第65回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

令和6年2月2日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室(オンライン会議)

  • 神作座長

おはようございます。それでは定刻になりましたので、ただいまから、金融トラブル連絡調整協議会の第65回会合を開催いたします。

座長を務めさせていただいております、学習院大学の神作でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

皆様方におかれましては、大変に御多用のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。

 

最初に事務局より、会合に当たっての事務的な御連絡をしていただきます。よろしくお願いいたします。

  • 中尾室長

それでは、申し上げさせていただきます。今回より事務局を務めさせていただきます金融庁金融トラブル解決制度推進室の中尾です。よろしくお願いいたします。

本日の会合につきましては、オンラインによる開催とさせていただいております。会議中は、ビデオの映像機能をオンにしたまま、マイク機能は、御自身が発言されるとき以外はミュートに設定した状態でお願いいたします。

オンラインでの開催のため一般傍聴はなしとさせていただき、メディア等の方々には、金融庁内部の別室にて傍聴いただいております。

なお、議事録は通常どおり作成の上、後日、金融庁のウェブサイトに掲載させていただきます。

事務局より、以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは早速、議事を始めたいと思います。

本日は、まず各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。また本日の議題でございます、「指定紛争解決機関における相談者対応について」に関しましては、指定機関より御説明をお願いしたいと考えております。

これらの説明が終わったところで、一度、御意見・御質問をいただきたいと思います。その後、金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況、及び、金融ADR連絡協議会の概要につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局から御説明をいただき、御意見・御質問を頂戴したいと存じます。

それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

  • 中尾室長

それでは、指定機関における令和5年度上半期の業務実施状況について御説明をさせていただきます。

まず、資料1-1「苦情処理手続実施状況」の表を御覧ください。

表の左手、(1)「苦情処理手続件数」でございますけれども、その左から2番目の項目に「当期の受付件数」及び「前年同期比」を記してございます。その1番下の青色の欄で8機関合計を御覧いただきますと、3,980件と、ほぼ4,000件を受け付けており、前年同期と比べて17%の増加となっております。件数で見ますと指定機関別では、日本損害保険協会、生命保険協会、FINMACなどで件数の増加が見られております。

資料1-2「紛争解決手続実施状況」の表を御覧ください。先ほどと同じく左手の(1)「紛争解決手続件数」の1番下、青色の欄で左から2番目でございますけれども、8機関合計で663件を受け付けており、苦情処理と同じく昨年との比較で17%の増加となっております。これも件数を指定機関別に見ますと、FINMACのほかに生命保険協会、全国銀行協会などで件数が増加しております。

続きまして、資料1-3に移っていただけますでしょうか。苦情処理手続、紛争解決手続、それぞれの棒グラフ及び円グラフがございます。棒グラフが示します受付件数につきましては、先ほど、足元の状況に触れましたので、ここでは円グラフを御覧いただければと思います。

右下のページ表示で2ページ目は、苦情処理手続における結果について、また、3ページ目は、苦情処理手続の終結に要した期間について、それぞれグラフの右側に、令和5年度上半期分のグラフをお示ししております。いずれもグラフ左側の前年同期と比べて、構成比に大幅な変化は認められていないかと思われます。

続きまして、さらに5ページ目には、紛争解決手続における結果につきまして、6ページ目には、紛争解決終結に要した期間について示させていただいております。和解成立の件数が、昨年と比べまして71件増えておりまして、それに伴いまして全体に占める構成比も8%の増加となっております。終結に要した期間につきましては、前年同期と比べて構成比に大きな変化は認められないかと思われます。

このほか、資料2-1につきましては、各業界団体における相談等の件数の推移を、資料2-2につきましては、各指定機関における金融商品別での相談等の件数の状況を、それぞれ御報告いただいたものを基に取りまとめさせていただいております。具体的な説明は割愛させていただきますが、御参照いただければと存じます。

業務実施状況についての事務局からの概要説明は、以上でございます。

  • 神作座長

御説明どうもありがとうございました。

続きまして、「指定紛争解決機関における相談者対応について」のテーマにつきまして、指定機関より御説明をお願いしたいと存じます。

御説明に先立ちまして、本日の議題の趣旨等につきまして、改めて事務局から御説明をお願いいたします。

  • 中尾室長

それでは、テーマであります「指定紛争解決機関における相談者対応について」に関しまして、その趣旨等を事務局より御説明させていただきます。

本日の議題でございますけれども、論点を2つ設けさせていただいております。1つ目の論点は、相談者の満足度を高めるための取組とさせていただいております。これにつきましては、過去の本協議会でも利用者の利便性向上ですとか、信頼性向上といった関連するテーマで議論が行われておりまして、その際、議論の俎上にあげられました利用者アンケートは、現在、8機関全てで実施されており、定着するに至っております。

一方、最近の状況を見ますと、金融ADRに直接関係するものではございませんが、昨年成立しました金融商品取引法の改正では、顧客本位の業務運営の確保という規定が新たに設けられておりまして、顧客対応の重要性は一層高まっていると考えられます。

また、当室では、昨年の秋に初めての試みとしまして、指定機関にお邪魔させていただいてお話を伺う、訪問ヒアリングを実施させていただきました。これは、各機関に直接お邪魔させていただきまして、これまで当室と接点のなかった相談員の方ですとか、紛争解決委員の方から直接お話を伺うなどして、より一層、業務の実態を把握させていただくということを目的に実施したところでございますけれども、その際、多くの関係者の方から、「ADR制度の理念を踏まえ、相談者に寄り添い」といったようなお言葉をいただくと共に、相談者対応における取組等についてお話しいただきました。

この訪問ヒアリングに於いて、皆さんの取組をお聞きしたというところもあり、今回の本協議会では、それらの取組を共有するとともに、相談者対応について、委員の皆様を交えて御議論いただければと考えたところであります。

続きまして、2つ目の論点ですが、カスタマーハラスメント対応とさせていただいております。近年、一般的な用語となっている感もありますカスタマーハラスメントですが、指定機関の皆様に作成をお願いした資料の着眼点では、我々のほうから、相談者による著しい迷惑行為といったような例示もさせていただいておりますが、いわゆるカスハラでございます。

これにつきましては、コロナ禍の3年間における業務上の工夫を議題としました、前回の本協議会においても、幾つか御意見をいただいているところであります。加えまして、相談者対応と同様にカスハラにつきましても、今回の訪問ヒアリングでお話を伺い、8指定機関の皆様が、カスハラ対応に苦慮されているという現状を確認させていただきました。お話を伺った際に対策について、「他の機関もどう考えているのかといったところを知りたい」といったような御意見もいただいたところであります。

そこで、今回の本協議会におきまして、現時点における指定機関のカスハラの状況や、対応状況を取りまとめ、それを踏まえて、本協議会において御議論いただきたいと考え、2つ目の論点とさせていただいたところでございます。

この後、指定機関の皆様から御説明いただく資料でございますが、資料3になります。表紙と目次に続きまして、8機関を1つに編綴しております。内容を御覧いただきますと、当室から着眼点を提示させていただきまして、回答として右側に記載をいただいているというところでございます。

着眼点の概要を申し上げますと、1つ目の論点では、まず相談者の満足度を向上させるための取組をお尋ねさせていただき、続きまして、相談対応と紛争解決対応に分けまして、質向上のための取組をお伺いさせていただいているところでございます。

2番目の論点では、まず発生度合いと、その影響という足元の状況をお尋ねさせていただき、その後は、今までの取組と残された課題などを伺っております。

また、資料3には、参考資料としまして厚生労働省様が公表されている、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」をつけさせていただいております。

ま事務局からは、以上でございます。

  • 神作座長

議題についての説明、どうもありがとうございました。

それでは、各機関の皆様より、御説明をお願いしたいと存じます。8機関合わせて40分程度、お一人様4から5分程度で御説明をお願いできればと存じます。

初めに、全国銀行協会の寺内委員、御説明をどうかよろしくお願いいたします。

  • 寺内委員

全銀協の寺内でございます。よろしくお願いいたします。それでは、5分という時間をいただきましたので、御説明させていただきます。

全ナンバー1の(1)「満足度の向上」でございますけれども、右側の回答で示させていただいておりますように、運営状況を分かりやすくしたり、あとはアニュアルレポートを作成したり、あるいはウェブサイトのほうに相談・苦情受付フォームを設けて、昼夜問わず相談等を受け付けられる体制を整えております。そのほか、外国語などの対応もさせていただいております。

(2)「相談対応の質向上」でございますけれども、これらについても、右のほうで示しておりますように金融知識の習得のほか、全国消費生活相談員協会様の公開シンポジウムなど、外部研修への積極的な参加、あるいは、外部のクレーム応対基礎講座、カスハラ対策研修等を受講して、相談員の質の向上を図っております。

(3)「紛争解決対応の質向上」でございますけれども、こちらも法務省様との意見交換会、またあっせんの終了後、利用者、あるいは相手方銀行に対してアンケートを実施しております。

続いて、ナンバー2のカスハラでございます。ページは、通し番号2ページになります。

私どもには、恒常的にカスハラ的なお客様という方から、お電話等いただいております。週に1、2件、日に大体1件ほどの状況でございます。そのカスハラの影響でございますけれども、相談対応に時間を取られているということは、すなわちほかの利用者の相談が受けられない状態とも言えます。あとは相談員のパフォーマンスの低下や、心の健康的な面の低下・影響というのもあると考えております。

工夫につきましては下のポツ、2つで書いておりますけれども、まずは、可能な限り冷静に意見を聞くように対応をしております。さはさりながら、やはりエスカレーションしますので、1次対応者から上席者へ適宜交代、あるいは、複数人で対応するというような対応を取っております。

