日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会(第7回)議事要旨

日時:平成14年4月3日(水)18時00分~20時10分

場所:金融庁9F特別会議室

  • 第7回会合においては、事務局からの説明を基に自由討議を行った。

  • 事務局より「米国における金融サービスへのアクセス方策」として、CRA(地域再投資法)の概要及び米国における預金口座普及のための方策の概要について説明

(各委員から出された主な意見は以下のとおり)

  • CRAはマイノリテイが社会的・経済的に差別されている状況の是正について、社会的なコンセンサスの下で実施された社会政策であり、経済政策ではない。マクロ的にもミクロ的にも投資のリターンを高めるために規制緩和を積極的に進めなければいけない日本の環境には逆方向であり、適応性がないのではないか。

  • 98年、99年の資本注入が失敗した理由の1つは、中小企業への目標を設定したこと。もし、対中小企業貸出について一種の社会政策として実施するのであれば、商業銀行ではなく、政府系金融機関を使えばよい。

  • 地域金融機関あるいは信金・信組という協同組織金融機関のあり方をどう考えるか。もともと協同組織金融機関は、相互扶助組織として、薄い自己資本比率のもとで経営を成り立たせているが、自己資本比率で縛ることになじむのかどうか。また、特色的な地場産業があった場合に、その産業が構造的な不況になったら金融機関も破綻してしまうという中で、地域金融機関の健全性やあるべき姿をどう考えたらいいのか。コミュニティバンクとして地域のニーズに応えていけばいいのか、中小企業金融機関として域外にも出て行くべきなのか。

  • 信金・信組の強みは、地場に密着して、地場の中小企業の経営内容が見てわかるというところにある。そういう方向で考えるべきであり、基本的にはテリトリーを広げていくのは難しいのではないか。リスクの集中に対しては、上部機関がある意味で再保険のような形で信用リスクを一旦買い上げてそれを分散するような方法が1つのアイデアとしてあるのではないか。

  • ある地域だけに特化すると、一生懸命審査してもどうしようもないところがあり、スーパーリージョナルで幅広い地域の金融をやらせてあげるのも1つの方法ではないか。協同組織金融機関については、ロスも含めてすべてその中でシェアするべきであり、困ったときには外に対して補助をしろというのはおかしい。また、日本ではアメリカと異なり、預金口座を持たない人がほとんどいなかったというのは、郵便貯金の役割が大きい。

  • ダブルギアリングで、貸出先から資本を募るということは、本当によくないことなのかどうか。銀行形態であれば問題だと思うが、協同組織形態では大なり小なりそういうところがあるのではないか。

  • 協同組織金融機関の仕組み自体に相当問題がある。議決権が出資の額に比例せず1人1票となっていては、いくらでも内部の票を関係者で固めることができる。員外から預金を受け入れるのであれば、会員の預金は、員外の預金に対して劣後させるぐらいのことを考えるべき。また、ダブルギアリングの最大の問題は、見かけの自己資本を高く見せすぎていること。銀行と生保間の持ち合いも含めて、しっかりチェックしていかないと、連鎖破綻のリスクをどんどん高めていくのではないか。

  • CRAについてFRBの担当者に聞いた話では、実際にマーケットを開拓させてみると意外といいビジネスがあったという面でのプラスがあったということだったが、同時に、歪みを生む可能性があり、日本で、例えば、郵便貯金を民営化、独立採算にして、仮に口座維持手数料を取るようになった場合に、一人一口座は無料にしなさいぐらいのことをいうのはあり得ないわけではないと思うが、何かやるとしても、非常に限定的であるべき。

  • 地域金融機関について、地銀レベルであれば、ローンのシンジケーションなどを通じて、域外に拠点がなくても、リスク分散を実現できる道はできてきた。問題はそれ以下のレベルの金融機関であり、広域化すればするほど、金融機関の体力はつく一方で、細やかなところに手が届かなくなる。現状の仕組みの中では、こうした状況を変化させるのはなかなか難しく、政策的に入る余地が考えられるのではないか。

  • 比較はあまり適切でないかもしれないが、例えば、JRが民営化され、ローカル線、第三セクターが撤退して、地域の人はどうするんだという状況があった。金融機関も、業界再編の中で、同じようなことが起きてくることも考えられるが、地方から金融機関が引き上げていったときに、行政としては、それは困ると考えるのか、あるいは公的金融機関で埋めるべきだと考えるのか。

  • 信金・信組は、水が地面に浸透するように小さな企業にも融資しており、地域から引き上げるべきではなく、同時に、そのようなきめ細かいことを政府系金融機関で代替することもできないのではないか。

