金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第4回)議事録

  • 1.日時:

    平成23年9月30日(金曜日)13時30分~15時30分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○黒澤総務企画局企画課長

それでは、ワーキング・グループの開催に先立ちまして、まずお手元の資料の確認をお願いいたします。

資料を4種類お配りしておりますが、資料1-1と資料1-2は本日プレゼンテーションをいただきますJ.P.モルガンとゴールドマン・サックス、それぞれの資料ということでございます。資料1-3といたしまして事務局からの資料を配付いたしております。資料1-4といたしまして、前回会合、時間がちょっと足りなかったのですけれども、その後いただいた家森先生、小野先生からのご質問、これに対する答えというものを紙にしてお配りさせていただいております。

以上4種類の資料のご確認をお願いします。

○吉野座長

それでは、ただいまから我が国の金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループの第4回目の会合を開催させていただきたいと思います。

一部こちらの方は大臣に呼ばれたために少し空席が目立ちますけれども、後で参りますのでよろしくお願いいたします。

第1回目のときにもご了承をいただいておりますが、本日のワーキング・グループも公開とさせていただきますので、ご了承いただきたいと思います。

本日は、皆様から見て右側の方に外資系金融機関のお2人のゲストをお招きしております。前回と今回2回にわたりまして、まず世界的に商業銀行を中心に展開している金融機関、それから母国と、それから外においても商業事業、投資業務をいずれも展開している金融機関、それから、世界的に投資銀行業務を中心に展開していらっしゃる金融機関、この3つのタイプの金融機関をお招きしてお話を伺うということにしておりまして、今回は、母国内外で商業銀行と投資銀行、それをいずれもやっていらっしゃる方と、それから世界的に投資銀行を中心に展開しておられるゴールドマン・サックス、前者はJ.P.モルガンでございますけれども、この2社の方々にこれからお話をいただきたいというふうに思っております。

それぞれの方から約15分程度お話を伺いまして、その後、自由討議にさせていただきたいと思います。

それでは、まずJ.P.モルガンの木越法人営業本部長からご説明をよろしくお願いいたします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

吉野座長、ご紹介ありがとうございます。ただいまご紹介にあずかりました私は、J.P.モルガンの法人営業本部長を務めさせていただいております木越と申します。本日は私どものグローバル戦略についてご案内し、今後のワーキング・グループの皆さんのご議論のお役に立てて頂くという、大変ありがたい機会をいただき、誠に有難うございます。

これからご説明に入る前に、どういう人間がこういうお話を差し上げるかということをご理解いただいたほうがいいかと思いまして、自己紹介方々申し上げます。私自身は、旧東京銀行、今の三菱東京UFJ銀行に新卒で入行し、以来国内外での業務経験、それから証券、銀行両方の業務を経験させていただきました。在任中は大変いい経験、機会に恵まれましたが、かれこれ4年ほど前に縁あってJ.P.モルガンに移籍し今日に至っているということでございます。現在の業務担当については、法人営業、要すれば、日本の法人のお客様の内外での取引の取りまとめ役と、そういう位置づけでございます。

では、早速資料のほうでご説明に入らせていただきたいと思っております。

まず1ページ目ですが、座長からもご案内いただきましたように、J.P.モルガンは国内外、母国内外で投資銀行、商業銀行、両方を行っている金融機関であるという位置づけですが、簡単にJ.P.モルガンについて改めてご理解をいただければというところで1ページ目を用意させていただいております。

まず左の下のほうにございますとおり、投資銀行と商業銀行、それから法人業務とリテール業務、これらをバランスよく広範囲にわたって提供する、そういった総合的な金融機関です。創立以来200年以上にわたる歴史を持っており、全世界60カ国以上に展開し、総数約22万人を擁する大変大きな組織でございます。

その中で、特に米国内では法人向けからリテールまでフルカバーをしておりますが、海外では法人向けに集中しております。但し超富裕層という意味では、プライベート・バンクをグローバルに展開しております。

右のほうは我々の略歴ということですが、こちらにあるようなところでございます。

続いて、2ページをめくっていただければと思います。我々J.P.モルガン・チェースのグループの業務展開の柱というところをご案内したいと思っております。

こちらは丸いドーナツ状のところが6つに分かれておりますけれども、米国内外で6つプロダクト部門に分けて業務を展開しております。

1つ左側、カフェオレみたいな色をしている字体なのですが、J.P.モルガン、こちらのほうがインベストメント・バンク、広義のインベストメント・バンク、M&Aですとか、エクイティの引き受け等々に加えて、いわゆるマーケット関係、要すればトレーディング業務も含めて総合的に証券業務全体をインベストメント・バンクと呼んでいます。

それから、トレジャリー&セキュリティーズ・サービス、これは決済ですとか、カストディですとか、いわゆる商業銀行のホールセール向けのサービスがあります。それからアセット・マネジメント、こちらの左側の3部門をJ.P.モルガンのブランドで米国内、それからグローバルに展開をしております。これら3部門を包む薄皮のようにグローバル・コーポレート・バンクとありますが、これは私の属する部門で、こういった商品を横断的にお客様にご紹介する役目を私どもは担っております。

今度は右側ですが、これは米国内で展開をしている業務です。コマーシャル・バンキング、いわゆる中堅・中小バンキング取引です。それからリテール・ファイナンシャル・サービス、これは個人向けの金融サービス、それからカード・サービス、これらは米国内でチェースの名前で業務を展開しておりますが、これはグローバルな展開ではなくて、米国の中での業務展開ということになります。

続いて、3ページでは、そういう意味で全体の議論の中での日系企業さんにどういうふうにサービスしているかというところにも関係してくる、グローバル・コーポレート・バンク、法人営業本部の役割を示しています。先ほど申し上げたように、左側にありましたインベストメント・バンク、トレジャリー&セキュリティーズ・サービス、それからアセット・マネジメント、そういった部門と密接な連携をして、日本の企業で言えば本社と海外子会社との取引を一括して管理していく、あるいはプロモーションを適正にしていく、そういう役割です。

先ほどインベストメント・バンクの中にいろんな業務があると申し上げたのですが、このコラムの中にあるような業務をそれぞれの部門でカバーしていることになります。ご参考までにお示ししています。

続いて4ページは、J.P.モルガンの収益基盤を示す数字です、決算の内容をご案内します。

こちらにありますとおり、2009年、2010年の数字です。トップの総収益は、こういった金融環境の中で減っておりますけれども、ボトムの数字は増えています。かつROEも2009年から2010年について伸びています。これはどういうことかと申し上げますと、与信費用のところでお分かりいただけますように、金融危機の中で厚く引き当てを積むことができたものの取り崩しがこういった形で戻ってきているのです。何を申し上げたいかというと、私どもの強みとして、投資銀行、商業銀行をまたいで複数の収益基盤を持っておりますため、あるところで外的要因で不振であっても、ほかのところで復元できる、そういった復元力のある収益構造を持っているということです。下段のパイチャートのところでそれぞれの業務部門がどのような貢献をしているかというのをあらわしておりますので、ご覧いただければと思います。

続いて5ページでは私どもの資本基盤についてご案内させていただきたいと思っています。

真ん中からやや左側に、2008年9月、ここにリーマン・ブラザーズの経営破綻がございました。それ以降、金融機関にとっても、世界経済にとっても大変苦しい時期になりましたけれども、それ以降も含めて堅調に資本基盤を強化して、それを維持してきているということです。リーマン・ショック以降、特に金融機関にとって、お客様から見て安定性があるか、信頼性があるかということが、カウンターパート、取引先としての選択の非常に重要なポイントになってきておりましたけれども、そういう意味では私どもは比較優位を発揮することができた、保守的な経営方針というのがここで活きてきたというふうに理解しております。

それでは、グローバルな成長戦略に移らせていただきます。次の6ページがその資料になります。

まず、下段にパイチャートを3つ並べております。一番左、これが国内外を含めたJ.P.モルガンの収益構造、8割が米国です。その中で、法人についてこれを切り出してみますと、米国外の比率がいささか多くなっていますが、さはさりながらまだ6割が米国ということです。

さらに右側のチャートが、法人取引の中で地域ごとでの業務収益の貢献度になります。EMEAというのは欧州・中東・アフリカの意味ですが、その中の先進地域が全体の6割を占めております。アジア、これは日本も含めてそれなりの比率を占めております。グラフ内右上部にCAGRがありますけれども、これは年平均成長率です。2005年から2010年まで、ごらんのとおりで、アジアで15%、我々の収益ベースでも伸びています。一方、米国内では、国内での合併等々ありましたのでそういった要因を除いてオーガニックな形で伸びたらどうかということを考えれば、せいぜい数%の伸びになります。依然として米国からの収益貢献が過半を占めている中で、お取引先も注力している成長著しいエマージングで何をすべきかというのが課題です。

J.P.モルガンは、先ほど申し上げたような6つの柱、そのうち海外部門では3つの業務分野それぞれが業界でトップクラスの実績を有しております。そういったものを相互に絡めてクロスセルを進めることがあります。それから、展開する対象地域については、エマージング・マーケットにフォーカスしております。それに加えて、証券業務、銀行業務両方を展開している中で。商業銀行としてバランスシートを提供して、お客様に活用していただく。また、我々の取引の基盤にさせていただくということがあります。

続いて7ページは、いわゆるクロスセル、複数のプロダクツによる相乗効果というのをイメージであらわしたものでございますけれども、ベースとしてバランスシートを提供させていただいた上に、投資銀行部門では、M&A、株式の引き受け等々から始まって多様な市場性商品がございます。あるいは、今度余資運用サイドではアセット・マネジメント、あるいは年金関係での運用受託等あります。銀行の決済機能では、米国内にとどまらず、グローバルな形でのシステムを、大規模な投資をして構築しております。カストディ業務でも高いシェアを有しております。

例えば、我々はJ.P.モルガン・アクセスというプラットフォームを取引先向けに提供させていただいておりまして、グローバルに一体化されたプラットフォーム上で、非常に堅固なセキュリティーを確保しつつお客様が決済システムを運用できる、そういったようなサービスも提供しております。以上のような他部門に亘るお取引関係がある中で、より一層深く、様々な貢献をさせていただきたいと思っております。

続いて、次のページはグローバルな体制、あるいは米国外での法人取引の戦略あるいは体制づくりということでご案内させていただいております。国内外を含めて、個別取引のあるお取引先数というのは非常に多うございます。その中で、特にグローバルな形で横断的にサービスを提供するという観点で、グローバル・コーポレート・バンクのターゲット先を選んでおります。既存取引先の中から厳選して、全世界的に言っても三千数百社に絞り込んでいます。これらの取引先に対して、プロダクツ、それから地域間での相乗効果があるような取引を深掘りしていく、そういった戦略です。

ターゲット先の典型例というか条件としては、業界を主導しているか、自国外の市場において高いプレゼンスを持っているか、それから我々が提供できる、あるいはしたい、多岐にわたるサービスをお客様が必要とされているかということです。この部分については、特に途上国を中心に非常に力を入れておりまして、バンカー数についても右側でご案内させていただいているように年々増員を図っているところです。その中で、世界各地で子会社も含めてお取引をさせていただく中で、お客様からどの地域でどのようなニーズがあるのかということをご教示いただいて、そこにリソースを集中させていく、そういったところが我々の戦略です。

次に、グローバル・コーポレート・バンクのグローバル展開をお示ししている地図があります。9ページですが、ここにありますように印のついているところ、欧米から始まってアジア、中南米、アフリカも含めて拠点ネットワークを張ってそこでの取り扱い業務を日々増強しているところです。特に日本企業とのとの取引については、私の部隊、東京での法人営業本部をヘッドクォーターとして、海外に特にマネーセンターにジャパンデスクを配置して、これらの人間と私どもが一つのチームとしてお客様の本社それから現地法人へのサービスをさせていただいております。

