金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成23年6月24日(金曜日)14時00分~16時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○吉野座長

それでは、ほぼ2時になりましたので、あと遅れて来られる先生方もおられますが、ただ今から金融審議会「我が国の金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」を開催させて頂きたいと思います。

最初に小野企画課長からお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせて頂きたいと思います。お手元に資料1といたしましてメンバー名簿、それから資料2は1から5までございますが、配付させて頂いております。ご確認をお願いできればと存じます。

よろしいでしょうか。

○吉野座長

たくさん資料がございますが、今日はまずそれをご説明、事務局からさせて頂く予定でございます。

また、本ワーキング・グループでございますけれども、私、慶應義塾大学の吉野でございますが、座長を務めさせて頂たいと思います。どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。

このワーキング・グループは、今年の3月7日に開催されました金融審議会の総会、それから金融分科会の合同会合におきまして、大臣より3つの事項が諮問されました。資料の2-1のところに諮問事項の3つが書いてございます。

一番最初が、今日このワーキング・グループで議論させて頂きます我が国金融業の中長期的な在り方についての検討、それから2番目が保険会社のグループ経営、3番目インサイダー取引規制、この3つの問題に関しまして大臣より諮問を受けまして、今日、開かせて頂きましたワーキング・グループはこの中の1番目のテーマでございます。

この諮問にもございますように、我が国の金融を取り巻く内外の社会経済環境の変化を踏まえまして、この中で我々の金融機関の国際競争力の強化、それから地域経済における金融機能の強化、それから更に両者が相まって我が国経済・金融業のさらなる発展、それから経済成長にどうつなげていったらいいか、こういうことを議論させて頂ければと思っております。

それでは小野企画課長からワーキング・グループのメンバーについてご紹介をして頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

改めまして総務企画局企画課の小野でございます。それでは、当ワーキンググループのメンバーの方々をご紹介申し上げます。座席順にご紹介させて頂きたいと存じます。メンバーの皆様の右側から向かいまして秋池玲子様でございます。

○秋池委員

秋池でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

次に井潟正彦様でございます。

○井潟委員

井潟でございます。どうぞよろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

次、犬飼重仁様でございます。

○犬飼委員

犬飼です。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

大垣尚司様でございます。

○大垣委員

大垣でございます。

○小野総務企画局企画課長

大崎貞和でございます。

○大崎委員

大崎でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

小島茂様でございます。

○小島委員

小島です。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

小野有人様でございます。

○小野委員

小野でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

川波洋一様でございます。

○川波委員

川波でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

河野栄子様でございます。

○河野委員

河野でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

後藤康雄様でございます。

○後藤委員

後藤でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

齋藤一朗様でございます

○齋藤(一朗)委員

齋藤でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

齊藤誠様でございます。

○齊藤(誠)委員

齊藤です。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

永沢裕美子様でございます。

○永沢委員

永沢でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

藤原美喜子様でございます。

○藤原委員

藤原でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

山田能伸様でございます。

○山田委員

山田です。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

家森信善様でございます。

○家森委員

家森です。どうぞよろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

次にオブザーバーの皆様をご紹介申し上げます。安間日本政策金融公庫国際協力銀行国際業務戦略部長でございます。

○安間国際業務戦略部長(日本政策金融公庫)

安間でございます。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

鎌村日本政策金融公庫中小企業事業本部事業企画部長でございます。

○鎌村事業企画部長(日本政策金融公庫)

鎌村でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

地下日本政策投資銀行経営企画部担当部長でございます。

○地下経営企画部担当部長(日本政策投資銀行)

地下でございます。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

稲垣第一生命保険運用企画部長でございます。

○稲垣運用企画部長(第一生命保険)

稲垣でございます。どうぞよろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

松宮三菱東京UFJ銀行企画部経済調査室長でございます。

○松宮企画部経済調査室長(三菱東京UFJ銀行)

松宮でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

加幡多摩信用金庫常務理事でございます。

○加幡常務理事(多摩信用金庫)

加幡でございます。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

大谷大和証券キャピタル・マーケッツ経営企画部担当部長でございます。

○大谷経営企画部担当部長(大和証券キャピタル・マーケッツ)

大谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

半田東京海上日動火災保険経営企画部部長でございます。

○半田経営企画部長(東京海上日動火災保険)

半田でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

梅森日本銀行企画局審議役でございます。

○梅森企画局審議役(日本銀行)

梅森でございます。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

土本経済産業省経済産業政策局産業資金課長でございます。

○土本産業資金課長(経済産業省)

土本です。よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

岡本財務省大臣官房信用機構課長でございます。

○岡本信用機構課長(財務省)

岡本です。よろしくお願いします。

○小野総務企画局企画課長

このほか、本日は神田秀樹様、そして篠原文也様が、ご都合により後ほどご到着される予定でございます。

また、本日はご欠席ではございますが、資料1のメンバー表にもありますように、太田克彦様、小幡績様にもご参加頂くこととなっております。

なお、事務局につきましては時間の都合もございますので、お手元の配席表を以てご紹介にかえさせて頂きたいと存じます。

○吉野座長

それでは引き続きまして、議事の進め方に関しまして小野企画課長からお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

当ワーキング・グループを開催するに当たりまして、幾つかの点を確認させて頂きたいと存じます。まず、当ワーキング・グループの運営についてでございますが、皆様のご参加頂ける状況等も勘案しますれば、当面は原則として月1回程度のペースで開催させて頂くのが適当かと存じます。また、当ワーキング・グループは原則公開とし、議事録も公表とさせて頂ければと思います。従いまして、公表を前提としたご意見、ご発言を頂ければと考えています。ただし、個別企業のビジネスモデル等に言及して議論をされる際に、競争上の利益への配慮から会議の非公開を希望する場合には、予め事務局へご連絡頂ければと思います。座長と取り扱いにつきましてご相談させて頂きたいと存じます。

○吉野座長

このような進め方でよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○吉野座長

ご異議がないようでございますので、今のような形で進めさせて頂ければと思います。

それでは引き続きまして、事務局から配付資料に基づきまして、今回のテーマであります我が国の金融業の中長期的在り方に関しまして、様々な資料から今の日本の金融業がどうなっているのか、そういうところを説明して頂きたいと思います。それでは小野企画課長、よろしくお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

それでは資料、大部にわたって恐縮でございますが、資料2-1、2-2、2-3、2-4、特に2-3、2-4を中心にご説明させて頂きたいと存じます。

まず、なぜ今回このような課題について検討をお願いするに至ったかという経緯でございますけれども、先ほど吉野先生からもお話がございましたように、このワーキング・グループにおきましては、本年3月の金融審議会で諮問された3つのうちの1つ目の事項、我が国の金融業の中長期的な在り方についての検討をさせて頂くということでございます。

その背景としまして、恐縮でございますが資料の2-2をご覧頂きたいのでございますけれども、A3の紙でございますが、これはまさに最近の金融・資本市場制度の整備、改善への取り組み状況等の概要ということでございます。元々、金融庁は特に平成17年のいわゆるペイオフ解禁までは、不良債権処理、セーフティーネットの整備、改善という方にどちらかというと軸足があったわけでございますが、この平成17年のペイオフ解禁を機に、利用者利便、利用者保護の向上、更には市場や取引インフラの整備という方向により重点を置くようになりまして、その成果として、この平成19年に「金融・資本市場競争力強化プラン」を策定いたしました。

これはこの一番上のボックスにございますように、金融・資本市場の信頼と活力、金融サービス業の活力と競争を促すビジネス環境等を推進するためのパッケージプランでございました。これを進めて、日本の市場競争力の強化のための施策を推進してきたわけでございますが、平成20年9月、いわゆるリーマンショックというのが起きまして、そういう競争力強化の改革の努力に冷や水を浴びせるような形になりまして、日本としましても市場安定化のための緊急的な措置というものにまた舵を切らざるを得なかったということでございます。

そしてリーマンショックが一段落したところで、金融審議会の基本問題懇談会というところで、市場発の金融危機というものにつきましてレビューして頂きまして、その際に、市場発の金融危機への対応のための方策も重要であるけれども、引き続き日本の金融システムには課題があると。何かというとこれが真ん中のボックスに書いていますような金融システムの課題ということで、経済の持続的成長への寄与、国民の資産形成への貢献、我が国金融・資本市場の国際的な競争力の強化、金融業として企業の価値創造を支援する金融を志向していく必要があるという課題が指摘されたわけでございます。

このような指摘をも踏まえまして、昨年の6月に政府として決定いたしました新成長戦略におきましては、その7つの重点分野の1つとして「金融戦略」を位置づけまして、私どもとしましても昨年の12月に「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」というのをつくりまして、まさにこの左の下のボックスに書いていますように、金融の役割として実体経済を支えること、更に金融自身が成長産業として経済をリードするということが重要であるということで、3つの柱から成る政策パッケージを打ち出しまして、今着実に実施に移しているところでございます。

ただ、これはあくまでも今出来ることをどんどんやろうという意味での短・中長期的な政策でございまして、やはりもっと5年、10年、20年を見据えた我が国金融業の在り方についても検討することが必要であるという問題意識のもとに、今回このような皆様にお集まり頂きましてワーキング・グループで検討することになったということでございます。

次に資料の2-3と2-4を両方に置きながら見て頂ければと思います。まず、我が国金融業の中長期的な在り方ということで非常に幅広いテーマでございまして、どこからどういうふうに切り込んでいったらいいのかということについては様々なアプローチがあると思いますが、とりあえず事務方で整理したものでございます。

この資料2-4を見て頂きますと、まず、そもそもこの我が国金融業の中長期的な在り方を検討する出発点として、我が国における金融業を取り巻く内外の経済社会環境の変化としてどういうことが挙げられるのかということを考えてみようということで、ここに幾つか挙げてございます。

そしてまず、この順にご説明したいと思いますが、資料2-3をお開き頂きますと、まず我が国の金融業を取り巻く内外の環境にどのような変化が起こっているかということでございますが、まず1番目に挙げられるのは、よく指摘されることでございますが、アジア等の新興国における経済成長、そして金融業の発展ということでございます。

資料2-3の1ページを見て頂きますと、ここに各地域の実質GDP成長率が書いていますけれども、これを見れば明らかなように、新興国、特にアジアはここのところ目覚ましい成長を遂げておりまして、今後の見通しにおいても8%以上の成長を遂げていくだろうと見込まれています。片やいわゆる先進国、日本を含む先進国は、ここのところ2%程度、今後も2%程度の成長しか遂げないだろうというような見込みでございます。

次の2ページでございますけれども、今度はシェアの点で、GDPの世界シェアで見ましても、ここに書いてございますように、1980年当時は先進国のGDPシェアが62%、対しまして上から2つ目のこの白抜きのところ、これがアジアの新興国でございますが、1980年当時は、アジアは6.2%のシェアでございました。それが2010年、30年経ってみますと、アジアのシェアは6.2%から15%まで世界のシェアを占めるようになりました。一方で、先進国は62%から50.7%ということで10%以上シェアを落としているということでございます。

次に資料の3ページをお開き頂きますと、今度は輸出依存度から見ますと、アジアが輸出、ただこの輸出依存というのはどちらかというとリージョナルトレード、つまり域内での貿易、お互いに貿易し合いながら発展しているアジアの姿というのが浮かび上がってきまして、EUも当然そのような域内の貿易が多いわけでございますけれども、EUを上回るような輸出、お互いに輸出をし合うことによって成長を高めていっているという姿が浮かんでくるかと思います。