  • CRAについて否定的な意見が多いが、実際にFRBのレポートを見ると、ほとんどの貸出がprofitableで、貸倒率もほとんど普通のローンと有意な差がない。要は、日本の金融界には収益性という規律が確立されなければならないということではないか。収益性からみると、現在の銀行はリテールのところではほとんど赤字ではないか。例えば、休眠口座でも印紙税を払う、残高照会も無料でさせるといったことが放置されている現状は問題。銀行法で定める公共性というものが、経営失敗の言い訳に使われることが多く、公共性のルール化も必要ではないか。

  • 地域金融機関の組織面から言えば、地場に根ざしたきめの細かい融資ができるということと、組織が小さいということは別問題である。最低資本金制度のようなものを導入してある程度の統合・合併を進める、あるいはその系統金融機関でロスを吸収するというような仕組みは作っていけるのではないか。

  • 地域金融、地域経済の問題は非常に重要だが、第一義的には、地域が考えること。国の政策金融機関でこれを補完するということではなく、公的な関与が何か必要とすれば、自治体の政策融資をもっと拡充するとか、自治体の役割というものを考えていかなければならない。

  • 地域金融機関の中でも立派に経営している金融機関もある。地域のオーバーバンクが問題であり、経営的に弱い銀行や信用金庫が自分の得意でない分野に手を出してしまっている。競争の中で、地域のいくつかの銀行は残るはずであり、公的金融機関が補完するのは適当ではない。

  • そもそも大銀行は本当に儲けたがっているのか。儲けたがっており、それが従業員の行動に反映されているという前提で、議論をしていいのか。今の銀行には、特に大銀行になればなるほど利益を上げようとするビヘイビアが少ないのではないか。また、儲けるというときに、従来のビジネスモデルの中で金利差で稼ぐことばかりやっており、ビジネスモデルを変えようという意識が出てこないのが問題。

  • 事務局より「金融行政組織の在り方」として、近年のわが国の金融行政組織の変遷及び主要国の金融行政組織の概要等について説明

(各委員から出された主な意見は以下のとおり)

  • 日本と英国の金融行政組織は一見似ているように見えるが、違う点は財務局の存在である。金融庁の財務局ではなく、なぜ財務省の財務局なのか。専門家を育成してプロフェッショナルな組織となれるのか。また、金融庁の監督対象として銀行、証券、保険とあるが、英国においては広くカバーしているものを日本においては農水省、国交省等が監督する場合もあり、その違いも重要ではないか。

  • 金融の監督組織の一元化か多元化かという問題がある。米国方式の多元的構造は煩雑で非効率であり、あまり賛成できない。米国内でも監督機関統合といった方向の議論もあるように聞いている。日本版SECの議論を、その延長線上で考えると、SECは証券監督と市場監視を行い、金融庁においては銀行監督を行うということになるが、監督権限が2ヶ所に分かれることによる問題と、1つの組織で行った時の権限の集中の問題とのpros and consをどう考えるか。

  • フランスでは、フランス銀行が検査をするが、上で束ねられて銀行委員会が公表し、全体としてバランスをとっている。日本版SECの議論については、市場の監視と金融機関の監督は違うものである。市場の場合は定められたルールにのっとって客観的にチェックすることが大事であるが、金融機関の監督は新たな金融の動きを盛り込むという行政的な判断があり、この2つは分けて考えるべきではないか。

  • アメリカにおける多元的な行政には、行政競争の考え方がある。例えばFBIとCIAのように同じような行政を競わせている。基本的に監督というのは、「原則自由」の中で何をするのかという前提で考えるべきだが、日本では過剰な監督になる体質がある。また、日本は自治体が小さすぎるのではないか。都道府県レベルの合併という話は聞かないが、地域金融機関に関しては、都道府県の枠を超えた連合的な地域監督機関が考えられないのか。

  • 行政の役割については、public interestを強調する議論になりがちだが、本当にそうなのか。産業の育成という面もあり、そこにもいいところもあると思うが、日本の金融行政は、これまで業者のための行政が行われてきて、そこから抜けきっていないところがあるのではないか。

  • 日本の監督行政においては、過剰な規制というより、むしろ必要な規制をimplementしていないことが問題ではないか。道具はあるのにどうして使っていないのかということ。また、金融産業の再生は重要な問題であり、今後の金融産業をどう導いていくのか。銀行業に自由に儲けてもらうための方策としてはまだ考える余地があるのではないか。組織としてではなく、その中の個々人がどういうインセンティブを持ち、どういう行動をすべきかを考えるべき。

  • 英国的な観点から利用者という共通項でくくると、仲介機関(市場、証券会社、銀行等)を一元的に監督するのは理屈が通っているが、日本の場合、利用者本位という意識、文化がどの程度育っているのか疑問。また、証券市場を育成する技術者、専門家がいない現状を考えると、そういうものを育てるという観点からも、日本版SECを作るというのは大変意義があるのではないか。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課
電話 03(3506)6000 (内線 3514,3515)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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