カスハラ対策のために、今まで行った取組というのも、こちら右側に、2020年3月から昨年の12月にかけて進めさせていただいております。まずは、内部マニュアルの改訂を行い、2021年1月には、「苦情処理手続および紛争解決手続の実施に関する業務規程」に誹謗中傷等があった場合の対応も示させていただいております。昨年の12月には、カスハラ対応ということで、内部のマニュアルについて改訂し、実施をしております。

私どもから1番伝えさせていただきたいのが(3)「カスハラ対策における残された課題」についてでございます。ページは3ページになります。このカスハラ対策というのは、確かに指定紛争解決機関に対してのカスハラもありますけれども、やはり現場である相手方金融機関に対しても行われているということもありますので、指定紛争解決機関のみで対処する問題ではないと思っております。すなわち相談者、全銀協相談室、金融機関、この3者が三つ巴の関係になっていることを踏まえて、カスハラ対策というものの一定の足並みをそろえていく必要があると、私どもは考えております。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、信託協会の西川委員、御説明をお願いいたします。

  • 西川委員

それでは、御説明申し上げます。

まず、1点目の相談者の満足度を向上させるための取組でございますが、やや、先ほどの全銀協さんとは異なった観点ではございますけれども、まず、電話による相談中の相談者とのやり取りを踏まえまして、その場で聞いておりますほかの相談員が、適宜、その場でサポートをするというようなことを行っております。

また、相談が終わった後の対応でございますが、受付記録を内部的に回しますので、その回答内容につきまして内容の訂正、あるいは、追加的に伝えたほうが良いことがございますればそれをフィードバックしまして、必要に応じまして相談者に対して改めてこちらから御連絡し、御説明するといったことを行っております。

また、間違い電話でも、単に間違い電話ということで切るということではなく、どういったところに連絡したかったのかということを聞き、また、同じような間違い電話があることから、適宜必要な連絡先をその場で教えるといったことを行っております。

2点目でございますが、相談対応の質向上のために行っている取組でございます。信託相談所に比較的多く寄せられている相談事項であるとか、法的に疑問が持たれるような相談、また更には、実務的に複雑な手続を要するようなものとか、こういったようなものにつきましては、相談員の間でディスカッションを行い、理解を深めたり、法的な問題について検討するなどいたしまして、全体の質の向上に努めているということでございます。

3点目でございます。紛争解決対応の質向上のために行っている対応でございます。苦情の申出の段階から、不満に真摯に耳を傾けるということ、また、事後的にも詳細な受付記録を作成しております。お話を伺っている際には、客観的な事実を的確に把握しまして、適宜、事実確認を行いながら、不満のポイントを把握するように努めております。

次に2点目、カスタマーハラスメントの対応でございます。発生度合いにつきましては、記載しております通り、当相談所ではあまり発生していないということで、発生することはあるにせよ、これまで相談員の通常業務に影響を与えるほどの精神的なストレスを生じさせるような、深刻なカスタマーハラスメントを受けたということはございません。そのようなこともございまして、現段階ではそういった影響は見受けられない状況でございます。

また、「工夫」につきましても、現状は深刻なカスタマーハラスメントがないということから、工夫をしているということは、特にないという状況でございます。

(2)でございます。今まで行った取組でございますが、昨年から施行しております業務規程の改正におきまして、カスタマーハラスメントへの対応ということで、担当者への誹謗中傷などがあったときには、手続を終了するという規程を置いております。

次に(3)でございます。カスタマーハラスメント対応における残された課題と今後の対応の方向性ということでございますが、今後の深刻なカスタマーハラスメントを受けたときに、相談員が慌てることなく適切に対応できるように、具体的な対応についてあらかじめ検討しておきたいと考えてございます。なお、当面の対応といたしましては、相談員がそういった状況に遭っているということが見受けられる場合には、上司に電話を替わることで対応したいと考えております。

今後さらに先の方向性といたしましては、本日の議論などを踏まえまして、適切な対応につきまして具体的な検討を進めたいと考えてございます。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

ど続きまして、生命保険協会の紅松委員、御説明をお願いいたします。

  • 紅松委員

どよろしくお願いいたします。資料は7ページ以降となります。

まず、1番の(1)相談者の満足度の向上策でございます。大きく2つの取組を行ってございます。1つ目は利用者、それから保険会社へのアンケートというのを実施してございます。アンケートを通じまして、相談室、相談業務における改善事項などの洗い出しを行っているということでございます。

もう1つは、協会内に設置しております第三者機関におけるチェック・提言等を受けているということでございます。裁定審査会と呼んでおりますけれども、年2回開催させていただいておりまして、相談・苦情の受付状況、裁定審査会の活動状況、それから御説明したアンケートの結果等について御報告しまして、それらを踏まえた委員からの御意見など、業務の改善の取組に生かしているということを行ってございます。

それから、1番目の(2)相談対応の質の向上でございます。記載のとおり、大きく5点の取組を行ってございます。1つ目は、マニュアルの適宜の更新。2つ目は、全国50か所あります相談連絡所における新任管理職の研修。3つ目は、相談連絡所職員を対象とした年に1回の研修。4つ目は、地域別の連絡所の研修。そのほか、月1回の情報提供などを行っているというものでございます。

次ページ、8ページのほうにお進みください。紛争解決対応の質の向上でございます。1点目は、先ほど御説明した利用者のアンケート、このアンケートの項目としまして、サポートする審査会の事務職職員の対応ですとか所要期間、また裁定書の記載内容など、広範にわたって御意見を伺っています。いただいた結果を基に、必要な改善を行っているということでございます。

それから、生命保険協会の紛争解決手続の大きな特徴であると思いますが、原則全ての事案について事情聴取を実施しておりまして、申立人の主張を確認するという作業を行っています。やはり申立人は、法律の構成上の主張がなかなかできないというケースもありますので、そういった方に於いても、御自身の言葉を聞いて、その上で法令的な整理をし、解決に向けた柔軟な対応ができるかどうかということを判断していくということを原則として確認してございます。

また、当会のADRの結果は、特別調停案ということで、原則裁定書という書面で通知することとなっておりますけれども、やはり法律用語を羅列しますと分かりづらい面もありますので、分かりやすさという点も、日頃気をつけて運用しているといった次第でございます。

2番目のカスハラ関係でございます。まず、発生度合いですけれども、苦情処理手続及び紛争解決手続のいずれにおいても、やはり件数はともかく一部発生しているという状況で、対応に苦慮している面もございます。

カスハラの影響でございます。相談員や事務局職員の精神的な疲弊、また、労働意欲や時間が不当に奪われるといった点は懸念している状況でございます。

工夫点でございます。9ページに移らせていただきます。やはり、一部そういうようなケースがある場合は、規定上、電話を切る等、対話を終了するということができることとなっておりますけれども、やはりカスハラ対策としましては、初期対応が重要と位置づけておりまして、制定しておりますマニュアルにおいて先入観の払拭、丁寧に聞く姿勢、相談者に応じた分かりやすい対応、まずこういったことが大切であるということを周知した上で、対応していくというところでございます。

(2)のカスハラ対策でこれまでに行った取組は、記載のとおりでございます。2022年に業務規程を改訂し、それに伴い、必要なマニュアル等の整備を行ってございます。マニュアルにおきまして、最終的に対応困難者という形で認定した場合には、協会と組織として対応を謝絶するというところになってございます。

今後の課題ですけれども、他の機関様とも同様ですが、やはり試行錯誤しながら、よりよい形をつくっていく必要があると思っていまして、必要に応じ、他の機関様とも情報交換を行いながら、ブラッシュアップしていきたいと考えてございます。

以上でございます。

  • 神作座長

続きまして、日本損害保険協会の森脇委員、御説明をお願いいたします。

  • 森脇委員

損保協会の森脇でございます。資料は10ページからとなります。

まず、1の(1)相談者の満足度を向上させるための取組としましては、当センターでは、お客様対応の基本方針と行動指針を定めまして、研修等を通じて周知しております。

また、損害保険の特性上、被害者からの相談を受ける機会がありますので、相談者の心情に配慮した対応を行っております。

(2)相談対応の質の向上のために行っている取組としましては、相談員を指導する主任相談員を対象とした研修を定期的に実施するとともに、表彰制度を設けて優れた対応内容や取組を共有することで、対応の均質化、モチベーションアップを図っております。

また、相談員の対応に対して、相談者から寄せられた不満を集約して共有することで、対応の改善に活用しています。

(3)紛争解決手続の質の向上に向けた取組としましては、手続終了後に利用者に対してアンケートを実施して、対応の改善に活用しております。

また、紛争解決委員を対象として対応の均質化のための全体会議を開催したり、対応の参考となるセミナーの受講を推奨したりしております。

次に2点目の議題、カスタマーハラスメントのところでございます。

(1)カスタマーハラスメントの発生度合いと影響、取り組むべき意見の汲み取りにつきましては、当センターでは、カスタマーハラスメントの定義を定めて、一律に対応しているわけではございませんが、長時間、多数回にわたる入電は一定、寄せられております。このような入電に対しましては、マニュアルに基づき、偏見・先入観を持たず、お客様の苦情・紛争を申し出る権利を尊重するという、当センターの目的を十分に踏まえて、お客様の真意を汲み取るべく公正、中立な立場から丁寧に対応することにしております。

資料の11ページですが、しかしながら一方で、一般的にカスタマーハラスメントと言われているレベルのものにつきましては、当センターの相談員等への安全配慮義務といった点も鑑みますと、汲み取るべき意見を把握するためのコミュニケーションを継続することは難しいといった面もありまして、ケース・バイ・ケースの対応が必要となります。

カスタマーハラスメントの影響等ですけれども、相談員等が1人のお客様にかかり切りになるため、他のお客様の相談機会を奪うと共に、相談員等が疲弊し業務に支障を来すことに繋がると考えております。

