第49回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成27年6月15日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第49回金融トラブル連絡調整協議会を開催したいと思います。本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代についてご紹介をお願いいたします。

○菅井室長

それでは、時間も限られておりますので、交代があった委員の方の所属団体とお名前のみをご紹介いたします。

まず消費者行政機関等といたしまして、日本司法支援センター第一事業部情報提供課長の土田様。

次に、指定紛争解決機関といたしまして、全国銀行協会金融ADR部長、阿部様。

日本少額短期保険協会事務局長、小泉様。

日本貸金業協会貸金業相談・紛争解決センター長、黒岩様。

次に、業界団体でございます。

全国信用金庫協会業務管理部長、阿部様。

全国信用組合中央協会しんくみ相談所副所長、河野様。

全国労働金庫協会経営企画部長、渡部様。

次に、金融当局といたしまして、農林水産省経営局金融調整課経営専門官、小林様でございます。

委員の交代は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、議題に入りたいと思いますけれども、本日はまず平成26年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況及び和解不成立事案の理由、経過等につきまして、事務局から説明を受けたいと思います。それに引き続きまして、前回会合でお知らせしました本日のメーンテーマであるところの、有識者会議報告書を踏まえて策定した「指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針」等への対応状況につきまして、事務局からの概要説明、さらに各指定紛争解決機関からのご報告をいただきたいと思います。

このあたり、この議事次第のIII、IVといったあたりですが、これが今日の中心的なテーマになるということで、本日はこれらの説明、報告について一通りお願いした後、意見交換を行いたいというふうに考えております。

それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。

○菅井室長

それでは、平成26年度の指定紛争解決機関の業務実施状況につきましてご説明いたします。資料でいきますと、資料1-1、1-2、1-3でございます。クリップどめしてありますが、これをばらしていただければと思います。

まずこのうち、ホチキスどめをいたしました資料1-3をご覧いただきたいと思います。なお、この資料1-3の計数につきましては、各機関で算出した速報値でございます。

まずこの資料1-3の1ページ目をお開きください。苦情処理手続受付件数でございます。一番右が26年度の実績でございまして、8機関合計で5,733件となっており、前年度の25年度とほぼ横ばいとなっております。

機関別の内訳を見ますと、生保協会及び損保協会の受付件数が増加しており、一方、全銀協及びFINMACの受付件数が減少しております。生保協会、損保協会の増加につきましては、苦情として寄せられたもののうち、苦情処理手続に移行したものの割合が高まったことが要因の一つというふうに聞いております。また、全銀協、FINMACの減少につきましては、主に、株式市況の好調及び為替の円安傾向等によるリスク性商品に係る苦情の減少によると聞いております。

なお、全銀協においては、このほか、預金、貸出金業務に関する苦情も減少しているとのことでございます。

次の2ページは、苦情処理手続の終結の件数でございます。26年度の実績は、8機関合計で5,440件となっております。前年度との比較では若干減少しております。内訳を見ますと、先ほどの受付ベースと同様に全銀協及びFINMACの件数が減少しております。

なお、生保協会、損保協会につきましては、受付ベースでの増加が大きかったものの、特に年度後半での増加が大きかったため、終結ベースで見ますと、まだ前年度と横並び、または受付ベースほどの増加にはなっていないとのことでございます。

次に3ページをお願いいたします。3ページは、2ページの苦情処理手続の終結件数から過年度において増減が大きかった全銀協の為替デリバティブに関する件数を差し引いたものでございます。

次、4ページをご覧ください。苦情処理手続における結果の比較でございます。右の円グラフが26年度の状況でございますが、約7割が解決ということで、左側の25年度と同様となっております。

続きまして5ページをお願いいたします。苦情処理手続の終結に要した期間の比較でございます。右側が26年度の状況ですが、左の25年度と同様、全体として合計で約7割が申立て後、3カ月未満で終結しておりまして、全体として見ますと大きな変化は見られないということでございます。

次の6ページをご覧ください。これは紛争解決手続の受付件数を示しております。26年度、8機関合計で紛争の申立てが1,059件ございました。前年度と比較しますと、ほぼ横ばいとなっております。機関別に見ますと、損保協会の増加が大きくなっております。これは苦情処理手続から紛争解決手続に移行したものの増加が主な要因と聞いております。一方、全銀協及びFINMACの受付件数は減少しておりますが、苦情処理手続と同様にリスク性商品に係る件数が減少しているというふうに聞いております。

次の7ページでございます。紛争解決手続の終結件数でございます。26年度では8機関合計で1,028件となっており、前年度に比べ16%の減少となっております。全銀協の減少が大きく、これはリスク性商品に係る件数の減少が大きな要因と聞いております。

次に8ページでございます。8ページは、先ほどの7ページの紛争解決手続の終結件数から過年度において増減が大きかった全銀協の為替デリバティブに関する件数を差し引いた計数でございます。

続いて9ページをお願いいたします。紛争解決手続における結果の比較でございます。右側の26年度8機関合計で和解成立割合が36%となっており、左側の25年度の44%と比較いたしますと、8%ポイントの低下となっております。

次、10ページをお願いいたします。10ページは、紛争解決の終結に要した期間の比較でございます。右の26年度では、全体として合計で約7割の案件が6カ月未満で終結しておりまして、左の25年度の状況と大きな変化はございません。

次が11ページでございます。各指定紛争解決機関別の和解状況を示しております。先ほどご説明したとおり、26年度では8機関合計で和解割合が44%から36%に低下しておりますが、機関別に見ますと、特に全銀協が59%から46%に低下しております。

最後の12ページでございます。12ページは、国民生活センター等を経由した紛争解決手続受付件数でございます。前回の会合におきまして、国民生活センター等を経由した紛争解決手続受付件数がわかれば示してほしいとのご意見がございました。今回、各機関に26年度の状況を集計していただいたのがこの資料でございます。

なお、この計数につきましては、各機関の紛争解決手続等の記録から確認できたものだけを拾い上げたものでございます。

この資料1-3以外に資料1-1、1-2、それぞれ1枚紙を用意してございますが、これはただいまご説明したこと等につきまして機関別に示したものでございます。時間の都合上、説明は省略させていただきます。

次に資料2をお願いいたします。資料2、「和解不成立事案の理由、経過等」というタイトルの資料をご覧ください。前回の会合におきまして、和解不成立となった事案について、どのような理由、経過で不成立なのか確認をしたいとの意見がございました。今回、各機関において26年度の和解不成立事案について検証したのがこの資料でございます。

例えば件数の多い全銀協、生保協、損保協について見てまいりますと、まず1ページが全銀協でございます。1ページの一番上にありますように、全銀協では和解不成立事案が112件あったということでありますが、うち紛争解決委員が和解成立の見込みがないと判断したものが93件。このうち申立適格性無と判断されたものが36件。残りの57件につきましては、手続を行ったものの、最終的に和解案は提示できなかったということでございます。

理由といたしましては、双方の主張の乖離が大きいものが多かったとのことでございます。

次の2ページ以下は、不成立事案における面談や事前調整の状況ですが、例えば2ページの一番上を見ますと、手続を行いながら不成立となった事案の約85%について申立人との面談が実施されているということでございます。

次、5ページが生保協でございます。5ページをご覧いただきますと、生保協では、和解不成立事案が143件ありましたが、このページの真ん中にありますように、うち123件が申立内容に理由がないなどとして手続を終了しているということでございます。

また、6ページの一番上を見ますと、手続を行いながら不成立となった事案の約55%について、申立人との面談を実施しているということでございます。

9ページが損保協でございます。9ページをご覧いただきますと、和解不成立事案が327件ありましたが、この9ページの真ん中あたりにありますように、うち226件が最終的に和解案を提示していないということでございます。理由としては、双方の主張の乖離が大きいものが多く、特にその中でも事実認定が困難なものが多かったとのことでございます。

次の10ページの一番上を見ますと、不成立となった事案については、約7%について申立人との面談を実施しているということでございます。

なお、この資料につきましては、この後、各機関から適宜説明がなされることになっております。

次に資料3の厚い資料をご覧ください。タイトルが「『指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針』等への対応状況」という資料でございます。今回、有識者会議報告書を踏まえ策定された「指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針」への対応状況について、各機関が検証を行っております。

この資料3の表紙をめくっていただきまして、1枚目の上の四角で囲った部分にありますように、監督指針の監督上の評価項目のうち、有識者会議で課題とされた事項に関するものを中心に各機関が検証結果を取りまとめたのがこの資料でございます。具体的には、このページに記載された項目について各機関が検証を行っております。この後、各機関から説明がございますが、全体の概要を簡単に口頭でご説明いたします。

まずIV-1の業務運営態勢でございます。各機関とも事案の増減等の業務量に応じ、相談員、紛争解決委員の増減を行うなど、業務運営態勢の見直しを行ってきているところでございます。また、各機関とも高齢者に対する配慮等を行っております。

なお、紛争解決委員につきましては、外部有識者の意見等を踏まえ選任している機関もございます。

次に、IV-2の業務の適切性でございます。このうち苦情処理手続でございますが、前回の会合において苦情処理手続への案内等について見直しを行うとした機関につきましては、実施した施策をこの資料に記載しております。また、紛争解決手続につきましては、今回の検証等を踏まえ、面談、事情聴取、和解提案を中心として見直しを行うとした機関がございます。

右側のIV-3、業務の公表・検証・評価でございます。各機関とも和解事案、不調事案の別を問わず、利用者アンケートを実施しております。各機関とも利便性の向上等に役立てるため、アンケート項目を工夫しているところですが、今後は利用者の手続に対する納得感、指定機関に対する信頼性といったものをアンケートを通じ、しっかり把握していきたいとしております。

外部有識者による検証・評価につきましては、各機関とも事案の件数、概要等を報告しておりますが、今後は相談等を受け付けた場合の対応、苦情処理手続、紛争解決手続のそれぞれについて計数等を示し、現状を説明するとともに、そうした現状となっている原因、理由、背景についても外部有識者に対し説明し、適切な検証・評価を行ってもらうこととしております。