4ページをお開き頂きますと、日本の地域別輸出を見てもそのような傾向は明らかでございまして、1990年からのデータをとっておりますけれども、中国、ASEAN、NIESを見てみますと、1990年当時は12兆円ぐらいだったのですが、日本のこの3つの地域、中国、ASEAN、NIESへの輸出額は非常に伸びてきておりまして、2010年におきましては36兆円まで伸びているということで、20年間で約3倍に増えている。日本もやはりアジアの輸出の中に取り込まれて経済成長をしているという姿が見えるかと思います。

次の5ページについては、新興国の新規市場調達額というものを見ています。これは下の注に書いてございますように、債券、シンジケート・ローン、株式による新規の資金調達の合計で、それを地域別に示してございますが、これを見れば一目瞭然のようにアジアが極めて大きなシェアを新規市場調達額で占めているということでございます。

この直近の数字では876億ドルという数字になっておりますけれども、ただこれにつきましては、最近6月に出ましたIMFのグローバル・ファイナンシャル・スタビリティー・レポートなどでは、「利回りの追求」、リターンを追求してどんどん新興市場国へ資金が流入しているということにつきまして、その速さと規模の両方で過大となるリスクがあるのではないかということで警鐘を鳴らしているところでございます。

次に6ページ目でございますが、今度は銀行を通じた国際与信高、左側でございますけれども、銀行を通じた国際与信残高、債権国から債務国へどのように資金が流れているか、つまり先進国から新興国へどう流れているかとか、先進国から先進国、新興国から新興国、また新興国から先進国という4つに分けられたものですけれども、これがどのように推移しているかというところでございますが、これを見て頂ければ明らかなように、もともと先進国から先進国の流れが多かったわけでございますが、2008年のリーマンショックの後はこの国際与信残高が著しく落ちております。その落ちた主な要因は先進国から先進国への流れが大幅に減少しています。2009年以降は徐々に回復しておりますけれども、先進国から先進国への与信残高は引き続き減っております。その中で増えているのは、先進国から新興国への与信残高が増えているということと、新しい流れとして新興国から新興国への与信というものも増えてきているというような構図が浮かび上がってくるところでございます。

このうち先進国から新興国への国際与信残高がどのように推移しているかということを地域別に見てみますと、これは右の上の図でございますけれども、これも明らかなように、アジアの新興国向けに先進国からお金が流れてきているという姿が見えます。

そして、それをもう少し詳しく、アメリカ、ヨーロッパ、日本からどのようにお金が流れているかというのがこの下の参考の図でございますけれども、アメリカからアジアの新興国にお金が流れているということでございまして、2007年末から2010年末の残高の増減を見てみますと、アメリカからアジアへの資金の流れが768億ドル増えていると。ただこのうち中国が約300億ドルということで、相当中国への資金が流れているということでございます。

一方、日本を見ますと、日本はアメリカの半分ぐらいしかアジアにお金が流れていないと。また一方で日本はラ米の新興国にお金が流れているということがこの図で分かります。363億ドルということでございます。ただし、このうちブラジルが300億ドルでございまして、相当程度の資金が日本からブラジルに流れているという姿が見えてくるということでございます。

次の7ページでございますけれども、ここから次の変化として、今までアジアの新興国における経済成長と金融の発展を見てきたわけでございますが、リーマンショック後、やはり欧米金融業の相対的地位が低下しているのではないだろうかということでございます。この7ページの表、これはアジア開発銀行のワーキングペーパーから取ってきた同行の試算でございますけれども、要するに、特にリーマンショック以降、銀行が資産を償却する一方、当然資産を償却しますとどこかで資本調達しませんと債務超過になってしまいますので調達しているわけでございますが、やはりアメリカが一番その影響が大きい。ここに書いてございますように、9,740億ドルも償却をした一方で、その埋め合わせのために7,380ドル資本調達していますけれども、全部は埋め切れていないということが見えます。

片や一番右側のアジアでございますけれども、アジアは、当然リーマンショックの影響が相対的に小さいので、資産償却額も少ないですし、むしろ資本調達の方をして資本を充実させているという姿が浮かび上がってくるのではないかと考えます。

次に8ページでございますが、地域別に見た金融業の世界シェアということでございます。銀行資産と株式時価総額のシェアをとっておりますけれども、これも明らかなように北米・EUが金融資産でいうとシェアが65%から61%に落ちていますし、株式時価総額も59.9%から57%に落ちている一方で、日本を除くアジアは、金融資産は12%から15%、時価総額は19.4%から20.8%ということで、シェアを伸ばしてきているということが分かると思います。

次に9ページでございますが、ここまでは日本の国外の動きを見てきたわけでございますが、国内に目を転じますと、やはり1つの深刻な問題としては、いわゆる我が国の少子高齢化が進展していくと。その中で日本の金融資産の運用の重要性がますます増していくだろうということでございます。9ページ目は日本の人口推計でございますけれども、日本の生産年齢人口は急速に低下していくということがこの図から明らかであると考えます。

次に10ページでございますが、これは我が国の資金の流れを見たものでございますが、まず資金フロー図の一番右上の方を見て頂きますと、金融負債ということで銀行、預金取扱機関がどういうところから資金調達しているかということでございますけれども、現預金が76%、約8割と極めて高い数字になっております。

一方、その下のところの右側の家計というのがございますが、家計を見てみますと、家計の金融資産の過半が現預金、55%ということで、過半が現預金を占めていると。片や株式とか出資金及び投信の比率は合計しても1割程度という低い数字になっているというものでございます。

一方、資金フロー図の左側の方に目を転じて頂きまして、預金取扱金融機関の下に投資信託、保険、年金が並んでおりますけれども、この投資信託、保険、年金がどういうところに投資しているかというのを見ますと、国債や海外証券への投資割合が合わせて5、6割ということでございます。片や株式・出資金、事業債への投資は合計しても1、2割程度しかないというように非常に偏っている姿になっているということが分かると思います。

資金フロー図の一番左側の方に移って頂きまして、全部門の金融資産合計というのを見てみますと、ここから明らかなように、まず預金取扱金融機関の金融資産のうち貸出は約4割を占めまして、企業部門の資金調達において重要な手段になっているということが分かりますし、一方で事業債、CPは77兆円、12兆円ということで、事業債・CPを通じた資金流入はあまり多くないということになっております。

片や、国債・国庫短期証券が876兆円、地方債・政府関係機関債144兆円ということで、国債や地方債などに資金が多く流入しているという姿が見えてくると思います。

次に11ページでございますけれども、これも皆さん非常に馴染みのある図でございますが、日・米・独・英・仏の家計の金融資産の構成比でございます。さんざん言い古されている話でございますけれども、日本は上場株式、投信、出資金等への比率が非常に小さくて、現預金が過半を占めているという姿、これが他の国、ドイツ、米国、イギリス、フランスに比べても非常に現預金に偏った姿というのが見えてくるのではないかと思います。

次に12ページでございますけれども、もう少しミクロベースで見てみまして、世帯主の世代別の1世帯当たりの貯蓄額というのを見てみますと、ある意味で当たり前ですけれども、若い世代はどうしてもなかなか貯蓄が少ないということでございます。片や60歳以上になりますと、1世帯当たり2,000万円を超えるような貯蓄額を持っている。

この左側の方の図で折れ線が書いていますが、これは年金支給開始時に最低準備しておく金融資産としてどのぐらい必要と考えますかという世論調査でございますが、20歳代はまだ1,400万円ぐらいとなっていますが、30代、40代となってきますと、段々年金ということを意識して、2,000万円程度の預金はしておく必要があるということを皆さん思ってらっしゃるということでございますが、30代、40代ではなかなか現実にはそこまでは届かないと。50代になってもやはり1,660万円でございますので、なかなか2,000万円までは届きません。60代になると急に上昇しますのは、これは多分、退職金の関係ではないかと思われます。

それから右側の表でございますが、世帯主の世代別の貯蓄保有シェアでございまして、これも見て頂ければ明らかなように、60歳以上の方々の貯蓄保有シェアが62.4%ということで、非常に高齢者の方々に貯蓄が偏っているということが見えるのではないかと思います。

次に13ページでございますが、これもアンケート調査なのでございますけれども、金融資産を保有する目的というものを世帯主の世代別にとってみたものでございます。ここから分かることは、やはり若い世代も、この棒グラフの一番下の子供の教育資金、真ん中の住宅の取得または増改築の資金、斜線の3つ目の老後の生活資金、この3つが比較的長期の視点からの運用動機と考えられますが、20代、30代、40代は、そういうのを意識して金融資産を保有しているということが明らかになると思います。

一方で14ページでございますけれども、そのような意識は有しているのですが、いかんせんどうしても特に若い世代は、生活設計の策定期間、何年先までを意識して生活設計をしているかということでございますけれども、若い世代に行くほどもう目先、1~2年先、せいぜい3~5年先までということでございます。ただ年をとるごとに、30代、40代、50代と上がっていくごとに、少なくとも10年ぐらいまで先は意識して生活設計をしていっているということが分かりまして、この10年ぐらいのレンジを狙った金融資産というものを国民は求めているのではないかというようなことが読めるのではないかと思っております。

次の15ページでございますが、4つ目の環境変化として、貿易収支の縮小傾向と対外投資における資産運用の重要性の増大ということで、対外的に見ても日本はこれからますます対外的な資産運用で稼いでいかないといけないのではないかということがこの図で分かるのではないかと思います。すなわち経常収支の推移を見てみますと、かつては貿易収支が非常に大きなシェアを占めていたわけでございまして、むしろ所得収支は貿易収支より少なかったわけでございますが、2005年を機にこの経常収支に占める貿易収支と所得収支の割合が逆転いたしまして、2010年を見ますと所得収支が11.7兆円、貿易収支が8.0兆円ということで、所得収支の方にむしろ依存して経常収支を稼ぎ出しているという姿が分かります。

一方で、これはアメリカと比較してみたのですけれども、日本の場合はご存じのように対外純資産残高が現在251.5兆円ございまして、この251兆円の対外純資産残高で11.7兆円の所得収支を稼ぎ出しているわけでございます。一方、アメリカはご存じのとおり貿易赤字がマイナスでございますので、対外純資産残高もマイナスでございます。ここにございますように、2009年で2兆7,380億ドルということで、80円で円換算しますと219兆円の対外純資産残高マイナスとなっております。しかし、219兆円の対外純資産残高のマイナスでありながら、所得収支はしっかりと稼ぎ出しています。この棒グラフの一番右側の2010年を見ますと所得収支が黒字になっていますけれども、目盛りの関係で日本よりも少ないように見えるんですが、実は金額でいいますと1,630億ドルで、同じく80円の円換算をすると13兆円となりまして、日本の所得収支より多く稼ぎ出しているということが分かり、マイナスの純資産でもしっかりと稼いでいるアメリカの姿というのが浮かび上がってくるのではないかと思っております。

次に、16ページでございますけれども、今度は地域に目を転じてみますと、これも言い古された話ではございますが、地域金融機関を中心とした預貸率の減少傾向が続いております。この図は業態別となっておりますけれども、業態別に見ても非常に預貸率が下がっている。特に信用金庫、信用組合では50%台まで現在下がってきているということでございます。

一方、17ページを見ていきます。これは地域別で預貸率をとってみましたが、相当ばらつきはありますが、減少傾向には変わりがございません。かつては預貸率110%、100%を超える時もあったわけでございますけれども、今どんどん下がってきておりまして、現在でも預貸率が最も高いのは×印の関東でございます。関東で現在預貸率が72.6%となっている一方、最も預貸率の低い中部地方は、もともと低かったのですが、更に低下傾向を続けており、現在54.3%となっております。