続いて10ページ、これは日本におけるJ.P.モルガンということで、日本での取引について簡単にまとめさせていただいた資料です。ひもとけば関東大震災の復興資金を調達するための復興債を引き受けたところから、我々の日本との取引の歴史が始まっております。それ以降、今日に至るまで日本にコミットをして業務を展開しております。人員も日本拠点に1,300名以上を擁し、銀行、証券、受託、資産運用等々を含めて多岐にわたる業務を展開させていただいております。

続いて11ページでは、グローバルに展開されている本邦企業へどのようなサービスを提供させていただいているかを示すケース・スタディを2つほどご紹介しております。

まず1つは、これは欧米の先進国に対して大型買収をされた企業ですが、そちらに先方からのご要請もあって、我々はコミットした形でローンを提供させていただき、その中で非常にいい関係を築かせていただきました。また、戦略的な立場から増資をされる、海外でのグローバル・オファリングをされるというところで、こちらの取りまとめ役、いわゆる投資銀行サイドでのビジネスを務めさせていただいて、一方で、海外子会社とは為替ですとかコモディティーですとか、あるいは従業員の方々の年金の運用のお手伝い、こういった多岐にわたる商売をさせていただく、サービスを提供させていただく、そういった取引関係に急速につながってまいりました。

続いて2つ目は、エマージング市場での貢献ということですが、非常に取引関係の長い親密な先様との展開です。以前は欧米での取引が中心でしたが、やはり昨今の流れの中でエマージング・マーケット、特に中国でのサポートを要請いただきまして、折から融資規制等々が進んでいる中で我々からもワーキング・キャピタルを提供させていただく機会を得ました。それに付随して、リスクマネジメント、為替取引等々、いろいろなお取引について今ご相談をさせていただいて実現をさせていただいているということでございます。

最後に12ページでは我々の社是についてご説明させていただきます。“First-class business in a first-class way”、これはジョン・ピアポント・モルガンという実質的な創設者が、大恐慌発生後の1933年に米国上院での証言の中で言った言葉です。J.P.モルガンとしては、常に長期的な視野に立ったソリューションを一流のサービスで提供させていただくという趣旨です。相手はだれか。グローバルに展開されている企業、そして多様化するお客様の事業活動に対して様々な形で我々のソリューションを提供させていただく。それについてバランスシートも適宜提供させていただくということでございます。

最後に一つ付言させていただきますと、一連の審議会およびワーキング・グループのテーマである邦銀との比較で言えば、邦銀のビジネスにとり海外でもベースとなるのはやはり資金の提供だと思いますが、我々としては、グローバルでクロスボーダーなソリューションを、銀行、証券にまたがる種々の商品によって、提供させていただくことがポイントであります。個々の取引ではいろいろなところで幅広いお取引がありますが、グローバル・コーポレート・バンクとしてのアプローチということに関して言えば、先ほど来ご案内申し上げたように、対象先を厳選しフォーカスした形でカバーさせていただいています。そこのところが日系企業全体を広くカバーされている邦銀さんとの違いだと思います。

それから、提供できる商品についても、これは何も日本の企業のためということではなくて、グローバルな形で、同じ業界でも欧米、それから日本、広範囲にわたってお取引がある中で、大きなプラットフォーム、顧客基盤をベースにつくったインフラがあります。それをどうやって提供するか、それを日本の取引窓口としてどのような形で提供できるかというのが、我々の使命であって、また、そこのところが我々の強みになってくるのではないかと思っております。

私のプレゼンテーションはこの程度にさせていただいて、質疑のほうにお願いできればと思っております。

どうもありがとうございます。

○吉野座長

ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、ゴールドマン・サックス証券の佐護取締役副社長からやはり15分程度お願いいたします。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

吉野座長、ありがとうございます。ただいまご紹介にあずかりましたゴールドマン・サックス証券株式会社の佐護でございます。本日はこのような場にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。

ゴールドマン・サックスは、明治2年、1869年に創業、今年で創業142年を迎える、アメリカに本社のある投資銀行です。日本では、1974年に東京に駐在員事務所を開設して以来37年間、外資系投資銀行としてビジネスを展開してまいりました。

現在では、ゴールドマン・サックスグループがグローバルに取り扱う金融サービス、商品のほとんどを日本法人においても取り扱っております。クロスボーダー案件だけでなく、国内の企業同士のM&Aも数多く手がけており、また国内株式、株式関連の年間ディールテーブルでは日系金融機関が上位を占める中、2009年は3位、2010年は2位と外資ではトップの位置につけております。

このようにゴールドマン・サックスは国内顧客向けビジネスの実績をこれまで積み上げてまいりました。また、ビジネスを拡大する上で重要な要素として、人材育成の観点から、新卒社員の継続的な採用、経営幹部への日本人の積極的な登用に努めております。また、日本においても、地域社会への貢献を目的といたしまして、15年前より社員によるボランティアをはじめとした社会貢献活動にも力を入れております。

日本では、今申し上げましたように地域社会に密着したビジネスを展開しておりますが、本日は、日本を含むグローバルなゴールドマン・サックスグループの戦略についてのご説明をしていきたいと思います。

それでは、お手元の資料の2ページ目をごらんください。

ゴールドマン・サックスは、機関投資家向けビジネスをグローバルに展開する金融機関を目指しております。主な業務といたしましては、投資銀行業務、債券・為替・コモディティーに関する顧客取引業務、株式及び関連業務、投資及び貸付業務、投資運用業務などがございます。

ゴールドマン・サックスには14カ条の経営理念がございます。その第1条では、ビジネス遂行上最優先すべきは顧客の利益であるということを明確に述べております。また、これに続く項目では、人材、資本及び信用は、ゴールドマン・サックスの長期的な成功の重要な要素であるということを述べております。この中でも特に信用は、ゴールドマン・サックスにとって現在最も大きな課題となっている要素であると考えております。

アメリカにおけるゴールドマン・サックスをめぐる昨今のさまざまな議論を受けまして、ビジネス・スタンダードとビジネス・プラクティスを見直し、その質の向上並びに維持を目標にビジネス・スタンダード・コミッティーを昨年5月に創設いたしました。総勢で約200名の幹部を動員いたしまして、さまざまな検討を重ねた後、変革のための39の提案を今年の1月に行いました。具体的には、顧客サービス、利益相反の管理及び業務の選択、仕組み商品、透明性及び情報開示、各種委員会によるガバナンス、研修及び人材育成、社員の評価及びインセンティブなど多岐にわたる項目についての提案に沿って、現在ゴールドマン・サックスでは変革に取り組んでおります。この取り組みは、ゴールドマン・サックスが顧客、株主、規制当局並びにその他の利害関係者の皆様の期待にこたえ、また、金融システムの安定性及び経済的成長に貢献するために行っている努力の一つでございます。

3ページをごらんください。ゴールドマン・サックスはニューヨークに本社を置き、世界の53都市に現地法人、支店、駐在員事務所を配しています。2011年6月末の時点で、従業員数はグローバルで約3万5,500人、日本では約1,600人となっております。また、今年7月には、オーストラリア、ニュージーランドの合弁会社を完全買収いたしました。アジア太平洋地域には、これはインド、オーストラリア、ニュージーランド等を含めた地域でございますが、全部で14の拠点を配しており、現在、この地域全体を東京と香港が共同で統括しております。

次に4ページをごらんください。ゴールドマン・サックスでは、業務別、地域別の両方の内訳において収益の多様化が進んでおります。このことは、収益面での貢献にとどまらず、リスク分散という面でも重要な役割を担っております。2008年以降、単一の業務からの収益は40%を超えることなく、2つのパイチャートをごらんいただいても、どの業務、地域もが十分な収益規模を有しており、重要な構成要素であるということがおわかりいただけるかと思います。

なお、右のチャートで、アジアの平均収益シェアが18%となっておりますが、アジアは現在最も収益の伸びが激しい地域となっております。

次に、下にございますこの数年のゴールドマン・サックスの決算状況をごらんください。2007年から2010年の間、我々は大変厳しい景気変動の中でビジネスを継続してまいりました。2008年には世界中が深刻な金融危機に見舞われましたが、ゴールドマン・サックスでは、人材や資本の割り当てを迅速に調整することにより、同年においても黒字を保つことができました。

次に5ページをごらんください。このページからはゴールドマン・サックスの世界戦略についてお話を進めたいと思います。新しい市場においてビジネスを牽引する主なマクロ要因といたしましては、まず第1にGDPの成長、続いて、総体的な財政の健全性、資本市場の発展、個人資産の増加、さらには巨大かつ拡大する資本プールといったものがございます。これらの要因の多くを満たす新興国で事業拡大することが重要な経営課題となっております。

幾つか具体例を申し上げますと、例えば中国とインドでは、GDPの急成長に伴う急速な都市化でインフラの建設というものが急務となっておりまして、これはゴールドマン・サックスが引受業務等を通じて資金調達を支援できる分野と考えております。また、中国では、現在時価総額10億ドルを超える企業の数がアメリカ、ヨーロッパの合計を上回っておりまして、投資銀行業務、証券業務全般の顧客となり得る企業が増えてきていると考えております。

それから、資本市場の発展というものもビジネスの機会の発掘においてとても重要な要因でございます。新興国では顧客が自社の成長を支えるための金融ソリューションというものを必要としていることから、過去10年間で社債、株式引受額の急激な増加が見られました。インドでは、過去5年間、それ以前の10年間と比べまして3倍の数の資金調達案件がございました。また、中国でも経済成長のための資金需要が、国内株式市場の著しい拡大につながっております。

次に6ページをごらんください。このページでは、現地業務の立ち上げと展開についてご説明したいと思います。ただ、ここでご紹介するのは、あくまでも標準的な事例でございまして、現実にはすべての市場において進出の際の状況や前提が異なります。ゴールドマン・サックスはその一つ一つを十分に考慮した上で、現地業務の立ち上げ、展開に取り組んできております。

さて、上の図は業務別に見た現地業務の展開順序の一例というものを示しております。左側から順を追って見ていただきますと、まず第1段階として、投資銀行業務、それから投資及び貸付業務といった比較的大きなインフラというものを必要としないビジネスから立ち上げるのが一般的となっております。続きまして、ニューヨーク、ロンドン、東京といった金融市場において確立されたインフラを活用いたしまして、現地顧客向けに海外からの証券や資産運用商品を販売するビジネスを展開いたします。富裕層に対するプライベート・ウエルス・マネジメント業務というものは、証券や資産運用商品のインフラというものが整っていることが重要であるために最後に展開するという順序となります。現地市場において展開する業務を決定する際には、金融市場の状況、今後の成長機会、そしてゴールドマン・サックスが提供できる専門性とサービスへのニーズに基づいて戦略を構築しております。

次に、下の図は、現地業務の展開を、今度は取扱商品、フランチャイズの面から概観したものでございます。新市場の業務立ち上げや参入を決定する経緯については、地域によってさまざまでございますが、まずは既存顧客のニーズが主たる参入要因となっております。経済のグローバル化に伴いまして、我々の顧客のニーズや関心も新市場での業務展開が増えてきております。これらにこたえることを通じて、現地における弊社の業務展開の可能性が高まってまいります。結果、多くの場合は、投資銀行業務から参入いたしまして、その後、現地でのマクロ経済動向、規制環境、現地顧客のニーズといったものを踏まえまして、参入事業並びに展開のスピードを決定していくこととなります。

グローバルな顧客基盤や金融専門知識を強みとするゴールドマン・サックスでは、そうした強みを現地に持ち込むところから現地業務を始めます。具体的には海外の株式・債券の取引の業務であるとか、デリバティブ商品に関する専門知識を現地の顧客に提供すること、また、海外の顧客のアドバイザーとしてクロスボーダーのM&A案件をサポートすることなどがこの段階に行われます。