(2)カスタマーハラスメントの対策のために行った取組ですが、直接的なカスタマーハラスメント対策ではないものの、利用規定において、当センターの職員、手続実施委員、紛争の相手方を誹謗中傷し、威圧的行動をとったり、円滑な業務を阻害したりする恐れのある行為を行った場合には、業務規程に基づいて、手続を終了することができることとしております。

(3)課題と今後の対応の方向性についてですが、指定紛争機関としてのお客様の権利保護と相談員・職員の労働環境の保全という両面の観点を踏まえつつ、カスタマーハラスメントと認識すべき範囲と対応方針の検討を引き続き行っていきたいと考えております。

私からの御説明は以上となります。

  • 神作座長

続きまして、保険オンブズマンの種村委員にお願いいたします。種村委員は、今回が初めての御参加となります。どうぞよろしくお願いいたします。

  • 種村委員

よろしくお願いします。

13ページから書いておりますけれども、まず、満足度を向上させるために行っている取組ということで、苦情を連絡いただいた方が、論理的なお話があまり得意でないという場合も多々見られ、特に高齢者の方との対応など、本意をきちんとうまく汲み取るという努力をしております。

すみません、2番目の文章が少し分かりづらいのですが、これは特に高齢者が本当に何を言いたいのかという事を、ゆっくり話して、全件きちんと内容を汲み取ってあげるようにしているということになります。

次に対応の質向上ということで、電話だけではなくウェブメールを設定しまして、受付を随時できるように行っています。

それから、(3)の紛争解決対応の質向上というところでいいますと、調停委員の方に関しても、定期的にきちんと人を入れ替えて、増員も含めて、それから経験の良さというのを多く取れるような形でフレッシュブラッドを入れているということになります。

2番目のカスタマーハラスメントというところに行きますけども、感覚的には、それほど多くないというのが現状でありまして、たまに「これはカスハラに入るのかな」というのは、やはりあると。その中で、我々の中で整理しているところとしましては、苦情の担当者や、調停委員に対するハラスメントが1つと、あと事業者に対して不満があって、それをかなり強い言葉でいろんなことをおっしゃるというのを、こちらに持ってくるというケースがあります。これが今の現状、我々が経験するようなハラスメントになっています。

そういうものに対して、どういうふうにやるかというと、1つの例ですが、色々と言いたいことがあって何を言っているか分からないという方には、「まずメールで書いてみてください」というようなお話をさせていただいています。

(2)のカスハラ対策のためにやっている取組ということで、やはり興奮されている方が多いので、その興奮をいかに取り除くかということ。それから回答に対して、余計に興奮をするという方がいらっしゃいますので、聞くものは聞いて、回答は文書にして出しますと、一旦、そこはそれで引き取っていただいて、紙でいろんなやり取りで続けるというような形をしております。

3番、今後の対応というのは、今までのことを続けていこうかなと考えております。

以上、保険オンブズマンです。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、日本少額短期保険協会の大槻委員、御説明をお願いいたします。

  • 大槻委員

少額短期保険協会の大槻でございます。よろしくお願いいたします。

まず1点目、(1)の相談者の満足度を向上させるために行っている取組ということですけれども、実態としますと、お客様御自身が、御自分自身で十分に理解・整理されないで相談、あるいは苦情ともつかないような状態、とはいえ、お客様御自身がストレスを感じているという状態で連絡をしてこられるケースは少なくございませんので、そういう意味では、記載のとおり、お客様の関心事が解決できるまで、不明な点があればいつでも当機関に連絡いただくようにお伝えをするというような形で、丁寧な対応をしているというところでございます。

当協会の機関は、1拠点でかつ2人のベテランの相談員が対応しておりますので、理詰め的な対応について、ここでは記載をさせていただいております。

それから2つ目でございますけれども、質向上という意味では、先ほどのお話同様に丁寧に会話するということと、1回の通話で終了することなく、了解を得て業者にも情報を提供した上で、相談者のレベルに応じて関心事の解決をできるようにアシストをしているという状況でございます。

次に紛争解決についてですけれども、ここにおきましては、苦情前置主義でございますので、苦情の段階で可能な限り業者の保有する資料の提供を促して、争点を明確にするということで、その後の裁定審理につなげるということを心がけております。

それと、裁定審理の前に和解ができるのであれば、そこに向けて業者に対するアドバイス等をしていくという状況でございます。

次に、カスハラについてですけれども、発生度合いとすると、記載のとおり極めて少なく、大きく2つに分けますと、いわゆる軽いカスハラといいますか、長時間電話をしてくる、これは、2年に1回程度。次に、威圧的・暴力的な手段をちらつかせるというのは、10年に2回ほどでございますので、そういう意味では、発生度合いは極めて少ないと認識しております。

とはいえその中で、汲み取るべきお話があるのであれば、丁寧に聞いた上で、相談・苦情の対応をさせていただいているというところでございます。

最後、カスハラ対策に関して求めるという意味では、金融機関を横断的に、ガイドライン等の検討をお願いしたいと考えているところでございます。

少短協会からは、以上でございます。

  • 神作座長

続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの丸野委員、御説明をお願いいたします。

  • 丸野委員

FINMACの丸野でございます。資料は18ページになります。まず、項目1番の(1)でございます。満足度を向上させるための取組ですけれども、2点書かせていただきました。アクセス手段の多様化として、我々はフリーダイヤルによる電話は相談をメインとし、ファクス、郵送による受付に加え、直接事務所に来ていただいても御相談を受け付けるようにしています。また、ウェブサイトに相談フォームを掲載しています。こちらは、深夜や土日にも利用実績がありますので、アクセス手段として一定の効果があると思っています。

また、相談員による適切な対応として、なるべく丁寧な態度で接するということ、相談者の話を遮ることなく、しっかりお話を聞くということに努めています。また、説明をしなければいけない事項につきましては、丁寧、ソフトな口調で分かりやすく説明するということに努めています。

苦情を金融機関に取り次ぐ場合には、迅速に取り次いでいます。基本的には当日中に取り次いでいます。

続きまして、(2)でございます。相談員研修を実施するなどしています。能力あるいは知識向上のための研修のみならず、心の健康を維持するというような観点からの研修も行っています。

また、日々の苦情・相談の内容につきましては、全ての相談員で共有する為に、紙ベースでの回覧を行っています。

また、自分一人では解決困難な事例も、状況によっては出てきますが、気軽に管理職とかベテランの相談員に相談できるような体制構築を行っています。

続きまして、(3)でございます。紛争解決のための質の向上についてです。情報共有を目的に、年に1回、紛争解決委員に集まっていただきまして、あっせん業務研究会という会合を実施しています。この中では、事例の紹介を行うなどして、情報共有に努めると共に、「あっせん事例集」というのを年1回作りまして、各委員へ配付しています。

また、他機関でも実施されていると思いますが、利用者アンケートを行って、その結果を紛争解決委員にも紹介しています。希望する紛争解決委員には、御自身が担当された事案の生データを提供しています。

続きまして2番目、カスハラ関係でございます。(1)でございます。発生度合いですが、2022年度の状況を見ますと、0.1%程度にとどまるという状況です。印象的な事案があると、少し心に残るのですけれども、数としては、それほど出ていないと言う状況です。

続きまして、カスハラの影響でございます。相談員への影響としては、ここに書きましたとおり、恐怖感・苦痛による健康不良の発生、業務効率の低下といった影響がございます。

また、組織全体への影響としましては、相談員への影響から生じるものと思いますけれども、我々の目的である金融商品取引の苦情申出などへの対応が停滞することになること。また、相談員が必要以上に拘束されることになり、限られた電話回線でございますので、その電話回線が1本塞がると、相談をしたい方からの電話を受けられなくなってしまうということがあると思います。

これらに対する工夫でございますが、基本的なことは、先ほど申し上げたこととも重複するのですけれども、なるべく丁寧に対応して、申出の趣旨の把握に努めているということでございます。

(2)カスハラ対策のために行ってきた取組でございます。昨年、業務規程を改正いたしまして、相談員への恫喝・脅迫・その他により苦情対応を円滑に行うことが困難と認められるときには、苦情対応を終了するという規定を設けました。

20ページになります。20ページの上の段でございますが、相談員をはじめとする従業員への心の健康保持・増進といった観点から、メンタルヘルス研修などを実施しています。

最後、(3)でございます。基本的には、丁寧に話を聞いていくということを続けていこうと思っています。ここで書かせていただきましたのは、私どもは、先ほども申し上げましたようにフリーダイヤルを使っているので、まだ正確に数値が取れている訳ではないのですけれども、カスハラをするような申出者というのは、電話番号を非通知にしていることが見受けられるという傾向があるのではないかと思っています。今後、より分析を進めまして、それらの抑止力となり得る対策が取れれば、考えていきたいと思っている次第でございます。

説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、最後に日本貸金業協会の菅原委員、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 菅原委員

日本貸金業協会、菅原でございます。では、資料は21ページでございます。

まず、相談者の顧客満足度という点ですけれども、当協会については、苦情、それから紛争のほかに多重債務の相談というのもございまして、こういった方に対して、こちらに記載のとおり対応の留意点ですとか、心構え、具体的なトークスクリプト、こういったものも記載した相談対応聞き取りの手引きを作って、相談職員にこれを周知し、その中身をよく理解をして相談対応をしているということです。

それから、全国に有人の支部が10か所ほどありますけれども、ここの職員も、一部相談を受けておりますので、こういった方々への研修にも、この手引きを使ってやっているということでございます。

それと、相談原因の1つ、多重債務の相談を受ける中で依存的な問題を抱えている方がいらっしゃいます。特に多いのは、ギャンブルに依存をしてしまって多額な債務を抱えている方がいらっしゃいますけれども、こういった方に対しては、しっかりとお話を伺って、適切な、例えばここに書いてございます治療、医療センターを案内するとか、こういったようなこともしています。