次に18ページでございますけれども、今度はもう少しマクロ的に、金利別にどれほど貸付残高があるかということでございますが、よく昔は二こぶと言われまして、低金利といわゆる20%以上の高金利に集中して二つのこぶがあると言われていましたが、最近ではむしろ一こぶになっておりまして、しかも2%以下の金利に貸付けが集中しているような状況がございます。

もう少し高い金利を取って、ミドルリスク・ミドルリターンをやるべきではないかと言われるわけでございますが、次の19ページを見て頂きますと、ただそうはいっても銀行、金融機関がより高い金利を要求しようにも、企業のROA、要するにどれだけ稼ぎ出すかという数字を見てみますと、日本は1.92%ということでほぼ2%ぐらいでございます。米国の4.59%、ドイツの6.66%に比べても著しく低くなっておりまして、高い金利を取りようにも、このROAではなかなかそれは払えないということになるのではないかということでございます。

次に、ただそうは言いましても、20ページでございますけれども、もう少し資本金別に細かく見てみますと、実は相当ばらつきがありまして、この折れ線グラフのうち点線の折れ線グラフが1億円から10億円の資本金の企業のROAの推移を示したものですが、もともと10億円の企業と競っていまして、むしろ最近では10億円以上の大企業よりもこの1億から10億円の中堅企業のROAが3.23%ということで、10億円以上の企業のROAの2.1%よりも大きく上回るような稼ぎをしているということで、このような企業に資金を流していくということも重要ではないだろうかと考えるところでございます。

次に21ページでございますけれども、今度はもう少しミクロ的に見まして、中小企業といっても様々でございまして、やはり着実な成長や海外進出を遂げる地域の中堅・中小企業も存在するということでございます。中小企業の業況が悪いとよく言われておりますけれども、日銀の短観を見ますと、業績が良いと答えた中小企業の割合が、2000年以降、多少変動はしておりますけれども、平均で12.2%になっていますし、直近の11年3月期では13%の中小企業が業績が良いと答えております。しかしながら、今後、東日本大震災の影響が出てきますので、業況は悪くなるかもしれません。

22ページでございますけれども、中堅・中小企業が海外に進出しているという姿が見てとれます。これは海外現地法人を持つ企業数を資本金規模別で見たわけでございますけれども、見て頂ければ分かりますように、5,000万円以下、5,000万円超1億円未満の資本金の中小企業において、非常に海外進出の数が増えています。これは2004年度末と2009年度末を比較したものでございますけれども、例えば5,000万円以下で見ますと、この5年間の間に進出している企業が倍増しています。同じように5,000万円超も、倍増以上の勢いで増えているということで、中小企業が積極的に海外進出していることが分かります。

最後、23ページでございますけれども、これは実例でございますので、後でお読み頂ければと思いますが、要するに独自の技術を持っている、または独自のビジネスモデルを持っている、または海外に進出して成功して着実な発展を遂げている中堅・中小企業も結構あるということでございます。

資料2-4に戻って頂きまして、このような我が国の金融業を取り巻く内外の経済社会環境の変化を踏まえますと、やはりこれまでのような金融制度の改善という観点からだけではなく、金融業が実際に期待される役割を果たす上での課題や問題点について、まずはファクトファインディングということで関係者の方々からヒアリングをして、実態把握をして検証していってはどうかということでございます。

その際の3つの視点として、1番目が我が国における金融業の国際競争力の強化ということで、企業の多様なニーズに対して我が国の金融サービスは十分に対応しているのか、また我が国の金融業は欧米やアジアの金融機関と比較してどのような強み・弱みがあるのかということについて、例えば国際展開を図っている製造業等の、企業または海外支店長を経験した金融機関の方々からヒアリングをしてはどうかと考えます。

2つ目の視点は国民のニーズに合った金融サービスの提供ということで、我が国における金融業は1,400兆円を超える家計部門の金融資産の安定運用の受け皿に本当になっているんだろうかということでございます。先ほど申しました少子高齢化の本格的な到来を迎えて、特に中高年者に対して我が国における金融業はどのように長期で安定的で、かつ分かりやすい金融サービスを提供することが出来るのか。また、これも先ほどご説明しましたように、若年層も当然将来を意識しておりますので、そのような将来に備えた資産形成のためにどのような金融サービスを提供することが出来るのか。このような問題につきまして、独立系の投資運用業者の方や地場の証券会社または有識者の方々からヒアリングしてはどうかということでございます。

最後の3つ目の視点が地域経済における金融機能の向上ということで、先ほど申しましたように一方で結構元気な中堅・中小企業が地域に存在しているわけでございますけれども、そのような中堅・中小企業の成長過程に応じてどのような金融機能が求められているのか。長期でリスク性ある資金というものを預金取扱等金融機関にのみ求めるのはなかなか難しゅうございますので、そのような長期でリスク性のある資金というのをいかにして供給していったらいいのか。更に、最近、例えば一部の地域で見られます地域ファンドのようなものを通して、地域の資金が当該地域経済の活性化に資するような資金の流れを促す投資機会の提供等によりまして、地域における経済活性化と金融業の振興を、まさにウィン・ウィン・ゲームをできないものであろうか、ということでございます。このような問題意識に基づきまして地域で活躍している中堅・中小企業ですとか地域ファンド、地域の再生ファンド、あとは地場証券の方々等からヒアリングしてはどうかということでございます。

以上で、ご説明でを終わらせて頂きます。

○吉野座長

引き続きまして次の2-5というところで私が、今、小野企画課長からご説明があったところに少し加えて、私なりの個人的な見方を説明させて頂きたいと思います。資料の2-5に大きく日本の資金の流れというのがございますけれども、普通、金融の教科書でいきますと一番左に貯蓄が企業の投資に流れて、それが資本ストックになって成長を促すと。これが日本の現状を見て頂きますと、企業の貯蓄が、多くが国債に回り、それが政府支出に行って、高齢者とか地方とか国債費に行っていると。ですからまさに上の成長パターンではなくて政府にお金が行っているという流れになっております。

それを見ますために2ページと3ページをご覧頂きたいと思います。2ページは1980年から90年のバブル期の一番盛んだった時を見ているものでございます。それから3ページの方は2000年から2005年ですけれども、この見方は左から右に資金が流れていると、色々部門がありますけれども、左から右に流れているということであります。

まず一番上に金融機関、それから一番下に海外部門とございますが、一番右の列を、2ページの一番右の列は合計金額で年平均どれぐらい資産運用していたかというのが出ております。金融機関ですと、バブルの盛んだったころは193兆円、運用しております。それから民間企業も黒字が多いですから、一番右の列ですけれども、64兆円、それから家計が5列目ですけれども77.6兆円、これぐらい運用しておりました。

資金の流れを金融機関の1行目からずっと見て頂きますと、金融機関同士で流す部分、それから民間企業に設備投資などで55.6兆円、流れております。それから5列目の民間金融機関から家計が住宅ローンなどで22.7兆円、それから金融機関から海外部門に20.9兆円となっております。

それから次に5行目の家計の行を見て頂きますと、家計からどういうふうにお金が流れているかというところですけれども、金融機関に60.9兆円、それから民間企業というのは、株式とか社債を買って13.5兆円、合計で77.6兆円、これぐらい資産が運用されています。

それからこのページの一番下の行は、誰が一番お金を吸収していたかというのを横に見ることになります。金融機関が196.9兆円、資金を吸収しております。それから民間企業が設備投資などで114.9兆円吸収し、それから5列目の家計が25.6兆円、海外部門が33.3兆円と、このように資金の流れがなっておりました。

これと比較する意味で3ページをご覧頂きたいと思います。今の2ページとちょっと比べながら、ちらちら比べながら見て頂きますと、まず民間金融機関は合計額で運用するどころかむしろ資金を減らしていると。ですからマイナス11.3兆円であります。この3ページの1行目を見て頂きますと、民間企業は資金を返している、マクロで見ますと。16.9兆円であります。それから家計も住宅ローンを返している方が多く、マイナス4.3兆円となっております。

それから、今度、家計のところの5行目を見て頂きますと、前のページも併せて見て頂きますと、運用総額がたった16.3兆円です。それでバブルの後には77.6兆円も運用していたわけですけれども、約5分の1とかの規模になっております。

それから一番下の行をご覧頂きたいと思います。誰が資金を吸収しているか。企業はたった3.6兆円、政府が43.6兆円、つまり全部政府に行ってしまっていると。そこが高齢者の方とか地方に行ってしまう。こういう中でどうやって成長出来るのだろうか。やはりこの資金の流れを企業に行き、企業が元気づいて生産が増え、そうならない限り、こういう流れではやはりなかなか日本の資金の流れがうまくいかないのではないかと思います。

次に4ページをご覧頂きたいと思います。これは利子配当収入を可処分所得で国ごとに分けたものであります。ちょっと外国の統計の関係で、一番左、日本、アメリカ、ここは利子配当収入、ヨーロッパの方はドイツ、フランス、イギリス、ここは財産所得という定義ですので、少し多くなっているかもしれませんが、まず上の日本とアメリカ、これは同じ定義です。約半分しか日本は利子配当収入が稼げていないということです。これは先ほど小野企画課長から、アメリカが海外で経常収支が赤字であるにもかかわらず所得収入が大きいということだったわけですけれども、まさにそれを表しておりまして、どうやったら日本がもっと利子配当収入で稼げるようになるんだろうかということであります。

真ん中のドイツをご覧頂きますと、これはすごく増えております。これをドイツ人の学生がいるものですから調べさせましたところ、ユーロができましてから、ドイツは相当ユーロ地域で色々な国の株式を買っております。それからドイツ自身が景気がいいものですから、彼らのところの株価もいいと。ですからやはりユーロを作ることによってドイツが為替のリスク無しに色々な国に運用でき、それから更に自分の国のものが色々なところに売れ、そこで自分の株価が上がり、財産所得は増えるという状況だと思います。

それからイギリスも一番下のところですけれども、やはり金融でも運用の仕方というのはうまいということになると思います。

ですからやはりぜひ日本の金融機関の方々にも、やはりこういう利子配当収入をどうやったら日本の金融業がもっと上げられるのかということをぜひ考えて頂ければと思います。

次は5ページをご覧頂きたいと思います。これは亀坂さんという青山学院大学の方が慶應の博士論文の中に書かれているところでありますが、日本の株式市場の中でどういう人たちがうまく運用し、どういう人たちが下手かということであります。一番下手なのが一番下、個人であります。勿論うまい方もおられるのですが、マクロで見ると個人はあまりうまくないと。それから下から2行目が事業法人です。それから上の方に行きますと証券会社の自己勘定、それから銀行、外国人も一番最近のところ、97年までですけれども、ずっと右上がりでありました、外国人はやはり日本の株式市場で相当高いパフォーマンスを上げているということが言えると思います。

次に6ページをご覧頂きたいと思います。今後の議論の中で皆様に少し考えて頂く時に、今後、金融業なり我々がどう考えたらいいかというので4つほど大きく分けました。まず国内、国内で内・内と書きました。国内で色々資金を調達し、国内で運用する金融業というのがあると思います。おそらくここは、少子高齢化ですから段々に先細るかもしれません。

そうしますと今度、内から外、日本から資金を海外で運用するということになると思います。そうしますとやはり日本の金融業なりがどこまで情報を持ちながらアメリカやイギリス、ヨーロッパの金融機関に対抗出来るかどうかということになります。