その次に、第1段階で開拓した現地の顧客基盤のもとで我々のグローバルな投資銀行としての強みをより一層活用していけるようなビジネスが行われます。具体的には、海外の投資家への国内株式、債券取引業務の提供、グローバル市場における国内企業の資金調達、現地の顧客のアドバイザーとしてのクロスボーダーのM&A案件といったものをサポートすることなどが含まれます。

こういった形で国内のフランチャイズ並びに国内の商品の流通経路というものを確立した上で最終的にたどり着くのが最後の段階となります。ここではより国内に密着したビジネス、すなわち現地顧客への国内株式、債券取引業務の提供、国内企業同士のM&A、そして国内金融市場における国内企業の資金調達等といったものが行われます。

今申し上げたサイクルにのっとりまして、現在ゴールドマン・サックスが新興国市場でどのような業務を展開しているかというのを具体的に示したのが、次の7ページでございます。

日本では、ゴールドマン・サックスがグローバルに展開する業務のほぼすべての分野におきまして既に業務を展開しておりますが、新興国市場では、顧客フランチャイズの拡大に重点を置いて、次々と各業務の立ち上げを進めているさなかでございます。この地図では、どの国でどの業務が行われているかを示しております。ごらんのとおり、投資銀行業務や証券業務は新興国市場と定義されるほぼすべての地域で既に立ち上がっており、それ以外の業務も、地域によって順次立ち上げが進められております。先ほど収益面について、アジアが我々の拠点の中で最も収益の伸びが著しい地域であると申し上げましたが、新興国市場とくくられる市場の中でも、アジアが大変大きな地域を占めているというのが、このページでもごらんいただけるかと思います。

8ページにまいりまして、ゴールドマン・サックスの海外戦略といたしましては、自力成長、すなわち自社による成長と、買収・資本提携等の2つのパターンがございます。この2つのパターンのうち、ゴールドマン・サックスは常に自力成長というものを第1の選択肢としておりまして、歴史的にもこの手法による展開で多くの実績を重ねております。ただ、実際にいずれの戦略をとるかというものは、その市場の発展段階ですとか、マネジメントのリソース、あるいは買収もしくは提携の候補先との企業文化の融合の可能性、そういったものを考慮した上で決定されます。

自力成長の手法では、資本割り当て、積極的に人材を現地にて採用し、ビジネスの拡大と促進のために経営幹部を投入することによりましてビジネスを成長させていきます。自力成長では経営統合などを必要としませんが、そのかわり市場の参入に時間がかかるということが難点となっております。我々が自力成長でビジネス拡大を成功させた例といたしましては、中国、インド、ブラジル、それから韓国などがございます。

一方で買収・資本提携では、現地企業の買収、合弁企業の立ち上げ、他社との提携などの手法を探ります。ゴールドマン・サックス単体でのビジネスの拡大が難しい市場では、買収や資本提携などにより規模の拡大、既存の能力の補完、またそれに伴ったビジネスの拡大が可能となります。この手法は、自力成長も同時に取り入れながら拡大することも可能です。買収・資本提携は市場参入にかかる時間を短縮する一方で、経営統合に伴うさまざまな問題を引き継ぐリスクというものがございます。買収・資本提携の手法を使った例といたしましては、オーストラリア及びニュージーランドが挙げられまして、今年現地の企業との間の合弁会社を完全買収いたしました。

最後になりますが、9ページをごらんください。ゴールドマン・サックスでは、新しい市場での業務立ち上げを成功させるために幾つかの検討事項並びにリスクを念頭に置いております。

主な検討事項といたしましては、人材・経営幹部、現地に関する知識、テクノロジー・インフラ整備、規制・ライセンスなどがございます。例えば現地の有能な人材を呼び込むということは、現地市場でプレゼンスを確立し、そして維持するために不可欠でございます。現地組織の立ち上げにおける最大の課題というものは、その組織を率いる現地経営幹部というものを選定、採用することだと常々考えております。

また、規制とライセンスに関しましては、改めて申し上げるまでもなく、業務を展開するには、現地における業務認可の取得というものが不可欠となります。

一方、検討されるリスクといたしましては、市場の変動、他社との競合、現地文化と企業文化の融合、規制・進出のタイミングなどがございます。どんなに急速な経済発展を遂げている国でございましても、市場は必ずしも一貫して成長し続けるわけではございませんので、例えば金融危機ですとか、経済危機が起きましたら、新興国の経済というのは、経験則上非常に高い相関性を持って打撃を受けてきております。したがって、短期的な変動でビジネス上の方針がぶれないように、長期的な視点で市場への投資を見通さなければならないと考えております。また、魅力的な市場は、その魅力ゆえに市場参入の際には、グローバル、現地双方の競合他社との激しい競争に直面することになります。この競争は業務展開上だけではなく、人材の確保という面においても存在いたします。ゴールドマン・サックスは世界中のどの国においても、顧客サービス、リスクマネジメント、コンプライアンスに大きな重点を置く企業文化をしっかり保持することを目的としておりまして、現地の文化を考慮しながら、そこにゴールドマン・サックスの企業文化というものをうまく融合していくことが課題であると考えております。

最後になりますけれども、当然業務認可の取得に必要となる時間というものをよく考慮した上で、進出のタイミングというものを図っていくことになります。

以上をもちまして、簡単ではございますが、ゴールドマン・サックスの海外戦略についてご紹介をさせていただきました。

ご静聴、どうもありがとうございました。

○吉野座長

佐護副社長、どうもありがとうございました。

お2人からはそれぞれの金融機関の世界的な戦略とか、それから、現地でどういう活動をされているかということをお聞きしました。ちょっと最初に私から、比較として、世界的ないろんな情報というのは、やっぱりこういうグローバルな金融機関のほうが非常にあるような気がいたしまして、日本の金融機関では、国内にてそういう情報を取るという、グローバルから取るのと大分違うような気がするんですけれども、そういう情報の差というのは、今後ともグローバルに展開していない限り残るのでしょうか。それとも何かいい方法があって、グローバルな情報も日本にいながら取っていけるということがあるんでしょうか。できましたら木越本部長からお願いします。簡単で結構でございます。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

情報の収集ということですが、おそらく大きく3つぐらいに分かれると思います。一つはグローバルなマーケット関係の情報。もう一つは、その国なり市場なりの特殊な規制の動向等々も含めたローカルな情報。それからもう一つ一番重要なのは、やはり我々はお客様にサービスを展開するわけですから、お客様がそれぞれのローカル・マーケットでどのようなニーズを持っているかという情報です。

そういうことで言うと、東京なり、我々で言うとニューヨークなり、一つのところで全世界の情報をかき集めようと思ってもやはり無理で、それぞれのところにしかるべき人と、それからビジネスの機能があって、効率的にそういった情報収集をすることが自然に日常の業務の中に出てくるような体制、それから、取引先との関係、現地での実際のビジネスというのが必要だと思います。

そういう意味では、グローバルに展開した我々のような金融機関の場合には、それぞれのところにそれなりの規模のオペレーションがあって、日系とか米系だけじゃなくて、現地の企業も含めて、あるいは彼らの取引先も含めて取引関係があるということで、情報の収集については恵まれた立場にあると思います。ですから、そういう意味で、東京からすべての情報をビビッドに同様のレベルで入手してくるというのはかなり厳しいのかなというふうな印象を持っております。

○吉野座長

ありがとうございました。佐護副社長、いかがでしょうか。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

まず最初に、私自身は日本の企業における勤務経験というものがないものですから、厳密な意味での比較というのは難しいのですが、ゴールドマン・サックスにおきましては、世界中、いろいろなことが日々起きておるわけでございますけれども、そういった状況をグローバルに把握し、分析するということに関しては、やはりグローバルにビジネスを展開しているという点が非常に強みとなっておりまして、これはゴールドマン・サックスという会社が競争優位性を保つ上でも非常に大きな要素を占めている部分でもございます。

それで、吉野座長のご質問の日本においてこういった情報を入手することがどこまで可能かということでございますけれども、特にリーマン・ショック以降、世の中の景気ですとか、マーケットというものを動かす要因が欧米に端を発することが多かったわけですが、そういった中で、日本の金融機関をはじめとしたお客様から、さまざまな情報提供というものを求められることが多々ございました。こういった日本の金融機関とゴールドマン・サックスをはじめとした外資系のグローバルにビジネスを展開している金融機関との間でさまざまな情報交換を常に行っており、外資系の金融機関からはグローバルなネットワークという強みから入手することができる情報を逐次ご提供していくことで、日本の金融機関においてもかなり質の高い情報が集まっているという状況ではないかと思います。

したがいまして、必ずしも日本にいたから情報が集まらないということはないと思っておりまして、もちろん理想を申し上げれば、グローバルにビジネスが展開されていれば、より良いのかもしれませんが、それと比較して、特段大きな情報の欠如といったものがあるというふうには考えておりません。

○吉野座長

どうもありがとうございました。

それでは、委員の皆様からいろいろご質問をいただきたいと思います。

では、川波委員、それから大崎委員、お願いいたします。

○川波委員

大変具体的な情報提供をいただきましてありがとうございます。2点ご質問したいと思います。1点目は、木越様と佐護様、お2方にお尋ねしたいと思います。

お話の中で、主幹事のケースをご説明になったんですが、エクイティでもよろしいですし、ボンドでもいいですし、アンダーライティングにおいてでもよろしいのですが、主幹事を取るということは極めて重要だと思います。その主幹事を取る上で、ランキングが上のほうに来る、例えばトップ10とかトップ5に来る際の決め手になる要素としてはどのようなものがあるとお考えでしょうか。お2人にお願いできればありがたいと思います。

2点目は、木越様にお尋ねしたいのですが、1つの組織の中で、インベストメント・バンキングとコマーシャル・バンキングを両方持っていらっしゃるということが、金融機関としての強み、あるいは競争力を高める上でどのような意味があるか、この点についてお感じになっているところを教えていただければありがたいと思います。

以上でございます。

○吉野座長

それでは木越本部長からお願いできますでしょうか。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

まずデットないしエクイティ・ファイナンスへのランキングですね。これはお客様、この場合発行体から見ると、実績があるかないかというのが、これがまず第1段階で非常に大きなところです。我々もその点で言えばグローバル市場ではデット、エクイティとも、日系ビジネスのグローバルなマーケットにおける実績でトップレベルのランキングに入っておりますので、こういったところは非常に強い武器になります。正直言って、まずそこがハードルになってくるなと思っています。

ただ、それがどういった形で積み上がっていくのかというのは、やはりこれは鶏か卵ですけれども、実績ができれば、それがランキングになって、そこからまた実績が来る。その中で、幾つかありますのは、まずグローバルなマーケットでそういった引き受け等々ができるインフラ機能を持っている部隊があるか、更には、債券なり株式をお買い求めいただく、投資される投資家サイドとどこまで密な関係を持っているかということ。また実績を通じて、発行体、投資家双方から問われるところですけれども、その金融機関が一発勝負ではなくて、恒常的にそのマーケットにコミットをしてサポートする、そういった金融機関としての文化と、それからそれを支えるだけの財務的な、資本的な基盤があるかということ。そういったところが総合力として評価されて、それがこういったランキングの形に現れ、そこで発行体から評価を得て、またそれが実績につながってくる、そういうことだと思っています。

それからもう一つは、J.P.モルガンの場合、いわゆる商業銀行業務、投資銀行業務を両建てでやらせていただいています。我々がターゲットとしているグローバルに展開されている企業は、グローバルにもローカルにも、所謂投資銀行的なサービス以外に多様な金融サービスのニーズを持っていらっしゃいます。商業銀行・投資銀行双方の機能を持つことで、こういった多様なニーズにお応えすることが可能になります。例えば一つ海外進出をしたところで、先ほどのケースで申し上げましたけれども、そういったまず入り口のところで戦略的に資金を調達して、M&Aなり戦略的な展開をされる。その後、お客様は現地にコミットして企業活動されて、それを本社なり、ほかの地域の現地法人同士でつないで、グローバルにどうやって効率的に運営していくかというところで、銀行特有のキャッシュ・マネジメントであったり、そういったサービスというのは当然求められます。そういった戦略的なところから日常のフローのビジネスまでをいろいろな展開の局面で的確に提供できる可能性があるという意味では、我々の持つ両足、2つの軸を持っているということは、お客様から見ると、非常にバリューがあるというか、選んでいただける、そういうふうな立ち位置にあると思っております。

