現実に今、個人で若手がゼネラルパートナー(GP)になっているような方々は、大体シリコンバレーでの体験者が多いですね。さらに、ベンチャー企業に勤めて、多くの起業家と異なり、ナンバー2、ナンバー3の方が退社し、その体験を生かしてキャピタリストとしてスタートするような方がおられますので、少なくとも2000年前後のビットバレーといわれた時代とは、ちょっとステージの違った新しいスタイルの能力のあるキャピタリストが、今は起業家と共に育っているというふうに思っております。

【神田座長】

村口さん、よろしければ。

【村口参考人】

本当にありがとうございます。投資家への影響も本当に大きくて、責任をいつもひやひやというか、成功しなかったらどうするんだろうかと思いながら。上場株のファンドなんかは、1週間で勝負することもできるんですが、何しろ1回投資をしたのが5年、10年と延々と関与して、やっと上場したらバブル崩壊とか、いろいろなことがありますので、本当に忍耐力と経験が必要なんですけれども、ご想像のとおりベンチャーキャピタリスト、私も他国からも、うちの国に来てやってくれというのを過去何回も誘われましたけれども、なかなかキャピタリストが一人前になるというのが難しい職業というか、立場と言ったほうがいいと思うんですけれども、世界中で言われております。ご指摘のとおりでございます。

企業への影響も大きくて、やっぱり役員会活動をやって、場合によったら本当に社長を交代していただかなければいけないなんていうオペレーションも、弁護士さんと一緒にやらせていただくなんていうことも、ある意味日常茶飯事で考えなければいけないような立場でございます。

多くの場合、どういうところから優秀なベンチャーキャピタリストが出てきているかというと、ホロウィッツとかクライナー・パーキンス、いろいろな世界では有名なベンチャーキャピタルの事務所があるわけですけれども、世界でも言われているし、私も30年やってみてやっぱり思うのは、ベンチャーの経営に携わったことのある人、ベンチャーというのも、日本の中では中小企業もベンチャーというふうにいっているところがありますので、これも誤解されないように、あえてスタートアップというふうに呼びたいと思うんですが、規模が大きかろうが小さかろうが、いきなり大企業であろうが、会社を興して資本を集めて事業を立ち上げるって簡単なことじゃなくて、商品を準備して、その商品を大量に生産できるようにして、それがまたお客さんに売れるようになっていってリピートが入ってくるようにして、そのビジネスモデルができたら組織を作って、その組織が内部統制が効かせられるように開示ができるような、いわゆる上場企業のような組織を作って、上場作業をやって、有価証券報告書を書いて、それで上場後の経営に入っていくと。

このスタートアップのファイナンスを、経験を少なくとも副社長とか部長クラスで、ベンチャーの――ベンチャーと言っちゃだめですね。スタートアップ活動の実体験を横で見ていてもいいんですけれども、体験した人か、または副社長。副社長が多いとかという話も聞いたことがありますが、経営者はまた経営をやるという人が多いので、少なくとも経営に携わった人たちがいっぱい出てきて、その中の一部分がベンチャーキャピタルを組成して発展をしていくというパスが一番。

日本人はベンチャーキャピタリストに向いていると思います。スタートアップ経営者にも向いていると思うんですけれども、やっぱり真面目さがすごい重要で、しかも辛抱強さ、執念深さ、立ち上げようということ、悪いことは絶対しないで、いい事業、ビジネスモデルを立ち上げて、ある程度の規模にして証券市場にデビューができるように持っていくという真面目な人がいっぱいいらっしゃるので、本来日本人はベンチャーキャピタリストに向いた資質を持った人が大勢いると思うんですが、残念ながら大企業の組織に有名大学を出て就職したい人が多くて、大企業の組織にある部分部分となって組織人になってしまいますと、50歳にならないと役員にならないとか、人事異動上がっていきませんと、経営全体をスタートアップから見るという経験というのは、いくら大企業で経営者経験を積んでも、スタートアップの経験とはまた違うというふうに言われています。これはあたかも小児科というか、産婦人科と、大きながんの手術をできる人が何人も集ったら産婦人科がみられないのと同じように、やっぱりスタートアップのところ特有の経営というのがありまして。

しかし、明治維新の最初とか、あるいは戦後の混乱した日本経済の中から、多くのベンチャーキャピタリストみたいな人の活動。これは各地方にそういう物語が残っておりますけれども、やっておりますので、そういう教育を担うように、ビジネススクール、大学教諭をはじめとして文科省の協力も得ながら、見直していく必要があるんだろうというふうに考えております。

【神田座長】

どうもありがとうございました。予定の時間を大幅に超過しておりまして、大変申し訳ありません。本日は、自由討議ができませんでしたので、次回以降とさせていただきたいと思います。

なお、本日ご欠席の黒沼委員から、お手元に配付しておりますとおり、書面でのご意見の提出がありましたので、ご報告いたします。

また、委員の皆様方にはご質問、ご意見等まだ多々あると思いますけれども、なかなか限られた時間で全員の方にご発言いただくことができませんので、ぜひ電子メール、電話等で事務局のほうまで、お気づきの点があればお寄せいただければと思います。

本日いただきましたご説明、ご意見を踏まえて、次回以降、さらに具体的な検討を行ってまいりたいと思います。

最後に、事務局からお願いいたします。

【田原市場課長】

次回のワーキング・グループの日程でございますが、11月6日木曜日に、この共用特別第1会議室で開催させていただきたいと考えております。詳細は、後日事務局よりご案内させていただきます。次回もベンチャーキャピタルの関係者、日本弁護士連合会等からヒアリング等させていただきまして、さらに議論を深めてまいりたいと存じております。

また、前回のワーキング・グループにおきまして、海外の制度の状況説明につきましてご要望をいただきましたので、次回事務局から、諸外国の制度についてご説明をさせていただきたいと思います。事務局からは以上でございます。

【神田座長】

ありがとうございました。参考人の皆様方には、本日大変お忙しいところ、長時間おつき合いいただきまして本当にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課
(内線2644、2639)

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