それから右の方ですが外・外、これは日本の金融機関が外で調達し、外でまた運用するということです。ここは格付がよければいいですけれども、日本の金融業が少しずつ格付がもし悪くなるとすれば外での調達のコストも上がってきますので、外・外もよほど頑張らないといけない。

それから今度は海外から日本で運用と。これは外国人の運用の方ですけれども、ここは相当、先ほどの図で見れば運用成績を上げているということになると思います。

あとこれに加えまして2つほどございますけれども、1つはBIS規制がこれから厳しくなる中で、先週G20のプレ会合というのが中国でありまして、アジアから何をヨーロッパに発信したらいいだろうかという議論がございまして、私から提案させて頂いたことなのですけれども、BIS規制が厳しくなりますと、アジアは銀行中心のシステムですので、なかなかリスクマネーが提供できなくなるのではないかと。ヨーロッパの場合、あるいはアメリカの場合には資本市場、それからベンチャーキャピタル市場が非常に発達しておりますので、銀行からのリスクマネーが出なくてもリスクマネーを調達出来る市場がしっかりしております。ところが日本の場合には銀行が段々なかなかリスクをとれなくなると、中小企業、更には新しい新興企業、こういうところにどうやって資金を流していくだろうかということが大きな問題になるのではないかと思いまして、そういう意味では地域の金融、それからどういう形でそういうリスクマネーを提供するかということも議論して頂ければと思います。

それからもう一点でございますけれども、これは私のアメリカ人の友人などが最近、言っていたことなんですけれども、日本で金融の空洞化が起こる可能性があるのではないかと。これはどういうことかと申しますと、今、日本の新興企業などがニューヨークにお金を借りに行っているというんですね。ニューヨークから調達しようと。それはやはり日本の金融機関の方々からリスクでなかなか借りられないと。そうなるとアメリカに行って日本の企業がお金を調達してくると。こういうことが進みますと、企業も海外から取ってくる、それから日本の金融業でもお金が回らないということになってしまうと思いますので、ぜひこの機会にやはり日本の国内で回る資金をもっと作り、それからリスクの取れる資金も流し、そして先ほどのように金融で稼げる世界、更には資金の流れを変えて成長の方にどうやって持っていったらいいかというのが、私がご説明させて頂きたかった資料でございます。

あと70分ぐらいございますので、たくさんの皆様方からご意見をお伺いしたいと思いますので、ぜひどなたからでも結構でございますので、ご意見を頂ければと思います。

それからまたオブザーバーの方々も金融機関の方々、政府系金融機関の方々おられると思いますけれども、ぜひご自由に忌憚のないご意見を頂ければと思います。

いかがでしょうか。それでは大垣先生、どうぞ。

○大垣委員

預金が多いというこの資料ですけれども、誤解されやすいものなので補足させてください。この資料は通常マネーフローから作られるので、他の資産を考慮しない金融資産の中の構成だという点に注意する必要があります。たとえば、預金保有者の55%以上は高齢者となっていますが、60歳以上の世帯について総務省の統計で全資産の構成を見てみますと、金融資産の比率は、約3分の1ぐらいしかないわけですね。手元には、平成16年の数字しかありませんが、約35%ということになっています。

そうしますと60歳以上世帯の35%の金融資産の中の55%が預金ということは、約2割という単純計算になります。総財産の中の2割を手元流動性で持つというのは全く非合理的な行動ではなくて、むしろ戦後17年ぐらい平均寿命が伸びておりますので、そこのロンジェビティー(longevity)の不確定要素を考えますと、手元流動性で持っているということは十分に合理的な行動です。これを無理矢理株式のように元本保証のないリスク商品で運用した方がいいんじゃないかと誘導するかのような統計のみを呈示して議論するということは避けた方が良いと強く考えています。むしろ、住宅・宅地が6割も占めていることをどう考えるかが金融にとっても重要な問題にあります。このことはいつも申し上げていることですが、改めてお願いをしたいと思います。仕事柄、高齢者の方と、もうこれで5年ぐらい日々お付き合いをしておりますが、そんなに預金があるという意識を持たれている方は、感覚としては非常に少ないと思います。

それからもう1点お願いしたいことがあります。検討の視点の中で我が国における金融業の国際競争力とか、あるいはサービス提供能力ということを考えていくということだと思います。結論から言いますと、今の間接金融機関がそのままのかたちで担うということは難しいので、改めてホールセールをやるような新たなセグメント、BISの制約のない専門性の高い、かといって証券会社ということではないホールセラーを改めてセグメントとして作らないといけないと私は個人的に思っておりますが、その前提として、金融機関を見るのではなくて金融パーソンのリテラシーを何らかの形で調査をする必要があるのではないかと思っております。

ここ9年ぐらい金融を大手町でずっと教えてきておりますが、最初の頃は金融マンがよく来ておりましたが、最近は若い弁護士さんが多うございます。何で弁護士さんが多いのかというと、最近は金融機関の職員が法律的な事項について自分の判断でやると必ず検査で弁護士に聞いたかと言われて怒られるので、丸投げする傾向が強まっているからだというのですね。昔は弁護士費用がうるさかったので弁護士さんには論点を絞ってしか相談しなかったのが、金融機関側があまり頭を使わず丸投げして来られるために自分達が金融の勉強をしないと適切な仕事ができないというのです。そんなわけで、最近は学生層が顕著に変わってきています。

実は昨年1年、地銀さんと新しい商品の開発で多少深くお付き合いすることがございましたが、新しいことをやろうなどという雰囲気は率直なところ全く無い状態になっていることを痛感しました。おそらく個人的に見ても新しいビジネスやプロダクトを思いつけるとか、思いついたからといって商品に変えるだけの勉強をする余裕もないし、上司からそういう自由を与えられてもいないという印象を強く受けます。ただ、これはあくまで印象論でございます。今後アジアに行けと、中小企業も行っているぞと、おまえらもフォローしろということになるのだと思いますが、それでは金融パーソンとして通用する英語をしゃべることのできる人が一体何人いるかということになると少しお寒い感じがする。現実論としてここ10年ぐらい金融パーソンのリテラシーの相対的な低下といいますか、金融技術が難しくなっている一方で覚えないといけないことというのがコンプライアンス側で恐ろしく増えて、なおかつ、ビジネスそのものが昔に比べるとじり貧になっていますからどうでもいい仕事がいっぱい増えていて、わたしが昔銀行員だったころと比べるとはかなり勉強がしにくい状況になっておりますから、どうやって金融パーソンのリテラシーを向上するかという点を放置したままで制度の議論をしても、結局、器を作っても中に入れる水がないということになるような気がいたしますので、検討の視点の1つにそういうパーソンのリテラシーというのをつけ加えて頂けないかと思います。以上でございます。

○吉野座長

貴重なご意見、ありがとうございました。その隣、犬飼委員、いかがでしょうか。

○犬飼委員

よろしくお願いいたします。私は今、大学に来ておりますけれども、数年前までは民間の企業に勤務いたします財務マンでしたので、民間の経験を踏まえて若干申し上げたいと思います。まず、我が国の民間企業は、アジアで非常によく頑張っていると私は思っておりまして、ただ今のご説明で、企業のROAが日本は2009年度2%ということで、米国・ドイツに比べて非常に低いという印象が強いのですけれども、全部の業種についてそうなのかどうか。これは法人企業統計ですので、おそらく国内の利益の合算ではないかと理解しておりますが、もし違えばご指摘頂きたいと思います。比較上、米国、ドイツの統計がどうなのか分かりませんが、国内は別として、海外のオペレーションを含んだ連結ベースで考えますと、例えばアジアにある連結先も含めた全体の連結業績という意味では、日本の企業は、私の理解する限りにおいて、かなり頑張っているのではないかと思います。そういう意味では、それが株価に当然反映されなければいけないのでしょうけれども、残念ながら株価にあまり反映されていない。PBRが1というような状況が出てきているということですが、では何でそうなるのかというところの究明が重要ではないかと感じます。

それと二点目ですが、私、去年秋からアジア開発銀行の関係の「アセアン+3ボンドマーケットフォーラム(ABMF)」の仕事をさせて頂いて、アジア各国を、特にASEAN各国を頻繁に回らせて頂いております。そして、債券市場の関係ですので、規制監督機関以外にもその債券市場の関係者である金融機関、中でもカストディアン並びにグローバルカストディアンというような、トランズアクション・バンキングを営まれる方々等にもたくさん現地でお目にかかる機会が多いのですけれども、非常に残念だと思いますのは、行く先々で日系の金融業の方の存在感が殆どないということであります。この点を今後どう考えたらいいのか。逆に、個別名を出して恐縮なのですが、一番目立つ活躍をしているのは、ドイチェバンクであります。10年以上前から着々と戦略を打って、それが花開き始めているのではないかというような印象を個人的には持っております。その辺の、彼我の違いというか、そういうものも、これから非常に参考になるのではないかと思われます。

最後に、3点目ですが、過去数年、私どもが一貫して提案して頂いてまいりした、いわゆる日本版およびアジア版のユーロ債市場をつくろうというプロジェクトが、おかげさまで、実際に立ち上がってきました。具体的には、東京証券取引所グループのTOKYO AIM取引所が取り上げて頂くことになりました、東京プロボンド市場であります。これは、パブリック・オファリングを前提としたフルディスクロージャーベースの従来型の市場に対して、イグゼンプト・マーケット(強制開示義務の免除市場)を、日本国内においてもつくろうということであります。すなわち、ユーロ債市場と同様のプロの市場、プロの市場参加者が自由に活躍出来る市場を、日本においても、作り始めるにいたったということであります。そして、現在は、そのアジア域内の共通・共同のプロ市場を、日本が主導して創設出来る余地はないのかというようなことも、あわせて日々考えているところであります。大垣先生がさきほど仰られた、BISの制約を受けないホールセラーをセグメントとして作る必要があるという点については、私も同感でありまして、ただいま申し上げました日本およびアジア版のユーロ債市場創設への動きは、うまくいけば、おそらくそういうことにも相通じる市場基盤の整備になりうるのではないか感じております。以上です。

○吉野座長

どうもありがとうございます。ニューヨークで聞いたところで、日本人が先ほど大垣先生が仰ったように英語が下手だと。ドイツ人もアメリカ人から見ればそんなにうまくないと。じゃあなぜドイツ銀行はうまくやっているかというと、彼らの見方の中には現地人をよりうまく使っていると。日本は現地人の使い方がやはりうまくできていないんじゃないかという見方もございました。また色々ご意見あると思いますけれども。ありがとうございました。

小島委員、どうぞ。

○小島委員

私は労働組合の立場で参加しております。今回、中長期的な観点での検討が諮問されたのは3月7日でしたが、その直後に3・11の大震災が起こりました。その関係から、検討の視点で言えば3つ目、地域経済における金融機能の向上というところに関して申し上げます。私たち労働組合、連合としましても、今回の震災の復興・再生に向けた政策を幾つか作っております。その中で、地域の再生、被災企業の支援、被災者の生活再建に対し、地域金融機関がどういう役割を果たせるかということが今、求められていると考えています。今回の震災を受けてどう復興再生を図るか、被災地における企業あるいは地域経済の復興再生に金融機関としてどういう役割を果たせるかということが、検討の視点の3つ目に関わると思っております。

現実に、市民あるいは個人のレベルで、小口投資という形で、個人の事業再建、あるいは一定の小規模な企業再建に投資をしているといった話も伺っております。そこでは、単に配当を稼ぐということではなくて、事業再生された企業の商品を現物で受け取るといった形で、事業再建を支援するということも行われていると伺っております。