次に、IV-4、苦情・紛争事案に関する分析結果のフィードバックでございます。各機関とも典型的な事例、増加傾向事例を把握し、金融機関へのフィードバックや関係機関への情報提供を行っております。また、特定の商品・サービスで不調事案が多い等の場合には、各機関ともフィードバックを実施することを予定しております。

最後にIV-5、関係機関との連携でございます。複数の業態が関係するような商品・サービスへの対応につきましては、本年2月、全ての指定紛争解決機関が集まり、商品の現状、トラブルの類型、各機関の対応等に関する認識の共有を図ったと聞いております。

私からの説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、各指定紛争解決機関からご報告をお願いいたします。

なお、大変恐縮ではありますけれども、時間の関係もございますので、各機関5分以内ということで、時間厳守でお願いできればというふうに存じます。

まずは全国銀行協会の阿部委員からお願いいたします。

○阿部(耕)委員

それでは、最初に和解不成立の事案の理由のところの資料の1ページをご覧いただきたいと思います。先ほど冒頭ご説明ありましたとおり、見込みなしが93件ございまして、うち適格性無が36件、適格性有は57件となっております。この適格性無、不受理となったもののうち、主な理由なのでございますけれども、著しく事実確認が困難な場合と、経営方針に関する事項に該当する事案、これが33件と大部分を占めております。この著しく事実確認が困難な事例というのは、例えば20年前の預金の存在確認を求めるというようなものであったり、あるいは相続預金の払い戻しに係る払い戻し人の代理権限のみが争点になっているといった、代理権限の有無が争点になっているような事案が含まれております。

経営判断に関する事項等にかかわるものといたしましては、払い戻しにおける本人確認資料に非常に不満があるという、そのものの不満。あるいは商品性そのもの、保証料とか違約金、手数料そのものへの不満。もしくは担保解除を求めるといった、まさにその事柄の性質上、あっせん手続の理由が適当ではないとするものが大部分でございます。

続きまして、下のほうの適格性有として事情聴取を行ったものの打ち切ったものが57件でありますが、このうち一番多いものが銀行に対して問題指摘事項を見出せないと判断したものや、口頭によるあっせん案を提示いたしましても、申立人様の互譲の水準が高くてご納得いただけずに、和解に至らなかったものが多うございます。

そして、時代の趨勢でございますが、損失の補填というものではなくて、利益を得ているけれども、解約しなければ、さらに利益を得ることができたのではないかと、そういったたぐいの申立てがありまして、これは経済的損失が認定できないということで、もろもろこういったものが提示せずに打ち切りになっているものでございました。

続きまして、資料3の監督指針の対応についてご説明申し上げます。

1ページをご覧いただきたいんですけれども、この業務運営態勢のところでございますが、一番下のところですね。業務量に応じた業務運営態勢の整備状況でございまして、この下段にございますとおり、この為替のデリバティブの申立ては23年度の1,086件をピークに徐々に減少してきたものでございますので、あっせん委員と事務局の総人数も23年度の99人から、現在45人に削減いたしまして、人的、物的リソース配分を調整してございます。

続きまして、4ページの紛争解決委員の選任の方法でございます。

上から2つ目のポツの候補者の選定プロセスというところがございますけれども、ここではあっせん委員の候補者は、あっせん委員会の運営懇談会、これは外部有識者の先生で構成する会合でございますが、この先生などの面談を経て、そして、運営懇の了承を得た上で、私どもの理事会において決裁、選任しております。

続きまして、8ページをご覧いただきたいと思いますけれども、紛争解決業務等の適切性等。これはIV-2の(3)の簡易・迅速な対応の箇所の一番下の、契約期間が長い商品に関するトラブルへの対応というところにございますとおり、金融商品としての契約期間が長いものにつきましては、現時点での制度、ルール等を考慮して、できるだけ柔軟な解決を図るとしております。例えば契約締結時の法令等で問題がないから落ち度がないというものではなくて、現在の金商法、高齢者ガイドライン等の水準感から見て、この販売時の説明ですとか顧客の知識、経験、財産状況、契約の目的という観点の適合性の原則に鑑みて判断するというふうにしております。

9ページをご覧ください。9ページの同じくこの和解に向けた努力と、このIV-2-3の(4)でございますけれども、ここでは、先ほどのご説明のとおり、事情聴取は高い割合で実施しておりまして、この事情聴取前に双方から申立書、答弁書、それにつけ加える主張書面、照会事項への回答をあっせん委員会に提示していただきまして、事情聴取当日にはあっせん委員会としてのこの解決案を双方にまず口頭で提示いたしまして、解決に向けて双方に説得を行います。

回答期限につきましては、必要に応じて一定の熟慮期間を設けたりするほか、1回の事情聴取では納得できない当事者に対しましては、再度の事情聴取を行うなどの対応を行いまして、顧客の納得感を得る態勢としております。

最後でございますが、この一番下の特別調停案でございます。この特別調停案の態勢整備につきましては、まずいつこの特別調停案を出すかというと、あっせん委員会が提示したあっせん案に対して、相手方の銀行が正当な理由なくして、あっせん案の受諾を拒否する場合。この場合には、あっせん委員会で事案の性質と当事者の意向、すなわち訴訟提起のリスクを容認できるか否かということを確認の上、特別調停案の要否ですとか内容を検討いたします。これまで6件の提示実績がございます。うち4件は和解をしております。

このあっせん委員会の委員で構成するあっせん委員会分科会というのがございますけれども、ここにおいて特別調停案の事例を紹介しつつ、特別調停案を提示するときの基本的な姿勢、考え方等について認識、共有を行っているということでございます。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、信託協会の岡本委員、よろしくお願いいたします。

○岡本委員

私からは2点ご報告させていただきます。

1点は他の機関と相違する特徴的な点をご説明いたします。資料は3の25ページ以下ですけれども、最初のページに掲げてあります表をご覧いただくとわかるんですが、苦情受付件数は減少傾向にあります。紛争の受付件数も年1、2件というところでございますが、当協会が受け付けております信託商品等、こちらは専門用語が使われているものが多かったり、あと、個別性が強いもの等がありますので、相談員は当協会の職員だったり、信託銀行等のOB等を中心に採用しております。相談に当たりましては、相談者目線に立った対応を心がけておるというところです。

また、苦情処理対応に係る特徴といたしましては、苦情全案件につきまして、私どもの検証・評価機関であります信託相談所運営懇談会に対しまして、苦情状態が終了するまで、申出人と相手方金融機関の対応状況、こちらを報告しているというところに特徴があると思います。

次の26ページの真ん中ぐらい、上から2つ目の(4)のところですけれども、前回第48回の本会合で表明いたしました内部監査等による紛争解決業務等の運営状況の検証というところですが、ここの(4)に書いているとおり、今年の3月に信託相談所運営懇談会及び私ども業務監査の一環として外部監事にも検証いただいておりますが、両者に対しまして、第48回の当会合資料に基づき報告を行い、検証・評価等をいただいているところでございます。

今後とも監督指針を踏まえた報告を行いまして、検証・評価をいただいた上で、指定紛争解決機関として業務運営の適切性、中立性、公平性の確保等に引き続き努めていきたいと考えております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、生命保険協会、酒巻委員、よろしくお願いいたします。

○酒巻委員

それでは、ご説明させていただきます。まず資料2、和解不成立事案の理由、経過等についてでございますが、ページでいいますと、5ページをご覧いただきたいと思います。

平成26年度に審議が終了いたしました189事案のうち、和解が成立しなかった143事案の内訳が、見込みなしが137件、一方又は双方の離脱が6件となっております。

次に、見込みなし137件の内訳についてですけれども、申立適格性がなかったものが4件でございまして、事例としましては、30年前の募集人の取り扱いが争点である事案でございますけれども、既に契約者及び募集人が亡くなっておりまして、また、特段の証拠となる資料も残っていないということで、募集時の状況について事実確認を行うことが著しく困難であると、そういったもの。また、当局の認可事項であるところの解約返戻金の計算方法の適否の判断を求めるものなどがございました。

次に、申立適格性があったものは133件で、内訳といたしますと、特別調停案を提示いたしましたけれども、申立人がこれを受諾しなかったものが10件、和解案を提示しなかったものが123件となっております。123件の内訳でございますけれども、当事者双方の主張の乖離が大きく、事実認定が困難としたものが20件。また、審理の結果、申立人の主張を何らかの形で認め、和解提案を行うことが相当であると判断する理由を見出せなかったものが103件となっております。

一方又は双方の離脱の6件につきましては、全て申立人が申立てを取り下げたものでございます。

次に、資料3、監督指針等への対応状況についてご説明をいたします。

私のほうからは4点補足をさせていただきます。

まず1点目は、資料の49ページから50ページでございますけれども、相談等を受け付けた場合の対応に係る改善策の実施についてでございます。

前回48回会議の場でご報告いたしましたように、苦情処理手続の案内方法等について見直しを行いまして、マル1からマル5の改善策を昨年12月から実施しております。具体的には、苦情の申し出を受けた場合に、苦情に至った事情を丁寧にお聞きすること。苦情処理手続を確実にご案内すること。申出人の意向を踏まえて、必要な情報が得られれば、速やかに苦情処理手続に移行させること。申出人が苦情処理手続の移行を希望しなかった場合にも連絡先が把握できているものについては、申出人へのその後の適切なフォローを行うことなどでございます。

結果、本年1月以降、苦情処理手続への移行件数、割合ともに増加をしてきておりまして、また、移行しなかった事案についても移行しなかった理由を明確に把握、検証できる態勢となっております。

なお、本改善策の実施につきましては、外部有識者による検証・評価機関である裁定諮問委員会による検証・評価を行っております。

2点目は、資料の55ページから56ページにかけて、柔軟な紛争解決に向けた取り組みに係る業務運営の見直しについてでございます。

当会の紛争解決手続は、裁定審査会が実施主体となっておりまして、有識者会議報告書及び監督指針を踏まえ、事案ごとの個別事情を把握する観点から、当事者の主張や事実関係が明白な場合を除いて、申立人等から事情聴取を実施してまいりました。これによりまして、26年度の事情聴取の実施率は約6割という状況になっております。しかしながら、例えば申立書の記載内容からは、約款解釈のみが争点であるなど、当事者の主張や事実関係が明白と思われる事案につきましても、申立人等からの事情聴取を実施することによりまして、より柔軟な解決の糸口となる個別事情を把握できる可能性があるので、これを積極的に実施していくことが望ましいだろうと。