○吉野座長

それでは、佐護副社長、お願いいたします。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

私どもも当然投資銀行部門において、この引受け業務をやらせていただいている以上は主幹事のランキングというものも常に気にしながらやっておりますが、最終的にどういったランキングになるかというのは、これは当然運・不運もございまして、たまたま手がけた案件のサイズが大きいものだったか、もしくは案件数は多くとも、サイズが小さいものにとどまってしまったと。金額ベースでランキングをされることもありますので、そこはなかなか思うようにはいかない部分もございますけれども、個々の案件で主幹事を獲得するキーになる要素というのは幾つかございます。まず最初に、発行体であるお客様との長期的なリレーションシップ、信頼関係、こういったものが非常に重要になってくるかと思います。またそこでリレーションシップというものを構築する上で重要な要素となるものが、日本のビジネス、日本の金融市場に対するコミットメントというものを会社としてどれだけ持っているかというような点になるかと思います。今年はそういう意味では、3月の地震もあり、そういった部分が非常に試されたときでもあったわけですが、まずここが1つ重要になってくるかと思います。

2つ目に、私どもの引き受ける案件というのは、比較的海外での販売を担うことが多いわけですけれども、グローバルにどれだけのディストリビューションの能力を有しているか、ここは常に評価を受けているところでございまして、そこが主幹事のポストを獲得するにあたり、非常に大きな要素となっております。

最後に、情報管理の徹底、コンプライアンス基準の高さ、こういったものもお客様から信頼を得てマンデートをいただく上で重要な要素となっております。株のIPOであれ、フォローオンであれ、新規の発行ということになりますと、いろいろな情報の漏えいに関する事故が業界内で過去になきにしもあらずだったという風にも報じられておりますので、情報管理を徹底してやらせていただいているというのは大変評価いただいている部分でもございます。

○川波委員

ありがとうございました。

○吉野座長

それでは、大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

ありがとうございます。まず、遅れて来ましたことをおわび申し上げます。遅れて来ておいて質問するというのは大変失敬なんですが、その失礼を省みず伺わせていただきたいのですけれども、ときどき言われることで、日本の金融法制あるいは金融監督制度というのは、例えば他の国際金融センターと言われるアメリカ、イギリスあるいは香港、シンガポールというようなところに比べて、いろんな意味で厳しいんじゃないかとか、あるいはビジネスをやりにくい環境をつくっているんじゃないかというようなことを私は耳にすることがあるんですね。そういうふうな観点から、日本のこういう点に問題があるのではないかということ、特に他の金融センターとの比較で何かお感じになっていることがあれば、ぜひ教えていただきたいんです。

ただ、金融庁の会議で、金融庁の規制・監督を批判する、盾突いているのかみたいなふうになっては非常に言いにくいということもお感じになるかもしれないので、今申し上げたようなことにストレートに答えていただいてもいいんですが、それではちょっと話しにくいということであれば、逆に日本が真に国際的な金融センターを形成していく上で、こういう点について新たな方策を講じるとか、あるいは方向性を出すと非常にうまくいくんじゃないかというようなことで、何かご提案、ご示唆があれば、ぜひお伺いしたいと思います。

○吉野座長

木越本部長からお願いいたします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

私も日系、外資系を通じて仕事をする中で、長年そのときどきで問題意識を持っていたり、あるいは議論して来ました。そういう意味では、日本についてはいろいろな、例えば資本市場のところで規制が多いですとか、その規制以前に言葉の問題があるとか、あるいは銀行、証券、我々両方やっている部分で言うと、一番気をつけているのはファイアーウォール、そういったレギュレーションを遵守しながら相乗効果を出していく必要がある、そういうところがあります。

ただ、一つ昨今の動きで言うと、我々の母国の米国も含めて、欧米でかなり踏み込んだ、今度は規制緩和とは逆の動きが出ています。そういうところの比較感からすると、今日本のレギュレーションを取り巻く状況というのは比較的安定しているというか、従前からの路線が続いているように思えます。それよりは欧米で今後どういった形でルールが変わっていくのか、それによって追加的なリスクあるいはコストが出てくるのかというところのほうが、グローバルな展開をする金融機関、我々を含めて今一番の関心事ではないかと思っています。

ですから、そういった中での比較感の中で、逆に言うと、着実に進めてこられた改革を今後も進められるというのは、やはり日本のマーケットに今後比較優位感が出てくる部分だと思います。そのほか、人材の育成ですとか、いろんなところでも検討されていると思いますが、海外の金融機関が日本に向くような施策を進めていただければというふうに思っています。

以上です。

○吉野座長

じゃ、隣の佐護副社長、どうぞ。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

EUですとかアメリカ等の欧米に対してと、香港、シンガポールといったアジアの金融センターに対してとでは、これはちょっと違う見解になるかなと思います。まず欧米は、木越さんもおっしゃったように直近の流れといたしましては規制の強化の動きがあり、規制強化が日本のみならず世界共通の課題になってきているというような印象を受けます。

一方の日本は、最近よく感じることは、業界との対話というものを規制当局が非常に重要視して増やしてくださっているというように感じますので、ここのギャップというのは、今後特にないのではないかと考えております。また、地理的にもアメリカにニューヨーク等を中心とした金融センターがあり、ヨーロッパにはロンドンを中心とした金融センターがあり、アジアにまた1つあるというのは、バランスの意味でもよろしいのではないかと思っております。

一方で、香港・シンガポールとの比較においては、またちょっと別の問題があると思っていまして、日本はやはり地理的にはアジアで覇権を争っていかなければいけない位置にあるかと思いますが、残念ながら、地理的なことから申し上げると、アジアの一番東端に位置しているということで、日本はもともと不利な位置づけにあると思います。一方で、日本国内にこれだけ大きく成長した資本市場というものがあり、GDPも非常に大きく、金融市場の先進国として非常に発展しているというアドバンテージはたくさんあるわけでございますけれども、香港・シンガポールなどの場合ですと、国・地域を挙げて金融機関ですとか、キャピタルというものを誘致しようとしているという動きもございますので、それと戦っていかなければならないというのは、ある意味困難も多いですし、そもそも日本と香港・シンガポールは、国・地域の規模ですとかシステムも異なりますから、同じような税制で戦っていくことはそもそも無理であり、そういった必要性があるという議論は誤っていると思いますし、非常に難しい問題だと思います。

そんな中でできることを考えてみますと、例えば弊社の東京で働いている社員の話などを聞いていると、香港・シンガポールと比べた場合には、個人ベースで税制というものがネックになるということも聞いておりますし、ちょっとこれは極論かもしれませんが、外国人のみを対象とした税制というものがあっても良いのではと思います。特に一定の条件を満たす外国人に対しては、日本において受けるサービスと納める税金がもう少し釣り合っていても良いのかなと。であれば、香港・シンガポールというところを最終的な目的地としないで、日本に来る人が増えてくるのではないかと思いますし、外国人というものが住みやすい環境、空港までのアクセスの改善、あるいは入国管理の柔軟化などに加え、住居、教育、医療、そういった面において英語の表記を増やすとか、英語でのコミュニケーションがより円滑に行われるようにするとか、いろいろと改善できることはあるのではないかと考えております。

○吉野座長

ありがとうございます。先ほどのロケーションで言いますと、フランクフルトにECBがありますけれども、ドイツ人は自分の国からユーロの圏内に大体3時間で行けるというんですね。ですから、そういう意味では日本はやっぱりシンガポールに行くのに6時間ぐらいかかりますから、そういう点はあるかもしれませんけれども。

いかがでしょうか。では、山田委員、小幡委員、小野委員の順でお願いします。

○山田委員

質問させていただきます。

今回、日本の中小企業なんかが国際化をしていこうというところで、金融機関がどのような応援をできるかというのも一つの重要なテーマになっているんですけれども、例えばJ.P.モルガンさんやゴールドマン・サックスさんで、日本の企業を外国へ応援するというような事例があったり、あるいはそういったところでどんな強みがあるのか。もし可能なら、母国といいますか、アメリカなりの中小企業を海外へ展開するのに、これまでどのようなことをやってこられたかの経験を教えていただければと思います。

先ほど少しゴールドマン・サックスの方から地域金融機関との間でいろいろ情報提供をやっているというようなお話がありましたが、それは投資業務としてなんでしょうか、お客様を外国へ国際化を進めていくような形の情報提供までされているのか、この点をお願いいたします。

○吉野座長

じゃ、木越本部長からお願いします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

日本の中堅・中小企業とのお取引という観点から言うと、まず米国に進出される企業については、法人取引から従業員の方々向けのリテールバンキングまですべてフルバンキングをやっております。実際、米国進出されておられる日本企業については、大企業から中堅・中小企業まで、西海岸から東海岸、中西部に至るまで非常に多くのお取引をさせていただいており、日本人の担当バンカーも、大企業取引担当に加えて中堅・中小企業担当部隊のほうで何人もの担当を置いてカバーしています。

ただ、先ほど申し上げたように、米国外では、そういった中堅・中小について特にフォーカスしているわけではありません。

それから、特にエマージング・マーケットの場合、現地の取引では、やはり地場の強い現地銀行があり、要すればどういう形で地場銀行とすみ分けをしていくかというのがポイントになってくると思います。

特に中堅・中小企業で出られるところは、米系にしろ、日系にしろ、まずは現地での資金決済ですとか、そういった現地での基本的な金融サービスから入るということになります。例えば中国ではJ.P.モルガンも支店展開に力を入れており現時点で6支店ありますが、中国の銀行の何千店舗とは桁が違います。そういう意味では、本国とは、ほかの地域の現地法人も含めて、クロスボーダーで何かされるところでは、我々自身がサービスを提供しますけれども、そうでない場合はコルレス先ですとか、あるいはアライアンス先、提携を組んでいる地場の銀行を紹介しながら、そこでサービスを受けていただいて、必要に応じて我々が国境を越えるところでお手伝いさせていただく、そういったアプローチをとらせていただいています。

○吉野座長

それでは、佐護副社長、お願いします。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

日本の金融機関や日本の企業が海外に進出される際に、どういったお手伝いをしているかということで申し上げますと、最近、私どもがお客様とお話をしていて一番よく感じるのは、とにかく海外への進出というのを非常に真剣に考えていらっしゃる方が多く、また、その対象が、アジアもしくは新興国を対象としていることが非常に多いということでございます。私どもそのアジアということに関しましては、日本人のスタッフを現地に配置するなどして体制も整えておりまして、また今後、ビジネスのボリューム次第ではそこを増強していく可能性が十分にあるかと思っております。円高対策ですとか、もしくは成長戦略を描く上で、海外へのビジネスの展開というのは避けて通れないということでこういった動きが加速しているのかもしれませんが、弊社としては、そういったところを取りこぼしなくサポートしていくということで、今申し上げたような体制をとっております。

なかなか人員の規模の問題で、中小にまで手が回っていないというのが現状でございまして、これは今後のゴールドマン・サックスにとっての成長余地として、そういったところまでカバーしていけるような体制を整えていきたいと思っております。

それから、情報提供の部分に関しましては、これは投資運用面に限らず、M&Aのご案内とかも当然しておりますし、それから、アドバイザリー業務といったところを離れて、ビジネスの立ち上げとか、そういったところで情報提供とか情報交換というものも日々させていただいております。