そういう意味では、これまでに実績のあるグラミン銀行のようなマイクロ金融といいますか、コミュニティーの再生、支援のための金融の役割、地域とともに、あるいは地域に根差した企業とともに生きる金融の役割というようなことが、これから重要なテーマであるかと思います。

2008年のリーマン・ショックの反省に立って、EUでは「連帯経済」といったような考え方が出てきています。その中には、倫理的金融というような考え方、金融の中に、規律とか公正といった倫理観を取り入れるということが求められるという動きもあります。そういう視点が、これからの地域金融の役割として必要ではないかと思います。

投資に当たっても、社会的責任投資といったようなことも徐々にではありますが日本でも広まっておりますので、そういう観点からの金融市場の役割ということが必要ではないかと思っております。したがって、地域金融の役割について、今後、地域ファンド、あるいは金融NPOなどの声を聞く必要があるのではないかと思っております。以上です。

○吉野座長

ありがとうございます。3番目の地域経済における金融機能の向上の中では、ぜひ1度震災に関連する地域の金融がどのような活躍をされているかというのも入れさせて頂ければと思います。ありがとうございます。

それでは川波委員、どうぞ。

○川波委員

今、地域金融の話が出ましたので、それとの関連で申し上げたいと思います。先ほどの小野課長のご説明でいいますと、視点の3に関わるかとも思います。それから資料の2-3の一番最後に、着実な発展を遂げる中堅・中小企業の例ということで例を挙げられましたが、このような企業に対してどういう形でファイナンスがなされているのかということが大変大事だと思います。

先ほど吉野先生はマネーフローの観点から現状をご説明になりましたけれども、産業分野の面から申しますと、在来型の、例えば自動車だとか電機だとか機械だとか半導体だとかそういうリーディング産業に加えて、新しい新成長分野である、環境、情報、医療、介護、あるいは農業、バイオといった新しい成長分野にいかにマネーを供給していくかということが求められているのだろうと思います。

先ほど平成19年からの強化プランのご説明があったのですが、実はその前の平成15年からリレバンの機能強化という施策があり、それから17年からは地域密着型金融があり、その中には、事業再生あるいは中小企業金融の円滑化と申しますか、あるいは経営力を強化するという観点からの施策があったと思います。それをもう少し前へ打って出る形の、新しい成長分野をいかに育成していくか、それを金融がどうサポートしていくかという施策が求められていると思います。その場合に、かつて担保や保証に過度に依存しないということが言われましたが、リスクのある分野に入っていく時に、それをいかに評価するかが極めて重要で、その場合に目利きを通じて新規分野に入っていく時にいかにして事業の将来性あるいは成長性あるいは収益性を見きわめるかということが極めて重要だと思います。それは単に財務データに基づくだけではなくて、その事業のリスクをどう見きわめるかが大切だと考えます。私もそうですし、金融機関の方というのは大体文科系出身の方が多くて、なかなか目利きといってもうまく機能しているのかということが若干疑問に感じます。

例えば米国では、ブティック型の投資銀行に、ある特定の分野だけ、例えば医薬品だけ投資をするという投資銀行があって、そこは理系のPh.D.をたくさん抱えているわけです。それで、この分野は果たして成長性があるのかということを見きわめているということがありますので、ローンの分野においてもそういうもう少し理系的な知識といいますか、あるいは大学とか研究機関が持っている理系的な知識あるいは知的財産をアクティベートすると申しますか、そういうことが出来ないのかなと考えます。したがって新規分野に融資していく時に、大学にいる研究者、とりわけ理系の自然科学的な分野の研究者をうまくつないでいくことができないかと考えます。大学には産学連携機構が最近出来ていますので、そこが何かリエゾン的な機能を果たして、うまく融資をする際のリスクを見きわめていく目利きとして、大学のあるいは研究機関の自然科学的知を使うというような仕掛けが出来ないかなと思っています。

四、五年前から私はこういうことを考えていて、最近は金融庁でも地域密着型金融その他の実績についてホームページに掲載していらっしゃいます。そこにかなりのデータがあって、幾つか成功例も出てきているようです。ですからそういうものをもっと広報して、こういうことが出来るんだということを広報していってはどうでしょうか。そして、文科系じゃなくて理系の知識を応用し、目利きのところで使うと、そういうようなスキームが考えられないかなということを思っております。私のところには中国からの留学生が来ておりまして、金融庁のホームページにある膨大なデータを論文にまとめさせてみようと思っておりますし、そういうことが考えられないかなと思っております。ぜひご検討頂ければと思います。以上です。

○吉野座長

今の点で1つだけ。最近、大手町の方に、大手企業を退職された技術者の方々が何十人か集まりまして、その会社は色々な地方の金融機関からお呼びがあると。ある発明家が来ましたと、これが単なる町の発明で終わるのか、それとも相当技術的に強いのかというのをその方々がコンサルティングとしてそこに伝えてあげる。またある時は、他の地域に新幹線で行くなり飛行機で行って飛んでと、そういうようなコンサルティング業も始まっていますので、先生が仰ったように大学、それからそういう技術系の方で色々な分野のノウハウをお持ちの方のそういうコンサルティング業務とか、そういうものが一緒にやれば更にうまくいくのではないかと思いますので、ありがとうございます。

それでは河野委員、どうぞ。

○河野委員

すみません。私は金融の専門家ではございませんので、ちょっと質問から先にさせて頂きたいと思うのですが。お配り頂きました資料2-5の5ページ目ですね。日本の株式市場のパフォーマンス、これは1997年までのが出ているわけなのですけれども、日本の個人がずっと最低のラインを走っていまして、この資料をどう作られたのかというのも知りたいところなんですが、証券自己とか銀行さんというのは外国人並みに儲かっていますよね。これには何か理由があるはずだと思うので、それが知りたいのですけれども。単に個人が逃げ出したという理由なのか、どうなんでしょうかね。

この分析が1980年からされているとすれば1980年の時点からしばらくの間はみなあまり差がなかったというふうに見えるんですけれども、個人が下手というのだとすれば、これはどちらかというと個人は証券会社のセールスマンというか、営業の方のお勧めをお買いになることが殆ど。今また、別にネット上なんかで色々出来ますけれども、そういう意味では何かあるんでしょうかね。それがもしもあるとすれば、そういったものが、その時の分がこうで、実は色々、もっと海外に出ればこういうふうに儲かっているのだというふうなことを一般に知らせないと、これはやはり株には手を一生出してはいけないとか、家訓であるとかということを証明しているようなもので、これでもっと日本の中で投資を増やそうというのではぴんとこないというのが、質問の1つです。

もう一つが同じ資料2-5の3ページ、バブル期の資金循環と2000年~2005年の資金循環のところで、結局どこが資金調達合計が多くなっているかというと政府であると。政府であるその中身というのは、ちょっと私、先ほどちゃんと聞いていなかったのかもしれませんが、政府というのは地方と中小企業というふうにおっしゃられたのかどうか、おっしゃられたんじゃなかったかと思うんですけれども、分かりません。

その時に、先ほど川波先生もおっしゃったんですけれども、要はルールですよね。目利きというかルールというか、要するにどこにどういう資金をベンチャーなりエンジェルとして、ベンチャーキャピタル、エンジェルとして投資するのか。何でもすべてが延命措置を施すということではないということと関わるのかということも、ちょっとこれは質問なんです。

その質問のお答えを頂いた上で、要は本当に目利きというのが今まで日本の中ではあまり必要がなかったのはなぜかという。必要がなくてもここまで回ってこられたというのがなぜかということが、その反対側にあるものが解決策だろうと思いますし、目利きというか要するに企業の効率性を上げたり、創造性をどれだけ追求しているかということを目利きをして透明性も、これもまた追求して、そこをまた金融機関の人が間に入ってつないでいくとかコンサルティングしていくとかいうことが多分答えになって、これを早く短期的に、前回も言いましたけれども、それが出来る人を持ってくるというのと、小学校からの教育とか日本人の価値観を変えていくというのと、短期、中長期というふうに分けたような対応策というのが必要なのではないかと思います。すみません、最初の2つは教えてください。

○吉野座長

ありがとうございます。私が説明させて頂きました2-5ですけれども、5ページのところは、これは平均的に売りとか買いと、それからその時の平均の株価で見て推計したものですので、全員の個人が損しているというわけではないわけですが、平均的に見たものです。これはまた後で、次回でも色々な時に金融機関の方々からお聞きしたいと思いますが、私の想像は、やはり証券会社の方や銀行の方はしょっちゅう頻繁にデータを見られていますから、いつでも買ったり売ったり出来るという意味があると思うのですけれども、個人の方というとどうしてもそれほど情報がない。それからずっと24時間見ているわけではないと思いますので。

それからアメリカと比べますと、アメリカは1980年代にMMFというのが銀行の窓口で、投資信託ですけれども、あれが売られまして、あれのパフォーマンスがよかったものですから、それでやはり預貯金からそういう投信に回るというようなところがありまして、預貯金のシェアが減ってきたと思うんですけれども、日本の場合には必ずしも投資信託のパフォーマンスがそれほど良くなかったですから、そういうところもなかったような気がします。この中については、また金融機関の方々も含めて色々お聞きさせて頂く。

それから、3ページのところの資金の流れは、これは政府に流れた場合にはまさに財政赤字ですから、政府の歳出のところになりますので、そうしますと社会保障で高齢者の方、それから中央政府から地方政府への移転の支出、それからあとは過去の国債への利払い、この3つが今、政府の歳出の中で一番大きいわけですから、そういうところにお金が流れているということですので、ここは地方にお金を貸すという資金ではなくて、中央政府から地方政府に国庫補助金とか地方交付税で出ていく資金という意味であります。

それでは家森先生、それから小野先生。

○家森委員

家森です。手短に3点ほど。1つは、例えば本日の説明資料で、家計の株式保有比率が10%ぐらいあるということになっていますけれども、これは各家計が1割ずつ持っているというわけではなくて、持っている家計がかなり限られているという現実も重要ではないかと思います。証券業協会等のアンケートで見ると、10%ぐらいの家計しか実際に株式を持っていない、あるいは持ったことがあるというのを合わせても2割程度しかいないという点が考えるべき問題の一つだと思います。残高で見て1割あるというのと少し違う問題ですので。

それから、家計の金融資産が、2,000万円近くあるというのも、これは平均値と中位値でかなりずれています。よく言われるわけですが、どこをイメージして議論するかということも大事かと思います。

第2に、先ほど震災のことを言われましたが、私もそれを申し上げようと思っていました。とくに、私が関心を持つ面は、安全な街を作っていくということに金融をどう役立てていくかという点です。今の問題を解決するということも勿論大事でありますけれども、同時に今後、新しい街をつくっていく、あるいは既存の街をより安全にしていくのに金融のメカニズムを何か使えないかという側面です。安全・安心な街づくりにおいて、街づくり会社なんかと協力をしながらということも、震災の復興プランの中にも出ていますけれども、何かそういうところで金融の活動がないだろうかというのが第2点目です。

第3に、地域金融機関に関しては、地域金融機関が、色々難しい局面に直面しているというのは今日ご説明あったとおりです。それは経営者の方々は分かっているはずで、経営者の方々が色々努力されるはずなんですけれども、なぜ十分にそうなっていないのかというとやはりガバナンスの問題があるんだろうと思います。非常によくやられている経営者の一方で、そうでない経営者がいらっしゃるようですが、なぜ取締役会、理事会なり総代会なりが機能しないのかというところの問題があるんではないだろうかと思います。