また、積極的に事情聴取を実施することによりまして、より柔軟な解決の糸口となる個別事情を把握しまして、より一層の和解提案を行っていくことがADRに期待されていると、こういった課題認識のもとに業務運営の見直しを行いまして、マル1からマル3の対応を今年の7月から実施してまいります。

これによりまして、今後は全ての案件について事情聴取の実施をご案内して、積極的な事情聴取によって、より柔軟な解決の糸口となる保険会社側の不適切な対応等の個別事情の把握に努めまして、それらを考慮、反映した積極的な和解提案を行ってまいります。

3点目は、資料の54ページになりますけれども、前回会議におきまして、高橋委員のほうからご質問のあった契約期間が長い商品に関するトラブルへの対応についてでございます。高橋委員ご指摘のとおり、契約期間が長期に及びます生命保険の特性から、販売時から相当な年数が経過した後に、販売時の募集人の対応等に起因する紛争申立てがなされることが少なくございません。

例えば平成26年度の終了事案について申し上げますと、約4分の1は、20年以上前の契約に関する事案でございます。そのため、これらの事案で販売時の規制と、トラブル発生時の規制が異なっているという場合がございます。しかしながら、実態について申し上げますと、例えば新契約関係の紛争である場合には、裁定審査会では、募集時に募集人は、顧客のニーズとか加入目的をどのように確認・把握したのかとか、あるいは顧客のほうに提案した商品は、顧客のニーズ・加入目的に合致していたものであったかどうか。また、当該商品は、顧客の知識・経験・財産の状況等に照らしてふさわしいものであったか。また、実際に募集人がどのように募集資料を使って、どのように具体的な説明をしたのか。そういったことを勘案しまして、事情聴取での心証も踏まえまして、柔軟な解決を図っておりますので、実態といたしましては、販売時の規制とトラブル発生時の規制が異なることによりまして、審理に当たって考慮する事情等に基本的な差異は生じないものと考えております。

また、今後は、先ほどご説明いたしましたように、積極的な事情聴取によりまして、より柔軟な解決の糸口となる個別事情の把握に努めまして、それらを考慮、反映した積極的な和解提案を行ってまいりますので、ご理解をいただければと存じます。

最後に、資料の77ページ、こちらも前回会議におきまして、高橋委員からご指摘をいただいた乗合代理店の比較推奨販売に係る対応についてでございます。

まず関連する具体的な苦情・紛争事例におきまして、ADRとしてどのような対応ができるかについてまとめてございます。想定しておりますケースは、A、B、C、D、4つの生保が乗り合っている代理店におきまして、A・B生保の商品を勧められて加入した契約者が、あとになりまして改めて商品内容を確認したところ、C・D生保の商品のほうが自分のニーズに合致していたと、苦情の申し出をしたという事例でございます。

結論を申し上げますと、記載の事例では、保険募集の対象となっていたA・B生保は、販売時における乗合代理店の説明義務違反ですとか適合性原則違反等の事実が認められた場合には、契約が取り消されたり、あるいは損害賠償の責任が生じる可能性がございますが、一方で、C・D生保につきましては、保険募集の対象となっておりませんので、損害賠償責任を負うことはございません。

また、保険業法上、乗合代理店は、指定紛争解決機関である生保協会と、手続実施基本契約を締結する相手方とはなり得ませんので、乗合代理店を苦情・紛争の直接の相手方とすることは、現行の枠組みではできないということでございます。

次に、当協会における乗合代理店に係る苦情の受付状況でございますけれども、データの管理を平成24年度第4四半期から開始しておりますけれども、直近の26年度第4四半期までに受け付けました金融機関を除く乗合代理店に係る苦情の件数は、合計しまして184件でございました。その中で、乗合代理店の比較推奨販売に関連すると思われる苦情をピックアップいたしますと、3件でございまして、内容は記載のとおりでございます。

以上が当協会に寄せられております乗合代理店にかかわる苦情の現状でございまして、現状では必ずしも多い、乗合代理店に特有の苦情が寄せられているということではございませんけれども、今後、乗合代理店に起因する苦情が増加していく可能性もございますので、資料3に記載のとおり、会員会社と連携をとりながら、問題発生の未然防止に向けまして、マル1からマル4に記載のとおり、苦情情報の収集、分析に努めまして、その状況を踏まえて適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会の森委員、よろしくお願いいたします。

○森(栄)委員

資料2をご覧ください。不成立事案の事由。9ページが損保協会の部分であります。

和解不成立事案のうち、申立適格性有が295件ありまして、そのうち和解案を提示できたものが69件、提示できなかったものが226件ございます。これはここにも書いてございますが、双方の主張の乖離が大きかったということで、その中には、事実認定が困難なものも多くあるということでございます。

それから、双方の離脱というのが27件あったということでございます。

10ページ以降にデータがついていますが、損保協会の不成立事案の中には、事実認定が困難であるという判断ではありますが、面談の実施されていないケースが多くあります。その結果、事前調整の機会が少なくなっているという事実もございます。したがいまして、いずれにしましても、面談等を通じて和解に向けた調整や働きかけを行って、和解に向けた努力をしていきたいというふうに考えてございます。

続きまして、資料3をご覧ください。大きく3点ほど申し上げておきたいと思います。

ページは80ページをご覧いただけますでしょうか。80ページの下から、紛争解決委員の選任についてが載っています。めくっていただきまして、81ページ以降に、選定のプロセスが書いてございます。まず候補者を選定するに当たっては、現在の紛争解決委員に推薦を依頼して、推薦された者に対して面接等を行い、一定の判断を行った上で、審査の上で、ADR評議会の議長の了承を得て委嘱するという手続を行います。

続いて、再任の場合につきましても、議長が判断するような材料、情報を提供の上、再任をしていくということにしています。

個々の事案ごとの選任に当たりましても、あらかじめADR評議会の議長の承認を受けたローテーションだとか割り振りをいたしまして、その上で、紛争解決に当たり、利害関係を有する者に該当しないというようなことを確認を行った上で選任を行っております。

続きまして83ページ、相談を受け付けた場合の対応でございます。83ページ、ここに(3)に数字が載っていますが、私どもが26年度、一番下の欄の苦情処理手続という欄が増えております。相談を受け付けて、お客さんのほうから少しでも不満足の表明があった場合には苦情ということをカウントしているわけですが、(3)の苦情処理手続のところで、不満足の表明があった場合には苦情処理手続を案内しています。この手続の案内によって件数が増加しているということでございます。

また、その場においてお客様に論点や争点、疑問点が明確になっていない、整理できていないケースもございますが、この場合にも苦情処理手続については案内をして、意向があれば手続を速やかに開始できるという態勢に持っていきたいなというふうに考えてございます。

続きまして、87ページ、紛争解決に係る改善策のところであります。(2)の下に、面談の実施についてというのがあります。ここの欄にありますとおり、今後は、有識者会議報告書の考え方に沿って、早急に態勢を整備して、基本的に面談を実施していくこととすると。そのために現在の取り組みとして、審査会を増加しようということと、紛争解決委員も増員をしていこうということを現在のところ考えてございます。

その下ですが、終了時の対応についてです。申立人の意向を確認して、再度の意見聴取の意向があるということであれば、その方向性を今後考えていきたいということを書いてございます。

それから、88ページのところですが、(3)、一番上の部分です。事実認定が困難な事案についてというところであります。面談等を通じて、原因・背景等を確認し、和解に向けた努力を引き続き行っていくということでございます。

事実認定に関しては、面談等を通じて和解が望まれるケースもあるでしょうから、それに向けて、和解に向けた努力をしていくということを考えています。

それから、マル3のところですが、トラブルが多い商品については、保険会社にフィードバックしていくということもあわせて考えていきたいと思います。

また、その下の(4)のところでございますが、和解に向けた努力、これは先ほどから申し上げていますが、面談等を通じて、和解に向けた調整、働きかけを行っていき、紛争解決委員にも資料の提出を求めること、独自の和解案を提示することについても改めて周知をしていきたいというふうに考えております。

損保協会からは以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、保険オンブズマン、瀧下委員、よろしくお願いいたします。

○瀧下委員

まず和解不成立事案に関してですが、資料2の13ページでございます。私ども16件、申立適格性有がございましたけれども、このうち4件について和解案を提示して、残り12件は提示していないということなんですが、前々から申し上げますように、私ども損保の場合、事故が起きて、それの有責、無責をめぐる紛争が多いということで、多くの場合、調停委員が心証を得られない。どっちの主張が正しいか、心証を得られないというものが非常に多い。中でも保険会社が不正請求を疑っている事案というのが非常に多いわけです。そういう不正請求を疑っているような事案については、和解の見込みがないということで、和解案も出さないと。それ以外のいろいろなケースについては、できるだけ和解できるように何回か話をしながら和解案を出すんですけれども、それでもどちらかが飲まないというようなことが多いわけです。そういうことでこういう結果になっております。

あと、監督指針等への対応状況でございますけれども、過去いろいろご指摘いただいた点がございまして、一つは面談でございます。面談につきましては、私どもの場合、申立てがあった場合、期日指定のときに面談ができる旨、最近ではご報告、説明申し上げておりまして、最終的には調停委員の判断によるけれども、ご希望があるかどうかをお聞きしていて、今年、当年度に入ってからなんですが、この表にはあらわれておりません。当年度に入ってからそういう取り扱いをいたしておりまして、2件お申し出があって、1件は実施済み、1件は期日を待っている状況でございます。

逆に、ADRの申立てのときに東京へ行かなきゃいけないんですかと聞かれることが非常に多いんですけれども、ご希望があればおいでいただく。旅費はお持ちしますと。もしおいでにならなければ、通例、電話でお話を伺っていますというような説明をいたしております。