この相談員については、産業カウンセラーですとか、資格を持った者をさらに訓練をしながら、カウンセリングスキルを使って、よく話を聞き取るというようなことをしているということでございます。

それから、その相談員の質向上のための取組ということですけれども、こちらに記載のとおり、ミステリーコールを定期的、これは大体2年に1度ぐらいですけれども外部評価をしていただいて、問題点ですとか課題点、こういったものを洗い出して、それをフィードバックして、研修等にも生かしていくというようなことをしております。

それから、このポツの2つ目ですけれども、スキルアップ研修、これは先ほど申し上げた手引き等を使いながら講義を行ったり、あるいは、実際にロールプレーイングを行いながら、相談の質を高めるというようなことの対応をしております。

それから、カウンセリングの内容につきましては、この事案をケースカンファレンスということで相談に当たる、カウンセリングに当たっているメンバーが、定期的にこの事例の研究をするというような取組もしております。

それから、相談の参考情報ということで、一定項目の仕組みですとか、内容等をまとめたものを各自持っておりまして、そういったものでアドバイスですとか、知識をしっかりと手元に持った上で対応するというようなこともしております。

それから、(3)紛争解決対応の質向上のために行っている取組ということですと、ほかの協会さんでも行われているように、アンケートの実施です。こういったことを行いながら、対応の改善に結びつける。あとは、紛争解決委員(弁護士)が年に1回程度ですけれども意見交換を行って、対応が異なることがないように、すり合わせ等もしっかりと行っているということでございます。

それから2番目のカスハラですけれども、発生度合いでいうと、ここには月1件程度と書いてございますけれども、1件程度あるかないかということで、数としては非常に少なくなっています。対応については、まずはしっかりとガス抜きというか、話をよく聞いた上で我々ができることとできないことを、しっかりと伝えていくというような対応になろうかと思います。

カスハラの影響というのは、何といってもやはり相談員のメンタル疲弊ということになりますけれども、ここについてはしっかりとフォロー、あるいは終わった段階でよく話を聞く、そういったことはしっかりとやっていくということです。ただ、人材確保とここに書いていますけれども、やはりそういった対応をしているということで、なかなかこの担当になりたくないという人もいますので、その辺りの誤解を招かないように、しっかりとやっていきたいと思います。

あとはカスハラというのは、電話のモニタリングができますので、ちょっと電話が長いなとか、ちょっと困っているようだな、ということであれば、すぐ上席が替わって対応をするというような対応の工夫はしているところでございます。

それから、最後のところで今後の課題です。今後の対応の方向性ですけれども、カスハラ対応のマニュアルの作成については検討中です。しっかりとしたものを作って、その後は周知や研修等も行っていきたいと思っております。

貸金業協会は、以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

指定機関の皆様、御説明大変ありがとうございました。ここで、金融庁において金融機関の利用者から寄せられている御相談への対応を行っていらっしゃいます、金融庁金融サービス利用者相談室の取組等がございましたら、御説明をお願いしたいと存じます。

青木委員、よろしくお願いいたします。

  • 青木委員

金融庁金融サービス利用者相談室の青木でございます。よろしくお願いいたします。資料はございませんが、私のほうから当相談室におけるカスタマーハラスメントの取組について、簡単に御説明させていただきます。

相談者からの恫喝や暴言については、多くはないものの、相談員が受けることは恒常的にございます。当室では、従前より相談員向けの事務手順におきまして、相談者から誹謗中傷や不適切な発言があった場合には管理スタッフに報告し、管理スタッフは、当該相談内容の通話モニタリングを行い、切電などを含めた適切な対応を行う旨の規定をしてございます。

実際に相談者から恫喝や暴言が発せられた場合には、その旨を警告し、繰り返されるような場合には切電することとしております。また、相談員への加害行為等についての発言や行為があった場合には、所轄警察へ都度相談を行うというような対応をすることとしております。

なお、カスタマーハラスメント対応も含めまして、外部講師を迎えて、相談員向けにメンタルヘルス研修を年1回実施しているところでございます。

簡単ではございますけれども、相談室からは以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、これまでの御説明につきまして、御意見・御質問をお願いしたいと存じます。また、消費者機関団体、あるいは自主規制機関、業界団体の皆様を含め、参考になる事柄などに御言及いただけますと、大変ありがたいと存じます。

御発言に当たり、事務局より事務的なお願いがございます。よろしくお願いいたします。

  • 中尾室長

それでは事務局より、お伝えさせていただきます。

御発言を希望される際には、会議システムのチャット機能により、お名前と所属組織を御入力の上、全員宛てにお送りください。チャットの初期設定が全員宛てになっているかと思いますので、事務局宛てではなく、そのまま全員宛てでお願いいたします。座長がチャットを確認されまして指名されますので、御指名のあった委員はマイクのミュートを解除し、御自身のお名前をおっしゃっていただいた後、御発言いただければと存じます。御発言を終わられましたら、ミュートにお戻し願います。

以上でございます。

 
  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、これまでの御議論、御報告を踏まえまして、皆様から御発言がございましたら、ぜひお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。オンラインで御参加の方は、チャットでご発言のご希望をお寄せください。

それでは、森下先生、御発言ください。

  • 森下委員

ありがとうございました。大変勉強になりました。

今日の前半のほうで、満足度の向上、質の向上ということでいろいろな取組をされているというお話がありました。機関ごとに多様なお話だったと思うのですけれども、満足度の向上のための取組をなされていく中で、満足度の源泉、満足度を向上させるといったときの多様なアプローチがあり得ると思うのですけれども、一番大事なところは何だろうとお感じになられているのかということに、非常に感心を持ちました。

何団体かでアンケートを取られているというお話があったと思うのですけれども、そういったアンケートの中から伺われる、利用者の満足度の源泉というようなものについて、もし簡潔にお話をいただけるのであれば、そういったようなものを共有するというのは、この会議の趣旨にもかなうのではないかなと感じました。

以上でございます。

  • 神作座長

御指摘ありがとうございます。

ただいま森下委員から、満足度の源泉について御質問がございましたが、それについてもし8機関、あるいはそれ以外の御参加の方から御発言等がございましたら、おっしゃっていただければと存じますが、いかがでしょうか。特にここでの御発言はよろしゅうございますか。

それでは、次に、坂先生、どうぞ御発言ください。

  • 坂委員

ありがとうございます。よろしくお願いします。私のほうからは、主として2つ目の論点について、やや項目的になるかと思いますが総論的に2点、厚労省のマニュアルについて3点、それから各機関のご報告についてコメントさせていただければと思います。

まず、総論的な1点目ですけども、対応が困難な相談者や申請人は、私たちも相談現場やADR等の手続の中で経験するところです。ここ2年ぐらいで顕著に増えてきていると感じております。社会的な課題であり、各現場の取組を通じるとともに、広く社会的に予防・対応・解決の力を高めていくということが必要と感じております。

2点目ですけども、困難な相談者・申請者が、なぜそのような行動になるのかについて、心理学的あるいは精神医学的、社会学的な知見・知識も必要と思います。予防やエスカレーション防止の観点からも、かかる知見からの効果的な対応を検討することが必要かと思います。

次に、厚労省のマニュアルですけども、11ページの判断基準ないし検討基準について発言させていただきたいと思いますが、この点が難しいところと感じております。要求内容の妥当性と、手段、対応の相当性については、金融事業者においても適用できる枠組みであり、重要と思われる点について、3点申し上げたいと思います。

1点目は、要求内容の妥当性の検討基準で、この点、金融事業者あるいは金融ADR等では、顧客本位の業務運営や金融市場への信頼確保等の観点から、妥当な解決を目指されているところに難しさ、御苦労があると拝察をしております。この点、最近の解決事例を公表資料にて拝見する機会がございましたが、その御尽力に改めて敬意を表したいと思いますし、上記の観点はこの場面においても重要な点と思っております。

2点目は、やはりここでも実態把握が重要と思います。要求内容に妥当性があるかを見極めるには、ある程度、内容を知り、実態を把握することが必要です。ここで相談者らに冷静になることを促し、必要事項を聞き分けるスキルが求められているものと思います。

3点目ですが、相談窓口やADRでは、そのような対応を粛々と行い、確認すべき事項を確認し、対応の仕方も含め一定の見解と方向性を見出した後は、丁寧かつ毅然とした対応が求められるようにも思います。もっともその見解と対応が、広く顧客の理解を得られるものであることが肝要と思います。

次に各機関からの御報告についてです。困難な相談者等に対しても、冷静に取り組むべき意見の聴取に御尽力いただいているというふうに受け止めております。困難とは思いますけれども、対応の技術とスキルの向上、効率的、あるいはイノベーティブな取組をお願いしたいと思います。

個別の御報告について、まず、生命保険協会の9ページでは、初期対応が重要と位置づけて、注意事項として先入観の払拭、丁寧に聞く姿勢、相談者に応じた分かりやすい説明等の周知が取り組まれているということです。それから、保険オンブズマンの13ページ、14ページでは、声を荒げる相談者にはメール等、電話以外のコミュニケーション手段を使用して、本意を聞き出すとございます。こういった取組は非常に重要と思います。

それから、少額短期保険協会の17ページでは、ハラスメント事案と判断される事案では、相談者の心理状態を見極め、会話等の中で終了方向を見いだす技術が必要というふうな御指摘がございます。

FINMACの20ページでは、カスハラをするような申出者は、電話番号を非通知としていることが見受けられるという御指摘がございまして、こういった点について、先入観や偏見につながらないように配慮しながら、こういった分析を行い、必要な対応を図ることが必要と感じております。

以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、沖野先生、御発言ください。

  • 沖野委員

沖野でございます。2項目について、詳細なそれぞれの取組をお聞かせくださいまして、ありがとうございました。

私から、1つは、第1点目につきまして、全国銀行協会の御報告を契機として、少し伺わせていただきたいことがございます。もう1つは、2項目目のカスハラと言われる問題についてでございます。