以上にしておきます。

○吉野座長

ありがとうございます。統計の見方のところは少しまた事務局と相談して色々作ってみたいと思います。

それから、金融がどうやって震災に役立つか。私の頭の中、例えば2つほど例がありまして、1つは農地信託といいますか、農地をたくさん持たれた方でもう高齢の方がおられて、自分は土地は離したくないと、しかしそこは、大農地にするんだけれども所有はしておきたい。そういうような場合は信託を使いながら、その農地を大規模化していって効率を上げるというようなことも出来ると思いますし。

それから、ある県でやり始めたんですけれども、太陽光パネルを各家庭の上に全部付けましょうということを始めたんですが、そうしますと1軒当たり200万円ぐらい付けるのにかかるというんですね。そこでファンドを集めまして、そのファンドが何百軒かのうちの上に太陽光パネルを付けてあげると。太陽光パネルを付けられた家庭というのは電気代を払わなくてよくなりますから、毎月1万8,000円か何かをそのファンドに払っていくと。こういう形で地域全体にやっていけるというようなもの色々あると思いますから、まさにこの中でも色々議論させて頂ければと思います。ありがとうございます。

それでは小野先生、どうぞ。

○小野委員

今日、事務局からご説明頂いた資料によると、ここ10年、20年の間に金融機関も企業も利益率がどんどん下がってきているが、そうした中で階層別に見ると、資本金1億円から10億円ぐらいの企業については好調なところも見られるとのことでした。そういう実態を踏まえて、資料2-4の検討課題として、地域の中堅・中小企業の成長過程に応じた金融機能という課題が設定されたのだと思いますが、もともとの統計に立ち返ると、全体としては下がっているわけです。資本金1億円から10億円の階層で利益率の非常にいい企業がいる一方で、大多数、特に頂いた資料でいうと資本金1億円以下とか、あるいは1,000万円未満のところはどんどん悪くなっている。したがって、検討課題として、少数の成長している企業のファイナンス上の問題を考えるのも勿論大事なのですが、大多数を占めるうまくいっていない企業というのが、何故そうなのかということを考えるのも、地域金融を考える上では大事なのかなと思います。その点について何か調べられないかというのが1点目です。

私自身が今、感じていることで言うと、成長している資本金1億円から10億円の、例えば公開直前のような利益率の高い企業が、資金調達上の何か困難を抱えているかというと、勿論あればそれはぜひ知りたいのですけれども、そういう印象はあまり持っていないです。むしろ、先ほども話が出ましたけれども、もっと前の段階の、企業年齢でいうと創業期の企業のファイナンスの問題という方があるかもしれない。ただ、そうした企業は、頂いているデータからすると、大多数はそもそも現在事業がうまくいっていない。そうだとすると、金融というのはお金を付けることも大事ですけれども、お金をつける前に事業の見直しを図らせるという、企業統治面での金融機能というのも、お金を付けることと同じ程度に大事なのではないかいう問題意識を持っています。

それからもう一つ、日本の金融機関の競争力に関してですけれども、競争する土俵をそろえた上で、日本の金融機関には何が足りないのかを議論する必要があると思っています。例えば今日のお話の中でも、海外で、例えば成長するアジアで日系と欧州系の銀行で比較するとどうかというお話がありましたけれども、こうした点は、頂いた資料の中でいうと、例えば海外支店長の経験者の方にお話を伺うということなるのだと思います。しかし、先ほどの話に関連して言うと、日本で活動している外資系金融機関が、日本の中小企業とかを対象とした、要はリテールの商業銀行業務なり、あるいはリテールを対象とした金融業務全般の可能性についてどう考えているのかを聞くというのも、日本の大多数を占める事業がうまくいっていない企業の金融を考える上では大事だと思います。

私自身、15年ぐらい前に関心を持ってそういうことを幾つかの外銀にヒアリングをしたことがあったのですけれども、その時の印象は、多くの外資系の金融機関の人たちは日本でリテール金融をやるつもりはないと。これだけ利益率の低い国でリテール金融をやるのは無理だという話でした。

○吉野座長

どうもありがとうございました。そういうヒアリングを入れたいと思います。ありがとうございます。どうぞ、山田委員、お願いいたします。

○山田委員

ドイツ証券の山田です。大きく分けて2点ほどお話したいと思います。今、外資系のお話が出ました。先日、ドイツ銀行のアッカーマン会長と話をする機会がありました。そのとき、ドイツ銀行グループが成功した要因は何か率直に聞いてみました。彼の答えは単純明快で、社内言語を英語にしたことが転機になったそうです。アッカーマン会長自身は英語のネイティブ・スピーカーではありませんが、全世界で共通言語を英語にしたことが重要だったわけです。もう一つの成功の要因は、現地化だと思います。私の職務は銀行アナリストですが、例えば、以前に在職していたメリルリンチでは世界のアナリストがニューヨークやロンドン、香港などのマネーセンターで仕事をする傾向がありました。一方、ドイツ銀行グループではインドの銀行を担当するアナリストはムンバイに、インドネシアはジャカルタに、ブラジルはサンパオロで仕事をしています。ですから、現地に即した分析が出来るということだと思います。

それは前置きでありまして、お話ししたいのは、日々外国人投資家と接している身として、外国人投資家あるいはグローバルマーケットから見て日本あるいは日本の金融がどう映っているかということです。相当厳しい話なので、これを話すと皆さん下を向いてしまうのですけれども、現実としてお話を差し上げたいと思います。外国人投資家の日本に対するイメージは、一言で言いますと、エマージングの反対、デマージング、没落市場という見方です。

何でそうなるかといいますと、例えばちょっと10年までですと日本株の専門家がエジンバラとかボストンに多くいたのですけれども、今は殆どがアジア株との兼任になっています。自分が想像するに、最大の要因は、日本という国のあり方とか国の行く末についていわゆるマクロのビューが見えない点にあると思います。

ここからは私見になります。皆さんあまりご存じないと思いますけれども、日本は1950年から2005年の55年間に人口が1.5倍になっているのですね。8,400万が1億2,800万になっている。その間につくられた仕組み、政治、経済、社会、厚生、福祉などすべての仕組みが今、そのままになっています。人口が減少し始めれば、そうした仕組みを見直す必要があるのに、温存されているために色々なところできしみが出ているわけです。財政赤字はその典型かもしれません。そうであれば、日本は痛みを伴う改革が必要なのですが、国全体として何とかそれを先送りして。痛みを避けているのが現実だと思います。それを、外国人投資家はよく分かっているのです。そんな国に投資しても株は上がらないし価値は上がらないということですね。

もう一つの状況というのは、吉野先生からのお話があったマネーフローの問題です。マネーフローの現状を説明するキーワードは、デフレだと思います。よく個人の金融資産が預金に偏重しているという批判がありますけれども、私から見ると違和感はありません。デフレというのは相対的に物の価値が下がってお金の価値が上がることを指します。したがって、預金というのは常に投資先になります。預金から投資へといっても個人が動かないのは当たり前で、実は日本の個人というのは資産選択においては極めて合理的な選択をしていると私は見ております。

逆にデフレ下においては企業金融では何が起こるかというと、物の価値は下がるという意味で企業の海外進出が加速されます。地方の中小企業に積極的なアジア進出をする企業が増えていますが、要するに日本最大の問題は、産業の空洞化ということではないでしょうか。

先ほど株式時価総額の話が出ましたけれど、80年代、邦銀が世界の銀行の時価総額ランキングで1位から6位までを独占していた時期がありました。しかし現在、メガバンク3行の中で最上位にある銀行の順位は20位に過ぎません。それから日本で第2位と第3位の銀行は、世界では40位と42位にしか相当しません。これは昨日現在のドルベースでのランキングですが、これが現実なのです。現在の時価総額1位、2位は中国の銀行ですが、そのすぐ下には欧米の銀行と並んで、ブラジルやロシアの銀行が入っています。さらに、20位未満にはカナダやオーストラリアの銀行もランクインしています。40位前後ですとインドの銀行も邦銀2行と方を並べる存在となっています。地滑り的に日本の邦銀のプレゼンス、あるいは世界の中での日本金融の地位が低下しています。

先日、ドイツ銀行グループで世界の各国で銀行を担当しているアナリストと会合をすり機会がありました。そのときに私に寄せられた質問には、どうしたら日本みたいにならないですむか、あるいは日本はどうしてこうなったか教えてくれというものが多かったと感じています。その理由は、ここで申し上げてきました。一方、銀行が成長を続けている国にはどんな特徴があるかといった興味がわきました。そこで、最近中国やインド、インドネシアを訪問して現地銀行のトップや当局の方に取材しています。やはりビジネスモデルが違うわけですが、こうした国の銀行は変化を積極的に取り入れているという特徴があります。今回、この部会で議論すべきであるのは、どうして日本の金融機関は変われないのか、どうしたら変われるのかということだと思います。理想論を論じても意味がないので、具体的に何をどうしたらどう変われるのかということを議論していくべきだと思います。厳しい現実に係らず、日本人の中にはまだ上から目線的なところがあると感じています。確かに、GDPはまだ世界で3番ですけれども、日本のプレゼンスはどんどん低下していると思います。今、日本が誇れるのは独自の文化ぐらいだと個人的には思っています。非常に厳しい現実からスタートして、どこを現実的にどうやって変えていけるかということだと思います。

例えば地域金融機関に関しては、先ほど申し上げたとおり顧客の海外進出が進んでいます。では、海外へ進出したあるいは進出しようとする取引先について十分な支援が出来ているのでしょうか。多分出来ていないと思うのですけれども、それではどうすべきかといった観点から1つ1つ問題を解きほぐしていくことが必要かなと思っています。すみません、長くなりまして。

○吉野座長

ありがとうございました。その日本の魅力の低下というのは、ニューヨークのある、東京に5年ほど外資系の方で支店長をされていた方がニューヨークに帰って、講演してくれと言われたと。講演して、日本の話をしようとしたら、ところで中国とアジアはどうなっているのかと一番最初に聞かれてしまったって。そういうように、やはりアメリカの人たちも日本を除いてほかのアジアの国々に興味を持ってしまっていますので、何とかこれを回復できればと思います。ありがとうございます。

それでは藤原委員、どうぞ。それから齊藤誠先生。

○藤原委員

80年代から金融にかかわっている者としまして、多分80年代の方が国際金融的に活躍出来る日本人の人材が多かったんじゃないかと思います。当時でも外人を使える日本人というのは、海外に現地法人のある日本の金融機関では少なく、私はその数が90年代、2000年代と時間がたつにつれて増えてくるのかと期待していましたが、実際はそうでもありません。むしろその逆ではないかと最近思っています。

1の課題の我が国における金融業の国際競争力の強化、何が弱みであるかという点についてですが、外人を使える日本の金融マンが少ないことがその1つだと思います。国際競争力を強化するためには、海外で外人を使える金融マンを増やさなければなりません。増やす方法として、考えなければいけない選択肢は2つあり、1つは今までと同様に日本の金融機関にまかせることであり、2つ目は現状を打破するために政府が何かすることだと思います。過去20年の動きから判断するに、多分、日本の金融機関に任せていたら、外人を海外で使える、また海外の金融機関とネットワークをつくれる人材は増えていかないと思います。

それゆえ、政府に関わってもらい、海外の金融機関で仕事をする日本人金融マンに赴任前に試験を受けてもらい、最低このレベルの試験結果、例えば60点とらなければいけないみたいな、資格試験制度の導入を考えてもいいのではないかと思います。そういう何かショックを与えない限り日本の現状は打破できないと思います。