○吉野座長

ありがとうございます。それでは、小幡委員、小野委員と、その後で少し全体的なこれまでのまとめをさせていただきたいと思います。小幡委員からどうぞ。

○小幡委員

慶應大学の小幡といいます。よろしくお願いします。実務のことは全くわからないもので、すごい初歩的な質問で大変申しわけないのですけれども、例えば、もうグローバルにカバーされているので、現実にはないかもしれませんが、仮想として、全く進出していない地域があって、出ることにして、最初にどういうふうにやるのかなと。出ることを決める意思決定のプロセスもあると思うんですけれども、出ると決めた後で、具体的にエクイティの業務、デットの業務があると思うんですけれども、業務をやるときに、具体的にどういうふうに立ち上げていくのかという、そのプロセスを、具体的にといっても、固有名詞を挙げていただきたいという意味ではないのですけれども、どういうふうにやるものなのかというのを教えていただければと思うんです。

○吉野座長

じゃ、木越本部長、お願いします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

木越ですけれども、それは我々、例えばJ.P.モルガンがということですか、それともお取引先様がという……。

○小幡委員

J.P.モルガンです。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

わかりました。我々、実際にエマージング・マーケットで、この足元のところで今まで進出をしていなかったところ、例えば中東の国ですとか、あるいはアフリカですとか、中南米ですとか、新たな拠点展開を積極的に進めています。まず一番のポイントというのは、もちろんそこでの事前のマーケットリサーチです。我々の提供するようなサービスが既に出られている既存取引のお客様の現地での企業取引とか、あるいは貿易といったニーズがどの程度あるのか、あるいはそこに対して投資銀行的なサービスが必要なのかというところで、ある程度見きわめをつける必要があります。一旦ゴーということになると、やはり一番の関門はライセンスです。銀行業務の認可、例えば銀行支店であれば、開設の認可が取れるかどうか、これは地域によってほんとうに何年越しになることもありますし、そこでどれぐらいの資本を持ち込むか等々も含めて、当局との交渉ということです。

それと相前後して、プロジェクトを始めるに当たって、鍵となるのは人ですね。当局等の公的機関や現地の実力のある企業ないし金融機関との人脈を持っている人間を据えた上で、設立準備のためのチームを立ち上げてゆくということになってきます。

J.P.モルガンの場合、ベースとなるインフラというのがグローバルにつながっています。決済系であったり、情報系であったり、そういう意味で、現地で立ち上げる中でオフィス等々を決めながら、そういったインフラ上のつなぎもやっていきます。ここでもやはりレギュレーションに注意を払う必要があります。要するにどこまでそういったものを外とつなげるかとか、どの程度の情報をそこに乗せられるかとか、そういったところも一つ一つクリアしていきながら開業に漕ぎ着ける、そういうプロセスだと思います。

以上です。

○小幡委員

人の場合は、新たに雇うことも多いと思うんですけれども、どこでどうやって見つけるのか。例えば、全く異文化で、新しい地域だと、だれがそういう能力があるかよくわからない。例えばエンターテインメントビジネスとかですと、いろいろ売り込んでくる人がいるんですけれども、本当かどうかすごい怪しいとか、いろいろありますね。プレゼンは上手だけど、本当かどうかわからないと。そういうときにはどうやるのかなということと、先ほどのマーケットリサーチも、その情報自体もなかなか進出していない、ローカルな拠点がないときに、外部委託をされるのか、どういう感じでおやりになるのか、その2点、ちょっと補足をお願いします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

まずマーケット情報というのは、現地での情報もありますけれども、例えば中東なり何なりの国にどういったビジネスをやっていらっしゃるかというのは、実は既存のお取引先様からの情報が一番大きいんですね。J.P.モルガンにあの地域でこういったサービスをしてほしいというお取引さまの要請がまず一番の生情報、その上で我々として方向性を持って外部委託なり調査等々を徹底的にやります。

それから、人については、これは自薦、他薦双方ございます。我々がそういう構想を持っているということで、例えば人材のコンサルタントに聞くこともありますし、あるいは社内外でのインフォーマルなつながりの中で、その地域でヘッドをやっている人間が、あの国だったらこいつがいいぞという、金融業界の中で活躍している人間というのを捕捉することは、実はそんなに難しいことではないのです。そうして目星をつけた人物に、我々が今度J.P.モルガンが業務を立ち上げるので一緒にやらないかと。こちらのほうが難しい。また自力でつくっていくか、あるいは買収か等の議論もありましたけれども、J.P.モルガンの場合は、基本的に自力でつくり上げていくのが基本です。ただ、人材については、内部の人間であっても現地での実績や人脈などない人間を送り込むので任せるのではなくて、現地で確立されている人材を採り入れながら、内部でも人を動かしてやっていくと、そういった組み合わせでやっています。

以上です。

○小幡委員

ありがとうございます。

○吉野座長

佐護副社長、何かつけ加えるところがあればお願いします。

○佐護取締役副社長(ゴールドマン・サックス証券)

私どものプレゼンテーションのほうの5ページ以降でご説明させていただいたプロセスというのが、一般的な市場の規模ですとか、ビジネスの規模といったものを判断する上での順序になるわけですけれども、やはり成長の可能性、ビジネスの発展の可能性がどれぐらいあるかというところを見きわめることからスタートいたしまして、現地駐在事務所といったような、比較的小規模な進出から開始して、その後、ライセンスですとかインフラですとか、そういったものを逐一取得していく、もしくは構築していくといったようなプロセスになるわけでございます。そこでもし時間が非常にかかり過ぎるとか、あるいは非常に信頼のおけるビジネスのカウンターパーティーが見つかるというようなことであれば、自力成長にこだわらず、M&Aの選択肢も入ってくるといったようなプロセスになるかと思います。

では、どういった形で人を採用して増やしていくか、これは現地の人をまず採用するというのが非常に重要でございまして、やはり現地の同業他社等で活躍されている方は、どこにどういった人材がいるかということを非常に把握されていますし、もしくはお客様とお話しする中でそういったフィードバックもいただくこともございますので、そういったインプットに基づいて採用すべき人を絞り込んでいって採用いたします。

それと同時に、すべて最初から現地社員でそろえてしまいますと、企業文化の融合というものに非常に問題が生じることもあり得ますので、ゴールドマン・サックスの他の地域のオフィスから人を派遣いたしまして、その両方のタイプの人を置くことによって徐々に組織を拡大していくというようなプロセスが通常とられているかと思います。優秀な人材の確保というのは、実はビジネスを立ち上げていく上で最も難しい要素ではないかと考えております。

○小幡委員

ありがとうございました。

○吉野座長

じゃ、小野委員、どうぞ。

○小野委員

木越様に2点お伺いします。

1点目ですが、本日冒頭のお話にて、海外では法人向けとプライベート・バンキングに集中されているとのことでした。また、先ほどの質疑の中でも、クロスボーダー取引についてはコルレス先を紹介するような形で対応されているというお話でした。こちらの審議会で、前回HSBCさんがご報告くださったのですが、HSBCさんの場合は、グローバルにリテールバンキングをやっていらっしゃるとのことでした。一方、J.P.モルガン・チェースさんの場合、米国内ではリテール向けの商業銀行業務をやっていらっしゃるわけですが、それにもかかわらず、グローバルにはリテール業務をやらないという判断をされている。

そこで、木越さんの目から見て、グローバルなリテールビジネスをやる、やらないという意思決定をする上での大事な要素というのは何ですかというのが1点目の質問です。

2点目は、細かい質問で恐縮ですが、資料の6ページによれば、法人向けの業務収益の6割がアメリカで、残りの4割が海外となっています。一方、資料の8ページにてグローバル・コーポレート・バンクのターゲット先の比率をみると、北米が4分の1ぐらいで、海外が4分の3となっています。ここから類推すると、本国アメリカでの法人向けビジネスは、海外に比べて1社当たりの利益が非常に厚い、逆に、海外はアメリカとの比較では1社あたりの利益が薄いようです。こういう解釈で正しいでしょうか。また、もし正しいのであれば、その背景、要因について多少なりともお話いただけますでしょうか。

○吉野座長

木越本部長、2点お願いいたします。

○木越法人営業本部長(J.P.モルガン)

まず、母国外のリテール業務ですけれども、今後どういう展開になるかというのは、私自身が断言できるものではありませんが、会長のジェイミー・ダイモンの発言等々を見ても、今のところやはり視野にはいっていないようです。その理由というのは、端的に言えば、リテールというのは、もっとも地場に根づいたビジネスで、外銀からすると一番見えにくいところが多いということです。お客様の中にはどんな方がいらっしゃるかという点もありますし、その国の制度的な問題、経済的な問題、あるいはそのほかもろもろの取引の中で焦げつきが出たり、オペレーション上のトラブルが発生したり、色々なリスクがあります。これまでの経営方針を見ていても判ることですが、グローバルに注力しているホールセールの分野でも、サブプライム業務から距離を置いたように自分たちとして得心がいかないリスクはとらないという社風です。ですから、自分たちでコントロールできない、あるいはやはり現地任せになって何が起こるか本社からはわからない業務には手を出さないということだと思います。特に途上国の場合であれば、レギュレーションというか、政府が変われば、またがらっと事業環境全体が変わってしまう、そういったリスクがあるところで、一度展開すると撤退が難しいリテール業務までやるのかどうか、そこの踏み込みの問題だと思います。またオペレーショナルリスクやコンプライアンスリスク、或いはレピュテーションリスクといった懸念も高まってくる、ですから、もともとアジア発祥で地域に根づいていらっしゃるような土地勘がある金融機関とは、おのずから対応が違ってくるということだと思います。

もう一つの質問については、先ほど法人業務での収益、それからターゲット先の比率がどういうふうな関連になっているのかということに関連して申し上げましたが、やはり米国の中でグローバルに展開されている名だたる企業に対して、我々J.P.モルガンは、資本取引から、マーケット、従業員の方々の年金、あるいは決済業務など全てにわたって、いわゆる日本というところのメインバンク的な立場で関わらせていただいていますので、1社当たりの収益というのは、これはけた違いに大きいです。おそらく邦銀が日本で名だたる企業と国内でやられているものを類推していただければおわかりだと思います。その上で、海外でのビジネスを取っていこう、お取引先を広げていこうということです。

そういう意味では、欧州も実は歴史がありますので、それなりに出来上がっている部分があり、また日本も、我々が親しくさせていただいている大企業とはそういった取引になっているところもあります。一方、欧米、日本、豪州といった先進国でない地域については、そこを母国とする企業との取引はこれからの部分があります。同じようにターゲット先を選んだ三千数百社の中には、既にかなりでき上がって、多岐にわたるクロスセル、広い分野での取引がもうでき上がっている先と、今後そういうふうな取引に育てたい先とが含まれています。

J.P.モルガンとしては、こういう形でカバーしている中で、将来のそれこそアジアから出てくるマルチナショナル企業との取引が、収益の大きな柱の一つに育ってゆくよう業務を展開している、そういうことでございます。

○小野委員

ありがとうございます。

○吉野座長

ありがとうございました。

それでは、もう一つテーマがございまして、資料1-3をごらんいただきますと、これまでのご議論の中間的な取りまとめというのを事務局にやっていただきました。これも含めて、それからまた先ほどのお2人のご意見も含めて、この後、簡単に説明させていただいて、それから、残りの時間を議論していただきたいと思います。

じゃ、黒澤企画課長、お願いいたします。

○黒澤総務企画局企画課長

それでは、お手元にお配りしております資料1-3についてごく手短にご説明申し上げたいと思います。

まず、この紙の位置づけでございますが、これはあくまでも、これまで3回議論をやってまいりましたが、その中で私どもなりにお伺いしたことをラフに整理させていただいたということでございますので、この方向に議論が集約されていくということでは決してございません。むしろこれをたたき台として活発なご議論、審議を深めていただきたいという趣旨で、英語で言えばフード・フォア・ソートということになるんですが、そういった趣旨で出させていただいているものです。