1点目でございますが、取り分け今回、興味深いと思われた点に、英・中・韓での外国語での対応というのを2019年から実施しているという点でございます。障害を持つ方ですとか、あるいは高齢の方、それから外国の方で日本語や、あるいは日本の習慣になかなか馴染みのない方、このような方々をどう受け止めていくかということについては、脆弱な消費者への対応ですとか、あるいは多様性と包摂性という観点からも、重要な課題として今まで受け止められてきましたが、ただこの外国の方、あるいは外国語を母国語とする方への対応というのは、あまり具体化されてこなかったと思われます。それが今回、このような形で御紹介いただいたのは、非常に興味深いことに思われます。

これは1つには、例えば、海外送金をめぐる相談や苦情があるといった、当該金融機関で生じるトラブルが影響しているのかと思いますけれども、ただこの点は、やはり今後も重要になってくるのではないかと思われることから、そういうことではないかという点を申し上げるとともに、もし他機関におかれましても、特に外国の方への対応として、何か取組をされていることがあれば、御教示いただければと思いました。

それから、全国銀行協会の御説明に対しては、英・中・韓に対応しているということなのですけれども、これは具体的にどうされているのか、それが話せる方を配置するというのは、なかなか難しいような気もいたしますし、お話があったのをスイッチしていくのかもしれないのですが、もしもう少し具体的にお話があれば、教えていただけるとありがたいと思いました。

2点目が、2項目目の点ですけれども、カスタマーハラスメントの問題は、非常に顕在化しているといいますか、あるいはコロナの影響ということもあるのかもしれません。しかし、これに取り組むということは、適正な相談の確保という点からも、相談員の方の労務管理ですとか、人材確保の点からも非常に重要で、どの機関もその観点から受け止められているということを、大変心強く思ったところでございます。

それに関しましてですけれども、1つは、この問題は、恐らく消費者関係の現場では、かなり前から問題として意識されてきたように思っております。電話対応だけではなくて、対面で相談に当たるときも、相談員の物理的な配置ですとか、そういうことなどもノウハウを積み重ねていらっしゃると思いますので、金融機関相互だけではなくて、まさにそういった他機関との意見交換の中でも、これらの点についても目を向けていただけると、互いに有用なのではないかと感じたところでございます。

それから、それぞれの機関によって状況が違いますので、なかなか一律にというのは難しいとは思いますけれども、御報告の中で、金融機関で統一的・横断的なガイドラインが考えられるのではないかということが、日本少額保険協会の方から御指摘がありました。実現はなかなか難しいとは思うのですが、ただ、相談者からすれば、他機関ではこういう形で受け付けてくれたのに、こちらはというようなことで、不公平感ですとか、ひいてはADRに対する不信につながるというようなこともありますので、こういう方針・態度であるということを公表していくということも、大事ではないかと思っております。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

御質問があったと思います。まず、全銀協の方にお尋ねさせていただきたいと思いますけども、英・中・韓、外国語による対応の運用の実態について、もう少し詳しく御説明をいただけますでしょうか。

そしてその後、他機関におかれまして、外国語対応をしているようなことがございましたら、ぜひ、御教示いただければと思います。

まずは、全銀協の方、ご回答をお願いできますでしょうか。

  • 寺内委員

全国銀行協会でございます。

この外国語対応につきましては、通訳会社を入れて、3者間通話といった形で話をしております。通訳会社と消費者の方がお話ししているときには、全銀協側は黙って聞いていて、通訳会社から、外国の方がおっしゃっていることを日本語で全銀協に伝えていただき、全銀協から日本語による回答を伝え、通訳会社からその外国の方に回答してもらうといった態勢を取っております。大体、月に今は10件以上の状況でございます。外国語としては、英語と中国語が多いように思われます。

あと、2点目の外国人からの銀行取引に関する相談が多くなってきているという現状がございます。具体的にその相談内容としましては、銀行口座を開設したいのだけれども断られたというような場合とか、あるいは母国へ送金したい、仕事の取引先への支払いのため、外国への送金を依頼したいのだけれども断られたといったもの。あるいは、住宅ローンを申し込んだのだけれども、永住権を持っていない、という御相談も入ってきております。比較的こういう相談が多くなってきている昨今、私どもは早い段階で外国語対応の相談窓口を設けております。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

他機関におかれまして、外国語の対応をされていることがございましたら、御教示いただければと思いますが、いかがでしょうか。ミュートを外して御発言いただいても結構です。

  • 髙村代理

では、すみません。東京都消費生活総合センターでございます。相談課長をやっております、髙村です。本日は、よろしくお願いいたします。

  • 神作座長

よろしくお願いします。

  • 髙村代理

東京都消費生活総合センターでは、数年前から全銀協さんと同じように、英語・韓国語・中国語の3か国語を3者間通話で対応しておりましたが、今年度から、タガログ語とベトナム語の2か国語を加えまして、5か国語の対応をさせていただいております。

内容としましては、やはり賃貸アパートを借りたというものが最も多く、他にも日本語学校に通う方からの相談が多く寄せられています。英語と中国語、特に中国語がすごく増えているような状況でございます。今年度、増やしたものとしては、ベトナム語の相談が数件入ってきておりまして、タガログ語・韓国語が少ない印象でございます。

やはり消費生活センターなので、ちょっと海外から来ている方の、買物的なお話もありますが、外国語相談は昨年に比べても相当増えているような感触でございます。

簡単ですが、以上です。

  • 神作座長

ありがとうございました。

ほかの機関、あるいは団体等におかれまして、外国語対応について御発言いただける方がいらっしゃいましたら、どうかミュートを外して御発言いただければと存じます。よろしゅうございますか。

沖野先生、何か追加の御発言はございますでしょうか。

  • 沖野委員

結構です。よく分かりました。ありがとうございます。

  • 神作座長

ありがとうございます。

また、2つ目の御指摘として、カスハラ対応で、これまた特に消費者団体、あるいは消費者機関の方の取組が非常に参考になるのではないかという御指摘がありましたけれども、カスハラ対応につきまして、消費者機関ですとか消費者団体、あるいは他の自主規制機関、業界団体等から取組について御披露いただけることがございましたら、御発言いただけると大変ありがたいと存じます。いかがでしょうか。

消費者庁の加藤委員、御発言いただくことはできますでしょうか。

  • 加藤委員

消費者庁の加藤でございます。

消費者庁におきましても、高圧的な相談者などへの対応ということで、消費生活相談の現場においても課題になっていると考えておりまして、2021年になりますけれども、「対応困難者への相談対応の標準マニュアル」ということで作成をしましたものがございます。こちらを、各自治体におかれての部内の御参考の資料ということで、活用いただいているという状況でございます。

内容としましては、先ほど、いろいろと御報告いただきました内容と共通するところがございますけれども、例えば、説明を尽くしても同じ主張を繰り返すですとか、罵詈雑言を浴びせるといった、話が進展しないような場合に相談を終了させていくということですとか、相談員から職員への引継ぎのお話ですとか、必要に応じて警備員や警察に連絡するといったような組織的な対応、そうした内容について標準的な対応の流れを示しておりまして、こうしたことを研修ですとか、メンタルケアの取組などと併せて、相談現場の御支援をしているという状況でございます。いろいろな啓発にも取り組んでいったりもしますけれども、こうしたことを通じて、現場の御支援をしているという状況でございます。

以上でございます。

  • 神作座長
 大変ありがとうございました。

他の機関、団体等で、カスハラ対応について御披露いただければと思いますけれども、もし御発言がございましたら、ミュートを外して、直接御発言いただければと存じますが、いかがでしょうか。

お願いいたします。

  • 渡邊委員

全相協、渡邊です。よろしくお願いします。

 
  • 神作座長

渡邊委員、お願いいたします。

  • 渡邊委員

今、消費者庁のほうから御説明がありました、マニュアルを基本的に、私どもは基にしまして、消費者生活相談窓口は各自治体で運営しておりまして、それぞれのやり方がありますから、「こうしています」というのは、なかなか難しいところです。私どもも、週末相談を持ってはおりますけれども、そのマニュアルに沿った対応をしている、基本的には、とにかく1人で対応しない、組織として対応するという姿勢を必ず取るというところでございます。

それとやはり、具体的な相談がきっかけになる場合が多いわけですから、そこの汲み取りをいかにうまくやっていくか、丁寧にやっていくかということに力を入れております。

以上です。

  • 神作座長

大変参考になる御発言と存じます。ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。では、もしよろしければ先に進ませていただきます。

斎藤先生、御発言ください。

  • 斎藤委員

ありがとうございます。弁護士の斎藤です。

今回のこのテーマは、非常に時機に適したテーマだと思いました。日弁連のほうでも、年に1回、各全国の単位会の紛争解決機関の事務局が集まって、お互いにいろんな実務運営の意見交換をする会があるのですけれども、今年度のテーマが、やはりクレーム対応でした。各地からいろんな話が出て、カスハラという言葉を使うかどうかは別として、やはりクレームに苦慮しているという実態があります。

また、クライアントの企業の方の話を聞いていても、各コールセンターで非常にカスハラが増えているという悩みを持っている企業も多く、コロナの時期を経て急に増えたのだという話もありますけれども、いずれにしても今回こういった形で意見交換できるというのは、非常にいいテーマだと思いました。

弁護士会のほうでも、他会の対応に関する意見を聞いて参考になったという声がありましたけども、今日のように、ほかの紛争解決機関がどういう対応をしているのかという共有をするというのは、とても良いと思います。