2点目が特別調停案なんですが、有・無責に関するものについては、これが特別調停案というか、和解案も出せない状況なんですが、これも当年度に入ってからなので、そこにあらわれていないんですけれども、2件、特別調停案を出しておりまして、これは契約成立過程に関する紛争で、1件は傷害保険で、例えば90歳まで保険を継続できますとだけ募集文書に書いてあると。それを信じて、子供に迷惑をかけないで済むということで入ったと。ところが、途中で更改を、その年を迎えるより前に更改で断られたというようなことがありまして、これについても募集文書でそういうふうに例外も示さずに表示している以上、継続をするか、あるいは動機の錯誤ということで、第1回の契約にさかのぼって解約するという、そういう和解案をつくりまして、最終的に特別調停案という形で、第1回目の契約にさかのぼって保険料を全額返戻するという、そういう特別調停案を出したところです。

もう一つが交通傷害保険と普通傷害保険が組み合わさった商品なんですが、後遺傷害金額について、交通事故の場合が最高の金額が出るんですが、普通傷害のときの後遺傷害金額について募集文書にも説明がない。かつ、契約者に渡した契約文書に一切、チェックしたところ、契約者のみならず、保険会社の人間でも保険会社が言う数字にはならないということで、これは契約文書ではなくて、募集文書にうたっていた全額を支払えという、そういう特別調停案を出したところです。

あと、開示に関しましても、毎年当局に提出しています業務報告のうち、苦情処理手続と紛争解決手続の部分についてはウェブで全て公開しております。

アンケートにつきましても実施いたしまして、現在では終了すると何かの文書が、和解案を送付するなり、不調の通知をするなり、文書を出すわけですが、それに必ずアンケート用紙を入れております。これは申立人、保険会社両方に送っております。いただいた回答については、集計するとともに、そのコピーを当該調停委員に保険会社と申立人の分をお渡ししてございます。

同じくこのコピーについては、私ども運営委員会と呼んでおりますが、有識者会議にもそのまま、数が少ないからということもありますけれども、お見せして、ご意見を承っているところでございます。

フィードバックについてもいろいろな形でやっているところなんですが、主立った会社というか、ADRを申立てられる会社は4社しかありませんので、そこの代表とは四半期に1回、意見交換するとともに、やはり広く世間にも機関として状況をお知らせすべきであろうということで、この前、業界紙にインタビュー記事を書かせていただきまして、そこでは保険会社の事故処理時の説明不足が大きな原因になっているということ。それと、盗難保険について、盗難された事実というのは盗難届なんですが、その物が存在した事実の立証を保険会社は求めるわけですが、多くの場合、領収書なり、何なり持っていないと。保険会社は、それ、ほんとうにあったんですか、持っていたんですかというようなことで、支払いを拒絶するということで、この前、ロレックスの時計が2件続けて盗難に遭ったという申立てがそれぞれ別々ですが、ありまして、損害事例について書いて、かつ、私どもの会員、実質経営者は外国人ですので、その記事の英訳をいたしまして渡したところでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本少額短期保険協会、小泉委員、よろしくお願いします。

○小泉委員

それでは、少短協会からご報告をさせていただきます。

まず資料2についてのご報告ですが、17ページをご覧いただきたいと思います。平成26年度における和解不成立事案は7件でございます。そのうち申立ての適格性無が5件、適格性有という形でやったけれども、和解案を提示しなかったものが1件。あと、双方の離脱というのが1件でございます。

この裁定不適格の5件というのは、全体の中では多いわけですが、この中身は申立人の要求に理由がないという形での結論が至ったというものが1件。あとは事実認定をかなり不確かな中で争うということ、それから、約款の解釈を争うというような話になりますので、これはどちらかといえば、ADRというよりは裁判というほうが適切であろうということの4件で合計5件でございます。

それから、和解案を提示せずの1件は、どこまで行っても両者の主張の乖離が大きく、調整ができなかったというところでございます。

双方離脱の1件につきましては、両者ともに裁定手続に入ることに合意をしてきたんですが、その途中で事業者のほうから以前和解でちょっと話をしていたものについて、一応譲歩という形で出していただいたものがありまして、その関係から和解が成立したといったことでございます。

それでは、続きまして、ADR機関向けの総合的監督指針対応の状況についてのご説明ですが、少短商品の特徴を踏まえた現状についてご説明を申し上げていきたいというぐあいに思っております。ご存じのように、少短協会というのは、平成18年の業法改正によって誕生した。今年が10年目になる若い業界でございます。生損保両方の商品を取り扱うことができるという意味でスパンは広いんですけれども、逆に保障額が生命保険でいえば300万までとか、それから、損害保険であれば1,000万まで、期間は1、2年というような形で、取り扱い範囲が限定されているということから、生損保さんのような、同じような商品を扱うことはほとんど不可能でございまして、どういう扱いかというと、とにかく商品内容がシンプルでわかりやすいもの。または、ニッチな市場への特別な対応商品。そういったようなことを心がけて、各社が商品開発をしてやっているという特徴がございます。先ほど言いましたように、複雑な特約とかそういったものはございませんので、苦情件数、裁定案件も比較的少ない形で推移してございます。

その辺は、恐れ入りますが、資料1というのがあったと思いますが、資料1-1をご覧いただきたいと思います。実は苦情処理の所要期間というのが少短協会の場合は1.1カ月ということで、比較的短期で解決しているという状況がございまして、この表で見ましても、(3)の所要期間のところで見ていただければわかりますが、少短協会の部分は98件中56件ということで、57%が1カ月以内の解決で終わっていると。3カ月以内まで入れますと、83%が一応ここで終わっているということで、先ほどの少短商品の特性の部分が大きいかなというぐあいに思ってございます。

ただ、運営のほうにつきましても、できるだけ丁寧な対応を心がけるということで、26年から相談員を2名体制に増強をしてございます。それで苦情分類になるもの、つまり、不満表明があったものは全件業者に連携して、あとは対応状況についてのフォローを、ほんとうにその後、お客様に連絡してくれたのかというようなこととか、その後の説明を受けたお客様の反応はどうかといったようなことについてのトレースも行っております。その辺の商品がシンプルなことと、そういった対応の結果が比較的早期の解決につながっているのかなというぐあいに思ってございます。

それから、2番目に総合的監督指針の対応状況の中で、前回の48回金トラ協のときに、当協会から今後の課題だと思っておりますというご報告をした件についてご説明を申し上げます。

132ページをご覧いただきたいと思います。(3)のマル2、外部有識者による紛争解決等の業務の事後的な検証・評価をきちっとやりなさいということにつきまして、当協会のほうは、昨年の7月にそれに対応する第三者機関としての諮問委員会を立ち上げ、直近でいえば、今年の1月に実施、年に2回の開催で、直近は今年の1月に実施してございます。

諮問委員会の先生方から受けた答申内容は、即、協会の理事会にも報告いたしまして、それに対してのいろんな審議、指示結果というものを業務に反映させているという形で、軌道に乗ってきたということのご報告をさせていただきます。

2つ目に、124ページをご覧いただきたいと思います。このページの(4)のところ、内部監査等による紛争解決等業務の運営状況の検証をしなさいという話についてなんですが、残念ながらまだ規程の改定関係が済んでおりませんで、今年の上期中に全ての規程を、マニュアルを完成させ、下期から内部監査をしっかりとした形で実施していきたいと、このように思ってございます。

私の説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター、田口委員、よろしくお願いいたします。

○田口委員

証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACでございます。まず和解不成立事案の理由、経過等につきまして補足説明させていただきたいと思います。資料2をご覧いただければと思いますが、FINMACは21ページ目から記載がございます。

26年度における紛争解決手続件数は合計で94件ございましたが、そのうち和解不成立事案は47件でございました。そのうち、真ん中にございますが、和解案を提示しなかったものが33件ということで、これが一番多うございます。これらの事案につきましてでございますけれども、私どもの紛争解決委員があっせんに臨むに当たりまして、双方から提出されました主張書面でありますとか、その主張を裏づける書類をもとに、あっせん期日において改めて双方からお話、聴取をお聞きするわけでございますけれども、例えばいただいた書類は書類として改めてあっせん委員のほうから申立人にお話を聞いても、なかなか主張書面とお話に整合性がなかったり、一貫性がなかったりといったような場合、もしくは、もう少し具体的にお話をお聞かせいただきたいんですけれどもという場合になっても、なかなか抽象的なお話に終始しまして、具体的なお話がいただけないと。そういった場合は、なかなか私どもあっせん委員のほうも、相手方に説明し、話し合いによる解決をすることが困難だというような場合、そういった場合がございます。その場合には残念ながら和解案を提示することなく、不調、打切りというような形になる場合がございます。

また、あるいは、双方それぞれ申し述べるところは、それぞれ主張をされるのでございますけれども、やはり事実認定が、事実の認識があまりにもかけ離れておりまして、なかなかその双方の主張の隔たりが埋め切れないと。例えば無断売買を主張する申出者がいて、要は、無断で業者が買ってしまったというようなケースでございますけれども、相手方から言わせると、例えば通話録音がありまして、ここでちゃんと承諾を得ているというような、そういった記録も出てきたりするところもございます。

あっせん委員といたしましても、そうはいっても、なかなか話し合いで解決できないかということで、繰り返し事情聴取をしたりもするわけですが、どうしても双方の主張が折り合わないというような場合、こういった場合もございます。基本的にはそういったものを主なものといたしまして、和解案を提示しなかったものということで、26年度は33件あったというようなことでございます。

和解不成立事案の補足説明については以上でございます。

続きまして、監督指針への対応状況ということでございますが、FINMACの記載は、資料3の144ページ以降にございます。IV-1-1に業務運営に関する報告、検討、意思決定、指示の一連のプロセスというものがございます。

まず業務運営態勢の整備状況でございますけれども、FINMACにおける紛争解決業務運営の意思決定機関は、運営審議委員会というものがございまして、例えばこの紛争解決業務の業務量の増加に伴い、業務量に応じた運営態勢を整備する場合には、まずこの運営審議委員会に付議いたしまして、承認を得て、最終的には理事会において、この整備を行おうとする事項についての決定が行われるということでございます。