2つ目の課題である国民のニーズに合った金融サービスの提供についてコメントしたいと思います。吉野先生に見せて頂きましたこの5ページ目の株式市場で誰が利益を得て誰が損をしたというグラフですが、個人だけが過去に長く、大損をしていることが分かります。一方、資料2-3の11ページにある昨年2010年の家計における金融資産の構成比をみると個人資産の4.2%しか株式市場に投資していないことがわかります。これはアメリカに比べかなり低い数字です。しかし、これは過去に大損が続いたことからの、ある意味で回答であるかもしれません。このグラフだけからは、損をした理由が企業の業績悪化のためか、売り手である金融マンの説明がいけなかったのか、それとも個人の投資に関する知識が不足していたためなのかは分かりませんので、国民のニーズに合った金融サービスの提供からその理由を調査してもいいのではないかと思います。

最後は、中小企業についての課題ですが、かなり前のことなのですが、経済産業省の小さな委員会に出てた時に、地域の中小企業の経理担当の人たちより資金調達の必要があった時は銀行しか行く先はないと言われたことがあります。だからそういう人たちのために銀行以外の資金調達の選択肢、例えば私募債を発行する方法等をまとめて資料を作成したことがあります。もし地方の中小企業を対象に何か新しいことを試みる場合は、勿論銀行という金融機関は大事ですし、ファンドを設立することも大事だと思いますが、お金を必要としている忙しい中小企業の人たちに、普段から調達方法などの情報を提供し、彼らが間接金融以外の選択肢もできるようになることが重要だと思います。以上、3点です。

○吉野座長

ありがとうございました。それでは齊藤誠先生。

○齊藤(誠)委員

大きな話なんですけれども、皆様の議論とか、あと最初の事務局からの説明を聞いていて、我々が金融に持っているイメージというのは、成長していく経済、大きくなっていく経済の中で培われてきた金融の様々な仕組みや技術で、これからのすごく安定した経済とか、あるいは人口面とかから言うと縮小していく経済の問題を取り扱おうとしているところが色々な矛盾が生じているんでないかという印象を持ちました。何人かの先生方のご指摘でもありましたけれども、そういう安定経済や縮小経済においては多分、金融の役割も大分変わってくるのじゃないかと思うんです。

単にお金をつけて物を作るとか設備投資をするというのではなくて、例えば建築物を取っていくのでも、今までだったら大きい建物にするためにお金をつけるというのが、縮小経済において金融がするのは小さい建物にしてあげるのにどういう金融の仕組みが必要なのかということを考えないといけない。減築みたいなことを金融面でサポートしていくとか、企業のリストラクチャリングに金融の側面がどうやっていくのか。つまり規模を大きくしていくことにお金の仕組みを使うのじゃなくて、規模を小さくしていくことにお金の仕組みを使って、そこの中でビジネスを探していくという発想が必要じゃないかと思います。

地域経済についても、やはりちょっと厳しい話ですけれども、やはりオーバーバンキングという現実がありますから、そうすると金融セクター自体もやはり経済の規模に合った形で再構築していく、特に地域金融についてそういう発想が必要だと思います。

あと国際金融も、先ほどアメリカが貿易収支が赤字なのに稼いでいるという話があったのですが、あれも実は縮小経済の中でアメリカが貿易赤字でどんどん資金を調達していかなくちゃいけない中での一種の知恵だと思うんですけれども、アメリカのような国がああやってネットで稼げるのは、自国の通貨で資金を調達出来る場所をちゃんと持っているからなんです。自国の通貨で資金を調達出来る国というのは、勿論運用成績で海外で上げていく以上に非常に大きなショックを吸収していく側面がありますから。我々の国もこれから貿易収支がどんどん悪くなっていくと思います。そしていずれは海外から資金を調達していかなくちゃいけなくなっていく時に、我々の通貨で資金を調達出来るような、安定した資金で、出来れば貸借条件のいい形で調達出来るような仕組みを作っていくというのが大きいと思います。

それと、皆さんのお話を聞いていると、日本は大変だという話になりますけれども、今、世界のどこの国を見ても大変じゃないところはありませんから、あんまりそんなに……。ヨーロッパももう今、火がついて、時限爆弾が爆発するんじゃないかという事態ですし、アメリカの経済、金融もとても大変ですし、今の資産価格状況を見てアジアの経済が本当にサステナブルなのかどうかということもまた考えなくちゃいけないということで見ると、あまり隣の芝生が緑だということを気にし過ぎて自分たちの問題の解決の方法を見失ってしまうということも避けていくべきじゃないかと思います。以上です。

○吉野座長

ご意見、ありがとうございます。それでは井潟委員、どうぞ。

○井潟委員

非常に分かりやすい資料を、事務局の方々、吉野先生からご説明頂きありがとうございました。今回のテーマの設定あるいは、検討課題については、「検討の視点」にも書かれていますが、これまでの金融審の中でもとりわけ画期的というか、かなり危機感を持って戦後でもほぼ初めて冷徹に見ていく、齊藤先生のようにあまりほかの国の芝生は青いとか、緑だとか思うなというお話もありましたが、そういう局面に入ってきているというテーマ設定じゃないかなと考えています。

例えば事務局で準備して頂いた9ページの資料のデータ関連でいうと、我々もかなり簡単なものではりますがシミュレーションを行っており、生産年齢人口の変化、減少に応じてどんな金融面での変化が出るだろうかということを考えた場合に、個人金融資産が今1,400兆円もあると言われていますが、これがあまり遠くない段階で貯蓄率がマイナスになっていくという効果を通して減少を始める、構造的に減少を始める可能性があるという結果を得ています。これはおそらくこれまで殆ど経験したことがない、戦後ですね、ことだと思うのですが、そういうやはり、これまでの延長線上じゃない事態ということが例えばあったりすると、考えています。

それからあと地域金融に関しても、ページでいきますと17ページに各地方で預貸率が出ていますけれども、少子高齢化と関連して我々の方で非常に注目しているのは、昭和30年代から40年代、50年代、私もその1人ですが、地方から3大経済圏に出ていき、結局地方に戻らず引退し、そのお父様、お母様方が高齢になってお亡くなりになり、相続が発生することによって地方から3大経済圏に資金のシフトがかなり起きる可能性があるんじゃないかということです。地方自体でも色々預貸率の問題だとかありますが、日本国内での個人金融資産については主に全体で議論することが多かったのですけれども、今後は地方でのそういう格差というんですか、斑の発生といったようなことを考えると、地域金融がどうあるべきかということはより一層深刻な問題になり得るということなども、データとして大変勉強不足で解決策を持っていないのですけれども、あったりする。

いずれにしましてもこれまでのやはり延長線上じゃない環境ということが今回の検討の背景になっているんではないかと思っています。

あともう一つ、データ関係で一応確認したいと思っているのは、何もアメリカが全ていいというわけではないですが、11ページ、先ほどからこの個人金融資産、家計金融資産の構成比が議論されておりますが、アメリカについての1つのファクトとして、株式17.9%、投信12.3%、合計30.2%とありますが、こうした高い比率は、私どもでは、実はアメリカではIRAと呼ばれる個人が税制優遇頂きながら老後に備えるという、大体、家計半分の世帯、2世帯に1世帯は必ず持っていると言われている口座を通じた影響があると考えています。あるいは企業の確定拠出年金と呼ばれる口座を通じて、ここでいうと年金・保険の30.1%のうちの約3分の2のまた更に半分の10%前後が、この統計には見えませんが、実質的に投資信託で運用されているということで、最終的にはこの資料の投信の12.3%とその10%を合わせた約20%前後が、アメリカの個人家計金融資産の構成比として実質的に投資信託に向かっていると。実はアメリカはよく株式好きだと言われておりますが、むしろアメリカは今、株式ではなくて投資信託好きだと、ファンドの国だと考えています。預金を通して個人のお金が企業や政府に流れていくパイプよりも、投資信託を流れて企業や政府に流れているパイプの方がよほど太い国だと。

資料2-4に国民のニーズに合った金融サービスの提供とありますが、国民と広く捉えた場合は、これやはり小口の資金、それである程度投資となってきますと分散ということも必ず考えていかなきゃいけない。そういう意味において、商品としてという以上に金融の機能としてのファンド、投資信託をどういうふうに考えていくのかというのが今後、海外投資も考えた上で非常に重要な日本の金融の大きな課題の1つじゃないかと思っております。以上でございます。

○吉野座長

ありがとうございます。それでは秋池委員、それから永沢委員、お願いいたします。

○永沢委員

頂戴した資料の2-4に検討の視点がございますが、既にご指摘もありますように3番にございます地方の金融機関の課題についてなんですけれども、今後どのような金融機能が求められるかという中で、かつての報告、この金融審の以前の報告の中にもコンサルティング能力というようなものが書かれておりました。今日、事務局からご説明頂きました2-3の資料の最後に元気な中小企業の話がありまして、少し明るい気持ちで資料が終わっている感じになっておるんですけれども、こういったものも含めまして、地方の金融機関が出来ることの中の、もし付加価値をつけることが出来るんだとすると、こういったベストプラクティスを研究して展開していくということ、それから様々なベンチマーキングが出来るということなのではないかなと考えております。

民間の、例えばコンサルティング会社では決して触れないような企業の中の深いデータに金融機関というのは触ることが出来るわけでございますので、そういった資料をもとに、勿論他の会社の資料を他の企業にそのまま出すというわけにはいかないんですが、大体このぐらいの企業がこういったものを調達するのであれば、このぐらいの価格で出来るはずだというような知見は、実は地方の金融機関には、その気になれば溜まっていくはずのものであります。ですので、売り上げを伸ばしていくというのはとても難しいアドバイスになるかと思うんですけれども、何かの費用を減らすというのは極めて確実に、その気になれば、意思を持ってやれば出来るという部分でもございますので、元来、地方の金融機関の中に眠っているそういった知財をうまく活用していくことで出来ることがあるんではないか。

それから、成長させていくということにおきましては、先ほども触れました、うまくいっている会社がどういうやり方をしているのかということを水平展開していくということも非常に重要な今後の機能になっていくのではないかと思います。個人的にそういうことをなさっておられる金融機関の方っていらっしゃるかもしれないんですけれども、それを組織的に取り組んでいくということが重要なのではないかと考えております。

それから2つ目なんですけれども、この検討の視点の1番と3番にございます金融業をどういうふうに強くしていくかというところなんですけれども、ちょっとこれを見ていて思いましたのは、例えば製薬、薬を作っている会社、あるいは製造業というのはいずれも研究開発費というものを持っているわけですね。製薬の会社などでは、売上に対して15%ぐらい研究開発に使うわけですし、製造業でも、いわゆるハイテク寄りと言われるようなところは5から10%ぐらいの研究開発費を持って、ハイテクっていわゆる超ハイテクじゃなくて一般的な製造業でも5%ぐらいの研究開発費というものを持って、その事業を成長させているわけです。

金融機関に研究開発費的な項目があるかどうかというのはちょっと難しいところかもしれないんですけれども、今日も色々な資料からも見えてきますように、新興国に対して何らかの投資なり、あるいは融資なりをしていく、新興国に出ていきたい企業に対して投資なり融資をしていくということや、あるいは新しい成長分野で、どういうふうなリスクがあるか分からないというものに対してファイナンスを付けていくということについての事例研究というかリスクの評価、それは過去、比較的うまくいった案件から類推していくということもあるかもしれませんし、貸し付けたんだけれども失敗したという案件についてやはり研究してみるということも、その案件の研究をしてみるということも含めまして、リスクを評価する力を高めていくということはおのおのの金融機関にとって重要なんじゃないか。それによってお金に値段をつけていくという、金利を決めていくというような能力、それからこういったものには貸してはいけない、あるいはこういったものは一見よくないんだけれども、うちの金融機関だったらそのリスクが量れるから貸せるという世界を作っていくことが重要なのではないかと考えております。