今日のテーマに関する質問の1と2は、なかなか対照的な質問で、まさにこの2つのバランスというのが難しいと思うのです。損保協会の方も11ページに今後の課題として、「お客様の権利保護と、相談員・職員の労働環境の保全の両立」と書いていただきましたけども、まさにこの両立をどうしたらいいのか。金融の方々は、皆さん、顧客本位の業務運営が常に頭にあると思うので、その辺を図りつつも、同時に、カスハラにどう対応したらいいかというのは、非常に難しいというのが悩みだと思うのです。マニュアルを作るとか、いろいろな研修をするとか、いろいろ工夫されると思うのですけども、マニュアルを作っても、結局、カスハラの定義にしても社会相当性の範囲を逸脱した、というような抽象的な書き方になってしまって、具体的にどう判断するのかというのが、かなり難しいだろうと思います。

カスハラといっても判断が難しいものと明らかなカスハラと2類型あると思います。

まず、微妙な事案、段階的にだんだん感情的になって、どこかのレベルまで行くとカスハラになるというような類型。これはまさにいろいろな対応策が言われているところで、こういう言葉を使ってはいけないとか、相手の興奮を静めるためにこういう言葉を使ったほうがいいとか、という様な、いろいろなテクニックがあると思います。これは消費者の専門家の先生方から、ぜひアドバイスいただきたいところですけども、そういったところが重要になってくる。そして、エスカレートした場合に、社会的相当性を逸脱したかどうかの判断。これは担当者と顧客、相手方との会話の中で、徐々に興奮していくというときに、どの段階からカスハラかという判断は、客観的に第三者、例えば上司なりが聞いて判断していくのが大事だと思います。客観的には顧客にもう少し寄り添うべきところを、担当者がカスハラと判断してしまう場合もあると思うので、その辺の現場での難しい判断を、どう客観化、適正化しているかというのが課題だと思います。

もう1つのカスハラは、明らかにカスハラであるケース。悪意を持っている、あるいは、もう誰がどう話をしようが、少し言葉は悪いですけど異常な対応をされる方。暴力を振るったら、もうこれは明らかにその範疇に入ると思いますし、暴力をほのめかしたという場合でもその範疇に入ると思いますが、その範疇に入ったら、もうとにかく考えるべきは対応者のほうの安全保護も含めた対策を、また精神的な安全保護についても考えるべきかなと思います。

担当者やいろいろな相談者からも話も聞くのですけども、名前を出すこと自体を非常に恐れている。お前のフルネームを言えと言われて、名前を言うことが非常に怖くてしょうがないというような話も聞きますので、そういった明らかなカスハラのケースでは、いかに担当者に1人で対応させないかが大事だと思います。機関として、団体として対峙するというような工夫が必要だし、そういう仕組みも必要かなと思います。

苦情相談の担当者だけでなく、あっせんの時でも同様だと思います。あっせん人は、当然フルネームは出ちゃうわけですけども、そのようなときに、例えば、あっせん人判断であっせんを打ち切った場合に、あっせん人が、その後で恨みを買うということもあって、あっせん人の中にはそれにおびえる方もいると聞きます。例えば、あっせん人ではなく運営委員会のほうで打切りを決めることができる規定をつくるとか、そういったように、個人じゃなくて団体としてきちんと対峙できるような形にすることによって、担当者の精神的安定も図れるのかなと思います。

非常に難しい問題で、私もなかなか具体的なアイデアがなく、クライアントの相談からも苦慮しているところですけれども、今回、先生方の、ほかの委員の方の意見も大変参考になりましたし、このように意見交換により情報共有を続けるといいのかなと思いました。

以上でございます。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

それでは続きまして、田中委員、御発言ください。

  • 田中委員

ありがとうございます。まず、今日の2つのテーマは、金融ADRにとって大事なテーマと理解しております。私個人としても肌感覚で、この頃は難しいことが多いなということを感じており、その中で議事録等も公になる中で、各機関ともお話ししづらいテーマでお話ししていただいていることに、心から感謝しております。ありがとうございます。

私からは御質問というよりか、金融ADRの発足当時から関わらせていただいている者としてのお願いと、こういった研修をさせていただいている立場から2点について、お話しさせていただきます。

まず1点目なのですけれども、金融ADRが発足から、これだけの年月がたってしまうと、何で金融ADRができたのかとか、金融ADRにどういう弊害というか、消費者の方からどういう見え方をされているのか、だからこそ金融ADRは、こういう姿が必要なのだというところの理念的なものというのが、代が替わると引継がれにくくなってしまっているところというのが、あるのかなと思っています。

向かうべき先、何に向って金融ADRがあるのかというと、これは利用者である消費者であるということは、やはり思い出さなければならない点なのだろうなと思っています。その出発点は、そもそもの業界型のADRは、金融企業側に見えてしまうというところは、どうしても拭えないことであって、そこをきちんと利用者のほうを向いているという業界の姿勢が、この金融ADR全体の健全な発展を目指す意味でも、もう一度押さえる必要があり、本日のテーマであれば、なおさらに出てくるのかなと思っています。

特に本日の議題2点目に関してですが、どんな消費者であれ、金融業界側に向いていると感じられれば、余計に反発も買うでしょうし、エスカレーションもしてくるというところを、いま一度、ADR組織の理念や、金融ADRの在り方というものを、しっかり各機関で押さえておいていただく必要が出てくると思っております。

2点目なのですが、今の斎藤先生や沖野先生部分と重なる部分があるのですけれども、明らかなケースというのは、やはり組織として対応しなければいけないという点です。斎藤先生と重複しているところですが、今日のお話を伺っていても思うのは、カスハラという言葉を使うかどうかは別として、意見を伝えにくい方、例えば、障がいをお持ちの方が特にだと思うのですけども、境目というのが、とても難しいのだろうなというのは、私も実際の現場を通して感じております。

ただ、今日の各機関のお話を伺っていても、少し混ざってしまっているような感じの印象を受けているというところは、正直なところです。今までも、本トラブル連絡協議会でも、障がいをお持ちの方への対応とか、高齢者の方への対応というのは、もう何回も議論をされてきていることなので、各組織で代が替わり、担当者が替わる中、どういうことが今までに議論されてきたのかというのは、振り返っていただきたいなと思っています。

カスハラという言葉自体が、とてもインパクトのある言葉ですので、カスハラという言葉を使うこと自体、やはり少し慎重にならざるを得ない状況があって、ただ、先ほどの斎藤先生のお話のように恐れる必要はなくて、毅然とした態度で扱っていくべきものはあるけれども、やはりとてもインパクトが強い言葉でありますので、あまり安易に使う言葉でないなというのは、私自身は思っています。

効果的な対応としては、先ほどから何回もお話になっていますけれども、やはり講義ではなくて、実務的な研修というのが、かなり必要になってくると思っています。私はこういう研修を行う側なのですけれども、例えばの話、質問の形を5W1Hから始まるような質問の形から、もう少し話し手に意見を表明してもらうような質問の形を変えるとか、伝えるときの主語を変えるとか、テクニック的なものとして、新たに学ぶべきスキルというのはたくさんあると思います。ただこれが対面で行うのと、オンラインや電話で行っているのというのは、各手段によっても大分変ってくると思いますので、自分たちがどういう手段でやっていくのかというところの方法も含めて、しっかり実務的に研修していくのが必要かなと思っています。

また、これが1点目のお話に戻るところなのですけれども、研修をさせていただく立場からみると、こういったスキルというものは表裏一体なところがありまして、学べば学ぶほど、対応を受ける側には、何か形式的に対応されていると見えてしまうところがあって、それが余計にエスカレーションを生んでしまうというところが出てきます。学んだ上で、それを自分の理念に基づいてどうやって実務につなげていくかという、やはり根っこのところは理念のところに重なる部分があるので、スキルの習得とともに、きちんと理念を押さえるといった、両輪をもう一度この機会に各機関に押さえておいていただければというのが、ごめんなさい、私からのお願いです。

以上になります。ありがとうございました。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

それでは続きまして、渡邊委員、御発言ください。

  • 渡邊委員

各機関からの取組の御報告ありがとうございました。大変参考になりました。

カスハラのことについて、まず、いわゆるカスタマーハラスメントを起こさないようにという取組の中で、相談者の言い分をどういうふうに汲み取っていくか。そのまま対立してしまえばエスカレートして、当然その方は、いわゆるカスハラという立場になってしまいます。最初からそういう意図を持ってこられる方は、やむを得ないと思うのですけれども、そうしないための取組というところで、上席の方に替わるとか、様々な取組があると思いますが、具体的にどのような方法を取っておられるか。あるいはこういう方法で、こういう場合にうまく収まってきた、完全にヒートアップしてしまう前に、うまく整理をすることができたというような事例がありましたら、少し具体的で細かいことなのですけれども教えていただけると、私どもも大変参考になると思います。よろしくお願いします。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

ただいま、渡邊委員からカスハラ防止についての具体的な取組ですとか、そのような取組が奏功して実際にエスカレーションを防止できたといった実例、サンプルがありましたら、教えてくださいという御質問がございました。各機関の方、あるいはそれ以外の方でも御発言をいただけると、大変ありがたいと存じます。いかがでしょうか。ミュートを外して、直接御発言いただいて結構です。

お願いいたします。

  • 寺内委員

全銀協でございます。

  • 神作座長

お願いします。

  • 寺内委員

よろしくお願いします。

全銀協に電話が入ってくるときには、既に金融機関とトラブルになっておりますので、初めから高圧的に激昂されているような状況でございます。一次的にまず相談員、女性が多いのですけれども、一次的にお話をお伺いし、「こういうことでいいですか」というふうに問題の論点を一度整理するのですけれども、そのときに既に怒っていらっしゃるので、内容は間違っていないのですが、「違うやつを出せ」、「上席を出せ」とおっしゃっているような場合には、担当が替わる前に、時には一旦「少し落ち着かれてから、もう一度お電話下さい」というような形でお話をさせていただき、落ち着かない場合、別の男性相談員が出れば、ある程度、お話をしていただけるということが多いです。