その上でご説明いたしますと、まず1として検討の視点ということでございますが、1行目に書いてございますように、これまでいろいろお伺いしてきますと、経済、産業界はかなりグローバル化しているんですが、そういった中で日本の金融業もほんとうにそれについていっているのか、あるいは戦略的に対応してきているのかという素朴な印象があろうかと思います。それに対する答えをこの審議会で議論を深めていく必要があろうかと思います。

より具体的には、2つ書いてございますが、これは後でつけてございますアクションプランというのが別紙でついておりますけれども、我が国の成長戦略におきまして金融は2つの役割を期待されておりまして、第1の役割は、まず実体経済を支えるということ、もう一つは金融自身が成長産業となるということであろうかと思いますが、国際展開という目で見ますと、これはすなわち2つに展開いたしまして、国際展開しようとしている我が国産業界をしっかり支えていますかということと、金融自身がアジアに出ていって、しっかりアジアの成長分野をつかまえていますかと、こういう2つの問題意識になるのではなかろうかと思っております。

2といたしまして、ヒアリング結果でございますが、これはいろいろお伺いしたことを、私どもなりに簡単にファクト・ファインディングとして整理させていただいたということでございますが、別紙2で整理させていただいております。詳細な説明は省略させていただきますが、まず1点目の印象として、邦銀あるいは日本の金融機関につきましては、いわゆる伝統的な貸出業務につきましては、海外においても一定の存在感は認められておるようですが、他方、産業界の国際展開に対して、地理的な広がり、あるいはサービス内容の多様性といった2面において、まだなお取り組む余地があるのではなかろうかという点でございます。

以下、その詳細を書いてございます。

それから、2つ目のポイントといたしまして、本日も出てまいりましたけれども、グローバルに展開する海外の金融機関と比べまして、日本の金融機関の多くは、ハード面での拠点網あるいは情報システム、あるいはソフト面での情報ネットワーク、こういったところについてさらなる取り組みの余地があるのではなかろうかということでございます。

それから、3つ目でございますが、これも何度かにわたって出てきておりますが、バーゼル3をはじめとしたさまざまの金融規制の変化というものが行われつつあります。こういったようなものが、我が国金融機関の海外進出に及ぼす影響、より高い収益水準を求められるのではないかというご意見もございました。あるいは資産規模の拡大ということについて、多少ブレーキがかかるのではないかという話、あるいは商業銀行、投資銀行業務それぞれについて、異なる形で規制が強化されておりますので、それは一体どういう形で業務拡大に影響を及ぼすのかといったことも論点になろうかと思います。

これがヒアリングの結果ということでございますが、1ページにお戻りいただきまして、それでは、どういった点を今後論点としてご議論、審議していただくことがあるのかなということで、これ以外にもちろんあろうかという趣旨で論点(例)ということにさせていただいておりますが、まず1つ目は、いわゆる内部資源といいますか、我が国の金融業は一体どのような強み、弱みがあるのかということを改めて整理させていただいておりますし、強みというのは、ここに書いてあるような資金量が豊富である、あるいは日本の企業とのリレーションが強いといった点、弱みは、現地通貨といった供給面が弱いとか、あるいはM&Aのフィナンシャル・アドバイザリー業務等々、あるいはグローバルな資金決済面で弱いのではなかろうかといったご意見があったのではなかろうかと思います。

ページをおめくりいただきまして、2つ目で、では、内部ではなくて、外部の、我が国金融機関を取り巻く外部の競争環境は一体どのようなものかということですが、これも既にいろんなところで議論されているとおりですけれども、国内では、いろいろさまざまな形で閉塞状態があるのかなということがあろうと思います。他方、本日も出ておりましたけれども、規制緩和というのは、むしろ進展しているのではないかと。

他方、国外におきましては、アジアにおいてはさまざまな形で潜在力が顕在化しつつあるということと同時に、そうは言いながら、やはり国ごとに規制その他の環境は差があるのみならず、変化がやっぱり大きいので、リスクもあるのではないかというご意見、本日も出ておりました。

では、グローバルにはどうかということですが、金融はもちろんグローバル化しておりますが、そうした中におきましても、欧米の金融機関はリーマン危機、最近の欧州の危機も含めまして、相対的にやや地位の低下というものは否めないのではなかろうか、それから新しい規制環境というのもあろうかと思います。

そういった内部、外部の環境構造を踏まえた上で、国際競争力のさらなる強化に向けた課題ということで、幾つかご議論あった点、大きく3つぐらいに分けられるのかなということなんですが、1つは業界全体のお話ということで、少なくとも2000年初頭ぐらいまでは不良債権問題が足かせになっていた可能性はあろうかと思います。

2つ目は、そもそも経営戦略の問題として、国際展開の在り方をどう考えるかということで、そこでちょっと比喩的な言葉を使って、あまりうまくいっているかどうかわからないのですが、日本の金融機関は、概して言えばですが、本部集中型で、外国に出ていくのは出島風にちょっとだけ出ていくというような段階にとどまっている金融機関は多いと思うのですが、そういったままでよいのか、それとも思い切って地域分散、ほんとうにグローバルな展開になる必要があるのかどうかといったような選択肢が戦略面では少なくともあろうかと思います。

それから、さらに日本の金融機関の管理面でいろいろなご議論がありました。組織・人材の話、特にPMIと書いておりますが、M&Aで海外の金融機関を仮に買収した場合、ローカルスタッフを含む多彩な人材をほんとうに管理できるのであろうかという話。それから、人事ローテーションが邦銀の場合短過ぎるという話が何度にもわたって出てきております。

それから、そもそも人材の採用・育成を自前でやるのか、現地で採用するのかといった点、本日も出ておりましたが、そういった論点もあろうかと思います。

その上でさらに、ではどうするのかという話が今後出てくるのですけれども、中長期的な国際戦略の在り方で、ビジネスモデルとしてグローバルなリテール、これはあくまで類型なんですけれども、前回プレゼンテーションがございましたHSBCやらシティバンクがこれに属するんだと思いますが、それに対してリージョナルなリテールで頑張って、グローバルにはホールセールということで、強いて言えば、本日のJ.P.モルガンがこれに近いのかなという感じでございます。

それから、グローバルにホールセール。ホールセールという概念は、投資銀行業務が入っておりますので、ある意味でゴールドマン・サックスはこれに入るのかもしれません。そういったような類型的な分け方ができるということですが、もちろんその他というのもあろうかと思います。

そういったいろいろな組み合わせの可能性の中で、何を選択していけばよいのかということなんですが、どちらかというと、ここに書いてございますが、我が国の金融機関の場合、これまではグローバルにはホールセールでやって、少し対日系企業の海外進出をお手伝いするというところに主体、少なくともポイントを置いていたのではなかろうかということかと思います。

それから、最後のほうで、では、これをご議論していく中で、どういうアウトプットになるのかということなんですが、経営戦略の議論でございますので、一義的には各金融機関さんの取り組みの話、あるいは金融業界全体での話になろうと思いますが、そういったことを踏まえた上で、なお政府ないしは当局としてできることはあるのかどうかということで、アジア等での地域金融協力の取り組みという、アジアの債券市場というような話も最初のころ出ていたと思いますが、そういったところも絡んでくるのかなという趣旨でここは書かせていただいております。

とりあえず私のほうからは以上でございます。

○吉野座長

どうもありがとうございました。

それでは、この資料1-3の最初の3ページ、これがこれまでの論点整理という形で書いていただいたんですけれども、これも含めまして、皆様から忌憚のないご意見をいただいて、こういうところが抜けている、あるいはこういうところをもっと含めるべきだというご意見がございましたら、ぜひお願いしたいと思います。

では、井潟委員、それから大垣委員の順でお願いします。

○井潟委員

資料1-3についての意見、あるいはお願いです。

今、黒澤課長からも、この2ページ目の真ん中で規制や金融サービス需要について、アジアにおいては国ごとに強い個別性があり、市場構造や規制の変化が速い、こういったヒアリング結果があったというお話がございました。これはおそらく規制がまだきついとか、強いとか、参入障壁が高いという意味も含まれているんじゃないかなと思っています。こういった部分については、民間単体あるいは業界全体としてはなかなか如何ともしがたい部分というものが引き続きある、とくに中国をはじめとするアジアの国々については。進出する企業をサポートするために金融機関が進出したいといっても、こういった参入障壁等、例えば出資規制の問題などが現地であると非常にやりにくい、あるいは行きにくいということがあったりしますので、これはまさにお願いになるのですが、最後の3ページ目の一番最後の金融当局さらには政府としての取り組みというところについては、まさにいろいろな支援に頼らざるを得ないのではないのか、というのが、多くの日本の金融機関が日ごろ考えているところと思っております。

出資規制等だけではなくて、例えば先ほど申し上げました中国に関して言うと、例えばQFIIという、日本の非常に大きな金融資産を中国への投資につなげていくという枠組みについても、枠の拡大するというのは簡単ではないとも聞いております。

また、向こうの資金、まだまだ豊富ではないとはいえ、貯蓄がだんだんたまってきているような国々で、日本企業への投資を促すという点では、日本で組成した商品、例えば日本株ETFなどの現地での上場といったことなどが促されたりすると非常にいいだろう。こういったことについても、なかなか民間のビジネスレベルを超えた規制、こういったものが絡むようなところが残っているような気がしています。

そういう意味では検討の視点の1、2それぞれについて、そういった支援が政府の取り組みという議論の中にも入ってくるのではないのかなと感じております。

以上です。

○吉野座長

ありがとうございました。大垣委員、どうぞ。

○大垣委員

不足していると個人的に思う点を二、三。

一点は、ここまでいわゆる商業銀行と、それから証券会社に非常に視点が当たっているような気がするんですが、これからの、例えばモータリティーの動きなんかを見れば、どちらかというと、保険のビジネスというのは、アジアで極めて収益性が上がっていくし、むしろ国内での収益性というのは下がるわけですから、グローバルな展開としては極めてポテンシャルの高いものを持っていると思うんですが、こういうものはここでは扱わないという理解なのか、要するに銀行と証券のことを考える会なのか、もう少し大きくフィナンシャル・インダストリーを見るのかというのがよくわからないので、そこは少しやっていただきたい。

もう一点、そういう意味で言うと、例えば私が多少面倒を見ておりますモーゲージバンクという業態は、皆さん的に言うと、単なるノンバンクですけれども、業態で言いますと、例えば住宅ローンの貸出、オリジネーションに占めるシェアというのは、住宅金融支援機構の、例えば年間のオリジネーションの6割を25社で占める。それに対して、残りの4割は三百十幾つの既存金融機関が出しているというような形で、だから、今エマージングなビジネスモデルというのが実際に育ってきているわけですね。そのほかの商社の方からご説明があったときに、商社のやっていることは投資銀行と似ていますよねみたいな議論があったと思うんですが、初回にも申し上げましたように、欧米を中心にして、銀行については、やはりインフラストラクチャーとしての意味合いが強くなってきて、規制が強化される中で、ビジネスとしての金融というのが規制業種のままでやると、非常にやりにくい環境になってきている中では、むしろ稼ぎにいく金融というのは、何も今免許を持っている銀行がそのままインフラストラクチャーとしての意義も果たしながら、ものすごく高い収益性も追求しないといけないということでもないような気がしますので、もう少し新しいビジネスセグメントというのを、むしろ身軽なセグメントがアジアに出ていってサポートをするとか、あるいは国内でのもっとビジネスチャンスを伸ばすとか、あるいは業態一つにしても、地銀、大手銀行の持っている問題と、ネット銀行のこれからの展開とかというのだと、後者はそれほどインフラとしての性格が強くないような気もしますし、ビジネスのやり方も違うと思いますので、その辺まで見ていくと、意外とおもしろい発展の在り方もあるのかもしれない。要するに同じ銀行が、さっきおっしゃったような公的使命と収益性の両方を担う必要はないという考え方もないのかというのが1点です。