実際にも3年ほど前、為替デリバティブ、通貨オプションの取引事案が多発した場合には、今申し上げたプロセスを経まして、紛争解決委員の増員の措置を行ったというようなことが実際にございました。

また、続きまして、紛争解決委員の選任でございます。こちらは146ページ目の中ほどに簡単に記載がございます。紛争解決委員の選任につきましては、理事長の諮問機関として設置されており、また、学識経験者3名で構成されるあっせん委員候補者推薦委員会というものがございます。こちらをまず設置しておりまして、この委員会でもって候補者の選任に関して検討が行われ、同委員会から推薦がなされるということで、さらにその上で運営審議委員会の審議を経て、理事会における最終議決によって、理事長からの委嘱が行われるということで、こういった段階を踏んで選任が行われているというような状況でございます。

150ページ目をご覧いただければと思います。紛争解決手続における留意事項ということで、(3)簡易・迅速・柔軟な解決に向けた取組みというところをご覧いただければと思いますが、まずその前に、私どもFINMACは、いろんな一般の方々からの申出は電話で受けておるところでございますが、その電話の中身が例えば通常の、通常といいますか、単なる問い合わせであったり、基本的な相談事項であったりという相談で終わるものもあれば、よくよく聞いてみると、相手方事業者に対する不満足を表明しているというような場合もございます。この場合は苦情という形で処理の手続に入るわけですが、電話を受けた相談員は、苦情処理手続の案内をいたしまして、利用者に、相手方に今、申出者の内容をお伝えしてもよいでしょうかという取次ぎの意向を確認いたします。事業者からの回答をぜひ求めたいという意向があった場合には、私どもの相談員は相手方に苦情の取次ぎを行いまして、事業者から得た回答、見解を利用者に伝えるというような流れになっております。

こういった相談なり、苦情につきましては、もちろんきちんと記録をしておりまして、適切に仕分けされているかどうかというのは、適宜私ども管理職者がチェックして、適切性に努めているというようなところでございます。

さらにその上で、紛争解決手続、私どもで言うあっせん手続の部分にまいりますけれども、業務規程におきましては、その標準処理期間は4カ月以内としておりますが、150ページ目の表にありますように、実際には2カ月ちょっと、2カ月強の期間であっせん、紛争解決手続の処理が終わっているというような状態でございます。

今もお話をしましたように、このあっせんの手続の前段階として、私どもFINMACは苦情の取次ぎを行っております。この苦情前置主義をとっておりますので、ある程度この段階で、いわゆるあっせん手続の前の段階で申立者及び相手方事業者双方の主張見解を伺うことが可能となっております。その上で、あっせん委員の主宰のもと、ある日、一堂に会しまして、あっせんが行われるというようなことになっておるわけでございますが、裁判のような厳密な認定は行わないものの、先ほどもちょっと触れましたが、あっせん当日は、申立者、相手方事業者それぞれから事情聴取し、交互に何度も事情聴取を繰り返す場合もございますが、その中であっせん委員が話し合いでの解決、和解というものを検討していくということになっております。

場合によっては、本日、今日のところは1回終わりにして、次回、再度、あっせん期日を設定するというようなこともありますが、一方で、ある程度話がまとまりそうなときには、あっせん委員が最後に和解案を提示して、双方、一旦持ち帰っていただけませんかというような形で対応することもあります。後日、事務局のほうに、相手方もしくは申立者のほうから、この先日いただいた和解案を受諾する、もしくは不受諾とするというようなお話で、何らかの解決ができれば、再度あっせんを開催することなく、何らかの解決を得るようなことになると、そういった柔軟な対応をとるように心がけているところでございます。

以上、FINMACからのご報告でございました。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、最後に日本貸金業協会、黒岩委員、よろしくお願いいたします。

○黒岩委員

日本貸金業協会でございます。それでは、和解不成立事案の理由等につきまして、資料2の25ページでもってご説明させていただきます。

平成26年度の和解不成立事案は8件でございます。そのうち4件が和解案を提示しなかったものでございまして、これは双方の主張の乖離が大変大きいものが多かったということでございます。

それから、その他、一番下でございますが、4件ございます。これは手続外で当事者間で実質的に和解に至ったというもの、それから、申立人が時効を主張いたしまして、債権放棄で実質的に解決に至ったと、こういったものでございます。

次の26ページをご覧いただきますと、面談の実施状況でございます。一番上の欄でございますが、8件のうち、1件を除きまして、面談を実施しております。

続きまして、監督指針への対応状況につきまして、4点ご説明させていただきます。

まず当協会の紛争解決等業務の特徴を踏まえた態勢整備の状況についてご説明いたします。資料3の166ページ以降になりますけれども、当協会が平成26年度に受け付けた相談苦情等の総件数は3万4,400件でございまして、このうち苦情は94件、紛争は12件と、比較的少ないものとなっておりますが、貸金業は、商品の構成や貸金業務そのものが比較的単純であって、複雑な事実関係について争うといったケースが少ないということも一因にあると考えております。

こうした特徴がある一方、相談に関しましては3万4,294件が当協会に寄せられております。これにつきましては、貸金業者から借入残高のある個人の利用者、クレジットカード利用者が中心となりますが、この個人の利用者は、指定信用情報機関であります日本信用情報機構の発表によりますと、1,150万人に及んでおりまして、こうした利用者から、貸金業の業務に関してさまざまな相談や問い合わせが寄せられているという状況でございます。

当協会では、利用者からのさまざまな相談等に的確に対応できるよう、相談受付課、苦情受付課、紛争受付課の3課体制で業務に当たっております。この3つの課が密接に連携して、苦情要素を含む相談等の苦情処理手続への移行あるいは相談処理手続から紛争解決手続への移行等に適切に対応することとしております。

また、紛争解決手続につきましては、全ての事案について手続実施に際して、当事者と面談を行うこととしております。

それから、紛争事案につきましては、全件について第三者委員会に対して事案ごとに詳細に報告しております。

次に、168ページでございますが、紛争解決委員の選任についてでございますが、当協会では、紛争解決委員候補は全員、業界と利害関係のない弁護士としております。紛争解決委員の選任に当たりましては、紛争解決等業務に関する規則に基づき、第三者委員会委員長があらかじめ同委員会が定めた順番に従って、紛争解決委員候補の中から紛争解決委員1名を選出するとしております。

続いて、167ページでございますが、内部監査による紛争解決等業務の運営状況の検証についてでございます。当協会におきましては、内部監査担当部署が年1回、各部署に対して、業務全般を対象とした監査を実施しております。平成26年度の内部監査では、紛争解決等業務に関しては、主に規則及び各種マニュアルに基づいて業務が確実に実施されているか、利用者の視点に立って手続の所要期間は適切か、業務は厳格に管理され、的確かつ継続的に実施する態勢となっているか等について検証を受けております。

なお、業務の適切性についての指摘は受けておりません。

平成27年度の内部監査につきましては、第48回金融トラブル連絡調整協議会において、当協会が改善を表明した事項を踏まえまして、監督指針に基づき、業務運営状況の適切性等に対する深度ある内部監査の実施が必要との認識から、通常監査に加えて、対象を紛争解決等業務に絞り込んだ監査を追加的に実施することとしております。

最後になりますが、169ページになりますが、個々の事案における紛争解決委員の選任基準でございます。当協会におきましては、貸金業法に掲げております利害関係を有する者の全てについて、紛争解決等業務に関する規則において選任してはならない旨を定めているほか、独自に当事者の役員もしくは使用人、またはこれらであった者をこれに加えております。

貸金業協会からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいままでの事務局からのご説明及び各指定紛争解決機関からのご報告につきまして、どの点でも結構ですので、ご質問、ご意見等があればご自由にお出しいただきたいと思います。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員

ご説明ありがとうございました。前回の第48回のときに議論になった点について検討いただいて、対応をしていただいたと思います。特に生保協会のほうについては、私のほうでも苦情、それから、紛争の各段階において指摘させていただいた点について、改善を図るということで、本日、改善案のご説明ありまして、評価できる対応をとっていただいたと思っておりますので、この運用を見守りたいと思っております。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

私も同様に、いろいろ前回質問させていただきましたが、おおむね誠実に対応していただきまして、ありがとうございました。ただ、時間が限られているので、まだちょっと理解不十分なところもあります。追加で確認、質問をさせていただきたいことがございます。

まず生損保協会については、苦情受付時対応を見直していくということでいろいろご努力されていることはよくわかりました。マニュアルの改定であるとか業務プロセスの整備であるとか、具体的な改善策が図られていると思います。今後、生保協会のほうでは内部監査機能を強化するとか、第三者による評価であるとか、それの検証状況もしっかり把握してくださるということですが、一方、わからなかったのが損保さんのほうでは、やはり手続がいろいろされていくようですけれども、その後のことをどういうふうにフォローアップされるのかをお聞きしたいのが1点です。

それから、生損保さんとも、紛争解決不調事案に関しての改善をやっておられますが、生保協会の資料を拝見しますと、裁定委員によるばらつきが出ないように、よりどころとなるチェックリストをつくったりとか、具体的な改定をされているようですが、損保さんのほうは、そこの辺、ちょっと私、読み取れなかったのです。面談をするとか丁寧にしていくという、お言葉ではいただいたんですが、具体的に業務マニュアルを改定したりということをされるのでしょうか。そのあたりを伺いたいと思います。

関連で、生保協会にもう1点お伺いしたいのは、チェックリストをつくり、いろいろ対応していくというところはわかったんですけれども、法令、約款、業界の自主ガイドライン、類似事案とのバランスのほかに、「保険会社の社内ルールに照らして」という説明がありました。保険会社の社内ルールというのは消費者がわからないんですよね。ですから、その辺はどのぐらいのさじかげんといいますか、どういうふうに適正に社内ルールを判断されているのかをお伺いしたいと思います。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。それでは、森委員からお願いします。

○森(栄)委員

2点ご質問があったと思いますが、1点目は苦情処理の手続のところです。私どもも、この資料3の束でありますが、ここの83ページから(3)のところを先ほどご説明しましたが、ここがマニュアルの改定も含めて改善策の実施をしてきたというご説明をしましたが、その84ページ、後のところに内部監査だとかそういったフォローもしていくということが実は前回から書いてございまして、生保協会さんと同じようなことをやっていくということであります。