また、女性相談員が対応する場合、私も相談員を経験しておりますので、その経験から言いますと、男性の方でも女性の方でも、「少しお話の声が大きくて怖いです」とか、「威圧的でこちらからの説明がしにくい状態です」と言うと、大体は少し落ち着かれて、特に私の経験からすると、男性の方は「そうだったか」と言って、一旦呼吸を置かれて落ち着かれるケースが多いように感じております。

もうそこまで行けば、あとは速やかに何を言いたいのか、というような形で聞き出せばいいわけですので、傾聴しながらということで、お話しいただくような形が多いように思います。

寺内からは、以上です。

  • 神作座長

寺内委員、御自身の経験も踏まえて、貴重な情報を大変ありがとうございました。

ほかの機関や団体様、御発言がありましたら、ぜひミュートを外してお話しください。よろしゅうございますか。

渡邊委員、何か追加のコメントはございますか。よろしゅうございますか。

  • 渡邊委員

ありがとうございました。

私どもも職場で、やはり段階を追って対応者を替えるというような形で、何とか職場全体で引き受けて、できるだけ冷静に終われるように努めているところなのですけれども、各機関のいろいろなスキルがあれば、教えていただきたいと思いました。ありがとうございました。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

  • 寺内委員

すみません。1点質問をさせていただいてよろしいでしょうか。

  • 神作座長

どうぞ。

  • 寺内委員

申し訳ございません。全銀協、寺内です。

最近の傾向として、女性の相談員が出ると、「おまえじゃ駄目だ、男性を出せ、上司を出せ」といったような開口一番の発言があるのですけれども、センター様の方では、どのように御対応されているのか、この場で恐縮なのですが、お教えいただけると助かります。

  • 渡邊委員

私が平日勤務しているところでは、男性の相談員は、今のところおりませんで、確かにそういうお声はいただいています。ですけれども、相談員は皆同じ知識を持って対応しておりますので、「この職場では男性の相談員はおりません」と電話に出た私が対応します。そこはちょっと頑張ります。何とかそこでお話はしてくださるので、対応できればそれでよしですし、内容が複雑になってくると、二次の対応者がおりますのでその者に替わって、一応問題の整理をします。そこで終わらなければ、そのうちにそれはもう組織とか、相談員の個人攻撃とかに変わってきている場合が多いので、そうした場合には、管理職の方から組織としての取組とか仕組みについて説明をして理解していただくと。どういう窓口であって、何ができるかということをきちんと説明をして了解していただくというふうにはしております。

ただ、確かに男性職員が何かで替わりますと、態度が変わるということはいまだにございます。

以上です。

  • 寺内委員

ありがとうございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

女性相談員が対応した場合の御経験ですとか、その場合の取組について、ほかの機関や団体さんからでも、もし御参考になるようなことがございましたら、御発言いただけると大変ありがたいと存じます。

  • 唯根委員

NACSの唯根です。

  • 神作座長

お願いいたします。

  • 唯根委員

よろしいでしょうか。

  • 神作座長

唯根委員、お願いいたします。

  • 唯根委員

ありがとうございます。

私ども消費生活相談員は、専門職として行政機関なり、消費者団体の相談業務をしていますので、基本的には上司に替わらないで自分で対応するというのが基本です。とはいえ、長年経験してきた中での対応なので、今は違うかもしれません。

すみません、挙手もしないでここで発言させていただいてしまうと恐縮なのですけれども、ほかの委員の皆様からの御意見にもあったとおり、今回、指定紛争解決機関として、これだけ各ADR機関からの満足度ですとか、カスハラに関しての情報提供をしていただいて本当に貴重なのですけれども、反面で私が感じていましたのは、問題のある相談者をクレーマーとして多数の機関でどのように判断をされているのかの温度差があるのではないかという点です。

というのは、以前私が行政の消費者相談窓口に立っていたときに、専門のADRを紹介したのに、そこでの対応に不満足で、また我々の所に戻ってきてしまうというような御相談者もいましたので、各ADR機関のカラーというのか、対応の温度差というか違いがあるように感じます。カスハラの判断の基準というのか見極め方の様なところを、先ほど、沖野委員や斎藤委員からも御意見が出ていたので、金融ADRとしてできれば統一した、ADR機関同士では皆様で情報交換されているとは思うのですけれども、金融業界共通の判断基準、それから上席に替わるタイミングなどの対応策やルールを金融庁が主導で、ぜひガイドラインとまでは言いませんけれども、方向性を示していただいたら良いのではと思います。そうすれば、私ども消費者団体や行政機関の相談窓口でADRに紹介するタイミングも、非常に説明もしやすくなるのではないかなと感じております。

最後になってしまいましたけれども、困った相談者の方への対応に関しては基本的には、私どもは専門職として対応させていただいているという自負で、半日でもそれから1日でも相談者の方が納得されるまでお付き合いをさせていただくというスタンスと経験も含めて、とにかく冷静になっていただくとか、ご相談の本音を聞かせていただくまで付き合わせていただくというのが、相談員の先輩から受け継がれた経験則でした。

以上です。

  • 神作座長

唯根委員、ありがとうございました。

それでは、ここで金融庁から情報提供をいただけるということですので、よろしくお願いいたします。

  • 中尾室長

今の唯根委員のお話に関しまして、私のほうから回答させていただきます。

今回、事前に委員の方に御説明させていただく中でも、カスハラに関する定義やルールとか、そういったようなものが明確にあるのかとか、そういったようなお話をいただいたところでございます。

現状、金融庁としてカスハラを明確に定めたものはございません。また、顧客の要求内容や企業の対応等が個々の事案によって多様なところもあり、明確な定義づけというのは、必ずしも容易ではないというふうに認識しておるところでございます。

そういった一方で、例えば、厚生労働省様において策定・公表されている、令和2年に出されました告示の中ですとか、あるいは、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルというような、今回の参考資料としてつけさせていただいていますけれども、そういったところでカスハラの考え方や、カスハラに該当する可能性が高い行為を例示いただいているというところかと思います。

まずは、こういった点を参考にしつつ、ADR機関や関係省庁の方とで連携し、事例の積み重ねを進めていくことが重要と考えているところでございます。

以上でございます。

  • 神作座長

中尾さん、御発言どうもありがとうございました。

これまでの御議論を踏まえて、ここで今のテーマに関連して何か御発言がございましたら、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、また先に進ませていただいて、もしまた御意見がございましたら、後ほど時間があればおっしゃっていただければと思います。

それでは、山田先生、お待たせいたしました。御発言ください。

  • 山田委員

ありがとうございます。直前にお伺いしたことも含めて大変貴重な、しかも今まであまりお伺いをしたことのない情報を、様々教えていただきましてありがとうございました。

私からは、主として第1の論点について、少しコメントさせていただければと思います。

1つは、このような取組は非常にすばらしいので、ぜひほかでもやっていただきたいというコメントです。損保協会さんなどで表彰制度を設けておられるということがあり、また、幾つかの機関において、担当した事案がADRとか苦情処理でどのように扱われたのかということの情報提供があるというお話がありました。

いずれも、カスタマーとの関係で御苦労なさっている相談員にとって、自分が行った相談が、どうなっていったかについて、相談員に包括的にお知らせができるという点、それにより相談員のモチベーションを上げるという点で、優れた取組ではないかと思いますので、特に担当した事案のみならずADRとか苦情処理の事案が、どのように解決をされているのかいうことについては、ぜひ、情報共有をしていただくということを御検討いただければと思ったということが、1点でございます。

あと2点、少し質問も含めて申し上げたいことがございます。1つは全銀協さん、それからFINMACさん、保険オンブズマンさんのところで、苦情・相談について、フォームを利用してオンラインで受付を始めているというお話だったのですけれども、これによって申出者に変化があったのか、あるいは、このルートで来られた方、その後に電話対応があるのかもしれませんけれども、カスタマーサティスファクションに影響があるのかをお伺いできればと存じました。まだ始まったばかりかもしれませんけれども、昼夜を問わずお伺いできるということで、広い層にアピールするのではないかとも思いますし、先ほど、話題に上がりました多国籍語対応ということも、フォームの形であれば、比較的翻訳も安価に可能な点がございますので、その辺りの展望もあるのかもしれないなと思いまして、何か変化がありましたら、お伺いできればということが、1点です。

それからもう1つは、相談で終わって、苦情処理やADRに進まない案件も多いかと思いますけれども、相談の段階で、各企業に共通するような問題や新しい問題が見いだされる場合、これをまとめて会員企業に共有をして、紛争予防という意味で「坑道のカナリア」的な役割を果たしておられるということがあれば、お伺いできればと存じました。相談止まりの方は、個別には必ずしも結果に満足して終わっているわけではないかもしれませんが、しかしそういった相談は貴重な情報提供でもあり、業界全体として改善を求めていく契機にもなるのかなと思った次第です。

最後にカスハラ関係については、私も具体的な案は持っておりませんけれども、先ほど来お話が出ていますように、一定のガイドラインのようなものを設けて、打切りするか、苦情相談やADRに移行していく際の、考慮要素のようなものを共有、あるいは共通化していかれることで、打ち切る場合も客観的なルールに則っていると示すことで各手続の相談員において対応が容易になる可能性があるように思います。この種の問題を対象としているISO、JISQ10001から10003においても、手続移行ルールの客観化が推奨されておりますので、ぜひ御検討いただければと思いました。最後の点はコメントだけということでございます。

以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

御質問があったかと思います。フォームを利用したオンラインで苦情を受け付けた場合における顧客満足への影響等について、お答えいただけますでしょうか。

  • 寺内委員

全銀協でございます。

私どもは、まずこのウェブへの書き込みについては、受付件数も公表しております。私どもは、ウェブサイト上のディスクロージャー、取扱い状況という形で、苦情が何件、相談が何件という形で公表しておりますので、その御説明をさせていただきます。