もう一つは、金融技術の点についてちょっと視点を当てたいのですが、ここまでのところは、どちらかというと、金融工学を中心にするような先端的な金融商品をつくる能力みたいなものに焦点が当たったような気がしますが、例えば本日おっしゃっていたCMSなんていうのは、私の知っている限りチェース・マンハッタンというのは、10年以上前にロンドンのボーマスというところに巨大なキャッシュ・マネジメントセンターをつくられて、ビルが2つコピーになっているんですものね。もう信じられないような規模の投資をしてここまで来ている。

それに我が国の金融機関が伍してこれから投資をしていくとなると、それはもう大変な作業になるわけで、そういうところを、じゃ、1990年代の前半のコンピュータ技術であれだけのものが必要だったものが、今のクラウドまで含めた技術でそこまでやる必要があるのか、後発の利益がないのかとか、そういう前向きの議論がある一方で、日本の金融機関というのはやはり先行しておりますので、ITについてはかなり劣化しておるというか、老朽化しているという視点もまた一つあるような気がいたしますので、それが今度は国際競争力という観点から言うと、これから投資をしていく金融機関が主体のアジアの金融機関に対して、投資超過になっていないのかとかというような、どうも金融技術という点で言うと、これまでの金融工学よりITの辺に少し視点を置いて、先般ちょっとレポートが出ておりました電子記録債権の基盤というのを日本でヘゲモニーをとっていくというふうな方向というのは非常におもしろい方向性だと思いますし、そういうようなところを議論をするという視点もあっていいのではないか。

3点目は、これだけ金融機関のリスクテイク能力というのが全体的に減ってくる中では、公的金融機関、特にDBJとかJBICとか、あるいはほかにもあるのかもしれませんが、そういうところとの共同の動きといいますか、難しいところとかインフラ的なところを公共金融機関が担いながら、共同で民間が動いていくというような視点とか、あるいはそういう観点から既存のJBIC、DBJ等々の日本の在り方というのをもう少し戦略的に見ていって、民間との協調関係というんでしょうか、を見るという視点もないと、なかなか収益性がなくなっていく中で、公共的使命を果たせないとか、あるいはアジアに出ていく中でリスクを取り切れないとか、そういうことになるのではないかという、その点も少し公と民の共同でビジネスを開拓していくという視点も考慮に入れていただけるとおもしろいのではないかというふうに思います。

以上でございます。

○吉野座長

どうも貴重な3点、ありがとうございました。

では、お隣の犬飼委員、どうぞ。

○犬飼委員

黒澤課長のご説明、大変ありがとうございました。私のほうからは資料1-3の3ページに関して、上のほうの中長期的な国際戦略の在り方として、ビジネスモデルを3区分していただいている点について、一言申し上げます。グローバル・リテールあるいはリージョナル・リテール+グローバル・ホールセールという分け方だけではなく、おそらくエイジアン・プロフェッショナル、ないしエイジアン・ホールセールという観点が必要なのではないかという気がいたしております。黒澤課長からもご指摘がありましたが、例えばアジアの債券市場の観点、これは東京プロボンド市場等が今できつつあるところですが、そういう点もあまり現状では注目されておりませんが、将来的に非常に重要な問題といいますか、将来に向けて大きな可能性をはらんでいるものではないかと思います。やはりビジネスモデルを考えていくに際しましては、これからは全く新しいビジネスモデルを考えていく、あるいは新しい市場をつくっていくという観点が重要になるのではないかと思っております。

そういう意味で言うと、先ほどの外資系の方からのお話にもあったのですが、ある種の新たな切り口の市場インフラをどうアジア域内につくっていくか。しかも、これはリテールを含める形ではなくて、例えばアジアの域内のプロの間での市場インフラをどうつくっていくかという点が、非常に重要ではないか。私の考えでは、インフラができて、それをネットワークで広げていって、その基盤の上に金融商品、コンテンツを載せていくという順序で、金融ビジネスが展開していくのではないか。したがって、そういう新しいビジネスモデルというものを、我が国の金融機関を中心にどのようにこれから展開させていったらいいのかという観点が非常に重要かと思います。非常に抽象的ですけれども、そういう観点から言うと、第2回目に、東京海上日動の方がおっしゃっておられましたが、スタンダダイゼーション(標準化)の重要性、例えば、プロスペクタスなりインフォメーション・メモランダムの標準化等をどう図っていくかというような観点、あるいはアジアにおけるグローバル・カストディアン業務をどうアジアの中で標準化して展開させしていくのかといった観点も、重要になるのではないかと思います。

それに関連しまして、エイジアン・プロフェッショナルとか、クローバル・ホールセールの業務というのは、いろいろな定義があるかと思いますけれども、これからの金融機関のビジネスというものは、おそらくトランザクション・バンキングの一部が中心になっていくのではないかと思っております。といいますのは、かつてのようなROEが20%、30%を超えるような取引、商売というのは、今後は、欧米の金融機関もなかなか難しくなってくるのだろうと思います。お2方の先ほどのご説明の、資料のそれぞれ4ページを見ましても、ROEがJ.P.モルガンの場合には2009、2010年で7%、10%、そしてゴールドマン・サックスの場合には、2009年度が22.5ですけれども、2008年度は11.5%ということで、もちろんこれには債券、為替、コモディティーの運用業務等が多分入っていらっしゃるのかと思いますが、そういう自己運用業務自体もかなりやりにくい状況が、今後欧米の金融機関全体に出てくるとするならば、「戦う土俵としては、日本の金融機関とそれほど変わらない状況」が、これからかなり長年にわたって世界中で起こってくるのではないかという感じもいたします。

そういう意味で、我が国の金融機関にとっても、新たなトランザクション・バンキング、ホールセールのアジア向けの取引の可能性というものが、かなりあるのではないかと思います。

あと一点だけ。先ほど井潟さんからQFIIの話がありました。クオリファイド・フォーリン・インスティチューショナル・インベスターズの略ですけれども、中国では、深?、上海の株式市場を中心に、そういう概念があるのですが、実際に、中国国内の債券市場においては、インターバンク債券市場が、上海や深?の市場とは別に、大変に大きくなっておりまして、そこでもミニQFIIとかマイクロQFIIとか、いろんな言い方をして、新しく外資系を中国国内のインターバンク市場に入れるということも少しずつ進んでいるようでございます。

また、その点に関連しましては、例えば、我が国の事業会社や機関投資家にとっても、今、人民元取引が非常に重要な課題になっていると思いますが、香港のオフショア人民元取引が増えていく状況において、それに続いて、今シンガポールやロンドンでも人民元取引を行いたいという話があるようでございます。例えば、これは一つの例ですが、先ほどの東京プロボンド市場において人民元建ての債券取引ができるようなものは考えられないか。例えば、中国国内のインフレプレッシャーの増大を回避しながら、日系企業グループが持つ人民元建て債権に見合うだけの人民元建ての債務を、その範囲までであればというような条件付きで、バイラテラルな交渉によって、人民元債券発行取引の可能性を日本の企業グループが留保するというようなことも、将来的にはあり得るのではないかと思います。

とりとめなくて済みません。長くなりました。以上です。

○吉野座長

ありがとうございました。

じゃ、小幡委員、それから後藤委員、篠原委員、それから山田委員の順でお願いします。

○小幡委員

すみません、素朴な子どもみたいな発言ばかり本日もしているんですけれども、ちょっと根本的な話を2点というか、2つの軸を考えたいと思うんですけれども、我が国金融業といったときに、これは何だと。今、生保とか、そういう話もあったんですけれども、そういうことではなくて、要は日本市場というこの場なのか、あるいは日本というエリアということなのか、それともいわゆる我々が伝統的に考えている日本の伝統的な金融機関、日本の伝統的な金融機関が、本日いらしていただいているJ.P.モルガンとかゴールドマン・サックスに比べてだめであると、彼らに追いつくためには、彼らからどういうことを学んで、どういうふうにやっていくかと。まねする可能性もありますし、また違うスタイルをとる可能性もあると思うんですけれども、いわゆるもともとのインダストリー、我が国金融業といったときに、日本でとにかくGDPなり、付加価値をもたらす取引があればいいということであれば、極端な話、例えばゴールドマン・サックスとJ.P.モルガンがすばらしいということであれば、ゴールドマン・サックスとJ.P.モルガンの本社が東京に来るぐらい、東京がすごく魅力的で、すべてのグローバル人なら東京に住みたくなるような東京をつくれば、自然と日本市場は発展していくわけですね。この議論は多分過去にも何回か繰り返し形として起きていると思うんですけれども、ただ、この議論をしている中で、その要因がプレーヤーにあるのか場にあるのかということが、すべての論点においてあいまいではないかと思うので、そこを両方ということなのかもしれませんけれども、軸を、ほんとうはメインはどっちかというのを決めたほうがいいのではないかというふうに思います。

それで、ビジネスモデル的な議論も結構多くて、これはもう一つの軸のご提案なんですけれども、議論があるときに、いや、これからの日本の金融業というのはこうあるべきではないかという議論を何となくしているわけですけれども、よくよく考えると、我々がここで考えて思いつくようなことを我が国の金融機関がやっていないというのもちょっと考えられないようなところもありますので、例えば我が国の、先ほどの議論で言うと、我々の、日本の伝統的なある金融機関をグローバルなプレーヤーに育てたいというのが意図だとすると、例えばそういうのを見事にやっているXという銀行があると。YとZはいまいちだ。じゃ、どうしたらみんなXみたいに活躍できるのかというために環境整備をするという考え方と、いや、XもYもZも全くだめであると。だから、我々はここでビジョンを打ち出して、みんなこうやれという方向を示すなり、モデルを示すという考え方、まあまあ雑に言うと2通りあると思うのですが、どっちの路線なのか。今申し上げたこの2つの軸について、ある程度はっきり打ち出していかないと、全体の議論がぼやけてくるというか、エクスクルーシブというか、両方ありということもあると思うのですけれども、そこを一度整理して議論しないと進まないというふうに思います。

○吉野座長

どうもありがとうございました。

じゃ、後藤委員、いかがでしょうか。

○後藤委員

じゃ、手短にまいりますけれども、悩ましい論点であることは重々存じ上げていますし、あるいは既にご指摘いただいたのを単に私が聞き逃したのかもしれませんけれども、国際競争力という場合には、通常やはり税制という論点があり得るわけでして、昨年の税制改正までに相当なご尽力をいただいたことも存じ上げた上で申し上げてはいるんですけれども、やはり中長期的な視点からも、改めて論点整理ぐらいは軽くでもしておく価値はもしかしたらあるのかなという気がしております。

それは金融機関自身の税制ということだけではなくて、もう皆様ご案内のとおりだと思いますけれども、金融市場の税制というのも金融業の場合にはあり得ますので、これは何回考えても考え足りない大きなテーマだと思います。やり過ぎると、深みにはまるとは思いますけれども、こういう視点もあってよろしいのかなという、これはちょっと今気がついた点として申し上げておきます。

○吉野座長

ありがとうございます。

じゃ、篠原委員、永沢委員、山田委員の順でお願いします。

○篠原委員

小幡委員でしたかね。我が国金融業というものをどうとらえるかと。これはやっぱり邦銀という位置づけで見るのか、それとももっと広くするのか、その辺をはっきり確認していかないと、議論が拡散するのではないかという感じがします。

もう一点は、本日我が国金融業の国際競争力の強化ということでペーパーが出ているんですけれども、このワーキング・グループは、国際競争力に絞って議論していく場では必ずしもないと思って、あくまでそれに絞られているというふうに僕は理解してないのですが、例えば国際競争力は非常に大事だと思います。ただ一方で、例えば国内の業務体制をどうするのかということも、これも大変大事だと思うんですね。そことの関連というのは、常に国際協力、グローバル展開と国内展開というのは常に密接に絡んでいると思うんですね。だから、この国内のそういう展開の在り方についてのペーパーというのは、また改めて別な機会に出すのか。出すんですか。