中身については、先ほどご説明したとおり、(3)の数字が上がっている理由として、苦情処理手続の案内をしているというところですが、これについては、83ページの下のほうに書いてありますとおりの実施策、それから、84ページにかけまして、ここは苦情処理手続の開始の部分ですが、ここについて、ページの指定とかなく説明してしまいましたので恐縮ですが、この一番上に書いてあること、ここを実施していきながら、その後ろに内部監査等のことが書いてあるということでございます。

それからもう一点目の紛争のところでありますが、ここは87ページの紛争の留意事項、ここの(2)について、先ほどご説明をしています。ここはまず面談の実施についてやっていくということ。それから、終了時の対応についてということをご説明しましたが、同時に88ページの(3)にありますとおり、事実認定が困難な事案についてもそういった踏み込みをしていきたいということ。それから、和解に向けた努力として、(4)に書いてあるようなことをやっていきたいということでありまして、ここについては、マニュアルというよりも我々がこういうふうにやっていくということをここの場で宣言しているということでございますので、面談の実施、有識者会議の報告書、この考え方、これに沿った形で基本的に面談を実施していくというための態勢も整えていくというようなことを先ほど申し上げたということでございます。

○山本座長

それでは、酒巻委員からお願いします。

○酒巻委員

社内ルールの判断のところですけれども、ご指摘のとおり、申立人は社内ルールはわからないかと思います。これは具体的に事情聴取を行っていく中で、紛争解決委員が和解のきっかけの一つとして、個別事情の一つとして把握するためのものと考えておりまして、例えば高齢者対応での社内ルールであれば、事情聴取の中で、おたくの会社の社内ルールはどうなっているんですか、募集人の方は実際にどういうふうに認識をされていたんですか、それを踏まえてどういうふうに対応したんですかと、そういったことによって和解のきっかけとなる個別事情を探っていこうということで、どちらかというと、紛争解決委員が積極的にそういうものがあるかないか。あるとしたら、どういうふうに守られていたか。そういうことを把握しながら解決の糸口を探っていく。そういうやり方になります。

○高橋委員

ありがとうございます。

○山本座長

よろしいでしょうか。それでは、ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○鈴木委員

資料1-3の参考2ですが、今回、皆様には新たな作業をしていただくことになってしまいまして、お手数をおかけしました。率直に申し上げれば、消費生活センター経由の件数は思ったより少ないなというのが正直な感想ですが、大変参考になりました。ありがとうございました。

以上です。

○山本座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、神作委員。

○神作委員

ご質問ではございませんで、お話を伺った感想でございます。「指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針」のIV-1-1「紛争解決等業務の運営態勢の(4)」では、「内部監査等による紛争解決等業務の運営状況の検証及びその検証結果等を踏まえた改善状況」という項目がございます。この事項についての各協会等のご説明をお伺いして、随分対応に差があるという印象をもちました。内部監査部門を有しているところは、それをもちろん利用されているわけですし、それ以外にも外部の監事の方による業務監査の一環として実施したり、有識者・外部者から構成される会議体を関与させる等々、各団体においてさまざまな工夫によって紛争解決等業務の運営状況の検証が実現されているように思いました。まさに「監督指針」自身に書かれていますように、「内部監査等」という表現振りになっており、各業界団体の規模や組織のあり方、それから、紛争解決等事業の実態などに応じて、自己チェックだけではなくて、とにかく内部によるチェックではあっても、当該紛争解決等業務にはタッチしていない外部者および第三者の目から見たチェックがなされることが肝心だと思いますので、内部監査以外にもさまざまな工夫をされて、その実質を確保しようと努力しておられると伺いました。したがって、各団体において同監督指針の求める検証の態様には相当に大きな違いがありますけれども、そのような差異が生じること自体には、むしろ一定の合理性があるものと感じました。

○山本座長

ありがとうございます。

それでは、ほかにいかがでしょうか。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員

すみません。ほかにいなければ、せっかくの機会ですので。和解不成立事案について資料2でご説明いただきまして、これは手続とか制度の整備の問題ではなくて、まさに中身のことなので、本質的なことになりますので、かねがね話題にはなっているところなんですが、ここのところが大変重要なところだなというふうに思います。

それで、国センADRを経由して、結局、不成立になって裁判になって判決が出たというケースで、昨年12月に判例雑誌や何かで紹介されたのがありまして、これを参考にして申し上げれば、京都地判の平成26年9月25日の中国残留孤児の投資信託販売の件なんですけれども、これは国センADRにおいて3回の期日で何をやったかというのは、判決がずっと事実認定をしておりまして、銀行販売ケースなんですが、結局、銀行のほうは全然問題ないということで、結局まとまらなかったという事案です。仲介委員のほうはかなり詳細に、適合性原則・説明義務違反があって、過失相殺も本来的にされるべき事案とは思えないけれども、早期解決のためにということであっせん案を提示するんですけど、銀行は結局それも蹴って、裁判になりまして、判決では適合性原則違反と説明義務違反、両方認められちゃって、しかも、過失相殺すべきでないということで、一審で確定しているということなので、なぜこういうものがADRで解決しないのかなと。

双方の開きが大きいゆえにまとまらないという類型ですが、例えばこういうふうに「うちのほうは全然問題あると考えていません」と言ってしまうと、結局ゼロなので、開きが大きくてまとまらないということにはなるんですけれども、そういうことはADRの意義を大いに減殺することになるので、金融機関にADRで解決する意義というのをもうちょっと深く考えていただくのと、この件については、適合性原則説明義務について詳細なADRとしての判断というか、説示をしているわけで、それで解決しないというなら、これはしようがないと思うんですけれども、開きが大きいという場合でも、適合性原則とか説明義務みたいな抽象的な規範について、ADRとしてどういうぐあいに運用していくのかというのを示すというのは、実務的に行っていく上で大変貴重なことになると思いますので、開きが大きいというのは確かにまとまるのは難しいかもしれませんけれども、やはり適合性原則も具体的にこういう場面ではこういうふうに考えているというものを、特別調停案を出す、出さないにかかわらず、やはりある程度示していただきながら、努力をしていくということは非常に意味があるんじゃないかと思います。

この場合、国センのADRで3回、当事者双方に話をしてまとまらなかったということで、これはやむを得ないと思うんですけれども、全然面談しないでやるとかの割合が高いところもあるので、和解不成立ができるだけそういう意味で少なくなるように、そして、双方、ADRの出された和解案を尊重して、そこで出されたなら、まあ、というような信頼感が高まるようにぜひ工夫というか、努力をお願いしたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。コメントだと思いますが、何か機関の側でございましたら。よろしいですか。どうぞ。

○樋山委員

資料3を拝見しますと、各業界団体さんが真摯に誠実に前回の話し合いを受けておまとめになり、対応されていることがよくわかりまして、大変なご苦労だったと思います。どうもありがとうございました。

私からは2点お話をさせていただきたいと思います。私どもは常日頃消費者から消費生活センターで直接苦情を受けているものの集まりです。苦情・紛争事案に関する分析結果等のフィードバックという点からすると、私どもではとても解決が難しいかなと思うものについては、業界団体さんの窓口とかADRをご紹介するところが結構あるんですけれども、実はそのときに、ADRさんについては公正中立な立場であるということをかなり強調してお話しさせていただき、各ADRさんのホームページなどを拝見しても、結果については私どものほうで特に問題だと思うようなことはないので、とにかく中立な立場ですから、ご利用になってはいかがでしょうかということをかなり強調してお話をしないと、どうしても業界団体寄りなんじゃないかと。業界がお金を出しているんじゃないかというところで、かなりADRさんのご利用を考えてしまうというようなところがございますので、そこら辺、今後ADRが中立公正な立場で、このような努力、血のにじむような努力をなさって解決していくというところを、各個社さんがどのように周知徹底させていくのか。また、ADR自身もどのように周知徹底させていくのかというのは結構重大な問題なのではないかなというふうに思っております。

あともう一つなんですけれども、特に生保協会さんとか損保協会さんなどでは、約款に照らし合わせて解決が難しいというようなケースが大変多いんだと思います。だめなものはだめなんですね。それで、約款に照らし合わせてだめなものはだめなんですが、要は、約款というものについてどれだけ重要で、支払いの可否を左右されてしまうものなのかということを実は消費者のほうがわかっていないところが多いんですね。それはやはり振り返ってみますと、募集のところで、約款についてどういうふうに募集してもらえるかというところが結構大事になってきているのではないかと。それから、業界団体さんのほうに苦情として入ったときに、約款というのはそもそもどういうものなのかというところの説明をもう少し尽くしていただいた上で、ADRの裁定へ持っていくというような形をおとりになるべきなんじゃないかなというふうに感じまして、その2点をお話ししたいと思いました。

ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。前者は、まさにこの金トラ協が始まって以来、ずっと大きな課題である業界型ADR、中立性というものをいかに確保し、周知していくかという問題で重要なご指摘だったと思います。

後者につきましては、生損保の側であれば。では、酒巻委員。

○酒巻委員

ありがとうございます。まず周知のほうにつきましては、生保協会につきましては、全国53カ所に出先の機関がありまして、そこで毎年1回、それぞれの地域の消費者行政の方あるいは消費生活センター相談員の方にお越しいただいて、情報交換会という形でいろんな情報を提供させていただいて、あるいは苦情・紛争事例とかご紹介したりすることをやってきているんですけれども、そういう意味では、今後もそういう活動を積極的に展開していきながら周知に努めたいと思います。

また、昨年度は、生命保険相談所の周知のためのポスターを作成しまして、全国の消費生活センターとか、法テラスのほうに配付をさせていただきましたが、そういったこととか、あと、各社との連携も引き続き図りながら周知については努めてまいりたいと考えてございます。

それから、2点目のご意見をいただいたところでございますけれども、募集時の対応が非常に重要だというのは、私もそのように思いますので、引き続き募集文書の簡素化とか図ってきておりますけれども、それに加えまして、適切な説明とかそういうことも繰り返しやっていけるように、こちらも情報のフィードバックをしていきたいというふうに思います。