書き込みいただいた後の対応なのですけれども、私どもは原則、電話による対応とさせていただいております。書き込まれる時間帯が夜中の方というのは、非常に興奮して言葉が荒くなってしまう傾向がありますけれども、翌日の営業時間に御連絡させていただくと、一旦そのお怒りというのが落ち着いている状況もありまして、比較的お話ししやすくなっているというふうに見受けられます。

また、ウェブサイトへの書き込みは、私どもは障がい者対応としても用いておりまして、特に苦情については、お客様からの同意を得て銀行に取り次いでほしいというような場合は、きちんと取次ぎをさせていただき、その結果もきちんとフォローさせていただいており、解決しましたというような形で報告を受けている事案も多いので、非常に影響があるかという、山田先生のお話については、ウェブによる受付方法というのも非常に影響があると認識しております。

あと、多国籍言語でのウェブへの書き込みというのについては、先生がおっしゃったように、今、簡易にできる方法もありますので、すぐに対応ができるかどうかは分かりませんけれども、前向きに検討はしていきたいと思っております。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

そのほかの機関さん、FINMACさん、もしよろしければ御回答いただけますでしょうか。

  • 丸野委員

FINMACでございます。

私どもも、メールというかウェブで相談あるいは苦情を受け付けることが、直ちに顧客満足度というか、利用者の満足度につながっているかどうかという部分については、計測はしていませんので何とも言えない部分はあります。実績として、私どもが受ける苦情・相談のうち、9割5分ぐらいが電話なのですけれども、残りの5%ぐらいの中のほとんどが、このウェブ経由です。全体の4.5%ぐらいがウェブ経由で、残りがファックスとか、直接来られたりということなので、電話に次ぐ第2のツールになっているのは間違いございません。

先ほども申し上げましたように、時間帯は、土日、あるいは夜間が結構多ございますので、一定の役には立っていると思っています。満足度等の調査はしていないのですけれども、現状は以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それから、保険オンブズマンさんはいかがでしょうか。お願いできますか。

  • 種村委員

保険オンブズマン、種村です。

ウェブメールはあるのですけれども、基本的にはそんなに多くないというのが現状でございまして、ただウェブメールで入れられた方のその後の対応は、メールのやり取りと、ウェブメールで頂いた後に通常のメールアドレスを頂いているので、そこで必要なフォームとか内容、問題点というか苦情の内容とかを記してもらうために、それはフォームを使ってメールで引き続き対応しているというような形を取っています。

特にどういう人が利用されているのかとかについては、あまりそんな大きな傾向とかがはっきり出ているわけではなくて、メールで対応されて、それで御満足いただいているのかなと考えています。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

山田先生、何か追加の御質問やコメント等はございますでしょうか。

  • 山田委員

どうもありがとうございます。今後さらに、このような方法も活用されていくのだろうと思います。

今、お話がありましたようにプラスに働く分、例えば、少し落ち着いていただけるということで、プラスに働く方向もあるでしょうし、文字化することで抜け落ちていく情報があって、カスタマーサティスファクションとの関係ではマイナスに働くという面もあろうかと思いますので、両面にらみで、今後さらに御検討いただけますと大変ありがたいなと思いますし、外国語対応を御検討いただけるということで、大変ありがたく存じました。

以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

ただいまの山田先生の御指摘に関連して、御発言はございますでしょうか。先に進ませていただいてよろしいでしょうか。

それでは、大出委員、お待たせいたしました。大出委員、御発言ください。

  • 大出委員

全国消団連の大出です。私からは、感想と意見を述べさせていただきたいと思います。

各機関の御報告ありがとうございました。大変参考になりました。

最初のテーマですけれども、信託協会さんのところで、受付記録を作成しているということで、大変丁寧に詳細な内容を記録しているというような記載がありました。ほかのところももちろん記録というのはしているかと思うのですけれども、ここは特別に何か特徴があってしているのかなと思って、その取組に賛同しました。

それから、2つ目のテーマのカスハラの部分なのですけれども、厚労省の資料のところに、消費者側の理解が進まないと、カスハラは減少しないというような表現がありまして、そのために、難しいとは思うのですけれども、厚労省の資料の中には、例えば、見えるところにポスターを貼るというコラムのようなものがありました。ただ、そのポスターを見て、「自分がこうなっていないか」というふうに思う方は、著しい迷惑行為などはしないかと思うのですけれども、消費者にそういう問題があるということを広げるという意味では、ポスターをあちらこちらに貼る、機関さんに貼るのは、ちょっと難しい部分もあるのかもしれないけれども、必要なのかなと思います。私もそのポスターを見たことはあります。

それから電話受付のときに、録音をされているのかどうかというのはちょっと分からなかったのですけれども「この電話は記録のために録音されます」というのが、よく高齢者の悪質(行為)防止のためにありますけれども、そうすることで一歩引くというか、落ち着くというところもあるのかなと思いました。

各社でマニュアルを作成しているのでマニュアルを各社で共有できると、何か進むことができるのではないかなと思いました。

以上です。

  • 神作座長

貴重な御意見を誠にありがとうございました。

チャットで御発言の御希望をお寄せいただいた方の御発言は終わったかと思いますけれども、ぜひそれ以外の方、消費者機関、団体、あるいは自主規制機関、業界団体の方で、参考となる取組や事柄などの御紹介、あるいは御意見がございましたら、御発言いただければと存じます。いかがでしょうか。金融関係に限らず、広い観点から御発言いただけますと大変ありがたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、次の議題に進ませていただきたいと思います。金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室の青木委員から御説明をいただき、続いて、金融ADR連絡協議会、第36回及び第37回の概要について事務局から御説明、御報告をお願いいたします。

  • 青木委員

金融庁相談室の青木でございます。よろしくお願いいたします。

それでは私の方から、昨年の8月31日及び11月30日に公表いたしました、令和5年度第1四半期及び第2四半期の金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況について、簡単に御説明させていただきます。資料4-1を御覧いただきたいと思います。

まず1ページ目は、令和5年度第1四半期の相談等の受付状況でございますが、昨年の4月から6月の第1四半期に当室に寄せられた相談等の受付件数は、1万1,574件となっており、前期の1万5,204件に比べて、3,630件の減少となっております。

分野別に主なものを見ますと、預金・融資等に関するものが4,326件、保険商品等に関するものが1,595件、投資商品等に関するものは2,927件となっております。預金・融資等に関するものが、前期比で3,834件と大きく減少しておりますが、これはその前の前期に特定銀行に係る当室ホームページへの書き込みが多数に及んでいたものが、今期は反動で大きく減少したことが主な要因でございます。また、投資商品等に関するものが、前期比で221件、暗号資産等に関するものが、前期比で82件と増加しておりますけども、これは詐欺的な投資勧誘に関する相談が増加したことが主な要因でございます。

次に令和5年度の第2四半期の相談等の受付状況でございますが、すみません、資料にページが振られておりませんけども、資料8枚目の裏です。多分ページでは16ページ目になると思うのですけれども、そちらの方を御覧いただけますでしょうか。昨年7月から9月の第2四半期に当室に寄せられた相談等の受付件数は、1万3,271件となっており、第1四半期の1万1,574件に比べて、1,697件増加してございます。

分野別に主なものを見ますと、預金・融資等に関するものは4,056件、保険商品等に関するものが2,798件、投資商品等に関するものが3,092件となっております。保険商品等に関するものが、前期比で1,203件と大きく増加しておりますけれども、これは損害保険代理店を兼ねる自動車修理会社における保険金不正請求に関する相談が、多数寄せられたことによるものでございます。また、投資商品等に関するものや、暗号資産等に関するものが、それぞれ165件、347件と大きく増加しておりますけれども、これは、引き続き詐欺的な投資勧誘に関する相談が増加したことが、主な要因でございます。

また、一昨年の9月1日より運用を開始いたしましたAIチャットボットには、毎月300件から500件程度のアクセスがあり、運用開始から8月末までの1年間で、累計で5,387人のアクセスがございました。利用していただいた中で把握できたことなどを踏まえまして、昨年11月に質問や回答内容等の内容の拡充を行いましたところでございます。

簡単ではございますが、説明は以上になります。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、お願いいたします、中尾さん。

  • 中尾室長

私のほうから、引き続きまして金融ADR連絡協議会について御説明させていただきます。

金融ADR連絡協議会ですけれども、これはADR機関の連携を強化するべく、定期的かつ実効性のある情報交換や意見交換を行うための場との位置づけの下、金融庁を事務局としまして、指定8機関の実務責任者の方に御参加いただき、四半期ごとに開催しているというところでございます。

資料5を御覧いただければと思いますけれども、第36回会合を昨年の11月に開催しまして、「各指定紛争解決機関の業務報告書における用語の定義について」というところで、苦情ですとか、紛争ですとか、そういったところの用語の定義の整理をさせていただいたというところで、各機関の間で大きな違いはなかったというところを確認させていただきました。

また今回からは、業務効率化の観点から、本協議会の直前に行われる会につきましては、持ち回り開催とさせていただいているというところでございます。第37回につきましては、メールのやり取りを中心に、今回の資料について御検討いただいたところでございます。

説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

ただいまの御説明・御報告につきまして、御意見・御質問はございますでしょうか。 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。

それでは、ちょうど時間になりましたので、本日の協議会はこの辺りで終了したいと存じます。本日も大変貴重な御説明・御報告、また、御意見をたくさん頂戴し、ありがとうございました。

なお次回、第66回の協議会につきましては、追って事務局から御連絡をしていただきます。

皆様、大変御多用の中、御参加いただき誠にありがとうございました。

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