○黒澤総務企画局企画課長

もちろん。

○篠原委員

あくまで本日は国際競争力のペーパーという確認でよろしいんですか。

○吉野座長

ええ。

○篠原委員

それならいいんですけどね。先ほどJ.P.モルガンの方がおっしゃっていたけれども、やっぱりアメリカの向こうではやっぱりリテールでしっかりした基盤をやっていますし、やっぱり基盤があるからまたこういうグローバル展開ができるんだろうと思いますので、その辺のところを常に関連づけながら議論していかないと、国際競争力の在り方がどうだというだけで、ずばっとデジタルに切って議論ばっかりやっていきますと、あるいは国内業務体制の在り方がどうだということでずばっと切って、それだけでやっていきますと、全体の俯瞰図、姿が見えにくくなるので、その辺の議論の進め方については、いずれ融合させていくんでしょうけれども、注意していただきたいなと思います。

○吉野座長

この次ぐらいから国内のこともやる予定です。ありがとうございます。

では、永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

山田さん、どうぞ。

○吉野座長

じゃ、山田委員、先に。

○山田委員

私の非常に単純な意見と、それから感想をちょっと申し述べさせていただきます。なぜ日本の金融もしくは金融機関が行き詰まっているのかといった議論をした場合、多分2つの論点があって、どうも金融だけを見ている感じがするんですね。つまり、金融というのは、今、J.P.モルガンさん、ゴールドマン・サックスさんからもお話がありました顧客があっての金融であって、その顧客がどういうふうに変わっているか、顧客がどういうものを求めているかというのは、多分非常に大きなことだと思うんです。国の在り方は一体何なのかという議論からすると多分わかりやすいと思うんです。

実は、私はおとといまで韓国、台湾に行って、アジア各国取材しているんですが、その一環でいろいろ聞いてきました。例えば韓国も台湾も、実は少子高齢化に直面しています。これから人口が減っていくということですね。その中で、国としてどうやって食べていくか、成り立っていくかということを非常に強烈に思っている国なんですね。韓国の場合は、もう輸出しかない。それはどういうことかというと、ハイテクであり、自動車であり、造船でありということですね。台湾ももちろん輸出、ハイテクですね。こういうものしかないということで、国の強力なバックアップでこういう産業をどんどん強くしていって、日本の企業は実はいろんなところでもう負けているわけですね。

そのとき感じたのは、例えば韓国の場合は輸出しかないと。したがって、輸出で食べていくんだという国民の割り切りというか、もうそれしかないという考え方があるんですね。したがって、例えば、親は子どもを留学させるのは普通ですし、普通のレベルでも英語をしゃべる人が増えている。台湾も同じなんですね。台湾の場合は、例えばハイテク中心ですけれども、台湾の銀行を取材してわかったのは、台湾の銀行は、例えばベトナムとか、そういうところに支店を開いているんです。じゃ、だれがお客さんかといったら、大企業ばもうほとんどインベストメント・バンクの世界なので、中小企業なんです。台湾の地場中小企業がベトナムに行くときにフルサポートをするのが銀行の役割なんだ、こういうことなんですね。

つまり、中小企業が外に出ていくのは、日本以上にもう当たり前になっちゃっているということですね。したがって、国としての覚悟、どうやって生きていくんだという覚悟がどうかという問題だと思います。特に日本の場合は、今はそういう国民の覚悟があるかというとあんまりなくて、日本市場がそこそこ大きな市場なので、GDPは3番ですけれども、要するに既存の業務をやっていけばそこそこ食べていける。だけど、中長期的に見ると縮小均衡はどんどん進んでいくということだと思いますね。そうすると、国民の側にも、それから金融機関の側にもものすごい厳しい緊張感とか問題意識は出てこないということだと思うんですね。日本の金融機関が今やっていることは、例えば取引先に対しての後追い、海外に出ていった後に支店をつくる、駐在員事務所をつくるということなんですけれども、本来であれば、先回りしてそういうことをやっていっていただきたいと思うんですね。

ですから、この議論をすると、多分金融機関ではメガと地銀では全く別の議論ができる。メガの場合は、いろんな議論がありますけれども、要するに株式会社は外国人持株比率が大変高いですから利益が出ないといけない。低利ざや、低成長というのは、確かに低利ざやについては、取引先はいいのかもしれませんけれども、低利ざや、低成長というのは、日本の銀行株がここ20年間下がり続けている最大の原因です。つまり、株式にちゃんとしたリターンができていないということですね。そうやって見ると、この辺の海外進出の議論からすれば、どうやって利益と、こういった業務のものを両立させていくかというのは、多分メガのほうの論点だと思います。アジアについては、実はM&Aがやりづらいんですね。中国もインドも大銀行は全部国有銀行ですから、ですから少数株主出資と、そういうのが中心になっていますけれども、なかなか実際は難しいマーケットだと思います。

実はより論点を先鋭化したいのは地銀のほうでして、要するに、私の持論なんですけれども、お客さんのためになっていますかと。空洞化がどんどん進んでいく中で、駐在員事務所だけでお客さんのためになっていますかということですね。ところが、ある程度サイズがないと海外進出はできないということで、これは一つの提案なんですけれども、例えば地銀が共同してそういう海外に拠点を持てるような仕組みとか、そういうものも必要かなと思っております。

以上です。

○吉野座長

いい意見をありがとうございました。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

私も先ほどから何人かの方がおっしゃいましたが、我が国金融業という言葉が最後までしっくりこなかったので、この辺の定義は、もう少し詳しくしていただく必要があるのではないかなと思っております。

それから、3回にわたりましてこのテーマでお話を伺い、国際競争力の強化のためには、各金融機関の収益力、財務基盤の強化が必要で、今はやりの言葉で言うならば、選択と集中ということが必要とされるということは、私のような金融の専門家ではない者にもよく理解できました。問題意識としては、その結果です。直接に結びつくものかどうかわかりませんが、欧米社会ではかねてよりリテールの分野では顧客の選別が行われた結果、金融の排除という問題が先行して問題になってきているということを伺ったことがあります。銀行預金口座も持つことができない層というものが生じているという問題です。私ども日本人は、今までは金融サービスというものは水や空気のように、当然のようにフリーのものだと思ってきましたけれども、お話を伺う中で、水ももうただではなくなりつつありますが、ATMのような金融サービスというものさえも、それなりの対価を支払わなければ利用できなくなるという事態が起こりうるのではと、一抹の危惧を持ちました。

国際競争力の強化という抽象的な言葉がここにまずあるわけですけれども、そのもとで具体的にどのようなことが生じるのかということについても、やはり予見し対応していくことが必要なのではないかなと思っております。先ほど申しました金融の排除というのは、私の個人的な懸念の一つの例でございまして、おそらく多くの見識のある方々はいろいろなこれから起こり得ることを予見されておりご指摘いただけるのではないかと思います。そのような議論も今後のワーキング・グループの課題なのではないかなというふうに感じた次第です。

以上でございます。

○吉野座長

エクスクルージョンは重要なんですけれども、サブプライムローンの原因がその逆のところにあったということもありまして、各地域にやっぱりある程度銀行は貸さなくちゃいけないというので、それで住宅ローンに低所得者層がずうっと入っていったわけですから、アカウントを持つことは非常に重要だと思いますけれども、どういう借り手に貸していくかというのは、また少し気をつけなくちゃいけない問題かなと思います。

齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(一)委員

大体のお話がもう篠原委員あるいは山田委員から出てしまったので、なぞるようなお話にしかならないのですけれども、今回このペーパーで国際競争力の強化ということですけれども、筋書きとしては、基本的に伝統的なといったらいいんでしょうか、外部環境と内部環境を見て、いわゆるSWOT分析を見て、そこから課題を抽出して、類型論的にビジネスモデルを列挙してというようなスタイルで議論が進められていくのかなというふうに理解させていただきました。

やはりこれも既にご指摘のあったところですけれども、国際競争力をまじめに議論しようとすると、どうしてもターゲットがメガバンクに主に集中してしまうのかなというふうに思ってしまいます。

他方では、ビジネスモデルのほうの類型論的抽出というところにもう一回目を向けてみると、場合によっては必ずしも外にばかり出ていって戦うだけではなくて、国内回帰をしてくるようなものも出てくるかもしれない。そういう点では、国際的な展開をする銀行、あるいは国内と国際と両面見る銀行、あるいは国内に戻ってきてしまう銀行というようないろんな類型が出てくる中で、国内に戻ってくる部面だけにやや着目をすれば、地域に根を張っている地域金融機関、特に地銀であったり、あるいはそれよりももう少しスモールサイズである協同組織金融機関、これに対しての影響もやはり出てくるだろうと。

ですから、国際競争力を議論する際には、やはり地域金融機関に対するある種の目配り、国内をマーケットとしている地域金融機関への目配りというものもコインの裏表のような形で見ておく必要があるのかなと。ですから、問題の切り口あるいは諸点としては、メガバンクを中心とした国際競争力という切り口で議論していくにしても、最後はおそらく国内の金融業界の業界再編というところにつながっていく議論になるのかなというふうに私自身は想像しています。

ということで、国際競争力の議論が今回のペーパーの中では中心になっていますけれども、その裏側でやはり地域のことも少し念頭に置きながら議論を進めてみたらいかがかなということでございます。

○吉野座長

どうもありがとうございます。ちょうど時間になってしまいましたんですが、次回からは、今いろいろな方々から議論がございました地域の金融機関、メガでないところの金融機関の機能をどう向上したらいいかということの議論に入らせていただきたいと思います。

それから、先ほど我が国の金融業といったことに対して皆様からご意見がございましたけれども、これは実は新成長戦略の文書の中に、先ほどの別紙の1なんですけれども、それの第3パラグラフの3行目に「我が国の金融業」という言葉がありまして、ここの定義も考えながら、本日のご意見を踏まえて、また我々なりに提起させていただきたいと思います。

では、黒澤企画課長、どうぞ。

○黒澤総務企画局企画課長

1点補足でございますが、若干議論の整理ということで、諮問事項を改めて確認させていただきますと、「我が国金融業の中長期的在り方の検討」となっています。諮問文を読ませていただきますと、「我が国金融機関の国際競争力の強化、地域経済における金融機能の向上、さらに両者が相まって、我が国経済・金融業の一層の発展を図るための中長期的な課題等の検討」という諮問を大臣からいただいておりますので、したがって、一義的には金融機関、プレーヤーの議論について諮問をいただいておりますので、金融市場の議論というのは、今回は、もちろんしてはいけないということではないのですけれども、二次的な議論であろうということです。また、「我が国金融機関の国際競争力」というのは、あくまでも一つのテーマにすぎませんで、「地域経済における金融機能の向上」、これが2つ目の大きなテーマでして、それを次回以降、しっかりお願いしたいと思っております。

以上が諮問事項の確認でございます。

○篠原委員

ちょっと1点だけいいですか。その地域金融機関の在り方と同時に、やっぱりメガバンクの国内での在り方というのも両方加えて検討していかないと意味がないと思います。

○黒澤総務企画局企画課長

「金融機関」の定義には別に制限はございませんので、地域に対する金融を担っている金融機関すべてが議論の対象になるととらえています。

○篠原委員

全部と。

○黒澤総務企画局企画課長

全部。「金融」という中には、確認でございますけれども、預金取扱金融機関だけではなくて、証券会社及び保険会社も含まれております。

○篠原委員

わかりました。

○吉野座長

活発なご議論をありがとうございました。次回は10月の中旬の金曜日の開催の方向で、また皆様のご都合も伺いながら決めさせていただきたいと思います。

本日も活発なご議論をどうもありがとうございました。これをもちまして終了させていただきます。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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