また、苦情になったとき、約款がどういうものかをご説明をする、確かにそういうことが必要かと思いますので、そこは対応の中で検討させていただいて、きちんとご説明できるようにしたいと思います。

○山本座長

森委員、どうぞ。

○森(栄)委員

損保協会です。1点目の周知については、私どもも同様に考えていますので、周知に努めていきたい。今もいろんなカードをつくったりとかいうことをやっています。それから、生保さんと同じように、消費生活相談員の方との懇談もやっていますが、その先の消費者にどうやってつなげるかということが大事だと思っていますので、そこら辺も含めて考えていきたいと思っています。

約款というか、募集人の対応については、酒巻委員がおっしゃったこと、大事だと思っていますし、そこの説明ということであれば、その説明ぶりによってADRの解決というのが図れるという事案もあると思いますので、引き続き努めていきたいと思っています。

○山本座長

はい、どうぞ。

○樋山委員

すみません。各消費生活センターの相談員は、中立公正な立場であるということはよくわかっているんだと思うんですが、その先の消費者にどうやって届けるかということが今後の大きな課題なのではないのかなと思うので、その消費生活相談員より先の、ほんとうの契約者一人一人への届け方というものをお考えになっていただけると大変ありがたいかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょう。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員

今回、こういう資料2と3の情報を出していただいた各業界団体の方々、そして、金融庁の方々も、まとめていただくのは大変だったと思います。ほんとうにありがとうございました。

今回拝見して、既に複数の委員の方からご指摘があったところではありますが、こういう形で見てみて初めてわかることというのがあるものだと思いました。

全銀協ですと、見込みなし93のうちの申立適格性有が57、その全件が和解案を提示しなかった。双方の主張の乖離が大きいということになっている。生保協会の場合も同様に見込みなし137のうち、申立適格性有が133あるのにもかかわらず、123が和解案を提示できなかった。申立内容に理由がなかった。理由がなかったというのは、常識的には理解しにくいですが。損保協会でも見込みなしが295件中、申立適格性有が全件295件。その大半、226件が和解案を提示できなかった。双方の主張の乖離が大きいということ。同様にFINMACでも39件の見込みなし中、申立適格性有が全件39件。しかし和解案を提示できなかったものが33件と、これも同様に双方の主張の乖離が大きい。

これまでは、従来は業界団体、あるいは売るほうの側の問題が多く指摘されていたように思いますが、やはりこの資料の2を横断的に見させていただくと、言い方は難しいのですが、消費者あるいは顧客のほうの良識ないし常識をいかに育てていくのかというところにこそ、問題の本質があるのではないかと感じます。ではどうすればいいのかというと、これはなかなか答えがなくて、販売時のご説明をきちっとしていただくとかいろんなことはあるにせよ、複数の横断的な業界で同じような状況がたくさん出ている点については、今、私自身、答えを持っておりませんが、皆様とご一緒にこれから考えていく必要がある、非常に重要なポイントが、今回の調査をしていただいてはっきりと出てきたと感じました。ほんとうにありがとうございました。

以上です。

○山本座長

ありがとうございます。

それでは、高橋委員。

○高橋委員

また個別具体的で申し訳ないんですが、前回、生損保の乗合代理店についての苦情・紛争についてご質問させていただきました。先ほど生保協会のほうから、資料3の77ページに具体的にご回答を書いていただきまして、現行業法及びADRとして現在できること、やっていること、できないことというのを整理したものをお示しいただきました。ありがとうございました。

私自身の質問は、生保だけではなくて、損保さんにもしたつもりだったので、同様な対応かもしれませんけれども、損保業界としてはこの乗合代理店への対応というのをどう考えてらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。

それから、この乗合代理店の問題は、国民生活センターであるとか相談員協会であるとか、そういうところにも行っているのではないかなというふうに思うのですけれども、何か現状で問題意識を持ってらしたらぜひご発言していただきたいと思います。

それから、この77ページの回答は、実は私が前回お伺いしたときに、具体的なA社、B社みたいな例を出してお伺いしたんですが、乗合代理店の問題というのは、比較推奨だけではないということはご承知のとおりだと思います。

ここでも苦情件数を詳しく出していただきまして、乗合代理店の苦情が平成24年度第1四半期以降、平成26年度第4四半期まで184件。そのうち比較推奨販売の苦情は3件ということなので、あとの181件は何なのでしょうかということで、補足のご説明をいただきたいと思います。

以上です。

○山本座長

それでは、まず損保のほうから、森委員、どうぞ。

○森(栄)委員

私どもの乗合代理店の話ですが、どちらかというと、生保さんと比べると、商品が1年ものであるとか、単年数であるとかということから見て、私どもへのご質問だということを思ってなかった部分もありまして、もう一度整理して、そこら辺についてはお答えしたいと思います。

○山本座長

よろしくお願いいたします。

それから、酒巻委員。

○酒巻委員

乗合代理店で受け付けております苦情のうち、多くの苦情は一般の募集人、生命保険の募集人、営業職員の場合と同じような苦情かと思うんですけれども、やはり3分の1ぐらいのものについては乗合代理店に特徴的なものというくくりもできると考えてございまして、例えばどんなものがあるかということなんですけれども、幾つかの類型でご説明しますと、やはり複数の契約を勧誘しているトラブルですね。同一の方から、5件、6件と複数の契約を勧誘しているような事例でのトラブル。不適切な複数契約勧誘と、そんなような類型があります。

それからあと、個人情報の利用の仕方で、顧客情報を不正に取得して、あるいはそれを利用して募集をしている。こういう苦情は一定件数ございます。

それから、やはり乗り換えにかかわるトラブルというのがございまして、A・B生保で加入していたものを、相談に行ったところ、C・D生保のほうがいいですよということで、乗り換えをさせられた。後で考えたら、乗り換えしないほうがよかった。こういうものも一定件数ございます。

それからあと、電話によりまして、一方的に電話勧誘をかけられて迷惑だという。電話による勧誘、不適切な電話勧誘と言いますか、そういうものもございます。

それから、それほど数はございませんけれども、乗合代理店の苦情を元受の保険会社のほうに伝えたんだけれども、きちんと対応してもらえなかったというような苦情も、多くはありませんけど、少しはございました。

今言ったような類型のものに整理できるものは、大体3分の1ぐらいございまして、残りの3分の2は、営業職員でも通常あるような苦情だったと、こういう状況でございます。

○山本座長

どうぞ。

○高橋委員

ご説明ありがとうございました。生保だけでなく、生保も損保も含めた複数の商品を扱っている代理店、大規模な代理店が増えてきているわけですよね。そうすると、今のご説明を伺っていても、元受の保険会社の問題というよりは、それを推奨したり、販売している大規模な代理店の問題だというふうにも受けとめられるわけなんですね。今回これは業法改正もして、乗合代理店に対して金融庁が直接に監督、検査をしたり、業務報告書の提出を求めたりいろいろできるようになったということなので、今までよりは状況はよくなってくるだろうとは思うのですけれども、やっぱり消費者にしてみたら、これに関する苦情を生保協会とか損保協会に持っていくのではなくて、どこに持っていったらいいのだろうと迷うわけです。国民生活センターとか消費生活センターにも少し入っているというお話を伺いましたので、何らかの手を打たないと、ADRにうまくつないでいくことが難しいのかなというふうに感じております。

これに関して、今回、業法改正、監督指針改正で、この乗合代理店、それから、募集関連行為従事者と言うんでしょうか、最近インターネットなどで一般の人たちに保険の診断をさせてください、そうしたら5,000円とか7,000円、8,000円とかの商品券や図書券をあげますと、こういうことを代理店から委託されてやっている事業者もあり、それも先ほど酒巻さんがおっしゃったようなトラブルにつながっていると認識されているようです。

ですので、これについて金融庁として今後どのように考えていくのか、ご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○山本座長

事務局のほうからどなたか。松尾委員。

○松尾委員

そのADR制度というのは、業の中で、簡便かつコストのかからない形で、そういう紛争解決というのを提供できればという制度でありますので、そういう制度の、例えば銀行でも銀行代理業とかいろんな業があるわけでございまして、その中で今のところ、最終商品の提供というところで押さえているという枠組みは基本的にあるとは思います。

そういう中で、今ご提起いただいている問題というのはどういうふうにその中で適合していくのかというのはにわかに見識があるわけではないですけど、問題意識を持ってみていきたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。大変重要な問題提起をいただきました。

○高橋委員

さまざまなスタディをしていただきたいと思います。

○山本座長

ええ。引き続き考えていきたいと思います。

どうぞ。小浦委員。

○小浦委員

ありがとうございます。本日は、皆さん、このようにたくさんの資料を提出いただいて、ほんとうに大変だったろうなと思い、興味深く聞かせていただきました。私から1点、生保協会さんに質問なんですけれども、やはり保険商品をほんとうに理解して契約するのというのは、消費者のほうも大変で、わかりやすいパンフレットをおつくりになったりですとか、説明をされているのもよく存じておりますけれども、損保協会さんのほうで、先ほど資料3で説明されました88ページのところについてです。やはり解決に向けた取り組みの事実認定が困難な事案についてというところで、マル3ですね。事実認定に関するトラブルが多い商品については、保険商品に課題がある可能性もあることから、保険会社に対し、フィードバックをしていくというふうに報告していただきまして、消費者としてもそこまで突っ込んだフィードバックをしていただいているということをちょっと感銘を受けました。

ほんとうに膨大な資料でしたので、私、読み切れていなくて申し訳ないんですが、生保協会さんとしては、フィードバックをされる前にそういう点はどういうふうにされているのか、もしお答えいただけるようでしたらお願いしたいと思います。

○山本座長

それでは、酒巻委員、よろしいでしょうか。

○酒巻委員

ちょっと事実認定が困難な事案の扱いというのは、正直これまではあまり手がけていなかったというのが現状なんですけれども、今後の話といたしましては、個別事情をしっかり把握していくということに努めていく中で、何らかの和解提案にふさわしい個別事情が見つかれば、積極的に和解提案していくということで、そういう意味では、今後の課題ということで、7月以降の対応の中でしっかりやっていきたいなというふうに思っております。