ぜひそういったことも含めて金融機関が、日本経済の事業会社が強くなることによって金融機関も世界に出ていくということも重要ですし、そこにおいて金融機関もより強くなっていくという議論ができればと考えております。

○吉野座長

ありがとうございます。永沢委員、お願いします。

○永沢委員

私は空洞化しても外に出ていくことが出来ない個人という立場から、本日レクチャー頂きました資料などから感想とお願いしたいことをお話しさせて頂きたいと思います。

まず、河野先生や藤原先生がご指摘になったデータですが、なぜ個人はうまくいかないのかという点はぜひとも、審議会のワーキングの中でご説明頂けたらと思っております。

先ほどファンドというお話が出ました。この20年間金利が低かったこともあり、またこの10年間、政府は必ずしもそのようには導いてはいないと仰るかもしれませんが、貯蓄から投資へという流れがありましたものですから、今まで投資をしたことのない方でも、老後になってまとまったお金が入った時点で、退職金で投資信託なり債券というような投資商品をお買いになる方が増えてきています。そういった方々から、私が個別的な経験として伺い心配に感じていることかと思っておったのですけれども、本日頂いた資料の中で、ああ、それは必ずしも単なる危惧ではなくて現実として起こっているんだと思いましたことがあります。最近、特に感じておりますのは、個人のお金がデリバティブを組み込んだものや、ハイイールドのものへと流れていると感じておりまして、その類のファンドが売れているからなんですが、その流れが非常に勢いとして強いのではないかと心配に思っておりましたところ、先ほど日本の中南米へ比率がアメリカに比べて高いことや、ブラジルへの投資が300億という数字が小野課長からご紹介いただきました。この流れは本当に大丈夫なんだろうかと心配に思っております。

日本の国内にお金が回らないというお話がされておりますけれども、投資信託という、比率としては大変少ないものですが、個人にとって資産形成の基軸となる投資商品において、日本国内にお金が回らないで外に行っている、あるいはデリバティブに行っている、外の中でも中南米へと向かっているということについてどう考えるべきなのかと感じております。

私はデータなどは持っておりませんのではっきりとは分かりませんけれども、例えば過去10年間とか取り出しても、日本の投資信託なり個人投資というのは非常にテーマ性を持って動いてきたと思いますが、金融機関が非常にたくさん売った商品が一体どういうテーマのものだったのか、それらはどのような結果になったのか、個人は儲かっているのかいないのかということは、日本の金融機関が国民の資産ニーズにあったサービスをしてきたのかを検証する上で重要であり、追跡調査をする必要があるんではないかと第一に思います。

表現として適切かどうか分かりませんが、個人の投資家はある意味でメダカのような投資行動をとっているのではないかと思われますが、果たしてこのメダカのような投資行動というものは自然なものなのか。自然なものであるならば、それなりのマーケットメカニズムが働いて、適切な資産配分というもの、合理的な資産配分というのが実現されることがあるのかなとも思うんですけれども、果たしてこのような集中的にメダカのように動くという行動は自発的なものなのかどうかという点について何らかのデータで検証をお願いしたいのと、それからその背景に何かあるのではないかを考えることも必要なのではないでしょうか。私は実は販売会社の行動が大きく影響していると思っていますが、あるいは個人投資家のリテラシーの不足もあるのかもしれないと思っております。そういった分析も必要なのではないかと思っております。これが第1点でございます。

もう一つ申し上げたいと思いますのは、頂いた検討課題の2の最後のところの若い方の資産形成の点についてです。ここに座っておられる皆さん見回してみましても、世代として若い方々の資産形成を考えなくてはいけない立場にある方々ばかりです。私たちが若い頃と比べますと、日本の将来に対してバラ色というわけでは必ずしもないことや、それから人口も減っていることから年金や税金なども負担が増えてくるでしょう。彼らの資産形成をどう支援していくのかということは、私たち親の立場になりつつある世代として、やはり考えていかなくてはいけないんではないかと思っております。

その観点から申しますと、どうしても話が投資商品に、投資型の金融商品に偏りがちですけれども、個人にとりましては、やはり金融商品といいますのはローンや保険というものも含めた上での資産形成でございます。私は個人的には住宅ローンへの偏り過ぎがやはり1つひずみとなってあらわれているんではないかなとは思ってはおりますが、ぜひ若い方々の資産形成というのは実際にどうなっているのか、どういうふうに彼らが考えているのか、資産形成をする上で何が大きなポイントになるのか、どんな支援ができるのかなどをやはり考えていく必要があるんではないかなと思っております。以上でございます。

○吉野座長

どうもありがとうございます。それでは篠原委員から簡潔にお願いいたします。

○篠原委員

どうも今日は遅参をいたしまして、日程管理上不備があって、まずおわびを申し上げたいと思います。

私はここにいらっしゃる皆様方で最も金融に関する専門性が低いんじゃないかと思います。東副大臣もご存じのように、私はずっとジャーナリスト活動をやっていて主たる専門分野は政治の方でございましたから、そういう面では皆さん方のご意見を色々聞きながらという部分があるのですが、ただ政治というのはやはり生活者と直結していますので、これから私は皆さんのご意見も聞きながら生活者の視点でこの議論に加わらせて頂きたいと。

ぜひ吉野会長にお願いしたいのですけれども、こういうところの議論というのはつい専門家やステークホルダーの間の議論に、止まっちゃう場合があるので、出来るだけ国民の皆さんにフィードバックしていくような作業をぜひやって頂きたいと。何か違う世界の議論だなと思わせないような議論の進め方をまずお願いしたいと思います。

そういう意味で、私はこの検討の視点の2番目の国民のニーズに合った金融サービスの提供というのはすごく重要なところだと思っております。先ほど来、個人の金融資産、今、1,467兆円ぐらいですか、の話が色々出ておりますけれども、これを大いに使ってもらって消費を拡大して内需を拡大するというもう一つの政策的なトレンドもあるわけで、その中で金融業というのがどうあるべきかという大きな視点を常に持ちながら行かないと、単に今のたまっているお金をどうするかという議論だけでは、日本経済全体の議論には必ずしも直結しないんじゃないかなと思っております。

それから最後に1つ申し上げたいのは、あんまり小さい頃から、株式投資、株式投資という金儲けみたいなところから入るのは僕は大反対ですけれども、やはり正しい金融知識、先ほど永沢さんも若い人の問題を仰いましたけれども、やはり学校も含めて正しい金融教育というものをもう少し強化していく必要があるんではないかなと。それが証券会社や金融業の方々が主催するのがいいのかどうか知りませんけれども、あんまり儲け的な教育に入るのは大反対なんですが、その辺をどういうふうにバランスとりながらやるか、国民をインボルブした議論にしていくためにもこの点も大事なのかなと考えています。失礼しました。

○吉野座長

ありがとうございます。先ほどの個人の面と、それから金融機関ですけれども、やはり金融機関の目的関数といいますか、それと個人の目的関数が合致しなければよくないわけですから、やはりそういうところを私ぜひここで議論させて頂きたいと思いますし、それから金融の正しい知識は、例えば日本銀行の金融広報中央委員会というのは中立的な立場でやられていますし、そういう方々にもし機会があれば来て頂くようなことも考えたいと思います。

最後は東副大臣からまとめも含めまして、ぜひお願いいたします。

○東副大臣

今日はどうも本当にありがとうございます。まとめはないんですけれども、幾つかコメントだけさせて頂きたいと思いますが、とにかく中長期的な視点に立って、この3つの視点でぜひ率直な議論をして頂きたいと。その上で、ここには書いていないのですけれども、先ほどの篠原委員も仰って下さいましたが、基本的には、ある意味で仕組みだとか政治が邪魔しているというところが多分あるんだろうと思うのです。既存の、国内における金融業界が頑張ろうとするけれども、政府が邪魔しているだとか、そういう部分も遠慮なく明示して頂きたいなと思うのです。

先ほど山田委員、あるいはまた藤原委員からもお話がありましたが、僕は今、若い世代の皆さん方に対しては、ものすごい期待と将来性を見出しています。逆説的に言えば、藤原委員や山田委員は、そういう日本であるにもかかわらず外資系に入って一生懸命頑張っているわけですから、こういうのは僕は昔は無かったのだろうと思います。

私も国際機関で勤めておりました。現在、国連にも相当優秀な日本人の人材が入ってきています。それではるかに彼らの資質というのは、僕が働いていた時よりもはるかに優れた資質を持ってきている。とりわけ、女性は圧倒的に凄いです。そういう意味で色々な役割を担いながら、十分外国人を使いこなしている、使い切っている。そういう意味ではじゃあなぜ金融業界に本当にそういう国際的な人間がいないのかと言えば、もうちょっと調査して頂きたいと僕は思います。

そういう意味で、ぜひ忌憚のないご意見を頂いて、経済の実態は、山田委員からデマージングマーケットだとありましたが、だからこそ頑張らなくちゃいけないと思います。

一般論で言えば、日本の社会って僕はやはり特殊だと思っています。課題が出てきた時に、それを突破するというよりも、出来ないことを、出来ない理由を一杯言っていくのです。それは日本の官僚の縦割り行政というところもあるかもしれません。政治家の資質の低さというところにもあるのかもしれません。しかし僕の一般論で諸外国との比較をするならば、例えば米国にしても、種々の問題があったとしても、課題があれば、その課題を突破していこうと、何としてでも突破する、ここに大きな僕は違いがあるんだろうと思っています。それが日本が出来るのか出来ないのかという、そこが、今、僕は最大の危機なのだと思っています。

経済がどんどん衰退しているにもかかわらず、更に衰退させるような政策を遂行しようとしていたり、と思えるような政策を遂行しようとしていたり、おかしなことが一杯起こってくるわけですが、そういうものに対してやはりきちんと明確にしていける、意見を言う人も出てきてもらわなくては困りますし、まして金融という国境を越えたそういう世界、そしてまた言語でいくならば日本語ではない、ある意味で英語を主要な武器とする、ある意味では最も日本にとってつらい業界なのかも分かりませんけれども、しかしそこで本当に戦っていかなくて日本の経済というものがもつならばいいですけれども、僕はもたないんだろうと思います。だから金融の世界において、その実体経済を引っ張って行かなくてはいけませんし、しかし金融業それ自体としては成り立たない。非常に難しい状況に置かれております。

そういうことも含めた上で遠慮なく、政治がこういう部分邪魔しているから発展できないのだという部分もぜひこの中に、それぞれの分野において加えて頂いて、そしていいものができ上がればと思っております。どうぞよろしくお願いします。

○吉野座長

東副大臣どうもありがとうございました。

それでは今日は3つの視点につきまして、それからそれの派生的な論点につきまして皆様からご議論頂きましたので、次回以降はこの3つの視点に沿いながら様々なヒアリングをしていきたいと思っております。

今日は時間の関係でご意見を述べることができなかった方々には申しわけございませんけれども、次回またよろしくお願いいたします。

小野企画課長、これからの予定をお願いいたします。

○小野総務企画局企画課長

次回のワーキング・グループにつきましては、皆様のご都合を踏まえながら吉野座長と相談の上、別途、通知させて頂きたいと思いますが、メンバーの方々には遠方からいらしている方もいらっしゃいますので、基本的には金曜の午後の開催ということで調整してはいかがかと考えております。またご連絡させて頂きながら調整させて頂きたいと存じますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

○吉野座長

それでは今日はどうもありがとうございました。これで終了させて頂きたいと思います。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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