○山本座長

では、また、ご報告いただく機会があるかと思います。

それでは、樋山委員お願いします。

○樋山委員

はい。先ほど高橋さんのほうから、乗合代理店について何か相談がというようなご質問がありましたので、全相協としてお答えいたします。

実は全国消費生活相談員協会の金融サービス研究会というところで、大手の乗合代理店の覆面調査をさせていただきました。一昨年なんですけれども、覆面調査をさせていただいた結果なんですが、商品の説明については、おおむねかなりよく説明をされていて、保険料が安ければ、約款で保障については少し狭められているよというところまでもきちんと説明いただいているような状況で、説明については特に問題がないのではないかというような印象を受けました。ただし、若干個人差があるというようなぐあいになっているのではないかと思います。

ただ、かなり大勢、10名がそれぞれ最低2店舗ずつ出かけていって、覆面調査をさせていただいたんですが、それぞれ属性が違うんですが、がん保険、医療保険などについては、いろんな場所の代理店に行ってまいりましたが、一定の商品を結構勧められておりましたので、そこでもしかしたら手数料バイアスがかかっている、もしくはキャンペーン中だったのかなというような疑問がわいた次第でございます。

あとは、先ほど酒巻委員がおっしゃっておられたように、乗り換えについて私どものほうで、今この商品を契約しているけれども、どうしたらいいのかしらというようなことを聞きに行ったときに、やはりその商品自体には触れず、だから、特約を変更したりとか、こういうふうに商品を変えていったりというよりも、今ある商品をばらして新しい商品を、それも複数社にわたった新しい商品を勧めていくというような方法をどうやらおとりになっているようなので、それがほんとうに消費者にとっていいことなのかどうなのかということは、今後考えていく必要があるのかなと思っておりますが、巨大代理店に育っていってしまっているので、どうにか業界団体さんのほうで、こういった代理店と連携して、健全な業態に育てていっていただきたいなというふうに思っております。業法改正も監督指針の改正もありましたので、金融庁のほうでもうまくコントロールができるような状況になっているのではないかなと思います。

今後について注視していきたい点が一つございまして、乗合代理店の電話勧誘がかなり強引でしつこいと。これについては、センターにも複数入っておりまして、今後これをどうしたらいいのか。A社という会社についての商品を勧めるのか、それともB社という会社についての商品を勧めるのか、乗合代理店の強引な勧誘ではわからないので、どこに苦情を言ったらいいのか消費者もわかりませんし、私どももわからないというような状況でございますので、そこは注視していっていただきたいなというお願いでございます。

ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。貴重な情報をいただいたかと思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、いまの議題につきましては以上にさせていただきたいと思います。

それでは、残された議題ですけれども、まずは「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室長の﨑山委員からご説明を受け、続いて、金融ADR連絡協議会の概要につきまして、事務局のほうからご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○﨑山委員

金融サービス利用者相談室の﨑山でございます。早速ですけれども、前回の会議以降の相談等の受付状況につきましてご説明させていただきます。

前回の会議では、昨年の4~6月及び7~9月の相談等の受付状況を報告させていただいたところですが、それ以降、相談室では、今年1月と4月にそれぞれ昨年10月~12月及び今年1~3月の四半期の状況につきまして公表してございます。

なお、公表に用いました資料は、4-1及び4-2でございますので、これをお手元にお配りしてございます。

本日は時間の関係もございますので、昨年10月以降の当相談室における相談内容の概要等につきましては、資料4-3及び4-4を用いまして、簡潔に説明させていただきます。

なお、詳細等につきましては、後ほど公表資料でご確認いただければと思います。

相談等の受付件数ですけれども、資料4-3、相談件数の推移にございますように、10~12月期は9,095件、今年に入っての1~3月期は9,606件と推移してございます。

なお、参考までに1日の平均の受付件数はそれぞれ154件、160件となってございます。

また、分野別内訳で見ますと、預金融資に関する相談が10~12月期は2,626件、1~3月期は2,817件、保険商品に関する相談が10~12月期が2,856件、1~3月期3,136件。投資商品に関する相談が、10~12月期が2,408件、1~3月期は2,401件で推移してございます。

また、貸金等に関する相談は、10~12月期が853件、1~3月期が981件となっていますが、1~3月期の相談件数の増加は、主に制度改正、総量規制撤廃ということの相談が集中してあったものですから、そこについて増えたものでございます。

次に、詐欺的な投資勧誘につきましてご説明させていただきます。投資商品における相談のうち、当相談室で詐欺的な投資勧誘に関する相談と考えているものが、資料4-4、トピックスにありますとおり、10~12月期で703件、1~3月期は634件となってございます。

なお、詐欺的な投資勧誘について相談してこられる方で、年齢が判明している方々では、おおむね60代以上の方が大半を占めているところですが、年代別の表にございますように、件数としてはいまだ少ないものの、20代から40代の方からの相談も10~12月期98件、1~3月期60件ございました。

これの詐欺的な投資勧誘に関する相談を、相談者の被害の有無、いわゆる被害に遭う前に相談されてきたのか、被害に遭ってしまった後の相談かという切り口で見てみますと、前回同様、20代から40代の相談者は実に6割強が被害に遭った後に相談してきてございまして、60代以上の相談者の割合が3割弱であることから、これはすごい目立ったものとなってございます。詐欺的な投資勧誘に係る、いわゆる60代以上の相談者の数は、相変わらず多いのですが、最近は投資の判断を行う前に、当相談室に事前に確認をしてからといった行動をとっていただいている方が多いという結果でございまして、関係機関におけるこれまでの注意喚起、金融経済教育等の普及活動が高齢者に対しては浸透してきているのではないかと考えてございます。

このようなことから、金融庁といたしましては、今後、若い世代、特に社会人になる前の高校生、大学生を対象とした金融経済教育の普及活動を行っていくことが必要と考えてございまして、当相談室でも昨年12月に地方の高校で出張講座を複数開催してございます。また、来月以降、全国の複数の大学において、金融経済教育連携講座を使っての講義をすることとしてございます。

次に、事前相談に関する相談でございますが、10~12月期は554件、1~3月期は449件となってございます。相談の内容ですけれども、やはり投資に関する相談が多く、それぞれ429件、353件と、全体の8割弱となってございまして、特に詐欺的な投資勧誘のうち、被害前の相談に係るものが主なものでございます。

当相談室は、常日頃から関係機関との意見交換、情報交換等を行わせていただき、連携を密にしてございますが、相談者からの相談内容によっては、相談者の方々に関係機関、業界団体をご紹介させていただいてございます。

最後に、それらの件数をご紹介させていただきます。相談におきましては、各関係業界団体を紹介させていただきました件数が10~12月期が898件、1~3月期が1,080件でございます。その中でも特に保険に関する相談が5割を占めてございまして、都度、仲裁等のために協会を紹介させていただいているところです。

また、相談室から消費生活センターなど公的機関を紹介させていただいた件数が、10~12月期が188件、1~3月期が228件でございまして、特に投資に関する相談で、詐欺的な投資に関する返金交渉などの個別案件につきまして紹介させていただいているところでございます。

逆に、消費生活センター等から当相談室への相談件数は、10~12月期が134件、1~3月期が107件で、この相談内容は、特に投資商品、金融商品等の内容照会というものが多くなってございます。

相談実績の状況につきましては以上でございます。

当相談室は、金融庁が、パブリックコメント以外で、直接、国民と接することができる窓口です。ですから、寄せられた情報、相談等を適切に行政に活用し、金融行政のセンサー機能としての役割を十分に果たし、今後も関係機関、業界団体等との密接な連携を図りつつ、業務遂行を行っていきたいと思っているところでございます。

以上でございます。

○菅井室長

それでは、資料5、1枚紙についてご説明をいたします。「金融ADR連絡協議会」についてでございます。前回の金トラ協以降、本年2月と5月にこの連絡協議会を開催しております。2月につきましては、「和解に向けた努力等」というテーマを取り上げまして、当事者双方の主張の隔たりを埋め、和解に導くための方策、あるいは柔軟な解決のための具体的方策等について、報告、意見交換が行われました。

5月につきましては、「紛争解決等業務に係る事後的な検証・評価及びそれを踏まえた改善状況」、これをテーマとして取り上げまして、各機関における外部有識者による検証・評価の位置づけ、これまでどのような提言、意見がなされて、どのような改善措置をとったか、また、検証・評価してもらうポイント、それから、検証・評価してもらうための資料等の内容のあり方について、報告、意見交換が行われております。

簡単ではございますが、以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等があればお出しいただければと思います。どうぞ。

○樋山委員

詐欺的な投資取引についてでございますが、高齢者については大変周知徹底されていますので、皆様ご存じかと思いますけれども、この若い方たちの部分についてなんですけれども、バイナリーオプション、例えば為替が何秒後に上がるか、下がるかという丁半博打のようなタイプのものと、あと一つは、海外の金融機関、保険会社などに、投資信託みたいにして、積み立ての保険をかけていく、もしくは投資信託としてずっと積み立てていく。それも契約期間が25年とか、長い期間にやっていくというような契約を海外の金融機関との間に入って手伝うような業者がいまして、それで確かに海外の金融機関に自分のIDなどを入れますと、自分の投資信託の残高がわかるというような形になっております。

それで、何かトラブルが起きた場合は、多分その海外の会社と直接やり合わないと解決ができないというような状態に置かれていることになりますので、そこを少し注視していったほうがいいのではないかなというふうに考えております。

○山本座長

ありがとうございます。貴重な情報をいただいたと思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日用意しました議題は以上ですけれども、この際、特にご発言等があればお出しいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、本日の協議会はこの程度にしたいと思います。次回、第50回の協議会につきましては、いつもどおりということになると思いますが、本年12月頃を予定しておりますが、詳細な日程等は追って事務局のほうからご連絡を差し上げたいと思います。

それでは、本日はこれで終了したいと思います。大変活発な有意義なご議論をいただいたというふうに思っております。皆様お忙しい中ありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室
(内線3528)

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